JP2023043542A - 樹脂組成物、成形品および成形品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 金型温度が100℃以下で、低吸水性、かつ、良好な外観を有し、高強度で高剛性の成形品が得られる樹脂組成物、ならびに、樹脂組成物から形成された成形品および樹脂組成物の製造方法の提供。【解決手段】 ポリアミド樹脂と、無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル樹脂とを含み、ポリアミド樹脂が、ポリアミド6と、ポリアミド66と、キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂を含み、キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂が、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位を含み、ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸由来の構成単位の50モル%超がセバシン酸に由来し、ポリアミド樹脂と無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル樹脂の質量比率が80/20~60/40である、樹脂組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は、樹脂組成物、成形品および成形品の製造方法に関する。特に、ポリアミド樹脂と無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル樹脂を含む樹脂組成物に関する。
ポリフェニレンエーテル樹脂は機械的性質、電気的性質および耐熱性が優れており、しかも寸法安定性が優れるため広い範囲で用いられているが、単独では、例えば成形加工性が劣っている。
そこで、成形加工性を改良するために、ポリフェニレンエーテル樹脂にポリアミド樹脂を配合してポリマーアロイにする技術が種々提案されている。このようなポリマーアロイは、電気電子部品や自動車部品等の金属代替材として様々な用途に用いられている。
例えば、特許文献1には、(a)ポリアミド、(b)アミド基濃度が前記(a)ポリアミドよりも高いポリアミド、(c)ポリフェニレンエーテル系樹脂、および(d)前記(a)ポリアミドおよび前記(b)ポリアミドと前記(c)ポリフェニレンエーテル系樹脂との相溶化剤を含む樹脂組成物であり、前記樹脂組成物のモルホロジーにおいて、前記(a)ポリアミドが連続相を形成し、前記(b)ポリアミドおよび(c)ポリフェニレンエーテル系樹脂が分散相を形成し、前記(c)ポリフェニレンエーテル系樹脂が形成する分散相の個数の50%以上が粒径3.0μm以下であり、かつ、前記(c)ポリフェニレンエーテル系樹脂が形成する分散相の個数の60%以上が、前記(a)ポリアミドが形成する連続相に囲まれていることを特徴とする、樹脂組成物が開示されている。
特開2020-139110号公報
上述の通り、ポリフェニレンエーテル樹脂にポリアミド樹脂を配合したポリマーアロイは知られているが、近年の技術の進歩に伴い、機械的強度が高く、吸水率が低い新規な樹脂組成物が求められる。
さらに、各種性能に優れたキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂を含む樹脂組成物において、成形時の金型温度を低くしても、十分に結晶化させることができ、かつ外観が良好な成形品が得られるようになれば、さらなる用途の拡大が期待できる。
本発明はかかる課題を解決することを目的とするものであって、金型温度が100℃以下であっても、低吸水性、かつ、良好な外観を有し、高強度で高剛性の成形品が得られる樹脂組成物、ならびに、前記樹脂組成物から形成された成形品および樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題のもと、本発明者が検討を行った結果、ポリアミド樹脂として、キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂と、ポリアミド6と、ポリアミド66を用い、かつ、ポリアミド樹脂と無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル樹脂の配合比率を調整することにより、上記課題を解決しうることを見出した。
具体的には、下記手段により、上記課題は解決された。
<1>ポリアミド樹脂と、無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル樹脂とを含み、前記ポリアミド樹脂が、ポリアミド6と、ポリアミド66と、キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂を含み、前記キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂が、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位を含み、前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の50モル%超がセバシン酸に由来し、前記ポリアミド樹脂と無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル樹脂の質量比率が80/20~60/40である、樹脂組成物。
<2>前記キシリレンジアミンが、メタキシリレンジアミン50~100モル%、および、パラキシリレンジアミン0~50モル%を含む、<1>に記載の樹脂組成物。
<3>さらに、強化繊維を、前記ポリアミド樹脂と無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル樹脂を含む熱可塑性樹脂成分100質量部に対して40~200質量部含む、<1>または<2>に記載の樹脂組成物。
<4>前記樹脂組成物の示差走査熱量測定に従って測定した、金型温度90℃における成形品の結晶化ピーク熱量が、1.0J/g以下である、<1>~<3>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<5>釣り具のリールの筐体用である、<1>~<4>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<6><1>~<5>のいずれか1つに記載の樹脂組成物から形成された成形品。
<7>釣り具のリールの筐体である、<6>に記載の成形品。
<8><1>~<5>のいずれか1つに記載の樹脂組成物を、金型温度100℃以下の金型を用いて成形することを含む、成形品の製造方法。
