JP2023032304A - 搬送装置、搬送装置を備えた検体分析システム、および、搬送装置を備えた検体前処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】磁気回路部の接続領域のインダクタンス特性を改善する。【解決手段】搬送装置1は、辺X1に沿って配置された複数の電磁アクチュエータと、辺X1に対向する辺X2に沿って配置された複数の電磁アクチュエータと、辺Y1に沿って配置された複数の電磁アクチュエータと、辺Y1に対向する辺Y2に沿って配置された複数の電磁アクチュエータと、を有する複数の磁気回路部2を備える。辺X1に沿って配置された電磁アクチュエータの数は、辺X2に沿って配置された電磁アクチュエータの数より多く、辺Y1に沿って配置された電磁アクチュエータの数は、辺Y2に沿って配置された電磁アクチュエータの数より多い。電磁アクチュエータの数が多い辺X1又はY1と電磁アクチュエータの数が少ない辺X2又はY2とが隣接するように複数の磁気回路部2を接続する。【選択図】図2
Description
本発明は、例えば、血液や尿などの生体試料(以下、検体と記載)の分析を行う検体分析システムや分析に必要な前処理を行う検体前処理装置に好適な搬送装置、搬送装置を備えた検体分析システムや検体前処理装置に関する。
特許文献1には、搬送平面上において複数の容器キャリアを搬送する配送システムが開示されている。搬送平面の下には、複数の電磁アクチュエータが配置されており、制御デバイスが電磁アクチュエータを駆動することにより、容器キャリアが搬送平面上おいて所望の方向に搬送される。
臨床検査のための検体分析システムでは、血液、血漿、血清、尿、その他の体液等の検体に対し、指示された分析項目の検査を実行する。検体分析システムでは、複数の機能の装置をつなげ、自動的に各工程を処理することができる。つまり、検査室の業務合理化のために、生化学や免疫など複数の分析分野の分析部や分析に必要な前処理を行う前処理部を搬送ラインで接続して、1つのシステムとして運用している。
従来の検体分析システムで用いられている搬送ラインは、主にベルト駆動方式がメインである。このようなベルト駆動方式では、搬送途中でなんらかの異常により搬送が停止してしまうと、それより下流側の装置に検体を供給できなくなる、との問題がある。このため、ベルトの摩耗について十分に注意を払う必要があった。
医療の高度化及び高齢化社会の進展により、検体処理の重要性が高まってきている。そこで、検体分析システムの分析処理の能力の向上のために、検体の高速搬送や大量同時搬送、および、複数方向への搬送が望まれている。そのような搬送を実現する技術の一例として、磁力を使って被搬送体を搬送する技術(特許文献1参照)がある。
特許文献1の図2に示すように、特許文献1の電磁アクチュエータは、格子状に配置されている。図2の下位平面の左辺及び下辺において、電磁アクチュエータは、g2のピッチで配列されている。一方で、図2の搬送平面の右辺及び上辺において、電磁アクチュエータは、g1(=g2/2)のピッチで配列されている。
特許文献1には、下位平面を複数組み合わせて搬送平面を構成することが開示されているが、下位平面同士をどのように接続するかまでは開示されていない。下位平面の電磁アクチュエータが密の箇所が隣接するように下位平面を接続したり、下位平面の電磁アクチュエータが疎の箇所が隣接するように下位平面を接続したりすると、当該接続領域のインダクタンス特性が他の箇所のインダクタンス特性と異なってしまう。その結果、被搬送体に加わる推力がばらついたり、被搬送体の位置の推定精度が悪化したりして、被搬送体を安定して搬送することができないといった課題があった。
本発明は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、磁性体からなるティース及びティースに巻かれた巻線を有する電磁アクチュエータが格子状に配列された磁気回路部を複数接続した搬送装置であって、略四辺形の磁気回路部の各々は、対向する辺の一方の辺に沿って配置された複数の第1電磁アクチュエータと、対向する辺の他方の辺に沿って配置された複数の第2電磁アクチュエータと、他の対向する辺の一方の辺に沿って配置された複数の第3電磁アクチュエータと、他の対向する辺の他方の辺に沿って配置された複数の第4電磁アクチュエータと、を有し、第1電磁アクチュエータの数は、第2電磁アクチュエータの数より多く、第3電磁アクチュエータの数は、第4電磁アクチュエータの数より多く、電磁アクチュエータの数が多い辺と電磁アクチュエータの数が少ない辺とが隣接するように複数の磁気回路部を接続する。
