JP2023041086A - 信号処理装置及び伝送装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 所定チャネルの信号光のパワーの測定誤差を低減することができる信号処理装置及び伝送装置を提供する。【解決手段】 信号処理装置は、波長多重信号光内の複数チャネルの信号光の周波数間隔より広い受信帯域で受信される所定チャネルの信号光の電界成分を示す電界信号を時間領域の信号から周波数領域の信号に変換する第1変換部と、周波数領域の電界信号を受信帯域より狭い透過帯域により透過するフィルタ部と、フィルタ部により透過された電界信号を周波数領域の信号から時間領域の信号に変換する第2変換部と、第1変換部からフィルタ部に入力される電界信号の第1振幅、及びフィルタ部から第2変換部に入力される電界信号の第2振幅を測定する振幅測定部と、所定チャネルの信号光のパワーを測定するパワー測定装置に、パワーの測定誤差の補正に用いられる第1及び第2振幅を通知する通知部とを有する。【選択図】図1

Description

本件は、信号処理装置及び伝送装置に関する。
例えば特許文献1には、デジタルコヒーレント光伝送される波長多重信号光に含まれる複数チャネルの信号光のうち、所定チャネルの信号光のパワーを、その信号光から光電変換された電気信号を増幅する増幅器の利得に基づき測定する技術が開示されている。
特開2015-214384号公報
信号光の伝送距離及び伝送容量に応じた適切なボーレートを複数のボーレートから選択することができる可変ボーレートのデジタルコヒーレント光受信器がある。この種のデジタルコヒーレント光受信器には、選択可能な最大ボーレートの信号光の受信帯域に対応する光部品及び電気部品が設けられる。
最大ボーレート未満のボーレートが選択された場合、受信された信号光の周波数帯域は受信帯域より狭くなる。この場合、デジタルコヒーレント光受信器には、受信対象の所定チャネルの光信号だけではなく、隣接チャネルの信号光の成分が含まれるため、所定チャネルの信号光のパワーの測定値に誤差が生ずるおそれがある。
そこで本件は、所定チャネルの信号光のパワーの測定誤差を低減することができる信号処理装置及び伝送装置を提供することを目的とする。
1つの態様では、信号処理装置は、波長多重信号光に含まれる複数チャネルの信号光のうち、前記複数チャネルの信号光の周波数間隔より広い受信帯域で受信される所定チャネルの信号光の電界成分を示す電界信号を時間領域の信号から周波数領域の信号に変換する第1変換部と、周波数領域の信号に変換された前記電界信号を前記受信帯域より狭い透過帯域により透過するフィルタ部と、前記フィルタ部により透過された前記電界信号を周波数領域の信号から時間領域の信号に変換する第2変換部と、前記第1変換部から前記フィルタ部に入力される前記電界信号の第1振幅、及び前記フィルタ部から前記第2変換部に入力される前記電界信号の第2振幅をそれぞれ測定する振幅測定部と、前記所定チャネルの信号光のパワーを測定するパワー測定装置に、前記所定チャネルの信号光のパワーの測定誤差の補正に用いられる前記第1振幅及び前記第2振幅を通知する通知部とを有する。
1つの態様では、伝送装置は、波長多重信号光に含まれる複数チャネルの信号光のうち、所定チャネルの信号光を前記複数チャネルの信号光の周波数間隔より広い受信帯域で受信し、前記所定チャネルの信号光の電界成分を示す電界信号を出力する受光部と、前記所定チャネルの信号光のパワーを測定するパワー測定部と、前記電界信号を時間領域の信号から周波数領域の信号に変換する第1変換部と、周波数領域の信号に変換された前記電界信号を前記受信帯域より狭い透過帯域により透過するフィルタ部と、前記フィルタ部により透過された前記電界信号を周波数領域の信号から時間領域の信号に変換する第2変換部と、前記第1変換部から前記フィルタ部に入力される前記電界信号の第1振幅、及び前記フィルタ部から前記第2変換部に入力される前記電界信号の第2振幅をそれぞれ測定する振幅測定部と、前記パワー測定部に前記第1振幅及び前記第2振幅を通知する通知部とを有し、前記パワー測定部は、前記第1振幅及び前記第2振幅の比に基づき前記所定チャネルの信号光のパワーの測定誤差を補正する。
1つの側面として、所定チャネルの信号光のパワーの測定誤差を低減することができる。
波長多重装置及びトランスポンダの一例を示す構成図である フロントエンド部の一例を示す構成図である。 信号光のパワーと電界信号の振幅及び利得の関係の一例を示す図である。 信号光のパワーと電界信号の振幅及び利得の関係の他の例を示す図である 波長多重信号光のスペクトルの例を示す図である。 受信処理部の一例を示す構成図である。 帯域制限による信号スペクトルの変化の一例を示す図である。 電圧損失及びパワーの補正値の関係の一例を示す図である。 パワー測定部の一例を示す構成図である。 パワー測定部の動作の一例を示すフローチャートである。
(波長多重装置及びトランスポンダの構成)
図1は、波長多重(WDM: Wavelength Divisional multiplexing)装置8及びトランスポンダ7の一例を示す構成図である。WDM装置8は、光ネットワークのノードに設けられ、他のノードとの間で波長多重信号光を送受信する。波長多重信号光には、周波数が相違する複数の信号光が含まれる。各信号光の周波数間隔は一定であり、各信号光には周波数に応じて光ネットワーク内のチャネルが割り当てられている。
WDM装置8は、プリアンプ80、分波器81、ポストアンプ82、及び合波器83を有する。プリアンプ80には、他のノードとの間の光ファイバなどの伝送路90から波長多重信号光が入力される。プリアンプ80は、例えばEDFA(Erbium Doped Fiber Amplifier)であり、波長多重信号光を増幅する。
分波器81には、プリアンプ80から波長多重信号光が入力される。分波器81は波長多重信号光トランスポンダ7及び他のトランスポンダ(不図示)に向けて分波する。
また、合波器83には、トランスポンダ7及び他のトランスポンダから信号光が入力される。合波器83は、信号光を波長多重して波長多重信号光を生成する。波長多重信号光は合波器83からポストアンプ82に入力される。ポストアンプ82は、例えばEDFAであり、波長多重信号光を増幅して他のノードとの間の光ファイバなどの伝送路91に出力する。
