JP2023043137A - 半導体装置および製造方法 - Google Patents

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功 吉川
Isao Yoshikawa
浩介 吉田
Kosuke Yoshida
奈央 菅沼
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Abstract

【課題】絶縁膜の下の領域のドーピング濃度のばらつきを低減する。【解決手段】第1導電型の第1ドーパントと、第2導電型の第2ドーパントの両方が全体に分布しており、第1導電型のドリフト領域を有する半導体基板と、半導体基板の上面に設けられた絶縁膜と、絶縁膜の下方において絶縁膜と接して設けられ、ドリフト領域よりもドーピング濃度の高い第1導電型の高濃度領域と、絶縁膜の下方において絶縁膜と接して設けられ、絶縁膜に向かって第2導電型のドーパントの濃度が減少する減少領域とを備える半導体装置を提供する。【選択図】図11

Description

本発明は、半導体装置および製造方法に関する。
従来、ガードリングを含むエッジ終端構造部を備える半導体装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1 特開2017-143136号公報
エッジ終端構造部等においては、半導体基板の上面に絶縁膜が設けられる。
絶縁膜の下の領域のドーピング濃度のばらつきを低減することが好ましい。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、半導体装置を提供する。半導体装置は、第1導電型の第1ドーパントと、第2導電型の第2ドーパントの両方が全体に分布しており、第1導電型のドリフト領域を有する半導体基板を備えてよい。半導体装置は、半導体基板の上面に設けられた絶縁膜を備えてよい。上記何れかの半導体装置は、絶縁膜の下方において絶縁膜と接して設けられ、ドリフト領域よりもドーピング濃度の高い第1導電型の高濃度領域を備えてよい。上記何れかの半導体装置は、絶縁膜の下方において絶縁膜と接して設けられ、絶縁膜に向かって第2導電型のドーパントの濃度が減少する減少領域を備えてよい。
上記何れかの半導体装置において、高濃度領域における第1導電型のドーパントの濃度の最大値と最小値との差分は、減少領域における前記第2ドーパントの濃度の最大値と最小値との差分よりも大きくてよい。
上記何れかの半導体装置において、高濃度領域は、減少領域よりも下方まで設けられていてよい。
上記何れかの半導体装置において、高濃度領域のネット・ドーピング濃度の最大値は、ドリフト領域のネット・ドーピング濃度の10倍以上であってよい。
上記何れかの半導体装置において、高濃度領域のネット・ドーピング濃度の最大値が1×1014/cm以上であってよい。
上記何れかの半導体装置は、半導体基板においてトランジスタ部およびダイオード部の少なくとも一方が設けられた活性部を更に備えてよい。上記何れかの半導体装置は、半導体基板において活性部よりも外側に設けられたエッジ終端構造部を備えてよい。上記何れかの半導体装置において、高濃度領域と減少領域がエッジ終端構造部に形成されていてよい。
上記何れかの半導体装置において、エッジ終端構造部は、半導体基板の上面に接して設けられた第2導電型の複数のガードリングを有してよい。上記何れかの半導体装置において、高濃度領域は2つのガードリングの間に配置されてよい。上記何れかの半導体装置において、絶縁膜は、2つのガードリングの間に配置されてよい。上記何れかの半導体装置において、高濃度領域の下端は、ガードリングの下端よりも半導体基板の上面側に配置されていてよい。
上記何れかの半導体装置において、エッジ終端構造部は、半導体基板の上面に接して設けられた第2導電型の複数のガードリングを有してよい。上記何れかの半導体装置において、高濃度領域は2つのガードリングの間に配置されてよい。上記何れかの半導体装置において、絶縁膜は、2つのガードリングの間に配置されてよい。上記何れかの半導体装置において、高濃度領域の下端は、ガードリングの下端よりも半導体基板の下面側に配置されていてよい。
上記何れかの半導体装置において、絶縁膜は、少なくとも一部分が半導体基板の内部に埋め込まれていてよい。
上記何れかの半導体装置において、半導体基板の上面から、絶縁膜の下端までの深さが0.3μm以上であってよい。上記何れかの半導体装置において、半導体基板の上面から、絶縁膜の下端までの深さが2μm以上であってよい。
上記何れかの半導体装置において、絶縁膜が、第1の絶縁膜と、第1の絶縁膜に積層された第2の絶縁膜とを有してよい。
上記何れかの半導体装置は、ガードリングの上方から絶縁膜の上方まで設けられ、且つ、ポリシリコンで形成されたフィールドプレートを備えてよい。上記何れかの半導体装置において、フィールドプレートは、絶縁膜と重なる位置において、半導体基板の上面に向かって窪んだ谷部を有してよい。上記何れかの半導体装置において、フィールドプレートは、谷部よりも絶縁膜の中央に向かって延伸する延伸部を有してよい。
上記何れかの半導体装置において、高濃度領域と絶縁膜との境界におけるネット・ドーピング濃度NF_s(/cm)が下式を満たしてよい。
NF_s≧γ(1.35-0.6α)(1/(1-α))Nnet
ただし、γは2以上の実数であり、αはバルク・アクセプタ濃度Na(/cm)とバルク・ドナー濃度Nd(/cm)との比Na/Ndであり、Nnetはバルク・ネットドーピング濃度(/cm)である。
上記何れかの半導体装置において、αが0.7以下であってよい。
上記何れかの半導体装置は、半導体基板の上面に接して設けられた第2導電型の複数のガードリングを備えてよい。上記何れかの半導体装置は、2つのガードリングの間に配置され、少なくとも一部分が半導体基板の内部に埋め込まれた埋込絶縁膜を備えてよい。上記何れかの半導体装置において、高濃度領域は2つのガードリングの間に配置されてよい。上記何れかの半導体装置において、絶縁膜は、2つのガードリングの間に配置されてよい。上記何れかの半導体装置において、高濃度領域の下端は、ガードリングの下端よりも半導体基板の上面側に配置されてよい。上記何れかの半導体装置において、ガードリングが、埋込絶縁膜の下方まで設けられていてよい。上記何れかの半導体装置において、高濃度領域の下端は、ガードリングの下端よりも半導体基板の下面側に配置されてもよい。
上記何れかの半導体装置において、活性部は、エッジ終端構造部との境界に配置された第2導電型のウェル領域を有してよい。上記何れかの半導体装置において、ウェル領域に接続され、ウェル領域よりもドーピング濃度が低い第2導電型の拡張領域が、エッジ終端構造部に設けられてよい。上記何れかの半導体装置において、拡張領域よりも外側に高濃度領域が配置されていてよい。
上記何れかの半導体装置において、半導体基板の上面から見て、高濃度領域の下端は、拡張領域の下端よりも深い位置に配置されていてよい。
上記何れかの半導体装置において、高濃度領域は、拡張領域とドリフト領域との間にも設けられていてよい。
上記何れかの半導体装置において、高濃度領域は、ウェル領域とドリフト領域との間にも設けられていてよい。
上記何れかの半導体装置において、半導体基板の上面から見て、高濃度領域の下端は、拡張領域の下端よりも浅い位置に配置されていてよい。
上記何れかの半導体装置において、拡張領域のドーピング濃度は、ウェル領域から離れるほど低くてよい。
上記何れかの半導体装置において、第1ドーパントと、高濃度領域の第1導電型のドーパントは、同じ元素であってよい。
上記何れかの半導体装置において、第1ドーパントと、高濃度領域の第1導電型のドーパントは、異なる元素であってよい。
本発明の第2の態様においては、半導体装置の製造方法を提供する。製造方法は、第1導電型の第1ドーパントと、第2導電型の第2ドーパントの両方が全体に分布しており、第1導電型のドリフト領域を有する半導体基板を準備する基板準備段階を備えてよい。製造方法は、半導体基板の上面の少なくとも一部の領域において、ドリフト領域よりもドーピング濃度の高い第1導電型のドーパントを有する高濃度領域を形成する高濃度領域形成段階を備えてよい。上記何れかの製造方法は、半導体基板の上面において高濃度領域と接して配置された絶縁膜と、絶縁膜の下方において絶縁膜と接しており、絶縁膜に向かって第2導電型のドーパントの濃度が減少する減少領域とを形成する絶縁膜形成段階を備えてよい。
上記何れかの製造方法において、絶縁膜形成段階において熱酸化により絶縁膜を形成してよい。上記何れかの製造方法において、絶縁膜形成段階における熱酸化条件に応じて、高濃度領域形成段階で形成する高濃度領域の深さを調整してよい。
上記何れかの製造方法において、第1ドーパントと、高濃度領域の第1導電型のドーパントは、同じ元素であってよい。
上記何れかの製造方法において、第1ドーパントと、高濃度領域の第1導電型のドーパントは、異なる元素であってよい。
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
半導体装置100の上面図の一例である。 図1におけるA-A断面の一例を示す図である。 図1におけるB-B断面の一例を示す図である。 ガードリング92および埋込絶縁膜95の近傍を拡大した図である。 埋込絶縁膜95の他の構成例を示す図である。 埋込絶縁膜95およびフィールドプレート93の形状例を示す図である。 半導体装置100の製造方法における一部の工程を示す図である。 図7に示した製造工程より後の製造工程を示す図である。 図1におけるC-C断面の一例を示す図である。 B-B断面の他の例を示す図である。 高濃度領域302の近傍の拡大図である。 図11のD-D線における、N型ドーパントの濃度、P型ドーパントの濃度、および、ネット・ドーピング濃度の分布例を示す図である。 高濃度領域302の他の例を示す図である。 B-B断面の他の例を示す図である。 B-B断面の他の例を示す図である。 フィールドプレート93の配置例を示す図である。 B-B断面の他の例を示す図である。 B-B断面の他の例を示す図である。 B-B断面の他の例を示す図である。 B-B断面の他の例を示す図である。 B-B断面の他の例を示す図である。 B-B断面の他の例を示す図である。 B-B断面の他の例を示す図である。 高濃度領域302を備える半導体装置100の製造方法における、一部の工程を示す図である。 酸化膜の下方におけるボロン濃度分布の一例を示す図である。 バルク・ドナーおよびバルク・アクセプタの濃度分布と、ネット・ドーピング濃度分布の一例を示す図である。 濃度Nnet_sとαとの関係を示す図である。 高濃度領域302におけるネット・ドーピング濃度分布の例を示す図である。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
本明細書においては半導体基板の深さ方向と平行な方向における一方の側を「上」、他方の側を「下」と称する。基板、層またはその他の部材の2つの主面のうち、一方の面を上面、他方の面を下面と称する。「上」、「下」の方向は、重力方向または半導体装置の実装時における方向に限定されない。
本明細書では、X軸、Y軸およびZ軸の直交座標軸を用いて技術的事項を説明する場合がある。直交座標軸は、構成要素の相対位置を特定するに過ぎず、特定の方向を限定するものではない。例えば、Z軸は地面に対する高さ方向を限定して示すものではない。なお、+Z軸方向と-Z軸方向とは互いに逆向きの方向である。正負を記載せず、Z軸方向と記載した場合、+Z軸および-Z軸に平行な方向を意味する。
本明細書では、半導体基板の上面および下面に平行な直交軸をX軸およびY軸とする。また、半導体基板の上面および下面と垂直な軸をZ軸とする。本明細書では、Z軸の方向を深さ方向と称する場合がある。また、本明細書では、X軸およびY軸を含めて、半導体基板の上面および下面に平行な方向を、水平方向と称する場合がある。本明細書において半導体基板の上面側と称した場合、半導体基板の深さ方向における中央から上面までの領域を指す。半導体基板の下面側と称した場合、半導体基板の深さ方向における中央から下面までの領域を指す。
本明細書において「同一」または「等しい」のように称した場合、製造ばらつき等に起因する誤差を有する場合も含んでよい。当該誤差は、例えば10%以内である。
本明細書においては、不純物がドーピングされたドーピング領域の導電型をP型またはN型として説明している。N型およびP型は、第1導電型および第2導電型の一例である。N型が第1導電型、P型が第2導電型であってよく、P型が第1導電型、N型が第2導電型であってもよい。本明細書においては、不純物とは、特にN型のドナーまたはP型のアクセプタのいずれかを意味する場合があり、ドーパントと記載する場合がある。本明細書においては、ドーピングとは、半導体基板にドナーまたはアクセプタを導入し、N型の導電型を示す半導体またはP型の導電型を示す半導体とすることを意味する。
