JP2023035743A - 誘電体層、配線板 - Google Patents
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Abstract
【課題】信頼性に優れた配線板が得られる誘電体層を提供すること。【解決手段】本発明の誘電体層20は配線板10に用いられ、以下の条件aで測定されるDk2/Dk1が0.9~1.1である。(条件a)誘電体層20を85℃、相対湿度85%で196時間処理し、当該処理前の誘電体層20の10GHzにおける誘電率をDk1とし、当該処理後の誘電体層20の10GHzにおける誘電率をDk2とする。【選択図】図1
Description
本発明は、誘電体層、配線板に関する。より詳細には、誘電体層、配線板、ならびにこれを用いたアンテナ基板に関する。
従来、自動車等の移動体に搭載されるレーダ装置等には、安価で小型なアンテナとして、例えば、マイクロストリップアンテナが用いられる。マイクロストリップアンテナは、積層された複数の誘電体層と、各誘電体層の下面に設けられた導体層と、複数の誘電体層のうち、最上層の誘電体層上に設けられたアンテナとを備える(例えば、特許文献1)。
誘電体層を構成する材料としては、低誘電率且つ低誘電正接である材料が、伝送損失の低減に有効であることが一般的に知られている。そのような材料として、従来はセラミック基板が広く用いられてきたが、セラミック基板は、誘電正接が低い一方、比誘電率は高く、またコスト及び大判化の面でも不利であるため、現在では樹脂基板材料への移行が進んでいる。比誘電率、誘電正接の低い樹脂基板材料としては、フッ素系樹脂が挙げられる。しかしながら、フッ素系樹脂は、コスト、プレス成型条件(高温・高圧)、熱膨張特性、寸法安定性、金属めっき層との接着性など、回路基板として用いる上で多くの問題点を含んでいる。
低誘電率且つ低誘電正接である耐熱性熱可塑性樹脂(エンジニアリング・プラスチックス)として、ポリフェニレンエーテル(PPO又はPPE)系樹脂を用いる方法も従来から知られている。これらの樹脂は、実装時のはんだ接続工程における耐熱性の問題から、例えば熱硬化性樹脂の中でも誘電率が低いシアネートエステル樹脂で変性する方法などが提案されている(例えば、特許文献2)。
しかしながら、マイクロストリップを用いたアンテナは、長期間の使用によって、Dfが高くなってしまう。本発明者の知見によれば、この理由としては、外部からの吸湿やマイクロストリップラインを構成する原料樹脂が劣化等により加水分解をし、これによりOH基が発生するためと考えられる。そのため、従来のアンテナなどに用いられる配線板は、安定した信頼性を得る点で改善の余地があった。
本発明者は、かかる課題を解決するために鋭意検討を行ったところ、配線板に用いられる誘電体層において、特定の処理によって得られる誘電率を制御することが有効であることを知見した。具体的には、85℃、相対湿度85%で196時間の条件で処理した前後の誘電体層の誘電率の比率の数値を0.5~3%に制御することで安定した信頼性が得られる一方で、かかる数値を満たさない場合は安定した信頼性が得られないことを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、
配線板に用いられる誘電体層であって、
以下の条件aで測定されるDk2/Dk1が0.9~1.1である、誘電体層が提供される。
(条件a)
前記誘電体層を85℃、相対湿度85%で196時間処理し、当該処理前の前記誘電体層の10GHzにおける誘電率をDk1とし、当該処理後の前記誘電体層の10GHzにおける誘電率をDk2とする。
配線板に用いられる誘電体層であって、
以下の条件aで測定されるDk2/Dk1が0.9~1.1である、誘電体層が提供される。
(条件a)
前記誘電体層を85℃、相対湿度85%で196時間処理し、当該処理前の前記誘電体層の10GHzにおける誘電率をDk1とし、当該処理後の前記誘電体層の10GHzにおける誘電率をDk2とする。
また、本発明によれば、上記の誘電体層を用いた配線板が提供される。
また、本発明によれば、上記の配線板を用いたアンテナ基板が提供される。
本発明によれば、信頼性に優れた配線板が得られる誘電体層が提供される。
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。煩雑さを避けるため、同一図面内に同一の構成要素が複数ある場合には、その1つのみに符号を付し、全てには符号を付さない場合がある。すべての図面はあくまで説明用のものである。図面中の各部材の形状や寸法比などは、必ずしも現実の物品と対応するものではない。
すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。煩雑さを避けるため、同一図面内に同一の構成要素が複数ある場合には、その1つのみに符号を付し、全てには符号を付さない場合がある。すべての図面はあくまで説明用のものである。図面中の各部材の形状や寸法比などは、必ずしも現実の物品と対応するものではない。
本明細書中、数値範囲の説明における「a~b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。例えば、「1~5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」を意味する。
以下、マイクロストリップ構造を有する配線板を例に挙げて説明する。ただし、本実施形態の配線板は、マイクロストリップ構造を有する場合に限られない。
<マイクロストリップ構造を有する配線板>
図1は、本実施形態の配線板10を上面からみた平面図である。図2は、図1のa-a線における本実施形態の配線板10の断面図である。図3は、図1のb-b線における本実施形態の配線板10の断面図である。
図1は、本実施形態の配線板10を上面からみた平面図である。図2は、図1のa-a線における本実施形態の配線板10の断面図である。図3は、図1のb-b線における本実施形態の配線板10の断面図である。
図1~3に示されるように、本実施形態の配線板10は、マイクロストリップ構造を備える。すなわち、配線板10は、誘電体層20の下面にGND(グランド)パターンとなる導体層30を備え、誘電体層20の上面に信号伝送路(信号配線40)が配設されている。導体層30と信号配線40とは、絶縁性を有する誘電体層20を介して位置する。
また、信号配線40は、配線43と、配線43の一方の端部の両側にペアパッド41、配線43の他方の端部の両側にペアパッド42を備える。言い換えると、配線43は、対向するペアパッド41に挟まれる領域、及び対抗するペアパッド42に挟まれる領域を通過するように延在している。ペアパッド41,ペアパッド42はそれぞれ、図2に示すように、ビアを介して、導体層30と電気的に接続されている。信号配線40は、例えば、銅を素材として形成される。
また、信号配線40は、配線43と、配線43の一方の端部の両側にペアパッド41、配線43の他方の端部の両側にペアパッド42を備える。言い換えると、配線43は、対向するペアパッド41に挟まれる領域、及び対抗するペアパッド42に挟まれる領域を通過するように延在している。ペアパッド41,ペアパッド42はそれぞれ、図2に示すように、ビアを介して、導体層30と電気的に接続されている。信号配線40は、例えば、銅を素材として形成される。
導体層30の厚みは、特に限定されないが、取扱い性、及びコストの観点から、5μm~50μmであることが好ましく、12μm~50μm以下であることがより好ましい。
なお、本実施形態においては、配線板10は、導体層30、誘電体層20が一層の例について説明するが、導体層および誘電体層は、二層以上であってもよく、その場合、各誘電体層の下面に導体層が設けられる。
<誘電体層>
以下、本実施形態の誘電体層20について詳細を説明する。
本実施形態の誘電体層20は、配線板10に用いられるためのフィルムまたはシート状部材である。
以下、本実施形態の誘電体層20について詳細を説明する。
本実施形態の誘電体層20は、配線板10に用いられるためのフィルムまたはシート状部材である。
本実施形態の誘電体層20は、以下の条件aで測定されるDk2/Dk1が0.9~1.1である。
(条件a)
誘電体層20を85℃、相対湿度85%で196時間処理し、当該処理前の誘電体層20の10GHzにおける誘電率をDk1とし、当該処理後の誘電体層20の10GHzにおける誘電率をDk2とする。
(条件a)
誘電体層20を85℃、相対湿度85%で196時間処理し、当該処理前の誘電体層20の10GHzにおける誘電率をDk1とし、当該処理後の誘電体層20の10GHzにおける誘電率をDk2とする。
本実施形態の誘電体層20は、Dk2/Dk1を0.9~1.1とすることにより、外部からの吸湿性を抑制しつつ、誘電体層20を構成する材料の加水分解等を抑制し、配線板10の信頼性を安定的に得られるようになると考えられる。
Dk2/Dk1は、好ましくは0.95~1.10であり、より好ましくは0.98~1.6である。
Dk2/Dk1は、好ましくは0.95~1.10であり、より好ましくは0.98~1.6である。
さらに、本実施形態の誘電体層20は、以下の条件bで測定されるS2/S1が0.8~1.25であることが好ましい。
(条件b)
誘電体層20の両面に厚さ1.5μmの銅箔を張り合わせ、圧力3MPa、温度225℃で2時間加熱加圧成形して金属箔付き積層板を作成する。当該積層板を用いてインピーダンスZ=50Ωのマイクロストリップラインを得たのち、85℃、相対湿度85%で196時間処理し、当該処理前の79GHzにおける伝送損失をS1(dB/cm)とし、当該処理後の79GHzにおける伝送損失をS2(dB/cm)とする。
(条件b)
誘電体層20の両面に厚さ1.5μmの銅箔を張り合わせ、圧力3MPa、温度225℃で2時間加熱加圧成形して金属箔付き積層板を作成する。当該積層板を用いてインピーダンスZ=50Ωのマイクロストリップラインを得たのち、85℃、相対湿度85%で196時間処理し、当該処理前の79GHzにおける伝送損失をS1(dB/cm)とし、当該処理後の79GHzにおける伝送損失をS2(dB/cm)とする。
本実施形態の誘電体層20は、S2/S1を0.8~1.25とすることにより、信頼性をより高めやすくできる。S2/S1は、好ましくは0.9~1.1である。
また、誘電体層20は、以下の条件cで測定されるP2/P1が0.6~1であることが好ましい。
(条件c)
誘電体層20の両面に厚さ1.5μmの銅箔を張り合わせ、圧力3MPa、温度225℃で2時間加熱加圧成形して金属箔付き積層板を作成する。当該積層板を用いてインピーダンスZ=50Ωのマイクロストリップラインを得たのち、85℃、相対湿度85%で196時間処理し、当該処理前の前記マイクロストリップラインと誘電体層20とを剥離するときのピール強度をP1(kN/m)とし、当該処理後の前記マイクロストリップラインと誘電体層20とを剥離するときのピール強度をP2(kN/m)とする。
(条件c)
誘電体層20の両面に厚さ1.5μmの銅箔を張り合わせ、圧力3MPa、温度225℃で2時間加熱加圧成形して金属箔付き積層板を作成する。当該積層板を用いてインピーダンスZ=50Ωのマイクロストリップラインを得たのち、85℃、相対湿度85%で196時間処理し、当該処理前の前記マイクロストリップラインと誘電体層20とを剥離するときのピール強度をP1(kN/m)とし、当該処理後の前記マイクロストリップラインと誘電体層20とを剥離するときのピール強度をP2(kN/m)とする。
本実施形態の誘電体層20は、P2/P1を0.6~1とすることにより、信頼性をより高めやすくできる。P2/P1は、好ましくは0.7~0.98である。
上記の条件a、b、cで測定されるDk2/Dk1、S2/S1、P2/P1は、本実施形態の誘電体層20を構成する材料を適切に選択し、調製することや、誘電体層20の製造方法を工夫することが挙げられる。例えば、後述する無機充填剤の含有量を制御することで、Dk2/Dk1、P2/P1を小さくすることが挙げられる。また、例えば、後述する変性ポリフェニレンエーテル、マレイミド、ビニル樹脂、インデン樹脂の4つの樹脂を組み合わせること、および各樹脂の含有量を制御することが効果的である。また例えば、誘電体層20の製造過程で用いられる後述の溶剤を適切に選択することが挙げられる。例えば、低極性溶剤を使用することで誘電体層20を構成する各樹脂との相溶性等を向上させることでピール強度の変化を抑制できる。また、極性溶剤を使用することでシリカなどの無機充填剤とのなじみ性や密着性を向上させることでも、ピール強度の変化を抑制できる。また、誘電体層20の製造過程において、溶剤の乾燥温度を150℃以下に制御することで、硬化が進行することを抑制し、硬化性が高まるため、Dk2/Dk1、P2/P1を小さくすることができるようになる。
