JP2023037225A - エジェクタ及び燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

Figure 2023037225000001
【課題】 細かく吸引能力を変化させることが可能なエジェクタを提案する。
【解決手段】 エジェクタであって、駆動流体供給路と、内側ノズルと、内部に前記内側ノズルが配置されている外側ノズルと、前記内側ノズル及び前記外側ノズルから吐出される前記駆動流体が流れる負圧発生室と、前記負圧発生室に吸引流体を供給する吸引流体供給路と、前記負圧発生室に接続されたディフューザと、を有する。前記内側ノズルの外周面が第1テーパ面を有している。前記外側ノズルの内周面が、前記第1テーパ面に対向する第2テーパ面を有している。前記内側ノズルの軸方向に沿って見たときに、前記第1テーパ面が前記第2テーパ面と重複している。前記外側ノズルと前記内側ノズルが、前記軸方向に沿って相対的に移動可能である。
【選択図】図3

Description

本明細書に開示の技術は、エジェクタ及び燃料電池システムに関する。
特許文献1に開示のエジェクタは、外側ノズルと内側ノズルを有する。外側ノズルの内部に内側ノズルが配置されている。内側ノズルの中心孔によって駆動流体が流れる第1流路が構成されている。内側ノズルの外周面と外側ノズルの内周面の間の隙間によって駆動流体が流れる第2流路が構成されている。第1流路には第1インジェクタが接続されており、第2流路には第2インジェクタが接続されている。したがって、第1インジェクタが作動すると内側ノズルから駆動流体が吐出され、第2インジェクタが作動すると外側ノズルから駆動流体が吐出される。内側ノズル及び外側ノズルは、駆動流体を負圧発生室内に吐出する。したがって、負圧発生室内で負圧が発生する。負圧発生室には吸引流体供給路が接続されている。負圧発生室内で負圧が発生することによって、吸引流体供給路から負圧発生室内に吸引流体が流入する。負圧発生室内に流入した駆動流体と吸引流体は、ディフューザへ流れる。このエジェクタでは、作動させるインジェクタの数を変更することで、エジェクタに流れる駆動流体の流量を変更できる。これによって、エジェクタの吸引能力を変化させることができる。
特開2020-056365号公報
特許文献1のエジェクタでは、第1インジェクタのみを作動させた状態、第2インジェクタのみを作動させた状態、及び、第1インジェクタと第2インジェクタの両方を作動させた状態の3段階でエジェクタに供給する駆動流体の流量を変化させることができる。すなわち、特許文献1のエジェクタでは、エジェクタの吸引能力を3段階で変化させることができる。他方、特許文献1の技術では、エジェクタの吸引能力を細かく調整することができない。本明細書では、より細かく吸引能力を変化させることが可能なエジェクタを提案する。
本明細書が開示するエジェクタは、駆動流体供給路と、内側ノズルと、外側ノズルと、負圧発生室と、吸引流体供給路と、ディフューザと、を有する。前記内側ノズルは、筒形状を有する。前記筒形状の中心孔によって前記駆動流体供給路から供給される駆動流体が流れる第1流路が構成されている。前記内側ノズルは、前記第1流路内の前記駆動流体を吐出する。前記外側ノズルは、筒形状を有する。前記外側ノズルの内部に前記内側ノズルが配置されている。前記内側ノズルの外周面と前記外側ノズルの内周面の間の隙間によって前記駆動流体供給路から供給される前記駆動流体が流れる第2流路が構成されている。前記外側ノズルは、前記第2流路内の前記駆動流体を吐出する。前記負圧発生室には、前記内側ノズル及び前記外側ノズルから吐出される前記駆動流体が流れる。前記吸引流体供給路は、前記負圧発生室に吸引流体を供給する。前記ディフューザは、前記負圧発生室に接続されている。前記内側ノズルの前記外周面が、前記第2流路の上流側から下流側に向かうに従って前記内側ノズルの外径が縮小するように傾斜する第1テーパ面を有している。前記外側ノズルの前記内周面が、前記第2流路の上流側から下流側に向かうに従って前記外側ノズルの内径が縮小するように傾斜するとともに前記第1テーパ面に対向する第2テーパ面を有している。前記外側ノズルと前記内側ノズルが、前記内側ノズルの軸方向に沿って相対的に移動可能である。