本明細書においては、ドーピング濃度とは、熱平衡状態におけるドナーの濃度またはアクセプタの濃度を意味する。本明細書においては、ネット・ドーピング濃度とは、ドナー濃度を正イオンの濃度とし、アクセプタ濃度を負イオンの濃度として、電荷の極性を含めて足し合わせた正味の濃度を意味する。一例として、ドナー濃度をN、アクセプタ濃度をNとすると、任意の位置における正味のネット・ドーピング濃度は|N-N|となる。
ドナーは、半導体に電子を供給する機能を有している。アクセプタは、半導体から電子を受け取る機能を有している。ドナーおよびアクセプタは、不純物自体には限定されない。例えば、半導体中に存在する空孔(V)、酸素(O)および水素(H)が結合したVOH欠陥は、電子を供給するドナーとして機能する。
本明細書においてP+型またはN+型と記載した場合、P型またはN型よりもドーピング濃度が高いことを意味し、P-型またはN-型と記載した場合、P型またはN型よりもドーピング濃度が低いことを意味する。また、本明細書においてP++型またはN++型と記載した場合には、P+型またはN+型よりもドーピング濃度が高いことを意味する。
本明細書において化学濃度とは、電気的な活性化の状態によらずに測定される不純物の原子密度を指す。化学濃度(原子密度)は、例えば二次イオン質量分析法(SIMS)により計測できる。上述したネット・ドーピング濃度は、電圧-容量測定法(CV法)により測定できる。また、拡がり抵抗測定法(SR法)により計測されるキャリア密度を、ネット・ドーピング濃度としてよい。CV法またはSR法により計測されるキャリア密度は、熱平衡状態における値としてよい。また、N型の領域においては、ドナー濃度がアクセプタ濃度よりも十分大きいので、当該領域におけるキャリア密度を、ドナー濃度としてもよい。同様に、P型の領域においては、当該領域におけるキャリア密度を、アクセプタ濃度としてもよい。
また、ドナー、アクセプタまたはネット・ドーピングの濃度分布がピークを有する場合、当該ピーク値を当該領域におけるドナー、アクセプタまたはネット・ドーピングの濃度としてよい。ドナー、アクセプタまたはネット・ドーピングの濃度がほぼ均一な場合等においては、当該領域におけるドナー、アクセプタまたはネット・ドーピングの濃度の平均値をドナー、アクセプタまたはネット・ドーピングの濃度としてよい。
SR法により計測されるキャリア密度が、ドナーまたはアクセプタの濃度より低くてもよい。拡がり抵抗を測定する際に電流が流れる範囲において、半導体基板のキャリア移動度が結晶状態の値よりも低い場合がある。キャリア移動度の低下は、格子欠陥等による結晶構造の乱れ(ディスオーダー)により、キャリアが散乱されることで生じる。
CV法またはSR法により計測されるキャリア密度から算出したドナーまたはアクセプタの濃度は、ドナーまたはアクセプタを示す元素の化学濃度よりも低くてよい。一例として、シリコンの半導体においてドナーとなるリンまたはヒ素のドナー濃度、あるいはアクセプタとなるボロン(ホウ素)のアクセプタ濃度は、これらの化学濃度の99%程度である。一方、シリコンの半導体においてドナーとなる水素のドナー濃度は、水素の化学濃度の0.1%から10%程度である。
図1は、半導体装置100の上面図の一例である。図1においては、各部材を半導体基板10の上面に投影した位置を示している。図1においては、半導体装置100の一部の部材だけを示しており、一部の部材は省略している。
半導体装置100は半導体基板10を備える。半導体基板10は、半導体材料で形成された基板である。一例として半導体基板10はシリコン基板である。本例の半導体基板10は、N型のバルク・ドナーが全体に分布している。バルク・ドナーは、半導体基板10の元となるインゴットの製造時に、インゴット内に略一様に含まれたドーパントによるドナーである。本例のバルク・ドナーは、水素以外の元素である。バルク・ドナーのドーパントは、例えばV族、VI族の元素であり、例えばリン、アンチモン、ヒ素、セレンまたは硫黄であるが、これに限定されない。本例のバルク・ドナーは、リンである。バルク・ドナーは、P型の領域にも含まれている。半導体基板10は、半導体のインゴットから切り出したウエハであってよく、ウエハを個片化したチップであってもよい。半導体のインゴットは、チョクラルスキー法(CZ法)、磁場印加型チョクラルスキー法(MCZ法)、フロートゾーン法(FZ法)のいずれかで製造されてよい。
MCZ法で製造された基板に含まれる酸素化学濃度は一例として1×1017~7×1017atoms/cmである。FZ法で製造された基板に含まれる酸素化学濃度は一例として1×1015~5×1016atoms/cmである。バルク・ドナー濃度は、半導体基板10の全体に分布しているバルク・ドナーの化学濃度を用いてよく、当該化学濃度の90%から100%の間の値であってもよい。リンなどのV族、VI族のドーパントがドープされた半導体基板では、バルク・ドナー濃度は、1×1011/cm以上、3×1013/cm以下であってよい。V族、VI族のドーパントがドープされた半導体基板のバルク・ドナー濃度は、好ましくは1×1012/cm以上、1×1013/cm以下である。また、半導体基板10は、リン等のバルク・ドーパントを実質的に含まないノンドープ基板を用いてもよい。その場合、ノンドーピング基板のバルク・ドナー濃度は例えば1×1010/cm以上、5×1012/cm以下である。ノンドーピング基板のバルク・ドナー濃度は、好ましくは1×1011/cm以上である。ノンドーピング基板のバルク・ドナー濃度は、好ましくは5×1012/cm以下である。
また、半導体基板10には、P型のバルク・アクセプタが全体に分布していてもよい。バルク・アクセプタは、半導体基板10の元となるインゴットの製造時に、インゴット内に略均一に含まれたドーパントによるアクセプタであってよく、ウエハまたはチップ状の半導体基板10の全体に注入されたアクセプタであってもよい。バルク・アクセプタは、ボロンであってよい。バルク・アクセプタ濃度は、バルク・ドナー濃度より低くてよい。つまり、インゴットまたは半導体基板10のバルクはN型である。一例として、バルク・アクセプタ濃度は5×1011(/cm)~8×1014(/cm)であり、バルク・ドナー濃度は5×1012(/cm)~1×1015(/cm)である。バルク・アクセプタ濃度は、バルク・ドナー濃度の1%以上であってよく、10%以上でよく、50%以上であってよい。バルク・アクセプタ濃度は、バルク・ドナー濃度の99%以下であってよく、95%以下でよく、90%以下であってよい。バルク・アクセプタ濃度およびバルク・ドナー濃度は、半導体基板10の全体に分布するボロンまたはリン等の不純物の化学濃度を用いてよい。バルク・アクセプタ濃度およびバルク・ドナー濃度は、半導体基板10の全体に分布するボロンまたはリン等の不純物の化学濃度の、半導体基板10の深さ方向における中央における値を用いてもよい。
半導体基板10は、上面および下面を有する。上面および下面は、半導体基板10の2つの主面である。半導体基板10は、上面視において端辺102を有する。本明細書で単に上面視と称した場合、半導体基板10の上面側から見ることを意味している。本例の半導体基板10は、上面視において互いに向かい合う2組の端辺102を有する。図1においては、X軸およびY軸は、いずれかの端辺102と平行である。またZ軸は、半導体基板10の上面と垂直である。
半導体基板10には活性部160が設けられている。活性部160は、半導体装置100が動作した場合に半導体基板10の上面と下面との間で、深さ方向に主電流が流れる領域である。活性部160の上方には、エミッタ電極が設けられているが図1では省略している。
活性部160には、IGBT等のトランジスタ素子を含むトランジスタ部70と、還流ダイオード(FWD)等のダイオード素子を含むダイオード部80の少なくとも一方が設けられている。図1の例では、トランジスタ部70およびダイオード部80は、半導体基板10の上面における所定の配列方向(本例ではX軸方向)に沿って、交互に配置されている。他の例では、活性部160には、トランジスタ部70およびダイオード部80の一方だけが設けられていてもよい。
図1においては、トランジスタ部70が配置される領域には記号「I」を付し、ダイオード部80が配置される領域には記号「F」を付している。本明細書では、上面視において配列方向と垂直な方向を延伸方向(図1ではY軸方向)と称する場合がある。トランジスタ部70およびダイオード部80は、それぞれ延伸方向に長手を有してよい。つまり、トランジスタ部70のY軸方向における長さは、X軸方向における幅よりも大きい。同様に、ダイオード部80のY軸方向における長さは、X軸方向における幅よりも大きい。トランジスタ部70およびダイオード部80の延伸方向と、後述する各トレンチ部の長手方向とは同一であってよい。
ダイオード部80は、半導体基板10の下面と接する領域に、N+型のカソード領域を有する。本明細書では、カソード領域が設けられた領域を、ダイオード部80と称する。つまりダイオード部80は、上面視においてカソード領域と重なる領域である。半導体基板10の下面には、カソード領域以外の領域には、P+型のコレクタ領域が設けられてよい。本明細書では、ダイオード部80を、後述するゲート配線までY軸方向に延長した延長領域81も、ダイオード部80に含める場合がある。延長領域81の下面には、コレクタ領域が設けられている。
トランジスタ部70は、半導体基板10の下面と接する領域に、P+型のコレクタ領域を有する。また、トランジスタ部70は、半導体基板10の上面側に、N+型のエミッタ領域、P-型のベース領域、ゲート導電部およびゲート絶縁膜を有するゲート構造が周期的に配置されている。
半導体装置100は、半導体基板10の上方に1つ以上のパッドを有してよい。本例の半導体装置100は、ゲートパッド112を有している。半導体装置100は、温度検出用のダイオードに接続されるアノードパッドおよびカソードパッドを有してよく、電流検出用のパッドを有してもよい。各パッドは、端辺102の近傍に配置されている。端辺102の近傍とは、上面視における端辺102と、エミッタ電極との間の領域を指す。半導体装置100の実装時において、各パッドは、ワイヤ等の配線を介して外部の回路に接続されてよい。
ゲートパッド112には、ゲート電位が印加される。ゲートパッド112は、活性部160のゲートトレンチ部の導電部に電気的に接続される。半導体装置100は、ゲートパッド112とゲートトレンチ部とを接続するゲート配線を備える。図1においては、ゲート配線に斜線のハッチングを付している。
本例のゲート配線は、外周ゲート配線130と、活性側ゲート配線131とを有している。外周ゲート配線130は、上面視において活性部160と半導体基板10の端辺102との間に配置されている。本例の外周ゲート配線130は、上面視において活性部160を囲んでいる。上面視において外周ゲート配線130に囲まれた領域を活性部160としてもよい。また、外周ゲート配線130は、ゲートパッド112と接続されている。外周ゲート配線130は、半導体基板10の上方に配置されている。ゲート配線は、アルミニウム等を含む金属配線であってよく、ポリシリコンで形成された配線であってよく、これらの配線が積層された積層配線であってもよい。
活性側ゲート配線131は、活性部160に設けられている。活性部160に活性側ゲート配線131を設けることで、半導体基板10の各領域について、ゲートパッド112からの配線長のばらつきを低減できる。
活性側ゲート配線131は、活性部160のゲートトレンチ部と接続される。活性側ゲート配線131は、半導体基板10の上方に配置されている。活性側ゲート配線131は、不純物がドープされたポリシリコン等の半導体で形成された配線であってよい。
活性側ゲート配線131は、外周ゲート配線130と接続されてよい。本例の活性側ゲート配線131は、Y軸方向の略中央で一方の外周ゲート配線130から他方の外周ゲート配線130まで、活性部160を横切るように、X軸方向に延伸して設けられている。活性側ゲート配線131により活性部160が分割されている場合、それぞれの分割領域において、トランジスタ部70およびダイオード部80がX軸方向に交互に配置されてよい。
また、半導体装置100は、ポリシリコン等で形成されたPN接合ダイオードである不図示の温度センス部や、活性部160に設けられたトランジスタ部の動作を模擬する不図示の電流検出部を備えてもよい。
本例の半導体装置100は、活性部160と端辺102との間に、エッジ終端構造部90を備える。エッジ終端構造部90は、半導体基板10において、活性部160よりも外側に設けられている。半導体基板10における外側とは、より端辺102に近い側を指す。本例のエッジ終端構造部90は、外周ゲート配線130と端辺102との間に配置されている。エッジ終端構造部90は、半導体基板10の上面側の電界集中を緩和する。エッジ終端構造部90は、複数のガードリング92を有する。ガードリング92は、半導体基板10の上面と接するP型の領域である。ガードリング92は、上面視において活性部160を囲んでいてよい。複数のガードリング92は、外周ゲート配線130と端辺102との間において、所定の間隔で配置されている。外側に配置されたガードリング92は、一つ内側に配置されたガードリング92を囲んでいてよい。外側とは、端辺102に近い側を指し、内側とは、半導体基板10の上面視における中央に近い側を指す。複数のガードリング92を設けることで、活性部160の上面側における空乏層を外側に伸ばすことができ、半導体装置100の耐圧を向上できる。エッジ終端構造部90は、活性部160を囲んで環状に設けられたフィールドプレートおよびリサーフのうちの少なくとも一つを更に備えていてもよい。
