JP2022516199A - ニューレグリンを用いて心筋損傷を予防、治療、又は緩和するための方法及びそのための組成物 - Google Patents

ニューレグリンを用いて心筋損傷を予防、治療、又は緩和するための方法及びそのための組成物 Download PDF

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Abstract

ニューレグリンを使用する、哺乳動物において心筋損傷を予防、治療、又は遅延させるための方法及び組成物。心筋損傷を低下させるための医薬製剤又は組成物の投与方法、投与頻度及び投薬量。ニューレグリンが心筋梗塞後の心臓機能を改善することができることを、ラット心筋損傷モデルにおいて証明することができ、このことからニューレグリンが心筋梗塞による損傷を予防、治療、又は遅延させるのに使用可能であることが示唆される。【選択図】なし

Description

(発明の分野)
本発明は、哺乳動物において心筋損傷を予防、治療、又は緩和するための薬物の製造についてのニューレグリン(NRG)の使用に関する。また、本発明は、哺乳動物において心筋損傷を予防、治療、又は緩和するためのNRGを含む医薬調製物又は組成物の投与方法、投与頻度、及び投薬量に関する。特に本発明は、心筋損傷を予防、治療、又は緩和するための方法、その目的でNRGを含む医薬組成物、並びに哺乳動物において心筋損傷を予防、治療、又は緩和するための、NRGを含む医薬調製物又は組成物の投与方法、投与頻度、及び投薬量に関する。
(発明の背景)
心血管系の問題は、世界規模で人々の生活及び健康の深刻な脅威となる。心血管疾患には多くの種類があり、心不全、心筋梗塞、冠動脈硬化性心疾患、不整脈、心筋症、心臓弁膜症、感染性心内膜炎、心膜疾患、虚血性心疾患、先天性心疾患などがある。心血管疾患は心筋損傷を引き起こし、心臓機能に影響を及ぼす傾向があり、それにより人体は不調となる。心筋梗塞は、ヒトの健康を深刻に危険にさらす心血管疾患である。人々の生活状態が継続的に改善されるにつれて、虚血性心筋梗塞の発生率は着実に増加している。心筋梗塞とは、主に、冠動脈の閉塞が持続することにより冠血液供給が急激に低下又は中断したことにより引き起こされる、重度及び慢性の心筋虚血によって誘導される虚血性心筋壊死の一種である。虚血性心筋梗塞は心筋細胞壊死及び瘢痕を引き起こし、それによって心臓機能に影響を及ぼす。
心筋梗塞が発生すると、冠動脈は20~30分間閉塞し、その結果血液不足によって心筋細胞の一部が壊死し、心筋梗塞の病理過程が開始する。心筋壊死がますます重篤化するにつれ、大部分の罹患した心筋細胞は2時間後に徐々に凝固性壊死を起こし、同時に大量の炎症性細胞浸潤を伴って心筋間質はうっ血性及び浮腫性となる。心筋壊死過程は、ほぼ6~12時間後に終了する。心筋線維は1~2週間後には溶解する。つまり、マクロファージによって飲み込まれ、徐々に原線維へと分解されて6週間後にはついに壊死したゾーンが線維の密な瘢痕に完全に置き換わる。これは、陳旧性又は回復型心筋梗塞として知られる。
左心室の正常な機能は、心筋梗塞の発生後に顕著な影響を受ける。心臓が大規模な虚血に陥る場合、左心室のポンプ機能が損なわれ、心拍出量、1回拍出量、及び血圧が低下し、同時に梗塞後数週間以内に収縮末期容積が増加し、拡張末期容積が上昇する場合がある。
心室リモデリングは、心筋梗塞後に起こる重大な病理的挙動である。梗塞後心室リモデリングとは、心筋梗塞の発生後に心室梗塞領域及び非梗塞領域の構造及び形態に生じた変化を指す:梗塞領域の変化には、主に梗塞の拡大が含まれる一方、非梗塞領域の変化は主に心室肥大として顕在化する。心室リモデリングの典型的な徴候は、心室性非代償性肥大である:心室の質量の変化、体積増加、及び形態変化により、心室ポンプの機能不全が引き起こされ、これは心不全に進行する可能性がある。心不全の発生及び進行を引き起こす基礎的機序は心室リモデリングである。この症状は、心筋梗塞に続発する持続的かつ進行的な変化である。その重症度によって、患者の心臓機能及び予後が決定される。梗塞後の心室リモデリングは、患者の心臓機能に影響を及ぼし、ヒトの生活を危険にさらす主要な心血管疾患の1つである。
現在、心筋梗塞の主な治療法としては、初期段階の再灌流(血栓溶解療法及び介入性療法を含む)、アンジオテンシン(ANG)II受容体遮断薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、β受容体遮断薬などがある。これらは、梗塞サイズを縮小し、再発性心筋虚血を減少させ、血行再建を改善し、かつ過剰な心室拡張を抑制するのに有効であり、それにより慢性心不全の発生率が低下する。
心筋梗塞の症状は、梗塞のサイズ及び部位、並びに冠動脈側副血管の状態に密接に関連している。主な症状には、疼痛、発熱、頻拍、吐き気、嘔吐、低血圧、ショック、不整脈などがある。心筋梗塞の主な合併症には、乳頭筋機能不全又は破裂、心破裂、心室動脈瘤、塞栓症、梗塞後症候群(PMIS)などがある。
既存の薬物又は介入性療法のほとんどは、心筋梗塞の症状を軽減し得るのみであり、心臓組織の損傷を修復することはできない。心筋梗塞が進行している患者の場合、心臓移植は最後の治療選択肢として心臓機能を改善し、末期患者を救うことができるが、ドナーの不足、手術の複雑さ、免疫拒絶反応、及び治療費が高いことが理由で、臨床的実践において広く応用しづらい。
要約すると、心血管疾患により引き起こされる心筋損傷は、ヒトの健康に深刻な害をもたらす。特に、ヒトの健康を深刻に危険にさらす致命的な疾患である心筋梗塞は、臨床的実践においてより安全かつ効果的な薬物で治療する必要がある。
EGF様ファミリーのメンバーであるニューレグリン(NG)又はヘレグリン(HRG)は、NRG1、NRG2、NRG3、及びNRG4、並びにそれらのアイソマーを含む、構造的に相互に類似した成長分化因子(GDF)の群を指し、これらは、乳癌細胞の分化及び乳タンパク質分泌の刺激(Lessor Tらの文献、JCell Biochem. 1998; 70 (4):587-595);神経堤細胞のシュワン細胞への分化誘導(Topilkoらの文献、Mol Cell Neurosci, 1996; 8 (2-3): 71-75);骨格筋細胞におけるアセチルコリン受容体の合成の刺激(Altiok Nらの文献、EMBO.J. 1995; 14 (17): 4258-4266);心筋細胞生存及びDM合成の促進(Zhao YYらの文献、I Biol Cher. 1998; 273 (17): 10261-10269)における一連の生物学的効果を発揮する。重度のNRG遺伝子欠損を有するマウス胚で実施されたインビボ研究により、心臓及び神経の発達にNRGが必要であることが証明された。
