JP2023033131A - 二軸配向ポリエステルフィルム、二軸配向ポリエステルフィルムロール、および二軸配向ポリエステルフィルム加工品 - Google Patents

二軸配向ポリエステルフィルム、二軸配向ポリエステルフィルムロール、および二軸配向ポリエステルフィルム加工品 Download PDF

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Abstract

【課題】低光沢性と低表面粗さを両立し、グラフィック用途やラベル用途において好適な白色基材を提供すること。【解決手段】A層を少なくとも1層有する二軸配向ポリエステルフィルムであって、A層はポリエステルを主たる構成成分とし、かつイミド基を主鎖骨格中に含有するポリマーを含有し、A層に無機粒子を含有し、A層が二軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも片側の最外層に配置され、A層側で測定した表面粗さRs(nm)、および60度光沢度Grが下記式(1)、(2)を満たす、二軸配向ポリエステルフィルム。25≦Gr≦75・・・(1)30≦Rs≦100・・・(2)【選択図】なし

Description

本発明は二軸延伸ポリエステルフィルム、二軸配向ポリエステルフィルムロール、および二軸配向ポリエステルフィルム加工品に関するものである。
熱可塑性樹脂フィルム、中でも二軸配向ポリエステルフィルムは、機械的性質、電気的性質、寸法安定性、透明性、耐薬品性などに優れた性質を有することから、磁気記録材料、包装材料、工程紙、ラベルなどの多くの用途において基材フィルムとして広く使用されている。また、デジタルフォトプリント等のグラフィック用途や銘板ラベル等の基材用途では、下地の隠蔽性、印刷の鮮明性および意匠性の要求から白色ポリエステルフィルム基材に粘着層やインキ密着層等の加工層を塗工もしくは転写され用いられている。これら加工層の厚みは、主に印刷層の密着性やハンドリング等の特性により決定されるが、近年の加工プロセスの精度向上により薄膜設計が一般化し、基材に用いられるポリエステルフィルムの表面状態が最終製品の外観や品位に大きく影響する場合がある。特に見る角度による光沢の変動や外光の映り込みを抑制する目的で基材が低光沢表面であることが要求されており、低光沢表面を実現する方法としては、例えばフィルム表面に大径粒子を含有せしめる方法(特許文献1等)や、粒子コーティング(特許文献2等)等がこれまでに検討されている。
特開2004-262055号公報 特開2009-109702号公報
一方で、近年では低光沢表面とした際に、薄膜加工層積層時に基材表面の凹凸や粗大突起による加工抜けが生じる場合があり、改善が望まれている状況となりつつある。
しかしながら、特許文献1や2のいずれの技術も低光沢化に伴い表面粗さが過度に高まることで薄膜加工時の上記課題、すなわち低光沢性と低表面粗さを精度良く両立を達成することは困難であった。そこで本発明は、低光沢性と低表面粗さを両立し、グラフィック用途やラベル用途において好適な白色基材を提供することを目的とするものである。
かかる課題を解決するための本発明の好ましい一態様は以下のとおりである。
[1]A層を少なくとも1層有する二軸配向ポリエステルフィルムであって、A層はポリエステルを主たる構成成分とし、かつイミド基を主鎖骨格中に含有するポリマーを含有し、A層に無機粒子を含有し、A層が二軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも片側の最外層に配置され、A層側で測定した表面粗さRs(nm)、および60度光沢度Grが下記式(1)、(2)を満たす、二軸配向ポリエステルフィルム。
25≦Gr≦75・・・(1)
30≦Rs≦100・・・(2)
[2]前記A層に無機粒子を5.0質量%以上30.0質量%以下含有し、かつ前記無機粒子が酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種類を含み、かつ前記無機粒子の個数平均粒子径が0.10μm以上0.35μm以下である、[1]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[3]前記A層は化学式4で示されるスルホニル基を有するポリエーテルイミドを含む、[1]または[2]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
Figure 2023033131000001
[4]前記無機粒子がアナターゼ型の酸化チタンを含む、[1]~[3]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[5]前記A層において、レーザーラマン散乱法により得られる配向パラメータIaが1.2以上5.0以下である、[1]~[4]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[6][1]~[5]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルムを巻き取ってなるフィルムロールであって、フィルム幅が500mm以上2000mm以下であり、かつ長さが10m以上6000m以下であり、前記二軸配向ポリエステルフィルムの両面における高さ1μm以上の粗大突起密度が0個/m以上1個/10m以下である二軸配向ポリエステルフィルムロール。
[7][1]~[5]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルムの前記A層の表面に、厚みが10nm以上200nm以下のD層を有する、二軸配向ポリエステルフィルム加工品。
