JP2023033610A - 組換えエクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ(npp1)を使用して心血管機能を改善し、心血管疾患を処置するための方法。 - Google Patents

組換えエクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ(npp1)を使用して心血管機能を改善し、心血管疾患を処置するための方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】組換えエクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ(NPP1)を使用して心血管機能を改善し、心血管疾患を処置するための方法の提供。【解決手段】本発明は、組換えヒト可溶性エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ(hsNPP1)、その活性フラグメントまたは融合タンパク質を投与することによって、ヒト患者において心血管機能を改善する(例えば、高血圧症を低減する)ための方法ならびに心血管疾患を処置するための方法を提供する。一実施形態において、上記改善は、上昇した血圧の降下(例えば、140/90ミリメートル水銀柱(mmHg)より高い血圧を正常血圧範囲(約120/80mm水銀柱(mmHg)内へと下げること)である。【選択図】なし

Description

関連情報の段落
本出願は、米国仮特許出願第62/563,829号(2017年9月27日出願。その内容は、その全体において参考として援用される)の優先日の利益を主張する。
配列表
本出願は、配列表を含み、この配列表は、ASCIIフォーマットにおいて電子提出されており、その全体において参考として援用される。上記ASCIIコピー(2018年8月22日作成)は、名称がAXJ-241PC_SL.txtであり、サイズが88,772バイトである。
背景
心血管系(循環系としても公知)は、心臓、動脈、静脈、毛細血管および血液を含む。心臓は、血液を身体中に巡らせるポンプとして機能する。動脈循環は、血液を心臓から身体へと送り出し、静脈循環は、その血液を心臓へと戻す。毛細血管は、動脈循環および静脈循環の境界にある非常に小さな血管であり、その血管では、血液と身体組織との間の物質交換が起こっている。心血管系には3つの主要な機能がある:(1)身体全体の細胞への栄養素、酸素、およびホルモンの輸送ならびに代謝老廃物(二酸化炭素、窒素性老廃物)の除去、(2)血中で循環しかつ外来微生物および毒素から身体を防御する白血球、抗体、および補体タンパク質による身体の防御、ならびに傷害後に失血から身体を防御する凝固機構、ならびに(3)体温、流体pH、および細胞の水含有量の調節。
心血管疾患は、世界的に、死亡原因の第一位である。心血管疾患としては、冠動脈疾患(CAD)(例えば、アンギナおよび心筋梗塞(一般には心臓発作として公知)、脳卒中、心不全、高血圧性心疾患、リウマチ性心疾患、心筋症、心臓不整脈、先天性心疾患、心臓弁膜症、心臓炎、大動脈瘤、末梢動脈疾患、血栓塞栓症(thromboembolicdisease)、および静脈血栓症が挙げられる(GBD 2013 Mortality and Causes of Death,Collaborators(17 December 2014), Lancet. 385(9963): 117-71を参照のこと)。
米国でおよそ8500万人の人々が、高血圧症(hypertention)(高血圧(high blood pressure)としても公知)を有する。正常血圧は、120/80mm水銀柱(mmHg)である。診療ガイドラインは、高血圧症を、140/90ミリメートル水銀柱(mmHg)より高い血圧として定義する。血圧は、血管壁に対して血液が及ぼす力である。140mmHgという収縮期読み取り値は、心臓が血液を身体に巡らせるようにポンプ輸送する場合の圧力をいう。90mmHgという拡張期読み取り値は、心臓が弛緩し血液で再び満たされる場合の圧力をいう。高血圧症は、クオリティー・オブ・ライフに深刻な影響を与え、心疾患、脳卒中、および死亡のリスクを増大させる。
当該分野でかなりの研究がなされているにも関わらず、高血圧症を含む心血管疾患を有効に処置する治療法が継続して必要である。
発明の要旨
本発明は、心血管疾患(例えば、高血圧症)を防止することおよび/または処置することを含む、ヒト患者において心血管機能を改善するためのN末端サイトゾルドメインおよび膜貫通ドメインを欠く単離された組換えヒト可溶性NPP1、ならびにその融合タンパク質の使用に関する。任意の心血管障害が本発明の範囲内にある。
一局面において、ヒト患者において心血管機能を改善するための方法が提供され、上記方法は、上記患者に、1またはこれより多くの用量の組換えヒト可溶性エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ(hsNPP1)、その活性フラグメントまたは融合タンパク質を投与する工程を包含する。一実施形態において、上記改善は、上昇した血圧の降下(例えば、140/90ミリメートル水銀柱(mmHg)より高い血圧を正常血圧範囲(約120/80mm水銀柱(mmHg)内へと下げること)である。別の実施形態において、上記改善は、上昇した血圧の、少なくとも5(例えば、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、または70)%の降下である。別の実施形態において、上記改善は、上昇した血圧の、約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、または4倍の降下である。別の実施形態において、上記改善は、血圧の正常化(例えば、約120/80mm水銀柱(mmHg)への)である。別の実施形態において、上記改善は、左室拡張終期圧(EDP)および収縮終期圧(ESP)における(例えば、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、または70%の)降下である。別の実施形態において、上記改善は、左室EDPおよびESPにおける約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、または4倍の降下である。別の実施形態において、上記改善は、心室スティフネス(EDPVR)における(例えば、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、または70%の)低減である。別の実施形態において、上記改善は、心室スティフネスにおける約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、または4倍の低減である。別の実施形態において、上記改善は、収縮性(PRSW)における(例えば、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、または70%の)増大にある。別の実施形態において、上記改善は、収縮性における約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、または4倍の増大にある。
別の局面において、心血管障害を有するヒト患者を処置するための方法が提供され、上記方法は、上記患者に、1またはこれより多くの用量の組換えヒト可溶性エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ(hsNPP1)、その活性フラグメン
トまたは融合タンパク質を投与する工程を包含する。例示的な心血管疾患としては、冠動脈疾患(CAD)(例えば、アンギナおよび心筋梗塞(一般には心臓発作として公知))、脳卒中、心不全、高血圧性心疾患、リウマチ性心疾患、心筋症、心臓不整脈、先天性心疾患、心臓弁膜症、心臓炎、大動脈瘤、末梢動脈疾患、血栓塞栓症、および静脈血栓症が挙げられるが、これらに限定されない。
別の局面において、高血圧症を有するヒト患者を処置するための方法が提供され、上記方法は、上記患者に、1またはこれより多くの用量の組換えヒト可溶性エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ(hsNPP1)、その活性フラグメント
または融合タンパク質を投与する工程を包含する。
別の局面において、高血圧症を有するヒト患者を処置するための方法が提供され、上記方法は、a)ヒト患者を、高血圧症を有すると同定する工程、およびb)上記同定された患者に、1またはこれより多くの用量の組換えヒト可溶性エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ(hsNPP1)、その活性フラグメントまたは融合タンパク質を投与する工程を包含する。
別の局面において、ヒト患者において高血圧症を低減するための方法が提供され、上記方法は、上記患者に、1またはこれより多くの用量の組換えヒト可溶性エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ(hsNPP1)、その活性フラグメント
または融合タンパク質を投与する工程を包含する。
一実施形態において、本明細書で記載される方法は、上記患者の血圧における(例えば、約140/90ミリメートル水銀柱(mmHg)より高い上昇した血圧から正常血圧範囲(約120/80mm水銀柱(mmHg)内への)降下を生じる。別の実施形態において、上記患者の血圧は、処置後に、少なくとも5(例えば、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、または70)%下がる。別の実施形態において、上記患者の血圧は、処置後に、約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、または4倍下がる。別の実施形態において、上記患者の血圧は、処置後に(例えば、約120/80mm水銀柱(mmHg)へと)正常化する。
一実施形態において、NPP1融合タンパク質が投与される。好ましい融合タンパク質は、NPP1構成要素、免疫グロブリンのFc領域および必要に応じて標的化部分を含む。一実施形態において、上記標的化部分は、Asp10(配列番号18)である。別の実施形態において、上記標的化部分は、少なくとも8個連続したアスパラギン酸またはグルタミン酸残基(それぞれ、配列番号20および21)を含む。本明細書で開示される方法に従う投与のための特定のNPP1融合タンパク質は、配列番号3、配列番号4、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12に示されるアミノ酸配列を有する。
任意の適切な量の組換えhsNPP1が、上記ヒト患者に投与され得る。一実施形態において、上記hsNPP1は、約0.5mg/kg、1.0mg/kg、2.0mg/kg、3.0mg/kg、4.0mg/kg、5.0mg/kg、6.0mg/kg、7.0mg/kg、8.0mg/kg、9.0mg/kg、10.0mg/kg、11.0mg/kg、12.0mg/kg、13.0mg/kg、14.0mg/kg、15.0mg/kg、16.0mg/kg、17.0mg/kg、18.0mg/kg、19.0mg/kg、または20.0mg/kgを含む1またはこれより多くの用量において投与される。別の実施形態において、上記hsNPP1は、約1.0mg/kg~約5.0mg/kg NPP1を含む1またはこれより多くの用量において投与される。別の実施形態において、上記hsNPP1は、約1.0mg/kg~約10.0mg/kg NPP1を含む1またはこれより多くの用量において投与される。
