JP2023037952A - 熱転写シート、および、熱転写シートから基材を再生する方法 - Google Patents

熱転写シート、および、熱転写シートから基材を再生する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 大量の溶剤で洗浄することを要することなく、転写後に基材の上に残留する化学物質の層を容易に除去して、基材として用いられるプラスチックフィルムをリサイクル可能にする、熱転写シート、および、熱転写シートから基材を再生する方法を提供する。【解決手段】 本開示の一実施形態は、プラスチックフィルムから構成される基材と、前記基材の一方の面に接して設けられた粘着層と、前記粘着層の上に設けられた離型層と、前記離型層の上に、前記離型層から剥離可能に設けられた転写層と、を有し、前記粘着層が紫外線硬化型化合物を含む、熱転写シートである。紫外線照射により前記粘着層の粘着性が低下し、前記基材から剥離容易になる。【選択図】 図1

Description

本開示は、熱転写シート、および、熱転写シートから基材を再生する方法に関する。
基材の上に転写層を有する構成の熱転写シートを用いて、被転写体に転写層を転写することが広く行われている。例えば、転写層として保護層を設けた熱転写シートを用いて、被転写体に保護層を転写することが行われている。また、基材の上に、昇華性染料を含有する染料層を有する熱転写シートを用いて、被転写体に顔写真等の階調画像を形成することが行われている。また、基材の上に、顔料等の着色剤を含有する溶融転写着色層を有する熱転写シートを用いて、被転写体にバーコード等の単調画像を形成することが行われている。(例えば、特許文献1)。
特開平7-290848号公報
昨今、海洋中のマイクロプラスチック問題などを受け、世界的にプラスチックの削減やリサイクルの動きが強まっている。熱転写シートにおいても、基材として用いられたプラスチックフィルムをリサイクルすることが望まれている。
しかしながら、現状においては、製品として使用した後に基材として用いられたプラスチックフィルムをリサイクルしようとしても、多くの場合、基材の上に化学物質の層が残っており、そのため大量の溶剤で基材を洗浄するといったVOC(揮発性有機化合物)を大量に発生してしまう方法が用いられている。
例えば、基材と転写層との間に離型層を有する熱転写シートにおいては、転写後の基材の上に離型層が残ってしまう(図12参照)。
また、昇華型熱転写方式の熱転写シートは、基材の上に、バインダー樹脂と昇華性染料を含有する染料層を有するが、被転写体に転写される昇華性染料は、通常、染料層に含まれる昇華性染料の一部であり、転写後の熱転写シートにおいて、多くの昇華性染料がバインダー樹脂と共に基材の上に残ってしまう(図14参照)。
また、溶融転写着色層を有する熱転写シートも、被転写体に転写される材料は、通常、溶融転写着色層に含まれる材料の一部であり、転写後の熱転写シートにおいて、大部分の材料(ビヒクルや着色剤)が転写されずに基材の上に残ってしまう(図16参照)。
本開示はこのような点を鑑みてなされたものであり、大量の溶剤で洗浄することを要することなく、転写後に基材の上に残留する化学物質の層を容易に除去して、基材として用いられるプラスチックフィルムをリサイクル可能にする、熱転写シート、および、熱転写シートから基材を再生する方法を提供することを主たる目的とする。
本開示の一実施形態は、プラスチックフィルムから構成される基材と、前記基材の一方の面に接して設けられた粘着層と、前記粘着層の上に設けられた離型層と、前記離型層の上に、前記離型層から剥離可能に設けられた転写層と、を有し、前記粘着層が紫外線硬化型化合物を含む、熱転写シートである。
本開示の一実施形態において、前記転写層が保護層を含んでいてもよい。
本開示の一実施形態は、プラスチックフィルムから構成される基材と、前記基材の一方の面に接して設けられた粘着層と、前記粘着層の上に設けられ、昇華性染料を含有する染料層と、を有し、前記粘着層が紫外線硬化型化合物を含む、熱転写シートである。
本開示の一実施形態は、プラスチックフィルムから構成される基材と、前記基材の一方の面に接して設けられた粘着層と、前記粘着層の上に設けられ、着色剤を含有する溶融転写着色層と、を有し、前記粘着層が紫外線硬化型化合物を含む、熱転写シートである。
本開示の一実施形態において、前記粘着層と前記溶融転写着色層との間に、熱溶融性を有する剥離層を有していてもよい。
本開示の一実施形態において、前記粘着層がアクリル酸エステル共重合体を含んでいてもよい。
本開示の一実施形態において、前記基材の一方の面とは反対側の面に接して設けられた背面側粘着層と、前記背面側粘着層の上に設けられ、耐熱滑性を有する背面層と、を有し、前記背面側粘着層が紫外線硬化型化合物を含んでいてもよい。
本開示の一実施形態において、前記背面側粘着層がアクリル酸エステル共重合体を含んでいてもよい。
本開示の一実施形態は、熱転写シートから基材を再生する方法であって、前記熱転写シートは、プラスチックフィルムから構成される前記基材と、前記基材の一方の面に接して設けられた粘着層と、前記粘着層の上に設けられた離型層と、前記離型層の上に、前記離型層から剥離可能に設けられた転写層と、を有し、前記粘着層が紫外線硬化型化合物を含み、前記転写層の少なくとも一部を被転写体に転写した前記熱転写シートに、紫外線を照射する工程と、前記紫外線を照射した前記熱転写シートの前記基材から前記粘着層を剥離する工程と、を備える、方法である。
本開示の一実施形態は、熱転写シートから基材を再生する方法であって、前記熱転写シートは、プラスチックフィルムから構成される基材と、前記基材の一方の面に接して設けられた粘着層と、前記粘着層の上に設けられ、昇華性染料を含有する染料層と、を有し、前記粘着層が紫外線硬化型化合物を含み、前記染料層に含有される前記昇華性染料の少なくとも一部を被転写体に転写した前記熱転写シートに、紫外線を照射する工程と、前記紫外線を照射した前記熱転写シートの前記基材から前記粘着層を剥離する工程と、を備える、方法である。
本開示の一実施形態は、熱転写シートから基材を再生する方法であって、前記熱転写シートは、プラスチックフィルムから構成される基材と、前記基材の一方の面に接して設けられた粘着層と、前記粘着層の上に設けられ、着色剤を含有する溶融転写着色層と、を有し、前記粘着層が紫外線硬化型化合物を含み、前記溶融転写着色層の少なくとも一部を被転写体に転写した前記熱転写シートに、紫外線を照射する工程と、前記紫外線を照射した前記熱転写シートの前記基材から前記粘着層を剥離する工程と、を備える、方法である。
本開示の一実施形態は、熱転写シートから基材を再生する方法であって、前記熱転写シートは、前記基材の一方の面とは反対側の面に接して設けられた背面側粘着層と、前記背面側粘着層の上に設けられ、耐熱滑性を有する背面層と、を有し、前記背面側粘着層が紫外線硬化型化合物を含み、前記熱転写シートに紫外線を照射する工程と、前記紫外線を照射した前記熱転写シートの前記基材から前記背面側粘着層を剥離する工程と、を備える、方法である。
本開示の熱転写シートによれば、大量の溶剤で洗浄することを要することなく、転写後に基材の上に残留する化学物質の層を容易に除去することができ、基材として用いられるプラスチックフィルムをリサイクルすることができる。
本開示の熱転写シートの一実施形態の構成例を示す模式断面図 図1に示す熱転写シートから基材を再生する工程の一例を説明する図 本開示の熱転写シートの一実施形態の構成例を示す模式断面図 図3に示す熱転写シートから基材を再生する工程の一例を説明する図 本開示の熱転写シートの一実施形態の構成例を示す模式断面図 図5に示す熱転写シートから基材を再生する工程の一例を説明する図 本開示の熱転写シートの一実施形態の構成例を示す模式断面図 図7に示す熱転写シートから基材を再生する工程の一例を説明する図 本開示の熱転写シートの一実施形態の構成例を示す模式断面図 図9に示す熱転写シートから基材を再生する工程の一例を説明する図 従来の熱転写シートの一実施形態の構成例を示す模式断面図 図11に示す熱転写シートの課題について説明する図 従来の熱転写シートの一実施形態の構成例を示す模式断面図 図13に示す熱転写シートの課題について説明する図 従来の熱転写シートの一実施形態の構成例を示す模式断面図 図15に示す熱転写シートの課題について説明する図 従来の熱転写シートの一実施形態の構成例を示す模式断面図 図17に示す熱転写シートの課題について説明する図 従来の熱転写シートの一実施形態の構成例を示す模式断面図 図19に示す熱転写シートの課題について説明する図
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。なお、以下に示す実施形態は本開示の実施形態の一例であって、本開示はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。本明細書において、「基材」、「基板」、「シート」、「フィルム」など用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「基材」はシートやフィルムと呼ばれ得るような部材も含む概念である。「面」とは、対象となる板状の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となる板状の部材の平面方向と一致する面のことを指す。板状の部材に対して用いる法線方向とは、部材の面に対する法線方向のことを指す。本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」や「直交」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈する。
本実施形態で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号又は類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
[熱転写シート]
(第1の実施形態)
まず、本開示の熱転写シートの一実施形態の構成例について、図1を用いて説明する。図1に示すように、熱転写シート1は、基材11と、基材11の一方の面に接して設けられた粘着層12と、粘着層12の上に設けられた離型層13と、離型層13の上に設けられた転写層14と、を有している。
なお、図1に示す熱転写シート1において、粘着層12は、基材11の一方の面に接して設けられているが、他の各層の間、より具体的には、粘着層12と離型層13との間、および、離型層13と転写層14との間には、各種の機能を有する層が設けられていてもよい。例えば、粘着層12と離型層13との間には、粘着層12と離型層13とをより強く接着させる機能を有する層間接着層を有していてもよい。この層間接着層の材料には、公知の各種の接着剤を用いることができるが、粘着層12に含まれる粘着剤に用いられる材料と同じ材料を用いることが好ましい。別の材料を使用することに起因する不具合を排除できるからである。