本発明によれば、低光沢表面と低表面粗さを両立するグラフィック用途やラベル用途の基材として好適な表面形状の白色基材を得ることができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
<二軸配向ポリエステルフィルム>
本発明の二軸配向ポリエステルフィルム(以下、単に「本発明のフィルム」とも呼ぶ場合もある。)の好ましい一態様は、A層を少なくとも1層有する二軸配向ポリエステルフィルムであって、A層はポリエステルを主たる構成成分とし、かつイミド基を主鎖骨格中に含有するポリマーを含有する二軸配向ポリエステルフィルムである。ここで、フィルム中のある層を構成する成分の内、ポリエステル樹脂の合計質量分率が50質量%以上である場合、当該層はポリエステル樹脂を主たる構成成分である、とする。
ポリエステル樹脂について、好ましい態様を以下に記載する。ポリエステル樹脂とはエステル結合を主鎖に持つ高分子をいうが、本発明に用いるポリエステル樹脂は、ジカルボン酸とジオールとが縮重合した構造を持つポリエステル樹脂が好ましい。ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5-ナトリウムスルホンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、パラオキシ安息香酸などのオキシカルボン酸などの各成分を挙げることができる。また、ジカルボン酸エステル誘導体成分として、上記ジカルボン酸化合物のエステル化物、たとえばテレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸2-ヒドロキシエチルメチルエステル、2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、ダイマー酸ジメチルなどの各成分を挙げることができる。また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)などの脂肪族ジヒドロキシ化合物、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、スピログリコールなどの脂環族ジヒドロキシ化合物、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族ジヒドロキシ化合物など各成分が挙げられる。これらはそれぞれ1種だけであっても2種以上用いられるものであってもよい。また、フィルムとして製膜性に影響が出なければトリメリット酸、ピロメリット酸およびそのエステル誘導体のうち1種以上を少量共重合されたものであっても構わない。
ポリエステル樹脂の具体的な例は、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略称する)、ポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ-1,4-シクロヘキシレンジメチレンテレフタレートなどは安価に入手でき、かつ製膜性も良好であるため、特に好適に用いることができる。
また、ポリエステル樹脂はホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。コポリマーにおける共重合成分としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、炭素数2~15のジオール成分を挙げることができ、これらの例としては、たとえばイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、スルホン酸塩基含有イソフタル酸、およびこれらのエステル形成性化合物、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、数平均分子量400~20,000のポリアルキレングリコールなどを挙げることができる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、A層を少なくとも1層有する二軸配向ポリエステルフィルムであって、A層はポリエステルを主たる構成成分とし、かつイミド基を主鎖骨格中に含有するポリマーを含有することが好ましい。具体的には、A層はポリエーテルイミド(以下、PEIということがある)、ポリイミド(以下、PIということがある)、ポリアミドイミド(以下、PAIということがある)、から選択される1種類以上のポリマーを含有することがより好ましい。上記イミド基を主鎖骨格中に含有するポリマーを含有することで、ポリエステル、およびフィルム表面に凹凸を付与する無機粒子との親和性が高まり凹凸形成の均一性を高め、本願の目的とする従来技術では達成困難であった表面形状を実現することが容易となる。これらのイミド基を主鎖骨格中に含有するポリマーの中でも、ポリエステルとの溶融成形性や取り扱い性、表面突起の形成性などの点から、PEIを含有することが特に好ましい。
