JP2023042337A - シリカフィラー含有ポリイミドフィルム、多層ポリイミドフィルム、フレキシブル金属張積層体ならびに、フレキシブルプリント基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、FPCに求められる基本的な特性を損なうことなく、誘電率や誘電正接が小さく、それらの特性が均一に発現される、高周波回路基板に用いることが可能なポリイミドフィルムならびに多層フィルムを提供することである。【解決手段】温度23℃、湿度50%における誘電正接が0.002以下かつ、レーザー解析式粒度分布計にて測定した平均粒子径が0.3~3μm、比表面積が1m2/g~7m2/gであるシリカフィラーを、ポリイミドを100重量%としたときに10~70%重量%含むシリカフィラー含有ポリイミドであって、前記シリカフィラー含有ポリイミドフィルムの温度23℃、湿度50%における誘電正接が0.004以下であることを特徴とするシリカフィラー含有ポリイミドフィルム。【選択図】なし
Description
本発明は、高周波回路基板に好適に使用できるシリカフィラー含有ポリイミドフィルム、多層ポリイミドフィルム、フレキシブル金属張積層体ならびに、フレキシブルプリント基板に関する。
ポリイミドフィルムは、機械強度、耐熱性、電気絶縁性、耐薬品性に優れているため、電子基板材料用途で多く利用されている。例えば、ポリイミドフィルムを基板材料とし、少なくとも片面に銅箔を積層したフレキシブル銅張積層板(以下、FCCLともいう)や、さらに回路を作成したフレキシブルプリント基板(以下、FPCともいう)などが製造され、各種電子機器に使用されている。
近年の電子機器の高速信号伝送に伴う回路を伝播する電気信号の高周波化において、電子基板材料の低誘電率、低誘電正接化の要求が高まっている。電気信号の伝送損失を抑制するには、誘電率と誘電正接を低くすることが有効な為である。IoT社会の黎明期である近年、高周波化の傾向は進んでおり、例えば10GHz以上の領域においても伝送損失を抑制できるような基板材料が求められている。
高周波化に対応したポリイミドフィルムを提供する試みとして、種々の方法が提案されており、例えば、特許文献1には、主に、フレキシブル金属張積層板用絶縁樹脂層の低誘電率化を目的としており、具体的に、90モル%のピロメリット酸二無水物、10モル%の4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、100モル%の2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンから誘導されるポリイミドにポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉を含有させた絶縁層が開示されている。
特許文献2では、粗面化処理をしていない低粗度の銅箔を用いることで、フレキシブル金属張積層板の誘電率、誘電正接を下げることができると記載されている。
特許文献1に開示されるようなポリイミド樹脂へのフッ素樹脂の配合では、フッ素樹脂の均一分散化が難しい場合があり、フィルムの場所により特性がばらつきやすという課題がある。
特許文献2には、粗面化処理をしていない低粗度の銅箔を用いることがフレキシブル金属張積層板の低誘電率化、低誘電正接化に有効であることが記載されているが、ポリイミド自体の低誘電化、低誘電正接化については特定の組成の開示があるのみである。
特許文献3には、シリカ粒子の添加によって、誘電特性が改善されたポリイミドフィルムが例示されている。しかしながら、高周波用途に適応するに十分な誘電特性を発現していない。
本発明の目的は、FPCに求められる基本的な特性を損なうことなく、誘電率や誘電正接が小さく、それらの特性が均一に発現される、高周波回路基板に用いることが可能な非熱可塑ポリイミドフィルムならびに多層フィルムを提供することである。
上記の現状を鑑み、本発明者らは鋭意研究を行った結果、以下の構成により上記課題を達成しうることを見出した。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意味する。
1).温度23℃、湿度50%における誘電正接が0.002以下かつ、レーザー解析式粒度分布計にて測定した平均粒子径が0.3~3μm、比表面積が1m2/g~7m2/gであるシリカフィラーを、ポリイミドを100重量%としたときに10~70%重量%含むシリカフィラー含有ポリイミドであって、前記シリカフィラー含有ポリイミドフィルムの温度23℃、湿度50%における誘電正接が0.004以下であることを特徴とするシリカフィラー含有ポリイミドフィルム。
2).シリカフィラーの比表面積が1m2/g~5m2/g以下であることを特徴とする1)に記載のシリカフィラー含有ポリイミドフィルム。
3).熱膨張係数が、11~28ppmであることを特徴とする1)または2)に記載のシリカフィラー含有ポリイミドフィルム。
4).シリカフィラーが、ビニル基、フェニル基、フェニルアミノ基、炭素数4以上のアルキル基、メタクリル基、又はエポキシ基を有するシラン化合物による表面処理されていることを特徴とする1)~3)のいずれかに記載のシリカフィラー含有ポリイミドフィルム。
5).前記ポリイミドが、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、2,2-ビス[(3,4-ジカルボキシフェニル)フェノキシ]プロパン酸二無水物から選ばれる酸二無水物と1,4-ジアミノベンゼン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニルから選ばれるジアミンとの重縮合物であることを特徴とする1)~4)のいずれかに記載のシリカフィラー含有ポリイミドフィルム。