NRG受容体は、FR、ErbB2、ErbB、ErbB4を含むEF受容体ファミリーのメンバーであり、細胞増殖、分化、生存などに重要な役割を果たす。NRG受容体は、細胞外リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞内チロシンキナーゼドメインから構成されるチロシンキナーゼ受容体である。NRGがErbB3又はErbB4の細胞外ドメインに結合すると、コンフォメーション変化がそこで起こり、それによってErbB3/ErbB4若しくはErbB2/ErbB3ヘテロダイマー又はErbB4/ErbB4ホモダイマーが形成され、そのC末端のリン酸化が起こる。リン酸化されたC末端は、細胞内の下流シグナル伝達タンパク質にさらに結合して、AKT及び/又はEKシグナル伝達経路を活性化させ、最終的に細胞増殖、細胞分化、細胞アポトーシス、細胞移動、又は細胞接着の刺激又は阻害などの一連の細胞反応を引き起こすことができる。これらの受容体のうち、ErbB2及びErbB4は主に心臓組織で発現されている(Zhao YYらの文献、Circ Res. 1999; 84 (12): 1380-1387)。
既存の証拠から、50-64アミノ酸を含むNRG-1のEGF様ドメインは、受容体に結合しこれを活性化する能力が高いことが示されている(Culousoou JMらの文献、J Biol Chem. 1995; 270 (21): 12857-12863)。NRG-1βはErbB3及びErbB4と高い親和性で結合できる。ErbB2はErbB3又はErbB4とヘテロダイマーを形成することができ、そのリガンドに対する親和性は、ErbB3又はErbB4のホモダイマーのリガンドに対する親和性よりも高い。神経発生学的研究からは、交感神経系の形成にはNRG-1β、ErbB2、及びErbB3を介したシグナル伝達が要求されることが確認されている(Britsch Sらの文献、Dienes Dev. 1998; 12 (12): 1825-1836)。NRG-1β又はErbB2若しくはErbB4の発現が欠落すると、心臓発達障害による胚性致死が引き起こされる(Gassmann Mらの文献、Nature, 1995; 378(6555): 390-394)。最近の研究から、NRG-1β、ErbB2、及びErbB4は心臓の発達に不可欠であるだけでなく、成体の心臓機能の維持においても非常に重要な役割を果たすことが示されている(Kuramochi Yらの文献、J Mol Cell Cardia1. 2006; 41 (2): 228-235)。NRG-1βは、成体における心筋サルコメアの形成を強化することができることが証明されている。様々な心不全の動物モデルにおいて、NRG-1β EGF様ドメインの摂取によって心臓機能が改善され、心臓機能不全が予防できることが見いだされている(Liuらの文献、J Am Coll Cardiol. 2006; 48: 1438-1447)。また臨床試験では、NRGは様々な病因によって引き起こされる慢性心不全に対する治療効果を示し、心臓機能を顕著に強化する(CN200910057390.5)。また脳虚血-再灌流の動物モデルにおいて、NRG-1は脳細胞に対する顕著な保護的効果を示し、脳細胞のアポトーシスを阻害し、神経機能を強化し、かつ梗塞サイズを減少させた(Li Qらの文献、Neurosci Lett. 2008; 443 (3): 155-159)。心虚血-再灌流によりNRG-1の放出が誘導され、心筋細胞内のNRG/ErbBシグナル伝達経路が活性化すること(Kuramochi Y らの文献、J Biol Chem. 2004; 279 (49): 51141-51147)、及びNRG-1が心虚血-再灌流傷害の予防、治療又は緩和における役割を果たすことの証拠が存在する(WO2011091723)。
心筋損傷はヒトの健康を深刻な危険にさらす致命的な疾患であるが、心筋損傷の治療のためのNRG-1の投与方法、投与頻度、及び投薬量は未だ明確に決定されていない。本発明は、上記ニーズに応えるための方法及びそのためのNRGを含む医薬組成物を提供する。言及する価値があるのは、本発明が特に最適化された投与頻度を提供し、本発明が特に最適化された投薬量を提供し、かつ本発明が特に最適化された投与方法を提供することである。本発明はさらに、哺乳動物において心筋損傷を予防、治療、又は緩和するための薬物の製造についてのNRGの使用に関する。心筋梗塞の治療について、本発明は特に最適化された投与頻度を提供し、本発明は特に最適化された投薬量を提供し、かつ本発明は特に最適化された投与方法を提供する。
(詳細な説明)
(A. 概要)
本発明は、哺乳動物において心筋損傷を予防、治療、又は緩和するための薬物の製造についてのNRGの使用を提供する。本発明はさらに、哺乳動物において心筋損傷を予防、治療、又は緩和するための薬物の製造についてのNRGの使用に関し、哺乳動物は、好ましくはヒトである。NRGは心筋損傷の影響を受ける心臓機能を改善し、心臓リモデリングを減らすことができる。
多くの心血管疾患、例えば心不全、心筋梗塞、冠動脈硬化性心疾患、不整脈、心筋炎、心臓弁膜症、感染性心内膜炎、心膜疾患、虚血性心疾患、先天性心疾患などが心筋損傷を引き起こし得る。心筋損傷は心臓機能に影響を及ぼし、ヒトの健康を危険にさらす。心筋梗塞には、遷延性冠動脈閉塞が併発し、通常心筋細胞のアポトーシス及び壊死、大量の炎症性細胞の浸潤及び心筋線維症を伴い、これらは心筋損傷を誘導する。心筋梗塞の損傷は心臓機能不全を引き起こす傾向があり、従ってヒトの健康に影響を及ぼす。
本発明は、NRGが心臓の発達に不可欠であり、成体の心臓機能の維持において非常に重要な役割を果たすことという科学的発見に基づく;本発明は、NRGが心筋細胞のサルコメア、細胞骨格、細胞間結合の形成を強化することができるという科学的発見に基づく;本発明は、NRGが様々な動物モデル及び臨床試験において心不全を有する動物又は患者の心臓機能を強化することができるという科学的発見に基づく;本発明は、NRGが脳虚血-再灌流の動物モデルにおいて脳細胞の保護的作用を発揮するという科学的発見に基づく;本発明は、NRGが心臓虚血-再灌流の動物モデルにおいて脳細胞の保護的作用を発揮するという科学的発見に基づく;NRG、NRGポリペプチド、及びNRGの突然変異体、又はNRG様機能を有する他の複合体は、すべて本発明の範囲内にある。
第一の態様において、本発明は哺乳動物において心筋損傷を予防、治療、又は緩和するための医薬調製物を提供する。本発明はさらに、哺乳動物において心筋梗塞による損傷を予防、治療、又は緩和するための医薬調製物を提供し、哺乳動物は、好ましくはヒトである。医薬調製物には、有効量のNRG若しくはその機能的断片、又はNRGをコードする核酸若しくはその機能的断片、又はNRGの生産及び/若しくは機能を増加させる物質、並びに医薬として許容し得る担体、賦形剤などが含まれる。医薬調製物は、心筋損傷を予防、治療、又は緩和するための他の薬物又は治療法と組み合わせて使用することができる。一実施態様において、NRGを含む医薬調製物は、哺乳動物左心室のEF値を増加させるのに有効である。別の実施態様において、NRGを含む医薬調製物は、左室拡張末期容積(LVEDV)又は左室収縮末期容積(LVESV)の低下に有効である。別の実施態様において、NRGを含む医薬調製物は、注射器又は別の装置を介して皮下注射する。別の実施態様において、NRGを含む医薬調製物は、インジェクションポンプなどのポンプを介して皮下注射する。いくつかの実施態様において、シリンジポンプはマイクロポンプである。さらなる実施態様において、マイクロポンプはインスリンポンプである。言及する価値があるのは、本発明は、医薬として利用可能な任意の調製物に好適であり、医薬調製物は、上記NRGを含むか、又はNRG及び医薬として許容し得る賦形剤、希釈剤、又は担体を含むことである。本発明で使用する医薬調製物は、本願の内容を含むが、これに限定されない。
