JP2023037282A - 車載温調装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車載温調装置において、貯液部の容積を小型化し、且つ、圧縮機の寿命悪化および性能低下を防ぐことを目的とする。【解決手段】車載温調装置1は、圧縮機5と、凝縮器6と、貯液部7、7aと、複数の膨張弁8a~8cと、複数の蒸発器9、9a~9eとが冷媒配管で接続された冷媒回路2、2a、2bを備える。その複数の膨張弁8a~8cと複数の蒸発器9、9a~9eは、並列配置されている。そして、冷媒回路2、2a、2bには、複数の蒸発器9、9a~9eのうち内容積が最も大きい大容積蒸発器9b、9cに対する冷媒の流れを遮断可能な電磁弁10が設けられていない。また、冷媒回路2、2a、2bには、複数の蒸発器9、9a~9eのうち大容積蒸発器9b、9cを除いた1または複数の小容積蒸発器9、9a、9dに対する冷媒の流れを遮断可能な電磁弁10、10a、10dが設けられている。【選択図】図1

Description

本発明は、車両に搭載されて冷却対象機器および冷却対象空間の温度調整を行う車載温調装置に関するものである。
従来、電気自動車やハイブリッド車などの電動車両では、2次電池などの蓄電装置(すなわち、電池パック)に蓄えた電気エネルギーを、インバータなどを介してモータに供給し走行する。電池は、車両走行中などの使用時に自己発熱し、高温になると十分な機能を得られないだけでなく劣化や破損を招くため、一定温度以下に維持するための冷却手段が必要となる。
電池冷却性能を確保するため、冷媒回路を用いて電池を冷却する手段が考案されてきた。それらの手段は、冷媒回路の蒸発器を用いて、電池の熱を吸熱することで冷却するものである。その具体的な実施手段として、次のような冷却手段がある。
・空気-冷媒熱交換器を使用し、空気を介して電池を冷却。
・水-冷媒熱交換器を使用し、冷却水を介して電池を冷却。
・冷媒熱交換器を使用し、冷媒により直接または間接的に電池を冷却。
・油-冷媒熱交換器を使用し、オイルを介して電池を冷却。なお、油-冷媒熱交換器に使用するオイルは、絶縁性のものが望ましい。
特許文献1に記載の発明は、車室内空調用の冷媒回路に、車室内空調用の蒸発器とは別に、電池冷却用の蒸発器としての冷却液-冷媒熱交換器(すなわち、チラー)を設置し、そのチラーを経由して低水温回路を循環する冷却液を介して電池を冷却するものである。なお、以下の説明では、特許文献1に記載のチラーを「電池冷却用の蒸発器」という。
特開2015-186989号公報
ところで、車室内空調用の冷媒回路に設けられる複数の蒸発器において、車室内空調用の蒸発器と電池冷却用の蒸発器とでは、蒸発器のうち冷媒が流れる部位の容積(以下、「蒸発器の内容積」)が大きく異なることがある。その点、特許文献1では、車室内空調用の蒸発器の内容積と、電池冷却用の蒸発器の内容積とに大きく差がある場合について、何ら言及がされていない。
特に、バス用のエアコンユニット(すなわち、バス空調用の冷媒回路)は、車室内空調用の蒸発器の内容積が非常に大きい。そのようなエアコンユニットに電池冷却用の蒸発器を設置した場合、車室内空調運転のみを実施する場合と、電池冷却運転のみ(すなわち、電池冷却単独運転)を実施する場合とで、冷媒回路内に必要な冷媒量(すなわち、冷媒変動量)が大きくなる。電池冷却運転のみを実施する場合、電池冷却に必要な冷媒量が少ないので、余剰となる冷媒は冷媒回路に設置される貯液部に貯める必要がある。その結果、貯液部の容積を膨大にしなければならないといった問題が生じる。
仮に、貯液部の容積を大きくしない場合、電池冷却単独運転を実施する場合に凝縮器内部まで液相冷媒が貯まってしまう。これにより、冷媒回路の作動中に、圧縮機の冷媒出口から凝縮器までの経路を流れる高圧冷媒の圧力が上昇する。その結果、圧縮機の寿命悪化、または、圧縮機の性能低下が生じてしまうといった問題が生じる。
本発明は上記点に鑑みてなされたものであり、冷媒の流れる部位の容量が異なる複数の蒸発器が並列に接続された冷媒回路を備える車載温調装置において、貯液部の容積を小型化し、且つ、圧縮機の寿命悪化および性能低下を防ぐことを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、車両に搭載されて冷却対象機器および冷却対象空間の温度調整を行う車載温調装置である。車載温調装置は、冷媒を圧縮して吐き出す圧縮機(5)と、圧縮部で圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器(6)と、液相の冷媒を貯留する貯液部(7、7a)と、凝縮器で凝縮した液相の冷媒を減圧膨張させる複数の膨張弁(8a~8c)と、膨張弁で膨張した冷媒を蒸発させる複数の蒸発器(9、9a~9e)とが冷媒配管で接続された冷媒回路(2、2a、2b)を備える。その複数の膨張弁と複数の蒸発器は、凝縮器で凝縮した冷媒が分流して一部の冷媒が一方の膨張弁と一方の蒸発器に流れ、その他の冷媒が他方の膨張弁と他方の蒸発器に流れた後、それぞれの蒸発器から流出した冷媒が合流して圧縮機に流入するように並列配置されている。そして、冷媒回路には、複数の蒸発器のうち冷媒の流れる部位の内容積が最も大きい大容積蒸発器(9b、9c)に対する冷媒の流れを遮断可能な電磁弁が設けられておらず、複数の蒸発器のうち大容積蒸発器を除いた1または複数の小容積蒸発器(9a、9d)に対する冷媒の流れを遮断可能な電磁弁(10、10a、10d)が設けられている。
これによれば、冷媒回路において、大容積蒸発器に対する冷媒の流れを遮断可能な電磁弁が設けられていない。そのため、小容積蒸発器に冷却要求があると、大容積蒸発器に対する冷却要求の有無に関わらず、小容積蒸発器と大容積蒸発器との両方に冷媒が流れる。すなわち、小容積蒸発器のみに冷却要求がある場合でも、大容積蒸発器側の経路にも冷媒が流れるので、余剰となる冷媒が少なくなり、貯液部の容積を小型化できる。さらに、凝縮器に液相冷媒が過大に貯まることが無いので、圧縮機の冷媒出口から凝縮器までの経路を流れる高圧冷媒の圧力の過大な上昇が防がれ、圧縮機の寿命悪化および性能低下を防ぐことができる。
請求項11に係る発明は、車両に搭載されて冷却対象機器および冷却対象空間の温度調整を行う車載温調装置において、冷媒回路(2、2a、2b)、電子制御装置(4)、熱交換能力調整部(3)を備える。冷媒回路は、冷媒を圧縮して吐き出す圧縮機(5)、圧縮部で圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器(6)、液相の冷媒を貯留する貯液部(7、7a)、凝縮器で凝縮した液相の冷媒を減圧膨張させる複数の膨張弁(8a~8c)、および、膨張弁で膨張した冷媒を蒸発させる複数の蒸発器(9、9a~9e)が冷媒配管で接続されている。電子制御装置は、冷却対象機器および冷却対象空間を蒸発器により冷却する冷却要求に応じて車載温調装置の各構成の動作を制御する。熱交換能力調整部は、複数の蒸発器のうち冷媒の流れる部位の内容積が最も大きい大容積蒸発器(9b、9c)を流れる冷媒と熱交換させる外部流体を大容積蒸発器に供給し、大容積蒸発器の熱交換能力を調整可能である。複数の膨張弁と複数の蒸発器は、凝縮器で凝縮した冷媒が分流して一部の冷媒が一方の膨張弁と一方の蒸発器に流れ、その他の冷媒が他方の膨張弁と他方の蒸発器に流れた後、それぞれの蒸発器から流出した冷媒が合流して圧縮機に流入するように並列配置されている。冷媒回路には、大容積蒸発器に対する冷媒の流れを遮断可能な大容積側電磁弁(10b、10c)が設けられている。そして、電子制御装置は、外気温度が所定の閾値より高く、且つ、複数の蒸発器のうち大容積蒸発器を除いた1または複数の小容積蒸発器(9a、9d)に冷却要求が有り、大容積蒸発器に冷却要求が無い場合、圧縮機を駆動させ、大容積側電磁弁を開くことで、小容積蒸発器と大容積蒸発器との両方に冷媒を流し、さらに、熱交換能力調整部により外部流体を大容積蒸発器に供給する制御を実行する。
これによれば、冷媒回路において、大容積蒸発器に対する冷媒の流れを遮断可能な大容積側電磁弁が設けられている構成である。この構成において、電子制御装置は、外気温度が所定の閾値より高い場合、小容積蒸発器に冷却要求があると、大容積蒸発器に対する冷却要求の有無にかかわらず、大容積側電磁弁を開くと共に、外部流体を大容積蒸発器に供給する制御を実行する。したがって、外気温度が所定の閾値より高いときは、小容積蒸発器のみに冷却要求がある場合でも、大容積蒸発器側の経路にも冷媒が流れるので、余剰となる冷媒が少なくなり、貯液部の容積を小型化できる。さらに、凝縮器に液相冷媒が過大に貯まることが無いので、圧縮機の冷媒出口から凝縮器までの経路を流れる高圧冷媒の圧力の過大な上昇が防がれ、圧縮機の寿命悪化および性能低下を防ぐことができる。
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
第1実施形態に係る車載温調装置の構成図である。 貯液部としてのレシーバーの一例を示す断面図である。 貯液部としてのレシーバーの別の例を示す断面図である。 貯液部としてのレシーバーのさらに別の例を示す断面図である。 貯液部としてのアキュムレータの一例を示す断面図である。 第1実施形態に係る車載温調装置の冷却対象機器の一例としての電池の温度と、電池の出力特性および入力特性との関係を示すグラフである。 比較例の車載温調装置の構成図である。 比較例の車載温調装置ついて、各運転モードにおける蒸発器内の冷媒量を示すグラフである。 第1実施形態に係る車載温調装置ついて、各運転モードにおける蒸発器内の冷媒量を示すグラフである。 第1実施形態に係る車載温調装置の作動を説明するためのフローチャートである。 第2実施形態に係る車載温調装置の構成図である。 第3実施形態に係る車載温調装置の構成図である。 第4実施形態に係る車載温調装置の構成図である。 第5実施形態に係る車載温調装置の構成図である。 第6実施形態に係る車載温調装置の構成図である。 第7実施形態に係る車載温調装置の構成図である。 第8実施形態に係る車載温調装置の構成図である。 第9実施形態に係る車載温調装置の構成図である。 第10実施形態に係る車載温調装置において図14に対応する図である。 第10実施形態に係る車載温調装置において図16の電磁弁を一部変更した図である。 第10実施形態に係る車載温調装置において図16の電磁弁を一部変更した図である。 第10実施形態に係る車載温調装置において図16に対応する図である。 第10実施形態に係る車載温調装置において図15に対応する図である。 第10実施形態に係る車載温調装置において図17に対応する図である。 第10実施形態に係る車載温調装置において図18に対応する図である。 第11実施形態に係る車載温調装置の構成図である。 第11実施形態に係る車載温調装置の作動を説明するためのフローチャートである。 第12実施形態に係る車載温調装置の構成図である。 第13実施形態に係る車載温調装置の構成図である。 第14実施形態に係る車載温調装置の構成図である。 第15実施形態に係る車載温調装置の構成図である。 第16実施形態に係る車載温調装置の構成図である。 第17実施形態に係る車載温調装置の構成図である。 第18実施形態に係る車載温調装置の構成図である。 第19実施形態に係る車載温調装置の構成図である。 第20実施形態に係る車載温調装置において図31に対応する図である。 第20実施形態に係る車載温調装置において図33の電磁弁を一部変更した図である。 第20実施形態に係る車載温調装置において図33の電磁弁を一部変更した図である。 第20実施形態に係る車載温調装置において図33に対応する図である。 第20実施形態に係る車載温調装置において図32に対応する図である。 第20実施形態に係る車載温調装置において図35に対応する図である。 第20実施形態に係る車載温調装置において図34に対応する図である。 第20実施形態に係る車載温調装置において図35に対応する図である。 第21実施形態に係る車載温調装置の作動を説明するためのフローチャートである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。第1実施形態の車載温調装置は、各種車両に搭載されて冷却対象機器および冷却対象空間の温度調整を行うものである。以下の説明では、車載温調装置が搭載される車両としてバスを例に説明する。この場合、車載温調装置が冷却対象とする空間としてバスの車内空間が例示される。また、車載温調装置が冷却対象とする機器としてバスに搭載される2次電池などの蓄電装置(すなわち、電池)が例示される。なお、車載温調装置が搭載される車両はバスに限定されるものではない。
<第1実施形態の車載温調装置1の構成>
図1に示すように、車載温調装置1は、冷媒回路2としての冷凍サイクルと、熱交換能力調整部としてのブロワ3と、電子制御装置4(以下、「ECU」という)などを備えたエアコンユニットである。
冷媒回路2は、圧縮機5と、凝縮器6と、貯液部7と、複数の膨張弁8a、8bと、複数の蒸発器9a、9bと、電磁弁10とが冷媒配管で接続されて構成されている。冷媒回路2を循環する冷媒に限定はなく、例えば、HFC-134a、HFC-407C、HFO-1234yfなどのフロン系冷媒、またはCOなど、種々の冷媒を用いることができる。
圧縮機5は、蒸発器9a、9b側から吸入した低圧の気相冷媒を圧縮し、高圧となった気相冷媒を凝縮器6側へ送り出す。圧縮機5は、車両の走行エンジンから動力が伝達されて駆動するものでもよく、または、電動機を動力源とするものでもよい。
凝縮器6は、圧縮機5から送り込まれる高圧の気相冷媒を、外気との熱交換により冷却して凝縮させる熱交換器である。凝縮器6は、気相冷媒を外気に放熱させる放熱器とも呼ばれる。凝縮器6に対し、外気を送風するためのコンデンサファン11が設置されている。コンデンサファン11は、ECUからの指令により動作し、凝縮器6に対して外気を送風する。
貯液部7は、凝縮器6から流出する冷媒を、貯液部7内で気液分離して液相冷媒を貯え、液相冷媒のみを膨張弁8a、8b側へ送り出すものである。貯液部7は、レシーバーとも呼ばれる。貯液部7は、冷媒回路2の運転に必要な冷媒量が変化する際、余剰となる冷媒を貯留することが可能である。なお、貯液部7の内側には、冷媒に含まれる水分を除去するため、合成ゼオライトなどの乾燥剤が設置されている。
貯液部7の下流側に、冷媒配管を分岐させる分岐部12が設けられている。一方、圧縮機5の上流側に、冷媒配管を合流させる合流部13が設けられている。分岐部12と合流部13はいずれも、三方継手により構成される。或いは、分岐部12と合流部13は、複数の配管を接合して構成してもよく、または、金属ブロックや樹脂ブロックに複数の流路を設けることで構成してもよい。
分岐部12と合流部13とを接続する2つの経路のうち、一方の経路を第1分岐経路14と呼び、他方の経路を第2分岐経路15と呼ぶこととする。第1分岐経路14と第2分岐経路15とは並列に接続されている。
冷媒回路2に設けられる複数の蒸発器9a、9bのうち、冷媒が流れる部位の内容積が最も大きいものを大容積蒸発器9bと呼ぶこととする。一方、冷媒回路2に設けられる複数の蒸発器9a、9bのうち、大容積蒸発器9bを除いた1または複数の蒸発器9aを小容積蒸発器9aと呼ぶこととする。第1実施形態では、大容積蒸発器9bのうち冷媒が流れる部位の内容積(以下、「大容積蒸発器9bの内容積」という)は、小容積蒸発器9aのうち冷媒が流れる部位の内容積(以下、「小容積蒸発器9aの内容積」という)よりも非常に大きい。例えば大容積蒸発器9bの内容積は、小容積蒸発器9aの内容積の20倍程度である。
また、冷媒回路2に設けられる複数の膨張弁8a、8bのうち、小容積蒸発器9aの上流側に設けられるものを第1膨張弁8aと呼ぶこととする。冷媒回路2に設けられる複数の膨張弁8a、8bのうち、大容積蒸発器9bの上流側に設けられるものを第2膨張弁8bと呼ぶこととする。
第1分岐経路14には、分岐部12側から電磁弁10と第1膨張弁8aと小容積蒸発器9aが設けられている。一方、第2分岐経路15には、分岐部12側から第2膨張弁8bと大容積蒸発器9bが設けられている。すなわち、冷媒回路2において、「電磁弁10、第1膨張弁8aおよび小容積蒸発器9a」と、「第2膨張弁8bおよび大容積蒸発器9b」とは、並列配置されている。そのため、凝縮器6で凝縮した液相冷媒は、貯液部7を経由した後、分岐部12で分流し、一部の冷媒が電磁弁10と第1膨張弁8aと小容積蒸発器9aに流れ、その他の冷媒が第2膨張弁8bと大容積蒸発器9bに流れる。そして、小容積蒸発器9aと大容積蒸発器9bからそれぞれ流出した冷媒は合流部13で合流して圧縮機5に流入する。