ここで、PEIは、イミド基からなるポリイミド構成成分にエーテル結合を含有する樹脂であり、本発明で用いられるイミド基を主鎖骨格中に含有するポリマーは、ポリエステルと良好な親和性を有し、溶融成形性であれば特に限定されないが、例えば、下記化学式1で示されるような構造単位を含有するものが好ましい。なお、ここでいう良好な親和性(相溶性)を有するとは、例えば、ポリエステルとイミド基を主鎖骨格中に含有するポリマーからなるポリマーアロイを用い、未延伸または2軸延伸フィルムを作成し、該フィルム断面を透過型電子顕微鏡で3万~50万倍の倍率で観察した場合、外部添加粒子などの添加物に起因しない直径200nm以上の構造(例えば、分散不良のポリマードメインなど)が観察されないことをいう。ただし、ポリエステルとイミド基を主鎖骨格中に含有するポリマーの親和性を判定する方法は特にこれに限定されるものではなく、また、必要に応じて、温度変調型DSC(示差走査熱量測定)(MDSC)によって単一のガラス転移点が観察されることによって良好な親和性があると判定してもよい。
Figure 2023033131000002
なお、Rは以下のセグメントより選ばれる1種以上であることが好ましい。
Figure 2023033131000003
本発明の二軸配向フィルムを構成するポリエステルとの親和性、コスト、溶融成形性等の観点から、PEIとして、2,2-ビス[4-(2,3-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物とm-フェニレンジアミン、またはp-フェニレンジアミンとの縮合物である、化学式2または化学式3で示される繰り返し単位を有するポリマー、もしくはスルホニル基を含有する化学式4で示される繰り返し単位を有するポリマーが好ましい。これらのPEIは、“ウルテム”(登録商標)の商品名で、SABICイノベーティブプラスチック社より入手可能である。特に本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリエステルとの親和性、コスト、溶融成形性等の観点から、A層がPEIとして、スルホニル基を含有する繰り返し単位を有するポリマーを含むことが特に好ましい。
Figure 2023033131000004
Figure 2023033131000005
Figure 2023033131000006
本発明の二軸配向ポリエステルのA層に含有されるイミド基を主鎖骨格中に含有するポリマーは、該ポリマーを含有する層中の全ての物質の総量を100質量%とした場合に0.1質量%以上5.0質量%以下の含有量であることが好ましい。当該含有量とすることにより、ポリエステル中で微細な分散構造を形成することができ、別途含有する無機粒子の分散均一化が促進され、本発明の目的とする表面形状の形成を可能とする。より好ましくは0.3質量%以上3.0質量%以下であり、0.5質量%以上1.5%以下であると特に好ましい。イミド基を主鎖骨格中に含有するポリマーの含有量が5.0質量%より多い場合には、ポリエステル中での分散径が過剰に大きくなり、また、0.1質量%未満の場合には目的とする効果を十分に発現しない場合がある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、前記A層に無機粒子を含有することが好ましい。無機粒子はイミド基を主鎖骨格中に含有するポリマーとの親和性が良好であり、本願の目的とする表面形状を形成せしめるに足る特性を有するとともに、高い隠蔽性を効果的に発現せしめることができる。当該観点から、前記無機粒子は酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種類を含むことがより好ましく、なかでも、特に表面凹凸の均一性と隠蔽性の観点で酸化チタン粒子を含有することがさらに好ましい。また、酸化チタン粒子としては、二軸配向ポリエステルフィルムの色味を総合した風合いの観点で、アナターゼ型の結晶構造を有する酸化チタンを含むことが特に好ましい。なかでも、A層中に含まれる無機粒子100質量%中にアナターゼ型の結晶構造を有する酸化チタンを50質量%以上含むことが好ましい。
無機粒子の含有量は、A層に含まれる全ての物質の総量を100質量%とした際に5.0質量%以上30.0質量%以下であることが好ましい。該範囲とすることにより、本願の目的とする表面形状の形成、および良好な隠蔽性をより達成しやすい。無機粒子の含有量が8.0質量%以上27.0質量%以下であるとより好ましく、10.0質量%以上25.0質量%以下であると特に好ましい。無機粒子の含有量が5.0質量%未満では十分な隠蔽性が付与できず、30.0質量%以上では本願の目的とする表面形状の形成が達成できない場合がある。なかでも、前記A層に酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種類の無機粒子を5.0質量%以上30.0質量%以下含有することが好ましい。また、前記無機粒子の個数平均粒子径は0.10μm以上0.35μm以下であることが好ましい。当該範囲とすることにより、フィルムの表面粗さを低く抑えかつ低光沢とすることができる。個数平均粒子径が0.10μm未満の場合は低光沢化が困難であり、また、0.35μmより高い場合には表面粗さが過度に高まり薄膜加工層の積層時に抜けが生じる等の不具合が発生する場合がある。個数平均粒子径は0.15μm以上0.30μm以下がより好ましい領域である。なお、無機粒子の含有量や個数平均粒子径は実施例に記載の方法で求めるものとする。
