JP2023038125A - マルチビーム入射角調整方法及びマルチビーム照射装置 - Google Patents

マルチビーム入射角調整方法及びマルチビーム照射装置 Download PDF

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Abstract

【課題】中心ビームが斜め入射するマルチビームについて、中心ビームをアパーチャアレイに垂直に入射可能な方法を提供する。【解決手段】マルチビーム入射角調整方法は、マルチビームを放出する工程と、ビーム選択アパーチャ基板を用いてマルチビームのうち中心ビームを選択的に通過させる工程と、ビーム選択アパーチャ基板よりもマルチビームの軌道の下流側に配置される第1と第2の偏向器を用いて、アパーチャアレイ基板上を、電磁レンズの中心を通るように、第2の偏向器を用いて中心ビームで走査して得られる、アパーチャアレイ基板に形成されるマルチビームが通過するための複数の第1の通過孔の中心の通過孔を中心とする複数の第2の通過孔の走査像のうち中心の通過孔以外の他の通過孔の像が、中心の通過孔の像に対して対称に配置されるように第1と第2の偏向器の偏向量を調整する工程と、を備えたことを特徴とする。【選択図】図9

Description

本発明は、マルチビーム入射角調整方法及びマルチビーム照射装置に関し、例えば、マルチ電子ビームをマルチアパーチャ基板に垂直入射させる手法に関する。
近年、大規模集積回路(LSI)の高集積化及び大容量化に伴い、半導体素子に要求される回路線幅はますます狭くなってきている。そして、多大な製造コストのかかるLSIの製造にとって、歩留まりの向上は欠かせない。しかし、1ギガビット級のDRAM(ランダムアクセスメモリ)に代表されるように、LSIを構成するパターンは、サブミクロンからナノメータのオーダーになっている。近年、半導体ウェハ上に形成されるLSIパターン寸法の微細化に伴って、パターン欠陥として検出しなければならない寸法も極めて小さいものとなっている。よって、半導体ウェハ上に転写された超微細パターンの欠陥を検査するパターン検査装置の高精度化が必要とされている。その他、歩留まりを低下させる大きな要因の一つとして、半導体ウェハ上に超微細パターンをフォトリソグラフィ技術で露光、転写する際に使用されるマスクのパターン欠陥があげられる。そのため、LSI製造に使用される転写用マスクの欠陥を検査するパターン検査装置の高精度化が必要とされている。
検査装置では、例えば、電子ビームを使ったマルチビームを検査対象基板に照射して、検査対象基板から放出される各ビームに対応する2次電子をマルチ検出器で個別に検出して、パターン画像を撮像する。そして撮像された測定画像と、設計データ、あるいは基板上の同一パターンを撮像した測定画像と比較することにより検査を行う方法が知られている。例えば、同一基板上の異なる場所の同一パターンを撮像した測定画像データ同士を比較する「die to die(ダイ-ダイ)検査」や、パターン設計された設計データをベースに設計画像データ(参照画像)を生成して、それとパターンを撮像した測定データとなる測定画像とを比較する「die to database(ダイ-データベース)検査」がある。撮像された画像は測定データとして比較回路へ送られる。比較回路では、画像同士の位置合わせの後、測定データと参照データとを適切なアルゴリズムに従って比較し、一致しない場合には、パターン欠陥有りと判定する。
上述した検査装置を一例とするマルチビームを照射する装置では、収差補正器等でビーム軌道を補正することが行われる。そのためには、収差補正器等のアパーチャアレイにマルチビームを通過させる必要がある。この場合に、光学系の配置誤差等の要因により中心ビームがアパーチャアレイに斜めに入射してしまう。これにより、アパーチャ側壁にいずれかのビームが衝突し、試料面での電流量が減少してしまうといった問題が生じる。また、各ビームがそれぞれのアパーチャを通過する場合でも、収差補正器等に印加される電位によってマルチビームには非対称な収差が発生してしまうといった問題が生じる。その結果、非対称な位置ずれが生じたマルチビームが試料面に照射されてしまう。これを回避するためには、中心ビームをアパーチャアレイに垂直に入射させることが必要となる。
ここで、ビーム選択アパーチャとビーム選択アパーチャを挟んだ2段のアライメントコイルを使って、垂直入射する中心ビームの軌道軸をレンズ中心軸に合わせると共に、合わせた軸に中心を合わせるように収差補正器を移動する手法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、かかる技術は、斜め入射するビームの調整については何ら記載されていない。
特開2019-204694号公報
本発明の実施形態では、中心ビームが斜め入射するマルチビームについて、中心ビームをアパーチャアレイに垂直に入射可能な方法を提供する。
本発明の一態様のマルチビーム入射角調整方法は、
マルチビームを放出する工程と、
ビーム選択アパーチャ基板を用いてマルチビームのうち中心ビームを選択的に通過させる工程と、
ビーム選択アパーチャ基板よりもマルチビームの軌道の下流側に配置される第1と第2の偏向器を用いて、第1と第2の偏向器よりもマルチビームの軌道の下流側に配置される電磁レンズの中心を通るように、選択された前記中心ビームを入射させる工程と、
電磁レンズの中心高さ位置に配置される、若しくは中心高さ位置よりもマルチビームの軌道の下流側に配置されるアパーチャアレイ基板上を、第2の偏向器を用いて中心ビームで走査して得られる、アパーチャアレイ基板に形成されるマルチビームが通過するための複数の第1の通過孔のうち中心の通過孔を中心とする複数の第2の通過孔の走査像のうち中心の通過孔以外の他の通過孔の像が、中心の通過孔の像に対して対称に配置されるように第1と第2の偏向器の偏向量を調整する工程と、
を備えたことを特徴とする。
また、第2の偏向器を用いてアパーチャアレイ基板上を中心ビームで走査して、複数の第1の通過孔のうち中心の通過孔を中心とする複数の第2の通過孔の走査像を検出器で検出する工程をさらに備え、
検出された複数の第2の通過孔の走査像のうち中心の通過孔以外の他の通過孔の像が、中心の通過孔の像に対して対称に配置されるように第1と第2の偏向器の偏向量が調整されると好適である。
