JP2023034088A - 含フッ素環状スルホニルイミド塩 - Google Patents

含フッ素環状スルホニルイミド塩 Download PDF

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Abstract

【課題】粉体としての取り扱い性の良好な含フッ素環状スルホニルイミド塩の提供。【解決手段】下記一般式(1):TIFF2023034088000012.tif3345{式中、Rは、それぞれ、同一であっても異なっていてもよく、フッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、nは、1~4の整数であり、そしてMは、Li、Na又はKである。}で表される含フッ素環状スルホニルイミド塩であって、水分率が500質量ppm以下であることを特徴とする、含フッ素環状スルホニルイミド塩。【選択図】なし

Description

本発明は、帯電防止剤、有機電解質等のイオン電導材料や難燃剤として有用な含フッ素環状スルホニルイミド塩に関する。
N、N-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドや、ビス(フルオロスルホニル)イミド等の含フッ素スルホニルイミド塩、及びその誘導体は、イオン電導材料や難燃剤として有用な化合物であることが知られている(例えば、以下の非特許文献1参照)。
ところで、含フッ素スルホニルイミド塩を製造する方法としては、FSO2CF2COOHの電解カップリング反応により合成したFO2SCF2CF2SO2Fとアンモニアを反応させ、含フッ素環状スルホニルイミドのアンモニウム塩を得た(環化反応の)後、アルカリ金属の水酸化物や炭酸塩と反応させて(カチオン交換反応)を経る方法が知られている(以下の特許文献1参照)。
国際公開第2006/106960号
旭硝子研究報告 60巻(2010年)13-21頁
特許文献1には、電解カップリング反応により合成したFO2SCF2CF2SO2Fを含む反応粗生成物は、蒸留等による後処理により精製してもよいと記載されているが、最終生成物である含フッ素スルホニルイミド塩中の水分率を低下させるための具体的な、後処理については記載されていないし、示唆もされていない。
特許文献1に従い下記一般式(1):
Figure 2023034088000001
{式中、Rは、それぞれ、同一であっても異なっていてもよく、フッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、nは、1~4の整数であり、そしてMは、Li、Na又はKである。}で表される含フッ素環状スルホニルイミド塩(以下、本書中、該化合物群の内の1の化合物を含めて化合物(1)ともいう。)を製造した場合、製造工程にて使用した、あるいは環境中から吸湿された水が混入し、結果として化合物(1)の粉体としての流動性が低下し、取り扱い性が悪化する。
上記事情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、粉体としての取り扱い性が良好な含フッ素環状スルホニルイミド塩を提供することである。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、水分率が低減された含フッ素環状スルホンイミドのアルカリ金属塩が、流動性が向上することで粉体としての取り扱い性が良化することを予想外に見出し、本発明を完成するに至ったものである。
即ち、本発明は以下のとおりのものである。
[1]下記一般式(1):
Figure 2023034088000002
{式中、Rは、それぞれ、同一であっても異なっていてもよく、フッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、nは、1~4の整数であり、そしてMは、Li、Na又はKである。}で表される含フッ素環状スルホニルイミド塩であって、水分率が500質量ppm以下であることを特徴とする、含フッ素環状スルホニルイミド塩。
[2]前記一般式(1)中、nが1~3の整数である、前記[1]に記載の含フッ素環状スルホニルイミド塩。
[3]前記一般式(1)中、nが2である、前記[2]に記載の含フッ素環状スルホニルイミド塩。
[4]前記一般式(1)中、Rがフッ素原子である、前記[1]~[3]のいずれかに記載の含フッ素環状スルホニルイミド塩。
[5]前記一般式(1)中、MはLiである、前記[1]~[4]のいずれかに記載の含フッ素環状スルホニルイミド塩。
[6]以下の構造式:
Figure 2023034088000003
で表される、前記[1]~[5]のいずれかに記載の含フッ素環状スルホニルイミド塩。
本発明に係る含フッ素環状スルホニルイミド塩は、粉体としての流動性が高く取り扱い性が良好であることで製造工程や使用時に特別な機器を用いることなくフィードすることができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明の1の実施形態は、下記一般式(1):
Figure 2023034088000004
{式中、Rは、それぞれ、同一であっても異なっていてもよく、フッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、nは、1~4の整数であり、そしてMは、Li、Na又はKである。}で表される含フッ素環状スルホニルイミド塩であって、水分率が500質量ppm以下であることを特徴とする。
以下、化合物(1)について詳細に説明する。
<含フッ素環状スルホニルイミド塩(化合物(1))>