上記hsNPP1の用量間の期間は、少なくとも2日間であり、より長い可能性がある(例えば、少なくとも3日間、少なくとも1週間、2週間または1ヶ月間)。一実施形態において、上記投与は、毎週、隔週、または毎月のものである。
上記組換えhsNPP1は、任意の適切な方法で(例えば、静脈内に、皮下に、または腹腔内に)投与され得る。
上記組換えhsNPP1は、1またはこれより多くのさらなる治療剤と組み合わせて投与され得る。例示的な治療剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:チアジド系利尿薬(例えば、ヒドロクロロチアジド(Microzide)またはクロルタリドン)、β遮断薬(例えば、アセブトロール(Sectral)またはアテノロール(Tenormin))、アンギオテンシン変換酵素(ACE)インヒビター(例えば、リシノプリル(Zestril)、ベナゼプリル(Lotensin)、またはカプトプリル(Capoten))、アンギオテンシンIIレセプター遮断薬(ARB)(例えば、カンデサルタン(Atacand)またはロサルタン(Cozaar))、カルシウムチャネル遮断薬(例えば、アムロジピン(Norvasc)またはジルチアゼム(Cardizem))、レニンインヒビター(例えば、アリスキレン(Tekturna))、α遮断薬(例えば、ドキサゾシン(Cardura)またはプラゾシン(Minipress))、αβ遮断薬(例えば、カルベジロール(Coreg)またはラベタロール(Trandate))、中枢作用薬剤(例えば、クロニジン(Catapres、Kapvay)、グアンファシン(Intuniv、Tenex)およびメチルドパ)、血管拡張薬(例えば、ヒドララジンおよびミノキシジル)、および/またはアルドステロンアンタゴニスト(例えば、スピロノラクトン(Aldactone)またはエプレレノン(Inspra))。一実施形態において、上記組換えhsNPP1およびさらなる治療剤は、別個に投与され、同時にもしくは逐次的に投与される。一実施形態において、上記組換えhsNPP1は、上記さらなる治療剤の投与前に投与される。別の実施形態において、上記組換えhsNPP1は、上記さらなる治療剤の投与後に投与される。別の実施形態において、上記組換えhsNPP1およびさらなる治療剤は、一緒に投与される。
別の局面において、単離された組換えヒトsNPP1、そのフラグメントまたは融合タンパク質の使用が、提供される。一実施形態において、心血管機能を改善するための医薬の製造のための、単離された組換えヒトsNPP1、そのフラグメントまたは融合タンパク質の使用が、提供される。別の実施形態において、高血圧症を低減するための医薬の製造のための、単離された組換えヒトsNPP1、そのフラグメントまたは融合タンパク質の使用が提供される。別の実施形態において、本発明は、高血圧症を低減するための単離された組換えヒトsNPP1、そのフラグメントまたは融合タンパク質の使用を提供する。別の実施形態において、本発明は、高血圧症を処置するための単離された組換えヒトsNPP1、そのフラグメントまたは融合タンパク質の使用を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者において心血管機能を改善するための単離された組換えヒトsNPP1、そのフラグメントまたは融合タンパク質の使用を提供する。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する
(項目1)
ヒト患者において心血管機能を改善するための方法であって、前記方法は、前記患者に、1またはこれより多くの用量の組換えヒト可溶性エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ(hsNPP1)、その活性フラグメントまたは融合タンパク
質を投与する工程を包含する、方法。
(項目2)
ヒト患者において心血管疾患を処置するための方法であって、前記方法は、前記患者に、1またはこれより多くの用量の組換えヒト可溶性エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ(hsNPP1)、その活性フラグメントまたは融合タンパク
質を投与する工程を包含する、方法。
(項目3)
高血圧症を有するヒト患者を処置するための方法であって、前記方法は、前記患者に、1またはこれより多くの用量の組換えヒト可溶性エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ(hsNPP1)、その活性フラグメントまたは融合タンパク質
を投与する工程を包含する、方法。
(項目4)
ヒト患者において高血圧症を低減するための方法であって、前記方法は、前記患者に、1またはこれより多くの用量の組換えヒト可溶性エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ(hsNPP1)、その活性フラグメントまたは融合タンパク質
を投与する工程を包含する、方法。
(項目5)
前記hsNPP1は融合タンパク質である、前述の項目のうちのいずれか1項に記載の方法。
(項目6)
前記融合タンパク質は、免疫グロブリンのFc領域を含む、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記融合タンパク質は、標的化部分を含む、項目5または6に記載の方法。
(項目8)
前記標的化部分は、少なくとも8個の連続するアスパラギン酸残基またはグルタミン酸残基(それぞれ、配列番号20および21)を含む、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記融合タンパク質は、配列番号3、配列番号4、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12を含む、項目5に記載の方法。
(項目10)
前記1またはこれより多くの用量は、約1.0mg/kg~約20.0mg/kg NPP1を含む、前述の項目のうちのいずれか1項に記載の方法。
(項目11)
前記1またはこれより多くの用量は、約1.0mg/kg~約5.0mg/kg NPP1を含む、前述の項目のうちのいずれか1項に記載の方法。
(項目12)
前記1またはこれより多くの用量は、約0.5mg/kg、約1mg/kg、約5.0mg/kg、約6.0mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、または約20mg/kgである、項目1~9のいずれかに記載の方法。
(項目13)
2またはこれより多くの用量のNPP1は、少なくとも3日間、1週間、2週間または1ヶ月間空けて投与される、前述の項目のうちのいずれか1項に記載の方法。
(項目14)
前記投与は、毎週、隔週、または毎月のものである、項目1~12のいずれか1項に記載の方法。
(項目15)
前記投与は、静脈内、皮下、または腹腔内のものである、前述の項目のうちのいずれか1項に記載の方法。
(項目16)
さらなる治療剤は、前記患者に投与される、前述の項目のうちのいずれか1項に記載の方法。
(項目17)
前記改善は、上昇した血圧の降下、血圧の正常化、左室拡張終期圧(EDP)の降下、左室収縮終期圧(ESP)の降下、心室スティフネスの低減、および/または収縮性の増大である、項目1に記載の方法。
(項目18)
前記上昇した血圧の降下は、約140/90ミリメートル水銀柱(mmHg)より高い血圧から約120/80mm水銀柱(mmHg)への降下である、項目17に記載の方法。
(項目19)
ヒト患者において心血管機能を改善するための、単離された組換えヒトsNPP1、そのフラグメントまたは融合タンパク質の使用。
(項目20)
ヒト患者において心血管疾患を処置するための、単離された組換えヒトsNPP1、そのフラグメントまたは融合タンパク質の使用。
(項目21)
ヒト患者において高血圧症を処置するための医薬の製造のための、単離された組換えヒトsNPP1、そのフラグメントまたは融合タンパク質の使用。
(項目22)
ヒト患者において高血圧症を低減させるための医薬の製造のための、単離された組換えヒトsNPP1、そのフラグメントまたは融合タンパク質の使用。
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになる。
図1A~1Eは、6週間の処置後のENPP1処置2Jマウスにおいて、石灰化の低減がないこと(図1A~1C)、血漿ピロリン酸(PPi)レベルの増大がないこと(図1D)、および高い血漿抗薬物抗体(「ADA」)レベル(図1E)を示す。
図2は、ENPP1処置2Jマウスにおいて、6週間処置の最後の用量の24時間後に、ピロリン酸(PPi)レベルの増大がなかったことを示す。
図3A~3Dは、Enpp1処置が、Asj-2Jマウスにおいて上昇した血圧を下げることを示す。
図4A~4Bは、Enpp1処置が、Asj-2Jマウスにおいて上昇した左室拡張終期圧(EDP)および収縮終期圧(ESP)を下げることを示す。
図5A~5Cは、Enpp1処置が、Asj-2Jマウスにおいて、心室スティフネス(EDPVR)を低減し、収縮性(PRSW)を増大させることを示す圧容積ループ(pressurevolume loop)のデータである。
図6A~6Jは、Asj-2Jマウスが左室肥大を有しない(LV拡張期前/後壁厚、内部寸法、拡張終期面積(End-Diastolic Area)、および推定LV質量において変化なし)ことを示唆する心エコー図データである。 図6A~6Jは、Asj-2Jマウスが左室肥大を有しない(LV拡張期前/後壁厚、内部寸法、拡張終期面積、および推定LV質量において変化なし)ことを示唆する心エコー図データである。
詳細な説明
定義
別段定義されなければ、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で記載されるものに類似または均等な任意の方法および材料が、本発明の実施または試験において使用され得るが、好ましい方法および材料が記載される。
明瞭にするために、「NPP1」および「ENPP1」とは、同じタンパク質に言及し、本明細書で交換可能に使用される。
「約」とは、測定可能な値(例えば、量、時間的持続期間など)に言及するときに本明細書で使用される場合、特定の値から、±20%または±10%、より好ましくは±5%、さらにより好ましくは±1%、およびなおより好ましくは±0.1%の変動を包含することが意味され、よって、変動は、その開示される方法を実施するために適切である。
本明細書で使用される場合、用語「正常」とは、用語「個体」または「被験体」を修飾するために使用される場合、特定の疾患または状態(例えば、心血管障害)を有さず、かつ同様に、その疾患もしくは状態を発生させるリスクを有するまたはそのリスクにあるとは疑われていない個体または個体の群に言及する。用語「正常」はまた、正常または健康な個体または被験体(またはこのような被験体の群)から単離された生物学的標本またはサンプルを適格とするために、本明細書で使用される(例えば、「正常コントロールサンプル」または「正常コントロール」)。
本明細書で使用される場合、用語「フラグメント」とは、NPP1タンパク質に関して、全長NPP1の活性部分配列に言及する。タンパク質またはペプチドの「フラグメント」は、少なくとも約20アミノ酸の長さ;例えば、少なくとも約50アミノ酸の長さ;少なくとも約100アミノ酸の長さ;少なくとも約200アミノ酸の長さ;少なくとも約300アミノ酸の長さ;または少なくとも約400アミノ酸の長さ(およびその間にある任意の整数値)であり得る。そのフラグメントは、4アミノ酸残基から全体のアミノ酸配列-1アミノ酸までのサイズ範囲に及び得る。従って、「配列番号1のアミノ酸配列のうちの少なくとも一部を含む」タンパク質は、全長NPP1およびそのフラグメントを包含する。
