JP2023037315A - 樹脂組成物、樹脂シート及びこれを用いた回路基板材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】環状ポリオレフィン樹脂を用い、かつ、誘電正接を低減させた、すなわち、環状ポリオレフィン樹脂を用いた場合において、低誘電特性に優れた樹脂組成物、樹脂シート及びこれを用いた回路基板材料を提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係る樹脂組成物は、環状ポリオレフィン樹脂と、BET比表面積が10m2/g以下である酸化マグネシウムと、を含有し、10GHzにおける誘電正接が0.03未満である。本発明の別の一態様に係る樹脂シートは、前記樹脂組成物からなる。また、本発明の別の一態様に係る回路基板材料は、前記樹脂組成物からなる絶縁層と、導体とを積層してなる。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の一態様に係る樹脂組成物は、環状ポリオレフィン樹脂と、BET比表面積が10m2/g以下である酸化マグネシウムと、を含有し、10GHzにおける誘電正接が0.03未満である。本発明の別の一態様に係る樹脂シートは、前記樹脂組成物からなる。また、本発明の別の一態様に係る回路基板材料は、前記樹脂組成物からなる絶縁層と、導体とを積層してなる。
【選択図】なし
Description
本発明は低誘電特性に優れた樹脂組成物、樹脂シート及びこれを用いた回路基板材料に関する。
一般に、電気・電子機器に使用される回路基板材料としては、銅張積層板(CCL)と言われる、紙やガラス等の基材に樹脂を含浸させたシート(プリプレグ)を重ね、加圧加熱処理して得た絶縁板の表面に銅箔を施したものや、フレキシブルプリント基板(FPC)と言われる、ベースフィルムの上に絶縁接着層を形成してその上に銅等の導体箔を張り合わせたものが主に使われる。
近年、電気・電子機器において情報伝達量、速度の向上のため、通信周波数の高周波化が進んでおり、その中で、伝送損失(α)の増大が大きな課題となっている。この伝送損失(α)の値が低いほど、情報信号の減衰が少なく、通信の高い信頼性が確保できることを意味する。
伝送損失(α)は周波数(f)に比例するため、高周波数領域での通信ではαが大きくなり、信頼性の低下につながる。伝送損失(α)を抑える手法として、周波数(f)と同じく、αが比例する誘電正接(tanδ)を低減する方法が挙げられる。一方で、比誘電率は、αに対して平方根で比例する。そのため、通信信号をより高速に伝送するためには、比誘電率を低くするよりも、誘電正接(tanδ)を低くする方が効果的であり、低誘電正接を有する材料が求められている。
伝送損失(α)は周波数(f)に比例するため、高周波数領域での通信ではαが大きくなり、信頼性の低下につながる。伝送損失(α)を抑える手法として、周波数(f)と同じく、αが比例する誘電正接(tanδ)を低減する方法が挙げられる。一方で、比誘電率は、αに対して平方根で比例する。そのため、通信信号をより高速に伝送するためには、比誘電率を低くするよりも、誘電正接(tanδ)を低くする方が効果的であり、低誘電正接を有する材料が求められている。
低誘電正接を有する材料として、例えば、特定の構造を有する環状ポリオレフィン樹脂が提案されている(特許文献1及び2)。
ところで、特許文献1や特許文献2では、環状ポリオレフィン樹脂に無機充填材を添加してもよいことが示唆されている。しかし、これらにおいては、無機充填材を添加した例は記載されていない。また、特許文献3に記載されているように、添加する無機充填材の種類によっては、環状ポリオレフィン樹脂単独よりも誘電正接が悪化してしまう場合がある。
そこで、本発明の目的は、環状ポリオレフィン樹脂を用い、かつ、誘電正接を低減させた、すなわち、環状ポリオレフィン樹脂を用いた場合において、低誘電特性に優れた樹脂組成物、樹脂シート及びこれを用いた回路基板材料を提供することにある。
そこで、本発明の目的は、環状ポリオレフィン樹脂を用い、かつ、誘電正接を低減させた、すなわち、環状ポリオレフィン樹脂を用いた場合において、低誘電特性に優れた樹脂組成物、樹脂シート及びこれを用いた回路基板材料を提供することにある。
本発明者は、上記解決すべく鋭意検討した結果、酸化マグネシウムがもつ低誘電正接特性に着目し、環状ポリオレフィン樹脂に特定の酸化マグネシウムを添加することで、上記課題を解決し得ることを見出した。
即ち、本発明は以下の特徴を有する。
即ち、本発明は以下の特徴を有する。
[1]環状ポリオレフィン樹脂と、BET比表面積が10m2/g以下である酸化マグネシウムとを含有し、10GHzにおける誘電正接が0.03未満である樹脂組成物。
[2]前記樹脂組成物100質量%中に、前記酸化マグネシウムを5質量%以上80質量%以下含有する、上記[1]に記載の樹脂組成物。
[3]前記酸化マグネシウムの平均二次粒子径が0.5μm以上50μm以下である、上記[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4]前記環状ポリオレフィン樹脂が、ポリオレフィンの側鎖に脂環式構造を有する樹脂である、上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
[5]前記環状ポリオレフィン樹脂が、重合体の主鎖に脂環式構造を有する樹脂である、上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
[6]JIS K7209に基づいて測定される、23℃、24時間吸水後の吸水率が0.3%未満である、上記[1]~[5]のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
[7]上記[1]~[6]のいずれか1つに記載の樹脂組成物からなる樹脂シート。
[8]上記[1]~[6]のいずれか1つに記載の樹脂組成物からなる絶縁層と、導体とを積層してなる回路基板材料。
[2]前記樹脂組成物100質量%中に、前記酸化マグネシウムを5質量%以上80質量%以下含有する、上記[1]に記載の樹脂組成物。
[3]前記酸化マグネシウムの平均二次粒子径が0.5μm以上50μm以下である、上記[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4]前記環状ポリオレフィン樹脂が、ポリオレフィンの側鎖に脂環式構造を有する樹脂である、上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
[5]前記環状ポリオレフィン樹脂が、重合体の主鎖に脂環式構造を有する樹脂である、上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
[6]JIS K7209に基づいて測定される、23℃、24時間吸水後の吸水率が0.3%未満である、上記[1]~[5]のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
[7]上記[1]~[6]のいずれか1つに記載の樹脂組成物からなる樹脂シート。
[8]上記[1]~[6]のいずれか1つに記載の樹脂組成物からなる絶縁層と、導体とを積層してなる回路基板材料。
本発明によれば、環状ポリオレフィン樹脂を用いた場合であっても、低誘電特性に優れた樹脂組成物、樹脂シート及びこれを用いた回路基板材料を得ることができる。
以下に本発明について詳細に説明するが、以下の説明は、本発明の実施の形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではない。
以下において「~」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。
以下において「~」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。
<<樹脂組成物>>
本発明の樹脂組成物は、環状ポリオレフィン樹脂及び酸化マグネシウムを含有し、特定の誘電正接を有する。
本発明の樹脂組成物の10GHzにおける誘電正接は、0.03未満が好ましく、0.02未満がより好ましく、0.01未満がさらに好ましく、0.005未満がよりさらに好ましく、0.003未満がいっそう好ましく、0.001未満がよりいっそう好ましい。誘電正接が小さいほど誘電損失が小さいので、回路基板材料とした際の電気信号の伝達効率、高速化が得られる。誘電正接の下限は特に限定されず、0以上であればよい。
なお、本発明における誘電正接は、樹脂組成物から厚み200μmのシートを作製し、23℃、10GHzの条件で測定した値である。
本発明の樹脂組成物は、環状ポリオレフィン樹脂及び酸化マグネシウムを含有し、特定の誘電正接を有する。
本発明の樹脂組成物の10GHzにおける誘電正接は、0.03未満が好ましく、0.02未満がより好ましく、0.01未満がさらに好ましく、0.005未満がよりさらに好ましく、0.003未満がいっそう好ましく、0.001未満がよりいっそう好ましい。誘電正接が小さいほど誘電損失が小さいので、回路基板材料とした際の電気信号の伝達効率、高速化が得られる。誘電正接の下限は特に限定されず、0以上であればよい。
なお、本発明における誘電正接は、樹脂組成物から厚み200μmのシートを作製し、23℃、10GHzの条件で測定した値である。
本発明の樹脂組成物の吸水率は、0.3%未満が好ましく、0.25%未満がより好ましく、0.2%未満がさらに好ましく、0.15%未満がよりさらに好ましく、0.1%未満がいっそう好ましい。吸水率が低いほど、吸湿による誘電正接の上昇を抑制でき、より安定して電気信号を伝達できる。吸水率の下限は特に限定されず、0以上であればよい。
なお、本発明における吸水率は、樹脂組成物から厚み200μmのシートを作製し、ASTM D570相当のJIS K7209に基づいて測定された、23℃、24時間吸水後の吸水率である。
なお、本発明における吸水率は、樹脂組成物から厚み200μmのシートを作製し、ASTM D570相当のJIS K7209に基づいて測定された、23℃、24時間吸水後の吸水率である。
<環状ポリオレフィン樹脂>
本発明の環状ポリオレフィン樹脂は、脂環式構造を有するポリオレフィン樹脂を含む樹脂である。当該脂環式構造の好適な例としては、シクロアルカン、ビシクロアルカン、ノルボルネン、多環式化合物等が挙げられる。
環状ポリオレフィン樹脂としては、ポリオレフィンの側鎖に脂環式構造を有する環状ポリオレフィン樹脂(以下、「環状ポリオレフィン樹脂(α-1)」ともいう。)、及び重合体の主鎖に脂環式構造を有するポリオレフィン樹脂(以下、「環状ポリオレフィン(α-2)」ともいう。)等が挙げられる。
本発明の環状ポリオレフィン樹脂は、脂環式構造を有するポリオレフィン樹脂を含む樹脂である。当該脂環式構造の好適な例としては、シクロアルカン、ビシクロアルカン、ノルボルネン、多環式化合物等が挙げられる。
環状ポリオレフィン樹脂としては、ポリオレフィンの側鎖に脂環式構造を有する環状ポリオレフィン樹脂(以下、「環状ポリオレフィン樹脂(α-1)」ともいう。)、及び重合体の主鎖に脂環式構造を有するポリオレフィン樹脂(以下、「環状ポリオレフィン(α-2)」ともいう。)等が挙げられる。
1.環状ポリオレフィン(α-1)