一般式(1)中、nは、入手又は製造が容易であり、経済性に優れる観点から1~4の整数であり、同様の観点から、1~3の整数であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、2であることが最も好ましい。
Rはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、入手又は製造が容易であり、経済性に優れる観点から、フッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、フッ素原子が最も好ましい。
Mは、入手又は製造が容易であり、経済性に優れる観点から、Li、Na又はK(すなわち、アルカリ金属イオン)であり、Li又はNaが好ましく、Liが最も好ましい。
化合物(1)は単独であっても、複数種組み合わせて用いてもよい。
化合物(1)の具体例としては、以下の構造式:
Figure 2023034088000005
で表される化合物が挙げられ、好ましい。
含フッ素環状スルホニルイミド塩は、水分率が500質量ppm以下であることが好ましい。水分率が上記範囲内にあると、含フッ素環状スルホニルイミド塩の粉体としての取り扱い性が良好になる傾向にある。同様の観点から、含フッ素環状スルホニルイミド塩の全量に対して、水分率は400質量ppm以下であることがより好ましく、300質量ppm以下であることが最も好ましい。水分率の下限値は特に限定されないが、含フッ素環状スルホニルイミド塩の全量に対して、0質量ppm以上であってもよく、10質量ppm以上であってもよく、50質量ppm以上であってもよく、100質量ppm以上であってもよい。
含フッ素環状スルホニルイミド塩の水分率の測定方法は、カール・フィッシャー法による測定を行う。より詳細には、実施例に記載の方法により測定する。
含フッ素環状スルホニルイミド塩の純度は、好ましくは98質量%以上であり、より好ましくは99質量%以上である。
<含フッ素環状スルホニルイミド塩(化合物(1))の製造方法>
前記したように、化合物(1)を製造する方法として、後述の晶析工程を除き、従来公知の方法、例えば、特許文献1に記載の方法を採用することができる。以下に、Rがフッ素原子であり、mが1である場合を例にとり、化合物(1)の反応スキームを示す。かかる方法は、以下の反応スキームに示すように、下記一般式(2):
HO2C-(CR2m-SO2F (2)
{式中、Rは、それぞれ、同一であっても異なっていてもよく、フッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、mは、1又は2である。}で表されるフルオロスルホニル基含有カルボン酸化合物(以下、該化合物群の内の1の化合物を含めて化合物(2)ともいう。)から出発して、電解カップリング反応工程により化合物(3)を得て、次いで、環化工程により化合物(4)(以下、化合物群の内の1の化合物を含めて化合物(4)ともいう。)を得て、最後にカチオン交換工程を経て、化合物(1)を製造する方法である。
Figure 2023034088000006
しかしながら、従来技術の方法によっては、水分率が低減され、所望の粉体としての取り扱い性を有する含フッ素環状スルホニルイミド塩は得られないことから、以下に詳細に説明する方法により製造することが推奨される。
また、本実施形態の含フッ素環状スルホニルイミド塩は水分率が低減されたものであることから、水を積極的に添加しない製造工程の雰囲気はいずれも乾燥雰囲気とし、用いる原料や溶媒は脱水されたものであることが望ましい。溶媒の脱水方法としては、例えば、共沸留去やモレキュラーシーブスの添加による脱水などを行なうことができる。
<電解カップリング反応工程>
化合物(2)を電解カップリング反応させることにより、ビス(フルオロスルホニル)化合物(化合物(3))を製造することができる。化合物(2)は市販のものを使用しても、公知の方法、例えば、テトラフルオロエチレンにSO3を付加して、サルトンを得、NEt3の存在下でサルトン開環物を得、これを加水分解して、サルトン加水分解物として化合物(2)を得る方法を使用してもよい。
電解カップリング反応工程の反応温度は、一般的に用いられる範囲であれば特に限定されないが、-50℃~70℃であることが好ましい。反応温度が-50℃以上であると、電気抵抗が低下し発熱が抑制できるため、温度制御が容易となるので好ましい。反応温度が70℃以下であると、化合物(2)、及び化合物(3)の分解が抑制でき、化合物(3)の収率がより高まる傾向にあるので好ましい。同様の観点から、反応温度は-40℃~50℃であることがより好ましく、-30℃~40℃であることが最も好ましい。
電解カップリング反応工程においては、溶媒を用いてもよい。
上記溶媒としては、一般的に使用されるものであれば特に限定されないが、具体例としては、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、及び1,2-ジクロロベンゼン等の芳香族系溶媒、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、4-メチルテトラヒドロピラン、シクロペンチルメチルエーテル、及びアニソール等のエーテル基含有溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、及びベンゾニトリル等のニトリル基含有溶媒、水、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、及び2-ブタノール等の水酸基含有溶媒、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピレンカーボネート等の炭酸エステル基含有溶媒等が挙げられる。中でも、化合物(3)の収率が高まる傾向にあることから、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、及びベンゾニトリル等のニトリル溶媒、水、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、及び2-ブタノール等の水酸基含有溶媒、及びジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピレンカーボネート等の炭酸エステル基含有溶媒が好ましい。
