JP2023038395A - 容器詰ビール様発泡性飲料 - Google Patents

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Kumiko Imoto
巧 松田
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【課題】本発明は、飲用開始から終了までの間に風味の変化を楽しむことができる容器詰ビール様発泡性飲料を提供する。【解決手段】4℃の温度条件下において、開封から5分後までの炭酸ガス含有量の平均減少速度が0.005g/(100mL・min)以上であることを特徴とする、容器詰ビール様発泡性飲料、4℃の温度条件下において、開封から5分後までの炭酸ガスの減少量が0.025g/100mL以上であることを特徴とする、容器詰ビール様発泡性飲料、及び、容器詰ビール様発泡性飲料の風味を、香味バランスを維持しつつ、開封後から経時的に変化させる方法であって、4℃の温度条件下において、開封から5分後までの容器詰ビール様発泡性飲料の炭酸ガスの減少量を、0.025g/100mL以上に調整する、容器詰ビール様発泡性飲料の風味を変化させる方法。【選択図】なし

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 1.令和3年1月6日 「アサヒビール株式会社 2021年 事業方針説明会」 2.令和3年3月30日 「アサヒビール株式会社 スーパードライ生ジョッキ缶 メディア先行体験会」 3.令和3年4月1日 製品名「アサヒスーパードライ生ジョッキ缶」の販売
特許法第30条第2項適用申請有り 4.令和3年1月6日 製品名「アサヒスーパードライ生ジョッキ缶」についてのプレスリリース<https://www.asahibeer.co.jp/news/2021/0106_1.html> 5.令和3年4月8日 製品名「アサヒスーパードライ生ジョッキ缶」についてのプレスリリース<https://www.asahibeer.co.jp/news/2021/0408.html>
特許法第30条第2項適用申請有り 6.令和3年4月21日 製品名「アサヒスーパードライ生ジョッキ缶」についてのプレスリリース<https://www.asahibeer.co.jp/news/2021/0421_1.html> 7.令和3年5月7日 製品名「アサヒスーパードライ生ジョッキ缶」についてのプレスリリース<https://www.asahibeer.co.jp/news/2021/0507.html>
特許法第30条第2項適用申請有り 8.令和3年5月21日 製品名「アサヒスーパードライ生ジョッキ缶」についてのプレスリリース<https://www.asahibeer.co.jp/news/2021/0521.html> 9.令和3年7月20日 製品名「アサヒスーパードライ生ジョッキ缶」についてのプレスリリース<https://www.asahibeer.co.jp/news/2021/0720.html>
特許法第30条第2項適用申請有り 10.令和3年4月29日 テレビ東京 「カンブリア宮殿 新時代の幕開け! アサヒビールの戦略に迫る」 11.令和3年3月30日 TBSテレビ 「ゴゴスマ~GOGO!Smile!」 12.令和3年2月24日 日経デザイン 2021年3月号 31~33ページ 「特集-コロナ禍に勝つブランディング-〔事例4 キーワード 「新体験」で看板商品の価値を高める〕-アサヒビール/アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶-発売前から話題!既成概念捨てて生まれた“泡の新体験”」
特許法第30条第2項適用申請有り 13.令和3年3月4日 日経トレンディ 2021年4月号 125ページ 「TRENDY WHAT’S NEW-ヒットアラート-〔飲料〕-アサヒビール 「アサヒスーパードライ生ジョッキ缶」-蓋を開けると泡が自然発生 既成概念捨てて生まれた“泡の新体験”」 14.令和3年6月21日 日経流通MJ (流通新聞) 第14ページ 「ヒット商品番付 開発担当者に聞く▲2▼ アサヒビール『スーパードライ 生ジョッキ缶』」
特許法第30条第2項適用申請有り 15.令和3年8月5日 日本経済新聞 朝刊 第12ページ 「Nextストーリー アサヒ、逆境こそチャンス 10年埋もれた生ジョッキ缶 店で飲むビールの「泡」再現 全国で品切れ 機会損失に」 16.令和3年8月30日 日経クロストレンド [「刺さる」プレゼンの極意 第67回] 「アサヒ「生ジョッキ缶」の資料 消費者のナマ声伝える動画がカギ」、<https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00112/00071/>
本発明は、開封から経時的に風味が変化する容器詰ビール様発泡性飲料に関する。
缶や瓶に充填されている容器詰ビール様発泡性飲料は、通常、飲用時にグラスやジョッキ等の別の容器に注ぎ入れる際に発泡し、泡の層が形成される。また、当該別の容器に注ぎ入れた後、超音波振動をかけることによって、より肌理の細かい泡を形成させることも行われている。ビール様発泡性飲料は、空気に触れると酸化して風味が劣化してしまうが、この液面に形成される泡層により、酸化が防止される。このため、ビール様発泡性飲料においては、飲用時に白くクリーミーな泡が形成されることが商品価値の一つとなっている。
容器詰ビール様発泡性飲料は、別の容器に注ぎ入れるのではなく、直接飲用される場合がある。そのような場合においても、開封時に、別の容器に飲料を注出したときのような泡が自発的に形成されれば、望ましいと考えられる。このような要望へ応えるべく、発泡性飲料を充填する飲料用缶について、容器の内面の構造を工夫することにより、発泡性を高める技術が知られている。
例えば、特許文献1には、金属板を成形して缶体とした飲料用缶であって、缶体の内面底部が所定の表面粗さを有することを特徴とする発泡飲料用缶が開示されている。
また、特許文献2には、缶の内面に形成された有機樹脂被覆層に、所定の高融点大径粒子が離脱して生じた凹部および/または残留して生じた凸部と、所定の低融点小径粒子が離脱して生じた凹部とが形成されていることを特徴とする発泡性飲料用缶が開示されている。