ここで、第1実施形態において、貯液部7の内容積と、小容積蒸発器9aの内容積と、大容積蒸発器9bの内容積との関係について説明しておく。
その関係は、小容積蒸発器9aの内容積+貯液部7の内容積<大容積蒸発器9bの内容積 となっている。すなわち、小容積蒸発器9aの内容積と貯液部7の内容積との和は、大容積蒸発器9bの内容積より大きいものとなっている。したがって、大容積蒸発器9bの内容積と小容積蒸発器9aの内容積との差よりも、貯液部7の内容積は小さいものとされている。
なお、図2から図4に示すように、貯液部7の内容積とは、貯液部7のハウジング内において液相冷媒を貯留および排出可能な容積をいうものである。図2~図4では、貯液部7のハウジング71と、そのハウジング71内に冷媒を流入する流入管72と、ハウジング71内から液相冷媒を流出させる流出管73と、ハウジング71内に設けられた乾燥剤74を記載している。この場合、貯液部7の内容積は、図2~図4に破線によるハッチングで示したように、ハウジング71内の液流出部75よりも上方、且つ、乾燥剤74などの内部部材を除いた容積である。
なお、冷媒回路2は、貯液部7として、図1~図4に示したレシーバーに代えて、または、レシーバーと共に、図5に示したアキュムレータ7aを備えるものとしてもよい。アキュムレータ7aとは、蒸発器9の下流側、且つ、圧縮機5の上流側に配置され、蒸発器9から流出する冷媒を、アキュムレータ7a内で気液分離して液相冷媒を貯え、気相冷媒を圧縮機5に送り出すものである。図5では、貯液部7の一例としてのアキュムレータ7aのハウジング71aと、ハウジング71a内に冷媒を流入する流入管72aと、ハウジング71a内から気相冷媒を流出させる流出管73aと、ハウジング71a内に設けられた乾燥剤74aを記載している。この場合、貯液部7の内容積は、図5に破線によるハッチングで示したように、ハウジング71a内において乾燥剤74aなどの内部部材を除いた容積である。
図1に示すように、第1実施形態の冷媒回路2において、電磁弁10は、第1分岐経路14に設けられており、第2分岐経路15に設けられていない。電磁弁10は、流路を開閉可能な流路開閉弁である。電磁弁10は、ECUからの指令により動作し、第1分岐経路14の冷媒の流れを許容および遮断可能である。なお、第2分岐経路15に電磁弁10は設けられていないので、冷媒回路2の作動時には、電磁弁10の開閉動作に関わらず、第2分岐経路15に常に冷媒が流れることになる。
第1分岐経路14において電磁弁10の下流側に設けられる第1膨張弁8aは、液相冷媒を減圧膨張させ、霧状の気液二相状態として小容積蒸発器9aに供給するものである。第1膨張弁8aは、オリフィスまたはノズルのような固定絞り、或いは、適宜の可変絞り等により構成される。例えば、第1膨張弁8aとして、小容積蒸発器9aの出口側の冷媒の温度と圧力に応じて機械的機構により小容積蒸発器9aの入口側の弁開度を可変し、冷媒流量を調整するものが採用される。第1膨張弁8aを通過する冷媒は、第1膨張弁8aを通過する際に減圧され、霧状の気液二相状態となって小容積蒸発器9aに流入する。
小容積蒸発器9aは、第1膨張弁8a側から流入する気液二相状態の冷媒を、所定の冷却液と熱交換させることで蒸発させる熱交換器である。小容積蒸発器9aを流れる冷媒は、その所定の冷却液から吸熱することで蒸発する。そして、小容積蒸発器9aから流出する気相冷媒は、合流部13を経由して圧縮機5に吸入される。
第1実施形態において、小容積蒸発器9aを流れる冷媒と熱交換を行う所定の冷却液は、車両(第1実施形態ではバス)に搭載される電池の冷却に使用される。冷却液として、例えば、LLC(Long Life Coolant)、水、絶縁性流体、オイル、絶縁性オイルなど、種々の液体を用いることができる。すなわち、第1実施形態では、小容積蒸発器9aとして、冷却液-冷媒熱交換器(すなわち、チラー)が採用されている。
冷却液は、電池を冷却するための冷却液回路20を循環する循環液である。冷却液は、小容積蒸発器9aを流れる際、冷媒に放熱して冷却される。冷却液回路20には、例えば、ウォータポンプ21などの液体ポンプが設けられている。ウォータポンプ21は、ECUからの指令により駆動する。ウォータポンプ21の駆動により、冷却液は冷却液回路20を循環する。冷却液回路20には、バスに搭載される電池を冷却するための図示しない電池冷却器が設けられている。その電池冷却器において、冷却液と電池との熱交換が行われ、電池が冷却される。
なお、図6のグラフに示すように、電池は、所定の最適温度範囲(例えば、10℃~40℃)よりも低温になると、内部抵抗が増加し、出力特性と入力特性が共に低下する。また、電池は、所定の最適温度範囲よりも高温になると、出力特性と入力特性が共に低下すると共に、電池セルの劣化や破損に至るおそれがある。そのため、電池に所望の性能を発揮させるためには、電池が所定の最適温度範囲よりも低温となるときに電池を暖機し、電池が所定の最適温度範囲よりも高温となるときに電池を冷却することが必要である。その点、第1実施形態の小容積蒸発器9aが冷却対象とする冷却対象機器は電池である。小容積蒸発器9aは、電池の冷却要求に応じて作動し、冷却液回路20を循環する冷却液を介して電池冷却に用いられる。
一方、図1に示すように、第2分岐経路15に設けられる第2膨張弁8bは、液相冷媒を減圧膨張させ、霧状の気液二相状態として大容積蒸発器9bに供給するものである。第2膨張弁8bも、第1膨張弁8aと同様の構成のものが採用される。第2膨張弁8bを通過する冷媒は、第2膨張弁8bを通過する際に減圧され、霧状の気液二相状態となって大容積蒸発器9bに流入する。
大容積蒸発器9bは、第2膨張弁8b側から流入する気液二相状態の冷媒を、所定の外部流体と熱交換させることで蒸発させる熱交換器である。大容積蒸発器9bを流れる冷媒は、その所定の外部流体から吸熱することで蒸発する。そして、大容積蒸発器9bから流出する気相冷媒は、合流部13を経由して圧縮機5に吸入される。
第1実施形態において、大容積蒸発器9bを流れる冷媒と熱交換を行う所定の外部流体は、ブロワ3によって送風される空気である。ブロワ3は、ECUからの指令により動作し、大容積蒸発器9bに空気を送風する。そして、バス車両は、その大容積蒸発器9bにて冷媒との熱交換により冷却された空気が、図示しない複数の吹出口からバスの車室内に供給されるようになっている。これにより、車室内の空調が実施される。すなわち、大容積蒸発器9bが冷却対象とする冷却対象空間は車室内空間であり、大容積蒸発器9bとして車室内空調用のエバポレータが採用されている。大容積蒸発器9bおよびブロワ3は、基本的には車室内の空調要求に応じて作動し、冷却した空気を車室内に供給することで、車室内の空調に用いられる。但し、第1実施形態の冷媒回路2では、上述したように第2分岐経路15に電磁弁10が設けられていない。そのため、電池の冷却要求に応じて小容積蒸発器9aが作動する場合、車室内の空調要求の有無に関わらず、大容積蒸発器9bにも冷媒が流れ、大容積蒸発器9bでの熱交換が行われる。
ブロワ3は、ECUからの指令により動作し、大容積蒸発器9bに供給する空気の流量を可変することで、大容積蒸発器9bの熱交換能力を調整可能である。そのため、ブロワ3は、大容積蒸発器9bの熱交換能力調整部の一例に相当する。
圧縮機5の冷媒出口から凝縮器6までの経路には、高圧センサ18が設けられている。高圧センサ18は、その経路を流れる高圧冷媒の圧力に応じた信号を出力する。一方、合流部13から圧縮機5の冷媒吸入口までの経路には、低圧センサ19が設けられている。低圧センサ19は、その経路を流れる低圧冷媒の圧力に応じた信号を出力する。高圧センサ18の出力する信号と低圧センサ19の出力する信号はそれぞれECUに入力される。
ECUは、プロセッサ、メモリーを含むマイクロコンピュータとその周辺回路を備えており、メモリーに記憶された制御プログラムに基づいて、出力側に接続される車載温調装置1の各構成の動作を制御する。なお、ECUは、Electronic Control Unitの略である。ECUのメモリーは、非遷移的実体的記憶媒体である。第1実施形態のECUは、電池冷却要求および車室内空間の空調要求に応じて、圧縮機5、コンデンサファン11、電磁弁10、ブロワ3、ウォータポンプ21などの動作を制御する。第1実施形態のECUが実行する制御処理については後述する。
<比較例の車載温調装置1における冷媒量>
ここで、上記第1実施形態の構成と比較するため、比較例の車載温調装置1aについて説明する。
図7に示すように、比較例の車載温調装置1aが備える冷媒回路2の構成は、第1分岐経路14と第2分岐経路15にそれぞれ電磁弁10a、10bが設けられている。第1分岐経路14に設けられた電磁弁10aを小容積側電磁弁10aと呼び、第2分岐経路15に設けられた電磁弁10bを大容積側電磁弁10bと呼ぶこととする。なお、比較例の車載温調装置1aが備える冷媒回路2の構成は、大容積側電磁弁10bを除き、第1実施形態で説明した冷媒回路2の構成と同じである。
ここで、比較例の車載温調装置1aについて、冷房運転および電池冷却運転を実施する場合に大容積蒸発器9bおよび小容積蒸発器9aを流れる冷媒量について、図8を参照して説明する。なお、図8の縦軸の冷媒量[g]は、蒸発器9内の冷媒量の一例を示したものであり、比較例の車載温調装置1aを限定するものではない。また、比較例においても、第1実施形態と同じく、大容積蒸発器9bの内容積は、小容積蒸発器9aの内容積の20倍程度であるとする。
図8の縦棒Aは、冷房運転のみの場合の冷媒量を示している。比較例のECUは、冷房運転のみの場合、大容積側電磁弁10bを開き、小容積側電磁弁10aを閉じる。これにより、大容積蒸発器9bに冷媒が流れ、小容積蒸発器9aに冷媒が流れない。このときの冷媒量は、約1250g程度と例示されている。
図8の縦棒Bは、冷房運転と電池冷却運転の場合の冷媒量を示している。比較例のECUは、冷房運転と電池冷却運転の場合、小容積側電磁弁10aと大容積側電磁弁10bを開く。これにより、小容積蒸発器9aと大容積蒸発器9bに冷媒が流れる。このときの冷媒量は、約1350g程度と例示されている。
図8の縦棒Cは、電池冷却単独運転(すなわち、電池冷却のみの運転)の場合の冷媒量を示している。比較例のECUは、電池冷却単独運転の場合、小容積側電磁弁10aを開き、大容積側電磁弁10bを閉じる。これにより、小容積蒸発器9aに冷媒が流れ、大容積蒸発器9bに冷媒が流れない。このときの冷媒量は、約150g程度と例示されている。
図8の縦棒Aと縦棒Bに示すように、冷房運転のみの場合と、冷房運転と電池冷却運転の場合は、いずれも、蒸発器9内の冷媒量が非常に多いものとなっている。それに対し、縦棒Cに示すように、電池冷却単独運転の場合は、蒸発器9内の冷媒量は非常に少ないものとなっている。図8では、その差を約1200gとして例示している。このように、比較例では、電池冷却単独運転の場合、電池冷却に必要な冷媒量が少ないので、余剰となる冷媒を冷媒回路2に設置される貯液部7に貯める必要がある。その結果、貯液部7の容積を膨大にしなければならないといった問題が生じる。
仮に、貯液部7の容積を大きくしない場合、電池冷却単独運転の場合に凝縮器6の内部まで液相冷媒が貯まってしまう。これにより、冷媒回路2の作動中に圧縮機5の冷媒出口から凝縮器6までの経路を流れる高圧冷媒の圧力が上昇する。その結果、圧縮機5の寿命悪化、または、圧縮機5の性能低下が生じてしまうといった問題が生じる。
<第1実施形態の車載温調装置1における冷媒量>
上記比較例の車載温調装置1aに対し、第1実施形態の車載温調装置1について、冷房運転および電池冷却運転を実施する場合に大容積蒸発器9bおよび小容積蒸発器9aを流れる冷媒量について、図9を参照して説明する。なお、図9の縦軸の冷媒量[g]についても、蒸発器9内の冷媒量の一例を示したものであり、第1実施形態の車載温調装置1を限定するものではない。また、大容積蒸発器9bの内容積は、小容積蒸発器9aの内容積の20倍程度であるとする。
図9の縦棒Dは、冷房運転のみの場合の冷媒量を示している。第1実施形態のECUは、冷房運転のみの場合、第1分岐経路14に設けられた電磁弁10を閉じる。これにより、大容積蒸発器9bに冷媒が流れ、小容積蒸発器9aに冷媒が流れない。このときの冷媒量は、約1250g程度と例示されている。
図9の縦棒Eは、冷房運転と電池冷却運転の場合の冷媒量を示している。比較例のECUは、冷房運転と電池冷却運転の場合、第1分岐経路14に設けられた電磁弁10を開く。これにより、小容積蒸発器9aと大容積蒸発器9bに冷媒が流れる。このときの冷媒量は、約1350g程度と例示されている。
なお、第1実施形態の車載温調装置1は、電池冷却単独運転を行う場合はない。電池冷却の要求のみが有り、冷房要求がない場合であっても、小容積蒸発器9a設けられる第1分岐経路14と、大容積蒸発器9bが設けられる第2分岐経路15の両方に冷媒が流れるからである。
図9の縦棒Dと縦棒Eに示すように、冷房運転のみの場合と、冷房運転と電池冷却運転の場合は、いずれも、蒸発器9内の冷媒量が非常に多いものとなっている。図8では、縦棒Dと縦棒Eとの差を約100gとして例示している。なお、上述したように、第1実施形態の車載温調装置1は、電池冷却単独運転を行う場合はないので、比較例のように蒸発器9内の冷媒量が非常に少なくなることはない。そのため、貯液部7の容積を小さくすることができる。また、貯液部7の容積を小さくしても、凝縮器6に液相冷媒の貯まる量が過大になることが無いので、圧縮機5の冷媒出口から凝縮器6までの経路を流れる高圧冷媒の圧力の過大な上昇が防がれ、圧縮機5の寿命悪化および性能低下を防ぐことができる。
<第1実施形態のECUが実行する制御処理>
続いて、第1実施形態の車載温調装置1が備えるECUが実行する制御処理について、図10のフローチャートを参照して説明する。この制御処理は、車両のイグニッションスイッチなどの走行スイッチがオンされた後、所定の制御時間間隔で繰り返し実行されるものである。
まず、ステップS10でECUは、冷房要求が有るか否かを判定する。冷房要求が有ると判定された場合(すなわち、ステップS10の判定YES)、処理はステップS20に進む。
ステップS20でECUは、電池冷却要求が有るか否かを判定する。電池冷却要求が有ると判定された場合(すなわち、ステップS20の判定YES)、処理はステップS30に進む。
ステップS30でECUは、[冷房+電池冷却運転]を実行する。このとき、ECUは、ウォータポンプ21をオン、ブロワ3をオン、圧縮機5をオン、コンデンサファン11をオンし、電磁弁10を開く。これにより、大容積蒸発器9bと小容積蒸発器9aの両方で熱交換が行われる。なお、上述したように、大容積蒸発器9bにおける熱交換により、車室内に供給される空気が冷却され、車室内の冷房が実行される。また、小容積蒸発器9aにおける熱交換により、冷却液回路20を循環する冷却液が冷却され、電池冷却が実行される。
それに対し、ステップS10にて、冷房要求が有ると判定され(すなわち、ステップS10の判定YES)、続くステップS20にて、電池冷却要求が無いと判定された場合(すなわち、ステップS20の判定NO)、処理はステップS40に進む。
ステップS40でECUは、[冷房運転]を実行する。このとき、ECUは、ウォータポンプ21をオフ、ブロワ3をオン、圧縮機5をオン、コンデンサファン11をオンし、電磁弁10を閉じる。これにより、大容積蒸発器9bのみで熱交換が行われ、車室内の冷房が実行される。
また、ステップS10の判定で、冷房要求が無いと判定された場合(すなわち、ステップS10の判定NO)、処理はステップS50に進む。
ステップS50でECUは、電池冷却要求が有るか否かを判定する。電池冷却要求が有ると判定された場合(すなわち、ステップS50の判定YES)、処理はステップS60に進む。
ステップS60でECUは、[こそっと冷房+電池冷却運転]を実行する。本明細書において、「こそっと冷房」とは、乗員がフィーリングの悪化を感じない程度まで風量を落とすか、または、風量を0として、大容積蒸発器9bにて熱交換を行うことをいう。具体的には、ブロワ3の送風量を、ECUに設定された流量設定の中で最も低い流量(すなわち、ブロワLo駆動)以下の風量とすることで、乗員にフィーリング悪化を感じさせないようにすることができる。
