JP2023034664A - 環境負荷値変動トークン演算装置、光学部材製造システム、及び環境負荷値変動トークン演算方法 - Google Patents

環境負荷値変動トークン演算装置、光学部材製造システム、及び環境負荷値変動トークン演算方法 Download PDF

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Yusuke Matsui
幸治 末杉
Koji Suesugi
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Shinsuke Ito
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Abstract

【課題】光学材料用重合性化合物と重合触媒とを含む組成物を重合する光学部材製造における環境負荷値の変動に応じたトークンを演算することができる環境負荷値変動トークン演算装置、光学部材製造システム、及び環境負荷値変動トークン演算方法を提供する。【解決手段】第1取得部102が、光学部材製造における重合部に投入するエネルギー量を示す第1エネルギー量情報を取得する。第2取得部104が、光学部材製造における重合部を配置する空間の温度を維持するのに投入されるエネルギー量を示す第2エネルギー量情報を取得する。第3取得部106が、光学部材製造で製造された光学部材の収率情報を取得する。演算部108が、第1エネルギー量情報、第2エネルギー量情報、及び収率情報から演算された環境負荷値Aと、所与の重合による光学部材製造条件で発生する環境負荷値Bとから、環境負荷値の変動量に応じた変動トークンを演算する。【選択図】図1

Description

本開示は、環境負荷値変動トークン演算装置、光学部材製造システム、及び環境負荷値変動トークン演算方法に関する。
昨今、地球温暖化の問題により、環境負荷を抑えるための技術が検討されている。
例えば、廃水油脂を利用してCO2削減を実施し、これに基づいてCO2削減クレジットを演算するCO2削減クレジット演算システムがある(特許文献1参照)。このシステムでは、入力される情報を用いてCO2削減量の演算を行うとともにCO2削減量に基づいてCO2削減クレジットを演算している。
特許6763594号公報
ここで、プラスチックレンズ向け光学材料に用いられる樹脂を製造する方法について着目する。例えば、モノマーを含む重合性組成物をモールド(型)の中に注入して加熱硬化させる注型重合法において製造工程や製造条件を変更することにより、環境負荷が変わるものの、環境負荷の変動量を演算することは行われていない。また、環境負荷の変動量に応じたトークンが得られる場合に、どのくらいのトークンが得られるのかを事前に求めることができない。
本開示の一実施形態が解決しようとする課題は、光学材料用重合性化合物と重合触媒とを含む組成物を重合する光学部材製造における環境負荷値の変動に応じたトークンを演算することができる環境負荷値変動トークン演算装置、光学部材製造システム、及び環境負荷値変動トークン演算方法を提供することである。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の態様を含む。
<1> 2種以上の異なる光学材料用重合性化合物と、重合触媒と、を含む組成物を重合する光学部材製造における環境負荷値変動トークンを演算する環境負荷値変動トークン演算装置であって、
前記光学部材製造における重合部に投入するエネルギー量を示す第1エネルギー量情報を取得する第1取得部と、
前記光学部材製造における前記重合部を配置する空間の温度を維持するのに投入されるエネルギー量を示す第2エネルギー量情報を取得する第2取得部と、
前記光学部材製造で製造された光学部材の収率情報を取得する第3取得部と、
前記第1エネルギー量情報、前記第2エネルギー量情報、及び前記収率情報から演算された環境負荷値Aと、前記光学部材製造とは異なる、所与の重合による光学部材製造条件で発生する環境負荷値Bとから、環境負荷値の変動量に応じた変動トークンを演算する演算部と、
を備える、環境負荷値変動トークン演算装置。
<2> 前記演算部は、
(1)所与の重合部数と前記光学部材製造で用いる重合部数との差分、1つの重合部製造に要する環境負荷値、及び1つの重合部保管に要する環境負荷値から演算される環境負荷値の変動量、
(2)所与の重合部への温度調整装置数と、前記光学部材製造で用いる重合部への温度調整装置数との差分、1つの温度調整装置製造に要する環境負荷値、及び1つの温度調整装置の排熱による環境負荷値から演算される環境負荷値の変動量、並びに
(3)所与の光学部材の加工に要する環境負荷値と、前記光学部材製造により製造された光学部材の加工に要する環境負荷値と、から演算される環境負荷値の変動量
の少なくとも一つと、
前記環境負荷値Aと、
前記環境負荷値Bと、から、前記変動トークンを演算する<1>記載の環境負荷値変動トークン演算装置。
<3> 前記演算部は、
前記第1エネルギー量情報、前記第2エネルギー量情報、前記収率情報、及び前記光学部材製造における前記重合部で製造された光学部材を加工する際に発生する切削紛量から前記環境負荷値Aを演算する<1>又は<2>記載の環境負荷値変動トークン演算装置。
<4> 前記第1エネルギー量情報及び前記第2エネルギー量情報は、光学部材1個あたりのエネルギー量を示す<1>~<3>の何れか1つに記載の環境負荷値変動トークン演算装置。
<5> 前記演算部で演算された前記環境負荷値変動トークンが所与のトークン値を超えた場合、追加トークンを付与する追加付与部を更に備える、<1>~<4>の何れか1つに記載の環境負荷値変動トークン演算装置。
<6> 前記注型工程における前記光学材料用重合性組成物のB型粘度計で25℃ 60rpmの条件で測定した粘度が10mPa・s~1000mPa・sである<1>~<5>のいずれか1つに記載の光学部材の製造方法。
<7> 前記組成物が、前記2種以上の異なる光学材料用重合性化合物の内の少なくとも2種の光学材料用重合性化合物を重合させて得られるプレポリマーを含み、
前記重合触媒の含有量が、前記2種以上の異なる光学材料用重合性化合物及び前記プレポリマーの合計100質量部に対して、0.010質量部~2.0質量部である光学材料用重合性組成物である、<1>~<6>の何れか1つに記載の環境負荷値変動トークン演算装置。
<8> 一方の光学材料用重合性化合物が、ポリイソシアナート化合物、エピスルフィド化合物、及び、エポキシ化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む、<1>~<7>の何れか1つに記載の環境負荷値変動トークン演算装置。
<9> 他方の光学材料用重合性化合物が、2つ以上のメルカプト基を有するポリチオール化合物、1つ以上のメルカプト基と1つ以上の水酸基とを含むヒドロキシチオール化合物、2つ以上の水酸基を含むポリオール化合物、及び、アミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種の活性水素化合物を含む、<1>~<8>の何れか1つに記載の環境負荷値変動トークン演算装置。
<10> 前記重合触媒は、pKa値が4~8である塩基性触媒、及び、有機金属系触媒からなる群から選択される少なくとも1種を含む<1>~<9>の何れか1つに記載の環境負荷値変動トークン演算装置。
<11> 前記演算された変動トークンに基づいて、前記変動トークンが所与の値以上になるように前記光学部材製造における製造条件を決定する製造条件決定部を更に含む<1>~<10>の何れか1つに記載の環境負荷値変動トークン演算装置。
<12> <11>記載の環境負荷値変動トークン演算装置と、
前記決定された製造条件となるように、前記光学部材製造における製造条件を制御する製造条件制御装置と、
を含む光学部材製造システム。
<13> 2種以上の異なる光学材料用重合性化合物と、重合触媒と、を含む組成物を重合する光学部材製造における環境負荷値変動トークンを演算する環境負荷値変動トークン演算装置における環境負荷値変動トークン演算方法であって、
第1取得部が、前記光学部材製造における重合部に投入するエネルギー量を示す第1エネルギー量情報を取得し、
第2取得部が、前記光学部材製造における前記重合部を配置する空間の温度を維持するのに投入されるエネルギー量を示す第2エネルギー量情報を取得し、
第3取得部が、前記光学部材製造で製造された光学部材の収率情報を取得し、
演算部が、前記第1エネルギー量情報、前記第2エネルギー量情報、及び前記収率情報から演算された環境負荷値Aと、前記光学部材製造とは異なる、所与の重合による光学部材製造条件で発生する環境負荷値Bとから、環境負荷値の変動量に応じた変動トークンを演算する
環境負荷値変動トークン演算方法。
本開示の一実施形態によれば、光学材料用重合性化合物と重合触媒とを含む組成物を重合する光学部材製造における環境負荷値の変動に応じたトークンを演算することができる環境負荷値変動トークン演算装置、光学部材製造システム、及び環境負荷値変動トークン演算方法を提供することができる。
第1実施形態の環境負荷値変動トークン演算装置の一例を説明するための機能ブロック図である。 第1実施形態の環境負荷値変動トークン演算装置によって実行される処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。 光学部材製造システムの一例を説明するための概略図である。 環境負荷値変動トークン演算装置及び製造条件制御装置を実現するコンピュータの構成例を示す図である。 第2実施形態の環境負荷値変動トークン演算装置の一例を説明するための機能ブロック図である。 第2実施形態の環境負荷値変動トークン演算装置によって実行される処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
本開示において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本開示において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、「工程」との用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
[第1実施形態]
<本実施形態の概要>
本実施形態では、短時間重合工程を採用する光学部材製造における環境負荷値の変動量に応じたトークンを演算する。このとき、当該光学部材製造における重合部に投入するエネルギー量、重合部を配置する空間の温度を維持するのに投入されるエネルギー量、当該光学部材製造で製造された光学部材の収率情報などを用いて、環境負荷値変動トークンを演算する。
ここで、環境負荷値変動トークンとは、環境負荷値の変動量を、何か別の価値を代替するものであり、例えば、電子通貨である。
<本実施形態に係る環境負荷値変動トークン演算装置の構成>
図1は、本実施形態の環境負荷値変動トークン演算装置100の機能構成の例を示すブロック図である。