特許文献3には、内面に、断面が略V字状をなす凹部が形成されていることを特徴とする発泡性液体用容器が開示されている。
特許文献4には、内部にCO含有飲料が充填される飲料缶の缶蓋であって、缶蓋本体の平坦面とされた内面に有機樹脂被覆が積層され、該有機樹脂被覆の内面に凹部又は凸部又は凹凸部が形成されていることを特徴とする缶蓋が開示されている。
特許文献5には、発泡性をさらに向上させた飲料用缶として、胴部の内面に、10~60μmの平均直径を有する複数のカルデラ状構造が、1mmあたり7~30個設けられている発泡性飲料用缶が開示されている。
特開2001-180671号公報 特開2007-8493号公報 特開平5-97149号公報 特開2004-123208号公報 特開2021-80014号公報
飲用中に大きな味わい(風味)の変化がないことは、呈味の安定性の点からは好ましいものの、同じ味わいが続くことは、飲用者の飽きにもつながりやすい。ビール様発泡性飲料は、炭酸ガスによる発泡性と、適度な苦味によるすっきりとした呈味により、ドリンカビリティー(飽きずに何杯も飲み続けられる性質)に優れているものの、経時的に風味が変化することで、より多くのビール様発泡性飲料を飽きずに飲み続けられることが期待できる。
本発明においては、飲用開始から終了までの間に風味の変化を楽しむことができる、容器詰ビール様発泡性飲料を提供することを目的とする。
本発明者らは、容器詰ビール様発泡性飲料において、開封時から飲料終了までの間における、飲料からの炭酸ガスの減少速度を調節することにより、香味バランスを過度に悪化させることなく、経時的に風味を変化させられることを見出し、本発明を完成させた。
本発明に係る発明は、下記[1]~[10]である。
[1] 4℃の温度条件下において、開封から5分後までの炭酸ガス含有量の平均減少速度が0.005g/(100mL・min)以上であることを特徴とする、容器詰ビール様発泡性飲料。
[2] 前記平均減少速度が0.02g/(100mL・min)以下である、前記[1]の容器詰ビール様発泡性飲料。
[3] 4℃の温度条件下において、開封から5分後までの炭酸ガスの減少量が0.025g/100mL以上であることを特徴とする、容器詰ビール様発泡性飲料。
[4] 4℃の温度条件下において、開封から15分後までの炭酸ガスの減少量が0.3g/100ml以下である、容器詰ビール様発泡性飲料。
[5] 液温が4℃における炭酸ガスの含有量が、0.45g/100mL~0.65g/100mLである、前記[1]~[4]のいずれかの容器詰ビール様発泡性飲料。
[6] 炭酸ガスの含有量の減少に伴って、起泡が生じる、前記[1]~[5]のいずれかの容器詰ビール様発泡性飲料。
[7] 麦芽比率(%)×原麦汁エキス(%)の値が450以上である、前記[1]~[6]のいずれか一項に記載の容器詰ビール様発泡性飲料。
[8] 苦味価が22BU以下である、前記[1]~[7]のいずれかの容器詰ビール様発泡性飲料。
[9] 容器詰ビール様発泡性飲料の風味を、香味バランスを悪化させることなく、開封後から経時的に変化させる方法であって、
4℃の温度条件下において、開封から5分後までの容器詰ビール様発泡性飲料の炭酸ガスの減少量を、0.025g/100mL以上に調整する、容器詰ビール様発泡性飲料の風味を変化させる方法。
[10] ビール様発泡性飲料が金属製容器に充填されている容器詰ビール様発泡性飲料であって、
前記金属製容器が、内面に起泡性凹凸構造が設けられており、かつ開封時に容器天面の面積の30%以上の領域が開口される容器であり、
4℃の温度条件下において、開封から5分後までの炭酸ガス含有量の平均減少速度が0.005g/(100mL・min)以上である、容器詰ビール様発泡性飲料。
本発明により、開封して飲料を開始した時点から飲料終了までの間に、香味バランスをビール様発泡性飲料として不適格となるまで悪化させることなく、経時的に風味が変化する容器詰ビール様発泡性飲料が得られる。
本発明及び本願明細書において、「ビール様発泡性飲料」とは、炭酸ガスを含有する飲料のうち、「ビールらしさ」を有している飲料を意味する。「ビールらしさ」とは、製品名称・表示にかかわらず、香味上ビールを想起させる呈味のことを意味する。つまり、「ビール様発泡性飲料」とは、アルコール含有量、麦芽及びホップの使用の有無、発酵の有無に関わらず、ビールと同等の又はそれと似た風味・味覚及びテクスチャーを有し、高い止渇感・ドリンカビリティー(飽きずに何杯も飲み続けられる性質)を有する発泡性飲料を意味する。
本発明及び本願明細書において、「容器詰ビール様発泡性飲料のTn分後の炭酸ガス減少量(Tnは正数)」とは、容器詰ビール様発泡性飲料の開封時点における炭酸ガス含有量(g/100mL)から、容器詰ビール様発泡性飲料の開封からTn分後の時点における炭酸ガス含有量(g/100mL)を差し引いた炭酸ガス濃度を意味する。
容器詰ビール様発泡性飲料の炭酸ガス含有量は、通常、飲用開始時から飲用終了時までの間、あまり変動しない。例えば、容器詰ビール様発泡性飲料を開封した状態でそのまま静置した場合、飲料溶液中の炭酸ガス含有量はそれほど変化せず、開封から5分後であっても、飲料中の炭酸ガスは0.005g/100mLほどしか減少しない。また、容器詰ビール様発泡性飲料を開封後、コップ等の他の容器に移し替えた場合、飲料中の炭酸ガス含有量は、移し替える際に大きく減少するものの、容器に移し終えた後は、液面に形成された泡層によって保護されるため、あまり変化しない。つまり、容器詰ビール様発泡性飲料の炭酸ガス含有量は、容器を開封して直接当該容器から飲む場合と、他の容器に移し替えて飲む場合のいずれであっても、飲用開始時から飲用終了時までの間、あまり減少しない。