配線板10のサイズの規格は特に限定されないが、一般的に特性インピーダンスZ0=50Ωとして、誘電体のDk/厚み、導体厚みで、導体幅を決めることができる。そこで、本実施形態においては、予め計算で見積もった配線幅周辺の線幅を回路加工し、Zo=50となる伝送線路で伝送損失を評価することができる。具体的には、例えば、誘電体層厚み70μm、導体層厚み20μm、線路長40mm、線路幅160μmとしてもよい。
また、本実施形態の誘電体層20は、85℃、相対湿度85%で196時間処理した後の誘電体層20の吸水率(W2)が0.01~0.5%であることが好ましく、0.4%以下であることがより好ましい。
かかる吸水率は、本実施形態の配線板10を構成する誘電体層20を構成する材料を適切に選択し、調製すること等が挙げられる。
かかる吸水率は、本実施形態の配線板10を構成する誘電体層20を構成する材料を適切に選択し、調製すること等が挙げられる。
本実施形態の誘電体層20は、繊維基材に低誘電樹脂組成物(以下、「樹脂組成物」ともいう。)を含浸させて形成されたプリプレグ、または、低誘電樹脂組成物からなる層(すなわち、低誘電樹脂組成物からなるシートまたはフィルム)であってもよい。
誘電体層20のガラス転移温度が、190~300℃であることが好ましく、200~250℃であることがより好ましく、210~240℃であることがさらに好ましい。なお、ガラス転移温度は誘電体層20の硬化状態での温度である。
誘電体層20のガラス転移温度が、190~300℃であることが好ましく、200~250℃であることがより好ましく、210~240℃であることがさらに好ましい。なお、ガラス転移温度は誘電体層20の硬化状態での温度である。
本実施形態の低誘電樹脂組成物は、(A)変性ポリフェニレンエーテル共重合体、(B)マレイミド化合物、および(C)インデン樹脂の中から選ばれる1種または2種以上を含むことが好ましい。なかでも、安定的に絶縁信頼性を得る観点から、(A)変性ポリフェニレンエーテル共重合体、(B)マレイミド化合物、および(C)インデン樹脂をすべて含むことが好ましい。
以下、本実施形態の低誘電樹脂組成物に含まれる各成分について詳述する。
以下、本実施形態の低誘電樹脂組成物に含まれる各成分について詳述する。
(A)変性ポリフェニレンエーテル共重合体
本実施形態の(A)変性ポリフェニレンエーテル共重合体は、ポリフェニレンエーテルを編成したものであり、例えば、国際公開第2014/203511号の段落0018~0061に記載のものを用いることができる。より具体的には、以下のとおりである。
本実施形態の(A)変性ポリフェニレンエーテル共重合体は、ポリフェニレンエーテルを編成したものであり、例えば、国際公開第2014/203511号の段落0018~0061に記載のものを用いることができる。より具体的には、以下のとおりである。
本実施形態に係る(A)変性ポリフェニレンエーテル共重合体は特に限定されないが、炭素-炭素不飽和結合を有する置換基により末端変性された変性ポリフェニレンエーテルであることが好ましい。
炭素-炭素不飽和結合を有する置換基としては、特に限定はされないが、例えば、下記式(1)で示される置換基が挙げられる。
炭素-炭素不飽和結合を有する置換基としては、特に限定はされないが、例えば、下記式(1)で示される置換基が挙げられる。
上記式(1)中、nは0~10の整数を示し、Zはアリーレン基を示し、R1~R3は独立して水素原子またはアルキル基を示す。
上記式(1)においてn=0の場合は、Zがポリフェニレンエーテルの末端に直接結合しているものを示す。また、Zのアリーレン基としては、例えば、フェニレン基等の単環芳香族基やナフタレン環等の多環芳香族基が挙げられ、芳香族環に結合する水素原子がアルケニル基、アルキニル基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、又はアルキニルカルボニル基等の官能基で置換された誘導体も含む。
上記式(1)に示す官能基としては、例えば、ビニルベンジル基を含む官能基が挙げられる。より具体的には、下記式(2)または式(3)から選択される少なくとも1つの置換基等が挙げられる。
また、ポリフェニレンエーテルの末端に直接結合している炭素-炭素不飽和結合を有する他の置換基としては、例えば、下記式(4)で示される(メタ)アクリレート基が挙げられる。
本実施形態の変性ポリフェニレンエーテルは、低誘電特性および良好なレーザー加工性を両立する観点から、両末端がヒドロキシ基、メタアクリル基またはスチレン基を有することが好ましい。
また、本実施形態の変性ポリフェニレンエーテルにおけるポリフェニレンエーテルは、ポリフェニレンエーテル鎖を分子中に有しており、例えば、下記式(5)で表される繰り返し単位を分子中に有していることが好ましい。
上記式(5)において、mは1~50を示す。また、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立し、それぞれ同一の基であっても、異なる基であってもよい。また、R5、R6、R7及びR8は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、又はアルキニルカルボニル基を示す。これらの中でも、水素原子及びアルキル基が好ましい。
上記アルキル基は特に限定されないが、例えば、炭素数1~18のアルキル基が好ましく、炭素数1~10のアルキル基がより好ましい。より具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、及びデシル基等が挙げられる。
アルケニル基は特に限定されないが、例えば、炭素数2~18のアルケニル基が好ましく、炭素数2~10のアルケニル基がより好ましい。より具体的には、ビニル基、アリル基、及び3-ブテニル基等が挙げられる。
アルキニル基は特に限定されないが、例えば、炭素数2~18のアルキニル基が好ましく、炭素数2~10のアルキニル基がより好ましい。より具体的には、エチニル基、及びプロパ-2-イン-1-イル基(プロパルギル基)等が挙げられる。
アルケニル基は特に限定されないが、例えば、炭素数2~18のアルケニル基が好ましく、炭素数2~10のアルケニル基がより好ましい。より具体的には、ビニル基、アリル基、及び3-ブテニル基等が挙げられる。
アルキニル基は特に限定されないが、例えば、炭素数2~18のアルキニル基が好ましく、炭素数2~10のアルキニル基がより好ましい。より具体的には、エチニル基、及びプロパ-2-イン-1-イル基(プロパルギル基)等が挙げられる。
アルキルカルボニル基はアルキル基で置換されたカルボニル基であれば特に限定されないが、例えば、炭素数2~18のアルキルカルボニル基が好ましく、炭素数2~10のアルキルカルボニル基がより好ましい。より具体的には、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、及びシクロヘキシルカルボニル基等が挙げられる。
アルケニルカルボニル基はアルケニル基で置換されたカルボニル基であれば特に限定されないが、例えば、炭素数3~18のアルケニルカルボニル基が好ましく、炭素数3~10のアルケニルカルボニル基がより好ましい。より具体的には、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びクロトノイル基等が挙げられる。
アルキニルカルボニル基はアルキニル基で置換されたカルボニル基であれば特に限定されないが、例えば、炭素数3~18のアルキニルカルボニル基が好ましく、炭素数3~10のアルキニルカルボニル基がより好ましい。より具体的には、プロピオロイル基等が挙げられる。
アルケニルカルボニル基はアルケニル基で置換されたカルボニル基であれば特に限定されないが、例えば、炭素数3~18のアルケニルカルボニル基が好ましく、炭素数3~10のアルケニルカルボニル基がより好ましい。より具体的には、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びクロトノイル基等が挙げられる。
アルキニルカルボニル基はアルキニル基で置換されたカルボニル基であれば特に限定されないが、例えば、炭素数3~18のアルキニルカルボニル基が好ましく、炭素数3~10のアルキニルカルボニル基がより好ましい。より具体的には、プロピオロイル基等が挙げられる。
本実施形態に係る変性ポリフェニレンエーテルの合成方法は、炭素-炭素不飽和結合を有する置換基により末端変性された変性ポリフェニレンエーテルを合成することができれば特に限定されない。例えば、末端のフェノール性水酸基の水素原子をナトリウムやカリウム等のアルカリ金属原子で置換したポリフェニレンエーテルと、下記式(6)で示されるような化合物とを反応させる方法等が挙げられる。
上記式(6)中、上記式(1)と同様に、nは0~10の整数を示し、Zはアリーレン基を示し、R1~R3は独立して水素原子またはアルキル基を示す。また、Xは、ハロゲン原子を示し、具体的には、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、及びフッ素原子等が挙げられる。この中でも、塩素原子が好ましい。
また、上記式(6)で表される化合物は、特に限定されないが、例えば、p-クロロメチルスチレンやm-クロロメチルスチレンが好ましい。
また、上記式(6)で表される化合物は、上記例示したものを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
原料であるポリフェニレンエーテルは、最終的に、所定の変性ポリフェニレンエーテルを合成することができるものであれば、特に限定されない。具体的には、2,6-ジメチルフェノールと2官能フェノール及び3官能フェノールの少なくともいずれか一方とからなるポリアリーレンエーテル共重合体やポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンオキサイド)等のポリフェニレンエーテルを主成分とするもの等が挙げられる。このようなポリフェニレンエーテルは、より具体的には、例えば、下記式(7)に示す構造を有するポリフェニレンエーテル等が挙げられる。
上記式(7)中、s、tは、例えば、sとtとの合計値が、1~30であることが好ましい。また、sが、0~20であることが好ましく、tが、0~20であることが好ましい。すなわち、sは、0~20を示し、tは、0~20を示し、sとtとの合計は、1~30を示すことが好ましい。
上記式(7)のポリフェニレンエーテルの末端水酸基をメタクリル基で変性した変性ポリフェニレンエーテルの市販品としては、SABICイノベーティブプラスチックス社製の「SA9000」等がある。
成分(A)の重量平均分子量は、好ましくは500以上5,000以下であり、より好ましくは800以上4,000以下であり、さらに好ましくは1,000以上3,000以下である。なお、重量平均分子量は、一般的な分子量測定方法で測定したものであればよく、具体的には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて測定した値等が挙げられる。
成分(A)の重量平均分子量が上記下限値以上とすることにより、ポリフェニレンエーテルが有する優れた誘電特性を発揮し、その硬化物において、さらに、密着性及び耐熱性によく優れた樹脂組成物が得られる。本実施形態の成分(A)は、変性されているため、末端の反応性基、なかでも末端に不飽和二重結合を有するため、低誘電性を保持しつつ、硬化物のガラス転移温度を向上し、良好なレーザー加工性が得られるとともに、耐熱性、密着性が充分に高いものになると考えられる。
一方、成分(A)の重量平均分子量が上記上限値以下とすることにより、成形性、溶剤溶解性や保存安定性が良好となる。
一方、成分(A)の重量平均分子量が上記上限値以下とすることにより、成形性、溶剤溶解性や保存安定性が良好となる。
成分(A)の含有量は、全固形分100重量部に対して、好ましくは、1重量部以上30重量部以下である。全固形分100重量部に対して、1重量部以上とすることにより、成分(A)による低誘電正接を得ることができ、30重量部以下とすることにより、樹脂残渣を抑制でき、良好なレーザー加工性が得られる。成分(A)の含有量は、全固形分100重量部に対して、3重量部以上であることがより好ましく、5重量部以上であることがさらに好ましく、一方、25重量部以下であることがより好ましく、20重量部以下であることがさらに好ましく、15重量部以下が特に好ましい。