このエジェクタでは、駆動流体供給路から供給される駆動流体が、内側ノズルと外側ノズルから負圧発生室へ吐出される。また、このエジェクタでは、外側ノズルと内側ノズルが内側ノズルの軸方向に沿って相対的に移動可能である。外側ノズルを内側ノズルに対して相対移動させることによって第1テーパ面と第2テーパ面の間の間隔が変化させることができる。第1テーパ面と第2テーパ面の間の間隔が広くなると第2流路の流路断面積が広くなり、外側ノズルから吐出される駆動流体が増加する。第1テーパ面と第2テーパ面の間の間隔が狭くなると第2流路の流路断面積が狭くなり、外側ノズルから吐出される駆動流体が減少する。このように、このエジェクタでは、外側ノズルを内側ノズルに対して相対移動させることで、外側ノズルから吐出される駆動流体の流量を変化させることができる。これによって、エジェクタの吸引能力を変化させることができる。このエジェクタによれば、外側ノズルと内側ノズルの相対位置を任意に変更できるので、エジェクタの吸引能力を細かく調整することができる。
燃料電池システムのブロック図。 エジェクタの縦断面図。 ノズル周辺の拡大縦断面図。 吐出口の拡大縦断面図。 吐出口の拡大縦断面図。 吐出口の拡大縦断面図。 低負荷作動時のエジェクタの循環流量比を示すグラフ。 高負荷作動時のエジェクタの循環流量比を示すグラフ。 変形例のエジェクタの中心軸に直交する断面(駆動流体供給口の位置における断面)を示す図。
上記のエジェクタは、前記内側ノズルと前記外側ノズルを収容する本体ケースをさらに有していてもよい。前記内側ノズルが、前記本体ケースに固定されていてもよい。前記外側ノズルが、前記内側ノズル及び前記本体ケースに対して前記軸方向に沿って移動可能であってもよい。
この構成によれば、内側ノズルと負圧発生室の相対位置が変化しないので、エジェクタで高い吸引能力を得ることができる。
上記のエジェクタにおいては、前記第1テーパ面を前記第2テーパ面に最も接近させたときに、前記第1テーパ面が前記第2テーパ面と接触してもよい。
この構成によれば、外側ノズルの吐出を停止させることができる。
上記のエジェクタにおいては、前記第2テーパ面の傾斜角度が、前記第1テーパ面の傾斜角度よりも大きくてもよい。
上記のエジェクタにおいては、前記内側ノズルの外周壁が、第1駆動流体供給口を有していてもよい。前記外側ノズルの外周壁が、第2駆動流体供給口を有していてもよい。前記内側ノズルの径方向に沿って見たときに前記第1駆動流体供給口が前記第2駆動流体供給口と重なる位置に配置されていてもよい。前記駆動流体供給路から、前記第2駆動流体供給口を介して前記第2流路に前記駆動流体が供給されてもよい。前記駆動流体供給路から、前記第2駆動流体供給口と前記第1駆動流体供給口を介して前記第1流路に前記駆動流体が供給されてもよい。前記第2駆動流体供給口が、前記第1駆動流体供給口よりも大きくてもよい。
この構成によれば、外側ノズルと内側ノズルが相対的に移動するときに、駆動流体供給路から第1流路に至る駆動流体の流路における圧損が変化し難い。
本明細書は、新たな燃料電池システムを提案する。この燃料電池システムは、上記のいずれかのエジェクタと、前記エジェクタに前記駆動流体を供給するインジェクタと、前記エジェクタから供給される供給流体を用いて発電する燃料電池と、前記外側ノズルを前記内側ノズルに対して前記軸方向に沿って相対的に移動させる制御回路と、を有していてもよい。前記吸引流体が、前記燃料電池を通過後の前記供給流体であってもよい。前記制御回路が、前記インジェクタから前記エジェクタに供給される前記駆動流体の圧力が高いほど前記第1テーパ面と前記第2テーパ面の間の間隔を広くしてもよい。
図1に示す実施形態の燃料電池システム10は、燃料電池12を有している。燃料電池システム10は、燃料電池12で燃料ガスと酸化剤ガスを反応させて発電する。本実施形態では、燃料ガスとして水素ガスを使用し、酸化剤ガスとして空気を使用する。