本願発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、少なくとも片側の最外層にA層を有することが好ましい。A層のみからなる単層構成やA層を少なくとも1層以上有する2層以上の複合構成のいずれの構成であってもよい。3層構成の場合は、A/B/Cの3種3層の構成、A/B/Aの2種3層の構成であってもよいが、A/B/Aの順に3層に積層した構成が好ましい。ここでいう、B、C層はA層の構成に該当しない異なる配合の層の名称である。A層とB層をA/B/Aの順に積層することにより、A層に含まれる粒子やイミド基を主鎖骨格中に含有するポリマーのフィルム全体としての含有量を低減することができ、高い製膜安定性と経済性を得ることができる。また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、あるいは4層以上の構成であってもよいが、製膜上の容易さと強度を考慮すると3層構成が好ましい。また、A層とB層は共押出し法により製膜ライン中で一挙に積層された後に、2軸方向に延伸されることが好ましい。A層を構成する分子に配向を付与することにより、異種分子が混在する境界領域の熱的な安定性向上し、加工時のフィルム表面の形状保持性を高めることが可能となる場合がある。
本願発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、A層側から測定した表面粗さRs(nm)、および60度光沢度Grが下記式(1)、(2)式を満たすことが好ましい。
25≦Gr≦75・・・(1)
30≦Rs≦100・・・(2)
表面粗さRs、および60度光沢度Grを上記特定の範囲とすることで、グラフィック用途やラベル用途に好適な表面特性を付与することができる。さらに、下記(3)、(4)式を満たすとより好ましく、(5)、(6)式を満たすことが特に好ましい。
35≦Gr≦65・・・(3)
40≦Rs≦90・・・(4)
40≦Gr≦60・・・(5)
50≦Rs≦80・・・(6)
60度光沢度Grが25未満の場合は、角度を変えた際の光沢度変化が見えやすく外観の均一性が損なわれる場合があり、また、75より大きい場合には低光沢の外観が不十分となる場合がある。表面粗さRsが30nm未満の場合は、薄膜層加工後の搬送性が不十分となる場合があり、また、100nmより大きい場合には薄膜層加工時の加工抜けが発生し易くなる場合がある。
60度光沢度Grおよび表面粗さRsを上記特定の範囲とする方法は、例えば前記特定サイズの無機粒子およびイミド基を主鎖骨格中に含有するポリマーを含有せしめる方法が好ましく挙げられ、なかでも後述する高温緩和工程を適用する方法がより好ましく挙げられる。具体的には2段階以上の弛緩処理により緩和工程を適用する方法が好ましく挙げられ、210℃以上の高温ゾーンにおいて0.5~5.5%の弛緩処理を行い、その後に170℃以上~210℃未満の中温ゾーンにておいて、1.0%~8.0%の弛緩処理を行う方法をより好ましく挙げることができる。好ましく挙げることができる。イミド基を主鎖骨格中に含有するポリマーは無機粒子との親和性が良好であり、しかもポリエステルとも親和性が良好であるので、これら方法により、ポリエステルを主たる構成成分とする層において、小さいサイズの無機粒子を、凝集を抑制しつつ分散させることができ、算術平均粗さRaを小さくできる。しかも、微分散したイミド基を主鎖骨格中に含有するポリマーにより微細な表面凹凸を形成することができ、算術平均粗さRaが小さくとも60度光沢度Grを小さくすることができる。
なお、表面粗さRs(nm)、および60度光沢度Grは実施例に記載の方法で求めるものとする。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、前記A層においてレーザーラマン散乱法により得られる配向パラメータIaが1.2以上5.0以下であることが好ましい。A層を構成する分子に一定の配向を付与することにより、異種分子が混在する境界領域の熱的な安定性が向上し、加工時のフィルム表面の形状保持性を高めることが可能となる場合がある。配向パラメータIaが1.2未満では加工加熱時にフィルム表面の形状保持性が低下する場合があり、また、5.0より高い場合にはA層が分子配向軸方向に裂け易く加工時のハンドリングが悪化する場合がある。Iaは1.5以上4.0以下であるとより好ましく、1.8以上3.5以下であると特に好ましい。配向パラメータIaを前記の好ましい範囲とする方法としては特に限定されないが、A層とB層を共押出し法により製膜ライン中で一挙に積層された後に、2軸方向に延伸される方法などが挙げられる。なお、配向パラメータIaは実施例に記載の方法で求めるものとする。
<二軸配向ポリエステルフィルムロール>
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルム幅500mm以上2000mm以下、かつ長さ10m以上6000m以下のロール形状にて供されることが好ましい。前記ロール形状であることにより、ロールtoロールでの連続加工が可能となり、加工製品の生産性および経済性の観点で優れる。フィルムロールは、紙コア、樹脂含浸コア、ABS等のプラスチックコア、繊維強化プラスチックコア等を巻き芯として用い、所定の幅にスリットしたフィルムを巻き取ることにより得ることができる。
本発明のフィルムロールに巻き取られている二軸配向ポリエステルフィルムは、その両面において、高さ1μm以上の粗大突起密度が0個/m以上1個/10m以下であることが好ましい。当該範囲とすることにより、薄膜層加工時のスポット的なヌケを抑制し品質を安定化させることができる場合がある。高さ1μm以上の粗大突起密度は0個/m以上0.8個/m以下であるとより好ましく、0個/m以上0.6個/m以下であると特に好ましい。高さ1μm以上の粗大突起密度を前記範囲とする方法は特に限定されないが、イミド基を主鎖骨格中に含有するポリマーとカルボ末端基(末端に存在するCOO基)が60eq./t以上100eq./t以下である再生PET原料を併用しベース樹脂の溶融粘度を調整する方法等が挙げられる。その原理は明確でないが、特定のカルボ末端基量を有する再生PET原料を用いることで、イミド基を主鎖骨格中に含有するポリマーの分散安定性が増し、局所的な樹脂凝集およびその結果としての粒子凝集が抑制されるものと考えられる。なお、高さ1μm以上の粗大突起密度は実施例に記載の方法で求めるものとする。