これに対して、本発明に係る容器詰ビール様発泡性飲料は、4℃の温度条件下において、開封から5分後までの炭酸ガス含有量の平均減少速度が0.005g/(100mL・min)以上であることを特徴とする。後記実施例に示すように、ビール様発泡性飲料において、飲料の炭酸ガス含有量は風味に影響を与える要因の一つであり、炭酸ガス含有量が0.025g/100mL以上減少すると、明らかに風味が変化する。開封から5分後までの炭酸ガス含有量の平均減少速度が0.005g/(100mL・min)以上であれば、開封から少なくとも5分後には、容器詰ビール様発泡性飲料の炭酸ガス減少量が0.025g/100mL以上となり、顕著に風味の変化を感じることが可能となる。本発明に係る容器詰ビール様発泡性飲料としては、開封から5分後の炭酸ガス減少量が、0.025g/100mL以上であることが好ましく、0.04g/100mL以上であることがより好ましく、0.05g/100mL以上であることがさらに好ましい。
本発明に係る容器詰ビール様発泡性飲料の4℃の温度条件下における開封から5分後までの炭酸ガス含有量の平均減少速度は、0.005g/(100mL・min)以上であれば特に限定されるものではないが、0.008g/(100mL・min)以上が好ましく、0.01g/(100mL・min)以上がより好ましい。開封から5分後までの炭酸ガス含有量の平均減少速度が速いほど、飲料開始から速やかに風味の変化を楽しむことができる。
一方で、飲料からの炭酸ガス減少量が多くなりすぎると、炭酸ガスによる発泡性が顕著に低下し、苦味やアルコール感が目立つようになり、香味バランスが崩れてしまうおそれがある。本発明に係る容器詰ビール様発泡性飲料では、4℃の温度条件下における開封から5分後までの炭酸ガス含有量の平均減少速度を0.02g/(100mL・min)以下の範囲内とすることが好ましい。当該平均減少速度が0.02g/(100mL・min)以下であれば、容器詰ビール様発泡性飲料の15分後の炭酸ガス減少量が0.3g/100mLにまで抑えられるため、香味バランスをビール様発泡性飲料として不適格となるまで悪化させることなく、飲用開始から終了までの間に風味の顕著な変化を楽しむことができる。
一般的に発泡性飲料は、炭酸ガスにより、非発泡性飲料と比較して少ない飲用量でも飲用者に満腹感を与えてしまう。これに対して、本発明に係る容器詰ビール様発泡性飲料は、開封後の炭酸ガス減少量が、従来の容器詰ビール様発泡性飲料よりも明らかに多い。このため、本発明に係る容器詰ビール様発泡性飲料により摂取される炭酸ガス量は、従来の容器詰ビール様発泡性飲料よりも少なくなる。例えば、4℃の温度条件下において、開封から5分後までの炭酸ガス含有量の平均減少速度が0.005g/(100mL・min)の場合、一定のペースで、例えば35mL/minで10分間飲用した場合には、摂取する炭酸ガスの体積は、従来の容器詰ビール様発泡性飲料を飲用した場合よりも、約40mL(標準状態)低減され、満腹感も抑制される。つまり、本発明に係る容器詰ビール様発泡性飲料は、飲用による満腹感の増大も抑制され、よりドリンカビリティーに優れている。
本発明に係る容器詰ビール様発泡性飲料の開封時の炭酸ガス含有量は、特に限定されるものではなく、目的のビール様発泡性飲料の種類や製品品質に応じて適宜調整することができる。例えば、本発明に係る容器詰ビール様発泡性飲料としては、炭酸ガス含有量の減少による風味の変化が感じ取りやすいことから、開封時の液温が4℃における炭酸ガスの含有量は、0.45g/100mL~0.65g/100mLが好ましい。
容器詰ビール様発泡性飲料の開封後の炭酸ガス含有量の平均減少速度は、例えば、開封後に自発的に起泡が生じる容器にビール様発泡性飲料を充填させることによって調整することができる。起泡は、飲料中の炭酸ガスの含有量の減少に伴って生じる。このような容器を使用することにより、開封により炭酸ガスが自発的に液体から抜け、この際に生じた起泡により飲料液面に泡層が形成され、この泡層により、飲料の酸化が抑制されるため、酸化による風味劣化を抑えることもでき好ましい。
開封後に自発的に起泡が生じる容器としては、例えば、「内面に起泡性凹凸構造が設けられている容器」を用いることができる。「起泡性凹凸構造」とは、飲料の起泡性(発泡性)を向上させる機能を有する凹凸構造である。本発明において使用される容器が備える起泡性凹凸構造は、平坦な構造に比べて飲料の起泡性を向上させるような凹凸構造であればよく、特に限定されない。例えば、内面に凹部のみを備える容器であってもよく、内面に凸部のみを備える容器であってもよく、凹部と凸部の両方を備える容器であってもよい。本発明において使用される「内面に起泡性凹凸構造が設けられている容器」としては、例えば、特許文献1~5に記載の容器を用いることができる。
なお、「凹部」とは、深さが1μm以上の構造をいい、「凸部」とは、高さが1μm以上の構造をいう。各凹部は、概ね円形である。容器内面の凹凸構造は、例えば、容器内面のレーザー顕微鏡写真の画像解析により計測することができる。
内面に起泡性凹凸構造が設けられている容器としては、金属製であり、筒状の胴部、下面(底面)、及び上面(缶蓋天面)を有しており、胴部には、起泡性凹凸構造が設けられているものが好ましい。中でも、起泡性凹凸構造として、胴部内面に、0.5μm以上20μm以下の直径の凹部を1mm当たり5000~25000個含むものが好ましく、直径が0.5μm以上5μm未満の凹部を1mm当たり5000~20000個含み、直径が5μm以上20μm以下の凹部を1mm当たり200~2000個含むものがより好ましい。このような起泡性凹凸構造を有する容器は、例えば、金属製の容器の内面に、凹凸を有する樹脂層を設けることにより、実現することができる。金属製の容器としては、アルミニウム缶やスチール缶等の発泡性飲料の充填に汎用されている飲用缶を用いることができる。例えば、容器の製造時に、金属製容器の内面に、ワックス粒子を含む樹脂組成物を塗布し、焼き付ける。ワックス粒子としては、焼き付け時に揮散するような成分を使用する。これにより、焼き付け時にワックス粒子が脱離し、樹脂層に凹凸構造が形成される。
内面に起泡性凹凸構造が設けられている容器における起泡性、すなわち炭酸ガスの抜けやすさは、容器内面に形成されている起泡性凹凸構造に依存する。本発明に係る容器詰ビール様発泡性飲料が充填されている容器としては、4℃の温度条件下において、開封から5分後までに、炭酸ガスの含有量が0.005g/(100ml・min)以上の速さで減少させるように、起泡性凹凸構造が形成された容器が好ましい。