環状ポリオレフィン(α-1)は、ポリオレフィンの側鎖に脂環式構造を有する環状ポリオレフィン樹脂であり、低誘電正接の観点から、少なくとも1種の水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位及び少なくとも1種の水素化共役ジエンポリマーブロック単位を含む環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)が好ましい。さらに、銅箔等の金属層との接着性が向上することから、当該環状ポリオレフィンの不飽和カルボン酸及び/若しくはその無水物による変性体(以下、「変性環状ポリオレフィン(a’-1)」ともいう。)がより好ましい。
環状ポリオレフィン(α-1)は、ポリオレフィンの側鎖に脂環式構造を有する環状ポリオレフィン樹脂であり、低誘電正接の観点から、少なくとも1種の水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位及び少なくとも1種の水素化共役ジエンポリマーブロック単位を含む環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)が好ましい。さらに、銅箔等の金属層との接着性が向上することから、当該環状ポリオレフィンの不飽和カルボン酸及び/若しくはその無水物による変性体(以下、「変性環状ポリオレフィン(a’-1)」ともいう。)がより好ましい。
環状ポリオレフィン(α-1)は、ポリオレフィンの側鎖に脂環式構造を有する構造であるために、結晶融解ピーク温度が100℃未満に存在する傾向がある。一方、後述する環状ポリオレフィン(α-2)は、結晶融解ピーク温度が100℃未満に存在しないか、あるいは非晶性である傾向がある。
環状ポリオレフィン(α-1)の結晶融解ピーク温度は、50℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、65℃以上がさらに好ましい。また、結晶融解ピーク温度は、90℃以下が好ましく、85℃以下がより好ましい。
本発明における結晶融解ピーク温度とは、加熱速度10℃/分で測定される示差走査熱量測定(DSC)において、結晶融解ピークが検出されたときの温度である。本発明の環状ポリオレフィン(α-1)は、結晶融解ピークが100℃未満に存在するものであればよく、例えば、100℃未満と、100℃以上の2点に結晶融解ピークが存在する場合も含まれる。
環状ポリオレフィン(α-1)の結晶融解ピーク温度は、50℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、65℃以上がさらに好ましい。また、結晶融解ピーク温度は、90℃以下が好ましく、85℃以下がより好ましい。
本発明における結晶融解ピーク温度とは、加熱速度10℃/分で測定される示差走査熱量測定(DSC)において、結晶融解ピークが検出されたときの温度である。本発明の環状ポリオレフィン(α-1)は、結晶融解ピークが100℃未満に存在するものであればよく、例えば、100℃未満と、100℃以上の2点に結晶融解ピークが存在する場合も含まれる。
本発明において「ブロック」とは、コポリマーの構造的又は組成的に異なった重合セグメントからのミクロ相分離を表すコポリマーの重合セグメントをいう。ミクロ相分離は、ブロックコポリマー中で重合セグメントが混じり合わないことにより生ずる。
なお、ミクロ相分離とブロックコポリマーは、PHYSICS TODAYの1999年2月号32-38頁の“Block Copolymers-Designer Soft Materials”で広範に議論されている。
なお、ミクロ相分離とブロックコポリマーは、PHYSICS TODAYの1999年2月号32-38頁の“Block Copolymers-Designer Soft Materials”で広範に議論されている。
(1)環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)
環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)は、水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位(以下「ブロックA」ともいう)及び水素化共役ジエンポリマーブロック(以下「ブロックB」ともいう)からなるジブロックコポリマー、ブロックA及びブロックBの少なくとも一方を2以上含むトリブロックコポリマー、テトラブロックコポリマー、ペンタブロックコポリマー等が挙げられる。
環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)は、ブロックAを少なくとも2個含むことが好ましく、例えば、A-B-A型、A-B-A-B型、A-B-A-B-A型などが好適に挙げられる。
環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)は、水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位(以下「ブロックA」ともいう)及び水素化共役ジエンポリマーブロック(以下「ブロックB」ともいう)からなるジブロックコポリマー、ブロックA及びブロックBの少なくとも一方を2以上含むトリブロックコポリマー、テトラブロックコポリマー、ペンタブロックコポリマー等が挙げられる。
環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)は、ブロックAを少なくとも2個含むことが好ましく、例えば、A-B-A型、A-B-A-B型、A-B-A-B-A型などが好適に挙げられる。
また、環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)はそれぞれの末端に芳香族ビニルポリマーからなるセグメントを含むことが好ましい。このため、本発明の水素化ブロックコポリマーは、少なくとも2個の水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位(ブロックA)を有し、この2個の水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位(ブロックA)の間には、少なくとも1つの水素化共役ジエンポリマーブロック単位(ブロックB)を有することが好ましい。これらの観点から、環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)は、A-B-A型又はA-B-A-B-A型がより好ましい。
環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)における水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位(ブロックA)の含有率は、好ましくは30~99モル%、より好ましくは40~90モル%である。なかでも、さらに好ましくは50モル%以上、よりさらに好ましくは60モル%以上である。
水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位(ブロックA)の比率が上記下限以上であれば剛性が低下することがなく、耐熱性や線熱膨張率も良好となる。一方、上記上限以下であれば柔軟性が良好となる。
水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位(ブロックA)の比率が上記下限以上であれば剛性が低下することがなく、耐熱性や線熱膨張率も良好となる。一方、上記上限以下であれば柔軟性が良好となる。
また、環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)における水素化共役ジエンポリマーブロック単位(ブロックB)の含有率は、好ましくは1~70モル%、より好ましくは10~60モル%である。なかでも、さらに好ましくは50モル%以下、よりさらに好ましくは40モル%以下である。
水素化共役ジエンポリマーブロック単位(ブロックB)の比率が上記下限以上であれば柔軟性が良好となる。一方、上記上限以下であれば剛性が低下することがなく、耐熱性や線熱膨張率も良好となる。
水素化共役ジエンポリマーブロック単位(ブロックB)の比率が上記下限以上であれば柔軟性が良好となる。一方、上記上限以下であれば剛性が低下することがなく、耐熱性や線熱膨張率も良好となる。
環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)を構成する水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位及び水素化共役ジエンポリマーブロック単位はそれぞれ、後に詳述する芳香族ビニルモノマー及び1,3-ブタジエンなどの共役ジエンモノマーから構成されるポリマーブロックを水素化することで得ることができる。
以下、水素化する前の芳香族ビニルポリマーブロック単位及び共役ジエンポリマーブロック単位を形成するためのモノマーについて説明する。
(芳香族ビニルモノマー)
水素化前の芳香族ビニルポリマーブロック単位の原料となる芳香族ビニルモノマーは、一般式(1)で示されるモノマーである。
水素化前の芳香族ビニルポリマーブロック単位の原料となる芳香族ビニルモノマーは、一般式(1)で示されるモノマーである。
上記一般式(1)において、Rは水素又はアルキル基であり、Arはフェニル基、ハロフェニル基、アルキルフェニル基、アルキルハロフェニル基、ナフチル基、ピリジニル基又はアントラセニル基である。
前記Rがアルキル基である場合、炭素数は好ましくは1~6であり、該アルキル基はハロ基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基及びカルボキシル基のような官能基で単置換若しくは多重置換されていてもよい。
また、前記Arは、フェニル基又はアルキルフェニル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
また、前記Arは、フェニル基又はアルキルフェニル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
芳香族ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン(全ての異性体を含み、特にp-ビニルトルエンが好ましい)、エチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン(全ての異性体を含む)、及びこれらの混合物が挙げられ、なかでも、スチレンが好ましい。
(共役ジエンモノマー)
水素化前の共役ジエンポリマーブロック単位の原料となる共役ジエンモノマーは、2個の共役二重結合を持つモノマーであればよく、特に限定されるものではない。
共役ジエンモノマーとしては、例えば、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)、2-メチル-1,3-ペンタジエンとその類似化合物、及びこれらの混合物が挙げられ、なかでも、1,3-ブタジエンが好ましい。
水素化前の共役ジエンポリマーブロック単位の原料となる共役ジエンモノマーは、2個の共役二重結合を持つモノマーであればよく、特に限定されるものではない。
共役ジエンモノマーとしては、例えば、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)、2-メチル-1,3-ペンタジエンとその類似化合物、及びこれらの混合物が挙げられ、なかでも、1,3-ブタジエンが好ましい。
なお、共役ジエンモノマーとして1,3-ブタジエンを用いる場合、その重合体であるポリブタジエンは、1,4-結合単位([-CH2-CH=CH-CH2-])と1,2-結合単位([-CH2-CH(CH=CH2)-])とが存在するため、水素化により、前者はポリエチレンの繰り返し単位と同様の構造(エチレン構造)を与え、後者は1-ブテンを重合した際の繰り返し単位と同様の構造(1-ブテン構造)を与える。したがって、本発明に係る水素化共役ジエンポリマーブロックは、エチレン構造及び1-ブテン構造の少なくともいずれか一方を含むことが好ましい。