第二の態様において、本発明は哺乳動物において心筋損傷を予防、治療、又は緩和するための方法を提供する。本発明はさらに、哺乳動物において心筋梗塞による損傷を予防、治療、又は緩和するための方法を提供し、哺乳動物は、好ましくはヒトである。この方法は、有効量のNRG若しくはその機能的断片、NRGをコードする核酸若しくはその機能的断片、又は哺乳動物において心筋損傷の予防、治療、又は緩和に要求されるNRGの生産及び/又は機能を増加させる物質の使用を含む。他の薬物を、方法、特に有効量のNRG若しくはその機能的断片、NRGをコードする核酸若しくはその機能的断片、又は哺乳動物において心筋損傷を予防、治療、又は緩和するためのNRGの生産及び/又は機能を増加させる物質と組合わせて使用することができる。
第三の態様において、本発明は哺乳動物において心筋損傷を予防、治療、又は緩和するための組成物を提供する。本発明はさらに、哺乳動物において心筋梗塞による損傷を予防、治療、又は緩和するための医薬組成物を提供し、哺乳動物は、好ましくはヒトである。医薬組成物は、哺乳動物において心筋損傷を予防、治療、又は緩和するための本発明によって提供される型のNRG、及び心筋損傷を予防、治療、又は緩和するための他の薬物を含む。医薬組成物はEGF様ドメインを含み、このドメインは受容体に結合し、これを活性化することができることが証明されている。特に、限定することを目的とするものではないが、本発明によって提供されるNRGは、例としてNRG-1β2アイソマーの断片であり、177-237アミノ酸を含む。この断片のアミノ酸配列は以下のとおりである:
Figure 2022516199000001
第四の態様において、本発明は哺乳動物において心筋損傷を予防、治療、又は緩和するために使用する、NRGを含む医薬調製物の投薬量を提供する。本発明はさらに、哺乳動物において心筋梗塞による損傷を予防、治療、又は緩和するために使用する、NRGを含む医薬調製物の投薬量を提供し、哺乳動物は、好ましくはヒトである。有効用量とは、NRGの用量が哺乳動物に適用された場合に、1以上の有益な効果が達成され得ることを意味する。有益な効果は、心筋損傷を有する患者の心臓機能を改善し、その心臓機能のさらなる悪化を予防し、又は心筋損傷によって引き起こされ得る心臓機能不全の悪化を抑制することができる。本発明によって哺乳動物に提供される用量は、0.1μg/kg/日(タンパク質/体重)~360μg/kg/日(タンパク質/体重)である。一実施態様において、用量は0.3μg/kg/日(タンパク質/体重)~50μg/kg/日(タンパク質/体重)である;一実施態様において、有効用量は7.5μg/kg/日であり;一実施態様において、有効用量は15μg/kg/日であり、別の実施態様において、有効用量は30μg/kg/日である。
第五の態様において、本発明は哺乳動物において心筋損傷を予防、治療、又は緩和するための、NRGを含む医薬調製物の投与法を提供する。本発明はさらに、哺乳動物において心筋梗塞による損傷を予防、治療、又は緩和するための、NRGを含む医薬調製物の投与法を提供し、哺乳動物は、好ましくはヒトである。医薬調製物は、経口投与、直腸投与、局所投与、吸入投与、頬側投与(例えば、舌下投与)、非経口投与(例えば、皮下注射、筋肉内注射、皮内注射、又は静脈内注射)、経皮投与、又はその他の適切な方法で取り込むことができる。一実施態様において、NRGは1日に1回のみ投与する。別の実施態様において、NRGは1日に複数回投与する。一実施態様において、NRGは1日に投与する。別の実施態様において、NRGのこの許容用量は数日の内に投与する。別の実施態様において、NRGは1日に複数回、多くの連続日数にわたり投与する。別の実施態様において、NRGは週に2日、1日に複数回、多くの連続週にわたり投与する。別の実施態様において、NRGは週に2日、1日に3回、多くの連続週にわたり皮下注射する。別の実施態様において、NRGは1日に3回、多くの連続日数にわたり皮下注射する。別の実施態様において、NRGは1日に3回、連続した35日間にわたり皮下注射する。別の実施態様において、NRGは1日に3回、連続した38日間にわたり皮下注射する。別の実施態様において、NRGは1日に3回、連続した49日間にわたり皮下注射する。別の実施態様において、NRGは1日に3回、連続した60日間にわたり皮下注射する。別の実施態様において、NRGは1日に3回、連続した35日を超えた日数にわたり皮下注射する。別の実施態様において、NRGは1日に複数回、多くの連続日数にわたり投与し、その後ゆっくりと中断する。別の実施態様において、NRGは1日に複数回、多くの連続日数にわたり投与し、その後3週間かけてゆっくりと中断する:第1週は1日おきに投与し、第2週は3日ごとに投与し;第3週には4日ごとに皮下注射する。別の実施態様において、NRGは1日に3回、連続した38日を超えた日数にわたり皮下注射しその後ゆっくりと中断する。別の実施態様において、NRGは1日3回、連続49日間皮下注射し、その後3週間かけてゆっくりと中断する:第1週は1日おきに投与し;第2週は3日ごとに投与し;第3週は4日ごとに皮下注射する。別の実施態様において、NRGは1日に複数回、多くの連続日数にわたり投与し、その後ゆっくりと1日用量を減らしていく。別の実施態様において、NRGは1日に3回、多くの連続日数にわたり投与し、その後ゆっくりと1日用量を減らしていく。別の実施態様において、NRGは1日に3回、連続した60日を超えた日数にわたり皮下注射しその後ゆっくりと1日用量を減らしていく。別の実施態様において、NRGは1日に3回、連続60日間にわたり皮下注射し、その後3週間かけてゆっくりと中断する:第1週の1日用量は、連続投与した用量の半分とし;第2週の1日用量は、連続投与した用量の4分の1とし;第3週の1日用量は、連続投与した用量の8分の1とする。
本発明はまた、哺乳動物において心筋損傷を予防、治療又は緩和するためのキットを提供する。本発明はまた、哺乳動物において心筋梗塞による損傷を予防、治療、又は緩和するためのキットを提供し、哺乳動物は、好ましくはヒトである。キットは、心筋傷害を予防、治療、又は緩和するための前記医薬調製物又は組成物の単回用量又は複数回用量、及び医薬調製物又は組成物の使用法についての説明書を含む。
本発明によって提供される医薬調製物又は組成物は、心疾患の発生の前、最中、後に投与することができる。予防に使用する場合、医薬調製物又は組成物は一般的に、心疾患が発生する前に投与する。治療に使用する場合、医薬調製物又は組成物は一般的に、心疾患の発生の最中又は後に投与する。一実施態様において、本発明によって提供される医薬調製物又は組成物は、心疾患の発生前に投与する。別の実施態様において、本発明によって提供される医薬調製物又は組成物は、心筋梗塞が発生したときに投与する。別の実施態様において、本発明によって提供される医薬調製物又は組成物は、心疾患の発生の後に投与する。