図2は、図1におけるA-A断面の一例を示す図である。A-A断面は、トランジスタ部70およびダイオード部80を通過するXZ面である。本例の半導体装置100は、当該断面において、半導体基板10、層間絶縁膜38、エミッタ電極52およびコレクタ電極24を有する。層間絶縁膜38は、半導体基板10の上面21に設けられている。層間絶縁膜38は、ホウ素またはリン等の不純物が添加されたシリケートガラス等の絶縁膜、熱酸化膜、窒化膜、および、その他の絶縁膜の少なくとも一層を含む膜である。層間絶縁膜38には、エミッタ電極52と半導体基板10とを接続するコンタクトホール54が設けられている。
エミッタ電極52は、層間絶縁膜38の上方に設けられる。エミッタ電極52は、層間絶縁膜38のコンタクトホール54を通って、半導体基板10の上面21と接触している。エミッタ電極52は、後述するエミッタ領域12、コンタクト領域およびベース領域14と接触してよい。コレクタ電極24は、半導体基板10の下面23に設けられる。エミッタ電極52およびコレクタ電極24は、アルミニウム等の金属材料で形成されている。本明細書において、エミッタ電極52とコレクタ電極24とを結ぶ方向(Z軸方向)を深さ方向と称する。
半導体基板10は、N--型のドリフト領域18を有する。ドリフト領域18のドーピング濃度は、バルク・ドナー濃度と一致してよく、バルク・ドナー濃度およびバルク・アクセプタ濃度の差分であるバルクのネット・ドーピング濃度と一致してもよい。他の例では、ドリフト領域18のドーピング濃度は、バルク・ドナー濃度またはバルクのネット・ドーピング濃度より高くてもよい。ドリフト領域18は、トランジスタ部70およびダイオード部80のそれぞれに設けられている。
半導体基板10の上面側には、1つ以上のゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30が設けられている。ゲートトレンチ部40はゲート電圧が印加されてゲート電極として機能し、ダミートレンチ部30はゲート電圧が印加されず、ゲート電極として機能しない。本明細書では、ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30をトレンチ部と称する場合がある。トレンチ部は、半導体基板10の上面21からドリフト領域18まで深さ方向に設けられている。またトレンチ部は、半導体基板10の上面21において、延伸方向(Y軸方向)に延伸している。
トランジスタ部70およびダイオード部80のそれぞれは、配列方向に複数配列されたトレンチ部を有する。本例のトランジスタ部70には、配列方向に沿って1以上のゲートトレンチ部40と、1以上のダミートレンチ部30とが交互に設けられている。本例のダイオード部80には、複数のダミートレンチ部30が、配列方向に沿って設けられている。本例のダイオード部80には、ゲートトレンチ部40が設けられていない。
配列方向において各トレンチ部の間には、メサ部が設けられている。メサ部は、半導体基板10の内部において、トレンチ部に挟まれた領域を指す。一例としてメサ部の上端は半導体基板10の上面である。メサ部の下端の深さ位置は、トレンチ部の下端の深さ位置と同一である。本例のメサ部は、半導体基板10の上面において、トレンチに沿って延伸方向(Y軸方向)に延伸して設けられている。本例では、トランジスタ部70にはメサ部60が設けられ、ダイオード部80にはメサ部61が設けられている。本明細書において単にメサ部と称した場合、メサ部60およびメサ部61のそれぞれを指している。
トランジスタ部70のメサ部60には、N+型のエミッタ領域12およびP-型のベース領域14が、半導体基板10の上面21側から順番に設けられている。ベース領域14の下方にはドリフト領域18が設けられている。メサ部60には、N-型の蓄積領域16が設けられてもよい。蓄積領域16は、ベース領域14とドリフト領域18との間に配置される。
エミッタ領域12は半導体基板10の上面21に露出しており、且つ、ゲートトレンチ部40と接して設けられている。エミッタ領域12は、メサ部60の両側のトレンチ部と接していてよい。エミッタ領域12は、ドリフト領域18よりもドーピング濃度が高い。
ベース領域14は、エミッタ領域12の下方に設けられている。本例のベース領域14は、エミッタ領域12と接して設けられている。ベース領域14は、メサ部60の両側のトレンチ部と接していてよい。
蓄積領域16は、ベース領域14の下方に設けられている。蓄積領域16は、ドリフト領域18よりもドーピング濃度が高いN-型の領域である。ドリフト領域18とベース領域14との間に高濃度の蓄積領域16を設けることで、キャリア注入促進効果(IE効果)を高めて、オン電圧を低減できる。蓄積領域16は、各メサ部60におけるベース領域14の下面全体を覆うように設けられてよい。
ダイオード部80のメサ部61には、半導体基板10の上面21に接して、P-型のベース領域14が設けられている。ベース領域14の下方には、ドリフト領域18が設けられている。メサ部61において、ベース領域14の下方に蓄積領域16が設けられていてもよい。
メサ部60およびメサ部61の少なくとも一方には、半導体基板10の上面21に露出したP+型のコンタクト領域が設けられてもよい。例えばメサ部60において、コンタクト領域およびエミッタ領域12がY軸方向に沿って交互に配置されてよい。
トランジスタ部70およびダイオード部80のそれぞれにおいて、ドリフト領域18よりも下面23側にはN-型のバッファ領域20が設けられてよい。バッファ領域20のドーピング濃度は、ドリフト領域18のドーピング濃度よりも高い。バッファ領域20は、ドリフト領域18よりもドナー濃度の高い1つまたは複数のドナー濃度ピークを有する。バッファ領域20は、ベース領域14の下端から広がる空乏層が、P+型のコレクタ領域22およびN+型のカソード領域82に到達することを防ぐフィールドストップ層として機能してよい。
トランジスタ部70において、バッファ領域20の下には、P+型のコレクタ領域22が設けられる。コレクタ領域22のアクセプタ濃度は、ベース領域14のアクセプタ濃度より高い。コレクタ領域22は、ベース領域14と同一のアクセプタを含んでよく、異なるアクセプタを含んでもよい。コレクタ領域22のアクセプタは、例えばボロンである。
ダイオード部80において、バッファ領域20の下には、N+型のカソード領域82が設けられる。カソード領域82のドナー濃度は、ドリフト領域18のドナー濃度より高い。カソード領域82のドナーは、例えば水素またはリンである。なお、各領域のドナーおよびアクセプタとなる元素は、上述した例に限定されない。コレクタ領域22およびカソード領域82は、半導体基板10の下面23に露出しており、コレクタ電極24と接続している。コレクタ電極24は、半導体基板10の下面23全体と接触してよい。エミッタ電極52およびコレクタ電極24は、アルミニウム等の金属材料で形成される。
各トレンチ部は、半導体基板10の上面21から、ベース領域14を貫通して、ドリフト領域18に到達している。エミッタ領域12、コンタクト領域および蓄積領域16の少なくともいずれかが設けられている領域においては、各トレンチ部はこれらのドーピング領域も貫通して、ドリフト領域18に到達している。トレンチ部がドーピング領域を貫通するとは、ドーピング領域を形成してからトレンチ部を形成する順序で製造したものに限定されない。トレンチ部を形成した後に、トレンチ部の間にドーピング領域を形成したものも、トレンチ部がドーピング領域を貫通しているものに含まれる。
上述したように、トランジスタ部70には、ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30が設けられている。ダイオード部80には、ダミートレンチ部30が設けられ、ゲートトレンチ部40が設けられていない。本例においてダイオード部80とトランジスタ部70のX軸方向における境界は、カソード領域82とコレクタ領域22の境界である。
ゲートトレンチ部40は、半導体基板10の上面21に設けられた溝状のゲートトレンチ、ゲート絶縁膜42およびゲート導電部44を有する。ゲートトレンチ部40は、ゲート構造の一例である。ゲート絶縁膜42は、ゲートトレンチの内壁を覆って設けられる。ゲート絶縁膜42は、ゲートトレンチの内壁の半導体を酸化または窒化して形成してよい。ゲート導電部44は、ゲートトレンチの内部においてゲート絶縁膜42よりも内側に設けられる。つまりゲート絶縁膜42は、ゲート導電部44と半導体基板10とを絶縁する。ゲート導電部44は、ポリシリコン等の導電材料で形成される。
ゲート導電部44は、深さ方向において、ベース領域14よりも長く設けられてよい。当該断面におけるゲートトレンチ部40は、半導体基板10の上面21において層間絶縁膜38により覆われる。ゲート導電部44は、ゲート配線に電気的に接続されている。ゲート導電部44に所定のゲート電圧が印加されると、ベース領域14のうちゲートトレンチ部40に接する界面の表層に電子の反転層によるチャネルが形成される。
ダミートレンチ部30は、当該断面において、ゲートトレンチ部40と同一の構造を有してよい。ダミートレンチ部30は、半導体基板10の上面21に設けられたダミートレンチ、ダミー絶縁膜32およびダミー導電部34を有する。ダミー導電部34は、ゲートパッドとは異なる電極に接続されてよい。例えば、ゲートパッドとは異なる外部回路に接続する図示しないダミーパッドに、ダミー導電部34を接続し、ゲート導電部44とは異なる制御を行ってもよい。また、ダミー導電部34をエミッタ電極52に電気的に接続させてもよい。ダミー絶縁膜32は、ダミートレンチの内壁を覆って設けられる。ダミー導電部34は、ダミートレンチの内部に設けられ、且つ、ダミー絶縁膜32よりも内側に設けられる。ダミー絶縁膜32は、ダミー導電部34と半導体基板10とを絶縁する。ダミー導電部34は、ゲート導電部44と同一の材料で形成されてよい。例えばダミー導電部34は、ポリシリコン等の導電材料で形成される。ダミー導電部34は、深さ方向においてゲート導電部44と同一の長さを有してよい。
当該断面におけるゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30は、半導体基板10の上面21において層間絶縁膜38により覆われている。上述したように、ゲートトレンチ部40は、いずれかの箇所においてゲート配線と接続され、ダミートレンチ部30は、いずれかの箇所においてエミッタ電極52と接続されてよい。
図3は、図1におけるB-B断面の一例を示す図である。B-B断面は、外周ゲート配線130およびエッジ終端構造部90を通過するXZ面である。図3においては、外周ゲート配線130の近傍におけるトランジスタ部70の一部を合わせて示している。
外周ゲート配線130は、半導体基板10の上面21の上方に配置されている。本例では、外周ゲート配線130-1および外周ゲート配線130-2とがZ軸方向に積層されて配置されている。外周ゲート配線130-1はアルミニウム等の金属材料で形成されており、外周ゲート配線130-2は不純物が添加されたポリシリコンで形成されている。
なお外周ゲート配線130-2と、半導体基板10とは、熱酸化膜等の絶縁膜により絶縁されているが、図3では省略している。外周ゲート配線130-2は、いずれかの位置において、ゲート導電部44と接続する。
外周ゲート配線130-1は、外周ゲート配線130-2の上方に配置されている。外周ゲート配線130-1と外周ゲート配線130-2との間には、層間絶縁膜38が配置されている。層間絶縁膜38には、外周ゲート配線130-1と外周ゲート配線130-2とを接続するためのコンタクトホール132が設けられる。コンタクトホール132は、外周ゲート配線130に沿って、活性部160を囲むように設けられてよい。外周ゲート配線130-1は、コンタクトホール132を通って、外周ゲート配線130-2に接続する。
外周ゲート配線130の下方の半導体基板10には、ウェル領域11が設けられる。ウェル領域11は、半導体基板10の上面21から、ベース領域14よりも深くまで設けられている。ウェル領域11は、トレンチ部よりも深くまで設けられることが好ましい。ウェル領域11は、ベース領域14よりも高濃度のP+型の領域である。エミッタ電極52とウェル領域11の間に層間絶縁膜38が形成されてよい。ウェル領域11は、層間絶縁膜38に形成された一つ以上のコンタクトホール54を介して、エミッタ電極52と接続してよい。すなわち、ウェル領域11は、エミッタ電極52と電気的に接続してよい。
