JP2023038811A - 蓄電素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】電極体と集電体との溶接品質の低下を抑制できる蓄電素子を提供する。【解決手段】極板が積層方向に積層された積層部610を有する電極体600と、積層方向において積層部610と並んで配置されて積層部610に接合される集電体500と、を備える蓄電素子10であって、積層部610及び集電体500がレーザ溶接されたレーザ溶接部800を備え、積層方向から見て積層部610におけるレーザ溶接部800と隣り合う位置に、集電体500と接合されることなく積層方向に凹んだ第一凹部611が形成されている。【選択図】図4

Description

本発明は、電極体と集電体とを備える蓄電素子に関する。
従来、極板が積層された積層部を有する電極体と集電体とを備え、電極体の積層部と集電体とがレーザ溶接された蓄電素子が広く知られている。例えば、特許文献1には、電極組立体(電極体)のタブ群(積層部)と導電部材(集電体)とがレーザ溶接された二次電池(蓄電素子)が開示されている。
特開2019-61949号公報
上記従来の蓄電素子において、電極体の積層部と集電体とをレーザ溶接で接合する場合、積層部における極板の浮き等によってレーザ溶接対象部位に隙間が生じていると、電極体と集電体との溶接品質が低下するおそれがある。例えば、レーザ溶接対象部位に隙間が生じていると、溶接時に極板の溶融した部位が当該隙間を埋めるように収縮して固まるために、極板の溶融部と未溶融部との界面で破断が起きる場合がある。レーザ溶接対象部位に隙間が生じていると、溶接時にスパッタが発生したりブローホールが発生したりする場合もある。これらにより、電極体と集電体との溶接品質が低下するおそれがある。
本発明は、本願発明者が上記課題に新たに着目することによってなされたものであり、電極体と集電体との溶接品質の低下を抑制できる蓄電素子を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る蓄電素子は、極板が積層方向に積層された積層部を有する電極体と、前記積層方向において前記積層部と並んで配置されて前記積層部に接合される集電体と、を備える蓄電素子であって、前記積層部及び前記集電体がレーザ溶接されたレーザ溶接部を備え、前記積層方向から見て前記積層部における前記レーザ溶接部と隣り合う位置に、前記集電体と接合されることなく前記積層方向に凹んだ第一凹部が形成されている。
本発明は、このような蓄電素子として実現できるだけでなく、電極体と集電体との組み合わせとしても実現できる。
本発明における蓄電素子によれば、電極体と集電体との溶接品質の低下を抑制できる。
実施の形態に係る蓄電素子の外観を示す斜視図である。 実施の形態に係る蓄電素子を分解して各構成要素を示す斜視図及び側面図である。 実施の形態に係る電極体の構成を示す分解斜視図及び正面図である。 実施の形態に係る集電体の平板状部位、電極体の積層部及び当て板を溶接した状態での構成を示す断面図及び平面図である。 実施の形態に係る集電体の平板状部位、電極体の積層部及び当て板をレーザ溶接する工程を示す断面図である。 実施の形態の変形例1に係る集電体の平板状部位、電極体の積層部及び当て板を溶接した状態での構成を示す断面図である。 実施の形態の変形例2に係る集電体、電極体の積層部及び当て板を溶接した状態での構成を示す断面図である。 実施の形態の変形例3に係る集電体の平板状部位、及び、電極体の積層部を溶接した状態での構成を示す断面図である。 実施の形態の変形例1に係る集電体の平板状部位、電極体の積層部及び当て板をレーザ溶接する工程を示す断面図である。 実施の形態の変形例1に係る集電体の平板状部位、電極体の積層部及び当て板をレーザ溶接する工程を示す断面図である。 実施の形態の変形例2に係る集電体、電極体の積層部及び当て板をレーザ溶接する工程を示す断面図である。 実施の形態の変形例3に係る集電体の平板状部位、及び、電極体の積層部をレーザ溶接する工程を示す断面図である。 実施の形態の変形例4に係る電極体の構成を示す斜視図である。 実施の形態の変形例5に係る電極体、集電体及び当て板の構成を示す斜視図である。
本発明の一態様に係る蓄電素子は、極板が積層方向に積層された積層部を有する電極体と、前記積層方向において前記積層部と並んで配置されて前記積層部に接合される集電体と、を備える蓄電素子であって、前記積層部及び前記集電体がレーザ溶接されたレーザ溶接部を備え、前記積層方向から見て前記積層部における前記レーザ溶接部と隣り合う位置に、前記集電体と接合されることなく前記積層方向に凹んだ第一凹部が形成されている。
これによれば、蓄電素子において、電極体の積層部におけるレーザ溶接部と隣り合う位置に、集電体と接合されることなく極板の積層方向に凹んだ第一凹部が形成されている。つまり、電極体の積層部におけるレーザ溶接対象部位と隣り合う位置が強圧迫されて、第一凹部が形成された構成である。電極体の積層部におけるレーザ溶接対象部位と隣り合う位置が強圧迫されると、レーザ溶接対象部位に隙間が生じるのを抑制できる。第一凹部が積層部に残ることで積層部内の極板同士がより密着し、レーザ溶接対象部位に隙間が生じるのをより抑制できる。これにより、レーザ溶接対象部位に隙間が生じるのが抑制された状態で、電極体の積層部と集電体とをレーザ溶接できるため、電極体と集電体との溶接品質の低下を抑制できる。
前記蓄電素子は、前記集電体とで前記積層部を挟む当て板をさらに備えてもよい。
これによれば、蓄電素子が当て板を備え、集電体と当て板とで電極体の積層部を挟むことで、電極体の積層部と集電体とをレーザ溶接する際に、レーザ溶接対象部位に隙間が生じるのをより抑制できる。これにより、レーザ溶接対象部位に隙間が生じるのがより抑制された状態で、電極体の積層部と集電体とをレーザ溶接できるため、電極体と集電体との溶接品質の低下を抑制できる。
前記集電体、または、前記集電体とで前記積層部を挟む当て板には、前記積層部に向けて突出し、前記第一凹部内に配置される凸部が形成されてもよい。
これによれば、集電体または当て板に、電極体の積層部の第一凹部内に配置される凸部が形成されている。つまり、積層部が、集電体または当て板の凸部に押圧されて、積層部に第一凹部が形成された構成である。このように、集電体または当て板に凸部を形成することで、積層部に、第一凹部を簡易に形成できる。これにより、電極体の積層部と集電体とをレーザ溶接する際に、レーザ溶接対象部位に隙間が生じるのを容易に抑制できるため、電極体と集電体との溶接品質の低下を容易に抑制できる。
前記当て板に前記凸部が形成され、前記当て板における前記積層部とは反対側の面の前記凸部と対向する位置に、前記積層部に向けて凹んだ第二凹部が形成されてもよい。
これによれば、当て板に凸部が形成され、当て板の凸部とは反対側の面の凸部と対向する位置に第二凹部が形成されている。つまり、当て板が強圧迫されて第二凹部が形成され、これに伴い、第二凹部とは反対側の面に凸部が形成され、電極体の積層部が、当該凸部で押圧されて第一凹部が形成された構成である。このように、当て板に第二凹部を形成することで、積層部に、第一凹部を簡易に形成できる。これにより、電極体の積層部と集電体とをレーザ溶接する際に、レーザ溶接対象部位に隙間が生じるのを容易に抑制できるため、電極体と集電体との溶接品質の低下を容易に抑制できる。
前記第一凹部は、前記積層方向から見て、前記レーザ溶接部の両側に形成されてもよい。