「単離された」または「精製された」可溶性NPP1タンパク質またはその生物学的に活性な活性フラグメントまたは融合タンパク質は、細胞もしくは組織供給源(ここからそのNPP1タンパク質、生物学的に活性なフラグメントもしくはNPP1融合タンパク質が得られる)に由来する細胞物質もしくは他の夾雑タンパク質を実質的に含まないか、または化学合成される場合に、化学前駆物質もしくは他の化合物を実質的に含まない。文言「細胞物質を実質的に含まない」は、NPP1タンパク質、生物学的に活性なフラグメント、またはNPP1融合タンパク質の調製物を含み、ここでそのタンパク質は、細胞(その細胞からそのタンパク質が単離されるかまたは組換え生成される)の細胞構成要素から分離されている。一実施形態において、文言「細胞物質を実質的に含まない」とは、約30%未満(乾燥重量で)の非NPP1タンパク質/フラグメント/融合タンパク質(本明細書で「夾雑タンパク質」ともいわれる)、より好ましくは約20%未満の非NPP1タンパク質/フラグメント/融合タンパク質、なおより好ましくは約10%未満の非NPP1タンパク質/フラグメント/融合タンパク質、および最も好ましくは約5%未満の非NPP1タンパク質/フラグメント/融合タンパク質を有する、NPP1タンパク質、生物学的に活性なフラグメントまたはNPP1融合タンパク質の調製物を含む。NPP1タンパク質、その融合タンパク質、または生物学的に活性なフラグメントが組換え生成される場合、それはまた、好ましくは培養培地を実質的に含まない、すなわち、培養培地は、そのタンパク質調製物の容積のうちの約20%未満、より好ましくは約10%未満、および最も好ましくは約5%未満を示す。
範囲:本開示全体を通じて、本発明の種々の局面は、範囲形式で示され得る。範囲形式での記載が、便宜性および簡便性のために過ぎず、本発明の範囲に対する確固たる限定として解釈されるべきではないことは、理解されるべきである。よって、範囲の記載は、具体的に開示される全ての考えられる部分範囲、ならびにその範囲内の個々の数値を有すると見做されるべきである。例えば、1~6のような範囲の説明は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などのような具体的に開示される部分範囲、ならびにその範囲内の個々の数字(例えば、1、2、2.7、3、4、5、5.3、および6)を有すると見做されるべきである。これは、その範囲の幅に拘わらずあてはまる。
本明細書で使用される場合、用語「被験体」とは、哺乳動物および非哺乳動物を包含する。哺乳動物の例としては、ヒト、チンパンジー、類人猿、サル、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウサギ、イヌ、ネコ、ラット、マウス、モルモットなどが挙げられるが、これらに限定されない。非哺乳動物の例としては、鳥類、魚類などが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、用語「治療上有効な量」とは、薬剤(例えば、hsNPP1タンパク質)の非毒性であるが十分な量を受容していない相当する被験体と比較して、疾患、障害、もしくは副作用の改善された処置、治癒、防止、もしくは好転(amelioration)を、または疾患もしくは障害(例えば、心疾患もしくは障害)の進行速度の低下を生じる、その薬剤(例えば、hsNPP1タンパク質)の非毒性であるが十分な量に言及する。その用語はまた、その範囲内に、正常な生理学的機能を増強するために有効な量を含む。
本明細書で使用される場合、心血管疾患または障害は、心臓または血管が関わるものである。例示的な心血管疾患としては、冠動脈疾患(CAD)(例えば、アンギナおよび心筋梗塞(一般には心臓発作として公知)、脳卒中、心不全、高血圧症、リウマチ性心疾患、心筋症、心臓不整脈、先天性心疾患、心臓弁膜症、心臓炎、大動脈瘤、末梢動脈疾患、血栓塞栓症、および静脈血栓症が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、「高血圧症(hypertension)」(高血圧(high blood pressure)としても公知)は、140/90ミリメートル水銀柱(mmHg)より高い血圧として定義される。血圧は、血管壁に対して血液が及ぼす力である。140mmHgという収縮期読み取り値は、心臓が血液を身体に巡らせるようにポンプ輸送する場合の圧力をいう。90mmHgという拡張期読み取り値は、心臓が弛緩し、血液で再び満たされる場合の圧力をいう。正常血圧は、120/80mm水銀柱(mmHg)である。高血圧症は、クオリティー・オブ・ライフに深刻な影響を与え、心疾患、脳卒中、および死亡のリスクを増大させる。
別の状態または疾患によって引き起こされない高血圧は、「原発性」または「本態性」高血圧症といわれる。その高血圧症が別の状態の結果として起こる場合、それは、「続発性」高血圧症といわれる。原発性高血圧症は、血漿容積、血液容積および血圧を調節するホルモンの活性、ならびに環境要因(例えば、ストレスおよび運動不足)を含む多数の要因から生じ得る。続発性高血圧症は、具体的な原因を有し、別の問題(例えば、糖尿病、腎臓の問題および神経損傷の両方に起因して、腎疾患、褐色細胞腫(副腎の希少がん)、クッシング症候群(これは、コルチコステロイド薬によって引き起こされ得る)、先天性副腎過形成(コルチゾールを分泌する副腎の障害)、甲状腺機能亢進症(過活動性甲状腺(overactive thyroid gland))、上皮小体機能亢進症(これは、カルシウムレベルおよびリンレベルに影響を及ぼす)、妊娠、睡眠時無呼吸、肥満、および/または慢性腎臓病(CKD))の合併症である。
本明細書で使用される場合「心拍数」(HR)は、1分間あたりの心臓の収縮回数(bpm)によって測定される心拍動速度をいう。心拍数は、身体の物理的な必要性(酸素を吸収し、二酸化炭素を排出する必要性が挙げられる)に従って変動し得る。それは通常は、任意の末梢の点で測定した脈拍数に等しいかまたは近い。変化を引き起こし得る活動としては、身体の運動、睡眠、不安、ストレス、病気、および薬物摂取が挙げられる。多くの情報源が、正常な安静時の成人ヒト心拍数を60~100bpmの範囲と引用している(例えば、「Target Heart Rates」.American Heart
Association. 4 Apr 2014を参照のこと)。頻脈とは、速い心拍数であり、安静時に100bpmを超えるとして定義される(例えば、「Tachycardia, Fast Heart Rate」. American Heart Association. 2 May 2013を参照のこと)。徐脈とは、遅い心拍数であり、安静時に60bpm未満として定義される。いくらかの研究、ならびに専門家の合意は、正常な安静時成人心拍数が、おそらく、50~90bpmの間の範囲に近いことを示す(例えば、Aladin, et al., The American Journal of Cardiology. 114(11): 1701-06(2014-12-01); Hjalmarson, A., et al., The American Journal of Cardiology. 65(9): 547-53(1990-03-01); Spodick, D. H., The American Journal of Cardiology. 72(5): 487-88(1993-08-15);およびMason, Jay W. et al.,
Journal of Electrocardiology. 40(3): 228-34(2007-07-01)を参照のこと)。
本明細書で使用される場合、「短縮率」(FS)とは、拡張終期までに起こるかまたは収縮期に失われる、拡張終期直径の長さまたは任意の拡張期寸法の割合の低減である。
本明細書で使用される場合、大血管における「動脈血圧」は、いくつかの別個の構成要素からなる:収縮期血圧および拡張期血圧、脈圧、ならびに平均動脈圧。
「全身の動脈血圧(systemic arterial blood pressure)」(SAP)が測定される場合、それは、収縮期血圧/拡張期血圧として表される、2つの数字の比として記録される(例えば、120/80が正常な成人血圧である)。収縮期血圧は高い方の値であり(代表的には、およそ120mmHg)、心室収縮、または収縮期の間の血液の駆出から生じる動脈圧を反映する。拡張期動脈血圧(diastolic arterial blood pressure)」(DAP)は、低い方の値であり(通常は約80mmHg)、心室弛緩、または拡張期の間の血液の動脈圧を表す。
本明細書で使用される場合、「平均動脈圧(mean arterial pressure)」(MAP)とは、1つの心周期の間の個体における平均血圧、すなわち、血液を組織に供給する血管へと駆動する平均の力をいう(例えば、Zheng L, et al.(July 2008), Stroke. 39(7): 1932-7)。平均は、統計的概念であり、値の合計をその値の数によって除算することによって計算される。直接測定するのは複雑でありかつ計算するのは複雑であるが、MAPは、脈圧または(収縮期血圧-拡張期血圧)の1/3に拡張期血圧を加算することによって近似され得る。通常は、MAPは、70~110mmHgに範囲内に入る。その値が長期間60mmHg未満に入ると、血圧は、組織へのおよび組織を経る循環を担保するほど十分には高くなく、これは、虚血、または不十分な血流を生じる。低酸素症(組織の不十分な酸素化)といわれる状態は、一般に虚血を同時に伴う。用語低酸素症は、全身の動脈血における酸素の低レベルに言及する。ニューロンは、特に、低酸素症に敏感であり、血流および酸素供給が迅速に回復されなければ、死滅し得るかまたは損傷を受け得る。
本明細書で使用される場合、「脈圧」(PP)とは、測定された収縮期血圧と拡張期血圧との間の差異をいう。動脈圧の上下の変動は、心拍出量の拍動性の性質、すなわち、心拍動から生じる。脈圧は、心臓の1回拍出量、動脈系のコンプライアンス(拡張能力)および動脈樹における流れの抵抗の相互作用によって決定される。圧力下で拡張することによって、大動脈は、心拍動の間に心臓からの血液サージの力のうちのいくらかを吸収する。このようにして、脈圧は、大動脈のコンプライアンスがなかった場合に存在すると思われる脈圧から下がる。加齢に伴って生じる動脈コンプライアンスの喪失は、高齢の患者において見出される上昇した脈圧を説明する。
「心室圧(ventricular pressure)」は、心臓の室内の血圧の尺度である。心臓の心室において生じた圧力は、心機能の変化を理解するために種々の方法で測定および使用され得る。心室容積測定と関連する「左室圧(left ventricular pressure)」(LVP)は、拍動中の心臓における圧容積関係を特徴づけるために使用されているという歴史を有する。さらに、LVPは、開発した薬物が心収縮性をネガティブに変化させないことを確実にするために研究される。左室dP/dtは、LVPの一次導関数であり、これは、微積分学を使用するソフトウェアアルゴリズムによって計算される。そのピーク値、dP/dtmaxは、実験パラメーター(例えば、前負荷、後負荷および心拍数)が十分に制御される場合に、心収縮性における変化の一般的で、強力かつ高感度のインジケーターである。