また、他の通過孔の像のうち中心の通過孔の像を通る第1の軸の方向に並ぶ、中心の通過孔の像と隣接する第1と第2の像の中心の通過孔の像からの第1と第2のピッチと、第1の軸と直交すると共に中心の通過孔の像を通る第2の軸の方向に並ぶ、中心の通過孔の像と隣接する第3と第4の像の中心の通過孔の像からの第3と第4のピッチと、第1と第2の像を結ぶ直線と第3と第4の像を結ぶ直線との直交度と、を用いて、第1と第2の偏向器の偏向量が調整されると好適である。
また、アパーチャアレイ基板は、多極子アレイが配置された基板と、静電レンズアレイ基板とのうち少なくとも1つを有すると好適である。
本発明の他の態様のマルチビーム入射角調整方法は、
ビーム選択アパーチャ基板を用いてマルチビームのうち中心ビームを選択的に通過させる工程と、
前記ビーム選択アパーチャ基板よりも前記マルチビームの軌道の下流側に配置される第1と第2の偏向器と、前記第1と第2の偏向器よりも前記マルチビームの軌道の下流側に配置される電磁レンズとを用いて、前記アパーチャアレイ基板上を前記中心ビームで走査しながら前記電磁レンズのウォブル動作を実施して、前記電磁レンズのウォブル動作に対して、前記電磁レンズの中心高さ位置に配置される、若しくは前記中心高さ位置よりも前記マルチビームの軌道の下流側に配置されるアパーチャアレイ基板の走査像が動かないように、前記第1と第2の偏向器を用いてビームシフト量を調整する工程と、
ビームシフト量を調整後、アパーチャアレイ基板上を中心ビームで走査しながら、アパーチャアレイ基板の走査像が中心の通過孔の像に対して他の複数の通過孔の像が対称に配置されるように、第1と第2の偏向器を用いてビームチルト量を調整する工程と、
を備えたことを特徴とする。
本発明の一態様のマルチビーム照射装置は、
マルチビームを放出する放出源と、
マルチビームのうち中心ビームを選択的に通過させるビーム選択アパーチャ基板と、
選択アパーチャ基板よりもマルチビームの軌道の下流側に配置され、前記マルチビームを偏向する第1と第2の偏向器と、
第1と第2の偏向器よりもマルチビームの軌道の下流側に配置される電磁レンズと、
電磁レンズの中心高さ位置に配置される、若しくは中心高さ位置よりもマルチビームの軌道の下流側に配置される、マルチビームが通過するための複数の第1の通過孔が形成されたアパーチャアレイ基板と、
アパーチャアレイ基板の位置を移動させる駆動機構と、
選択された中心ビームが電磁レンズの中心を通るように第1と第2の偏向器を制御すると共に、アパーチャアレイ基板上を中心ビームで走査して得られる、複数の第1の通過孔のうち中心の通過孔を中心とする複数の第2の通過孔の走査像のうち中心の通過孔以外の他の通過孔の像が、中心の通過孔の像に対して対称に配置されるように第1と第2の偏向器の偏向量を制御する制御回路と、
を備えたことを特徴とする。
本発明の一態様によれば、中心ビームが斜め入射するマルチビームについて、中心ビームをアパーチャアレイに垂直に入射できる。その結果、アパーチャアレイに起因する非対称な収差の発生を抑制できる。
実施の形態1におけるマルチビーム照射装置の構成を示す構成図である。 実施の形態1における成形アパーチャレンズアレイ基板の構成を示す概念図である。 実施の形態1における収差補正器の一例と静電レンズアレイの一例の断面図である。 実施の形態1における収差補正器の第2電極基板の一例を示す上面図である。 実施の形態1の比較例におけるビーム軌道軸調整の仕方を説明するための図である。 実施の形態1の比較例における中心ビームが収差補正器に斜め入射した状態の一例を示す図である。 実施の形態1における中心ビームが収差補正器に垂直入射した状態の一例と比較例における中心ビームが収差補正器に斜め入射した状態の他の一例とを示す図である。 実施の形態1の比較例における中心ビームが収差補正器に斜め入射した状態の他の一例を示す図である。 実施の形態1におけるマルチビーム照射方法の要部工程を示すフローチャート図である。 実施の形態1における中心ビーム軌道の一例を示す図である。 実施の形態1における中心ビームが電磁レンズ中心を通る場合の一例を示す図である。 実施の形態1におけるビームシフト調整の仕方を説明するための図である。 実施の形態1における中心ビームがアパーチャアレイ基板に垂直入射する場合の一例を示す図である。 実施の形態1におけるビームチルト調整の仕方を説明するための図である。 実施の形態1における走査像の一例を示す図である。
以下、実施の形態では、マルチビームの一例として、マルチ電子ビームを用いる構成について説明する。但し、これに限るものではない。マルチビームは、マルチ荷電粒子ビームであればよい。例えば、マルチイオンビームであっても構わない。また、以下、互いに直交するx,y,z方向について、高さ方向をz方向とする。また、マルチビームの軌道中心軸はz軸に一致するものとして説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1におけるマルチビーム照射装置の構成を示す構成図である。図1において、基板にマルチビームを照射する照射装置100は、ビーム照射機構150、及び制御系回路160を備えている。ビーム照射機構150は、電子ビームカラム102(電子鏡筒)を備えている。電子ビームカラム102内には、電子銃201、成形アパーチャレンズアレイ基板203、電磁レンズ204、ビーム選択アパーチャ基板210、駆動機構212、電磁偏向器206,208、電磁レンズ214、収差補正器220、静電レンズアレイ230、アパーチャアレイステージ225、駆動機構227、検出器240、駆動機構241、電子光学系250、及びステージ105が配置される。
ステージ105上には、ビームの照射対象となる基板101(試料)が配置される。基板101には、マスクブランクス、露光用マスク基板、及びシリコンウェハ等の半導体基板が含まれる。基板101が半導体基板である場合、半導体基板には複数のチップパターン(ウェハダイ)が形成されている。基板101が露光用マスク基板である場合、露光用マスク基板には、チップパターンが形成されている。チップパターンは、複数の図形パターンによって構成される。かかる露光用マスク基板に形成されたチップパターンが半導体基板上に複数回露光転写されることで、半導体基板には複数のチップパターン(ウェハダイ)が形成されることになる。基板101がマスクブランクスである場合、基板101上にはレジスト膜が形成される。
アパーチャアレイステージ225上には、収差補正器220、及び静電レンズアレイ230が載置される。
制御系回路160では、照射装置100全体を制御する制御計算機110が、バス120を介して、メモリ112、磁気ディスク装置等の記憶装置140、レンズアレイ制御回路114、電磁偏向器制御回路116、レンズ制御回路118、収差補正器制御回路122、画像生成制御回路124、画像確認回路126、及びステージ制御回路129に接続される。