また、共役ジエンモノマーとしてイソプレンを用いる場合、その重合体であるポリイソプレンは、1,4-結合単位([-CH2-C(CH3)=CH-CH2-])、3,4-結合単位([-CH2-CH(C(CH3)=CH2)-])及び1,2-結合単位([-CH2-C(CH3)(CH=CH2)-])が存在し、水素化により得られる3種の繰り返し単位の少なくともいずれかを含むものとなる。
また、共役ジエンモノマーとしてイソプレンを用いる場合、その重合体であるポリイソプレンは、1,4-結合単位([-CH2-C(CH3)=CH-CH2-])、3,4-結合単位([-CH2-CH(C(CH3)=CH2)-])及び1,2-結合単位([-CH2-C(CH3)(CH=CH2)-])が存在し、水素化により得られる3種の繰り返し単位の少なくともいずれかを含むものとなる。
(ブロック構造)
環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)はSBS、SBSB、SBSBS、SBSBSB、SIS、SISIS、及びSISBS(ここで、Sはポリスチレン、Bはポリブタジエン、Iはポリイソプレンを意味する。)のようなトリブロックコポリマー、テトラブロックコポリマー、ペンタブロックコポリマー等のマルチブロックコポリマーの水素化によって製造されることが好ましい。ブロックは、線状ブロックでもよく、分岐していてもよい。分岐している場合の重合連鎖はコポリマーの骨格に沿ってどの位置に結合していてもよい。また、ブロックは、線状ブロックのほかに、テーパーブロック、又はスターブロックであってもよい。
環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)はSBS、SBSB、SBSBS、SBSBSB、SIS、SISIS、及びSISBS(ここで、Sはポリスチレン、Bはポリブタジエン、Iはポリイソプレンを意味する。)のようなトリブロックコポリマー、テトラブロックコポリマー、ペンタブロックコポリマー等のマルチブロックコポリマーの水素化によって製造されることが好ましい。ブロックは、線状ブロックでもよく、分岐していてもよい。分岐している場合の重合連鎖はコポリマーの骨格に沿ってどの位置に結合していてもよい。また、ブロックは、線状ブロックのほかに、テーパーブロック、又はスターブロックであってもよい。
環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)を構成する水素化前のブロックコポリマーは、芳香族ビニルポリマーブロック単位及び共役ジエンポリマーブロック単位以外の1種又は複数の追加ブロック単位を含んでいてもよく、例えばトリブロックコポリマーの場合には、これらの追加ブロック単位はトリブロックポリマー骨格のどの位置に結合していてもよい。
前記水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位の好ましい例としては、水素化ポリスチレンを挙げることができ、前記水素化共役ジエンポリマーブロック単位の好ましい例としては、水素化ポリブタジエン又は水素化ポリイソプレンを挙げることができ、水素化ポリブタジエンがより好ましい。
そして、環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)の好ましい一態様としては、スチレンとブタジエンの水素化トリブロック又は水素化ペンタブロックコポリマーを挙げることができ、他の如何なる官能基又は構造的変性剤も含まないことが好ましい。
そして、環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)の好ましい一態様としては、スチレンとブタジエンの水素化トリブロック又は水素化ペンタブロックコポリマーを挙げることができ、他の如何なる官能基又は構造的変性剤も含まないことが好ましい。
(水素化レベル)
環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)は、ブタジエンなどの共役ジエンに由来する二重結合に加えて、スチレンなどに由来する芳香族環も水素化されるものであり、実質的に完全に水素化されている。具体的には、以下に示す水素化レベルを達成しているものをいう。
前記水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位の水素化レベルは、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、更に好ましくは98%以上、特に好ましくは99.5%以上である。
前記水素化共役ジエンポリマーブロック単位の水素化レベルは、好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上、更に好ましくは99.5%以上である。
このように高レベルの水素化をすることによって、誘電損失を低減することができ、剛性と耐熱性も良好となる。
なお、水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位の水素化レベルとは、芳香族ビニルポリマーブロック単位が水素化によって飽和される割合を示し、水素化共役ジエンポリマーブロック単位の水素化レベルとは、共役ジエンポリマーブロック単位が水素化によって飽和される割合を示す。
なお、各ブロック単位の水素化レベルは、プロトンNMRを用いて決定される。
環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)は、ブタジエンなどの共役ジエンに由来する二重結合に加えて、スチレンなどに由来する芳香族環も水素化されるものであり、実質的に完全に水素化されている。具体的には、以下に示す水素化レベルを達成しているものをいう。
前記水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位の水素化レベルは、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、更に好ましくは98%以上、特に好ましくは99.5%以上である。
前記水素化共役ジエンポリマーブロック単位の水素化レベルは、好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上、更に好ましくは99.5%以上である。
このように高レベルの水素化をすることによって、誘電損失を低減することができ、剛性と耐熱性も良好となる。
なお、水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位の水素化レベルとは、芳香族ビニルポリマーブロック単位が水素化によって飽和される割合を示し、水素化共役ジエンポリマーブロック単位の水素化レベルとは、共役ジエンポリマーブロック単位が水素化によって飽和される割合を示す。
なお、各ブロック単位の水素化レベルは、プロトンNMRを用いて決定される。
環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)としては、市販のものを用いることができ、具体的には三菱ケミカル(株)製:テファブロック(登録商標)が挙げられる。
本発明の環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)としては、市販のものを用いることができ、具体的には三菱ケミカル(株)製:テファブロック(登録商標)が挙げられる。
(2)変性環状ポリオレフィン(a’-1)
変性環状ポリオレフィン(a’-1)は、前述した環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)の、不飽和カルボン酸及び/又はその無水物による変性体である。
環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)を変性することによりポリマーの極性が大きくなるので、銅箔等の金属層との接着性向上が期待できる。
変性環状ポリオレフィン(a’-1)は、前述した環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)の、不飽和カルボン酸及び/又はその無水物による変性体である。
環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)を変性することによりポリマーの極性が大きくなるので、銅箔等の金属層との接着性向上が期待できる。
(環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)の変性操作)
以下、環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)の変性操作について説明する。この変性操作は、環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)に、変性剤として不飽和カルボン酸及び/又はその無水物を添加して反応させることによって行われることが好ましい。
以下、環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)の変性操作について説明する。この変性操作は、環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)に、変性剤として不飽和カルボン酸及び/又はその無水物を添加して反応させることによって行われることが好ましい。
[変性剤]
前記変性剤としての不飽和カルボン酸及び/又はその無水物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α-エチルアクリル酸、マレイン酸、フマール酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸類等の不飽和カルボン酸、及びこれらの無水物が挙げられる。
また、酸無水物としては、具体的には、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水ナジック酸類が挙げられる。
なお、ナジック酸類又はその無水物としては、エンドシス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2,3-ジカルボン酸(ナジック酸)、メチル-エンドシス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸(メチルナジック酸)等及びその無水物が挙げられる。
前記変性剤としての不飽和カルボン酸及び/又はその無水物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α-エチルアクリル酸、マレイン酸、フマール酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸類等の不飽和カルボン酸、及びこれらの無水物が挙げられる。
また、酸無水物としては、具体的には、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水ナジック酸類が挙げられる。
なお、ナジック酸類又はその無水物としては、エンドシス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2,3-ジカルボン酸(ナジック酸)、メチル-エンドシス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸(メチルナジック酸)等及びその無水物が挙げられる。
