以下、本発明の実施形態に係るマーク認識装置及びそれを備えた処理装置について、図面に基づいて説明する。
[部品実装システムの全体構成]
図1に示されるように、本発明の一実施形態に係るマーク認識装置5は、部品実装システム100に適用される。部品実装システム100は、パターン形成装置11、パターン検査装置12、部品実装装置13、及び搭載検査装置14がこの順に直線状に並ぶように連結された部品実装ライン10によって構成される。そして、パターン形成装置11及び部品実装装置13は、マーク認識装置5を備えている。
パターン形成装置11は、所定の作業エリアにロット単位で搬入された基板に半田ペーストのパターンを形成するパターン形成処理を行う処理装置である。パターン形成装置11に備えられるマーク認識装置5では、作業エリアに搬入された基板上のマークを撮像カメラにより撮像してマーク画像を生成し、当該マーク画像に基づいてマークの画像認識処理が行われる。マーク認識装置5の画像認識処理によって、マーク画像におけるマークの形状、外形サイズ及び中心位置座標などの特徴量が認識される。マーク認識装置5によるマークの認識結果は、パターン形成装置11におけるパターン形成処理の実行時に参照される。すなわち、パターン形成装置11では、マーク認識装置5によるマークの認識結果に基づいて、作業エリアに搬入された基板上の所定領域に位置ずれが生じないように半田ペーストのパターンが形成される。
パターン検査装置12は、パターン形成装置11の下流側に配置され、パターン形成装置11におけるパターン形成処理の処理状態を検査する。パターン検査装置12による検査後の基板は、部品実装装置13に搬入される。
部品実装装置13は、半田ペーストのパターンが形成された基板に電子部品(以下、「部品」と称する)を搭載する部品搭載処理を行う処理装置である。部品実装装置13に備えられるマーク認識装置5の詳細については、後述する。部品実装装置13における部品搭載処理によって得られた部品搭載基板は、搭載検査装置14に搬入される。
搭載検査装置14は、部品実装装置13の下流側に配置され、部品実装装置13における部品搭載処理の処理状態を検査する。搭載検査装置14による検査後の部品搭載基板は、必要に応じてリフロー装置に搬入される。リフロー装置は、部品搭載基板上の半田を溶融させた後に硬化させるリフロー処理を行うことで、リフロー基板を得る。このリフロー基板は、必要に応じてリフロー検査装置に搬入される。リフロー検査装置は、リフロー装置の下流側に配置され、リフロー装置におけるリフロー処理の処理状態を検査する。
[部品実装装置の構成]
次に、部品実装装置13について、図1に加えて図2及び図3を参照しながら説明する。なお、図2では、水平面上において互いに直交するXY直交座標を用いて方向関係が示されている。
部品実装装置13は、基板PPに部品を搭載する部品搭載処理等を行う構造部分を構成する実装機本体2を備える。実装機本体2は、本体フレーム21と、コンベア23と、部品供給ユニット24と、ヘッドユニット25と、基板支持ユニット28とを備える。
本体フレーム21は、実装機本体2を構成する各部が配置される構造体であり、X軸方向及びY軸方向の両方向と直交する方向(鉛直方向)から見た平面視で略矩形状に形成されている。コンベア23は、X軸方向に延び、本体フレーム21に配置される。コンベア23は、複数のマークMが形成された基板PPを所定の作業エリアWAにロット単位で搬送する基板搬送部である。作業エリアWAに搬入された基板PPは、基板支持ユニット28によって位置決めされるようになっている。基板支持ユニット28は、マークMが形成された面が上を向いた状態の基板PPを下方側から支持することにより、コンベア23上において作業エリアWA内で基板PPを位置決めする。
部品供給ユニット24は、本体フレーム21におけるY軸方向の両端部のそれぞれの領域部分に、コンベア23を挟んで配置される。部品供給ユニット24は、本体フレーム21において、フィーダー24Fが複数並設された状態で装着される領域であって、後述のヘッドユニット25に備えられる搭載ヘッド251による保持対象の部品毎に、各フィーダー24Fのセット位置が区画されている。フィーダー24Fは、部品供給ユニット24に着脱自在に装着される。フィーダー24Fは、部品を供給する部品供給処理を行う装置である。フィーダー24Fは、複数の部品を保持し、その保持した部品をフィーダー内に設定された所定の部品供給位置に供給できるものであれば特に限定されず、例えばテープフィーダーである。テープフィーダーは、部品を所定間隔おきに収納した部品収納テープが巻回されたリールを備え、そのリールから部品収納テープを送出することにより、部品を供給するように構成されたフィーダーである。
ヘッドユニット25は、移動フレーム27に保持されている。本体フレーム21上には、Y軸方向に延びる固定レール261と、Y軸サーボモータ263により回転駆動されるボールねじ軸262とが配設されている。移動フレーム27は固定レール261上に配置され、この移動フレーム27に設けられたナット部分271がボールねじ軸262に螺合している。また、移動フレーム27には、X軸方向に延びるガイド部材272と、X軸サーボモータ274により駆動されるボールねじ軸273とが配設されている。このガイド部材272にヘッドユニット25が移動可能に保持され、このヘッドユニット25に設けられたナット部分がボールねじ軸273に螺合している。そして、Y軸サーボモータ263の作動により移動フレーム27がY軸方向に移動するとともに、X軸サーボモータ274の作動によりヘッドユニット25が移動フレーム27に対してX軸方向に移動するようになっている。すなわち、ヘッドユニット25は、移動フレーム27の移動に伴ってY軸方向に移動可能であり、且つ、移動フレーム27に沿ってX軸方向に移動可能である。ヘッドユニット25は、部品供給ユニット24と基板支持ユニット28に支持された基板PPとの間で移動可能である。ヘッドユニット25は、部品供給ユニット24と基板PPとの間で移動することにより、部品を基板PPに搭載する部品搭載処理を実行する。