燃料電池システム10は、空気供給管20、エアポンプ22、及び、空気排出管24を有している。空気供給管20と空気排出管24は燃料電池12に接続されている。エアポンプ22は、空気供給管20に設置されている。エアポンプ22は、空気供給管20内の空気を燃料電池12へ向かって送出する。エアポンプ22が作動すると、外気(すなわち、空気)が空気供給管20内に流入する。空気供給管20に流入した空気は、空気供給管20を介して燃料電池12内へ流れる。燃料電池12を通過した空気は、空気排出管24を介して外部へ排出される。
燃料電池システム10は、水素タンク30、水素供給管32、インジェクタ34、エジェクタ36、水素供給管38、水素循環管40、気液分離器42、水素循環管44、及び、水素排出管46を有している。
水素タンク30は、水素ガスを貯留している。水素供給管32は、水素タンク30とエジェクタ36とを接続している。インジェクタ34は、水素供給管32に設置されている。水素供給管38は、エジェクタ36と燃料電池12を接続している。水素循環管40は、燃料電池12と気液分離器42を接続している。水素循環管44は、気液分離器42とエジェクタ36を接続している。水素排出管46は、気液分離器42に接続されている。インジェクタ34は、水素タンク30から供給される水素ガスを高圧でエジェクタ36に向かって送出する。なお、以下では、水素タンク30から供給される水素ガスを、原料水素ガスという場合がある。したがって、インジェクタ34が作動すると、高圧の原料水素ガスがエジェクタ36に流入する。また、後述するように、エジェクタ36には、燃料電池12を通過後の水素ガス(以下、水素オフガスという場合がある)が水素循環管44から流入する。エジェクタ36は、原料水素ガスと水素オフガスを混合した水素ガスを水素供給管38を介して燃料電池12へ供給する。燃料電池12を通過した水素ガス(すなわち、水素オフガス)は、水素循環管40を介して気液分離器42に流入する。気液分離器42は、水分と余剰の水素オフガスを水素排出管46へ排出するとともに、水分が除去された水素オフガスを水素循環管44へ供給する。水素循環管44へ流入した水素オフガスは、再度、エジェクタ36から燃料電池12へ送られる。このように、燃料電池システム10では、水素オフガスが燃料電池12で再利用される。
燃料電池システム10は、アクチュエータ50を有している。アクチュエータ50は、エジェクタ36の内部の部品(後述する外側ノズル74)を移動させる。
燃料電池システム10は、制御回路60を有している。制御回路60は、エアポンプ22、インジェクタ34、及び、アクチュエータ50を制御する。制御回路60は、エアポンプ22を制御することによって、燃料電池12に供給される空気の圧力を制御することができる。また、制御回路60は、インジェクタ34を制御することによって、インジェクタ34がエジェクタ36に供給する水素ガスの圧力を制御することができる。また、制御回路60は、アクチュエータ50を制御することによって、エジェクタ36の吸引能力を変化させることができる。
図2、3は、エジェクタ36の縦断面を示している。エジェクタ36は、略円柱形状を有している。図2、3では、エジェクタ36の中心軸を含む断面を示している。エジェクタ36は、本体ケース71、本体ケース72、外側ノズル74、及び、内側ノズル76を有している。
本体ケース71、本体ケース72、外側ノズル74、及び、内側ノズル76のそれぞれは、筒形状を有している。本体ケース72は、本体ケース71の中心孔71a内に配置されている。本体ケース72は、本体ケース71と同軸に配置されている。本体ケース72は、本体ケース71に対して固定されている。外側ノズル74は、本体ケース72の中心孔72a内に配置されている。外側ノズル74は、本体ケース71、72と同軸に配置されている。内側ノズル76は、外側ノズル74の中心孔74a内に配置されている。内側ノズル76は、本体ケース71、72及び外側ノズル74と同軸に配置されている。以上に説明したように、本体ケース71、本体ケース72、外側ノズル74、及び、内側ノズル76の軸は一致している。以下では、これらの軸が伸びる方向を軸方向という。内側ノズル76は、本体ケース72に対して固定されている。外側ノズル74は、本体ケース71、72及び内側ノズル76に対して軸方向に沿って移動することができる。