本発明によれば、電磁アクチュエータの数が多い辺と電磁アクチュエータの数が少ない辺とが隣接するように複数の磁気回路部を接続することによって、当該接続領域でインダクタンス特性が他の箇所のインダクタンス特性と異なるのを抑制することができる。その結果、当該接続領域で、被搬送体に加わる推力がばらついたり、被搬送体の位置の推定精度が悪化したりするのを抑制することができ、被搬送体を安定して搬送することができる。
以下に本発明の搬送装置、およびそれを備えた検体分析システム、検体前処理装置の実施例を、図面を用いて説明する。
<実施例1>
実施例1の搬送装置について説明する。図1は、実施例1の搬送装置の構成を示す図である。搬送装置1は、被搬送体10をX方向及びY方向に搬送する搬送装置である。図2は、実施例1の搬送装置の磁気回路部を示す斜視図である。長い距離を搬送する場合、図1に示した搬送装置1をX方向及び/又はY方向に複数接続して、被搬送体10の長距離搬送を実現する。磁気回路部2の上には、搬送面15が設置されており、搬送面15の上を被搬送体10に埋め込まれた磁性体の永久磁石11(図8参照)が移動する。図2(a)に示した磁気回路部2は、X方向に被搬送体10を搬送する3つの搬送ラインと、Y方向に被搬送体10を搬送する3つの搬送ラインと、を有する。磁性体の円筒形の複数のティース20の各々には、巻線30が巻かれている。なお、ティース20は、ティース20a~dの総称である。複数のティース20は、搬送面15と反対側(-Z側)で磁性体のヨーク40によって磁気的に結合されている。ティース20に巻線が巻かれたものを電磁アクチュエータ70と呼ぶ。複数の電磁アクチュエータ70は、格子状に配列されている。
実施例1の搬送装置について説明する。図1は、実施例1の搬送装置の構成を示す図である。搬送装置1は、被搬送体10をX方向及びY方向に搬送する搬送装置である。図2は、実施例1の搬送装置の磁気回路部を示す斜視図である。長い距離を搬送する場合、図1に示した搬送装置1をX方向及び/又はY方向に複数接続して、被搬送体10の長距離搬送を実現する。磁気回路部2の上には、搬送面15が設置されており、搬送面15の上を被搬送体10に埋め込まれた磁性体の永久磁石11(図8参照)が移動する。図2(a)に示した磁気回路部2は、X方向に被搬送体10を搬送する3つの搬送ラインと、Y方向に被搬送体10を搬送する3つの搬送ラインと、を有する。磁性体の円筒形の複数のティース20の各々には、巻線30が巻かれている。なお、ティース20は、ティース20a~dの総称である。複数のティース20は、搬送面15と反対側(-Z側)で磁性体のヨーク40によって磁気的に結合されている。ティース20に巻線が巻かれたものを電磁アクチュエータ70と呼ぶ。複数の電磁アクチュエータ70は、格子状に配列されている。
ヨーク40は、X方向に沿って形成された3つの搬送ライン及びY方向に沿って形成された3つの搬送ラインに対応して形成されており、格子状である。ヨーク40は、磁性体からなり、複数のティースと磁気的に結合されている。ヨーク40は、複数のティース20がZ方向に延びるように、複数のティース20を支持する。
ティース20は、隣接するティースが1つのティース20aと、隣接するティースが2つのティース20bと、隣接するティースが3つのティース20cと、隣接するティースが4つのティース20dと、を有する。ティース20aは、最も外部側に配置されたティースである。ティース20aは、X方向またはY方向の一方のサイドでのみティースに隣り合う。ティース20bは、X方向又はY方向の両サイドでティースに隣り合う。ティース20cは、X方向又はY方向の両サイド且つY方向又はX方向の一方のサイドでティースに隣り合う。ティース20cは、X方向の両サイドおよびY方向の両サイドでティースに隣り合う。
上記したティース20a、20b、20c及び20dは、磁気回路的に異なる特性を有する。ティースに隣り合うティースの数の違いにより、各ティースのインダクタンス特性が異なる。例えば、ティース20aは、ティース20b~20dに比べて、隣り合うティースの数が少ない。そのため、巻線30に一定の電流を流した際の発生する磁束量が、ティース20b~20dに比べて少ない。このため、ティース20aにおける被搬送体10に作用する推力が小さくなる。また、ティース20aの巻線30と、ティース20b~20dの巻線30とでは、一定電圧を印加した際の電流値も変化するので、磁気飽和の程度も変化する。このため、磁気飽和を活用した被搬送体の位置検出の精度が悪化するという問題も生じる。