環境負荷値変動トークン演算装置100は、機能的には、図1に示すように、第1取得部102、第2取得部104、第3取得部106、演算部108、及び製造条件決定部110を備えている。
第1取得部102は、2種以上の異なる光学材料用重合性化合物と、重合触媒と、を含む組成物を重合する光学部材製造において、重合部に投入するエネルギー量を示す第1エネルギー量情報を取得する。具体的には、ユーザから入力された、当該光学部材製造において重合部に投入する、光学部材1個あたりのエネルギー量を示す第1エネルギー量情報を取得する。
第2取得部104は、当該光学部材製造において、重合部を配置する空間の温度を維持するのに投入されるエネルギー量を示す第2エネルギー量情報を取得する。具体的には、ユーザから入力された、当該光学部材製造において重合部を配置する空間の温度を維持するのに投入する、光学部材1個あたりのエネルギー量を示す第2エネルギー量情報を取得する。
第3取得部106は、当該光学部材製造で製造された光学部材の収率情報を取得する。具体的には、ユーザから入力された、当該光学部材製造で製造された光学部材の収率情報を取得する。
ここで、第1エネルギー量情報、第2エネルギー量情報、及び収率情報としては、当該光学部材製造での製造実績、製造実験、又は製造シミュレーションから得られた情報を用いればよい。
演算部108は、第1エネルギー量情報、第2エネルギー量情報、及び収率情報から当該光学部材製造での環境負荷値Aを演算する。
具体的には、演算部108は、第1エネルギー量情報から得られる、光学部材製造の各工程で重合部に投入する、光学部材1個あたりのエネルギー量と、第2エネルギー量情報から得られる、当該光学部材製造の各工程で重合部を配置する空間の温度を維持するのに投入する、光学部材1個あたりのエネルギー量と、収率情報が示す収率と、光学部材の製造数とから、環境負荷値Aを演算する。
例えば、第1エネルギー量情報から得られる、当該光学部材製造の各工程で重合部に投入する、光学部材1個あたりのエネルギー量と、第2エネルギー量情報から得られる、光学部材製造の各工程で重合部を配置する空間の温度を維持するのに投入する、光学部材1個あたりのエネルギー量と、の和に、光学部材の製造数に収率の逆数を乗算した数を掛け合わせることにより、環境負荷値Aを演算する。ここで、光学部材の製造数は、製造実績数でもよいし、製造計画数でもよい。
なお、当該光学部材製造において重合部で製造された光学部材を加工する際に発生する切削紛量を更に考慮して、環境負荷値Aを演算してもよい。例えば、光学部材1個あたりの切削紛量に応じたエネルギー量に、光学部材の計画製造数に収率の逆数を乗算した数を掛け合わせたものを更に加算して環境負荷値Aを演算してもよい。
また、演算部108は、当該光学部材製造とは異なる、所与の重合による光学部材製造条件で発生する環境負荷値Bを演算する。
具体的には、演算部108は、予め定められた、所与の重合による光学部材製造条件の各工程で重合部に投入する、光学部材1個あたりのエネルギー量と、所与の重合による光学部材製造条件の各工程で重合部を配置する空間の温度を維持するのに投入する、光学部材1個あたりのエネルギー量と、所与の重合による光学部材製造条件での収率と、光学部材の製造数とから、環境負荷値Aと同様に、環境負荷値Bを演算する。
ここで、所与の重合による光学部材製造条件としては、従来既知の、モノマーを含む重合性組成物をモールド(型)の中に注入して加熱硬化させる注型重合法の製造条件を用いればよい。なお、従来既知の場合でモノマーが、ポリイソシアナート化合物と、2つ以上のメルカプト基を有するポリチオール化合物とを含み、これらの化合物を重合させて脈理などが少なく光学用の品質を備えた光学部材と製造する場合は、約20時間重合させることが多い(例として、日本国特許公開公報2012-196934号参照)。
また、演算部108は、
(1)所与の重合部数と光学部材製造で用いる重合部数との差分、1つの重合部製造に要する環境負荷値、及び1つの重合部保管に要する環境負荷値から演算される環境負荷値の変動量、
(2)所与の重合部への温度調整装置数と、光学部材製造で用いる重合部への温度調整装置数との差分、1つの温度調整装置製造に要する環境負荷値と、及び1つの温度調整装置の排熱による環境負荷値から演算される環境負荷値の変動量、及び
(3)所与の光学部材の加工に要する環境負荷値と、前記光学部材製造により製造された光学部材の加工に要する環境負荷値と、から演算される環境負荷値の変動量
の少なくとも一つを演算する。
具体的には、演算部108は、ユーザから入力された、所与の重合部数と当該光学部材製造で用いる重合部数との差分、予め定められた、1つの重合部製造に要する環境負荷値、及び予め定められた、1つの重合部保管に要する環境負荷値から、環境負荷値の第1追加変動量を演算する。
例えば、演算部108は、1つの重合部製造に要する環境負荷値、及び1つの重合部保管に要する環境負荷値の和に、所与の重合部数と当該光学部材製造で用いる重合部数との差分を掛け合わせることにより、環境負荷値の第1追加変動量を演算する。
また、演算部108は、ユーザから入力された、所与の重合部への温度調整装置数と、当該光学部材製造で用いる重合部への温度調整装置数との差分、予め定められた、1つの温度調整装置製造に要する環境負荷値、及び予め定められた、1つの温度調整装置の排熱による環境負荷値から、環境負荷値の第2追加変動量を演算する。
例えば、演算部108は、1つの温度調整装置製造に要する環境負荷値、及び1つの温度調整装置の排熱による環境負荷値の和に、所与の重合部数と当該光学部材製造で用いる重合部数との差分を掛け合わせることにより、環境負荷値の第2追加変動量を演算する。
また、演算部108は、予め定められた、所与の光学部材の加工に要する環境負荷値と、ユーザから入力された、当該光学部材製造により製造された光学部材の加工に要する環境負荷値との差分から、環境負荷値の第3追加変動量を演算する。
演算部108は、演算された環境負荷値A及び環境負荷値Bから、環境負荷値の変動量を演算し、この環境負荷値の変動量に、第1追加変動量~第3追加変動量を加えることで、所与の重合による光学部材製造条件と比較した、当該光学部材製造での環境負荷値の変動量を演算する。また、演算部108は、演算された環境負荷値の変動量に、予め定められた値を乗算して、変動トークンを演算する。このとき、当該光学部材製造での環境負荷値の変動量が、環境負荷値の削減を示す場合には、正の変動トークンが演算される。一方、当該光学部材製造での環境負荷値の変動量が、環境負荷値の増加を示す場合には、負の変動トークンが演算される。
製造条件決定部110は、演算された変動トークンに基づいて、変動トークンが所与の値以上になるように当該光学部材製造における製造条件を決定する。
具体的には、製造条件決定部110は、演算された変動トークンが所与の値未満である場合には、変動トークンを増加させるように、すなわち、環境負荷値を削減するように、当該光学部材製造における製造条件を変更する。
例えば、後述する撹拌部における光学材料用重合性組成物の粘度を適切な範囲内に下げ、撹拌部における温度を適切な範囲内に上げるように変更することにより、製造条件を変更する。一般的に粘度を高めると重合に要するエネルギーと時間が短縮されるため環境負荷値が低下するが、重合物である光学部材の光学品質が低下することがあるため、光学品質の収率とのバランスを考慮して適切な条件が設定されることとなる。
≪光学部材の製造方法≫
次に、当該光学部材製造における製造方法について説明する。この光学部材製造の製造方法は、2種以上の異なる光学材料用モノマーと、重合触媒と、を含有する光学材料用重合性組成物を用いて光学材料を製造する方法であって、第1原料組成物及び第2原料組成物を準備する準備工程と、前記第1原料組成物及び前記第2原料組成物にせん断力を加えて前記光学材料用重合性組成物を製造するせん断工程と、前記光学材料用重合性組成物に撹拌力を加える撹拌工程と、前記撹拌工程の後、前記光学材料用重合性組成物をモールドに注型する注型工程と、前記モールド中の前記光学材料用重合性組成物中の前記2種以上の異なる光学材料用モノマーを重合させることにより前記光学材料用重合性組成物を硬化させる硬化工程と、を含む。
「第1原料組成物及び第2原料組成物にせん断力を加える」とは、第1原料組成物及び第2原料組成物を流動させながら、第1原料組成物及び第2原料組成物に対して、主に流動方向に交差する方向に力を加えることを意味する。
「光学材料用重合性組成物に撹拌力を加える」とは、光学材料用重合性組成物を流動させながら、前記光学材料用重合性組成物に対して、主に流動方向(即ち前記組成物が撹拌力を加える工程に入る部位(入口)と出る部位(出口)とを結ぶ仮想線上における入口から出口への方向)の略平行逆方向に力を加えること、又は、流動を止めて前記光学材料用重合性組成物を撹拌することを意味する。
本開示の光学部材製造の製造方法は、上記の各工程を含むことで、得られる光学材料におけるU字型の脈理を抑制することができる。
U字型の脈理は、光学材料用重合性組成物をモールドに注型してから一定程度時間が経過した後に、発生しやすい。
本発明者らは、U字型の脈理を抑制する観点から、第1原料組成物及び第2原料組成物をせん断及び撹拌する工程に着目した。
さらに、せん断及び撹拌の態様、順序などを検討し続けた結果、本開示の光学部材製造の製造方法が、上記せん断工程と上記撹拌工程とを含む上述の構成であることで、得られる光学材料におけるU字型の脈理を抑制することができることを見出した。
本開示における光学材料用重合性組成物は、2種以上の異なる光学材料用モノマーと、重合触媒と、を含有する。
また、光学材料用重合性組成物は、第1原料組成物及び第2原料組成物にせん断力を加えて製造する。
そのため、第1原料組成物及び第2原料組成物は、第1原料組成物及び第2原料組成物を合わせた全体として、2種以上の異なる光学材料用モノマーと、重合触媒と、を含む。
例えば、第1原料組成物及び第2原料組成物がそれぞれ異なる種類の光学材料用モノマーを含み、第1原料組成物及び第2原料組成物の少なくとも一方が重合触媒を含む形態であってもよい。
<準備工程>
準備工程は、第1原料組成物及び第2原料組成物を準備する工程である。
準備工程において、第1原料組成物及び第2原料組成物は、全体として、2種以上の異なる光学材料用モノマーと、重合触媒と、を含んでいれば特に制限はない。
第1原料組成物及び第2原料組成物は、それぞれ既製品を用いてもよく、光学材料用モノマーと、重合触媒と、を混合して準備してもよい。
上記混合の方法としては、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。
上記の各成分を混合する際の温度としては、特に制限はないが、30℃以下であることが好ましく、室温(25℃)以下であることがより好ましい。
準備される光学材料用重合性組成物のポットライフの観点からは、25℃よりもさらに低温にすることが好ましい場合がある。但し、内部離型剤等の添加剤と上記の各成分との溶解性が良好でない場合は、予め上記の各成分を昇温して、上記添加剤を上記の各成分に溶解させてもよい。