本発明により、金型温度が100℃以下で、低吸水性、かつ、良好な外観を有し、高強度で高剛性の成形品が得られる樹脂組成物、ならびに、前記樹脂組成物から形成された成形品および樹脂組成物の製造方法を提供可能になった。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という)について詳細に説明する。なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は本実施形態のみに限定されない。
なお、本明細書において「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、各種物性値および特性値は、特に述べない限り、23℃におけるものとする。
本明細書で示す規格が年度によって、測定方法等が異なる場合、特に述べない限り、2021年1月1日時点における規格に基づくものとする。
本実施形態の樹脂組成物は、ポリアミド樹脂と、無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル樹脂とを含み、前記ポリアミド樹脂が、ポリアミド6と、ポリアミド66と、キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂を含み、前記キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂が、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位を含み、前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の50モル%超がセバシン酸に由来し、前記ポリアミド樹脂と無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル樹脂の質量比率が80/20~60/40であることを特徴とする。
このような構成とすることにより、金型温度が100℃以下で、低吸水性、かつ、良好な外観を有し、高強度で高剛性の成形品が得られる樹脂組成物が得られる。
ここで、無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル樹脂は、吸水率が低い樹脂として知られている。しかしながら、無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル樹脂のみを用いると、機械物性が劣ると共に、成形品の外観が悪くなってしまう。そこで、無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル樹脂に、キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂を配合することが考えられる。
吸水率が低いキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂としては、ジカルボン酸由来の構成単位の50モル%超がセバシン酸に由来するものが考えられる。このようなポリアミド樹脂は、例えば、ジカルボン酸成分がアジピン酸に由来するキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂(MXD6等)よりも吸水率が低い。しかしながら、ジカルボン酸由来の構成単位の50モル%超がセバシン酸に由来するキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂は、金型成形する際の金型温度が相対的に高いという問題がある。例えば、金型温度が100℃以下であれば、十分に結晶化しない樹脂が多い。
そこで、結晶化を促進させるために、ポリアミド66を配合することが考えられる。しかしながら、ポリアミド66を配合して得られた成形品は、外観が十分ではない。かかる状況のもと、本発明者は、外観を向上させるために、さらにポリアミド6を配合することにより、金型温度が100℃以下で、低吸水性、かつ、良好な外観を有し、高強度で高剛性の成形品が得られる樹脂組成物を得ることに成功した。
<ポリアミド樹脂>
本実施形態で用いるポリアミド樹脂は、ポリアミド6と、ポリアミド66と、キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂を含む。
本実施形態においては、ポリアミド6を配合することにより、得られる成形品の外観を向上させることができる。
ここで、ポリアミド6は、ε-カプロラクタムを開環重縮合したポリアミドであるが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、他のモノマー単位を含んでいてもよい。ポリアミド6を構成するモノマー単位の、例えば5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下が他のモノマー由来のモノマー単位であってもよい。
また、本実施形態においては、ポリアミド66を配合することにより、90℃における樹脂組成物の結晶化ピーク熱量を低くでき、樹脂組成物の成形時の金型温度が低くても、十分に熱可塑性樹脂成分の結晶化を進行させることができる。
ここで、ポリアミド66は、アジピン酸とヘキサメチレンジアミンを重縮合したポリアミドであるが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、他のモノマー単位を含んでいてもよい。ポリアミド66を構成するモノマー単位の、例えば5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下が他のモノマー由来のモノマー単位であってもよい。
さらに、本実施形態においては、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位を含み、前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の50モル%超がセバシン酸に由来するキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂(以下、「特定キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂」ということがある)を用いることにより、得られる成形品の吸水率を低くできると共に、金型温度を低くしても良好に成形できる。
特定キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂は、ジアミン由来の構成単位の、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、一層好ましくは99モル%以上が、キシリレンジアミンに由来する。