なお、全固形分とは、ワニスにおける充填材及び溶媒を除いた樹脂成分のことである。
なお、全固形分とは、ワニスにおける充填材及び溶媒を除いた樹脂成分のことである。
(B)マレイミド化合物
マレイミド化合物のマレイミド基は、5員環の平面構造を有し、マレイミド基の二重結合が分子間で相互作用しやすく極性が高いため、マレイミド基、ベンゼン環、その他の平面構造を有する化合物等と強い分子間相互作用を示し、分子運動を抑制することができる。そのため、本実施形態の樹脂組成物は、マレイミド化合物を含むことにより、得られる絶縁層の線膨張係数を下げ、ガラス転移温度を向上させることができ、さらに、耐熱性を向上させることができる。
マレイミド化合物のマレイミド基は、5員環の平面構造を有し、マレイミド基の二重結合が分子間で相互作用しやすく極性が高いため、マレイミド基、ベンゼン環、その他の平面構造を有する化合物等と強い分子間相互作用を示し、分子運動を抑制することができる。そのため、本実施形態の樹脂組成物は、マレイミド化合物を含むことにより、得られる絶縁層の線膨張係数を下げ、ガラス転移温度を向上させることができ、さらに、耐熱性を向上させることができる。
マレイミド化合物としては、分子内に少なくとも2つのマレイミド基を有するマレイミド化合物が好ましい。
分子内に少なくとも2つのマレイミド基を有するマレイミド化合物としては、例えば、4,4'-ジフェニルメタンビスマレイミド、m-フェニレンビスマレイミド、p-フェニレンビスマレイミド、2,2-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス-(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、N,N'-エチレンジマレイミド、N,N'-ヘキサメチレンジマレイミド、ビス(4-マレイミドフェニル)エーテル、ビス(4-マレイミドフェニル)スルホン、3,3-ジメチル-5,5-ジエチル-4,4-ジフェニルメタンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド等の分子内に2つのマレイミド基を有する化合物、ポリフェニルメタンマレイミド等の分子内に3つ以上のマレイミド基を有する化合物等が挙げられる。
これらの中の1種類を単独で用いることもできるし、2種類以上を併用することもできる。これらのマレイミド化合物の中でも、低吸水率である点等から、4,4'-ジフェニルメタンビスマレイミド、2,2-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス-(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ポリフェニルメタンマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミドが好ましい。
分子内に少なくとも2つのマレイミド基を有するマレイミド化合物としては、例えば、4,4'-ジフェニルメタンビスマレイミド、m-フェニレンビスマレイミド、p-フェニレンビスマレイミド、2,2-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス-(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、N,N'-エチレンジマレイミド、N,N'-ヘキサメチレンジマレイミド、ビス(4-マレイミドフェニル)エーテル、ビス(4-マレイミドフェニル)スルホン、3,3-ジメチル-5,5-ジエチル-4,4-ジフェニルメタンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド等の分子内に2つのマレイミド基を有する化合物、ポリフェニルメタンマレイミド等の分子内に3つ以上のマレイミド基を有する化合物等が挙げられる。
これらの中の1種類を単独で用いることもできるし、2種類以上を併用することもできる。これらのマレイミド化合物の中でも、低吸水率である点等から、4,4'-ジフェニルメタンビスマレイミド、2,2-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス-(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ポリフェニルメタンマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミドが好ましい。
成分(B)の含有量は、全固形分100重量部に対して、5重量部以上40重量部以下が好ましく、8重量部以上35重量部以下がより好ましく、10重量部以上30重量部以下がさらに好ましく、10重量部以上20重量部以下が特に好ましい。
成分(B)の含有量を、上記下限値以上とすることにより、良好な誘電正接およびレーザー加工性を得つつ、線膨張係数を下げ、ガラス転移温度を向上させ、耐熱性を向上させることができる。一方、成分(B)の含有量を、上記上限値以下とすることにより、良好な誘電正接およびレーザー加工性のバランスを向上できる。
成分(B)の含有量を、上記下限値以上とすることにより、良好な誘電正接およびレーザー加工性を得つつ、線膨張係数を下げ、ガラス転移温度を向上させ、耐熱性を向上させることができる。一方、成分(B)の含有量を、上記上限値以下とすることにより、良好な誘電正接およびレーザー加工性のバランスを向上できる。
(C)インデン樹脂
本実施形態のインデン樹脂とは、その骨格構造にインデン残基を含む平均重合度4~8の(共)重合体のことを示し、インデン(C9H8)と、クマロン(1-ベンゾフラン)、スチレン(C8H8)、α-メチルスチレン、メチルインデン及びビニル卜ルエンとの共重合体であってもよい。なかでも、インデン-クマロン共重合体、インデン-スチレン共重合体、インデン-クマロン-スチレン共重合体であることが好ましい。
本実施形態のインデン樹脂とは、その骨格構造にインデン残基を含む平均重合度4~8の(共)重合体のことを示し、インデン(C9H8)と、クマロン(1-ベンゾフラン)、スチレン(C8H8)、α-メチルスチレン、メチルインデン及びビニル卜ルエンとの共重合体であってもよい。なかでも、インデン-クマロン共重合体、インデン-スチレン共重合体、インデン-クマロン-スチレン共重合体であることが好ましい。
すなわち、インデン樹脂は、インデン系モノマー由来の構造単位Aを含むものであり、他のモノマー由来の構造単位を有していてもよい。他のモノマー由来の構造単位としては、例えば、クマロン系モノマー由来の構造単位B、スチレン系モノマー由来の構造単位Cが挙げられる。インデン樹脂は、具体的には、インデン系モノマー由来の構造単位A、クマロン系モノマー由来の構造単位Bおよびスチレン系モノマー由来の構造単位Cを有するものであってもよく、インデン系モノマー由来の構造単位Aおよびクマロン系モノマー由来の構造単位Bを有するものであってもよく、インデン系モノマー由来の構造単位Aおよびスチレン系モノマー由来の構造単位Cを有するものであってもよい。これらの構造単位の繰り返し構造を有することができる。
上記インデン系モノマーに由来する構造単位Aは、例えば、下記一般式(M1)で表されるものが挙げられる。
(一般式(M1)中、R1からR7は、それぞれ独立して水素または炭素数1以上3以下の有機基である。)
上記クマロン系モノマーに由来する構造単位Bは、例えば、下記一般式(M2)で表されるものが挙げられる。
(一般式(M2)中、RCは、水素または炭素数1以上3以下の有機基である。RCは互いに同一でもよく、互いに異なっていてもよい。)
(一般式(M3)中、RSは、水素または炭素数1以上3以下の有機基である。RSは互いに同一でもよく、互いに異なっていてもよい。)
上記一般式(M1)~(M3)において、R1からR7、RC及びRSは、例えば、有機基の構造に水素及び炭素以外の原子を含んでもよい。
水素及び炭素以外の原子としては、具体的には、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子、フッ素原子、塩素原子などが挙げられる。水素及び炭素以外の原子としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を含むことができる。
水素及び炭素以外の原子としては、具体的には、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子、フッ素原子、塩素原子などが挙げられる。水素及び炭素以外の原子としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を含むことができる。
上記一般式(M1)~(M3)において、R1からR7、RC及びRSは、それぞれ独立して、例えば、水素又は炭素数1以上3の有機基であり、水素または炭素数1の有機基であることが好ましく、水素であることが更に好ましい。
上記一般式(M1)~(M3)において、上記R1からR7、RC及びRSを構成する有機基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基などのアルキル基;アリル基、ビニル基などのアルケニル基;エチニル基などのアルキニル基;メチリデン基、エチリデン基などのアルキリデン基;シクロプロピル基などのシクロアルキル基;エポキシ基、オキセタニル基などのヘテロ環基などが挙げられる。
上記インデン樹脂は、この中でも、インデン、クマロンおよびスチレンの共重合体、インデンとスチレンの共重合体を含むことができる。これにより、低誘電特性を向上させることができる。
また、上記インデン樹脂は、分子内に、エポキシ樹脂のエポキシ基と反応する反応性基を備えることができる。これにより、低誘電特性を向上させることができる。
上記反応性基としては、OH基、COOH基などが挙げられる。
また、上記インデン樹脂は、内部または末端にフェノール性水酸基を有する芳香族構造を有していてもよい。
上記反応性基としては、OH基、COOH基などが挙げられる。
また、上記インデン樹脂は、内部または末端にフェノール性水酸基を有する芳香族構造を有していてもよい。
上記インデン樹脂の重量平均分子量Mwの上限値は、例えば、4000以下であることが好ましく、2000以下であることがより好ましく、1500以下であることが更に好ましく、1200以下であることが一層好ましい。これにより、インデン樹脂とエポキシ樹脂との相溶性を高め、適切にインデン樹脂を分散できる。一方、インデン樹脂の重量平均分子量Mwの下限値は、例えば、400以上であることが好ましく、500以上であることがより好ましく、550以上であることが更に好ましく、600以上であることが一層好ましい。これにより、樹脂組成物の中にインデン樹脂が適切に分散できる。
上記インデン樹脂の含有量の下限値は、全固形分100重量部に対して、例えば、1重量部以上、好ましくは3重量部以上、より好ましくは5重量部以上である。これにより、低誘電特性とレーザー加工性の良好なバランスを得つつ、低吸水特性を向上できる。一方、上記インデン樹脂の含有量の上限値は、本実施形態の樹脂組成物全体に対して、例えば、20重量部以下、好ましくは15重量部以下、より好ましくは12重量部以下である。これにより、成形性、耐熱性などの他の物性とのバランスを図ることができる。
インデン樹脂の融点は、40℃~120℃であることが好ましく、分子量、重合度により融点を制御することができる。
成分(C)の含有量は、全固形分100重量部に対して、0.1重量部以上20重量部以下が好ましく、0.5重量部以上15重量部以下がより好ましく、1重量部以上12重量部以下がさらに好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、さらに以下の成分を含むことより、低誘電特性および良好なレーザー加工性を安定的に得るとともに、他の物性を向上することができる。
(ポリブタジエン系エラストマー)
本実施形態において、ポリブタジエン系エラストマーは、ブタジエン化合物をモノマー成分として用いた単独重合体または共重合体である。本実施形態において、耐熱性を向上させる観点からは、官能基を有しているポリブタジエン系エラストマーを用いることがより好ましい。官能基としては、ビニル基、エポキシ基、カルボキシ基、水酸基、またはマレイン酸基などが挙げられる。なかでも、相溶性と密着性を向上させる観点から、側鎖にビニル基を有するポリブタジエンであることが好ましい。