上記の各成分を混合する際は、光学材料用重合性組成物への水分の混入を防ぐため、乾燥不活性ガス下で行うことが好ましい。
準備工程において、2種以上の異なる光学材料用モノマーの一部に、重合触媒を予め混合した後、2種以上の異なる光学材料用モノマーの残部を、単回にて混合してもよく、複数回に分けて混合してもよい。
準備工程の具体的態様としては、例えば以下の態様が挙げられる。
まず、光学材料用モノマーの一部と、添加剤(例えば内部離型剤)を仕込んで混合液を作製する。この混合液を25℃で1時間撹拌して各成分を完全に溶解させた後、さらに光学材料用モノマーの残部の一部を仕込み、これを撹拌して均一溶液とする。この溶液に対して脱泡を行い、第1原料組成物を得る。
そして、光学材料用モノマーの残部と、触媒と、を25℃で30分撹拌して完全に溶解させ均一溶液とする。この溶液に対して脱泡を行い、第2原料組成物を得る。
<せん断工程>
せん断工程は、第1原料組成物及び第2原料組成物にせん断力を加えて光学材料用重合性組成物を製造する工程である。
本開示において、流動方向に交差する方向に加える力をせん断力とも称する。
本開示において、主に流動方向に交差する方向に力を加えることを、「せん断する」とも称する。
「流動させる」とは、例えば、タンクからパワーミキサーへの組成物の送液、パワーミキサーから撹拌槽への組成物の送液等を行うことで、組成物を流動させることができる。
せん断する際、第1原料組成物及び第2原料組成物の流動速度は、光学材料用重合性組成物の粘度の上昇を抑制しつつ生産性を上げる観点から、3g/s以上であることが好ましく、6g/s以上であることがより好ましく、9g/s以上であることがさらに好ましい。
せん断する際、第1原料組成物及び第2原料組成物の流動速度は、光学材料用重合性組成物のU字型の脈理を抑制する観点から、45g/s以下であることが好ましく、40g/s以下であることがより好ましく、35g/s以下であることがさらに好ましい。
第1原料組成物及び第2原料組成物に対して、流動方向に交差する方向に力を加える方法としては、特に制限はない。上記方法としては、例えば、パワーミキサーを用いる方法が挙げられる。
せん断工程における回転数としては、200rpm以上であることが好ましく、400rpm以上であることがより好ましく、500rpm以上であることがさらに好ましい。
せん断工程における回転数としては、3000rpm以下であることが好ましく、2500rpm以下であることがより好ましく、2000rpm以下であることがさらに好ましい。
<光学材料用重合性組成物>
光学材料用重合性組成物は、第1原料組成物及び第2原料組成物にせん断力を加えて製造される。
光学材料用重合性組成物は、2種以上の異なる光学材料用モノマーと、重合触媒と、を含有する。
(光学材料用モノマー)
光学材料用モノマーとしては、イソシアナート化合物、2つ以上のメルカプト基を有するポリチオール化合物、1つ以上のメルカプト基と1つ以上の水酸基とを有するヒドロキシチオール化合物、2つ以上の水酸基を有するポリオール化合物、アミン化合物等を挙げることができる。
2種以上の異なる光学材料用モノマーは、イソシアナート化合物(A)と、2つ以上のメルカプト基を有するポリチオール化合物、1つ以上のメルカプト基と1つ以上の水酸基とを有するヒドロキシチオール化合物、2つ以上の水酸基を有するポリオール化合物、及び、アミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種である活性水素化合物(B)と、を含むことが好ましい。
〔イソシアナート化合物(A)〕
イソシアナート化合物(A)としては、脂肪族イソシアナート化合物、脂環族イソシアナート化合物、芳香族イソシアナート化合物、複素環イソシアナート化合物等が挙げられ、1種または2種以上混合して用いられる。これらのイソシアナート化合物は、二量体、三量体、プレポリマーを含んでもよい。これらのイソシアナート化合物としては、国際公開第2011/055540号に例示された化合物を挙げることができる。
なお、本開示において、脂環族イソシアナート化合物は、脂環式構造を含み、かつ、複素環構造を含んでもよいイソシアナート化合物を指す。芳香族イソシアナート化合物は、芳香族構造を含み、かつ、脂環式構造及び複素環構造を含んでもよいイソシアナート化合物を指す。複素環イソシアナート化合物は、複素環構造を含み、かつ、脂環式構造及び芳香族構造を含まないイソシアナート化合物を指す。
イソシアナート化合物(A)としては、脂肪族イソシアナート化合物、脂環族イソシアナート化合物、芳香族イソシアナート化合物及び複素環イソシアナート化合物から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、脂環族イソシアナート化合物及び芳香族イソシアナート化合物の少なくとも一方を含むことがより好ましい。
本開示において、光学材料における脈理を抑制し、かつ、光学部材の製造時間を短縮する観点から、イソシアナート化合物(A)は、2,5-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、m-キシリレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、及び1,5-ペンタメチレンジイソシアネートから選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、
2,5-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、m-キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、及び1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンから選択される少なくとも1種を含むことがより好ましく、
m-キシリレンジイソシアネート、2,5-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、及び2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタンから選択される少なくとも1種を含むことがさらに好ましい。
〔活性水素化合物〕
活性水素化合物としては、2つ以上のメルカプト基を有するポリチオール化合物、1つ以上のメルカプト基と1つ以上の水酸基とを有するヒドロキシチオール化合物、2つ以上の水酸基を有するポリオール化合物、アミン化合物等を挙げることができる。
活性水素化合物としては、上記活性水素化合物のオリゴマー、上記活性水素化合物のハロゲン置換体(例えば塩素置換体、臭素置換体等)を使用してもよい。
また、活性水素化合物は、単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
(2つ以上のメルカプト基を有するポリチオール化合物)
ポリチオール化合物は、2つ以上のメルカプト基を有する化合物であり、国際公開第2016/125736号に例示された化合物を挙げることができる。
本開示において、光学材料における脈理を抑制し、かつ、光学部材の製造時間を短縮する観点から、ポリチオール化合物は、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、2,5-ビス(メルカプトメチル)-1,4-ジチアン、1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、4,6-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアン、及び2-(2,2-ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)-1,3-ジチエタンから選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、
4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、及び2,5-ビス(メルカプトメチル)-1,4-ジチアンから選択される少なくとも1種を含むことがより好ましく、
4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、及び、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)から選択される少なくとも1種を含むことがさらに好ましい。
(1つ以上のメルカプト基と1つ以上の水酸基とを有するヒドロキシチオール化合物)
ヒドロキシ基を有するチオール化合物としては、例えば、2-メルカプトエタノール、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール、グルセリンビス(メルカプトアセテート)、4-メルカプトフェノール、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール、ペンタエリスリトールトリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(チオグリコレート)等を挙げることができるが、これら例示化合物のみに限定されるものではない。
(2つ以上の水酸基を有するポリオール化合物)
ポリオール化合物としては、1種以上の脂肪族または脂環族アルコールが挙げられる。具体的には、直鎖または分枝鎖の脂肪族アルコール、脂環族アルコール、これらのアルコールに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びε-カプロラクトンからなる群から選択される少なくとも1種を付加させたアルコール等が挙げられる。より具体的には国際公開第2016/125736号に例示された化合物が挙げられる。
ポリオール化合物は、好ましくは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-シクロペンタンジオール、1,3-シクロペンタンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオールから選択される少なくとも1種である。
(アミン化合物)
アミン化合物としては、エチレンジアミン、1,2-又は1,3-ジアミノプロパン、1,2-、1,3-又は1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,10-ジアミノデカン、1,2-、1,3-又は1,4-ジアミノシクロヘキサン、o-、m-又はp-ジアミノベンゼン、3,4-又は4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,4-又は4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’又は4,4’-ジアミノジフェニルスルフォン、2,7-ジアミノフルオレン、1,5-、1,8-又は2,3-ジアミノナフタレン、2,3-、2,6-又は3,4-ジアミノピリジン、2,4-又は2,6-ジアミノトルエン、m-又はp-キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、ジアミノメチルビシクロヘプタン、1,3-又は1,4-ジアミノメチルシクロヘキサン、2-又は4-アミノピペリジン、2-又は4-アミノメチルピペリジン、2-又は4-アミノエチルピペリジン、N-アミノエチルモルホリン、N-アミノプロピルモルホリン等の1級ポリアミン化合物;
ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジ-n-ブチルアミン、ジ-sec-ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ-n-ペンチルアミン、ジ-3-ペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ジ(2-エチルヘキシル)アミン、メチルヘキシルアミン、ジアリルアミン、N-メチルアリルアミン、ピペリジン、ピロリジン、ジフェニルアミン、N-メチルアミン、N-エチルアミン、ジベンジルアミン、N-メチルベンジルアミン、N-エチルベンジルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N-メチルアニリン、N-エチルアニリン、ジナフチルアミン、1-メチルピペラジン、モルホリン等の単官能2級アミン化合物;
N,N’-ジメチルエチレンジアミン、N,N’-ジメチル-1,2-ジアミノプロパン、N,N’-ジメチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N’-ジメチル-1,2-ジアミノブタン、N,N’-ジメチル-1,3-ジアミノブタン、N,N’-ジメチル-1,4-ジアミノブタン、N,N’-ジメチル-1,5-ジアミノペンタン、N,N’-ジメチル-1,6-ジアミノヘキサン、N,N’-ジメチル-1,7-ジアミノヘプタン、N,N’-ジエチルエチレンジアミン、N,N’-ジエチル-1,2-ジアミノプロパン、N,N’-ジエチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N’-ジエチル-1,2-ジアミノブタン、N,N’-ジエチル-1,3-ジアミノブタン、N,N’-ジエチル-1,4-ジアミノブタン、N,N’-ジエチル-1,5-ジアミノペンタン、N,N’-ジエチル-1,6-ジアミノヘキサン、N,N’-ジエチル-1,7-ジアミノヘプタン、ピペラジン、2-メチルピペラジン、2,5-ジメチルピペラジン、2,6-ジメチルピペラジン、ホモピペラジン、1,1-ジ-(4-ピペリジル)メタン、1,2-ジ-(4-ピペリジル)エタン、1,3-ジ-(4-ピペリジル)プロパン、1,4-ジ-(4-ピペリジル)ブタン、テトラメチルグアニジン等の2級ポリアミン化合物;等が挙げられる。
上記の中でも、活性水素化合物(B)は、2つ以上のメルカプト基を有するポリチオール化合物を含むことが好ましい。
2つ以上のメルカプト基を有するポリチオール化合物の含有量は、活性水素化合物(B)の全質量に対して、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。
また、本開示における活性水素化合物(B)としては、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン、及び、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)の合計含有量が、活性水素化合物(B)の全質量に対して、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。
組成物において、イソシアナート化合物(A)中のイソシアネート基(NCO基)に対する、活性水素化合物中の水酸基(OH基)及びメルカプト基(SH基)の総和のモル比(NCO基/(OH基+SH基))は、0.8~1.2であることが好ましく、0.85~1.15であることがより好ましく、0.9~1.1であることがさらに好ましい。
前記第1原料組成物のB型粘度計で25℃ 60rpm(revolutions per minute)の条件で測定した粘度Vaと、
前記第2原料組成物のB型粘度計で25℃ 60rpmの条件で測定した粘度Vbと、の差の絶対値V(粘度差Vともいう。)が、得られる光学材料におけるU字型の脈理を抑制する観点から、1500mPa・s以下であることが好ましく、1000mPa・s以下であることがより好ましく、500mPa・s以下であることがさらに好ましく、300mPa・s以下であることが特に好ましい。
重合時間を短縮するために粘度を高くする場合があるが、本開示では、例えば、Vが10mPa・s以上であっても光学材料の光学品質を良好に保つことができる。
上記の観点から、粘度差Vは、20mPa・s以上であってもよく、100mPa・s以上であってもよい。
Vaはせん断力を加える前の第1原料組成物の粘度であり、Vbはせん断力を加える前の第2原料組成物の粘度である。
上述の第1原料組成物のB型粘度計で25℃ 60rpmの条件で測定した粘度Vaは、10mPa・s~2000mPa・sの範囲内であることが好ましく、50mPa・s~1500mPa・sの範囲内であることがより好ましく、100mPa・s~1000mPa・sの範囲内であることがさらに好ましい。
本開示の光学部材の製造方法は、上記第1原料組成物が、ポリイソシアナート化合物、エポキシ化合物及びエピチオ化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。
また、上記第2原料組成物が、2つ以上のメルカプト基を有するポリチオール化合物、1つ以上のメルカプト基と1つ以上の水酸基とを含むヒドロキシチオール化合物、2つ以上の水酸基を含むポリオール化合物、及び、アミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種の活性水素化合物を含むことが好ましい。
<重合触媒>
重合触媒としては、特に制限はないが、例えば、塩基性触媒、有機金属系触媒、亜鉛カルバミン酸塩、アンモニウム塩、スルホン酸等を用いることができる。
上記重合触媒は、1種のみ用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
(塩基性触媒)
塩基性触媒としては、アミン系触媒、イミダゾール系触媒等が挙げられる。
具体的には、トリエチレンジアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン,トリエチルアミン、N-エチルモルホリンなどの3級アミン系触媒,2-メチルピラジン、ピリジン、α-ピコリン、β-ピコリン、γ-ピコリン、2,6-ルチジン、3,5-ルチジン、2,4,6-コリジン、3-クロルピリジン、N,N-ジエチルアニリン、N,N-ジメチルアニリン、ヘキサメチレンテトラミン、キノリン、イソキノリン、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ジメチルピペラジン、キナルジン、4-メチルモルホリン、トリアリルアミン、トリオクチルアミン、1.2-ジメチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール等が挙げられる。
上記の中でも、塩基性触媒としては、上記の中でもアミン系触媒が好ましい。
アミン系触媒としては、例えば、3,5-ルチジン,2,4,6-コリジン,トリエチレンジアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン,トリエチルアミン、N-エチルモルホリンなどの3級アミン系触媒等が挙げられる。
アミン系触媒は、3,5-ルチジン、2,4,6-コリジン、トリエチレンジアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン,トリエチルアミン及びN-エチルモルホリンから選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
塩基性触媒は、下記一般式(2)で表される化合物、及び/又は、下記一般式(3)で表される化合物を含むことも好ましい。
Figure 2023034664000002

一般式(2)中、Rは炭素数1~20の直鎖アルキル基、炭素数3~20の分岐アルキル基、炭素数3~20のシクロアルキル基、またはハロゲン原子を示し、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。Qは炭素原子または窒素原子を示す。mは0~5の整数を示す。
Figure 2023034664000003

一般式(3)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~20の直鎖アルキル基、炭素数3~20の分岐アルキル基、炭素数3~20のシクロアルキル基、又は、アリル基を示す
塩基性触媒としては、pKa値が1~9であることが好ましく、3~8であることがより好ましく、4~8であることがさらに好ましい。
pKa値(酸解離指数)は、例えば、(a)The Journal of Physical Chemistry vol.68, number6, page1560(1964)記載の方法、(b)京都電子工業株式会社製の電位差自動滴定装置(AT-610(商品名)等)を用いる方法等により測定することができ、また、(c)日本化学会編の化学便覧(改訂3版、昭和59年6月25日、丸善株式会社発行)に記載の酸解離指数等を利用することができる。
(有機金属系触媒)
有機金属系触媒としては、有機錫系触媒;鉄、ニッケル、亜鉛などの有機酸塩類;アセチルアセトナート錯体;カルボン酸金属化合物及び4級アンモニウム塩化合物からなる触媒組成物;2環式第3級アミン化合物及び4級アンモニウム塩化合物からなる触媒組成物;チタン又はアルミニウムにアルコキシ基、カルボキシ基などが配位している金属触媒;等が挙げられる。
有機金属系触媒としては、上記の中でも有機錫系触媒が好ましい。
有機錫系触媒としては、ジブチルスズジクロリド(DBC)、ジメチルスズジクロリド(DMC)、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)、ジブチルスズジアセテート等が挙げられる。
有機錫系触媒が、ジブチルスズジクロリド、ジメチルスズジクロリド、ジブチルスズジラウレート及びジブチルスズジアセテートから選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
重合触媒としては、pKa値が4~8である塩基性触媒、及び、有機金属系触媒からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
重合触媒としては、アミン系触媒及び有機錫系触媒から選択される少なくとも1種を含むことも好ましい。