6).前記ポリイミドが、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、2,2-ビス[(3,4-ジカルボキシフェニル)フェノキシ]プロパン酸二無水物から選ばれる酸二無水物と1,4-ジアミノベンゼン及びT1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼンを含むジアミンとの重縮合物であることを特徴とする1)~4)のいずれかに記載のシリカフィラー含有ポリイミドフィルム。
7).1)~6)のいずれかに記載のシリカフィラー含有ポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑ポリイミド層を積層したことを特徴とする多層ポリイミドフィルム。
8).7)に記載の多層ポリイミドフィルムに金属層を設けたフレキシブル金属張積層体。
9).8)に記載のフレキシブル金属張積層体の金属層に回路を形成してなるフレキシブルプリント基板。
本発明のポリイミドフィルムは、温度23℃、湿度50%における1GHzでの誘電正接のDfが0.002以下かつ、レーザー解析式粒度分布計にて測定した平均粒子径が0.3~3μm、比表面積が1m2/g~7m2/gであるシリカフィラーを、ポリイミドを100重量%としたときに10~70%重量%含むシリカフィラー含有ポリイミドであって、前記シリカフィラー含有ポリイミドフィルムの温度23℃、湿度50%における10GHz誘電正接が0.004以下であることを特徴とする。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意味する。
まず、本発明に用いることができる温度23℃、湿度50%における誘電正接が0.002以下であるシリカフィラーについて説明する。
本発明に用いられるシリカフィラーは、1GHzにおける温度23℃、湿度50%における誘電正接が0.002以下であるシリカフィラーである。ここでいう誘電正接とは、サンプルを粉体測定用ホルダーにセットし、ネットワークアナライザー(キーサイト社製、E5071C)と空洞共振器摂動法を用いて測定した1GHzにおける値である。なお、この測定はASTMD2520(JIS C2565)に準拠して行った。
本発明のシリカフィラーの形状は、球状であることが好ましい。なお、「球状」とは、形状が真球状に近い粒子で、平均長径と平均短径の比が1又は1に近いものをいう。
本発明に用いられるシリカフィラーは、レーザー解析式粒度分布計にて測定した平均粒子径がが0.3~3μmの範囲内である。この範囲内であれば、ポリイミドフィルムに配合したときの引裂き強度の低下を抑制しつつ、誘電特性を向上させることができる。シリカフィラーの平均粒子径が0.3未満であると、誘電正接を低下させる効果が十分に得られない。一方、平均粒子径が3μmを超えると、ポリイミドフィルムに含有させたときに引裂き強度が低下する可能性がある。
また、本発明に用いられるシリカフィラーは、比表面積が1m 2 /g~7m 2 /gであることが必要で、1~5m 2 /gであることがより好ましい。7m 2 /g以下であれば、十分に誘電正接を低減することができるため好ましく、1m 2 /g以上であればポリイミドフィルムに配合したときに引裂き強度等の機械的強度を十分に担保することができるため好ましい。
なお、シリカフィラーの比表面積は、窒素によるBET法により測定することができる。
なお、シリカフィラーの比表面積は、窒素によるBET法により測定することができる。
シリカフィラーの表面には水酸基が存在している。表面処理により水酸基を低減することで、シリカフィラーの誘電正接をより低減することができる。表面処理剤としては、ビニル基、フェニル基、フェニルアミノ基、炭素数4以上のアルキル基、メタクリル基、又はエポキシ基を有するシラン化合物、特にアルコキシラン化合物であることが好ましい。表面処理を行うシラン化合物の量は特に限定しないが、表面処理前のシリカ粒子材料の表面に存在する水酸基が全て無くなる程度にすることが好ましい。これらの官能基をもつシラン化合物により表面処理することによりシリカ粒子材料内に水分が浸透することが抑制される。そのため誘電正接が低減し、高周波用途のポリイミド材料に好適に用いることができる。
本発明のシリカフィラー含有ポリイミドフィルムは、温度23℃、湿度50%における誘電正接が0.002以下であるシリカフィラーをポリイミドを100重量%としたときに10~70重量%含むことにより、温度23℃、湿度50%における10GHzの誘電正接が0.004以下となることを特徴とする。本発明に用いるシリカフィラー含有前のポリイミドフィルムの誘電正接は制限されないが、0.005以下であることが好ましく、0.004以下であることがより好ましい。
本明細書におけるシリカフィラー含有ポリイミドフィルムの誘電正接とは、サンプルを2mm×100mmに切り出し、ネットワークアナライザー(キーサイト社製、E5071C)と空洞共振器摂動法を用いて測定した10GHzにおける値である。なお、この測定はASTMD2520(JIS C2565)に準拠して行った。
本発明のシリカフィラー含有ポリイミドフィルムの製造方法の一例について詳述する。
本発明に用いられるポリイミドの前駆体であるポリアミド酸は、少なくとも一種のジアミンと少なくとも1種の酸二無水物を有機溶媒中で実質的に略等モルになるように混合、反応することにより得られる。
本発明に用いられるポリイミドの前駆体であるポリアミド酸は、少なくとも一種のジアミンと少なくとも1種の酸二無水物を有機溶媒中で実質的に略等モルになるように混合、反応することにより得られる。