これらの溶媒は単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせてもよく、化合物(3)の収率がより高まる傾向にあることから、水とニトリル溶媒との混合溶媒、又は水と炭酸エステル基含有溶媒との混合溶媒が好ましく、水とニトリル溶媒との混合溶媒がより好ましく、水とアセトニトリルとの混合溶媒が最も好ましい。溶媒中のアセトニトリルの量は、0.5~90質量%が好ましい。
化合物(2)の質量(α)と、上記溶媒の質量(β)との比率(β/α)は、一般的に用いられる範囲であれば特に限定されないが、0.01~100であることが好ましい。β/αが上記範囲内であると、化合物(3)の収率がより高まる傾向にある。同様の観点から、β/αは0.05~50であることがより好ましく、0.1~10であることがさらに好ましい。
電解カップリング反応工程において、化合物(2)の電解カップリング反応後、化合物(2)、化合物(3)、及び溶媒を含む反応生成物から、各々を分離する方法としては、一般的に用いられる分離除去方法であれば特に限定されず用いることができる。例えば、蒸留による揮発成分の分離除去、分液操作による液体成分の分離、濾過による不溶固体の分離除去等が挙げられる。
これらの方法は、単独で用いてもよいし、複数種の方法を組み合わせて用いてもよい。
電解カップリング反応工程に用いる電極は、一般的に用いられる電極であれば特に限定されないが、溶媒の分解を抑制する観点から、白金電極であることが好ましい。
電解カップリング反応工程の反応時間は、通常用いられる範囲であれば特に限定されないが、0.5~100時間が好ましく、1~50時間がより好ましい。
電解カップリング反応工程の圧力は、反応を行う温度によるが、通常用いられる範囲であれば特に限定されないが、10kPa~5000kPaが好ましい。
反応雰囲気は、通常用いられる雰囲気であれば特に限定されないが、通常は大気雰囲気、窒素雰囲気、及びアルゴン雰囲気等が用いられる。これらの中でも、より安全に化合物(3)を製造できる傾向にあることから、窒素雰囲気、及びアルゴン雰囲気が好ましい。また、より経済性に優れる製造方法となる傾向にあることから、窒素雰囲気がさらに好ましい。
反応雰囲気は、単独で用いてもよいし、複数種の反応雰囲気を組み合わせて用いてもよい。
<環化工程>
化合物(3)と、アンモニアを反応させることにより、含フッ素環状スルホニルイミドアンモニウム塩(化合物(4))を製造することができる。
化合物(3)の物質量(γ)と、アンモニアの物質量(δ)とのモル比率(δ/γ)は、一般的に用いられる範囲であれば特に限定されないが、2~50であることが好ましい。δ/γが2以上であると、化合物(4)の収率がより高まる傾向にあるため好ましい。δ/γが50以下であると、廃棄物が低減でき、経済性により優れる製法となる傾向にあるため好ましい。同様の観点から、δ/γは5~40であることがより好ましく、10~30であることが最も好ましい。
環化工程においては、溶媒を使用してもよい。
上記溶媒としては、反応時に不活性であり、一般的に使用されるものであれば特に限定されないが、具体例としては、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、及び1,2-ジクロロベンゼン等の芳香族系溶媒、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、4-メチルテトラヒドロピラン、シクロペンチルメチルエーテル、及びアニソール等のエーテル基含有溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、及びベンゾニトリル等のニトリル基含有溶媒、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、及び2-ブタノール等の水酸基含有溶媒等が挙げられる。中でも、化合物(4)の収率が高まる傾向にあることから、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、4-メチルテトラヒドロピラン、シクロペンチルメチルエーテル、及びアニソール等のエーテル基含有溶媒がより好ましい。同様の観点から、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、及び4-メチルテトラヒドロピランがより好ましく、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、及び4-メチルテトラヒドロピランがさらに好ましい。
これらの有機溶媒は単独で用いてもよいし、複数種の溶媒を組み合わせて用いてもよい。
化合物(3)の質量(ε)と、溶媒の質量(ζ)との比率(ζ/ε)は、一般的に用いられる範囲であれば特に限定されないが、0.01~100であることが好ましい。ζ/εが上記範囲内であると、化合物(4)の収率がより高まる傾向にある。同様の観点から、ζ/εは0.05~50であることがより好ましく、0.1~10であることがさらに好ましい。