キシリレンジアミンは、メタキシリレンジアミンおよび/またはパラキシリレンジアミンを含むことが好ましく、メタキシリレンジアミン50~100モル%、および、パラキシリレンジアミン0~50モル%を含むことがより好ましく、メタキシリレンジアミン50~90モル%、および、パラキシリレンジアミン10~50モル%を含むことがさらに好ましい。
キシリレンジアミン中のメタキシリレンジアミンおよび/またはパラキシリレンジアミンの合計量は、95~100モル%であることが好ましく、99~100モル%であることがより好ましい。
キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂の原料ジアミン成分として用いることができるキシリレンジアミン以外のジアミンとしては、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2-メチルペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4-トリメチル-ヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノメチル)デカリン、ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環式ジアミン、ビス(4-アミノフェニル)エーテル、パラフェニレンジアミン、ビス(アミノメチル)ナフタレン等の芳香環を有するジアミン等を例示することができ、1種または2種以上を混合して使用できる。
本実施形態で用いるキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂は、ジカルボン酸由来の構成単位の、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、一層好ましくは90モル%以上、より一層好ましくは95モル%以上、さらに一層好ましくは99モル%以上がセバシン酸に由来する。
上記セバシン酸以外のジカルボン酸成分としては、アジピン酸、ドデカン二酸等のセバシン酸以外の直鎖脂肪族ジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、オルソフタル酸等のフタル酸化合物、1,2-ナフタレンジカルボン酸、1,3-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、1,6-ナフタレンジカルボン酸、1,7-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸といったナフタレンジカルボン酸の異性体等を例示することができ、1種または2種以上を混合して使用できる。
本実施形態におけるキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂は、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位を主成分として構成されるが、これら以外の構成単位を完全に排除するものではなく、ε-カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸等の脂肪族アミノカルボン酸類由来の構成単位を含んでいてもよいことは言うまでもない。ここで主成分とは、キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂を構成する構成単位のうち、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位の合計数が全構成単位のうち最も多いことをいう。本実施形態では、キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂における、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位の合計は、全構成単位の90%以上を占めることが好ましく、95%以上を占めることがより好ましく、98%以上を占めることがさらに好ましい。
本実施形態の樹脂組成物において、ポリアミド6とポリアミド66の質量比率(ポリアミド6/ポリアミド66)は、0.5以上であることが好ましく、1.5以上であることがより好ましく、2.0以上であることがさらに好ましく、3.0以上であることが一層好ましく、4.0以上であってもよい。前記下限値以上とすることにより、得られる成形品の外観がより向上する傾向にある。また、前記ポリアミド6とポリアミド66の質量比率(ポリアミド6/ポリアミド66)は、12.0以下であることが好ましく、9.0以下であることがより好ましく、8.0以下であることがさらに好ましく、7.0以下であることが一層好ましく、6.0以下であってもよい。前記上限値以下とすることにより、得られる成形品の吸水率が低くなる傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物において、特定キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂とポリアミド66の質量比率(特定キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂/ポリアミド66)は、0.3以上であることが好ましく、1.0以上であることがより好ましく、2.0以上であることがさらに好ましく、2.5以上であることが一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、得られる成形品の外観が向上し、かつ吸水率も低くなる傾向にある。また、前記特定キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂とポリアミド66の質量比率(特定キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂/ポリアミド66)は、7.0以下であることが好ましく、6.0以下であることがより好ましく、5.0以下であることがさらに好ましく、4.0以下であってもよい。前記上限値以下とすることにより、成形品の結晶化が早くなる傾向となる。