本発明のシリカフィラー含有ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸に使用されるジアミンについては特に限定されるものではないが、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、2,2-ビス{4-(4-アミノフェノキシ)フェニル}プロパン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'-ジアミノジフェニルプロパン、4,4'-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル4,4'-ジアミノジフェニルメタン、4,4'-ジアミノジフェニルスルフィド、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジヒドロキシ-4,4’-ジアミノ-1,1’-ビフェニル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルビフェニル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ヒドロキシビフェニル、1,4-ジアミノベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニルなどが挙げられる。
本発明に好適に用いることができるシリカフィラー含有ポリイミドフィルムを製造するには、上記の中でも、1,4-ジアミノベンゼン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニルから選ばれるジアミンを使用することが好ましい。1,4-ジアミノベンゼン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニルは単独で用いても併用してもよい。1,4-ジアミノベンゼン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニルの使用量は、ジアミン成分100モル%に対して、1,4-ジアミノベンゼンと2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニルの和が40モル%以上100モル%以下が好ましく、70%以上がより好ましく、80モル%~95モル%の範囲で用いることがより好ましい。更に、1,4-ジアミノベンゼンおよび/または2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニルの使用に加えて1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼンを使用するとより一層の低誘電正接化を図ることができる。具体的には、ジアミン成分100モル%に対して5モル%以上使用することが好ましく、5モル%~50モル%の範囲で用いることがより好ましく、10モル%~30モル%の範囲で用いることがさらに好ましい。
また、1,4-ジアミノベンゼン及び1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼンを含むジアミンを用いることで、低誘電性正接化を図れるため好ましい。
酸二無水物についても特に限定されるものではないが、具体的には、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン酸二無水物、p-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、4,4'-オキシジフタル酸二無水物、3,4'-オキシジフタル酸二無水物、2,2-ビス[(3,4-ジカルボキシフェニル)フェノキシ]プロパン酸二無水物などが挙げられる。これらの中でも、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、2,2-ビス[(3,4-ジカルボキシフェニル)フェノキシ]プロパン酸二無水物が特に好ましい。
本発明に好適に用いることができるポリイミドを製造するには、上記の中でも、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を使用することが好ましい。3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の使用量は、酸二無水物成分100モル%に対して40モル%以上100モル%以下であることが好ましく、50モル%~70モル%の範囲で用いることがより好ましい。更に、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の使用に加えて4,4'-オキシジフタル酸二無水物を使用するとより一層の低誘電正接化を図ることができる。具体的には、酸二無水物成分100モル%に対して20モル%以上使用することが好ましく、30モル%~50モル%の範囲で用いることがより好ましい。
ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸は、上記ジアミンと酸二無水物を有機溶媒中で実質的に略等モルになるように混合、反応することにより得られる。使用する有機溶媒は、ポリアミド酸を溶解する溶媒であればいかなるものも用いることができるが、アミド系溶媒すなわちN,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンなどが好ましく、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドが特に好ましく用いられ得る。ポリアミド酸の固形分濃度は特に限定されず、5重量%~35重量%の範囲内であればポリイミドとした際に十分な機械強度を有するポリアミド酸が得られる。
原料であるジアミンと酸二無水物の添加順序についても特に限定されないが、原料の化学構造だけでなく、添加順序を制御することによっても、得られるポリイミドの特性を制御することが可能である。
上記ポリアミド酸には、摺動性、熱伝導性、導電性、耐コロナ性、ループスティフネス等のフィルムの諸特性を改善する目的で前述のシリカフィラー以外のフィラーを添加することもできる。フィラーとしてはいかなるものを用いても良いが、好ましい例としては酸化チタン、アルミナ、窒化珪素、窒化ホウ素、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、雲母などが挙げられる。