ウェル領域11は、外周ゲート配線130と重なって設けられている。ウェル領域11は、外周ゲート配線130と重ならない範囲にも、所定の幅で延伸して設けられてよい。またウェル領域11は、外周ゲート配線130に沿って、活性部160を囲むように設けられてよい。ウェル領域11は、活性側ゲート配線131の下方にも配置されてよい。ウェル領域11を設けることで、活性部160から広がる空乏層を、エッジ終端構造部90まで伸ばしやすくなり、活性部160における破壊を抑制できる。
エッジ終端構造部90は、複数のガードリング92および複数の埋込絶縁膜95を有する。本例のエッジ終端構造部90は、複数のフィールドプレート93、複数のフィールド電極94、外側電極97、外側プレート96およびチャネルストッパ98を更に有する。エッジ終端構造部90は、ウェル領域11の外周側端部よりも外周側の領域であってよい。
ガードリング92は、半導体基板10の上面21に接して設けられたP+型の領域である。図1に示したように、それぞれのガードリング92は、活性部160を囲んでいる。活性部160を、ウェル領域11の外周側端部よりも内周側の領域としてよい。ガードリング92の下端は、ベース領域14の下端よりも下面23側に配置されてよい。ガードリング92の下端は、トレンチ部の下端よりも下面23側に配置されてよい。ガードリング92の下端は、ウェル領域11の下端よりも下面23側に配置されてよく、ウェル領域11の下端よりも上面21側に配置されてよく、ウェル領域11の下端と同一の深さ位置に配置されてもよい。本例のガードリング92の下端は、ウェル領域11の下端と同一の深さ位置に配置される。
それぞれの埋込絶縁膜95は、2つのガードリング92の間に配置されている。埋込絶縁膜95は、ガードリング92に沿って活性部160を囲むように設けられてよい。埋込絶縁膜95は、最外周のガードリング92とチャネルストッパ98の間にも設けられてよい。埋込絶縁膜95は、最内周のガードリング92とウェル領域11の間にも設けられてよい。
埋込絶縁膜95は、少なくとも一部分が半導体基板10の内部に埋め込まれている。つまり埋込絶縁膜95の少なくとも一部分は、半導体基板10の上面21よりも下方に配置されている。半導体基板10の上面21は、シリコン等の半導体材料による面のうち、最も上側の面を指してよい。埋込絶縁膜95は、半導体基板10の上面21よりも下側の部分の厚みが、上面21よりも上側の部分の厚みより大きくてよい。埋込絶縁膜95の全体が、半導体基板10の上面21と同じ位置または下側に設けられてもよい。本例の埋込絶縁膜95の上面は半導体基板10の上面21と同じ位置であり、埋込絶縁膜95の全体が、半導体基板10の上面21と同じ位置から、上面21よりも下側に設けられる。
埋込絶縁膜95は、半導体基板10を酸化または窒化した絶縁膜を有してよく、CVD等で堆積させた絶縁膜を有してよく、他の絶縁膜を有してもよい。埋込絶縁膜95は、単層の絶縁膜であってよく、異なる方法で形成された複数の膜が積層された絶縁膜であってもよい。本例の埋込絶縁膜95は、半導体基板10の上面21にリセスを形成し、当該リセスに露出する半導体材料を熱酸化して形成したLOCOS膜である。
埋込絶縁膜95を設けることで、ガードリング92の間において、半導体基板10が露出することを防げる。つまり、ガードリング92の間の半導体基板10が、導電部材と接触することを防げる。また、埋込絶縁膜95の少なくとも一部を半導体基板10の内部に配置することで、半導体基板10の上面21における凹凸を小さくできる。これにより、半導体基板10の上面21の上方に配置する部材を形成しやすくなる。例えばフィールドプレート93の段差を小さくできるので、フィールドプレート93を形成しやすくなる。
本例のフィールドプレート93は、不純物が添加されたポリシリコンで形成されている。フィールドプレート93は、ガードリング92の上方に配置されている。フィールドプレート93は、ガードリング92の少なくとも一部分を覆うように配置されている。フィールドプレート93は、ガードリング92の全体を覆うように配置されてもよい。フィールドプレート93は、ガードリング92と重ならない位置まで延伸して設けられてよい。フィールドプレート93と半導体基板10の間には、熱酸化膜等の絶縁膜が設けられてよい。他の例では、図3に示すようにフィールドプレート93とガードリング92とが接触していてもよい。
本例のフィールド電極94は、アルミニウム等の金属材料で形成されている。フィールド電極94は、フィールドプレート93の上方に配置されている。フィールド電極94とフィールドプレート93との間には、層間絶縁膜38が配置されている。フィールド電極94とフィールドプレート93は、層間絶縁膜38に設けられたコンタクトホールを介して接続する。図3に示す断面では当該コンタクトホールを示していないが、他の断面では、層間絶縁膜38に当該コンタクトホールが設けられている。例えば後述する図9にて図1のC-C断面を示すように、半導体基板10の角部の近傍において、層間絶縁膜38に当該コンタクトホールが設けられている。また、層間絶縁膜38には、フィールド電極94とガードリング92とを接続するコンタクトホールが設けられる。当該コンタクトホールも、半導体基板10の角部の近傍に設けられてよい。それぞれのフィールド電極94は電気的にフローティングである。例えば半導体装置100のゲートがオフの状態でコレクタ電極24に電圧VCEが印加された場合に、それぞれのフィールド電極94には、電圧VCEよりも低い所定の電圧が印加される。
チャネルストッパ98は、半導体基板10の端辺102および上面21に接触して設けられる。チャネルストッパ98は、ベース領域14と同じかそれよりも高濃度のP型、または、ドリフト領域18よりも高濃度のN型である。外側プレート96は、チャネルストッパ98の上方に配置され、チャネルストッパ98と電気的に接続される。外側プレート96は、不純物が添加されたポリシリコンで形成される。外側プレート96とチャネルストッパ98は、絶縁膜(図示せず)上に設けられてよく、絶縁膜に設けられたコンタクトホールを介して接続されてもよく、直接接していてもよい。チャネルストッパ98はコンタクトホールを介して外側電極97に接続してよい。
外側電極97は、外側プレート96の上方に配置される。外側電極97は、アルミニウム等の金属材料で形成される。外側電極97および外側プレート96の間には、層間絶縁膜38が設けられる。外側電極97と外側プレート96とは、層間絶縁膜38に設けられたコンタクトホールを介して接続される。当該コンタクトホールは、半導体基板10の角部の近傍に設けられてよい。外側電極97には、所定の電圧が印加される。チャネルストッパ98の電位は、コレクタ電極24の電位である。チャネルストッパ98の電位をコレクタ電極24の電位とすることで、活性部160から延びる空乏層が外側電極97により拡がりを抑えられ、半導体基板10の側面に達することを防ぐ。これにより半導体装置100の耐圧を向上させる。なお、外側プレート96は無くてもよい。この場合、チャネルストッパ98は、層間絶縁膜38に設けられたコンタクトホールを介して外側電極97と接続される。
図4は、ガードリング92および埋込絶縁膜95の近傍を拡大した図である。ガードリング92は、埋込絶縁膜95の下方まで設けられている。つまり、ガードリング92の端部203(図4ではX軸方向の端部)は、埋込絶縁膜95の下方において埋込絶縁膜95と重なっている。半導体基板10の上面21と埋込絶縁膜95の下端とのZ軸方向の距離をZ1とし、半導体基板10の上面21とガードリング92の下端とのZ軸方向の距離をZ2とする。距離Z2は、距離Z1よりも大きい。距離Z2は、距離Z1の1.5倍以上であってよく、2倍以上であってよく、3倍以上であってもよい。一方、距離Z2と距離Z1との差(Z2-Z1)は、距離Z1より小さくてもよい。これにより電界強度の緩和ができ、耐圧が向上する。
ガードリング92の間に埋込絶縁膜95を設けることにより、ガードリング92を形成するリン等のイオンのXY面における拡散が、埋込絶縁膜95により抑制され、それぞれのガードリング92の幅(図3の例ではX軸方向における幅)が小さくなる。例えば、2つの埋込絶縁膜95の間に、埋込絶縁膜95よりも浅い深さ位置に不純物イオンを注入して熱処理した場合、当該不純物の少なくとも一部は、埋込絶縁膜95よりも深い位置まで拡散してから、X軸方向に拡散することになる。このため、X軸方向における不純物の拡散が抑制される。
また、埋込絶縁膜95を設けることで、ガードリング92の端部203が上面21に露出せず、埋込絶縁膜95と接触する。比較例として、埋込絶縁膜95が存在しない場合のガードリング92を破線で示している。埋込絶縁膜95が存在しない場合のガードリング92の端部204は上面21に露出する。図4に示すように、埋込絶縁膜95を設けることで、ガードリング92のX軸方向の端部203を、半導体基板10の上面21よりも下側に配置できる。半導体基板10の上面21に近いほど、ガードリング92の幅は大きくなるので、端部203を上面21よりも下側に配置することで、ガードリング92のX軸方向の幅を小さくできる。ガードリング92の幅の縮小量は、埋込絶縁膜95の厚みZ1で調整できる。
ガードリング92の幅を小さくすることで、耐圧を維持したままガードリング92どうしの間隔を小さく設計でき、エッジ終端構造部90の幅を小さくできる。これにより、半導体装置100を小型化できる。つまり半導体装置100によれば、埋込絶縁膜95を設けることで、半導体基板10の上面21の平坦性を向上でき、且つ、XY面において半導体装置100を小さくできる。
本例の埋込絶縁膜95は、平坦部201および端部202を有する。平坦部201は、埋込絶縁膜95の下端を含み、且つ、深さがほぼ一定の領域である。平坦部201は、埋込絶縁膜95のうち、深さが0.5×Z1以上の領域であってよく、0.7×Z1以上の領域であってよく、0.9×Z1以上の領域であってもよい。端部202は、平坦部201よりも外側に配置され、平坦部201よりも深さが小さい領域である。端部202は、外側に向かって深さが徐々に減少する部分を含んでよい。ガードリング92の端部203は、平坦部201と接触してよい。これにより、ガードリング92の幅のばらつきを抑制できる。
半導体基板10の上面21から埋込絶縁膜95の下端までの深さZ1は、0.3μm以上であってよい。深さZ1を大きくすることで、ガードリング92の幅を小さくできる。深さZ1は、1μm以上であってよく、2μm以上であってもよい。深さZ1を大きくしすぎると、埋込絶縁膜95を平坦に形成することが困難になる。深さZ1は3μm以下であってよく、2μm以下であってよく、1μm以下であってもよい。
図5は、埋込絶縁膜95の他の構成例を示す図である。本例の埋込絶縁膜95は、第1の絶縁膜206と、第2の絶縁膜208とを有する。第1の絶縁膜206は、半導体基板10と接している。第1の絶縁膜206は、例えば半導体基板10を酸化または窒化した膜である。第2の絶縁膜208は、第1の絶縁膜206に積層されている。第2の絶縁膜208は、例えばCVD法で形成された堆積膜である。埋込絶縁膜95が積層構造を有することで、厚みZ1の大きい埋込絶縁膜95を容易に形成できる。このため、ガードリング92の幅を容易に小さくできる。
図6は、埋込絶縁膜95およびフィールドプレート93の形状例を示す図である。半導体基板10の上面21にリセスを形成し、当該リセスを熱酸化して埋込絶縁膜95を形成すると、埋込絶縁膜95の上面に谷部210が生じる場合がある。谷部210は、下側に窪んだ部分である。例えばリセスの底面から成長する絶縁膜と、側面から成長する絶縁膜とが交差する部分により、谷部210が生じ得る。谷部210の少なくとも一部分は、埋込絶縁膜95の端部202の上面に形成されてよい。
本例のフィールドプレート93は、埋込絶縁膜95と重なる位置において谷部214を有する。谷部214は、フィールドプレート93の上面に設けられ、半導体基板10の上面21に向かって窪んだ部分である。本例のフィールドプレート93は、谷部214よりも埋込絶縁膜95の中央(本例では位置Xc)に向かって延伸する延伸部218を有する。位置Xcは、活性部160を囲む埋込絶縁膜95の径方向(図6ではX軸方向)における、埋込絶縁膜95の中央である。延伸部218は、谷部210よりも位置Xc側に延伸してよい。
いずれかのフィールドプレート93の延伸部218は、位置Xcを超えて延伸していてもよい。例えばフィールドプレート93の活性部160側の端部を含む延伸部218は、位置Xcを超えて延伸していてよい。
図7は、半導体装置100の製造方法における一部の工程を示す図である。リセス形成段階S702では、半導体基板10の上面21にリセス232を形成する。リセス232は、エッジ終端構造部90における2つのガードリング92を形成すべき領域の間に形成する。図7の例では、半導体基板10の上面21に選択的にマスク230を形成し、マスク230で覆われていない半導体基板10の上面21にリセス232を形成する。マスク230は、酸化膜、窒化膜およびレジスト膜の少なくとも一つを含んでよい。本例では、半導体基板10の上面21に初期酸化膜を形成した後、CVD法により窒化膜を形成する。窒化膜の上にフォトレジストを塗布し、所定のパターンで露光する。露光後にフォトレジスト、窒化膜および初期酸化膜を選択的に除去して、マスク230を形成する。