環化工程の反応温度は、一般的に用いられる範囲であれば特に限定されないが、-90℃~20℃であることが好ましい。反応温度が-90℃以上であると、化合物(3)の反応性が高まり、化合物(4)の収率がより高まる傾向にあるので好ましい。反応温度が20℃以下であると、副生物が抑制でき、化合物(4)の収率がより高まる傾向にあるので好ましい。同様の観点から、反応温度は-80℃~10℃であることがより好ましく、-80℃~0℃であることが最も好ましい。
環化工程の反応時間は、通常用いられる範囲であれば特に限定されないが、1~100時間が好ましく、5~50時間がより好ましい。
環化工程の圧力は、反応を行う温度によるが、通常用いられる範囲であれば特に限定されないが、10kPa~5000kPaが好ましい。
反応雰囲気は、通常用いられる雰囲気であれば特に限定されないが、通常は大気雰囲気、窒素雰囲気、及びアルゴン雰囲気等が用いられる。これらの中でも、より安全に化合物(4)を製造できる傾向にあることから、窒素雰囲気、及びアルゴン雰囲気が好ましい。また、より経済性に優れる製造方法となる傾向にあることから、窒素雰囲気がさらに好ましい。
反応雰囲気は、単独で用いてもよいし、複数種の反応雰囲気を組み合わせて用いてもよい。
環化工程において、化合物(3)とアンモニアとの反応後、化合物(4)、及び溶媒とを含む反応生成物から、各々を分離する方法としては、一般的に用いられる分離除去方法であれば特に限定されず用いることができる。例えば、蒸留による揮発成分の分離除去、分液操作による液体成分の分離、濾過による不要固体の分離除去等が挙げられる。
これらの方法は、単独で用いてもよいし、複数種の方法を組み合わせて用いてもよい。
<カチオン交換工程>
化合物(4)と、下記一般式(5):
pX (5)
{式中、Mは、Li、Na又はKであり、Xは、OH又はCO3であり、そしてpは、XがOHの場合、1であり、XがCO3の場合、2である。}で表されるアルカリ金属塩(以下、該化合物群の内の1の化合物を含めて化合物(5)ともいう。)とを、反応させることにより、化合物(1)を製造することができる。
化合物(4)の物質量(η)と、化合物(5)の物質量(θ)とのモル比率(θ/η)は、一般的に用いられる範囲であれば特に限定されないが、0.2~10であることが好ましい。θ/ηが0.2以上であると、化合物(1)の収率がより高まる傾向にあるため好ましい。θ/ηが10以下であると、廃棄物が低減でき、経済性により優れる製法となる傾向にあるため好ましい。同様の観点から、θ/ηは0.5~5であることがより好ましく、0.8~3であることが最も好ましい。
カチオン交換工程において、溶媒を使用してもよい。
上記溶媒としては、反応時に不活性であり、一般的に使用されるものであれば特に限定されないが、具体例としては、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、及び1,2-ジクロロベンゼン等の芳香族系溶媒、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、4-メチルテトラヒドロピラン、シクロペンチルメチルエーテル、及びアニソール等のエーテル基含有溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、及びベンゾニトリル等のニトリル基含有溶媒、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、及び2-ブタノール等の水酸基含有溶媒等が挙げられる。中でも、化合物(1)の収率が高まる傾向にあることから、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、4-メチルテトラヒドロピラン、シクロペンチルメチルエーテル、及びアニソール等のエーテル基含有溶媒がより好ましい。同様の観点から、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、及び4-メチルテトラヒドロピランがより好ましく、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、及び4-メチルテトラヒドロピランがさらに好ましい。
これらの有機溶媒は単独で用いてもよいし、複数種の溶媒を組み合わせて用いてもよい。
化合物(4)の質量(ι)と、溶媒の質量(κ)との比率(κ/ι)は、一般的に用いられる範囲であれば特に限定されないが、0.01~100であることが好ましい。κ/ιが上記範囲内であると、化合物(1)の収率がより高まる傾向にある。同様の観点から、0.05~50であることがより好ましく、0.1~10であることがさらに好ましい。
カチオン交換工程の反応温度は、一般的に用いられる範囲であれば特に限定されないが、0℃~150℃であることが好ましい。反応温度が0℃以上であると、化合物(4)の反応性が高まり、化合物(1)の収率がより高まる傾向にあるので好ましい。反応温度が150℃以下であると、副生物が抑制でき、化合物(1)の収率がより高まる傾向にあるので好ましい。同様の観点から、反応温度は20℃~140℃であることがより好ましく、40℃~130℃であることが最も好ましい。
カチオン交換工程の反応時間は、通常用いられる範囲であれば特に限定されないが、1~100時間が好ましく、5~50時間がより好ましい。
カチオン交換工程の圧力は、反応を行う温度によるが、通常用いられる範囲であれば特に限定されないが、10kPa~5000kPaが好ましい。