レンズアレイ制御回路114は、成形アパーチャレンズアレイ基板203に接続され、成形アパーチャレンズアレイ基板203を制御する。電磁偏向器制御回路116は、電磁偏向器206,208に接続され、電磁偏向器206,208を制御する。レンズ制御回路118は、電磁レンズ204、電磁レンズ214、及び電子光学系250内の図示しない電磁レンズに接続され、各電磁レンズを制御する。収差補正器制御回路122は、収差補正器220及び静電レンズアレイ230に接続され、収差補正器220及び静電レンズアレイ230を制御する。ステージ制御回路129は、駆動機構212、駆動機構227、駆動機構241、及び駆動回路107に接続され、各駆動機構を制御する。画像生成制御回路124は検出回路106に接続される。検出回路106は検出器240に接続され、検出器240によって検出されるビーム強度信号を変換して画像信号を生成する。画像生成制御回路124は検出回路106で生成される画像信号を使って画像を生成する。
各駆動機構は、例えば、ステージ座標系におけるx方向、y方向、θ方向に駆動する3軸(X-Y-θ)モータの様な駆動系が構成される。例えば、駆動機構107によって、xyθ方向にステージ105が移動可能となっている。これらの、図示しないxモータ、yモータ、θモータは、例えばステップモータを用いることができる。ステージ105は、xyθ各軸のモータによって水平方向及び回転方向に移動可能である。
同様に、例えば、駆動機構212によって、xyθ方向にビーム選択アパーチャ基板210が移動可能となっている。これにより、ビーム選択アパーチャ基板210が水平方向及び回転方向に移動可能である。
同様に、例えば、駆動機構227によって、xyθ方向にアパーチャアレイステージ225が移動可能となっている。これにより、アパーチャアレイステージ225上に配置される収差補正器220、及び静電レンズアレイ230が水平方向及び回転方向に移動可能である。
同様に、例えば、駆動機構241によって、xy面内の少なくとも一方向に検出器240が移動可能となっている。これにより、検出器240はマルチビームの軌道内と軌道外との間で移動可能である。
ビーム選択アパーチャ基板210には、1本のビームを通過させ、残りのビームを遮蔽可能な開口部(通過孔)が形成される。ビーム選択アパーチャ基板210は、成形アパーチャレンズアレイ基板203、及び電磁レンズ204よりもマルチビーム20の軌道の下流側に配置される。
電磁偏向器206,208の一例として、アライメントコイルが用いられる。電磁偏向器206,208は、ビーム選択アパーチャ基板210よりもマルチビーム20の軌道の下流側に配置される。
電磁レンズ214は、電磁偏向器206,208よりもマルチビーム20の軌道の下流側に配置される。
収差補正器220は、電磁レンズ214の中心高さ位置に配置される、若しくは中心高さ位置よりもマルチビーム20の軌道の下流側に配置される。図1の例では、収差補正器220が、例えば、電磁レンズ214の中心高さ位置よりもマルチビーム20の軌道の下流側に配置される場合を示している。収差補正器220は、アパーチャアレイ基板の一例である。
静電レンズアレイ230は、収差補正器220よりもマルチビーム20の軌道の下流側に配置される。静電レンズアレイ230は、アパーチャアレイ基板の他の一例である。
実施の形態1では、収差補正器220及び静電レンズアレイ230の両方が配置される場合を説明するが、これに限るものではない。収差補正器220及び静電レンズアレイ230の一方が配置される場合であってもよい。実施の形態1では、マルチビーム20が通過するための複数の通過孔が形成されたアパーチャアレイ基板が、電磁レンズ214の中心高さ位置に配置される、若しくは中心高さ位置よりもマルチビーム20の軌道の下流側に配置される場合であればよい。
また、後述するように、収差補正器220及び静電レンズアレイ230は、それぞれ複数段の基板で構成される場合を説明する。しかしながら、実施の形態1のアパーチャアレイ基板は、マルチビーム20が通過するための複数の通過孔が形成された基板であれば、1段の基板で構成される場合であっても構わない。実施の形態1のアパーチャアレイ基板は、多極子アレイが配置された基板と、静電レンズアレイ基板とのうち少なくとも1つを有することで構わない。
電子銃201には、図示しない高圧電源回路が接続され、電子銃201内の図示しないフィラメント(カソード)と引出電極(アノード)間への高圧電源回路からの加速電圧の印加と共に、別の引出電極(ウェネルト)の電圧の印加と所定の温度のカソードの加熱によって、カソードから放出された電子群が加速させられ、電子ビーム200となって放出される。
ここで、図1では、実施の形態1を説明する上で必要な構成を記載している。検査装置100にとって、通常、必要なその他の構成を備えていても構わない。
図2は、実施の形態1における成形アパーチャレンズアレイ基板の構成を示す概念図である。図2において、成形アパーチャレンズアレイ基板203には、2次元状の横(x方向)m列×縦(y方向)n段(m,nは2以上の整数)の穴(開口部)22がx,y方向に所定の配列ピッチで形成されている。図2の例では、11×11の穴(開口部)22が形成されている場合を示している。各穴22は、共に同じ寸法形状の矩形で形成される。或いは、同じ外径の円形であっても構わない。成形アパーチャレンズアレイ基板203は、マルチビームを放出する放出源の一例である。成形アパーチャレンズアレイ基板203は、マルチビーム20を形成し、放出する。具体的には、これらの複数の穴22を電子ビーム200の一部がそれぞれ通過することで、マルチビーム20が形成されることになる。
また、成形アパーチャレンズアレイ基板203の上方、若しくは下方、又は上下方向に、電子ビーム200(或いはマルチビーム20)が通過可能な開口部が形成され、グランド電位が印加される図示しない基板が配置される。そして、成形アパーチャレンズアレイ基板203にレンズアレイ制御回路114から制御電位が印加され、これにより、形成されたマルチビーム20の各ビームを屈折させ、各ビームの中間像を形成する。
次に、ビーム照射機構150の動作について説明する。具体的には、以下のように動作する。なお、基板101にマルチビーム20を照射する場合には、ビーム選択アパーチャ基板210、及び検出器240をマルチビーム20の軌道内から軌道外へと移動させておく。