次に絶縁膜形成段階S704において、半導体基板10の上面21を酸化する。S704においては、マスク230が残っている状態で、半導体基板10の上面21を酸化する。マスク230で覆われている部分は半導体基板10の上面21の酸化が進まないので、リセス232内に選択的に埋込絶縁膜95を形成できる。埋込絶縁膜95を形成した後に、マスク230を除去する。埋込絶縁膜95の上端は、半導体基板10の上面21と同じ高さ位置であることが好ましいが、これに限定されない。
次に注入段階S706において、半導体基板10の上面21にP型ドーパントのイオンを注入する。P型ドーパントは例えばボロンである。S706では、半導体基板10の上面21にマスク234を形成した状態でイオンを注入する。マスク234は、ガードリング92を形成すべき領域に開口を有する。本例では、2つの埋込絶縁膜95の間にイオンを注入する。これにより、ガードリング92を形成すべき領域に選択的にイオンを注入できる。イオンを注入した後に、半導体基板10をアニールすることで、ガードリング92を形成する。アニール温度は1000℃以上、1200℃以下であってよい。アニール時間は、1時間以上、12時間以下であってよい。高温で長時間のアニールを行うことで、埋込絶縁膜95よりも下側まで突出したガードリング92を形成できる。
なおS706においてP型ドーパントを注入する深さは、埋込絶縁膜95の下端よりも上面21側であってよい。P型ドーパントを埋込絶縁膜95よりも浅く注入することで、P型ドーパントのX軸方向の拡散が、埋込絶縁膜95により抑制される。これにより、ガードリング92のX軸方向の幅を小さくできる。また図4において説明したように、埋込絶縁膜95が存在することで、ガードリング92の端部203が上面21よりも下側に配置される。これによっても、ガードリング92のX軸方向の幅を小さくできる。本例の製造方法においては、ガードリング92の幅が小さくなることを考慮して、エッジ終端構造部90の幅を小さく設計できる。
図7の例では、リセス形成段階S702および絶縁膜形成段階S704の後に注入段階S706を行ったが、注入段階S706によりガードリング92を形成した後に、リセス形成段階S702および絶縁膜形成段階S704を行ってもよい。この場合でも、図4において説明したガードリング92の端部204がリセス形成段階S702により除去されるので、ガードリング92の幅を小さくできる。
図8は、図7に示した製造工程より後の製造工程を示す図である。埋込絶縁膜95およびガードリング92を形成した後、フィールドプレート形成段階S802において、ガードリング92の上方にフィールドプレート93を形成する。フィールドプレート93を形成する前に、半導体基板10の上面21を覆う酸化膜を形成してよい。当該酸化膜は、ゲート絶縁膜42と同一の工程で形成してよい。またS802においては、ポリシリコンで形成される他の部分(例えば、ゲート導電部44、ダミー導電部34、外周ゲート配線130-2等のゲート配線、外側プレート96等)の少なくとも一部も形成してよい。なお、注入段階S706とフィールドプレート形成段階S802の間に、活性部160の一部の形成工程があってよい。活性部160の一部の形成工程は、例えばトレンチ部の形成工程などであってよい。
次にフィールド電極形成段階S804において、フィールドプレート93の上方にフィールド電極94を形成する。フィールド電極94を形成する前に、層間絶縁膜38を形成することが好ましい。S804においては、金属材料で形成される他の部分(例えば、エミッタ電極52、外周ゲート配線130-1等のゲート配線、外側電極97等)の少なくとも一部も形成してよい。なお、フィールドプレート形成段階S802とフィールド電極形成段階S804の間に、活性部160の他の形成工程があってよい。活性部160の他の形成工程は、例えばベース領域、エミッタ領域またはコンタクト領域などの形成工程であってよい。このような工程により、半導体装置100を製造できる。
図9は、図1におけるC-C断面の一例を示す図である。C-C断面は、半導体基板10の角部の近傍における、XY面と垂直な断面である。上述したように、フィールドプレート93とフィールド電極94とは、層間絶縁膜38に設けられたコンタクトホール240を介して接続される。また、フィールド電極94およびガードリング92も、層間絶縁膜38に設けられたコンタクトホール240を介して接続される。ガードリング92は、コンタクトホール240と接する領域に、他の部分よりも高濃度のP++型のコンタクト領域242を有してよい。
フィールドプレート93は、フィールド電極94およびガードリング92を接続するコンタクトホール240を通過させるための開口を有してよい。また、外側電極97および外側プレート96も、層間絶縁膜38に設けられたコンタクトホール240を介して接続される。これらのコンタクトホール240の内部には、アルミニウムまたはタングステン等の金属材料が充填されてよい。これらのコンタクトホール240は、半導体基板10の4つの角部の近傍に設けられてよい。
チャネルストッパ98は、コンタクトホール240を介して外側電極97に接続してよい。外側電極97は、コンタクトホールを介して外側プレート96に接続してよい。コンタクトホール240下部のチャネルストッパ98の上面に、コンタクト領域242が設けられてよい。外側プレート96とチャネルストッパ98の間に絶縁膜(図示せず)を備えてよい。チャネルストッパ98の電位はコレクタ電極24の電位と同じである。半導体基板10の4つの角部の近傍において、外側電極97または外側プレート96の電位をチャネルストッパ98の電位と一致させる。これにより、リング状に形成された外側電極97が、空乏層が半導体基板の端面に達することを防ぐことができる。
図10は、B-B断面の他の例を示す図である。本例の半導体基板10には、第1導電型のドーパント(例えばリン)と、第2導電型のドーパント(例えばボロン)の両方が全体に分布している。第1導電型のドーパント濃度は、第2導電型のドーパント濃度よりも高い。つまり半導体基板10は、第1導電型(本例ではN型)の基板である。
本例の半導体装置100は、図1から図10において説明したいずれかの形態に対して、高濃度領域302を更に備える。高濃度領域302は、半導体基板10の上面21に設けられた絶縁膜の下方において、当該絶縁膜に接して設けられる。本例における当該絶縁膜は、埋込絶縁膜95である。高濃度領域302は、ドリフト領域18よりもドーピング濃度が高いN-型の領域である。
高濃度領域302は、半導体基板10の上面21に設けられた絶縁膜が、ドリフト領域18と直接接触しないように、絶縁膜の下面を覆ってよい。高濃度領域302は、ドリフト領域18よりもドーピング濃度が高い領域(例えばガードリング92、ウェル領域11等)により覆われている絶縁膜の下面には、設けられなくてよい。本例の高濃度領域302は、2つのガードリング92の間に設けられている。高濃度領域302は、最外周のガードリング92とチャネルストッパ98との間にも設けられてよい。高濃度領域302は、最内周のガードリング92とウェル領域11との間にも設けられてよい。
図11は、高濃度領域302の近傍の拡大図である。半導体基板10の上面21から、高濃度領域302の下端までの深さ方向の距離をZ3とする。距離Z3は、距離Z1より大きい。距離Z3は、距離Z2よりも小さくてよく、距離Z2と同一であってよく、距離Z2より大きくてもよい。図11の例では、距離Z3は、距離Z2よりもわずかに小さい。距離Z3は、距離Z2の1倍未満であってよく、0.9倍以下であってもよい。距離Z3は、距離Z2の0.5倍以上であってよく、0.7倍以上であってもよい。
図12は、図11のD-D線における、N型ドーパントの濃度、P型ドーパントの濃度、および、ネット・ドーピング濃度の分布例を示す図である。D-D線はZ軸と平行で、高濃度領域302およびドリフト領域18の一部を通過する。本例のN型ドーパントはリンであり、P型ドーパントはボロンである。図12の横軸は、半導体基板10の上面21を基準とした深さ位置を示している。ただし、埋込絶縁膜95の下端の深さ位置Z1を、横軸の原点としている。
上述したように、半導体基板10の全体には、リンおよびボロンの両方が分布している。リンおよびボロンの濃度差により、半導体基板10の全体的なドーピング濃度が調整されている。局所的にリンおよびボロンが注入されていない領域では、リンおよびボロンの濃度は、半導体基板10の全体でほぼ一定となる。
ただし、絶縁膜の近傍では、半導体基板10に含まれる不純物が絶縁膜に吸い出され、または、偏析することで、不純物濃度が変化する場合がある。図12の例では、埋込絶縁膜95を形成する熱酸化等の工程において、埋込絶縁膜95は、近傍領域のボロンを取り込みながら成長する。このため、埋込絶縁膜95の近傍領域のボロン濃度は、埋込絶縁膜95に向かって減少する。また、埋込絶縁膜95は、近傍領域にリンを掃きだしながら成長する。このため埋込絶縁膜95の近傍領域のリン濃度は、埋込絶縁膜95との境界に向かって上昇する。図12では、高濃度領域302を形成する前のリンの濃度分布およびネット・ドーピング濃度分布を破線で示し、高濃度領域302を形成した後のリンの濃度分布およびネット・ドーピング濃度分布を実線で示している。
埋込絶縁膜95の近傍では、リンの濃度が上昇し、ボロンの濃度が減少するので、N型領域のネット・ドーピング濃度は上昇する。このため、ボロン等のP型ドーパントが基板全体に分布しているN型の半導体基板10においては、埋込絶縁膜95の近傍におけるN型領域のネット・ドーピング濃度が大きく上昇する。ネット・ドーピング濃度の上昇幅は、製造工程によってばらついてしまうので、埋込絶縁膜95の近傍のネット・ドーピング濃度のばらつきが大きくなってしまう。
本例では、埋込絶縁膜95に接してN型の高濃度領域302を形成する。高濃度領域302のドーパント濃度は、イオン注入量等により比較的に精度よく制御できる。このため、埋込絶縁膜95の下方の領域におけるドーパント濃度は、不純物の吸い出し等によってばらつく成分だけでなく、精度よく制御できる成分が含まれる。従って、埋込絶縁膜95の下方の領域におけるネット・ドーピング濃度の制御性を向上できる。
本例では、埋込絶縁膜95の下方において埋込絶縁膜95と接しており、且つ、埋込絶縁膜95に向かって第2導電型のドーパント(本例ではボロン)の濃度が単調に減少する領域を減少領域304とする。つまり減少領域304においては、埋込絶縁膜95との距離が近いほど、第2導電型のドーパント濃度が減少する。高濃度領域302および減少領域304はエッジ終端構造部90に設けられてよい。
減少領域304におけるボロン濃度の最大値をBmax、最小値をBminとする。濃度Bmaxは、ドリフト領域18におけるボロン濃度と同一であってよい。なお、半導体基板10の深さ方向における中央の各濃度を、ドリフト領域18における各濃度として用いてもよい。また、半導体基板10の深さ方向における中央を含み、深さ方向に所定の幅を有する領域の各濃度の平均値を、ドリフト領域18における各濃度として用いてもよい。当該所定の幅は、例えば10μmであってよく、20μmであってもよい。濃度Bminは、埋込絶縁膜95との境界におけるボロン濃度であってよい。濃度Bmaxと濃度Bminとの差分をD2とする。
また、減少領域304の下端位置をZ4とする。位置Z4は、ボロン濃度が、ドリフト領域18における濃度Bmaxから下がり始める位置である。濃度が下がり始める位置が不明瞭な場合には、ドリフト領域18から埋込絶縁膜95に向かう方向において、ボロン濃度が0.9×Bmaxとなる位置を、位置Z4としてもよい。
高濃度領域302におけるリン濃度の最大値をPmax、最小値をPminとする。濃度Pminは、ドリフト領域18におけるリン濃度と同一であってよい。濃度Pmaxは、埋込絶縁膜95との境界におけるリン濃度であってもよい。濃度Pmaxと濃度Pminとの差分をD1とする。
また、高濃度領域302の下端位置はZ3である。位置Z3は、ネット・ドーピング濃度が、ドリフト領域18における濃度Ddから上がり始める位置である。濃度が上がり始める位置が不明瞭な場合には、ドリフト領域18から埋込絶縁膜95に向かう方向において、ネット・ドーピング濃度が1.1×Ddとなる位置を、位置Z3としてもよい。
上述したように、高濃度領域302におけるリン濃度の差分D1は、イオン注入量等により比較的に精度よく制御できる。一方で、減少領域304におけるボロン濃度の差分D2は、製造工程において大きくばらついてしまう。埋込絶縁膜95の近傍の領域におけるネット・ドーピング濃度の制御性は、精度よく制御できるドーパント濃度(本例では差分D1)の比率を増大させることで向上する。高濃度領域302におけるリン濃度の差分D1は、減少領域304におけるボロン濃度の差分D2よりも大きいことが好ましい。差分D1は、差分D2の2倍以上であってよく、5倍以上であってよく、10倍以上であってもよい。