重合触媒としては、3,5-ルチジン、2,4,6-コリジン、トリエチレンジアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン,トリエチルアミン、N-エチルモルホリン、ジブチルスズジクロリド、ジメチルスズジクロリド、ジブチルスズジラウレート及びジブチルスズジアセテートからなる群から選択される少なくとも1種を含むことも好ましい。
準備工程において、合計で100質量部の2種以上の異なる光学材料用モノマーと、0.010質量部~2.0質量部の重合触媒と、を準備する。
即ち、本開示の光学部材製造の製造方法は、2種以上の異なる光学材料用モノマーの合計100質量部に対して、0.010質量部~2.0質量部の重合触媒を用いる。
上述の通り、本開示における重合触媒の使用量は、従来の光学部材の製造方法と比較して、多量である。
これによって、硬化工程において光学材料用重合性組成物中の光学材料用モノマーを重合させる際、光学材料用重合性組成物の反応熱を短時間に発生させることができる。この反応熱をさらに重合に利用することにより、重合反応を良好に促進させることができ、従来よりも短い時間で脈理が抑制された高品質な光学材料を得ることができる。
2種以上の異なる光学材料用モノマー100質量部に対して、0.010質量部以上の重合触媒を用いることで、良好に重合反応を促進することができるため、短い時間で脈理が抑制された高品質な光学材料を得ることができる。また、良好に重合反応を促進することで、硬化物をモールドから取り出す際の離型性を向上させることができる。
上記の観点から、重合触媒は、2種以上の異なる光学材料用モノマー100質量部に対して、0.015質量部以上を用いることが好ましく、0.038質量部以上を用いることがより好ましく、0.10質量部以上を用いることがさらに好ましく、0.17質量部以上を用いることが特に好ましい。
上述した重合触媒の含有量の範囲は、光学材料用モノマー及び重合触媒の種類によって、適宜変更してもよい。
例えば、光学材料用モノマーが2,5(6)-ビス(イソシアナトメチル)-ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、及び4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタンを含み、重合触媒が3,5-ルチジンを含む場合、重合触媒は、2種以上の異なる光学材料用モノマー100質量部に対して、0.10質量部以上を用いることが好ましく、0.17質量部以上を用いることがより好ましい。
例えば、光学材料用モノマーが、m-キシリレンジイソシアネート、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、及び4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンを含み、重合触媒が3,5-ルチジンを含む場合、重合触媒は、2種以上の異なる光学材料用モノマー100質量部に対して、0.015質量部以上を用いることが好ましく、0.020質量部以上を用いることがより好ましい。
例えば、光学材料用モノマーが、m-キシリレンジイソシアネート及び4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタンを含み、重合触媒が3,5-ルチジンを含む場合、重合触媒は、2種以上の異なる光学材料用モノマー100質量部に対して、0.010質量部以上を用いることが好ましく、0.015質量部以上を用いることがより好ましい。
例えば、光学材料用モノマーが、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及び5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンと、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンと、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンとの混合物を含み、重合触媒が3,5-ルチジンを含む場合、重合触媒は、2種以上の異なる光学材料用モノマー100質量部に対して、1.0質量部以上を用いることが好ましく、1.5質量部以上を用いることがより好ましい。
例えば、光学材料用モノマーが、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)及び2,5-ビス(メルカプトメチル)-1,4-ジチアンを含み、重合触媒が3,5-ルチジンを含む場合、重合触媒は、2種以上の異なる光学材料用モノマー100質量部に対して、0.03質量部以上を用いることが好ましく、0.07質量部以上を用いることがより好ましい。
2種以上の異なる光学材料用モノマー100質量部に対して、2.0質量部以下の重合触媒を用いることで、例えば光学材料用重合性組成物をモールドへ注入する際のハンドリング性を向上させることができる。
上記の観点から、重合触媒は、2種以上の異なる光学材料用モノマー100質量部に対して、1.5質量部以下用いることが好ましい。
また、光学材料用モノマー及び重合触媒の種類によって、重合触媒は、2種以上の異なる光学材料用モノマー100質量部に対して、1.0質量部以下用いてもよく、0.3質量部以下用いてもよく、0.15質量部以下用いてもよい。
なお、上記重合触媒の量は、重合触媒の種類、使用するモノマー類(イソシアナート化合物、活性水素化合物、その他の成分等)の種類及び使用量、所望の成形体の形状により適宜設定することができる。
重合触媒は、下記条件1を満たすことが好ましい。
[条件1]
-Ea/Rが、-7100以上-2900以下である。
(Eaは、2種以上の異なる温度における前記2種以上の異なる光学材料用モノマーの反応速度定数からアレニウスプロットにより算出した活性化エネルギーであり、Rは、気体定数(8.314J/mol/K)である。)
重合触媒が条件1を満たすことで、重合性組成物が重合硬化する過程で、重合速度のばらつきを抑制することができ、その結果として光学歪み及び脈理の発生が抑制され、外観に優れた光学材料を得ることができる。
Eaの値は、以下の方法により算出する。
重合反応性化合物と、所定量の重合触媒と、を含む組成物1を加温し、複数の温度で保温した場合における、該重合反応性化合物の加温前の官能基由来の物性値1aおよび所定時間保温した後の残存官能基由来の物性値1bを取得する物性取得工程と、
物性値1aおよび物性値1bから、複数の前記温度における残存官能基率1を算出する残存官能基率算出工程と、
残存官能基率1から、反応速度式に基づいて複数の前記温度における反応速度定数1を算出する反応速度定数算出工程と、
複数の前記温度における反応速度定数1から、アレニウスプロットにより活性化エネルギーEa1と頻度因子A1とを算出するフィッティング工程と、
を行うことで、Eaの値を算出する。
算出したEaを用いて、重合触媒が条件1を満たすか否か判別する。
Eaの値の算出方法及び重合触媒が条件1を満たすか否か判別する方法の具体的な態様は、国際公開第2020/256057号に記載の具体的態様と同様である。
<撹拌工程>
撹拌工程は、前記光学材料用重合性組成物に撹拌力を加える工程である。
本開示において、流動方向の略平行逆方向に加える力を撹拌力とも称する。
流動方向の略平行逆方向に力を加える際、光学材料用重合性組成物の流動速度の好ましい範囲は、上述の<せん断工程>における光学材料用重合性組成物の流動速度の好ましい範囲と同様である。
光学材料用重合性組成物に対して、流動方向の略平行逆方向に力を加える方法としては、特に制限はない。上記方法としては、例えば、撹拌子を含む撹拌槽を用いる方法が挙げられる。
撹拌工程における回転数としては、50rpm以上であることが好ましく、100rpm以上であることがより好ましく、200rpm以上であることがさらに好ましい。
撹拌工程における回転数としては、1000rpm以下であることが好ましく、800rpm以下であることがより好ましく、600rpm以下であることがさらに好ましい。
本開示の光学部材の製造方法は、せん断工程及び撹拌工程を含むことで、得られる光学材料におけるU字型の脈理を抑制する観点から、均一な光学材料用重合性組成物を連続的に作製することができる。
本開示の光学部材の製造方法は、得られる光学材料におけるU字型の脈理を抑制する観点から、せん断工程と撹拌工程とを、この順に含むことが好ましい。
即ち、本開示の光学部材の製造方法は、2種以上の異なる光学材料用モノマーと、重合触媒と、を含有する光学材料用重合性組成物を用いて光学材料を製造する方法であって、 第1原料組成物及び第2原料組成物を準備する準備工程と、前記第1原料組成物及び前記第2原料組成物にせん断力を加えて前記光学材料用重合性組成物を製造するせん断工程と、前記光学材料用重合性組成物に撹拌力を加える撹拌工程と、前記撹拌工程の後、前記光学材料用重合性組成物をモールドに注型する注型工程と、前記モールド中の前記光学材料用重合性組成物中の前記2種以上の異なる光学材料用モノマーを重合させることにより前記光学材料用重合性組成物を硬化させる硬化工程と、をこの順に含むことが好ましい。
<ろ過工程>
本開示の光学部材の製造方法は、さらに光学材料用重合性組成物をろ過するろ過工程を含んでもよい。
ろ過工程は、フィルターを用いて行うことができる。
フィルターとしては、例えばカプセルフィルターを用いることができる。
フィルターのろ過精度としては、1.0μm~4.5μmであることが好ましい。
<第二撹拌工程>
本開示の光学部材製造の製造方法は、上記の工程以外に、さらに光学材料用重合性組成物を撹拌する第二撹拌工程を含んでもよい。
第二撹拌工程は、上述のせん断工程及び撹拌工程に加えて、さらに光学材料用重合性組成物を撹拌するための工程である。
第二撹拌工程を行う場合、上述の<撹拌工程>に記載の撹拌工程は第一撹拌工程ともいう。
第二撹拌工程において、光学材料用重合性組成物を撹拌する方法としては、例えば、スタティックミキサー等を用いる方法が挙げられる。
スタティックミキサーを用いる場合、スタティックミキサーの内径φは、5~8であることが好ましく、6~8であることがより好ましい。
スタティックミキサーを用いる場合、スタティックミキサーのエレメント数は、16~48が好ましく、24~48がより好ましい。
<注型工程>
注型工程は、前記第一又は第二撹拌工程の後、前記光学材料用重合性組成物をモールドに注型する工程である。
注型工程における前記光学材料用重合性組成物のB型粘度計で25℃ 60rpmの条件で測定した粘度は、10mPa・s~1000mPa・sであることが好ましい。
注型工程は、B型粘度計で25℃ 60rpmの条件で測定した前記光学材料用重合性組成物の粘度を10mPa・s~1000mPa・sに調整しモールドに注型する工程であることが好ましい。
光学材料用重合性組成物の粘度を上記範囲内に調整して注型することで、光学材料用重合性組成物の粘度を適切な範囲内として、得られる光学材料における脈理を抑制することができる。
