JP2023043855A - ガスバリア積層体及び包装袋 - Google Patents

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Hiroyuki Wakabayashi
純一 神永
Junichi Kaminaga
良樹 越山
Yoshiki Koshiyama
裕美子 小島
Yumiko Kojima
里佳 石井
Rika Ishii
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Abstract

Figure 2023043855000001
【課題】紙の特徴である折り目保持性を有し且つ折り曲げられた後であっても十分なガスバリア性を有するとともに、遮光性に優れるガスバリア積層体、及びこれを含む包装袋を提供する。
【解決手段】本開示のガスバリア積層体は、紙基材と、アンカーコート層と、アルミニウム蒸着層と、オーバーコート層と、をこの順序で備え、アンカーコート層が、ポリビニルアルコール系樹脂及び極性基を有する第1のポリオレフィンのうち少なくとも一方を含み、オーバーコート層が、極性基を有する第2のポリオレフィンを含み、全光線透過率が、3%以下である。
【選択図】図1

Description

本開示は、ガスバリア積層体及び包装袋に関する。
食品、飲料、医薬品及び化学品等の多くの分野では、それぞれの内容物に応じた包装材が使用されている。包装材は、内容物の変質の原因となる水蒸気等の透過防止性(ガスバリア性)が求められる。
近年、海洋プラスチックごみ問題等に端を発する環境意識の高まりから、脱プラスチックの機運が高まっている。プラスチック材料の使用量削減の観点から、種々の分野において、プラスチック材料の代わりに、紙を使用することが検討されている。例えば、下記特許文献1では、紙基材の面上に水蒸気バリア層、ガスバリア層および保護層をこの順に有するバリア性積層体が開示されている。
特開2020-196259号公報
紙は、折り目保持性(デッドホールド性とも称される)を有することから、加工がしやすいという特徴を有する。しかしながら、本発明者らの検討によれば、より鋭角な折り目がある包装袋(ピロー包装、三方シール包装及びガゼット包装)とする場合、バリア層にクラックが生じてガスバリア性が低下する点において、未だ改善の余地があることが判明した。
また、食品やトイレタリー製品の中には、太陽光や室内光によって、内容物が劣化、分解、変色等を引き起こしてしまうことがある。例えば、内容物に油脂を含む飲食物の場合、油脂成分の光酸化によって、味の劣化、不快な臭い、栄養価の低下等の作用を引き起こす。そのため、包装材には、遮光性が求められる。
本発明の一側面は、紙の特徴である折り目保持性を有し且つ折り曲げられた後であっても十分なガスバリア性を有するとともに、遮光性に優れるガスバリア積層体、及びこれを含む包装袋を提供することを目的とする。
本発明の一側面は、紙基材と、アンカーコート層と、アルミニウム蒸着層と、オーバーコート層と、をこの順序で備え、アンカーコート層が、ポリビニルアルコール系樹脂及び極性基を有する第1のポリオレフィンのうち少なくとも一方を含み、オーバーコート層が、極性基を有する第2のポリオレフィンを含み、全光線透過率が、3%以下である、ガスバリア積層体である。
ガスバリア積層体は、紙基材と、ポリビニルアルコール系樹脂及び極性基を有する第1のポリオレフィンのうち少なくとも一方を含むアンカーコート層と、アルミニウム蒸着層と、極性基を有する第2のポリオレフィンを含むオーバーコート層とを組み合わせて備えることで、遮光性及びガスバリア性に優れる。
アルミニウム蒸着層の厚さは、ガスバリア性及び遮光性が一層向上することから、20nm以上100nm以下であってもよい。同様の観点から、アルミニウム蒸着層の厚さは、50nm超100nm以下であってもよい。同様の観点から、アンカーコート層の算術平均粗さSaは、8μm以下であってもよい。
本発明の他の一側面は、上記ガスバリア積層体を含む包装袋である。上記包装袋は、折り曲げ部を有していてもよい。
本発明の一側面によれば、紙の特徴である折り目保持性を有し且つ折り曲げられた後であっても十分なガスバリア性を有するとともに、遮光性に優れるガスバリア積層体、及びこれを含む包装袋を提供することができる。
