JP2023043907A - エキスパンションジョイントとその改修方法 - Google Patents
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弾性カバー材を間隙の内側に設置する場合、その間隙が設計仕様よりも大きく広狭していると、諸基準で規定する可動量を満たさず、変形性能が確保できない虞があった。
さらに、間隙の内側に弾性カバー材を取り付けたエキスパンションジョイントにおいて、躯体の壁面や天井面をボード仕上げする場合に、躯体外側からボードの取り付けが行えるように、前記カバー材を間隙内部で支持する固定部材とともにボードを支持するための専用の部材を躯体に取り付ける必要があった。
一方、弾性カバー材は、地震などで躯体間隙が変位したときに、両躯体に同調してカバー材自体が伸縮変形することで、躯体に加わる外力を吸収する。このようなカバー材の機能は、カバー材が間隙に沿って真っすぐに取り付けられていることで発揮され、カバー材がよじれたり迂回したりせずに躯体に接続されていれば、カバー材の取り付け位置が間隙の外側であっても何ら支障はない。
前記間隙を隔てる当該間隙両側の躯体の壁面にカバー保持部材がそれぞれ取り付けられ、両カバー保持部材に前記カバー材の両側部が接続されて、前記カバー材が前記間隙の外側で、前記両躯体の壁面に沿って保持された構成を有することを特徴とする。
間隙を隔てて交差する躯体の壁面にカバー保持部材がそれぞれ取り付けられ、両カバー保持部材にカバー材の両側部が接続されて、前記カバー材が前記間隙の外側で、前記交差する一方の躯体の壁面に沿って保持された構成を有することを特徴とする。
建物の間隙部に取り付けられたエキスパンションジョイント構成部材を取り外す工程と、
前記間隙を隔てる当該間隙両側の躯体の壁面にカバー保持部材を取り付ける工程と、
前記両カバー保持部材に弾性を有するカバー材の両側部を接続して、前記カバー材を両躯体の壁面に保持させる工程と、
を含む作業工程により新たなエキスパンションジョイントを設置するものであることを特徴とする。
幅の狭い間隙に対しても施工可能であり、地震などで大きく変位した躯体にカバー材がぶつかってエキスパンションジョイントの構成部材が損傷する虞もない。
前記カバー保持部材の当該壁面からの突出幅(H)は、支持する弾性カバー材の形状や大きさ、端部に取り付けるガスケットの寸法などにより異なるが、突出幅(H)が30mm以内、より好ましくは25mm以内に設定されていれば、エキスパンションジョイントの壁面からの張り出しが目立たなくなる。前記幅方向両側の接続部の間に、前後方向に沿って屈曲乃至湾曲した一つ以上の凹部を有する弾性カバー材を用いたエキスパンションジョイントの場合、躯体の壁面に取り付けたカバー保持部材の壁面からの突出幅(H)を、内壁や天井の間隙に設置する態様は22mm以内、止水補助シートを間隙内に配置して外壁に設置する態様では24mm以内に納めることが可能である。
なお、各図はエキスパンションジョイントと躯体の切断端面を示すが、部材の形態が判別しやすいように断面を表すハッチングは部分的に省略してある。また、以下の説明では、部材の形態について上向きや下向き、上面、下面などの方向や向きを特定するときには図示された状態を基準とする。エキスパンションジョイントを構成する各部材は間隙に沿って複数を継ぎ合わせて設置される。
このエキスパンションジョイント1は、建物の内部に配された間隙Gを隔てる躯体Aと躯体Bの壁面AW,BW間に弾性を有するカバー材2を架け渡し、間隙Gの外側の位置でカバー材2を前記壁面AW,BWに沿って保持し、両躯体A,Bの壁面AW,BWを一続きに接続したものである。
接続部22,22は、それぞれ前記被覆面部21の凹部22bの外側端部から前記平坦部21aと同面で外方へ張り出した外側平坦部22aを有し、この外側平坦部22aの端部に略T字形に直交した突片22bを設けて形成してある。