内面に起泡性凹凸構造が設けられている容器としては、開封時に、容器天面の面積の30%以上の領域が開口される金属製容器であることが好ましい。例えば缶の場合、蓋を開けると、缶蓋天面の面積の30%以上の領域が開口されるタイプの缶、いわゆるフルオープン缶であることが好ましい。開口される領域は、好ましくは、容器天面の面積の40%以上、より好ましくは50%以上、更に好ましくは80%以上である。
フルオープン缶は、通常の容器とは異なり、発泡を視覚的に捉えることができることから、ジョッキに注いだビールをユーザに想起させることができる。加えて、通常の容器よりも、同一角度で口の中に流入する液量が多いことから、ユーザは、泡と液を一度に楽しむことができる。
本発明において使用されるフルオープン缶としては、缶蓋天面が円形であり、その全周にわたってスコア(切欠き)加工が施されているものが挙げられる。そのスコア加工により、缶蓋天面全体が缶本体から脱離し、開口される。一方で、缶蓋天面は、必ずしも全てが脱離する必要はなく、容器として、缶蓋天面の一部が開缶後も缶本体に残っているような構成が用いられてもよい。
本発明において使用される容器の容量(飲料液が充填される量)は、特に限定されるものではなく、例えば、135~1000mL容、好ましくは320~500mL容である。また、容器天面が円形である場合、容器の口径は、特に限定されるものではないが、例えば200~211径、好ましくは202~206径(JIS Z 1571:2016)である。
本発明に係る容器詰ビール様発泡性飲料が、内面に起泡性凹凸構造が設けられている容器に充填されている場合には、開封することにより、容器内のビール様発泡性飲料は発泡して炭酸ガスが抜けるとともに起泡が生じ、液面に生ビールをジョッキに注いだ時に生じるような泡の層が形成される。
本発明に係る容器詰ビール様発泡性飲料を、開封後に自発的に起泡が生じない、従来の容器に充填させた場合には、開封後の容器に、超音波発生装置を設置することもできる。開封後の容器に超音波をかけることにより、飲料液体に溶解していた炭酸ガスが除去される。超音波の強度を調整することにより、炭酸ガス含有量の平均減少速度を調整することができる。
本発明に係る容器詰ビール様発泡性飲料に充填されるビール様発泡性飲料としては、具体的には、ビールや、発泡酒、ローアルコールビール様発泡性飲料、ノンアルコールビール等が挙げられる。当該ビール様発泡性飲料としては、発酵工程を経て製造される発酵容器詰ビール様発泡性飲料であってもよく、発酵工程を経ずに製造される非発酵容器詰ビール様発泡性飲料であってもよい。その他、発酵工程を経て製造された飲料を、アルコール含有蒸留液と混和して得られたリキュール類であってもよい。
なお、アルコール含有蒸留液とは、蒸留操作により得られたアルコールを含有する溶液であり、一般に蒸留酒に分類されるものを用いることができる。例えば、原料用アルコールであってもよく、スピリッツ、ウィスキー、ブランデー、ウオッカ、ラム、テキーラ、ジン、焼酎等の蒸留酒等を用いることができる。
本発明に係る容器詰ビール様発泡性飲料としては、アルコール飲料であってもよく、アルコール含量が1容量%未満であるいわゆるノンアルコール飲料又はローアルコール飲料であってもよい。本発明に係る容器詰ビール様発泡性飲料のアルコール濃度は、特に限定されるものではないが、0.5~8.0g/100mLであることが好ましい。
本発明に係る容器詰ビール様発泡性飲料は、原料としてホップを用いた飲料であってもよく、用いていない飲料であってもよい。ホップを用いることにより、イソα酸を含む容器詰ビール様発泡性飲料を製造できる。本発明に係る容器詰ビール様発泡性飲料の苦味価としては、特に限定されるものではないが、苦味価は、22BU以下であることが好ましい。炭酸ガスが一定量以上減少すると、苦味が目立ち香味バランスが崩れやすくなる。苦味価を比較的低くすることによって、開封後に炭酸ガスが減少する際に香味バランスを崩れにくくすることができる。本発明に係る容器詰ビール様発泡性飲料の苦味価としては、よりビールらしい苦味が十分に感じられることから、8~22BUがより好ましく、12~22BUがさらに好ましく、16~22BUがよりさらに好ましい。原料としてホップを用いない場合には、本発明に係る容器詰ビール様発泡性飲料の苦味価は、0.5BU以下が好ましい。
本発明及び本願明細書においては、特に記載のない限り、「ホップ」には、生ホップ、乾燥ホップ、ホップペレット等に加えて、ホップ加工品も含まれる。ホップ加工品としては、例えば、ホップから苦味成分を抽出したホップエキス、イソ化ホップエキス、テトラハイドロイソフムロン、ヘキサハイドロイソフムロン等のホップ中の苦味成分をイソ化した成分を含むホップ加工品が挙げられる。すなわち、「ホップを原料とせずに」とは、原料として、ホップ自体を用いない場合のみならず、ホップ加工品を原料として用いない場合も含まれる。
本発明及び本願明細書において、苦味価(BU)とは、イソフムロンを主成分とするホップ由来物質群により与えられる苦味の指標であり、ビール様発泡性飲料をはじめとする飲料の苦味価は、ビール酒造組合編集:BCOJビール分析法、8.15(2004)に記載の方法により測定することができる。
本発明に係る容器詰ビール様発泡性飲料の色度(EBC)は、例えば3~12、好ましくは4~10、より好ましくは55~9である。ビールの色度は、EBC(European Brewery Convention)のAnalytica-EBC標準法、又はこれに準じた方法により測定できる。
本発明に係る容器詰ビール様発泡性飲料のpHは、例えば3.5~5.0、好ましくは3.7~4.5、より好ましくは3.9~4.3である。
本発明に係る容器詰ビール様発泡性飲料は、原料として麦芽を用いた飲料であってもよく、用いていない飲料であってもよい。麦芽を用いることにより、ビールらしい香味により優れた容器詰ビール様発泡性飲料を製造できる。本発明に係る容器詰ビール様発泡性飲料が発酵容器詰ビール様発泡性飲料の場合、発酵原料として、麦芽を用いてもよく、麦芽を用いなくてもよい。麦芽を用いる場合、発酵原料に占める麦芽比率は、10質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。発酵原料に占める麦芽比率が低い場合には、容器詰ビール様発泡性飲料の炭酸ガスが減少した際に、アルコール感が強くなりすぎたり、ホップ風味が弱くなりすぎることによって、香味バランスを崩しやすい。麦芽比率を前記範囲とすることにより、開封後の炭酸ガス減少による香味バランスの悪化を抑制し得る。