これらの不飽和カルボン酸及び/又はその無水物の中では、アクリル酸、マレイン酸、ナジック酸、無水マレイン酸、無水ナジック酸が好ましい。
不飽和カルボン酸及び/又はその無水物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
不飽和カルボン酸及び/又はその無水物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[変性方法]
上記環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)の変性の方法としては、溶液変性、溶融変性、電子線や電離放射線の照射による固相変性、超臨界流体中での変性等が好適に用いられる。
中でも設備やコスト競争力に優れた溶融変性が好ましく、連続生産性に優れた押出機を用いた溶融混練変性がより好ましい。
このとき用いられる装置としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミキサーが挙げられる。中でも連続生産性に優れた単軸押出機、二軸押出機が好ましい。
上記環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)の変性の方法としては、溶液変性、溶融変性、電子線や電離放射線の照射による固相変性、超臨界流体中での変性等が好適に用いられる。
中でも設備やコスト競争力に優れた溶融変性が好ましく、連続生産性に優れた押出機を用いた溶融混練変性がより好ましい。
このとき用いられる装置としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミキサーが挙げられる。中でも連続生産性に優れた単軸押出機、二軸押出機が好ましい。
一般に、環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)への不飽和カルボン酸及び/又はその無水物による変性は、環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)を構成するブロック単位の1つである水素化共役ジエンポリマーブロック単位の炭素-水素結合を開裂させて炭素ラジカルを発生させ、これに不飽和官能基が付加するというグラフト反応によって行われる。
炭素ラジカルの発生源としては、上述した電子線や電離放射線の他、高温度とする方法や、有機過酸化物、無機過酸化物、アゾ化合物等のラジカル発生剤を用いることもできる。ラジカル発生剤としては、コストや操作性の観点から有機過酸化物を用いることが好ましい。
炭素ラジカルの発生源としては、上述した電子線や電離放射線の他、高温度とする方法や、有機過酸化物、無機過酸化物、アゾ化合物等のラジカル発生剤を用いることもできる。ラジカル発生剤としては、コストや操作性の観点から有機過酸化物を用いることが好ましい。
上記アゾ化合物としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、ジアゾニトロフェノールが挙げられる。
上記無機過酸化物としては、例えば、過酸化水素、過酸化カリウム、過酸化ナトリウム、過酸化カルシウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウムが挙げられる。
上記無機過酸化物としては、例えば、過酸化水素、過酸化カリウム、過酸化ナトリウム、過酸化カルシウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウムが挙げられる。
上記有機過酸化物としては、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル及びケトンパーオキサイド群に含まれるものが挙げられる。
具体的には、キュメンハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド;ジクミルパーオキサイド、ジt-ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3等のジアルキルパーオキサイド;ラウリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシベンゾエイト、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等のパーオキシエステル;シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイドが挙げられる。
これらのラジカル発生剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
具体的には、キュメンハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド;ジクミルパーオキサイド、ジt-ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3等のジアルキルパーオキサイド;ラウリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシベンゾエイト、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等のパーオキシエステル;シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイドが挙げられる。
これらのラジカル発生剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[溶融混練変性]
一般的に用いられる溶融混練変性の操作は、環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)、不飽和カルボン酸及び/又はその無水物、有機過酸化物を配合し、混練機、押出機に投入し、加熱溶融混練しながら押出を行ない、先端ダイスから出てくる溶融樹脂を水槽等で冷却して変性環状ポリオレフィン(a’-1)を得るものである。
一般的に用いられる溶融混練変性の操作は、環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)、不飽和カルボン酸及び/又はその無水物、有機過酸化物を配合し、混練機、押出機に投入し、加熱溶融混練しながら押出を行ない、先端ダイスから出てくる溶融樹脂を水槽等で冷却して変性環状ポリオレフィン(a’-1)を得るものである。
環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)と不飽和カルボン酸及び/又はその無水物との配合比率は、環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)100質量部に対し、不飽和カルボン酸及び/又はその無水物が0.2~5質量部がよい。
環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)に対する不飽和カルボン酸及び/又はその無水物の配合比率が上記下限以上であれば、本発明の効果を奏するために必要な所定の変性率が得られる。また、上記上限以下であれば、未反応の不飽和カルボン酸及び/又はその無水物が残留することがなく、誘電特性としても好ましい。
環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)に対する不飽和カルボン酸及び/又はその無水物の配合比率が上記下限以上であれば、本発明の効果を奏するために必要な所定の変性率が得られる。また、上記上限以下であれば、未反応の不飽和カルボン酸及び/又はその無水物が残留することがなく、誘電特性としても好ましい。
上記不飽和カルボン酸及び/又はその無水物と上記有機過酸化物との配合比率は、上記不飽和カルボン酸及び/又はその無水物100質量部に対し、上記有機過酸化物が20~100質量部がよい。
上記不飽和カルボン酸及び/又はその無水物に対する上記有機過酸化物の配合比率が上記下限以上であれば、本発明の効果を奏するために必要な所定の変性率が得られる。また、上記上限以下であれば、環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)の劣化が生じず、色相が悪化することがない。
上記不飽和カルボン酸及び/又はその無水物に対する上記有機過酸化物の配合比率が上記下限以上であれば、本発明の効果を奏するために必要な所定の変性率が得られる。また、上記上限以下であれば、環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)の劣化が生じず、色相が悪化することがない。
また溶融混練変性条件としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機においては150~300℃の温度にて押出すことが好ましい。
[変性率]
上記不飽和カルボン酸及び/又はその無水物による、変性環状ポリオレフィン(a’-1)の変性率は0.1~2質量%が好ましい。
変性率が上記下限以上であれば、ポリマーの極性が大きくなり、銅箔等の金属層との接着性が向上するので好ましい。また、上記上限以下であれば、環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)の誘電損失の悪化を防止できる。また、臭気の発生や色の悪化も防ぐことができる。
上記変性環状ポリオレフィン(a’-1)の変性率は、上記変性環状ポリオレフィン(a’-1)をメチルエステル化処理した後、プロトンNMRにて測定することができる。
上記不飽和カルボン酸及び/又はその無水物による、変性環状ポリオレフィン(a’-1)の変性率は0.1~2質量%が好ましい。
変性率が上記下限以上であれば、ポリマーの極性が大きくなり、銅箔等の金属層との接着性が向上するので好ましい。また、上記上限以下であれば、環状ポリオレフィン樹脂共重合体(a-1)の誘電損失の悪化を防止できる。また、臭気の発生や色の悪化も防ぐことができる。
上記変性環状ポリオレフィン(a’-1)の変性率は、上記変性環状ポリオレフィン(a’-1)をメチルエステル化処理した後、プロトンNMRにて測定することができる。
2.環状ポリオレフィン(α-2)
環状ポリオレフィン(α-2)としては、例えば、不飽和環状オレフィンモノマーの開環メタセシス重合体の水素添加物(以下、「環状ポリオレフィン(a-2)」ともいう。)、及びエチレンとノルボルネン系モノマーとの共重合体(以下、「環状ポリオレフィン(a-3)」ともいう。)等が挙げられる。環状ポリオレフィン(α-2)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
環状ポリオレフィン(α-2)としては、例えば、不飽和環状オレフィンモノマーの開環メタセシス重合体の水素添加物(以下、「環状ポリオレフィン(a-2)」ともいう。)、及びエチレンとノルボルネン系モノマーとの共重合体(以下、「環状ポリオレフィン(a-3)」ともいう。)等が挙げられる。環状ポリオレフィン(α-2)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
環状ポリオレフィン(α-2)は、耐熱性の観点から、ガラス転移温度が高いことが好ましい。
環状ポリオレフィン(α-2)のガラス転移温度は、100℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましく、140℃以上がよりさらに好ましい。