<二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法>
次に本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法について、具体例を挙げて説明する。なお、本発明のフィルムは下記の製法により得られたものに限定されるものではない。
使用する原料を真空乾燥し水分率が50ppm以下となるようにした後、単軸押出機に供給し溶融押出する。この際、樹脂温度は265℃~295℃に制御することが好ましい。その後、冷却固化せしめて未延伸(未配向)PETフィルムを作製する。押出された未延伸シートを冷却されたドラム上で密着冷却固化し、未延伸積層フィルムを得る。このとき、均一なフィルムを得るために静電気を印加してドラム上に密着させることが好ましい。
この未延伸フィルムをロール加熱、必要に応じて赤外線加熱等でポリマーのガラス転移温度(Tg)以上に加熱し、長手方向(以降、MDと呼ぶ)に延伸する(MD延伸)。逐次二軸延伸の場合、MD延伸は2個以上のロールの周速差を利用して行う。MD延伸の倍率は1.5~6.0倍が好ましい。1.5倍以上、より好ましくは2.0倍以上、さらに好ましくは2.8倍以上とすることで、機械特性に優れたフィルムを得ることができる。また、6.0倍以下、より好ましくは4.0倍以下とすることで、製膜中の破断の発生を防ぐことができる。また、MD延伸の温度は、フィルムのTg以上Tg+20℃以下であることが均一な延伸とロール粘着を抑制する観点から好ましい。また、延伸速度は1,000%/分以上200,000%/分以下であることが望ましい。
MD延伸後、続いて、MDと直交する方向(以降、TDと呼ぶ)に延伸して(TD延伸)、熱固定、熱弛緩の処理を順次施して二軸配向フィルムとすることができる。これらの処理はフィルムを走行させながら行う。このとき、TD延伸のための予熱および延伸温度はポリマーのガラス転移温度Tgに対して、Tg以上、Tg+50℃以下で行うのが好ましい。TD延伸の倍率は、2.5~6.0倍が好ましい。2.5倍以上、より好ましくは3.0倍以上とすることで、機械特性に優れたフィルムを生産効率高く得ることができる。6.0倍以下、より好ましくは4.0倍以下とすることで、製膜中の破断の発生を抑制することができる。また、TD方向の延伸速度は1,000%/分以上200,000%/分以下であることが望ましい。
さらに、二軸延伸の後にフィルムの熱処理を行う。熱処理はオーブン中、加熱したロール上など従来公知の任意の方法により行うことができる。熱処理の温度は150℃以上240℃以下とすると高い寸法安定性を付与することができる。熱処理時間は特性を悪化させない範囲において任意とすることができ、好ましくは5秒以上60秒以下、より好ましくは10秒以上40秒以下、最も好ましくは15秒以上30秒以下で行うのがよい。熱処理を行った後に、幅方向、あるいは長手方向に3~15%の弛緩処理を行うが、本工程において特定の段階的な条件設定を適用することにより、表面形状を好ましい形に制御することができる場合がある。具体的には、210℃以上の高温ゾーンにおいて0.5~5.5%の弛緩処理を行い、その後に170℃以上~210℃未満の中温ゾーンにておいて、1.0%~8.0%の弛緩処理を行う方法である。その原理は明確でないが、200℃前後の高いガラス転移温度を示すイミド基を主鎖骨格中に含有するポリマーが微分散していることにより、弛緩状態のミクロスケールにおける不均一性が生じ、さらにガラス転移温度よりも高温、および低温での段階的な弛緩処理をとすることで微細な表面凹凸が形成する現象が起こることが推定される。その後、均一に徐冷後、室温まで冷却し、ロールに巻き取る。
またここでは逐次二軸延伸法によって延伸する場合を例に詳細に説明したが、逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法のいずれを採用してもよい。℃未満の温度で1.0%~8.0%の弛緩処理を行う工程を有することが好ましい。
また、本発明の効果が損なわれない範囲で、前記A層の表面に、厚みが10nm以上200nm以下の易滑性や帯電防止性、紫外光吸収性能、易接着性、耐衝撃性等の機能を有するD層を設けることができる。D層として機能層を設ける場合は種々の塗液を塗布したりすることで設けることができ、フィルム製造時に塗布(インラインコーティング)してもよいし、フィルム製造後の二軸配向ポリエステルフィルム上に塗布(オフラインコーティング)してもよい。D層の厚みが200nmより大きい場合には、本発明の特徴である表面形状が積層されたD層によりレベリングされ、本発明の効果が損なわれる場合があるため好ましくない場合がある。
以下、実施例により本発明を詳述する。なお、各特性値は以下の方法で測定した。
(1)フィルム厚みT
フィルムの幅方向に対する中心部分の断面を5枚切り出し、走査電子顕微鏡(日立製作所製電界放射型走査電子顕微鏡(FE-SEM)S-4000)を用いて、フィルムが厚み方向にわたって視野に収まるよう500~5,000倍に拡大観察し、撮影した断面写真より、フィルム厚みを求めた。
(2)樹脂組成
フィルムをヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解し、H-NMRおよび13C-NMRを用いて各モノマー残基成分や副生ジエチレングリコールについて含有量を定量することができる。積層フィルムの場合は、積層厚みに応じて、フィルムの各層を削り取ることで、各層単体を構成する成分を採取し、評価することができる。なお、本発明のフィルムについては、フィルム製造時の混合比率から計算により、樹脂組成を算出した。
(3)カルボキシル末端基量
ポリエステル原料をクレゾール/クロロホルム(質量比7/3)に95℃で溶解し、アルカリで電位差測定して求めた。
(4)粒子の含有量
A層を構成するポリマー1gを1N-KOHメタノール溶液200mlに投入して加熱還流し、ポリマーを溶解した。溶解が終了した該溶液に200mlの水を加え、ついで該液体を遠心分離器にかけて粒子を沈降させ、上澄み液を取り除いた。粒子にはさらに水を加えて洗浄、遠心分離を2回繰り返した。このようにして得られた粒子を乾燥させ、その質量を量ることで粒子の含有量を算出した。
(5)粒子の個数平均粒子径
ポリエステルフィルムから、ポリエステルをプラズマ低温灰化処理法(ヤマト科学製PR-503型)で除去し粒子を露出させる。これを透過型電子顕微鏡(日立製作所製TEM H7100)を用いて1000~20000倍の倍率で観察し、粒子の画像(粒子によってできる光の濃淡)をイメージアナライザー(ケンブリッジインストルメント製QTM900)に結び付け、観察箇所を変えて粒子数5000個以上で次の数値処理を行ない、それによって求めた数平均径Dを平均粒径とした。
D=ΣDi /N
ここでDi は粒子の円相当径、Nは粒子の個数である。
(6)60°光沢度Gr
JIS-Z-8741(1997年)に規定された方法に従って、スガ試験機製デジタル変角光沢度計UGV-5Dを用いて測定した。フィルムの両側の表面がA層に該当する場合は、フィルム両面(I面/II面)について60°光沢度を各N=3で測定し、その平均値を採用した。フィルムの片方の表面のみがA層に該当する場合は、当該表面の60°光沢度をN=6で測定し、その平均値を採用した。
(7)表面粗さRs
触針法の高精細微細形状測定器(3次元表面粗さ計)を用いてJIS-B0601(1994年)に準拠して、下記条件にてポリエステルフィルムの表面形態を測定する。
・測定装置 :3次元微細形状測定器(型式ET-4000A)(株)小坂研究所製
・解析機器 :3次元表面粗さ解析システム(型式TDA-31)
・触針 :先端半径0.5μmR、径2μm、ダイヤモンド製
・針圧 :100μN
・測定方向 :フィルム長手方向、フィルム幅方向を各1回測定後平均
・X測定長さ:1.0mm
・X送り速さ:0.1mm/s(測定速度)
・Y送りピッチ:5μm(測定間隔)
・Yライン数:81本(測定本数)
・Z倍率 :20倍(縦倍率)
・低域カットオフ:0.20mm(うねりカットオフ値)
・高域カットオフ:R+Wmm(粗さカットオフ値)R+Wとはカットオフしないことを意味する。
・フィルタ方式:ガウシアン空間型
・レベリング:あり(傾斜補正)
・基準面積 :1mm
上記条件にて測定を行い、その後解析システムを用いて表面粗さRsを算出した。
なお、フィルムの両側の表面がA層に該当する場合は、フィルム両面(I面/II面)について各N=3で測定し、その平均値を採用した。フィルムの片方の表面のみがA層に該当する場合は、当該表面をN=6で測定し、その平均値を採用した。
(8)配向パラメータIa
フィルム片をエポキシ樹脂で包埋し、ミクロトームによりフィルム面と垂直に切断して断面サンプルを作製した(断面サンプルにおいては、厚み方向をZ方向、フィルム面と平行な方向をT方向ということがある。)。次いで、ラマンスペクトルの測定装置“inVia”(登録商標)(RENISHAW社製)により、該サンプルのA層相当位置にレーザー光を照射してラマンスペクトルを測定し、得られたラマンスペクトルよりT方向とZ方向における、1615cm-1付近のラマンバンド強度I(1615)TおよびI(1615)Zの強度比Ia(=I(1615)T/I(1615)Z)を求めた(Z方向の強度比IをI(Z)、T方向の強度比IをI(T)ということがある。)。このパラメーターは配向度が高いほど大きな値となり、無配向時は1となる。なお、ラマンスペクトルの測定時の測定条件や検出器は下記のとおりとした。
・測定モード:顕微ラマン
・対物レンズ:×100
・ビーム径:1μm
・光源:YAG 2nd 532nm
・レーザーパワー:10mW
・回折格子:Single -3000gr/mm
・スリット:65μm
・検出器:CCD/RENISHAW 1024×256。
(9)粗大突起数
10m(例えば、1m幅で10m長)相当のフィルムロールについて、スポットライトを光源とし、反射光及び透過光を用いて、光の散乱に基づく輝点に注目しフィルムの表面を肉眼で検査し、粗大突起箇所にペンでマークを付ける。さらに、偏光光源を用いて、クロスニコルによる偏向乱れ輝点を検出する方法も併用する。マークした粗大突起箇所について、下記の測定装置を用いて突起高さを測定し、高さが1μm以上のものをカウントした。高さはフィルム表面から厚み方向への最大高さであり、粗大突起の周りに盛り上がりを生じている場合は、盛り上がりの頂部からフィルム平面までの最大高さを求める。
製造元 :株式会社菱化システム
装置名 :“VertScan”(登録商標)2.0 R5300GL-Lite-AC
測定条件 :CCDカメラ SONY HR-57 1/2インチ
対物レンズ :5x
中間レンズ :0.5x
波長フィルタ:530nm white
測定モード :Focus
測定ソフトウェア : Vs-Measure Version5.5.1