磁気回路部2は略四辺形であって、略四辺形を構成する辺X1とX2とが対向し、略四辺形を構成する辺Y1と辺Y2とが対向している。一方の辺X1に沿って配置された複数の電磁アクチュエータ70の数(実施例1では、6つ)は、他方の辺X2に沿って配置された複数の電磁アクチュエータ70の数(実施例1では、3つ)より多い。また、一方の辺Y1に沿って配置された複数の電磁アクチュエータ70の数(実施例1では、6つ)は、他方の辺Y2に沿って配置された複数の電磁アクチュエータ70の数(実施例1では、3つ)より多い。
辺X1に沿って配置された複数の電磁アクチュエータ70は、隣接して配置されている。また、辺X2に沿って配置された複数の電磁アクチュエータ70は、間隔を空けて配置されている。つまり、辺X1に沿って配置された複数の電磁アクチュエータ70間のピッチは、辺X2に沿って配置された複数の電磁アクチュエータ70間のピッチより小さい。同様に、辺Y1に沿って配置された複数の電磁アクチュエータ70は、隣接して配置されている。また、辺Y2に沿って配置された複数の電磁アクチュエータ70は、間隔を空けて配置されている。つまり、辺Y1に沿って配置された複数の電磁アクチュエータ70間のピッチは、辺Y2に沿って配置された複数の電磁アクチュエータ70間のピッチより小さい。
図3は、従来及び実施例1の搬送装置の磁気回路部の接続例を示した図である。図3(a)は、従来の搬送装置の磁気回路部の接続例を示した図である。図3(b)は、実施例1の搬送装置の磁気回路部の接続例を示した図である。
図3(a)の従来の搬送装置1000は、3つの磁気回路部2000を備えている。3つの磁気回路部2000は、L字形状に接続されている。従来の磁気回路部2000を所望の形状にすると、磁気回路部2000同士の接続領域4000において、電磁アクチュエータ70の密度が疎となる。このため、従来の搬送装置1000の接続領域4000において、被搬送体10に加わる推力がばらついたり、被搬送体10の位置の推定精度が悪化したりしてしまう。その結果、被搬送体10の搬送中に被搬送体10が、揺れたり、搬送装置1000の搬送面から逸脱したり、搬送面を損傷させたりする。
実施例1の搬送装置1は、図2で説明した3つの磁気回路部2を備えている。3つの磁気回路部2は、L字形状に接続されている。磁気回路部2を所望の形状にする場合、磁気回路部2の電磁アクチュエータ70が密となる箇所と磁気回路部2の電磁アクチュエータ70が疎となる箇所とが隣接するように、磁気回路部2を接続する。このように構成することによって、X方向及びY方向に沿って、電磁アクチュエータ70の密度が密、疎、密、疎と交互に繰り返す。その結果、磁気回路部2の接続領域4において、被搬送体10に加わる推力がばらつくのを抑制することができ、また、被搬送体10の位置の推定精度が悪化するのを低減することができる。その結果、被搬送体10の搬送中に被搬送体10が、揺れたり、搬送装置1000の搬送面から逸脱したり、搬送面を損傷させたりするのを抑制することができる。
<実施例2>
実施例2の搬送装置について、図4を用いて説明する。実施例1と同様の部分の説明は省略する。図4は、実施例2の搬送装置の磁気回路部の接続例を示す図である。3つの磁気回路部2は、Y方向に沿って直線状に接続されている。磁気回路部2を所望の形状にする場合、磁気回路部2の電磁アクチュエータ70が密となる箇所と磁気回路部2の電磁アクチュエータ70が疎となる箇所とが隣接するように、磁気回路部2を接続する。このように構成することによって、Y方向に沿って、電磁アクチュエータ70の密度が密、疎、密、疎と交互に繰り返す。その結果、磁気回路部2の接続領域4において、被搬送体10に加わる推力がばらつくのを抑制することができ、また、被搬送体10の位置の推定精度が悪化するのを低減することができる。その結果、被搬送体10の搬送中に被搬送体10が、揺れたり、搬送装置1000の搬送面から逸脱したり、搬送面を損傷させたりするのを抑制することができる。
実施例2の搬送装置について、図4を用いて説明する。実施例1と同様の部分の説明は省略する。図4は、実施例2の搬送装置の磁気回路部の接続例を示す図である。3つの磁気回路部2は、Y方向に沿って直線状に接続されている。磁気回路部2を所望の形状にする場合、磁気回路部2の電磁アクチュエータ70が密となる箇所と磁気回路部2の電磁アクチュエータ70が疎となる箇所とが隣接するように、磁気回路部2を接続する。このように構成することによって、Y方向に沿って、電磁アクチュエータ70の密度が密、疎、密、疎と交互に繰り返す。その結果、磁気回路部2の接続領域4において、被搬送体10に加わる推力がばらつくのを抑制することができ、また、被搬送体10の位置の推定精度が悪化するのを低減することができる。その結果、被搬送体10の搬送中に被搬送体10が、揺れたり、搬送装置1000の搬送面から逸脱したり、搬送面を損傷させたりするのを抑制することができる。