また、得られるシリカフィラー含有ポリイミドフィルムとしての特性を損なわない範囲で、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンなどの熱可塑性樹脂を混合しても良い。これら樹脂の添加方法としては、溶剤に可溶のものであれば上記ポリアミド酸に添加する方法が挙げられる。ポリイミドも可溶性のものであるなら、ポリイミド溶液に添加しても良い。溶剤に不溶のものであれば、上記ポリアミド酸を先にイミド化した後、溶融混練で複合化する方法が挙げられる。但し、ポリイミドと混合する樹脂は可溶性のものを用いることが望ましい。
次に、ポリイミドへのシリカフィラーの含有方法について述べる。ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸溶液にシリカフィラーを混合することでシリカフィラー含有ポリアミド酸を合成し、その後ポリイミドに転換することでシリカフィラー含有ポリイミドフィルムをえることができる。
ポリアミド酸溶液とシリカフィラーの混合方法は、公知の方法を用いることができ、特に限定されない。例えば、ポリアミド酸溶液を合成する前にあらかじめ溶媒に分散しておいて、シリカフィラーの分散液中でポリアミド酸を合成しても、合成したポリアミド酸溶液とあらかじめ溶媒に分散したシリカフィラー分散液を混合してもよい。均一にシリカフィラーが分散したポリアミド酸溶液を得るためには、合成したポリアミド酸溶液とシリカフィラー分散液を混合することが好ましい。
ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸をイミド化するには、熱イミド化法と化学イミド化法に大別される。熱イミド化法は、脱水閉環剤等を使用せず、ポリアミド酸溶液を製膜ドープとして支持体に流延、加熱だけでイミド化を進める方法である。一方の化学イミド化法は、ポリアミド酸溶液に、イミド化促進剤として脱水閉環剤及び触媒の少なくともいずれかを添加したものを製膜ドープとして使用し、イミド化を促進する方法である。どちらの方法を用いても構わないが、化学イミド化法の方が生産性に優れる。
脱水閉環剤としては、無水酢酸に代表される酸無水物が好適に用いられ得る。触媒としては、脂肪族第三級アミン、芳香族第三級アミン、複素環式第三級アミン等の三級アミンが好適に用いられ得る。三級アミンの中でも、β-ピコリン、γ―ピコリン、3,5-ジメチルピリジン等のβ位及び/またはγ位にアルキル基が導入されたピリジン化合物、ピリジン、イソキノリンなどが特に好ましい。
製膜ドープを流延する支持体としては、ガラス板、アルミ箔、エンドレスステンレスベルト、ステンレスドラム等が好適に用いられ得る。最終的に得られるフィルムの厚み、生産速度に応じて加熱条件を設定し、部分的にイミド化または乾燥の少なくとも一方を行った後、支持体から剥離してポリアミド酸フィルム(以下、ゲルフィルムという)を得る。
上記ゲルフィルムの端部を固定して硬化時の収縮を回避して乾燥し、ゲルフィルムから、水、残留溶媒、イミド化促進剤を除去し、そして残ったアミド酸を完全にイミド化して、ポリイミドを含有するフィルムが得られる。加熱条件については、最終的に得られるフィルムの厚み、生産速度に応じて適宜設定すればよい。
シリカフィラー含有ポリイミドフィルムの熱膨張係数は、10~40ppmであることが好ましく、11~30ppm以下であることがより好ましく、11~28ppm以下であることが更に好ましい。
本発明のシリカフィラー含有ポリイミドの前駆体の製造方法で得られたポリアミド酸をイミド化して得られたポリイミドフィルムは、接着剤を介して銅箔と積層して、フレキシブル銅張積層板とすることもできる。また、上記シリカフィラー含有ポリイミドフィルムは、多層ポリイミドフィルムの一層として、多層ポリイミドフィルムと銅箔とを積層して、フレキシブル銅張積層板とすることもできる。多層ポリイミドフィルムについて説明する。
(多層ポリイミドフィルム)
多層ポリイミドフィルムは、非熱可塑ポリイミドフィルムと、少なくとも1層以上の熱可塑性ポリイミド層を有する多層ポリイミドフィルムであり、具体例としては、非熱可塑ポリイミドフィルムの片面もしくは両面に熱可塑性ポリイミド層を有する多層ポリイミドフィルムである。
多層ポリイミドフィルムは、非熱可塑ポリイミドフィルムと、少なくとも1層以上の熱可塑性ポリイミド層を有する多層ポリイミドフィルムであり、具体例としては、非熱可塑ポリイミドフィルムの片面もしくは両面に熱可塑性ポリイミド層を有する多層ポリイミドフィルムである。
本発明のシリカフィラー含有ポリイミドフィルムは、その特性に応じて、非熱可塑性ポリイミド層および熱可塑性ポリイミド層のどちらにも用いることができる。
フレキシブルプリント配線板は、例えば前記の多層ポリイミドフィルムのような絶縁性フィルム層に、金属箔層を貼り合わされたフレキシブル金属張積層板に製造し、さらに回路パターンを形成することで得られる。接着層には従来、エポキシ樹脂やアクリル樹脂が使用されていたが、これらは耐熱性に乏しく、使用用途が限定されてしまう。しかし、接着層として熱可塑性ポリイミドを用いた2層フレキシブルプリント配線板は、耐熱性、屈曲性に優れることから需要が更に伸びることが期待される。
本発明において用いられる熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸に使用されるジアミン成分およびテトラカルボン酸二無水物成分は、前記ポリイミド層に使用しうるジアミン成分およびテトラカルボン酸二無水物成分で例示したものと同じものが挙げられるが、熱可塑性のポリイミドフィルムとするためには、屈曲性を有するジアミンと酸二無水物とを反応させることが好ましい。屈曲性を有するジアミンの例として、4,4‘-ジアミノジフェニルエーテル 、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2-ビス(4-アミノフェノキシフェニル)プロパンなどが挙げられる。またこれらのジアミンと好適に組合せられる酸二無水物の例としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸二無水物などが挙げられる。