また、共重合体としては、樹脂中にブタジエンから重合してなるセグメント骨格を有するものであり、例えば、スチレン-ブタジエン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、アクリレ-トブタジエン共重合体、ビニルピリジンブタジエン共重合体、アクリロニトリル-スチレン-ブタジエン共重合体、カルボキシル化ブタジエン共重合体、エポキシ化ブタジエン共重合体等が挙げられる。なかでも、分散性と耐熱性を向上させる観点から、ブタジエンホモポリマーおよびスチレン-ブタジエン共重合体であることが好ましい。
本実施形態において、ポリブタジエン系エラストマーは、ブタジエン化合物をモノマー成分として用いた単独重合体または共重合体である。本実施形態において、耐熱性を向上させる観点からは、官能基を有しているポリブタジエン系エラストマーを用いることがより好ましい。官能基としては、ビニル基、エポキシ基、カルボキシ基、水酸基、またはマレイン酸基などが挙げられる。なかでも、相溶性と密着性を向上させる観点から、側鎖にビニル基を有するポリブタジエンであることが好ましい。
また、共重合体としては、樹脂中にブタジエンから重合してなるセグメント骨格を有するものであり、例えば、スチレン-ブタジエン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、アクリレ-トブタジエン共重合体、ビニルピリジンブタジエン共重合体、アクリロニトリル-スチレン-ブタジエン共重合体、カルボキシル化ブタジエン共重合体、エポキシ化ブタジエン共重合体等が挙げられる。なかでも、分散性と耐熱性を向上させる観点から、ブタジエンホモポリマーおよびスチレン-ブタジエン共重合体であることが好ましい。
ポリブタジエン系エラストマーの含有量は、全固形分100重量部に対して、0.1重量部以上20重量部以下が好ましく、0.2重量部以上15重量部以下がより好ましく、0.5重量部以上12重量部以下がさらに好ましい。
(不飽和二重結合を有するフェノール)
本実施形態において、不飽和二重結合を有するフェノールは、誘電特性およびレーザー加工性を良好にしつつ、他の物性とのバランスを保持する観点から、主に用いられる。不飽和二重結合を有するフェノールとは、フェノール骨格を有し、ベンゼン環の置換基に不飽和二重結合を有するものをいう。
本実施形態において、不飽和二重結合を有するフェノールとしては、アリルフェノール(o-,m-またはp-)、ビニルフェノール(o-,m-またはp-)、アリルレゾルシノール、ジアリルレゾルシノール、アリルカテコール、ジアリルカテコール、アリルヒドロキノン、ジアリルヒドロキノン、アリルピロガロール、トリアリルフェノール、トリビニルフェノール、トリアリルレゾルシノール、トリビニルレゾルシノール等が挙げられる。なかでも、密着を向上させる観点から、ビニルフェノール(特にp-ビニルフェノール;4-エテニルフェノール)、2,2'-ジアリルビスフェノールA、o-アリルフェノール(2-アリルフェノール)、アリルフェノールレゾルシノール型ノボラック樹脂であることが好ましい。
本実施形態において、不飽和二重結合を有するフェノールは、誘電特性およびレーザー加工性を良好にしつつ、他の物性とのバランスを保持する観点から、主に用いられる。不飽和二重結合を有するフェノールとは、フェノール骨格を有し、ベンゼン環の置換基に不飽和二重結合を有するものをいう。
本実施形態において、不飽和二重結合を有するフェノールとしては、アリルフェノール(o-,m-またはp-)、ビニルフェノール(o-,m-またはp-)、アリルレゾルシノール、ジアリルレゾルシノール、アリルカテコール、ジアリルカテコール、アリルヒドロキノン、ジアリルヒドロキノン、アリルピロガロール、トリアリルフェノール、トリビニルフェノール、トリアリルレゾルシノール、トリビニルレゾルシノール等が挙げられる。なかでも、密着を向上させる観点から、ビニルフェノール(特にp-ビニルフェノール;4-エテニルフェノール)、2,2'-ジアリルビスフェノールA、o-アリルフェノール(2-アリルフェノール)、アリルフェノールレゾルシノール型ノボラック樹脂であることが好ましい。
不飽和二重結合を有するフェノールの含有量は、全固形分100重量部に対して、1重量部以上30重量部以下が好ましく、5重量部以上25重量部以下がより好ましく、7重量部以上22重量部以下がさらに好ましい。
(ビニル化合物)
本実施形態において、ビニル化合物とは、分子中に2以上の重合性不飽和結合を有する化合物をいう。
ビニル化合物としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン等の2官能性芳香族ビニル化合物;1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンのジオールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールアクリレート、アクリル酸アリル、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、3-メチルペンタンジオールジアクリレート、メタクリル酸アリル等の2官能性(メタ)アクリル酸エステル;トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールへキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート等の3官能性以上の(メタ)アクリル酸エステル;(ポリ)エチレングリコールジメタクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル;ジアリルマレート、ジアリルフマレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアネート、ジアリルフタレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイロキシエチル)エーテル等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
中でも、(ポリ)エチレングリコールジメタクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル;ジアリルマレート、ジアリルフマレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアネート、ジアリルフタレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイロキシエチル)エーテルが好ましく、トリアリルイソシアネートがより好ましい。
本実施形態において、ビニル化合物とは、分子中に2以上の重合性不飽和結合を有する化合物をいう。
ビニル化合物としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン等の2官能性芳香族ビニル化合物;1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンのジオールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールアクリレート、アクリル酸アリル、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、3-メチルペンタンジオールジアクリレート、メタクリル酸アリル等の2官能性(メタ)アクリル酸エステル;トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールへキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート等の3官能性以上の(メタ)アクリル酸エステル;(ポリ)エチレングリコールジメタクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル;ジアリルマレート、ジアリルフマレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアネート、ジアリルフタレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイロキシエチル)エーテル等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
中でも、(ポリ)エチレングリコールジメタクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル;ジアリルマレート、ジアリルフマレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアネート、ジアリルフタレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイロキシエチル)エーテルが好ましく、トリアリルイソシアネートがより好ましい。
ビニル化合物の含有量は、全固形分100重量部に対して、0.5重量部以上30重量部以下が好ましく、1重量部以上20重量部以下がより好ましく、4重量部以上15重量部以下がさらに好ましい。
(無機充填材)
本実施形態において、無機充填材としては、例えば、タルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラス等のケイ酸塩;酸化チタン、アルミナ、ベーマイト、シリカ、溶融シリカ等の酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の炭酸塩;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物;硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩;ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩;窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化炭素等の窒化物;チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等のチタン酸塩等を挙げることができる。
これらの中でも、タルク、アルミナ、ガラス、シリカ、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが好ましく、シリカが特に好ましい。無機充填材としては、これらの中の1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
本実施形態において、無機充填材としては、例えば、タルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラス等のケイ酸塩;酸化チタン、アルミナ、ベーマイト、シリカ、溶融シリカ等の酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の炭酸塩;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物;硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩;ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩;窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化炭素等の窒化物;チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等のチタン酸塩等を挙げることができる。