上記の観点から、注型工程における光学材料用重合性組成物の粘度は、10mPa・s以上であることが好ましく、40mPa・s以上であることがより好ましく、70mPa・s以上であることがさらに好ましく、80mPa・s以上であることが特に好ましく、100mPa・s以上であることがより一層好ましく、120mPa・s以上であることがさらに一層好ましい。
注型工程における光学材料用重合性組成物の粘度は、光学材料を所望の形状に成形する際のハンドリング性を良好に保つ観点から、1000mPa・s以下であることが好ましく、700mPa・s以下であることがより好ましく、400mPa・s以下であることがさらに好ましい。
光学材料用重合性組成物の粘度を調整する方法としては、特に制限はない。
例えば、高粘度の化合物の添加、加熱、撹拌等の方法により光学材料用重合性組成物の粘度を調整してもよい。
注型工程は、多軸方式により光学材料用重合性組成物をモールドに注型する工程であってもよい。また、注型直前混合方式により光学材料用重合性組成物をモールドに注型する工程であってもよい。
注型工程において、注型の方法は、手動注型であってもよく、機械による自動注型であってもよい。
自動注型の方法は、窒素による圧送であってもよいが、ポンプ(ダイヤフラムポンプ、ギヤポンプなど)による送液であってもよい。
注型工程では、窒素等を用いて光学材料用重合性組成物に圧力(例えば背圧)を加えて光学材料用重合性組成物をモールドに注型することが好ましい。
これによって、より好ましく、多軸方式により光学材料用重合性組成物をモールドに注型することができる。
<硬化工程>
硬化工程は、前記モールド中の前記光学材料用重合性組成物中の前記2種以上の異なる光学材料用モノマーを重合させることにより前記光学材料用重合性組成物を硬化させる工程である。
本開示の光学部材製造の製造方法が硬化工程を含むことで、前記光学材料用重合性組成物を重合させることができ、光学材料を製造することができる。
重合の方法としては特に制限はないが、公知の方法により、加熱して重合反応を発生させる方法でもよい。
例えば、ガスケットまたはテープ等で保持された成型モールド(鋳型)内に重合性組成物を注入し、加熱しながら徐々に昇温して重合反応を促進させる方法でもよい。この際、得られる光学材料に要求される物性によっては、必要に応じて、減圧下での脱泡処理や、加圧下、減圧下等での濾過処理等を行うことが好ましい。
重合の方法としては、加熱することなく重合反応を行う方法でもよい。
即ち、本開示における硬化工程において、光学材料用重合性組成物を静置することで、光学材料用重合性組成物を重合により硬化させてもよい。
硬化工程が行われる環境は特に制限されず、モールドをモールド外部から加熱し硬化することもできるが、脈理などの光学的な品質を高めつつ、短時間で重合するという観点からは、前記光学材料用重合性組成物を閉鎖系空間内にて静置することにより、前記光学材料用重合性組成物を硬化させる工程であることが好ましい。
光学材料用重合性組成物を閉鎖系空間内にて静置することで、光学材料用重合性組成物の自己発熱によって発生した熱が、外部に放出することを防ぐことができる。これによって、閉鎖系空間内に自己発熱によって発生した熱を保持することができるため、より効率的に重合反応を促進させることができ、より短い時間で光学材料を製造することができる。
閉鎖系空間としては、例えば、断熱環境が挙げられる。
断熱環境とは、内部に熱を保持し、内部と外部との熱の伝導が抑制された環境を指す。内部と外部との熱の伝導が抑制された環境とは、光学材料用重合性組成物を閉鎖系空間内にて静置した場合に、閉鎖系空間の内部と外部との熱の伝導性が光学材料用重合性組成物を硬化させることができる程度である環境を意味する。
断熱環境は、例えば、断熱材料を用いて形成することができる。
即ち、光学材料用重合性組成物を、断熱材料からなる断熱容器内にて静置することで、断熱容器の内部に熱を保持し、内部と外部との熱の伝導を抑制することができる。
断熱材料の熱伝導率は、0.50W/mK以下であることが好ましく、0.10W/mK以下であることがより好ましく、0.05W/mK以下であることがさらに好ましい。
断熱材料の密度は、10kg/m以上であることが好ましく、15kg/m以上であることがより好ましく、20kg/m以上であることがさらに好ましい。
本開示における「断熱」又は「断熱環境」において、光学材料用重合性組成物の反応熱による重合反応を妨げたり、外部からの加熱によって光学材料用重合性組成物の重合反応を過度に促進したりしない範囲内で、断熱反応槽を恒温状態(恒温反応槽)とするための加熱を行うことが好ましい。
これによって、光学材料用モノマーの自己発熱による昇温状態等に応じて、モールドが静置された反応槽内(恒温反応槽)の環境温度を保温状態又は恒温状態とすることができるため、より良好に重合反応を促進することができる。
断熱環境としては、例えば、上述のような断熱反応槽又は恒温反応槽を用いることができる。
例えば、モノマーが注入されたモールドを断熱反応槽である真空容器内に静置する場合において、断熱反応槽(恒温反応槽)を用いた断熱環境下における断熱重合は、以下の手順で行うことができる。
真空容器の内側面をウレタンフォーム、コルク等の断熱性・保温性を有する部材で覆い、モノマーが注入されたモールドを必要に応じてウェス等の部材で包む。そして、上記真空容器内にモノマーが注入されたモールドを静置する。
前記硬化工程は、前記光学材料用重合性組成物を外部から加熱することなく静置することにより、前記光学材料用重合性組成物を硬化させる工程であってもよい。
上述の通り、本開示において、光学材料用重合性組成物に対する加熱は必ずしも必要としない。
外部から加熱するためには、装置を用いる場合もあり、経済的に負担が増大する場合がある。外部から加熱しない方法であれば、簡便な方法で光学材料を製造できるため、経済的な負担を軽減することができる。
前記硬化工程は、前記光学材料用重合性組成物を2時間~10時間静置することにより、前記光学材料用重合性組成物を硬化させる工程であることが好ましい。
前記硬化工程において、前記光学材料用重合性組成物を8時間以下静置することがより好ましい。
また、重合反応を行い良好に硬化した光学材料を得る観点から、前記光学材料用重合性組成物を、2時間以上静置することが好ましく、3時間以上静置することがより好ましい。
前記硬化工程において、必要に応じて、光学材料用重合性組成物に対してマイクロ波を所定時間照射するマイクロ波照射工程を設けてもよい。
硬化工程の一態様としては、以下の工程a及び工程bを含む態様が挙げられる。
工程a:光学材料用重合性組成物を鋳型内(モールドのキャビティ内)に注入(注型)する。
工程b:光学材料用重合性組成物を注入したモールドを所定時間、閉鎖系空間内に静置して断熱重合する。
(工程a)
まず、ガスケットまたはテープ等で保持された成型モールド(鋳型)内に重合性組成物を注入する。この際、得られる光学材料に要求される物性によっては、必要に応じて、減圧下での脱泡処理や、加圧下、減圧下等での濾過処理等を行うことが好ましい。
(工程b)
重合条件については、限定されるものではないが、光学材料用重合性組成物の組成、触媒の種類と使用量、モールドの形状等によって適宜調整することが好ましい。
光学材料用重合性組成物を注入したモールドを2時間から4時間の間、断熱環境下に静置して重合してもよい。
工程bにおいて、必要に応じて、光学材料用重合性組成物を注入したモールドを断熱環境下に一定時間静置した断熱重合プロセスの後に、加熱工程を追加してもよい。
工程bにおいて、必要に応じて、光学材料用重合性組成物を注入したモールドを断熱環境下に静置する(断熱重合する)工程と並行して、連続的又は断続的に、断熱重合プロセスにおいて光学材料用重合性組成物により発せられる自己発熱を超えない温度で光学材料用重合性組成物を注入したモールドを加熱したり、断熱反応槽内を加熱して断熱反応槽内の環境温度を保温したりしてもよい。
<アニール工程>
本開示の光学部材の製造方法は、必要に応じて、硬化した光学材料用重合性組成物をアニール処理するアニール工程を含んでもよい。
アニール処理を行う際の温度は、通常50~150℃で行われるが、90~140℃で行うことが好ましく、100~130℃で行うことがより好ましい。
<光学材料の用途>
本開示の光学部材の製造方法によって製造される光学材料は、プラスチックレンズ、プリズム、光ファイバー、情報記録基板、フィルター、発光ダイオード等に用いることができる。
上記の中でも、光学材料は、プラスチックレンズに好適に用いることができ、眼鏡用プラスチックレンズにより好適に用いることができる。
≪光学部材製造システム≫
本開示の光学部材製造システムは、2種以上の異なる光学材料用モノマーと、重合触媒と、を含有する光学材料用重合性組成物を重合する光学部材を製造するシステムであって、
環境負荷値変動トークン演算装置100と、
第1原料組成物及び第2原料組成物にせん断力を加えて前記光学材料用重合性組成物を製造するせん断部と、
前記光学材料用重合性組成物に撹拌力を加える撹拌部と、
前記光学材料用重合性組成物をモールドに注型する注型部と、
前記モールド中の前記光学材料用重合性組成物中の前記2種以上の異なる光学材料用モノマーを重合させることにより前記光学材料用重合性組成物を硬化させる硬化部と、
定量送液部と、を含む。
<せん断部>
せん断部では、第1原料組成物及び第2原料組成物にせん断力を加えて前記光学材料用重合性組成物を製造する。
せん断部において、流動方向に交差する方向に力を加える方法としては、例えば、パワーミキサーを用いる方法が挙げられる。
せん断部における光学材料用重合性組成物の流動速度、パワーミキサーの回転数等の好ましい範囲は、上述の<せん断工程>における光学材料用重合性組成物の流動速度、パワーミキサーの回転数等の好ましい範囲と同様である。
<撹拌部>
撹拌部では、光学材料用重合性組成物に撹拌力を加える。
撹拌部において、流動方向の略平行逆方向に力を加える方法としては、例えば、撹拌子を含む撹拌槽を用いる方法が挙げられる。
撹拌部における光学材料用重合性組成物の流動速度、撹拌槽の回転数等の好ましい範囲は、上述の<撹拌工程>における光学材料用重合性組成物の流動速度、撹拌槽の回転数等の好ましい範囲と同様である。
<注型部>
注型部では、光学材料用重合性組成物をモールドに注型する。
注型の具体的態様、注型部における光学材料用重合性組成物の粘度の好ましい範囲等の詳細は、上述の<注型工程>における注型の具体的態様、注型部における光学材料用重合性組成物の粘度の好ましい範囲等の詳細と同様である。
<硬化部>
硬化部では、モールド中の光学材料用重合性組成物中の2種以上の異なる光学材料用モノマーを重合させることにより光学材料用重合性組成物を硬化させる。
硬化部における具体的態様、好ましい態様等の詳細は、上述の<硬化工程>における具体的態様、好ましい態様等の詳細と同様である。
<定量送液部>
定量送液部では、第1原料組成物及び第2原料組成物をせん断部へ送液する。
定量送液部の具体例としては、ギヤポンプ、ダイヤフラムポンプ等のポンプが挙げられる。