図3に示されるように、ヘッドユニット25は、複数の搭載ヘッド251を備えている。各搭載ヘッド251は、その先端(下端)に装着された吸着ノズル2511を有する。吸着ノズル2511は、フィーダー24Fにより供給された部品の吸着保持が可能なノズルである。吸着ノズル2511は、部品を吸着する部品吸着処理を行う。吸着ノズル2511は、電動切替弁を介して負圧発生装置、正圧発生装置及び大気の何れかに連通可能とされている。つまり、吸着ノズル2511に負圧が供給されることで当該吸着ノズル2511による部品の吸着保持が可能となり、その後、正圧が供給されることで当該部品の吸着保持が解除される。各搭載ヘッド251は、吸着ノズル2511により吸着保持された部品を基板PPに搭載する部品搭載処理を、基板PPに設定された複数の目標搭載位置の各々に対応して行う。各搭載ヘッド251は、基板PPに対する部品搭載処理を行うことにより、部品搭載基板を得る。
各搭載ヘッド251は、ヘッドユニット25のフレームに対してZ軸方向(鉛直方向)に昇降可能であるとともに、Z軸方向に延びるヘッド軸回りの回転が可能とされている。各搭載ヘッド251は、吸着ノズル2511による部品の吸着保持が可能な吸着可能位置と、吸着可能位置に対して上方側の退避位置との間で、Z軸方向に沿って昇降可能である。つまり、吸着ノズル2511によって部品を吸着保持するときには、各搭載ヘッド251は、退避位置から吸着可能位置へ向かって下降し、当該吸着可能位置において部品を吸着保持する。一方、部品の吸着保持後の各搭載ヘッド251は、吸着可能位置から退避位置へ向かって上昇する。更に、各搭載ヘッド251は、吸着ノズル2511によって吸着保持された部品を基板PP上の予め定められた目標搭載位置に搭載することが可能な搭載可能位置と、前記退避位置との間で、Z軸方向に沿って昇降可能である。
図2に示されるように、実装機本体2は、部品認識カメラ31と、部品供給カメラ32と、マーク認識カメラ51とを更に備える。
部品認識カメラ31は、本体フレーム21上において部品供給ユニット24とコンベア23との間に設置され、例えばCMOS(Complementary metal-oxide-semiconductor)やCCD(Charged-coupled device)等の撮像素子を備えた撮像カメラである。部品認識カメラ31は、部品供給ユニット24から基板支持ユニット28により支持された基板PPへ向かってヘッドユニット25が移動している間において、各搭載ヘッド251の吸着ノズル2511によって吸着保持された部品を、下方側から撮像する。部品認識カメラ31は、吸着ノズル2511によって吸着保持された部品が基板PPに搭載される前に、当該部品を撮像する。部品認識カメラ31は、ヘッドユニット25が部品搭載処理を実行する前に、吸着ノズル2511による部品の保持状態を認識する。部品認識カメラ31は、吸着ノズル2511による部品の保持異常が生じている場合には、その保持異常を認識する。具体的には、部品認識カメラ31は、吸着ノズル2511が部品を不保持である場合には、その不保持であることを保持異常として認識する。また、部品認識カメラ31は、吸着ノズル2511が吸着保持している部品の姿勢が異常である場合には、その異常姿勢であることを保持異常として認識する。
部品供給カメラ32は、ヘッドユニット25に配置され、例えばCMOSやCCD等の撮像素子を備えた撮像カメラである。部品供給カメラ32は、吸着ノズル2511による部品の吸着保持動作の前に、フィーダー24Fにより部品供給位置に供給された部品を斜め上方から撮像する。部品供給カメラ32は、フィーダー24Fによって部品供給位置に部品が供給されているか、又は、部品供給位置に供給された部品の姿勢を検出する。
マーク認識カメラ51は、ヘッドユニット25に配置された撮像カメラである。マーク認識カメラ51は、マーク認識装置5の一部を構成する。すなわち、本実施形態に係る部品実装装置13は、マーク認識装置5を備えている。
[マーク認識装置の構成]
次に、図1及び図2に加えて図4のブロック図を参照しながら、部品実装装置13に備えられるマーク認識装置5について説明する。マーク認識装置5は、コンベア23によって作業エリアWAにロット単位で搬入される基板PP上に形成された複数のマークMを画像認識するマーク認識処理を行う装置である。マーク認識装置5は、マーク認識カメラ51と、管理装置52とを備える。
マーク認識カメラ51は、作業エリアWAに搬入された基板PPの上面に形成された複数のマークMを認識するために、当該複数のマークMの各々を上方から撮像する撮像処理を行う。これにより、マーク認識カメラ51は、基板PP上の複数のマークMの各々に対応してマーク画像GMを生成する。マーク認識カメラ51は、照明部511と撮像部512とを有する。照明部511は、例えばLED(Light Emintting Diode)によって構成される。照明部511は、マークMが含まれる基板PP上の所定のマーク配置領域を照明する。照明部511は、照明出力の変更が可能である。照明部511は、照明出力の変更によって、基板PP上における照明対象の前記マーク配置領域の照度を調整することができる。撮像部512は、例えばCMOSやCCD等の撮像素子を含む。撮像部512は、照明部511によって照明された前記マーク配置領域を撮像し、当該マーク配置領域からの反射光に基づきマーク画像GMを生成する。マーク認識カメラ51によって基板PP上のマークMを撮像する際には、当該マーク認識カメラ1がマークMを撮像可能なように、ヘッドユニット25がX軸方向及びY軸方向に移動される。