これによれば、電極体の積層部において、第一凹部がレーザ溶接部の両側に形成されているため、積層部におけるレーザ溶接対象部位の両側が強圧迫されて、第一凹部が形成された構成である。積層部におけるレーザ溶接対象部位の両側が強圧迫されると、レーザ溶接対象部位をバランスよく圧迫できるため、レーザ溶接対象部位に隙間が生じるのを効果的に抑制できる。これにより、レーザ溶接対象部位に隙間が生じるのが効果的に抑制された状態で、電極体の積層部と集電体とをレーザ溶接できるため、電極体と集電体との溶接品質の低下を抑制できる。
前記第一凹部は、前記積層方向から見て、前記レーザ溶接部の周囲を囲うように形成されてもよい。
これによれば、電極体の積層部において、第一凹部がレーザ溶接部の周囲を囲うように形成されているため、積層部におけるレーザ溶接対象部位の周囲が強圧迫されて、第一凹部が形成された構成である。積層部におけるレーザ溶接対象部位の周囲が強圧迫されると、レーザ溶接対象部位をさらにバランスよく圧迫できるため、レーザ溶接対象部位に隙間が生じるのをさらに効果的に抑制できる。これにより、レーザ溶接対象部位に隙間が生じるのがさらに効果的に抑制された状態で、電極体の積層部と集電体とをレーザ溶接できるため、電極体と集電体との溶接品質の低下を抑制できる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態(その変形例も含む)に係る蓄電素子について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程、製造工程の順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。各図において、同一または同様な構成要素については同じ符号を付している。
以下の説明及び図面中において、蓄電素子が有する一対(正極側及び負極側、以下同様)の電極端子の並び方向、一対の集電体の並び方向、一対の当て板の並び方向、または、容器の短側面の対向方向を、X軸方向と定義する。容器の長側面の対向方向、または、容器若しくは電極体の厚み方向を、Y軸方向と定義する。集電体と電極体との並び方向、集電体と当て板との並び方向、電極端子と電極体との並び方向、蓄電素子の容器本体と蓋体との並び方向、または、上下方向を、Z軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。なお、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。
以下の説明において、X軸プラス方向とは、X軸の矢印方向を示し、X軸マイナス方向とは、X軸プラス方向とは反対方向を示す。単にX軸方向という場合は、X軸プラス方向及びX軸マイナス方向の双方向またはいずれか一方の方向を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。平行及び直交などの、相対的な方向または姿勢を示す表現は、厳密には、その方向または姿勢ではない場合も含む。例えば、2つの方向が平行であるとは、当該2つの方向が完全に平行であることを意味するだけでなく、実質的に平行であること、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。さらに、以下の説明において、「絶縁」と表現する場合、「電気的な絶縁」を意味する。
(実施の形態)
[1 蓄電素子10の全般的な説明]
まず、本実施の形態における蓄電素子10の全般的な説明を行う。図1は、本実施の形態に係る蓄電素子10の外観を示す斜視図である。図2は、本実施の形態に係る蓄電素子10を分解して各構成要素を示す斜視図及び側面図である。具体的には、図2の(a)は、蓄電素子10の分解斜視図である。図2の(b)は、電極体600の積層部610を集電体500と当て板700とで挟んで溶接した状態をX軸プラス方向から見た場合の構成を示す側面図である。
蓄電素子10は、電気を充電し、また、電気を放電できる二次電池(単電池)であり、具体的には、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池である。蓄電素子10は、電力貯蔵用途または電源用途等に使用される。具体的には、蓄電素子10は、自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、船舶、スノーモービル、農業機械、建設機械、または、電気鉄道用の鉄道車両等の移動体の駆動用またはエンジン始動用等のバッテリ等として用いられる。上記の自動車としては、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)、及び、化石燃料(ガソリン、軽油、液化天然ガス等)自動車が例示される。上記の電気鉄道用の鉄道車両としては、電車、モノレール、リニアモーターカー、並びに、ディーゼル機関及び電気モーターの両方を備えるハイブリッド電車が例示される。蓄電素子10は、家庭用または事業用等に使用される定置用のバッテリ等としても用いることができる。
蓄電素子10は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。蓄電素子10は、二次電池ではなく、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。蓄電素子10は、固体電解質を用いた電池であってもよい。蓄電素子10は、パウチタイプの蓄電素子であってもよい。本実施の形態では、扁平な直方体形状(角形)の蓄電素子10を図示しているが、蓄電素子10の形状は、直方体形状には限定されず、円柱形状、長円柱形状または直方体以外の多角柱形状等であってもよい。
図1に示すように、蓄電素子10は、容器100と、一対(正極側及び負極側)の電極端子200と、一対(正極側及び負極側)の上部ガスケット300と、を備えている。図2に示すように、容器100の内方には、一対(正極側及び負極側)の下部ガスケット400と、一対(正極側及び負極側)の集電体500と、電極体600と、一対(正極側及び負極側)の当て板700と、が収容されている。容器100の内部には、電解液(非水電解質)が封入されているが、図示は省略している。当該電解液としては、蓄電素子10の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく、様々なものを選択することができる。上記の構成要素の他、電極体600の側方または下方等に配置されるスペーサ、電極体600等を包み込む絶縁フィルム等が配置されていてもよい。
容器100は、開口が形成された容器本体110と、容器本体110の当該開口を閉塞する蓋体120と、を有する直方体形状(角形または箱形)のケースである。容器本体110は、容器100の本体部を構成する矩形筒状で底を備える部材である。容器本体110は、X軸方向両側に一対の短側面を有し、Y軸方向両側に一対の長側面を有し、Z軸マイナス方向側に底面を有している。蓋体120は、容器100の蓋部を構成するX軸方向に長い矩形状の板状部材であり、容器本体110のZ軸プラス方向に配置されている。蓋体120には、容器100内方の圧力が過度に上昇した場合に当該圧力を開放するガス排出弁121、及び、容器100の内方に電解液を注液するための注液部122等が設けられている。