反応雰囲気は、通常用いられる雰囲気であれば特に限定されないが、通常は大気雰囲気、窒素雰囲気、及びアルゴン雰囲気等が用いられる。これらの中でも、より安全に化合物(1)を製造できる傾向にあることから、窒素雰囲気、及びアルゴン雰囲気が好ましい。また、より経済性に優れる製造方法となる傾向にあることから、窒素雰囲気がさらに好ましい。
反応雰囲気は、単独で用いてもよいし、複数種の反応雰囲気を組み合わせて用いてもよい。
化合物(1)は、カチオン交換工程後に精製操作を施し、各種不純物の含有量を低減させることができる。精製方法は、一般的に用いられる精製方法であれば特に限定されないが、具体例としては、活性炭処理、加熱乾燥、晶析、昇華、電気透析、抽出等が挙げられる。中でも、不純物の含有量をより低減できる精製方法であることから、活性炭処理、又は晶析が好ましく、同様の観点から、晶析が最も好ましい。また同様に化合物(1)の粉体としての取り扱い性を向上させる観点から、得られた化合物(1)中の水分を除去する目的で乾燥工程を行なうことが好ましい。
<晶析工程>
晶析工程は、化合物(1)の有する高い吸湿性を鑑み、得られる結晶の取り扱いの容易さから乾燥雰囲気下で行なうのが望ましい。乾燥雰囲気は特に限定されないが、乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン等の気体の雰囲気下、気流下において行なうことができ、真空減圧下において行うこともできる。このような雰囲気は、単独で用いてもよいし、複数種の雰囲気を組み合わせて用いてもよい。
以下において、「貧溶媒」との語は、化合物(1)の溶液を冷却した際に結晶を生ずるに好適な溶媒、を示すものであり、必ずしも化合物(1)の溶解性が著しく低いことを意味するものではない。
本発明の晶析に用いる溶媒としては、化合物(1)の比較的高い溶解性と金属への低配位性との双方を満たす観点から、単座配位性の鎖状エーテル溶媒であることが望ましい。このような単座配位性の鎖状エーテル溶媒は、一般に金属への配位性、誘電率、双極子モーメント、いずれもその他の極性溶媒や環状エーテル等に比べて低い傾向にあり、このことが結晶中からの溶媒の除去に有利に働くものと考えられ、従ってこのような溶媒を晶析工程に用いた場合に、残存溶媒量が低減できる傾向にある。
「単座配位性」の溶媒とは、金属への配位性を有する部位を一つ有する溶媒を意味する。配位性を有する部位としてはエーテル結合が挙げられる。
晶析工程において、製造コストの観点からは単一の溶媒を用いることが望ましい。単座配位性の鎖状エーテル溶媒それ自体が晶析における貧溶媒として有効に機能することから、単一の溶媒のみを用いても高純度の含フッ素環状スルホニルイミド塩を得ることが充分可能であるが、複数の溶媒を混合することもでき、極性溶媒を良溶媒として添加することや、貧溶媒を更に添加することで結晶化を促すこともできる。複数の溶媒を混合した場合には、乾燥後の溶媒残存量が増大する傾向にあり、熱履歴や製造コストの観点では不利になる場合がある。また良溶媒である極性溶媒を添加した場合には、生じた結晶が晶析器内に固着する場合があり、回収率の低下、特殊な破砕機器の導入によるコストの増大といった懸念が生じる。
単座配位性の鎖状エーテル溶媒としては、乾燥後の残存溶媒量低減の観点から、低沸点、すなわち炭素数が6以下のものが好ましく、エチルエーテル、プロピルメチルエーテル、プロピルエチルエーテル、プロピルエーテル、イソプロピルメチルエーテル、イソプロピルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、ブチルエチルエーテル、イソブチルメチルエーテル、イソブチルエチルエーテル、sec-ブチルメチルエーテル、sec-ブチルエチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、tert-ブチルエチルエーテル、ペンチルメチルエーテル、イソペンチルメチルエーテル、sec-ペンチルメチルエーテル、tert-ペンチルメチルエーテル、ネオペンチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等が挙げられる。化合物(1)の溶解性の観点からプロピルメチルエーテル、プロピルエチルエーテル、イソプロピルメチルエーテル、イソプロピルエチルエーテル、ブチルメチルエーテル、ブチルエチルエーテル、イソブチルメチルエーテル、イソブチルエチルエーテル、sec-ブチルメチルエーテル、sec-ブチルエチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、tert-ブチルエチルエーテル、ペンチルメチルエーテル、イソペンチルメチルエーテル、sec-ペンチルメチルエーテル、tert-ペンチルメチルエーテル、ネオペンチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテルがより好ましく、更に好ましくはブチルメチルエーテル、ブチルエチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、tert-ブチルエチルエーテル、tert-ペンチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテルである。単座配位性の鎖状エーテル溶媒は単独で用いてもよいし、複数種の単座配位性の鎖状エーテル溶媒を組み合わせて用いてもよい。
