JP2023042267A - トリポード型等速自在継手 - Google Patents

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Abstract

【課題】 脚軸に対するローラの揺動を可能にしたトリポード型等速自在継手において、ローラおよび転動体を含むローラユニットの、脚軸に対する組み付け作業性を向上させる。【解決手段】 脚軸8に、外周面を球面状に形成した球面部8aを設け、球面部8aに針状ころ11を介してローラ4を取り付ける。ローラ4の内周面に取り付け溝15を設け、この取り付け溝15に、針状ころ11の脚軸根元側の端面と対向する内側規制部材12を嵌合させる。内側規制部材12は弾性的に拡径可能とする。自然状態の内側規制部材12の内径寸法をd、内側規制部材12の脚軸半径方向の幅寸法をH、球面部8aの外径寸法をDj、取り付け溝15の溝底面の内径寸法をDgとして、d<Dj、かつDg-2H>Djにする。【選択図】図5

Description

本発明は、自動車や各種産業機械などの動力伝達系、特に、自動車用のドライブシャフトやプロペラシャフトに組み込まれるトリポード型等速自在継手に関する。
トリポード型等速自在継手では、継手内部の摩擦力によって発生する軸力変動(誘起スラスト)が車両のNVH(Noise,Vibration,Harshness)特性を低下させる。誘起スラストの主成分である3次成分の低減を通じて車両のシャダーを軽減させるため、特許文献1および2に記載されたトリポード型等速自在継手が知られている。
特許文献1に記載されたトリポード型等速自在継手は、トラニオンジャーナルにインナローラとアウタローラを装着したもので、ダブルローラタイプとも呼ばれる。ダブルローラタイプでは、インナローラおよびアウタローラが一体となって脚軸に対して揺動可能であるため、作動角をとったトルク伝達時にも、アウタローラがトラック溝のローラ案内面と平行に転動する。そのため、誘起スラストの3次成分を低減することができる。
特許文献2に記載されたトリポード型トリポード継手は、一つの脚軸に一つのローラを設けたシングルローラタイプと呼ばれるものである。このトリポード型等速自在継手では、脚軸の外周面を脚軸の軸線上に中心を有する真球面とし、この真球面に複数の転動体を介してローラの円筒状内周面を外篏させた構造を有する。このトリポード型等速自在継手でも、ローラが脚軸に対して揺動可能であり、作動角をとったトルク伝達時には、ローラが、トラック溝内で外輪軸線と平行な姿勢を維持しつつローラ案内面に沿って転動する。従って、誘起スラストの3次成分を低減することができる。このトリポード型等速自在継手では、ローラの円筒状内周面の両端部にワッシャを装着することで、転動体の抜けを防止している。
特開2006-266413号公報 特開平10-238552号公報
しかしながら、特許文献1に記載のトリポード型等速自在継手は、二つのローラを使用するため、部品点数の増加によるコストアップが問題となる。
特許文献2に記載のトリポード型等速自在継手は、シングルローラタイプであるため、特許文献1のトリポード型等速自在継手に比べれば、部品点数の削減による低コスト化を図ることができる。その一方で、このトリポード型等速自在継手を組み立てる際には、組立作業性が低下する問題がある。これは、ローラの内周に転動体を組み込んだローラユニットを脚軸に取り付けた後、ローラユニット付きのトリポード部材を外側継手部材の内部に挿入するまでの間は、転動体およびローラが脚軸から脱落可能な状態にあるため、そのような脱落を防止するための措置が必要になることによる。
そこで、本発明は、脚軸に対するローラの揺動を可能にしたトリポード型等速自在継手において、ローラおよび転動体を含むローラユニットの脚軸に対する組み付け作業性を向上させることを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、円周方向の三カ所に軸方向に延びるトラック溝を備え、各トラック溝が円周方向に対向して配置された一対のローラ案内面を有する外側継手部材と、前記外側継手部材の内部に収容され、半径方向に突出した三つの脚軸を有するトリポード部材と、前記各脚軸に取り付けられたローラと、前記ローラを脚軸に対して回転自在に支持する複数の転動体と、前記ローラの内周面に設けた取り付け溝に嵌合され、前記転動体の脚軸根元側の端面と対向する内側規制部材とを備え、前記脚軸に、外周面を球面状に形成した球面部を設け、前記球面部の外径側に前記ローラが配置され、前記脚軸に対してローラを揺動可能としたトリポード型等速自在継手において、前記内側規制部材が弾性的に拡径可能であり、自然状態の前記内側規制部材の内径寸法をd、前記内側規制部材の脚軸半径方向の幅寸法をH、前記球面部の外径寸法をDj、前記取り付け溝の溝底面の内径寸法をDgとして、d<Dj、かつDg-2H>Djにしたことを特徴とするものである。