これらの中でも、タルク、アルミナ、ガラス、シリカ、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが好ましく、シリカが特に好ましい。無機充填材としては、これらの中の1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記無機充填材の平均粒子径の下限値は、特に限定されないが、例えば、0.01μm以上としてもよく、0.05μm以上としてもよい。これにより、上記熱硬化性樹脂のワニスの粘度が高くなるのを抑制でき、絶縁層作製時の作業性を向上させることができる。また、無機充填材の平均粒子径の上限値は、特に限定されないが、例えば、5.0μm以下が好ましく、2.0μm以下がより好ましく、1.0μm以下がさらに好ましい。これにより、上記熱硬化性樹脂のワニス中における無機充填材の沈降等の現象を抑制でき、より均一な樹脂膜を得ることができる。また、プリント配線板の回路寸法L/Sが20μm/20μmを下回る際には、配線間の絶縁性への影響を抑制することができる。
本実施形態において、無機充填材の平均粒子径は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(HORIBA社製、LA-500)により、粒子の粒度分布を体積基準で測定し、そのメディアン径(D50)を平均粒子径とすることができる。
また、無機充填材は、特に限定されないが、平均粒子径が単分散の無機充填材を用いてもよいし、平均粒子径が多分散の無機充填材を用いてもよい。さらに平均粒子径が単分散および/または多分散の無機充填材を1種類または2種類以上で併用してもよい。
上記無機充填材はシリカ粒子を含むことが好ましい。シリカ粒子は球状であってもよい。上記シリカ粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、例えば、5.0μm以下としてもよく、0.1μm以上4.0μm以下としてもよく、0.2μm以上2.0μm以下としてもよい。これにより、無機充填材の充填性をさらに向上させることができる。
無機充填材の含有量の下限値は、樹脂組成物の全固形分100質量部に対して、特に限定されないが、例えば、40質量部以上が好ましく、45質量部以上がより好ましく、50質量部以上がさらに好ましい。これにより、樹脂膜の硬化物を特に低熱膨張、低吸水とすることができる。また、半導体パッケージの反りを抑制することができる。一方で、無機充填材の含有量の上限値は、樹脂組成物の全固形分100質量部に対して、特に限定されないが、例えば、85質量部以下としてもよく、80質量部以下としてもよく、75質量部以下としてもよい。これにより、ハンドリング性が向上し、樹脂膜を形成するのが容易となる。
(難燃剤)
本実施形態において、難燃剤としては、例えば、臭素系難燃剤等のハロゲン系難燃剤やリン系難燃剤等が挙げられる。ハロゲン系難燃剤の具体例としては、例えば、ペンタブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA、ヘキサブロモシクロドデカン等の臭素系難燃剤や、塩素化パラフィン等の塩素系難燃剤等が挙げられる。また、リン系難燃剤の具体例としては、例えば、縮合リン酸エステル、環状リン酸エステル等のリン酸エステル、環状ホスファゼン化合物等のホスファゼン化合物、ジアルキルホスフィン酸アルミニウム塩等のホスフィン酸金属塩等のホスフィン酸塩系難燃剤、リン酸メラミン、及びポリリン酸メラミン等のメラミン系難燃剤等が挙げられる。難燃剤としては、例示した各難燃剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なかでも、リン系難燃剤であることが好ましい。
本実施形態において、難燃剤としては、例えば、臭素系難燃剤等のハロゲン系難燃剤やリン系難燃剤等が挙げられる。ハロゲン系難燃剤の具体例としては、例えば、ペンタブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA、ヘキサブロモシクロドデカン等の臭素系難燃剤や、塩素化パラフィン等の塩素系難燃剤等が挙げられる。また、リン系難燃剤の具体例としては、例えば、縮合リン酸エステル、環状リン酸エステル等のリン酸エステル、環状ホスファゼン化合物等のホスファゼン化合物、ジアルキルホスフィン酸アルミニウム塩等のホスフィン酸金属塩等のホスフィン酸塩系難燃剤、リン酸メラミン、及びポリリン酸メラミン等のメラミン系難燃剤等が挙げられる。難燃剤としては、例示した各難燃剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なかでも、リン系難燃剤であることが好ましい。
難燃剤の含有量は、全固形分100重量部に対して、0.1重量部以上15重量部以下が好ましく、0.5重量部以上10重量部以下がより好ましく、1重量部以上5重量部以下がさらに好ましい。
(重合開始剤)
本実施形態の樹脂組成物は、重合開始剤を含有してもよい。これにより、成分(A)がプロセス条件によらず、安定的に硬化進行される。重合開始剤としては、変性ポリフェニレンエーテルと熱硬化型硬化剤との硬化反応を促進することができるものであれば、特に限定されないが、例えば、1,3-ジ(t-ブチルパーオキシ-イソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)-3-ヘキシン,過酸化ベンゾイル、3,3',5,5'-テトラメチル-1,4-ジフェノキノン、クロラニル、2,4,6-トリ-t-ブチルフェノキシル、t-ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、アゾビスイソブチロニトリル等の酸化剤が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、硬化反応を一層促進させる観点から、さらにカルボン酸金属塩等を併用してもよい。
なかでも、α,α'-ビス(t-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼンが好ましく用いられる。α,α'-ビス(t-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼンは、反応開始温度が比較的に高いため、プリプレグ乾燥時等の硬化する必要がない時点での硬化反応の促進を抑制することができ、本実施形態の樹脂組成物の保存性の低下を抑制することができる。さらに、α,α'-ビス(t-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼンは、揮発性が低いため、プリプレグ乾燥時や保存時に揮発せず、良好な安定性が得られる。
本実施形態の樹脂組成物は、重合開始剤を含有してもよい。これにより、成分(A)がプロセス条件によらず、安定的に硬化進行される。重合開始剤としては、変性ポリフェニレンエーテルと熱硬化型硬化剤との硬化反応を促進することができるものであれば、特に限定されないが、例えば、1,3-ジ(t-ブチルパーオキシ-イソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)-3-ヘキシン,過酸化ベンゾイル、3,3',5,5'-テトラメチル-1,4-ジフェノキノン、クロラニル、2,4,6-トリ-t-ブチルフェノキシル、t-ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、アゾビスイソブチロニトリル等の酸化剤が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、硬化反応を一層促進させる観点から、さらにカルボン酸金属塩等を併用してもよい。
なかでも、α,α'-ビス(t-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼンが好ましく用いられる。α,α'-ビス(t-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼンは、反応開始温度が比較的に高いため、プリプレグ乾燥時等の硬化する必要がない時点での硬化反応の促進を抑制することができ、本実施形態の樹脂組成物の保存性の低下を抑制することができる。さらに、α,α'-ビス(t-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼンは、揮発性が低いため、プリプレグ乾燥時や保存時に揮発せず、良好な安定性が得られる。
(カップリング剤)
本実施形態の樹脂組成物は、カップリング剤を含んでもよい。カップリング剤は樹脂組成物の調製時に直接添加してもよいし、無機充填材にあらかじめ添加しておいてもよい。カップリング剤の使用により無機充填材と各樹脂との界面の濡れ性を向上させることができる。したがって、カップリング剤を使用することは好ましく、樹脂膜の硬化物の耐熱性を改良することができる。また、カップリング剤を用いることにより、銅箔との密着性を向上させることができる。さらに、吸湿耐性を向上できるので、湿度環境下においても、銅箔との密着性を維持することができる。
本実施形態の樹脂組成物は、カップリング剤を含んでもよい。カップリング剤は樹脂組成物の調製時に直接添加してもよいし、無機充填材にあらかじめ添加しておいてもよい。カップリング剤の使用により無機充填材と各樹脂との界面の濡れ性を向上させることができる。したがって、カップリング剤を使用することは好ましく、樹脂膜の硬化物の耐熱性を改良することができる。また、カップリング剤を用いることにより、銅箔との密着性を向上させることができる。さらに、吸湿耐性を向上できるので、湿度環境下においても、銅箔との密着性を維持することができる。
上記カップリング剤としては、例えば、ビニル系シランカップリング剤、エポキシシランカップリング剤、カチオニックシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤等のシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤およびシリコーンオイル型カップリング剤等が挙げられる。カップリング剤は一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を併用してもよい。本実施形態において、カップリング剤はシランカップリング剤を含有してもよい。
これにより、無機充填材と各樹脂との界面の濡れ性を高くすることができ、樹脂膜の硬化物の耐熱性をより向上させることができる。
これにより、無機充填材と各樹脂との界面の濡れ性を高くすることができ、樹脂膜の硬化物の耐熱性をより向上させることができる。
上記シランカップリング剤としては、各種のものを用いることができるが、例えば、エポキシシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、メルカプトシラン、ビニルシラン等が挙げられる。
具体的な化合物としては、例えば、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-フェニルγ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニルγ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-6-(アミノヘキシル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(3-(トリメトキシシリルプロピル)-1,3-ベンゼンジメタナン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、γ-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられ、これらのうちの一種または二種以上を組み合せて用いることができる。これらのうちビニルシラン、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシランが好ましく、アミノシランとしては、1級アミノシラン又はアニリノシランがより好ましい。
上記カップリング剤の含有量は、無機充填材の比表面積に対して適切に調整することができる。このようなカップリング剤の含有量の下限値は、例えば、樹脂組成物の全固形分100重量部に対して、0.01重量部以上としてもよく、好ましくは0.05重量部以上としてもよい。カップリング剤の含有量が上記下限値以上であると、無機充填材を十分に被覆することができ、樹脂膜の硬化物の耐熱性を向上させることができる。一方、上記カップリング剤の含有量の上限値は、例えば、樹脂組成物の全固形分100重量部に対して、3重量部以下としてもよく、好ましくは1.5重量部以下としてもよい。カップリング剤の含有量が上記上限値以下であると、反応に影響を与えるのを抑制でき、樹脂膜の硬化物の曲げ強度等の低下を抑制することができる。
(その他、添加剤)