本明細書で使用される場合、心「収縮性」は、心臓の性能に影響を及ぼし、自律システム、循環するホルモン、薬物および疾患によって改変され得る心筋の固有の特性である。収縮性に対する薬物の影響の評価は、安全性評価研究において重要である。なぜなら増大または減少のいずれも、ある種の臨床状況の下で有害であり得るからである。収縮性の増大は、心臓のエネルギー消費を劇的に増大させ、これは、増大した酸素消費および増大した冠血流へと解釈される。これは、心疾患および/または冠状動脈不全の存在下で重篤な帰結を有し得る。既に病的な心臓における収縮性の低下は、臨床上の心不全の症状および帰結を増悪させ得る。
本明細書で記載される処置方法は、心血管障害を治す、遅らせる、その重篤度を低減する、またはその1もしくはこれより多くの症状を好転させるために、あるいはこのような処置の非存在下で予測されるものを超えて被験体の生存を長期化するために、本明細書で記載されるとおりのNPP1タンパク質、活性フラグメントまたは融合タンパク質を被験体(例えば、ヒト)に投与することを使用する。
用語「処置すること」とは、本発明のNPP1タンパク質、活性フラグメントおよび融合タンパク質を被験体に適用もしくは投与すること、あるいは心血管疾患もしくは障害を治す、治癒する、緩和する、軽減する、変化させる、治療する、好転させる、防止する、改善する、または影響を及ぼすという目的で、本発明のNPP1タンパク質、活性フラグメントおよび融合タンパク質を、心血管障害(例えば、高血圧症)を有する被験体に適用もしくは投与することを包含する。用語「処置する」とは、外傷、病理または状態の処置または好転における成功の任意の兆候に言及し、その兆候としては、任意の客観的もしくは主観的パラメーター、例えば、症状の減少;寛解;縮小またはその外傷、病理もしくは状態をその被験体にとってより我慢できるものにする;変性もしくは減退の速度を遅らせる;変性の最終地点を衰弱のより低いものにする;または被験体の肉体的もしくは精神的な幸福を改善することが挙げられる。処置は、治療的または予防的であり得る。症状の処置または好転は、身体検査の結果を含め、客観的または主観的パラメーターに基づき得る。
1.処置方法
本発明は、心血管障害(例えば、高血圧症)の処置のための、N末端部分を欠く(すなわち、サイトゾルドメインおよび膜貫通ドメインを欠いている)単離された組換えヒト可溶性NPP1(「sNPP1」)およびその融合タンパク質の使用に関する。
一実施形態において、ヒト患者において心血管機能を改善するための方法が提供され、その方法は、その患者に、1またはこれより多くの用量の組換えヒト可溶性エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ(hsNPP1)、その活性フラグメ
ントまたは融合タンパク質を投与する工程を包含する。
一実施形態において、その改善は、上昇した血圧の降下(例えば、140/90ミリメートル水銀柱(mmHg)より高い血圧を、正常血圧範囲(約120/80mm水銀柱(mmHg))内へと下げること)である。別の実施形態において、その改善は、上昇した血圧における少なくとも5(例えば、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、または70)%の降下である。別の実施形態において、その改善は、上昇した血圧における約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、または4倍の降下である。別の実施形態において、その改善は、血圧の正常化(例えば、約120/80mm水銀柱(mmHg)への)である。別の実施形態において、その改善は、左室拡張終期圧(EDP)および収縮終期圧(ESP)における(例えば、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、または70%の)降下である。別の実施形態において、その改善は、左室EDPおよびESPにおける約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、または4倍の降下である。別の実施形態において、その改善は、心室スティフネス(EDPVR)における(例えば、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、または70%の)低減にある。別の実施形態において、その改善は、心室スティフネスにおける約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、または4倍の低減である。別の実施形態において、その改善は、収縮性(PRSW)における(例えば、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、または70%の)増大にある。別の実施形態において、その改善は、収縮性における約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、または4倍の増大にある。
別の実施形態において、心血管障害を有するヒト患者を処置するための方法が提供され、その方法は、その患者に、1またはこれより多くの用量の組換えヒト可溶性エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ(hsNPP1)、その活性フラグ
メントまたは融合タンパク質を投与する工程を包含する。例示的な心血管疾患としては、冠動脈疾患(CAD)(例えば、アンギナおよび心筋梗塞(一般には心臓発作として公知))、脳卒中、心不全、高血圧性心疾患、リウマチ性心疾患、心筋症、心臓不整脈、先天性心疾患、心臓弁膜症、心臓炎、大動脈瘤、末梢動脈疾患、血栓塞栓症、および静脈血栓症が挙げられるが、これらに限定されない。
別の実施形態において、高血圧症を有するヒト患者を処置するための方法が提供され、その方法は、その患者に、1またはこれより多くの用量の組換えヒト可溶性エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ(hsNPP1)、その活性フラグメ
ントまたは融合タンパク質を投与する工程を包含する。
別の実施形態において、高血圧症を有するヒト患者を処置するための方法が提供され、その方法は、a)ヒト患者を、高血圧症を有すると同定する工程、およびb)その同定された患者に、1またはこれより多くの用量の組換えヒト可溶性エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ(hsNPP1)、その活性フラグメントまたは融
合タンパク質を投与する工程を包含する。
別の実施形態において、ヒト患者において高血圧症を低減するための方法が提供され、その方法は、その患者に、1またはこれより多くの用量の組換えヒト可溶性エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ(hsNPP1)、その活性フラグメ
ントまたは融合タンパク質を投与する工程を包含する。
別の実施形態において、本明細書で記載される方法は、その患者の血圧における(例えば、約140/90ミリメートル水銀柱(mmHg)より高い上昇した血圧から正常血圧範囲(約120/80mm水銀柱(mmHg))内への)降下を生じる。別の実施形態において、その患者の血圧は、処置後に、少なくとも5(例えば、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、または70)%下がる。別の実施形態において、その患者の血圧は、処置後に、約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、または4倍下がる。別の実施形態において、その患者の血圧は、処置後に(例えば、約120/80mm水銀柱(mmHg)へと)正常化する。
概して、被験体に投与される融合タンパク質の投与量は、公知の要因(例えば、レシピエントの年齢、健康状態および体重、同時に行っている処置のタイプ、処置の頻度など)に依存して変動する。通常は、活性成分(すなわち、融合タンパク質)の投与量は、約0.0001~約50ミリグラム/キログラム 体重の間であり得る。正確な投与量、投与頻度および処置の期間は、治療用タンパク質の投与の分野の熟練した医師によって決定され得る。
本明細書で定義される場合、タンパク質の治療上有効な量(すなわち、有効投与量)は、約0.001~50mg/kg 体重の範囲に及ぶ。当業者は、疾患の重篤度、以前の処置、被験体の全身的な健康状態および/または年齢、ならびに他の存在する疾患が挙げられるが、これらに限定されないある種の要因が被験体を有効に処置するために必要とされる投与量に影響を及ぼし得ることを認識する。さらに、治療上有効な量のタンパク質での被験体の処置は、1回の処置を含み得るか、または好ましくは、一連の処置を含み得る。処置のために使用されるタンパク質の有効投与量が、特定の処置の過程にわたって増大または減少し得ることはまた、認識される。
本明細書で定義される場合、タンパク質またはポリペプチドの治療上有効な量(すなわち、有効投与量)は、約0.001~50mg/kg 体重、好ましくは約0.01~25mg/kg 体重、より好ましくは約0.1~20mg/kg 体重、およびさらにより好ましくは約1~10mg/kg、2~9mg/kg、3~8mg/kg、4~7mg/kg、または5~6mg/kg 体重の範囲に及ぶ。一実施形態において、そのhsNPP1は、約0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/kg、2.0mg/kg、3.0mg/kg、4.0mg/kg、5.0mg/kg、6.0mg/kg、7.0mg/kg、8.0mg/kg、9.0mg/kg、10.0mg/kg、11.0mg/kg、12.0mg/kg、13.0mg/kg、14.0mg/kg、15.0mg/kg、16.0mg/kg、17.0mg/kg、18.0mg/kg、19.0mg/kg、20.0mg/kg、21.0mg/kg、22.0mg/kg、23.0mg/kg、24.0mg/kg、25.0mg/kg、26.0mg/kg、27.0mg/kg、28.0mg/kg、29.0mg/kg、30.0mg/kg、31.0mg/kg、32.0mg/kg、33.0mg/kg、34.0mg/kg、35.0mg/kg、36.0mg/kg、37.0mg/kg、38.0mg/kg、39.0mg/kg、40.0mg/kg、41.0mg/kg、42.0mg/kg、43.0mg/kg、44.0mg/kg、または45.0mg/kgを含む、1またはこれより多くの用量において投与される。別の実施形態において、約0.5~約30mg、約0.5~約20mg、約0.5~約10mg、または約0.5~約5mgが、その患者に投与される。別の実施形態において、そのhsNPP1は、約1.0mg/kg~約5.0mg/kg hsNPP1を含む1またはこれより多くの用量において投与される。別の実施形態において、そのhsNPP1は、約1.0mg/kg~約10.0mg/kg hsNPP1を含む1またはこれより多くの用量において投与される。当業者は、疾患もしくは障害の重篤度、以前の処置、被験体の全身的な健康状態および/または年齢、ならびに存在する他の疾患が挙げられるが、これらに限定されないある種の要因が、被験体を有効に処置するために必要とされる投与量に影響を及ぼし得ることを認識する。