管理装置52は、例えばマイクロコンピュータによって構成される。管理装置52は、マーク認識装置5のマーク認識処理を統括的に管理する装置である。管理装置52は、取得部521と、マーク認識部522と、記憶部523と、認識制御部524と、データ出力部525と、操作部526とを含む。
取得部521は、マーク認識カメラ51により生成されたマーク画像GMを取得するとともに、基板情報DPを取得する。基板情報DPは、作業エリアWAにロット単位で搬入される基板PPに関する情報である。基板情報DPには、基板PPのロットを特定するためのロット番号情報、同一ロットの基板PPの数を示す基板数情報、基板PPの種類を示す基板種情報、基板PPに形成された複数のマークMの数を示すマーク数情報、基板PP上におけるマークMの位置を示すマーク位置情報、などが登録されている。
操作部526は、キーボード、マウス、タッチパネル等によって構成される。操作部526は、オペレータによる設定データDSの入力操作を受け付ける。設定データDSには、基板PPに形成された複数のマークMを区分するための設定に関するデータ、後記の認識制御部524がマーク認識部522を制御する際に用いる設定値に関するデータ、などが含まれる。
マーク認識部522は、取得部521によって取得されたマーク画像GMの画像認識処理を行う。つまり、マーク認識部522は、マーク認識カメラ51により生成された、基板PP上の複数のマークMの各々に対応したマーク画像GMの画像認識処理を行う。マーク認識部522は、マーク画像GMの画像認識処理を行うことにより、マーク画像GMにおけるマークMの形状、外形サイズ及び中心位置座標などの特徴量を認識し、その認識結果を示すマーク認識データDMを出力する。マーク認識部522は、基板PP上の複数のマークMの各々に対応してマーク認識データDMを出力する。
記憶部523は、マーク認識部522から出力されたマーク認識データDMを記憶するとともに、操作部526を介して入力された設定データDSを記憶する。
データ出力部525は、記憶部523からマーク認識データDMを読み出して、基板PP上の複数のマークMごとのマーク認識データDMのデータ群を示す認識データセットSDを出力する。認識データセットSDは、ヘッドユニット25が基板PP上に部品を搭載する部品搭載処理を行うときに参照される。すなわち、ヘッドユニット25は、認識データセットSDに含まれる各マークMに対応したマーク認識データDMに基づいて、作業エリアWAに搬入された基板PP上の目標搭載位置に、位置ずれが生じないように部品を搭載する。
認識制御部524は、マーク認識装置5におけるマーク認識処理を制御する。具体的には、認識制御部524は、同一ロットの基板PPが作業エリアWAに搬入されるごとに、マーク認識カメラ51の撮像処理及びマーク認識部522の画像認識処理を制御する。なお、認識制御部524は、マーク認識カメラ51の撮像処理を制御する際には、マーク認識カメラ51が配置されたヘッドユニット25の移動についても制御する。
認識制御部524は、取得部521により取得された基板情報DPに基づいて、作業エリアWAに搬入された基板PPのロット番号、同一ロットの基板数、基板種、基板PP上のマークMの数及び位置などを把握する。そして、認識制御部524は、作業エリアWAに搬入された基板PPの搬入数が基準数に到達するまでは、通常制御を実行する。この通常制御において認識制御部524は、基板PP上の複数のマークMの全てを対象としてマークMごとに、撮像処理が行われるようにマーク認識カメラ51を制御するとともに、画像認識処理が行われるようにマーク認識部522を制御する。このため、認識制御部524による通常制御の実行時においては、同一ロットの基板PPが作業エリアWAに搬入されるごとに、基板PP上の複数のマークMの各々に対応して、マーク認識カメラ51によりマーク画像GMが生成されるとともに、マーク認識部522からマーク認識データDMが出力される。
認識制御部524による通常制御の実行時においては、データ出力部525は、マーク認識部522から出力されたマーク認識データDMをそのまま用いて、基板PP上の複数のマークMごとのマーク認識データDMのデータ群を示す認識データセットSDを出力する。
マーク認識データDMには、マーク画像GMにおけるマークMの特徴量として、マークMの中心位置のXY座標を示す下記式(1)のマーク認識座標Rnが含まれている。
認識制御部524は、通常制御の実行時にマーク認識部522から出力されたマーク認識データDMに基づいて、基板PP上の複数のマークMの各々に対応して、基板PPの前記基準数a分のマーク認識座標Rnの平均を示す下記式(2)のマーク認識位置平均μfと、マーク認識座標Rnの偏差を示す下記式(3)のマーク認識位置偏差σfと、を算出する。
そして、認識制御部524は、マーク認識位置平均μfとマーク認識位置偏差σfとに基づいて、認識安定条件を設定する。この認識安定条件は、同一ロットの基板PP上の複数のマークMの各々に対応したマーク認識データDMの安定性の指標となる。
