JP2023040670A - 包装方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガス置換包装後に容器内に残存する酸素を低減させる。【解決手段】不活性ガス雰囲気に制御された処理槽2内で内容物1を移動させる前処理工程において、不活性ガスの比重が酸素よりも大きい場合には、内容物1を処理槽2内の上方から下方に向かって移動させた後に、又は、不活性ガスの比重が酸素よりも小さい場合には、内容物1を処理槽2内の下方から上方に向かって移動させた後に、処理槽2から内容物1を取り出してガス置換包装する。【選択図】 図1
Description
本発明は、包装方法に関する。
従来、内容物の酸化による変質、好気性菌の繁殖による品質低下などを防止して、長期保存を可能にするために、包装容器内の空気を窒素などの不活性ガスに置き換えながら内容物を充填密封する、いわゆる、ガス置換包装が知られている。ガス置換包装について、JIS Z 0108:2012には、「内容物の充填時に容器から空気を吸引排気し、代わりに窒素及び二酸化炭素のような不活性ガスで置換して密封し、又は不活性ガスで強制的に容器内空気を置換して密封し、物品の変質などを防止することを目的とする包装。容器には、ガスバリア性の優れた包装材料を用いる。」と記載されている(番号:1079)。
また、このようなガス置換包装において、容器内酸素を完全に除去するのは困難であることから、例えば、特許文献1には、酸素バリア層とともに、酸素吸収機能を有する樹脂層を設けた積層体からなる包装容器に、内容物をガス置換包装することが提案されている。
しかしながら、本発明者らの検討によれば、酸素吸収機能が付与された包装容器に内容物をガス置換包装した場合であっても、ガス置換包装後に容器内の酸素濃度が上昇する現象が観察され、この点に着目して鋭意検討を重ねたところ、内容物に含まれていた酸素が影響していることを見出した。そこで、本発明者らは、従来は全く考慮されていなかった内容物に含まれる酸素を可及的に除去することにより、ガス置換包装後に容器内に残存する酸素を低減させるべく、さらなる鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
本発明に係る包装方法は、内容物を包装容器にガス置換包装する包装方法であって、前記内容物を不活性ガス雰囲気に制御された処理槽内で移動させる前処理工程を含み、前記不活性ガスの比重が酸素よりも大きい場合には、前記前処理工程において、前記内容物を前記処理槽内の上方から下方に向かって移動させた後に、又は、前記不活性ガスの比重が酸素よりも小さい場合には、前記前処理工程において、前記内容物を前記処理槽内の下方から上方に向かって移動させた後に、前記処理槽から前記内容物を取り出してガス置換包装する方法としてある。
本発明によれば、内容物を包装容器にガス置換包装するに先立って、内容物に含まれる酸素を効率よく除去しておくことにより、ガス置換包装後に容器内に残存する酸素をより低減させることができる。
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
本実施形態に係る包装方法は、包装対象となる内容物1を包装容器にガス置換包装するに先立って、前処理工程を経ることにより、内容物1に含まれる酸素を効率よく除去しておくことによって、ガス置換包装後の容器内に残存する酸素をより低減させて、包装された内容物1をより長期にわたって保存可能とするための包装方法である。
図1は、前処理工程の一例を模式的に示す説明図、図2は、前処理工程の他の一例を模式的に示す説明図であり、前処理工程は、不活性ガス雰囲気に制御された処理槽2内で行われる。かかる前処理工程に用いる処理槽2は、処理槽2内に収容された内容物1を鉛直方向に沿って、処理槽2内の上方から下方に向かって移動させ、又は、処理槽2内の下方から上方に向かって移動させることができるように、図示しない昇降装置を備えるように構成することができる。
不活性ガス雰囲気に制御された処理槽2内に内容物1を収容することによって、内容物1の内部の酸素ガス分圧と、内容物1の周囲の酸素ガス分圧との差により、内容物1の内部に含まれている酸素が、相対的に酸素ガス分圧の低い内容物1の周囲の不活性ガス雰囲気中に、拡散、放出されるようにすることができる。本実施形態では、このような原理に基づいて、内容物1に含まれる酸素を効率よく除去しようとしているが、内容物1から放出された酸素が内容物1の周囲に滞留してしまうと、内容物1の周囲の酸素ガス分圧が上昇してしまい、内容物1の内部の酸素ガス分圧との差が打ち消された分、酸素の除去効率が低減してしまう。