トリポード部材の各脚軸には、ローラの内周面に内側規制部材を装着し、さらにローラの内周に転動体を収容したローラユニットが装着される。ローラユニットの脚軸への装着は、脚軸の軸端に押し当てたローラユニットを脚軸の軸線方向に沿って押し込むことで行われる。上記の構成から、脚軸の球面部に押し付けられた脚軸根元側の内側規制部材がローラユニットの押し込みに伴って弾性的に拡径する。この際、Dg-2H>Djに設定しているので、拡径後の内側規制部材の内周面は球面部を通過可能となる。内側規制部材が、脚軸の球面部のうち、最も脚軸の半径方向に張り出した部分を通過すると、内側規制部材が弾性的に復元して、ローラユニットの脚軸への組み付けが完了する。ローラユニットの組み付け後は、内側規制部材の内径寸法dが脚軸の球面部分の外径寸法Djよりも小さいため、ローラユニットに外側継手部材の外径方向に向かう外力が作用しても、内側規制部材が脚軸の球面部と干渉する。そのため、ローラユニットが脚軸から脱落することはない。従って、各脚軸へのローラユニットの組み付け後、外側継手部材の内部にトリポード部材を収容するまでの間は、ローラユニットの脱落および分解を回避することができる。
このトリポード型等速自在継手においては、前記ローラの外周面の母線を曲率半径rの円弧とし、当該曲率半径rを前記ローラの外周面の半径寸法Rrよりも小さくすることができる。
このようにr<Rrとした場合、前記ローラ案内面の外側継手部材の半径方向に沿う断面を曲率半径Rの円弧とし、かつr>Rにすることができる。
かかる構成であれば、低トルク負荷状態では、ローラとローラ案内面が二点接触するため、ローラ案内面の延びる方向から傾いたローラに回復偶力を与えることができる。また、高トルク負荷状態では、弾性変形により、ローラとローラ案内面がベタ当たりするため、接触面圧を小さくすることができる。
かかる効果を得るため、破損トルクの1/3のトルク負荷の状態で、前記ローラおよび前記ローラ案内面を弾性変形によりベタ当たりさせ、このベタ当たりとなる範囲内の前記ローラの外周面の母線半径最小値をr1、母線半径最大値をr2として、前記ローラの外周面の母線曲率半径rを、r1<r<r2の範囲内に設定するのが望ましい。
また、前記ローラ案内面の外側継手部材の半径方向に沿う断面を曲率半径Rの円弧とし、かつr<Rにすることもできる。
かかる構成であれば、高トルク負荷状態では、ローラが、その外周面の曲率半径をローラの半径寸法よりも小さくした円環ローラであるため、ローラの転がり方向が外側継手部材の軸方向に対して傾いた際にも、R<rの場合と同様に、ローラの外周面とローラ案内面とが二点接触状態となる。これにより、ローラに回復偶力を作用させることが可能となる。
前記ローラ案内面と前記ローラの接触率R/rは、0.95≦R/r≦1.05の範囲に設定することができる。
以上に述べた各構成は、前記ローラの内周面を前記転動体が転動する外側転動面とし、前記脚軸の球面部を前記転動体が転動する内側転動面とした、シングルローラタイプのトリポード型等速自在継手に適用することができる。
また、前記転動体と前記脚軸の球面部との間にインナリングを配置し、前記ローラの内周面を前記転動体が転動する外側転動面とし、前記インナリングの外周面を前記転動体が転動する内側転動面とした、ダブルローラタイプのトリポード型等速自在継手にも適用することができる。
本発明によれば、脚軸に対するローラの揺動を可能にしたトリポード型等速自在継手において、ローラおよび転動体を含むローラユニットの脚軸に対する組み付け作業性を向上させることができる。