尚、特定キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂を2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物において、特定キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂とポリアミド6の質量比率(特定キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂/ポリアミド6)は、0.2以上であることが好ましく、0.4以上であることがより好ましく、0.5以上であることがさらに好ましい。前記下限値以上とすることにより、得られる成形品の吸水率が低くなる傾向にある。また、前記特定キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂とポリアミド6の質量比率(特定キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂/ポリアミド6)は、2.0以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましく、1.0以下であることがさらに好ましく、0.8以下であることが一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、得られる成形品の外観が向上する傾向にある。
尚、特定キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂を2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、ポリアミド6と、ポリアミド66と、キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂以外の他のポリアミド樹脂を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。他のポリアミド樹脂は、脂肪族ポリアミド樹脂であっても、半芳香族ポリアミド樹脂であってもよく、脂肪族ポリアミド樹脂が好ましい。
脂肪族ポリアミド樹脂としては、ポリアミド10、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミド12等が例示される。
半芳香族ポリアミド樹脂としては、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミド10T、ポリアミド6I、ポリアミド9I、ポリアミド6T/6I、ポリアミド9T/9Iが例示される。
本実施形態の樹脂組成物における他のポリアミド樹脂の含有量は、ポリアミド樹脂全体を100質量部としたとき、5質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることがより好ましく、1質量部以下であることがさらに好ましい。前記他のポリアミド樹脂の含有量の下限値は0質量部であってもよい。
本実施形態の樹脂組成物は、ポリアミド樹脂を合計で、樹脂組成物の25質量%以上の割合で含むことが好ましく、28質量%以上の割合で含むことがより好ましく、30質量%以上の割合で含むことがさらに好ましい。また、ポリアミド樹脂の含有量の上限値としては、45質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、37質量%以下であることがより好ましい。
<無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル樹脂>
本実施形態の樹脂組成物は、無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル樹脂をポリアミド樹脂と無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル樹脂の質量比率が80/20~60/40となるように含む。無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル樹脂を配合することにより、得られる成形品の吸水率を低くすることができる。
無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル樹脂は、ポリフェニレンエーテル樹脂が無水マレイン酸変性されたものである。
また、本実施形態において、無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル樹脂中の無水マレイン酸の量は、マレイン酸量換算で0.01~1.0質量%であることが好ましく、0.3~0.7質量%であることがより好ましい。このような範囲とすることにより、得られる成形品について、高い機械的強度を達成できる。
ここで、無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル樹脂中の無水マレイン酸の量とは、ポリフェニレンエーテル樹脂を変性するために用いた無水マレイン酸がポリフェニレンエーテル樹脂と反応した量をマレイン酸量で換算した場合の質量を言う。
ポリフェニレンエーテル樹脂としては、例えば、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレン)エ-テル、ポリ(2,6-ジエチル-1,4-フェニレン)エ-テル、ポリ(2,6-ジプロピル-1,4-フェニレン)エ-テル、ポリ(2-メチル-6-エチル-1,4-フェニレン)エ-テル、ポリ(2-メチル-6-プロピル-1,4-フェニレン)エ-テル等が挙げられ、特に、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレン)エ-テルが好ましい。
ポリフェニレンエーテル樹脂は、クロロホルム中、温度30℃で測定した固有粘度が、好ましくは0.2~0.6dL/g、より好ましくは0.3~0.5dL/gである。固有粘度を0.2dL/g以上とすることにより、耐衝撃性がより向上し、0.6dL/g以下とすることにより、成形性や外観がより向上する傾向にある。なお、上記範囲内の固有粘度の調整は、異なる固有粘度のポリフェニレンエーテル樹脂2種以上を併用することにより行ってもよい。
本実施形態の樹脂組成物においては、ポリアミド樹脂と無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル樹脂の質量比率が80/20~60/40となるように、配合される。本実施形態においては、ポリアミド樹脂と無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル樹脂の質量比率は、80/20~65/35であることが好ましく、80/20~70/30であることがより好ましく、78/22~72/28であることがさらに好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル樹脂を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、ポリアミド樹脂と無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル樹脂の合計が、樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂成分の90質量%以上を占めることが好ましく、95質量%以上を占めることがより好ましく、99質量%以上を占めることがさらに好ましい。