図1は本開示に係るガスバリア積層体の一実施形態を模式的に示す断面図である。 図2は本開示に係る容器の一実施形態を模式的に示す斜視図である。
以下、場合により図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
<ガスバリア積層体>
図1は、一実施形態に係るガスバリア積層体を示す模式断面図である。一実施形態に係るガスバリア積層体10は、紙基材1と、アンカーコート層2と、アルミニウム蒸着層3(以下、単に「蒸着層3」ともいう)と、オーバーコート層4とをこの順に備える。アンカーコート層2は、ポリビニルアルコール系樹脂及び極性基を有する第1のポリオレフィンのうち少なくとも一方を含む。オーバーコート層4は、極性基を有する第2のポリオレフィンを含む。
[紙基材]
ガスバリア積層体10は、紙基材1を備えることで遮光性及びリサイクル適性に優れる。紙基材1としては、特に限定されるものではなく、ガスバリア積層体10が適用される包装袋の用途に応じて適宜選択すればよい。植物由来のパルプを主成分としている紙であれば特に制限はない。紙基材1の具体例として、上質紙、特殊上質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、模造紙、クラフト紙、グラシン紙、パラフィン紙及び硫酸紙が挙げられる。紙基材1は、遮光性を向上させることから、不透明の上質紙、特殊上質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、模造紙及びクラフト紙であることが好ましい。紙基材1の厚さは、例えば、20~500g/m、30~100g/mであってよい。
紙基材1には、少なくともアンカーコート層2と接する側にコート層を設けてあってもよい。コート層を設けることで、紙にアンカーコート層2が染み込むことを防ぐことができるほか、紙の凹凸を埋める目止めの役割を果たすこともでき、アンカーコート層2を欠陥なく均一に製膜することができる。また、コート層を設けることで、ガスバリア積層体10に遮光性を更に付与することができる。コート層には、例えば、バインダー樹脂として、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系及びエチレン・酢酸ビニル系などの各種共重合体、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂並びにパラフィン(WAX)を用い、填料として、例えば、クレー、カオリン、炭酸カルシウム、タルク及びマイカが含まれていてもよい。
コート層の厚さは、特に制限されるものではないが、例えば、1~10μm、又は3~8μmであってよい。
紙の重量は、ガスバリア積層体全体を基準として、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましい。紙の重量がガスバリア積層体全体を基準として、50質量%以上であれば、プラスチック材料の使用量を十分に削減することができ、ガスバリア積層体全体として紙製であるということができるとともに、リサイクル性に優れる。
[アンカーコート層]
アンカーコート層2は、紙基材1の表面上に設けられる。紙基材1の凹凸な表面をアンカーコート層2で覆うことによって、蒸着層3の表面が平滑となり、蒸着層3が均一に形成される傾向にあり、安定した遮光性及びガスバリア性が発現する。また、アンカーコート層2を設けることで紙基材1と蒸着層3との間の密着性を向上させ、剥離を抑制することができる。さらに、アンカーコート層2は、ポリビニルアルコール系樹脂及び極性基を有する第1のポリオレフィンのうち少なくとも一方を含むことで、アンカーコート層2と蒸着層との密着性が向上し、安定した遮光性及びガスバリア性が発現する。
極性基を有する第1のポリオレフィンは、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、カルボン酸無水物基及びカルボン酸エステルより選ばれる少なくとも1種を有していてもよい。
極性基を有する第1のポリオレフィンとして、エチレンやプロピレンに、不飽和カルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等カルボキシル基を有する不飽和化合物)、不飽和カルボン酸エステルを共重合したもの、及びカルボン酸を塩基性化合物で中和した塩などを用いてもよく、その他、酢酸ビニル、エポキシ系化合物、塩素系化合物、ウレタン系化合物、ポリアミド系化合物等と共重合したものなどを用いてもよい。