本発明に係る容器詰ビール様発泡性飲料の原麦汁エキス(質量%)は、特に限定されるものではない。本発明に係る容器詰ビール様発泡性飲料の原麦汁エキスとしては、例えば、5.0~20.0質量%とすることができ、7.0~16.0質量%がより好ましく、7.0~16.0質量%がより好ましい。原麦汁エキスが低い場合には、容器詰ビール様発泡性飲料の炭酸ガスが減少した際に、アルコール感が強くなりすぎたり、ホップ風味が弱くなりすぎることによって、香味バランスを崩しやすい。原麦汁エキスを前記範囲とすることにより、開封後の炭酸ガス減少による香味バランスの悪化を抑制し得る。
なお、発酵ビール様発泡性飲料の原麦汁エキスは、国際法として公定されているSCABA(Servo Chem Automatic Beer Analyzer)法にしたがって、アルコール濃度とエキス濃度から測定することができる。
本発明に係る容器詰ビール様発泡性飲料としては、開封後の炭酸ガス減少による香味バランスの低下をより抑制し得ることから、麦芽比率(%)と原麦汁エキス(%)を掛けた値([麦芽比率(%)]×[原麦汁エキス(%)])の値が450以上であることが好ましく、500以上であることがより好ましく、700以上であることがさらに好ましく、800以上であることがよりさらに好ましく、850以上であることがより好ましく、900以上であることがさらに好ましい。
本発明に係る容器詰ビール様発泡性飲料において、容器に充填するビール様発泡性飲料は、一般的な発酵ビール様発泡性飲料や非発酵ビール様発泡性飲料と同様にして製造できる。そこで、一般的な発酵ビール様発泡性飲料と非発酵ビール様発泡性飲料の製造方法を説明する。
発酵工程を経て製造される発酵ビール様発泡性飲料は、一般的には、仕込(発酵原料液調製)、発酵、貯酒、濾過の工程で製造することができる。
まず、仕込工程(発酵原料液調製工程)として、穀物原料及び糖質原料からなる群より選択される1種以上の発酵原料から発酵原料液を調製する。具体的には、発酵原料と原料水とを含む混合物を加温し、澱粉質を糖化して糖液を調製する。得られた糖液を煮沸し、その後固体分の少なくとも一部を除去して、発酵原料液を調製する。
穀物原料としては、例えば、大麦や小麦、これらの麦芽等の麦類、米、トウモロコシ、大豆等の豆類、イモ類等が挙げられる。穀物原料は、穀物シロップ、穀物エキス等として用いることもできるが、粉砕処理して得られる穀物粉砕物として用いることが好ましい。穀物類の粉砕処理は、常法により行うことができる。穀物粉砕物としては、麦芽粉砕物、コーンスターチ、コーングリッツ等のように、粉砕処理の前後において通常なされる処理を施したものであってもよい。用いられる穀物粉砕物は、麦芽粉砕物であることが好ましい。麦芽粉砕物を用いることにより、ビールらしさがよりはっきりとした発酵ビール様発泡性飲料を製造することができる。麦芽粉砕物は、大麦、例えば二条大麦を、常法により発芽させ、これを乾燥後、所定の粒度に粉砕したものであればよい。また、穀物原料としては、1種類の穀物原料であってもよく、複数種類の穀物原料を混合したものであってもよい。例えば、主原料として麦芽粉砕物を、副原料として米やトウモロコシの粉砕物を用いてもよい。糖質原料としては、例えば、液糖等の糖類が挙げられる。
当該混合物には、穀物原料等と水以外の副原料を加えてもよい。当該副原料としては、例えば、ホップ、食物繊維、酵母エキス、果汁、苦味料、着色料、香草、香料等が挙げられる。また、必要に応じて、α-アミラーゼ、グルコアミラーゼ、プルラナーゼ等の糖化酵素やプロテアーゼ等の酵素剤を添加することができる。
糖化処理は、穀物原料等由来の酵素や、別途添加した酵素を利用して行う。糖化処理時の温度や時間は、用いた穀物原料等の種類、発酵原料全体に占める穀物原料の割合、添加した酵素の種類や混合物の量、目的とする発酵ビール様発泡性飲料の品質等を考慮して、適宜調整される。例えば、糖化処理は、穀物原料等を含む混合物を35~70℃で20~90分間保持する等、常法により行うことができる。
糖化処理後に得られた糖液を煮沸することにより、煮汁(糖液の煮沸物)を調製することができる。糖液は、煮沸処理前に濾過し、得られた濾液を煮沸処理することが好ましい。また、この糖液の濾液の替わりに、麦芽エキスに温水を加えたものを用い、これを煮沸してもよい。煮沸方法及びその条件は、適宜決定することができる。
煮沸処理前又は煮沸処理中に、香草等を適宜添加することにより、所望の香味を有する発酵ビール様発泡性飲料を製造することができる。例えば、ホップを煮沸処理前又は煮沸処理中に添加し、ホップの存在下で煮沸処理することにより、ホップの風味・香気成分、特に苦味成分を効率よく煮出することができる。ホップの添加量、添加態様(例えば数回に分けて添加する等)及び煮沸条件は、適宜決定することができる。
煮沸処理後に得られた煮汁には、沈殿により生じたタンパク質等の粕が含まれている。そこで、煮汁から粕等の固体分の少なくとも一部を除去する。粕の除去は、いずれの固液分離処理で行ってもよいが、一般的には、ワールプールと呼ばれる槽を用いて沈殿物を除去する。この際の煮汁の温度は、15℃以上であればよく、一般的には50~100℃程度で行われる。粕を除去した後の煮汁(濾液)は、プレートクーラー等により適切な発酵温度まで冷却する。この粕を除去した後の煮汁が、発酵原料液となる。
次いで、発酵工程として、冷却した発酵原料液に酵母を接種して、発酵を行う。冷却した発酵原料液は、そのまま発酵工程に供してもよく、所望のエキス濃度に調整した後に発酵工程に供してもよい。発酵に用いる酵母は特に限定されるものではなく、通常、酒類の製造に用いられる酵母の中から適宜選択して用いることができる。上面発酵酵母であってもよく、下面発酵酵母であってもよいが、大型醸造設備への適用が容易であることから、下面発酵酵母であることが好ましい。
発酵方法は特に限定されるものではなく、単発酵であってもよく、単行複発酵であってもよく、並行複発酵であってもよいが、伝統的なビールの製造と同様に、麦芽等の原料に含まれるでんぷんを1~3糖に分解する糖化工程と、酵母により糖からアルコールを生成する発酵工程を、別個に経て製造される単行複発酵であることが好ましい。