なお、本実施形態の樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、上記以外の樹脂、緑、赤、青、黄、および黒等の染料、黒色顔料等の顔料、色素からなる群から選択される一種以上を含む着色剤、低応力剤、消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、発泡剤、酸化防止剤、イオン捕捉剤、ゴム成分等の上記の成分以外の添加剤を含んでもよい。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記以外の樹脂としては例えば、エポキシ樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂などの熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、フェノキシ樹脂、シアネート樹脂が挙げられる。
なお、本実施形態の樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、上記以外の樹脂、緑、赤、青、黄、および黒等の染料、黒色顔料等の顔料、色素からなる群から選択される一種以上を含む着色剤、低応力剤、消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、発泡剤、酸化防止剤、イオン捕捉剤、ゴム成分等の上記の成分以外の添加剤を含んでもよい。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記以外の樹脂としては例えば、エポキシ樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂などの熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、フェノキシ樹脂、シアネート樹脂が挙げられる。
(ワニス)
本実施形態において、ワニス状の樹脂組成物は、溶剤を含むことができる。
上記溶剤としては、たとえばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、メシチレン、酢酸エチル、シクロヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、エチレングリコールエーテル、セルソルブ系、カルビトール系、アニソール、およびN-メチルピロリドン等の有機溶剤が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なかでも、ピール強度変化をより小さくできる観点から、トルエン、ヘプタン、シクロヘキサン、アニソール、およびメシチレンが好ましく、トルエンがより好ましく、少なくともトルエンを5%以上含むことがさらに好ましい。これらの溶剤は、上記の各樹脂の溶解性および相溶性に優れるため、ピール強度変化を低減できる。また溶剤の乾燥を効率的に行うことができる。
シリカ等の無機充填剤とのなじみや密着を促進させて、ピール強度変化を低減する観点からは、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチレングリコールエーテルを用いることが好ましい。
本実施形態において、ワニス状の樹脂組成物は、溶剤を含むことができる。
上記溶剤としては、たとえばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、メシチレン、酢酸エチル、シクロヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、エチレングリコールエーテル、セルソルブ系、カルビトール系、アニソール、およびN-メチルピロリドン等の有機溶剤が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なかでも、ピール強度変化をより小さくできる観点から、トルエン、ヘプタン、シクロヘキサン、アニソール、およびメシチレンが好ましく、トルエンがより好ましく、少なくともトルエンを5%以上含むことがさらに好ましい。これらの溶剤は、上記の各樹脂の溶解性および相溶性に優れるため、ピール強度変化を低減できる。また溶剤の乾燥を効率的に行うことができる。
シリカ等の無機充填剤とのなじみや密着を促進させて、ピール強度変化を低減する観点からは、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチレングリコールエーテルを用いることが好ましい。
樹脂組成物がワニス状である場合において、樹脂組成物の固形分含有量は、たとえば30質量%以上80質量%以下としてもよく、より好ましくは40質量%以上70質量%以下としてもよい。これにより、作業性や成膜性に非常に優れた樹脂組成物が得られる。
ワニス状の樹脂組成物は、上述の各成分を、たとえば、超音波分散方式、高圧衝突式分散方式、高速回転分散方式、ビーズミル方式、高速せん断分散方式、および自転公転式分散方式などの各種混合機を用いて溶剤中に溶解、混合、撹拌することにより調製することができる。
つぎに、誘電体層20の製造方法について説明する。
誘電体層20は、(i)低誘電樹脂組成物からなる層、または(ii)繊維基材に低誘電樹脂組成物を含浸させて形成されたプリプレグである。
誘電体層20は、(i)低誘電樹脂組成物からなる層、または(ii)繊維基材に低誘電樹脂組成物を含浸させて形成されたプリプレグである。
(i)低誘電樹脂組成物からなる層である場合について説明する。
低誘電樹脂組成物からなる層は、ワニス状である上記樹脂組成物をフィルム化することにより得ることができる。例えば、低誘電樹脂組成物からなる層は、ワニス状の樹脂組成物を塗布して得られた塗布膜に対して、溶剤を除去することにより得ることができる。このような低誘電樹脂組成物からなる層においては、溶剤含有率が樹脂膜全体に対して5質量%以下とすることができる。本実施形態において、たとえば100℃~150℃、1分~5分の条件で溶剤を除去する、すなわち乾燥工程を実施してもよい。これにより、熱硬化性樹脂を含む低誘電樹脂組成物からなる層の硬化が進行することを抑制しつつ、十分に溶剤を除去することが可能となる。その結果、Dk2/Dk1、P2/P1を小さくすることができるようになる。
低誘電樹脂組成物からなる層は、ワニス状である上記樹脂組成物をフィルム化することにより得ることができる。例えば、低誘電樹脂組成物からなる層は、ワニス状の樹脂組成物を塗布して得られた塗布膜に対して、溶剤を除去することにより得ることができる。このような低誘電樹脂組成物からなる層においては、溶剤含有率が樹脂膜全体に対して5質量%以下とすることができる。本実施形態において、たとえば100℃~150℃、1分~5分の条件で溶剤を除去する、すなわち乾燥工程を実施してもよい。これにより、熱硬化性樹脂を含む低誘電樹脂組成物からなる層の硬化が進行することを抑制しつつ、十分に溶剤を除去することが可能となる。その結果、Dk2/Dk1、P2/P1を小さくすることができるようになる。
(ii)繊維基材に低誘電樹脂組成物を含浸させて形成されたプリプレグである場合について説明する。
例えば、プリプレグは、樹脂組成物を繊維基材に含浸させ、その後、半硬化させて得られるシート状の材料として利用できる。このような構造のシート状材料は、誘電特性、高温多湿下での機械的、電気的接続信頼性等の各種特性に優れ、プリント配線板の絶縁層の製造に適している。
例えば、プリプレグは、樹脂組成物を繊維基材に含浸させ、その後、半硬化させて得られるシート状の材料として利用できる。このような構造のシート状材料は、誘電特性、高温多湿下での機械的、電気的接続信頼性等の各種特性に優れ、プリント配線板の絶縁層の製造に適している。
本実施形態において、樹脂組成物を繊維基材に含浸させる方法としては、特に限定されないが、例えば、樹脂組成物を溶剤に溶かして樹脂ワニスを調製し、繊維基材を上記樹脂ワニスに浸漬する方法、各種コーターにより上記樹脂ワニスを繊維基材に塗布する方法、スプレーにより上記樹脂ワニスを繊維基材に吹き付ける方法、樹脂組成物からなる上記樹脂膜で繊維基材の両面をラミネートする方法等が挙げられる。
上記繊維基材としては、例えば、ガラス繊布、ガラス不繊布等のガラス繊維基材、あるいはガラス以外の無機化合物を成分とする繊布又は不繊布等の無機繊維基材、芳香族ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂等の有機繊維で構成される有機繊維基材等が挙げられる。これら基材の中でも強度の点でガラス織布に代表されるガラス繊維基材を用いると、プリント配線板の機械的強度、耐熱性を良好なものとすることができる。
繊維基材の厚みは、とくに限定されないが、好ましくは5μm以上150μm以下であり、より好ましくは10μm以上100μm以下であり、さらに好ましくは12μm以上90μm以下である。このような厚みを有する繊維基材を用いることにより、プリプレグ製造時のハンドリング性がさらに向上できる。
繊維基材の厚みが上記上限値以下であると、繊維基材中の樹脂組成物の含浸性が向上し、ストランドボイドや絶縁信頼性の低下の発生を抑制することができる。また炭酸ガス、UV、エキシマ等のレーザーによるスルーホールの形成を容易にすることができる。また、繊維基材の厚みが上記下限値以上であると、繊維基材やプリプレグの強度を向上させることができる。その結果、ハンドリング性が向上できたり、プリプレグの作製が容易となったり、樹脂基板の反りを抑制できたりする。
繊維基材の厚みが上記上限値以下であると、繊維基材中の樹脂組成物の含浸性が向上し、ストランドボイドや絶縁信頼性の低下の発生を抑制することができる。また炭酸ガス、UV、エキシマ等のレーザーによるスルーホールの形成を容易にすることができる。また、繊維基材の厚みが上記下限値以上であると、繊維基材やプリプレグの強度を向上させることができる。その結果、ハンドリング性が向上できたり、プリプレグの作製が容易となったり、樹脂基板の反りを抑制できたりする。
上記ガラス繊維基材として、例えば、Eガラス、Sガラス、Dガラス、Tガラス、NEガラス、UTガラス、Lガラス、HPガラスおよび石英ガラスから選ばれる一種または二種以上のガラスにより形成されたガラス繊維基材が好適に用いられる。
また、本実施形態で用いる繊維基材は、1MHzでの誘電率が3.8以上7.0以下であることが好ましく、より好ましくは4.7以上7.0以下、さらに好ましくは5.4以上6.8以下である。このような誘電率を有するガラス繊維基材を用いることにより、積層板の誘電率をさらに低減でき、高速信号を用いた電子機器等に好適である。
本実施形態において配線板とは、金属箔付きの基材の片面又は両面に、金属箔を所望のパターンにエッチング等して回路が形成された導体層を備えるものという。これにより小型化、高密度化された部品を実装した配線板として用いることができる。
また、本実施形態の配線板は、金属箔をエッチングして形成されたマイクロストリップ線路を含むマイクロストリップラインを備えることができる。
また本実施形態の配線板を用いたアンテナやデバイス回路は、種々のパッド、ビア、パターンが追加されるものである。
また、本実施形態の配線板は、金属箔をエッチングして形成されたマイクロストリップ線路を含むマイクロストリップラインを備えることができる。
また本実施形態の配線板を用いたアンテナやデバイス回路は、種々のパッド、ビア、パターンが追加されるものである。
なお、上記のエッチングは、化学エッチング(湿式エッチング)で行うことができ、エッチング液には塩化銅溶液、硝酸などを用いることができ、或いは他の酸性溶液、アルカリ溶液等を用いる方法により行うことができる。
また、上記の金属箔との張り合わせは、公知の方法により行うことができる。例えば、一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置或いはダブルベルトプレス(DBP)による連続処理によって、接着フィルムと金属箔とを張り合わせることができる。装置構成が単純であり、保守コストの面で有利であるという点から、接着フィルムと金属箔との張り合わせは、一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置を用いた熱ラミネートにより行うことが好ましい。