なお、特定の車両においては、車室内センサの温度検出精度をあげるために冷房要求無し、電池冷却要求無しの際にも乗員のフィーリング悪化を感じない程度の微小出力で駆動しているものが存在する。そのような車両については、冷房要求無し、電池冷却要求無しの際に駆動しているブロワ3の風量も、「ECUに設定された流量設定の中で最も低い流量以下の風量」に含まれる。
ステップS60の[こそっと冷房+電池冷却運転]にて、ECUは、ウォータポンプ21をオン、ブロワ3を上述したLo駆動にてオン、圧縮機5をオン、コンデンサファン11をオンし、電磁弁10を開く。これにより、大容積蒸発器9bと小容積蒸発器9aの両方で熱交換が行われる。大容積蒸発器9bにおける熱交換では、ブロワ3がLo駆動されているので、乗員がフィーリングの悪化を感じることはない。また、小容積蒸発器9aにおける熱交換により、冷却液回路20を循環する冷却液が冷却され、電池冷却が実行される。
それに対し、ステップS10にて、冷房要求が無いと判定され(すなわち、ステップS10の判定NO)、続くステップS50にて、電池冷却要求も無いと判定された場合(すなわち、ステップS50の判定NO)、処理はステップS70に進む。
ステップS70でECUは、冷媒回路2の運転を[停止]する。このとき、ECUは、ウォータポンプ21をオフ、ブロワ3をオフ、圧縮機5をオフ、コンデンサファン11をオフする。これにより、冷媒回路2の運転が停止する。
なお、上記ステップS60で説明した[こそっと冷房+電池冷却運転]は、大容積蒸発器9bに冷却要求が無く、小容積蒸発器9aに冷却要求が有る場合と言い換えることができる。この場合、ECUは、上述したとおり、圧縮機5を駆動させ、電磁弁10を開くことで、小容積蒸発器9aと大容積蒸発器9bとの両方に冷媒を流す制御を実行する。さらに、ECUは、熱交換能力調整部としてのブロワ3により大容積蒸発器9bに供給する空気の供給量を少なくする。具体的には、ブロワ3の送風量を、ECUに設定された流量設定の中で最も低い流量(すなわち、ブロワLo駆動)以下として、乗員にフィーリング悪化を感じさせないようにする。
<運転状態が切り替わった場合にECUが実行する制御処理>
続いて、上記で説明した4つの運転状態(すなわち、[冷房+電池冷却運転]、[冷房運転]、[こそっと冷房+電池冷却運転]、[停止])が切り替わった場合にECUが実行する制御処理について説明する。
まず、[冷房+電池冷却運転]から[こそっと冷房+電池冷却運転]に運転状態が切り替わった場合に、ECUが実行する制御処理について説明する。この場合、小容積蒸発器9aに冷却要求があり、大容積蒸発器9bに冷却要求が有る状態から無い状態に変わった場合と言い換えることができる。この場合、ECUは、圧縮機5を駆動させ、電磁弁10を開くことで、小容積蒸発器9aと大容積蒸発器9bとの両方に冷媒を流し、さらに、ブロワ3により空気を大容積蒸発器9bに供給する制御を継続して実行する。なお、その場合、ECUは、ブロワ3により大容積蒸発器9bに供給する空気の供給量を少なくする。具体的には、ブロワ3の送風量を、ECUに設定された流量設定の中で最も低い流量(すなわち、ブロワLo駆動)以下として、乗員にフィーリング悪化を感じさせないようにする。
次に、[こそっと冷房+電池冷却運転]から[冷房+電池冷却運転]に運転状態が切り替わった場合に、ECUが実行する制御処理について説明する。この場合、小容積蒸発器9aに冷却要求があり、大容積蒸発器9bに冷却要求が無い状態から有る状態に変わった場合と言い換えることができる。この場合、ECUは、圧縮機5を駆動させ、電磁弁10を開くことで、小容積蒸発器9aと大容積蒸発器9bとの両方に冷媒を流し、さらに、ブロワ3により空気を大容積蒸発器9bに供給する制御を継続して実行する。
続いて、[停止]から[こそっと冷房+電池冷却運転]に運転状態が切り替わった場合に、ECUが実行する制御処理について説明する。この場合、大容積蒸発器9bに冷却要求が無く、小容積蒸発器9aに冷却要求が無い状態から有る状態に変わった場合と言い換えることができる。この場合、ECUは、圧縮機5を駆動させ、電磁弁10を開くことで、小容積蒸発器9aと大容積蒸発器9bとの両方に冷媒を流し、さらに、ブロワ3により空気を大容積蒸発器9bに供給する制御を開始する。
次に、[こそっと冷房+電池冷却運転]から[停止]に運転状態が切り替わった場合に、ECUが実行する制御処理について説明する。この場合、大容積蒸発器9bに冷却要求が無く、小容積蒸発器9aに冷却要求が有る状態から無い状態に変わった場合と言い換えることができる。この場合、ECUは、圧縮機5の駆動を停止し、さらに、ブロワ3を停止する。
以上説明した第1実施形態の車載温調装置1のECUが実行する制御処理は、後述する第2~第10実施形態の車載温調装置1のECUが実行する制御処理にも適用することが可能である。
<第1実施形態の作用効果>
第1実施形態の車載温調装置1は、次の作用効果を奏するものである。
(1)第1実施形態では、冷媒回路2において、複数の膨張弁8a、8bと複数の蒸発器9とが並列配置されている構成である。そして、冷媒回路2には、大容積蒸発器9bに対する冷媒の流れを遮断可能な電磁弁10が設けられておらず、小容積蒸発器9aに対する冷媒の流れを遮断可能な電磁弁10が設けられている。
これによれば、冷媒回路2において、大容積蒸発器9bに対する冷媒の流れを遮断可能な電磁弁10が設けられていない。そのため、小容積蒸発器9aに冷却要求があると、大容積蒸発器9bに対する冷却要求の有無に関わらず、小容積蒸発器9aと大容積蒸発器9bとの両方に冷媒が流れる。すなわち、小容積蒸発器9aのみに冷却要求がある場合でも、大容積蒸発器9b側の経路にも冷媒が流れるので、余剰となる冷媒が少なくなり、貯液部7の容積を小型化できる。さらに、凝縮器6に液相冷媒が過大に貯まることが無いので、圧縮機5の冷媒出口から凝縮器6までの経路を流れる高圧冷媒の圧力の過大な上昇が防がれ、圧縮機5の寿命悪化および性能低下を防ぐことができる。
(2)第1実施形態では、小容積蒸発器9aが設けられる第1分岐経路14に電磁弁10が設けられており、大容積蒸発器9bが設けられる第2分岐経路15には電磁弁10が設けられていない。これによれば、第1実施形態の冷媒回路2における具合的な構成が例示される。
(3)第1実施形態では、ECUは、小容積蒸発器9aに冷却要求があり、大容積蒸発器9bに冷却要求が無い場合、圧縮機5を駆動させ、電磁弁10を開くことで、小容積蒸発器9aと大容積蒸発器9bとの両方に冷媒を流す制御を実行する。
これによれば、小容積蒸発器9aのみに冷却要求がある場合でも、大容積蒸発器9b側の経路にも冷媒が流れるので、余剰となる冷媒が少なくなり、貯液部7の容積を小型化できる。さらに、凝縮器6に液相冷媒が過大に貯まることが無いので、高圧冷媒の圧力の過大な上昇が防がれ、圧縮機5の寿命悪化および性能低下を防ぐことができる。
(4)第1実施形態では、ECUは、小容積蒸発器9aに冷却要求があり、大容積蒸発器9bに冷却要求が無い場合、圧縮機5を駆動させ、電磁弁10を開くことで、小容積蒸発器9aと大容積蒸発器9bとの両方に冷媒を流し、さらに、ブロワ3により空気を大容積蒸発器9bに供給する制御を実行する。
これによれば、大容積蒸発器9bで熱交換が行われるので、大容積蒸発器9bから液相冷媒が圧縮機5に流入することを防ぐことができる。したがって、圧縮機5の寿命悪化および性能低下を防ぐことができる。
(5)第1実施形態では、ECUは、小容積蒸発器9aに冷却要求があり、大容積蒸発器9bに冷却要求がある状態から無い状態に変わった場合、圧縮機5を駆動させ、電磁弁10を開くことで、小容積蒸発器9aと大容積蒸発器9bとの両方に冷媒を流し、さらに、ブロワ3により空気を大容積蒸発器9bに供給する制御を継続して実行する。
これによれば、大容積蒸発器9bに冷却要求がある状態から無い状態に変わった場合でも、小容積蒸発器9aに冷却要求があれば、ブロワ3により空気を大容積蒸発器9bに供給する制御を継続することで、大容積蒸発器9bで熱交換が継続して行われる。そのため、大容積蒸発器9bから液相冷媒が圧縮機5に流入することを防ぐことができる。
(6)第1実施形態では、ECUは、小容積蒸発器9aに冷却要求があり、大容積蒸発器9bに冷却要求がある状態から無い状態に変わった場合、圧縮機5を駆動させ、電磁弁10を開くことで、小容積蒸発器9aと大容積蒸発器9bとの両方に冷媒を流し、さらに、ブロワ3により大容積蒸発器9bに供給する空気の供給量を少なくする制御を実行する。
これによれば、大容積蒸発器9bに冷却要求がある状態から無い状態に変わった場合でも、小容積蒸発器9aに冷却要求があれば、ブロワ3により空気を大容積蒸発器9bに供給する制御を継続することで、大容積蒸発器9bで熱交換が継続して行われる。このとき、大容積蒸発器9bに供給する空気の供給量を少なくする制御を実行することで、乗員のフィーリング悪化を抑えることができる。
(7)第1実施形態では、ECUは、小容積蒸発器9aに冷却要求があり、大容積蒸発器9bに冷却要求が無い状態から有る状態に変わった場合、圧縮機5を駆動させ、電磁弁10を開くことで、小容積蒸発器9aと大容積蒸発器9bとの両方に冷媒を流し、さらに、ブロワ3により空気を大容積蒸発器9bに供給する制御を継続して実行する。
これによれば、小容積蒸発器9aに冷却要求があれば、大容積蒸発器9bへの冷却要求の有無に関わらず、ブロワ3により空気を大容積蒸発器9bに供給する制御が継続して実行され、大容積蒸発器9bで熱交換が継続して行われる。
(8)第1実施形態では、ECUは、大容積蒸発器9bに冷却要求が無く、小容積蒸発器9aに冷却要求が無い状態から有る状態に変わった場合、圧縮機5を駆動させ、電磁弁10を開くことで、小容積蒸発器9aと大容積蒸発器9bとの両方に冷媒を流し、さらに、ブロワ3により空気を大容積蒸発器9bに供給する制御を開始する。
これによれば、大容積蒸発器9bへの冷却要求が無くても、小容積蒸発器9aに冷却要求が無い状態から有る状態に変わった場合には、ブロワ3により空気を大容積蒸発器9bに供給する制御が開始され、大容積蒸発器9bでの熱交換が開始される。
(9)第1実施形態では、ECUは、大容積蒸発器9bに冷却要求が無く、小容積蒸発器9aに冷却要求が有る状態から無い状態に変わった場合、圧縮機5の駆動を停止させ、さらに、ブロワ3により空気を大容積蒸発器9bに供給する制御を停止する。
これによれば、大容積蒸発器9bへの冷却要求が無く、小容積蒸発器9aに冷却要求が有る状態から無い状態に変わった場合には、全ての蒸発器9に対する冷却要求が無くなるので、圧縮機5およびブロワ3の駆動を停止し、不要な冷却を防ぐ。
(10)第1実施形態では、ECUは、小容積蒸発器9aに冷却要求があり、大容積蒸発器9bに冷却要求が無い場合、圧縮機5を駆動させ、電磁弁10を開くことで、小容積蒸発器9aと大容積蒸発器9bとの両方に冷媒を流し、さらに、ブロワ3により大容積蒸発器9bに供給する空気の供給量をECUに設定された流量設定の中で最も低い流量以下の風量とする制御を実行する。
これによれば、小容積蒸発器9aに冷却要求があれば、大容積蒸発器9bに冷却要求が無い場合でも、ブロワ3により空気を大容積蒸発器9bに供給し、大容積蒸発器9bで熱交換が行われる。このとき、大容積蒸発器9bに供給する空気の供給量をECUに設定された流量設定の中で最も低い流量以下の風量とすることで、乗員にフィーリング悪化を感じさせないようにすることができる。
なお、特定の車両においては、車室内センサの温度検出精度をあげるために冷房要求無し、電池冷却要求無しの際にも乗員のフィーリング悪化を感じない程度の微小出力で駆動しているものが存在する。そのような車両については、冷房要求無し、電池冷却要求無しの際に駆動しているブロワ3の風量も、「ECUに設定された流量設定の中で最も低い流量以下の風量」に含まれる。
(11)第1実施形態では、小容積蒸発器9aの内容積と貯液部7の内容積との和よりも、大容積蒸発器9bの内容積は大きい。すなわち、貯液部7の内容積は、大容積蒸発器9bの内容積と小容積蒸発器9aの内容積との差よりも小さくできる。したがって、貯液部7の容積を大きく確保できない場合に効果がある。
(12)第1実施形態では、大容積蒸発器9bは、車室内空調に用いられ、大容積蒸発器9bを流れる冷媒と空気との熱交換により冷却された空気を車室内に供給し、冷却対象空間である車室内を冷房する空調用蒸発器である。
これによれば、大容積蒸発器9bとして、冷却対象空間である車室内を冷房する空調用蒸発器が例示される。
(13)第1実施形態では、熱交換能力調整部は、外部流体としての空気を大容積蒸発器9bに供給し、大容積蒸発器9bで冷却された空気を車室内に供給するブロワ3である。
これによれば、熱交換能力調整部として、ブロワ3が例示される。
(14)第1実施形態では、小容積蒸発器9aは、車両に搭載される冷却対象機器を冷却するための冷却液と小容積蒸発器9aを流れる冷媒との熱交換により、冷却液を冷却する冷却液-冷媒熱交換器(すなわち、チラー)である。
これによれば、小容積蒸発器9aとして、冷却液-冷媒熱交換器(すなわち、チラー)が例示される。
(15)第1実施形態では、小容積蒸発器9aが冷却する冷却対象機器は、車両に搭載された電池である。
これによれば、小容積蒸発器9aが冷却する冷却対象機器として、車両に搭載された電池が例示される
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態に対して冷媒回路2の構成を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図11に示すように、第2実施形態の車載温調装置1は、2個の冷媒回路2a、2bを備えたエアコンユニットである。2個の冷媒回路2a、2bそれぞれの構成は、第1実施形態で説明した冷媒回路2の構成と同一である。すなわち、2個の冷媒回路2a、2bそれぞれに設けられた2個の小容積蒸発器9aはいずれも、冷却液-冷媒熱交換器(すなわち、チラー)であり、電池冷却に用いられるものである。また、2個の冷媒回路2a、2bそれぞれに設けられた2個の大容積蒸発器9bはいずれも、車室内の空調に用いられるものである。
以上説明した第2実施形態の車載温調装置1の構成においても、第1実施形態の車載温調装置1と同様の作用効果を奏することができる。さらに、第2実施形態の車載温調装置1は、2個の冷媒回路2により、車室内冷房の能力と電池冷却の能力を高めることができる。
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。第3実施形態も、第1実施形態に対して冷媒回路2の構成を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図12に示すように、第3実施形態の車載温調装置1は、1個の冷媒回路2の中に、1個の小容積蒸発器9aと2個の大容積蒸発器9b、9cを備えるものである。具体的に、この冷媒回路2は、圧縮機5と、凝縮器6と、貯液部7と、3個の膨張弁8a、8b、8cと、3個の蒸発器(すなわち、1個の小容積蒸発器9aと2個の大容積蒸発器9b、9c)と、1個の電磁弁10とが冷媒配管で接続されて構成されている。
圧縮機5、凝縮器6、貯液部7については、第1実施形態で説明したものと実質的に同一である。1個の小容積蒸発器9aは、冷却液-冷媒熱交換器(すなわち、チラー)であり、電池冷却に用いられるものである。一方、2個の大容積蒸発器9b、9cはいずれも、車室内の空調に用いられるものである。なお、第3実施形態では、2個の大容積蒸発器9b、9cのうち、一方の大容積蒸発器9bを第1大容積蒸発器9bと呼び、他方の大容積蒸発器9bを第2大容積蒸発器9cと呼ぶ。なお、熱交換能力調整部としてのブロワ3a、3bは、第1大容積蒸発器9bと第2大容積蒸発器9cのそれぞれに設けられている。
冷媒回路2において、貯液部7の下流側に設けられる分岐部12は、四方継手により構成されている。分岐部12の下流側に延びる3本の分岐経路にそれぞれ、小容積蒸発器9a、第1大容積蒸発器9b、第2大容積蒸発器9cが設けられている。すなわち、小容積蒸発器9aと第1大容積蒸発器9bと第2大容積蒸発器9cとは並列配置されている。
詳細には、分岐部12の下流側に延びる3本の分岐経路のうち、第1分岐経路14に、分岐部12側から電磁弁10、第1膨張弁8aおよび小容積蒸発器9aが設けられている。また、その3本の分岐経路のうち、第2分岐経路15に、分岐部12側から第2膨張弁8bおよび第1大容積蒸発器9bが設けられている。さらに、その3本の分岐経路のうち、第3分岐経路16に、分岐部12側から第3膨張弁8cおよび第2大容積蒸発器9cが設けられている。