実施例2では、図4の一番下の磁気回路部2の左側、すなわち、電磁アクチュエータ70の数が少ない領域aに隣接するように、検体投入装置35が配置される。つまり、電磁アクチュエータ70の数が少ない領域aが、被搬送体10の搬入口となっている。この領域aでは、電磁アクチュエータ70間のピッチが大きい。永久磁石を有する被搬送体10は、搬送ラインを構成する電磁アクチュエータ70に吸引される。つまり、被搬送体10を安定して搬入することが可能な範囲Bが広くなっている。このため、被搬送体10の搬入時に搬入位置がずれた場合でも、電磁アクチュエータ70の吸引力により被搬送体10を目標の位置に吸引することができるので、被搬送体10を安定して搬入することができる。
実施例2では、図4の一番上の磁気回路部2の左側、すなわち、電磁アクチュエータ70の数が少ない領域cに隣接するように、検体分析装置36が配置される。つまり、電磁アクチュエータ70の数が少ない領域cが、被搬送体10の搬出口となっている。この領域cでは、電磁アクチュエータ70間のピッチが大きい。永久磁石を有する被搬送体10は、他の搬送ラインを構成する電磁アクチュエータ70からの影響を受け難いので、被搬送体10を安定して搬出することができる。
検体投入装置35から検体分析装置36に被搬送体10を搬送するとき、図4の左側の搬送ラインが最短経路になる。つまり、この左側の搬送ラインが、検体投入装置35から検体分析装置36に被搬送体10を搬送する際の最も効率の良い経路になる。したがって、この左側の搬送ラインを高速搬送ラインにし、検体投入装置35から検体分析装置36まで被搬送体10を高速に搬送する構成とする。
また、実施例2では、図4の磁気回路部2の右側、すなわち、電磁アクチュエータ70の数が多い領域bに隣接するように、分注装置37が配置される。電磁アクチュエータ70が密に配置される領域bでは、Y方向の電磁アクチュエータ70のピッチが狭く、被搬送体10の位置を細かく制御することができるので、分注装置37による分注位置に合わせて被搬送体10を配置することが可能となる。
また、領域bにおいて、Y方向に沿って被搬送体10を搬送する場合、領域bの位置に対して左右方向(±X方向)で電磁アクチュエータ70の数が異なる。つまり、領域bの左側には電磁アクチュエータ70が存在するが、領域bの右側には電磁アクチュエータ70が存在しない。このため、被搬送体10が領域bにおいてY方向に搬送される場合、電磁アクチュエータ70のピッチ毎に被搬送体10に対して左方向に推力が作用し、被搬送体10の搬送時に速度脈動が生じる。
そこで、実施例2では、電磁アクチュエータ70が密になる領域bを、搬送ラインではなく、被搬送体10の滞留領域とする。又は、電磁アクチュエータ70が密になる領域bを、低速搬送ラインとする。これにより、被搬送体10の滞留量の増大や被搬送体10の搬送時の速度脈動を抑制することが可能となる。
<搬送システム>
図5は、被搬送体10を搬送する搬送システムの構成の一例を示す図である。被搬送体10の永久磁石11は、磁気回路部2上に設置された搬送面15の上で搬送される。図5に示した搬送システムは、巻線に印加した電圧と巻線に流れる電流との関係から被搬送体10の搬送面上の場所を推定するシステムである。本システムでは、巻線30の各々に電流検出部55を接続し、複数の電流検出部55からの情報に基づいて、被搬送体10の位置を推定する。駆動回路50は、コイルに電圧を印加して、被搬送体10に加わる推力を発生させる。演算部53は、検出した電流値に基づいて、駆動回路50を制御する。
図5は、被搬送体10を搬送する搬送システムの構成の一例を示す図である。被搬送体10の永久磁石11は、磁気回路部2上に設置された搬送面15の上で搬送される。図5に示した搬送システムは、巻線に印加した電圧と巻線に流れる電流との関係から被搬送体10の搬送面上の場所を推定するシステムである。本システムでは、巻線30の各々に電流検出部55を接続し、複数の電流検出部55からの情報に基づいて、被搬送体10の位置を推定する。駆動回路50は、コイルに電圧を印加して、被搬送体10に加わる推力を発生させる。演算部53は、検出した電流値に基づいて、駆動回路50を制御する。
永久磁石11には、例えば、ネオジムやフェライトなどの永久磁石11が使用される。永久磁石11の代わりに、その他の磁石や軟磁性体を使用してもよい。また、永久磁石11の代わりに、永久磁石11と軟磁性体とを組み合わせて、使用してもよい。なお、ここで「磁性体」とは、永久磁石11、その他の磁石や軟磁性体、又は、永久磁石11と軟磁性体との組み合わせなどを、意味することとする。ここでは、磁性体の一例として、永久磁石11を使用する。