なお、ガラス転移温度は、具体的には実施例に記載される方法で測定することができる。
環状ポリオレフィン(α-2)のガラス転移温度は、100℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましく、140℃以上がよりさらに好ましい。
なお、ガラス転移温度は、具体的には実施例に記載される方法で測定することができる。
(1)環状ポリオレフィン(a-2)
環状ポリオレフィン(a-2)は、ポリオレフィンの主鎖に脂環式構造を有する環状ポリオレフィン樹脂であり、例えば、単環シクロオレフィン及び置換基を有するそれらの誘導体、並びにノルボルネン環を有する置換及び未置換の二環又は三環以上の多環環状オレフィンモノマー(以下、「ノルボルネン系モノマー」ともいう。)等が挙げられる。中でも、製造適性の観点から、ノルボルネン系モノマーが好ましい。
環状ポリオレフィン(a-2)は、ポリオレフィンの主鎖に脂環式構造を有する環状ポリオレフィン樹脂であり、例えば、単環シクロオレフィン及び置換基を有するそれらの誘導体、並びにノルボルネン環を有する置換及び未置換の二環又は三環以上の多環環状オレフィンモノマー(以下、「ノルボルネン系モノマー」ともいう。)等が挙げられる。中でも、製造適性の観点から、ノルボルネン系モノマーが好ましい。
単環シクロオレフィンとしては、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセン等が挙げられる。
ノルボルネン系モノマーとしては、例えば、ノルボルネン、ノルボルナジエン、メチルノルボルネン、ジメチルノルボルネン、エチルノルボルネン、塩素化ノルボルネン、クロロメチルノルボルネン、トリメチルシリルノルボルネン、フェニルノルボルネン、シアノノルボルネン、ジシアノノルボルネン、メトキシカルボニルノルボルネン、ピリジルノルボルネン、ナジック酸無水物、ナジック酸イミド等の二環シクロオレフィン;ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエンやそのアルキル、アルケニル、アルキリデン、アリール置換体等の三環シクロオレフィン;ジメタノヘキサヒドロナフタレン、ジメタノオクタヒドロナフタレンやそのアルキル、アルケニル、アルキリデン、アリール置換体等の四環シクロオレフィン;トリシクロペンタジエン等の五環シクロオレフィン;ヘキサシクロヘプタデセン等の六環シクロオレフィン等が挙げられる。また、ジノルボルネン、二個のノルボルネン環を炭化水素鎖又はエステル基等で結合した化合物、これらのアルキル、アリール置換体等のノルボルネン環を含む化合物等を用いることもできる。
ノルボルネン系モノマーとしては、例えば、ノルボルネン、ノルボルナジエン、メチルノルボルネン、ジメチルノルボルネン、エチルノルボルネン、塩素化ノルボルネン、クロロメチルノルボルネン、トリメチルシリルノルボルネン、フェニルノルボルネン、シアノノルボルネン、ジシアノノルボルネン、メトキシカルボニルノルボルネン、ピリジルノルボルネン、ナジック酸無水物、ナジック酸イミド等の二環シクロオレフィン;ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエンやそのアルキル、アルケニル、アルキリデン、アリール置換体等の三環シクロオレフィン;ジメタノヘキサヒドロナフタレン、ジメタノオクタヒドロナフタレンやそのアルキル、アルケニル、アルキリデン、アリール置換体等の四環シクロオレフィン;トリシクロペンタジエン等の五環シクロオレフィン;ヘキサシクロヘプタデセン等の六環シクロオレフィン等が挙げられる。また、ジノルボルネン、二個のノルボルネン環を炭化水素鎖又はエステル基等で結合した化合物、これらのアルキル、アリール置換体等のノルボルネン環を含む化合物等を用いることもできる。
環状ポリオレフィン(a-2)の製造方法は特に限定されることなく、公知の種々の製造方法が採用可能である。環状ポリオレフィン(a-2)は、例えば、上記の不飽和環状オレフィンモノマーを開環重合した後、生成した重合体が有するオレフィン性不飽和結合部分を水素化することによって製造することができる。該開環重合は、例えば、不飽和環状オレフィンモノマーを、遷移金属化合物又は白金族金属化合物と有機アルミニウム化合物等の有機金属化合物を含む触媒系において、必要に応じて脂肪族又は芳香族の第三級アミン等の添加剤の存在下に、-20℃~100℃の範囲内の温度、0.01~50kg/cm2Gの範囲内の圧力で行うことができる。また該水素化は、通常の水素化触媒の存在下で行うことができる。
環状ポリオレフィン(a-2)は、上記環状ポリオレフィン(α-1)と同様、銅箔等の金属層との接着性を向上するため、変性剤として不飽和カルボン酸及び/又はその無水物を添加して反応させ、変性体として用いてもよい(以下、「変性環状ポリオレフィン(a’-2)」ともいう)。
本発明の環状ポリオレフィン(a-2)としては、市販のものを用いることができ、具体的には日本ゼオン(株)製:Zeonex(登録商標)、Zeonor(登録商標)、JSR(株)製:ARTON(登録商標)等が挙げられる。また、変性環状ポリオレフィン(a’-2)としては、JSR(株)製:ARTON(登録商標)Fシリーズ等が挙げられる。
(2)環状ポリオレフィン(a-3)
前記環状ポリオレフィン(a-3)におけるノルボルネン系モノマーとしては、上記環状オレフィン(a-2)で例示したノルボルネン系モノマーを用いることができる。
前記環状ポリオレフィン(a-3)におけるノルボルネン系モノマーとしては、上記環状オレフィン(a-2)で例示したノルボルネン系モノマーを用いることができる。
本発明の環状ポリオレフィン(a-3)としては、市販のものを用いることができ、具体的には三井化学(株)製:アペル(登録商標)、TOPAS Advanced Polymers社製:TOPAS(登録商標)等が挙げられる。
[物性]
前記環状ポリオレフィン樹脂の誘電正接は、10GHzにおいて0.05未満であることが好ましく、0.03未満であることがより好ましい。誘電正接が小さければ小さいほど誘電損失も小さくなるので、回路基板材料とした際の電気信号の伝達効率、高速化が得られるために好ましい。誘電正接の下限は特に限定されず、0以上であればよい。
前記環状ポリオレフィン樹脂の誘電正接は、10GHzにおいて0.05未満であることが好ましく、0.03未満であることがより好ましい。誘電正接が小さければ小さいほど誘電損失も小さくなるので、回路基板材料とした際の電気信号の伝達効率、高速化が得られるために好ましい。誘電正接の下限は特に限定されず、0以上であればよい。
本発明の環状ポリオレフィン樹脂のメルトフローレート(MFR)は特に限定されないが、通常0.1g/10分以上であり、成形方法や成形体の外観の観点から、好ましくは0.5g/10分以上である。また通常50.0g/10分以下であり、材料強度の観点から、好ましくは30.0g/10分以下である。
MFRは、ISO R1133に従って、実施例に記載する条件で測定することで求められる。
MFRは、ISO R1133に従って、実施例に記載する条件で測定することで求められる。
<酸化マグネシウム>
本発明の酸化マグネシウムのBET比表面積は10m2/g以下が好ましく、5m2/g以下がより好ましく、3m2/g以下がさらに好ましく、2m2/g以下がよりさらに好ましい。
BET比表面積が小さいほど、酸化マグネシウムの吸湿を抑制でき、それによる誘電正接の悪化を抑制することができる。これは、酸化マグネシウムの比表面積が小さいことにより吸湿を抑えられ、酸化マグネシウムの表面に極性基を有する水酸化マグネシウムが生じにくくなるためであると考えられる。
なお、本発明において「BET比表面積」とは、BET法を用いて測定した窒素吸着比表面積をいう。
本発明の酸化マグネシウムのBET比表面積は10m2/g以下が好ましく、5m2/g以下がより好ましく、3m2/g以下がさらに好ましく、2m2/g以下がよりさらに好ましい。
BET比表面積が小さいほど、酸化マグネシウムの吸湿を抑制でき、それによる誘電正接の悪化を抑制することができる。これは、酸化マグネシウムの比表面積が小さいことにより吸湿を抑えられ、酸化マグネシウムの表面に極性基を有する水酸化マグネシウムが生じにくくなるためであると考えられる。
なお、本発明において「BET比表面積」とは、BET法を用いて測定した窒素吸着比表面積をいう。
酸化マグネシウムの平均二次粒子径は特に限定されないが、強度と成形性の観点から、0.5μm以上50μm以下が好ましく、0.8μm以上40μm以下がより好ましく、1μm以上30μm以下がさらに好ましい。
なお、本発明において「平均二次粒子径」とは、レーザー光回折散乱法により、粒度分布測定を行って求めた平均二次粒子径をいう。
なお、本発明において「平均二次粒子径」とは、レーザー光回折散乱法により、粒度分布測定を行って求めた平均二次粒子径をいう。
酸化マグネシウムは、強度を高くし、比表面積を小さくする観点から、球状であることが好ましい。
「球状」とは、アスペクト比(長径と短径の比)が1以上2以下、好ましくは1以上1.8以下、より好ましくは1以上1.5以下であることをいう。
当該アスペクト比は、酸化マグネシウムを走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した画像から20個以上の粒子を任意に選択し、それぞれの長径と短径の比を求めて平均値を算出することにより求めることができる。
「球状」とは、アスペクト比(長径と短径の比)が1以上2以下、好ましくは1以上1.8以下、より好ましくは1以上1.5以下であることをいう。
当該アスペクト比は、酸化マグネシウムを走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した画像から20個以上の粒子を任意に選択し、それぞれの長径と短径の比を求めて平均値を算出することにより求めることができる。
酸化マグネシウムは、耐湿性及び樹脂への分散性を向上させる観点から、表面処理を施すことが好ましい。
コストやプロセスの簡便さから、シランカップリング剤やリン酸エステル、チタネートカップリング剤で表面処理することが好ましい。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル・トリス(β-メトキシエトキシ)シラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシラン等のビニル系シラン化合物、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-ユレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノ系シラン化合物、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のエポキシ系シラン化合物、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト系シラン化合物、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のフェニルアミノ系シラン化合物等が挙げられる。