トランスポンダ7は、光ファイバなどを介してWDM装置8と接続されている。トランスポンダ7は、パワー測定部1、信号処理回路2、フロントエンド部3、可変光減衰器(VOA: Variable Optical Attenuator)40、局発光源41、減衰制御部42、アナログ-デジタル変換器(ADC: Analog-to-Digital Converter)43、クライアント信号送信部44を有する。さらにトランスポンダ7は、ドライバ50、送信光源51、光変調器(MD)52、及びクライアント信号受信部53を有する。なお、トランスポンダ7は伝送装置の一例である。
クライアント信号受信部53は、LAN(Local Area Network)などのクライアントネットワークからクライアント信号を受信する。クライアント信号としては、一例としてイーサネット(登録商標、以下同様)信号が挙げられるが、これに限定されない。クライアント信号受信部53は、クライアント信号を光信号から電気信号に変換して信号処理回路2に出力する。なお、クライアント信号受信部53は、光-電気変換器、及びFPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specified Integrated Circuit)などの集積回路により実現される。
また、クライアント信号送信部44には、信号処理回路2からクライアント信号が入力される。クライアント信号送信部44は、クライアント信号を電気信号から光信号に変換してクライアントネットワークに送信する。なお、クライアント信号送信部44は、電気-光変換器、及びFPGAやASICなどの集積回路により実現される。
信号処理回路2は送信処理部20及び受信処理部21を有する。信号処理回路2は、例えばDSP(Digital Signal Processor)により実現されるが、これに限定されず、FPGAやASICなどの集積回路により実現される。なお、信号処理回路2は信号処理装置の一例である。
信号処理回路2は、不図示の監視制御装置の指示に従って、所定チャネルCHiの信号光の伝送距離及び伝送容量に応じた適切なボーレートを複数のボーレートから選択することができる。送信処理部20及び受信処理部21は、選択したボーレートに応じて信号光の送信処理及び受信処理をそれぞれ行う。
送信処理部20は、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)などの多値変調方式に応じたシンボルをクライアント信号にマッピングすることによりシンボル信号を生成する。また、送信処理部20はクライアント信号に対してFEC(Forward Error Correction)などの符号化処理を行ってもよい。送信処理部20はシンボル信号をデジタル信号からアナログ信号に変換してドライバ50に出力する。ドライバ50はシンボル信号を光変調の駆動信号に変換して光変調器52に出力する。
光変調器52には、ドライバ50から駆動信号が入力され、送信光源51から送信光TOが入力される。送信光源51は例えばレーザダイオードにより実現される。光変調器52は、例えばマッハツェンダ干渉計を含み、送信光TOを駆動信号に基づき光変調する。光変調された送信光は信号光として光変調器52から合波器83に入力される。
また、分波器81により分波された所定チャネルCHiの信号光はVOA40に入力される。減衰制御部42は、信号光のパワーが上限値を超えないようにVOA40の減衰量をVOA制御電圧に基づき制御する。VOA40は、減衰制御部42が指示したVOA制御電圧に従った減衰量により信号光を減衰させる。信号光はVOA40からフロントエンド部3に入力される。なお、VOA制御電圧は制御電圧の一例である。
フロントエンド部3は、局発光源41から入力される局発光LOにより信号光を検波する。局発光源41は例えばレーザダイオードにより実現される。局発光LOの中心周波数は信号光の中心周波数に一致する。
また、フロントエンド部3は検波後の信号光を電気信号に光電変換する。電気信号は、信号光の電界成分を示す電界信号である。フロントエンド部3は電界信号を増幅して受信処理部21に出力する。このとき、フロントエンド部3は、電界信号を増幅したときの利得、及び増幅後の電界信号の振幅の各モニタ値を、ADC43を介してパワー測定部1に通知する。ADC43は、振幅及び利得を示す信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する。
パワー測定部1は、パワー測定装置の一例であり、所定チャネルCHiの信号光のパワーを測定する。パワー測定部1は、フロントエンド部3から通知された利得に基づきパワーを算出し、利得が所定条件を満たす場合、フロントエンド部3から通知された振幅に基づきパワーを補正する。
また、パワー測定部1は減衰制御部42からVOA40のVOA制御電圧を取得する。パワー測定部1は、VOA制御電圧が所定条件を満たす場合、VOA制御電圧に基づきパワーを補正する。
また、上述したように受信処理部21は可変ボーレートにより受信処理を行うため、フロントエンド部3及び受信処理部21は選択可能な最大ボーレートに対応した受信帯域を有する。したがって、信号処理回路2が最大ボーレート未満のボーレートを選択した場合、受信した所定チャネルCHiの信号光の周波数帯域は受信帯域より狭くなる。この場合、デジタルコヒーレント光受信器には、受信対象の所定チャネルCHiの光信号だけではなく、隣接チャネルCH(i+1),CH(i-1)の信号光の成分が含まれるため、所定チャネルCHiの信号光のパワーの測定値に誤差が生ずるおそれがある。
そこで、パワー測定部1は、受信処理部21と通信することにより、電界信号に含まれる隣接チャネルCH(i+1),CH(i-1)の信号成分に応じたパワーの測定誤差を補正する。なお、パワーの測定手法及び補正手法の詳細は後述する。
(フロントエンド部の構成)
図2は、フロントエンド部3の一例を示す構成図である。フロントエンド部3は、偏波ビームスプリッタ(PBS: Polarizing Beam Splitter)30,31、90度光ハイブリッド回路32,33、バランス型のフォトダイオード(PD: Photodiode)34a~34d、及びトランスインピーダンスアンプ(以下、「TIA」と表記)35a~35dを有する。なお、フロントエンド部3は、所定チャネルCHiの信号光の電界成分を示す電界信号を出力する受光部の一例である。