搬送システムでは、被搬送体10と巻線30との相対的な位置情報が必要となる。これは、巻線30に電流を流すことによりティース20に発生させた電磁力を効率よく被搬送体10に作用させるためであり、また、被搬送体10を目的の方向に移動させるためである。例えば、被搬送体10が、2つの巻線30の一方の上方(直上)にある場合を想定する。被搬送体10の直下にある巻線30に電圧を印加しても、被搬送体10には、搬送方向への力(推力)が発生しない。一方、被搬送体10が上方(直上)にない(被搬送体10の直下にない)巻線30に電圧を印加すると、被搬送体10をその巻線30に引き寄せる力が発生し、搬送方向への力(推力)が発生する。つまり、所望の巻線30に電圧を印加することによって、被搬送体10に効率よく搬送方向への力を発生させることができる。そして、電圧を印加する巻線30を選択することによって、搬送方向への力の向き(方向)を制御することができる。
<搬送容器の位置検出の原理>
被搬送体10の位置検出について説明する。図5の手前側の巻線30の上に被搬送体10があった場合、永久磁石11が作る磁場が巻線30に作用する。ここで、被搬送体10に近い側の巻線30と、遠い側の巻線30とでは、作用する磁場の大きさが異なる。つまり、被搬送体10と巻線30の相対位置によって巻線30に作用する磁場の大きさが変わることになる。
被搬送体10の位置検出について説明する。図5の手前側の巻線30の上に被搬送体10があった場合、永久磁石11が作る磁場が巻線30に作用する。ここで、被搬送体10に近い側の巻線30と、遠い側の巻線30とでは、作用する磁場の大きさが異なる。つまり、被搬送体10と巻線30の相対位置によって巻線30に作用する磁場の大きさが変わることになる。
ティース20は磁性体で構成されており、ティース20を通る磁束は、磁束が大きくなると通りにくくなる、という性質がある。ここで、巻線30に電圧を印加して電流を流すと、その電流によって生じた磁束(磁場)がティース20に発生する。したがって、ティース20には、永久磁石11による磁束(磁場)と、巻線30に流した電流によって生じる磁束(磁場)と、が発生する。一般的に、巻線30に電流を流すと、その周りに磁場が発生し、生じる磁束は流した電流値に比例する。この比例定数はインダクタンスとよばれる。永久磁石11からの磁場が存在すると、巻線30に磁気飽和が起こって透磁率が小さくなるため、巻線30に流れる電流に変化が生じることになる。
巻線30に電圧を印加した場合、巻線30に流れる電流とその流れ方を検出することにより、インダクタンスLを演算で求めることができる。つまり、永久磁石11の位置によって変化する巻線30のインダクタンスLを検出すれば、そのインダクタンスLに影響を与える永久磁石11の位置が求められることになる。そのため、巻線30に駆動回路50を接続するとともに、巻線30に流れる電流値を検出する電流検出部55(例えば、抵抗を配置)を設ける。そして、駆動回路50により巻線30に電圧を印加し、その電圧によって生じる電流値を電流検出部55で検出し、その値を演算部53で読み取る。
電磁アクチュエータ70が密の領域と疎の領域とでは、インダクタンス特性が異なり、永久磁石11の位置の推定や推力の発生に影響を及ぼす。つまり、被搬送体10の安定した搬送や搬送に必要な動作要件(例えば、搬送の速度、搬送速度のむら、加減速特性など)に影響を及ぼす。そこで、上記した実施例では、磁気回路部2の電磁アクチュエータ70の配列や接続方法を工夫した。搬送システムでは、各ティースのインダクタンス特性や推力特性差を小さくすることが、安定搬送の実現に向けて重要なポイントになる。したがって、磁気回路部2の電磁アクチュエータ70の配列や接続方法を工夫することが、高性能な搬送装置の実現につながる。
<検体分析システム及び検体前処理装置>
検体分析システム100の全体構成について、図6を用いて説明する。図6は、検体分析システム100の全体構成を概略的に示す図である。
検体分析システム100の全体構成について、図6を用いて説明する。図6は、検体分析システム100の全体構成を概略的に示す図である。
図6において、検体分析システム100は、反応容器に検体と試薬を各々分注して反応させ、この反応させた液体を測定する装置である。検体分析システム100は、搬入部101、緊急ラック投入口113、搬送ライン102、バッファ104、分析部105、収納部103、表示部118、及び、制御部120を備える。