すなわち、冷媒回路2において、「電磁弁10、第1膨張弁8aおよび小容積蒸発器9a」と、「第2膨張弁8bおよび第1大容積蒸発器9b」と、「第3膨張弁8cおよび第2大容積蒸発器9c」とは、並列配置されている。そして、小容積蒸発器9aが設けられている第1分岐経路14のみに電磁弁10が設けられており、第1大容積蒸発器9bおよび第2大容積蒸発器9cが設けられている第2分岐経路15と第3分岐経路16に電磁弁10は設けられていない。
一方、第1大容積蒸発器9bの下流側の配管と第2大容積蒸発器9cの下流側の配管とを接続する第1合流部13aは、三方継手により構成されている。その第1合流部13aの下流側の配管13cと小容積蒸発器9aの下流側の配管とを接続する第2合流部13bも、三方継手により構成されている。なお、第1合流部13aと第2合流部13bとそれらを接続する配管13cとは、四方継手により構成してもよい。
以上説明した第3実施形態の車載温調装置1の構成においても、第1実施形態の車載温調装置1と同様の作用効果を奏することができる。さらに、第3実施形態の車載温調装置1は、2個の大容積蒸発器9b、9cにより車室内冷房能力を高めることができる。
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する。第4実施形態も、第1実施形態に対して冷媒回路2の構成を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図13に示すように、第4実施形態の車載温調装置1は、1個の冷媒回路2の中に、2個の小容積蒸発器9a、9dと1個の大容積蒸発器9bを備えるものである。具体的に、この冷媒回路2は、圧縮機5と、凝縮器6と、貯液部7と、3個の膨張弁8a、8b、8cと、3個の蒸発器(すなわち、2個の小容積蒸発器9a、9dと1個の大容積蒸発器9b)と、2個の電磁弁10a、10dとが冷媒配管で接続されて構成されている。
圧縮機5、凝縮器6、貯液部7については、第1実施形態で説明したものと実質的に同一である。2個の小容積蒸発器9a、9dは、冷却液-冷媒熱交換器(すなわち、チラー)であり、それぞれ電池冷却と走行用インバータ冷却とに用いられるものである。一方、大容積蒸発器9bは、車室内の空調に用いられるものである。なお、第4実施形態では、2個の小容積蒸発器9a、9dのうち、電池冷却に用いられるものを第1小容積蒸発器9aと呼び、走行用インバータ冷却に用いられるものを第2小容積蒸発器9dと呼ぶ。なお、第1小容積蒸発器9aと第2小容積蒸発器9dは、それらの用途に限定されるものでなく、例えば、ADAS用のECU、DC-DCコンバータ、走行用モータ、またはエンジンなど、車両に搭載される種々の発熱機器の冷却に用いてもよい。
冷媒回路2において、貯液部7の下流側に設けられる分岐部12は、四方継手により構成されている。分岐部12の下流側に延びる3本の分岐経路にそれぞれ、第1小容積蒸発器9a、大容積蒸発器9b、第2小容積蒸発器9dが設けられている。すなわち、第1小容積蒸発器9aと大容積蒸発器9bと第2小容積蒸発器9dとは並列配置されている。
詳細には、分岐部12の下流側に延びる3本の分岐経路のうち、第1分岐経路14に、分岐部12側から第1小容積側電磁弁10a、第1膨張弁8aおよび第1小容積蒸発器9aが設けられている。また、その3本の分岐経路のうち、第2分岐経路15に、分岐部12側から第2膨張弁8bおよび大容積蒸発器9bが設けられている。さらに、その3本の分岐経路のうち、第3分岐経路16に、分岐部12側から第2小容積側電磁弁10d、第3膨張弁8cおよび第2小容積蒸発器9dが設けられている。
すなわち、冷媒回路2において、「第1小容積側電磁弁10a、第1膨張弁8aおよび第1小容積蒸発器9a」と、「第2膨張弁8bおよび大容積蒸発器9b」と、「第2小容積側電磁弁10d、第3膨張弁8cおよび第2小容積蒸発器9d」とは、並列配置されている。そして、第1小容積蒸発器9aが設けられている第1分岐経路14と、第2小容積蒸発器9dが設けられている第3分岐経路16とに電磁弁10a、10dが設けられており、大容積蒸発器9bが設けられている第2分岐経路15に電磁弁10は設けられていない。
一方、第1小容積蒸発器9aの下流側の配管と大容積蒸発器9bの下流側の配管とを接続する第1合流部13aは、三方継手により構成されている。その第1合流部13aの下流側の配管13cと第2小容積蒸発器9dの下流側の配管とを接続する第2合流部13bも、三方継手により構成されている。なお、第1合流部13aと第2合流部13bとそれらを接続する配管13cとは、四方継手により構成してもよい。
以上説明した第4実施形態の車載温調装置1の構成においても、第1実施形態の車載温調装置1と同様の作用効果を奏することができる。さらに、第4実施形態の車載温調装置1は、2個の小容積蒸発器9a、9dにより、電池冷却に加えて、走行用インバータなどの種々の発熱機器の冷却を行うことができる。
(第5実施形態)
第5実施形態について説明する。第5実施形態は、第1実施形態に対して冷媒回路2の蒸発器9a、9bの構成および用途を限定しないものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図14に示すように、第5実施形態の車載温調装置1は、第1実施形態で説明したものと実質的に同一である。ただし、第5実施形態では、小容積蒸発器9aと大容積蒸発器9bの構成および用途などを限定していない。
第5実施形態においても、小容積蒸発器9aの内容積は、大容積蒸発器9bの内容積より小さい。その場合、小容積蒸発器9aが設けられている第1分岐経路14に電磁弁10が設けられ、大容積蒸発器9bが設けられている第2分岐経路15に電磁弁10は設けられていない。そのため、冷媒回路2の作動時には、電磁弁10の開閉動作に関わらず、第2分岐経路15に常に冷媒が流れ、大容積蒸発器9bでの熱交換が行われることになる。
以上説明した第5実施形態の車載温調装置1の構成においても、第1実施形態の車載温調装置1と同様の作用効果を奏することができる。
(第6実施形態)
第6実施形態について説明する。第6実施形態は、第3実施形態に対して冷媒回路2の蒸発器9a、9b、9cの構成および用途を限定しないものであり、その他については第3実施形態と同様であるため、第3実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図15に示すように、第6実施形態の車載温調装置1は、第3実施形態で説明したものと実質的に同一である。ただし、第6実施形態では、小容積蒸発器9a、第1大容積蒸発器9b、第2大容積蒸発器9cの構成および用途などを限定していない。
第6実施形態においても、小容積蒸発器9aの内容積は、第1大容積蒸発器9bおよび第2大容積蒸発器9cの内容積より小さい。すなわち、「小容積蒸発器9aの内容積<第1大容積蒸発器9bの内容積=第2大容積蒸発器9cの内容積」の関係にある。その場合、小容積蒸発器9aが設けられている第1分岐経路14に電磁弁10が設けられ、第1大容積蒸発器9b、第2大容積蒸発器9cがそれぞれ設けられている第2分岐経路15と第3分岐経路16に電磁弁10は設けられていない。そのため、冷媒回路2の作動時には、電磁弁10の開閉動作に関わらず、第2分岐経路15と第3分岐経路16に常に冷媒が流れ、第1大容積蒸発器9b、第2大容積蒸発器9cでの熱交換が行われることになる。
以上説明した第6実施形態の車載温調装置1の構成においても、第3実施形態の車載温調装置1と同様の作用効果を奏することができる。
(第7実施形態)
第7実施形態について説明する。第7実施形態は、第4実施形態に対して冷媒回路2の蒸発器9a、9b、9dの構成および用途を限定しないものであり、その他については第4実施形態と同様であるため、第4実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図16に示すように、第7実施形態の車載温調装置1は、第4実施形態で説明したものと実質的に同一である。ただし、第7実施形態では、第1小容積蒸発器9a、大容積蒸発器9b、第2小容積蒸発器9dの構成および用途などを限定していない。
第7実施形態においても、第1小容積蒸発器9aおよび第2小容積蒸発器9dの内容積は、大容積蒸発器9bの内容積より小さい。すなわち、「第1小容積蒸発器9aの内容積=第2小容積蒸発器9dの内容積<大容積蒸発器9bの内容積」の関係にある。その場合、第1小容積蒸発器9aが設けられている第1分岐経路14と、第2小容積蒸発器9dが設けられている第3分岐経路16とに電磁弁10a、10dが設けられ、大容積蒸発器9bが設けられている第2分岐経路15に電磁弁10は設けられていない。そのため、冷媒回路2の作動時には、電磁弁10a、10dの開閉動作に関わらず、第2分岐経路15に常に冷媒が流れ、大容積蒸発器9bでの熱交換が行われることになる。
以上説明した第7実施形態の車載温調装置1の構成においても、第4実施形態の車載温調装置1と同様の作用効果を奏することができる。
(第8実施形態)
第8実施形態について説明する。第8実施形態は、第6および第7実施形態等に対して冷媒回路2の蒸発器9a、9b、9eの構成を変更したものであり、その他については第6および第7実施形態等と同様であるため、第6および第7実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図17に示すように、第8実施形態の車載温調装置1は、第6および第7実施形態等で説明したものと実質的に同一である。ただし、第8実施形態では、3個の蒸発器9a、9e、9bは、小容積蒸発器9a、中容積蒸発器9e、大容積蒸発器9bとされている。すなわち、「小容積蒸発器9aの内容積<中容積蒸発器9eの内容積<大容積蒸発器9bの内容積」の関係にある。
小容積蒸発器9aは第1分岐経路14に設けられ、中容積蒸発器9eは第2分岐経路15に設けられ、大容積蒸発器9bは第3分岐経路16に設けられているものとする。その場合、大容積蒸発器9bが設けられている第3分岐経路16に電磁弁10は設けられていない。第8実施形態では、小容積蒸発器9aが設けられている第1分岐経路14のみに電磁弁10が設けられている。そのため、冷媒回路2の作動時には、電磁弁10の開閉動作に関わらず、第2分岐経路15と第3分岐経路16に常に冷媒が流れ、中容積蒸発器9eと大容積蒸発器9bでの熱交換が行われることになる。
以上説明した第8実施形態の車載温調装置1の構成においても、第1~第7実施形態等と同様の作用効果を奏することができる。
(第9実施形態)
第9実施形態について説明する。第9実施形態も、第6および第7実施形態等に対して冷媒回路2の蒸発器9a、9b、9eの構成を変更したものであり、その他については第6および第7実施形態等と同様であるため、第6および第7実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図18に示すように、第9実施形態の車載温調装置1は、第6および第7実施形態等で説明したものと実質的に同一である。ただし、第9実施形態では、3個の蒸発器9a、9b、9eは、小容積蒸発器9a、中容積蒸発器9e、大容積蒸発器9bとされている。すなわち、「小容積蒸発器9aの内容積<中容積蒸発器9eの内容積<大容積蒸発器9bの内容積」の関係にある。
小容積蒸発器9aは第1分岐経路14に設けられ、中容積蒸発器9eは第2分岐経路15に設けられ、大容積蒸発器9bは第3分岐経路16に設けられているものとする。その場合、大容積蒸発器9bが設けられている第3分岐経路16に電磁弁10は設けられていない。第9実施形態では、小容積蒸発器9aが設けられている第1分岐経路14と、中容積蒸発器9eが設けられている第3分岐経路16に電磁弁10a、10eが設けられている。そのため、冷媒回路2の作動時には、電磁弁10の開閉動作に関わらず、第2分岐経路15に常に冷媒が流れ、大容積蒸発器9bでの熱交換が行われることになる。
以上説明した第9実施形態の車載温調装置1の構成においても、第1~第7実施形態等と同様の作用効果を奏することができる。
(第10実施形態)
第10実施形態について説明する。本開示は、貯液部7、7aの容積が確保できない場合に効果がある。そこで、第10実施形態では、上記各実施形態で説明した構成において、電磁弁10を設置することが好ましい位置について、(A)~(H)の例を説明する。
(A)図19に示す冷媒回路2は、第5実施形態で説明したものと同一である。この冷媒回路2の構成において、「大容積蒸発器9bの内容積>小容積蒸発器9aの内容積+貯液部7の内容積」の関係にある。その場合、電磁弁10は、小容積蒸発器9aが設けられている第1分岐経路14のみに設置すると良い。
(B)図20に示す冷媒回路2は、第7実施形態で説明したものと、電磁弁10を除いて同一である。この冷媒回路2の構成において、「大容積蒸発器9bの内容積>第1小容積蒸発器9aの内容積=第2小容積蒸発器9dの内容積」かつ「大容積蒸発器9bの内容積>第1小容積蒸発器9aの内容積+貯液部7の内容積」の関係にある。その場合、電磁弁10は、第1小容積蒸発器9aが設けられている第1分岐経路14のみに設置すると良い。
(C)図21に示す冷媒回路2も、第7実施形態で説明したものと、電磁弁10を除いて同一である。この冷媒回路2の構成において、「大容積蒸発器9bの内容積>第1小容積蒸発器9aの内容積=第2小容積蒸発器9dの内容積」かつ「大容積蒸発器9bの内容積>第2小容積蒸発器9dの内容積+貯液部7の内容積」の関係にある。その場合、電磁弁10は、第2小容積蒸発器9dが設けられている第3分岐経路16のみに設置すると良い。
(D)図22に示す冷媒回路2は、第7実施形態で説明したものと同一である。この冷媒回路2の構成において、必然的に、「大容積蒸発器9bの内容積>第1小容積蒸発器9aの内容積+貯液部7の内容積=第2小容積蒸発器9dの内容積+貯液部7の内容積」の関係にある。その場合、電磁弁10a、10dは、第1小容積蒸発器9aが設けられている第1分岐経路14と、第2小容積蒸発器9dが設けられている第3分岐経路16に設置しても良い。
(E)図23に示す冷媒回路2は、第6実施形態で説明したものと同一である。この冷媒回路2の構成において、「第1大容積蒸発器9bの内容積=第2大容積蒸発器9cの内容積>第1小容積蒸発器9aの内容積」かつ「第1大容積蒸発器9bの内容積=第2大容積蒸発器9cの内容積>小容積蒸発器9aの内容積+貯液部7の内容積」の関係にある。その場合、電磁弁10は、第1小容積蒸発器9aが設けられている第1分岐経路14に設置すると良い。
(F)図24に示す冷媒回路2は、第8実施形態で説明したものと同一である。この冷媒回路2の構成において、「大容積蒸発器9bの内容積>中容積蒸発器9eの内容積>小容積蒸発器9aの内容積」かつ「大容積蒸発器9bの内容積>小容積蒸発器9aの内容積+貯液部7の内容積」の関係にある。その場合、電磁弁10は、小容積蒸発器9aが設けられている第1分岐経路14に設置すると良い。
(G)図24に示す冷媒回路2の構成において、「大容積蒸発器9bの内容積>中容積蒸発器9eの内容積>小容積蒸発器9aの内容積」かつ「中容積蒸発器9eの内容積>小容積蒸発器9aの内容積+貯液部7の内容積」の関係にある場合にも、電磁弁10は、小容積蒸発器9aが設けられている第1分岐経路14に設置すると良い。
(H)図25に示す冷媒回路2は、第9実施形態で説明したものと同一である。この冷媒回路2の構成において、「大容積蒸発器9bの内容積>中容積蒸発器9eの内容積>小容積蒸発器9aの内容積」かつ「大容積蒸発器9bの内容積>中容積蒸発器9eの内容積+貯液部7の内容積」の関係にある。その場合、電磁弁10eは、中容積蒸発器9eが設けられている第2分岐経路15に設置すると良い。さらに、この場合、必然的に、「大容積蒸発器9bの内容積>小容積蒸発器9aの内容積+貯液部7の内容積」の関係となるので、電磁弁10aは、小容積蒸発器9aが設けられている第1分岐経路14に設置すると良い。
なお、冷媒回路2に4個以上の蒸発器9が設けられている場合も、上記(A)~(H)の考え方に基づいて電磁弁10を設置する。
(第11実施形態)
第11実施形態について説明する。第11実施形態は、第1実施形態に対して、電磁弁10bを追加し、ECUによる制御方法を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図26に示すように、第11実施形態の車載温調装置1における冷媒回路2の構成は、上記第1実施形態で説明したものと、電磁弁を除いて同一である。なお、ECUには、外気温を検出する温度センサ30から信号が入力されるようになっている。