また、フロントエンド部3は、可変利得増幅器36a~36d、自動利得制御器(AGC)37a~37d、及びモニタ部38を有する。なお、本例では、信号光としてX偏波成分及びY偏波成分の偏波多重信号光を挙げるが、これに限定されない。
信号光はVOA40からPBS30に入力される。PBS30は、バースト光信号をX偏波成分及びY偏波成分に分離して90度光ハイブリッド回路32,33にそれぞれ出力する。また、他方のPBS31には局発光源41から局発光LOが入力される。PBS31は、局発光LOをX偏波成分及びY偏波成分に分離して90度光ハイブリッド回路32,33にそれぞれ出力する。
90度光ハイブリッド回路32は、信号光のX偏波成分及び局発光LOのX偏波成分を干渉させるための導波路を有し、信号光のX偏波成分を検波する。90度光ハイブリッド回路32は、検波結果として、同相成分及び直交位相成分の振幅及び位相に応じた光成分をPD34a,34bにそれぞれ出力する。
90度光ハイブリッド回路33は、信号光のY偏波成分及び局発光LOのY偏波成分を干渉させるための導波路を有し、信号光のY偏波成分を検波する。90度光ハイブリッド回路33は、検波結果として、同相成分及び直交位相成分の振幅及び位相に応じた光成分をPD34c,34dにそれぞれ出力する。なお、各光成分には正相及び逆相の光が含まれる。
このように、90度光ハイブリッド回路32,33は、所定チャネルCHiの信号光を局発光LOにより検出する。このため、フロントエンド部3は、局発光LOの中心周波数に応じて、複数チャネルの信号光が波長多重された波長多重信号光から、所定チャネルCHiの信号光を検出して受信することができる。
PD34a~34dは、90度光ハイブリッド回路32,33から入力された光成分を電気的なアナログ信号に変換する。PD34a~34dはアナログ信号をそれぞれTIA35a~35dにそれぞれ出力する。なお、各アナログ信号は差動信号である。
TIA35a~35dは、アナログ信号を増幅して電流信号から電圧信号に変換する。TIA35a~35dは、変換したアナログ信号を可変利得増幅器36a~36dにそれぞれ出力する。
可変利得増幅器36a~36dは、AGC37a~37dによりそれぞれ制御される可変の利得に基づきアナログ信号を増幅する。可変利得増幅器36aはアナログ信号を、信号光のX偏波の同相成分の電界を示す電界信号XIとして受信処理部21に出力する。可変利得増幅器36bはアナログ信号を、信号光のX偏波の直交位相成分の電界を示す電界信号XQとして受信処理部21に出力する。
可変利得増幅器36cはアナログ信号を、信号光のY偏波の同相成分の電界を示す電界信号YIとして受信処理部21に出力する。可変利得増幅器36dはアナログ信号を、信号光のY偏波の直交位相成分の電界を示す電界信号YQとして受信処理部21に出力する。
AGC37a~37dは、可変利得増幅器36a~36dから出力される電界信号XI,XQ,YI,YQの各振幅を検出する。AGC37a~37dは、電界信号XI,XQ,YI,YQの各振幅が目標値となるように可変利得増幅器36a~36dの利得をそれぞれ制御する。これにより、電界信号XI,XQ,YI,YQの各振幅は実質的に同一となる。ここで、振幅の目標値は例えば受信処理部21の信号入力仕様に応じて決定される。なお、可変利得増幅器36a~36dは、電界信号XI,XQ,YI,YQの振幅が所定値となるように電界信号XI,XQ,YI,YQを増幅する増幅器の一例である。
モニタ部38は、各可変利得増幅器36a~36dから、可変利得増幅器36a~36dの利得、及び各可変利得増幅器36a~36dが検出した振幅(ピークインジケータ)を収集する。なお、モニタ部38が収集した利得及び振幅を「利得モニタ値」及び「振幅モニタ値」とそれぞれ表記する。モニタ部38は振幅モニタ値及び利得モニタ値をパワー測定部1に通知する。なお、モニタ部38は、例えば振幅及び利得を直流電圧に変換するアナログ回路やFPGAやASICなどのデジタル集積回路により実現される。
(パワーの測定例)
図3は、信号光のパワーと電界信号XI,XQ,YI,YQの振幅モニタ値(PI(V))及び利得モニタ値(GA(V))の関係の一例を示す図である。符号G1aは、VOA40の減衰量を考慮しない場合の信号光のパワーに対する電界信号XI,XQ,YI,YQの振幅モニタ値の変化を示す。また、符号G1bは、VOA40の減衰量を考慮しない場合の信号光のパワーに対する可変利得増幅器36a~36dの利得モニタ値の変化を示す。
AGC37a~37dの制御範囲(AGC動作範囲)では、振幅は目標値となる。また、利得は、パワーが増加するほど減少する。
GA=fGA(VGA) ・・・(1)
パワー測定部1は、AGC動作範囲において、例えば上記の式(1)により利得モニタ値VGAに基づきパワーPGAを算出する。ここで、関数fGA(VGA)は、例えば実測やシミュレーションから得られる利得モニタ値VGA及びパワーPGAの関係から決定される。
AGC37a~37dの制御範囲外(利得飽和範囲)では、利得は一定の飽和値となる。また、振幅は、パワーが減少するほど減少する。ここで、パワー測定部1は、AGC動作範囲及び利得飽和範囲を利得モニタ値VGAと所定の閾値Vthの比較結果により判別する。
PI=fPI(VPI) ・・・(2)
パワー測定部1は、利得飽和範囲(VGA>Vth)において、例えば上記の式(2)により振幅モニタ値VPIに基づきパワーPGAの補正値PPIを算出する。ここで、関数fPI(VPI)は、例えば実測やシミュレーションから得られる振幅モニタ値VPI及びパワーPGAの補正値PPIの関係から決定される。なお、AGC動作範囲(VGA≦Vth)において補正値PPIは0となる。
P=PGA+PPI ・・・(3)
したがって、パワー測定部1は、上記の式(3)のように、利得から算出されたパワーPGAと振幅モニタ値VPIに基づく補正値PPIの和としてパワーPを算出する。