搬入部101は、血液や尿などの生体試料を収容する検体容器122が複数収納された検体ラック111を設置する場所である。緊急ラック投入口113は、標準液を搭載した検体ラック(キャリブラック)や緊急で分析が必要な検体が収容された検体容器122を収納する検体ラック111を装置内に投入するための場所である。
バッファ104は、検体ラック111中の検体の分注順序を変更可能なように、搬送ライン102によって搬送された複数の検体ラック111を保持する。分析部105は、バッファ104からコンベアライン106を経由して搬送された検体を分析する。収納部103は、分析部105で分析が終了した検体を収容する検体容器122が収納された検体ラック111を保持する。搬送ライン102は、搬入部101に設置された検体ラック111を搬送するラインであり、上述した実施例1及び実施例2で説明した搬送装置のいずれかと同等の構成である。検体分析システムでは、永久磁石11は、検体ラック111の裏面側に設けられている。つまり、検体ラック111が、被搬送体10である。
分析部105は、コンベアライン106、反応ディスク108、検体分注ノズル107、試薬ディスク110、試薬分注ノズル109、洗浄機構112、試薬トレイ114、試薬IDリーダー115、試薬ローダ116、分光光度計121を備える。コンベアライン106は、バッファ104中の検体ラック111を分析部105に搬入するラインである。
反応ディスク108は、複数の反応容器を備えている。検体分注ノズル107は、回転駆動や上下駆動により検体容器122から反応ディスク108の反応容器に検体を分注する。試薬ディスク110は、複数の試薬ボトルを保持する。試薬分注ノズル109は、試薬ディスク110内の試薬ボトルから反応ディスク108の反応容器に試薬を分注する。洗浄機構112は、反応ディスク108の反応容器を洗浄する。分光光度計121は、光源(図示省略)から反応容器の反応液を介して得られる透過光を測定することにより、反応液の吸光度を測定する。
試薬トレイ114は、検体分析システム100内への試薬登録を行う場合に、試薬を設置する部材である。試薬IDリーダー115は、試薬トレイ114に設置された試薬に付された試薬IDを読み取ることで試薬情報を取得するための機器である。試薬ローダ116は、試薬を試薬ディスク110へ搬入する機器である。
表示部118は、血液や尿等の液体試料中の所定の成分の濃度の分析結果を表示するための表示機器である。制御部120は、CPU、ROM、RAM、ストレージなどを有するコンピュータであって、検体分析システム100内の各機構の動作を制御する。制御部120は、血液や尿等の検体中の所定の成分の濃度を求める演算処理を行う。
検体分析システム100による検体の分析処理は、以下の通りである。まず、検体ラック111が搬入部101または緊急ラック投入口113に設置され、搬送ライン102によって、ランダムアクセスが可能なバッファ104に搬入される。検体分析システム100は、バッファ104に格納されたラックの中で、優先順位のルールに従い、最も優先順位の高い検体ラック111をコンベアライン106によって、分析部105に搬入する。
分析部105に到着した検体ラック111は、コンベアライン106によって反応ディスク108近くの検体分取位置まで移送される。検体分注ノズル107は、検体ラック111の検体容器122から検体を反応ディスク108の反応容器に分取する。検体分注ノズル107は、当該検体に依頼された分析項目に応じて、必要回数だけ検体の分取を行う。検体分注ノズル107は、検体ラック111に搭載された全ての検体容器122から検体を分取する。全ての検体容器122に対する分取処理が終了した検体ラック111は、バッファ104に移送される。さらに、自動再検査を含め、全ての検体分取処理が終了した検体ラック111は、コンベアライン106および搬送ライン102によって収納部103へと移送される。
また、分析に使用する試薬は、試薬ディスク110上の試薬ボトルから試薬分注ノズル109により分取される。そして、分取された試薬は、先に検体が分注された反応容器に対して分注される。続いて、撹拌機構(図示省略)は、反応容器内の検体と試薬との混合液の撹拌を行う。光源から発生させた光は、撹拌後の混合液の入った反応容器を透過し、透過光の光度が分光光度計121により測定される。分光光度計121により測定された光度は、A/Dコンバータおよびインターフェイスを介して制御部120に送信される。そして、制御部120は、演算を行い、血液や尿等の液体試料中の所定の成分の濃度を求め、結果を表示部118等にて表示させたり、記憶部(図示省略)に記憶させたりする。