また、樹脂組成物中の熱可塑性樹脂成分(ポリアミド樹脂および無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ならびに、必要に応じて配合される他の樹脂)の合計割合は、35質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることが好ましく、また、75質量%以下であることが好ましく、65質量%以下であることがより好ましく、55質量%以下であることがさらに好ましい。
<強化繊維>
本実施形態の樹脂組成物は強化繊維を含むことが好ましい。
強化繊維は、有機強化繊維であっても、無機強化繊維であってもよく、無機強化繊維が好ましい。
強化繊維は、植物繊維、炭素繊維、ガラス繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、セラミック繊維、アラミド繊維等が好ましく、炭素繊維およびガラス繊維から選択されることがより好ましく、ガラス繊維であることがさらに好ましい。
ガラス繊維としては、一般的に供給されるEガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、および耐アルカリガラス等のガラスを溶融紡糸して得られる繊維が用いられるが、ガラス繊維にできるものであれば使用可能であり、特に限定されない。本発明では、Eガラスを含むことが好ましい。
ガラス繊維は、例えば、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤等の表面処理剤で表面処理されていることが好ましい。表面処理剤の付着量は、ガラス繊維の0.01~1質量%であることが好ましい。さらに必要に応じて、脂肪酸アミド化合物、シリコーンオイル等の潤滑剤、第4級アンモニウム塩等の帯電防止剤、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の被膜形成能を有する樹脂、被膜形成能を有する樹脂と熱安定剤、難燃剤等の混合物で表面処理されたものを用いることもできる。
本実施形態の樹脂組成物に用いるガラス繊維は、市販品として入手できる。市販品としては、例えば、日本電気硝子(NEG)社製、T-275H、T-286H、T-756H、T-289、T-289DE、T-289H、T-296GH;オーウェンスコーニング社製、DEFT2A、PPG社製、HP3540;日東紡社製、CSG3PA-810S、CSG3PA-820;セントラルグラスファイバー社製、EFH50-31(いずれも商品名)等が挙げられる。
強化繊維の断面は、円形および非円形(楕円形、長円形、長方形、長方形の両短辺に半円を合わせた形状、まゆ型等)のいずれであってもよく、円形であることが好ましい。本発明は、強化繊維として、円形断面を有するものを用いた場合に、特に、難燃性や機械的強度の向上効果が顕著である。
ここでの円形は、幾何学的な意味での真円に加え、本発明の技術分野において通常円形と称されるものを含む趣旨である。
非円形断面の強化繊維は、特開2012-214819号公報の段落0048~0052に記載の扁平形状である強化繊維が例示され、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
本実施形態の樹脂組成物中の強化繊維は、数平均繊維長(カット長)が100μm以上であることが好ましく、150μm以上であることがより好ましく、200μm以上であることがさらに好ましい。上限値としては、10mm以下であることが好ましく、8mm以下であることがより好ましく、5mm以下であることがさらに好ましい。
本実施形態の樹脂組成物に用いる強化繊維は、その数平均繊維径が1μm以上であることが好ましく、2μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることがさらに好ましい。上限値としては、50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることがさらに好ましい。
本実施形態の樹脂組成物における強化繊維(好ましくはガラス繊維)の含有量は、熱可塑性樹脂成分100質量部に対し、40質量部以上であることが好ましく、70質量部以上含むことがより好ましく、100質量部以上であることがさらに好ましく、110質量部以上であることが一層好ましく、120質量部以上であることがさらに一層好ましい。また、前記強化繊維の含有量の上限値としては、熱可塑性樹脂成分の合計100質量部に対し、200質量部以下であることが好ましく、180質量部以下であることがより好ましく、150質量部以下であってもよく、さらには130質量部以下であってもよい。
本実施形態の樹脂組成物における強化繊維(好ましくはガラス繊維)の含有量は、下限値が、樹脂組成物の25質量%以上であることが好ましく、35質量%以上であることがより好ましく、45質量%以上であることがさらに好ましい。前記含有量の上限値は、65質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましい。上記下限値以上とすることにより、機械的強度が顕著に向上する傾向にある。一方、強化繊維の量を上記上限値以下とすることにより、成形性がより向上する傾向にある。
本発明の成形品は、強化繊維を、1種のみ含んでいても、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<核剤>
本実施形態の樹脂組成物は、結晶化速度を調整するために、核剤を含んでいてもよい。核剤の種類は、特に、限定されるものではないが、タルク、窒化ホウ素、マイカ、カオリン、硫酸バリウム、窒化珪素および二硫化モリブデンが好ましく、タルクおよび窒化ホウ素がより好ましく、タルクがさらに好ましい。
本実施形態の樹脂組成物が核剤を含む場合、その含有量は、熱可塑性樹脂成分100質量部に対し、0.01質量部以上であることが好ましく、0.1質量部以上であることがより好ましく、0.5質量部以上であることがさらに好ましい。前記含有量の上限は、10質量部以下であることが好ましく、8質量部以下であることがより好ましく、6質量部以下であることがさらに好ましく、4質量部以下であることが一層好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、核剤を、1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<離型剤>