図2に示すように、本体ケース72の中心孔72aは、ノズル収容部84、負圧発生室86、及び、ディフューザ88を有している。図2、3に示すように、ノズル収容部84内には、外側ノズル74と内側ノズル76が収容されている。内側ノズル76の中心孔76aの一方の端部には、吐出口76bが設けられている。中心孔76aの吐出口76bとは反対側の端部は閉塞されている。内側ノズル76の中心孔76aによって、原料水素ガスが流れる第1流路が構成されている。外側ノズル74の中心孔74aの一方の端部には、吐出口74bが設けられている。吐出口74bは、吐出口76bの外周部に配置されている。中心孔74aの吐出口74bとは反対側の端部は閉塞されている。外側ノズル74の内周面(すなわち、中心孔74aの内面)と内側ノズル76の外周面の間には、隙間74dが設けられている。隙間74dは、吐出口74bに繋がっている。隙間74dによって、原料水素ガスが流れる第2流路が構成されている。
外側ノズル74の外周壁には、駆動流体供給口74cが形成されている。駆動流体供給口74cは、外側ノズル74の外周壁を貫通している。内側ノズル76の外周壁には、駆動流体供給口76cが形成されている。駆動流体供給口76cは、内側ノズル76の外周壁を貫通している。駆動流体供給口76cは、駆動流体供給口74cの下側に配置されている。すなわち、内側ノズル76の径方向に沿って見たときに、駆動流体供給口76cは駆動流体供給口74cと重なる位置に配置されている。駆動流体供給口76cの直径は、駆動流体供給口74cの直径よりも小さい。
ノズル収容部84の上部に、駆動流体供給路80が設けられている。駆動流体供給路80は、本体ケース71、72を貫通している。すなわち、駆動流体供給路80は、本体ケース71の外周面から本体ケース72の内周面まで伸びている。駆動流体供給路80は、駆動流体供給口74c、76cと繋がっている。駆動流体供給路80には、図1に示す水素供給管32の下流端が接続されている。水素供給管32から供給される原料水素ガスは、駆動流体供給路80、駆動流体供給口74c、76cを介して外側ノズル74と内側ノズル76に供給される。
負圧発生室86は、内側ノズル76の吐出口76b及び外側ノズル74の吐出口74bに隣接する位置に配置されている。負圧発生室86の内径は、外側ノズル74の外径よりも大きい。
ノズル収容部84の上部に、吸引流体供給路82が設けられている。吸引流体供給路82は、本体ケース71、72を貫通している。吸引流体供給路82は、本体ケース71の外周面から本体ケース72の内周面まで伸びている。吸引流体供給路82は、負圧発生室86に繋がっている。吸引流体供給路82には、図1に示す水素循環管44の下流端が接続されている。水素循環管44から供給される水素オフガスは、吸引流体供給路82を介して負圧発生室86に流入する。
ディフューザ88は、負圧発生室86に隣接する位置に配置されている。ディフューザ88の上流端は負圧発生室86に接続されている。ディフューザ88は、負圧発生室86からエジェクタ36の軸方向の端部まで伸びている。ディフューザ88の下流端には、図1に示す水素供給管38の上流端が接続されている。