さらに、治療上有効な量のタンパク質、ポリペプチドまたは抗体での被験体の処置は、1回の処置を含み得るか、または好ましくは、一連の処置を含み得る。一実施形態において、約0.1~20mg/kg 体重の間の範囲において、1週間に1回、1週間に2回、約10日間に1回、約12日間に1回、約14日間に1回、約17日間に1回、約20日間に1回、約25日間に1回、または約30日間に1回。一実施形態において、そのhsNPP1の用量間の期間は、少なくとも2日間であり、より長い可能性がある(例えば、少なくとも3日間、少なくとも1週間、2週間または1ヶ月)。別の実施形態において、sNPP1、その生物学的に活性フラグメントまたは融合タンパク質の治療上有効な用量は、5日ごとに1回~30日ごとに1回の間で、医学分野の当業者によって決定される期間にわたって患者に投与される。別の実施形態において、その期間は、患者の寿命の残りである。別の実施形態において、その投与頻度は、5日ごとに1回~25日ごとに1回の間である。別の実施形態において、その投与頻度は、5日ごとに1回~21日ごとに1回の間である。別の実施形態において、その投与頻度は、7日ごとに1回~14日ごとに1回の間である。hsNPP1、その生物学的に活性フラグメントまたは融合タンパク質は、5日ごとに1回、6日ごとに1回、7日ごとに1回、8日ごとに1回、9日ごとに1回、10日ごとに1回、11日ごとに1回、12日ごとに1回、13日ごとに1回、または14日ごとに1回、投与され得る。いくつかの実施形態において、hsNPP1、その生物学的に活性フラグメントまたは融合タンパク質は、おおよそ毎週投与される。他の実施形態において、sNPP1、その生物学的に活性フラグメントまたは融合タンパク質は、おおよそ隔週で投与される。一実施形態において、その投与頻度は、約30日間に1回である。処置のために使用される可溶性sNPP1タンパク質、その生物学的に活性フラグメントまたは融合タンパク質の有効投与量が、特定の処置の過程にわたって増大または減少し得ることはまた、認識される。
一実施形態において、約1mg/kgのhsNPP1、生物学的に活性なフラグメントまたは融合タンパク質が、1週間に1回患者に投与される。一実施形態において、約2mg/kgのhsNPP1、生物学的に活性なフラグメントまたは融合タンパク質が、1週間に1回患者に投与される。一実施形態において、約3mg/kgのhsNPP1、生物学的に活性なフラグメントまたは融合タンパク質が、1週間に1回患者に投与される。一実施形態において、約4mg/kgのsNPP1、生物学的に活性なフラグメントまたは融合タンパク質が、1週間に1回患者に投与される。一実施形態において、約5mg/kgのhsNPP1、生物学的に活性なフラグメントまたは融合タンパク質が、1週間に1回患者に投与される。一実施形態において、約6mg/kgmのhsNPP1、生物学的に活性なフラグメントまたは融合タンパク質が、1週間に1回患者に投与される。一実施形態において、約7mg/kgのhsNPP1、生物学的に活性なフラグメントまたは融合タンパク質が、1週間に1回患者に投与される。一実施形態において、約8mg/kgのhsNPP1、生物学的に活性なフラグメントまたは融合タンパク質が、1週間に1回患者に投与される。一実施形態において、約9mg/kgのhsNPP1、生物学的に活性なフラグメントまたは融合タンパク質が、1週間に1回患者に投与される。一実施形態において、約10mg/kgのhsNPP1、生物学的に活性なフラグメントまたは融合タンパク質が、1週間に1回患者に投与される。
hsNPP1、生物学的に活性なフラグメントまたは融合タンパク質は、例えば、皮下注射、筋肉内注射、および静脈内(IV)注入または注射によって投与され得る。
一実施形態において、hsNPP1、生物学的に活性なフラグメントまたは融合タンパク質は、任意の有用な方法によるIV注入によって静脈内に投与される。一例では、hsNPP1、生物学的に活性なフラグメントまたは融合タンパク質は、末梢ラインを通じての静脈内注入によって投与され得る。別の例では、hsNPP1、生物学的に活性なフラグメントまたは融合タンパク質は、末梢から挿入した中心カテーテルを通じた静脈内注入によって投与され得る。
別の実施形態において、hsNPP1、生物学的に活性なフラグメントまたは融合タンパク質は、IV注射によって静脈内に投与される。別の実施形態において、hsNPP1、生物学的に活性なフラグメントまたは融合タンパク質は、腹腔内注射を介して投与される。別の実施形態において、hsNPP1、生物学的に活性なフラグメントまたは融合タンパク質は、皮下注射によって投与される。別の実施形態において、hsNPP1、生物学的に活性なフラグメントまたは融合タンパク質は、筋肉内注射によって投与される。
なお別の実施形態において、hsNPP1、生物学的に活性なフラグメントまたは融合タンパク質は、その治療用タンパク質の薬学的に受容可能なカプセル剤を介して投与される。例えば、そのカプセル剤は、腸溶性コーティングされたゼラチンカプセル剤であり得る。
一実施形態において、その方法は、本発明の可溶性NPP1タンパク質またはNPP1融合タンパク質を、単独で、または他の薬剤と組み合わせて投与することを包含する。例示的な治療剤としては、チアジド系利尿薬(例えば、ヒドロクロロチアジド(Microzide)またはクロルタリドン)、β遮断薬(例えば、アセブトロール(Sectral)またはアテノロール(Tenormin))、アンギオテンシン変換酵素(ACE)インヒビター(例えば、リシノプリル(Zestril)、ベナゼプリル(Lotensin)、またはカプトプリル(Capoten))、アンギオテンシンIIレセプター遮断薬(ARB)(例えば、カンデサルタン(Atacand)またはロサルタン(Cozaar))、カルシウムチャネル遮断薬(例えば、アムロジピン(Norvasc)またはジルチアゼム(Cardizem))、レニンインヒビター(例えば、アリスキレン(Tekturna))、α遮断薬(例えば、ドキサゾシン(Cardura)またはプラゾシン(Minipress))、αβ遮断薬(例えば、カルベジロール(Coreg)またはラベタロール(Trandate))、中枢作用薬剤(例えば、クロニジン(Catapres、Kapvay)、グアンファシン(Intuniv、Tenex)およびメチルドパ)、血管拡張薬(例えば、ヒドララジンおよびミノキシジル)、ならびに/またはアルドステロンアンタゴニスト(例えば、スピロノラクトン(Aldactone)またはエプレレノン(Inspra))が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態において、その単離されたsNPP1タンパク質、フラグメント、および融合タンパク質は、その薬剤の前に、その薬剤の後に、もしくはその薬剤と同時に投与され得るか、または他の公知の治療と同時投与され得る。本発明の単離されたsNPP1タンパク質、フラグメント、および融合タンパク質と、他の治療剤との同時投与は、増大した治療効果を生じる種々の機構を介して機能する2つの薬剤を提供し得る。このような同時投与は、薬物への耐性の発生に起因する問題を解決し得る。
2. sNPP1
本発明は、NPP1の生物学的に活性なNPP1ドメイン(すなわち、天然に存在するNPP1のピロホスファターゼおよび/またはホスホジエステラーゼ活性に関する少なくとも1つの細胞外触媒ドメインを含むNPP1構成要素)を有する可溶性NPP1(例えば、hsNPP1)を使用する。本発明の可溶性NPP1タンパク質は、少なくとも、そのピロホスファターゼおよび/またはホスホジエステラーゼ活性を実行するために必須のNPP1ドメインを含む。
一実施形態において、可溶性NPP1、そのフラグメントおよび融合タンパク質は、機能的なホモダイマーまたはモノマーを形成し得る。別の実施形態において、可溶性NPP1タンパク質またはそのNPP1融合タンパク質は、ピロホスファターゼ活性およびピロリン酸レベルをインビボで増大させる能力に関してアッセイされ得る。
本明細書で提供される方法に従う使用に適した可溶性NPP1化合物、融合パートナー、および融合タンパク質の種々のアミノ酸配列が、本明細書で記載される。配列番号5は、配列番号1のアミノ酸107~925を含む可溶性NPP1のアミノ酸配列を示す。配列番号6は、配列番号1のアミノ酸187~925を含む可溶性NPP1のアミノ酸配列を示す。配列番号7は、ヒンジ領域を含むヒトIgG1のFc領域のアミノ酸配列を示す。配列番号8は、部分的ヒンジ領域を含むヒトIgG1のFcのアミノ酸配列を示す。配列番号9は、NPP1-Fc融合タンパク質のアミノ酸配列を示す。そのNPP1構成要素は、配列番号5を含み、そのFc配列は、ヒンジ領域を含む。配列番号10は、NPP1-Fc融合タンパク質のアミノ酸配列を示す。その可溶性NPP1は、配列番号5を含み、そのFc配列は、部分的ヒンジ領域を含む。配列番号1は、NPP1-Fc融合タンパク質のアミノ酸配列を示す。その可溶性NPP1は、配列番号6を含み、そのFc配列は、ヒンジ領域を含む。配列番号12は、NPP1-Fc融合タンパク質のアミノ酸配列を示す。その可溶性NPP1は、配列番号6を含み、そのFc配列は、部分的ヒンジ領域を含む。
本発明の好ましい可溶性NPP1タンパク質およびNPP1融合タンパク質は、インビボ(例えば、ヒト)で酵素的に活性である。一実施形態において、その可溶性タンパク質は、以下の配列と少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む:
Figure 2023033610000001
配列番号2は、システインリッチ領域、触媒領域およびC末端領域を含むsNPP1のアミノ酸配列である。
可溶性NPP1の任意の所望の酵素的に活性な形態は、本明細書で記載される方法において使用され得る。その酵素的に活性なsNPP1は、適切な酵素アッセイにおいてピロリン酸(PPi)レベルを増大させ得、ピロホスファターゼ活性、ホスホジエステラーゼ活性、またはピロホスファターゼおよびホスホジエステラーゼ活性に関してアッセイされ得る。代表的には、そのsNPP1は、少なくとも、天然に存在する膜貫通NPP1のN末端サイトゾルドメインおよび膜貫通ドメインを欠くNPP1構成要素を含む。
配列番号1は、野生型NPP1タンパク質のアミノ酸配列である。そのサイトゾル領域および膜貫通領域には下線が付される。潜在的Nグリコシル化部位は、太字にされている。その太字にされているアミノ酸モチーフ「PSCAKE」(配列番号17)は、システインリッチ領域を含む可溶性NPP1の開始部である。
好ましい局面において、そのNPP1構成要素は、天然に存在するヒトNPP1のシステインリッチ領域(配列番号1のアミノ酸99~204)および触媒領域(配列番号1のアミノ酸205~591)を含む。代表的には、そのNPP1構成要素はまた、C末端領域(配列番号1のアミノ酸592~925)を含み、配列番号2のアミノ酸配列を有する。しかし、そのC末端領域は、所望される場合には短縮され得る。よって、好ましいNPP1構成要素は、ヒトNPP1のシステインリッチ領域および触媒領域(配列番号1のアミノ酸99~591)、またはヒトNPP1(配列番号2)のシステインリッチ領域、触媒領域およびC末端領域を含む。他の好ましいNPP1構成要素は、そのシステインリッチドメインの一部のみを含み、配列番号1のアミノ酸107~925または配列番号1のアミノ酸187~925の配列を有する。NPP1のシステインリッチ領域(すなわち、配列番号1のアミノ酸99~204)は、そのsNPP1のダイマー化を促進し得る。そのsNPP1は、融合タンパク質を含め、機能的ホモダイマーのうちのモノマーの形態にあり得る。