トリポード型等速自在継手の軸方向に沿った断面図である。 ローラ中心Oを含み、かつ外側継手部材の軸方向と直交する方向に沿う断面図である。 作動角をとった、図1のトリポード型等速自在継手の断面図である。 図2に示されるトリポード型等速自在継手のローラの周辺構造を拡大して示す断面図である。 図4の要部を拡大して示す断面図である。 図2のトリポード型等速自在継手におけるローラとローラ案内面を拡大して示す断面図である。 第二実施形態におけるローラの周辺構造を拡大して示す断面図である。 図7の要部を拡大して示す断面図である。
以下、図1~図8を参照しつつ、本発明の実施形態に係るトリポード型等速自在継手について説明する。
図1および図2に、本実施形態(第一実施形態)に係るトリポード型等速自在継手を示す。図1及び図2に示すように、本実施形態に係るトリポード型等速自在継手1は、カップ状の外側継手部材2と、外側継手部材2の内部に収容された内側継手部材としてのトリポード部材3と、トリポード部材3に取り付けられたローラ4とを備えている。
外側継手部材2はカップ状をなしており、その円筒状内周面2aには、外側継手部材2の軸方向に伸びる3本の直線状のトラック溝6が、外側継手部材2の円周方向の3箇所に等間隔で形成されている。各トラック溝6は、その両側壁に、外側継手部材2の円周方向で互いに対向する一対のローラ案内面6aを有する。ローラ案内面6aは、外側継手部材2の軸方向に沿って直線状に延びている。ローラ案内面6aは、外側継手部材2の半径方向に沿う断面が凹円弧状をなすように形成される。
トリポード部材3は、円筒状をなす胴部7(トラニオン胴部)と、胴部7の外周面から外側継手部材2の外径方向に向けて突出した3本の脚軸8(トラニオンジャーナル)とを一体に有する。脚軸8は、胴部7の円周方向3箇所に等間隔で形成されている。脚軸8は、各トラック溝6に一つずつ収容され、その先端はトラック溝6の底部付近まで延びている。脚軸8には、脚軸8の軸線と外側継手部材2のPCDとの交点O(以下、ローラ中心と呼ぶ)を中心とする球面状の球面部8aが形成されている。胴部7の軸孔7aにシャフト9の軸端部9aがスプライン嵌合により結合され、止め輪10によりトリポード部材3に対してシャフト9の抜け止めがなされている。
各脚軸8の球面部8aには、複数の転動体、例えば複数の針状ころ11を介してローラ4が回転自在に装着される。ローラ4は、脚軸8の球面部8aの外径側に配置される。ローラ4の内周面は円筒面状に形成されている。ローラ4の外周面は、その母線が凸円弧状をなすように形成される。
複数の針状ころ11は、ローラ4の内周面と脚軸8の外周面との間に、保持器のない、いわゆる単列総ころ状態で配置されている。本実施形態において、脚軸8の球面部8aは針状ころ11が転動する内側転動面を構成し、ローラ4の内周面は針状ころ11が転動する外側転動面を構成する。
脚軸8の球面部8aは、ローラ中心Oを中心とする球面状に形成されている。そのため、ローラ4および針状ころ11を含むローラユニットは、脚軸8に対して揺動可能となる。つまり、脚軸8の軸線を含む平面内で、脚軸8の軸線に対してローラユニットの軸線は傾くことができる(図3参照)。
なお、脚軸8の球面部8aの球面中心と、脚軸8の軸線と外側継手部材2のPCDとの交点O(ローラ中心)とが一致していなくてもよい。車両にトリポード型等速自在継手を取り付けた際に、常用作動角付近や加速時の作動角付近で、継手が1回転する間の球面部8aの中心の平均位置をローラ中心Oと一致させても良い。
各ローラ4の内周面には、脚軸8の軸方向に離間して環状の規制部材12,13が設けられる。規制部材12,13は、針状ころ11を挟んで脚軸8の軸方向両側に配置される。規制部材12,13は脚軸8の半径方向で弾性的に拡径可能な部材であり、このような規制部材12,13として、例えば止め輪(C型止め輪)を使用することができる。
規制部材12,13のうち、一方は針状ころ11の脚軸根元側の端面と対向する内側規制部材12であり、他方は針状ころ11の脚軸先端側の端面と対向する外側規制部材13である。規制部材12,13との接触により、針状ころ11は、脚軸8の軸方向両側への移動が規制される。そのため、ローラ4と針状ころ11とが互いに分離する事態を防止することができる。各規制部材12,13は、図4に示すように、例えば、ローラ4の内周面に形成された環状の取り付け溝15にそれぞれ嵌合させることで、ローラ4に取り付けられている。
以下、本実施形態に係るトリポード型等速自在継手1の特徴を説明する。