図4は、信号光のパワーと電界信号XI,XQ,YI,YQの振幅モニタ値(PI(V))及び利得モニタ値(GA(V))の関係の他の例を示す図である。符号G2aは、VOA40の減衰量を考慮した場合の信号光のパワーに対する電界信号XI,XQ,YI,YQの振幅モニタ値の変化を示す。また、符号G2bは、VOA40の減衰量を考慮した場合の信号光のパワーに対する可変利得増幅器36a~36dの利得モニタ値の変化を示す。
AGC37a~37d及びVOA40の制御範囲(AGC・VOA動作範囲)では、振幅は目標値となる。また、利得は、パワーがVOA40により上限値に抑えられるため、所定値となる。
VOA=fVOA(VVOA) ・・・(4)
パワー測定部1は、AGC・VOA動作範囲において、例えば上記の式(4)によりVOA40のVOA制御電圧VVOAに基づきパワー損失分の補正値LVOAを算出する。ここで、関数fVOA(VVOA)は、例えば実測やシミュレーションから得られるVOA制御電圧VVOA、及びVOAを通過した光の減衰量の関係から決定される。
P=PGA+PPI+LVOA ・・・(5)
したがって、パワー測定部1は、上記の式(5)のように、利得モニタ値VGAから算出されたパワーPGAと、振幅モニタ値VPIに基づく補正値PPIと、VOA制御電圧VVOAに基づく補正値LVOAとの和としてパワーPを算出する。なお、パワー測定部1は、電界信号XI,XQ,YI,YQの1つの利得モニタ値VGA及び振幅モニタ値VPIからパワーPを算出してもよいし、電界信号XI,XQ,YI,YQの平均の利得モニタ値VGA及び振幅モニタ値VPIからパワーPを算出してもよい。
また、上述したようにパワー測定部1は、さらに受信処理部21と通信することにより、電界信号に含まれる隣接チャネルCH(i+1),CH(i-1)の信号成分に応じたパワーの測定誤差を補正する。以下にその補正手法の詳細を述べる。
(波長多重信号光のスペクトル)
図5は、波長多重信号光のスペクトルの例を示す図である。図5において、横軸は周波数(GHz)を示し、縦軸は信号光のパワー(dBm)を示す。符号G3aは、各チャネルCH(i-2)~CH(i+2)の信号光の帯域がトランスポンダ7の受信帯域BWrより狭い場合のスペクトルを示す。
一例として、各信号光の中心周波数Fi-2~Fi+2の間隔は50(GHz)であり、受信帯域BWrは75(GHz)であると仮定する。すなわち、各信号光は50(GHz)のグリッド間隔で周波数軸上に配置され、信号処理回路2は、信号光の周波数間隔に応じて50(GHz)のボーレートを選択している。また、トランスポンダ7は、信号光の周波数間隔より広い75(GHz)のグリッド間隔の信号光を受信可能な受信帯域BWrを有する。
このため、受信帯域BWrには、所定チャネルCHiの光信号だけではなく、隣接チャネルCH(i+1),CH(i-1)の信号光の成分が含まれる(斜線部参照)。したがって、パワー測定部1が上記の式(1)~(5)によりパワーPを算出した場合、測定誤差が生ずるおそれがある。
また、符号G3bは、各チャネルCH(i-2)~CH(i+2)の信号光の帯域がトランスポンダ7の受信帯域BWrに一致する場合のスペクトルを示す。一例として、各信号光の中心周波数Fi-2~Fi+2の間隔は75(GHz)であり、受信帯域BWrは75(GHz)であると仮定する。すなわち、各信号光は75(GHz)のグリッド間隔で周波数軸上に配置され、信号処理回路2は、信号光の周波数間隔に応じて75(GHz)のボーレートを選択している。
この場合、受信帯域BWrには、所定チャネルCHiの光信号だけが含まれ、隣接チャネルCH(i+1),CH(i-1)の信号光の成分は含まれていない。したがって、パワー測定部1は、上記の式(1)~(5)によりパワーPを算出しても、高精度にパワー測定することができる。
したがって、パワー測定部1は、符号G3aで示されるように、各信号光の周波数間隔より広い受信帯域BWrで受信される所定チャネルCHiの信号光の電界成分を示す電界信号XI,XQ,YI,YQが受信処理部21に入力される場合を、受信処理部21が選択したボーレートに基づいて判定する。この場合、パワー測定部1は、受信処理部21と通信することにより、電界信号に含まれる隣接チャネルCH(i+1),CH(i-1)の信号成分に応じたパワーの測定誤差を補正する。
(受信処理部の構成)
図6は、受信処理部21の一例を示す構成図である。受信処理部21は、アナログ-デジタル変換器(ADC: Analog-to-Digital Converter)210a~210d、高速フーリエ変換(FFT: Fast Fourier Transformation)部211、フィルタ部212、及び逆高速フーリエ変換(IFFT: Inverse Fast Fourier Transformation)部211を有する。受信処理部21は、さらに適応等化器214、復調部216、誤り訂正部215、クライアント処理部200、振幅モニタ部217、設定制御部218、及び通信処理部219を有する。
ADC210a~210dは、フロントエンド部3から入力される電界信号XI,XQ,YI,YQをアナログ信号からデジタル信号にそれぞれ変換する。電界信号XI,XQ,YI,YQはADC210a~210dからFFT部211に入力される。
FFT部211は、第1変換部の一例であり、電界信号XI,XQ,YI,YQを時間領域の信号から周波数領域の信号に変換する。電界信号XI,XQ,YI,YQはFFT部211からフィルタ部212に入力される。
フィルタ部212は、例えば周波数領域で伝送路90の伝達関数の逆特性をかけ合わせることで等化を行う周波数領域等化器FDE(Frequency Domain Equalizer)であり、フィルタとしても用いられる。設定制御部218はフィルタ部212のフィルタ設定を行う。フィルタ部212は、フィルタ設定に基づいて、例えばフィルタ部212の透過帯域の形状を決定するタップ係数を設定する。
フィルタ部212は、透過帯域により電界信号XI,XQ,YI,YQをフィルタリングする。フィルタ部212は、電界信号XI,XQ,YI,YQの波形を平坦化するようい整形する。電界信号XI,XQ,YI,YQはフィルタ部212からIFFT部213に入力される。