ここで、基材11はプラスチックフィルムから構成され、このプラスチックフィルムは、リサイクルされることが望まれている。転写層14は、加熱により熱転写シート1から被転写体へ転写される層である。熱転写シート1において、転写層14は離型層13の上に、離型層13から剥離可能に設けられている。
また、熱転写シート1においては、粘着層12が、離型層13と基材11との間に設けられている。この粘着層12は基材11の一方の面に接して設けられている。そして、粘着層12は、紫外線硬化型化合物を含んでいる。
それゆえ、熱転写シート1においては、紫外線照射により、粘着層12が含有する紫外線硬化型化合物を硬化させることができる。そして、この紫外線硬化型化合物が硬化することで、粘着層12と基材11との間における粘着層12の粘着力が弱くなり、基材11から粘着層12を剥離することが容易になる。これにより、熱転写シート1から基材11を容易に再生することができる。
すなわち、熱転写シート1によれば、基材11として用いられるプラスチックフィルムを容易にリサイクルすることができる。
上記の熱転写シート1から基材11を再生する工程について、図2を用いて、より詳しく説明する。ここで、図2は、図1に示す熱転写シート1から基材11を再生する工程の一例を説明する図である。
図2(a)に示す熱転写シート1においては、基材11の背面(粘着層12が設けられている面とは反対側の面)の側から加熱を受けることで、転写層14が離型層13から剥離して被転写体(図示せず)に転写される。熱転写シート1から転写層14が転写された後は、図2(b)に示すように、基材11の上に、粘着層12を介して、離型層13が残った積層構造体1aになる。
熱転写シート1の転写層14が転写される被転写体としては、例えば、熱転写受像シート、普通紙、上質紙、トレーシングペーパー、プラスチックフィルム、塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネートを主体として構成されるプラスチックカード等が挙げられる。また、被転写体として所定の画像を有するものを用いることもできる。また、被転写体は着色されたものであってもよく、透明性を有するものであってもよい。
被転写体への転写層の転写方法について特に限定はなく、たとえば、サーマルヘッド等の加熱デバイスを有する熱転写プリンタや、ラミネータ、ホットスタンプ、ヒートロール等の手段を用いて行うことができる。
次に、この図2(b)に示す積層構造体1aに紫外線が照射されることで、粘着層12に含まれる紫外線硬化型化合物が硬化することになる。そして、この紫外線硬化型化合物が硬化することで、粘着層12と基材11との間における粘着層12の粘着力が弱くなり、基材11から粘着層12が容易に剥離可能になる。そして、基材11から粘着層12が剥離されることにより、図2(c)に示すように、基材11だけが残ることになる。このようにして、基材11を再生することができる。
すなわち、熱転写シート1によれば、大量の溶剤で洗浄することを要することなく、転写後に基材11の上に残留する化学物質の層(例えば、粘着層12や離型層13)を容易に除去することができ、基材11として用いられるプラスチックフィルムを、効率的にリサイクルすることができる。
上記の紫外線の照射は、図2(b)に示す積層構造体1aの離型層13の側からでもよく、基材11の露出面の側(背面側)からであってもよい。また、離型層13の露出面の側からと、基材11の露出面の側(背面側)からとの、両側から紫外線を照射してもよい。ただし、離型層13の紫外線透過性が低い場合には、基材11の露出面の側(背面側)から紫外線を照射することが好ましい。
紫外線の照射には、例えば、高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。
また、上記の剥離の方法としては、例えば、図2(b)に示す積層構造体1aの離型層13の露出面に粘着テープを貼付けて、離型層13と粘着層12の2層を基材11から引き剥がす方法を用いることができる。この場合、熱転写シート1を構成する離型層13と粘着層12との間には、離型層13と粘着層12とが乖離してしまうことを抑制する目的で、層間接着層を設けておいてもよい。
なお、図2(b)に示す例においては、離型層13の上にあった転写層14が、全て転写される例を示しているが、この他に、転写層14の一部が離型層13の上に残る場合もある。但し、この場合も、紫外線照射により、基材11から粘着層12が容易に剥離可能になるため、離型層13の上に残る転写層14、離型層13、粘着層12の3層を、粘着層12と基材11との界面で基材11から引き剥がすことで、図2(c)に示すように、基材11だけが残ることになる。このようにして、基材11を再生することができる。
以下、熱転写シート1を構成する各構成要素について、より詳しく説明する。
<基材>
基材11としては、各種のプラスチックフィルム(以下、単に「フィルム」ともいう)を使用できる。その材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、1,4-ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、テレフタル酸-シクロヘキサンジメタノール-エチレングリコール共重合体等のポリエステル、ナイロン6及びナイロン6,6等のポリアミド、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)及びポリメチルペンテン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール及びポリビニルピロリドン(PVP)等のビニル樹脂、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート及びポリメチルメタアクリレート等の(メタ)アクリル樹脂、ポリイミド及びポリエーテルイミド等のイミド樹脂、セロファン、セルロースアセテート、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)及びセルロースアセテートブチレート(CAB)等のセルロース樹脂、ポリスチレン(PS)等のスチレン樹脂、ポリカーボネート、並びにアイオノマー樹脂等の樹脂材料から構成されるフィルムを使用できる。
上記した材料の中でも、耐熱性及び機械的強度という観点、及び転写性の観点から、PET及びPEN等のポリエステルが好ましく、PETが特に好ましい。
上記したフィルムの積層体も基材11として使用できる。フィルムの積層体は、ドライラミネーション法、ウェットラミネーション法又はエクストリュージョン法等を利用して作製できる。
基材11に用いられるフィルムフィルムは、延伸フィルムであっても、未延伸フィルムであってもよいが、強度という観点からは、一軸方向又は二軸方向に延伸された延伸フィルムが好ましい。
基材11の厚さは、2μm以上25μm以下が好ましく、3μm以上16μm以下がより好ましい。これにより、基材11の機械的強度及び熱転写時の熱エネルギーの伝達を良好にできる。
<粘着層>
粘着層12は、熱転写シート1において、基材11の一方の面に接して設けられる。そして、粘着層12は、粘着剤、紫外線硬化型化合物、及び架橋剤を含有する粘着層形成用材料から構成される。
<粘着剤>
粘着層形成用材料を構成する粘着剤としては、所望の粘着力を有するものであれば用いることができ、例えば、アクリル系、ウレタン系、ゴム系、シリコーン系等の粘着剤が挙げられる。これらの中でも、耐熱性等の耐久性や透明性に優れ、低コストであるアクリル系粘着剤が好ましい。アクリル系粘着剤としては、アクリル酸エステルと他の単量体とを共重合させたアクリル酸エステル共重合体が挙げられる。アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸-n-ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸ヒドロキシルエチル、アクリル酸プロピレングリコール、アクリルアミド、アクリル酸グリシジル等が挙げられ、これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記の他の単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリル酸ヒドロキシルエチル、メタクリル酸ヒドロキシルエチル、アクリル酸プロピレングリコール、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸-tert-ブチルアミノエチル、メタクリル酸nエチルヘキシル等が挙げられ、これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アクリル酸エステル共重合体に含まれるアクリル酸エステルと、他の単量体とのユニット比(アクリル酸エステル/他の単量体)は、所望の初期粘着力を発揮し、熱転写シートの転写性を損なわない範囲であれば、目的に応じて、適宜設定することができる。また、アクリル酸エステル共重合体の質量平均分子量(Mw)は、所望の初期粘着力を発揮し、熱転写シートの転写性を損なわない範囲であればよく、10万以上150万以下の範囲内であることが好ましく、20万以上100万以下の範囲内であることがより好ましい。上記範囲であれば、熱転写シートの転写性を損なわずに、十分な初期粘着力を発揮することができ、また、十分な強度の粘着層とすることができる。
一方、アクリル酸エステル共重合体の質量平均分子量(Mw)が、150万を超える場合は、粘着力が低下して十分な初期粘着力を発揮できないおそれがある。また、アクリル酸エステル共重合体の質量平均分子量(Mw)が、10万未満の場合は、熱転写時の加熱で粘着層12が軟化して、転写の際に、熱転写シートにシワが発生することによる転写不良などの不具合が発生する恐れがある。
なお、上記質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した際の、ポリスチレン換算の値である。
<紫外線硬化型化合物>
紫外線硬化型化合物としては、紫外線の照射により硬化する化合物であれば用いることができ、例えば、光ラジカル重合性化合物、光カチオン重合性化合物、光アニオン重合性化合物、光二量化性化合物等が挙げられる。これらの中でも、光ラジカル重合性化合物が好ましい。硬化速度が速く、また、多種多様な材料から選択することができ、更には、硬化前の粘着性や硬化後の剥離性等の物性を容易に所望のものに制御することができるからである。
光ラジカル重合性化合物としては、多官能アクリレート、多官能メタクリレート、ウレタンアクリレート、ウレタンメタクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエステルメタクリレート、エポキシアクリレート等のモノマー、オリゴマー等が挙げられる。