一方で、高濃度領域302のリン濃度を大きくしすぎると、隣接するガードリング92のドーピング濃度に影響を与えてしまう。高濃度領域302のネット・ドーピング濃度の最大値Dmaxは、ガードリング92のネット・ドーピング濃度の最大値よりも小さくてよい。高濃度領域302のネット・ドーピング濃度の最大値Dmaxは、ガードリング92のネット・ドーピング濃度の最大値の1/10以下であってよく、1/100以下であってもよい。
また、高濃度領域302のネット・ドーピング濃度の最大値Dmaxは、ドリフト領域18におけるネット・ドーピング濃度Ddの10倍以上であってよく、20倍以上であってよく、50倍以上であってよく、100倍以上であってもよい。高濃度領域302のネット・ドーピング濃度の最大値Dmaxは、1×1014/cm以上であってよく、5×1014/cm以上であってよく、1×1015/cm以上であってもよい。
また、高濃度領域302は、減少領域304よりも下方まで設けられることが好ましい。つまり、位置Z3は、位置Z4よりも下面23側に配置されることが好ましい。これにより、減少領域304によるネット・ドーピング濃度のばらつきを低減できる。高濃度領域302の深さ方向の幅(Z3-Z1)は、減少領域304の深さ方向の幅(Z4-Z1)の1.5倍以上であってよく、2倍以上であってよく、5倍以上であってもよい。図11に示すように、高濃度領域302の下端は、ガードリング92の下端よりも半導体基板10の上面21側に配置されていてよい。
図13は、高濃度領域302の他の例を示す図である。本例の高濃度領域302の下端は、ガードリング92の下端よりも半導体基板10の下面23側に配置されている。つまり、上面21から高濃度領域302の下端までの距離Z3は、上面21からガードリング92の下端までの距離Z2よりも大きい。高濃度領域302は、活性部160にも設けられてよく、設けられなくてもよい。
図14は、B-B断面の他の例を示す図である。本例の半導体装置100は、図10から図13において説明したいずれかの構成において、埋込絶縁膜95に代えて絶縁膜195を有する。絶縁膜195は、例えば熱酸化膜である。他の構造は、図10から図13において説明したいずれかの構成と同一である。
絶縁膜195は、半導体基板10の上面21に設けられている。XY面において絶縁膜195が設けられる位置は、埋込絶縁膜95と同様である。つまり絶縁膜195は、XY面において2つのガードリング92の間に配置されている。絶縁膜195は、少なくとも一部分が、半導体基板10の上面21よりも上側に設けられている。絶縁膜195の全体が、半導体基板10の上面21よりも上側に設けられてよい。ガードリング92は、絶縁膜195の下方まで形成されている。また絶縁膜195は、図5の例と同様に、第1の絶縁膜および第2の絶縁膜が積層された膜であってもよい。
高濃度領域302は、絶縁膜195の下方において絶縁膜195と接している。本例の高濃度領域302は、半導体基板10の上面21に露出している。絶縁膜195は、上面21に露出した高濃度領域302を覆っている。絶縁膜195の下方には、図12において説明した減少領域304が形成されている。本例においても、高濃度領域302を設けることで、減少領域304によるネット・ドーピング濃度のばらつきの影響を低減できる。
図15は、B-B断面の他の例を示す図である。図14に示した構成に対して、高濃度領域302の構造が異なる。他の構造は、図14に示した例と同様である。本例の高濃度領域302は、図13において説明した高濃度領域302と同様の構造を有する。つまり本例の高濃度領域302は、ガードリング92よりも深くまで形成されている。本例においても、高濃度領域302を設けることで、減少領域304によるネット・ドーピング濃度のばらつきの影響を低減できる。
図16は、フィールドプレート93の配置例を示す図である。本例のフィールドプレート93は、下方のガードリング92に対して、活性部160側に偏って配置されている。例えばX軸方向において、フィールドプレート93の中心位置は、ガードリング92の中心位置よりも活性部160側に配置されている。
本例では、フィールドプレート93の端部のうち、活性部160側を端部311、端辺102側を端部312とする。端部311は、ガードリング92よりも活性部160側に配置されていてよい。端部312は、ガードリング92と重なる位置に配置されていてよい。少なくとも一つのフィールドプレート93が図16に示すように配置されてよく、全てのフィールドプレート93が図16に示すように配置されてもよい。本例のフィールドプレート93の配置は、図1から図15におけるいずれの形態に適用してもよい。
図17は、B-B断面の他の例を示す図である。本例のエッジ終端構造部90は、図1から図16のエッジ終端構造部90の少なくとも1つのフィールドプレート93を、ガードリング電極91に置き換えた構造を有する。他の構造は、図1から図16において説明したいずれかの態様のエッジ終端構造部90と同様である。ガードリング電極91の材料は、フィールドプレート93と同様である。一例としてガードリング電極91はポリシリコンで形成されている。それぞれのガードリング電極91は、図3のフィールドプレート93と同様に、層間絶縁膜38に設けられたコンタクトホールを介してフィールド電極94に接続されている。
図1から図16に示したフィールドプレート93のX軸方向の幅は、ガードリング92のX軸方向の幅よりも大きくてよい。つまりフィールドプレート93は、上面視において、活性部160側または半導体基板10の端辺102側のいずれかまたは両方において、ガードリング92よりも広い範囲を覆っている。これに対してガードリング電極91のX軸方向の幅Xaは、当該ガードリング電極91が接続されたガードリング92のX軸方向の幅Xbよりも小さい。上面視において、ガードリング電極91の全体は、ガードリング92と重なっている。
全てのガードリング92に対してガードリング電極91が設けられてよく、一部のガードリング92に対してガードリング電極91が設けられ、残りのガードリング92にはフィールドプレート93が設けられてもよい。一例として活性部160側に配置された1つ以上のガードリング92に対してガードリング電極91が設けられ、半導体基板10の端辺102側に配置された1つ以上のガードリング92に対してフィールドプレート93が設けられてよい。図17の例では、最外周のガードリング92に対してフィールドプレート93が設けられ、他のガードリング92にはガードリング電極91が設けられている。
図18は、B-B断面の他の例を示す図である。本例のエッジ終端構造部90は、ガードリング92のX軸方向の間隔(X1、X2、X3)が、半導体基板10の端辺102に近づくほど大きくなる点で、図1から図17の例と相違する。他の構造は、図1から図17において説明したいずれかの態様と同様である。図18においては、図17に示した構造において、ガードリング92の間隔が、外側ほど広がっている例を示している。本例では、最外周のガードリング92に対してもガードリング電極91が設けられている。
それぞれのガードリング92の間に配置される高濃度領域302のドーピング濃度は互いに同一であってよい。他の例では、それぞれのガードリング92の間に配置される高濃度領域302のドーピング濃度は、ガードリング92の間隔の増加に応じて、増加してもよい。ガードリング92の間隔が大きくなると、埋込絶縁膜95等の絶縁膜と半導体基板10とが接する面積が大きくなる。この場合、埋込絶縁膜95等の絶縁膜の近傍におけるリンの濃度およびボロンの濃度のばらつきが大きくなりやすくなる。ガードリング92の間隔に応じて高濃度領域302のドーピング濃度を高くすることで、リンの濃度およびボロンの濃度のばらつきが半導体装置100の耐圧に与える影響を、抑制できる。
図19Aは、B-B断面の他の例を示す図である。本例のエッジ終端構造部90は、拡張領域306を有する点で、図10から図18の例と相違する。また本例のエッジ終端構造部90は、ガードリング92、ガードリング電極91、フィールドプレート93およびフィールド電極94を有していない。他の構造は、図10から図18において説明したいずれかの態様と同様である。
拡張領域306は、ウェル領域11に接続されている。本例の拡張領域306は、ウェル領域11から半導体基板10の端辺102に向かって延伸して設けられている。拡張領域306のドーピング濃度は、ウェル領域11のドーピング濃度よりも低い。拡張領域306のドーピング濃度は、ベース領域14のドーピング濃度より高くてよく、低くてもよい。拡張領域306は、ウェル領域11と同一の深さまで形成されてよく、ウェル領域11より浅く形成されてよく、ウェル領域11よりも深くまで形成されてもよい。
拡張領域306よりも外側には、高濃度領域302が配置されている。高濃度領域302は、拡張領域306と接している。本例の高濃度領域302は、拡張領域306からチャネルストッパ98まで設けられている。半導体基板10の上面21から見て、高濃度領域302の下端は、拡張領域306の下端よりも浅い位置に配置されてよい。本明細書に記載した各例のエッジ終端構造部90においては、ドリフト領域18が半導体基板10の上面21に露出しなくてよい。エッジ終端構造部90における半導体基板10の上面21には、ドリフト領域18よりもドーピング濃度が高い領域が露出してよい。拡張領域306および高濃度領域302の上方には、絶縁膜195または埋込絶縁膜95等の絶縁膜が設けられる。エッジ終端構造部90においては、絶縁膜195または埋込絶縁膜95等の絶縁膜が、ドリフト領域18に接していなくてよい。
拡張領域306のドーピング濃度は比較的に低く、拡張領域306は空乏化し易い。そのため、ウェル領域11から半導体基板10の端辺102に向かう方向において、拡張領域306の電位は徐々に変化する。これにより、エッジ終端構造部90における電界の集中を緩和して、半導体装置100の耐圧を向上できる。拡張領域306のX軸方向の長さX4は、高濃度領域302のX軸方向の長さX5より大きくてよい。長さX5は、長さX4の半分以下であってよく、1/4以下であってもよい。他の例では長さX4は、長さX5と同一であってよく、長さX5より小さくてもよい。拡張領域306のドーピング濃度は、高濃度領域302より高くてよく、高濃度領域302と同一であってもよい。
一例として拡張領域306のドーピング濃度は、1×1015/cm以上、1×1017/cm以下である。一例として高濃度領域302のドーピング濃度は、1×1015/cm以下である。拡張領域306および高濃度領域302のドーピング濃度は、半導体基板10の上面21における濃度であってよく、各領域における最大濃度であってもよい。
図19Bは、B-B断面の他の例を示す図である。本例のエッジ終端構造部90は、上面21から見て、高濃度領域302の下端が、拡張領域306の下端よりも深い位置に配置されている点で、図19Aの例と相違する。つまり本例の高濃度領域302は、拡張領域306よりも深くまで設けられている。他の構造は、図19Aの例と同様である。高濃度領域302は、ウェル領域11とドリフト領域18との間にも設けられてよい。高濃度領域302は、チャネルストッパ98とドリフト領域18との間にも設けられてよい。
深さ方向(Z軸方向)において、高濃度領域302の長さZnは、拡張領域306の長さZpの1.1倍以上であってよく、1.5倍以上であってよく、2倍以上であってもよい。長さZnは高濃度領域302におけるZ軸方向の長さの最大値であり、長さZpは拡張領域306におけるZ軸方向の長さの最大値である。
図20は、B-B断面の他の例を示す図である。本例のエッジ終端構造部90は、複数の拡張領域306が、ウェル領域11から半導体基板10の端辺102に向かって配置されている点で、図19Aまたは図19Bの例と相違する。他の構造は、図19Aまたは図19Bの例と同様である。
複数の拡張領域306のうち、最も活性部160に近い拡張領域306は、ウェル領域11に接続されている。X軸方向において隣り合う2つの拡張領域306は、互いに接続していてよく、離れていてもよい。隣り合う2つの拡張領域306の、X軸方向における中央どうしの距離をXpとする。距離Xpは、半導体基板10の端辺102に近づくほど大きくなってよい。ウェル領域11側の2つ以上の拡張領域306は、互いに接続していてよい。端辺102側の2つ以上の拡張領域306は、互いに離れていてよい。
それぞれの拡張領域306のドーピング濃度は互いに同一であってよい。他の例では、拡張領域306のドーピング濃度は、ウェル領域11から離れるほど低くなってもよい。これにより、拡張領域306のX軸方向における電位分布を緩やかにできる。図19Aおよび図19Bの例においても、拡張領域306のドーピング濃度はウェル領域11から離れるほど低くなってよい。
高濃度領域302は、最も端辺102に近い拡張領域306から、端辺102(またはチャネルストッパ98)まで設けられている。高濃度領域302は、互いに離れている2つの拡張領域306の間にも設けられてよい。また高濃度領域302は、拡張領域306とドリフト領域18との間にも設けられてよい。高濃度領域302は、拡張領域306より深くまで形成されてよく、浅く形成されてもよい。