本発明において多層ポリイミドフィルムを製造する方法としては、以下の工程
i)有機溶剤中でジアミンと酸二無水物を反応させてポリアミド酸溶液を得る工程、
iii)上記ポリアミド酸溶液を含む製膜ドープを支持体上に流延する工程、
iii)支持体上で加熱した後、支持体からゲルフィルムを引き剥がす工程、
iv)更に加熱して、残ったポリアミド酸をイミド化し、かつ乾燥させる工程、により非熱可塑性ポリイミドフィルムを製造した後、当該非熱可塑性ポリイミドフィルムを非熱可塑性ポリイミド層として用い、その少なくとも片面に、塗工などにより接着層を設ける方法がある。また、上記ii)工程において複数の流路を有する共押出しダイを使用して、非熱可塑性ポリイミド層を形成するポリイミド樹脂の前駆体を含む溶液と、接着層を形成するためのポリイミド樹脂の前駆体を含む溶液とを支持体上に流延・塗布することにより、複層の樹脂層を同時に形成する方法(共押出流延・塗布法)もある。
i)有機溶剤中でジアミンと酸二無水物を反応させてポリアミド酸溶液を得る工程、
iii)上記ポリアミド酸溶液を含む製膜ドープを支持体上に流延する工程、
iii)支持体上で加熱した後、支持体からゲルフィルムを引き剥がす工程、
iv)更に加熱して、残ったポリアミド酸をイミド化し、かつ乾燥させる工程、により非熱可塑性ポリイミドフィルムを製造した後、当該非熱可塑性ポリイミドフィルムを非熱可塑性ポリイミド層として用い、その少なくとも片面に、塗工などにより接着層を設ける方法がある。また、上記ii)工程において複数の流路を有する共押出しダイを使用して、非熱可塑性ポリイミド層を形成するポリイミド樹脂の前駆体を含む溶液と、接着層を形成するためのポリイミド樹脂の前駆体を含む溶液とを支持体上に流延・塗布することにより、複層の樹脂層を同時に形成する方法(共押出流延・塗布法)もある。
また、後述のフレキシブル金属張積層板の項目で詳述するが、金属箔上に複数のポリアミド酸溶液を順次キャストし、次いでイミド化することにより金属箔上に多層ポリイミドフィルムに相当する層を直接形成する方法(金属箔キャスト法)もある。
ii)以降の工程においては、熱イミド化法と化学イミド化法に大別される。熱イミド化法は、脱水閉環剤等を使用せず、ポリアミド酸溶液を製膜ドープとして支持体に流延、加熱だけでイミド化を進める方法である。一方の化学イミド化法は、ポリアミド酸溶液に、イミド化促進剤として脱水閉環剤及び触媒の少なくともいずれか一方を添加したものを製膜ドープとして使用し、イミド化を促進する方法である。熱イミド化法と化学イミド化法のどちらの方法を用いても構わないが、化学イミド化法の方が生産性に優れる。
脱水閉環剤としては、無水酢酸に代表される酸無水物が好適に用いられ得る。触媒としては、脂肪族第三級アミン、芳香族第三級アミン、複素環式第三級アミン等の三級アミンが好適に用いられ得る。三級アミンの中でも、β-ピコリン、γ―ピコリン、3,5-ジメチルピリジン等のβ位及び/またはγ位にアルキル基が導入されたピリジン化合物、ピリジン、イソキノリンなどが特に好ましい。
iii)以降の工程で、製膜ドープを流延する支持体としては、ガラス板、アルミ箔、エンドレスステンレスベルト、ステンレスドラム等が好適に用いられ得る。最終的に得られるフィルムの厚み、生産速度に応じて加熱条件を設定し、部分的にイミド化及び乾燥の少なくともいずれかを行った後、支持体から剥離してポリアミド酸フィルム(以下、ゲルフィルムとも称する)を得る。
iv)以降の工程で、前記ゲルフィルムの端部を固定して硬化時の収縮を回避して乾燥し、水、残留溶媒、フィルム中に残存するイミド化促進剤を除去し、そして残ったポリアミド酸を完全にイミド化して、ポリイミドを含有するフィルムが得られる。ゲルフィルムの端部は固定するだけでなく、搬送方向もしくは搬送方向に対して垂直方向に延伸してもよい。
本発明の多層ポリイミドフィルムの厚みは、12.5μm以上であることが好ましい。多層ポリイミドフィルムの厚みの上限は特にはないが、多層ポリイミドフィルムの製造のしやすさ、生産性などを考慮すると、100μm以下であることが好ましい。
イミド化には非常に高い温度が必要となるため、ポリイミド以外の樹脂層を設ける場合は、熱分解を抑えるために後者の手段を採った方が好ましい。なお、塗工により熱可塑性ポリイミドフィルムを設ける場合は、熱可塑性ポリイミドの前駆体を塗布し、その後イミド化を行ってもよいし、熱可塑性ポリイミド溶液を塗布・乾燥してもよい。また、熱可塑性ポリイミドフィルムは、上述の工程において、ポリアミック酸溶液を支持体に流延する代わりに、ポリイミド溶液を流延し、冷却することにより得てもよい。
本発明の多層ポリイミドフィルムは、非熱可塑性ポリイミドフィルムと熱可塑性ポリイミド層の厚みの割合は特に制限されないが、熱可塑性ポリイミド層の厚みは1~20μmであることが好ましく、1~10μmであることがより好ましい。
本発明の多層ポリイミドフィルムの10GHzにおける比誘電率は3.5以下で、誘電正接は0.004以下であり、50℃~250℃における線膨張係数が15~25ppmであることが好ましい。
(フレキシブル金属積層体)
本発明のシリカフィラー含有ポリイミドフィルムには、少なくとも一方の表面に乾式成膜法で製造された層を形成し、後の工程で無電解めっき層が形成するなどして直接金属層を形成するしてフレキシブル金属積層体を製造してもよい。乾式めっき法による金属層の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法などが適用できる。