また、上記の金属箔との張り合わせは、公知の方法により行うことができる。例えば、一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置或いはダブルベルトプレス(DBP)による連続処理によって、接着フィルムと金属箔とを張り合わせることができる。装置構成が単純であり、保守コストの面で有利であるという点から、接着フィルムと金属箔との張り合わせは、一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置を用いた熱ラミネートにより行うことが好ましい。
本実施形態の配線板は、マイクロ波帯の高周波数帯域で使用されるものであってもよく、例えば、10GHz~100GHzをマイクロ波の高周波帯域で使用される。なかでも、60GHz以上であることにより、吸湿抑制効果を効果的に得ることができ、高い信頼性が得られる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
本発明は、以下に示す形態を含む。
<1> 誘電体層を備える配線板であって、
以下の条件aで測定されるDk2/Dk1が0.9~1.1である、配線板。
(条件a)
前記配線板を85℃、相対湿度85%で196時間処理し、当該処理前の前記誘電体層の10GHzにおける誘電率をDk1とし、当該処理後の前記誘電体層の10GHzにおける誘電率をDk2とする。
<2> <1>に記載の配線板であって、
以下の条件bで測定されるS2/S1が0.8~1.25である、配線板。
(条件b)
前記配線板を用いてインピーダンスZ=50Ωのマイクロストリップラインを得たのち、85℃、相対湿度85%で196時間処理し、当該処理前の79GHzにおける伝送損失をS1(dB/cm)とし、当該処理後の79GHzにおける伝送損失をS2(dB/cm)とする。
<3> <1>または<2>に記載の配線板であって、
以下の条件cで測定されるP2/P1が0.6~1である、配線板。
(条件c)
前記配線板を用いてインピーダンスZ=50Ωのマイクロストリップラインを得たのち、85℃、相対湿度85%で196時間処理し、当該処理前の前記マイクロストリップラインと前記誘電体層とを剥離するときのピール強度をP1(kN/m)とし、当該処理後の前記マイクロストリップラインと前記誘電体層とを剥離するときのピール強度をP2(kN/m)とする。
<4> <1>乃至<3>いずれか一つに記載の配線板であって、
85℃、相対湿度85%で196時間処理した後の前記誘電体層の吸水率(W2)が0.01~0.5%である、配線板。
<5> <1>乃至<4>いずれか一つに記載の配線板であって、
前記誘電体層は、繊維基材に低誘電樹脂組成物を含浸させて形成されたプリプレグ、または、低誘電樹脂組成物からなる層である、配線板。
<6> <5>に記載の配線板であって、
前記低誘電樹脂組成物は、変性ポリフェニレンエーテル共重合体、マレイミド化合物、およびインデン樹脂の中から選ばれる1種または2種以上を含む、配線板。
<7> <5>または<6>に記載の配線板であって、
前記低誘電樹脂組成物は、無機充填剤を含む、配線板。
<8> <7>に記載の配線板であって、
前記無機充填材の含有量は、前記低誘電樹脂組成物の全固形分に対して40質量%以上85質量%以下含む、配線板。
<9> <5>乃至<8>いずれか一つに記載の配線板であって、
前記繊維基材が、ガラス繊維基材、ポリアミド系樹脂繊維、ポリエステル系樹脂繊維、ポリイミド樹脂繊維、およびフッ素樹脂繊維の中から選ばれる1種または2種以上を含む、配線板。
<10>
<1>乃至<9>いずれか一つに記載の配線板であって、
前記誘電体層のガラス転移温度が、190~300℃である、配線板。
<11> <1>乃至<10>いずれか一つに記載の配線板であって、
マイクロストリップ構造を有する、配線板。
<12> <1>乃至<11>いずれか一つに記載の配線板を用いたアンテナ基板。
<1> 誘電体層を備える配線板であって、
以下の条件aで測定されるDk2/Dk1が0.9~1.1である、配線板。
(条件a)
前記配線板を85℃、相対湿度85%で196時間処理し、当該処理前の前記誘電体層の10GHzにおける誘電率をDk1とし、当該処理後の前記誘電体層の10GHzにおける誘電率をDk2とする。
<2> <1>に記載の配線板であって、
以下の条件bで測定されるS2/S1が0.8~1.25である、配線板。
(条件b)
前記配線板を用いてインピーダンスZ=50Ωのマイクロストリップラインを得たのち、85℃、相対湿度85%で196時間処理し、当該処理前の79GHzにおける伝送損失をS1(dB/cm)とし、当該処理後の79GHzにおける伝送損失をS2(dB/cm)とする。
<3> <1>または<2>に記載の配線板であって、
以下の条件cで測定されるP2/P1が0.6~1である、配線板。
(条件c)
前記配線板を用いてインピーダンスZ=50Ωのマイクロストリップラインを得たのち、85℃、相対湿度85%で196時間処理し、当該処理前の前記マイクロストリップラインと前記誘電体層とを剥離するときのピール強度をP1(kN/m)とし、当該処理後の前記マイクロストリップラインと前記誘電体層とを剥離するときのピール強度をP2(kN/m)とする。
<4> <1>乃至<3>いずれか一つに記載の配線板であって、
85℃、相対湿度85%で196時間処理した後の前記誘電体層の吸水率(W2)が0.01~0.5%である、配線板。
<5> <1>乃至<4>いずれか一つに記載の配線板であって、
前記誘電体層は、繊維基材に低誘電樹脂組成物を含浸させて形成されたプリプレグ、または、低誘電樹脂組成物からなる層である、配線板。
<6> <5>に記載の配線板であって、
前記低誘電樹脂組成物は、変性ポリフェニレンエーテル共重合体、マレイミド化合物、およびインデン樹脂の中から選ばれる1種または2種以上を含む、配線板。
<7> <5>または<6>に記載の配線板であって、
前記低誘電樹脂組成物は、無機充填剤を含む、配線板。
<8> <7>に記載の配線板であって、
前記無機充填材の含有量は、前記低誘電樹脂組成物の全固形分に対して40質量%以上85質量%以下含む、配線板。
<9> <5>乃至<8>いずれか一つに記載の配線板であって、
前記繊維基材が、ガラス繊維基材、ポリアミド系樹脂繊維、ポリエステル系樹脂繊維、ポリイミド樹脂繊維、およびフッ素樹脂繊維の中から選ばれる1種または2種以上を含む、配線板。
<10>
<1>乃至<9>いずれか一つに記載の配線板であって、
前記誘電体層のガラス転移温度が、190~300℃である、配線板。
<11> <1>乃至<10>いずれか一つに記載の配線板であって、
マイクロストリップ構造を有する、配線板。
<12> <1>乃至<11>いずれか一つに記載の配線板を用いたアンテナ基板。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
1)誘電体層の作製
(低誘電樹脂組成物の調製)
表1に示す固形分割合で各成分を溶解または分散させ、トルエン15質量%、メチルエチルケトン15質量%で不揮発分70質量%となるように調整し、高速撹拌装置を用い撹拌して、ワニス状の樹脂組成物(樹脂ワニスP)を調製した。
(プリプレグの調製)
得られた樹脂ワニスPを、ガラス織布(クロスタイプ♯1078、NEガラス、坪量44g/m2)に塗布装置で含浸させ、130℃の熱風乾燥装置で5分間乾燥して、厚さ70μmのプリプレグ(誘電体層)を得た。
(低誘電樹脂組成物の調製)
表1に示す固形分割合で各成分を溶解または分散させ、トルエン15質量%、メチルエチルケトン15質量%で不揮発分70質量%となるように調整し、高速撹拌装置を用い撹拌して、ワニス状の樹脂組成物(樹脂ワニスP)を調製した。
(プリプレグの調製)
得られた樹脂ワニスPを、ガラス織布(クロスタイプ♯1078、NEガラス、坪量44g/m2)に塗布装置で含浸させ、130℃の熱風乾燥装置で5分間乾燥して、厚さ70μmのプリプレグ(誘電体層)を得た。
表1における各成分の原料の詳細は下記のとおりである。
(A)変性ポリフェニレンエーテル共重合体:末端メタクリル基変性ポリフェニレンエーテル、「SA9000」SABICイノベーティブプラスチックス社製
(B)マレイミド化合物:ビフェニルアラルキル型マレイミド化合物、「MIR-3000-70MT」日本化薬社製
(C)インデン樹脂:末端にフェノール基を含むインデン・クマロン・スチレン共重合体(日塗化学社製、V-120S、重量平均分子量:950、水酸基価:30mg KOH/g)
・ポリブタジエン系エラストマー:液状ポリブタジエン、「Ricon100」クレイ・バレー社製
・ビニル化合物A:トリアリルイソシアネート、架橋剤、「TAIC」三菱ケミカル社製
・ビニル化合物B:以下の合成例1により合成したビニル化合物
・不飽和二重結合を有するフェノール:アリルフェノール、「FATC-809」群栄化学社製
・無機充填材:シリカ粒子、「SC4050」、アドマテックス社製、(平均粒径1.1μm、表面がアミノフェニルシラン処理されたもの)
・難燃剤:EXOLIT OP 935(クラリアントケミカルズ社製、ホスフィン酸アルミ 平均粒径2~3μm)
・重合開始剤:1,3-ジ[(t-ブチルパーオキシ)イソプロピル]ベンゼン「パーブチルP」日油社製
(A)変性ポリフェニレンエーテル共重合体:末端メタクリル基変性ポリフェニレンエーテル、「SA9000」SABICイノベーティブプラスチックス社製
(B)マレイミド化合物:ビフェニルアラルキル型マレイミド化合物、「MIR-3000-70MT」日本化薬社製
(C)インデン樹脂:末端にフェノール基を含むインデン・クマロン・スチレン共重合体(日塗化学社製、V-120S、重量平均分子量:950、水酸基価:30mg KOH/g)
・ポリブタジエン系エラストマー:液状ポリブタジエン、「Ricon100」クレイ・バレー社製
・ビニル化合物A:トリアリルイソシアネート、架橋剤、「TAIC」三菱ケミカル社製
・ビニル化合物B:以下の合成例1により合成したビニル化合物
・不飽和二重結合を有するフェノール:アリルフェノール、「FATC-809」群栄化学社製
・無機充填材:シリカ粒子、「SC4050」、アドマテックス社製、(平均粒径1.1μm、表面がアミノフェニルシラン処理されたもの)
・難燃剤:EXOLIT OP 935(クラリアントケミカルズ社製、ホスフィン酸アルミ 平均粒径2~3μm)
・重合開始剤:1,3-ジ[(t-ブチルパーオキシ)イソプロピル]ベンゼン「パーブチルP」日油社製
表1における各成分の配合割合を示す数値は、樹脂組成物の固形分全体に対する各成分の配合割合(質量%)を示している。
[合成例1:ビニル化合物B]
反応容器にオルトアリルフェノール89質量部、ジシクロペンタジエン・フェノール共重合樹脂(軟化点85℃、水酸基当量約165g/eq.)110質量部、トルエン1000質量部を仕込み、容器内を減圧窒素置換させながら溶解させた。続いて、イソフタル酸クロライド135質量部を仕込み溶解させた。次いでテトラブチルアンモニウムブロミド0.5gを添加し、容器内を窒素パージしながら20%水酸化ナトリウム水溶液309gを3時間かけ滴下した。その際、系内の温度は60℃以下に制御した。その後、1時間攪拌させ反応させた。反応終了後、反応物を分液し水層を取り除いた。水層のpHが7になるまでこの操作を繰り返し、加熱減圧条件でトルエン等を留去させ、芳香族エステル骨格及び不飽和結合を含有するビニル化合物Bを得た。得られたビニル化合物Bの不飽和結合当量は仕込み比から算出すると428g/eq.であった。
ビニル化合物Bは下記式で表され、xは0又は1以上の整数を表し、仕込み比から算出されたyの平均値は1である。また、Aは、イソフタル酸クロリド、並びにフェノールの重付加反応樹脂及び/又はオルトアリルフェノールが反応して得られる構造である。
反応容器にオルトアリルフェノール89質量部、ジシクロペンタジエン・フェノール共重合樹脂(軟化点85℃、水酸基当量約165g/eq.)110質量部、トルエン1000質量部を仕込み、容器内を減圧窒素置換させながら溶解させた。続いて、イソフタル酸クロライド135質量部を仕込み溶解させた。次いでテトラブチルアンモニウムブロミド0.5gを添加し、容器内を窒素パージしながら20%水酸化ナトリウム水溶液309gを3時間かけ滴下した。その際、系内の温度は60℃以下に制御した。その後、1時間攪拌させ反応させた。反応終了後、反応物を分液し水層を取り除いた。水層のpHが7になるまでこの操作を繰り返し、加熱減圧条件でトルエン等を留去させ、芳香族エステル骨格及び不飽和結合を含有するビニル化合物Bを得た。得られたビニル化合物Bの不飽和結合当量は仕込み比から算出すると428g/eq.であった。