底面部41内には、支持ホルダー4を躯体への固定に用いるアンカーボルトなどの固定部材6が挿通する、間隙Gの幅方向に沿った方向に伸びた長孔41aが、当該支持ホルダー4の長手方向に亘って複数形成してある。
支持部42は、前記底面部41から上方へ突出していて先端を底面部41上へ折り返した仕切面部42aと、仕切面部42aの根元部から外方へ略アーチ状に張り出した支持面部42bと、両面部の間に設けられた凹溝42cとを備え、前記カバー材2の接続部22の突片22bを仕切面部42aに当接させつつ凹溝42c内に係合させると、外側平坦部22aから凹部21bの縁部に至る裏面部分が支持面部42bの上面に重ね合わさって、カバー材2の接続部22が支持部42上に支持されるように形成されている。
係合部43は、底面部41の端部から上方へ鉤状に屈曲させるとともに、外方へ折れた先端部を肉厚に設けて形成されており、この肉厚の先端部に見切り材5の端部に設けられた凹溝53が係合するように設けてある。
凹段部52は、前記天面部51の一側の端部から下方へ断面L字形に屈曲して天面部51と平行に外方へ張り出していて、この張り出した部分の裏面に中空な矩形枠部52aを一体に設けて形成してある。
また、凹溝53は、前記天面部51の他側の端部から下方へ屈曲し、且つ天面部53と平行に折り返した先端部分に設けられ、この凹溝53の外側にガスケット8が接続するガスケット接続部54が設けてある。
見切り材5は、凹溝53を前記支持ホルダー4の係合部43に係合させ、且つ凹段部52を前記支持ホルダー4の支持部42上に支持させたカバー材2の接続部22上に載せて支持ホルダー4に取り付けられ、取り付け位置で前記カバー材2の突片22bと外側平坦部22aの上面部分に凹段部52の矩形枠部52aに重ね合わさり、前記支持ホルダー4の支持部42と凹段部52とでカバー材2の接続部22を挟んで保持するように形成されている。
支持ホルダー4の取り付けは、躯体A,Bの上面に支持ホルダー4を載せ、その支持部42が間隙Gの開口面内に適宜な幅で突出するように配置した上で、底面部41の長孔41aに座金7を挟んでアンカーボルトなどの固定部材6を躯体A,Bに打ち込んで固定することにより行われる。後述するように、固定部材6を打ち込む位置を基準として支持ホルダー4の固定位置を長孔42aに沿って適宜にずらすことで前記支持部42の間隙G上への突出幅が調整される。
カバー材2は、その凹部21bの先端部分を間隙G内に位置させて取り付けられ、躯体A,Bの壁面AW,BW側へ張り出した部分の寸法が小さいので、エキスパンションジョイント1の壁面AW,BW側への突出幅がカバー保持部材3の幅分となり(図1中の符号H)、壁面AW,BWを凹凸が目立たない外観のものにまとめることができる。この場合、前記キスパンションジョイント1の壁面AW,BW側への突出幅(H)が30mm以下、好ましくは25mmであれば、壁面AW,BWの意匠性を良好なものに納めることできる。また、カバー保持部材3の端部はガスケット8が取り付けられて躯体との隙間が塞がれているので、シーリングによらずに間隙Gの水密性が確保される。
カバー保持部材3の躯体A,Bへの取り付け位置は、支持ホルダー4の底面部41に形成された長孔41aに沿って調整可能であり、同図(A)に示されるように、間隙Gの幅が狭いときは、間隙Gの開口面内に支持部42が僅かに突出する位置で支持ホルダー4を躯体A,Bの壁面AW、BWに固定し、また、同図(B)に示されるように、間隙Gの幅が広いときには、間隙Gの開口面内への支持部42の突出幅が大きくなる位置で支持ホルダー4を躯体A,Bの壁面AW,BWに固定することで、エキスパンションジョイント1の製品幅(W)を常に一定の幅にして取り付けることが可能である。