本発明によって提供される医薬調製物又は組成物は、経口投与、直腸投与、局所投与、吸入投与、頬側投与(例えば、舌下投与)、非経口投与(例えば、皮下注射、筋肉内注射、皮内注射、又は静脈内注射)、経皮投与、又はその他の適切な方法で取り込むことができる。皮下注射は、注射器、ポンプ(微量注入ポンプ)、又は別の投与装置を使用して実施することができる。本発明によって提供される医薬調製物又は組成物の剤形には、これらに限定はされないが、錠剤、トローチ剤、カシェ剤、分散剤、懸濁液、溶液、カプセル、軟膏、及び同様の形態がある。
(B. 定義)
別途定義されない限り、本明細書中で使用するすべての科学用語及び技術用語は、当業者によって理解されているものと同じ意味を有する。すべての特許文書、特許出願文書、公開特許文書、及びその他の刊行物が参考文献として引用される。本節にカバーされる任意の定義が、上記文書中で説明されている意味と異なる意味を有する場合、本節の与える説明が、優先されるものとする。
別途明記されない限り、本明細書で使用する「1つの(a)/1つの(an)」は「少なくとも1つ」又は「1又は複数」を意味する。
本明細書で使用する「哺乳動物」は、非ヒト霊長類(ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラット、マウスなど)又は霊長類(サル、ヒト)を指し、好ましくはヒトである。
本明細書で使用する「心筋損傷」とは、心不全、心筋梗塞、冠動脈硬化性心疾患、不整脈、心筋症、心臓弁膜症、感染性心内膜炎、心膜疾患、虚血性心疾患、又は先天性心疾患などの病理的心疾患によって引き起こされるある種の心筋の損傷を指す。心筋損傷は心臓機能不全を引き起こす傾向があり、それによりヒトの健康に影響を及ぼす。心筋損傷の病因は、オキシラジカルの生産、カルシウム過負荷、損傷領域への好中球浸潤による炎症反応、心筋細胞のアポトーシス又は壊死、エネルギー供給不均衡により引き起こされる組織の代謝障害、心臓シグナル伝達の異常、コレステロール蓄積、及び動脈硬化性プラークの形成を含む、複数の病態生理的変化に関する。
本明細書で使用する「ニューレグリン」又は「NRG」は、ErbB2、ErbB3、ErbB4、又はヘテロダイマー若しくはホモダイマーに結合し、これを活性化し得るタンパク質又はポリペプチドを指す。NRGには、NRGのアイソフォーム、NRGのEGF様ドメイン、NRGのEGF様ドメインを含むポリペプチド、NRGの突然変異体又は誘導体、及び上記受容体を活性化することができるNRGの他の遺伝子産物を含む。また、NRGには、NRG-1、NRG-2、NRG-3、及びNRG-4、ポリペプチド、断片、及びNRG様機能を有する複合体がある。好ましくは、NRGは、ErbB2/ErbB4又はErbB2/ErbB3ヘテロダイマーに結合し、これを活性化することができるタンパク質又はポリペプチドの一種である。一例として、限定を目的とするものではないが、本発明によって提供されるNRG(rhNRG)は、EGF様ドメインを含むNRG-1β2アイソマーの断片、すなわち177-237アミノ酸断片である。この断片のアミノ酸配列は以下のとおりである:
Figure 2022516199000002
本発明において使用するNRGは、上記受容体を活性化し、その生物学的機能を調節することができる。例えば、骨格筋細胞を刺激してアセチルコリン受容体を合成し;心筋細胞の分化、生存、及びDNA合成を促進することができる。NRGは、生物学的機能に実質的に影響を与えない保存的なNRG突然変異体も含む。当業者には明らかである通り、重要でないゾーンでの単一アミノ酸を突然変異させても、タンパク質又はポリペプチドの生物学的機能に変化は生じない(Watsonらの文献、「遺伝子の分子生物学(Molecular Biology of the Gene)」, 4版, 1987, The Bejacmin /Cummings Pub. co., p.224)。本発明で使用するNRGは、天然供給源から抽出することも、組換え技術、人工合成、又は他の手段によって取得することもできる。
本明細書で使用する「EGF様ドメイン」とは、ErbB2、ErbB3、ErbB4、又はそのヘテロダイマー若しくはホモダイマーと結合してこれを活性化することができ、かつ以下の文献:WO 00/64400; Holmesらの文献、Science, 256: 1205-1210 (1992); 米国特許第5,530,109号及び第5,716,930号; Hijaziらの文献、Int. J. Oncol., 13: 1061-1067 (1998); Changらの文献、Nature, 387: 509-512 (1997);Carrawayらの文献、Nature, 387: 512-516 (1997); Higashiyamaらの文献、J. Biochem., 122: 675-680 (1997); 及びWO 97/ 09425に記載のEGF受容体結合ゾーンと類似の構造を有する、NRG遺伝子によってコードされるポリペプチド断片を指す。いくつかの実施態様において、EGF様ドメインはErbB2/ErbB4又はErbB2/ErbB3ヘテロダイマーに結合してこれらを活性化する。いくつかの実施態様において、EGF様ドメインは、NRG-1の受容体結合ゾーンにおけるアミノ酸を含む。いくつかの実施態様において、EGF様ドメインは、NRG-1のアミノ酸177-226、177-237又は177-240を指す。いくつかの実施態様において、EGF様ドメインは、NRG-2の受容体結合ゾーンにおけるアミノ酸を含む。いくつかの実施態様において、EGF様ドメインは、NRG-3の受容体結合ゾーンにおけるアミノ酸を含む。いくつかの実施態様において、EGF様ドメインは、NRG-4の受容体結合ゾーンにおけるアミノ酸を含む。いくつかの実施態様において、EGF様ドメインは、米国特許第5,834,229号に記載のアミノ酸配列を含む:Ala Glu Lys Glu Lys Thr Phe Cys Val Asn Gly Gly Glu Cys Phe Met Val Lys Asp Leu Ser Asn Pro。
NRGは、経口投与、直腸投与、局所投与、吸入投与、頬側投与(例えば、舌下投与)、非経口投与(例えば、皮下注射、筋肉内注射、皮内注射、又は静脈内注射)、経皮投与、又は他の適切な方法で取り込める薬剤とすることができる。全ての投与様式において、大部分の好適な投与経路は、治療条件及び重症度、並びに使用する特定のNRGの特性に応じて、選択する必要がある。NRGは単独で投与することができる。又はより好適には、NRGはいくつかの医薬として許容し得る担体又は賦形剤とともに投与することができる。任意の好適な医薬として許容し得る担体又は賦形剤を、本方法に適用する(レミントン:薬学の科学と実践(Remington: The Science and Practice of Pharmacy), Alfonso R. Gennaro (編) Mack Publishing Company, April 1997)。