なお、検体分析システム100は、図6に示したすべての構成を備えている必要はなく、前処理用のユニットを適宜追加したり、一部ユニットや一部構成を削除したりすることができる。また、分析部105は、生化学分析用に限られず、免疫分析用であってもよい、更に1つである必要はなく、2以上備えても良い。
次に、検体前処理装置150の全体構成について、図7を用いて説明する。図7は、検体前処理装置150の全体構成を示す図である。図7において、検体前処理装置150は、検体の分析に必要な各種前処理を実行する装置である。検体前処理装置150は、閉栓ユニット152、検体収納ユニット153、空きホルダスタッカー154、検体投入ユニット155、遠心分離ユニット156、液量測定ユニット157、開栓ユニット158、子検体容器準備ユニット159、分注ユニット160、及び、移載ユニット161と、これら複数のユニットの動作を制御する操作部PC163、を備えている。
検体前処理装置150には、検体前処理装置150で処理された検体の移送先として、検体の成分の定性・定量分析を行うための検体分析システム100が接続されている。検体投入ユニット155は、検体が収容された検体容器122を検体前処理装置150内に投入するためのユニットである。遠心分離ユニット156は、投入された検体容器122に対して遠心分離を行うためのユニットである。液量測定ユニット157は、検体容器122に収容された検体の液量測定を行うユニットである。開栓ユニット158は、投入された検体容器122の栓を開栓するユニットである。子検体容器準備ユニット159は、投入された検体容器122に収容された検体を次の分注ユニット160において分注するために必要な準備を行うユニットである。分注ユニット160は、遠心分離された検体を、検体分析システムなどで分析するために小分けを行うとともに、小分けされた検体容器122(以下、小分けされた検体容器122を子検体容器122とする)にバーコード等を貼り付けるユニットである。移載ユニット161は、分注された子検体容器122の分類を行い、検体分析システム100への移送準備を行うユニットである。閉栓ユニット152は、検体容器122や子検体容器122に栓を閉栓するユニットである。検体収納ユニット153は、閉栓された検体容器122を収納するユニットである。
これら各ユニット間や検体前処理装置150と検体分析システム100との間で検体容器122を保持する検体ホルダや検体ラックを搬送する機構として、実施例1及び実施例2のいずれかの搬送装置を用いることができる。なお、検体前処理装置150は、上述したすべての構成を備えている必要はなく、一部ユニットや一部構成を削除したりすることができる。また、検体前処理装置150は、上述したユニット以外のユニットを備えていても良い。
また、本実施例の検体分析システムは、図7に示すような検体前処理装置150と検体分析システム100を含む検体分析システム200であっても良い。この場合は、各システム内だけではなく、検体分析システム200と検体分析システム200との間を上述した実施例1及び実施例2の搬送装置1で接続しても良い。
なお、上記した実施例では、検体が収容された検体容器122を5本保持する検体ラック111を被搬送体として搬送する場合について例示した。検体容器122を5本保持する検体ラック111以外にも、検体容器122を2本保持する検体ホルダを被搬送体として搬送することができる。
検体分析システム100、200及び検体前処理装置150は、実施例1及び実施例2の搬送装置1を備えている。これにより、検体ラック111や検体ホルダの搬送時および停止時の推力の大きさが検体ラック111や検体ホルダの位置に依存するのを小さくすることができる。また、検体ラック111や検体ホルダの位置の検出に必要な電流の検出値および変化値が安定した搬送装置1を提供することができる。つまり、検体ラック111や検体ホルダの制御性が高く、検体ラック111や検体ホルダの推定位置精度の高い搬送装置1を実現することができる。
なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記の実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
例えば、実施例1及び実施例2では、搬送装置で搬送する被搬送体が検体ラック111や検体ホルダである場合について説明した。被搬送体は、検体容器122を保持するラック、ホルダ等に限られず、大規模に搬送することが求められる様々な物体を搬送対象とすることができる。
1…搬送装置
2…磁気回路部
4…接続領域
10…被搬送体
11…永久磁石
15…搬送面
20、20a、20b、20c、20d…ティース
30…巻線
35…検体投入装置
36…検体分析装置
37…分注装置
40…ヨーク
100…検体分析システム