作業エリアWAに搬入された基板PPの搬入数が基準数aに到達した後、作業エリアWAに基板PPが新たに搬入されたときには、認識制御部524は、前記認識安定条件を満たすか否かを判断する。前記認識安定条件を満たす場合には、同一ロットの基板PP上のマークMに対応したマーク認識データDMが許容範囲に収まって安定していることになる。そこで、前記認識安定条件を満たす場合、認識制御部524は、スキップ制御を実行する。このスキップ制御において認識制御部524は、作業エリアWAに搬入された基板PP上の複数のマークMのうち、基準位置に形成された基準マーク以外の特定マークを対象とした撮像処理及び画像認識処理をスキップするように、マーク認識カメラ51及びマーク認識部522をそれぞれ制御する。なお、認識制御部524は、スキップ制御の対象外の基準マークに対しては、撮像処理及び画像認識処理が行われるようにマーク認識カメラ51及びマーク認識部522をそれぞれ制御する。
前記認識安定条件を満たす場合に認識制御部524がスキップ制御を実行することにより、基板PP上のマークMの画像認識の精度が低下することを抑制した上で、基板PP上のマークMを対象とした撮像処理及び画像認識処理の処理時間の、基板PPのロット単位でのトータル処理時間を短縮することが可能となる。
認識制御部524によるスキップ制御が実行された場合、データ出力部525は、スキップ制御の対象外の基準マークに対しては、マーク認識部522から出力されたマーク認識データDMをそのまま用いて認識データセットSDを作成する。一方、スキップ制御の対象の特定マークに対しては、データ出力部525は、通常制御の実行時に当該特定マークに対応してマーク認識部522から出力されたマーク認識データDM(例えばマーク認識位置平均μf)を用いて認識データセットSDを作成する。そして、データ出力部525は、作成した認識データセットSDを出力する。
なお、前記認識安定条件を満たさない場合には、認識制御部524は、作業エリアWAに搬入された基板PPの搬入数が基準数aに到達するまでの制御と同様に、通常制御を実行する。この場合、認識制御部524は、基板PP上の複数のマークMの全てを対象としてマークMごとに、撮像処理が行われるようにマーク認識カメラ51を制御するとともに、画像認識処理が行われるようにマーク認識部522を制御する。
[マーク認識装置の動作の具体例]
次に、マーク認識装置5の動作について、より詳細に説明する。
<マーク認識装置によるマーク認識処理の第1具体例>
図5及び図6を参照しながら、マーク認識装置5によるマーク認識処理の第1具体例について説明する。図5には、マークMとして、基板の位置を認識するためのフィデューシャルマークFM1,FM2が形成された基板PPAの例が示されている。フィデューシャルマークFM1,FM2は、基板PPAの原点座標に対する位置ずれ量を検知するためのマークである。基板PPAにおいては、基板PPA上の基準位置に一対の基準フィデューシャルマークFM1が形成され、基板PPA上の基準位置以外の位置に残余フィデューシャルマークFM2が形成されている。一対の基準フィデューシャルマークFM1は、矩形の基板PPAの原点座標を通る対角線上において、頂点の近傍にそれぞれ形成されている。
認識制御部524は、取得部521により取得された基板情報DPに基づいて、作業エリアWAに搬入された基板PPAのロット番号、同一ロットの基板数、基板種、基板PPA上のフィデューシャルマークFM1,FM2の数及び位置などを把握する。そして、認識制御部524は、作業エリアWAに搬入された基板PPAが下面実装基板であるか否かを判断する(ステップa1)。下面実装基板は、認識対象のフィデューシャルマークFM1,FM2が形成された面とは反対の面(下を向く下面)に回路が形成され、部品が実装済みの基板である。
作業エリアWAに搬入された基板PPAが下面実装基板ではない場合(ステップa1でNO)、認識制御部524は、基板PPA上にフィデューシャルマークFM1,FM2が3箇所以上形成されているか否かを判断する(ステップa2)。
作業エリアWAに搬入された基板PPAが下面実装基板である場合(ステップa1でYES)、又は、基板PPA上にフィデューシャルマークFM1,FM2が3箇所以上形成されていない場合(ステップa2でNO)、認識制御部524は、スキップ制御フラグをOFFに設定し、スキップ制御の実行を不許可とする(ステップa21)。下面実装基板は、下面における実装済みの部品の重量などに起因した撓みが生じている場合がある。基板PPAに撓みが生じている場合には、同一ロットの基板PPA上のフィデューシャルマークFM1,FM2に対応したマーク認識データDMが安定しない虞がある。そこで、撓みの発生が懸念される下面実装基板が作業エリアWAに搬入された場合、認識制御部524は、スキップ制御の実行を不許可とする。
スキップ制御フラグをOFFに設定した場合、認識制御部524は、作業エリアWAに基板PPAが搬入されるごとに、通常制御を実行する(ステップa22)。この通常制御において認識制御部524は、基板PPA上のフィデューシャルマークFM1,FM2の全てを対象としてマークごとに、撮像処理が行われるようにマーク認識カメラ51を制御するとともに、画像認識処理が行われるようにマーク認識部522を制御する。このため、認識制御部524による通常制御の実行時においては、同一ロットの基板PPAが作業エリアWAに搬入されるごとに、基板PPA上のフィデューシャルマークFM1,FM2にそれぞれ対応して、マーク認識カメラ51によりマーク画像GMが生成されるとともに、マーク認識部522からマーク認識データDMが出力される。