極性溶媒を良溶媒として添加する場合には、用いる良溶媒は特に限定されないが、化合物(1)をとりわけ好適に溶解し、比較的低沸点である観点から、アセトン、テトラヒドロフラン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。良溶媒は単独で用いてもよいし、複数種の良溶媒を組み合わせて用いてもよい。
結晶化を促すために貧溶媒をことさらに添加する場合には、用いる貧溶媒は特に限定されないが、化合物(1)を溶解せず、単座配位性の鎖状エーテル溶媒と混和し、かつ低沸点であることが望ましく、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン等が挙げられる。貧溶媒は単独で用いてもよいし、複数種の貧溶媒を組み合わせて用いてもよい。
晶析工程は主に、単座配位性の鎖状エーテル溶媒による化合物(1)の溶解工程、晶析工程から構成されるが、晶析工程の直前に混合物中の不溶物を除去する工程を行なってもよい。この除去工程は、いずれも公知の、遠心分離、自然濾過、減圧濾過、加圧濾過等によって行なうことができる。濾過を行なう際には有機溶媒の使用に耐え得るものであれば、公知のいずれの濾過材を用いてもよく、濾過助剤を添加することもできる。濾過材の孔径としては好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下である。
化合物(1)の溶解工程では、晶析前の化合物(1)含有固体に対して、100~1000質量%、より好ましくは100~500質量%、さらに好ましくは100~300質量%の単座配位性の鎖状エーテル溶媒を加える。この工程は、マグネチックスターラーや撹拌羽根による撹拌、振盪や超音波振動等による溶解の促進を行なってもよい。溶解時の温度は特に限定されないが、0℃から溶媒の沸点+50℃の温度において行なうことができる。溶媒の沸点を超えて加熱を行なう場合には、公知の還流装置を用いることができる。
晶析工程は、例えば、上記溶解工程によって得られた化合物(1)の溶液を所望の温度で冷却することにより実施することができる。冷却に際しては、生じる結晶の高純度化の観点から、所望の温度まで穏やかに冷却していくことが好ましい。冷却温度としては-100℃~30℃が好ましく、より好ましくは-80℃~20℃、さらに好ましくは-50℃~20℃である。晶析時には、公知の手法として広く行なわれるように、種晶を添加しても良い。また冷却を開始する前及び冷却中に、溶媒を留去することによる濃縮を行なっても良く、冷却を行ないながら上記貧溶媒を添加することで結晶化を促すこともできる。
結晶化した化合物(1)の捕集は、いずれも公知の、遠心分離、自然濾過、減圧濾過、加圧濾過等によって行なうことができる。濾過を行なう際には有機溶媒の使用に耐え得るものであれば、公知のいずれの濾過材を用いてもよい。濾過材の孔径としては好ましくは、10μm以下、より好ましくは1μm以下である。また、高純度化のためには、結晶の捕集時に単座配位性の鎖状エーテル溶媒や貧溶媒、または別途調製した化合物(1)の該溶媒溶液等によって洗浄することが好ましい。洗浄時に用いる液は別途所望の温度に加熱または冷却して使用してもよい。
製造コストの面においては不利であるが、更に高純度の結晶を得るためには、必要に応じて上記の晶析工程を複数回繰り返すこともできる。
製造工程の高効率化の観点から、結晶の捕集時に除去した液部及び洗浄液等は全て回収し、溶解工程又は晶析工程へと再利用することが望ましい。
<乾燥工程>
次に、捕集後の含フッ素環状スルホニルイミド塩中の余剰の溶媒の除去のために乾燥工程を行なうことが好ましい。乾燥工程では、一般公知に行なわれるように、加熱減圧乾燥を行なうことができる。加熱温度は好ましくは40℃、より好ましくは60℃であるが、含フッ素環状スルホニルイミド塩の分解が進行しない限りにおいては100℃以上の温度で行なってもよく、含フッ素環状スルホニルイミド塩の熱安定性を考慮すると上限は200℃とするのが好ましい。減圧時の圧力は好ましくは100hPa以下、より好ましくは50hPa以下、さらに好ましくは10hPa以下であり、最も好ましくは1hPa以下である。乾燥を行なう際は、より速やかに乾燥を進行させる目的で、結晶の破砕、撹拌操作を加えてもよく、この場合は更なる熱履歴、時間、及びコストの低減が期待できる。上記の晶析方法によれば、得られる結晶は残存溶媒量が少なく、結晶同士の固着や容器への固着を抑制できることから、結晶の破砕や粉砕工程には特殊な製造装置は必要なく、一般に広く用いられる撹拌翼やミルを用いることができる。
また、残存する有機溶媒や水分を更に除去する目的に際しては、上記の加熱減圧乾燥に加えて溶媒置換や揮発性溶剤によるすすぎ洗浄を組み合わせて行なうことができる。溶媒置換には、化合物(1)を溶解することがなく、低沸点の揮発性溶媒であることから、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンといった溶媒を用いることが好ましい。また、すすぎ洗浄には、化合物(1)を溶解することがなく、低沸点の揮発性溶媒であり、かつ、表面張力が低いことからフッ素系溶剤を好適に用いることができ、パーフルオロヘキサンのようなパーフルオロカーボン溶剤、バートレル(三井・ケマーズフロロプロダクツ株式会社による登録商標)のようなハイドロフルオロカーボン溶剤が好ましい。
これらの溶媒置換やすすぎ洗浄の形態としては特に限定されないが、静置又は撹拌した化合物(1)に上記溶剤を加えた後に、遠心分離等によって液部のみを除去する形態、加熱減圧乾燥によって除去する形態などを選択することができる。
これらの乾燥工程は単独で行なってもよいし、複数種を組み合わせて行なってもよく、また複数回繰り返して行なってもよい。