同図に示されるように、このエキスパンションジョイント1は、一方の躯体Aの壁面AWに前記支持ホルダー4と見切り材5からなるカバー保持部材3が取り付けられ、間隙Gを隔てて前記躯体Aと交差する他方の躯体Bの壁面BWには、アンカーボルトなどの固定部材6が挿通する長孔を有する底面部91とカバー材2の接続部22が重なって支持する支持部92を有するカバー保持部材9が取り付けられ、両カバー保持部材3,9にカバー材2の両側の接続部22,22を接続して、間隙Gの外側で躯体Aの壁面AWに沿って支持されたカバー材2で間隙Gを覆ったものである。
かかるエキスパンションジョイント1は、狭小なスペースに設置可能であり、また、地震などで大きく変位した躯体Bにカバー材2がぶつかってエキスパンションジョイント1の構成部材が損傷する虞はない。
同図に示されるように、このエキスパンションジョイント1は、間隙Gの両側の躯体A,Bの壁面AW,BWに止水補助シート10を架設した上で支持ホルダー4,4を壁面AW,BWに取り付け、両カバー保持部材3,3で、間隙Gの外側でカバー材2を壁面AW、BWに沿って支持したものである。
同図に示された外壁のコーナーの取り合いは、間隙Gを隔てて躯体Aに対して躯体Bが部分的に交差する態様であり、この場合、エキスパンションジョイント1の躯体Bの壁面BWに取り付けられたカバー保持部材9と当該壁面BWとの接続部に沿ってシーリング11の充填による止水加工がなされる。その他の部分は支持ホルダー4に取り付けられたガスケット8により止水性が確保される。
同図(A)のエキスパンションジョイント1は、間隙Gを挟んで対向する天井である両躯体A,Bにカバー保持部材を構成する支持ホルダー4,4を取り付け、両支持ホルダー4,4にカバー材2の両側の接続部22,22を接続して、両躯体A,Bの躯体面AW,BWに沿って支持されたカバー材2で間隙Gを覆い、さらにカバー材2とともに支持ホルダー4,4に取り付けた支持材12に天井板13を取り付けて、天井面をボード仕上げしたものである。
また、同図(B)のエキスパンションジョイント1は、一方の躯体Aである天井にカバー保持部材を構成する支持ホルダー4、間隙Gを隔てて前記躯体Aと交差する他方の躯体Bである壁面にカバー保持部材9を取り付け、両部材にカバー材2の両側の接続部22,22を接続して、間隙Gの外側で躯体Aの躯体面AWに沿って支持されたカバー材2で間隙Gを覆い、さらにカバー材2とともに前記支持ホルダー4とカバー保持部材9に取り付けた支持材12で天井板13と壁板14を取り付けて、天井面と壁面をボード仕上げしたものである。
同図に示されるように、前述の実施形態で用いたものと同形の支持ホルダー4とカバー保持部材9を、天井の間隙Gを覆うカバー材2の保持部材として用いることができ、また、内装材である天井板12と壁板13を支持するための専用の部材を用いずに、これら部材と支持材12を組み合わせて前記両板の支持部を構成し、室内側からの作業で両板の取り付けが可能である。
その場合、改修工事は、建物の間隙部に取り付けられたエキスパンションジョイント構成部材を取り外す工程と、前記間隙を隔てる当該間隙両側の躯体の壁面にカバー保持部材を取り付ける工程と、前記両カバー保持部材に弾性を有するカバー材の両側部を接続して、前記カバー材を両躯体の壁面に保持させる工程と、を含む作業工程により行うことができる。
前記間隙の両側で対向する両躯体の壁面に、前記躯体の壁面に固定部材を通して固定される底面部と底面部の一側に設けられていて前記カバー材が接続する支持部とを有するカバー保持部材が、前記支持部を前記間隙側に向けてそれぞれ取り付けられ、
前記両カバー保持部材の支持部に前記カバー材の両側部が固定部材を通してそれぞれ接続されて、前記カバー材が前記間隙の開口面上に保持された構成を有することを特徴とする。
間隙を隔てて交差する躯体の壁面に、前記躯体の壁面に固定部材を通して固定される底面部と底面部の一側に設けられていて前記カバー材が接続する支持部とを有するカバー保持部材が、前記支持部を前記間隙側に向けてそれぞれ取り付けられ、
両カバー保持部材の支持部にカバー材の両側部が固定部材を通してそれぞれ接続されて、前記カバー材が前記間隙の開口面上に保持された構成を有することを特徴とする。