本明細書で使用する「ポンプ」は、医薬液体、薬物、タンパク質、及び/又は他の組成物を皮下注射するための投与装置である。ポンプは、継続的かつ正確で定量的な投与に使用することができる。ポンプには、連続的皮下注入のための皮下カテーテルが設けられている。カテーテルは外部に配置することができ、あるいはカテーテルポートをポンプ機構に埋め込むこともできる。微量注入ポンプは、正確な注入に使用できる携帯型で使いやすい装置である。例えば、インスリンポンプは、糖尿病又は他の疾患の治療中にインスリン又は他の薬物を投与するために使用される医療装置である。インスリンポンプはまた、連続的にインスリンを皮下送達するために用いられると考えられる。インスリンポンプには、使い捨ての薄肉プラスチックパイプ又はカテーテルを取り付けることができ、その結果インスリン又はその他の薬物が組織に進入できる。カテーテルは、皮下に挿入して必要に応じて移動させることができる。ポンプは、患者に接続できる外部機器、又は患者の体内に埋め込むことができる機器に取り付けることができる。外部ポンプとは、病院、クリニック、又は同様の場所などの固定された場所で使用するように設計された装置を指す。特に、患者が携行できるポンプ又は同様の装置などの移動式又は携帯型装置を指す。外部ポンプは、流体媒体、例えばこれに限定はされないが、NRGを含む流体媒体を保存できるリザーバを備える。
外部ポンプは、例えば適切な中空チューブを通る流体液を介して患者に接続することができる。中空チューブは中空針に接続することができ、これは注入のために患者の皮膚を突き通すのに使用する。あるいは、中空チューブはカニューレ又は同様の物体を介して患者に直接接続することもできる。外部ポンプは、患者が装着することも、患者の衣服に取り付けることも、患者の衣服の下に取り付けることもできる。適切なポンプは、これらに限定はされないが、高頻度注入に使用可能な微量注入ポンプ、例えばMiniMedParadigm522インスリンポンプ、MiniMedParadigm722インスリンポンプ、MiniMedParadigm515インスリンポンプ、MiniMedParadigm715インスリンポンプ、MiniMedParadigm512Rインスリンポンプ、MiniMed Paradigm712Rインスリンポンプ、MiniMedParadigm508インスリンポンプ、及びMiniMedParadigm508Rインスリンポンプ(Medtronic, Northridge, Canada)、及び当業者に周知されている他の同様の装置を指す。
米国特許11/211,095 (出願日: 8/23/2005、公開番号: US2006/0264894、登録番号US7686787) 及び公開PCT出願WO01/70307 (PCT/US01/09139)、WO04/030716 (PCT/US2003/028769)、WO04/030717 (PCT/US2003/029019)及びWO2013075622 (PCT/CN2012/0849 36)、米国特許US2005/0065760 (インスリンの用量について患者に助言するための方法(Method for Advising Patients Concerning Doses of Insulin)) 及びUS6,589,229 (ウェアラブル埋め込み型薬物注入装置(Wearable Self-Containing Drug Infusion Device))に記載の外部ポンプのような投与装置の例を、本節に引用する。
本明細書で使用する「心筋損傷を予防、治療、又は緩和するために使用することができる他の薬物又は治療法」とは、心筋損傷の治療に一般に適用可能な薬物及び介入性療法並びに心筋梗塞による損傷の治療に一般に適用可能な薬物及び介入性療法を指す。その中でも心筋梗塞を治療するための薬物には、抗血小板薬(アスピリン、クロピドグレルなど)、抗凝固薬(ヘパリン、ビバリルジンなど)、血栓溶解剤(アルテプラーゼ、テネクテプラーゼ、ウロキナーゼ、組み換えヒトプロ-ウロキナーゼなど)、脂質降下薬(スタチン、コレステロール吸収阻害薬)、アンジオテンシン変換酵素阻害薬/ANG II受容体遮断薬、β受容体遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、硝酸エステル、ホスファターゼ阻害薬、利尿薬、レニン-アンジオテンシン-アルドステロンシステム(RAS)拮抗薬、心筋エネルギー調節薬(energy optimizer)、虚血組織代謝改善薬、フリーラジカルスカベンジャーなどがある。介入性療法には、冠動脈介入性療法などがある。
(図面の簡単な説明)
急性心筋梗塞のラットの治療における様々な用量での長期皮下投与によるNRGの効果の心エコー検査結果を示す。 急性心筋梗塞のラットの治療における様々な頻度での長期皮下投与によるNRGの効果の心エコー検査結果を示す。 ラットの急性心筋梗塞に対する長期皮下投与及びそれに続く頻度低下による中断を通じた、NRGの治療効果を示す。 ラットの急性心筋梗塞に対する長期皮下投与及びそれに続く用量低下による中断を通じた、NRGの治療効果を示す。
(実施例)
(実施例1:様々な用量のrhNRGの長期皮下投与によるラット急性心筋梗塞に対する治療効果―NRGの用量効果関係に関する研究)
(1.目的)
左冠動脈結紮による心筋梗塞のラットモデルのラットにおける急性心筋梗塞に対する様々な用量のrhNRGの治療効果を観察することにより、ラットにおける急性心筋梗塞の治療に対するNRGの用量効果関係を調べること。
(2.実験薬)
(2.1 賦形剤: Zensun (Shanghai) Sci & Tech Co., Ltd.によって開発されたもの)
(2.2 rhNRG : Zensun (Shanghai) Sci & Tech Co., Ltd.によって開発されたもの)
(3.実験動物)
(3.1 系統及び供給源:ウィスターラット、Shanghai Sippe-Bk Lab Animal Co., Ltd.により供給)
(3.2 性、体重、及び証明書:雄、200-270g)
(4.実験材料及び装置)
MSS INTERNATIONAL LTD.社製の麻酔装置、イソフルランエバポレータ。
RWD Life Technologies Co., Ltd.社製のイソフルラン 100ml/ボトル。
心臓超音波検出器 Vivid E95。
Ningbo Medical Needle Co., Ltd.社製のNingbo Lingqiao縫合針(糸付き)
(5.実験方法)
(5.1 冠動脈結紮による心不全のラットモデルの確立)
ラットは、ガス麻酔装置を通してイソフルランで麻酔した。続いて、ラットを仰臥位に固定した。胸部の剃毛後、皮膚を75%アルコールで消毒した。左前胸部皮膚の切開後、胸筋を鈍的に分離し、第4肋骨と第5肋骨を露出させた。止血鉗子を用いて、第4肋骨及び第5肋骨の間の筋肉を鈍的に切断した。両手を使用して胸腔外へ心臓を押し出し、肺膨張及び心拍の観察のために心臓を完全に露出させた。左心耳及び肺動脈円錐を完全に露出させて、それらの間にある左前下行冠動脈(LADCA)を外科的縫合により結紮した。結紮後、心臓を素早く元の位置に戻した。続いて、胸筋及び皮膚を縫合した。手術後、ラットをケージに戻し、給餌及び詳細な観察を行った。