さらに、貯酒工程として、得られた発酵液を、貯酒タンク中で熟成させ、0℃程度の低温条件下で貯蔵し安定化させる。その後、濾過工程として、熟成後の発酵液を濾過することにより、酵母及び当該温度域で不溶なタンパク質等を除去して、発酵ビール様発泡性飲料を得ることができる。当該濾過処理は、酵母を濾過除去可能な手法であればよく、例えば、珪藻土濾過、平均孔径が0.4~1.0μm程度のフィルターによるフィルター濾過等が挙げられる。
濾過工程後に、充填工程として、濾過後の発酵液(発酵ビール様発泡性飲料)を、内面に起泡性凹凸構造が設けられている容器に充填して密封することにより、目的の容器詰ビール様発泡性飲料を得ることができる。容器への充填及び密封は、常法により行うことができる。
濾過後の発酵液は、容器に充填される前に、ガス圧が所望の範囲内となるように炭酸ガスを導入してもよい。本発明に係る容器詰ビール様発泡性飲料のガス圧としては、0.10MPa以上とすることが好ましく、0.21MPa以上とすることがより好ましく、0.21~0.30MPaとすることがさらに好ましい。
非発酵ビール様発泡性飲料は、一般的には、各原料を混合する方法(調合法)によって製造できる。例えば、各原料を混合することにより調合液を調製する調合工程と、得られた調合液に炭酸ガスを加えるガス導入工程と、により製造することができる。
まず、調合工程において、原料を混合することにより、調合液を調製する。調合工程においては、炭酸ガス以外の全ての原料を混合した調合液を調製することが好ましい。各原料を混合する順番は特に限定されるものではない。原料水に、全ての原料を同時に添加してもよく、先に添加した原料を溶解させた後に残る原料を添加する等、順次原料を添加してもよい。また、例えば、原料水に、固形(例えば粉末状や顆粒状)の原料及び必要に応じてアルコールを混合してもよく、固形原料を予め水溶液としておき、これらの水溶液に、原料水、及び必要に応じてアルコールを混合してもよい。
原料としては、苦味料、酸味料、甘味料、着色料、香味料、エタノール(原料アルコール)、乳化剤、多糖類、水溶性食物繊維、タンパク質若しくはその分解物等が挙げられる。
酸味料としては、安全性と香味の点から無機酸よりも有機酸を用いることがより好ましい。有機酸としては、一般的に飲食品の製造に使用されているものであれば特に限定されるものではなく、例えば、乳酸、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、フマル酸、及びそれらの塩等が挙げられる。これらの有機酸は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を併用して用いてもよい。
苦味料としては、前記で挙げられたものを用いることができる。また、ホップ、イソα酸、テトライソα酸、β酸の酸化物等のイソフムロンを苦味料として用いてもよいが、この場合には、最終的に得られるビール様発泡性飲料の苦味の強さが、5mg/Lのイソα酸水溶液より小さくなるように、含有量を適宜調整する。苦味料は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
甘味料としては、ショ糖、ブドウ糖、果糖、異性化液糖、及び高甘味度甘味料等が挙げられる。高甘味度甘味料としては、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムカリウム、ネオテーム、ステビア、及び酵素処理ステビア等が挙げられる。これらの甘味料は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
着色料としては、カラメル色素等が挙げられる。着色料は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
香味料としては、ビール抽出物、ビール香料、ホップ香料等が挙げられる。これらの香味料は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
乳化剤としては、例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、スクロース脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート等が挙げられる。
多糖類としては、でんぷん、デキストリン等が挙げられる。デキストリンは、でんぷんを加水分解して得られる糖質であって、オリゴ糖(3~10個程度の単糖が重合した糖質)よりも大きなものを指す。これらの多糖類は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
水溶性食物繊維とは、水に溶解し、かつヒトの消化酵素により消化されない又は消化され難い炭水化物を意味する。水溶性食物繊維としては、例えば、大豆食物繊維(可溶性大豆多糖類)、ポリデキストロース、難消化性デキストリン、ガラクトマンナン、イヌリン、グアーガム分解物、ペクチン、アラビアゴム等が挙げられる。これらの水溶性食物繊維は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
調合工程において調製された調合液に、不溶物が生じた場合には、ガス導入工程の前に、当該調合液に対して濾過等の不溶物を除去する処理を行うことが好ましい。不溶物除去処理は、特に限定されるものではなく、濾過法、遠心分離法等の当該技術分野で通常用いられている方法で行うことができる。本発明においては、不溶物は濾過除去することが好ましく、珪藻土濾過により除去することがより好ましい。
次いで、ガス導入工程として、調合工程により得られた調合液に炭酸ガスを加える。これにより、非発酵ビール様発泡性飲料を得る。炭酸を加えることによって、ビールと同様の爽快感が付与される。なお、炭酸ガスの添加は、常法により行うことができる。例えば、調合工程により得られた調合液、及び炭酸水を混合してよく、調合工程により得られた調合液に炭酸ガスを直接加えて溶け込ませてもよい。