本発明のシリカフィラー含有ポリイミドフィルムには、少なくとも一方の表面に乾式成膜法で製造された層を形成し、後の工程で無電解めっき層が形成するなどして直接金属層を形成するしてフレキシブル金属積層体を製造してもよい。乾式めっき法による金属層の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法などが適用できる。
また、他の手段としては以下の方法が挙げられる。
a)上述のようにして多層ポリイミドフィルムを得た後、加熱加圧により金属箔を貼り合せてフレキシブル金属箔積層体を得る手段。
b)金属箔上に、ポリアミック酸を含有する有機溶剤溶液をキャストし、加熱により溶剤除去、イミド化を行ってフレキシブル金属箔積層体を得る手段。
a)上述のようにして多層ポリイミドフィルムを得た後、加熱加圧により金属箔を貼り合せてフレキシブル金属箔積層体を得る手段。
b)金属箔上に、ポリアミック酸を含有する有機溶剤溶液をキャストし、加熱により溶剤除去、イミド化を行ってフレキシブル金属箔積層体を得る手段。
a)の手段では、得られた多層ポリイミドフィルムに、金属箔を加熱加圧(ラミネート)により貼り合せることにより、本発明のフレキシブル金属箔積層体が得られる。金属箔を貼り合せる手段、条件については、従来公知のものを適宜選択すればよい。
b)の手段では、金属箔上にポリアミック酸を含有する有機溶剤溶液をキャストする手段については特に限定されず、ダイコーターやコンマコーター(登録商標)、リバースコーター、ナイフコーターなどの従来公知の手段を使用できる。溶剤除去、イミド化を行うための加熱手段についても従来公知の手段を利用可能であり、例えば熱風炉、遠赤外線炉が挙げられる。
シリカフィラー含有ポリイミドフィルムに、他のポリイミド層を複層設ける場合、もしくはポリイミド以外の樹脂層も設ける場合は、上記キャスト、加熱工程を複数回繰り返すか、共押出しや連続キャストによりキャスト層を複層形成して一度に加熱する手段が好適に用いられ得る。
b)の手段では、イミド化が完了すると同時に、本発明のフレキシブル金属箔積層体が得られる。樹脂層の両面に金属箔層を設ける場合、加熱加圧により反対側の樹脂層面に金属箔を貼り合わせれば良い。
本発明において用いることができる金属箔としては特に限定されるものではないが、電子機器・電気機器用途に本発明のフレキシブル金属張積層板を用いる場合には、例えば、銅または銅合金、ステンレス鋼またはその合金、ニッケルまたはニッケル合金(42合金も含む)、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる箔を挙げることができる。一般的なフレキシブル積層板では、圧延銅箔、電解銅箔といった銅箔が多用されるが、本発明においても好ましく用いることができる。なお、これらの金属箔の表面には、防錆層や耐熱層あるいは接着層が塗布されていてもよい。また、上記金属箔の厚みについては特に限定されるものではなく、その用途に応じて、十分な機能が発揮できる厚みであればよい。
(フレキシブルプリント基板)
本発明に係るフレキシブル金属張積層体の金属層をエッチングして得られるフレキシブルプリント基板は、伝送速度が速く、伝送損失の小さい高周波用途に好適な回路基板となる。
本発明に係るフレキシブル金属張積層体の金属層をエッチングして得られるフレキシブルプリント基板は、伝送速度が速く、伝送損失の小さい高周波用途に好適な回路基板となる。
上述のシリカフィラー含有ポリイミドの組成につては、低熱膨張性を示す組成について述べてきたが、例えば3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼンから得られるポリミドは熱可塑性を示し、熱可塑性を示すポリイミド前駆体にシリカーフィラーを混合後、イミド化して熱可塑性のシリカフィラー含有ポリイミドフィルムとすることもできる。この場合、低誘電正接性を示し、ボンディングシートなどの用途に好適なシリカフィラー含有ポリイミドフィルムとすることもできる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、誘電率、誘電正接、線膨張係数および吸水率の評価方法は次の通りである。
<誘電率(Dk)及び誘電正接(Df)の測定>
誘電率及び誘電正接は、HEWLETTPACKARD社製のネットワークアナライザ8719Cと株式会社関東電子応用開発製の空洞共振器振動法誘電率測定装置CP511とを用いて測定した。サンプルを2mm×100mmに切り出し、23℃/50%R.H.環境下(常態)で24時間調湿後に測定を行った。測定は10GHzで行った。(常態)
誘電率及び誘電正接は、HEWLETTPACKARD社製のネットワークアナライザ8719Cと株式会社関東電子応用開発製の空洞共振器振動法誘電率測定装置CP511とを用いて測定した。サンプルを2mm×100mmに切り出し、23℃/50%R.H.環境下(常態)で24時間調湿後に測定を行った。測定は10GHzで行った。(常態)
<吸水率>
50mm×50mmに切り出した積層体を150℃×30min乾燥させ、絶乾状態での重量(w1)を測定した後、水に浸漬させた。24hr後、試験片を水から取り出し、表面の水分をふき取って重量(w2)を測定した。得られたw1、w2を用いて式(3)より吸水率を算出した。
式(3):吸水率(%)={(w2-w1)/w1}×100
50mm×50mmに切り出した積層体を150℃×30min乾燥させ、絶乾状態での重量(w1)を測定した後、水に浸漬させた。24hr後、試験片を水から取り出し、表面の水分をふき取って重量(w2)を測定した。得られたw1、w2を用いて式(3)より吸水率を算出した。
式(3):吸水率(%)={(w2-w1)/w1}×100
<線膨張係数(CTE)の測定>
線膨張係数は、SIIナノテクノ口ジ一社製熱機械的分析装置、商品名:TMA/SS6100により、-10℃~300℃まで10℃/minで昇温させた後、―10℃まで40℃/minで冷却し、さらに10℃/minで昇温させて、2回目の昇温時の、50~250℃の寸法変化から算出した。測定条件を以下に示す。