このような構成により、容器100は、電極体600等を容器本体110の内部に収容後、容器本体110と蓋体120とが溶接等によって接合されることにより、内部が密封される構造となっている。容器100(容器本体110及び蓋体120)の材質は特に限定されず、例えばステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板等の溶接可能な金属とすることができるが、樹脂を用いることもできる。
電極体600は、正極板と負極板とセパレータとを備え、電気を蓄えることができる蓄電要素(発電要素)である。電極体600は、正極板と負極板との間にセパレータが挟み込まれるように層状に配置されて形成されている。これにより、電極体600において、正極板の正極タブが積層されて正極側の積層部610が形成され、負極板の負極タブが積層されて負極側の積層部620が形成されている。つまり、電極体600は、電極体本体部601と、電極体本体部601の一部からZ軸プラス方向に突出する積層部610及び620と、を有している。電極体600の構成の詳細な説明については、後述する。
本実施の形態では、積層部610は、Z軸プラス方向に突出した状態で、Y軸方向に対向する姿勢で配置された集電体500及び当て板700にY軸方向で挟まれて、集電体500及び当て板700とともに溶接される。そして、積層部610は、集電体500及び当て板700とともにY軸プラス方向に折り曲げられることで、図2の(b)に示すように、集電体500及び当て板700にZ軸方向で挟まれた状態となる。このように、積層部610は、極板(正極板及び負極板)がZ軸方向に積層された部位となるため、Z軸方向を積層方向ともいう。積層方向とは、電極体のうちの極板が積層された部分を積層部と定義した時、レーザ溶接対象部位と隣り合う位置における積層部の極板の積層方向であると定義する。積層方向は、電極体600のうちの集電体500が接合(溶接)される部分(積層部610)における極板の並び方向である。本実施の形態では、積層方向は、後述のレーザ溶接部800における極板の並び方向である。積層部620の積層方向についても同様である。
電極体600には、正極板、負極板及びセパレータを互いに固定する固定部材602が取り付けられている。本実施の形態では、固定部材602は、電極体600のX軸方向両側に2箇所ずつ配置された絶縁性のテープであり、Y軸方向に積層された正極板と負極板とセパレータとを、Y軸方向で挟んで固定する。固定部材602の材質、数及び配置位置は、特に限定されない。固定部材602は、テープではなく、例えば剛性のある板状部材等を用いてもよいし、正極板、負極板及びセパレータは、固定部材602を用いることなく、ヒートプレスまたは接着剤等によって固定されていてもよい。
電極端子200は、集電体500を介して、電極体600に電気的に接続される端子部材(正極端子及び負極端子)である。電極端子200は、電極体600に蓄えられている電気を蓄電素子10の外部空間に導出し、また、電極体600に電気を蓄えるために蓄電素子10の内部空間に電気を導入するための金属製の部材である。電極端子200は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅または銅合金等の金属等の導電部材で形成されている。電極端子200は、かしめ等によって、集電体500に接続(接合)され、かつ、蓋体120に取り付けられる。
具体的には、電極端子200は、下方(Z軸マイナス方向)に延びる軸部201(リベット部)を有している。そして、軸部201が、上部ガスケット300の貫通孔301と、蓋体120の貫通孔123と、下部ガスケット400の貫通孔401と、集電体500の貫通孔501とに挿入されて、かしめられる。これにより、電極端子200は、上部ガスケット300、下部ガスケット400及び集電体500とともに、蓋体120に固定される。電極端子200と集電体500とを接続(接合)する手法は、かしめ接合には限定されず、超音波接合、レーザ溶接若しくは抵抗溶接等の溶接、または、ねじ締結等のかしめ以外の機械的接合等が用いられてもよい。
集電体とは、電極体と接続される導電部材であると定義する。本実施の形態では、集電体500は、電極体600と電極端子200とを電気的に接続する平板状かつ矩形状の集電部材(正極集電体及び負極集電体)である。正極側の集電体500は、電極体600の正極側の積層部610と溶接により接続(接合)されるとともに、上述の通り、正極側の電極端子200とかしめ等により接合される。負極側の集電体500は、電極体600の負極側の積層部620と溶接により接続(接合)されるとともに、上述の通り、負極側の電極端子200とかしめ等により接合される。集電体500の材質は特に限定されないが、正極側の集電体500は、電極体600の後述する正極板の基材と同様、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の金属等の導電部材で形成されている。負極側の集電体500は、電極体600の後述する負極板の基材と同様、銅または銅合金等の金属等の導電部材で形成されている。
図2の(b)に示すように、正極側の集電体500は、積層部610における極板の積層方向(Z軸方向)において、積層部610と並んで配置されて積層部610に接合される。具体的には、集電体500は、積層部610に対応する(対向する)位置に平板状部位502を有しており、平板状部位502が積層部610と溶接される。平板状部位502は、少なくとも積層部610と対向する面(Z軸マイナス方向の面)が平坦な面(平面)となる平板状の部位である。本実施の形態では、平板状部位502は、Z軸プラス方向及びZ軸マイナス方向の双方の面が平坦な面(平面)となる平板状の部位である。平板状部位502は、Z軸方向から見て積層部610と重なる領域のみが平坦な面(平面)であればよいが、当該領域よりも大きな領域が平坦な面(平面)となっていてもよい。本実施の形態では、集電体500のZ軸マイナス方向の面の全面(貫通孔501の部分は除く)が平坦な面(平面)となっている。負極側の集電体500及び積層部620についても同様である。
当て板700は、集電体500とで電極体600を挟む位置に配置され、集電体500とで電極体600を挟んだ状態で、集電体500とともに電極体600に接合(溶接)される平板状かつ矩形状の部材である。当て板700は、集電体500の平板状部位502とで、電極体600の積層部610または620を挟む位置に配置された、積層部610または620を保護するカバーである。本実施の形態では、当て板700は、積層部610または620のZ軸マイナス方向に配置されて、Z軸方向において集電体500の平板状部位502とで積層部610または620を挟み込む(図2の(b)参照)。当て板700の材質は特に限定されないが、正極側の当て板700は、電極体600の正極板の基材と同様、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の金属等で形成されている。負極側の当て板700は、電極体600の負極板の基材と同様、銅または銅合金等の金属等で形成されている。