これらの中でも、多官能アクリレート、多官能メタクリレートが好ましく、トリメチロールメタントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、それらのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物等の一分子中にアクリロイル基を3個以上含む不飽和化合物がより好ましい。これらは、紫外線照射により、粘着剤組成物を3次元架橋により硬化させて粘着力を低下させる機能を有するからである。
粘着層形成用材料に含まれる紫外線硬化型化合物の量は、粘着剤100質量部に対して、1質量部以上80質量部以下であることが好ましく、1質量部以上60質量部以下であることがより好ましい。紫外線硬化型化合物の量を調整することにより、紫外線照射後の粘着力を制御することができる。紫外線硬化型化合物の量が上記範囲の下限よりも少ないと、紫外線照射後の架橋密度が十分ではなく、適正な剥離性を実現することができない場合がある。また、紫外線硬化型化合物の量が上記範囲の上限よりも多いと、紫外線照射前のタックが著しく上昇したり、粘着剤の凝集力が低下したりするので、製造の際に、粘着剤がはみ出してガイドロールを汚染する場合がある。
<架橋剤>
架橋剤としては、上記の粘着剤と架橋できるものであれば用いることができ、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤が好ましい。
イソシアネート系架橋剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、ポリイソシアネート化合物の3量体、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られるイソシアネート基を末端に有するウレタンプレポリマー、このようなウレタンプレポリマーの3量体等を用いることができる。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,5-トリレンジイソシアネート、1,3-キシリレンジイソシアネート、1,4-キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4′-ジイソシアネート、3-メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4′-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-2,4′-ジイソシアネート、リジンイソシアネート等が挙げられる。
エポキシ系架橋剤としては、例えば、多官能エポキシ系化合物を用いることができる。
多官能エポキシ系化合物としては、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリブタジエンジグリシジルエーテル等が挙げられる。
粘着層形成用材料に含まれる架橋剤の量は、架橋剤の種類によっても異なるが、例えば、イソシアネート系架橋剤の場合には、粘着剤100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.2質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。上記範囲であれば、粘着層12と基材11との密着性を向上させることができる。イソシアネート系架橋剤の量が上記範囲の下限よりも少ないと、粘着層12と基材11との密着性が不十分なものとなる不具合が生じたり、粘着層12が十分な強度を有することが困難となって、基材11から剥離する際に、粘着層12が凝集破壊を起こし、糊残りが生じたりする場合がある。イソシアネート系架橋剤の量が上記範囲の上限よりも多いと、紫外線照射前における粘着力が低下する場合がある。
また、エポキシ系架橋剤の場合には、粘着剤100質量部に対して、0.05質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。上記範囲であれば、紫外線照射前における所望の粘着力や凝集力を制御することができる。エポキシ系架橋剤の量が上記範囲の下限よりも少ないと、粘着層12が十分な強度を有することが困難となり、基材11から剥離する際に、粘着層12が凝集破壊を起こし、糊残りが生じたりする場合がある。エポキシ系架橋剤の量が上記範囲の上限よりも多いと、紫外線照射前における粘着力が低下する場合がある。
<その他の成分>
粘着層形成用材料には、光重合開始剤も含まれることが好ましい。光重合開始剤によれば、紫外線硬化型化合物の感応性を増進させるので、紫外線による重合硬化時間や紫外線照射量を低減することができる。紫外線硬化型化合物が光ラジカル重合性化合物である場合には、光重合開始剤の種類として、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α-アミロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、n-ブチルアミン、トリエチルアミン、トリn-ブチルホスフイン等の光増感剤と混合されて用いられてもよい。
なお、粘着層形成用材料に含まれる光重合開始剤の量は、粘着剤100質量部に対して、1質量部以上3質量部以下であることが好ましい。光重合開始剤の量が上記範囲の下限よりも少ないと、重合開始反応が十分ではなく、粘着層12の紫外線照射後の粘着力が過剰に高くなり、適正な剥離性を実現することができない場合がある。光重合開始剤の量が上記範囲の上限よりも多いと、紫外線照射する面の近傍にしか紫外線が届かず、粘着層12内の紫外線硬化型化合物の硬化が不十分となる場合がある。また、粘着層12の凝集力が低下し、剥離に際し基材11への糊残りの原因となる場合もある。
その他に、粘着層形成用材料には、本開示の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、帯電防止剤、劣化防止剤、粘着付与剤等の各種添加剤が含まれていてもよい。
粘着層12の形成方法としては、例えば、上記の粘着剤、紫外線硬化型化合物、架橋剤等の粘着層形成用材料を溶剤で希釈して粘着層用塗工液を調製した後、この粘着層用塗工液を印刷やコーティング等により、基材11の一方の面に塗布し、乾燥する方法が挙げられる。
印刷による形成方法としては、例えば、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法等が挙げられる。コーティングによる方法としては、例えば、ロールコート、リバースコート、コンマコート、ナイフコート、ダイコート、グラビアコート等が挙げられる。
希釈する溶剤は、粘着層形成用材料を溶解又は分散させることができるものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、トルエン、メチルエチルケトン等が好ましい。
また、粘着層用塗工液の塗布量は、乾燥後の粘着層12の厚さが0.1μm以上10μm以下となるように調整することが好ましく、0.5μm以上2μm以下となるように調整することがより好ましい。乾燥後の粘着層12の膜厚が上記範囲の下限よりも少ないと、十分な粘着力が得られない場合がある。乾燥後の粘着層12の膜厚が上記範囲の上限よりも多いと、粘着層12の量が過剰となり、コスト高となる場合がある。
<離型層>
離型層13は、当該離型層13の上に設けられる転写層14の転写性を向上するための層である。離型層13を構成する樹脂としては、例えば、ワックス類、シリコーンワックス、シリコーン樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂などの各種シリコーン変性樹脂、フッ素樹脂、フッ素変性樹脂、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、アクリル-スチレン系共重合体、熱硬化性エポキシ-アミノ共重合体、及び熱硬化性アルキッド-アミノ共重合体(熱硬化性アミノアルキド樹脂)、メラミン樹脂、セルロース樹脂、尿素系樹脂、ポリオレフィン、繊維素系樹脂等の、転写層14の転写性を良好なものとできる樹脂を好適に用いることができる。離型層13は、樹脂として1種を含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。また、シリコーン樹脂などのフィラーを含有させてもよい。
離型層13の厚さとしては、例えば、0.1μm以上10μm以下の範囲とすることができ、0.5μm以上4.5μm以下の範囲とすることがより好ましい。
離型層13の形成方法については特に限定はなく、例えば、上述した樹脂、フィラー、必要に応じて用いられる各種の添加剤を溶剤で希釈して離型層用塗工液を調製し、この離型層用塗工液を、粘着層12の上、または粘着層12の上に設けられる任意の層の上に塗布し、乾燥する方法が挙げられる。塗布方法としては、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースコーティング法等が挙げられる。
<転写層>
転写層14は、加熱により熱転写シート1から被転写体へ転写される層である。転写層14を被転写体へ転写する主な用途として、被転写体の表面や被転写体の表面に形成された画像等を保護する保護層を形成することが挙げられる。このような用途において、転写層14は保護層を含み、保護層のみからなる単層構造の形態や、離型層13の側から最も近くに保護層が位置する積層構造の形態を有する。積層構造の形態の例として、離型層13の側から最も遠くに、被転写体への接着をより効果的に行うための接着層が位置する形態が挙げられる。
<保護層>
転写層14を構成する保護層については、特に限定されることはなく、従来から用いられている保護層を適宜用いることができる。
具体的には、保護層は少なくともバインダー樹脂により構成されている。このバインダー樹脂については特に限定はなく、耐可塑剤性や耐擦過性等の耐久性を考慮して適宜決定すればよい。このようなバインダー樹脂としては、たとえば、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリカーボネート、フェノキシ樹脂、紫外線吸収性樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン、ポリウレタン、アクリルウレタン樹脂、これらの各樹脂をシリコーン変性させた樹脂、これらの各樹脂の混合物、電離放射線硬化性樹脂や紫外線吸収性樹脂等の活性光線硬化樹脂などが挙げられる。保護層は、バインダー樹脂として1種を含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。
電離放射線硬化性樹脂は、耐可塑剤性や耐擦過性が特に優れている点で保護層のバインダー樹脂として好適に用いることができる。電離放射線硬化性樹脂は、従来公知の電離放射線硬化性樹脂の中から適宜選択して用いることができ、たとえば、ラジカル重合性のポリマーまたはオリゴマーを電離放射線照射により架橋、硬化させ、必要に応じて光重合開始剤を添加し、電子線や紫外線によって重合架橋させたものを用いることができる。紫外線吸収性樹脂を含有する保護層は、印画物に耐光性を付与することに優れている。