極性基を有する第1のポリオレフィンとして、具体的には、アクリル酸エステルと無水マレイン酸との共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体及びエチレン-グリシジルメタクリレート共重合体等が挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂として、例えば、完全けん化のポリビニルアルコール樹脂、部分けん化のポリビニルアルコール樹脂、変性ポリビニルアルコール樹脂及びエチレン-ビニルアルコール共重合樹脂を用いてもよい。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、300以上、1700以下が好ましい。重合度が300以上であれば、ガスバリア性積層体のバリア性や屈曲耐性が良好になり、重合度が1700以下であれば、後述するポリビニルアルコール系樹脂の塗液の粘度が低くなり、塗布性が良好になる。
アンカーコート層2には、上記第1のポリオレフィン及びポリビニルアルコール系樹脂に加えて他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、上記第1のポリオレフィン以外のポリオレフィン、シランカップリング剤、有機チタネート、ポリアクリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリウレア、ポリアミド、ポリイミド、メラミン及びフェノールが挙げられる。
アンカーコート層2における第1のポリオレフィン及びポリビニルアルコール系樹脂の合計含有量は、例えば、50質量%以上であってよく、70質量%以上であってよく、90質量%以上であってよく、100質量%であってよい。
アンカーコート層2の厚さは、例えば、1μm以上であってよく、2μm以上であってよく、20μm以下であってよく、10μm以下であってよく、5μm以下であってよい。アンカーコート層2の厚さが1μm以上であれば、上述した紙基材1の凹凸を効率的に埋めることができ、蒸着層3を均一に積層させることができる。また、アンカーコート層2の厚さが20μm以下であれば、コストを抑えつつ蒸着層3を均一に積層させることができる。
アンカーコート層2の算術平均粗さSaは、蒸着層3の膜が均一に形成される傾向にあり、それによりガスバリア積層体10の遮光性及びガスバリア性が一層向上することから、8.0μm以下であることが好ましい。算術平均粗さSaは、レーザー顕微鏡により、ISO 25178に規定の算術平均粗さSaとして測定することができる。
アンカーコート層2の塗液に含まれる溶媒としては、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、n-ペンチルアルコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル及び酢酸ブチルが挙げられる。これらの溶媒は一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、特性の観点から、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン及び水が好ましい。また環境の観点から、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール及び水が好ましい。
[蒸着層]
蒸着層3は、アルミニウムを蒸着して得られたものである。ガスバリア積層体10は、ガスバリア層として蒸着層3を備えることで、遮光性及びガスバリア性に優れる。また、ガスバリア積層体10は、ガスバリア層が蒸着層3であることで、ガスバリア層が樹脂層である積層体と比較して、プラスチック削減の観点から環境適性が高い。
蒸着層3の厚さは、使用用途によって適宜設定すればよいが、層の連続性を十分なものとしやすく、ガスバリア積層体10が遮光性及びガスバリア性に一層優れることから、20nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがより好ましく、50nm以上であることが更に好ましく、ガスバリア積層体10の遮光性がより一層優れ、屈曲後であっても安定したガスバリア性を発現することから、50nm超であることが特に好ましい。蒸着層3の厚さは、カールやクラックを十分に抑えられ、ガスバリア積層体10が遮光性及びガスバリア性に一層優れることから、100nm以下であることが好ましい。