IFFT部213は、第2変換部の一例であり、フィルタ部212により透過された電界信号XI,XQ,YI,YQを周波数領域の信号から時間領域の信号に変換する。電界信号XI,XQ,YI,YQはIFFT部213から適応等化器214に入力される。
適応等化器214は、電界信号XI,XQ,YI,YQに対し、伝送路90において時間的に変化する信号光の劣化を適応的に補償する。この劣化の要因としては、主に偏波モード分散PMD(Polarization Mode Dispersion)などが挙げられる。電界信号XI,XQ,YI,YQは適応等化器214から復調部216に入力される。
復調部216は、電界信号XI,XQ,YI,YQに対し、信号光と局発光LOの周波数差及び位相差を補償することにより電界信号XI,XQ,YI,YQを復調する。電界信号XI,XQ,YI,YQは復調部216から誤り訂正部215に出力される。
誤り訂正部215は、例えば電界信号XI,XQ,YI,YQに対しFECの復号化処理を行うことによりデータ信号の再生及び誤り訂正を行う。データ信号は誤り訂正部215からクライアント処理部200に入力される。
クライアント処理部200はOTN等のフレームにマッピングされたデータ信号をデマッピング処理する。これにより、データ信号は元のクライアント信号に変換される。クライアント信号はクライアント信号送信部44に出力される。
通信処理部219は、不図示の監視制御装置からボーレートの指示信号を受信する。通信処理部219はボーレートを設定制御部218に通知する。設定制御部218は信号処理回路2全体にボーレートを設定する。
設定制御部218はボーレートをパワー測定部1に通知する。パワー測定部1は、ボーレートに基づき、隣接チャネルCH(i-1),CH(i+1)の信号成分を信号光のパワーから除去する補正の要否を判定する。パワー測定部1は、補正が必要であると判定した場合、設定制御部218に対し、フィルタ部212の透過帯域を狭める帯域制限の実行を指示する。
設定制御部218は、帯域制限の指示に従ってフィルタ部212の透過帯域を受信帯域BWrより狭める。これにより、隣接チャネルCH(i-1),CH(i+1)の信号成分が電界信号XI,XQ,YI,YQから除去される。
図7は、帯域制限による信号スペクトルの変化の一例を示す図である。なお、図7では信号の一方の側波帯のみが示されているが、例えば逆高速フーリエ変換などの信号処理は両方の側波帯に対して行われる。
符号G4aは、トランスポンダ7の受信帯域BWrのスペクトルを示す。横軸は周波数(GHz)を示し、縦軸は利得(dB)を示す。受信帯域BWrには、一例として75(GHz)のグリッド(64(Gbd))に応じて-3(dB)の帯域が40(GHz)分設けられる。
符号G4bは、フィルタ部212による透過前の電界信号XI,XQ,YI,YQの信号スペクトルを示す。横軸は周波数(GHz)を示し、縦軸は振幅(dB)を示す。点線は受信帯域BWrを示す。電界信号XI,XQ,YI,YQは、一例として50(GHz)のグリッド(32(Gbd))の信号光に対応する。信号スペクトルには、所定チャネルCHiの信号成分、及び隣接チャネルCH(i+1)の信号成分が含まれる。
符号G4cは、フィルタ部212の透過帯域の形状を示す。横軸は周波数(GHz)を示し、縦軸は利得(dB)を示す。設定制御部218は、例えば30(GHz)以上の信号成分を電界信号XI,XQ,YI,YQから除去する透過帯域が形成されるようにフィルタ部212を設定する。設定制御部218は、一例として-10(dB)の利得に対し30(GHz)の周波数帯域となる透過帯域が形成されるようにフィルタ部212のフィルタ係数を設定する。また、点線は、帯域制限が実行されていない場合の透過帯域の形状であり、受信帯域BWrに一致する。これにより、フィルタ部212の透過帯域は信号光の周波数間隔(50(GHz))に応じた帯域幅となる。
符号G4dは、フィルタ部212による透過後の電界信号XI,XQ,YI,YQの信号スペクトルを示す。横軸は周波数(GHz)を示し、縦軸は振幅(dB)を示す。点線は透過帯域の形状を示す。フィルタ部212は隣接チャネルCH(i+1)の信号成分を電界信号XI,XQ,YI,YQから除去する。このため、電界信号XI,XQ,YI,YQには、実質的に所定チャネルCHiの信号成分のみが含まれる。
このように、フィルタ部212は、信号光の周波数間隔に応じた透過帯域により電界信号XI,XQ,YI,YQを透過する。このため、フィルタ部212は、電界信号XI,XQ,YI,YQから隣接チャネルCH(i+1)の信号成分を効果的に除去することができる。
再び図6を参照すると、振幅モニタ部217は、振幅測定部の一例であり、FFT部211からフィルタ部212に入力される電界信号XI,XQ,YI,YQ(符号A参照)の振幅Va、及びフィルタ部212からIFFT部213に入力される電界信号XI,XQ,YI,YQ(符号B参照)の振幅Vbをそれぞれ測定する。すなわち、振幅モニタ部217は、フィルタ部212の前段及び後段における電界信号XI,XQ,YI,YQの振幅Va,Vbを測定する。
ここで振幅モニタ部217は電界信号XI,XQ,YI,YQの何れの振幅Va,Vbを測定してもよいし、電界信号XI,XQ,YI,YQの平均の振幅Va,Vbを測定してもよい。振幅Vaは、フィルタ部212により透過される前の振幅であり、振幅Vbは、フィルタ部212により透過された後の振幅である。なお、振幅Vaは第1振幅の一例であり、振幅Vbは第2振幅の一例である。
振幅モニタ部217は振幅Va,Vbを設定制御部218に通知する。このとき、振幅モニタ部217は振幅Va,Vbの各二乗平均平方根(RMS: Root Mean Square)を算出して通知してもよい。これにより、設定制御部218は振幅Va,Vbの時間平均を取得することができる。
設定制御部218は、フィルタ部212の帯域制限の実行後、振幅Va,Vbをパワー測定部1に通知する。パワー測定部1は、振幅Va,Vbを信号光のパワーの測定誤差の補正に用いる。なお、設定制御部218は通知部の一例である。
(電界信号の振幅に基づくパワーの補正)
パワー測定部1は、上記の式(1)~(5)により算出したパワーを振幅Va,Vbの比に基づいて補正する。
FEQ=10log(Vb/Va) ・・・(6)
G=fFEQ(LFEQ) ・・・(7)