電子銃201(放出源)から放出された電子ビーム200は、広がりながら成形アパーチャレンズアレイ基板203全体を照明する。成形アパーチャレンズアレイ基板203には、図2に示すように、複数の穴22(開口部)が形成され、電子ビーム200は、すべての複数の穴22が含まれる領域を照明する。複数の穴22の位置に照射された電子ビーム200の各一部が、かかる成形アパーチャレンズアレイ基板203の複数の穴22をそれぞれ通過することによって、マルチビーム20が形成される。
形成されたマルチビーム20は、拡がりながら進み、各ビームの中間像を形成後、電磁レンズ204によって集束方向に屈折させられ、中間像およびクロスオーバーを形成して電磁レンズ214に進む。そして、マルチビーム20は、電磁レンズ214によって集束方向に屈折させられ、収差補正器220に進む。
図3は、実施の形態1における収差補正器の一例と静電レンズアレイの一例の断面図である。図4は、実施の形態1における収差補正器の第2電極基板の一例を示す上面図である。図3において、収差補正器220は、例えば、第1電極基板221と第2電極基板223とで構成される。第1電極基板221は、基板本体にマルチビーム20が通過する複数の通過孔が形成され、基板本体の露出面全体がシールド膜で覆われている。第2電極基板223は、基板本体12にマルチビーム20が通過する第1電極基板221と同じ孔径サイズの複数の通過孔13が形成される。そして、図4に示すように、基板本体上には通過孔13を囲むように多極子となる複数の電極16が絶縁層を介して配置される。図4の例では、例えば、8極子となる電極16a~16hが配置される場合を示している。また、第2電極基板223の基板本体の通過孔内壁、底面、及び側面には、シールド膜が形成される。各電極16には、電源V1から個別に制御電位が印加される。第1電極基板221と第2電極基板223との各シールド膜には、グランド電位が印加される。ビームが通過する通過孔毎に多極子が配置されることにより、非点やディストーション(歪曲収差)といった収差について、マルチビーム20の各ビームを個別に軌道補正できる。
また、図3において、収差補正器220に対してマルチビーム20の軌道の下流側に配置される静電レンズアレイ230は、例えば、第1電極基板231と第2電極基板233と第3電極基板235で構成される。第1電極基板231と第2電極基板233と第3電極基板235には、それぞれマルチビーム20が通過する複数の通過孔が形成される。第1電極基板231と第3電極基板235は、露出面全体がシールド膜で覆われている。第1電極基板231と第3電極基板235の各シールド膜には、グランド電位が印加される。第2電極基板233には、各通過孔を取り囲む図示しない環状電極がそれぞれ配置される。各環状電極には電源V2から個別に制御電位が印加される。静電レンズアレイ230では、第2電極基板233の各環状電極に印加する電位を個別に調整することで、各ビームの焦点位置を個別に制御できる。
収差補正器220によって、個別に非点やディストーション(歪曲収差)といった収差が補正されたマルチビーム20は、静電レンズアレイ230でさらに焦点が個別に補正される。そして、静電レンズアレイ230を通過したマルチビーム20は電子光学系250に進む。そして、電子光学系250によってマルチビーム20は、基板101を照射する。
ここで、照射装置100を組み立てた場合、ビームの軌道軸と各レンズ等の軸とは製造上の誤差等により一致していないことが一般的である。例えば、成形アパーチャレンズアレイ基板203によって形成されたマルチビーム20の軌道軸と電磁レンズ214中心と収差補正器220及び静電レンズアレイ230といったアパーチャアレイの軸とは一致しない。よって、これらの軸調整が必要となる。
図5は、実施の形態1の比較例におけるビーム軌道軸調整の仕方を説明するための図である。比較例1では、磁気偏向器206,208を使って、マルチビーム20の軌道軸と電磁レンズ214中心と収差補正器220及び静電レンズアレイ230といったアパーチャアレイの軸との調整を行う。比較例1では、まず、ビーム選択アパーチャ基板210を用いて、マルチビーム20の中心ビーム21だけが通過するようにビームを選択する。次に、中心ビーム21が収差補正器220及び静電アパーチャアレイ230のいずれかの通過孔を通過して、検出器240で検出されるようにアパーチャアレイステージ225を移動させる。次に、磁気偏向器206,208を使って、中心ビーム21が電磁レンズ214の中心を通るように偏向量を調整する。例えば、磁気偏向器208を使って中心ビーム21で収差補正器220上を走査する。そして、電磁レンズ214をウォブル動作させても検出器240で得られるアパーチャ像の位置が動かない偏向量の組み合わせに磁気偏向器206,208を調整する。これにより、中心ビーム21を電磁レンズ214の中心に通すことができる。そして、アパーチャ像を取得しながら、中心ビーム21のスキャン中心(走査画像の中心)が収差補正器220の中心の通過孔と一致するようにアパーチャアレイステージ225を移動させる。これにより、少なくとも中心ビーム21を電磁レンズ214の中心に通しながら、収差補正器220及び静電レンズアレイ230に通すことができる。しかしながら、これでは、中心ビーム21が収差補正器220に斜め入射してしまう場合がある。
図6は、実施の形態1の比較例における中心ビームが収差補正器に斜め入射した状態の一例を示す図である。マルチビーム20の中心ビーム21が収差補正器220に斜め入射する場合、例えば、図6に示すように、中心ビーム21の少なくとも一部が収差補正器220或いは静電レンズアレイ230の通過孔内壁に衝突してしまう場合がある。その場合、衝突した箇所から散乱電子が放出される。通過孔内壁にビームが衝突することで中心ビーム21のうち通過するビームの電流量が減少してしまうといった問題がある。また、散乱電子により基板101面の像が劣化してしまうといった問題がある。
図7は、実施の形態1における中心ビームが収差補正器に垂直入射した状態の一例と比較例における中心ビームが収差補正器に斜め入射した状態の他の一例とを示す図である。実施の形態1においてマルチビーム20の中心ビームが収差補正器220に垂直入射する場合、図7(a)に示すように、マルチビーム20の各ビームが収差補正器220及び静電レンズアレイ230を通過できるように調整される。しかしながら、マルチビーム20の中心ビームが収差補正器220に斜め入射する場合、マルチビーム20の中心ビームが収差補正器220及び静電レンズアレイ230を通過できた場合であっても、図7(b)に示すように、周辺ビームの少なくとも一部が収差補正器220或いは静電レンズアレイ230に衝突してしまう場合がある。これにより、中心ビームが衝突する場合と同様の問題が周辺ビームに生じることになる。