ところで、上述した第1実施形態では、図1に示したように、小容積蒸発器9aが設けられる第1分岐経路14に電磁弁10を設け、大容積蒸発器9bが設けられる第2分岐経路15には電磁弁10を設けない構成とした。
それに対し、第11実施形態では、図26に示すように、第1分岐経路14と第2分岐経路15の両方にそれぞれ電磁弁10a、10bを設ける構成としている。小容積蒸発器9aの上流側に設けられる電磁弁10aを「小容積側電磁弁10a」と呼び、大容積蒸発器9bの上流側に設けられる電磁弁10bを「大容積側電磁弁10b」と呼ぶこととする。小容積側電磁弁10aは、ECUからの指令により動作し、第1分岐経路14の冷媒の流れを許容および遮断可能である。大容積側電磁弁10bもECUからの指令により動作し、第2分岐経路15の冷媒の流れを許容および遮断可能である。
第11実施形態においても、第1実施形態と同様に、大容積蒸発器9bの内容積は、小容積蒸発器9aの内容積に比べて非常に大きい。そして、小容積蒸発器9aを用いて電池冷却単独運転を実施する場合、電池冷却に必要な冷媒量は少ない。第11実施形態においても貯液部7の内容積と各蒸発器9の内容積は、第1実施形態と同様に、「大容積蒸発器9bの内容積>小容積蒸発器9aの内容積+貯液部7の内容積」の関係にある。そのため、小容積蒸発器9aを用いて電池冷却を実施する場合、大容積側電磁弁10bを閉じると、電池冷却に余剰となった液相冷媒は、凝縮器6の内部に貯まってしまう。
しかし、第11実施形態では、ECUは、小容積蒸発器9aを用いて電池冷却を実施する際、外気温度が所定の閾値よりも低い場合に限り、大容積蒸発器9bに対する冷却要求が無ければ大容積側電磁弁10bを閉じて、第2分岐経路15の冷媒の流れを遮断する制御を実行する。その際、電池冷却に余剰となった液相冷媒が凝縮器6に過大に貯まっても、外気温度が低いので、冷媒回路2の作動中に圧縮機5の冷媒出口から凝縮器6までの経路を流れる高圧冷媒の圧力の上昇が抑えられる。したがって、圧縮機5の寿命悪化、または、圧縮機5の性能低下が生じることが無い。なお、ECUが大容積側電磁弁10bを閉じるか否かを判定するための所定の閾値は、電池冷却に余剰となった液相冷媒が凝縮器6の内部に貯まる量が過大になった時にも、高圧冷媒の圧力の上昇が抑えられる値として、予め実験などにより設定され、ECUのメモリーに記憶されている。
一方、ECUは、小容積蒸発器9aを用いて電池冷却を実施する際、外気温度が所定の閾値よりも高い場合、大容積蒸発器9bに対する冷却要求の有無に関わらず大容積側電磁弁10bを開き、第2分岐経路15の冷媒の流れを許容する。これにより、小容積蒸発器9aと大容積蒸発器9bとの両方に冷媒が流れる。すなわち、外気温度が所定の閾値よりも高いときには、小容積蒸発器9aのみに冷却要求がある場合であっても、ECUが大容積側電磁弁10bを開き、小容積蒸発器9aと大容積蒸発器9bとの両方の経路に冷媒が流れる。したがって、凝縮器6に液相冷媒が過大に貯まることが無いので、高圧冷媒の圧力の過大な上昇が防がれ、圧縮機5の寿命悪化および性能低下を防ぐことができる。また、その結果、冷媒回路2の運転時に余剰となる冷媒が少なくなり、貯液部7の容積を小型化できる。
以下の説明では、外気温度が所定の閾値よりも高い場合に、ECUが電磁弁10に対して流路を閉塞しないようにする制御を「非閉塞制御」ということとする。言い換えれば、非閉塞制御とは、外気温度が所定の閾値よりも高い場合、冷媒回路2の作動時にECUが電磁弁10を常に開弁させる制御である。なお、外気温度が所定の閾値よりも低い場合には、非閉塞制御を実行する電磁弁10の下流側に設けられた蒸発器9に対する冷却要求に応じて、ECUは、非閉塞制御を実行する電磁弁10を開閉制御する。
第11実施形態では、ECUは、大容積側電磁弁10bに対して非閉塞制御を実行する。なお、図26では、冷媒回路2に設けられた複数の電磁弁10のうち、ECUが非閉塞制御を実行する電磁弁10をわかり易くするため、断面ではないがハッチングを付して示している。このことは、後述する各実施形態で参照する各図面においても同じである。
<第11実施形態のECUが実行する制御処理>
次に、第11実施形態の車載温調装置1が備えるECUが実行する制御処理について、図27のフローチャートを参照して説明する。この制御処理は、車両のイグニッションスイッチなどの走行スイッチがオンされた後、所定の制御時間間隔で繰り返し実行されるものである。
まず、ステップS10でECUは、冷房要求が有るか否かを判定する。冷房要求が有ると判定された場合(すなわち、ステップS10の判定YES)、処理はステップS20に進む。
ステップS20でECUは、電池冷却要求が有るか否かを判定する。電池冷却要求が有ると判定された場合(すなわち、ステップS20の判定YES)、処理はステップS30に進む。
ステップS30でECUは、[冷房+電池冷却運転]を実行する。このとき、ECUは、ウォータポンプ21をオン、ブロワ3をオン、圧縮機5をオン、コンデンサファン11をオン、大容積側電磁弁10bを開き、小容積側電磁弁10aも開く。これにより、大容積蒸発器9bと小容積蒸発器9aの両方で熱交換が行われる。すなわち、大容積蒸発器9bにおける熱交換により、車室内に供給される空気が冷却され、車室内の冷房が実行される。また、小容積蒸発器9aにおける熱交換により、冷却液回路20を循環する冷却液が冷却され、電池冷却が実行される。
それに対し、ステップS10にて、冷房要求が有ると判定され(すなわち、ステップS10の判定YES)、続くステップS20にて、電池冷却要求が無いと判定された場合(すなわち、ステップS20の判定NO)、処理はステップS40に進む。
ステップS40でECUは、[冷房運転]を実行する。このとき、ECUは、ウォータポンプ21をオフ、ブロワ3をオン、圧縮機5をオン、コンデンサファン11をオン、大容積側電磁弁10bを開き、小容積側電磁弁10aを閉じる。これにより、大容積蒸発器9bのみで熱交換が行われ、車室内の冷房が実行される。
また、ステップS10の判定で、冷房要求が無いと判定された場合(すなわち、ステップS10の判定NO)、処理はステップS50に進む。
ステップS50でECUは、電池冷却要求が有るか否かを判定する。電池冷却要求が有ると判定された場合(すなわち、ステップS50の判定YES)、処理はステップS55に進む。
ステップS55でECUは、外気温度が所定の閾値以上であるか否かを判定する。外気温度が所定の閾値以上であると判定された場合(すなわち、ステップS55の判定YES)、処理はステップS60に進む。
ステップS60でECUは、[こそっと冷房+電池冷却運転]を実行する。このとき、ECUは、ウォータポンプ21をオン、ブロワ3を上述したLo駆動にてオン、圧縮機5をオン、コンデンサファン11をオン、大容積側電磁弁10bを開き、小容積側電磁弁10aも開く。これにより、大容積蒸発器9bと小容積蒸発器9aの両方で熱交換が行われる。大容積蒸発器9bにおける熱交換では、ブロワ3がLo駆動されているので、乗員がフィーリングの悪化を感じることはない。また、小容積蒸発器9aにおける熱交換により、冷却液回路20を循環する冷却液が冷却され、電池冷却が実行される。
それに対し、ステップS10にて冷房要求が無いと判定され(すなわち、ステップS10の判定NO)、続くステップS50にて電池冷却要求が有ると判定され(すなわち、ステップS50の判定YES)、さらに、ステップS55にて外気温度が所定の閾値より低いと判定された場合(すなわち、ステップS55の判定NO)、処理はステップS65に進む。
ステップS65でECUは、[電池冷却単独運転]を実行する。このとき、ECUは、ウォータポンプ21をオン、ブロワ3をオフ、圧縮機5をオン、コンデンサファン11をオン、大容積側電磁弁10bを閉じ、小容積側電磁弁10aを開く。これにより、小容積蒸発器9aのみで熱交換が行われ、冷却液回路20を循環する冷却液が冷却されて電池冷却が実行される。この場合、上述したように、電池冷却に余剰となった液相冷媒が凝縮器6に過大に貯まっても、外気温度が低いので、高圧冷媒の圧力の上昇が抑えられる。したがって、圧縮機5の寿命悪化、または、圧縮機5の性能低下が生じることが無い。さらに、外気温度が低く、大容積蒸発器9bに冷却要求が無い時に大容積蒸発器9bでの熱交換を停止することで、乗員のフィーリング悪化を防ぐことができる。
また、ステップS10にて、冷房要求が無いと判定され(すなわち、ステップS10の判定NO)、続くステップS50にて、電池冷却要求も無いと判定された場合(すなわち、ステップS50の判定NO)、処理はステップS70に進む。
ステップS70でECUは、冷媒回路2の運転を[停止]する。このとき、ECUは、ウォータポンプ21をオフ、ブロワ3をオフ、圧縮機5をオフ、コンデンサファン11をオフする。これにより、冷媒回路2の運転が停止する。
なお、上記ステップS60で説明した[こそっと冷房+電池冷却運転]は、外気温度が所定の閾値より高く、大容積蒸発器9bに冷却要求が無く、小容積蒸発器9aに冷却要求が有る場合と言い換えることができる。この場合、ECUは、上述したとおり、圧縮機5を駆動させ、大容積側電磁弁10bおよび小容積側電磁弁10aを開くことで、大容積蒸発器9bと小容積蒸発器9aの両方に冷媒を流す制御を実行する。さらに、ECUは、熱交換能力調整部としてのブロワ3により大容積蒸発器9bに供給する空気の供給量を少なくする。具体的には、ブロワ3の送風量を、ECUに設定された流量設定の中で最も低い流量(すなわち、ブロワLo駆動)以下として、乗員にフィーリング悪化を感じさせないようにする。
また、上記ステップS65で説明した[電池冷却単独運転]は、外気温度が所定の閾値より低く、大容積蒸発器9bに冷却要求が無く、小容積蒸発器9aに冷却要求が有る場合と言い換えることができる。この場合、ECUは、上述したとおり、圧縮機5を駆動させ、大容積側電磁弁10bを閉じ、小容積側電磁弁10aを開くことで、大容積蒸発器9bへの冷媒の流れを遮断し、小容積蒸発器9aに冷媒を流す制御を実行する。これにより、外気温度が低く、冷房要求が無い時に大容積蒸発器9bでの熱交換を停止することで、乗員のフィーリング悪化を防ぐことができる。
<運転状態が切り替わった場合にECUが実行する制御処理>
続いて、上記で説明した5つの運転状態(すなわち、[冷房+電池冷却運転]、[冷房運転]、[こそっと冷房+電池冷却運転]、[電池冷却単独運転]、[停止])が切り替わった場合にECUが実行する制御処理について説明する。
まず、[冷房+電池冷却運転]から[こそっと冷房+電池冷却運転]に運転状態が切り替わった場合に、ECUが実行する制御処理について説明する。この場合、外気温度が所定の閾値より高く、小容積蒸発器9aに冷却要求があり、大容積蒸発器9bに冷却要求が有る状態から無い状態に変わった場合と言い換えることができる。この場合、ECUは、圧縮機5を駆動させ、大容積側電磁弁10bおよび小容積側電磁弁10aを開くことで、大容積蒸発器9bと小容積蒸発器9aとの両方に冷媒を流し、さらに、ブロワ3により空気を大容積蒸発器9bに供給する制御を継続して実行する。なお、その場合、ECUは、ブロワ3により大容積蒸発器9bに供給する空気の供給量を少なくする。具体的には、ブロワ3の送風量を、ECUに設定された流量設定の中で最も低い流量(すなわち、ブロワLo駆動)以下として、乗員にフィーリング悪化を感じさせないようにする。
次に、[こそっと冷房+電池冷却運転]から[冷房+電池冷却運転]に運転状態が切り替わった場合に、ECUが実行する制御処理について説明する。この場合、外気温度が所定の閾値より高く、小容積蒸発器9aに冷却要求があり、大容積蒸発器9bに冷却要求が無い状態から有る状態に変わった場合と言い換えることができる。この場合、ECUは、圧縮機5を駆動させ、大容積側電磁弁10bおよび小容積側電磁弁10aを開くことで、大容積蒸発器9bと小容積蒸発器9aとの両方に冷媒を流し、さらに、ブロワ3により空気を大容積蒸発器9bに供給する制御を継続して実行する。
続いて、[停止]から[こそっと冷房+電池冷却運転]に運転状態が切り替わった場合に、ECUが実行する制御処理について説明する。この場合、外気温度が所定の閾値より高く、大容積蒸発器9bに冷却要求が無く、小容積蒸発器9aに冷却要求が無い状態から有る状態に変わった場合と言い換えることができる。この場合、ECUは、圧縮機5を駆動させ、大容積側電磁弁10bおよび小容積側電磁弁10aを開くことで、大容積蒸発器9bと小容積蒸発器9aとの両方に冷媒を流し、さらに、ブロワ3により空気を大容積蒸発器9bに供給する制御を開始する。
次に、[こそっと冷房+電池冷却運転]から[停止]に運転状態が切り替わった場合に、ECUが実行する制御処理について説明する。この場合、外気温度が所定の閾値より高く、大容積蒸発器9bに冷却要求が無く、小容積蒸発器9aに冷却要求が有る状態から無い状態に変わった場合と言い換えることができる。この場合、ECUは、圧縮機5の駆動を停止し、さらに、ブロワ3を停止する。
以上説明した第11実施形態の車載温調装置1のECUが実行する制御処理は、後述する第12~第20実施形態の車載温調装置1のECUが実行する制御処理にも適用することが可能である。
<第11実施形態の作用効果>
第11実施形態の車載温調装置1は、次の作用効果を奏するものである。
(1)第11実施形態では、冷媒回路2に、大容積蒸発器9bに対する冷媒の流れを遮断可能な大容積側電磁弁10bと、小容積蒸発器9aに対する冷媒の流れを遮断可能な小容積側電磁弁10aが設けられている。そして、ECUは、外気温度が所定の閾値より高く、小容積蒸発器9aに冷却要求があり、大容積蒸発器9bに冷却要求が無い場合、大容積側電磁弁10bと小容積側電磁弁10aを開くことで、大容積蒸発器9bと小容積蒸発器9aとの両方に冷媒を流し、さらに、ブロワ3を駆動する制御を実行する。そのため、外気温度が所定の閾値より高いときは、小容積蒸発器9aに冷却要求がある場合でも、大容積蒸発器9b側の経路と小容積蒸発器9aの経路の両方に冷媒が流れるので、余剰となる冷媒が少なくなり、貯液部7の容積を小型化できる。さらに、凝縮器に液相冷媒が過大に貯まることが無いので、高圧冷媒の圧力の過大な上昇が防がれ、圧縮機5の寿命悪化および性能低下を防ぐことができる。
(2)第11実施形態では、ECUは、外気温度が所定の閾値より低く、小容積蒸発器9aに冷却要求があり、大容積蒸発器9bに冷却要求が無い場合、小容積側電磁弁10aを開き、大容積側電磁弁10bを閉じることで、小容積蒸発器9aに冷媒を流し、大容積蒸発器9bへの冷媒の流れを遮断する制御を実行する。
これによれば、凝縮器6に貯まる液相冷媒の量が過大になっても、外気温度が所定の閾値より低いときは、高圧冷媒の圧力の過大な上昇が防がれるので、圧縮機5の寿命悪化および性能低下を防ぐことができる。
また、外気温度が低く、冷房要求が無い場合、大容積側電磁弁10bを閉じて大容積蒸発器9bでの熱交換を停止することで、乗員のフィーリング悪化を防ぐことができる。
(3)第11実施形態では、ECUは、外気温度が所定の閾値より高く、小容積蒸発器9aに冷却要求があり、大容積蒸発器9bに冷却要求が有る状態から無い状態に変わった場合、大容積側電磁弁10bおよび小容積側電磁弁10aを開くことで、小容積蒸発器9aと大容積蒸発器9bとの両方に冷媒を流し、さらに、ブロワ3により空気を大容積蒸発器9bに供給する制御を継続して実行する。
これによれば、大容積蒸発器9bに冷却要求がある状態から無い状態に変わった場合でも、外気温度が所定の閾値より高く、且つ、小容積蒸発器9aに冷却要求があれば、ブロワ3により空気を大容積蒸発器9bに供給する制御を継続することで、大容積蒸発器9bで熱交換が継続して行われる。そのため、大容積蒸発器9bから液相冷媒が圧縮機5に流入することを防ぐことができる。
(4)第11実施形態では、ECUは、外気温度が所定の閾値より高く、小容積蒸発器9aに冷却要求があり、大容積蒸発器9bに冷却要求がある状態から無い状態に変わった場合、大容積側電磁弁10bおよび小容積側電磁弁10aを開くことで、小容積蒸発器9aと大容積蒸発器9bとの両方に冷媒を流し、さらに、ブロワ3により大容積蒸発器9bに供給する空気の供給量を少なくする制御を実行する。