炭酸ガスを添加した後、得られた非発酵ビール様発泡性飲料に対して、さらに濾過等の不溶物を除去する処理を行ってもよい。不溶物除去処理は、特に限定されるものではなく、当該技術分野で通常用いられている方法で行うことができる。
製造された非発酵ビール様発泡性飲料は、容器に充填された後、加熱殺菌処理がなされることが好ましい。充填される容器や加熱殺菌処理の方法は、発酵ビール様発泡性飲料と同様にして行うことができる。
製造された発酵ビール様発泡性飲料及び非発酵ビール様発泡性飲料を充填する容器としては、特に限定されるものではない。具体的には、ガラス瓶、缶、可撓性容器等が挙げられる。可撓性容器としては、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、EVOH(エチレン・ビニルアルコール共重合体)、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の可撓性樹脂を成形してなる容器が挙げられる。可撓性容器は、単層樹脂からなるものであってもよく、多層樹脂からなるものであってもよい。本発明に係る容器詰ビール様発泡性飲料としては、開封後に自発的に起泡が生じる容器に充填されることが好ましい。
本発明に係る容器詰ビール様発泡性飲料は、室温で保管することができるが、飲用前には冷却されていることが好ましい。冷却温度は、10℃以下が好ましく、3~10℃がより好ましく、3~6℃がさらに好ましい。
次に実施例等を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例等に限定されるものではない。また、以降において、特に記載のない限り、「%」は「質量%」を意味する。
<発泡性飲料の炭酸ガス含有量の測定>
以降の実験において、開封からTn分後の発泡性飲料の炭酸ガス減少量(g/100mL)は、4℃の環境下(温度条件下)で、開封直後からの発泡性飲料の重量を経時的に測定し、得られた測定値に基づいて算出された。具体的には、開封直後の発泡性飲料の重量の測定値(g/100mL)から、開封からTn分後の発泡性飲料の重量の測定値(g/100mL)を差し引いた重量を、Tn分後の炭酸ガス減少量(g/100mL)とした。
また、開封からTn分後までの炭酸ガス含有量の平均減少速度(g/(100mL・min))は、Tn分後の炭酸ガス減少量(g/100mL)をTn(min)で除することにより算出した。
[実施例1]
容器詰ビール様発泡性飲料の風味に対する、開封後の炭酸ガスの減少速度の影響を調べた。
<容器詰ビール様発泡性飲料の製造>
・サンプルA
発酵原料として麦芽を用い、ホップを原料として用いて、常法により発酵ビール様発泡性飲料を製造した。発酵原料の全量に対する麦芽比率は、100質量%とした。具体的には、200Lスケールの仕込設備を用いて製造した。まず、仕込槽に、40kgの麦芽の粉砕物、及び160Lの仕込水を投入し、常法に従って糖化液を製造した。得られた糖化液を、麦汁濾過槽を用いて濾過し、麦汁を得た。得られた麦汁にホップを添加した後、煮沸した。次いで、麦汁を沈降槽に移して沈殿物を分離、除去し、その後、約10℃に冷却した。冷麦汁を発酵槽に導入し、ビール酵母を接種し、約10℃で8日間発酵させた。得られた発酵液を貯酒タンクへ移し、貯酒した後、-2℃で保存した。
続いて、得られた貯酒液を珪藻土濾過した。その後、濾液(350mL)を、通常のツーピース缶に充填し、容器詰ビール様発泡性飲料(サンプルA)を得た。
・サンプルB~F
サンプルAの容器詰ビール様発泡性飲料に超音波発生装置を装着して出力を調整することによって、炭酸ガスの減少速度が表1の通りとなるように調整した。
サンプルB~Fでは、炭酸ガス含有量の減少にともなって、泡が連続的に発生した。
・サンプルG
サンプルAと同様にしてビール様発泡性飲料を製造し、珪藻土濾過後の貯酒液(350mL)を、フルオープン缶に充填し密封して、容器詰ビール様発泡性飲料(サンプルG)を得た。フルオープン缶としては、アルミニウム製のツーピース缶を用いた。具体的には、底面が閉じられた缶胴と、缶胴の上面を塞ぐ缶蓋とを有する容器を用いた。缶蓋の全周には、上面の全体が開口するようにスコア(切欠き)が設けられていた。缶胴としては、胴部の内面に樹脂コーティングが施されているものを使用した。樹脂コーティングには、起泡性凹凸構造が設けられていた。具体的には、起泡性凹凸構造として、直径が5μm以上20μm以下の凹部が1mmあたり200~2000個設けられており、直径が0.5μm以上5μmの凹部が、1mmあたり5,000~20,000個設けられていた。
<開封から5分後までの炭酸ガス含有量の平均減少速度の測定>
各サンプルについて、開封から5分後までの炭酸ガス含有量の平均減少速度を算出した。算出結果を表1に示す。なお、表1中、「炭酸ガス含有量[g/100mL]」は、各容器詰ビール様発泡性飲料の開封直後の炭酸ガス含有量を意味する。
なお、市販されている缶ビールに超音波発生装置を装着して常に作動させて、開封から5分後までの炭酸ガス含有量の平均減少速度が0.025g/(100mL・min)とした場合には、飲料液面に泡層が形成された。
Figure 2023038395000001
サンプルAの容器詰ビール様発泡性飲料を、泡が体積比で約30容量%となるようにグラスに移した場合の、炭酸ガスの平均減少速度を調べたところ、グラスに注いでいる間のみ炭酸ガスの減少速度は大きくなったが、その後のグラスに注がれた状態での減少速度は0.001g/(100ml・min)程度であった。つまり、開封から5分後までの炭酸ガスの減少速度としては、他の容器に移した場合と、他の容器に移さなかった場合とでは、容器詰ビール様発泡性飲料Aとほぼ同様であることがわかった。
また、サンプルAの容器詰ビール様発泡性飲料の一部をグラスに泡立たないように注ぎ、その後、サンプルAの容器(金属缶)に超音波発生装置を取付けて容器内のビール様発泡性飲料を泡立てた後、前記グラスに注がれたビール様発泡性飲料の上に泡を注いだ。この一連の工程において、飲料の炭酸ガスの減少速度を調べたところ、超音波発生装置によって泡立てている間のみ、炭酸ガスの減少速度は大きくなったが、その後の減少速度は0.001g/(100mL・min)程度であり、開封から5分後までの炭酸ガスの平均減少速度としては、サンプルAとほぼ同様であった。
<飲用量と満腹感の評価>