そのNPP1構成要素のアミノ酸配列は、天然に存在するNPP1配列の改変体であり得るが、ただしそのNPP1構成要素は、酵素的に活性である。NPP1改変体は、酵素的に活性であり、ヒトNPP1の相当する部分と(例えば、システインリッチ領域、触媒領域、C末端領域、システインリッチ領域+触媒領域、システインリッチ領域+触媒領域+C末端領域の長さにわたって)少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%およびより好ましくは少なくとも96%のアミノ酸配列同一性を有する。好ましいNPPl改変体は、(i)配列番号1の残基205~591のアミノ酸配列、(ii)配列番号1の残基99~591のアミノ酸配列、(iii)配列番号1の残基99~925のアミノ酸配列,(iv)配列番号1の残基107~925のアミノ酸配列、または(v)配列番号1の残基187~925のアミノ酸配列と、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%のアミノ酸配列同一性を有する。アミノ酸バリエーションの適切な位置は、NPP1構造研究およびNPP1における疾患関連変異の分析から周知である。例えば、以下のアミノ酸の置換が、NPP1酵素活性を低減するある種の疾患関連変異において起こり、これらの位置でのアミノ酸のバリエーションは、回避されるべきである:Ser216、Gly242、Pro250、Gly266、Pro305、Arg349、Tyr371、Arg456、Tyr471、His500、Ser504、Tyr513、Asp538、Tyr570、Lys579、Gly586;Tyr659、Glu668、Cys726、Arg774、His777、Asn792、Asp804、Arg821、Arg888、およびTyr901(例えば、Jansen, S. et al., Structure 20:1948-1959(2012)を参照のこと)。
一実施形態において、その可溶性NPP1タンパク質は、融合パートナーに組換え融合されるかまたは化学結合される(例えば、共有結合、イオン結合、疎水性結合およびファン・デル・ワールス力)融合タンパク質であり得る。別の実施形態において、その融合タンパク質は、配列番号3または配列番号4と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する。配列番号4は、sNPP1-Fc-D10(配列番号4)のアミノ酸配列である。そのFc配列には下線が付される。
2つのアミノ酸配列のパーセント同一性を決定するために、その配列を、最適な比較目的のために整列させる(例えば、ギャップは、最適なアラインメントのために、第1のおよび第2のアミノ酸配列または核酸配列のうちの一方または両方において導入され得、非相同性配列は、比較目的のために無視され得る)。好ましい実施形態において、比較目的で整列される参照配列の長さは、その参照配列(例えば、配列番号2のsNPP1アミノ酸配列;配列番号1のアミノ酸107~925または配列番号1のアミノ酸187~925)の長さのうちの少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも60%、およびさらにより好ましくは少なくとも70%、80%、または90%である。次いで、相当するアミノ酸位置でのアミノ酸残基またはヌクレオチドが比較される。その第1の配列における位置が、その第2の配列における相当する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドによって占められている場合、その分子は、その位置において同一である(本明細書で使用される場合、アミノ酸は、アミノ酸または核酸「相同性」に対して等しい)。その2つの配列の間のパーセント同一性は、ギャップの数および各ギャップの長さを考慮に入れる場合、その配列によって共有される同一の位置の数の関数であり、そのギャップは、その2つの配列の最適なアラインメントのために導入される必要がある。
2つの配列の間の配列の比較およびパーセント同一性の決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成され得る。好ましい実施形態において、2つのアミノ酸配列の間のパーセント同一性は、GCGソフトウェアパッケージ(www.gcg.comにおいて入手可能)におけるGAPプログラムに組み込まれたNeedleman and Wunsch(J Mol Biol 1970, 48, 444-453)アルゴリズムを使用して、Blosum 62マトリクスまたはPAM250マトリクスのいずれか、およびギャップ重み付け16、14、12、10、8、6、または4および長さ重み付け1、2、3、4、5、または6を使用して決定される。別の実施形態において、2つのアミノ酸の間のパーセント同一性は、ALIGNプログラム(バージョン2.0または2.0U)へと組み込まれたE. Meyers and W. Miller(CABIOS, 1989, 4, 11-17)のアルゴリズムを使用して、PAM120重み付け残基表、ギャップ長ペナルティー12およびギャップペナルティー4を使用して決定される。
そのsNPP1は、本明細書で記載されるとおりのNPP1構成要素からなり得るかまたはこれから本質的になり得る。あるいは、そのsNPP1は、NPP1構成要素および必要に応じて、各場合に適切なリンカーを通じて1またはこれより多くの他のポリペプチド(融合パートナーといわれる)を含む融合タンパク質の形態に、またはNPP1構成要素と別の分子(例えば、PEG)との間の結合体の形態にあり得る。そのsNPP1が融合タンパク質の形態にある場合、各融合パートナーは、好ましくは、そのNPP1構成要素に対してC末端側に位置する。いかなる特定の理論によっても拘束されることは望まないが、システインリッチ領域および触媒領域を含むNPP1構成要素を含む融合タンパク質、ならびにそのNPP1構成要素に対してC末端側に位置する1またはこれより多くの融合タンパク質は、NPP1融合タンパク質の他の構成よりも好ましいと考えられる。なぜならそれらは、治療用タンパク質として使用されるために十分なレベルで発現され得かつ十分に安定であり得るからである。
任意の適切な融合パートナーが、その融合タンパク質に含められ得る。有利なことには、多くの融合パートナーが、当該分野で周知であり、これは、ある種の利点(例えば、低減した凝集および免疫原性、増大した溶解度、改善された発現および/または安定性、ならびに改善された薬物動態および/または薬力学性能)を提供し得る。例えば、Strohl, W.R. BioDrugs 29:215-239(2015)を参照のこと。例えば、アルブミン、アルブミンフラグメントまたはアルブミン改変体(例えば、ヒト血清アルブミンおよびそのフラグメントまたは改変体)が、融合タンパク質に組み込まれ得ること、およびこのような融合タンパク質が容易に精製され得、安定であり得、かつ改善された血漿半減期を有し得ることは、周知である。sNPP1融合タンパク質において使用され得る適切なアルブミン、アルブミンフラグメントおよびアルブミン改変体は、例えば、WO 2005/077042A2およびWO 03/076567A2(これらの各々は、その全体において本明細書に参考として援用される)に開示される。ヒトトランスフェリンへの融合物はまた、半減期を改善することが公知である。例えば、Kim BJ et al., J Pharmacol Expr Ther 334(3):682-692(2010);およびWO 2000/020746を参照のこと。アルブミンまたはトランスフェリンに結合するペプチド(例えば、抗体または抗体フラグメント)がまた、使用され得る。例えば、EP 0486525 B1、US 6,267,964 B1、WO 04/001064A2、WO 02/076489A1、WO 01/45746、WO 2006/004603、およびWO 2008/028977を参照のこと。同様に、免疫グロブリンFc融合タンパク質は周知である。例えば、Czajkowsky DM et al., EMBO Mol Med 4(10):1015-1028(2012)、米国特許第7,902,151号;および米国特許第7,858,297号(これらの教示全体は、それらの全体において本明細書に参考として援用される)を参照のこと。その融合タンパク質はまた、CTP配列を含み得る(Fares et al., Endocrinol 2010, 151, 4410-4417; Fares et al., Proc Natl Acad Sci 1992, 89, 4304-4308;およびFuruhashi et al., Mol Endocrinol 1995, 9, 54-63もまた参照のこと)。好ましくは、その融合パートナーは、免疫グロブリンのFc(例えば、FcまたはヒトIgG1)である。そのFcは、ヒトIgG1のCH1、CH2およびCH3を、および必要に応じて、望ましい場合に、ヒトIgG1ヒンジ領域(EPKSCDKTHTCPPCP(配列番号13))またはヒトIgG1ヒンジ領域の一部(例えば、DKTHTCPPCP(配列番号14)またはPKSCDKTHTCPPCP(配列番号15))を含み得る。いくつかの融合タンパク質では、そのFcは、ヒトIgG1のCH2およびCH3、または望ましい場合、ヒトIgG2もしくはヒトIgG4のFcを含み得る。
好ましくは、そのsNPP1融合タンパク質は、NPP1構成要素およびその融合タンパク質の半減期を増大させるペプチド、最も好ましくは免疫グロブリンのFc(例えば、FcまたはヒトIgG1)を含む。本明細書で使用される場合、「融合タンパク質の半減期を増大させるタンパク質」とは、可溶性NPP1または生物学的に活性なフラグメントに融合される場合、その可溶性NPP1ポリペプチド単独またはNPP1の生物学的に活性なフラグメント単独の半減期と比較して、その可溶性NPP1ポリペプチドまたは生物学的に活性なフラグメントの半減期を増大させるタンパク質をいう。
一実施形態において、そのNPP1融合タンパク質の半減期は、そのNPP1ポリペプチドまたは生物学的に活性なフラグメント単独の半減期と比較して、50%増大される。別の実施形態において、そのNPP1融合タンパク質の半減期は、そのNPP1ポリペプチドまたは生物学的に活性なフラグメント単独の半減期と比較して、60%増大される。別の実施形態において、そのNPP1融合タンパク質の半減期は、そのNPP1ポリペプチドまたは生物学的に活性なフラグメント単独の半減期と比較して、70%増大される。別の実施形態において、そのNPP1融合タンパク質の半減期は、そのNPP1ポリペプチドまたは生物学的に活性なフラグメント単独の半減期と比較して、80%増大される。別の実施形態において、そのNPP1融合タンパク質の半減期は、そのNPP1ポリペプチドまたは生物学的に活性なフラグメント単独の半減期と比較して、90%増大される。
別の実施形態において、そのNPP1融合タンパク質の半減期は、そのNPP1ポリペプチドまたは生物学的に活性なフラグメント単独の半減期と比較して、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、または10倍増大される。タンパク質または融合タンパク質の半減期を決定するための方法は、当該分野で周知である。例えば、Zhou et al., Determining Protein Half-Lives, Methods in Molecular Biology 2004, 284, 67-77は、タンパク質の半減期を試験するための多くの方法を開示する。望ましい場合、その融合タンパク質は、半減期を延ばすポリマーまたは他の適切な化合物(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))に結合体化され得、そのNPP1融合タンパク質に結合体化され得る。
一実施形態において、その融合タンパク質の半減期を増大させるペプチドは、CTP配列である(Fares et al., 2010, Endocrinol., 151(9):4410-4417; Fares et al., 1992, Proc. Natl. Acad. Sci, 89(10):4304-4308;およびFuruhashi et al., 1995, Molec. Endocrinol., 9(1):54-63もまた参照のこと)。