具体的には、当て板700は、少なくとも積層部610または620と対向する面(Z軸プラス方向の面)が平坦な面(平面)となる平板状の部材である。本実施の形態では、当て板700は、Z軸プラス方向及びZ軸マイナス方向の双方の面が平坦な面(平面)となる平板状の部材である。当て板700は、Z軸方向から見て積層部610または620と重なる領域のみが平坦な面(平面)であればよいが、当該領域よりも大きな領域が平坦な面(平面)となっていてもよい。本実施の形態では、当て板700のZ軸プラス方向の面の全面が平坦な面(平面)となっている。当て板700の板厚(Z軸方向の厚み)は、好ましくは0.05mm~1mmであってもよく、より好ましくは0.1mm~0.6mmであってもよい。当て板700は、好ましくは0.05mm、より好ましくは0.1mmであると量産時にハンドリングしやすく、溶接時に積層部610または620を抑える際の強度を確保でき、好ましくは1mm、より好ましくは0.6mmであると溶接時にスパッタが発生することを抑制できるためである。これにより、当て板700に、後述の凸部710及び第二凹部720を形成しやすい。
このような構成により、電極体600の積層部610を集電体500の平板状部位502と当て板700とで挟んだ状態で、平板状部位502と積層部610と当て板700とがレーザ溶接されて、レーザ溶接部800が形成される(図2の(b)参照)。本実施の形態では、正極側の集電体500、積層部610及び当て板700に対して、1つのレーザ溶接部800が形成されるが、レーザ溶接部800の数は特に限定されない。負極側の集電体500、積層部620及び当て板700についても同様である。集電体500の平板状部位502と電極体600の積層部610または620と当て板700とを溶接する構成の詳細な説明については、後述する。
上部ガスケット300は、容器100の蓋体120と電極端子200との間に配置され、蓋体120と電極端子200との間を絶縁し、かつ封止する平板状の絶縁性の封止部材(ガスケット)である。下部ガスケット400は、蓋体120と集電体500との間に配置され、蓋体120と集電体500との間を絶縁し、かつ封止する平板状の絶縁性の封止部材(ガスケット)である。上部ガスケット300及び下部ガスケット400は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE(変性PPEを含む))、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ABS樹脂、若しくは、それらの複合材料等の絶縁性を有する樹脂等によって形成されている。
[2 電極体600の構成の説明]
次に、電極体600の構成について、詳細に説明する。図3は、本実施の形態に係る電極体600の構成を示す分解斜視図及び正面図である。具体的には、図3の(a)は、電極体600が有する正極板630、負極板640及びセパレータ650を分解して示す斜視図であり、図3の(b)は、正極板630、負極板640及びセパレータ650を重ねて正面(Y軸マイナス方向)から見た図である。
図3の(a)に示すように、電極体600は、複数の平板状の極板が積層されて形成されている。具体的には、電極体600は、正極板630と負極板640とが、セパレータ650を挟みながら交互に積層されて形成されている。つまり、電極体600は、Y軸方向両端部にセパレータ650が配置され、その内側に負極板640が配置されるように、正極板630、セパレータ650、負極板640、セパレータ650の順で繰り返し順次積層されて、形成されている。
このように、複数の正極板630と複数の負極板640とが積層されることにより、複数の正極タブ631が積層され、かつ、複数の負極タブ641が積層される。その結果、電極体600には、複数の正極タブ631からなる正極側の積層部610と、複数の負極タブ641からなる負極側の積層部620とが形成される。この正極側の積層部610及び負極側の積層部620は、正極側及び負極側の集電体500及び当て板700とレーザ溶接により接合されて、正極側及び負極側の電極端子200と電気的に接続される。
具体的には、図3の(b)に示すように、正極板630は、正極本体部632と、正極タブ631とを有している。正極本体部632は、正極板630の本体部を構成する矩形状かつ平板状の部位であり、基材の表面(両面)に、正極合材層632aが配置されている。正極タブ631は、正極本体部632のZ軸プラス方向端部のX軸マイナス方向側の部位からZ軸プラス方向に突出する矩形状のタブであり、正極本体部632の基材と一体に形成されている。同様に、負極板640は、負極本体部642と、負極タブ641とを有している。負極本体部642は、負極板640の本体部を構成する矩形状かつ平板状の部位であり、基材の表面(両面)に、負極合材層642aが配置されている。負極タブ641は、負極本体部642のZ軸プラス方向端部のX軸プラス方向側の部位からZ軸プラス方向に突出する矩形状のタブであり、負極本体部642の基材と一体に形成されている。
正極合材層632aは、正極活物質と、導電助剤と、バインダとを含んでいる。同様に、負極合材層642aは、負極活物質と、導電助剤と、バインダとを含んでいる。この正極合材層632a及び負極合材層642aに用いられる正極活物質及び負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。導電助剤及びバインダについても、適宜公知の材料を使用できる。正極本体部632の基材及び正極タブ631は、アルミニウムまたはアルミニウム合金等からなる集電箔である。負極本体部642の基材及び負極タブ641は、銅または銅合金等からなる集電箔である。当該集電箔として、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、チタン、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス、Al-Cd合金など、充放電時の酸化還元反応に対して安定な材料であれば適宜公知の材料を用いることもできる。
セパレータ650は、平板状かつ矩形状の、例えば樹脂からなる微多孔性のシートである。セパレータ650の素材としては、蓄電素子10の性能を損なうものでなければ、適宜公知の材料を使用できる。セパレータ650として、有機溶剤に不溶な織布、不織布、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂からなる合成樹脂微多孔膜等を用いることができる。
以上のような構成によって、電極体600は、電極体本体部601と、電極体本体部601の一部から延びる積層部610及び620とを有することとなる。電極体本体部601は、電極体600の本体を構成する部位であり、電極体600のうちの積層部610及び620以外(正極タブ631及び負極タブ641以外)の部位(合材層が形成されている部位)である。電極体本体部601は、正極本体部632と負極本体部642とセパレータ650とが積層されて形成された扁平な直方体形状の部位である。なお、電極体600のうちの積層部610及び620以外の部位で、電極体本体部601における合剤層が形成されていない部位は、電極体本体部610に含まれるものとする。
積層部610及び620は、上述の通り、集電体500及び当て板700とレーザ溶接される矩形状の部位である。この積層部610及び620と集電体500及び当て板700とが溶接される構成について、以下に詳細に説明する。なお、正極側の積層部610と集電体500及び当て板700との溶接構成と、負極側の積層部620と集電体500及び当て板700との溶接構成とは、同様の構成を有する。このため、以下では、正極側の溶接構成についての説明を行い、負極側の溶接構成についての説明は省略する。