以下に本実施形態を具体的に説明した実施例を例示する。本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
<分析方法>
実施例及び比較例において使用した分析方法は、以下のとおりのものであった。
(核磁気共鳴分析(NMR):19F-NMRによる分子構造解析)
実施例及び比較例で得られた生成物について、下記測定条件にて、19F-NMR(376MHz)を用いた分子構造解析、1H-NMR(400MHz)を用いた残存溶媒量の定量を行った。
[測定条件]
測定装置:JNM-ECZ400S型核磁気共鳴装置(日本電子株式会社製)
観測核:19F、1
溶媒:重クロロホルム、重ジメチルスルホキシド
基準物質:トリクロロフルオロメタン(19F、0.00ppm)、テトラメチルシラン(1H、0.00ppm)
内部標準物質濃度:5質量%
測定試料濃度:20質量%
パルス幅:6.5μ秒(19F)、7.3μ秒(1H)
待ち時間:2秒(19F)、5秒(1H)
積算回数:1024回(19F)、8回(1H)
(水分率測定)
実施例、及び比較例で得られた生成物について、下記測定条件にて水分率の測定を行った。
測定装置: カールフィッシャー水分計MKC-710M(京都電子工業株式会社製)
陽極液:アクアミクロン-AX(三菱ケミカル株式会社製)
陰極液:アクアミクロン-CXU(三菱ケミカル株式会社製)
実施例、及び比較例で得られた粉体の化合物(1)0.07gをジメトキシエタン0.8gに溶解させ、カールフィッシャー水分計を用いて水分率を測定した。更に、ジメトキシエタンのみを試料として同様に水分率を測定してブランク値とし、化合物(1)の溶液試料の水分量からジメトキシエタンの水分量を差し引くことで粉体の化合物(1)の水分率を算出した。
<使用原材料>
実施例及び比較例で使用した原材料を以下に示す。
(フルオロスルホニル基含有カルボン酸化合物(2))
・2,2-ジフルオロ-2-(フルオロスルホニル)酢酸(富士フイルム和光純薬株式会社製)
・アンモニア(住友精化株式会社製)
(アルカリ金属塩(5))
・水酸化リチウム一水和物(富士フイルム和光純薬株式会社製)
(溶媒)
・アセトニトリル(富士フィルム和光純薬株式会社製、乾燥したモレキュラーシーブ3A 1/16(富士フィルム和光純薬株式会社製)を加え、脱水し、モレキュラーシーブ3A 1/16を除去することにより水分量を調整した)
・テトラヒドロフラン(富士フィルム和光純薬株式会社製、乾燥したモレキュラーシーブ3A 1/16(富士フィルム和光純薬株式会社製)を加え、脱水し、モレキュラーシーブ3A 1/16を除去することにより水分量を調整した)
・活性炭素(富士フイルム和光純薬株式会社製)
<反応温度>
反応温度は、外部加熱冷却装置を用いず、室温である場合、室温であった。また、ウォーターバスやオイルバス等の外部加熱冷却装置を利用する場合、外部加熱冷却装置に用いられている媒体の温度が反応温度であった。
[実施例1]
<電解カップリング反応工程>
200mLの三口フラスコに窒素雰囲気下、攪拌子、アセトニトリル(59g)、水(75g)を添加した後、0℃に冷却し、FO2SCF2CO2H(化合物(2)、25.7g、144.3mmоl)を加えた。陽極、及び陰極として、白金板電極(25mm×50mm)を6mmの間隔で設置し、溶液中に浸漬させた。0℃冷却下で攪拌を維持しつつ、電極に1.5Aの電流を4時間通電した。通電終了後、攪拌を止めると、反応液が2相に分離した。下層を分取すると7.9gの液体が得られた。得られた液体をサンプリングし、19F-NMRで測定すると、FO2SCF2CF2SO2F(化合物(3))が90.3質量%(収率37.1%)含まれていることが確認された。
上記操作により得られた粗製のFO2SCF2CF2SO2F(化合物(3))を常圧単蒸留で精製することにより、95.6質量%のFO2SCF2CF2SO2F(化合物(3))を含む液体6.9gが得られた。
FO2SCF2CF2SO2
19F-NMR:δ(ppm)46.1(2F)、-108.7(4F)
<環化工程>
3Lオートクレーブを-78℃に冷却し、アンモニアガス(250g、14680mmоl)、及びテトラヒドロフラン(222.3g)を添加した後、実施例1で得られたFO2SCF2CF2SO2F(208g、純度90.5質量%、707.3mmоl)のテトラヒドロフラン(222.3g)溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で12時間攪拌した。攪拌終了後、反応液を加圧濾過し、不溶固体を除去し、濾液を減圧濃縮、乾燥し、肌色固体188.0gを得た。得られた固体をサンプリングし、19F-NMRで分析すると、以下の構造式:
Figure 2023034088000007
19F-NMR:δ(ppm)-115.4(4F)
で表される含フッ素環状スルホニルイミドアンモニウム塩(化合物(4))が96.2質量%(収率98.3%)含まれていることが確認された。
<カチオン交換工程>
1Lの三口フラスコに、窒素雰囲気下、攪拌子、テトラヒドロフラン(400g)、実施例2で得られた含フッ素環状スルホニルイミドのアンモニウム塩(187.0g、純度96.2質量%、691.4mmоl)、及び水酸化リチウム一水和物(32.2g、767.4mmоl)を添加し、70℃で4時間攪拌した。得られた反応液を減圧濃縮した後、水(500mL)、活性炭(65.8g)を添加し、105℃で3時間攪拌した。得られた反応液を加圧濾過し不溶固体を除去した後、減圧濃縮し肌色固体を得た。得られた肌色固体にテトラヒドロフラン(889g)を添加し、50℃で30分攪拌した後加圧濾過により不溶固体を除去し、減圧濃縮することで170.3gの白色固体を得た。得られた固体をサンプリングし、ICP発光分光分析法により分析を行ったところ、アンモニウムカチオンがリチウムカチオンに交換されていることを確認した。さらに、19F-NMRで分析すると、以下の構造式:
Figure 2023034088000008
19F-NMR:δ(ppm)-115.4(4F)
で表される含フッ素環状スルホンイミドのリチウム塩(化合物(1))が99.1質量%(収率98.0%)含まれていることが確認された。
<晶析工程>
撹拌子を備えた100mLナスフラスコに、合成した化合物(1)を10gとtert-ブチルメチルエーテル27gとを秤量し、密栓を取り付けて30分撹拌した。得られた混合液を減圧濾過後、-20℃の冷凍庫で30分間冷却したところ、無色の結晶が生じた。デカンテーションによって液部を除去後、-35℃のtert-ブチルメチルエーテルを添加して薬さじで混ぜることにより結晶を洗浄し、液部をデカンテーションによって除去した。得られた結晶を無撹拌条件で60℃、40hPaの条件で3時間減圧乾燥した。この結晶を乳鉢と乳棒を用いて粉砕し、バートレル(三井・ケマーズフロロプロダクツ株式会社製)20mLを添加し、無撹拌条件で100℃、15hPaの条件で2時間減圧乾燥する操作を4回繰り返す追乾燥工程を行なうことで、4.9g(収率49.0%)の結晶が得られた。得られた結晶をサンプリングし、19F-NMRで分析すると、化合物(1)が99.9質量%含まれていることが確認された。カールフィッシャー計を用いて算出した水分率は185質量ppmであった。
[実施例2]
実施例1で製造した含フッ素環状スルホンイミドのリチウム塩(化合物(1))をアルゴン雰囲気下でバイアルに2.3g採取して密封し、露点-7.7℃の空気下に移送した。蓋を取り外して空気に曝したのちに蓋を再度取り付け、一晩静置した。カールフィッシャー計を用いて算出した水分率は402質量ppmであった。
[比較例1]
晶析工程及び追乾燥工程を行わなかった以外は、実施例1と同様に電解カップリング反応工程、環化工程、カチオン交換工程を行い、含フッ素環状スルホンイミドのリチウム塩(化合物(1))を製造した。カールフィッシャー計を用いて算出した水分率は866質量ppmであった。
[比較例2]
実施例2で得た化合物(1)を2g採取して密封し、更に大気下に移送した。蓋を取り外して大気に曝したのちに蓋を再度取り付け、2時間静置した。カールフィッシャー計を用いて算出した水分率は24200質量ppmであった。
実施例、及び比較例で得られた含フッ素環状スルホンイミドのリチウム塩(化合物(1))の粉体としての取り扱い性を簡便かつ定量的に評価するため、以下の実験を行なった。
[落下性試験]
露点-23.0℃の乾燥雰囲気下で化合物(1)を乳鉢と乳棒を用いて粉砕し、ホウケイ酸ガラス製6mL丸底スクリュー管瓶(口内径10mm、胴径18mm、高さ40mm)に2g採取した。静電気の影響を除外するためにZEROSTAT(Sigma-Aldrich製)を用いて瓶内及び周辺設備の静電気を除去し、蓋を取り外した瓶を、受け器のガラスビーカー上で垂直に逆さにし、5秒間静置することで瓶内の化合物(1)をビーカーへ落下させた。5秒間経過後、穏やかに瓶を水平にして蓋を取り付けた後、瓶内に残存した化合物(1)の重量を測定した。
上記の試験を2回行い、瓶内への化合物(1)の残存量の2回平均値を算出し、これを粉体としての取り扱い性の指標とした。結果を以下の表1に示す。
Figure 2023034088000009
表1より、水分率が低減された実施例の含フッ素環状スルホンイミドのリチウム塩(化合物(1))は、水分率の高い比較例の化合物に比べて落下性試験での残存量が半分程度以下にまで軽減されていることがわかる。落下性試験での残存量が低下したのは、水分率が低いことで含フッ素環状スルホンイミドのリチウム塩の粉体の表面付着性が低下し流動性が向上したためと考えられる。
本発明に係る含フッ素環状スルホニルイミド塩は、粉体としての取り扱い性が良好であるため、帯電防止剤、有機電解質等のイオン電導材料や難燃剤として使用する際や製造時に、特別な装置を用いずともフィードすることが可能であり、好適に利用可能である。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1):
    Figure 2023034088000010
    {式中、Rは、それぞれ、同一であっても異なっていてもよく、フッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、nは、1~4の整数であり、そしてMは、Li、Na又はKである。}で表される含フッ素環状スルホニルイミド塩であって、水分率が500質量ppm以下であることを特徴とする、含フッ素環状スルホニルイミド塩。
  2. 前記一般式(1)中、nが1~3の整数である、請求項1に記載の含フッ素環状スルホニルイミド塩。
  3. 前記一般式(1)中、nが2である、請求項2に記載の含フッ素環状スルホニルイミド塩。
  4. 前記一般式(1)中、Rがフッ素原子である、請求項1~3のいずれか1項に記載の含フッ素環状スルホニルイミド塩。
  5. 前記一般式(1)中、MはLiである、請求項1~4のいずれか1項に記載の含フッ素環状スルホニルイミド塩。
  6. 以下の構造式:
    Figure 2023034088000011
    で表される、請求項1~5のいずれか1項に記載の含フッ素環状スルホニルイミド塩。
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