認識制御部524による通常制御の実行時においては、データ出力部525は、マーク認識部522から出力されたマーク認識データDMをそのまま用いて、基板PPA上のフィデューシャルマークFM1,FM2ごとのマーク認識データDMのデータ群を示す認識データセットSDを出力する(ステップa23)。
一方、作業エリアWAに搬入された基板PPAが下面実装基板ではなく(ステップa1でNO)、且つ、基板PPA上にフィデューシャルマークFM1,FM2が3箇所以上形成されている場合(ステップa2でYES)、認識制御部524は、スキップ制御フラグをONに設定し、スキップ制御の実行を許可する(ステップa3)。基板PPA上のフィデューシャルマークFM1,FM2を対象とした撮像処理及び画像認識処理の処理時間の、基板PPAのロット単位でのトータル処理時間は、基板PPA上に形成されたフィデューシャルマークFM1,FM2の数が多いほど長くなる。そこで、基板PPA上にフィデューシャルマークFM1.FM2が3箇所以上形成されている場合、認識制御部524は、スキップ制御の実行を許可する。このようなスキップ制御は、基板PPAのロット単位でのトータル処理時間の短縮に、より有効に寄与する。
スキップ制御フラグをONに設定した状態において、認識制御部524は、作業エリアWAに搬入された基板PPAの搬入数が基準数aに到達したか否かを判断する(ステップa4)。
作業エリアWAに搬入された基板PPAの搬入数が基準数aに到達していない場合(ステップa4でNO)、認識制御部524は、基準数aに到達するまでは通常制御を実行する(ステップa41)。この通常制御において認識制御部524は、基板PPA上のフィデューシャルマークFM1,FM2の全てを対象としてマークごとに、撮像処理が行われるようにマーク認識カメラ51を制御するとともに、画像認識処理が行われるようにマーク認識部522を制御する。このため、認識制御部524による通常制御の実行時においては、同一ロットの基板PPAが作業エリアWAに搬入されるごとに、基板PPA上のフィデューシャルマークFM1,FM2にそれぞれ対応して、マーク認識カメラ51によりマーク画像GMが生成されるとともに、マーク認識部522からマーク認識データDMが出力される。
一対の基準フィデューシャルマークFM1に対応したマーク認識データDMには、基準フィデューシャルマークFM1の中心位置のXY座標を示す上記式(1)のマーク認識座標Rnが含まれる。同様に、残余フィデューシャルマークFM2に対応したマーク認識データDMには、残余フィデューシャルマークFM2の中心位置のXY座標を示すマーク認識座標Rnが含まれる。
認識制御部524は、通常制御の実行時にマーク認識部522から出力されたマーク認識データDMに基づいて、基板PPA上の一対の基準フィデューシャルマークFM1にそれぞれ対応して、上記式(2)のマーク認識位置平均μfと、上記式(3)のマーク認識位置偏差σfと、を算出する。同様に、認識制御部524は、基板PPA上の残余フィデューシャルマークFM2に対応して、マーク認識位置平均μfとマーク認識位置偏差σfとを算出する。
認識制御部524による通常制御の実行時においては、データ出力部525は、マーク認識部522から出力されたマーク認識データDMをそのまま用いて、基板PPA上のフィデューシャルマークFM1,FM2ごとのマーク認識データDMのデータ群を示す認識データセットSDを出力する(ステップa42)。
作業エリアWAに搬入された基板PPAの搬入数が基準数aに到達した場合(ステップa4でYES)、認識制御部524は、基板PPA上の一対の基準フィデューシャルマークFM1を対象に撮像処理及び画像認識処理が行われるように、マーク認識カメラ51及びマーク認識部522をそれぞれ制御する(ステップa5)。これにより、通常制御の実行後のスキップ制御の準備段階において、基板PPA上の一対の基準フィデューシャルマークFM1にそれぞれ対応して、マーク認識カメラ51によりマーク画像GMが生成されるとともに、マーク認識部522からマーク認識データDMが出力される。一対の基準フィデューシャルマークFM1に対応したマーク認識データDMには、上記式(1)のマーク認識座標Rnが含まれる。
認識制御部524は、通常制御の実行後のスキップ制御の準備段階における一対の基準フィデューシャルマークFM1に対応したマーク認識データDMに含まれるマーク認識座標Rnと、通常制御の実行時における一対の基準フィデューシャルマークFM1に対応したマーク認識データDMに基づくマーク認識位置平均μfとの差が、所定の許容範囲に収まるか否かによって、前記認識安定条件を満たすか否かを判断する(ステップa6)。なお、前記許容範囲は、通常制御の実行時における一対の基準フィデューシャルマークFM1に対応したマーク認識データDMに基づくマーク認識位置偏差σfに応じて設定されてもよいし(例えば2σ、3σなど)、或いは操作部526を介して入力された設定データDSに応じて設定されてもよい。
通常制御の実行後のスキップ制御の準備段階における一対の基準フィデューシャルマークFM1に対応したマーク認識座標Rnと、通常制御の実行時における一対の基準フィデューシャルマークFM1に対応したマーク認識位置平均μfとの差が許容範囲に収まる場合(ステップa6でYES)、認識制御部524は、前記認識安定条件を満たすと判断する。この場合、認識制御部524は、作業エリアWAに搬入された基板PPA上の残余フィデューシャルマークFM2を対象とした撮像処理及び画像認識処理をスキップするように、マーク認識カメラ51及びマーク認識部522をそれぞれ制御するスキップ制御を実行する(ステップa7)。これにより、基板PPA上の残余フィデューシャルマークFM2を対象とした撮像処理及び画像認識処理のスキップに応じて、基板PPAのロット単位でのトータルの撮像処理及び画像認識処理に要する処理時間を短縮することが可能となる。
