JP2023032001A - 着色層形成用組成物、光学フィルム及び表示装置 - Google Patents

着色層形成用組成物、光学フィルム及び表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】耐光性及び耐湿熱性を向上させ、低反射化、高輝度化及び色再現性向上により、表示品位を向上でき、発光素子を長寿命化できる着色層形成用組成物、光学フィルム及び表示装置。【解決手段】色素(A)と、活性エネルギー線硬化性樹脂(B)と、光重合開始剤(C)と、水分吸着剤(D)と、添加剤(E)と、溶剤(F)と、を含有し、前記色素(A)は、第一の色材と、第二の色材とを含有し、前記第一の色材は、吸収極大波長が470~530nmの範囲内にあり、吸光スペクトルの半値幅が15~45nmであり、前記第二の色材は、吸収極大波長が560~620nmの範囲内にあり、吸光スペクトルの半値幅が15~55nmであり、前記水分吸着剤(D)は、疎水変性セルロースナノファイバーを含有し、前記添加剤(E)は、ラジカル捕捉剤、過酸化物分解剤及び一重項酸素クエンチャーから選択される1種以上を含有する、着色層形成用組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、着色層形成用組成物、光学フィルム及び表示装置に関する。
有機発光素子等の自発光素子を備える自発光表示装置は、低い消費電力、高い輝度、及び高い反応速度等の高品位特性を有するため、携帯用電子機器等の次世代表示装置として注目されている。
一般に、自発光表示装置の表示面の領域には、金属製の電極や配線が形成されている。このため、表示画面の外部から入射する光(外部光)が電極や配線で反射されるため、黒色の表示及びコントラストが不良になる問題がある。
このような問題を解決するために、偏光板及び位相遅延板を自発光表示装置の表面に配置して、外部光反射を抑制する構成がある。
しかし、偏光板及び位相遅延板を用いた方法には、表示装置から出射した光が偏光板及び位相遅延板を通過して外部に放出されるときに、その相当部分がともに損失され、素子寿命の低下を招きやすい問題がある。
また、一般に表示装置には高い色純度が求められる。色純度とは、表示装置の表示可能な色の広さを示し、色再現範囲とも呼ばれる。よって、高い色純度であることは色再現範囲が広く、色再現性が良いことを意味する。色再現性の向上手段としては、白色光を発光する光源に、カラーフィルタを用いて色分離する手法、もしくは三原色RGBの単色光を発光する光源をカラーフィルタで補正し、狭半値化させる手法が知られている。しかし、カラーフィルタを用いて表示装置の色再現性を向上させる場合には、カラーフィルタの厚膜化や色材の高濃度化が必要となり、画素形状や視野角特性の悪化等、表示品位を低下させる問題があった。また、三原色RGBの単色光を発光する表示装置に対しては、カラーフィルタの形成工程が必要となり、コスト増となる課題があった。
こうした問題に対し、例えば、特許文献1には、外部光を波長帯域ごとに選別的に吸収して透過率を調節する有機発光表示装置が提案されている。特許文献1の発明によれば、外部光反射を抑制して視認性を向上させ、有機発光素子から外部に放出される光の損失を最少化することが図られている。
特許第5673713号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、選択吸収性を有する色素は、耐光性、耐湿熱性(湿潤かつ高温状態に耐える性質)等が悪く、信頼性を担保した構成としては不十分であった。
そこで、本発明は、耐光性及び耐湿熱性を向上させ、反射抑制と輝度効率とを両立でき、表示品位を向上でき、色再現性を向上でき、発光素子を長寿命化できる着色層形成用組成物、光学フィルム及び表示装置を提供する。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]色素(A)と、活性エネルギー線硬化性樹脂(B)と、光重合開始剤(C)と、水分吸着剤(D)と、前記水分吸着剤(D)を除く添加剤(E)と、溶剤(F)と、を含有し、前記色素(A)は、第一の色材と、第二の色材とを含有し、前記第一の色材は、吸収極大波長が470~530nmの範囲内にあり、吸光スペクトルの半値幅が15~45nmであり、前記第二の色材は、吸収極大波長が560~620nmの範囲内にあり、吸光スペクトルの半値幅が15~55nmであり、前記水分吸着剤(D)は、疎水変性セルロースナノファイバーを含有し、前記添加剤(E)は、ラジカル捕捉剤、過酸化物分解剤及び一重項酸素クエンチャーから選択される1種以上を含有する、着色層形成用組成物。