パワー測定部1は、上記の式(6)に従って、フィルタ部212において生じた電界信号XI,XQ,YI,YQの電圧損失LFEQ(dB)を算出する。電圧損失LFEQはフィルタ部212により除去された信号成分のパワーに該当する。
このため、パワー測定部1は、例えば上記の式(7)により電圧損失LFEQに基づき補正値Gを算出する。ここで、関数fFEQ(LFEQ)は、例えば実測やシミュレーションから得られる電圧損失LFEQ及びパワーPGAの補正値Gの関係から決定される。なお、設定制御部218は、パワー測定部1の代わりに電圧損失LFEQを算出してパワー測定部1に通知してもよい。
図8は、電圧損失LFEQ(dB)及びパワーPGAの補正値G(dB)の関係の一例を示す図である。補正値Gは、電圧損失LFEQの増加に伴い緩やかに増加する。関数fFEQ(LFEQ)は、例えば、電圧損失LFEQの二次関数とすることができる。
P=PGA+G ・・・(8)
P=PGA+PPI+G ・・・(9)
P=PGA+LVOA+G ・・・(10)
P=PGA+PPI+LVOA+G ・・・(11)
パワー測定部1は、上記の式(8)~(11)に示されるように、利得モニタ値VGAから算出したパワーPGAに補正値Gを加算することによりパワーPを算出する。
このように、設定制御部218はパワー測定部1に振幅Va,Vbを通知する。パワー測定部1は、振幅Va,Vbの比に基づき所定チャネルCHiの信号光のパワーの測定誤差を補正する。したがって、トランスポンダ7は所定チャネルCHiの信号光のパワーの測定誤差を低減することができる。
(パワー測定部の構成)
図9は、パワー測定部1の一例を示す構成図である。パワー測定部1は、CPU(Central Processing Unit)10、ROM(Read Only Memory)11、RAM(Random Access Memory)12、ストレージメモリ13、通信ポート14、及びハードウェアインターフェース部(HW-IF)15を有する。CPU10は、互いに信号の入出力ができるように、ROM11、RAM12、ストレージメモリ13、通信ポート14、及びHW-IF15と、バス19を介して接続されている。
ROM11は、CPU10を駆動するプログラムが格納されている。RAM12は、CPU10のワーキングメモリとして機能する。通信ポート14は、例えばCPU10と受信処理部21及び減衰制御部42の間の通信を処理する。HW-IF15は、CPU10とフロントエンド部3の間の通信を処理する。なお。通信ポート14及びHW-IF15は、例えばFPGAやASICなどの集積回路により実現される。
CPU10は、ROM11からプログラムを読み込むと、機能として、測定制御部100、算出部101、PI補正部102、VOA補正部103、及びパワー補正部104を形成する。なお、測定制御部100、算出部101、PI補正部102、VOA補正部103、及びパワー補正部104は、CPU10に代えて、例えばFPGAやASICなどの集積回路により実現されてもよい。
ストレージメモリ13には、パラメータ情報130及びボーレート情報131が格納されている。パラメータ情報130は、例えば上記の式(1),(2),(4),(7)の各関数で用いられる係数、及び閾値などの各種のパラメータである。ボーレート情報131は、設定制御部218が設定するボーレートである。
測定制御部100は、プログラムに定められるシーケンスに従い算出部101、PI補正部102、VOA補正部103、及びパワー補正部104に対して各種の動作を指示する。測定制御部100は、フロントエンド部3から利得モニタ値VGA及び振幅モニタ値VPIを読み出し、減衰制御部42からVOA40のVOA制御電圧VVOAを読み出す。また、測定制御部100は、設定制御部218から選択中のボーレートを読み出してボーレート情報131としてストレージメモリ13に格納する。測定制御部100は算出部101に利得モニタ値VGAに基づくパワーPGAの算出を指示する。
算出部101は、測定制御部100の指示に従って、上記の式(1)に従ってパワーPGAを算出する。このとき、算出部101は、利得モニタ値VGAを測定制御部100から取得し、関数fGA(VGA)の係数をパラメータ情報130から取得する。算出部101はパワーPGAを測定制御部100に出力する。
測定制御部100は、利得モニタ値VGAを閾値Vthと比較し、VGA>Vthが成立する場合、信号光の実際のパワーが利得飽和範囲にあると判定し、PI補正部102に振幅モニタ値VPIに基づく補正値PPIの算出を指示する。
PI補正部102は、測定制御部100の指示に従って、上記の式(2)に従って補正値PPIを算出する。このときPI補正部102は、振幅モニタ値VPIを測定制御部100から取得し、関数fPI(VPI)の係数をパラメータ情報130から取得する。PI補正部102は補正値PPIを測定制御部100に出力する。
測定制御部100は、VOA制御電圧VVOAを閾値Athと比較し、VVOA>Athが成立する場合、信号光のパワーがAGC・VOA動作範囲にあると判定し、VOA補正部103にVOA制御電圧VVOAに基づく補正値LVOAの算出を指示する。
VOA補正部103は、測定制御部100の指示に従って、上記の式(4)に従って補正値LVOAを算出する。このとき、VOA補正部103は、VOA制御電圧VVOAを測定制御部100から取得し、関数fVOA(VVOA)の係数をパラメータ情報130から取得する。VOA補正部103は補正値LVOAを測定制御部100に出力する。
測定制御部100は、ボーレートを閾値THrと比較し、ボーレート<THrが成立する場合、算出部101が算出したパワーPGAに隣接チャネルCH(i-1),CH(i+1)の信号成分のパワーが含まれていると判定し、パワー補正部104に電圧損失LFEQに基づく補正値Gの算出を指示する。
パワー補正部104は、測定制御部100の指示に従って、上記の式(6)及び(7)に従って電圧損失LFEQ及び補正値Gをそれぞれ算出する。このとき、パワー補正部104は、振幅Va,Vbを測定制御部100から取得し、関数fFEQ(LFEQ)の係数をパラメータ情報130から取得する。パワー補正部104は補正値Gを測定制御部100に出力する。