紫外線吸収性樹脂としては、たとえば、反応性紫外線吸収剤を熱可塑性樹脂または上記の電離放射線硬化性樹脂に反応、結合させて得た樹脂を使用できる。より具体的には、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、ニッケルキレート系、ヒンダードアミン系のような従来公知の非反応性の有機系紫外線吸収剤に、付加重合性二重結合(たとえばビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基など)、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基のような反応性基を導入したもの等が挙げられる。
バインダー樹脂の含有量については、保護層の総質量に対し50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましい。バインダー樹脂の含有量を好ましい範囲とすることで、保護層に十分な耐久性を付与できる。
また、転写層14を保護層のみからなる単層構造とする場合には、保護層は、被転写体と転写層14との接着性を有する成分を含有していることが好ましい。なお、被転写体側で、転写層14との接着性を担保する対策が取られている場合には、保護層に接着性を有する成分を含有させることなく、被転写体と転写層14とを接着させることができる。接着性を有する成分については、後述する接着層で説明する成分等を適宜選択して用いることができる。
また、保護層には、必要に応じて、各種のシリコーンオイル、ポリエチレンワックス、ステアリン酸亜鉛、ステアリルリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムなどの金属石鹸類、脂肪酸アミド、ポリエチレンワックス、カルナバワックス、パラフィンワックス等の離型剤、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、トリアジン系、酸化チタン、酸化亜鉛などの公知の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系、Niキレート系などの光安定剤、ヒンダードフェノール系、硫黄系、リン系、ラクトン系などの酸化防止剤等を含有していてもよい。保護層は、添加剤として1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。
保護層の形成方法について特に限定はなく、バインダー樹脂と、必要に応じて用いられる各種の添加剤を、溶剤で希釈して保護層用塗工液を調製し、この保護層用塗工液を、離型層13の上に塗布し、乾燥する方法が挙げられる。保護層の厚さ(乾燥後の厚さ)については、例えば、0.1μm以上50μm以下の範囲とすることができ、好ましくは0.5μm以上10μm以下の範囲内である。
<接着層>
転写層14は、離型層13に近い側から、上記の保護層と、この保護層を被転写体により効果的に接着させるための接着層とが、この順で積層された積層構造とすることもできる。この形態の転写層14によれば、保護層に、被転写体との接着性を付与するための成分を含有させることなく、転写層14と被転写体との接着性を向上できる。つまり、耐久性と接着性の各機能を、保護層と接着層とに分離でき、双方の層に求められる機能を、より高めることができる。
接着層を構成する材料については、例えば、ウレタン樹脂、α-オレフィン-無水マレイン酸樹脂等のポリオレフィン、ポリエステル、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、酢酸ビニル樹脂、シアノアクリレート樹脂等が挙げられる。中でもアクリル樹脂の反応型のものや、変性したもの等を好ましく使用できる。また、接着層を構成する材料は、硬化剤を用いて硬化させると、接着力も向上し、耐熱性も上がるため好ましい。硬化剤としては、イソシアネート化合物が一般的であるが、脂肪族アミン、環状脂肪族アミン、芳香族アミン、酸無水物等を使用できる。
接着層の形成方法については、例えば、上記で例示した材料や、必要に応じて添加される添加剤を、溶剤で希釈して接着層用塗工液を調製し、この接着層用塗工液を、保護層、または、保護層上に設けられる任意の層の上に塗布し、乾燥する方法が挙げられる。接着層の厚さは、0.5μm以上10μm以下の範囲内が好ましい。
(第2の実施形態)
次に、本開示の熱転写シートの他の一実施形態の構成例について、図3を用いて説明する。なお、上記の第1の実施形態と共通する部分には同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。図3に示すように、熱転写シート2は、基材11と、基材11の一方の面に接して設けられた粘着層12と、粘着層12の上に設けられた染料層21と、を有している。
ここで、染料層21は、加熱されることにより、昇華して被転写体に転写される染料を有する層である。染料層21を構成する材料は、熱転写シートの分野において、従来公知の染料層を構成する材料と同じであってよく、例えば、染料層21は、バインダー樹脂と、少なくとも1種の昇華性染料と、を含有している。
また、熱転写シート2においては、粘着層12が、染料層21と基材11との間に設けられている。この粘着層12は基材11の一方の面に接して設けられている。そして、粘着層12は、紫外線硬化型樹脂を含んでいる。
それゆえ、熱転写シート2においては、紫外線照射により、粘着層12が含有する紫外線硬化型樹脂を硬化させることができる。そして、この紫外線硬化型樹脂が硬化することで、粘着層12と基材11との間の粘着力が弱くなり、基材11から粘着層12を剥離することが容易になる。これにより、熱転写シート2から基材11を容易に再生することができる。
すなわち、熱転写シート2によれば、基材11として用いられるプラスチックフィルムを容易にリサイクルすることができる。
なお、図3に示す熱転写シート2において、粘着層12は、基材11の一方の面に接して設けられているが、他の各層の間、より具体的には、粘着層12と染料層21との間には、各種の機能を有する層が設けられていてもよい。例えば、粘着層12と染料層21との間には、粘着層12と染料層21とをより強く接着させる機能を有する層間接着層を有していてもよい。この層間接着層は、染料層の分野で従来公知のプライマー層であってもよい。
プライマー層に含まれる成分については、例えば、ポリエステル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、アクリル-スチレン系共重合体、ポリアクリルアミド、ポリアミド、ポリエーテル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセトアセタールやポリビニルブチラール等が挙げられる。
次に、上記の熱転写シート2から基材11を再生する工程について、図4を用いて、より詳しく説明する。ここで、図4は、図3に示す熱転写シート2から基材11を再生する工程の一例を説明する図である。
図4(a)に示す熱転写シート2においては、基材11の背面(粘着層12が設けられている面とは反対側の面)の側からサーマルヘッド等により加熱を受けることで、染料層21に含有される昇華性染料が、昇華して被転写体(図示せず)に転写(この場合、印画ともいう)される。そして、所望の転写(印画)がなされた後の熱転写シート2は、図4(b)に示すように、基材11の上に、粘着層12を介して、残留染料層21aが残った積層構造体2aになる。ここで、残留染料層21aには、バインダー樹脂、転写(印画)に使われなかった昇華性染料が含まれている。
次に、この図4(b)に示す積層構造体2aに紫外線が照射されることで、粘着層12に含まれる紫外線硬化型化合物が硬化することになる。そして、この紫外線硬化型化合物が硬化することで、粘着層12と基材11との間の粘着力が弱くなり、基材11から粘着層12が容易に剥離可能になる。そして、基材11から粘着層12が剥離されることにより、図4(c)に示すように、基材11だけが残ることになる。このようにして、基材11を再生することができる。
すなわち、熱転写シート2によれば、大量の溶剤で洗浄することを要することなく、転写後に基材11の上に残留する化学物質の層(例えば、粘着層12や残留染料層21a)を容易に除去することができ、基材11として用いられるプラスチックフィルムを、効率的にリサイクルすることができる。
上記の紫外線の照射は、図4(b)に示す積層構造体2aの残留染料層21aの側からでもよく、基材11の露出面の側(背面側)からであってもよい。また、残留染料層21aの側からと、基材11の露出面の側(背面側)からとの、両側から紫外線を照射してもよい。ただし、残留染料層21aの紫外線透過性が低い場合には、基材11の露出面の側(背面側)から紫外線を照射することが好ましい。
紫外線の照射には、例えば、高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。
また、上記の剥離の方法としては、例えば、図4(b)に示す積層構造体2aの残留染料層21aの表面に粘着テープを貼付けて、残留染料層21aと粘着層12の2層を基材11から引き剥がす方法を用いることができる。この場合、図4(a)に示す熱転写シート2を構成する染料層21と粘着層12との間には、図4(b)に示す積層構造体2aの残留染料層21aと粘着層12とが乖離してしまうことを抑制する目的で、層間接着層を設けておいてもよい。
以下、熱転写シート2を構成する染料層21について、より詳しく説明する。なお、基材11、及び、粘着層12については、上記の第1の実施形態と共通する部分であるため、繰り返しの説明は省略する。
<染料層>
染料層21は、加熱されることにより、昇華して被転写体に転写される染料を有する層であり、バインダー樹脂と、少なくとも1種の昇華性染料とを含有している。染料層21は、染料層の分野で従来公知の添加剤を含んでもよい。
染料層21が含有しているバインダー樹脂については、染料層の分野で従来公知のバインダー樹脂を適宜選択して用いることができる。このバインダー樹脂としては、例えば、エチルセルロース樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、エチルヒドロキシセルロース樹脂、メチルセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等のセルロース樹脂、ポリビニルアルコール脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン等のビニル樹脂、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド等のアクリル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル等が挙げられる。