101…搬入部
102…搬送ライン
103…収納部
104…バッファ
105…分析部
106…コンベアライン
107…検体分注ノズル
108…反応ディスク
109…試薬分注ノズル
110…試薬ディスク
111…検体ラック
112…洗浄機構
113…緊急ラック投入口
114…試薬トレイ
115…試薬IDリーダー
116…試薬ローダ
118…表示部
120…制御部
121…分光光度計
122…検体容器、子検体容器
150…検体前処理装置
152…閉栓ユニット
153…検体収納ユニット
154…ホルダスタッカー
155…検体投入ユニット
156…遠心分離ユニット
157…液量測定ユニット
158…開栓ユニット
159…子検体容器準備ユニット
160…分注ユニット
161…移載ユニット
163…操作部PC
200…検体分析システム
2…磁気回路部
4…接続領域
10…被搬送体
11…永久磁石
15…搬送面
20、20a、20b、20c、20d…ティース
30…巻線
35…検体投入装置
36…検体分析装置
37…分注装置
40…ヨーク
100…検体分析システム
101…搬入部
102…搬送ライン
103…収納部
104…バッファ
105…分析部
106…コンベアライン
107…検体分注ノズル
108…反応ディスク
109…試薬分注ノズル
110…試薬ディスク
111…検体ラック
112…洗浄機構
113…緊急ラック投入口
114…試薬トレイ
115…試薬IDリーダー
116…試薬ローダ
118…表示部
120…制御部
121…分光光度計
122…検体容器、子検体容器
150…検体前処理装置
152…閉栓ユニット
153…検体収納ユニット
154…ホルダスタッカー
155…検体投入ユニット
156…遠心分離ユニット
157…液量測定ユニット
158…開栓ユニット
159…子検体容器準備ユニット
160…分注ユニット
161…移載ユニット
163…操作部PC
200…検体分析システム
Claims (10)
- 磁性体からなるティース及び前記ティースに巻かれた巻線を有する電磁アクチュエータが格子状に配列された磁気回路部を複数接続した搬送装置であって、
略四辺形の前記磁気回路部の各々は、
対向する辺の一方の辺に沿って配置された複数の第1電磁アクチュエータと、
前記対向する辺の他方の辺に沿って配置された複数の第2電磁アクチュエータと、
他の対向する辺の一方の辺に沿って配置された複数の第3電磁アクチュエータと、
前記他の対向する辺の他方の辺に沿って配置された複数の第4電磁アクチュエータと、を有し、
前記第1電磁アクチュエータの数は、前記第2電磁アクチュエータの数より多く、
前記第3電磁アクチュエータの数は、前記第4電磁アクチュエータの数より多く、
前記電磁アクチュエータの数が多い辺と前記電磁アクチュエータの数が少ない辺とが隣接するように前記複数の磁気回路部を接続する、搬送装置。 - 請求項1記載の搬送装置であって、前記電磁アクチュエータの数が少ない辺に隣接するように被搬送体の搬入口が設けられる、搬送装置。
- 請求項1記載の搬送装置であって、前記電磁アクチュエータの数が少ない辺に隣接するように被搬送体の搬出口が設けられる、搬送装置。
- 請求項1記載の搬送装置であって、前記磁気回路部の前記電磁アクチュエータの数が少ない辺に隣接するように被搬送体の搬入口が設けられ、且つ、前記磁気回路部とは異なる前記磁気回路部の前記電磁アクチュエータの数が少ない辺に隣接するように前記被搬送体の搬出口が設けられる、搬送装置。
- 請求項1記載の搬送装置であって、前記電磁アクチュエータの数が多い辺に隣接するように、検体容器から検体を分取する又は分取した検体を分注する分注装置が配置される、搬送装置。
- 請求項1記載の搬送装置であって、前記電磁アクチュエータの数が少ない側を被搬送体の高速搬送ラインとし、前記電磁アクチュエータの数が多い側を前記被搬送体の低速搬送ライン又は滞留領域とする、搬送装置。
- 請求項2記載の搬送装置と、前記電磁アクチュエータの数が少ない辺に隣接するように配置された検体投入装置と、を備える検体分析システム。
- 請求項3記載の搬送装置と、前記電磁アクチュエータの数が少ない辺に隣接するように配置された検体分析装置と、を備える検体分析システム。
- 請求項5記載の搬送装置と、前記電磁アクチュエータの数が多い辺に隣接するように配置された前記分注装置と、を備える検体分析システム。
- 請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の搬送装置を備える、検体前処理装置。
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