本実施形態の樹脂組成物は、離型剤を含んでいてもよい。
離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸の塩、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、脂肪族カルボン酸アミド、数平均分子量200~15,000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイル、ワックスなどが挙げられる。
ワックスとしては、ポリオレフィンワックスまたはケトンワックス、アミドワックス、エステルワックス、パラフィンワックスが好ましく、ケトンワックスがより好ましい。
離型剤の詳細は、特開2017-115093号公報の段落0034~0039の記載、特開2018-184575号公報の段落0068~0091の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
本実施形態の樹脂組成物が離型剤を含む場合、その含有量は、熱可塑性樹脂成分100質量部に対し、0.05質量部以上であることが好ましく、0.1質量部以上であることがより好ましく、0.2質量部以上であることがさらに好ましい。また、前記含有量は、5.0質量部以下であることが好ましく、4.0質量部以下であることがより好ましく、3.0質量部以下であることがさらに好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、離型剤を、1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<着色剤>
本実施形態の樹脂組成物は、着色剤を含んでいてもよい。
着色剤としては、無機顔料(カーボンブラックなどの黒色顔料、酸化鉄赤などの赤色顔料、モリブデートオレンジなどの橙色顔料、酸化チタンなどの白色顔料)、有機顔料(黄色顔料、橙色顔料、赤色顔料、青色顔料、緑色顔料など)などが挙げられる。
着色剤の含有量は、樹脂組成物の0.01~2質量%であることが好ましい。着色剤は1種のみ含んでいても、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<その他の成分>
本実施形態の樹脂組成物は、本実施形態の趣旨を逸脱しない範囲で他の成分を含んでいてもよい。このような添加剤としては、光安定剤、酸化防止剤、熱安定剤、難燃剤、難燃助剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、滴下防止剤、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、耐候性改良剤、耐光性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。これらの成分は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの成分の含有量は、樹脂組成物の5質量%以下の範囲であることが好ましい。
なお、本実施形態の樹脂組成物は、各成分の合計が100質量%となるように、ポリアミド樹脂および無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ならびに、必要に応じて配合される他の成分の含有量が調整される。本実施形態の樹脂組成物は、ポリアミド樹脂、無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル樹脂、強化繊維、核剤、離型剤および着色剤の合計が樹脂組成物の90質量%以上を占めることが好ましく、95質量%以上を占めることがより好ましく、98質量%以上を占めることがさらに好ましい。
<樹脂組成物の物性>
本実施形態の樹脂組成物は、低い金型温度で成形する際の結晶化に優れていることが好ましい。
具体的には、本実施形態の樹脂組成物の示差走査熱量測定に従って測定した、金型温度90℃における成形品の結晶化ピーク熱量が、1.5J/g以下であることが好ましく、1.0J/g以下であることがより好ましく、1.0J/g未満であることがさらに好ましい。このような低い結晶化ピーク熱量は、ポリアミド66などを配合することによって達成される。
本実施形態の曲げ特性に優れていることが好ましい。このように優れた曲げ特性は、キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂を用いることによって達成される。
具体的には、本実施形態の樹脂組成物は、厚み4mmに成形したときの、ISO178に準拠した曲げ強さが330MPa以上であることが好ましく、335MPa以上であることがさらに好ましく、348MPa以上であることが一層好ましい。上記曲げ強度の上限は、特に定めるものではないが、例えば、500MPa以下、さらには450MPa以下が実際的である。
また、本実施形態の樹脂組成物は、厚み4mmに成形したときの、ISO178に準拠した曲げ弾性率が10.0GPa以上であることが好ましく、14.0GPa以上であることがさらに好ましく、16.0GPa以上であることが一層好ましい。上記曲げ弾性率の上限は、特に定めるものではないが、40.0GPa以下が実際的であり、35.0GPa以下であっても十分に要求性能を満たすものである。
本実施形態の樹脂組成物は耐衝撃性に優れていることが好ましい。具体的には、本実施形態の樹脂組成物を厚み4mmのISO試験片に成形し、ISO-179に従ったノッチ付シャルピー衝撃強さが12kJ/m2以上であることが好ましく、13kJ/m2以上であることがより好ましい。上記ノッチ付シャルピー衝撃強さの上限は、特に定めるものではないが、25kJ/m2以下が実際的であり、22kJ/m2以下であっても十分に要求性能を満たす。
本実施形態の樹脂組成物は、飽和吸水率が小さいことが好ましい。例えば、70℃の温水に浸漬したときの飽和吸水率が、3.0%以下であることが好ましく、2.5%以下であることがより好ましく、2.4%以下であることがさらに好ましく、2.3%以下であることが一層好ましく、2.2%以下であることがより一層好ましい。下限値は0%が理想であるが、0.1%以上が実際的である。このような低い飽和吸水率は、無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル樹脂やキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂を用いることによって達成される。