測定制御部100は、上記の式(8)~(11)の何れかに従って測定結果のパワーPを算出する。測定制御部100は、補正値Gのみを算出させた場合、式(8)を用い、補正値PPI,Gのみを算出させた場合、式(9)を用い、補正値LVOA,Gのみを算出させた場合、式(10)を用いる。また、測定制御部100は、全ての補正値PPI,LVOA,Gを算出させた場合、式(11)を用いる。
(パワー測定部の動作)
図10は、パワー測定部1の動作の一例を示すフローチャートである。本動作は、例えば、パワー測定部1が不図示の監視制御装置からパワーの測定指示を受けた場合に実行される。
まず、測定制御部100は、フロントエンド部3から利得モニタ値VGA及び振幅モニタ値VPIを読み出す(ステップSt1)。次に算出部101は、上記の式(1)に従って利得モニタ値VGAに基づき所定チャネルCHiの信号光のパワーPGAを算出する(ステップSt2)。これにより、算出部101は、外部のフォトダイオードなどを用いることなく、信号光の検波後の電界信号XI,XQ,YI,YQから測定することができる。
次に測定制御部100は、利得モニタ値VGAと閾値Vthを比較する(ステップSt3)。VGA>Vthが成立する場合(ステップSt3のYes)、PI補正部102は、上記の式(2)に従って振幅モニタ値VPIに基づきパワーPGAの補正値PPIを算出する(ステップSt4)。パワー測定部1は、電界信号XI,XQ,YI,YQの振幅モニタ値VPIに基づき所定チャネルの信号光のパワーの測定誤差を補正する。このため、パワー測定部1は、上述したように、信号光のパワーが利得飽和範囲内であっても高精度にパワーを測定することができる。
また、VGA≦Vthが成立する場合(ステップSt3のNo)、信号光のパワーがAGC動作範囲内またはAGC・VOA動作範囲内であり、振幅モニタ値VPIに基づく測定誤差の補正は不要であるため、ステップSt4の動作は実行されない。なお、閾値Vthは、例えば実験またはシミュレーションなどにより得られる図3の特性から決定される。
次に測定制御部100は、減衰制御部42からVOA40のVOA制御電圧VVOAを読み出す(ステップSt5)。次に測定制御部100はVOA制御電圧VVOAを閾値Athと比較する(ステップSt6)。
VOA>Athが成立する場合(ステップSt6のYes)、VOA補正部103は、上記の式(4)によりVOA40のVOA制御電圧VVOAに基づきパワー損失分の補正値LVOAを算出する(ステップSt7)。パワー測定部1は、VOA40のVOA制御電圧VVOAに基づき所定チャネルCHiの信号光のパワーの測定誤差を補正する。このため、パワー測定部1は、上述したように、信号光のパワーがAGC・VOA動作範囲内であっても高精度にパワーを測定することができる。
また、VVOA≦Athが成立する場合(ステップSt6のNo)、信号光のパワーがAGC・VOA動作範囲外であり、VOA制御電圧VVOAに基づく測定誤差の補正は不要であるため、ステップSt7の動作は実行されない。なお、閾値Athは、例えば実験またはシミュレーションなどにより得られる図4の特性から決定される。
次に測定制御部100は、設定制御部218からトランスポンダ7のボーレートを読み出す(ステップSt8)。次に測定制御部100はボーレートと閾値THrを比較する(ステップSt9)。ボーレート<THrが成立する場合(ステップSt9のYes)、測定制御部100は、設定制御部218にフィルタ部212の帯域制限を指示する(ステップSt10)。これにより、フィルタ部212の透過帯域が受信帯域より狭くなるため、電界信号XI,XQ,YI,YQに含まれる隣接チャネルCH(i-1),CH(i+1)の信号成分が低減される。
次に測定制御部100は、設定制御部218からフィルタ部212の前段及び後段における電界信号XI,XQ,YI,YQの振幅Va,Vbを読み出す(ステップSt11)。
次にパワー補正部は、上記の式(6)及び式(7)に従って振幅Va,Vbから補正値Gを算出する(ステップSt12)。パワー測定部1は、上述したように振幅Va,Vbの比に基づき所定チャネルCHiの信号光のパワーの測定誤差を補正する。これにより、所定チャネルCHiの信号光のパワーの測定誤差を低減される。
また、測定制御部100は、ボーレート≧THrが成立する場合(ステップSt9のNo)、信号光の帯域が受信帯域と実質的に同じであり、振幅Va,Vbによる補正を不要と判断して、ステップSt10~St12を実行しない。
次に測定制御部100は、上記の式(8)~(11)の何れかに従って測定結果のパワー(測定パワー)Pを算出する(ステップSt13)。パワーPは例えば不図示の監視制御装置に通知される。このようにしてパワー測定部1は動作する。
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能である。
なお、以上の説明に関して更に以下の付記を開示する。
(付記1) 波長多重信号光に含まれる複数チャネルの信号光のうち、前記複数チャネルの信号光の周波数間隔より広い受信帯域で受信される所定チャネルの信号光の電界成分を示す電界信号を時間領域の信号から周波数領域の信号に変換する第1変換部と、
周波数領域の信号に変換された前記電界信号を前記受信帯域より狭い透過帯域により透過するフィルタ部と、
前記フィルタ部により透過された前記電界信号を周波数領域の信号から時間領域の信号に変換する第2変換部と、
前記第1変換部から前記フィルタ部に入力される前記電界信号の第1振幅、及び前記フィルタ部から前記第2変換部に入力される前記電界信号の第2振幅をそれぞれ測定する振幅測定部と、
前記所定チャネルの信号光のパワーを測定するパワー測定装置に、前記所定チャネルの信号光のパワーの測定誤差の補正に用いられる前記第1振幅及び前記第2振幅を通知する通知部とを有することを特徴とする信号処理装置。
(付記2) 前記フィルタ部は、前記周波数間隔に応じた前記透過帯域により前記電界信号を透過することを特徴とする付記1に記載の信号処理装置。
(付記3) 前記振幅測定部は、前記第1振幅及び前記第2振幅の各二乗平均平方根を算出し、
前記通知部は、前記第1振幅及び前記第2振幅の各二乗平均平方根を前記パワー測定装置に通知することを特徴とする付記1または2に記載の信号処理装置。