なお、基板PPA上の残余フィデューシャルマークFM2の全てを対象にスキップ制御を実行するようにしてもよいし、基板PPA上の残余フィデューシャルマークFM2のうち、通常制御の実行時におけるマーク認識位置偏差σfが所定値未満の残余フィデューシャルマークFM2を対象にスキップ制御を実行するようにしてもよい。
認識制御部524によるスキップ制御が実行された場合、データ出力部525は、スキップ制御の対象外の一対の基準フィデューシャルマークFM1に対しては、マーク認識部522から出力されたマーク認識データDMをそのまま用いて認識データセットSDを作成する。一方、スキップ制御の対象の残余フィデューシャルマークFM2に対しては、データ出力部525は、通常制御の実行時に当該残余フィデューシャルマークFM2に対応してマーク認識部522から出力されたマーク認識データDM(例えばマーク認識位置平均μf)を用いて認識データセットSDを作成する。そして、データ出力部525は、作成した認識データセットSDを出力する(ステップa8)。
前記認識安定条件を満たさない場合(ステップa6でNO)には、認識制御部524は、基板PPA上の残余フィデューシャルマークFM2を対象に撮像処理及び画像認識処理が行われるように、マーク認識カメラ51及びマーク認識部522をそれぞれ制御する(ステップa61)。
<マーク認識装置によるマーク認識処理の第2具体例>
図7及び図8を参照しながら、マーク認識装置5によるマーク認識処理の第2具体例について説明する。図7には、基板PPとして、多面取り基板PPBの例が示されている。多面取り基板PPBは、一対の端片基板PPB1の間に複数の個片基板PPB2が配置された基板である。多面取り基板PPBでは、一対の端片基板PPB1には回路が形成されず、複数の個片基板PPB2の各々に互いに独立する回路が形成される。一対の端片基板PPB1には、全体として矩形の多面取り基板PPBの原点座標を通る対角線上において頂点に相当する位置の近傍であって、多面取り基板PPBの全体の基準位置に、基準フィデューシャルマークFM1がそれぞれ形成されている。複数の個片基板PPB2の各々には、矩形の個片基板PPB2における一の対角線上において頂点の近傍に、基準フィデューシャルマークFM1と残余フィデューシャルマークFM2とが形成されている。個片基板PPB2上の基準フィデューシャルマークFM1は、個片基板PPB2上の基準位置に形成される。
認識制御部524は、作業エリアWAに搬入された多面取り基板PPBの搬入数が基準数aに到達したか否かを判断する(ステップb1)。
作業エリアWAに搬入された多面取り基板PPBの搬入数が基準数aに到達していない場合(ステップb1でNO)、認識制御部524は、基準数aに到達するまでは通常制御を実行する(ステップb2)。この通常制御において認識制御部524は、ステップb21~ステップb23の各制御を行う。
ステップb21では、認識制御部524は、多面取り基板PPBにおける一対の端片基板PPB1上の基準フィデューシャルマークFM1のそれぞれを対象として、撮像処理が行われるようにマーク認識カメラ51を制御するとともに、画像認識処理が行われるようにマーク認識部522を制御する。これにより、一対の端片基板PPB1上の基準フィデューシャルマークFM1にそれぞれ対応して、マーク認識カメラ51によりマーク画像GMが生成されるとともに、マーク認識部522からマーク認識データDMが出力される。一対の端片基板PPB1上の基準フィデューシャルマークFM1に対応したマーク認識データDMには、基準フィデューシャルマークFM1の中心位置のXY座標を示す上記式(1)のマーク認識座標Rnが含まれる。
次に、認識制御部524は、多面取り基板PPBにおける複数の個片基板PPB2ごとに、ステップb22及びステップb23の制御を行う。つまり、認識制御部524は、複数の個片基板PPB2ごとに、基準フィデューシャルマークFM1の認識のための制御と、残余フィデューシャルマークFM2の認識のための制御とを行う。
ステップb22では、認識制御部524は、個片基板PPB2上の基準フィデューシャルマークFM1を対象として、撮像処理が行われるようにマーク認識カメラ51を制御するとともに、画像認識処理が行われるようにマーク認識部522を制御する。これにより、個片基板PPB2上の基準フィデューシャルマークFM1に対応して、マーク認識カメラ51によりマーク画像GMが生成されるとともに、マーク認識部522からマーク認識データDMが出力される。個片基板PPB2上の基準フィデューシャルマークFM1に対応したマーク認識データDMには、基準フィデューシャルマークFM1の中心位置のXY座標を示す上記式(1)のマーク認識座標Rnが含まれる。
ステップb23では、認識制御部524は、個片基板PPB2上の残余フィデューシャルマークFM2を対象として、撮像処理が行われるようにマーク認識カメラ51を制御するとともに、画像認識処理が行われるようにマーク認識部522を制御する。これにより、個片基板PPB2上の残余フィデューシャルマークFM2に対応して、マーク認識カメラ51によりマーク画像GMが生成されるとともに、マーク認識部522からマーク認識データDMが出力される。個片基板PPB2上の残余フィデューシャルマークFM2に対応したマーク認識データDMには、残余フィデューシャルマークFM2の中心位置のXY座標を示す上記式(1)のマーク認識座標Rnが含まれる。