染料層21が含有している昇華性染料としては、例えば、ジアリールメタン染料、トリアリールメタン染料、チアゾール染料、メロシアニン染料、ピラゾロン染料、メチン染料、インドアニリン染料、アセトフェノンアゾメチン染料、ピラゾロアゾメチン染料、キサンテン染料、オキサジン染料、チアジン染料、アジン染料、アクリジン染料、アゾ染料、スピロピラン染料、インドリノスピロピラン染料、フルオラン染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料及びキノフタロン染料等が挙げられる。
染料層21の形成方法については、例えば、上記で例示した材料や、必要に応じて添加される添加剤を、溶剤で希釈して染料層用塗工液を調製し、この染料層用塗工液を、粘着層12、または、粘着層12の上に設けられる任意の層の上に塗布し、乾燥する方法が挙げられる。染料層21の厚さ(乾燥後の厚さ)は、例えば、0.1μm以上3μm以下である。
(第3の実施形態)
次に、本開示の熱転写シートの他の一実施形態の構成例について、図5を用いて説明する。なお、上記の第1~第2の実施形態と共通する部分には同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。図5に示すように、熱転写シート3は、基材11と、基材11の一方の面に接して設けられた粘着層12と、粘着層12の上に設けられた溶融転写着色層31と、を有している。
ここで、溶融転写着色層31は、加熱されることにより、溶融して被転写体に転写される層である。溶融転写着色層31を構成する材料は、熱転写シートの分野において、従来公知の溶融転写着色層を構成する材料と同じであってよく、例えば、溶融転写着色層31は、ビヒクルと少なくとも1種の着色剤とを含有している。
また、熱転写シート3においては、粘着層12が、溶融転写着色層31と基材11との間に設けられている。この粘着層12は基材11の一方の面に接して設けられている。そして、粘着層12は、紫外線硬化型樹脂を含んでいる。
それゆえ、熱転写シート3においては、紫外線照射により、粘着層12が含有する紫外線硬化型樹脂を硬化させることができる。そして、この紫外線硬化型樹脂が硬化することで、粘着層12と基材11との間の粘着力が弱くなり、基材11から粘着層12を剥離することが容易になる。これにより、熱転写シート3から基材11を容易に再生することができる。
すなわち、熱転写シート3によれば、基材11として用いられるプラスチックフィルムを容易にリサイクルすることができる。
なお、図5に示す熱転写シート3において、粘着層12は、基材11の一方の面に接して設けられているが、他の各層の間、より具体的には、粘着層12と溶融転写着色層31との間には、各種の機能を有する層が設けられていてもよい。例えば、粘着層12と溶融転写着色層31との間には、熱溶融性を有する剥離層を有していてもよい。
この剥離層は、転写時に溶融して溶融転写着色層31の剥離性を良くし、転写後は、被転写体の表面に少なくとも一部が溶融転写着色層31と共に転写され、転写された溶融転写着色層31の保護層となり、特に、被転写体に転写された溶融転写着色層31による画像に良好な滑り性を与えて、該画像の耐擦過性を向上させる作用を奏する。
この剥離層の材料には、熱転写シートの分野において剥離層として従来公知の材料を用いることができ、例えば、剥離性に優れたアクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン、あるいはフッ素で変性した各種の樹脂が使用できる。
また、図5に示す熱転写シート3において、溶融転写着色層31の上には、溶融転写着色層31を被転写体により効果的に接着させるための接着層を有していてもよい。この接着層の材料には、熱転写シートの分野において接着層として従来公知の材料を用いることができる。例えば、接着層の材料には、加熱により軟化して接着性を発揮する熱可塑性樹脂を主体とし、熱転写シート3をロール状に巻き取ったとき、ブロッキングを防止するために、ワックス類、高級脂肪酸のアミド、エステル及び塩、フッ素樹脂や無機物質のフィラーのようなブロッキング防止剤を添加することができる。
次に、上記の熱転写シート3から基材11を再生する工程について、図6を用いて、より詳しく説明する。ここで、図6は、図4に示す熱転写シート3から基材11を再生する工程の一例を説明する図である。
図6(a)に示す熱転写シート3においては、基材11の背面(粘着層12が設けられている面とは反対側の面)の側からサーマルヘッド等により加熱を受けることで、加熱を受けた位置の溶融転写着色層31が、被転写体(図示せず)に転写(この場合、印画ともいう)される。そして、所望の転写(印画)がなされた後の熱転写シート3には、図5(b)に示すように、基材11の上に、粘着層12を介して、残留溶融転写着色層31aが残った積層構造体3aになる。ここで、残留溶融転写着色層31aには、転写(印画)に使われなかったビヒクル、着色剤等が含まれている。
次に、この図5(b)に示す積層構造体3aに紫外線が照射されることで、粘着層12に含まれる紫外線硬化型化合物が硬化することになる。そして、この紫外線硬化型化合物が硬化することで、粘着層12と基材11との間の粘着力が弱くなり、基材11から粘着層12が容易に剥離可能になる。そして、基材11から粘着層12が剥離されることにより、図5(c)に示すように、基材11だけが残ることになる。このようにして、基材11を再生することができる。
すなわち、熱転写シート3によれば、大量の溶剤で洗浄することを要することなく、転写後に基材11の上に残留する化学物質の層(例えば、粘着層12や残留溶融転写着色層31a)を容易に除去することができ、基材11として用いられるプラスチックフィルムを、効率的にリサイクルすることができる。
上記の紫外線の照射は、図5(b)に示す積層構造体3aの残留溶融転写着色層31aの側からでもよく、基材11の露出面の側(背面側)からであってもよい。また、残留溶融転写着色層31aの側からと、基材11の露出面の側(背面側)からとの、両側から紫外線を照射してもよい。ただし、残留溶融転写着色層31aの紫外線透過性が低い場合には、基材11の露出面の側(背面側)から紫外線を照射することが好ましい。
紫外線の照射には、例えば、高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。
また、上記の剥離の方法としては、例えば、図5(b)に示す積層構造体3aの残留溶融転写着色層31aの表面に粘着テープを貼付けて、残留溶融転写着色層31aと粘着層12の2層を基材11から引き剥がす方法を用いることができる。
以下、熱転写シート3を構成する溶融転写着色層31について、より詳しく説明する。なお、基材11、及び、粘着層12については、上記の第1の実施形態と共通する部分であるため、繰り返しの説明は省略する。
<溶融転写着色層>
溶融転写着色層31は、加熱されることにより、溶融して被転写体に転写される層であり、ビヒクルと少なくとも1種の着色剤とを含有している。溶融転写着色層31は、必要に応じて鉱物油、植物油、ステアリン酸等の高級脂肪酸、可塑剤、熱可塑性樹脂、充填剤等の種々の添加剤を含んでもよい。
ビヒクルとして用いられるワックス成分としては、例えば、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、パラフィンワックス等がある。更に、フィッシャートロプシュワックス、各種低分子量ポリエチレン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ロウ、セラックワックス、キャンデリラワックス、ペトロラクタム、ポリエステルワックス、一部変性ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等、種々のワックスが用いられる。
また、ビヒクルとして用いられる樹脂成分としては、例えば、エチレン- 酢酸ビニル共重合体、エチレン- アクリル酸エステル共重合体、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリブデン、石油樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル- 酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、塩化ビニリデン樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、フッ素樹脂、ポリビニルフォルマール、ポリビニルブチラール、アセチルセルロース、ニトロセルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリイソブチレン、エチルセルロース又はポリアセタール等が挙げられるが、中でも低い軟化点を有するもの、例えば、60℃以上85℃以下の軟化点を有するものが好ましい。
着色剤としては、公知の有機又は無機の顔料あるいは染料の中から適宜選択することができ、例えば、十分な着色濃度を有し、光、熱等により変色、退色しないものが好ましい。また、加熱により発色する物質や、被転写体の表面に塗布されている成分と接触することにより発色するような物質であってもよい。さらに、着色剤の色としては、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックに限定されるものではなく、種々の色の着色剤を使用することができる。
また、溶融転写着色層31に、良好な熱伝導性及び熱溶融転写性を与えるため、ビヒクルの充填剤として熱伝導性物質を配合してもよい。このような充填剤としては、例えば、カーボンブラック等の炭素質物質、アルミニウム、銅、酸化錫、二硫化モリブデン等の金属および金属化合物等がある。
溶融転写着色層31の形成には、上述したようなビヒクル、着色剤、さらに、必要に応じて添加される添加剤を、溶剤で希釈して溶融転写着色層用塗工液を調製し、この溶融転写着色層用塗工液を、粘着層12、または、粘着層12の上に設けられる任意の層の上に塗布し、乾燥する方法が挙げられる。また、溶剤に変えて、水系又は非水系のエマルジョン塗液を用いて形成する方法もある。
溶融転写着色層31の厚さ(乾燥後の厚さ)は、必要な印字濃度と熱感度との調和がとれるように、決定すべきであり、通常、0.2μm以上10μm以下の範囲で形成することが好ましい。
(第4の実施形態)
次に、本開示の熱転写シートの他の一実施形態の構成例について、図7を用いて説明する。なお、上記の第1~第3の実施形態と共通する部分には同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。