サンプル形状:幅3mm、長さ10mm
荷重:1g
測定温度範囲:-10℃~300℃
雰囲気:窒素雰囲気下
線膨張係数は、SIIナノテクノ口ジ一社製熱機械的分析装置、商品名:TMA/SS6100により、-10℃~300℃まで10℃/minで昇温させた後、―10℃まで40℃/minで冷却し、さらに10℃/minで昇温させて、2回目の昇温時の、50~250℃の寸法変化から算出した。測定条件を以下に示す。
サンプル形状:幅3mm、長さ10mm
荷重:1g
測定温度範囲:-10℃~300℃
雰囲気:窒素雰囲気下
<引裂き強度:gf/mm>
引裂き強度(トラウザー法)は、ポリイミドフィルムのTD方向25mm×MD方向70mmに切り出したサンプルのTD中央位置よりMD方向へ45mmスリットし、180°引きで引裂き強度を測定した。測定は、島津製作所製AUTOGRAPH AGS-Jを用いた。
引裂き強度(トラウザー法)は、ポリイミドフィルムのTD方向25mm×MD方向70mmに切り出したサンプルのTD中央位置よりMD方向へ45mmスリットし、180°引きで引裂き強度を測定した。測定は、島津製作所製AUTOGRAPH AGS-Jを用いた。
<使用した原料モノマーおよびその略号>
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
PDA:1,4-ジアミノベンゼン
BPDA:3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
ODPA:4,4’-オキシジフタル酸
TPR-R:1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン
BAPP:2,2-ビス{4-(4-アミノフェノキシ)フェニル}プロパン
ODA:4,4’-ジアミノジフェニルエーテル
BISDA:2,2-ビス[(3,4-ジカルボキシフェニル)フェノキシ]プロパン酸二無水物
PMDA:ピロメリット酸二無水物
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
PDA:1,4-ジアミノベンゼン
BPDA:3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
ODPA:4,4’-オキシジフタル酸
TPR-R:1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン
BAPP:2,2-ビス{4-(4-アミノフェノキシ)フェニル}プロパン
ODA:4,4’-ジアミノジフェニルエーテル
BISDA:2,2-ビス[(3,4-ジカルボキシフェニル)フェノキシ]プロパン酸二無水物
PMDA:ピロメリット酸二無水物
(合成例1)
容量1000mlのガラス製フラスコにDMF823.6gとm-TB49.8gをとり撹拌を行い、ここにODPA19.4gを添加し、30分撹拌して溶解させた。そこにBPDA36.8gを添加し1時間撹拌後、PMDA6.8gを添加し1時間撹拌後した。次に、m-TB16.6gを添加し30分撹拌後、さらにPMDA18.4gを添加し、1時間撹拌した。最後に、2.1gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調製し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が2000ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
容量1000mlのガラス製フラスコにDMF823.6gとm-TB49.8gをとり撹拌を行い、ここにODPA19.4gを添加し、30分撹拌して溶解させた。そこにBPDA36.8gを添加し1時間撹拌後、PMDA6.8gを添加し1時間撹拌後した。次に、m-TB16.6gを添加し30分撹拌後、さらにPMDA18.4gを添加し、1時間撹拌した。最後に、2.1gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調製し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が2000ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
(参考例1)
合成例1で得たポリアミド酸溶液50gに、無水酢酸8.7g/イソキノリン2.6g/DMF8.0gからなる硬化剤を20.0g添加して0℃以下の温度で攪拌・脱泡し、コンマコーターを用いてアルミ箔上に流延塗布した。この樹脂膜を110℃×133秒間乾燥させた後、ゲルフィルムをアルミ箔から引き剥がして、ゲルフィルムが収縮しないように注意しながら金属製の固定枠に固定した。金属製の固定枠に固定したゲルフィルムを、あらかじめ予熱された熱風循環オーブンで250℃15秒、350℃79秒加熱し、固定枠から切り離して厚み17μmのポリイミドフィルムを得た。
合成例1で得たポリアミド酸溶液50gに、無水酢酸8.7g/イソキノリン2.6g/DMF8.0gからなる硬化剤を20.0g添加して0℃以下の温度で攪拌・脱泡し、コンマコーターを用いてアルミ箔上に流延塗布した。この樹脂膜を110℃×133秒間乾燥させた後、ゲルフィルムをアルミ箔から引き剥がして、ゲルフィルムが収縮しないように注意しながら金属製の固定枠に固定した。金属製の固定枠に固定したゲルフィルムを、あらかじめ予熱された熱風循環オーブンで250℃15秒、350℃79秒加熱し、固定枠から切り離して厚み17μmのポリイミドフィルムを得た。
(実施例1)