認識制御部524は、通常制御の実行時にマーク認識部522から出力されたマーク認識データDMに基づいて、一対の端片基板PPB1上の基準フィデューシャルマークFM1に対応して、上記式(2)のマーク認識位置平均μfと、上記式(3)のマーク認識位置偏差σfとを算出する。また、認識制御部524は、複数の個片基板PPB2ごとに、個片基板PPB2上の基準フィデューシャルマークFM1及び残余フィデューシャルマークFM2の各々に対応して、上記式(2)のマーク認識位置平均μfと、上記式(3)のマーク認識位置偏差σfとを算出する。
認識制御部524による通常制御の実行時においては、データ出力部525は、マーク認識部522から出力されたマーク認識データDMをそのまま用いて、認識データセットSDを出力する(ステップb3)。具体的には、データ出力部525は、一対の端片基板PPB1上の基準フィデューシャルマークFM1のマーク認識データDMのデータ群を示す認識データセットSDを出力するとともに、複数の個片基板PPB2ごとに、基準フィデューシャルマークFM1及び残余フィデューシャルマークFM2のマーク認識データDMのデータ群を示す認識データセットSDを出力する。
作業エリアWAに搬入された多面取り基板PPBの搬入数が基準数aに到達した場合(ステップb1でYES)、認識制御部524は、多面取り基板PPBにおける一対の端片基板PPB1上の基準フィデューシャルマークFM1のそれぞれを対象に撮像処理及び画像認識処理が行われるように、マーク認識カメラ51及びマーク認識部522をそれぞれ制御する(ステップb4)。これにより、一対の端片基板PPB1上の基準フィデューシャルマークFM1にそれぞれ対応して、マーク認識カメラ51によりマーク画像GMが生成されるとともに、マーク認識部522からマーク認識データDMが出力される。一対の端片基板PPB1上の基準フィデューシャルマークFM1に対応したマーク認識データDMには、上記式(1)のマーク認識座標Rnが含まれる。
次に、認識制御部524は、複数の個片基板PPB2ごとに、通常制御の実行後のスキップ制御の準備段階の制御を行う。
具体的には、認識制御部524は、個片基板PPB2上の基準フィデューシャルマークFM1を対象に撮像処理及び画像認識処理が行われるように、マーク認識カメラ51及びマーク認識部522をそれぞれ制御する(ステップb5)。これにより、通常制御の実行後のスキップ制御の準備段階において、個片基板PPB2上の基準フィデューシャルマークFM1に対応して、マーク認識カメラ51によりマーク画像GMが生成されるとともに、マーク認識部522からマーク認識データDMが出力される。個片基板PPB2上の基準フィデューシャルマークFM1に対応したマーク認識データDMには、上記式(1)のマーク認識座標Rnが含まれる。
認識制御部524は、通常制御の実行後のスキップ制御の準備段階における個片基板PPB2上の基準フィデューシャルマークFM1に対応したマーク認識データDMに含まれるマーク認識座標Rnと、通常制御の実行時における個片基板PPB2上の基準フィデューシャルマークFM1に対応したマーク認識データDMに基づくマーク認識位置平均μfとの差が、所定の許容範囲に収まるか否かによって、前記認識安定条件を満たすか否かを判断する(ステップb6)。なお、前記許容範囲は、通常制御の実行時における個片基板PPB2上の基準フィデューシャルマークFM1に対応したマーク認識データDMに基づくマーク認識位置偏差σfに応じて設定されてもよいし(例えば2σ、3σなど)、或いは操作部526を介して入力された設定データDSに応じて設定されてもよい。
通常制御の実行後のスキップ制御の準備段階における個片基板PPB2上の基準フィデューシャルマークFM1に対応したマーク認識座標Rnと、通常制御の実行時における個片基板PPB2上の基準フィデューシャルマークFM1に対応したマーク認識位置平均μfとの差が許容範囲に収まる場合(ステップb6でYES)、認識制御部524は、前記認識安定条件を満たすと判断する。この場合、認識制御部524は、個片基板PPB2上の残余フィデューシャルマークFM2を対象とした撮像処理及び画像認識処理をスキップするように、マーク認識カメラ51及びマーク認識部522をそれぞれ制御するスキップ制御を実行する(ステップab7)。これにより、各個片基板PPB2上の残余フィデューシャルマークFM2を対象とした撮像処理及び画像認識処理のスキップに応じて、多面取り基板PPBのロット単位でのトータルの撮像処理及び画像認識処理に要する処理時間を短縮することが可能となる。
なお、個片基板PPB2上の残余フィデューシャルマークFM2を対象としたスキップ制御は、当該残余フィデューシャルマークFM2に対応した通常制御の実行時におけるマーク認識位置偏差σfが所定値未満である場合に実行するようにしてもよい。
認識制御部524によるスキップ制御が実行された場合、データ出力部525は、個片基板PPB2においてスキップ制御の対象外の基準フィデューシャルマークFM1に対しては、マーク認識部522から出力されたマーク認識データDMをそのまま用いて認識データセットSDを作成する。一方、個片基板PPB2においてスキップ制御の対象の残余フィデューシャルマークFM2に対しては、データ出力部525は、通常制御の実行時に当該残余フィデューシャルマークFM2に対応してマーク認識部522から出力されたマーク認識データDM(例えばマーク認識位置平均μf)を用いて認識データセットSDを作成する。そして、データ出力部525は、作成した認識データセットSDを出力する(ステップb8)。