インジェクタ34が作動すると、インジェクタ34は原料水素ガスを水素供給管32を介してエジェクタ36へ供給する。図3の矢印100に示すように、インジェクタ34から供給された原料水素ガスの一部は、駆動流体供給路80と駆動流体供給口74cを介して隙間74d内に流入する。隙間74d内の原料水素ガスは、外側ノズル74の吐出口74bから負圧発生室86内に吐出される。また、図3の矢印102に示すように、インジェクタ34から供給された原料水素ガスの他部は、駆動流体供給路80、駆動流体供給口74c及び駆動流体供給口76cを介して内側ノズル76の中心孔76a内に流入する。中心孔76a内の原料水素ガスは、内側ノズル76の吐出口76bから負圧発生室86内に吐出される。以上に説明したように、内側ノズル76及び外側ノズル74から負圧発生室86内に原料水素ガスが吐出される。内側ノズル76及び外側ノズル74が高い流速で原料水素ガスを吐出するので、負圧発生室86内で負圧が発生する。このため、図3の矢印104に示すように、吸引流体供給路82から負圧発生室86内に水素オフガスが流入する。負圧発生室86内の原料水素ガスと水素オフガスは、ディフューザ88内を下流側に向かって流れる。ディフューザ88内で、原料水素ガスと水素オフガスが混合される。ディフューザ88内を下流端まで流れた水素ガスは、図1に示す水素供給管38へ流れる。したがって、水素供給管38を介して燃料電池12へ水素ガスが供給される。
図4は、外側ノズル74及び内側ノズル76の先端の拡大断面図である。図4に示すように、内側ノズル76の外周面は、隙間74dによって構成される流路の上流側から下流側(すなわち、吐出口74b側)に向かうにしたがって内側ノズル76の外径が小さくなるように傾斜したテーパ面76tを有している。また、外側ノズル74の内周面は、隙間74dによって構成される流路の上流側から下流側に向かうにしたがって外側ノズル74の内径が小さくなるように傾斜したテーパ面74tを有している。テーパ面74tはテーパ面76tに対向している。図4の重複範囲Sに示すように、軸方向に沿って見たときにテーパ面74tはテーパ面76tと重複している。テーパ面74tの傾斜角度θ74tは、テーパ面76tの傾斜角度θ76tの傾斜角度よりも大きい。なお、テーパ面の傾斜角度は、ノズルの中心軸に平行な方向に対してテーパ面が成す角度である。テーパ面74tの傾斜角度θ74tがテーパ面76tの傾斜角度θ76tの傾斜角度よりも大きいので、テーパ面74tとテーパ面76tとが対向する範囲では隙間74dの幅が下流側ほど狭い。
上述したように、アクチュエータ50によって外側ノズル74を軸方向に沿って移動させることができる。図4は、テーパ面74tとテーパ面76tの間の間隔C1が最も広い状態を示している。図4の状態から外側ノズル74を右側(上流側)へ移動させると、図5のように間隔C1が狭くなる。図5の状態では、図4の状態よりも、隙間74dにおける原料水素ガスの流量が少なくなる。図5の状態から外側ノズル74をさらに右側(上流側)へ移動させると、図6に示すようにテーパ面74tがテーパ面76tと接触する。図6の状態では、隙間74dに原料水素ガスが流れない。このように、外側ノズル74を移動させると、隙間74dにおける流路断面積が変化し、隙間74dにおける原料水素ガスの流量が変化する。
また、図3に示すように、外側ノズル74の外周壁に設けられた駆動流体供給口74cは、内側ノズル76の外周壁に設けられた駆動流体供給口76cよりも大きい。このため、外側ノズル74が軸方向に移動しても、駆動流体供給路80から駆動流体供給口74c、76dを介して内側ノズル76の中心孔76aに至る流路の断面積は変化しない。このため、外側ノズル74を移動しても、内側ノズル76における原料水素ガスの流量はほとんど変化しない。
以上に説明したように、外側ノズル74を移動させると、内側ノズル76の中心孔76a内に流れる原料水素ガスの流量を変化させないで、隙間74dに流れる原料水素ガスの流量を変化させることができる。このため、外側ノズル74を移動させると、負圧発生室86に吐出される原料水素ガスの流量が変化する。これによって、エジェクタ36の吸引能力(すなわち、原料水素ガスに対して水素オフガスを混合する能力)を変化させることができる。
また、このエジェクタ36では、内側ノズル76が本体ケース72に対して固定されているので、内側ノズル76の吐出口76bの負圧発生室86に対する位置が変化しない。このため、吐出口76bを負圧発生室86で効率的に負圧が発生させることが可能な位置に保持することができる。