[3 集電体500、積層部610及び当て板700の溶接構成の説明]
図4は、本実施の形態に係る集電体500の平板状部位502、電極体600の積層部610及び当て板700を溶接した状態での構成を示す断面図及び平面図である。具体的には、図4の(a)は、平板状部位502、積層部610及び当て板700をレーザ溶接した状態を、レーザ溶接部800の中心軸を含み、かつ、YZ平面に平行な面で切断した場合の構成を示す断面図である。図4の(a)では、説明の便宜のため、図2における上下を逆にして、Z軸マイナス方向を上方に向けて図示している。図4の(b)は、図4の(a)をZ軸マイナス方向(上方、図2では下方)から見た場合の構成を示す平面図(上面図、図2では下面図)である。
図5は、本実施の形態に係る集電体500の平板状部位502、電極体600の積層部610及び当て板700をレーザ溶接する工程を示す断面図である。具体的には、図5の(a)は、当て板700を圧迫部材20で強圧迫する前の状態を示し、図5の(b)は、当て板700を圧迫部材20で強圧迫した後の状態を示している。図5の(c)は、当て板700、積層部610及び平板状部位502をレーザ溶接して、レーザ溶接部800を形成した状態を示している。図5の(a)~(c)は、図4の(a)に対応する図である。
図4に示すように、電極体600の積層部610には、第一凹部611が形成されている。第一凹部611は、積層部610における極板の積層方向(Z軸方向)から見て、積層部610におけるレーザ溶接部800と隣り合う位置に配置され、集電体500と接合されることなく当該積層方向(Z軸方向)に凹んだ凹部である。レーザ溶接部800と隣り合う位置とは、レーザ溶接部800の近傍、または、レーザ溶接部800に近接した位置と定義する。例えば、第一凹部611は、Z軸方向から見てレーザ溶接部800の中心からの距離がレーザ溶接部800の最大径の5倍以下(本実施の形態では、約1倍)の位置に配置されるのが好ましい。
第一凹部611は、積層部610における極板の積層方向(Z軸方向)から見て、レーザ溶接部800の両側に形成されている。具体的には、第一凹部611は、レーザ溶接部800のX軸方向両側に形成され、Y軸方向両側にも形成され、さらに、X軸方向またはY軸方向から傾斜した方向の両側にも形成されている。つまり、第一凹部611は、積層部610における極板の積層方向(Z軸方向)から見て、レーザ溶接部800の周囲を囲うように形成されている。
本実施の形態では、第一凹部611は、積層部610の当て板700に対向する面(Z軸マイナス方向の面)のうちのレーザ溶接部800の周囲の部位がZ軸プラス方向に凹んだ凹部である。具体的には、第一凹部611は、レーザ溶接部800の中心軸を含む平面(YZ平面等)での断面が略円弧形状を有し、この略円弧形状の凹部がレーザ溶接部800の周囲の全周に亘ってZ軸方向から見て円環状に連続的に連なる形状を有している。レーザ溶接部800の中心軸とは、Z軸方向から見てレーザ溶接部800の中心を通り、Z軸方向に平行に延びる仮想軸である。
このように、積層部610は、第一凹部611の位置では、集電体500の平板状部位502と溶接等による接合が行われておらず、円環状の第一凹部611の内側に位置するレーザ溶接部800において、平板状部位502と接合されている。Z軸方向から見て積層部610における平板状部位502と重なる位置かつレーザ溶接部800と隣り合う位置に、平板状部位502と接合されることなくZ軸方向に凹んだ第一凹部611が形成されている。
集電体500または当て板700には、積層部610に向けて突出し、第一凹部611内に配置される凸部が形成されている。本実施の形態では、当て板700に、凸部710が形成されている。凸部710は、当て板700における第一凹部611に対応する(対向する)位置に配置され、かつ、第一凹部611に向けて突出し、第一凹部611内に配置される凸部である。凸部710は、Z軸方向から見て当て板700におけるレーザ溶接部800と隣り合う位置に配置され、積層部610と接合されることなくZ軸方向に突出した凸部である。レーザ溶接部800と隣り合う位置の定義は、第一凹部611の場合と同様である。
凸部710は、Z軸方向から見て、レーザ溶接部800の両側に形成されている。具体的には、凸部710は、レーザ溶接部800のX軸方向両側に形成され、Y軸方向両側にも形成され、さらに、X軸方向またはY軸方向から傾斜した方向の両側にも形成されている。つまり、凸部710は、Z軸方向から見て、レーザ溶接部800の周囲を囲うように形成されている。
本実施の形態では、凸部710は、当て板700の積層部610に対向する面(Z軸プラス方向の面)のうちのレーザ溶接部800の周囲の部位がZ軸プラス方向に突出した凸部である。具体的には、凸部710は、レーザ溶接部800の中心軸を含む平面(YZ平面等)での断面が第一凹部611と同様の略円弧形状を有し、この略円弧形状の凸部がレーザ溶接部800の周囲の全周に亘ってZ軸方向から見て円環状に連続的に連なる形状を有している。つまり、円環状の凸部710が、円環状の第一凹部611の全周に亘って、第一凹部611内に配置されている。具体的には、凸部710は、第一凹部611を強圧迫した状態で、第一凹部611に嵌合されて配置されている。
当て板700における積層部610とは反対側の面の凸部710と対向する位置に、積層部610に向けて凹んだ第二凹部720が形成されている。第二凹部720は、Z軸方向から見て当て板700におけるレーザ溶接部800と隣り合う位置に配置され、Z軸方向に凹んだ凹部である。レーザ溶接部800と隣り合う位置の定義は、第一凹部611の場合と同様である。
第二凹部720は、Z軸方向から見て、レーザ溶接部800の両側に形成されている。具体的には、第二凹部720は、レーザ溶接部800のX軸方向両側に形成され、Y軸方向両側にも形成され、さらに、X軸方向またはY軸方向から傾斜した方向の両側にも形成されている。つまり、第二凹部720は、Z軸方向から見て、レーザ溶接部800の周囲を囲うように形成されている。
本実施の形態では、第二凹部720は、当て板700における積層部610とは反対側の面(Z軸マイナス方向の面)のうちのレーザ溶接部800の周囲の部位がZ軸プラス方向に凹んだ凹部である。具体的には、第二凹部720は、レーザ溶接部800の中心軸を含む平面(YZ平面等)での断面が略半長円形状を有し、この略半長円形状の凹部がレーザ溶接部800の周囲の全周に亘ってZ軸方向から見て円環状に連続的に連なる形状を有している。つまり、円環状の第二凹部720が、円環状の凸部710の全周に亘って、凸部710の凸形状に沿うように、凸部710の裏側に配置されている。
以上の構成は、以下のように形成される。まず、図5の(a)に示すように、集電体500の平板状の部位(平板状部位502)と当て板700の平板状の部位とが、積層部610の平坦状の部位を挟んだ状態で配置される。そして、図5の(b)に示すように、当て板700が、圧迫部材20で強圧迫される。圧迫部材20は、Z軸方向から見て円環状の部材であり、Z軸プラス方向の先端部20aの断面が円弧形状を有している。当て板700のZ軸マイナス方向の面が圧迫部材20に押圧される(強圧迫される)ことにより、当て板700のZ軸マイナス方向の面が凹んで、第二凹部720が形成される。この際、当て板700のZ軸プラス方向の面が突出して凸部710が形成されるとともに、積層部610のZ軸マイナス方向の面が凸部710に押圧される(強圧迫される)ことにより、積層部610のZ軸マイナス方向の面が凹んで、第一凹部611が形成される。