蒸着層3は、真空成膜手段によって成膜することが、酸素ガスバリア性能や膜均一性の観点から好ましい。成膜手段には、真空蒸着法、スパッタリング法、化学的気相成長法(CVD法)などの公知の方法があるが、成膜速度が速く生産性が高いことから真空蒸着法が好ましい。また真空蒸着法の中でも、特に電子ビーム加熱による成膜手段は、成膜速度を照射面積や電子ビーム電流などで制御しやすいことや蒸着材料への昇温降温が短時間で行えることから有効である。
[オーバーコート層]
オーバーコート層4は、蒸着層3の表面上に、蒸着層3に接するように設けられるもので、極性基を有する第2のポリオレフィンを含む。
極性基を有する第2のポリオレフィンは、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、カルボン酸無水物基及びカルボン酸エステルより選ばれる少なくとも1種を有していてもよい。
極性基を有する第2のポリオレフィンとして、エチレンやプロピレンに、不飽和カルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸等カルボキシル基を有する不飽和化合物)や、不飽和カルボン酸エステルを共重合したもの、及びカルボン酸を塩基性化合物で中和した塩などを用いてもよく、その他、酢酸ビニル、エポキシ系化合物、塩素系化合物、ウレタン系化合物、ポリアミド系化合物等と共重合したものなどを用いてもよい。
極性基を有する第2のポリオレフィンとして、具体的には、アクリル酸エステルと無水マレイン酸との共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体及びエチレン-グリシジルメタクリレート共重合体等が挙げられる。
このようなオーバーコート層4は、柔軟性に優れ、屈曲後(折り曲げ後)に蒸着層3の割れを抑制することができるとともに、蒸着層3との密着性に優れる。そのため、ガスバリア積層体10は遮光性及びガスバリア性に優れる。さらに、上述した第2のポリオレフィンを含むことで、蒸着層3との密着性が向上し、安定した遮光性及びガスバリア性が発現する。また、オーバーコート層4は、上記第2のポリオレフィンを含むことで、ヒートシール層としての役割も兼ねることができるため、ヒートシール層を別途設けなくともよい。
オーバーコート層4には、上記第2のポリオレフィンに加えて他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、シランカップリング剤、有機チタネート、ポリアクリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリウレア、ポリアミド、ポリオレフィン系エマルジョン、ポリイミド、メラミン及びフェノールが挙げられる。
オーバーコート層4における第2のポリオレフィンの含有量は、例えば、50質量%以上であってよく、70質量%以上であってよく、90質量%以上であってよく、100質量%であってよい。
オーバーコート層4の厚さは、例えば、0.05μm以上であってよく、0.5μm以上であってよく、1μm以上であってよく、20μm以下であってよく、10μm以下であってよく、5μm以下であってよい。オーバーコート層4の厚さが0.05μm以上であれば、上述したヒートシール層としての役割を十分に発揮することができる。また、オーバーコート層4の厚さが20μm以下であれば、コストを抑えつつ蒸着層との密着性、ガスバリア性及び遮光性を十分に発揮することができる。
オーバーコート層4の塗液に含まれる溶媒としては、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、n-ペンチルアルコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸ブチルが挙げられる。これらの溶媒は一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、特性の観点から、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、水が好ましい。また環境の観点から、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、水が好ましい。