このため、本実施形態にあっては、内容物1を処理槽2内で移動させることによって、内容物1から放出された酸素が、内容物1の周囲に滞留しないようにすることで、内容物1の内部に含まれている酸素が、周囲の不活性ガス雰囲気中により効率よく拡散、放出されるようにしている。
例えば、不活性ガスが、二酸化炭素、及びアルゴンからなる群から選択される少なくとも一種である場合、これらの不活性ガスは、酸素よりも比重が大きいため、内容物1から放出された酸素は、処理槽2内のより上方側に滞留し易い。したがって、酸素よりも比重が大きい不活性ガスで、処理槽2内を不活性ガス雰囲気に制御する場合には、図1に示すように、内容物1を処理槽2内の上方から下方に向かって移動させると、内容物1から放出された酸素は、その上方側に留まって、下方に移動する内容物1から遠ざけられる。これにより、内容物1から放出された酸素が、内容物1の周囲に滞留しないようにすることができる。
一方、不活性ガスが、窒素、及びヘリウムからなる群から選択される少なくとも一種である場合、これらの不活性ガスは、酸素よりも比重が小さいため、内容物1から放出された酸素は、処理槽2内のより下方側に滞留し易い。したがって、酸素よりも比重が小さい不活性ガスで、処理槽2内を不活性ガス雰囲気に制御する場合には、図2に示すように、内容物1を処理槽2内の下方から上方に向かって移動させると、内容物1から放出された酸素は、その下方側に留まって、上方に移動する内容物1から遠ざけられる。これにより、内容物1から放出された酸素が、内容物1の周囲に滞留しないようにすることができる。
このように、処理槽2内を不活性ガス雰囲気に制御するとともに、利用する不活性ガスの比重に応じて、内容物1を処理槽2内の上方から下方に向かって移動させるか、又は、内容物1を処理槽2内の下方から上方に向かって移動させることにより、内容物1から放出された酸素が、内容物1の周囲に滞留しないようにすることで、内容物1の内部に含まれている酸素を、周囲の不活性ガス雰囲気中により効率よく拡散、放出させることができる。
また、内容物1の内部に含まれている酸素を、周囲の不活性ガス雰囲気中に効率よく拡散、放出させる上で、内容物1から放出された酸素が、処理槽2内から適宜排除されるようにするのが好ましい。
例えば、酸素よりも比重が大きい不活性ガスで、処理槽2内を不活性ガス雰囲気に制御する場合、前述したように、内容物1から放出された酸素は、処理槽2内のより上方側に滞留し易いことから、このような場合には、不活性ガスを処理槽2の下方(より詳細には、処理槽2の下方に設けた供給口3)から処理槽2内に供給しつつ、処理槽2の上方(より詳細には、処理槽2の上方に設けた排出口4)から排出させるようにするのが好ましい(図1参照)。このようにすることで、内容物1から放出された酸素を、処理槽2内の下方から上方に向かって流動して処理槽2から排出される不活性ガスの流れに乗せて、処理槽2内から効率よく排除されるようにすることができる。
一方、酸素よりも比重が小さい不活性ガスで、処理槽2内を不活性ガス雰囲気に制御する場合、前述したように、内容物1から放出された酸素は、処理槽2内のより下方側に滞留し易いことから、このような場合には、不活性ガスを処理槽2の上方(より詳細には、処理槽2の上方に設けた供給口3)から処理槽2内に供給しつつ、処理槽2の下方(より詳細には、処理槽2の下方に設けた排出口4)から排出させるようにするのが好ましい(図2参照)。このようにすることで、内容物1から放出された酸素を、処理槽2内の上方から下方に向かって流動して処理槽2から排出される不活性ガスの流れに乗せて、処理槽2内から効率よく排除されるようにすることができる。
このようにして、内容物1から放出された酸素を処理槽2内から排除するにあたり、処理槽2内に供給する不活性ガスの流量は、内容物1に過剰の動圧が作用して、内容物1に悪影響を及ぼすことがないように適宜調整して、不活性ガスが処理槽2内をゆっくりと流動していくようにするのが好ましい。さらに、処理槽2内が、過度の加圧状態又は過度の減圧状態になることがないように、処理槽2内に供給される流量と等量の不活性ガスが、排出口4から自然に排出されるようにするのが好ましい。処理槽2内の圧力は、大気圧と同等であるのが好ましく、例えば、排出口4に、処理槽2内の圧力が大気圧を超えると開く逆止弁を取り付けるなどして、処理槽2内の圧力が、常時、大気圧と同等に維持されるようにするのが好ましい、