解析ソフトフェア:Vs-Viewer Version5.5.1
測定面積 :1.252×0.939mm
(10)加工性1
幅500mm、長さ2000mの二軸配向ポリエステルフィルムのロールを準備した。かかるフィルムロールのA層側の表面に、下記のプライマー層組成物をダイコーターを用いて、50m/分のフィルム搬送速度で塗布、100℃で乾燥し、乾燥後の厚みが80nmとなるプライマー層を形成した。得られたプライマー層/二軸配向ポリエステルフィルム積層体について、BASF FLX 5000 blueをプライマー層の表面上にウェット状態でおよそ1μmの厚みで塗工し、100℃で乾燥した。その後、得られた印刷サンプルについて、搬送方向に30m間隔で100mm×100mmの大きさのサンプルを20枚切り出した。それぞれのサンプルについてJIS-K5600(1999年)に基づくクロスカット試験を行った(ニチバン社製“セロテープ”(登録商標)CT405AP-18を用いた)。プライマー層加工時の搬送性とクロスカット試験について以下の基準で評価し、C以上を合格とした。搬送性とクロスカット試験の評価結果が異なる場合には、より低い方の評価結果を採用した。
A:シワやキズ等無く搬送が可能であった。クロスカット試験において、剥離した領域が0.30%未満であった。
B:軽微なシワやキズが発生した。クロスカット試験において、0.30%以上1.00%未満が剥離した。
C:はっきりと目視可能なシワやキズが発生した。クロスカット試験において、1.00%以上2.00%未満が剥離した。
D:シワの発生により巻き取りが不可であった。クロスカット試験において、2.00%以上が剥離した。
<プライマー層組成物>
下記のプライマー樹脂組成物を樹脂組成物水溶液の固形分が2%となるように脱イオン水で希釈し、用いた。
DIC株式会社製“ハイドラン”(登録商標)AP-40 50固形分質量%
高松油脂株式会社製“ペスレジン”(登録商標)S-110 30固形分質量%
日清紡ケミカル株式会社製“カルボジライト”(登録商標)V-04 20固形分質量%。
(11)加工性2
(10)に記載の試験において、プライマー層、および印刷層形成時の乾燥条件を160℃とした以外は同様にして、印刷サンプルを作成し、クロスカット試験を上記と同様に行い以下の基準で評価し、C以上を合格とした。
A:剥離した領域が0.30%未満
B:0.30%以上1.00%未満が剥離
C:1.00%以上2.00%未満が剥離
D:2.00%以上が剥離。
(12)印刷外観
(10)で得られた印刷サンプルについて、フィルムを台上に平置きし正面から見た場合と斜め60°、および真横から見た場合の外観について以下の基準で評価し、C以上を合格とした。
A:低光沢であり、いずれの角度からみても均一な光沢感であった。
B:低光沢であるが、正面の視点に対して、真横から見た場合に光沢感が高まり外観のムラが見られた。
C:低光沢であるが、正面の視点に対して、斜め60°から真横の間の角度、および真横から見た場合に光沢感が高まり外観のムラが見られた。
D:低光沢感が不十分、または低光沢であるが、正面の視点に対して、斜め60°、および真横のいずれの場合も光沢感が高まり外観のムラが見られた。
[使用原料]
(1)ポリエステル樹脂(a)
テレフタル酸およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、常法により重合を行い、ポリエチレンテレフタレート(PET)を得た。得られたPETのガラス転移温度は77℃、融点は255℃、固有粘度は0.63dl/g、末端カルボキシル基濃度は40eq./tであった。
(2)ポリエステル樹脂(b)
ポリエステル(a)の重合時に数平均粒子径2.2μmの凝集シリカ粒子を粒子濃度2質量%で添加しポリエチレンテレフタレート粒子マスター(b)を得た。
(3)ポリエステル/ポリエーテルイミド樹脂1(c1)
温度280℃に加熱されたニーディングパドル混練部を3箇所設けた同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機(日本製鋼所製、スクリュー直径30mm、スクリュー長さ/スクリュー直径=45.5)に、上記方法で得られたポリエステル樹脂(a)とSABICイノベーティブプラスチック社製のポリエーテルイミド(PEI)“Ultem”(登録商標)XH6050-1000のペレットを供給して、剪断速度100sec-1、滞留時間1分にて溶融押出し、ポリエーテルイミドを50質量%含有したポリエステル/ポリエーテルイミド樹脂(c1)を得た。
(4)ポリエステル/ポリエーテルイミド樹脂1(c2)
(3)と同様にしてPEIとしてSABICイノベーティブプラスチック社製のポリエーテルイミド(PEI)“Ultem”(登録商標)1010-1000のペレットを用いた以外は(3)と同様にしてポリエステル/ポリエーテルイミド樹脂(c2)を得た。
(5)硫酸バリウムマスター(d)
硫酸バリウム粒子(数平均粒径0.35μm)50質量部と、ポリエステル樹脂(a)を50質量部と二軸押出機にて混練し、硫酸バリウムマスターペレット(d)を得た。
(6)二酸化チタンマスター(e)
ポリエステル樹脂(a)を50質量部とアナターゼ型二酸化チタン粒子(数平均粒径0.22μm)50質量部を二軸押出機にて混練し、二酸化チタンマスターペレット(e)を得た。
(7)二酸化チタンマスター(f)
ポリエステル樹脂(a)を50質量部とルチル型二酸化チタン粒子(数平均粒径0.20μm)50質量部を二軸押出機にて混練し、二酸化チタンマスターペレット(f)を得た。
(8)再生チップ(g)