別の実施形態において、その融合タンパク質の半減期を増大させるペプチドは、IgのFcドメインである。
融合パートナーはまた、臨床的にまたは生物学的に重要な所望の部位(例えば、石灰化の部位)にその融合タンパク質を標的化するように選択されうる。例えば、骨に対して高親和性を有するペプチドは、米国特許第7,323,542号(その教示全体は、本明細書に参考として援用される)に記載される。石灰化部位へのタンパク質標的化を増大させ得るペプチドは、少なくとも約4個の酸性アミノ酸(例えば、グルタミン酸またはアスパラギン酸)の連続するストレッチを含み得る。代表的には、その融合タンパク質を石灰化部位に標的化するペプチドは、4~20個の間の連続する酸性アミノ酸(例えば、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個または20個の連続する、グルタミン酸およびアスパラギン酸から選択されるアミノ酸)を含む。そのペプチドは、グルタミン酸残基のみからなり得るか、アスパラギン酸残基のみからなり得るか、またはグルタミン酸残基およびアスパラギン酸残基の混合物であり得る。石灰化の部位に標的化するために特に好ましい部分は、Asp10(配列番号18)である。
一実施形態において、本発明のNPP1融合タンパク質は、NPP1ポリペプチドおよび石灰化部位へのタンパク質標的化を増大させる部分(例えば、酸性アミノ酸(例えば、グルタミン酸またはアスパラギン酸)の連続するストレッチ)を含む。
融合タンパク質における使用のための適切なペプチドリンカーは、周知であり、代表的には、可撓性の、伸長したコンフォメーションを取り、そのNPP1構成要素またはその融合パートナーの機能に干渉しない。ペプチドリンカー配列は、任意の組み合わせにおいてGly、His、AsnおよびSer残基を含み得る。その有用なペプチドリンカーとしては、ポリ-Gly、ポリ-His、ポリ-Asn、またはポリ-Serが挙げられるが、これらに限定されない。他のほぼ中性のアミノ酸(例えば、ThrおよびAla)はまた、そのリンカー配列の中で使用されうる。リンカーとして有用に使用されうるアミノ酸配列としては、Maratea et al., Gene 1985, 40, 39-46; Murphy et al., Proc Natl Acad Sci USA 1986, 83, 8258-8262; 米国特許第4,935,233号および米国特許第4,751,180号に開示されるものが挙げられる。他の適切なリンカーは、天然に存在するタンパク質から得られ得る(例えば、免疫グロブリンのヒンジ領域)。好ましい合成リンカーは、(GlySer)であり、ここでnは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である(配列番号19)。好ましくは、nは3または4である。例えば、いくつかの実施形態において、そのリンカーは(GlySer)(配列番号16)であり、その融合タンパク質は、アミノ酸配列 GlyGlyGlyGlySerGlyGlyGlyGlySerGlyGlyGlyGlySer(配列番号16)を有するリンカーを含む。代表的には、そのリンカーは、1~約50アミノ酸残基の長さ、または1~約25アミノ酸の長さである。頻繁には、そのリンカーは、約8~約20アミノ酸の間の長さである。
好ましいNPP1融合タンパク質は、N末端からC末端に、NPP1構成要素、必要に応じてリンカー、免疫グロブリンのFc領域(例えば、ヒンジまたはその一部を必要に応じて含むヒトIgG1 Fc)、必要に応じて第2のリンカー、および必要に応じて標的化部分を含む。従って、そのFc領域およびその必要に応じた標的化部分は、存在する場合、各々、そのNPP1構成要素に対してC末端側に位置する。そのNPP1構成要素は好ましくは、NPP1のシステインリッチ領域および触媒ドメインを含み、N末端のサイトゾルドメインおよび膜貫通ドメインを欠き、必要に応じてC末端領域を含む。
好ましい融合タンパク質は、N末端からC末端に、ヒトNPP1のシステインリッチドメイン、触媒ドメインおよびC末端領域を含むNPP1構成要素;ならびにヒト免疫グロブリンのFc領域(ヒンジを含む)を含む。好ましくは、そのFc領域は、ヒトIgG1に由来する。特定の実施形態において、その融合タンパク質は、配列番号3と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する。配列番号3は、sNPP1-Fc融合タンパク質のアミノ酸配列である。
このタイプの好ましい融合タンパク質は、配列番号3のアミノ酸配列を有する。
別の好ましい融合タンパク質は、N末端からC末端に、ヒトNPP1のシステインリッチドメイン、触媒ドメインおよびC末端領域を含むNPP1構成要素;リンカー(例えば、(GlySer)(配列番号16));ならびにヒト免疫グロブリンのFc領域(ヒンジを含む)を含む。好ましくは、そのFc領域は、ヒトIgG1に由来する。
別の好ましい融合タンパク質は、N末端からC末端に、ヒトNPP1のシステインリッチドメイン、触媒ドメインおよびC末端領域を含むNPP1構成要素;ヒト免疫グロブリンのFc領域(ヒンジまたはその一部を含む);ならびにその融合タンパク質を石灰化部位に標的化する部分を含む。好ましくは、そのFc領域は、ヒトIgG1に由来する。好ましくは、その融合タンパク質を石灰化部位に標的化する部分は、Asp10(配列番号18)である。より好ましくは、そのFc領域は、ヒトIgG1に由来し、その融合タンパク質を石灰化部位に標的化する部分は、Asp10(配列番号18)である。特定の実施形態において、その融合タンパク質は、配列番号4と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する。このタイプの好ましい融合タンパク質は、配列番号4のアミノ酸配列を有する。
別の好ましい融合タンパク質は、N末端からC末端に、ヒトNPP1のシステインリッチドメイン、触媒ドメインおよびC末端領域を含むNPP1構成要素;リンカー(例えば、(GlySer)(配列番号16));ヒト免疫グロブリンのFc領域(ヒンジまたはその一部を含む);ならびにその融合タンパク質を石灰化部位に標的化する部分を含む。好ましくは、そのFc領域は、ヒトIgG1に由来する。好ましくは、その融合タンパク質を石灰化部位に標的化する部分は、Asp10(配列番号18)である。より好ましくは、そのFc領域は、ヒトIgG1に由来し、その融合タンパク質を石灰化部位に標的化する部分は、Asp10(配列番号18)である。
別の好ましい融合タンパク質は、N末端からC末端に、ヒトNPP1のシステインリッチドメインの一部、触媒ドメインおよびC末端領域を含むNPP1構成要素;必要に応じてリンカー(例えば、(GlySer)(配列番号16));ヒト免疫グロブリンのFc領域(ヒンジまたはその一部を含む)を含む。好ましくは、そのFc領域は、ヒトIgG1に由来する。特定の実施形態において、その融合タンパク質は、配列番号9、配列番号10、配列番号11、または配列番号12と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する。このタイプの好ましい融合タンパク質は、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12のアミノ酸配列を有する。
特に好ましい局面において、配列番号3の融合タンパク質は、本明細書で記載される方法に従って投与される。他の特に好ましい局面において、配列番号4の融合タンパク質は、本明細書で記載される方法に従って投与される。他の特に好ましい局面において、配列番号9の融合タンパク質は、本明細書で記載される方法に従って投与される。他の特に好ましい局面において、配列番号10の融合タンパク質は、本明細書で記載される方法に従って投与される。他の特に好ましい局面において、配列番号11の融合タンパク質は、本明細書で記載される方法に従って投与される。他の特に好ましい局面において、配列番号12の融合タンパク質は、本明細書で記載される方法に従って投与される。
本発明の融合タンパク質は、標準的な方法(当該分野で周知の組換え技術または化学的結合体化が挙げられる)を使用して調製されうる。本発明の核酸およびタンパク質を単離および特徴付けするために有用な技術は、当業者に周知であり、標準的な分子生物学および生化学マニュアルは、過度の実験なしに使用するための適切なプロトコルを選択するように調べられ得る。例えば、Sambrook et al., 1989, 「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」, 第2版, Cold Spring Harbor(その内容は、その全体において本明細書に参考として援用される)を参照のこと)。
単離された組換えヒトsNPP1、そのフラグメント、および融合タンパク質は、任意の有用なタンパク質発現系において生成されうる(細胞培養物(例えば、CHO細胞、COS細胞、HEK203)、細菌(例えば、Escherichia coli(E.coli))およびトランスジェニック動物(哺乳動物および鳥類(例えば、ニワトリ、ウズラ、アヒルおよびシチメンチョウ)が挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられるが、これらに限定されない)。発現のために、構築物は、そのsNPP1をコードし、sNPP1の配列とインフレームでかつ適切な発現制御エレメントに作動可能に連結された適切なシグナル配列(例えば、ヒトIg重鎖、NPP2、NPP4、NPP7またはヒト血清アルブミンに由来するような)を含む。
sNPP1(その融合タンパク質、および生理学的に受容可能な塩形態を含む)は、代表的には、本明細書で記載される方法に従う投与のための薬学的組成物へと製剤化される。薬学的組成物は、代表的には、薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤を含む。このようなキャリア(複合分子を含む)を含む組成物は、周知の従来の方法によって製剤化される(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 第14版, Mack Publishing Co., Easton, PA)(その教示全体が、本明細書に参考として援用される)を参照のこと)。そのキャリアは、希釈剤を含み得る。一実施形態において、その薬学的キャリアは、液体であり得、その融合タンパク質は溶液の形態にあり得る。その薬学的キャリアは、ワックス、脂肪、またはアルコールであり得る。別の実施形態において、その薬学的に受容可能なキャリアは、散剤、凍結乾燥散剤、または錠剤の形態にある固体であり得る。一実施形態において、そのキャリアは、リポソームまたはマイクロカプセルを含み得る。その薬学的組成物は、希釈剤での再構成の際の注射用滅菌凍結乾燥散剤の形態にあり得る。その希釈剤は、注射用水、注射用静菌水、または滅菌生理食塩水であり得る。その凍結乾燥散剤は、その融合タンパク質の溶液を凍結乾燥させて、乾燥形態にあるそのタンパク質を生成することによって生成されうる。当該分野で公知であるように、その凍結乾燥タンパク質は、概して、そのタンパク質の液体液剤より増大した安定性およびより長い貯蔵寿命を有する。
均等物
当業者は、慣用的に過ぎない実験法を使用して、本明細書で記載される具体的実施形態の多くの均等物を認識または確認し得る。このような均等物は、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。任意の複数の従属請求項または実施例の中で開示される実施形態の任意の組み合わせは、本掲示の範囲内にあることが企図される。