コストやプロセスの簡便さから、シランカップリング剤やリン酸エステル、チタネートカップリング剤で表面処理することが好ましい。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル・トリス(β-メトキシエトキシ)シラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシラン等のビニル系シラン化合物、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-ユレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノ系シラン化合物、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のエポキシ系シラン化合物、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト系シラン化合物、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のフェニルアミノ系シラン化合物等が挙げられる。
リン酸エステルとしては、例えば、ブチルアシッドフォスフェイト、2-エチルヘキシルアシッドフォスフェイト、ラウリルアシッドフォスフェイト、トリデシルアシッドフォスフェイト、ステアリルアシッドフォスフェイト、ジ-2-エチルヘキシルフォスフェイト、オレイルアシッドフォスフェイト等が挙げられる。
チタネートカップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイル化チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラ(1,1-ジアリルオキシメチルー1-ブチル)ビス-(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等のチタネート化合物等が挙げられる。
チタネートカップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイル化チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラ(1,1-ジアリルオキシメチルー1-ブチル)ビス-(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等のチタネート化合物等が挙げられる。
表面処理に用いられる上記カップリング剤の添加量は、酸化マグネシウム100質量部あたり0.01~3質量部が好ましく、0.05~2質量部がより好ましい。
カップリング剤の添加量が上記範囲内であると、耐湿性と酸化マグネシウムの特性をバランスよく満たすことができる。
カップリング剤の添加量が上記範囲内であると、耐湿性と酸化マグネシウムの特性をバランスよく満たすことができる。
樹脂組成物100質量%中における酸化マグネシウムの含有量は、5質量%以上80質量%以下が好ましく、10質量%以上75質量%以下がより好ましく、20質量%以上70質量%以下がさらに好ましい。
酸化マグネシウムの含有量が上記下限値以上であると、樹脂組成物の誘電正接を十分に低下させることができる。一方、酸化マグネシウムの含有量が上記上限値以下であると、樹脂組成物の流動性が良好となり、成形しやすくなる。
酸化マグネシウムの含有量が上記下限値以上であると、樹脂組成物の誘電正接を十分に低下させることができる。一方、酸化マグネシウムの含有量が上記上限値以下であると、樹脂組成物の流動性が良好となり、成形しやすくなる。
酸化マグネシウムは、1種を単独で用いてもよく、粒子径や表面処理状態の異なる2種以上を併用してもよい。
本発明の酸化マグネシウムとしては、市販のものを用いることができ、具体的には、協和化学工業(株)製:パイロキスマ(登録商標)、宇部マテリアルズ(株)製:RFシリーズ、神島化学工業(株)製:スターマグ等が挙げられる。
本発明の酸化マグネシウムとしては、市販のものを用いることができ、具体的には、協和化学工業(株)製:パイロキスマ(登録商標)、宇部マテリアルズ(株)製:RFシリーズ、神島化学工業(株)製:スターマグ等が挙げられる。
<その他の成分>
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、環状ポリオレフィン樹脂以外の熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂、難燃剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、光吸収材剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、有機充填剤等を本発明の目的を損なわない程度に配合することができ、その配合割合は適宜量である。
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、環状ポリオレフィン樹脂以外の熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂、難燃剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、光吸収材剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、有機充填剤等を本発明の目的を損なわない程度に配合することができ、その配合割合は適宜量である。
環状ポリオレフィン樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー及びエチレン系重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂が好ましい。
上記熱可塑性樹脂を配合することで、樹脂組成物の靭性が良好となる。特に、環状ポリオレフィン(α-1)は単体でも靭性が低く、さらに酸化マグネシウム粒子を配合すると靭性はより低下するため、環状ポリオレフィン樹脂として環状ポリオレフィン(α-1)を用いる場合には、上記熱可塑性樹脂を配合することが好ましい。
樹脂組成物100質量%中における上記熱可塑性樹脂の含有量は、0質量%以上40質量%以下が好ましく、1質量%以上30質量%以下がより好ましく、5質量%以上20質量%以下がさらに好ましい。含有量が上記範囲内であると、靭性と低誘電特性を両立できる。
上記熱可塑性樹脂としては、市販のものを用いることができ、具体的には旭化成ケミカルズ(株)製:タフテック(商標登録)、クラレ(株)製:セプトン(商標登録)、シェルジャパン製:クレイトン(登録商標)、三井化学(株)製:ミラストマー(登録商標)、三井化学(株)製:タフマー(登録商標)、JSR(株)製:EXCELINK(登録商標)等が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂を配合することで、樹脂組成物の靭性が良好となる。特に、環状ポリオレフィン(α-1)は単体でも靭性が低く、さらに酸化マグネシウム粒子を配合すると靭性はより低下するため、環状ポリオレフィン樹脂として環状ポリオレフィン(α-1)を用いる場合には、上記熱可塑性樹脂を配合することが好ましい。
樹脂組成物100質量%中における上記熱可塑性樹脂の含有量は、0質量%以上40質量%以下が好ましく、1質量%以上30質量%以下がより好ましく、5質量%以上20質量%以下がさらに好ましい。含有量が上記範囲内であると、靭性と低誘電特性を両立できる。
上記熱可塑性樹脂としては、市販のものを用いることができ、具体的には旭化成ケミカルズ(株)製:タフテック(商標登録)、クラレ(株)製:セプトン(商標登録)、シェルジャパン製:クレイトン(登録商標)、三井化学(株)製:ミラストマー(登録商標)、三井化学(株)製:タフマー(登録商標)、JSR(株)製:EXCELINK(登録商標)等が挙げられる。
上記以外の任意成分として配合される安定剤として、具体的には、テトラキス〔メチレン-3(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アルキルエステル、2,2′-オキザミドビス〔エチル-3(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)〕プロピオネート等のフェノール系酸化防止剤;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、12-ヒドロキシステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩;グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート等の多価アルコール脂肪酸エステル等を挙げることができる。これらは単独で配合してもよいし、組合せて配合してもよく、例えば、テトラキス〔メチレン-3(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタンとステアリン酸亜およびグリセリンモノステアレートとの組合せ等を例示できる。
<樹脂組成物の製造方法>
本発明の樹脂組成物は、環状ポリオレフィン樹脂に酸化マグネシウムを分散させることにより製造できる。
例えば、混練機又は攪拌機等を用いて、環状ポリオレフィン樹脂及び酸化マグネシウムを溶融混練することにより、樹脂組成物を製造してもよい。あるいは、環状ポリオレフィン樹脂を溶剤中に溶解させ、酸化マグネシウムを添加して混合し、その後溶剤を揮発等で除去することにより、樹脂組成物を製造してもよい。中でも、成形が容易な点から、溶融混練法を用いることが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、環状ポリオレフィン樹脂に酸化マグネシウムを分散させることにより製造できる。
例えば、混練機又は攪拌機等を用いて、環状ポリオレフィン樹脂及び酸化マグネシウムを溶融混練することにより、樹脂組成物を製造してもよい。あるいは、環状ポリオレフィン樹脂を溶剤中に溶解させ、酸化マグネシウムを添加して混合し、その後溶剤を揮発等で除去することにより、樹脂組成物を製造してもよい。中でも、成形が容易な点から、溶融混練法を用いることが好ましい。
<<樹脂シート>>
本発明の樹脂シートは、上記樹脂組成物をシート化することで得られる。
樹脂シートの製造方法は特に限定されるものではないが、公知の方法、例えば、押出成形、射出成形、ブロー成形、真空成形、圧空成形、プレス成形等を採用することができる。
本発明の樹脂シートは、上記樹脂組成物をシート化することで得られる。
樹脂シートの製造方法は特に限定されるものではないが、公知の方法、例えば、押出成形、射出成形、ブロー成形、真空成形、圧空成形、プレス成形等を採用することができる。
本発明の樹脂シートは、一方向又は二方向に延伸を施した一軸又は二軸延伸シートであってもよい。延伸シートの製造方法としては、Tダイキャスト法、プレス法、カレンダー法等によって前駆体としての未延伸シートを作製した後、ロール延伸法、テンター延伸法等により延伸成形する方法や、インフレーション法、チューブラー法等により、溶融押出と延伸成形を一体的に行う方法を挙げることができる。
プレス法やTダイを用いる押出キャスト法での成形温度は、用いる樹脂組成物の流動特性や製膜性等によって適宜調整されるが、概ね200℃以上、260℃以下である。溶融混練には、一般的に使用される単軸押出機、二軸押出機、ニーダーやミキサーなどが使用でき、特に制限されるものではない。
樹脂シートの厚みは、10μm以上500μm以下が好ましく、30μm以上400μm以下がより好ましく、50μm以上300μm以下がさらに好ましい。厚みが上記範囲内であることにより、強度を適度に保ちつつ、電気・電子機器の小型化に対応可能な回路基板材料を得ることができる。
<<樹脂組成物の用途>>