本開示の熱転写シートは、基材の一方の面とは反対側の面(適宜、背面とも呼ぶ)の側に、耐熱滑性を有する背面層を有していてもよい。特に、図3に示す熱転写シート2のように染料層21を有する熱転写シートや、図5に示す熱転写シート3のように溶融転写着色層31を有する熱転写シートは、転写に際し、通常、基材11の背面の側からサーマルヘッド等により、部分的に加熱されるため、上記のような背面層を有する形態とすることが好ましい。背面層を有する形態とすることで、サーマルヘッドとの摩擦を低減することができ、また、転写時の加熱によるスティッキングやシワの発生を効果的に防止できる。
そして、背面層を有する形態とする場合は、基材の背面に接して、紫外線硬化型化合物を含む背面側粘着層を設け、この背面側粘着層の上に、背面層(及び、必要に応じて形成する層)を設けることが好ましい。紫外線照射により背面側粘着層が硬化することで、基材の背面から背面側粘着層を剥離することが容易になり、背面側粘着層、および、背面側粘着層の上側(基材の背面から遠ざかる方向)に形成された背面層(及び、必要に応じて形成された層)を容易に除去することができ、基材として用いられるプラスチックフィルムを、効率的にリサイクルすることができるからである。
図7に示すように、熱転写シート4は、基材11と、基材11の一方の面に接して設けられた粘着層12と、粘着層12の上に設けられた染料層21と、を有しており、さらに、基材11の一方の面とは反対側の面(背面)の側において、基材11の背面に接して設けられた背面側粘着層41と、背面側粘着層41の上に設けられた背面層42と、を有している。そして、粘着層12と、背面側粘着層41とは、紫外線硬化型化合物を含んでいる。
それゆえ、熱転写シート4においては、紫外線照射により、粘着層12が含有する紫外線硬化型化合物が硬化し、粘着層12と基材11との間の粘着力が弱くなり、基材11から粘着層12を剥離することが容易になる。また、背面側粘着層41が含有する紫外線硬化型化合物も硬化し、背面側粘着層41と基材11との間の粘着力が弱くなり、基材11から背面側粘着層41を剥離することが容易になる。これにより、熱転写シート4から基材11を容易に再生することができる。
すなわち、熱転写シート4によれば、基材11として用いられるプラスチックフィルムを容易にリサイクルすることができる。
なお、図7に示す熱転写シート4において、粘着層12は、基材11の一方の面に接して設けられているが、上述した第2の実施形態と同様に、他の各層の間、より具体的には、粘着層12と染料層21との間には、各種の機能を有する層が設けられていてもよい。例えば、粘着層12と染料層21との間には、粘着層12と染料層21とをより強く接着させる機能を有する層間接着層を有していてもよい。
また、図7に示す熱転写シート4において、背面側粘着層41は、基材11の背面に接して設けられているが、他の各層の間、より具体的には、背面側粘着層41と背面層42との間には、各種の機能を有する層が設けられていてもよい。例えば、背面側粘着層41と背面層42との間には、背面側粘着層41と背面層42とをより強く接着させる機能を有する層間接着層を有していてもよい。この層間接着層の材料には、公知の各種の接着剤を用いることができるが、背面側粘着層41に含まれる粘着剤に用いられる材料と同じ材料を用いることが好ましい。別の材料を使用することに起因する不具合を排除できるからである。
上記の熱転写シート4から基材11を再生する工程について、図8を用いて、より詳しく説明する。ここで、図8は、図7に示す熱転写シート4から基材11を再生する工程の一例を説明する図である。
図8(a)に示す熱転写シート4においては、背面層42の側からサーマルヘッド等により加熱を受けることで、染料層21に含有される昇華性染料が、昇華して被転写体(図示せず)に転写(この場合、印画ともいう)される。そして、所望の転写(印画)がなされた後の熱転写シート4は、図8(b)に示すように、背面層42、背面側粘着層41、基材11、粘着層12、残留染料層21aが、この順で積層された積層構造体4aになる。なお、残留染料層21aには、バインダー樹脂と転写(印画)に使われなかった昇華性染料が含まれている。
次に、この図8(b)に示す積層構造体4aに紫外線が照射されることで、粘着層12に含まれる紫外線硬化型化合物、および、背面側粘着層41に含まれる紫外線硬化型化合物が硬化することになる。そして、これらの紫外線硬化型化合物が硬化することで、粘着層12と基材11との間の粘着力、および、背面側粘着層41と基材11との間の粘着力が弱くなり、基材11から粘着層12および背面側粘着層41が容易に剥離可能になる。そして、基材11から粘着層12および背面側粘着層41が剥離されることにより、図8(c)に示すように、基材11だけが残ることになる。このようにして、基材11を再生することができる。
すなわち、熱転写シート4によれば、大量の溶剤で洗浄することを要することなく、転写後に基材11の上(一方の面の上、及び、背面の上)に残留する化学物質の層(例えば、粘着層12や残留染料層21a、および、背面側粘着層41や背面層42)を容易に除去することができ、基材11として用いられるプラスチックフィルムを、効率的にリサイクルすることができる。
上記の紫外線の照射は、図8(b)に示す積層構造体2aの残留染料層21aの側からでもよく、背面層42の側からであってもよい。また、残留染料層21aの側からと、背面層42の側からとの、両側から紫外線を照射してもよい。ただし、残留染料層21aの紫外線透過性が低い場合には、背面層42の側から紫外線を照射することが好ましい。
また、上記の剥離の方法としては、例えば、図8(b)に示す積層構造体4aの残留染料層21aの表面に粘着テープを貼付けて、残留染料層21aと粘着層12の2層を基材11から引き剥がす方法、および、積層構造体4aの背面層42の表面に粘着テープを貼付けて、背面層42と背面側粘着層41の2層を基材11から引き剥がす方法を用いることができる。この場合、図8(a)に示す熱転写シート4を構成する染料層21と粘着層12との間には、図8(b)に示す積層構造体4aの残留染料層21aと粘着層12とが乖離してしまうことを抑制する目的で、層間接着層を設けておいてもよい。同様に、背面層42と背面側粘着層41との間に層間接着層を設けておいてもよい。
以下、熱転写シート4を構成する背面側粘着層41、背面層42について、より詳しく説明する。なお、基材11、粘着層12、及び、染料層21については、上記の第2の実施形態と共通する部分であるため、繰り返しの説明は省略する。
<背面側粘着層>
背面側粘着層41は、熱転写シート4において、基材11の一方の面とは反対側の面(背面)に接して設けられる。そして、背面側粘着層41は、粘着剤、紫外線硬化型化合物、及び架橋剤を含有する背面側粘着層形成用材料から構成される。背面側粘着層形成用材料に含有される粘着剤については、上述した粘着層12に用いられることが可能な粘着剤を用いることができる。紫外線硬化型化合物、及び架橋剤についても同様である。また、必要に応じて添加する添加剤等についても、上述した粘着層12と同様にできる。
熱転写シート4において、背面側粘着層41を形成する粘着剤、紫外線硬化型化合物、及び架橋剤は、粘着層12を形成する粘着剤、紫外線硬化型化合物、及び架橋剤と同じであってもよく、異なるものであってもよい。粘着剤、紫外線硬化型化合物、及び架橋剤は、同じとする方が、コストや工程の点で好ましい。
背面側粘着層41の形成方法も、上述した粘着層12の形成方法と同様にできる。例えば、上記の粘着剤、紫外線硬化型化合物、架橋剤等の背面側粘着層形成用材料を溶剤で希釈して背面側粘着層用塗工液を調製した後、この背面側粘着層用塗工液を印刷やコーティング等により、基材11の背面に塗布し、乾燥する方法が挙げられる。
また、背面側粘着層用塗工液の塗布量も、上述した粘着層12と同様に、乾燥後の背面側粘着層41の厚さが0.1μm以上10μm以下となるように調整することが好ましく、0.5μm以上2μm以下となるように調整することがより好ましい。熱転写シート4において、背面側粘着層41の厚さは、粘着層12の厚さと同じであってもよく、異なるものであってもよい。
<背面層>
背面層42は、耐熱滑性を有する層であり、基材11の背面の側に設けられる。熱転写シートが背面層42を備えることにより、転写時の加熱によるスティッキングやシワの発生を防止できる。
背面層42には、熱転写シートの分野で従来公知の背面層に用いられる材料と同じ材料を用いてよい。背面層42に含まれる樹脂材料としては、例えば、ビニル樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、(メタ)アクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリウレタン、セルロース樹脂及びフェノール樹脂等が挙げられる。
背面層42は、少なくとも1種のイソシアネート化合物を含んでもよい。背面層42に含まれるイソシアネート組成物としては、例えば、キシレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。背面層42は、熱転写シートの分野で従来公知の背面層に用いられる添加剤を含んでもよい。
背面層42の形成には、上述した材料を溶剤で希釈して背面層用塗工液を調製し、この背面層用塗工液を、背面側粘着層41、または、背面側粘着層41の上に設けられる任意の層の上に塗布し、乾燥する方法が挙げられる。
背面層42の厚さ(乾燥後の厚さ)は、必要な耐熱滑性を発揮できるように決定すべきであり、例えば、0.01μm以上3.0μm以下である。
(第5の実施形態)
次に、本開示の熱転写シートの他の一実施形態の構成例について、図9を用いて説明する。なお、上記の第1~第4の実施形態と共通する部分には同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。
図9に示すように、熱転写シート5は、基材11と、基材11の一方の面に接して設けられた粘着層12と、粘着層12の上に設けられた溶融転写着色層31と、を有しており、さらに、基材11の一方の面とは反対側の面(背面)の側において、基材11の背面に接して設けられた背面側粘着層41と、背面側粘着層41の上に設けられた背面層42と、を有している。そして、背面側粘着層41は、紫外線硬化型化合物を含んでいる。
それゆえ、熱転写シート5においても、紫外線照射により、粘着層12が含有する紫外線硬化型化合物が硬化して、粘着層12と基材11との間の粘着力が弱くなり、基材11から粘着層12を剥離することが容易になる。また、背面側粘着層41が含有する紫外線硬化型化合物も硬化して、背面側粘着層41と基材11との間の粘着力が弱くなり、基材11から背面側粘着層41を剥離することが容易になる。これにより、熱転写シート5から基材11を容易に再生することができる。
すなわち、熱転写シート5によれば、基材11として用いられるプラスチックフィルムを容易にリサイクルすることができる。