このようにすることで、内容物1の外観を損ねてしまったり、内容物1に含まれる水分、フレーバー成分などの内容物1の風味や品質に関わる成分が除去されてしまったりすることがないようにして、内容物1の品質低下を招くことなく、内容物1に含まれる酸素を選択的に、より効率よく除去することができる。
また、内容物1を処理槽2内に搬入するに際しては、不活性ガス雰囲気に制御された処理槽2内の環境を損ねることがないように、例えば、図示するように、処理槽2の搬入口に設けられた前室5を経由して、処理槽2内に内容物1が搬入されるようにすることができる。このような態様とする場合には、処理槽2内と前室内5とがシャッターSで隔てられた状態で、内容物1を前室5に収容して、前室5内を排気して減圧した後に不活性ガスを充填して処理槽2内と同様の不活性ガス雰囲気としてから、シャッターSを開いて処理槽2内に内容物1を搬入するなどすればよいが、処理槽2内の環境を損ねることなく内容物1を搬入することができれば、これに限定されない。
処理槽2から内容物1を取り出す際も同様であり、例えば、図示するように、処理槽2の搬出口に設けられた後室6を経由して、ガス置換包装設備に内容物1が搬送されるようにすることができる。
処理槽2から内容物1を取り出す際も同様であり、例えば、図示するように、処理槽2の搬出口に設けられた後室6を経由して、ガス置換包装設備に内容物1が搬送されるようにすることができる。
ガス置換包装に用いる包装容器としては、容器内に残存する酸素を吸収できるように、酸素吸収機能が付与された公知の包装容器が好ましく用いられるが、そのような包装容器を用いずに、公知の酸素吸収剤を同封して容器内に残存する酸素が吸収されるようにしてもよい。
また、本実施形態において包装対象となる内容物1は、例えば、饅頭、ロールパン、蒸しパン、最中、せんべい等の食品類を代表的な内容物1として例示できるが、これらに限定されない。容器内に残存する酸素が保存に悪影響を及ぼし得る非食品類も包装対象とすることができる。
このような本実施形態によれば、処理槽2内を不活性ガス雰囲気に制御するとともに、利用する不活性ガスの比重に応じて、内容物1を処理槽2内の上方から下方に向かって移動させた後に、又は、内容物1を処理槽2内の下方から上方に向かって移動させた後に、処理槽2から内容物1を取り出してガス置換包装することにより、ガス置換包装するに先立って、内容物1に含まれる酸素を効率よく除去しておくことができる。その結果、包装対象となる内容物1が嵩高く、より多くの酸素が含まれているような場合であっても、ガス置換包装後に内容物1から放出されて容器内に残存する酸素を低減させて、包装容器に付与された酸素吸収機能や、容器内に同封された酸素吸収剤によって十分に吸収できるようにして、包装された内容物1をより長期にわたって保存可能とすることができる。
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
1 内容物
2 処理槽
3 供給口
4 排出口
2 処理槽
3 供給口
4 排出口
Claims (5)
- 内容物を包装容器にガス置換包装する包装方法であって、
前記内容物を不活性ガス雰囲気に制御された処理槽内で移動させる前処理工程を含み、
前記不活性ガスの比重が酸素よりも大きい場合には、前記前処理工程において、前記内容物を前記処理槽内の上方から下方に向かって移動させた後に、又は、
前記不活性ガスの比重が酸素よりも小さい場合には、前記前処理工程において、前記内容物を前記処理槽内の下方から上方に向かって移動させた後に、
前記処理槽から前記内容物を取り出してガス置換包装することを特徴とする包装方法。 - 前記不活性ガスの比重が酸素よりも大きい場合に、前記不活性ガスを前記処理槽の下方から前記処理槽内に供給しつつ、前記処理槽の上方から排出させる請求項1に記載の包装方法。
- 前記不活性ガスが、二酸化炭素、及びアルゴンからなる群から選択される少なくとも一種である請求項1又は2に記載の包装方法。
- 前記不活性ガスの比重が酸素よりも小さい場合に、前記不活性ガスを前記処理槽の上方から前記処理槽内に供給しつつ、前記処理槽の下方から排出させる請求項1に記載の包装方法。
- 前記不活性ガスが、窒素、及びヘリウムからなる群から選択される少なくとも一種である請求項1又は4に記載の包装方法。
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