図8は、実施の形態1の比較例における中心ビームが収差補正器に斜め入射した状態の他の一例を示す図である。図8では、図5に示す調整によって、仮に、マルチビーム20全体が収差補正器220及び静電レンズアレイ230を通過できた場合の一例を示す。磁気偏向器206,208の調整によって、マルチビーム20全体が収差補正器220及び静電レンズアレイ230を通過できた場合でも、レンズ214の中心高さ位置において、マルチビーム20の軌道中心軸からの距離が、例えばx方向の周辺ビームにおいて異なる。そのため、収差補正器220及び/或いは静電レンズアレイ230によって、中心ビームに対して非対称の収差が発生してしまう。その結果、収差補正器220及び静電レンズアレイ230を通過し、検出器240で検出される中心ビーム21のスキャン像は、中心の通過孔像に対して非対称の収差による位置ずれが生じてしまう。図8の例では、中心の通過孔の位置とスキャン中心との位置とを一致させていない段階での状態を示している。
そこで、実施の形態1では、マルチビーム20の少なくとも中心ビームがレンズ214の中心を通ると共に、収差補正器220及び静電レンズアレイ230といったアパーチャアレイ基板に垂直入射するようにビームを調整する。
ここで、垂直入射について、実施の形態1では、設計上のマルチビーム20の軌道中心軸が高さ方向を示すz軸方向に一致するため、中心ビームが収差補正器220に垂直入射することが求められる。但し、これに限られるものではない。設計上のマルチビーム20の軌道中心軸がz軸からずれている方向、例えば、水平方向のうちの一方向を示すx方向である場合、中心ビームは収差補正器220面に直交するx方向から入射させる。言い換えれば、中心ビームは設計上のマルチビーム20の軌道中心軸と同じ方向から収差補正器220に入射させればよい。
図9は、実施の形態1におけるマルチビーム照射方法の要部工程を示すフローチャート図である。図9において、実施の形態1におけるマルチビーム照射方法は、ビーム選択工程(S102)と、ステージ移動工程(S104)と、レンズ中心合わせ工程(S106)と、垂直入射調整工程(S114)と、ステージ移動工程(S120)と、スキャン及び像確認工程(S122)と、いう一連の工程を実施する。
レンズ中心合わせ工程(S106)は、内部工程として、レンズウォブル工程(S107)と、スキャン及び像確認工程(S108)と、ビームシフト調整工程(S110)と、レンズウォブル停止工程(S112)と、を実施する。
垂直入射調整工程(S114)は、内部工程として、スキャン及び像確認工程(S115)と、スキャン像ピッチ/角度抽出工程(S116)と、ビームチルト調整工程(S118)と、を実施する。
また、実施の形態1におけるマルチビーム入射角調整方法は、図9に示す各工程を実施する。
ビーム選択工程(S102)として、まず、ステージ制御回路129による制御の下、駆動機構212は、マルチビーム20のうち中心ビーム21がビーム選択アパーチャ基板210に形成される図示しない通過孔を通過するようにビーム選択アパーチャ基板210を水平移動させる。そして、ビーム選択アパーチャ基板210は、マルチビーム20のうち中心ビーム21を選択的に通過させる。残りのビームは、ビーム選択アパーチャ基板210で遮蔽する。
ステージ移動工程(S104)として、ステージ制御回路129による制御の下、駆動機構227は、中心ビーム21が収差補正器220及び静電レンズアレイ230のいずれかの通過孔を通過する位置にアパーチャアレイステージ225を移動させる。
図10は、実施の形態1における中心ビーム軌道の一例を示す図である。図10において、電磁偏向器206,208には、電磁偏向器制御回路116による制御のもとそれぞれ初期値の偏向量が設定される。言い換えれば、電磁偏向器制御回路116からそれぞれの偏向量に対応する励磁電流が電磁偏向器206,208に供給される。中心ビーム21は、ビーム選択アパーチャ基板210を通過後、電磁偏向器206により斜め入射する方向とは逆方向に偏向される。そして、電磁偏向器208により電磁偏向器206による偏向方向とは逆方向に振り戻される。そして、電磁レンズ214及び収差補正器220に進む。中心ビーム21が収差補正器220及び静電レンズアレイ230の中心の通過孔を通過するように位置を合わせることが望ましいが、図10に示すように、他の通過孔を通過する場合であっても構わない。中心ビーム21が収差補正器220及び静電レンズアレイ230を通過したことは、検出器240で中心ビーム21を検出することで把握できる。
レンズ中心合わせ工程(S106)として、電磁偏向器206,208を用いて、マルチビーム20の軌道の下流側に配置される電磁レンズ214の中心を通るように、選択された中心ビーム21を電磁レンズ214に入射させる。
図11は、実施の形態1における中心ビームが電磁レンズ中心を通る場合の一例を示す図である。図11において、中心ビーム21は、ビーム選択アパーチャ基板210を通過後、電磁偏向器206により斜め入射する方向とは逆方向に偏向される。そして、電磁偏向器208により電磁偏向器206による偏向方向とは逆方向に振り戻される。その際、中心ビーム21が電磁レンズ214の中心を通るように電磁偏向器206,208を調整する。
図12は、実施の形態1におけるビームシフト調整の仕方を説明するための図である。図12では、例えば、収差補正器220の中心の通過孔の走査像(アパーチャ像)を示している。図12(a)では、ウォブル動作前の中心ビーム21によるアパーチャ像が、例えば画像中心で検出される場合を示している。中心ビーム21が電磁レンズ214の中心を通過していない場合、電磁レンズ214の励磁値を変えると図12(b)に示すようにアパーチャ像の位置が動く。一方、中心ビーム21が電磁レンズ214の中心を通過している場合、電磁レンズ214の励磁値を変えても図12(c)に示すようにアパーチャ像の位置が動かない。そこで、実施の形態1では、図12(c)に示すようにアパーチャ像の位置が動かないように電磁偏向器206,208の各偏向量を調整する。そのために、電磁偏向器206,208と、電磁レンズ214とを用いて、収差補正器220上を中心ビーム21で走査しながら電磁レンズ214のウォブル動作を実施して、電磁レンズのウォブル動作に対して、収差補正器220の走査像が動かないように、電磁偏向器206,208を用いてビームシフト量を調整する。具体的には、以下のように動作する。