このトリポード型等速自在継手では、ローラ4およびローラ4の内周に組み込んだ針状ころ11を含むローラユニットが、脚軸8への組み付け後に脚軸8から容易に脱落できないようにした点に特徴がある。
図4に示すように、内側規制部材12および外側規制部材13は、拡径方向の外力が作用しない自然状態において、それらの内径寸法d(直径寸法)が脚軸8の球面部8aの外径寸法(Dj:図1参照)よりも小さくなるように形成される(d<Dj)。なお、内側規制部材12および外側規制部材13の各内径寸法dの下限値は、図3に示すように、トリポード型等速自在継手1が最大作動角をとった時にも、両規制部材12,13が脚軸8の球面部8aと干渉しないように定められる。
また、図5に示すように、内側規制部材12および外側規制部材13を自然状態にした状態で、各規制部材12,13の外周面と取り付け溝15の溝底面との間に脚軸8の半径方向の隙間cが設けられている。この隙間cにより、取り付け溝15に取り付けた各規制部材12,13の弾性的な拡径変形が許容される。この場合において、各規制部材12,13の幅寸法(脚軸8の軸線と直交する方向の寸法)をHとし、取り付け溝15の溝底面の内径寸法(直径寸法)をDgとして、Dg-2H>Djに設定される。
トリポード型等速自在継手1の組立工程において、トリポード部材3の各脚軸8には、ローラ4の内周面に規制部材12,13を装着し、さらに規制部材12,13の間に針状ころ11を配置したローラユニットが装着される。ローラユニットの脚軸8への装着は、脚軸8の軸端に押し当てたローラユニットを脚軸8の軸線方向に沿って押し込むことで行われる。上記の構成から、脚軸8の球面部8aに押し付けられた脚軸根元側の内側規制部材12がローラユニットの押し込みに伴って弾性的に拡径する。この時、内側規制部材12は、その外周面が取り付け溝15の溝底面に接するまで拡径することができる。この際、Dg-2H>Djに設定しているので、拡径後の内側規制部材12の内周面は球面部8aを通過可能となる。内側規制部材12が、脚軸8の球面部8aのうち、最も脚軸8の半径方向に張り出した部分を通過すると、内側規制部材12が弾性的に縮径方向に復元して、図4および図5に示す自然状態となり、ローラユニットの脚軸8への組み付けが完了する。
ローラユニットの組み付け後は、内側規制部材12の内径寸法dが脚軸8の球面部分の外径寸法Djよりも小さい(d<Dj)ため、ローラユニットに外側継手部材2の外径方向に向かう外力(引き抜き力)が作用しても、内側規制部材12が脚軸8の球面部8aと干渉する。そのため、ローラユニットが脚軸8から脱落することはない。従って、各脚軸8へのローラユニットの組み付け後、外側継手部材2の内部に、ローラユニット付きのトリポード部材3を収容するまでの間は、ローラユニットの脱落および分解を回避することができる。そのため、トリポード型等速自在継手1の組立作業性を向上させることが可能となる。
なお、工具等を使用してローラユニットに大きな引き抜き力を作用させれば、球面部8aにガイドされた内側規制部材12が拡径方向に弾性変形するため、ローラユニットを脚軸8から取り外すことができる。従って、トリポード型等速自在継手1のメンテナンス性や補修作業性を害することもない。
以上の説明では、ローラ4とは別部材の外側規制部材13をローラ4に取り付けるようにしているが、ローラの内周面に外側規制部材13に相当する鍔部を設けることで、外側規制部材13をローラ4と一体化させることもできる。この場合、内側規制部材12およびその取り付け溝15についてのみ、d<DjおよびDg-2H>Djを満たすように各寸法を定めれば、上記と同様の効果を得ることができる。
本発明者は、以上に述べたトリポード型等速自在継手1のトルク伝達機能を最適化させるため、ローラ案内面6a、ローラ4の外周面、および球面部8aの形状を検討した。その検討結果を図6に基づいて説明する。なお、図6は、脚軸8の軸線と、ローラ案内面6およびローラ4の外周面の接触点Cとを含む断面において、ローラ4とローラ案内面6aとの接触部を拡大して示すものである。