(5.2 群分け及び投与)
表1 実験動物の群分け及び投与スケジュール
Figure 2022516199000003
心筋梗塞の動物モデルが確立した日後に投与を開始した。
(5.3 観察指標)
4%イソフルランによる麻酔後、ラットを左横臥位で手術台に固定した。ラットの頭部をガス麻酔器の呼吸マスクに固定し、麻酔の維持にイソフルランを使用した。胸部の剃毛後、皮膚を75%アルコールで消毒し、カップリング剤で被覆した。心エコープローブを使用して、ラット左室からのあらゆるエコー信号を検出した。左室拡張末期径及び左室収縮末期径(D)を測定した。左室の拡張末期容積(EDV)及び収縮末期容積(ESV)を計算した。また、駆出率(EF)値を得た。EF= (EDV-ESV)/EDV×100%。
(5.3.2 データ処理)
全ての実験データは±SDで表した。
(6.実験結果)
(6.1 心エコー検査の結果)
心エコー検査は、NRGの連続投与から60日後に実施した。結果から、賦形剤群のLVEDd、LVEDs、及びEF値はそれぞれ0.971±0.07cm、0.832±0.08cm、及び34.6±7.00%であり;15μg/kg-NRG群のLVEDd、LVEDs、及びEF値はそれぞれ0.975±0.07cm、0.794±0.10cm、及び42.9±11.32%であり; 7.5μg/kg-NRG群のLVEDd、LVEDs、及びEF値はそれぞれ0.965±0.07cm、0.808±0.11cm、及び38.4±12.17%であり;3.75μg/kg-NRG群のLVEDd、LVEDs、及びEF値はそれぞれ0.994±0.08cm、0.839±0.12cm、及び37.0±12.23%であることが示された。LVEDd及びLVEDsのデータによれば、高用量NRG群ではLVEDd及びLVEDsが低下し得る。EF値のデータによれば、高用量、中用量、及び低用量群のラットの心臓機能は全て連続投与の60日後に改善され、3群間には用量効果関係があった。詳細については、表2及び図1を参照されたい。
表2 様々な用量のNRGの60日間の皮下投与による急性心筋梗塞のラットの治療における効果の心エコー検査結果。(x±SD)
Figure 2022516199000004
(7.結論)
rhNRGを用いた60日間の治療後、5μg/kg、2.5μg/kg、1.25μg/kgのNRGを1日3回皮下注射した治療群のEF値は対照群のEF値より高く、3つの用量の間には特定の用量効果関係があった。
(実施例2:様々な頻度のrhNRGの長期皮下投与によるラット急性心筋梗塞に対する治療効果)
(1.目的)
左冠動脈結紮によって引き起こされる心筋梗塞のラットモデルにおいて、様々な頻度での長期皮下投与により、ラットの急性心筋梗塞に対する特定の用量のrhNRGの治療効果を調べること。
(2.実験薬)
(2.1 賦形剤: Zensun (Shanghai) Sci & Tech Co., Ltd.により開発されたもの)
(2.2 rhNRG : Zensun (Shanghai) Sci & Tech Co., Ltd.により開発されたもの)
(3.実験動物)
(3.1 系統及び供給源:ウィスターラット、Shanghai Sippe-Bk Lab Animal Co., Ltd.により供給)
(3.2 性、体重、及び証明書):雄、200-270g。
(4.実験材料及び装置)
実施例1における「4. 実験材料及び装置」と同じである。
(5.実験方法)
(5.1 冠動脈結紮による心不全のラットモデルの確立)
実施例1における「5.1 冠動脈結紮による心不全のラットモデルの確立」と同じである。
(5.2 群分け及び投与)
表3 実験動物の群分け及び投与スケジュール
Figure 2022516199000005
全ての実験動物は、冠動脈結紮後に無作為に群に分けた。結紮後の生存を受け、ラットを体重によって4つの群:賦形剤群(対照群)、NRG 30μg/kg日群、NRG 30μg/kg/BIW群、及びNRG 30μg/kg/日×7+QW群に無作為に分けた。心筋梗塞の動物モデルが確立した日後に投与を開始した。最初の3群及び第4群について、最初の7日間、ラットに1日に3回皮下注射を行い、1日に1回計量した。動物に体重に応じて投薬し、用量は1日30μg/kg/日とした。第4群について、最後の4週間、ラットに週に1日NRGを注射し、1日用量は30μg/kgとした。
(5.3 観察指標)
(5.3.1 心臓機能テスト)
4%イソフルランによる麻酔後、ラットを左横臥位で手術台に固定した。ラットの頭部をガス麻酔器の呼吸マスクに固定し、麻酔の維持にイソフルランを使用した。胸部の剃毛後、皮膚を75%アルコールで消毒し、カップリング剤で被覆した。心エコープローブを使用して、ラット左室からのあらゆるエコー信号を検出した。左室拡張末期径及び左室収縮末期径(D)を測定した。左室の拡張末期容積(EDV)及び収縮末期容積(ESV)を計算した。また、駆出率(EF)値を得た。EF-(EDV-ESV)/EDV×100%。ラットの心臓機能を、心筋梗塞の発症後第1週、第2週、第3週、及び第5週に心エコー検査によって実施した。
(5.3.2 データ処理)
全ての実験データは±SDで表した。
(6.実験結果)
(6.1 心エコー検査の結果)
心エコー検査は、NRGの35日にわたる連続投与の後に実施した。対照群のLVEDd、LVEDs、及びEF値はそれぞれ0.925±0.084cm、0.756±0.107cm、及び42.5±10.174%であり;NRG/30μg/kg/日群のLVEDd、LVEDs、及びEF値はそれぞれ0.879±0.058cm、0.694±0.077cm、及び47.9±8.342%であり; NRG/30μg/kg/BIW群のLVEDd、LVEDs、及びEF値はそれぞれ0.928±0.084cm、0.746±0.110cm、及び45.2±10.248%であり;NRG/30μg/kg/日×7+QW群のLVEDd、LVEDs、及びEF値はそれぞれ0.931±0.070cm、0.760±0.097cm、及び42.7±9.892%であった。
LVEDd及びLVEDsのデータに示されているように、35日にわたる連続投与の後、NRG/30μg/kg/日によりLVEDd及びLVEDsを有意に低下させることができ;EF値のデータによると、EF値はNRG/30μg/kg/日群において対照群よりも有意に高く;EF値はNRG/30μg/kg/BIW群において対照群と比較して上昇傾向を示し、最初の7日間の連続投与に際して、NRG/30μg/kg/日×7+QW群のラットの心臓機能は対照群と比較して、ある程度改善されており、すなわち、心臓機能は上昇傾向を示した。その後、効果を維持するために7日ごとに注射を施した。結果については、表4及び図2を参照されたい。
表4 ラットの心筋梗塞に対する様々な頻度での長期皮下投与を通じたNRGの治療効果の心エコー検査結果(x±SD)
Figure 2022516199000006
(実施例3:ラットの急性心筋梗塞に対する長期皮下投与及びそれに続く頻度低下による中断を通じた、rhNRGの治療効果)