オーバーコート層4を設ける方法としては、蒸着層上に上述した第2のポリオレフィン及び溶媒を含む塗液を塗布し、乾燥させることで得ることができる。塗液中における第2のポリオレフィンの融点は、70~160℃が好ましく、80~120℃がより好ましい。第2のポリオレフィンの融点が低ければヒートシール時の立ち上がり温度を低くできるメリットがある。第2のポリオレフィンの融点が高いと高温環境下においてブロッキングする恐れが高まる。なお、ブロッキングを防止する観点から、接触面積が小さくなるよう、粒径は大きい方がよい。特に限定されるものではないが、粒径は具体的には1nm以上であってよく、0.1μm以上であってよく、1μm以下、0.7μm以下、0.5μm以下であってよい。
アンカーコート層2及びオーバーコート層4にそれぞれ含まれる第1のポリオレフィン及び第2のポリオレフィンは、それぞれ同種のものであっても異種のものであってもよいが、製造の容易性等を考慮すれば、それぞれ同種のものであることが好ましい。
ガスバリア積層体10の全光線透過率は、3%以下であり、2%以下であってもよく、1%以下であってもよく、0.1%以下であってもよく、0.05%以下であってもよい。全光線透過率は、JIS K 7361に従って測定される。
以上、一実施形態に係るガスバリア積層体について説明したが、本開示のガスバリア積層体は上記実施形態に限られない。例えば、ガスバリア積層体のアンカーコート層は、第1のポリオレフィン及びポリビニルアルコール系樹脂を含まないものであってよい。その場合、アンカーコート層は、ポリウレタン系樹脂を含んでいてよい。アンカーコート層がポリウレタン系樹脂を含むことで、濡れ性が向上して塗工安定性が良好になり、紙基材と蒸着層の密着性を良好にし、更にアンカーコート層の表面平滑性が良好となる。その結果、ガスバリア積層体のガスバリア性が一層向上する傾向がある。
<包装袋>
図2は、ガスバリア積層体10からなるガゼット袋20を示す斜視図である。ガゼット袋20の上部の開口部をシールすることで包装袋が製造される。ガゼット袋20はガスバリア積層体10が折り曲げられている箇所(折り曲げ部B1,B2)を有する。折り曲げ部B1は、最内層側からみてガスバリア積層体10が谷折りされている箇所であり、他方、折り曲げ部B2は、最内層側からみてガスバリア積層体10が山折りされている箇所である。
包装袋は、1枚のガスバリア積層体をオーバーコート層4が対向するように二つ折りにした後、所望の形状になるように適宜折り曲げてヒートシールすることによって袋形状としたものであってもよく、2枚のガスバリア積層体をオーバーコート層4が対向するように重ねた後、ヒートシールすることによって袋形状としたものであってもよい。
本実施形態に係る包装袋において、ヒートシール強度は、2N以上であってよく、4N以上であってよい。なお、ヒートシール強度の上限値は特に制限されるものではないが、例えば10N以下であってよい。
包装袋は、内容物として、食品、医薬品等の内容物を収容することができる。特に食品として、お菓子等を収容するのに適している。本実施形態に係る包装袋は、折り曲げ部を有する形状であっても高いガスバリア性を維持することができる。
なお、本実施形態においては、包装袋の一例としてガゼット袋を挙げたが、本実施形態に係るガスバリア積層体を使用して、例えば、ピロー袋、三方シール袋又はスタンディングパウチを作製してもよい。
以下、実施例により本開示をさらに詳細に説明するが、本開示はこれらの例に限定されるものではない。
<ガスバリア積層体の作製>
(実施例1)
クレーコート紙(紙の厚さ:50μm、クレーコート層の厚さ:5μm)の表面上に、カルボン酸を有するポリオレフィンを含む塗液(商品名:ザイクセンAC、粒径:0.2μm未満、溶媒:水及びIPA、住友精化株式会社製)をバーコーターで塗工し、オーブンで乾燥させ、アンカーコート層を形成し、積層体を得た。アンカーコート層の厚さは3μmであった。続いて、アンカーコート層上にAL蒸着を施した。AL蒸着層の厚さは50nmであった。その後、蒸着層上にカルボキシル基の塩を含む溶液(商品名:ケミパールS100、アイオノマー系、粒径:<0.1μm、溶媒:水、IPA、三井化学製)をバーコーターで塗工し、オーブンで乾燥させ、オーバーコート層を形成させ、ガスバリア積層体を得た。オーバーコート層の厚さは3μmであった。ガスバリア積層体におけるクレーコート紙の重量は、約90質量%であった。