無作為に選んだ50名に、サンプルA~Fの容器詰ビール様発泡性飲料をそれぞれ飲用してもらい、満腹感を感じるまでの飲用量を評価した。1日あたり1種類とし、空腹を感じたときから飲用を開始するようにした。各サンプルについて、満腹感を感じるまでの平均飲用量を表1に示す。
表1に示すように、炭酸ガス減少速度が大きいサンプルでは、満腹感を感じる飲用量が多くなった。これらの結果から、炭酸ガス減少速度を大きくして、飲料溶液中の炭酸ガス含有量を低下させることによって、満腹感を感じ難くできることがわかった。
<噴きこぼれ量の評価>
各サンプルについて、4℃に冷却した後、室温で開封した場合の噴きこぼれ量(mL)を調べた。各サンプルにつき、5本の容器詰ビール様発泡性飲料について測定し、その平均値を測定結果として表1に示す。この結果、炭酸ガスの減少速度が大きいほど、開封直後に噴きこぼれしやすい傾向が観察された。
[実施例2]
実施例1で製造したサンプルA~Gに加えて、原麦汁エキス、麦芽比率、苦味価が異なるサンプルH~Jについて、官能評価を行い、炭酸ガス含有量の減少の影響を調べた。
<容器詰ビール様発泡性飲料の製造>
・ サンプルH
サンプルAと同様にしてビール様発泡性飲料を製造し、サンプルAとは原麦汁エキス値が異なっており、かつ通常のツーピース缶に充填された容器詰ビール様発泡性飲料(サンプルH)を得た。
・ サンプルI
発酵原料として、麦芽とコーンスターチを、麦芽使用比率45%となるように原料として用いた以外はサンプルAと同様にして、通常のツーピース缶に充填された容器詰ビール様発泡性飲料(サンプルI)を得た。
・ サンプルJ
サンプルAと同様にしてビール様発泡性飲料を製造し、サンプルAとは苦味価が異なっており、かつ通常のツーピース缶に充填された容器詰ビール様発泡性飲料(サンプルJ)を得た。
<開封から5分後までの炭酸ガス含有量の平均減少速度の測定>
各サンプルについて、開封から5分後までの炭酸ガス含有量の平均減少速度を算出した。算出結果を表2に示す。なお、表2中、「炭酸ガス含有量[g/100mL]」は、各容器詰ビール様発泡性飲料の開封直後の炭酸ガス含有量を意味する。
Figure 2023038395000002
<官能評価>
各容器詰ビール様発泡性飲料について、4℃に冷却した後、室温で開封して、開封から0分後(開封直後)、5分後、10分後、及び15分後に、パネリストによる官能評価を行った。官能評価は、刺激感、麦芽風味、ホップ風味、エステル様香気、苦味、甘味、コク、及びアルコール感について、開封から0分後の評点を5として、1~10(1:感じられない、10:非常に強く感じられる)の相対評価を行った。評価結果を表3及4に示す。
Figure 2023038395000003
Figure 2023038395000004
サンプルB~Jでは、時間経過とともに麦芽風味、エステル様香気、苦味、甘味、コク、アルコール感などが強くなり、一方で刺激感とホップ風味が弱くなり、その味わいが変化していた。そして、炭酸ガスの減少速度のみが相違するサンプルB~Gを比較したところ、これらの風味の変化は、炭酸ガスの減少速度が速いほど、強く表れることがわかった。これに対して、炭酸ガスの平均減少速度が0.001g/(100mL・min)でしかないサンプルAでは、これらの風味はいずれもさほど経時的に変化していなかった。
炭酸ガスの減少速度が大きいサンプルFでは、開封から15分経過時点では炭酸ガスの減少量が多くなりすぎ、苦味やアルコール感が突出して、香味バランスが崩れやすい傾向が観察された。
炭酸ガスの平均減少速度が等しいサンプルD、H~Jを比較したところ、原麦汁エキスや麦芽比率が小さい場合には、アルコール感が強くなりやすく、ホップ風味が弱くなりやすい傾向が観察された。特に、同じ炭酸ガスの減少速度、経過時間であっても、原麦汁エキス×麦芽比率の値が800以上のものに比べて、香味バランスの評点は低い傾向にあった。また、苦味価が高い場合、時間経過によってより苦味が目立ちやすく、香味バランスを損ないやすいことがわかった。

Claims (10)

  1. 4℃の温度条件下において、開封から5分後までの炭酸ガス含有量の平均減少速度が0.005g/(100mL・min)以上であることを特徴とする、容器詰ビール様発泡性飲料。
  2. 前記平均減少速度が0.02g/(100mL・min)以下である、請求項1に記載の容器詰ビール様発泡性飲料。
  3. 4℃の温度条件下において、開封から5分後までの炭酸ガスの減少量が0.025g/100mL以上であることを特徴とする、容器詰ビール様発泡性飲料。
  4. 4℃の温度条件下において、開封から15分後までの炭酸ガスの減少量が0.3g/100ml以下である、容器詰ビール様発泡性飲料。
  5. 液温が4℃における炭酸ガスの含有量が、0.45g/100mL~0.65g/100mLである、請求項1~4のいずれか一項に記載の容器詰ビール様発泡性飲料。
  6. 炭酸ガスの含有量の減少に伴って、起泡が生じる、請求項1~5のいずれか一項に記載の容器詰ビール様発泡性飲料。
  7. 麦芽比率(%)×原麦汁エキス(%)の値が450以上である、請求項1~6のいずれか一項に記載の容器詰ビール様発泡性飲料。
  8. 苦味価が22BU以下である、請求項1~7のいずれか一項に記載の容器詰ビール様発泡性飲料。
  9. 容器詰ビール様発泡性飲料の風味を、香味バランスを悪化させることなく、開封後から経時的に変化させる方法であって、
    4℃の温度条件下において、開封から5分後までの容器詰ビール様発泡性飲料の炭酸ガスの減少量を、0.025g/100mL以上に調整する、容器詰ビール様発泡性飲料の風味を変化させる方法。
  10. ビール様発泡性飲料が金属製容器に充填されている容器詰ビール様発泡性飲料であって、
    前記金属製容器が、内面に起泡性凹凸構造が設けられており、かつ開封時に容器天面の面積の30%以上の領域が開口される容器であり、
    4℃の温度条件下において、開封から5分後までの炭酸ガス含有量の平均減少速度が0.005g/(100mL・min)以上である、容器詰ビール様発泡性飲料。
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