燃料電池12に要求される発電量が高い場合には、燃料電池12を高負荷で作動させる必要がある。このため、制御回路60は、燃料電池12に要求される発電量に応じて、燃料電池12に供給するガスの圧力を変化させる。すなわち、制御回路60は、燃料電池12を低負荷で作動させる場合に、エアポンプ22とインジェクタ34を制御して、燃料電池12に供給する空気及び水素ガスの圧力を低くする。また、制御回路60は、燃料電池12を高負荷で作動させる場合に、エアポンプ22とインジェクタ34を制御して、燃料電池12に供給する空気及び水素ガスの圧力を高くする。
図7は、低負荷作動時(すなわち、インジェクタ34からエジェクタ36に供給される原料水素ガスの圧力が低い場合)におけるエジェクタ36の吸引能力を示している。図7の縦軸の循環流量比は、エジェクタ36から吐出される水素ガスに含まれる水素オフガスと原料水素ガスの比率である。循環流量比が高いほど、水素オフガスの比率が高く、エジェクタ36の吸引能力が高い。図7に示すように、低負荷作動時には、間隔C1が狭いほど循環流量比が高くなる。また、図8は、高負荷作動時(すなわち、インジェクタ34からエジェクタ36に供給される原料水素ガスの圧力が高い場合)におけるエジェクタ36の吸引能力を示している。図8に示すように、高負荷作動時には、間隔C1が広いほど循環流量比が高くなる。また、図示していないが、中間負荷作動時(負荷が中程度の作動時)には、間隔C1が中程度の場合に循環流量比が最も高くなると考えられる。このように、最適なノズル位置は、負荷によって変化する。このため、制御回路60は、インジェクタ34からエジェクタ36に供給される原料水素ガスの圧力が高いほど間隔C1を広くするように外側ノズル74を移動させる。これによって、いずれの負荷においても、エジェクタ36を高い吸引能力で作動させることができる。
なお、上述した実施形態では、テーパ面74tの傾斜角度θ74tがテーパ面76tの傾斜角度θ76tよりも大きかったが、傾斜角度θ74tが傾斜角度θ76t以下であってもよい。また、上述した実施形態では、テーパ面74tをテーパ面76tに最も接近させたときにテーパ面74tがテーパ面76tに接触したが、テーパ面74tをテーパ面76tに最も接近させたときにテーパ面74tがテーパ面76tに接触しなくてもよい。また、上述した実施形態では、内側ノズル76が固定されているとともに外側ノズル74が移動可能とされていた。しかしながら、外側ノズル74が固定されているとともに内側ノズル76が移動可能とされていてもよい。これらの構成でも、エジェクタ36の吸引能力を変化させることは可能である。
また、上述した実施形態では、駆動流体が原料水素ガスであり、吸引流体が水素オフガスであった。しかしながら、駆動流体及び吸引流体として他の流体を使用するエジェクタにおいて本明細書に開示の技術を適用してもよい。
また、上述した実施形態では、外側ノズル74の外周壁の上部に駆動流体供給口74cが設けられており、内側ノズル76の外周壁の上部に駆動流体供給口76cが設けられていた。しかしながら、図9に示すように、外側ノズル74の外周壁の上下左右の4箇所に駆動流体供給口74cが設けられており、内側ノズル76の外周壁の上下の2箇所に駆動流体供給口76cが設けられていてもよい。この構成によれば、隙間74d及び中心孔76aによりスムーズに原料水素ガスが流入することができる。
以上、実施形態について詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独あるいは各種の組み合わせによって技術有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの1つの目的を達成すること自体で技術有用性を持つものである。
10:燃料電池システム
12:燃料電池
20:空気供給管
22:エアポンプ
24:空気排出管
30:水素タンク
32:水素供給管
34:インジェクタ
36:エジェクタ
38:水素供給管
40:水素循環管
42:気液分離器
44:水素循環管
46:水素排出管
50:アクチュエータ
60:制御回路
71:本体ケース
71a:中心孔
72:本体ケース
72a:中心孔