高濃度領域302が拡張領域306よりも浅い場合でも、高濃度領域302は、拡張領域306とドリフト領域18との間にも設けられてよい。図20に示すように、互いに接続されている2つ拡張領域306の接続部分307と、ドリフト領域18との間に高濃度領域302が設けられてよい。接続部分307は、上面21からの厚みが小さくなる場合がある。このため接続部分307だけでは、リン濃度またはボロン濃度がばらつきやすい範囲をカバーできない場合がある。接続部分307とドリフト領域18との間に高濃度領域302を設けることで、ドーピング濃度がばらつきやすい範囲に、ドリフト領域18よりも高濃度の領域を設けることができる。
図21は、B-B断面の他の例を示す図である。本例のエッジ終端構造部90は、拡張領域306の深さ方向における厚みZpが、ウェル領域11から離れるほど小さくなっている。他の構造は、図19Aから図20において説明したいずれかの態様と同様である。図20の例のように、複数の拡張領域306が離散的に配置されている場合でも、拡張領域306の深さ方向における厚みZpが、ウェル領域11から離れるほど小さくなってよい。このような構成においても、拡張領域306のX軸方向における電位分布を緩やかにできる。図21の例においても、拡張領域306のドーピング濃度は、ウェル領域11からの距離によらず一定であってよく、ウェル領域11から離れるほど低くなってもよい。拡張領域306のX軸方向の長さは、図19Aの例と同様である。
半導体基板10の上面21から見て、高濃度領域302の下端は、拡張領域306の下端よりも浅い位置に配置されてよい。高濃度領域302の下端は、高濃度領域302において、上面21からの距離が最大となる点である。拡張領域306の下端は、拡張領域306において、上面21からの距離が最大となる点である。
図22は、上面視における高濃度領域302の配置例を示す図である。図22では、図19Aの例の高濃度領域302を示しているが、他の例においても同様であってよい。上面視において高濃度領域302は、拡張領域306を囲んでいる。拡張領域306は活性部160の外側を囲んでおり、更に外側において高濃度領域302が拡張領域306を囲んでいる。外側とは、半導体基板10の端辺102に近い側を指す。高濃度領域302の外側にはチャネルストッパ98が配置されているが、図22では省略している。チャネルストッパ98が設けられない場合、高濃度領域302は半導体基板10の端辺102まで設けられてよい。
図10から図22において説明した各例において、高濃度領域302は、図15に示すようにウェル領域11より深くまで形成されてよく、図14に示すようにウェル領域11より浅く形成されてもよい。図1から図22において説明した各例において、絶縁膜195を埋込絶縁膜95に置き換えてよく、埋込絶縁膜95を絶縁膜195に置き換えてもよい。
図23は、高濃度領域302を備える半導体装置100の製造方法における、一部の工程を示す図である。本例では、基板準備段階S1702において、半導体基板10を準備する。例えば半導体基板10は、第1導電型のドーパントと、第2導電型のドーパントの両方が全体に分布した基板である。本明細書において、半導体基板10の全体に分布した第1導電型のドーパントを第1ドーパント、半導体基板10の全体に分布した第2導電型のドーパントを第2ドーパントと称する場合がある。第1導電型はN型、第2導電型はP型であってよい。第1ドーパントは、リン、砒素、アンチモン、水素、窒素のいずれかまたは複数であってよい。第2ドーパントは、ボロン、アルミニウム、インジウムのいずれかまたは複数であってよい。また図10に示すように、埋込絶縁膜95を形成する場合には、基板準備段階S1702において、半導体基板10にリセス232(図7参照)を形成する。リセス232を形成する方法は、図7において説明したリセス形成段階S702と同様である。
次に高濃度領域形成段階S1704において、半導体基板10の上面21の少なくとも一部の領域において、高濃度領域302を形成する。S1704においては、半導体基板10の上面21からリン等のN型ドーパントイオンを選択的に注入することで高濃度領域302を形成する。半導体基板10にリセス232を形成した場合、リセス232の底面からリン等のN型ドーパントイオンを注入する。この場合、図7に示したマスク230を、イオン注入のマスクとして用いてよい。N型ドーパントイオンを注入した後、S1704において半導体基板10を熱処理してよい。他の例では、半導体基板10の熱処理は、S1704よりも後の工程で行ってもよい。N型ドーパントイオンのドーパントは、第1ドーパントと同じであってよく、異なっていてもよい。
次に絶縁膜形成段階S1706において、半導体基板10の上面21において高濃度領域302と接して配置された絶縁膜195または埋込絶縁膜95を形成する。埋込絶縁膜95は、図7のS704と同様の方法で形成できる。絶縁膜195を形成する場合、半導体基板10の上面21の全体を熱酸化して酸化膜を形成し、選択的に酸化膜を除去することで絶縁膜195を形成してよい。他の例では、半導体基板10の上面21を選択的に熱酸化して、絶縁膜195を形成してもよい。S1706においては、絶縁膜195または埋込絶縁膜95を形成する際に、減少領域304(図12参照)も形成される。高濃度領域302を形成しているので、減少領域304のドーピング濃度への影響を低減できる。
次にP型領域形成段階S1708で、ガードリング92等のP型領域を形成する。ガードリング92等の形成方法は、図7のS706と同様である。S1708では、ウェル領域11およびチャネルストッパ98も形成してよい。このような工程により、半導体装置100を製造できる。
高濃度領域形成段階S1704においては、絶縁膜形成段階S1706における熱酸化条件に応じて、形成する高濃度領域302の深さを調整してよい。高濃度領域302の深さは、N型ドーパントイオンの注入深さ等により調整できる。熱酸化条件は、熱酸化の温度および熱酸化時間の長さの少なくとも一方である。
熱酸化条件によって、ボロンが酸化膜に取り込まれる度合いが変化する。このため、熱酸化条件によってボロン濃度が変動する深さ範囲も変動する場合がある。高濃度領域形成段階S1704では、ボロン濃度が変動する深さ範囲をカバーできるように、高濃度領域302の深さを調整してよい。
図24は、熱酸化膜の下方におけるリン濃度分布およびボロン濃度分布の一例を示す図である。本例では、全体にボロンおよびリンが均一に分布している半導体基板10の上面に熱酸化膜を形成した場合の、リン濃度分布およびボロン濃度分布を示している。本例では、2種類の熱酸化条件(条件A、B)における、各濃度分布を示している。条件Bは、条件Aよりも熱酸化温度が高く、且つ、熱酸化時間が長い。条件Aの熱酸化濃度は1000℃、熱酸化時間は115分である。条件Bの熱酸化温度は1050℃、熱酸化時間は475分である。図24の横軸は、熱酸化膜と半導体基板10との境界を基準位置とした、Z軸方向の深さ位置を示している。図24に示すように、熱酸化条件に応じて、ボロン濃度およびリン濃度が変化する範囲が変動している。条件Aでは、深さ位置0からZ1までの範囲でボロン濃度またはリン濃度の少なくとも一方が変化し、条件Bでは、深さ位置0からZ2までの範囲でボロン濃度またはリン濃度の少なくとも一方が変化している。深さ位置Z2は深さ位置Z1よりも深い位置である。
高濃度領域形成段階S1704においては、ボロン濃度またはリン濃度の少なくとも一方が変化する範囲の全体をカバーするように、高濃度領域302を形成してよい。条件Aの場合には、深さ位置Z1より深くまで高濃度領域302を形成し、条件Bの場合には、深さ位置Z2より深くまで高濃度領域302を形成してよい。これにより、ボロン濃度またはリン濃度の変化の影響を抑制できる。
図24では、条件A、Bの間で、熱酸化温度および熱酸化時間の両方を変化させている。熱酸化温度および熱酸化時間の一方を変化させた場合も、図24の例と同様に、ボロン濃度分布およびリン濃度分布が変化した。高濃度領域形成段階S1704においては、絶縁膜形成段階S1706での熱酸化温度が高いほど、高濃度領域302を深く形成してよい。高濃度領域形成段階S1704においては、絶縁膜形成段階S1706での熱酸化時間が長いほど、高濃度領域302を深く形成してよい。
図25は、バルク・ドナーおよびバルク・アクセプタの濃度分布と、ネット・ドーピング濃度分布の一例を示す図である。図25においては、高濃度領域302を形成する前の分布を示している。図25の横軸は、絶縁膜195の下端からのZ軸方向における距離を示している。高濃度領域302の第1導電型のドーパントは、第1ドーパントと同一元素であってよい。バルク・ドナーのドーパントは、第1ドーパントであってよい。バルク・アクセプタのドーパントは第2ドーパントであってよい。本例では、バルク・ドナーはリンであり、バルク・アクセプタはボロンである。高濃度領域302の第1導電型のドーパントは、第1ドーパントと異なる元素であってもよい。
図25では、バルク・ドナーの濃度Ndと、バルク・アクセプタの濃度Naとの比が異なる4つの例を示している。上述したように、バルク・ドナーおよびバルク・アクセプタの濃度は、半導体基板10の深さ方向における中央における濃度値を用いてよい。4つの例において、ドリフト領域18におけるネット・ドーピング濃度分布は同一である。リン濃度分布401、ボロン濃度分布411およびドーピング濃度分布421はNa/Ndが0.5の例であり、リン濃度分布402、ボロン濃度分布412およびドーピング濃度分布422はNa/Ndが0.4の例であり、リン濃度分布403、ボロン濃度分布413およびドーピング濃度分布423はNa/Ndが0.3の例であり、リン濃度分布404、ボロン濃度分布414およびドーピング濃度分布424はNa/Ndが0.2の例である。
図12の例と同様に、図25のいずれの例においても、絶縁膜195に向かう方向においてリン濃度は上昇し、ボロン濃度は減少する。図25のいずれの例においても、絶縁膜195との境界におけるリン濃度およびボロン濃度は、ドリフト領域18における各濃度に対して概ね30%程度変動している。絶縁膜195の近傍においては、ボロン濃度が低下するので、ネット・ドーピング濃度は、絶縁膜195との距離が小さいほど、リン濃度に近づく。
バルク・ドナー濃度Ndと、バルク・ドナー濃度Naとの差分を、バルク・ネットドーピング濃度Nnetとする。つまりバルク・ネットドーピング濃度Nnetは、下式であらわされる。
Nnet=Nd-Na 式(1a)
また、Na/Ndをαとすると、式(1a)は下式のように変形される。
Nnet=(1-α)Nd=(1/α-1)Na 式(1b)
なお本例ではNd>Naであり、α<1である。
絶縁膜195との境界におけるドナー濃度をNd_s、アクセプタ濃度をNa_sとする。絶縁膜195との境界におけるネット・ドーピング濃度Nnet_sは、下式となる。
Nnet_s=Nd_s-Na_s 式(2)
図25に示す各例では、アクセプタ濃度Na_sは、バルク・アクセプタ濃度Naの58%~62%となる。ここでは、Na_s=0.6Naとする。また式(1a)からNa_s=0.6αNdなので、式(2)は下式となる。
Nnet_s=Nd_s-0.6αNd 式(3)
また下式のように、ドナー濃度Nd_sをあらわす。
Nd_s=βNd 式(4)
図25に示す各例では、境界におけるドナー濃度Nd_sは、バルク・ドナー濃度Ndの130%~140%となるので、βは1.3~1.4である。ここでは、β=1.35とする。
式(4)から式(3)は下記のように変形できる。
Nnet_s=Nd_s-0.6αNd
=1.35Nd-0.6αNd
=(1.35-0.6α)Nd 式(5)
また式(1b)から式(5)は下記のように変形できる。
Nnet_s=(1.35-0.6α)Nd
=(1.35-0.6α)(1/(1-α))Nnet 式(6)
式(6)のように、バルク・ドナーおよびバルク・アクセプタが存在する半導体基板10を酸化した場合の、酸化膜近傍のネット・ドーピング濃度は、バルク・ネットドーピング濃度Nnetと、バルクのアクセプタ濃度およびドナー濃度の比αを用いて表すことができる。
また、高濃度領域302を形成した場合の、高濃度領域302の表面(すなわち絶縁膜195との境界)におけるネット・ドーピング濃度をNF_sとする。濃度NF_sが、濃度Nnet_sに対して十分大きければ、減少領域304(図12参照)におけるアクセプタ濃度およびドナー濃度の変動の影響を受けにくくできる。つまり、濃度NF_sは、下式を満たすことが好ましい。
NF_s≧γNnet_s 式(7)
ここでγは、1より大きい値である。一例としてγは2以上であってよく、5以上であってよく、7以上であってもよい。またγは、50以下であってよく、30以下であってよく、20以下であってもよい。本例のγは10である。
式(7)に式(6)を代入すると、下式となる。