なお、図9に示す熱転写シート5において、粘着層12は、基材11の一方の面に接して設けられているが、上述した第3の実施形態と同様に、他の各層の間、より具体的には、粘着層12と溶融転写着色層31との間には、各種の機能を有する層が設けられていてもよい。例えば、粘着層12と溶融転写着色層31との間には、熱溶融性を有する剥離層を有していてもよい。
また、図9に示す熱転写シート5においても、上述した熱転写シート4と同様に、背面側粘着層41と背面層42との間には、各種の機能を有する層が設けられていてもよい。例えば、背面側粘着層41と背面層42との間には、背面側粘着層41と背面層42とをより強く接着させる機能を有する層間接着層を有していてもよい。
上記の熱転写シート5から基材11を再生する工程について、図10を用いて、より詳しく説明する。ここで、図10は、図9に示す熱転写シート5から基材11を再生する工程の一例を説明する図である。
図10(a)に示す熱転写シート5においては、背面層42の側からサーマルヘッド等により加熱を受けることで、加熱を受けた位置の溶融転写着色層31が、被転写体(図示せず)に転写(この場合、印画ともいう)される。そして、所望の転写(印画)がなされた後の熱転写シート5は、図10(b)に示すように、背面層42、背面側粘着層41、基材11、粘着層12、残留溶融転写着色層31aが、この順で積層された積層構造体5aになる。なお、残留溶融転写着色層31aには、転写(印画)に使われなかったビヒクル、着色剤等が含まれている。
次に、この図10(b)に示す積層構造体5aに紫外線が照射されることで、粘着層12に含まれる紫外線硬化型化合物、および、背面側粘着層41に含まれる紫外線硬化型化合物が硬化することになる。そして、これらの紫外線硬化型化合物が硬化することで、粘着層12と基材11との間の粘着力、および、背面側粘着層41と基材11との間の粘着力が弱くなり、基材11から粘着層12および背面側粘着層41が容易に剥離可能になる。そして、基材11から粘着層12および背面側粘着層41が剥離されることにより、図10(c)に示すように、基材11だけが残ることになる。このようにして、基材11を再生することができる。
すなわち、熱転写シート5によれば、大量の溶剤で洗浄することを要することなく、転写後に基材11の上(一方の面の上、及び、背面の上)に残留する化学物質の層(例えば、粘着層12や残留溶融転写着色層31a、および、背面側粘着層41や背面層42)を除去することができ、基材11として用いられるプラスチックフィルムを、効率的にリサイクルすることができる。
上記の紫外線の照射は、図10(b)に示す積層構造体2aの残留溶融転写着色層31aの側からでもよく、背面層42の側からであってもよい。また、残留溶融転写着色層31aの側からと、背面層42の側からとの、両側から紫外線を照射してもよい。ただし、残留溶融転写着色層31aの紫外線透過性が低い場合には、背面層42の側から紫外線を照射することが好ましい。
また、上記の剥離の方法としては、例えば、図10(b)に示す積層構造体4aの残留溶融転写着色層31aの表面に粘着テープを貼付けて、残留溶融転写着色層31aと粘着層12の2層を基材11から引き剥がす方法、および、積層構造体4aの背面層42の表面に粘着テープを貼付けて、背面層42と背面側粘着層41の2層を基材11から引き剥がす方法を用いることができる。この場合、図10(a)に示す熱転写シート5を構成する背面層42と背面側粘着層41との間には、背面層42と背面側粘着層41とが乖離してしまうことを抑制する目的で、層間接着層を設けておいてもよい。
なお、熱転写シート5を構成する基材11、粘着層12、溶融転写着色層31については、上記の第3の実施形態と共通する部分であるため、繰り返しの説明は省略する。また、背面側粘着層41、背面層42については、上記の第4の実施形態と共通する部分であるため、繰り返しの説明は省略する。
以上、本開示に係る熱転写シートについて、それぞれの実施形態を説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本開示の技術的思想と実質的に同一の構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本開示の技術的範囲に包含される。
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下、特に断りのない限り、部または%は質量基準である。また、配合量(部)は、仕込み量であり、固形分に換算する前の値である。
(実施例1)
基材として、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(エンブレットS-12、ユニチカ(株)、プレーンPET)を用い、この基材の一方の面に、下記組成の粘着層用塗工液1を、乾燥後の厚さが1μmとなるように、塗布、乾燥し、粘着層を形成した。
次に、粘着層の上に、下記組成の離型層用塗工液1を、乾燥後の厚さが0.6μmになるように塗布、乾燥し、離型層を形成した。次いで、離型層の上に、下記組成の保護層用塗工液1を塗布、乾燥し、転写層として、厚さが4.5μmの単層の保護層を形成し、実施例1の熱転写シートとして、図1に示す積層構造を有する熱転写シートを作製した。
<粘着層用塗工液1>
・アクリル系粘着剤 100部
(SKダイン 2003 綜研化学(株))
・紫外線硬化型化合物 10部
(KAYARAD PET-30 日本化薬(株))
・エポキシ系架橋剤 1部
(E-5XM 綜研化学(株))
・イソシアネート系架橋剤 2部
(L-45 綜研化学(株))
・光重合開始剤 2部
(IRGACURE 184 BASF ジャパン(株))
・メチルエチルケトン 45部
<離型層用塗工液1>
・エポキシ基含有シルセスキオキサン樹脂 90部
(SQ502-8 荒川化学工業(株))
・硬化触媒 8部
(セルトップ(登録商標)CAT-A (株)ダイセル)
・ポリエステルウレタン樹脂 2部
(バイロン(登録商標)UR-1700 東洋紡(株))
・トルエン 80部
・メチルエチルケトン 160部
<保護層用塗工液1>
・多官能アクリレート 18部
(NKエステルA-9300 新中村化学工業(株))
・ウレタンアクリレート 18部
(NKオリゴマーEA1020 新中村化学工業(株))
・ウレタンアクリレート 10部
(NKエステルU-15HA 新中村化学工業(株))
・反応性バインダー(不飽和基含有) 4部
(NKポリマーC24T 新中村化学工業(株))
・フィラー(体積平均粒子径0.7μm) 10部
(XC99-A8808 モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン製)
・フィラー(体積平均粒子径12nm) 10部
(MEK-AC2140Z 日産化学工業(株))
・界面活性剤(アクリル系界面活性剤) 1部
(LF-1984 楠本化学(株))
・光重合開始剤 5部
(IRGACURE 184 BASF ジャパン(株))
・トルエン 100部
・メチルエチルケトン 100部
(実施例2)
基材として、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(エンブレットS-12、ユニチカ(株)、プレーンPET)を用い、実施例1と同様にして、この基材の一方の面に、厚さが1μmの粘着層を形成した。
次に、粘着層の上に、下記組成の染料層用塗工液A~Cを、面順次となるように塗布、乾燥し、それぞれ厚さが0.5μmの染料層を形成し、実施例2の熱転写シートとして、図3に示す積層構造を有する熱転写シートを作製した。
<染料層用塗工液A>
・Solvent Yellow 93 2質量部
・Disperse Yellow 231 2質量部
・ポリビニルアセタール 3.5質量部
(積水化学工業(株)製、エスレック(登録商標)KS-5)
・ポリエチレンワックス 0.1質量部
・メチルエチルケトン 45質量部
・トルエン 45質量部
<染料層用塗工液B>
・分散染料(MSレッドG) 1.5質量部
・分散染料(マクロレックスレッドバイオレットR) 2質量部
・ポリビニルアセタール 4.5質量部
(積水化学工業(株)製、エスレック(登録商標)KS-5)
・ポリエチレンワックス 0.1質量部
・メチルエチルケトン 45質量部
・トルエン 45質量部
<染料層用塗工液C>
・Solvent Blue 63 2質量部
・Disperse Blue 354 2質量部
・ポリビニルアセタール 3.5質量部
(積水化学工業(株)製、エスレック(登録商標)KS-5)
・ポリエチレンワックス 0.1質量部
・メチルエチルケトン 45質量部
・トルエン 45質量部
(実施例3)
基材として、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(エンブレットS-12、ユニチカ(株)、プレーンPET)を用い、この基材の一方の面に、実施例1と同様にして厚さが1μmの粘着層を形成した。
次に、粘着層の上に、下記組成の溶融転写着色層用塗工液1を、乾燥時の厚さが0.5μmになるように塗布・乾燥し、溶融転写着色層を形成し、実施例3の熱転写シートとして、図5に示す積層構造を有する熱転写シートを作製した。
<溶融転写着色層用塗工液1>
・カーボンブラック 10部
・EVA(mp70℃) 5部
・パラフィンワックス(mp55℃) 75部
・カルナバワックス(mp55℃) 10部
・トルエン 100部
・メチルエチルケトン 100部
(実施例4)
基材として、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(エンブレットS-12、ユニチカ(株)、プレーンPET)を用い、この基材の背面に、下記組成の背面側粘着層用塗工液1を、乾燥時の厚さが1μmとなるように、塗布、乾燥し、背面側粘着層を形成し、次いで、この背面側粘着層の上に、下記組成の背面層用塗工液1を、乾燥時の厚さが1μmになるように塗布、乾燥して、背面層を形成した。
次に、基材の背面とは反対側の面に、実施例2と同様にして、厚さが1μmの粘着層と、厚さが0.5μmの染料層を形成し、実施例4の熱転写シートとして、図7に示す積層構造を有する熱転写シートを作製した。
<背面側粘着層用塗工液1>
・アクリル系粘着剤 100部
(SKダイン 2003 綜研化学(株))
・紫外線硬化型化合物 10部
(KAYARAD PET-30 日本化薬(株))
・エポキシ系架橋剤 1部
(E-5XM 綜研化学(株))
・イソシアネート系架橋剤 2部
(L-45 綜研化学(株))
・光重合開始剤 2部
(IRGACURE 184 BASF ジャパン(株))
・メチルエチルケトン 45部
<背面層用塗工液1>
・ポリビニルブチラール 2質量部
(積水化学工業(株)製、エスレック(登録商標)BX-1)
・ポリイソシアネート 9.2質量部
(DIC(株)製、バーノック(登録商標)D750)
・リン酸エステル界面活性材 1.3質量部
(第一工業製薬(株)製、プライサーフ(登録商標)A208N)
・タルク 0.3質量部
(日本タルク工業(株)製、ミクロエース(登録商標)P-3)
・メチルエチルケトン 43.6質量部