援用の表示
本明細書で言及される各々のおよびあらゆる米国および外国特許、ならびに係属中の特許出願および刊行物の開示は、配列表および図面の内容と同様に、その全体において本明細書に参考として具体的に援用される。
本発明は、以下の実施例によってさらに例示される。実施例は、例証目的に過ぎず、本発明をいかなる様式でも限定することは意図されず、そのように解釈されるべきではない。
実施例1:Asj-2Jマウスにおける心血管血行動態および機能に対するhEnpp1処置の評価
実験を、Enpp1処置がAsj-2Jマウスにおいて上昇した血圧および左室肥大を改善するか否か決定するために行った。2週齢のEnpp1asj-2Jマウスに、2100U/kgのhEnpp1-Fc(TSAC 2.7)を1日おきに(EOT)、6週間の過程にわたって皮下に与えた。ビヒクル処置野生型マウスおよびAsj-2jマウスを、コントロールとして供した。7週齢の時に、そのマウスを、主要評価項目および二次評価項目の評価のために、第3者である分析者に輸送した。投与を、その試験期間中を通して(すなわち、11週目まで)その分析者によって継続した。主要評価項目は、以下を含んだ:心エコー図(心臓の寸法、心拍数(「HR」)および短縮率(「FS」)、終末部血行動態(収縮期動脈圧(「SAP」)、拡張期動脈圧(「DAP」)、平均動脈圧(「MAP」)、脈圧(「PP」)、心拍数(「HR」)、左室圧(「LVP」))、圧容積ループ(心臓コンプライアンスおよび収縮性)、ならびに大動脈および洞毛(vibrissae)の石灰化。二次評価項目は、ENPP1タンパク質、ピロリン酸(PPi)、および
ADAを含んだ。
図1A~1Cに示されるように、6週間の処置後のENPP1処置Asj-2Jマウスにおいて、石灰化の低減はなく、血漿ピロリン酸(PPi)レベル(図1D)、および高血漿ADAレベル(図1E)の増大はなかった。図2に示されるように、その6週間の処置の最後の用量の24時間後に、ENPP1処置Asj-2JマウスにおいてPPIレベルの増大はなかった。しかし、図3A~3Dに示されるように、ENPP1処置は、Asj-2Jマウスにおいて上昇した血圧を下げた。さらに、図4A~4Bに示されるように、ENPP1処置は、ASJ-2Jマウスにおいて上昇した左室拡張終期圧および収縮終期圧を下げた。
圧容積ループを、インタクトな心機能、ならびに心臓のコンプライアンス(スティフネス)および収縮性を評価するために使用した。圧容積ループは、完全心周期の間のLV圧およびLV容積両方の同時リアルタイム測定を提供する。「ESPVR」とは、任意の所定のLV容積において心室で発生し得る最大圧を説明する(例えば、それは心筋収縮性の尺度である)。「EDPVR」は、心室に関する受動的充満曲線(passivefilling curve)を説明し、受動的心室スティフネス(passive chamber stiffness)の尺度である(例えば、それは、心室のスティフネスの尺度である)。「PRSW」は、1回仕事量とEDVとの間の関係を説明する(例えば、それは心筋収縮性の尺度である)。図5A~5Cに示されるように、圧容積ループは、ASJ-2Jマウスにおいて、ENPP1処置が心室スティフネス(EDPVR)を低減しかつ収縮性(PRSW)を増大することを示す。
心エコー図(「ECHO」)は、心臓の部屋(chamber)、弁、壁および心臓に付属す
る血管(大動脈、動脈、静脈)の映像を作るために高周波数音波(超音波)を使用する検査である。図6A~6Jに示されるように、心エコー図の結果は、LV拡張期前/後壁厚、内部寸法、拡張終期面積、および推定LV質量において変化がなかったので、Asj-2Jマウスが左室肥大を有しないことを示唆する。
まとめると、Enpp1処置は、Asj-2Jマウスにおいて観察された上昇した血圧(SBP、DBP、MBP)および左室圧を改善した。HRには影響を及ぼさなかった。圧容積ループデータは、Asj-2Jが増大した心室スティフネス(EDPVR)および低減した収縮性(PRSW)を有すること、その両者がEnpp1処置によって救済されたことを示唆する。(BWに正常化した)Asj-2JマウスのECHO分析は、心臓の寸法および面積に変化がないことを示した。これは、左室肥大の兆候がないことを示唆する。全体として、石灰化の低減はなかったものの、心血管機能における顕著な改善が、Enpp1処置で観察された。
このことは、心血管機能における改善が、石灰化とは無関係の効果(例えば、アデノシンシグナル伝達)に起因しうることを示唆する。
実施例2: 若齢のAsj-2Jマウスにおける血行動態手順の実現性の評価
Enpp1が、4週齢のAsj-2Jマウス(上昇した石灰化が検出される前)において血圧を改善し得る場合、血圧におけるEnpp1誘導性の改善が、石灰化における改善とは無関係であり、従って、アデノシンシグナル伝達および筋内膜増殖(myointimal proliferation)に対するEnpp1の考えられる役割を示唆すると仮定された。よって、予備研究を行って、若齢のWTおよびAsj-2Jマウスにおいて血行動態手順の実現性を評価する。
主目的は、4週齢のWTおよびAsj-2Jマウスにおいて血行動態手順のためのカテーテル挿入の実現性を決定すること、血圧が8週齢のマウスに類似の4週齢のAsj-2Jマウスにおいて上昇するか否かを決定すること、およびイソプロテレノール(心拍数および心筋収縮性を増大させるβアドレナリン作動薬)またはフェニレフリン(aアドレナ
リン作動薬;血圧を上昇させるが、心筋の収縮性および拍出量に影響を及ぼさない昇圧剤)のチャレンジが、WTマウスおよびAsj-2Jマウスの応答性において何らかのさらなる差異を明らかにするか否かを決定することである。主要評価項目は、以下を包含する:ベースライン時およびイソプロテレノール/フェニレフリンチャレンジ後の終末部血行動態(例えば、SAP、DAP、MAP、PP、HR、LVP読み出し)。二次評価項目は、血行動態が実現不能である場合、バックアップとしてのECHOを含む(心臓の寸法、HR、FS)。
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Claims (20)

  1. ヒト患者における心血管障害を処置する方法における使用のための、組換えヒト可溶性エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ(hsNPP1)、その活性フラグメントまたは融合タンパク質を含む組成物であって、前記方法が、
    hsNPP1、その活性フラグメントまたは融合タンパク質の1またはこれより多くの用量で前記組成物を前記患者に投与し、それによって、前記組成物の投与後に前記患者における心室スティフネスを低減する工程
    包含し、前記患者が、前記組成物を投与する前に原発性高血圧症を有すると同定されている、組成物。
  2. ヒト患者において心血管障害の重篤度を低減する方法における使用のための、組換えヒト可溶性エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ(hsNPP1)、その活性フラグメントまたは融合タンパク質を含む組成物であって、前記方法が、
    hsNPP1、その活性フラグメントまたは融合タンパクの1またはこれより多くの用量で前記組成物を前記患者に投与し、それによって、前記組成物の投与後に前記患者における心室スティフネスを低減する工程
    包含し、前記患者が、前記組成物を投与する前に原発性高血圧症を有すると同定されている、組成物。
  3. 前記hsNPP1は融合タンパク質である、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 前記融合タンパク質は、免疫グロブリンのFc領域を含む、請求項3に記載の組成物。
  5. 前記融合タンパク質は、標的化部分を含む、請求項3または4に記載の組成物。
  6. 前記標的化部分は、少なくとも8個の連続するアスパラギン酸残基またはグルタミン酸残基(それぞれ、配列番号20および21)を含む、請求項5に記載の組成物。
  7. 前記融合タンパク質は、配列番号3、配列番号4、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12を含む、請求項3に記載の組成物。
  8. 前記1またはこれより多くの用量は、約1.0mg/kg~約20.0mg/kg NPP1を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
  9. 前記1またはこれより多くの用量は、約1.0mg/kg~約5.0mg/kg NPP1を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
  10. 前記1またはこれより多くの用量は、約0.5mg/kg、約1mg/kg、約5.0mg/kg、約6.0mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、または約20mg/kgである、請求項1~7のいずれかに記載の組成物。
  11. 2またはこれより多くの用量のNPP1は、少なくとも3日間、1週間、2週間または1ヶ月間空けて投与される、請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物。
  12. 前記投与は、毎週、隔週、または毎月のものである、請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物。
  13. 前記投与は、静脈内、皮下、または腹腔内のものである、請求項1~12のいずれか1項に記載の組成物。
  14. さらなる治療剤は、前記患者に投与されることを特徴とする、請求項1~13のいずれか1項に記載の組成物。
  15. 前記心室スティフネスの低減は、上昇した血圧の降下および/または血圧の正常化をもたらす、請求項2に記載の組成物。
  16. 前記上昇した血圧の降下は、(i)約140/90ミリメートル水銀柱(mmHg)より高い血圧から約120/80mm水銀柱(mmHg)への降下;および/または(ii)処置後少なくとも5%の血圧の降下;および/または(iii)処置後約1.5倍、約2倍、約2.5倍、約3倍、約3.5倍または約4倍の血圧の降下である、請求項15に記載の組成物。
  17. ヒト患者において心血管障害を処置するための医薬の製造のための、単離された組換えヒトsNPP1、そのフラグメントまたは融合タンパク質の使用であって、前記患者が、前記医薬を投与する前に原発性高血圧症を有すると同定されている、使用。
  18. ヒト患者において心血管障害の重篤度を低減させるための医薬の製造のための、単離された組換えヒトsNPP1、そのフラグメントまたは融合タンパク質の使用であって、前記患者が、前記医薬を投与する前に原発性高血圧症を有すると同定されている、使用。
  19. ヒト患者において心血管障害を処置するための、単離された組換えヒトsNPP1、そのフラグメントまたは融合タンパク質を含む組成物であって、前記患者が、前記組成物を投与する前に原発性高血圧症を有すると同定されている、組成物。
  20. ヒト患者において心血管障害の重篤度を低減させるための、単離された組換えヒトsNPP1、そのフラグメントまたは融合タンパク質を含む組成物であって、前記患者が、前記組成物を投与する前に原発性高血圧症を有すると同定されている、組成物。
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