図6に示すように、ローラ4の外周面と接する外側継手部材2のローラ案内面6aは、曲率半径Rの円弧状に形成される。また、ローラ4の外周面の母線は、曲率半径rの円弧状をなす。ローラ案内面6aの曲率中心ORおよびローラ4の外周面の曲率中心Orは、脚軸8の軸線および接触点Cを含む断面上における、ローラ中心O(図2参照)から脚軸8の軸線と直交する方向に延びた直線P(ローラ中心線と呼ぶ)上にある。これらの曲率半径R,rは、図2に示すローラ4の外周面の半径寸法Rr(最大半径寸法)よりも小さい。なお、このようにローラ4の外周面の曲率半径rをローラ4の半径寸法Rrよりも小さくしたローラは「円環ローラ」と呼ばれる。
図6では、ローラ案内面6aの曲率半径Rを、ローラ4の外周面の母線曲率半径rよりも小さくした場合が例示されているが(R<r)、これとは逆に、ローラ案内面6aの曲率半径Rを、ローラ4の外周面の母線曲率半径rより大きくしてもよい(R>r)。この理由については後で述べる。なお、図6において、ローラ中心Oは、図示の便宜上、実際の位置よりもローラ中心線P上で曲率中心OR、Or寄りにずらした位置に描かれている。
図6に示すように、ローラ案内面6aの曲率半径Rを、ローラ4の外周面の母線曲率半径rよりも小さくすると(R<r)、低トルク負荷時は、ローラ4の外周面とローラ案内面6aとが二カ所の接触点Cで接触する。これにより、トルク伝達中にローラ4がローラ案内面6aに対して傾いた時でも、ローラ4には、外側継手部材2の軸方向と平行な方向に戻す力(回復偶力)が作用する。
図4に示すように、トリポード型等速自在継手1が作動角をとって回転すると、外側継手部材2の軸線に対してトリポード部材3の軸線は傾斜するが、ローラ4が揺動可能であり、しかもローラ4に回復偶力が作用するため、ローラ4とローラ案内面6aとが斜交した状態になることを回避し、ローラ4をローラ案内面6aに対して外側継手部材2の軸線方向に転動させることができる。従って、誘起スラストやスライド抵抗の低減を図ることが可能となり、トリポード型等速自在継手1の低振動化を実現することができる。
また、高トルク負荷時には、ローラ4と外側継手部材2の接触部が弾性変形するため、ローラ4とローラ案内面6aが、少なくとも二つの接触点C間の領域でベタ当たりした状態となる。これにより、ローラ4とローラ案内面6aの接触面積が増大するため、接触面圧を小さくくすることができ、ローラ案内面6aおよびローラ4の外周面の摩耗を抑制することが可能となる。
以上の効果を奏するため、ローラ4の外周面の母線曲率半径rは、トリポード型等速自在継手1の破損トルクの3分の1のトルク負荷状態下でローラ4とローラ案内面6aが弾性変形することにより、両者がベタ当たりとなる範囲内のローラ4の外周面の母線曲率半径の最小値をr1、最大値をr2としたとき、r1≦r≦r2の範囲内に設定するのが好ましい。なお、トリポード型等速自在継手1に過大なトルクを与えた場合、シャフト9の最小径部(図1の領域X付近)で破損するの一般的であるから、ここでいう「破損トルク」は、シャフト9の最小径部で破損が生じた時の入力トルクを意味する。
r1≦r≦r2の範囲は、破損トルクの3分の1のトルク負荷状態下だけでなく、これ以下のトルク負荷状態下において、上記と同様の手法で定めてもよい。なお、破損トルクの10分の1よりも小さいトルク負荷状態では、ベタ当たり領域を形成することが難しくなるため、破損トルクの10分の1以上のトルク負荷状態でr1≦r≦r2の範囲を定めるのが好ましい。
図6とは異なり、ローラ案内面6aの曲率半径Rを、ローラ4の外周面の曲率半径rよりも大きくすると(R>r)、低トルク負荷時は、ローラ4の外周面とローラ案内面6aとが一点で接触する。高トルク負荷状態では、ローラ4が、その外周面の曲率半径rをローラ4の半径寸法Rrよりも小さくした円環ローラであるため、ローラ4の転がり方向が外側継手部材2の軸方向に対して傾いた際にも、R<rの場合と同様に、ローラ4の外周面とローラ案内面6aとが二点接触状態となる。これにより、ローラ4に回復偶力が作用するため、ローラ4をローラ案内面6aに対して外側継手部材2の軸線方向に転動させることができ、誘起スラストの低減を図ることができる。
このように本実施形態において、ローラ案内面6aの曲率半径Rと、ローラ4の外周面の曲率半径rは、R<rとR>rの何れにも設定することができる。ローラ案内面6aとローラ4の接触率(R/r)は、0.95≦R/r≦1.05の範囲にするのが好ましい。
図6に示すように、ローラ4の外周面のうち、曲率半径rを有する母線の両端に、母線曲率半径rよりも小さい母線曲率半径r3,r4を有する逃がし部41,42を形成することもできる。逃がし部41,42は、母線曲率半径rの領域に滑らかにつながっている。これにより、ローラ4の外周面のうち、脚軸8の軸線方向の両端でのエッジロードの発生を低減することが可能となる。