74:外側ノズル
74a:中心孔
74b:吐出口
74c:駆動流体供給口
74d:隙間
76:内側ノズル
76a:中心孔
76b:吐出口
76c:駆動流体供給口
80:駆動流体供給路
82:吸引流体供給路
84:ノズル収容部
86:負圧発生室
88:ディフューザ

Claims (6)

  1. エジェクタであって、
    駆動流体供給路と、
    筒形状を有する内側ノズルであって、前記筒形状の中心孔によって前記駆動流体供給路から供給される駆動流体が流れる第1流路が構成されており、前記第1流路内の前記駆動流体を吐出する前記内側ノズルと、
    筒形状を有する外側ノズルであって、前記外側ノズルの内部に前記内側ノズルが配置されており、前記内側ノズルの外周面と前記外側ノズルの内周面の間の隙間によって前記駆動流体供給路から供給される前記駆動流体が流れる第2流路が構成されており、前記第2流路内の前記駆動流体を吐出する前記外側ノズルと、
    前記内側ノズル及び前記外側ノズルから吐出される前記駆動流体が流れる負圧発生室と、
    前記負圧発生室に吸引流体を供給する吸引流体供給路と、
    前記負圧発生室に接続されたディフューザと、
    を有し、
    前記内側ノズルの前記外周面が、前記第2流路の上流側から下流側に向かうに従って前記内側ノズルの外径が縮小するように傾斜する第1テーパ面を有しており、
    前記外側ノズルの前記内周面が、前記第2流路の上流側から下流側に向かうに従って前記外側ノズルの内径が縮小するように傾斜するとともに前記第1テーパ面に対向する第2テーパ面を有しており、
    前記内側ノズルの軸方向に沿って見たときに、前記第1テーパ面が前記第2テーパ面と重複しており、
    前記外側ノズルと前記内側ノズルが、前記軸方向に沿って相対的に移動可能である、
    エジェクタ。
  2. 前記内側ノズルと前記外側ノズルを収容する本体ケースをさらに有し、
    前記内側ノズルが、前記本体ケースに固定されており、
    前記外側ノズルが、前記内側ノズル及び前記本体ケースに対して前記軸方向に沿って移動可能である、
    請求項1に記載のエジェクタ。
  3. 前記第1テーパ面を前記第2テーパ面に最も接近させたときに、前記第1テーパ面が前記第2テーパ面と接触する、請求項1または2に記載のエジェクタ。
  4. 前記第2テーパ面の傾斜角度が、前記第1テーパ面の傾斜角度よりも大きい、請求項1~3のいずれか一項に記載のエジェクタ。
  5. 前記内側ノズルの外周壁が、第1駆動流体供給口を有しており、
    前記外側ノズルの外周壁が、第2駆動流体供給口を有しており、
    前記内側ノズルの径方向に沿って見たときに前記第1駆動流体供給口が前記第2駆動流体供給口と重なる位置に配置されており、
    前記駆動流体供給路から、前記第2駆動流体供給口を介して前記第2流路に前記駆動流体が供給され、
    前記駆動流体供給路から、前記第2駆動流体供給口と前記第1駆動流体供給口を介して前記第1流路に前記駆動流体が供給され、
    前記第2駆動流体供給口が、前記第1駆動流体供給口よりも大きい、
    請求項1~4のいずれか一項に記載のエジェクタ。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載のエジェクタと、
    前記エジェクタに前記駆動流体を供給するインジェクタと、
    前記エジェクタから供給される供給流体を用いて発電する燃料電池と、
    前記外側ノズルを前記内側ノズルに対して前記軸方向に沿って相対的に移動させる制御回路と、
    を有する燃料電池システムであって、
    前記吸引流体が、前記燃料電池を通過後の前記供給流体であり、
    前記制御回路が、前記インジェクタから前記エジェクタに供給される前記駆動流体の圧力が高いほど前記第1テーパ面と前記第2テーパ面の間の間隔を広くする、
    燃料電池システム。
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