本発明の樹脂組成物の用途の一例としては、銅箔積層板、フレキシブルプリント基板、多層プリント配線基板、キャパシタ等の電気・電子機器用回路基板材料を含む回路基板材料、アンダーフィル材料、3D-LSI用インターチップフィル、絶縁シート、放熱基板が挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。
本発明の樹脂組成物の用途の一例としては、銅箔積層板、フレキシブルプリント基板、多層プリント配線基板、キャパシタ等の電気・電子機器用回路基板材料を含む回路基板材料、アンダーフィル材料、3D-LSI用インターチップフィル、絶縁シート、放熱基板が挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。
<回路基板材料>
本発明の樹脂組成物は、導体と積層することにより回路基板材料とすることができる。
本発明の樹脂組成物は、導体と積層することにより回路基板材料とすることができる。
導体としては、銅、アルミニウム等の導電性金属や、これらの金属を含む合金等からなる金属箔、あるいはメッキやスパッタリングで形成された金属層を用いることができる。
電気・電子機器用の回路基板材料として用いる場合、樹脂組成物からなる絶縁層の厚みは10μm以上500μm以下が好ましく、50μm以上400μm以下がより好ましく、100μm以上300μm以下がさらに好ましい。また、導体の厚みは0.2μm以上70μm以下が好ましい。
本発明の回路基板材料は、誘電正接が十分に低いことが特徴である。
回路基板材料の誘電正接は、10GHzにおいて0.03未満が好ましく、0.02未満がより好ましく、0.01未満がさらに好ましく、0.005未満がよりさらに好ましく、0.003未満がいっそう好ましく、0.001未満がよりいっそう好ましい。誘電正接が小さいほど誘電損失が小さくなり、回路基板の電気信号の伝達効率、高速化が得られるために好ましい。誘電正接の下限は特に限定されず、0以上であればよい。
回路基板材料の誘電正接は、10GHzにおいて0.03未満が好ましく、0.02未満がより好ましく、0.01未満がさらに好ましく、0.005未満がよりさらに好ましく、0.003未満がいっそう好ましく、0.001未満がよりいっそう好ましい。誘電正接が小さいほど誘電損失が小さくなり、回路基板の電気信号の伝達効率、高速化が得られるために好ましい。誘電正接の下限は特に限定されず、0以上であればよい。
<回路基板材料の製造方法>
本発明における回路基板材料は、例えば次のような方法で製造できる。
本発明の樹脂組成物を公知の方法によりシート化して絶縁層を作製し、当該絶縁層の上に導体を積層したあと、フォトレジスト等を用いて回路を形成し、こうした層を必要数重ねる。
絶縁層と導体との積層は、絶縁層に導電性金属箔を直接重ね合わせる方法であってもよく、接着剤を用いて絶縁層と導電性金属箔とを接着する方法であってもよい。また、メッキやスパッタリングにより導電性金属層を形成する方法であってもよく、これらの方法を組み合わせて行ってもよい。
本発明における回路基板材料は、例えば次のような方法で製造できる。
本発明の樹脂組成物を公知の方法によりシート化して絶縁層を作製し、当該絶縁層の上に導体を積層したあと、フォトレジスト等を用いて回路を形成し、こうした層を必要数重ねる。
絶縁層と導体との積層は、絶縁層に導電性金属箔を直接重ね合わせる方法であってもよく、接着剤を用いて絶縁層と導電性金属箔とを接着する方法であってもよい。また、メッキやスパッタリングにより導電性金属層を形成する方法であってもよく、これらの方法を組み合わせて行ってもよい。
以下、実施例を用いて本発明の内容を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限または下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限または下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
なお、以下の実施例及び比較例においては、下記の方法により各種物性を測定した。
なお、以下の実施例及び比較例においては、下記の方法により各種物性を測定した。
<測定方法>
(1)吸水率
樹脂シートから、約1g試験片を切り出し、50℃の熱風乾燥機で24時間乾燥させた後に重量(W1)を測定した。試験片を23℃イオン交換水に24時間浸漬させ、浸漬後の重量(W2)を測定し、重量変化(W2-W1)より当該試験片の吸水率を測定した。
評価は下記の基準で行った。
A(very good):誘電体用樹脂組成物の吸水率が0.2%未満のもの。
B(good) :誘電体用樹脂組成物の吸水率が0.2%以上、0.3%未満のもの。
C(poor) :誘電体用樹脂組成物の吸水率が0.3%以上のもの。
(1)吸水率
樹脂シートから、約1g試験片を切り出し、50℃の熱風乾燥機で24時間乾燥させた後に重量(W1)を測定した。試験片を23℃イオン交換水に24時間浸漬させ、浸漬後の重量(W2)を測定し、重量変化(W2-W1)より当該試験片の吸水率を測定した。
評価は下記の基準で行った。
A(very good):誘電体用樹脂組成物の吸水率が0.2%未満のもの。
B(good) :誘電体用樹脂組成物の吸水率が0.2%以上、0.3%未満のもの。
C(poor) :誘電体用樹脂組成物の吸水率が0.3%以上のもの。
(2)誘電特性
空洞共振器法を用いて、樹脂シートの面内方向の10GHzにおける誘電正接を測定した。酸化マグネシウムを添加していない場合の誘電正接の値(参考例1~3)と比較して、下記の基準で評価した。
A(good):樹脂組成物の誘電正接が低下したもの。
B(poor):誘電正接が上昇したもの。
空洞共振器法を用いて、樹脂シートの面内方向の10GHzにおける誘電正接を測定した。酸化マグネシウムを添加していない場合の誘電正接の値(参考例1~3)と比較して、下記の基準で評価した。
A(good):樹脂組成物の誘電正接が低下したもの。
B(poor):誘電正接が上昇したもの。
(3)結晶融解ピーク温度及びガラス転移温度
原料ペレットについて、JIS K7121:2012に準拠して、示差走査熱量計Pyris1 DSC(パーキンエルマー社製)を用いて、温度範囲25~300℃、加熱速度10℃/分で示差走査熱量計Pyris1 DSC(パーキンエルマー社製)を用い、再昇温過程において検出されたDSC曲線の吸熱ピークから結晶融解ピーク温度を求め、変曲点からガラス転移温度を求めた。
原料ペレットについて、JIS K7121:2012に準拠して、示差走査熱量計Pyris1 DSC(パーキンエルマー社製)を用いて、温度範囲25~300℃、加熱速度10℃/分で示差走査熱量計Pyris1 DSC(パーキンエルマー社製)を用い、再昇温過程において検出されたDSC曲線の吸熱ピークから結晶融解ピーク温度を求め、変曲点からガラス転移温度を求めた。
<原料>
[環状ポリオレフィン樹脂]
・A-1:変性環状ポリオレフィン(a’-1)である三菱ケミカル(株)製「テファブロック(登録商標)CP MC940AP」。
・結晶融解ピーク温度:75℃、
・誘電正接:0.00060、
・密度(ASTM D792):0.94g/cm3、
・MFR(230℃、2.16kg):3g/10分、
・水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位:含有率67モル%、水素化レベル99.5%以上の水素化ポリスチレン、
・水素化共役ジエンポリマーブロック単位:含有率33モル%、水素化レベル99.5%以上の水素化ポリブタジエン、
・ブロック構造:ペンタブロック構造、合計水素化レベル:99.5%以上、
・マレイン酸変性率:1.2質量%、
・Mw:68000。
[環状ポリオレフィン樹脂]
・A-1:変性環状ポリオレフィン(a’-1)である三菱ケミカル(株)製「テファブロック(登録商標)CP MC940AP」。
・結晶融解ピーク温度:75℃、
・誘電正接:0.00060、
・密度(ASTM D792):0.94g/cm3、
・MFR(230℃、2.16kg):3g/10分、
・水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位:含有率67モル%、水素化レベル99.5%以上の水素化ポリスチレン、
・水素化共役ジエンポリマーブロック単位:含有率33モル%、水素化レベル99.5%以上の水素化ポリブタジエン、
・ブロック構造:ペンタブロック構造、合計水素化レベル:99.5%以上、
・マレイン酸変性率:1.2質量%、
・Mw:68000。
・A-2:環状ポリオレフィン(a-2)である日本ゼオン(株)製「ZEONOR(登録商標)1020R」。
・誘電正接:0.00067(10GHz)、
・密度(ASTM D792):1.01g/cm3、
・MFR(280℃、2.16kg):20g/10分、
・ガラス転移温度:102℃・
・誘電正接:0.00067(10GHz)、
・密度(ASTM D792):1.01g/cm3、
・MFR(280℃、2.16kg):20g/10分、
・ガラス転移温度:102℃・
・A-3:変性環状ポリオレフィン(a’-2)であるJSR(株)製「ARTON(登録商標)F4520」。
・誘電正接:0.0202、
・密度(JIS K7112):1.08g/cm3、
・MFR(230℃、2.16kg):15g/10分、
・ガラス転移温度:163℃。
・誘電正接:0.0202、
・密度(JIS K7112):1.08g/cm3、
・MFR(230℃、2.16kg):15g/10分、
・ガラス転移温度:163℃。
[熱可塑性樹脂]
・B-1:タフテックH1052(旭化成(株)製、SEBS、スチレン比率:20質量%)。
・B-1:タフテックH1052(旭化成(株)製、SEBS、スチレン比率:20質量%)。
[酸化マグネシウム]
・C-1:パイロキスマ 3330(協和化学工業(株)製、粒径:20μm、BET比表面積:0.5m2/g、表面処理:無)。
・C-2:パイロキスマ 5301(協和化学工業(株)製、粒径:2μm、BET比表面積:1.4m2/g、表面処理:無)。
・C-3:パイロキスマ 5301K(協和化学工業(株)製、粒径:2μm、BET比表面積:1.4m2/g、表面処理:有(オレフィン系シランカップリング剤))。
・C-4:キョーワマグ30(協和化学工業(株)製、粒径:3μm、BET比表面積:40m2/g、表面処理:無)。
・C-5:マグサラット30(協和化学工業(株)製、粒径:3μm、BET比表面積:39m2/g、表面処理:有(アルキル系リン酸エステル))。
なお、C-1~C-5はいずれも球状である。
・C-1:パイロキスマ 3330(協和化学工業(株)製、粒径:20μm、BET比表面積:0.5m2/g、表面処理:無)。
・C-2:パイロキスマ 5301(協和化学工業(株)製、粒径:2μm、BET比表面積:1.4m2/g、表面処理:無)。
・C-3:パイロキスマ 5301K(協和化学工業(株)製、粒径:2μm、BET比表面積:1.4m2/g、表面処理:有(オレフィン系シランカップリング剤))。
・C-4:キョーワマグ30(協和化学工業(株)製、粒径:3μm、BET比表面積:40m2/g、表面処理:無)。
・C-5:マグサラット30(協和化学工業(株)製、粒径:3μm、BET比表面積:39m2/g、表面処理:有(アルキル系リン酸エステル))。
なお、C-1~C-5はいずれも球状である。
(参考例1)