建物の間隙部に取り付けられたエキスパンションジョイント構成部材を取り外す工程と、
前記間隙を隔てる当該間隙両側の躯体の壁面に、前記躯体の壁面に固定部材を通して固定される底面部と底面部の一側に設けられていて前記カバー材が接続する支持部とを有するカバー保持部材を、前記支持部を前記間隙側に向けてそれぞれ取り付ける工程と、
前記両カバー保持部材の支持部に弾性を有するカバー材の両側部を固定部材を通してそれぞれ接続して前記カバー材を前記間隙の開口面上に保持させる工程と、
を含む作業工程によりエキスパンションジョイントを設置するものであることを特徴とする。
建物の間隙に取り付けられたエキスパンションジョイント構成部材を取り外す工程と、
前記間隙を隔てる当該間隙両側の躯体の壁面に、前記躯体の壁面に固定部材を通して固定される底面部と、この底面部の一側に設けられた支持部とを有するカバー保持部材を、前記支持部を前記間隙側に向けてそれぞれ取り付ける工程と、
前記両カバー保持部材の支持部に弾性を有するカバー材の両側部を固定部材を通してそれぞれ接続して前記カバー材を前記間隙の開口面上に保持させる工程と、
を含む作業工程によりエキスパンションジョイントを設置するものであることを特徴とする。
Claims (8)
- 建物に設けられた躯体間隙を、弾性を有するカバー材で覆うエキスパンションジョイントにおいて、
前記間隙を隔てる当該間隙両側の躯体の壁面にカバー保持部材がそれぞれ取り付けられ、両カバー保持部材に前記カバー材の両側部が接続されて、前記カバー材が前記間隙の外側で、前記両躯体の壁面に沿って保持された構成を有することを特徴とするエキスパンションジョイント。 - 建物に設けられた躯体間隙を、弾性を有するカバー材で覆うエキスパンションジョイントにおいて、
間隙を隔てて交差する躯体の壁面にカバー保持部材がそれぞれ取り付けられ、両カバー保持部材にカバー材の両側部が接続されて、前記カバー材が前記間隙の外側で、前記交差する一方の躯体の壁面に沿って保持された構成を有することを特徴とするエキスパンションジョイント。 - カバー保持部材に躯体壁面との隙間を塞ぐガスケットが取り付けられた構成を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のエキスパンションジョイント。
- カバー材は、その幅方向の両側にカバー保持部材との接続部を有し、両接続部の間に当該カバー材の前後方向に沿って屈曲乃至湾曲した一つ以上の凹部を有して前記幅方向に沿って伸縮し得るように形成されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のエキスパンションジョイント。
- 凹部の先端部分を間隙内部に位置させてカバー材が取り付けられていることを特徴とする請求項4に記載のエキスパンションジョイント。
- 凹部の先端部分を間隙の外側に位置させてカバー材が取り付けられていることを特徴とする請求項4に記載のエキスパンションジョイント。
- 躯体の壁面に取り付けられたカバー保持部材の当該壁面からの突出幅(H)が30mm以内であることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載のエキスパンションジョイント。
- 建物のエキスパンションジョイントの改修方法であって、
建物の間隙部に取り付けられたエキスパンションジョイント構成部材を取り外す工程と、
前記間隙を隔てる当該間隙両側の躯体の壁面にカバー保持部材を取り付ける工程と、
前記両カバー保持部材に弾性を有するカバー材の両側部を接続して、前記カバー材を両躯体の壁面に保持させる工程と、
を含む作業工程によりエキスパンションジョイントを設置するエキスパンションジョイントの改修方法。
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