(実施例2)
アンカーコート層を、エチレン-酢酸ビニル共重合体(商品名:ケミパールV300、粒径:6μm、溶媒:水、IPA、三井化学製)で形成させた以外は、実施例1と同様の操作によってガスバリア積層体を得た。ガスバリア積層体におけるクレーコート紙の重量は、約90質量%であった。
(実施例3)
アンカーコート層を、けん化度98%、重合度500のポリビニルアルコール樹脂を水/IPA=8/2の溶液に固形分濃度10質量%で溶解したポリビニルアルコール樹脂を含む塗液で形成させた以外は、実施例1と同様の操作によってガスバリア積層体を得た。ガスバリア積層体におけるクレーコート紙の重量は、約90質量%であった。
(実施例4)
オーバーコート層を、ケミパールV300で形成させた以外は、実施例1と同様の操作によってガスバリア積層体を得た。ガスバリア積層体におけるクレーコート紙の重量は、約90質量%であった。
(実施例5)
AL蒸着層の厚さが20nmとなるようにAL蒸着を施したこと以外は、実施例1と同様の操作によってガスバリア積層体を得た。ガスバリア積層体におけるクレーコート紙の重量は、約90質量%であった。
(実施例6)
AL蒸着層の厚さが30nmとなるようにAL蒸着を施したこと以外は、実施例1と同様の操作によってガスバリア積層体を得た。ガスバリア積層体におけるクレーコート紙の重量は、約90質量%であった。
(実施例7)
AL蒸着層の厚さが100nmとなるようにAL蒸着を施したこと以外は、実施例1と同様の操作によってガスバリア積層体を得た。ガスバリア積層体におけるクレーコート紙の重量は、約90質量%であった。
(実施例8)
クレーコート紙に代えて半透明のグラシン紙(厚さ:30μm、坪量30.5g/m)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作によってガスバリア積層体を得た。ガスバリア積層体におけるグラシン紙の重量は、約83質量%であった。
(参考例1)
アンカーコート層を、ポリウレタン系樹脂(商品名:タケラックXWPB-LJ4、三井化学社製)で形成させ、AL蒸着層の厚さが55nmとなるようにAL蒸着を施し、厚さが2.5μmとなるようにオーバーコート層を形成したこと以外は、実施例1と同様の操作によってガスバリア積層体を得た。ガスバリア積層体におけるクレーコート紙の重量は、約90質量%であった。
(比較例1)
蒸着層をシリカとし、蒸着層の厚さを30nmとした以外は、実施例1と同様の操作によってガスバリア積層体を得た。ガスバリア積層体におけるクレーコート紙の重量は、約90質量%であった。
(比較例2)
クレーコート紙(紙の厚さ:50μm、クレーコート層の厚さ:5μm)の表面上にAL蒸着を施した。AL蒸着層の厚さは50nmであった。その後、蒸着層上にケミパールS100をバーコーターで塗工し、オーブンで乾燥させ、オーバーコート層を形成させ、ガスバリア積層体を得た。オーバーコート層の厚さは3μmであった。ガスバリア積層体におけるクレーコート紙の重量は、約95質量%であった。
(比較例3)
クレーコート紙(紙の厚さ:50μm、クレーコート層の厚さ:5μm)の表面上に、ザイクセンACをバーコーターで塗工し、オーブンで乾燥させ、アンカーコート層を形成させた。アンカーコート層の厚さは3μmであった。続いて、アンカーコート層上にAL蒸着を施し、ガスバリア積層体を得た。AL蒸着層の厚さは50nmであった。ガスバリア積層体におけるクレーコート紙の重量は、約95質量%であった。
(比較例4)
クレーコート紙に代えてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ:12μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作によってガスバリア積層体を得た。
<水蒸気透過度の測定>
実施例及び比較例に係るガスバリア積層体の水蒸気透過度をMOCON法で測定した。測定条件は、温度40℃、相対湿度90%とした。2kgのローラーを転がし、ガスバリア積層体に折り目を付け、開いた後のガスバリア積層体の水蒸気透過度も同様に測定した。表1及び表2に結果を単位[g/m・day]で表記した。
<全光線透過率の測定>