レンズウォブル工程(S107)として、レンズ制御回路118は、電磁レンズ214に励磁する電流値をウォブルさせる(ウォブル動作させる)。具体的には、設計値の励磁値Iを中心に、所定の励磁範囲で可変させる。言い換えれば、励磁値を複数の値に振る。
スキャン及び像確認工程(S108)として、電磁偏向器208を用いて収差補正器220上を中心ビーム21で走査して、収差補正器220の複数の通過孔の走査像を検出器240で検出する。具体的には以下のように動作する。ウォブル動作の励磁状態毎に、電磁偏向器208により中心ビーム21で収差補正器220上をスキャンする。スキャン領域は、設定されている電磁偏向器208の励磁値を中心にした所定の範囲とする。そして、画像生成制御回路124は、ウォブル動作の励磁状態毎に、収差補正器220及び静電レンズアレイ230を通過し、検出器240で検出されたスキャン像を生成する。そして、画像確認回路126は、生成されたスキャン像を確認する。
なお、中心ビーム21のスキャン範囲は、収差補正器220にマルチビーム20のすべてのビームが通過するための複数の通過孔(第1の通過孔)を含む場合に限るものではない。マルチビーム20のうち中心ビームを含む一部のビーム群が通過する複数の通過孔(第2の通過孔)を中心ビーム21のスキャン範囲としても構わない。言い換えれば、中心の通過孔を中心とする、複数の通過孔(第2の通過孔)を中心ビーム21のスキャン範囲としても構わない。この場合に得らえる走査像には、収差補正器220に形成されるマルチビーム20用のすべての通過孔、例えば11×11の通過孔の像ではなく、中心の通過孔を中心とする複数の通過孔、例えば3×3の通過孔の像が含まれることになる。
ビームシフト調整工程(S110)として、電磁レンズ214のウォブル動作に対して、収差補正器220の走査像が動かないように、電磁偏向器制御回路116は、電磁偏向器206,208のビームシフト量を調整する。ビームシフト量の調整では、収差補正器220での中心ビーム21の入射位置を不動のまま電磁レンズ214の入射位置を変更することができる電磁偏向器206,208の連動比に従って、それぞれの偏向器の励磁値を変えることにより、電磁レンズ214への中心ビーム21の入射位置を変える。
そして、レンズウォブル工程(S107)に戻り、電磁レンズ214のウォブル動作に対して、収差補正器220の走査像が動かなくなるまで、レンズウォブル工程(S107)からビームシフト調整工程(S110)までの各工程を繰り返す。
レンズウォブル停止工程(S112)として、中心ビーム21が電磁レンズ214の中心を通過するように調整された場合に、電磁レンズ214のウォブル動作を停止する。
垂直入射調整工程(S114)として、電磁偏向器206,208を用いて、選択された中心ビーム21が電磁レンズ214の中心を通りながら、中心ビーム21を収差補正器220に垂直入射させる。
図13は、実施の形態1における中心ビームがアパーチャアレイ基板に垂直入射する場合の一例を示す図である。図13において、中心ビーム21は、ビーム選択アパーチャ基板210を通過後、電磁偏向器206により斜め入射する方向とは逆方向に偏向される。そして、電磁偏向器208により電磁偏向器206による偏向方向とは逆方向に振り戻される。その際、中心ビーム21が電磁レンズ214の中心を通ると共に、収差補正器220に垂直入射するように電磁偏向器206,208を調整する。そのために、電磁偏向器208を用いて中心ビーム21で収差補正器220上を走査して得られる、収差補正器220の複数の通過孔の走査像のうち中心の通過孔以外の他の通過孔の像が、中心の通過孔の像に対して対称に配置されるように電磁偏向器206,208の偏向量を調整する。走査像は、中心ビーム21で収差補正器220上を走査して、検出器240によって検出される。
図14は、実施の形態1におけるビームチルト調整の仕方を説明するための図である。図14では、例えば、収差補正器220の中心の通過孔30とx方向の両側の通過孔32,34とy方向の両側の通過孔36,38との走査像(アパーチャ像)を示している。ビームシフト量を調整後、収差補正器220上を中心ビーム21で走査しながら、収差補正器220の走査像が中心の通過孔30の像に対して他の複数の通過孔32,34,36,38の像が対称に配置されるように、電磁偏向器206,208を用いてビームチルト量を調整する。ここでは、中心の通過孔の像30以外の他の通過孔の像のうち、中心の通過孔の像30を通るx軸(第1の軸)の方向に並ぶ、中心の通過孔の像と隣接するx方向側の通過孔の像32(第1の像)と-x方向側の通過孔の像34(第2の像)との中心の通過孔の像30からのピッチX1,X2(第1と第2のピッチ)を用いて電磁偏向器206,208のビームチルト量(偏向量の一例)が調整される。同様に、x軸と直交すると共に中心の通過孔の像30を通るy軸(第2の軸)の方向に並ぶ、中心の通過孔の像30と隣接するy方向側の通過孔の像36(第3の像)と-y方向側の通過孔の像38(第4の像)との中心の通過孔の像30からのピッチY1,Y2(第3と第4のピッチ)を用いて電磁偏向器206,208のビームチルト量が調整される。また、像32と像34を結ぶ直線と像36と像38を結ぶ直線との直交度を用いて電磁偏向器206,208のビームチルト量が調整される。なお、各ピッチは像の中心間の距離を示す。像32と像34を結ぶ直線は、像32の中心と像34の中心を結ぶ直線を用いる。像36と像38を結ぶ直線は、像36の中心と像38の中心を結ぶ直線を用いる。実施の形態1では、ピッチX1とビッチX2が1:1、ピッチY1とビッチY2が1:1、及び像32と像34を結ぶ直線と像36と像38を結ぶ直線とが直交するように電磁偏向器206,208のビームチルト量が調整される。具体的には以下のように動作する。
スキャン及び像確認工程(S115)として、電磁偏向器208を用いて収差補正器220上を中心ビーム21で走査して、収差補正器220の複数の通過孔の走査像を検出器240で検出する。具体的には以下のように動作する。電磁偏向器208により中心ビーム21で収差補正器220上をスキャンする。スキャン領域は、設定されている電磁偏向器208の励磁値を中心にした所定の範囲とする。そして、画像生成制御回路124は、ビームチルト量毎に、収差補正器220及び静電レンズアレイ230を通過し、検出器240で検出されたスキャン像を生成する。そして、画像確認回路126は、生成されたスキャン像を確認する。