前記認識安定条件を満たさない場合(ステップb6でNO)には、認識制御部524は、個片基板PPB2上の残余フィデューシャルマークFM2を対象に撮像処理及び画像認識処理が行われるように、マーク認識カメラ51及びマーク認識部522をそれぞれ制御する(ステップb61)。
<マーク認識装置によるバットマーク認識処理の具体例>
図9及び図10を参照しながら、マーク認識装置5によるバットマーク認識処理の具体例について説明する。図9には、回路ECが形成された複数の個片基板PPB2のうちの一の個片基板PPB2にバットマークBMが付された状態の多面取り基板PPBの例が示されている。バットマークBMは、個片基板PPB2に欠陥があることを示すマークである。マーク認識装置5によるバットマーク認識処理においてバットマークBMが付されていると判断された個片基板PPB2は、ヘッドユニット25による部品搭載処理の対象外とされる。
認識制御部524は、作業エリアWAに搬入された多面取り基板PPBの搬入数が基準数aに到達したか否かを判断する(ステップc1)。
作業エリアWAに搬入された多面取り基板PPBの搬入数が基準数aに到達していない場合(ステップc1でNO)、認識制御部524は、基準数aに到達するまではバットマークBMを対象とした通常制御を実行する(ステップc2)。この通常制御において認識制御部524は、個片基板PPB2上のバットマークBMを対象として、撮像処理が行われるようにマーク認識カメラ51を制御するとともに、画像認識処理が行われるようにマーク認識部522を制御する。これにより、個片基板PPB2上のバットマークBMに対応して、マーク認識カメラ51によりマーク画像GMが生成されるとともに、マーク認識部522からマーク認識データDMが出力される(ステップc3)。
作業エリアWAに搬入された多面取り基板PPBの搬入数が基準数aに到達した場合(ステップc1でYES)、認識制御部524は、通常制御の実行時に作業エリアWAに多面取り基板PPBが搬入されるごとにマーク認識部522から出力されたバットマークBMに関するマーク認識データDMが、多面取り基板PPBにおいて同一位置に配置された個片基板PPB2に関連付けられているかを判断する。これにより、認識制御部524は、通常制御の実行時に作業エリアWAに順次搬入された多面取り基板PPBにおいて同一位置に配置された個片基板PPB2に対応して、バットマークBMに関するマーク認識データDMがマーク認識部522から連続して出力されたか否かを判断する(ステップc4)。
通常制御の実行時においてマーク認識部522からバットマークBMに対応したマーク認識データDMが連続して出力された場合には、同一ロットの多面取り基板PPBにおける同一位置に配置された個片基板PPB2に欠陥のあることが予想される。このため、通常制御の実行時においてマーク認識部522からバットマークBMに対応したマーク認識データDMが連続して出力された場合(ステップc4でYES)、認識制御部524は、個片基板PPB2上のバットマークBMを対象とした撮像処理及び画像認識処理をスキップするように、マーク認識カメラ51及びマーク認識部522をそれぞれ制御するスキップ制御を実行する(ステップc5)。これにより、個片基板PPB2上のバットマークBMを対象とした撮像処理及び画像認識処理のスキップに応じて、多面取り基板PPBのロット単位でのトータルの撮像処理及び画像認識処理に要する処理時間を短縮することが可能となる。
認識制御部524によるバットマークBMを対象としたスキップ制御が実行された場合、データ出力部525は、バットマークBMを対象としたマーク認識処理をスキップしたことを通知するための認識スキップ情報を出力する(ステップc6)。この認識スキップ情報は、例えば、部品実装ライン10においてマーク認識装置5が配設される部品実装装置13の下流側の搭載検査装置14に入力される。搭載検査装置14では、認識スキップ情報の入力によって、部品実装装置13から搬出されて搭載検査装置14に搬入される多面取り基板PPBのの個片基板PPB2に欠陥のあることが認識される。個片基板PPB2の欠陥を認識した状態で、搭載検査装置14では、欠陥の発生要因を解析するためのデータを収集する処理が行われてもよい。
なお、パターン形成装置11に配設されたマーク認識装置5から認識スキップ情報が出力された場合には、当該認識スキップ情報は、パターン形成装置11の下流側のパターン検査装置12に入力される。この場合、上記の搭載検査装置14と同様に、パターン検査装置12では、個片基板PPB2の欠陥の発生要因を解析するためのデータを収集する処理が行われてもよい。
通常制御の実行時においてマーク認識部522からバットマークBMに対応したマーク認識データDMが連続して出力されていない場合(ステップc4でNO)、認識制御部524は、通常制御の実行後に作業エリアWAに搬入された多面取り基板PPBにおける個片基板PPB2上のバットマークBMを対象に撮像処理及び画像認識処理が行われるように、マーク認識カメラ51及びマーク認識部522をそれぞれ制御する(ステップc41)。これにより、個片基板PPB2上のバットマークBMに対応して、マーク認識カメラ51によりマーク画像GMが生成されるとともに、マーク認識部522からマーク認識データDMが出力される(ステップc42)。
バットマークBMに関するマーク認識データDMに対応した個片基板PPB2は、ヘッドユニット25による部品搭載処理の対象外とすることができる。