上記結晶化ピーク、曲げ強さ、曲げ弾性率、ノッチ付シャルピー衝撃強さ、および、飽和吸水率は後述する実施例の記載に従って測定される。
<樹脂組成物の製造方法>
本実施形態の樹脂組成物は、公知の熱可塑性樹脂組成物の製造方法によって製造できる。
本実施形態の樹脂組成物の製造方法の一実施形態として、ポリアミド樹脂、無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル樹脂、および必要に応じて配合される他の成分を配合して混練することが好ましい。このような樹脂組成物の一例として、ペレットが挙げられる。
具体的には、ポリアミド樹脂、無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ならびに、必要に応じて配合されるその他の成分を、例えばタンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。強化フィラーは、混練時に破砕するのを抑制するため、押出機の途中から供給することが好ましい。また、各成分から選ばれた2種以上の成分を予め混合、混練しておいてもよい。
<成形品>
本実施形態の成形品は、本実施形態の樹脂組成物から形成される。
本実施形態の成形品の製造方法は、特に定めるものではない。
例えば、本実施形態の成形品は、各成分を溶融混練した後、直接に各種成形法で成形してもよいし、各成分を溶融混練してペレット化した後、再度、溶融して、各種成形法で成形してもよい。
成形品を成形する方法としては、特に制限されず、従来公知の成形法を採用でき、例えば、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、異形押出法、トランスファー成形法、中空成形法、ガスアシスト中空成形法、ブロー成形法、押出ブロー成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、回転成形法、多層成形法、2色成形法、インサート成形法、サンドイッチ成形法、発泡成形法、加圧成形法等が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物は、金型を用いて成形する方法に好ましく用いられ、特に、低温金型成形する方法に好ましく用いられる。本実施形態の成形品の製造方法の一例は、本実施形態の樹脂組成物を、金型温度100℃以下(好ましくは80~100℃)の金型を用いて成形することを含む、成形品の製造方法である。
本実施形態の成形品の形状としては、特に制限はなく、成形品の用途、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、板状、プレート状、ロッド状、シート状、フィルム状、円筒状、環状、円形状、楕円形状、歯車状、多角形形状、異形品、中空品、枠状、箱状、パネル状のもの等が挙げられる。
本実施形態の成形品の利用分野については特に定めるものではなく、自動車等輸送機部品、一般機械部品、精密機械部品、電子・電気機器部品、OA機器部品、建材・住設関連部品、医療装置、レジャースポーツ用品、遊戯具、医療品、食品包装用フィルム等の日用品、防衛および航空宇宙製品等に広く用いられる。
特に、本実施形態の成形品は、吸水性が低く、機械的強度に優れているため、釣り具のリールの筐体に優れている。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
実施例で用いた測定機器等が廃番等により入手困難な場合、他の同等の性能を有する機器を用いて測定することができる。
1.原料
ポリアミド樹脂(PA)
<MP10の合成>
撹拌機、分縮器、冷却器、温度計、滴下槽および窒素ガス導入管を備えたジャケット付反応缶内でセバシン酸(CASDA製)を入れ、十分窒素置換し、170℃にて加熱し溶融した後、内容物を撹拌しながら、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンの混合アミン(モル比:70:30)(三菱ガス化学社製、MPXDA)をセバシン酸とのモル比が1:1になるように徐々に滴下しながら、温度を240℃まで上昇させた。滴下終了後、260℃まで昇温し、20分間継続した。その後、反応系内圧を0.08MPaまで連続的に減圧し、反応を継続した。反応終了後、反応缶内を窒素ガスにて0.2MPaの圧力を掛けポリマーを重合槽下部のノズルよりストランドとして取出し、水冷後ペレタイザーにてペレット化することで得た。
<PXD10の合成>
撹拌機、分縮器、冷却器、温度計、滴下槽および窒素ガス導入管を備えたジャケット付反応缶内でセバシン酸(CASDA製)を入れ、十分窒素置換し、170℃にて加熱し溶融した後、内容物を撹拌しながら、パラキシリレンジアミン(昭和電工製、PXDA)をセバシン酸とのモル比が1:1になるように徐々に滴下しながら、温度を290℃まで上昇させた。滴下終了後、300℃まで昇温し、20分間継続した。その後、反応系内圧を0.08MPaまで連続的に減圧し、20分間反応を継続した。反応終了後、反応缶内を窒素ガスにて0.2MPaの圧力を掛けポリマーを重合槽下部のノズルよりストランドとして取出し、水冷後ペレタイザーにてペレット化することで得た。
<MXD10の合成>
撹拌機、分縮器、冷却器、温度計、滴下槽および窒素ガス導入管を備えたジャケット付反応缶内でセバシン酸(CASDA製)を入れ、十分窒素置換し、170℃にて加熱し溶融した後、内容物を撹拌しながら、メタキシリレンジアミン(三菱ガス化学社製、MXDA)をセバシン酸とのモル比が1:1になるように徐々に滴下しながら、温度を240℃まで上昇させた。滴下終了後、260℃まで昇温し、20分間継続した。その後、反応系内圧を0.08MPaまで連続的に減圧し、反応を継続した。反応終了後、反応缶内を窒素ガスにて0.2MPaの圧力を掛けポリマーを重合槽下部のノズルよりストランドとして取出し、水冷後ペレタイザーにてペレット化することで得た。
MXD6:メタキシリレンジアミンとアジピン酸とを重縮合して得られるポリアミド、三菱ガス化学株式会社製、品番:#6000
PA66:東レ社製、CM3001-N
PA6:宇部興産社製、1013B
無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE-1)
未変性ポリフェニレンエーテル樹脂の粉末品(三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ユピエースPX-100L」)100質量部と無水マレイン酸(試薬一級)0.5質量部とスチレン系樹脂(クラレ社製「セプトン8006」、SEBS、スチレンの比率33質量%)6質量部をスーパーミキサーで十分に混合し、得られた混合物を二軸押出機(日本製鋼所社製「TEX30XCT」)で溶融混練し、ペレット化し、SEBS6質量%含有の変性ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE-1)を得た。