環状ポリオレフィン樹脂(A-1)と熱可塑性樹脂(B-1)のペレットをドライブレンドし、(株)東洋精機製作所製のプラストグラフミキサーに供給し、温度=240℃、回転数=40rpmで3分溶融混練したあと、温度=240℃、回転数=40rpmで5分間溶融混練し、樹脂組成物を得た。2枚の金属板間に挟み込み、温度=240℃、圧力=3MPa、成形時間=10秒の条件でプレス成形し、その後100℃以下まで水冷で徐冷することで、厚さ200μmの樹脂シートを得た。得られた樹脂シートについて上記評価を実施した。結果を表1に示す。
環状ポリオレフィン樹脂(A-1)と熱可塑性樹脂(B-1)のペレットをドライブレンドし、(株)東洋精機製作所製のプラストグラフミキサーに供給し、温度=240℃、回転数=40rpmで3分溶融混練したあと、温度=240℃、回転数=40rpmで5分間溶融混練し、樹脂組成物を得た。2枚の金属板間に挟み込み、温度=240℃、圧力=3MPa、成形時間=10秒の条件でプレス成形し、その後100℃以下まで水冷で徐冷することで、厚さ200μmの樹脂シートを得た。得られた樹脂シートについて上記評価を実施した。結果を表1に示す。
(参考例2)
環状ポリオレフィン樹脂(A-2)のペレットを2枚の金属板間に挟み込み、温度=240℃、圧力=3MPa、成形時間=10秒の条件でプレス成形し、その後100℃以下まで水冷で徐冷することで、厚さ200μmの樹脂シートを得た。得られた樹脂シートについて上記評価を実施した。結果を表1に示す。
環状ポリオレフィン樹脂(A-2)のペレットを2枚の金属板間に挟み込み、温度=240℃、圧力=3MPa、成形時間=10秒の条件でプレス成形し、その後100℃以下まで水冷で徐冷することで、厚さ200μmの樹脂シートを得た。得られた樹脂シートについて上記評価を実施した。結果を表1に示す。
(参考例3)
環状ポリオレフィン樹脂(A-3)のペレットを2枚の金属板間に挟み込み、温度=240℃、圧力=3MPa、成形時間=10秒の条件でプレス成形し、その後100℃以下まで水冷で徐冷することで、厚さ200μmの樹脂シートを得た。得られた樹脂シートについて上記評価を実施した。結果を表1に示す。
環状ポリオレフィン樹脂(A-3)のペレットを2枚の金属板間に挟み込み、温度=240℃、圧力=3MPa、成形時間=10秒の条件でプレス成形し、その後100℃以下まで水冷で徐冷することで、厚さ200μmの樹脂シートを得た。得られた樹脂シートについて上記評価を実施した。結果を表1に示す。
(実施例1)
環状ポリオレフィン樹脂(A-1)と熱可塑性樹脂(B-1)のペレットをドライブレンドし、(株)東洋精機製作所製のプラストグラフミキサーに供給し、温度=240℃、回転数=40rpmで3分溶融混練した。その後、酸化マグネシウム(C-1)を誘電体用樹脂組成物100質量部に対して40質量部となるよう供給し、温度=240℃、回転数=40rpmで5分間溶融混練し、樹脂組成物を得た。2枚の金属板間に挟み込み、温度=240℃、圧力=3MPa、成形時間=10秒の条件でプレス成形し、その後100℃以下まで水冷で徐冷することで、厚さ200μmの樹脂シートを得た。得られた樹脂シートについて上記評価を実施した。結果を表1に示す。
環状ポリオレフィン樹脂(A-1)と熱可塑性樹脂(B-1)のペレットをドライブレンドし、(株)東洋精機製作所製のプラストグラフミキサーに供給し、温度=240℃、回転数=40rpmで3分溶融混練した。その後、酸化マグネシウム(C-1)を誘電体用樹脂組成物100質量部に対して40質量部となるよう供給し、温度=240℃、回転数=40rpmで5分間溶融混練し、樹脂組成物を得た。2枚の金属板間に挟み込み、温度=240℃、圧力=3MPa、成形時間=10秒の条件でプレス成形し、その後100℃以下まで水冷で徐冷することで、厚さ200μmの樹脂シートを得た。得られた樹脂シートについて上記評価を実施した。結果を表1に示す。
(実施例2)
酸化マグネシウム(C-1)の代わりに酸化マグネシウム(C-2)を用いた以外は実施例1と同様の方法で、フィルムの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
酸化マグネシウム(C-1)の代わりに酸化マグネシウム(C-2)を用いた以外は実施例1と同様の方法で、フィルムの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
酸化マグネシウム(C-1)の代わりに酸化マグネシウム(C-3)を用いた以外は実施例1と同様の方法で、フィルムの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
酸化マグネシウム(C-1)の代わりに酸化マグネシウム(C-3)を用いた以外は実施例1と同様の方法で、フィルムの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
酸化マグネシウム(C-1)の含有量を70質量%に変更した以外は実施例1と同様の方法で、フィルムの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
酸化マグネシウム(C-1)の含有量を70質量%に変更した以外は実施例1と同様の方法で、フィルムの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
酸化マグネシウム(C-1)の代わりに酸化マグネシウム(C-2)を用いた以外は実施例4と同様の方法で、フィルムの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
酸化マグネシウム(C-1)の代わりに酸化マグネシウム(C-2)を用いた以外は実施例4と同様の方法で、フィルムの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
酸化マグネシウム(C-1)の代わりに酸化マグネシウム(C-3)を用いた以外は実施例4と同様の方法で、フィルムの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
酸化マグネシウム(C-1)の代わりに酸化マグネシウム(C-3)を用いた以外は実施例4と同様の方法で、フィルムの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例7)
環状ポリオレフィン樹脂(A-1)及び熱可塑性樹脂(B-1)の代わりに環状ポリオレフィン樹脂(A-2)を用いた場合以外は実施例3と同様の方法で、フィルムの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
環状ポリオレフィン樹脂(A-1)及び熱可塑性樹脂(B-1)の代わりに環状ポリオレフィン樹脂(A-2)を用いた場合以外は実施例3と同様の方法で、フィルムの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例8)
環状ポリオレフィン樹脂(A-2)の代わりに環状ポリオレフィン樹脂(A-3)を用いた場合以外は実施例7と同様の方法で、フィルムの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
環状ポリオレフィン樹脂(A-2)の代わりに環状ポリオレフィン樹脂(A-3)を用いた場合以外は実施例7と同様の方法で、フィルムの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
酸化マグネシウム(C-1)の代わりに酸化マグネシウム(C-4)を用いた以外は実施例1と同様の方法で、フィルムの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
酸化マグネシウム(C-1)の代わりに酸化マグネシウム(C-4)を用いた以外は実施例1と同様の方法で、フィルムの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
酸化マグネシウム(C-1)の代わりに酸化マグネシウム(C-5)を用いた以外は実施例1と同様の方法で、フィルムの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
酸化マグネシウム(C-1)の代わりに酸化マグネシウム(C-5)を用いた以外は実施例1と同様の方法で、フィルムの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
上記の表1の実施例1~6の結果より、樹脂組成物が比表面積の小さい酸化マグネシウムを含有することで、マトリックス樹脂単体よりも誘電正接をさらに低減できることが示された。これは、酸化マグネシウムの比表面積が小さいことで、酸化マグネシウムの表面に存在する水酸基の影響やそれによる吸湿性(吸水性)を抑制でき、結果として酸化マグネシウムの低誘電正接特性が効果的に発揮されたためと考えられる。
特に、比表面積が小さく、表面処理が施された酸化マグネシウムを含有する樹脂組成物が最も誘電正接が低いことが示された。これは、表面処理を施すことで、酸化マグネシウム粒子表面に存在する水酸基の影響やそれによる吸湿性(吸水性)をさらに抑制できるためと考えられる。
このような樹脂組成物であれば、例えば回路基板材料として用いる際に、誘電損失をさらに低減できる。
特に、比表面積が小さく、表面処理が施された酸化マグネシウムを含有する樹脂組成物が最も誘電正接が低いことが示された。これは、表面処理を施すことで、酸化マグネシウム粒子表面に存在する水酸基の影響やそれによる吸湿性(吸水性)をさらに抑制できるためと考えられる。
このような樹脂組成物であれば、例えば回路基板材料として用いる際に、誘電損失をさらに低減できる。
一方で、比較例1~2のように、比表面積の大きい酸化マグネシウムを含有する場合は樹脂組成物の誘電正接の値がマトリックス樹脂単体よりも増大した。これは酸化マグネシウム表面の水酸基の影響やそれによる吸湿性が増大したためと考えられる。
Claims (8)
- 環状ポリオレフィン樹脂と、BET比表面積が10m2/g以下である酸化マグネシウムとを含有し、10GHzにおける誘電正接が0.03未満である樹脂組成物。
- 前記樹脂組成物100質量%中に、前記酸化マグネシウムを5質量%以上80質量%以下含有する、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記酸化マグネシウムの平均二次粒子径が0.5μm以上50μm以下である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- 前記環状ポリオレフィン樹脂が、ポリオレフィンの側鎖に脂環式構造を有する樹脂である、請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記環状ポリオレフィン樹脂が、重合体の主鎖に脂環式構造を有する樹脂である、請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- JIS K7209に基づいて測定される、23℃、24時間吸水後の吸水率が0.3%未満である、請求項1~5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなる樹脂シート。
- 請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなる絶縁層と、導体とを積層してなる回路基板材料。
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JP2021143975A JP2023037315A (ja) | 2021-09-03 | 2021-09-03 | 樹脂組成物、樹脂シート及びこれを用いた回路基板材料 |
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