NF_s≧γ(1.35-0.6α)(1/(1-α))Nnet 式(8)
高濃度領域302の表面におけるネット・ドーピング濃度NF_sは、式(8)を満たすことが好ましい。
図26は、濃度Nnet_sとαとの関係を示す図である。図26においては、バルク・ネットドーピング濃度Nnetを、1×1013/cm、2×1013/cm、3×1013/cm、5×1013/cm、5.41×1013/cm、7×1013/cm、1×1014/cmとした各例を示している。バルク・アクセプタ濃度Naが大きくなりαが1に近づくと、減少領域304におけるアクセプタ濃度の減少量も大きくなるので、濃度Nnet_sは大きくなる。濃度Nnet_sがαに対して変化が少なく安定値を示す領域で、耐圧が安定する効果を奏することができる。このことから、αは0.7以下であってよく、0.6以下であってよく、0.5以下であってよく、0.4以下であってよい。一方、比較的に濃度Nnet_sを高くすると、耐圧を安定化できる。このことから、αは0.01以上であってよく、0.05以上であってよく、0.1以上であってよく、0.2以上であってよく、0.3以上であってよい。
図27は、高濃度領域302におけるネット・ドーピング濃度分布の例を示す図である。図27における横軸は、絶縁膜195の下端からの距離を示している。図27においては、γ=7.8、14.5、27.9、67.6の4つの例を示している。なお各例において、α=0.5、Nnet=5.41×1013/cmである。なお濃度Nnet_sは、図26から決定できる。
図27に示す例のうち、γ=67.6の場合では、高濃度領域302の上端(深さ位置0μm)におけるネット・ドーピング濃度NF_sが大きくなりすぎてしまい、耐圧が減少してしまう。上述したように、γは50以下であってよい。
上述した例で、バルク・ネットドーピング濃度Nnetは、SR法で測定したドリフト領域18におけるネットドーピング濃度Ddを用いてよい。また、バルク・ネットドーピング濃度Nnetは、SIMS法で測定したバルク・ドナー濃度Ndおよびバルク・アクセプタ濃度Naの差分から算出してもよい。上述したように、ネットドーピング濃度Dd、バルク・ドナー濃度Ndおよびバルク・アクセプタ濃度Naは、半導体基板10の中央における値を用いてよい。
上述のように、高濃度領域302を形成することで、埋込絶縁膜95あるいは絶縁膜195下の半導体基板のネットドーピング濃度のばらつきを小さくすることができる。これにより、高濃度領域302を横切るよう(x軸方向)に空乏層が広がる場合の空乏層の伸び幅のばらつきを抑制することが可能となる。これにより、第1導電型のドーパントと、第2導電型のドーパントの両方が半導体基板の全体に分布しており、かつ絶縁膜に向かって第2導電型のドーパントの濃度が減少する半導体基板を適用した半導体装置において、特性のばらつきを抑制することが可能となる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
10・・・半導体基板、11・・・ウェル領域、12・・・エミッタ領域、14・・・ベース領域、16・・・蓄積領域、18・・・ドリフト領域、20・・・バッファ領域、21・・・上面、22・・・コレクタ領域、23・・・下面、24・・・コレクタ電極、30・・・ダミートレンチ部、32・・・ダミー絶縁膜、34・・・ダミー導電部、38・・・層間絶縁膜、40・・・ゲートトレンチ部、42・・・ゲート絶縁膜、44・・・ゲート導電部、52・・・エミッタ電極、54・・・コンタクトホール、60、61・・・メサ部、70・・・トランジスタ部、80・・・ダイオード部、81・・・延長領域、82・・・カソード領域、90・・・エッジ終端構造部、91・・・ガードリング電極、92・・・ガードリング、93・・・フィールドプレート、94・・・フィールド電極、95・・・埋込絶縁膜、96・・・外側プレート、97・・・外側電極、98・・・チャネルストッパ、100・・・半導体装置、102・・・端辺、112・・・ゲートパッド、130・・・外周ゲート配線、131・・・活性側ゲート配線、132・・・コンタクトホール、160・・・活性部、195・・・絶縁膜、201・・・平坦部、202、203、204・・・端部、206・・・第1の絶縁膜、208・・・第2の絶縁膜、210、214・・・谷部、218・・・延伸部、230・・・マスク、232・・・リセス、234・・・マスク、240・・・コンタクトホール、242・・・コンタクト領域、302・・・高濃度領域、304・・・減少領域、306・・・拡張領域、307・・・接続部分、311、312・・・端部、401、402、403、404・・・リン濃度分布、411、412、413、414・・・ボロン濃度分布、421、422、423、424・・・ドーピング濃度分布

Claims (29)

  1. 第1導電型の第1ドーパントと、前記第1ドーパントよりも低濃度の第2導電型の第2ドーパントの両方が全体に分布しており、第1導電型のドリフト領域を有する半導体基板と、
    前記半導体基板の上面に設けられた絶縁膜と、
    前記絶縁膜の下方において前記絶縁膜と接して設けられ、前記ドリフト領域よりもドーピング濃度の高い第1導電型の高濃度領域と、
    前記絶縁膜の下方において前記絶縁膜と接して設けられ、前記絶縁膜に向かって前記第2ドーパントの濃度が減少する減少領域と
    を備える半導体装置。
  2. 前記高濃度領域における第1導電型のドーパントの濃度の最大値と最小値との差分は、前記減少領域における前記第2ドーパントの濃度の最大値と最小値との差分よりも大きい
    請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記高濃度領域は、前記減少領域よりも下方まで設けられている
    請求項1に記載の半導体装置。
  4. 前記高濃度領域のネット・ドーピング濃度の最大値は、前記ドリフト領域のネット・ドーピング濃度の10倍以上である
    請求項1に記載の半導体装置。
  5. 前記高濃度領域のネット・ドーピング濃度の最大値が1×1014/cm以上である
    請求項1に記載の半導体装置。
  6. 前記半導体基板においてトランジスタ部およびダイオード部の少なくとも一方が設けられた活性部と、
    前記半導体基板において前記活性部よりも外側に設けられたエッジ終端構造部と
    を備え、
    前記高濃度領域と前記減少領域が前記エッジ終端構造部に形成されている
    請求項1から5のいずれか一項に記載の半導体装置。
  7. 前記エッジ終端構造部は、前記半導体基板の上面に接して設けられた第2導電型の複数のガードリングを有し、
    前記高濃度領域は2つのガードリングの間に配置され、
    前記絶縁膜は、前記2つのガードリングの間に配置され、
    前記高濃度領域の下端は、前記ガードリングの下端よりも前記半導体基板の上面側に配置されている
    請求項6に記載の半導体装置。
  8. 前記エッジ終端構造部は、前記半導体基板の上面に接して設けられた第2導電型の複数のガードリングを有し、
    前記高濃度領域は2つのガードリングの間に配置され、
    前記絶縁膜は、前記2つのガードリングの間に配置され、
    前記高濃度領域の下端は、前記ガードリングの下端よりも前記半導体基板の下面側に配置されている
    請求項6に記載の半導体装置。
  9. 前記絶縁膜は、少なくとも一部分が前記半導体基板の内部に埋め込まれている
    請求項6に記載の半導体装置。
  10. 前記半導体基板の前記上面から、前記絶縁膜の下端までの深さが0.3μm以上である
    請求項9に記載の半導体装置。
  11. 前記半導体基板の前記上面から、前記絶縁膜の下端までの深さが2μm以上である
    請求項9に記載の半導体装置。
  12. 前記絶縁膜が、
    第1の絶縁膜と、
    前記第1の絶縁膜に積層された第2の絶縁膜と
    を有する請求項9に記載の半導体装置。
  13. 前記ガードリングの上方から前記絶縁膜の上方まで設けられ、且つ、ポリシリコンで形成されたフィールドプレートを更に備え、
    前記フィールドプレートは、
    前記絶縁膜と重なる位置において、前記半導体基板の前記上面に向かって窪んだ谷部と、
    前記谷部よりも前記絶縁膜の中央に向かって延伸する延伸部と
    を有する請求項7に記載の半導体装置。
  14. 前記高濃度領域と前記絶縁膜との境界におけるネット・ドーピング濃度NF_s(/cm)が下式を満たす
    NF_s≧γ(1.35-0.6α)(1/(1-α))Nnet
    ただし、γは2以上の実数であり、αはバルク・アクセプタ濃度Na(/cm)とバルク・ドナー濃度Nd(/cm)との比Na/Ndであり、Nnetはバルク・ネットドーピング濃度(/cm)である
    請求項1から5のいずれか一項に記載の半導体装置。
  15. 前記αが0.7以下である
    請求項14に記載の半導体装置。
  16. 前記半導体基板の上面に接して設けられた第2導電型の複数のガードリングと、
    2つの前記ガードリングの間に配置され、少なくとも一部分が前記半導体基板の内部に埋め込まれた埋込絶縁膜と
    を備え、
    前記高濃度領域は前記2つのガードリングの間に配置され、
    前記絶縁膜は、前記2つのガードリングの間に配置され、
    前記高濃度領域の下端は、前記ガードリングの下端よりも前記半導体基板の上面側に配置され、
    前記ガードリングが、前記埋込絶縁膜の下方まで設けられている
    請求項1から5のいずれか一項に記載の半導体装置。
  17. 前記半導体基板の上面に接して設けられた第2導電型の複数のガードリングと、
    2つの前記ガードリングの間に配置され、少なくとも一部分が前記半導体基板の内部に埋め込まれた埋込絶縁膜と
    を備え、
    前記高濃度領域は2つのガードリングの間に配置され、
    前記絶縁膜は、前記2つのガードリングの間に配置され、
    前記高濃度領域の下端は、前記ガードリングの下端よりも前記半導体基板の下面側に配置され、
    前記ガードリングが、前記埋込絶縁膜の下方まで設けられている
    請求項1から5のいずれか一項に記載の半導体装置。
  18. 前記活性部は、前記エッジ終端構造部との境界に配置された第2導電型のウェル領域を有し、
    前記ウェル領域に接続され、前記ウェル領域よりもドーピング濃度が低い第2導電型の拡張領域が、前記エッジ終端構造部に設けられ、
    前記拡張領域よりも外側に前記高濃度領域が配置されている
    請求項6に記載の半導体装置。
  19. 前記半導体基板の前記上面から見て、前記高濃度領域の下端は、前記拡張領域の下端よりも深い位置に配置されている
    請求項18に記載の半導体装置。
  20. 前記高濃度領域は、前記拡張領域と前記ドリフト領域との間にも設けられている
    請求項19に記載の半導体装置。
  21. 前記高濃度領域は、前記ウェル領域と前記ドリフト領域との間にも設けられている
    請求項19に記載の半導体装置。
  22. 前記半導体基板の前記上面から見て、前記高濃度領域の下端は、前記拡張領域の下端よりも浅い位置に配置されている
    請求項18に記載の半導体装置。
  23. 前記拡張領域のドーピング濃度は、前記ウェル領域から離れるほど低い
    請求項18に記載の半導体装置。
  24. 半導体装置の製造方法であって、
    第1導電型の第1ドーパントと、第2導電型の第2ドーパントの両方が全体に分布しており、第1導電型のドリフト領域を有する半導体基板を準備する基板準備段階と、
    前記半導体基板の上面の少なくとも一部の領域において、前記ドリフト領域よりもドーピング濃度の高い第1導電型のドーパントを有する高濃度領域を形成する高濃度領域形成段階と、
    前記半導体基板の上面において前記高濃度領域と接して配置された絶縁膜と、前記絶縁膜の下方において前記絶縁膜と接しており、前記絶縁膜に向かって第2導電型のドーパントの濃度が減少する減少領域とを形成する絶縁膜形成段階と
    を備える製造方法。
  25. 前記絶縁膜形成段階において熱酸化により前記絶縁膜を形成し、
    前記絶縁膜形成段階における熱酸化条件に応じて、前記高濃度領域形成段階で形成する前記高濃度領域の深さを調整する
    請求項24に記載の製造方法。
  26. 前記第1ドーパントと、前記高濃度領域の第1導電型のドーパントは、同じ元素である
    請求項1に記載の半導体装置。
  27. 前記第1ドーパントと、前記高濃度領域の第1導電型のドーパントは、同じ元素である
    請求項24に記載の製造方法。
  28. 前記第1ドーパントと、前記高濃度領域の第1導電型のドーパントは、異なる元素である
    請求項1に記載の半導体装置。
  29. 前記第1ドーパントと、前記高濃度領域の第1導電型のドーパントは、異なる元素である
    請求項24に記載の製造方法。
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