(付記4) 波長多重信号光に含まれる複数チャネルの信号光のうち、所定チャネルの信号光を前記複数チャネルの信号光の周波数間隔より広い受信帯域で受信し、前記所定チャネルの信号光の電界成分を示す電界信号を出力する受光部と、
前記所定チャネルの信号光のパワーを測定するパワー測定部と、
前記電界信号を時間領域の信号から周波数領域の信号に変換する第1変換部と、
周波数領域の信号に変換された前記電界信号を前記受信帯域より狭い透過帯域により透過するフィルタ部と、
前記フィルタ部により透過された前記電界信号を周波数領域の信号から時間領域の信号に変換する第2変換部と、
前記第1変換部から前記フィルタ部に入力される前記電界信号の第1振幅、及び前記フィルタ部から前記第2変換部に入力される前記電界信号の第2振幅をそれぞれ測定する振幅測定部と、
前記パワー測定部に前記第1振幅及び前記第2振幅を通知する通知部とを有し、
前記パワー測定部は、前記第1振幅及び前記第2振幅の比に基づき前記所定チャネルの信号光のパワーの測定誤差を補正することを特徴とする伝送装置。
(付記5) 前記フィルタ部は、前記周波数間隔に応じた前記透過帯域により前記電界信号を透過することを特徴とする付記4に記載の伝送装置。
(付記6) 前記振幅測定部は、前記第1振幅及び前記第2振幅の各二乗平均平方根を算出し、
前記通知部は、前記第1振幅及び前記第2振幅の各二乗平均平方根を前記パワー測定装置に通知することを特徴とする付記4または5に記載の伝送装置。
(付記7) 前記受光部は、前記電界信号の振幅が所定値となるように前記電界信号を増幅する増幅器を有し、
前記パワー測定部は、前記増幅器の利得に基づき前記所定チャネルの信号光のパワーを算出することを特徴とする付記4乃至6の何れかに記載の伝送装置。
(付記8) 前記パワー測定部は、前記受光部から前記電界信号の増幅後の振幅を取得し、前記電界信号の振幅に基づき前記所定チャネルの信号光のパワーの測定誤差を補正することを特徴とする付記7に記載の伝送装置。
(付記9) 前記受光部に入力される前記所定チャネルの信号光のパワーを、制御電圧に従った減衰量により減衰させる可変光減衰器を有し、
前記パワー測定部は、前記制御電圧に基づき前記所定チャネルの信号光のパワーの測定誤差を補正することを特徴とする請求項4乃至8の何れかに記載の伝送装置。
1 パワー測定部
2 信号処理回路
3 フロントエンド部
7 トランスポンダ
8 波長多重装置
21 受信処理部
34a~34d フォトダイオード
36a~36d 可変利得増幅器
40 可変光減衰器
41 局発光源
42 減衰制御部
211 高速フーリエ変換部
212 フィルタ部
213 逆高速フーリエ変換部
217 振幅モニタ部
218 設定制御部

Claims (7)

  1. 波長多重信号光に含まれる複数チャネルの信号光のうち、前記複数チャネルの信号光の周波数間隔より広い受信帯域で受信される所定チャネルの信号光の電界成分を示す電界信号を時間領域の信号から周波数領域の信号に変換する第1変換部と、
    周波数領域の信号に変換された前記電界信号を前記受信帯域より狭い透過帯域により透過するフィルタ部と、
    前記フィルタ部により透過された前記電界信号を周波数領域の信号から時間領域の信号に変換する第2変換部と、
    前記第1変換部から前記フィルタ部に入力される前記電界信号の第1振幅、及び前記フィルタ部から前記第2変換部に入力される前記電界信号の第2振幅をそれぞれ測定する振幅測定部と、
    前記所定チャネルの信号光のパワーを測定するパワー測定装置に、前記所定チャネルの信号光のパワーの測定誤差の補正に用いられる前記第1振幅及び前記第2振幅を通知する通知部とを有することを特徴とする信号処理装置。
  2. 前記フィルタ部は、前記周波数間隔に応じた前記透過帯域により前記電界信号を透過することを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。
  3. 前記振幅測定部は、前記第1振幅及び前記第2振幅の各二乗平均平方根を算出し、
    前記通知部は、前記第1振幅及び前記第2振幅の各二乗平均平方根を前記パワー測定装置に通知することを特徴とする請求項1または2に記載の信号処理装置。
  4. 波長多重信号光に含まれる複数チャネルの信号光のうち、所定チャネルの信号光を前記複数チャネルの信号光の周波数間隔より広い受信帯域で受信し、前記所定チャネルの信号光の電界成分を示す電界信号を出力する受光部と、
    前記所定チャネルの信号光のパワーを測定するパワー測定部と、
    前記電界信号を時間領域の信号から周波数領域の信号に変換する第1変換部と、
    周波数領域の信号に変換された前記電界信号を前記受信帯域より狭い透過帯域により透過するフィルタ部と、
    前記フィルタ部により透過された前記電界信号を周波数領域の信号から時間領域の信号に変換する第2変換部と、
    前記第1変換部から前記フィルタ部に入力される前記電界信号の第1振幅、及び前記フィルタ部から前記第2変換部に入力される前記電界信号の第2振幅をそれぞれ測定する振幅測定部と、
    前記パワー測定部に前記第1振幅及び前記第2振幅を通知する通知部とを有し、
    前記パワー測定部は、前記第1振幅及び前記第2振幅の比に基づき前記所定チャネルの信号光のパワーの測定誤差を補正することを特徴とする伝送装置。
  5. 前記受光部は、前記電界信号の振幅が所定値となるように前記電界信号を増幅する増幅器を有し、
    前記パワー測定部は、前記増幅器の利得に基づき前記所定チャネルの信号光のパワーを算出することを特徴とする請求項4に記載の伝送装置。
  6. 前記パワー測定部は、前記受光部から前記電界信号の増幅後の振幅を取得し、前記電界信号の振幅に基づき前記所定チャネルの信号光のパワーの測定誤差を補正することを特徴とする請求項5に記載の伝送装置。
  7. 前記受光部に入力される前記所定チャネルの信号光のパワーを、制御電圧に従った減衰量により減衰させる可変光減衰器を有し、
    前記パワー測定部は、前記制御電圧に基づき前記所定チャネルの信号光のパワーの測定誤差を補正することを特徴とする請求項4乃至6の何れかに記載の伝送装置。


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