<核剤>
タルク:林化成社製、ミクロンホワイト5000S
<強化繊維>
GF:円形断面ガラス繊維、日本電気硝子社製、T-275H、Eガラス、チョップドストランド、数平均繊維径10μm
<離型剤>
ライトアマイドWH-255:共栄社化学社製、高級脂肪酸アマイド
<黒色着色剤>
カーボンブラック:カーボンブラックマスターバッチ、三菱ケミカル製、カーボンブラック#45(ファーネスブラック、DBP吸収量53cm3/100g)
2.実施例1~10、比較例1~6
<コンパウンド>
後述する表2~4に示す組成となるように、各成分をそれぞれ秤量し(各成分の配合量は質量部で示している)、ドライブレンドした後、二軸押出機(芝浦機械社製、TEM26SS)のスクリュー根元から2軸スクリュー式カセットウェイングフィーダ(クボタ製、CE-W-1-MP)を用いて投入した。また、ガラス繊維については振動式カセットウェイングフィーダ(クボタ製、CE-V-1B-MP)を用いて押出機のサイドから上述の二軸押出機に投入し、熱可塑性樹脂成分等と溶融混練し、樹脂組成物(ペレット)を得た。押出機の温度設定は、280℃とした。温度設定は実施例9については300℃とした。
<曲げ強さおよび曲げ弾性率>
上記で得られたペレットを120℃で4時間乾燥させた後、射出成形機(日精樹脂工業社製、「NEX140III」)にて、シリンダー温度280℃、金型温度130℃の条件で、ISO引張り試験片(4mm厚)を射出成形した。シリンダー温度は実施例9については300℃とした。
ISO178に準拠して、上記ISO引張り試験片(4mm厚)を用いて、曲げ強さ(単位:MPa)および曲げ弾性率(単位:GPa)を測定した。結果を表2~表4に示す。
<ノッチ付シャルピー衝撃強さ>
ISO179-1、2に準拠して、上記ISO引張り試験片(4mm厚)を用いて、温度23℃、湿度50%の環境下で1Jハンマーを用いノッチ付シャルピー衝撃強さ(単位:kJ/m2)を測定した。結果を表2~表4に示す。
<飽和吸水率(70℃温水中)>
上記で得られたペレットを120℃で4時間乾燥させた後、射出成形機(日精樹脂工業社製、「NEX80」)にて、シリンダー温度280℃、金型温度90℃の条件で、100×100mm×2mm厚のプレート試験片を作製した。シリンダー温度は実施例9については300℃とした。作製したプレートを70℃温水中に浸漬させ、質量変化が飽和した時点で浸漬を終了とし、初期質量に対する質量変化率を飽和吸水率として算出した。
(飽和吸水率%)={(飽和吸水後の質量)―(初期質量)}/(初期質量)×100
<外観(金型温度90℃)>
上記ペレットを120℃で3時間乾燥させた後、射出成形機(日精樹脂工業社製、「NEX140III」)にて、シリンダー温度280℃、金型温度90℃の条件で、60×60×1mmtの平板を射出成形した。シリンダー温度は実施例9については300℃とした。得られた成形品について、5人の専門家が評価し、多数決で以下の通り評価した。
A:成形品表面に強化繊維の浮きが存在せず、表面光沢がある。
B:Aより浮きが多く、Cより浮きが少ない、例えば、成形品表面の一部に強化繊維の浮きがある。
C:成形品表面の大部分に強化繊維の浮きがある。
<成形品のDSC結晶化ピーク熱量(J/g)>
金型温度90℃における、60mm×60mm×1mm厚の成形品のDSC結晶化ピーク熱量(J/g)は以下の通り測定した。
上記成形品を砕いて示差走査熱量計の測定パンに仕込み、窒素雰囲気下にて昇温速度10℃/分で300℃まで昇温し、昇温過程での結晶化ピーク熱量(J/g)を測定した。
示差走査熱量計としては、セイコーインスツル社製「DSC7020」を用いた。
<総合評価>
以下の基準に従い、総合的に評価した。
Figure 2023043542000001
Figure 2023043542000002
Figure 2023043542000003
Figure 2023043542000004
上記結果から明らかなとおり、本発明では、金型温度が100℃以下で、低吸水性、かつ、良好な外観を有し、高強度で高剛性の成形品が得られる樹脂組成物が得られた。

Claims (8)

  1. ポリアミド樹脂と、無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル樹脂とを含み、
    前記ポリアミド樹脂が、ポリアミド6と、ポリアミド66と、キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂を含み、
    前記キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂が、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位を含み、前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の50モル%超がセバシン酸に由来し、
    前記ポリアミド樹脂と無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル樹脂の質量比率が80/20~60/40である、樹脂組成物。
  2. 前記キシリレンジアミンが、メタキシリレンジアミン50~100モル%、および、パラキシリレンジアミン0~50モル%を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. さらに、強化繊維を、前記ポリアミド樹脂と無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル樹脂を含む熱可塑性樹脂成分100質量部に対して40~200質量部含む、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記樹脂組成物の示差走査熱量測定に従って測定した、金型温度90℃における成形品の結晶化ピーク熱量が、1.0J/g以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 釣り具のリールの筐体用である、請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の樹脂組成物から形成された成形品。
  7. 釣り具のリールの筐体である、請求項6に記載の成形品。
  8. 請求項1~5のいずれか1項に記載の樹脂組成物を、金型温度100℃以下の金型を用いて成形することを含む、成形品の製造方法。
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