・トルエン 43.6質量部
(実施例5)
基材として、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(エンブレットS-12、ユニチカ(株)、プレーンPET)を用い、この基材の背面に、実施例4と同様にして、厚さが1μmの背面側粘着層と、厚さが1μmの背面層を形成した。
次に、基材の背面とは反対側の面に、実施例3と同様にして、厚さが1μmの粘着層と、厚さが0.5μmの溶融転写着色層を形成し、実施例5の熱転写シートとして、図9に示す積層構造を有する熱転写シートを作製した。
(比較例1)
粘着層を形成せずに、基材11の一方の面に、直接、離型層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、図11に示す積層構造を有する熱転写シートを、比較例1の熱転写シートとして作製した。
(比較例2)
粘着層を形成せずに、基材11の一方の面に、直接、染料層を形成したこと以外は、実施例2と同様にして、図13に示す積層構造を有する熱転写シートを、比較例2の熱転写シートとして作製した。
(比較例3)
粘着層を形成せずに、基材11の一方の面に、直接、溶融転写着色層を形成したこと以外は、実施例3と同様にして、図15に示す積層構造を有する熱転写シートを、比較例3の熱転写シートとして作製した。
(比較例4)
背面側粘着層を形成せずに、基材の背面に、直接、背面層を形成し、かつ、粘着層を形成せずに、基材の背面とは反対側の面に、直接、染料層を形成したこと以外は、実施例4と同様にして、図17に示す積層構造を有する熱転写シートを、比較例4の熱転写シートとして作製した。
(比較例5)
背面側粘着層を形成せずに、基材の背面に、直接、背面層を形成し、かつ、粘着層を形成せずに、基材の背面とは反対側の面に、直接、溶融転写着色層を形成したこと以外は、実施例5と同様にして、図19に示す積層構造を有する熱転写シートを、比較例5の熱転写シートとして作製した。
<転写性評価>
実施例1~5、及び比較例1~5の各熱転写シートを用いて、転写層、染料層、または溶融転写着色層を被転写体に転写し、それぞれの転写性を評価した。
(転写層の転写)
カード用ラミネータ(大日本印刷(株))を用い、塩化ビニル製のカード基材(大日本印刷(株))上に、実施例1及び比較例1の熱転写シートの転写層を転写した。転写層の転写は下記の条件にて行った。
(転写条件)
・ラミネータ(GL835PRO 日本ジー・ビー・シー(株))
・上下のロール温度:150℃
・ラミネートスピード:15.07mm/sec
・ロールニップ幅:1mm
(染料層の転写)
大日本印刷(株)製プリンタ、DS620用の純正受像紙の上に、以下の評価プリンタ、並びに、実施例2、4及び比較例2、4の熱転写シートを用いて、それぞれの熱転写シートの染料層の昇華性染料を階調0~255のグラデーション画像の階調パターンにて印画した。
(評価プリンタ)
・サーマルヘッド:F3598(東芝ホクト電子(株)製)
・発熱体平均抵抗値:5015(Ω)
・主走査方向印字密度:300(dpi)
・副走査方向印字密度:300(dpi)
・印加電圧:19.0(V)
・ライン周期:2(msec/line)
・パルスDuty:85%
(溶融転写着色層の転写)
大日本印刷(株)製プリンタ、DS620用の純正受像紙の上に、上記の評価プリンタ、並びに、実施例3、5及び比較例3、5の熱転写シートを用いて、それぞれの熱転写シートの溶融転写着色層を印画した。
(転写性の評価結果)
転写性の評価は、各熱転写シートから被転写体に転写された転写層、昇華性染料、または溶融転写着色層の状態を目視で確認することで行った。結果、実施例1~5、及び、比較例1~5とも、転写性は良好であった。
より詳しくは、実施例1及び比較例1の熱転写シートにおいては、それぞれの転写層が良好に上記のカード基材上に転写されていた。また、実施例2、4及び比較例2、4の熱転写シートにおいては、それぞれの染料層の昇華性染料が良好に上記の受像紙の上に転写されていた。また、実施例3、5及び比較例3、5の熱転写シートにおいては、それぞれの溶融転写着色層が良好に上記の受像紙の上に転写されていた。
評価結果を表1、表2に示す。なお、表1、表2において、〇は良好な結果を意味する。
<剥離性評価>
次に、実施例1~5、及び、比較例1~5の各熱転写シートの転写後の積層構造体に対して、それぞれの基材上に残った層の剥離性を評価した。なお、実施例1~5、及び比較例1~5の各熱転写シートの転写後の積層構造体は、以下の積層構造体に相当する。
(各熱転写シートの転写後の積層構造体)
実施例1:図2(b)に示す積層構造体1a
実施例2:図4(b)に示す積層構造体2a
実施例3:図6(b)に示す積層構造体3a
実施例4:図8(b)に示す積層構造体4a
実施例5:図10(b)に示す積層構造体5a
比較例1:図12(b)に示す積層構造体101a
比較例2:図14(b)に示す積層構造体102a
比較例3:図16(b)に示す積層構造体103a
比較例4:図18(b)に示す積層構造体104a
比較例5:図20(b)に示す積層構造体105a
剥離性の評価は、まず、実施例1~5、及び比較例1~5の各熱転写シートの転写後の積層構造体に対して、紫外線照射装置(TEXEL UV-015)を用いて、積算光量0.6J/cm2の照射条件で基材の両面の側から紫外線を照射し、その後、各積層構造体の最上層(実施例1及び比較例1においては離型層、実施例2、4及び比較例2、4においては残留染料層、実施例3、5及び比較例3、5においては残留溶融転写着色層)の上に、また、背面層を有する場合は、さらに背面層の上に、メンディングテープを貼り付け、剥離角度90°でテープ剥離したときの、基板の状態を目視で確認し、下記の評価基準に基づいて剥離性を評価した。
(評価基準)
〇:基材の上に残った層が良好に剥がれる
×:基材の上に残った層が良好に剥がれず、少なくとも一部が残る
(剥離性の評価結果)
評価結果を表1、表2に示す。表1、表2に示すように、実施例1~5は、いずれも良好な結果であった。一方、比較例1~5は、いずれも、基材の上(背面層を有する場合は、さらに背面)に残った層が良好に剥がれず、少なくとも一部が残るものであった。
Figure 2023037952000002
Figure 2023037952000003
1、2、3、4、5 熱転写シート
1a、2a、3a、4a、5a 積層構造体
11 基材
12 粘着層
13 離型層
14 転写層
21 染料層
21a 残留染料層
31 溶融転写着色層
31a 残留溶融転写着色層
41 背面側粘着層
42 背面層
101、102、103、104、105 熱転写シート
101a、102a、103a、104a、105a 積層構造体

Claims (12)

  1. プラスチックフィルムから構成される基材と、
    前記基材の一方の面に接して設けられた粘着層と、
    前記粘着層の上に設けられた離型層と、
    前記離型層の上に、前記離型層から剥離可能に設けられた転写層と、
    を有し、
    前記粘着層が紫外線硬化型化合物を含む、熱転写シート。
  2. 前記転写層が保護層を含む、請求項1に記載の熱転写シート。
  3. プラスチックフィルムから構成される基材と、
    前記基材の一方の面に接して設けられた粘着層と、
    前記粘着層の上に設けられ、昇華性染料を含有する染料層と、
    を有し、
    前記粘着層が紫外線硬化型化合物を含む、熱転写シート。
  4. プラスチックフィルムから構成される基材と、
    前記基材の一方の面に接して設けられた粘着層と、
    前記粘着層の上に設けられ、着色剤を含有する溶融転写着色層と、
    を有し、
    前記粘着層が紫外線硬化型化合物を含む、熱転写シート。
  5. 前記粘着層と前記溶融転写着色層との間に、熱溶融性を有する剥離層を有する、請求項4に記載の熱転写シート。
  6. 前記粘着層がアクリル酸エステル共重合体を含む、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の熱転写シート。
  7. 前記基材の一方の面とは反対側の面に接して設けられた背面側粘着層と、
    前記背面側粘着層の上に設けられ、耐熱滑性を有する背面層と、
    を有し、
    前記背面側粘着層が紫外線硬化型化合物を含む、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の熱転写シート。
  8. 前記背面側粘着層がアクリル酸エステル共重合体を含む、請求項7に記載の熱転写シート。
  9. 熱転写シートから基材を再生する方法であって、
    前記熱転写シートは、プラスチックフィルムから構成される前記基材と、前記基材の一方の面に接して設けられた粘着層と、前記粘着層の上に設けられた離型層と、前記離型層の上に、前記離型層から剥離可能に設けられた転写層と、を有し、前記粘着層が紫外線硬化型化合物を含み、
    前記転写層の少なくとも一部を被転写体に転写した前記熱転写シートに、紫外線を照射する工程と、
    前記紫外線を照射した前記熱転写シートの前記基材から前記粘着層を剥離する工程と、
    を備える、方法。
  10. 熱転写シートから基材を再生する方法であって、
    前記熱転写シートは、プラスチックフィルムから構成される基材と、前記基材の一方の面に接して設けられた粘着層と、前記粘着層の上に設けられ、昇華性染料を含有する染料層と、を有し、前記粘着層が紫外線硬化型化合物を含み、
    前記染料層に含有される前記昇華性染料の少なくとも一部を被転写体に転写した前記熱転写シートに、紫外線を照射する工程と、
    前記紫外線を照射した前記熱転写シートの前記基材から前記粘着層を剥離する工程と、
    を備える、方法。
  11. 熱転写シートから基材を再生する方法であって、
    前記熱転写シートは、プラスチックフィルムから構成される基材と、前記基材の一方の面に接して設けられた粘着層と、前記粘着層の上に設けられ、着色剤を含有する溶融転写着色層と、を有し、前記粘着層が紫外線硬化型化合物を含み、
    前記溶融転写着色層の少なくとも一部を被転写体に転写した前記熱転写シートに、紫外線を照射する工程と、
    前記紫外線を照射した前記熱転写シートの前記基材から前記粘着層を剥離する工程と、
    を備える、方法。
  12. 熱転写シートから基材を再生する方法であって、
    前記熱転写シートは、前記基材の一方の面とは反対側の面に接して設けられた背面側粘着層と、前記背面側粘着層の上に設けられ、耐熱滑性を有する背面層と、を有し、前記背面側粘着層が紫外線硬化型化合物を含み、
    前記熱転写シートに紫外線を照射する工程と、
    前記紫外線を照射した前記熱転写シートの前記基材から前記背面側粘着層を剥離する工程と、
    を備える、方法。
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