これによれば、大容積蒸発器9bに冷却要求がある状態から無い状態に変わった場合でも、外気温度が所定の閾値より高く、且つ、小容積蒸発器9aに冷却要求があれば、ブロワ3により空気を大容積蒸発器9bに供給する制御を継続することで、大容積蒸発器9bで熱交換が継続して行われる。このとき、大容積蒸発器9bに供給する空気の供給量を少なくする制御を実行することで、乗員のフィーリング悪化を抑えることができる。
(5)第11実施形態では、ECUは、外気温度が所定の閾値より高く、小容積蒸発器9aに冷却要求があり、大容積蒸発器9bに冷却要求が無い状態から有る状態に変わった場合、大容積側電磁弁10bおよび小容積側電磁弁10aを開くことで、小容積蒸発器9aと大容積蒸発器9bとの両方に冷媒を流し、さらに、ブロワ3により空気を大容積蒸発器9bに供給する制御を継続して実行する。
これによれば、外気温度が所定の閾値より高く、且つ、小容積蒸発器9aに冷却要求があれば、大容積蒸発器9bへの冷却要求の有無に関わらず、ブロワ3により空気を大容積蒸発器9bに供給する制御が継続して実行され、大容積蒸発器9bで熱交換が継続して行われる。
(6)第11実施形態では、ECUは、外気温度が所定の閾値より高く、大容積蒸発器9bに冷却要求が無く、小容積蒸発器9aに冷却要求が無い状態から有る状態に変わった場合、大容積側電磁弁10bおよび小容積側電磁弁10aを開くことで、小容積蒸発器9aと大容積蒸発器9bとの両方に冷媒を流し、さらに、ブロワ3により空気を大容積蒸発器9bに供給する制御を開始する。
これによれば、大容積蒸発器9bへの冷却要求が無くても、外気温度が所定の閾値より高く、且つ、小容積蒸発器9aに冷却要求が無い状態から有る状態に変わった場合には、大容積側電磁弁10bを開き、ブロワ3により空気を大容積蒸発器9bに供給する制御が開始される。
(7)第11実施形態では、ECUは、外気温度が所定の閾値より高く、大容積蒸発器9bに冷却要求が無く、小容積蒸発器9aに冷却要求が有る状態から無い状態に変わった場合、圧縮機5等の駆動を停止させ、さらに、ブロワ3により空気を大容積蒸発器9bに供給する制御を停止する。
これによれば、大容積蒸発器9bへの冷却要求が無く、小容積蒸発器9aに冷却要求が有る状態から無い状態に変わった場合には、全ての蒸発器9に対する冷却要求が無くなるので、圧縮機5およびブロワ3の駆動を停止し、不要な冷却を防ぐ。
(8)第11実施形態では、ECUは、外気温度が所定の閾値より高く、小容積蒸発器9aに冷却要求があり、大容積蒸発器9bに冷却要求が無い場合、大容積側電磁弁10bおよび小容積側電磁弁10aを開くことで、小容積蒸発器9aと大容積蒸発器9bとの両方に冷媒を流し、さらに、ブロワ3により大容積蒸発器9bに供給する空気の供給量をECUに設定された流量設定の中で最も低い流量以下の風量とする制御を実行する。
これによれば、外気温度が所定の閾値より高く、且つ、小容積蒸発器9aに冷却要求があれば、大容積蒸発器9bに冷却要求が無い場合でも、大容積側電磁弁10bを開き、ブロワ3により空気を大容積蒸発器9bに供給する制御が実行される。このとき、大容積蒸発器9bに供給する空気の供給量をECUに設定された流量設定の中で最も低い流量以下の風量とすることで、乗員にフィーリング悪化を感じさせないようにすることができる。
なお、特定の車両においては、車室内センサの温度検出精度をあげるために冷房要求無し、電池冷却要求無しの際にも乗員のフィーリング悪化を感じない程度の微小出力で駆動しているものが存在する。そのような車両については、冷房要求無し、電池冷却要求無しの際に駆動しているブロワ3の風量も、「ECUに設定された流量設定の中で最も低い流量以下の風量」に含まれる。
(9)第11実施形態では、小容積蒸発器9aの内容積と貯液部7の内容積との和よりも、大容積蒸発器9bの内容積は大きい。すなわち、貯液部7の内容積は、大容積蒸発器9bの内容積と小容積蒸発器9aの内容積との差よりも小さくできる。したがって、貯液部7の容積を大きく確保できない場合に効果がある。
(10)第11実施形態では、大容積蒸発器9bは、車室内空調に用いられ、大容積蒸発器9bを流れる冷媒と空気との熱交換により冷却された空気を車室内に供給し、冷却対象空間である車室内を空調する空調用蒸発器である。
これによれば、大容積蒸発器9bとして、冷却対象空間である車室内を空調する空調用蒸発器が例示される。
(11)第11実施形態では、熱交換能力調整部は、外部流体としての空気を大容積蒸発器9bに供給し、大容積蒸発器9bで冷却された空気を車室内に供給するブロワ3である。
これによれば、熱交換能力調整部として、ブロワ3が例示される。
(12)第11実施形態では、小容積蒸発器9aは、車両に搭載される冷却対象機器を冷却するための冷却液と小容積蒸発器9aを流れる冷媒との熱交換により、冷却液を冷却する冷却液-冷媒熱交換器(すなわち、チラー)である。
これによれば、小容積蒸発器9aとして、冷却液-冷媒熱交換器(すなわち、チラー)が例示される。
(13)第11実施形態では、小容積蒸発器9aが冷却する冷却対象機器は、車両に搭載された電池である。
これによれば、小容積蒸発器9aが冷却する冷却対象機器として、車両に搭載された電池が例示される。
(第12実施形態)
第12実施形態について説明する。第12実施形態は、第11実施形態に対して冷媒回路2の構成を変更したものであり、その他については第11実施形態と同様であるため、第11実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図28に示すように、第12実施形態の車載温調装置1は、2個の冷媒回路2a、2bを備えたエアコンユニットである。2個の冷媒回路2a、2bそれぞれの構成は、第11実施形態で説明した冷媒回路2a、2bの構成と同一である。すなわち、2個の冷媒回路2a、2bそれぞれに設けられた2個の小容積蒸発器9aはいずれも、冷却液-冷媒熱交換器(すなわち、チラー)であり、電池冷却に用いられるものである。また、2個の冷媒回路2それぞれに設けられた2個の大容積蒸発器9bはいずれも、車室内の空調に用いられるものである。
第12実施形態では、2個の冷媒回路2の両方において、第1分岐経路14に小容積側電磁弁10aが設けられ、第2分岐経路15に大容積側電磁弁10bが設けられている。図28において、ハッチングを付した電磁弁10bが、ECUが非閉塞制御を実行する電磁弁10である。第12実施形態では、ECUが非閉塞制御を実行する電磁弁10は、図28でハッチングを付した、2個の大容積側電磁弁10bである。なお、第11実施形態で説明したように、非閉塞制御とは、外気温度が所定の閾値よりも高い場合に、電磁弁10が流路を閉塞しないようにする制御である。言い換えれば、非閉塞制御とは、外気温度が所定の閾値よりも高い場合、冷媒回路2の作動時にECUが電磁弁10を常に開弁させる制御である。なお、外気温度が所定の閾値よりも低い場合には、非閉塞制御を実行する電磁弁10の下流側に設けられた蒸発器9に対する冷却要求に応じて、ECUは、非閉塞制御を実行する電磁弁10を開閉制御する。
以上説明した第12実施形態の車載温調装置1の構成においても、第11実施形態の車載温調装置1と同様の作用効果を奏することができる。さらに、第12実施形態の車載温調装置1は、2個の冷媒回路2a、2bにより、車室内冷房の能力と電池冷却の能力を高めることができる。
(第13実施形態)
第13実施形態について説明する。第13実施形態も、第11実施形態に対して冷媒回路2の構成を変更したものであり、その他については第11実施形態と同様であるため、第11実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図29に示すように、第13実施形態の車載温調装置1は、1個の冷媒回路2の中に、1個の小容積蒸発器9aと2個の大容積蒸発器9b、9cを備えるものである。具体的に、この冷媒回路2は、圧縮機5と、凝縮器6と、貯液部7と、3個の膨張弁8a、8b、8cと、3個の蒸発器(すなわち、1個の小容積蒸発器9aと2個の大容積蒸発器9b、9c)と、3個の電磁弁10a、10b、10cとが冷媒配管で接続されて構成されている。
圧縮機5、凝縮器6、貯液部7については、第1実施形態で説明したものと実質的に同一である。1個の小容積蒸発器9aは、冷却液-冷媒熱交換器(すなわち、チラー)であり、電池冷却に用いられるものである。一方、2個の大容積蒸発器9b、9cはいずれも、車室内の空調に用いられるものである。2個の大容積蒸発器9bのうち、一方の大容積蒸発器9bを第1大容積蒸発器9bと呼び、他方の大容積蒸発器9cを第2大容積蒸発器9cと呼ぶ。なお、熱交換能力調整部としてのブロワ3a、3bは、第1大容積蒸発器9bと第2大容積蒸発器9cのそれぞれに設けられている。
冷媒回路2において、貯液部7の下流側に設けられる分岐部12は、四方継手により構成されている。分岐部12の下流側に延びる3本の分岐経路にそれぞれ、小容積蒸発器9a、第1大容積蒸発器9b、第2大容積蒸発器9cが設けられている。すなわち、小容積蒸発器9aと第1大容積蒸発器9bと第2大容積蒸発器9cとは並列配置されている。
詳細には、分岐部12の下流側に延びる3本の分岐経路のうち、第1分岐経路14に、分岐部12側から小容積側電磁弁10a、第1膨張弁8aおよび小容積蒸発器9aが設けられている。また、その3本の分岐経路のうち、第2分岐経路15に、分岐部12側から第1大容積側電磁弁10b、第2膨張弁8bおよび第1大容積蒸発器9bが設けられている。さらに、その3本の分岐経路のうち、第3分岐経路16に、分岐部12側から第2大容積側電磁弁10c、第3膨張弁8cおよび第2大容積蒸発器9cが設けられている。
すなわち、冷媒回路2において、「小容積側電磁弁10a、第1膨張弁8aおよび小容積蒸発器9a」と、「第1大容積側電磁弁10b、第2膨張弁8bおよび第1大容積蒸発器9b」と、「第2大容積側電磁弁10c、第3膨張弁8cおよび第2大容積蒸発器9c」とは、並列配置されている。
そして、第13実施形態では、ECUが非閉塞制御を実行する電磁弁10は、図29でハッチングを付した、第1大容積側電磁弁10bと第2大容積側電磁弁10cである。
なお、第1大容積蒸発器9bの下流側の配管と第2大容積蒸発器9cの下流側の配管とを接続する第1合流部13aは、三方継手により構成されている。その第1合流部13aの下流側の配管13cと小容積蒸発器9aの下流側の配管とを接続する第2合流部13bも、三方継手により構成されている。なお、第1合流部13aと第2合流部13bとそれらを接続する配管13cとは、四方継手により構成してもよい。
以上説明した第13実施形態の車載温調装置1の構成においても、第11実施形態の車載温調装置1と同様の作用効果を奏することができる。さらに、第13実施形態の車載温調装置1は、2個の大容積蒸発器9b、9cにより車室内冷房能力を高めることができる。
(第14実施形態)
第14実施形態について説明する。第14実施形態も、第11実施形態に対して冷媒回路2の構成を変更したものであり、その他については第11実施形態と同様であるため、第11実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図30に示すように、第14実施形態の車載温調装置1は、1個の冷媒回路2の中に、2個の小容積蒸発器9a、9dと1個の大容積蒸発器9bを備えるものである。具体的に、この冷媒回路2は、圧縮機5と、凝縮器6と、貯液部7と、3個の膨張弁8a、8b、8cと、3個の蒸発器(すなわち、2個の小容積蒸発器9a、9dと1個の大容積蒸発器9b)と、3個の電磁弁10a、10b、10dとが冷媒配管で接続されて構成されている。
圧縮機5、凝縮器6、貯液部7については、第1実施形態で説明したものと実質的に同一である。2個の小容積蒸発器9a、9dは、冷却液-冷媒熱交換器(すなわち、チラー)であり、それぞれ電池冷却と走行用インバータ冷却とに用いられるものである。一方、大容積蒸発器9bは、車室内の空調に用いられるものである。2個の小容積蒸発器9a、9dのうち、電池冷却用の小容積蒸発器9aを第1小容積蒸発器9aと呼び、走行用インバータ冷却用の小容積蒸発器9dを第2小容積蒸発器9dと呼ぶ。なお、第1小容積蒸発器9aと第2小容積蒸発器9dは、それらの用途に限定されるものでなく、例えば、ADAS用のECU、DC-DCコンバータ、走行用モータ、またはエンジンなど、車両に搭載される種々の発熱機器の冷却に用いてもよい。
冷媒回路2において、貯液部7の下流側に設けられる分岐部12は、四方継手により構成されている。分岐部12の下流側に延びる3本の分岐経路にそれぞれ、第1小容積蒸発器9a、大容積蒸発器9b、第2小容積蒸発器9dが設けられている。すなわち、第1小容積蒸発器9aと大容積蒸発器9bと第2小容積蒸発器9dとは並列配置されている。
詳細には、分岐部12の下流側に延びる3本の分岐経路のうち、第1分岐経路14に、分岐部12側から第1小容積側電磁弁10a、第1膨張弁8aおよび第1小容積蒸発器9aが設けられている。また、その3本の分岐経路のうち、第2分岐経路15に、分岐部12側から大容積側電磁弁10b、第2膨張弁8bおよび大容積蒸発器9bが設けられている。さらに、その3本の分岐経路のうち、第3分岐経路16に、分岐部12側から第2小容積側電磁弁10d、第3膨張弁8cおよび第2小容積蒸発器9dが設けられている。
すなわち、冷媒回路2において、「第1小容積側電磁弁10a、第1膨張弁8aおよび第1小容積蒸発器9a」と、「大容積側電磁弁10b、第2膨張弁8bおよび大容積蒸発器9b」と、「第2小容積側電磁弁10d、第3膨張弁8cおよび第2小容積蒸発器9d」とは、並列配置されている。
そして、第14実施形態では、ECUが非閉塞制御を実行する電磁弁10は、図30でハッチングを付した、大容積側電磁弁10bである。
一方、第1小容積蒸発器9aの下流側の配管と大容積蒸発器9bの下流側の配管とを接続する第1合流部13aは、三方継手により構成されている。その第1合流部13aの下流側の配管13cと第2小容積蒸発器9dの下流側の配管とを接続する第2合流部13bも、三方継手により構成されている。なお、第1合流部13aと第2合流部13bとそれらを接続する配管13cとは、四方継手により構成してもよい。
以上説明した第14実施形態の車載温調装置1の構成においても、第11実施形態の車載温調装置1と同様の作用効果を奏することができる。さらに、第14実施形態の車載温調装置1は、2個の小容積蒸発器9a、9dにより、電池冷却に加えて、走行用インバータなどの種々の発熱機器の冷却を行うことができる。
(第15実施形態)
第15実施形態について説明する。第15実施形態は、第11実施形態に対して冷媒回路2の蒸発器9a、9bの構成および用途を限定しないものであり、その他については第11実施形態と同様であるため、第11実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図31に示すように、第15実施形態の車載温調装置1は、第11実施形態で説明したものと実質的に同一である。ただし、第15実施形態では、小容積蒸発器9aと大容積蒸発器9bの構成および用途などを限定していない。
第15実施形態においても、小容積蒸発器9aの内容積は、大容積蒸発器9bの内容積より小さい。その場合、小容積蒸発器9aが設けられている第1分岐経路14に小容積側電磁弁10aが設けられ、大容積蒸発器9bが設けられている第2分岐経路15に大容積側電磁弁10bが設けられている。
そして、第15実施形態でも、第11実施形態と同様に、ECUが非閉塞制御を実行する電磁弁10は、図31でハッチングを付した、大容積側電磁弁10bである。
以上説明した第15実施形態の車載温調装置1の構成においても、第11実施形態の車載温調装置1と同様の作用効果を奏することができる。
(第16実施形態)
第16実施形態について説明する。第16実施形態は、第13実施形態に対して冷媒回路2の蒸発器9a、9b、9cの構成および用途を限定しないものであり、その他については第13実施形態と同様であるため、第13実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図32に示すように、第16実施形態の車載温調装置1は、第13実施形態で説明したものと実質的に同一である。ただし、第16実施形態では、小容積蒸発器9a、第1大容積蒸発器9b、第2大容積蒸発器9cの構成および用途などを限定していない。