ビニル化合物Bは下記式で表され、xは0又は1以上の整数を表し、仕込み比から算出されたyの平均値は1である。また、Aは、イソフタル酸クロリド、並びにフェノールの重付加反応樹脂及び/又はオルトアリルフェノールが反応して得られる構造である。
ただし、比較例1は、誘電体層として以下のプリプレグを用いた。
プリプレグ1:「LAZ-6785KS-H」(NEガラス、厚み70μm、主成分エポキシ樹脂)住友ベークライト社製
プリプレグ1:「LAZ-6785KS-H」(NEガラス、厚み70μm、主成分エポキシ樹脂)住友ベークライト社製
2)金属箔付き積層板、および配線板の作製
(金属箔付き積層板の作製)
各プリプレグの両面に極薄銅箔(三井金属鉱業社製、マイクロシンFL、1.5μm)を重ね合わせ、圧力3MPa、温度225℃で2時間加熱加圧成形することにより、金属箔付き積層板を得た。
(金属箔付き積層板の作製)
各プリプレグの両面に極薄銅箔(三井金属鉱業社製、マイクロシンFL、1.5μm)を重ね合わせ、圧力3MPa、温度225℃で2時間加熱加圧成形することにより、金属箔付き積層板を得た。
(配線板の作製)
金属箔付き積層板を用いて、以下に示すようなインピーダンスZ=50Ωのマイクロストリップラインを作成した。
・W(線路幅):160μm
・t(線路厚み):20μm
・h(誘電体層:プリプレグ厚み):70μm
・線路長:40mm
・GND銅厚み:20μm
金属箔付き積層板を用いて、以下に示すようなインピーダンスZ=50Ωのマイクロストリップラインを作成した。
・W(線路幅):160μm
・t(線路厚み):20μm
・h(誘電体層:プリプレグ厚み):70μm
・線路長:40mm
・GND銅厚み:20μm
3)測定・評価
得られたマイクロストリップラインを有する配線板について、以下の条件a~cの測定を行った。具体的には、図1に示すようなマイクロストリップ構造において、配線の一方の端部とその両側のペアパッドから、配線の他方の端部とその両側のペアパッドへ高周波を伝送させ、ネットワークアナライザーを用いて、伝送損失量(S21)を測定した。伝送に用いた端子は、3端子ずつとした。
ただし、誘電率、誘電正接は、10GHzの空洞共振器を用いて測定した。ピール強度の測定はJISC6481に準拠して行った。
得られたマイクロストリップラインを有する配線板について、以下の条件a~cの測定を行った。具体的には、図1に示すようなマイクロストリップ構造において、配線の一方の端部とその両側のペアパッドから、配線の他方の端部とその両側のペアパッドへ高周波を伝送させ、ネットワークアナライザーを用いて、伝送損失量(S21)を測定した。伝送に用いた端子は、3端子ずつとした。
ただし、誘電率、誘電正接は、10GHzの空洞共振器を用いて測定した。ピール強度の測定はJISC6481に準拠して行った。
・条件a
得られたプリプレグ、および配線板を85℃、相対湿度85%で196時間処理し、当該処理前の誘電体層20の10GHzにおける誘電率をDk1とし、当該処理後の誘電体層20の10GHzにおける誘電率をDk2とした。
・条件b
配線板を用いてインピーダンスZ=50Ωのマイクロストリップラインを得たのち、85℃、相対湿度85%で196時間処理し、当該処理前の79GHzの挿入した伝送損失(S21)をS1(dB/cm)とし、当該処理後の79GHzの挿入した伝送損失(S21)をS2(dB/cm)とした。
・条件c
配線板を用いてインピーダンスZ=50Ωのマイクロストリップラインを得たのち、85℃、相対湿度85%で196時間処理し、当該処理前の前記マイクロストリップラインと前記誘電体層とを剥離するときのピール強度をP1(kN/m)とし、当該処理後の前記マイクロストリップラインと前記誘電体層とを剥離するときのピール強度をP2(kN/m)とした。
得られたプリプレグ、および配線板を85℃、相対湿度85%で196時間処理し、当該処理前の誘電体層20の10GHzにおける誘電率をDk1とし、当該処理後の誘電体層20の10GHzにおける誘電率をDk2とした。
・条件b
配線板を用いてインピーダンスZ=50Ωのマイクロストリップラインを得たのち、85℃、相対湿度85%で196時間処理し、当該処理前の79GHzの挿入した伝送損失(S21)をS1(dB/cm)とし、当該処理後の79GHzの挿入した伝送損失(S21)をS2(dB/cm)とした。
・条件c
配線板を用いてインピーダンスZ=50Ωのマイクロストリップラインを得たのち、85℃、相対湿度85%で196時間処理し、当該処理前の前記マイクロストリップラインと前記誘電体層とを剥離するときのピール強度をP1(kN/m)とし、当該処理後の前記マイクロストリップラインと前記誘電体層とを剥離するときのピール強度をP2(kN/m)とした。
・吸水率(W2)
吸水率は、85℃、相対湿度85%、196時間で処理した前後の質量から、以下の式のように算出される。
式:吸水率(W2)={(吸湿処理後の質量-吸湿処理前の質量)/吸湿処理前の質量}×100(%)
なお、サンプルは金属箔付き積層板をエッチングして銅を除去し、誘電体層のみとしたものを用いた。
吸水率は、85℃、相対湿度85%、196時間で処理した前後の質量から、以下の式のように算出される。
式:吸水率(W2)={(吸湿処理後の質量-吸湿処理前の質量)/吸湿処理前の質量}×100(%)
なお、サンプルは金属箔付き積層板をエッチングして銅を除去し、誘電体層のみとしたものを用いた。
・ガラス転移温度(Tg)
動的粘弾性装置を用いて、JIS C-6481(DMA法)に準拠しておこなった。なお、サンプルは金属箔付き積層板をエッチングして銅を除去し、誘電体層のみとしたものを用いた。
動的粘弾性装置を用いて、JIS C-6481(DMA法)に準拠しておこなった。なお、サンプルは金属箔付き積層板をエッチングして銅を除去し、誘電体層のみとしたものを用いた。
4)信頼性:水平偏波アンテナの指向性
上記1)で得られたプリプレグ17枚を重ねてその両面に銅箔(古河電気工業社製、FN1-WS、18μm)を重ね合わせ、圧力1.5MPa、温度225℃で2時間加熱加圧成形することにより、誘電体厚み約0.12mmの金属箔付き積層板を得た。次いで、銅エッチング加工により配線加工し、図4に示すように、管内波長3/4ピッチで放射素子を6つ配置した配線パターンを有する76GHzでの反射特性が得られるアレイアンナを得た。また、図4中の各部の長さおよび条件は、以下の通りとした。
・光速 3×108m/s
・周波数 76GHz
・Dk 3.45
・波長 3.9mm
・管内波長 2.13mm(管内波長=光速(周波数×誘電率1/2))
・放射素子の長さ(管内波長2分1) 1.06mm
・放射素子の幅(管内波長4分1) 0.53mm
・放射素子のピッチ(管内波長4分3) 1.59mm
・配線幅 0.32mm
上記1)で得られたプリプレグ17枚を重ねてその両面に銅箔(古河電気工業社製、FN1-WS、18μm)を重ね合わせ、圧力1.5MPa、温度225℃で2時間加熱加圧成形することにより、誘電体厚み約0.12mmの金属箔付き積層板を得た。次いで、銅エッチング加工により配線加工し、図4に示すように、管内波長3/4ピッチで放射素子を6つ配置した配線パターンを有する76GHzでの反射特性が得られるアレイアンナを得た。また、図4中の各部の長さおよび条件は、以下の通りとした。
・光速 3×108m/s
・周波数 76GHz
・Dk 3.45
・波長 3.9mm
・管内波長 2.13mm(管内波長=光速(周波数×誘電率1/2))
・放射素子の長さ(管内波長2分1) 1.06mm
・放射素子の幅(管内波長4分1) 0.53mm
・放射素子のピッチ(管内波長4分3) 1.59mm
・配線幅 0.32mm
85℃、相対湿度85%で196時間での処理前後における第一サイドローブの差(dB)を求めた。サイドローブは、アンテナ周波数76GHzでの、最大利得で正規化した時に得られる第1サイドローブとした。
サイドローブの変化が小さいほど、吸湿が抑制されノイズが低減されたことを表す。そのため、信頼性に優れたアンテナが得られることが把握された。
サイドローブの変化が小さいほど、吸湿が抑制されノイズが低減されたことを表す。そのため、信頼性に優れたアンテナが得られることが把握された。
10 配線板
20 誘電体層
30 導体層
40 信号配線
41 ペアパッド
42 ペアパッド
43 配線
20 誘電体層
30 導体層
40 信号配線
41 ペアパッド
42 ペアパッド
43 配線
Claims (13)
- 配線板に用いられる誘電体層であって、
以下の条件aで測定されるDk2/Dk1が0.9~1.1である、誘電体層。
(条件a)
前記誘電体層を85℃、相対湿度85%で196時間処理し、当該処理前の前記誘電体層の10GHzにおける誘電率をDk1とし、当該処理後の前記誘電体層の10GHzにおける誘電率をDk2とする。 - 請求項1に記載の誘電体層であって、
以下の条件bで測定されるS2/S1が0.8~1.25である、誘電体層。
(条件b)
前記誘電体層の両面に厚さ1.5μmの銅箔を張り合わせ、圧力3MPa、温度225℃で2時間加熱加圧成形して金属箔付き積層板を作成する。当該積層板を用いてインピーダンスZ=50Ωのマイクロストリップラインを得たのち、85℃、相対湿度85%で196時間処理し、当該処理前の79GHzにおける伝送損失をS1(dB/cm)とし、当該処理後の79GHzにおける伝送損失をS2(dB/cm)とする。 - 請求項1または2に記載の誘電体層であって、
以下の条件cで測定されるP2/P1が0.6~1である、誘電体層。
(条件c)
前記誘電体層の両面に厚さ1.5μmの銅箔を張り合わせ、圧力3MPa、温度225℃で2時間加熱加圧成形して金属箔付き積層板を作成する。当該積層板を用いてインピーダンスZ=50Ωのマイクロストリップラインを得たのち、85℃、相対湿度85%で196時間処理し、当該処理前の前記マイクロストリップラインと前記誘電体層とを剥離するときのピール強度をP1(kN/m)とし、当該処理後の前記マイクロストリップラインと前記誘電体層とを剥離するときのピール強度をP2(kN/m)とする。 - 請求項1乃至3いずれか一項に記載の誘電体層であって、
85℃、相対湿度85%で196時間処理した後の前記誘電体層の吸水率(W2)が0.01~0.5%である、誘電体層。 - 請求項1乃至4いずれか一項に記載の誘電体層であって、
前記誘電体層は、繊維基材に低誘電樹脂組成物を含浸させて形成されたプリプレグ、または、低誘電樹脂組成物からなる層である、誘電体層。 - 請求項5に記載の誘電体層であって、
前記低誘電樹脂組成物は、変性ポリフェニレンエーテル共重合体、マレイミド化合物、およびインデン樹脂の中から選ばれる1種または2種以上を含む、誘電体層。 - 請求項5または6に記載の誘電体層であって、
前記低誘電樹脂組成物は、無機充填剤を含む、誘電体層。 - 請求項7に記載の誘電体層であって、
前記無機充填材の含有量は、前記低誘電樹脂組成物の全固形分に対して40質量%以上85質量%以下である、誘電体層。 - 請求項5乃至8いずれか一項に記載の誘電体層であって、
前記繊維基材が、ガラス繊維基材、ポリアミド系樹脂繊維、ポリエステル系樹脂繊維、ポリイミド樹脂繊維、およびフッ素樹脂繊維の中から選ばれる1種または2種以上を含む、誘電体層。 - 請求項1乃至9いずれか一項に記載の誘電体層であって、
ガラス転移温度が190~300℃である、誘電体層。 - 請求項1乃至10いずれか一項に記載の誘電体層を用いた、配線板。
- 請求項11に記載の配線板であって、
マイクロストリップ構造を有する、配線板。 - 請求項11または12に記載の配線板を用いたアンテナ基板。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2021140995 | 2021-08-31 | ||
JP2021140995 | 2021-08-31 |
Publications (1)
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JP2023035743A true JP2023035743A (ja) | 2023-03-13 |
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JP2021149181A Pending JP2023035743A (ja) | 2021-08-31 | 2021-09-14 | 誘電体層、配線板 |
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