なお、中心ビーム21のスキャン範囲は、上述したように収差補正器220にマルチビーム20のすべてのビームが通過するための複数の通過孔(第1の通過孔)を含む場合に限るものではない。中心の通過孔を中心とする、複数の通過孔(第2の通過孔)を中心ビーム21のスキャン範囲としても構わない。この場合に得らえる走査像には、上述したように収差補正器220に形成されるマルチビーム20用のすべての通過孔、例えば11×11の通過孔の像ではなく、中心の通過孔を中心とする複数の通過孔、例えば3×3の通過孔の像が含まれることになる。
スキャン像ピッチ/角度抽出工程(S116)として、画像確認回路126は、検出された走査像からx方向のピッチX1,X2とy方向のピッチY1,Y2を抽出する。また、像32と像34を結ぶ直線と像36と像38を結ぶ直線との角度を抽出(算出)する。
画像確認回路126は、ピッチX1,X2が1:1かどうかを判定する。画像確認回路126は、ピッチY1,Y2が1:1かどうかを判定する。画像確認回路126は、像32と像34を結ぶ直線と像36と像38を結ぶ直線との角度が実質的に直角かどうかを判定する。言い換えれば、それぞれ許容される誤差範囲内かどうかを判定する。そして、ピッチX1,X2が1:1ではない、ピッチY1,Y2が1:1ではない、或いは上述したxy方向の2直線が直交していない場合、ビームチルト調整工程(S118)に進む。
ビームチルト調整工程(S118)として、電磁偏向器制御回路116は、電磁偏向器206,208のビームチルト量を調整する。ビームチルト量の調整では、電磁偏向器206,208の励磁値の連動比を維持したまま、それぞれの励磁値を変えることにより電磁レンズ214への中心ビーム21の入射位置を変えずに入射角度を変える。
そして、スキャン及び像確認工程(S115)に戻り、ピッチX1,X2が1:1、ピッチY1,Y2が1:1、及び上述したxy方向の2直線が直交するまで、スキャン及び像確認工程(S115)からビームチルト調整工程(S118)までの各工程を繰り返す。
以上により、図13に示すように中心ビーム21が電磁レンズ214の中心を通りながら、中心ビーム21を収差補正器220に垂直入射させることができる。
ステージ移動工程(S120)として、得られた走査像において、中心の通過孔の像30が、走査像の中心(スキャン領域の中心)に位置するように、ステージ制御回路129による制御の下、駆動機構227は、アパーチャアレイステージ225を移動させる。中心の通過孔の像30が、走査像の中心からずれている場合には、中心ビーム21が収差補正器220の中心の通過孔以外の通過孔に入射している、或いは、中心の通過孔の中心を通っていないことが想定される。そこで、アパーチャアレイステージ225を移動させて、中心ビーム21が収差補正器220の中心の通過孔を通るように収差補正器220の位置を調整する。
スキャン及び像確認工程(S122)として、電磁偏向器208により中心ビーム21で収差補正器220上をスキャンする。スキャン領域は、設定されている電磁偏向器208の励磁値を中心にした所定の範囲とする。そして、画像生成制御回路124は、ビームチルト量毎に、収差補正器220及び静電レンズアレイ230を通過し、検出器240で検出されたスキャン像を生成する。そして、画像確認回路126は、生成されたスキャン像を確認する。ここでは、中心の通過孔の像30が、走査像の中心に位置するか確認する。
図15は、実施の形態1における走査像の一例を示す図である。中心ビーム21を偏向器208で走査していない場合に電磁レンズ214の中心を中心ビーム21が垂直入射することで、走査時の電磁レンズ214で生じる収差を対称に生じさせることができる。その結果、図15に示すように中心の通過孔に対して周囲の通過孔の像が対称に配置される。よって、中心の通過孔像に対して非対称の収差による位置ずれを抑制できる。
また、中心ビーム21を収差補正器220に垂直入射することで、中心ビーム21の少なくとも一部が収差補正器220或いは静電レンズアレイ230の通過孔内壁に衝突してしまうことを回避できる。よって、中心ビーム21のうち通過するビームの電流量が減少してしまうことを抑制できる。また、散乱電子の発生を抑制するので基板101面の像が劣化を低減できる。また、実施の形態1においてマルチビーム20の中心ビームが収差補正器220に垂直入射する場合、図7(a)に示すように、マルチビーム20の各ビームが収差補正器220及び静電レンズアレイ230を通過できるように調整される。よって、中心ビーム21を収差補正器220に垂直入射することで、周辺ビームの少なくとも一部が収差補正器220或いは静電レンズアレイ230に衝突してしまうことを回避できる。よって、周辺ビームの電流量が減少してしまうことを抑制できる。また、散乱電子の発生を抑制するので基板101面の像が劣化を低減できる。
以上のマルチビームの入射角調整を終了後、まずは、ビーム選択アパーチャ基板210及び検出器240をマルチビーム20の軌道上から退避させる。その後、基板101にマルチビーム20を照射する。
以上のように、実施の形態1によれば、中心ビーム21が斜め入射するマルチビーム20について、中心ビーム21を収差補正器220等のアパーチャアレイに垂直に入射できる。その結果、アパーチャアレイに起因する非対称な収差の発生を抑制できる。
以上の説明において、一連の「~回路」は、処理回路を含み、その処理回路には、電気回路、コンピュータ、プロセッサ、回路基板、量子回路、或いは、半導体装置等が含まれる。また、各「~回路」は、共通する処理回路(同じ処理回路)を用いてもよい。或いは、異なる処理回路(別々の処理回路)を用いても良い。プロセッサ等を実行させるプログラムは、磁気ディスク装置、磁気テープ装置、FD、或いはROM(リードオンリメモリ)等の記録媒体に記録されればよい。例えば、これらの回路内での処理を制御計算機110で実施しても良い。
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。図1の例では、1つの照射源となる電子銃201から照射された1本のビームから成形アパーチャレンズアレイ基板203によりマルチビーム20を形成する場合を示しているが、これに限るものではない。複数の照射源からそれぞれ1次電子ビームを照射することによってマルチビーム20を形成する態様であっても構わない。