この状態で、図5の(c)に示すように、当て板700、積層部610、及び、集電体500の平板状部位502に対して、当て板700側(Z軸マイナス方向)からレーザ光Lが照射される。これにより、当て板700、積層部610及び平板状部位502がレーザ溶接により溶融し、レーザ溶接部800が形成される。そして、圧迫部材20が取り除かれることにより、図4に示したように、当て板700、積層部610及び平板状部位502が接合された構成が形成される。
レーザ溶接部800は、当て板700及び積層部610を、それらの厚み方向(Z軸方向)に貫通した状態で形成される。つまり、レーザ溶接部800は、当て板700のZ軸マイナス方向の面から、当て板700及び積層部610を貫通し、平板状部位502のZ軸方向の途中までに亘って形成される。本実施の形態では、レーザ溶接部800は、XY平面での断面が円形状であり、Z軸プラス方向に向かうほど径が徐々に小さくなる略半楕円球状を有している。
このように、蓄電素子10の製造方法においては、電極体600が有する、極板が積層方向(Z軸方向)に積層された積層部610と、積層方向において積層部610と並んで配置される集電体500とを接合する。この際、積層方向から見て積層部610におけるレーザ溶接対象部位(レーザ溶接部800が形成される部位)と隣り合う位置に、集電体500と接合されることなく積層方向に凹んだ第一凹部611を形成し、積層部610及び集電体500をレーザ溶接してレーザ溶接部800を形成する。詳細には、集電体500と当て板700とで積層部610を挟み、集電体500または当て板700に、積層部610に向けて突出し、第一凹部611内に配置される凸部710を形成する。本実施の形態では、当て板700に凸部710を形成することで、積層部610に第一凹部611を形成する。具体的には、第一凹部611を、積層方向から見て、レーザ溶接対象部位の両側に形成する。より具体的には、第一凹部611を、積層方向から見て、レーザ溶接対象部位の周囲を囲うように形成する。凸部710を形成する際には、当て板700における積層部610とは反対側の面の凸部710と対向する位置に、積層部610に向けて凹んだ第二凹部720を形成する。
[4 効果の説明]
以上のように、本発明の実施の形態に係る蓄電素子10によれば、電極体600の積層部610におけるレーザ溶接部800と隣り合う位置に、集電体500と接合されることなく極板の積層方向(Z軸方向)に凹んだ第一凹部611が形成されている。つまり、電極体600の積層部610における、レーザ溶接対象部位(レーザ溶接部800が形成される部位)と隣り合う位置が強圧迫されて、第一凹部611が形成された構成である。電極体600の積層部610におけるレーザ溶接対象部位と隣り合う位置が強圧迫されると、レーザ溶接対象部位に隙間が生じるのを抑制できる。第一凹部611が積層部610に残ることで積層部610内の極板同士がより密着し、レーザ溶接対象部位に隙間が生じるのをより抑制できる。これにより、レーザ溶接対象部位に隙間が生じるのが抑制された状態で、電極体600の積層部610と集電体500とをレーザ溶接できるため、電極体600と集電体500との溶接品質の低下を抑制できる。
蓄電素子10が当て板700を備え、集電体500と当て板700とで電極体600の積層部610を挟むことで、電極体600の積層部610と集電体500とをレーザ溶接する際に、レーザ溶接対象部位に隙間が生じるのをより抑制できる。これにより、レーザ溶接対象部位に隙間が生じるのがより抑制された状態で、電極体600の積層部610と集電体500とをレーザ溶接できるため、電極体600と集電体500との溶接品質の低下を抑制できる。
集電体500の平板状の部位(平板状部位502)に積層部610の平板状の部位を重ねることで、積層部610を強圧迫しやすいため、レーザ溶接対象部位に隙間が生じるのをより抑制できる。さらに、平板状の当て板700と集電体500の平板状部位502とで積層部610を挟むことで、積層部610を効果的に強圧迫できるため、レーザ溶接対象部位に隙間が生じるのをさらに抑制できる。
集電体500または当て板700(本実施の形態では、当て板700)に、電極体600の積層部610の第一凹部611内に配置される凸部710が形成されている。つまり、積層部610が凸部710に押圧されて、積層部610に第一凹部611が形成された構成である。このように、当て板700に凸部710を形成することで、積層部610に、第一凹部611を簡易に形成できる。これにより、電極体600の積層部610と集電体500とをレーザ溶接する際に、レーザ溶接対象部位に隙間が生じるのを容易に抑制できるため、電極体600と集電体500との溶接品質の低下を容易に抑制できる。
当て板700に凸部710が形成され、当て板700の凸部710とは反対側の面の凸部710と対向する位置に第二凹部720が形成されている。つまり、当て板700が強圧迫されて第二凹部720が形成され、これに伴い、第二凹部720とは反対側の面に凸部710が形成され、電極体600の積層部610が、凸部710で押圧されて第一凹部611が形成された構成である。このように、当て板700に第二凹部720を形成することで、積層部610に、第一凹部611を簡易に形成できる。これにより、電極体600の積層部610と集電体500とをレーザ溶接する際に、レーザ溶接対象部位に隙間が生じるのを容易に抑制できるため、電極体600と集電体500との溶接品質の低下を容易に抑制できる。
電極体600の積層部610において、第一凹部611がレーザ溶接部800の両側に形成されているため、積層部610におけるレーザ溶接対象部位の両側が強圧迫されて、第一凹部611が形成された構成である。積層部610におけるレーザ溶接対象部位の両側が強圧迫されると、レーザ溶接対象部位をバランスよく圧迫できるため、レーザ溶接対象部位に隙間が生じるのを効果的に抑制できる。これにより、レーザ溶接対象部位に隙間が生じるのが効果的に抑制された状態で、電極体600の積層部610と集電体500とをレーザ溶接できるため、電極体600と集電体500との溶接品質の低下を抑制できる。
電極体600の積層部610において、第一凹部611がレーザ溶接部800の周囲を囲うように形成されているため、積層部610におけるレーザ溶接対象部位の周囲が強圧迫されて、第一凹部611が形成された構成である。積層部610におけるレーザ溶接対象部位の周囲が強圧迫されると、レーザ溶接対象部位をさらにバランスよく圧迫できるため、レーザ溶接対象部位に隙間が生じるのをさらに効果的に抑制できる。これにより、レーザ溶接対象部位に隙間が生じるのがさらに効果的に抑制された状態で、電極体600の積層部610と集電体500とをレーザ溶接できるため、電極体600と集電体500との溶接品質の低下を抑制できる。
上記では、正極側の集電体500と積層部610と当て板700とをレーザ溶接する構成での効果を説明したが、負極側の集電体500と積層部620と当て板700とをレーザ溶接する構成についても同様の効果を奏する。
[5 変形例の説明]
以上、本実施の形態に係る蓄電素子10について説明したが、本発明は、上記実施の形態には限定されない。今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではなく、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