シリカフィラー:アドマファイン SO-C2シリカフィラー(アドマテックス社製、粒径:0.5μm、比表面積:7m2/g、誘電正接:0.0011)をDMFに分散させ、固形分濃度25重量%となるようにDMF分散系を調整した。合成例1で合成したポリアミド酸溶液50gに得られたシリカフィラー分散液3.0gを添加し、混合した。なお、ポリイミドを100重量%としたときに、シリカフィラーが10重量%になっていた。得られたシリカフィラー含有ポリアミド酸溶液に無水酢酸8.7g/イソキノリン2.6g/DMF8.0gからなる硬化剤を22.8g添加して、0℃以下の温度で攪拌・脱泡し、コンマコーターを用いてアルミ箔上に流延塗布した。その後は参考例1と同様にし、シリカフィラー含有ポリイミドフィルムを得た。
シリカフィラー:アドマファイン SO-C2シリカフィラー(アドマテックス社製、粒径:0.5μm、比表面積:7m2/g、誘電正接:0.0011)をDMFに分散させ、固形分濃度25重量%となるようにDMF分散系を調整した。合成例1で合成したポリアミド酸溶液50gに得られたシリカフィラー分散液3.0gを添加し、混合した。なお、ポリイミドを100重量%としたときに、シリカフィラーが10重量%になっていた。得られたシリカフィラー含有ポリアミド酸溶液に無水酢酸8.7g/イソキノリン2.6g/DMF8.0gからなる硬化剤を22.8g添加して、0℃以下の温度で攪拌・脱泡し、コンマコーターを用いてアルミ箔上に流延塗布した。その後は参考例1と同様にし、シリカフィラー含有ポリイミドフィルムを得た。
(実施例2~4)
実施例1のフィラー含有量を変更する以外は実施例1と同様にしてシリカフィラー含有ポリイミドフィルムを得た。なお、シリカフィラーの添加量は表1に記載した。
実施例1のフィラー含有量を変更する以外は実施例1と同様にしてシリカフィラー含有ポリイミドフィルムを得た。なお、シリカフィラーの添加量は表1に記載した。
(実施例5~8)
用いるシリカフィラーをアドマファインSC2300―SVJ(アドマテックス社製、粒径:0.5μm、比表面積:5m2/g、誘電正接:0.0011、ビニルシランによる表面処理品)とした以外は実施例1と同様の方法でシリカフィラー含有ポリイミドフィルムを得た。なお、シリカフィラーの添加量は表1に記載した。
用いるシリカフィラーをアドマファインSC2300―SVJ(アドマテックス社製、粒径:0.5μm、比表面積:5m2/g、誘電正接:0.0011、ビニルシランによる表面処理品)とした以外は実施例1と同様の方法でシリカフィラー含有ポリイミドフィルムを得た。なお、シリカフィラーの添加量は表1に記載した。
(実施例9~12)
用いるシリカフィラーをアドマファインSC6500―SVJ(アドマテックス社製、粒径:2.7μm、比表面積:2m2/g、誘電正接:0.0004、ビニルシランによる表面処理品)とした以外は実施例1と同様の方法でシリカフィラー含有ポリイミドフィルムを得た。なお、シリカフィラーの添加量は表1に記載した。
用いるシリカフィラーをアドマファインSC6500―SVJ(アドマテックス社製、粒径:2.7μm、比表面積:2m2/g、誘電正接:0.0004、ビニルシランによる表面処理品)とした以外は実施例1と同様の方法でシリカフィラー含有ポリイミドフィルムを得た。なお、シリカフィラーの添加量は表1に記載した。
Claims (9)
- 温度23℃、湿度50%における誘電正接が0.002以下かつ、レーザー解析式粒度分布計にて測定した平均粒子径が0.3~3μm、比表面積が1m2/g~7m2/gであるシリカフィラーを、ポリイミドを100重量%としたときに10~70%重量%含むシリカフィラー含有ポリイミドであって、前記シリカフィラー含有ポリイミドフィルムの温度23℃、湿度50%における誘電正接が0.004以下であることを特徴とするシリカフィラー含有ポリイミドフィルム。
- シリカフィラーの比表面積が1m2/g~5m2/g以下であることを特徴とする請求項1に記載のシリカフィラー含有ポリイミドフィルム。
- 熱膨張係数が、11~28ppmであることを特徴とする請求項1または2に記載のシリカフィラー含有ポリイミドフィルム。
- シリカフィラーが、ビニル基、フェニル基、フェニルアミノ基、炭素数4以上のアルキル基、メタクリル基、又はエポキシ基を有するシラン化合物による表面処理されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のシリカフィラー含有ポリイミドフィルム。
- 前記ポリイミドが、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、2,2-ビス[(3,4-ジカルボキシフェニル)フェノキシ]プロパン酸二無水物から選ばれる酸二無水物と1,4-ジアミノベンゼン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニルから選ばれるジアミンとの重縮合物であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のシリカフィラー含有ポリイミドフィルム。
- 前記ポリイミドが、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、2,2-ビス[(3,4-ジカルボキシフェニル)フェノキシ]プロパン酸二無水物から選ばれる酸二無水物と1,4-ジアミノベンゼン及びT1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼンを含むジアミンとの重縮合物であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のシリカフィラー含有ポリイミドフィルム。
- 請求項1~6のいずれかに記載のシリカフィラー含有ポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑ポリイミド層を積層したことを特徴とする多層ポリイミドフィルム。
- 請求項7に記載の多層ポリイミドフィルムに金属層を設けたフレキシブル金属張積層体。
- 請求項8に記載のフレキシブル金属張積層体の金属層に回路を形成してなるフレキシブルプリント基板。
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