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを断裁し、温度280℃に加熱されたニーディングパドル混練部を3箇所設けた同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機(日本製鋼所製、スクリュー直径30mm、スクリュー長さ/スクリュー直径=45.5)に供給して得られた再生チップ(g)を得た。得られた再生チップのガラス転移温度は78℃、融点は255℃、固有粘度は0.61dl/g、カルボキシル末端基量は70eq./tであった。
(実施例1~14、16~18、比較例1~4)
表1に示した組成の原料を180℃の温度で6時間真空乾燥した後に、押出機に原料を供給し、280℃の温度で溶融押出後、30μmカットフィルターにより濾過を行った。引き続いて、溶融ポリマーをTダイ口金からシート状に押出して溶融シートとし、当該溶融シートを、表面温度25℃に保たれたドラム上に静電印加法で密着させ冷却固化させて未延伸フィルムとした。
該未延伸フィルムを88℃の温度に加熱したロール群で予熱した後、赤外線ヒーターで両面から照射しながら、長手方向(縦方向)に3.3倍の倍率にて延伸を行い、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。その後、一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の110℃の予熱ゾーンに導き、引き続き115℃で長手方向に垂直な方向(横方向)に3.6倍の倍率にて延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで240℃の温度で熱処理を行い次いで表2に記載の条件で緩和熱処理を施し、均一に徐冷後、ロールに巻き取り、厚さ100μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表3に示す。
(実施例15)
表1に示した組成の原料を180℃の温度で6時間真空乾燥した後に、主押出機にA層の原料を供給し、280℃の温度で溶融押出後、30μmカットフィルターにより濾過を行った。また、副押出機にB層の原料を供給し、290℃の温度で溶融押出後、30μmカットフィルターにより濾過を行った。引き続いて、これらの溶融ポリマーをTダイ複合口金内で、A層がB層の両表層に積層(A/B/A)されるよう合流させシート状に押し出して溶融シートを得た。以降は前記の実施例と同様にして、表2に記載の製造条件で緩和熱処理を行い、厚さ100μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表3に示す。
Figure 2023033131000007
Figure 2023033131000008
Figure 2023033131000009
本発明によれば、低光沢表面と低表面粗さを両立するグラフィック用途やラベル用途の基材として好適な表面形状の白色基材を得ることができる。

Claims (7)

  1. A層を少なくとも1層有する二軸配向ポリエステルフィルムであって、A層はポリエステルを主たる構成成分とし、かつイミド基を主鎖骨格中に含有するポリマーを含有し、A層に無機粒子を含有し、A層が二軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも片側の最外層に配置され、A層側で測定した表面粗さRs(nm)、および60度光沢度Grが下記式(1)、(2)を満たす、二軸配向ポリエステルフィルム。
    25≦Gr≦75・・・(1)
    30≦Rs≦100・・・(2)
  2. 前記A層に無機粒子を5.0質量%以上30.0質量%以下含有し、かつ前記無機粒子が酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種類を含み、かつ前記無機粒子の個数平均粒子径が0.10μm以上0.35μm以下である、請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  3. 前記A層が化学式4で示されるスルホニル基を有するポリエーテルイミドを含む、請求項1または2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
    Figure 2023033131000010
  4. 前記無機粒子がアナターゼ型の酸化チタンを含む、請求項1~3のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  5. 前記A層において、レーザーラマン散乱法により得られる配向パラメータIaが1.2以上5.0以下である、請求項1~4のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルムを巻き取ってなるフィルムロールであって、フィルム幅が500mm以上2000mm以下であり、かつ長さが10m以上6000m以下であり、前記二軸配向ポリエステルフィルムの両面における高さ1μm以上の粗大突起密度が0個/m以上1個/10m以下である二軸配向ポリエステルフィルムロール。
  7. 請求項1~5のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルムの前記A層の表面に、厚みが10nm以上200nm以下のD層を有する、二軸配向ポリエステルフィルム加工品。
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