(変形例1~3)
上記実施の形態では、当て板700に凸部710及び第二凹部720が形成され、電極体600の積層部610に第一凹部611が形成されることとしたが、これには限定されない。図6Aは、本実施の形態の変形例1に係る集電体500の平板状部位502、電極体600の積層部610及び当て板701を溶接した状態での構成を示す断面図である。図6Bは、本実施の形態の変形例2に係る集電体510、電極体600の積層部610及び当て板702を溶接した状態での構成を示す断面図である。図6Cは、本実施の形態の変形例3に係る集電体500の平板状部位502、及び、電極体600の積層部610を溶接した状態での構成を示す断面図である。図7及び図8は、本実施の形態の変形例1に係る集電体500の平板状部位502、電極体600の積層部610及び当て板701をレーザ溶接する工程を示す断面図である。図9は、本実施の形態の変形例2に係る集電体510、電極体600の積層部610及び当て板702をレーザ溶接する工程を示す断面図である。図10は、本実施の形態の変形例3に係る集電体500の平板状部位502、及び、電極体600の積層部610をレーザ溶接する工程を示す断面図である。図6A~図6Cは、図4の(a)に対応する図であり、図7~図10は、図5に対応する図である。
図6Aに示すように、当て板701には第二凹部720が形成されていない。図7の(a)に示すように、凸部710が形成された当て板701と集電体500の平板状部位502とが、積層部610を挟んだ状態で配置される。図7の(b)に示すように、当て板701が、圧迫部材21で強圧迫される。圧迫部材21は、Z軸プラス方向の先端部21aが平坦面を有している。当て板701のZ軸マイナス方向の面が圧迫部材21に押圧される(強圧迫される)ことにより、積層部610のZ軸マイナス方向の面が凸部710に押圧される(強圧迫される)。これにより、積層部610のZ軸マイナス方向の面が凹んで、第一凹部611が形成される。この状態で、図7の(c)に示すように、当て板701、積層部610及び平板状部位502がレーザ溶接されて、レーザ溶接部800が形成される。そして、圧迫部材21が取り除かれることにより、図6Aに示したように、当て板701、積層部610及び平板状部位502が接合された構成が形成される。このように、圧迫する面は平坦で、積層部610に対向する面に凸部710が形成された当て板701を用いることで、圧迫部材21が当て板701の面をバランスよく圧迫することができる。これにより、積層部610に当て板701をより密着させることができ、より隙間なく第一凹部611を形成できる。
図6Aに示した構成は、以下によっても形成できる。図8の(a)に示すように、Z軸マイナス方向に突出する円環状の凸部730が形成された当て板701と、集電体500の平板状部位502とが、積層部610を挟んだ状態で配置される。図8の(b)に示すように、当て板701のZ軸マイナス方向の面が圧迫部材21に押圧される(強圧迫される)ことにより、凸部730が凹んで、当て板701のZ軸マイナス方向の面が平坦になる。この際、当て板701のZ軸プラス方向の面が突出して凸部710が形成されるとともに、積層部610のZ軸マイナス方向の面が凸部710に押圧される(強圧迫される)ことにより、積層部610のZ軸マイナス方向の面が凹んで、第一凹部611が形成される。この状態で、図8の(c)に示すように、当て板701、積層部610及び平板状部位502がレーザ溶接されてレーザ溶接部800が形成され、圧迫部材21が取り除かれることにより、図6Aに示した構成が形成される。
図6Bに示すように、当て板702には凸部710及び第二凹部720が形成されておらず、集電体510に円環状の凸部511が形成され、電極体600の積層部610に第一凹部611に代えて円環状の第一凹部612が形成されている。図9の(a)に示すように、平板状の当て板702と、凸部511が形成された集電体510とが、積層部610を挟んだ状態で配置される。図9の(b)に示すように、当て板702のZ軸マイナス方向の面が圧迫部材21に押圧される(強圧迫される)ことにより、積層部610のZ軸プラス方向の面が集電体510の凸部511に押圧される(強圧迫される)。これにより、積層部610のZ軸プラス方向の面が凹んで、第一凹部612が形成される。この状態で、図9の(c)に示すように、当て板702、積層部610及び集電体510がレーザ溶接されて、レーザ溶接部800が形成される。そして、圧迫部材21が取り除かれることにより、図6Bに示したように、当て板702、積層部610及び集電体510が接合された構成が形成される。
図6Cに示すように、当て板が配置されることなく、積層部610及び集電体500が接合されている。図10の(a)に示すように、集電体500の平板状部位502に、積層部610が配置される。図10の(b)に示すように、積層部610が、圧迫部材22で強圧迫される。圧迫部材22は、Z軸プラス方向の先端部22aの断面が円弧形状を有している。積層部610のZ軸マイナス方向の面が圧迫部材22に押圧される(強圧迫される)ことにより、積層部610のZ軸マイナス方向の面が凹んで、第一凹部611が形成される。この状態で、図10の(c)に示すように、積層部610及び平板状部位502がレーザ溶接されて、レーザ溶接部800が形成される。そして、圧迫部材22が取り除かれることにより、図6Cに示したように、積層部610及び平板状部位502が接合された構成が形成される。図6Bに示した構成においても、図6Cの構成と同様に、当て板702が配置されていなくてもよい。
(変形例4、5)
上記実施の形態では、電極体600は、複数の平板状の極板が積層されたいわゆるスタック型(積層型)の電極体であることとしたが、これには限定されない。電極体600は、極板及び/又はセパレータを蛇腹状に折り畳んだ蛇腹型の電極体でもよいし、以下の電極体でもよい。図11は、本実施の形態の変形例4に係る電極体600aの構成を示す斜視図である。図12は、本実施の形態の変形例5に係る電極体600b、集電体500a及び当て板700aの構成を示す斜視図である。図11は、図2に示した電極体600に対応する図であり、図12は、図2に示した電極体600、集電体500及び当て板700に対応する図である。
図11に示すように、電極体600aは、巻回軸が蓋体120に垂直となるいわゆる横巻きの巻回型電極体である。電極体600aは、正極板と負極板との間にセパレータが挟み込まれるように層状に配置されたものが巻回されて形成されている。これにより、正極板の複数の正極タブが積層されて正極側の積層部610aが形成され、負極板の複数の負極タブが積層されて負極側の積層部620aが形成されている。つまり、電極体600aは、上記実施の形態と同様に、電極体本体部601aと、電極体本体部601aの一部からZ軸プラス方向に突出してY軸プラス方向に延びる積層部610a及び620aと、を有している。このように、本変形例においても、積層部610a及び620aは、Y軸プラス方向に折り曲げられることで、集電体500及び当て板700にZ軸方向で挟まれた状態で配置される。このため、積層部610a及び620aの極板の積層方向は、Z軸方向である。図11では、電極体600aは、Z軸方向から見て長円形状を有しているが、Z軸方向から見て、楕円形状、円形状、または、その他どのような形状でもよい。