定量送液部では、第1原料組成物及び第2原料組成物をせん断部へ送液する速度を適宜調整してもよい。
<製造条件制御装置>
本開示の光学部材製造システムは、さらに、環境負荷値変動トークン演算装置100で決定された製造条件となるように、光学部材製造における製造条件を制御する製造条件制御装置を備えることが好ましい。
例えば、製造条件制御装置は、環境負荷値変動トークン演算装置100で決定された製造条件に含まれる、撹拌部における前記光学材料用重合性組成物の粘度となるように制御する。
撹拌部における光学材料用重合性組成物の粘度を制御することで、より良好にU字型脈理を抑制することができる。また、長時間にわたって、より良好にU字型脈理を抑制することができる。これにより、収率情報が変わるため、当該光学部材製造における環境負荷値を削減することができる。
また、製造条件制御装置は、環境負荷値変動トークン演算装置100で決定された製造条件に含まれる、撹拌部における温度となるように制御する。
撹拌部における温度を制御することで、より良好にU字型脈理を抑制することができる。また、長時間にわたって、より良好にU字型脈理を抑制することができる。これにより、収率情報が変わるため、当該光学部材製造における環境負荷値を削減することができる。
製造条件制御装置において、粘度及び温度以外の制御を行ってもよい。
例えば、撹拌部の光学材料用重合性組成物の液面を制御してもよい。即ち、光学材料用重合性組成物の液面が下がった場合、定量送液部(例えばポンプ)によって光学材料用重合性組成物を送液することで液面を上昇させる。
<光学部材製造システムの動作>
以下に、図2を用いて、環境負荷値変動トークン演算装置100による処理ルーチンの一例を説明する。
まず、ステップS100において、第1取得部102は、2種以上の異なる光学材料用重合性化合物と、重合触媒と、を含む組成物を重合する上述した光学部材製造において、重合部に投入するエネルギー量を示す第1エネルギー量情報を取得する。
ステップS102において、第2取得部104は、当該光学部材製造において、重合部を配置する空間の温度を維持するのに投入されるエネルギー量を示す第2エネルギー量情報を取得する。
ステップS104において、第3取得部106は、当該光学部材製造で製造された光学部材の収率情報を取得する。
ステップS106において、演算部108は、第1エネルギー量情報、第2エネルギー量情報、及び収率情報から当該光学部材製造での環境負荷値Aを演算する。
ステップS108において、演算部108は、当該光学部材製造とは異なる、所与の重合による光学部材製造条件で発生する環境負荷値Bを演算する。
ステップS110において、演算部108は、ユーザから入力された、所与の重合部数と当該光学部材製造で用いる重合部数との差分、予め定められた、1つの重合部製造に要する環境負荷値、及び予め定められた、1つの重合部保管に要する環境負荷値から、環境負荷値の第1追加変動量を演算する。
例えば、演算部108は、1つの重合部製造に要する環境負荷値、及び1つの重合部保管に要する環境負荷値の和に、所与の重合部数と当該光学部材製造で用いる重合部数との差分を掛け合わせることにより、環境負荷値の第1追加変動量を演算する。
また、演算部108は、ユーザから入力された、所与の重合部への温度調整装置数と、当該光学部材製造で用いる重合部への温度調整装置数との差分、予め定められた、1つの温度調整装置製造に要する環境負荷値、及び予め定められた、1つの温度調整装置の排熱による環境負荷値から、環境負荷値の第2追加変動量を演算する。
例えば、演算部108は、1つの温度調整装置製造に要する環境負荷値、及び1つの温度調整装置の排熱による環境負荷値の和に、所与の重合部数と当該光学部材製造で用いる重合部数との差分を掛け合わせることにより、環境負荷値の第2追加変動量を演算する。
また、演算部108は、予め定められた、所与の光学部材の加工に要する環境負荷値と、ユーザから入力された、当該光学部材製造により製造された光学部材の加工に要する環境負荷値との差分から、環境負荷値の第3追加変動量を演算する。
演算部108は、演算された環境負荷値A及び環境負荷値Bから、環境負荷値の変動量を演算し、この環境負荷値の変動量に、第1追加変動量~第3追加変動量を加えることで、所与の重合による光学部材製造条件と比較した、当該光学部材製造での環境負荷値の変動量を演算する。
ステップS112において、演算部108は、演算された環境負荷値の変動量に、予め定められた値を乗算して、変動トークンを演算する。
ステップS114において、製造条件決定部110は、演算された変動トークンが所与の値以上であるか否かを判定する。変動トークンが所与の値以上である場合には、当該処理ルーチンを終了する。一方、変動トークンが所与の値未満である場合には、ステップS116へ移行する。
ステップS116において、製造条件決定部110は、変動トークンを増加させるように、すなわち、環境負荷値を削減するように、当該光学部材製造における製造条件を変更する。
そして、製造条件制御装置は、環境負荷値変動トークン演算装置100で決定された製造条件となるように、光学部材製造における製造条件を制御する。
例えば、製造条件制御装置は、決定された製造条件に含まれる、撹拌部における前記光学材料用重合性組成物の粘度となるように制御し、また、決定された製造条件に含まれる、撹拌部における温度となるように制御する。
また、本開示の光学部材製造システムは、まず、第1原料組成物及び第2原料組成物を準備する状態から始まり、準備した第1原料組成物及び第2原料組成物をせん断部に送液する。なお、第1原料組成物及び第2原料組成物は、全体として2種以上の異なる光学材料用モノマーと、重合触媒と、を含有する。
送液された第1原料組成物及び第2原料組成物を流動させながら、第1原料組成物及び第2原料組成物に対して、流動方向に交差する方向に力を加える。
撹拌部では、光学材料用重合性組成物を流動させながら、光学材料用重合性組成物に対して、流動方向の略平行逆方向に力を加えて撹拌するか、又は、流動を一時的に停止して光学材料用重合性組成物を撹拌する。
そして、注型部において、光学材料用重合性組成物をモールドに注型する。注型が完了した場合に、光学材料用重合性組成物を硬化部に送液する。
硬化部において、モールド中の光学材料用重合性組成物中の2種以上の異なる光学材料用モノマーを重合させることにより光学材料用重合性組成物を硬化させる。
図3は、光学部材製造システムの一例を説明するための概略図である。
図3において、光学材料用重合性組成物を製造するための第1原料組成物及び第2原料組成物を準備する。第1原料組成物及び第2原料組成物は、撹拌されることで、2種以上の異なる光学材料用モノマーと、重合触媒と、を含有する光学材料用重合性組成物となる。そのため、第1原料組成物及び第2原料組成物は、撹拌された場合に、光学材料用重合性組成物となればよく、第1原料組成物及び第2原料組成物の全体として、2種以上の異なる光学材料用モノマーと、重合触媒と、を含んでいればよい。
また、第1原料組成物及び第2原料組成物は、2種以上の異なる光学材料用モノマーを一部重合させたプレポリマーを含んでいてもよい。
上記で準備した第1原料組成物をA液タンク1に、第2原料組成物をB液タンク2にそれぞれ入れる。そして、チラー3により液温を調節しながら、窒素背圧等を用いて、第1原料組成物をA液タンク1からA液計量部4(例えばギヤポンプ)に、第2原料組成物をB液タンク2からB液計量部6(例えばギヤポンプ)に、それぞれ送液する。この際、A液計量部4及びB液計量部6の送液の速度は、同じであっても異なっていてもよい。
その後、第1原料組成物はA液用流量センサヘッド5を経由してA液計量部4から、第2原料組成物はB液用流量センサヘッド7を経由してB液計量部6から、それぞれせん断部である上位パワーミキサー8に送液される。
この段階で、第1原料組成物及び第2原料組成物は、上位パワーミキサー8により流動方向に交差する方向に力を加えることでせん断されて光学材料用重合性組成物が得られる。
光学材料用重合性組成物は、上位パワーミキサー8によりせん断された後、カプセルフィルター10によりろ過されて、さらにせん断部である下位パワーミキサー9に送液される。下位パワーミキサー9で、光学材料用重合性組成物は、せん断される。
光学材料用重合性組成物は、下位パワーミキサー9によりせん断された後、カプセルフィルター10によりろ過されて、撹拌部である撹拌槽11に送液される。撹拌槽11はスターラー12を含む。
撹拌槽11では、光学材料用重合性組成物は、流動方向の略平行逆方向に力を加えることで撹拌される。
その後、光学材料用重合性組成物は、さらにスタティックミキサー13でさらに混合又は撹拌された後、注型部により硬化部であるモールド14に注型される。
そして、モールド14にて、光学材料用重合性組成物中の2種以上の異なる光学材料用モノマーを重合させることにより光学材料用重合性組成物を硬化させる。
図3における制御盤15は、製造条件制御装置の一例である。
制御盤15において、光学部材製造システムでの製造条件を制御することができる。
また、制御盤15は、フットスイッチ16をONにすることで、光学材料用重合性組成物の少なくとも一部を入れ替えるために、撹拌部中の光学材料用重合性組成物の少なくとも一部を注型部から排出することができる。
図4は、環境負荷値変動トークン演算装置100及び製造条件制御装置を実現するコンピュータの構成例を示す図である。
環境負荷値変動トークン演算装置100及び製造条件制御装置は、例えば、図4に示すようなコンピュータ60によって実現することができる。環境負荷値変動トークン演算装置100及び製造条件制御装置を実現するコンピュータ60は、Central Processing Unit(CPU)61、一時記憶領域としてのメモリ62、及び不揮発性の記憶部63を備える。また、コンピュータは、入出力装置等(図示省略)が接続される入出力interface(I/F)64、及び記録媒体68に対するデータの読み込み及び書き込みを制御するread/write(R/W)部65を備える。また、コンピュータは、インターネット等のネットワークに接続されるネットワークI/F66を備える。CPU61、メモリ62、記憶部63、入出力I/F64、R/W部65、及びネットワークI/F66は、バス67を介して互いに接続される。記憶部63は、Hard Disk Drive(HDD)、Solid State Drive(SSD)、フラッシュメモリ等によって実現できる。記憶媒体としての記憶部63には、コンピュータを機能させるためのプログラムが記憶されている。CPU61は、プログラムを記憶部63から読み出してメモリ62に展開し、プログラムが有するプロセスを順次実行する。これにより、上記図2の処理ルーチンを含む各種の処理ルーチンが実現される。