また、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要しない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができる。
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全てのマルチビーム入射角調整方法及びマルチビーム照射装置は、本発明の範囲に包含される。
12 基板本体
13 通過孔
16 電極
20 マルチビーム
21 中心ビーム
22 穴
30,32,34,36,38 像
100 照射装置
101 基板
102 電子ビームカラム
105 ステージ
106 検出回路
110 制御計算機
112 メモリ
114 レンズアレイ制御回路
116 電磁偏向器制御回路
118 レンズ制御回路
120 バス
122 収差補正器制御回路
124 画像生成制御回路
126 画像確認回路
129 ステージ制御回路
140 記憶装置
150 ビーム照射機構
160 制御系回路
201 電子銃
203 成形アパーチャレンズアレイ基板
204 電磁レンズ
206,208 電磁偏向器
210 ビーム選択アパーチャ基板
212 駆動機構
214 電磁レンズ
220 収差補正器
221 第1電極基板
223 第2電極基板
225 アパーチャアレイステージ
227 駆動機構
230 静電レンズアレイ
231 第1電極基板
233 第2電極基板
235 第3電極基板
240 検出器
241 駆動機構
250 電子光学系

Claims (6)

  1. マルチビームを放出する工程と、
    ビーム選択アパーチャ基板を用いて前記マルチビームのうち中心ビームを選択的に通過させる工程と、
    前記ビーム選択アパーチャ基板よりも前記マルチビームの軌道の下流側に配置される第1と第2の偏向器を用いて、前記第1と第2の偏向器よりも前記マルチビームの軌道の下流側に配置される電磁レンズの中心を通るように、選択された前記中心ビームを入射させる工程と、
    前記電磁レンズの中心高さ位置に配置される、若しくは前記中心高さ位置よりも前記マルチビームの軌道の下流側に配置されるアパーチャアレイ基板上を、前記第2の偏向器を用いて前記中心ビームで走査して得られる、前記アパーチャアレイ基板に形成される前記マルチビームが通過するための複数の第1の通過孔のうち前記中心の通過孔を中心とする複数の第2の通過孔の走査像のうち前記中心の通過孔以外の他の通過孔の像が、前記中心の通過孔の像に対して対称に配置されるように前記第1と第2の偏向器の偏向量を調整する工程と、
    を備えたことを特徴とするマルチビーム入射角調整方法。
  2. 前記第2の偏向器を用いて前記アパーチャアレイ基板上を前記中心ビームで走査して、前記複数の第1の通過孔のうち前記中心の通過孔を中心とする前記複数の第2の通過孔の走査像を検出器で検出する工程をさらに備え、
    検出された前記複数の第2の通過孔の走査像のうち前記中心の通過孔以外の他の通過孔の像が、前記中心の通過孔の像に対して対称に配置されるように前記第1と第2の偏向器の偏向量が調整されることを特徴とする請求項1記載のマルチビーム入射角調整方法。
  3. 前記他の通過孔の像のうち前記中心の通過孔の像を通る第1の軸の方向に並ぶ、前記中心の通過孔の像と隣接する第1と第2の像の前記中心の通過孔の像からの第1と第2のピッチと、前記第1の軸と直交すると共に前記中心の通過孔の像を通る第2の軸の方向に並ぶ、前記中心の通過孔の像と隣接する第3と第4の像の前記中心の通過孔の像からの第3と第4のピッチと、前記第1と第2の像を結ぶ直線と前記第3と第4の像を結ぶ直線との直交度と、を用いて、前記第1と第2の偏向器の偏向量が調整されることを特徴とする請求項1又は2記載のマルチビーム入射角調整方法。
  4. 前記アパーチャアレイ基板は、多極子アレイが配置された基板と、静電レンズアレイ基板とのうち少なくとも1つを有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のマルチビーム入射角調整方法。
  5. ビーム選択アパーチャ基板を用いてマルチビームのうち中心ビームを選択的に通過させる工程と、
    前記ビーム選択アパーチャ基板よりも前記マルチビームの軌道の下流側に配置される第1と第2の偏向器と、前記第1と第2の偏向器よりも前記マルチビームの軌道の下流側に配置される電磁レンズとを用いて、前記アパーチャアレイ基板上を前記中心ビームで走査しながら前記電磁レンズのウォブル動作を実施して、前記電磁レンズのウォブル動作に対して、前記電磁レンズの中心高さ位置に配置される、若しくは前記中心高さ位置よりも前記マルチビームの軌道の下流側に配置されるアパーチャアレイ基板の走査像が動かないように、前記第1と第2の偏向器を用いてビームシフト量を調整する工程と、
    前記ビームシフト量を調整後、前記アパーチャアレイ基板上を前記中心ビームで走査しながら、前記アパーチャアレイ基板の走査像が中心の通過孔の像に対して他の複数の通過孔の像が対称に配置されるように、前記第1と第2の偏向器を用いてビームチルト量を調整する工程と、
    を備えたことを特徴とするマルチビーム入射角調整方法。
  6. マルチビームを放出する放出源と、
    前記マルチビームのうち中心ビームを選択的に通過させるビーム選択アパーチャ基板と、
    前記選択アパーチャ基板よりも前記マルチビームの軌道の下流側に配置され、前記マルチビームを偏向する第1と第2の偏向器と、
    前記第1と第2の偏向器よりも前記マルチビームの軌道の下流側に配置される電磁レンズと、
    前記電磁レンズの中心高さ位置に配置される、若しくは前記中心高さ位置よりも前記マルチビームの軌道の下流側に配置される、前記マルチビームが通過するための複数の第1の通過孔が形成されたアパーチャアレイ基板と、
    前記アパーチャアレイ基板の位置を移動させる駆動機構と、
    選択された前記中心ビームが前記電磁レンズの中心を通るように前記第1と第2の偏向器を制御すると共に、前記アパーチャアレイ基板上を前記中心ビームで走査して得られる、前記複数の第1の通過孔のうち前記中心の通過孔を中心とする複数の第2の通過孔の走査像のうち前記中心の通過孔以外の他の通過孔の像が、前記中心の通過孔の像に対して対称に配置されるように前記第1と第2の偏向器の偏向量を制御する制御回路と、
    を備えたことを特徴とするマルチビーム照射装置。
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