(1.目的)
左冠動脈結紮によって引き起こされる心筋梗塞のラットモデルにおいて、長期投与及びそれに続く頻度低下による中断を通じた、ラットの急性心筋梗塞に対するrhNRGの治療効果を観察すること。
(2.実験薬)
(2.1 賦形剤: Zensun (Shanghai) Sci & Tech Co., Ltd.によって開発されたもの)
(2.2 rhNRG: Zensun (Shanghai) Sci & Tech Co., Ltd.によって開発されたもの)
(3.実験動物)
(3.1 系統及び供給源:ウィスターラット、Shanghai Sippe-Bk Lab Animal Co., Ltd.により供給)
(3.2 性、体重、及び証明書):雄、200-270g。
(4.実験材料及び装置)
実施例1における「4. 実験材料及び装置」と同じである。
(5.実験方法)
(5.1 冠動脈結紮による心不全のラットモデルの確立)
実施例1の「5.1 冠動脈結紮による心不全のラットモデルの確立」と同じである。
(5.2 群分け及び投与)
ラットを冠動脈結紮後に無作為に群に分け、投薬した。結紮後の生存を受け、ラットを賦形剤群及びNRG 30μg/kg群を含む2つの群に無作為に分けた。賦形剤群には19頭のラットがおり、NRG群には18頭のラットがいた。モデル作製後の日から、1日3回、10μg/kgの用量での皮下投与により、医薬品の連続投与を開始した。心エコー検査をモデル作製後第14日に実施した。すべての動物に第38日まで連続的に投薬し、NRG群の動物を心エコー検査によって調べた。NRG群の動物を、平均して2つの亜群に分け、一方の亜群の動物には引き続き投薬し、もう一方の亜群の動物には早期に投薬を中止した。賦形剤群には継続して投薬を行った。NRGを連続投与した亜群について、第49日に3週間の中断計画を実施した:第1週には1日おきに投薬し、第2週には3日ごとに投薬し、第3週には4日ごとにNRGを皮下注射した。投与方法の点につき、上記と全く同じように、ラットに1日3回NRGを皮下注射した。NRG中断亜群については、ラットの臨床症状を観察した。すべての動物に、心臓機能の変化をモニタリングするために毎週心エコー検査を行った。
(5.3 観察指標)
(5.3.1 心臓機能テスト)
4%イソフルランによる麻酔後、ラットを左横臥位で手術台に固定した。ラットの頭部をガス麻酔器の呼吸マスクに固定し、麻酔の維持にイソフルランを使用した。胸部の剃毛後、皮膚を75%アルコールで消毒し、カップリング剤で被覆した。心エコープローブを使用して、ラット左室からのあらゆるエコー信号を検出した。左室拡張末期径及び左室収縮末期径(D)を測定した。左室の拡張末期容積(EDV)及び収縮末期容積(ESV)を計算した。また、駆出率(EF)値を得た。EF=(EDV-ESV)/EDV×100%。
(5.3.2 データ処理)
全ての実験データは±SDで表した。GraphPad Prism6を使用して、一元配置ANOVA分析を行った。P<0.05は群間の有意差を示す。P<0.01は群間の顕著な有意差を示す。
(6.実験結果)
(6.1 心エコー検査の結果)
心エコー検査は、NRGの35日にわたる連続投与の後に実施した。賦形剤群のLVEDd、LVEDs、及びEF値はそれぞれ0.988±0.08cm、0.850±0.10cm、33.6±11.36%であった;NRG群のLVEDd、LVEDs、及びEF値はそれぞれ0.953±0.05cm、0.767±0.06cm、及び44.9±6.09%であった;この結果は、NRGがLVEDd及びLVEDsを有意に低下させて心臓収縮機能を強化し、それにより左室リモデリングを逆行させ得ることを示す。49日の連続投与後、賦形剤群のLVEDd、LVEDs、及びEF値はそれぞれ1.020±0.10cm、0.881±0.15cm、33.1±14.55%であった;NRG中断亜群のLVEDd、LVEDs、及びEF値はそれぞれ0.987±0.05cm、0.807±0.06cm、42.2±5.48%であり、一方、NRG連続投与亜群のLVEDd、LVEDs、及びEF値はそれぞれ0.973±0.07cm、0.783±0.08cm、45.0±5.51%であった;この結果は、NRGの突然の中断がラットの心臓機能に何らかの影響を及ぼすことを示す。NRG連続投与亜群に段階的な中断計画を実施し、薬物中断後第2週に心エコー検査を実施した。早期NRG中断亜群のLVEDd、LVEDs、及びEF値はそれぞれ1.043±0.06cm、0.887±0.06、35.4±6.78%であった;段階的NRG中断亜群のLVEDd、LVEDs、及びEF値はそれぞれ0.989±0.07cm、0.814±0.08及び41.3±4.92%であった。賦形剤群との有意差が認められた。中断後第3週に心エコー検査を実施した。早期NRG中断亜群のLVEDd、LVEDs、及びEF値はそれぞれ1.010±0.06cm、0.842+0.06cm、38.9±5.04%であった;段階的NRG中断亜群のLVEDd、LVEDs、及びEF値はそれぞれ0.976±0.06cm、0.805±0.07cm、40.8±4.67%であった。賦形剤群と比較して、ラットの心臓機能に対するNRGの段階的な中断の効果は緩和された。結果については、表5及び6並びに図3を参照されたい。
表5 NRGの35日間の皮下投与による心筋梗塞のラットの治療における効果の心エコー検査結果(x±SD)
Figure 2022516199000007
***: p<0.001 賦形剤群と比較した治療後の亜群;
**: p<0.01 賦形剤群と比較した治療後の亜群;
*: p<0.05 賦形剤群と比較した治療後の亜群
表6 NRGの38日間の皮下投与後の2つの亜群における心筋梗塞のラットの治療における効果の心エコー検査結果(x±SD)
Figure 2022516199000008
***: p<0.001 賦形剤群と比較した治療後の亜群;
**: p<0.01 賦形剤群と比較した治療後の亜群;
*: p<0.05 賦形剤群と比較した治療後の亜群
(7.結論)
長期の皮下投与及びそれに続く頻度低下による中断を通じて、rhNRGは心筋梗塞のラットの心臓機能を改善し、心臓リモデリングを低下させることができる。
(実施例4:長期間の皮下投与及びそれに続く用量低下による中断を通じた、ラットの急性心筋梗塞に対するrhNRGの治療効果)
(1.目的)
左冠動脈結紮によって引き起こされる心筋梗塞のラットモデルにおいて、長期投与及びそれに続く頻度低下による中断を通じた、ラットの急性心筋梗塞に対するrhNRGの治療効果を観察すること。
(2.実験薬)
(2.1 賦形剤: Zensun (Shanghai) Sci & Tech Co., Ltd.によって開発されたもの)
(2.2 rhNRG : Zensun (Shanghai) Sci & Tech Co., Ltd.によって開発されたもの)
(3.実験動物)
(3.1 系統及び供給源:ウィスターラット、Shanghai Sippe-Bk Lab Animal Co., Ltd.により供給)
(3.2 性、体重、及び証明書):雄、200-270g。