以上説明したように、第1実施形態に係る光学部材製造システムの環境負荷値変動トークン演算装置は、2種以上の異なる光学材料用重合性化合物と、重合触媒と、を含む組成物を重合する光学部材製造における重合部に投入するエネルギー量、重合部を配置する空間の温度を維持するのに投入されるエネルギー量、及び光学部材の収率情報から演算された環境負荷値Aと、所与の重合による光学部材製造条件で発生する環境負荷値Bとから、環境負荷値の変動量に応じた変動トークンを演算する。これにより、光学材料用重合性化合物と重合触媒とを含む組成物を重合する光学部材製造における環境負荷値の変動に応じたトークンを演算することができる。
また、環境負荷値変動トークン演算装置は、演算された変動トークンに基づいて、変動トークンが所与の値以上になるように光学部材製造における製造条件を決定し、製造条件制御装置が、決定された製造条件となるように、光学部材製造における製造条件を制御する。これにより、変動トークンが所与の値以上になるように光学部材製造における製造条件を制御することができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る光学部材製造システムについて説明する。なお、第1実施形態と同様の構成となる部分については、第1実施形態と同様の符号を付して説明を省略する。
<本実施形態に係る環境負荷値変動トークン演算装置の構成>
図5は、本実施形態の環境負荷値変動トークン演算装置200の機能構成の例を示すブロック図である。
環境負荷値変動トークン演算装置200は、機能的には、図5に示すように、第1取得部102、第2取得部104、第3取得部106、演算部108、及び追加付与部210を備えている。
追加付与部210は、演算部108で演算された環境負荷値変動トークンが所与のトークン値を超えた場合、演算部108で演算された環境負荷値変動トークンに、追加トークンを付与する。
<光学部材製造システムの動作>
以下に、図6を用いて、環境負荷値変動トークン演算装置200による処理ルーチンの一例を説明する。なお、第1実施形態と同様の処理については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
まず、ステップS100において、第1取得部102は、第1実施形態で説明した光学部材製造において、重合部に投入するエネルギー量を示す第1エネルギー量情報を取得する。
ステップS102において、第2取得部104は、当該光学部材製造において、重合部を配置する空間の温度を維持するのに投入されるエネルギー量を示す第2エネルギー量情報を取得する。
ステップS104において、第3取得部106は、当該光学部材製造で製造された光学部材の収率情報を取得する。
ステップS106において、演算部108は、第1エネルギー量情報、第2エネルギー量情報、及び収率情報から当該光学部材製造での環境負荷値Aを演算する。
ステップS108において、演算部108は、当該光学部材製造とは異なる、所与の重合による光学部材製造条件で発生する環境負荷値Bを演算する。
ステップS110において、演算部108は、環境負荷値の第1追加変動量、第2追加変動量、及び第3追加変動量を演算する。そして、演算部108は、演算された環境負荷値A及び環境負荷値Bから、環境負荷値の変動量を演算し、この環境負荷値の変動量に、第1追加変動量~第3追加変動量を加えることで、所与の重合による光学部材製造条件と比較した、当該光学部材製造での環境負荷値の変動量を演算する。
ステップS112において、演算部108は、演算された環境負荷値の変動量に、予め定められた値を乗算して、変動トークンを演算する。
ステップS200において、追加付与部210は、上記ステップS112で演算された変動トークンが所与の値より大きいか否かを判定する。上記ステップS112で演算された変動トークンが所与の値以下である場合には、当該処理ルーチンを終了する。一方、上記ステップS112で演算された変動トークンが所与の値より大きい場合には、ステップS202へ移行する。
ステップS202において、追加付与部210は、上記ステップS112で演算された変動トークンに対して、追加トークンを付与し、当該処理ルーチンを終了する。
以上説明したように、第2実施形態に係る光学部材製造システムの環境負荷値変動トークン演算装置は、2種以上の異なる光学材料用重合性化合物と、重合触媒と、を含む組成物を重合する光学部材製造における重合部に投入するエネルギー量、重合部を配置する空間の温度を維持するのに投入されるエネルギー量、及び光学部材の収率情報から演算された環境負荷値Aと、所与の重合による光学部材製造条件で発生する環境負荷値Bとから、環境負荷値の変動量に応じた変動トークンを演算し、変動トークンが所与の値を超える場合には、追加トークンを付与する。これにより、変動トークンが所与の値を超える場合に追加トークンが付与される場合であっても対応することができる。
15・・・制御盤
60・・・コンピュータ
61・・・CPU
62・・・メモリ
63・・・記憶部
64・・・入出力I/F
65・・・R/W部
66・・・ネットワークI/F
67・・・バス
68・・・記録媒体
100・・・環境負荷値変動トークン演算装置
102・・・第1取得部
104・・・第2取得部
106・・・第3取得部
108・・・演算部
110・・・製造条件決定部
200・・・環境負荷値変動トークン演算装置
210・・・追加付与部

Claims (13)

  1. 2種以上の異なる光学材料用重合性化合物と、重合触媒と、を含む組成物を重合する光学部材製造における環境負荷値変動トークンを演算する環境負荷値変動トークン演算装置であって、
    前記光学部材製造における重合部に投入するエネルギー量を示す第1エネルギー量情報を取得する第1取得部と、
    前記光学部材製造における前記重合部を配置する空間の温度を維持するのに投入されるエネルギー量を示す第2エネルギー量情報を取得する第2取得部と、
    前記光学部材製造で製造された光学部材の収率情報を取得する第3取得部と、
    前記第1エネルギー量情報、前記第2エネルギー量情報、及び前記収率情報から演算された環境負荷値Aと、前記光学部材製造とは異なる、所与の重合による光学部材製造条件で発生する環境負荷値Bとから、環境負荷値の変動量に応じた変動トークンを演算する演算部と、
    を備える、環境負荷値変動トークン演算装置。
  2. 前記演算部は、
    (1)所与の重合部数と前記光学部材製造で用いる重合部数との差分、1つの重合部製造に要する環境負荷値、及び1つの重合部保管に要する環境負荷値から演算される環境負荷値の変動量、
    (2)所与の重合部への温度調整装置数と、前記光学部材製造で用いる重合部への温度調整装置数との差分、1つの温度調整装置製造に要する環境負荷値、及び1つの温度調整装置の排熱による環境負荷値から演算される環境負荷値の変動量、並びに
    (3)所与の光学部材の加工に要する環境負荷値と、前記光学部材製造により製造された光学部材の加工に要する環境負荷値と、から演算される環境負荷値の変動量
    の少なくとも一つと、
    前記環境負荷値Aと、
    前記環境負荷値Bと、から、前記変動トークンを演算する請求項1記載の環境負荷値変動トークン演算装置。
  3. 前記演算部は、
    前記第1エネルギー量情報、前記第2エネルギー量情報、前記収率情報、及び前記光学部材製造における前記重合部で製造された光学部材を加工する際に発生する切削紛量から前記環境負荷値Aを演算する請求項1又は2記載の環境負荷値変動トークン演算装置。
  4. 前記第1エネルギー量情報及び前記第2エネルギー量情報は、光学部材1個あたりのエネルギー量を示す請求項1~請求項3の何れか1項記載の環境負荷値変動トークン演算装置。
  5. 前記演算部で演算された前記環境負荷値変動トークンが所与のトークン値を超えた場合、追加トークンを付与する追加付与部を更に備える、請求項1~請求項4の何れか1項に記載の環境負荷値変動トークン演算装置。
  6. 前記組成物の粘度が、B型粘度計で25℃ 60rpmの条件で測定した粘度が10mPa・s~1000mPa・sの範囲内である、請求項1~請求項5の何れか1項に記載の環境負荷値変動トークン演算装置。
  7. 前記組成物が、前記2種以上の異なる光学材料用重合性化合物の内の少なくとも2種の光学材料用重合性化合物を重合させて得られるプレポリマーを含み、
    前記重合触媒の含有量が、前記2種以上の異なる光学材料用重合性化合物及び前記プレポリマーの合計100質量部に対して、0.010質量部~2.0質量部である光学材料用重合性組成物である、請求項1~請求項6の何れか1項に記載の環境負荷値変動トークン演算装置。
  8. 一方の光学材料用重合性化合物が、ポリイソシアナート化合物、エピスルフィド化合物、及び、エポキシ化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む、請求項1~請求項7の何れか1項に記載の環境負荷値変動トークン演算装置。
  9. 他方の光学材料用重合性化合物が、2つ以上のメルカプト基を有するポリチオール化合物、1つ以上のメルカプト基と1つ以上の水酸基とを含むヒドロキシチオール化合物、2つ以上の水酸基を含むポリオール化合物、及び、アミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種の活性水素化合物を含む、請求項1~請求項8の何れか1項に記載の環境負荷値変動トークン演算装置。
  10. 前記重合触媒は、pKa値が4~8である塩基性触媒、及び、有機金属系触媒からなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項1~請求項9の何れか1項に記載の環境負荷値変動トークン演算装置。
  11. 前記演算された変動トークンに基づいて、前記変動トークンが所与の値以上になるように前記光学部材製造における製造条件を決定する製造条件決定部を更に含む請求項1~請求項10の何れか1項に記載の環境負荷値変動トークン演算装置。
  12. 請求項11記載の環境負荷値変動トークン演算装置と、
    前記決定された製造条件となるように、前記光学部材製造における製造条件を制御する製造条件制御装置と、
    を含む光学部材製造システム。
  13. 2種以上の異なる光学材料用重合性化合物と、重合触媒と、を含む組成物を重合する光学部材製造における環境負荷値変動トークンを演算する環境負荷値変動トークン演算装置における環境負荷値変動トークン演算方法であって、
    第1取得部が、前記光学部材製造における重合部に投入するエネルギー量を示す第1エネルギー量情報を取得し、
    第2取得部が、前記光学部材製造における前記重合部を配置する空間の温度を維持するのに投入されるエネルギー量を示す第2エネルギー量情報を取得し、
    第3取得部が、前記光学部材製造で製造された光学部材の収率情報を取得し、
    演算部が、前記第1エネルギー量情報、前記第2エネルギー量情報、及び前記収率情報から演算された環境負荷値Aと、前記光学部材製造とは異なる、所与の重合による光学部材製造条件で発生する環境負荷値Bとから、環境負荷値の変動量に応じた変動トークンを演算する
    環境負荷値変動トークン演算方法。
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