第16実施形態においても、小容積蒸発器9aの内容積は、第1大容積蒸発器9bおよび第2大容積蒸発器9cの内容積より小さい。すなわち、「小容積蒸発器9aの内容積<第1大容積蒸発器9bの内容積=第2大容積蒸発器9cの内容積」の関係にある。その場合、小容積蒸発器9aが設けられている第1分岐経路14に小容積側電磁弁10aが設けられ、第1大容積蒸発器9bが設けられている第2分岐経路15に第1大容積側電磁弁10bが設けられ、第2大容積蒸発器9cが設けられている第3分岐経路16に第2大容積側電磁弁10cが設けられる。
そして、第16実施形態でも、第13実施形態と同様に、ECUが非閉塞制御を実行する電磁弁10は、図32でハッチングを付した、第1大容積側電磁弁10bと第2大容積側電磁弁10cである。
以上説明した第16実施形態の車載温調装置1の構成においても、第13実施形態の車載温調装置1と同様の作用効果を奏することができる。
(第17実施形態)
第17実施形態について説明する。第17実施形態は、第14実施形態に対して冷媒回路2の蒸発器9a、9b、9dの構成および用途を限定しないものであり、その他については第14実施形態と同様であるため、第14実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図33に示すように、第17実施形態の車載温調装置1は、第14実施形態で説明したものと実質的に同一である。ただし、第17実施形態では、第1小容積蒸発器9a、大容積蒸発器9b、第2小容積蒸発器9dの構成および用途などを限定していない。
第17実施形態においても、第1小容積蒸発器9aおよび第2小容積蒸発器9dの内容積は、大容積蒸発器9bの内容積より小さい。すなわち、「第1小容積蒸発器9aの内容積=第2小容積蒸発器9dの内容積<大容積蒸発器9bの内容積」の関係にある。その場合、第1小容積蒸発器9aが設けられている第1分岐経路14に第1小容積側電磁弁10aが設けられ、大容積蒸発器9bが設けられている第2分岐経路15に大容積側電磁弁10bが設けられ、第2小容積蒸発器9dが設けられている第3分岐経路16に第2小容積側電磁弁10dが設けられている。
そして、第17実施形態でも、第14実施形態と同様に、ECUが非閉塞制御を実行する電磁弁10は、図33でハッチングを付した、大容積側電磁弁10bである。
以上説明した第17実施形態の車載温調装置1の構成においても、第14実施形態の車載温調装置1と同様の作用効果を奏することができる。
(第18実施形態)
第18実施形態について説明する。第18実施形態は、第16および第17実施形態等に対して冷媒回路2の蒸発器9a、9b、9eの構成を変更したものであり、その他については第16および第17実施形態等と同様であるため、第16および第17実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図34に示すように、第18実施形態の車載温調装置1は、第16および第17実施形態等で説明したものと実質的に同一である。ただし、第18実施形態では、3個の蒸発器9は、小容積蒸発器9a、中容積蒸発器9e、大容積蒸発器9bとされている。すなわち、「小容積蒸発器9aの内容積<中容積蒸発器9eの内容積<大容積蒸発器9bの内容積」の関係にある。
小容積蒸発器9aは第1分岐経路14に設けられ、中容積蒸発器9eは第2分岐経路15に設けられ、大容積蒸発器9bは第3分岐経路16に設けられているものとする。その場合、小容積蒸発器9aが設けられている第1分岐経路14に小容積側電磁弁10aが設けられ、中容積蒸発器9eが設けられている第2分岐経路15に中容積側電磁弁10eが設けられ、大容積蒸発器9bが設けられている第3分岐経路16に大容積側電磁弁10bが設けられる。
そして、第18実施形態では、ECUが非閉塞制御を実行する電磁弁10は、図34でハッチングを付した、中容積側電磁弁10eと大容積側電磁弁10bである。
以上説明した第18実施形態の車載温調装置1の構成においても、第11~第17実施形態等と同様の作用効果を奏することができる。
(第19実施形態)
第19実施形態について説明する。第19実施形態も、第16および第17実施形態等に対して冷媒回路2の蒸発器9a、9b、9eの構成を変更したものであり、その他については第16および第17実施形態等と同様であるため、第16および第17実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図35に示すように、第19実施形態の車載温調装置1は、第16および第17実施形態等で説明したものと実質的に同一である。ただし、第19実施形態では、3個の蒸発器9は、小容積蒸発器9a、中容積蒸発器9e、大容積蒸発器9bとされている。すなわち、「小容積蒸発器9aの内容積<中容積蒸発器9eの内容積<大容積蒸発器9bの内容積」の関係にある。
小容積蒸発器9aは第1分岐経路14に設けられ、中容積蒸発器9eは第2分岐経路15に設けられ、大容積蒸発器9bは第3分岐経路16に設けられているものとする。その場合、小容積蒸発器9aが設けられている第1分岐経路14に小容積側電磁弁10aが設けられ、中容積蒸発器9eが設けられている第2分岐経路15に中容積側電磁弁10eが設けられ、大容積蒸発器9bが設けられている第3分岐経路16に大容積側電磁弁10bが設けられる。
そして、第19実施形態では、ECUが非閉塞制御を実行する電磁弁10は、図35でハッチングを付した、大容積側電磁弁10bである。
以上説明した第19実施形態の車載温調装置1の構成においても、第11~第17実施形態等と同様の作用効果を奏することができる。
(第20実施形態)
第20実施形態について説明する。本開示は、貯液部7、7aの容積が確保できない場合に効果がある。そこで、第20実施形態では、上記各実施形態で説明した構成において、ECUが非閉塞制御を実行することが好ましい電磁弁10について、(A)~(H)の例を説明する。
(A)図36に示す冷媒回路2は、第15実施形態で説明したものと同一である。この冷媒回路2の構成において、「大容積蒸発器9bの内容積>小容積蒸発器9aの内容積+貯液部7の内容積」の関係にある。その場合、図36でハッチングを付した大容積側電磁弁10bを、ECUが非閉塞制御を実行する電磁弁10とすると良い。
(B)図37に示す冷媒回路2は、第17実施形態で説明したものと、ECUが非閉塞制御を実行する電磁弁10を除いて同一である。この冷媒回路2の構成において、「大容積蒸発器9bの内容積>第1小容積蒸発器9aの内容積=第2小容積蒸発器9dの内容積」かつ「大容積蒸発器9bの内容積>第1小容積蒸発器9aの内容積+貯液部7の内容積」の関係にある。その場合、図37でハッチングを付した大容積側電磁弁10bと第2小容積側電磁弁10dを、ECUが非閉塞制御を実行する電磁弁10とすると良い。
(C)図38に示す冷媒回路2も、第17実施形態で説明したものと、ECUが非閉塞制御を実行する電磁弁10を除いて同一である。この冷媒回路2の構成において、「大容積蒸発器9bの内容積>第1小容積蒸発器9aの内容積=第2小容積蒸発器9dの内容積」かつ「大容積蒸発器9bの内容積>第2小容積蒸発器9dの内容積+貯液部7の内容積」の関係にある。その場合、図38でハッチングを付した大容積側電磁弁10bと第1小容積側電磁弁10aを、ECUが非閉塞制御を実行する電磁弁10とすると良い。
(D)図39に示す冷媒回路2は、第17実施形態で説明したものと同一である。この冷媒回路2の構成において、必然的に、「大容積蒸発器9bの内容積>第1小容積蒸発器9aの内容積+貯液部7の内容積=第2小容積蒸発器9dの内容積+貯液部7の内容積」の関係にある。その場合、図39でハッチングを付した大容積側電磁弁10bを、ECUが非閉塞制御を実行する電磁弁10としても良い。
(E)図40に示す冷媒回路2は、第16実施形態で説明したものと同一である。この冷媒回路2の構成において、「第1大容積蒸発器9bの内容積=第2大容積蒸発器9cの内容積>第1小容積蒸発器9aの内容積」かつ「第1大容積蒸発器9bの内容積=第2大容積蒸発器9cの内容積>小容積蒸発器9aの内容積+貯液部7の内容積」の関係にある。その場合、図40でハッチングを付した第1大容積側電磁弁10bと第2大容積側電磁弁10cを、ECUが非閉塞制御を実行する電磁弁10とすると良い。
(F)図41に示す冷媒回路2は、第19実施形態で説明したものと同一である。この冷媒回路2の構成において、「大容積蒸発器9bの内容積>中容積蒸発器9eの内容積>小容積蒸発器9aの内容積」かつ「大容積蒸発器9bの内容積>小容積蒸発器9aの内容積+貯液部7の内容積」の関係にある。その場合、図41でハッチングを付した大容積側電磁弁10bを、ECUが非閉塞制御を実行する電磁弁10とすると良い。
(G)図42に示す冷媒回路2は、第18実施形態で説明したものと同一である。この冷媒回路2の構成において、「大容積蒸発器9bの内容積>中容積蒸発器9eの内容積>小容積蒸発器9aの内容積」かつ「中容積蒸発器9eの内容積>小容積蒸発器9aの内容積+貯液部7の内容積」の関係にある。その場合、図42でハッチングを付した大容積側電磁弁10bと中容積側電磁弁10eを、ECUが非閉塞制御を実行する電磁弁10とすると良い。
(H)図43に示す冷媒回路2は、第19実施形態で説明したものと同一である。この冷媒回路2の構成において、「大容積蒸発器9bの内容積>中容積蒸発器9eの内容積>小容積蒸発器9aの内容積」かつ「大容積蒸発器9bの内容積>中容積蒸発器9eの内容積+貯液部7の内容積」の関係にある。さらに、この場合、必然的に、「大容積蒸発器9bの内容積>小容積蒸発器9aの内容積+貯液部7の内容積」の関係となる。その場合、図43でハッチングを付した大容積側電磁弁10bを、ECUが非閉塞制御を実行する電磁弁10とすると良い。
なお、冷媒回路2に4個以上の蒸発器9が設けられている場合も、上記(A)~(H)の考え方に基づいて、ECUが非閉塞制御を実行する電磁弁10を設置する。
(第21実施形態)
第21実施形態について説明する。第21実施形態は、第1実施形態に対して、ECUが実行する制御処理の一部を変更したものである。
第21実施形態の車載温調装置1の構成は、第1実施形態と同一であるとする。第21実施形態では、ECUが実行する制御処理について、図44のフローチャートを参照して説明する。この制御処理は、車両のイグニッションスイッチなどの走行スイッチがオンされた後、所定の制御時間間隔で繰り返し実行されるものである。
まず、ステップS10でECUは、冷房要求が有るか否かを判定する。冷房要求が有ると判定された場合(すなわち、ステップS10の判定YES)、処理はステップS20に進む。
ステップS20でECUは、電池冷却要求が有るか否かを判定する。電池冷却要求が有ると判定された場合(すなわち、ステップS20の判定YES)、処理はステップS30に進む。
ステップS30でECUは、[冷房+電池冷却運転]を実行する。このとき、ECUは、ウォータポンプ21をオン、ブロワ3をオン、圧縮機5をオン、コンデンサファン11をオンし、電磁弁10を開く。これにより、大容積蒸発器9bと小容積蒸発器9aの両方で熱交換が行われる。なお、上述したように、大容積蒸発器9bにおける熱交換により、車室内に供給される空気が冷却され、車室内の冷房が実行される。また、小容積蒸発器9aにおける熱交換により、冷却液回路20を循環する冷却液が冷却され、電池冷却が実行される。
それに対し、ステップS10にて、冷房要求が有ると判定され(すなわち、ステップS10の判定YES)、続くステップS20にて、電池冷却要求が無いと判定された場合(すなわち、ステップS20の判定NO)、処理はステップS40に進む。
ステップS40でECUは、[冷房運転]を実行する。このとき、ECUは、ウォータポンプ21をオフ、ブロワ3をオン、圧縮機5をオン、コンデンサファン11をオンし、電磁弁10を閉じる。これにより、大容積蒸発器9bのみで熱交換が行われ、車室内の冷房が実行される。
また、ステップS10の判定で、冷房要求が無いと判定された場合(すなわち、ステップS10の判定NO)、処理はステップS50に進む。
ステップS50でECUは、電池冷却要求が有るか否かを判定する。電池冷却要求が有ると判定された場合(すなわち、ステップS50の判定YES)、処理はステップS61に進む。
ステップS61でECUは、[こそっと冷房+電池冷却運転]を実行する。第21実施形態では、[こそっと冷房+電池冷却運転]ECUは、ウォータポンプ21をオン、ブロワ3をオフ(すなわち、駆動停止)、圧縮機5をオン、コンデンサファン11をオンし、電磁弁10を開く。これにより、大容積蒸発器9bと小容積蒸発器9aの両方で熱交換が行われる。大容積蒸発器9bにおける熱交換では、ブロワ3がオフ(すなわち、駆動停止)されているので、乗員がフィーリングの悪化を感じることはない。また、小容積蒸発器9aにおける熱交換により、冷却液回路20を循環する冷却液が冷却され、電池冷却が実行される。
それに対し、ステップS10にて、冷房要求が無いと判定され(すなわち、ステップS10の判定NO)、続くステップS50にて、電池冷却要求も無いと判定された場合(すなわち、ステップS50の判定NO)、処理はステップS70に進む。
ステップS70でECUは、冷媒回路2の運転を[停止]する。このとき、ECUは、ウォータポンプ21をオフ、ブロワ3をオフ、圧縮機5をオフ、コンデンサファン11をオフする。これにより、冷媒回路2の運転が停止する。
以上説明した第21実施形態では、ステップS61の[こそっと冷房+電池冷却運転]において、ブロワ3をオフ(すなわち、駆動停止)とした。これにより、蒸発器9から圧縮機5の冷媒吸入口までの経路を流れる低圧冷媒の圧力低下量が大きくなるものの、この第21実施形態の制御方法においても、第1~第20実施形態と、ほぼ同様の作用効果を奏することができる。
なお、以上説明した第21実施形態の車載温調装置1のECUが実行する制御処理は、後述する第2~第10実施形態の車載温調装置1のECUが実行する制御処理にも適用することが可能である。
(他の実施形態)
(1)上記各実施形態では、大容積蒸発器9b、9cの熱交換能力調整部としてブロワ3を例示したが、これに限らない。例えば、大容積蒸発器9b、9cを冷却液-冷媒熱交換器として構成した場合、その冷却液-冷媒熱交換器に冷却液を供給する液体ポンプを熱交換能力調整部としてもよい。その場合、熱交換能力調整部としての液体ポンプは、[こそっと冷房+電池冷却運転]を実行する際、Lo駆動、または、駆動停止とする。
(2)上記各実施形態では、大容積蒸発器9b、9cは、1個の膨張弁の下流側に1個設けられているものを図示したが、これに限らず、大容積蒸発器9b、9cは、1個の膨張弁の下流側に複数個の大容積蒸発器9b、9cが直列または並列に設けられていてもよい。
(3)また、小容積蒸発器9a、9dも、1個の膨張弁の下流側に1個設けられているものを図示したが、これに限らず、小容積蒸発器9a、9dは、1個の膨張弁の下流側に複数個の小容積蒸発器9a、9dが直列または並列に設けられていてもよい。
(4)上記各実施形態では、大容積蒸発器9b、9cは車室内冷房を実施するものとして説明したが、これに限らず、車室内の除湿運転を実施するものとしてもよい。
(5)上記各実施形態では、車載温調装置が搭載される車両をバスとして説明したが、これに限らず、車載温調装置は、例えば乗用車、トラック、鉄道車両など、種々の車両に搭載できる。
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
本発明に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本発明に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本発明に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
2、2a、2b 冷媒回路
5 圧縮機
6 凝縮器
7、7a 貯液部
8a~8c 膨張弁
9、9a~9e 蒸発器
9a、9d 小容積蒸発器
9b、9c 大容積蒸発器
10 電磁弁
10a、10d 小容積側電磁弁(電磁弁)

Claims (25)

  1. 車両に搭載されて冷却対象機器および冷却対象空間の温度調整を行う車載温調装置において、
    冷媒を圧縮して吐き出す圧縮機(5)と、前記圧縮機で圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器(6)と、液相の冷媒を貯留する貯液部(7、7a)と、前記凝縮器で凝縮した液相の冷媒を減圧膨張させる複数の膨張弁(8a~8c)と、前記膨張弁で膨張した冷媒を蒸発させる複数の蒸発器(9、9a~9e)とが冷媒配管で接続された冷媒回路(2、2a、2b)を備え、