実施例及び比較例に係るガスバリア積層体の全光線透過率をJIS K 7361に従って測定した。測定装置としては、日本電色工業株式会社製の濁度計「NDH2000」を使用した。測定サンプル数を10個として、10個のサンプルから得られる測定値の平均をガスバリア積層体の全光線透過率とした。表1及び表2に結果を表記した。
<算術平均粗さSaの測定>
(実施例1)
アンカーコート層のISO 25178に規定の算術平均粗さSaを測定した。具体的には、ガスバリア積層体の作製において蒸着層を形成する前の積層体を3個準備した。それぞれの積層体のアンカーコート層の表面をレーザー顕微鏡(商品名「OLS-4100」、オリンパス株式会社製)を用いて撮影し、得られた画像を付属の解析アプリケーションを用いて解析した。カットオフ値を0.8mmとし、対物レンズを倍率5倍とした。3個の積層体から得られる測定値の平均をアンカーコート層の算術平均粗さSaとした。表1に結果を表記した。
(実施例2~8、参考例1並びに比較例1、3及び4)
実施例1と同様にして算術平均粗さSaを測定した。表1及び2に結果を表記した。
(比較例2)
算術平均粗さSaの測定対象を、アンカーコート層の表面に代えてクレーコート紙のクレーコート層の表面としたこと以外は、実施例1と同様にして算術平均粗さSaを測定した。表2に結果を表記した。
Figure 2023043855000002
Figure 2023043855000003
実施例1~8では、ガスバリア積層体が、紙基材と、ポリビニルアルコール系樹脂及び極性基を有する第1のポリオレフィンのうち少なくとも一方を含むアンカーコート層と、アルミニウム蒸着層と、極性基を有する第2のポリオレフィンを含むオーバーコート層とを組み合わせて備えることで、ガスバリア積層体が、蒸着層としてSiOxを備える場合(比較例1)、アンカーコート層を備えない場合(比較例2)、オーバーコート層を備えない場合(比較例3)、基材としてPETを備える場合(比較例4)と比較して、遮光性及びガスバリア性に優れることが示されている。
本開示の要旨は以下の[1]~[6]に存する。
[1]紙基材と、
アンカーコート層と、
アルミニウム蒸着層と、
オーバーコート層と、
をこの順序で備え、
アンカーコート層が、ポリビニルアルコール系樹脂及び極性基を有する第1のポリオレフィンのうち少なくとも一方を含み、
オーバーコート層が、極性基を有する第2のポリオレフィンを含み、
全光線透過率が、3%以下である、ガスバリア積層体。
[2]アルミニウム蒸着層の厚さが、20nm以上100nm以下である、[1]に記載のガスバリア積層体。
[3]アルミニウム蒸着層の厚さが、50nm超100nm以下である、[1]又は[2]に記載のガスバリア積層体。
[4]アンカーコート層の算術平均粗さSaが、8μm以下である、[1]~[3]のいずれかに記載のガスバリア積層体。
[5][1]~[4]のいずれかに記載のガスバリア積層体を含む包装袋。
[6]折り曲げ部を有する、[5]に記載の包装袋。
1…紙基材、2…アンカーコート層、3…蒸着層、4…オーバーコート層、10…ガスバリア積層体、20…ガゼット袋、B1,B2…折り曲げ部。

Claims (6)

  1. 紙基材と、
    アンカーコート層と、
    アルミニウム蒸着層と、
    オーバーコート層と、
    をこの順序で備え、
    前記アンカーコート層が、ポリビニルアルコール系樹脂及び極性基を有する第1のポリオレフィンのうち少なくとも一方を含み、
    前記オーバーコート層が、極性基を有する第2のポリオレフィンを含み、
    全光線透過率が、3%以下である、ガスバリア積層体。
  2. 前記アルミニウム蒸着層の厚さが、20nm以上100nm以下である、請求項1に記載のガスバリア積層体。
  3. 前記アルミニウム蒸着層の厚さが、50nm超100nm以下である、請求項1に記載のガスバリア積層体。
  4. 前記アンカーコート層の算術平均粗さSaが、8μm以下である、請求項1に記載のガスバリア積層体。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載のガスバリア積層体を含む包装袋。
  6. 折り曲げ部を有する、請求項5に記載の包装袋。
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