(4.実験材料及び装置)
実施例1における「4. 実験材料及び装置」と同じである。
(5.実験方法)
(5.1 冠動脈結紮による心不全のラットモデルの確立)
実施例1の「5.1 冠動脈結紮による心不全のラットモデルの確立」と同じである。
(5.2 群分け及び投与)
(5.3 観察指標)
ラットを冠動脈結紮後に無作為に群に分け、投薬した。結紮後の生存を受け、ラットを体重により無作為に2群に分けた。1日3回皮下注射を施し、動物を1日1回計量した。動物に体重に応じて投薬した。心エコー検査をモデル作製後第10日に実施した。全ての動物に対し10日ごとに心エコー検査を行い、用量低下後は毎週心エコー検査を行い、中断の完了後に2週間ごとに心エコー検査を行った。全ての動物に第60日まで継続的に投薬し、その後3週間の用量低下による中断計画を実施した。投薬量は、第1週、第2週、第3週でそれぞれ15μg/kg、7.5μg/kg、3.75μg/kgに低下させた。臨床症状を観察するため、3週間の用量低下後に薬物を完全に中断した。
(5.3.1 心臓機能テスト)
4%イソフルランによる麻酔後、ラットを左横臥位で手術台に固定した。ラットの頭部をガス麻酔器の呼吸マスクに固定し、麻酔の維持にイソフルランを使用した。胸部の剃毛後、皮膚を75%アルコールで消毒し、カップリング剤で被覆した。心エコープローブを使用して、ラット左室からのあらゆるエコー信号を検出した。左室拡張末期径及び左室収縮末期径(D)を測定した。左室の拡張末期容積(EDV)及び収縮末期容積(ESV)を計算した。駆出率(EF)値を得た。EF=(EDV-ESV)/EDV×100%。
(5.3.2 データ処理)
全ての実験データは±SDで表した。GraphPad Prism6を使用して、一元配置ANOVA分析を行った。P<0.05は群間の有意差を示す;P<0.01は群間の顕著な有意差を示す。
(6.実験結果)
(6.1 心エコー検査の結果)
心エコー検査は、NRGの60日にわたる連続投与の後に実施した。賦形剤群のLVEDd、LVEDs、及びEFはそれぞれ1.048±0.07cm, 0.910±0.09cm及び32.1±6.6%であった;NRG 30μg/kg/日群のLVEDd、LVEDs、及びEFはそれぞれ0.981±0.08cm、0.794±0.08cm及び43.8±8.0%であった。LVEDd及びLVEDsのデータによると、NRGの毎日投与群のLVEDd及びLVEDsは有意に低下しており、対照群との顕著な有意差を示した(p<0.001)。EF値のデータによると、NRG群のEF値は連続投与の60日後に有意に増加し、対照群との顕著な有意差を示した(p<0.001)。60日後に、頻度を変更せず、用量を低下させた処置を行った。第3週に心エコー検査を実施した。対照群のLVEDd、LVEDs、及びEF値はそれぞれ1.038±0.07cm, 0.899±0.10cm及び32.4+9.5%であった;NRG/30μg/kg/日群のLVEDd、LVEDs、及びEF値は0.981±0.08、0.799±0.08cm及び42.3±11.2%であった。観察のため、3週間の用量低下後に薬物を完全に中断した。対照群のLVEDd、LVEDs、及びEF値はそれぞれ1.065±0.07cm, 0.942±0.10cm及び28.3±9.4%であった;NRG/30μg/kg/日群のLVEDd、LVEDs、及びEF値はそれぞれ0.994±0.08cm、0.826±0.10cm及び39.3±12.7%であった。中断後第9週に心エコー検査を実施した。対照群のLVEDd、LVEDs、及びEF値はそれぞれ1.137±0.08cm, 1.006±0.08cm及び28.0+5.7%であった;NRG/30μg/kg/日群のLVEDd、LVEDs、及びEF値はそれぞれ、1.104±0.08cm、0.950±0.09cm、及び33.4±7.6%であった。中断から9週後、NRG毎日投与群及び対照群の間のLVEDd及びLVEDsには依然として有意差があり;EF値は対照群と比較してなお上昇傾向を示した。結果については、表7、8、9及び図4を参照されたい。
(7.結論)
一定の用量及び様々な投与頻度を考慮すると、rhNRGは連続投与中にラットの心筋梗塞へのいくらかの治療効果を及ぼし、その結果急性心筋梗塞のラットの心臓機能を増強し、心室リモデリングを改善し、かつ心筋梗塞による老化を先送りにした。rhNRGはなお、中断後も長期間にわたり心筋梗塞のラットの心臓機能に顕著な改善効果を及ぼす。
表7 NRGの60日間の皮下投与による心筋梗塞のラットの治療における効果の心エコー検査結果(x±SD)
Figure 2022516199000009
***: p<0.001 賦形剤群と比較した治療後の亜群;
**: p<0.01 賦形剤群と比較した治療後の亜群;
*: p<0.05 賦形剤群と比較した治療後の亜群
表8 NRGの60日間の皮下投与及びそれに続く用量低下から3週間の心筋梗塞のラットの治療における効果の心エコー検査結果(x±SD)
Figure 2022516199000010
***: p<0.001 賦形剤群と比較した治療後の亜群;
**: p<0.01 賦形剤群と比較した治療後の亜群;
*: p<0.05 賦形剤群と比較した治療後の亜群
表9 NRGの第81日での皮下投与の中断後の心筋梗塞のラットの治療における効果の心エコー検査結果(x±SD)
Figure 2022516199000011
***: p<0.001 賦形剤群と比較した治療後の亜群;
**: p<0.01 賦形剤群と比較した治療後の亜群;
*: p<0.05 賦形剤群と比較した治療後の亜群

Claims (10)

  1. 哺乳動物において心筋損傷を予防、治療、又は緩和するための医薬の製造における、ニューレグリン(NRG)又はその機能的断片の使用。
  2. 前記NRGが、NRG-1、NRG-2、NRG-3、又はNRG-4である、請求項1記載の使用。
  3. 前記NRGが、NRG-1である、請求項1記載の使用。
  4. 哺乳動物において心筋梗塞による損傷を予防、治療、又は緩和するのに使用可能な他の薬物又は治療法の使用を含む、請求項1記載の使用。
  5. 前記NRGが哺乳動物の心臓機能を増強させ、心臓リモデリングを低下させる、請求項1記載の使用。
  6. 前記哺乳動物が、ヒトである、請求項1記載の使用。
  7. 哺乳動物において心筋損傷を予防、治療、又は緩和するための組成物であって、有効量のNRG又はその機能的断片を含む、前記組成物。
  8. 哺乳動物において心筋損傷を予防、治療、又は緩和するための方法であって、ニューレグリン(NRG)を2.5μg/kg/日~50μg/kg/日の用量で皮下投与することを含む、前記方法。
  9. 哺乳動物において心筋損傷を予防、治療、又は緩和するための方法であって、ニューレグリン(NRG)を連続日数にわたり1日に複数回投与することを含む、前記方法。
  10. 前記NRGを連続日数にわたり1日に複数回投与し、続いて該NRGをゆっくりと中断することを含む、請求項9記載の方法。
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