    複数の前記膨張弁と複数の前記蒸発器は、前記凝縮器で凝縮した冷媒が分流して一部の冷媒が一方の前記膨張弁と一方の前記蒸発器に流れ、その他の冷媒が他方の前記膨張弁と他方の前記蒸発器に流れた後、それぞれの前記蒸発器から流出した冷媒が合流して前記圧縮機に流入するように並列配置されており、
    前記冷媒回路には、複数の前記蒸発器のうち冷媒の流れる部位の内容積が最も大きい大容積蒸発器(9b、9c)に対する冷媒の流れを遮断可能な電磁弁が設けられておらず、複数の前記蒸発器のうち前記大容積蒸発器を除いた1または複数の小容積蒸発器(9a、9d)に対する冷媒の流れを遮断可能な電磁弁(10、10a、10d)が設けられている、車載温調装置。
  2. 前記冷媒回路には、前記凝縮器の下流側で冷媒配管が分岐する分岐部(12)と、前記圧縮機の上流側で冷媒配管が合流する合流部(13、13a、13b)とが設けられており、
    前記小容積蒸発器に流入する冷媒を減圧膨張させる前記膨張弁を第1膨張弁(8a)と呼び、
    前記大容積蒸発器に流入する冷媒を減圧膨張させる前記膨張弁を第2膨張弁(8b)と呼び、
    前記冷媒回路のうち、前記分岐部から前記第1膨張弁および前記小容積蒸発器を経由して前記合流部までを接続する経路を第1分岐経路(14)と呼び、
    前記冷媒回路のうち、前記分岐部から前記第2膨張弁および前記大容積蒸発器を経由して前記合流部までを接続する経路を第2分岐経路(15)と呼ぶとき、
    前記第1分岐経路に前記電磁弁が設けられており、前記第2分岐経路に前記電磁弁が設けられていない、請求項1に記載の車載温調装置。
  3. 前記冷却対象機器および前記冷却対象空間を前記蒸発器により冷却する冷却要求に応じて車載温調装置の各構成の動作を制御する電子制御装置(4)をさらに備え、
    前記電子制御装置は、前記小容積蒸発器に冷却要求があり、前記大容積蒸発器に冷却要求が無い場合、前記圧縮機を駆動させ、前記電磁弁を開くことで、前記小容積蒸発器と前記大容積蒸発器との両方に冷媒を流す制御を実行する、請求項1または2に記載の車載温調装置。
  4. 前記冷却対象機器および前記冷却対象空間を前記蒸発器により冷却する冷却要求に応じて車載温調装置の各構成の動作を制御する電子制御装置(4)と、
    前記大容積蒸発器を流れる冷媒と熱交換させる外部流体を前記大容積蒸発器に供給し、前記大容積蒸発器の熱交換能力を調整可能な熱交換能力調整部(3)をさらに備え、
    前記電子制御装置は、前記小容積蒸発器に冷却要求があり、前記大容積蒸発器に冷却要求が無い場合、前記圧縮機を駆動させ、前記電磁弁を開くことで、前記小容積蒸発器と前記大容積蒸発器との両方に冷媒を流し、さらに、前記熱交換能力調整部により外部流体を前記大容積蒸発器に供給する制御を実行する、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車載温調装置。
  5. 前記冷却対象機器および前記冷却対象空間を前記蒸発器により冷却する冷却要求に応じて車載温調装置の各構成の動作を制御する電子制御装置(4)と、
    前記大容積蒸発器を流れる冷媒と熱交換させる外部流体を前記大容積蒸発器に供給し、前記大容積蒸発器の熱交換能力を調整可能な熱交換能力調整部(3)をさらに備え、
    前記電子制御装置は、前記小容積蒸発器に冷却要求があり、前記大容積蒸発器に冷却要求がある状態から無い状態に変わった場合、前記圧縮機を駆動させ、前記電磁弁を開くことで、前記小容積蒸発器と前記大容積蒸発器との両方に冷媒を流し、さらに、前記熱交換能力調整部により外部流体を前記大容積蒸発器に供給する制御を継続して実行する、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車載温調装置。
  6. 前記冷却対象機器および前記冷却対象空間を前記蒸発器により冷却する冷却要求に応じて車載温調装置の各構成の動作を制御する電子制御装置(4)と、
    前記大容積蒸発器を流れる冷媒と熱交換させる外部流体を前記大容積蒸発器に供給し、前記大容積蒸発器の熱交換能力を調整可能な熱交換能力調整部(3)をさらに備え、
    前記電子制御装置は、前記小容積蒸発器に冷却要求があり、前記大容積蒸発器に冷却要求がある状態から無い状態に変わった場合、前記圧縮機を駆動させ、前記電磁弁を開くことで、前記小容積蒸発器と前記大容積蒸発器との両方に冷媒を流し、さらに、前記熱交換能力調整部により前記大容積蒸発器に供給する外部流体の供給量を少なくする制御を実行する、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の車載温調装置。
  7. 前記冷却対象機器および前記冷却対象空間を前記蒸発器により冷却する冷却要求に応じて車載温調装置の各構成の動作を制御する電子制御装置(4)と、
    前記大容積蒸発器を流れる冷媒と熱交換させる外部流体を前記大容積蒸発器に供給し、前記大容積蒸発器の熱交換能力を調整可能な熱交換能力調整部(3)をさらに備え、
    前記電子制御装置は、前記小容積蒸発器に冷却要求があり、前記大容積蒸発器に冷却要求が無い状態から有る状態に変わった場合、前記圧縮機を駆動させ、前記電磁弁を開くことで、前記小容積蒸発器と前記大容積蒸発器との両方に冷媒を流し、さらに、前記熱交換能力調整部により外部流体を前記大容積蒸発器に供給する制御を継続して実行する、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の車載温調装置。
  8. 前記冷却対象機器および前記冷却対象空間を前記蒸発器により冷却する冷却要求に応じて車載温調装置の各構成の動作を制御する電子制御装置(4)と、
    前記大容積蒸発器を流れる冷媒と熱交換させる外部流体を前記大容積蒸発器に供給し、前記大容積蒸発器の熱交換能力を調整可能な熱交換能力調整部(3)をさらに備え、
    前記電子制御装置は、前記大容積蒸発器に冷却要求が無く、前記小容積蒸発器に冷却要求が無い状態から有る状態に変わった場合、前記圧縮機を駆動させ、前記電磁弁を開くことで、前記小容積蒸発器と前記大容積蒸発器との両方に冷媒を流し、さらに、前記熱交換能力調整部により外部流体を前記大容積蒸発器に供給する制御を開始する、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の車載温調装置。
  9. 前記冷却対象機器および前記冷却対象空間を前記蒸発器により冷却する冷却要求に応じて車載温調装置の各構成の動作を制御する電子制御装置(4)と、
    前記大容積蒸発器を流れる冷媒と熱交換させる外部流体を前記大容積蒸発器に供給し、前記大容積蒸発器の熱交換能力を調整可能な熱交換能力調整部(3)をさらに備え、
    前記電子制御装置は、前記大容積蒸発器に冷却要求が無く、前記小容積蒸発器に冷却要求が有る状態から無い状態に変わった場合、前記圧縮機の駆動を停止させ、さらに、前記熱交換能力調整部により外部流体を前記大容積蒸発器に供給する制御を停止する、請求項1ないし8のいずれか1つに記載の車載温調装置。
  10. 前記冷却対象機器および前記冷却対象空間を前記蒸発器により冷却する冷却要求に応じて車載温調装置の各構成の動作を制御する電子制御装置(4)と、
    前記大容積蒸発器を流れる冷媒と熱交換させる外部流体を前記大容積蒸発器に供給し、前記大容積蒸発器の熱交換能力を調整可能な熱交換能力調整部(3)をさらに備え、
    前記電子制御装置は、前記小容積蒸発器に冷却要求があり、前記大容積蒸発器に冷却要求が無い場合、前記圧縮機を駆動させ、前記電磁弁を開くことで、前記小容積蒸発器と前記大容積蒸発器との両方に冷媒を流し、さらに、前記熱交換能力調整部により前記大容積蒸発器に供給する外部流体の供給量を前記電子制御装置に設定された流量設定の中で最も低い流量以下の風量とする制御を実行する、請求項1ないし9のいずれか1つに記載の車載温調装置。
  11. 車両に搭載されて冷却対象機器および冷却対象空間の温度調整を行う車載温調装置において、
    冷媒を圧縮して吐き出す圧縮機(5)、前記圧縮機で圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器(6)、液相の冷媒を貯留する貯液部(7、7a)、前記凝縮器で凝縮した液相の冷媒を減圧膨張させる複数の膨張弁(8a~8c)、および、前記膨張弁で膨張した冷媒を蒸発させる複数の蒸発器(9、9a~9e)が冷媒配管で接続された冷媒回路(2、2a、2b)と、
    前記冷却対象機器および前記冷却対象空間を前記蒸発器により冷却する冷却要求に応じて車載温調装置の各構成の動作を制御する電子制御装置(4)と、
    複数の前記蒸発器のうち冷媒の流れる部位の内容積が最も大きい大容積蒸発器(9b、9c)を流れる冷媒と熱交換させる外部流体を前記大容積蒸発器に供給し、前記大容積蒸発器の熱交換能力を調整可能な熱交換能力調整部(3)と、を備え、
    複数の前記膨張弁と複数の前記蒸発器は、前記凝縮器で凝縮した冷媒が分流して一部の冷媒が一方の前記膨張弁と一方の前記蒸発器に流れ、その他の冷媒が他方の前記膨張弁と他方の前記蒸発器に流れた後、それぞれの前記蒸発器から流出した冷媒が合流して前記圧縮機に流入するように並列配置されており、
    前記冷媒回路には、前記大容積蒸発器に対する冷媒の流れを遮断可能な大容積側電磁弁(10b、10c)が設けられており、
    前記電子制御装置は、外気温度が所定の閾値より高く、且つ、複数の前記蒸発器のうち前記大容積蒸発器を除いた1または複数の小容積蒸発器(9a、9d)に冷却要求が有り、前記大容積蒸発器に冷却要求が無い場合、前記圧縮機を駆動させ、前記大容積側電磁弁を開くことで、前記小容積蒸発器と前記大容積蒸発器との両方に冷媒を流し、さらに、前記熱交換能力調整部により外部流体を前記大容積蒸発器に供給する制御を実行する、車載温調装置。
  12. 前記電子制御装置は、外気温度が所定の閾値より低く、且つ、前記小容積蒸発器に冷却要求が有り、前記大容積蒸発器に冷却要求が無い場合、前記圧縮機を駆動させ、前記大容積側電磁弁を閉じることで、前記小容積蒸発器に冷媒を流し、前記大容積蒸発器への冷媒の流れを遮断する制御を実行する、請求項11に記載の車載温調装置。
  13. 前記冷媒回路には、前記小容積蒸発器に対し冷媒の流れを遮断可能な小容積側電磁弁(10a、10d)がさらに設けられており、
    前記電子制御装置は、外気温度が所定の閾値より低く、且つ、前記小容積蒸発器に冷却要求が有り、前記大容積蒸発器に冷却要求が無い場合、前記圧縮機を駆動させ、前記小容積側電磁弁を開き、前記大容積側電磁弁を閉じることで、前記小容積蒸発器に冷媒を流し、前記大容積蒸発器への冷媒の流れを遮断する制御を実行する、請求項11または12に記載の車載温調装置。
  14. 前記冷媒回路には、前記小容積蒸発器に対し冷媒の流れを遮断可能な小容積側電磁弁(10a、10d)がさらに設けられており、
    前記電子制御装置は、外気温度が所定の閾値より高く、且つ、前記小容積蒸発器に冷却要求があり、前記大容積蒸発器に冷却要求がある状態から無い状態に変わった場合、前記圧縮機を駆動させ、前記大容積側電磁弁および前記小容積側電磁弁を開くことで、前記小容積蒸発器と前記大容積蒸発器との両方に冷媒を流し、さらに、前記熱交換能力調整部により外部流体を前記大容積蒸発器に供給する制御を継続して実行する、請求項11ないし13のいずれか1つに記載の車載温調装置。
  15. 前記冷媒回路には、前記小容積蒸発器に対し冷媒の流れを遮断可能な小容積側電磁弁(10a、10d)がさらに設けられており、
    前記電子制御装置は、外気温度が所定の閾値より高く、且つ、前記小容積蒸発器に冷却要求があり、前記大容積蒸発器に冷却要求がある状態から無い状態に変わった場合、前記圧縮機を駆動させ、前記大容積側電磁弁および前記小容積側電磁弁を開くことで、前記小容積蒸発器と前記大容積蒸発器との両方に冷媒を流し、さらに、前記熱交換能力調整部により前記大容積蒸発器に供給する外部流体の供給量を少なくする制御を実行する、請求項11ないし14のいずれか1つに記載の車載温調装置。
  16. 前記冷媒回路には、前記小容積蒸発器に対し冷媒の流れを遮断可能な小容積側電磁弁(10a、10d)がさらに設けられており、
    前記電子制御装置は、外気温度が所定の閾値より高く、且つ、前記小容積蒸発器に冷却要求があり、前記大容積蒸発器に冷却要求が無い状態から有る状態に変わった場合、前記圧縮機を駆動させ、前記大容積側電磁弁および前記小容積側電磁弁を開くことで、前記小容積蒸発器と前記大容積蒸発器との両方に冷媒を流し、さらに、前記熱交換能力調整部により外部流体を前記大容積蒸発器に供給する制御を継続して実行する、請求項11ないし15のいずれか1つに記載の車載温調装置。
  17. 前記冷媒回路には、前記小容積蒸発器に対し冷媒の流れを遮断可能な小容積側電磁弁(10a、10d)がさらに設けられており、
    前記電子制御装置は、外気温度が所定の閾値より高く、且つ、前記大容積蒸発器に冷却要求が無く、前記小容積蒸発器に冷却要求が無い状態から有る状態に変わった場合、前記圧縮機を駆動させ、前記大容積側電磁弁および前記小容積側電磁弁を開くことで、前記小容積蒸発器と前記大容積蒸発器との両方に冷媒を流し、さらに、前記熱交換能力調整部により外部流体を前記大容積蒸発器に供給する制御を開始する、請求項11ないし16のいずれか1つに記載の車載温調装置。
  18. 前記電子制御装置は、外気温度が所定の閾値より高く、且つ、前記大容積蒸発器に冷却要求が無く、前記小容積蒸発器に冷却要求が有る状態から無い状態に変わった場合、前記圧縮機の駆動を停止させ、さらに、前記熱交換能力調整部により外部流体を前記大容積蒸発器に供給する制御を停止する、請求項11ないし17のいずれか1つに記載の車載温調装置。
  19. 前記冷媒回路には、前記小容積蒸発器に対し冷媒の流れを遮断可能な小容積側電磁弁(10a、10d)がさらに設けられており、
    前記電子制御装置は、外気温度が所定の閾値より高く、且つ、前記小容積蒸発器に冷却要求があり、前記大容積蒸発器に冷却要求が無い場合、前記圧縮機を駆動させ、前記大容積側電磁弁および前記小容積側電磁弁を開くことで、前記小容積蒸発器と前記大容積蒸発器との両方に冷媒を流し、さらに、前記熱交換能力調整部により前記大容積蒸発器に供給する外部流体の供給量を前記電子制御装置に設定された流量設定の中で最も低い流量以下の風量とする制御を実行する、請求項11ないし18のいずれか1つに記載の車載温調装置。
  20. 1または複数の前記小容積蒸発器のうち、いずれか1つの前記小容積蒸発器における冷媒の流れる部位の内容積と、前記貯液部における冷媒を貯留および排出可能な部位の内容積との和よりも、前記大容積蒸発器における冷媒の流れる部位の内容積は大きい、請求項1ないし19のいずれか1つに記載の車載温調装置。
  21. 1または複数の前記小容積蒸発器のうち、冷媒の流れる部位の内容積が最も小さい前記小容積蒸発器の内容積と、前記貯液部における冷媒を貯留および排出可能な部位の内容積との和よりも、前記大容積蒸発器における冷媒の流れる部位の内容積は大きい、請求項1ないし20のいずれか1つに記載の車載温調装置。
  22. 前記大容積蒸発器は、車室内空調に用いられ、前記大容積蒸発器を流れる冷媒と空気との熱交換により冷却された空気を車室内に供給し、前記冷却対象空間である車室内を空調する空調用蒸発器である、請求項1ないし21のいずれか1つに記載の車載温調装置。
  23. 前記小容積蒸発器は、前記車両に搭載される前記冷却対象機器を冷却するための冷却液と前記小容積蒸発器を流れる冷媒との熱交換により、冷却液を冷却する冷却液-冷媒熱交換器である、請求項1ないし22のいずれか1つに記載の車載温調装置。
  24. 1または複数の前記小容積蒸発器のうち少なくとも1つの前記小容積蒸発器が冷却する前記冷却対象機器は、前記車両に搭載された電池である、請求項1ないし23のいずれか1つに記載の車載温調装置。
  25. 前記熱交換能力調整部は、外部流体としての空気を前記大容積蒸発器に供給し、前記大容積蒸発器で冷却された空気を車室内に供給するブロワである、請求項4ないし24のいずれか1つに記載の車載温調装置。
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