図12に示すように、電極体600bは、巻回軸が蓋体120に平行となるいわゆる縦巻きの巻回型電極体である。電極体600bは、電極体本体部601bと、電極体本体部601bからX軸方向両側に突出する正極側の積層部610b及び負極側の積層部620bと、を有している。積層部610b及び620bは、タブではなく、電極体600bのX軸方向両端部かつZ軸方向中央部に配置される、極板がY軸方向に積層された部位である。つまり、本変形例では、積層部610b及び620bは、集電体500aの平板状部位502a及び当て板700aにY軸方向で挟まれた状態で配置される。このため、積層部610b及び620bの極板の積層方向は、Y軸方向である。集電体500aは、電極端子200に接続(接合)される端子接続部500a1と、電極体600bの積層部610bまたは620bに接続(接合)される平板状部位502aを含む電極体接続部500a2と、を有している。本変形例において、集電体500aは、2つの電極体接続部500a2を有しており、2つの電極体接続部500a2のそれぞれが積層部610bまたは620bを2分したそれぞれに接続される構成でもよい。
(その他の変形例)
上記実施の形態では、電極体600の積層部610は、Y軸プラス方向に折り曲げられることで、集電体500及び当て板700にZ軸方向で挟まれた状態となることとしたが、Y軸プラス方向に折り曲げられず、集電体500及び当て板700にY軸方向で挟まれた状態で配置されてもよい。つまり、積層部610は、極板がY軸方向に積層された部位であってもよく、この場合、Y軸方向が積層方向となる。積層部620についても同様である。上記変形例1~4についても同様である。
上記実施の形態では、積層部610の第一凹部611は、レーザ溶接部800の全周を囲うように形成されることとしたが、レーザ溶接部800の周囲を囲う構成であれば、全周のうちの一部を囲っていなくてもよい。第一凹部611は、レーザ溶接部800の周囲を囲うのではなく、レーザ溶接部800と隣り合う位置に部分的にしか形成されていなくてもよい。第一凹部611は、レーザ溶接部800の両側に形成されているのではなく、レーザ溶接部800の片側にしか配置されていなくてもよい。当て板700の凸部710及び第二凹部720についても同様である。上記変形例についても同様である。
上記実施の形態では、レーザ溶接部800は、Z軸方向から見て、円形状であることとしたが、楕円形状、長円形状、多角形状等の円形状以外の形状でもよいし、円環状等の環状であってもよい。第一凹部611は、レーザ溶接部800の中心軸を含む平面での断面が略円弧形状であることとしたが、略円弧形状以外のどのような形状を有していてもよい。当て板700の凸部710及び第二凹部720についても同様である。上記変形例についても同様である。
上記実施の形態では、レーザ溶接部800は、当て板700を厚み方向(Z軸方向)に貫通した状態で形成されることとしたが、集電体500を厚み方向(Z軸方向)に貫通した状態で形成されてもよい。つまり、集電体500側(Z軸プラス方向)からレーザ光を照射して、集電体500、積層部610及び当て板700のレーザ溶接部800を形成してもよい。上記変形例についても同様である。
上記実施の形態では、正極側(積層部610側)及び負極側(積層部620側)の双方について、上記の構成を有していることとしたが、正極側及び負極側のいずれか一方が、上記の構成を有していなくてもよい。つまり、積層部610及び積層部620のいずれか一方には第一凹部611が形成されなくてもよく、正極側及び負極側の当て板700のいずれか一方には凸部710及び第二凹部720が形成されなくてもよい。上記実施の形態では、正極側の積層部610及び当て板700は、アルミニウムまたはアルミニウム合金等で形成されているため、凹みやすいが、負極側の積層部620及び当て板700は、銅または銅等で形成されているため、凹みにくい。このため、負極側の積層部620及び当て板700には、第一凹部611、凸部710及び第二凹部720が形成されなくてもよい。一般的に、アルミニウムは酸化被膜やこれに吸着した水分を有しているため溶接時にガスが発生しやすく、正極側(積層部610側)でブローホールが発生しやすい。積層部610を強圧迫することで、積層部610に隙間が生じるのを抑制することができ、レーザ溶接対象部位のガスが圧迫されて大気中に逃げることで、レーザ溶接部800におけるブローホールの発生を抑制できる。このため、正極側(積層部610側)を上記構成とすると、ブローホールの発生をより抑制でき、電極体600と集電体500との溶接品質の低下を抑制できる効果が高い。上記変形例についても同様である。また、積層部610及び積層部620の両方、またはいずれか一方に、第一凹部611のみが形成され、当て板700には凸部710または第二凹部720が形成されなくてもよい。つまり、当て板700は平板形状でもよい。上記変形例についても同様である。
上記実施の形態及びその変形例に含まれる構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
本発明は、このような蓄電素子として実現できるだけでなく、電極体と集電体との組み合わせとしても実現できる。
本発明は、リチウムイオン二次電池などの蓄電素子等に適用できる。
10 蓄電素子
20、21、22 圧迫部材
20a、21a、22a 先端部
100 容器
200 電極端子
500、500a、510 集電体
500a1 端子接続部
500a2 電極体接続部
502、502a 平板状部位
511、710、730 凸部
600、600a、600b 電極体
601、601a、601b 電極体本体部
610、610a、610b、620、620a、620b 積層部
611、612 第一凹部
630 正極板
631 正極タブ
640 負極板
641 負極タブ
650 セパレータ
700、700a、701、702 当て板
720 第二凹部
800 レーザ溶接部

Claims (6)

  1. 極板が積層方向に積層された積層部を有する電極体と、前記積層方向において前記積層部と並んで配置されて前記積層部に接合される集電体と、を備える蓄電素子であって、
    前記積層部及び前記集電体がレーザ溶接されたレーザ溶接部を備え、
    前記積層方向から見て前記積層部における前記レーザ溶接部と隣り合う位置に、前記集電体と接合されることなく前記積層方向に凹んだ第一凹部が形成されている
    蓄電素子。
  2. 前記集電体とで前記積層部を挟む当て板をさらに備える
    請求項1に記載の蓄電素子。
  3. 前記集電体、または、前記集電体とで前記積層部を挟む当て板には、前記積層部に向けて突出し、前記第一凹部内に配置される凸部が形成されている
    請求項1または2に記載の蓄電素子。
  4. 前記当て板に前記凸部が形成され、
    前記当て板における前記積層部とは反対側の面の前記凸部と対向する位置に、前記積層部に向けて凹んだ第二凹部が形成されている
    請求項3に記載の蓄電素子。
  5. 前記第一凹部は、前記積層方向から見て、前記レーザ溶接部の両側に形成されている
    請求項1~4のいずれか一項に記載の蓄電素子。
  6. 前記第一凹部は、前記積層方向から見て、前記レーザ溶接部の周囲を囲うように形成されている
    請求項1~5のいずれか一項に記載の蓄電素子。
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