次に、図7および図8に基づいて、本発明の第二実施形態を示す。
図1~図6に示す第一実施形態では、一つの脚軸8に一つのローラ4を設けたシングルローラタイプのトリポード型等速自在継手を例示したが、本発明は、図7に示すように、ローラとしてのアウタローラ4に加えてインナリング17を具備し、アウタローラ4の内周面とインナリング17の間に針状ころ11を介在させたダブルローラタイプのトリポード型等速自在継手にも適用することができる。すなわち、図7および図8に示すように、内側規制部材12の内径寸法(直径寸法)をd、脚軸8の球面部8aの外径寸法をDjとしてd<Djとし、内側規制部材12の幅寸法をHとし、アウタローラ4の内周面に形成した取り付け溝15の溝底の内径寸法(直径寸法)をDgとして、Dg-2H>Djに設定する。これにより、図1~図6に示す第一実施形態と同様の効果を得ることができる。
本発明は上述の各実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論である。例えば、ローラ案内面6aの断面形状を単一円弧とした場合を例示したが、ローラ案内面6aの断面形状は、二つの円弧からなるゴシックアーチ形状としてもよい。
1 トリポード型等速自在継手
2 外側継手部材
3 トリポード部材
4 ローラ
6 トラック溝
6a ローラ案内面
7 胴部
8 脚軸
9 シャフト
11 転動体(針状ころ)
12 内側規制部材
15 取り付け溝

Claims (8)

  1. 円周方向の三カ所に軸方向に延びるトラック溝を備え、各トラック溝が円周方向に対向して配置された一対のローラ案内面を有する外側継手部材と、前記外側継手部材の内部に収容され、半径方向に突出した三つの脚軸を有するトリポード部材と、前記各脚軸に取り付けられたローラと、前記ローラを脚軸に対して回転自在に支持する複数の転動体と、前記ローラの内周面に設けた取り付け溝に嵌合され、前記転動体の脚軸根元側の端面と対向する内側規制部材とを備え、
    前記脚軸に、外周面を球面状に形成した球面部を設け、前記球面部の外径側に前記ローラが配置され、前記脚軸に対してローラを揺動可能としたトリポード型等速自在継手において、
    前記内側規制部材が弾性的に拡径可能であり、自然状態の前記内側規制部材の内径寸法をd、前記内側規制部材の脚軸半径方向の幅寸法をH、前記球面部の外径寸法をDj、前記取り付け溝の溝底面の内径寸法をDgとして、d<Dj、かつDg-2H>Djにしたことを特徴とするトリポード型等速自在継手。
  2. 前記ローラの外周面の母線が曲率半径rの円弧をなし、当該曲率半径rが前記ローラの外周面の半径寸法Rrよりも小さい請求項1に記載のトリポード型等速自在継手。
  3. 前記ローラ案内面の外側継手部材の半径方向に沿う断面が曲率半径Rの円弧をなし、かつr>Rにした請求項2に記載のトリポード型等速自在継手。
  4. 破損トルクの1/3のトルク負荷の状態で、前記ローラおよび前記ローラ案内面が弾性変形によりベタ当たりし、このベタ当たりとなる範囲内の前記ローラの外周面の母線半径最小値をr1、母線半径最大値をr2として、前記ローラの外周面の母線曲率半径rを、r1<r<r2の範囲内に設定した請求項3に記載のトリポード型等速自在継手。
  5. 前記ローラ案内面の外側継手部材の半径方向に沿う断面が曲率半径Rの円弧をなし、かつr<Rにした請求項2に記載のトリポード型等速自在継手。
  6. 前記ローラ案内面と前記ローラの接触率R/rを、0.95≦R/r≦1.05の範囲にした請求項2に記載のトリポード型等速自在継手。
  7. 前記ローラの内周面を前記転動体が転動する外側転動面とし、前記脚軸の球面部を前記転動体が転動する内側転動面とした請求項1~6何れか1項に記載のトリポード型等速自在継手。
  8. 前記転動体と前記脚軸の球面部との間にインナリングを配置し、前記ローラの内周面を前記転動体が転動する外側転動面とし、前記インナリングの外周面を前記転動体が転動する内側転動面とした請求項1~6何れか1項に記載のトリポード型等速自在継手。
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