[2]前記疎水変性セルロースナノファイバーの固形分の含有量が、着色層形成用組成物の全固形分の含有量に対して0.5~3.0質量%である、[1]に記載の着色層形成用組成物。
[3]前記添加剤(E)がラジカル捕捉剤を含有し、前記ラジカル捕捉剤が分子量2000以上のヒンダードアミン系光安定剤である、[1]又は[2]に記載の着色層形成用組成物。
[4]前記添加剤(E)が一重項酸素クエンチャーを含有し、前記一重項酸素クエンチャーがジアルキルホスフェート、ジアルキルジチオカルバメート、又はベンゼンジチオールあるいはこれに類似するジチオールの遷移金属錯体である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の着色層形成用組成物。
[5]前記色素(A)が、400~780nmの波長範囲において最も透過率の低い波長が650~780nmの範囲内にある第三の色材をさらに含有する、[1]~[4]のいずれか一項に記載の着色層形成用組成物。
[6]前記色素(A)が、ポルフィリン構造、メロシアニン構造、フタロシアニン構造、アゾ構造、シアニン構造、スクアリリウム構造、クマリン構造、ポリエン構造、キノン構造、テトラジポルフィリン構造、ピロメテン構造及びインジゴ構造のいずれかを有する化合物並びにその金属錯体からなる群から選択される1種以上の化合物を含む、[1]~[5]のいずれか一項に記載の着色層形成用組成物。
[7][1]~[6]のいずれか一項に記載の着色層形成用組成物の硬化物である着色層と、前記着色層の一方の面に位置する透明基材と、前記着色層の一方又は他方の面に位置する機能層と、を有し、前記透明基材及び前記機能層の一方又は双方が、JIS L1925に記載の方法に準じて測定される紫外線遮蔽率が85%以上であり、前記機能層が、反射防止層又は防眩層として機能する、光学フィルム。
[8]前記機能層として、酸素透過度が10cm/(m・day・atm)以下である酸素バリア層をさらに有する、[7]に記載の光学フィルム。
[9]前記機能層として、帯電防止層又は防汚層をさらに有する、[7]又は[8]に記載の光学フィルム。
[10][7]~[9]のいずれか一項に記載の光学フィルムを備える、表示装置。
本発明によれば、耐光性及び耐湿熱性を向上させ、反射抑制と輝度効率とを両立でき、表示品位を向上でき、色再現性を向上でき、発光素子を長寿命化できる着色層形成用組成物、光学フィルム及び表示装置を提供できる。
本発明の一実施形態に係る光学フィルムの断面図である。 本発明の他の実施形態に係る光学フィルムの断面図である。 本発明の他の実施形態に係る光学フィルムの断面図である。 本発明の他の実施形態に係る光学フィルムの断面図である。 本発明の他の実施形態に係る光学フィルムの断面図である。 本発明の他の実施形態に係る光学フィルムの断面図である。 本発明の他の実施形態に係る光学フィルムの断面図である。 本発明の他の実施形態に係る光学フィルムの断面図である。 実施例において有機EL光源及びカラーフィルタを通して出力された白色表示のスペクトルを示したグラフである。 実施例において有機EL光源及びカラーフィルタを通して出力された赤色表示時、緑色表示時、青色表示時の各々のスペクトルのグラフである。
[光学フィルム]
本発明の光学フィルムは、色素を含有する着色層を有する。
以下、本発明の一実施形態に係る光学フィルムについて、図1に基づき詳細に説明する。
図1に示すように、光学フィルム1は、着色層10と、透明基材20と、機能層30と、を有する。機能層30は、低屈折率層31と、ハードコート層32と、を有する。すなわち、光学フィルム1は、着色層10の一方の面に位置する透明基材20を有し、着色層10、透明基材20、ハードコート層32、低屈折率層31が、この順で積層された積層体である。
光学フィルム1の厚さは、例えば、10~140μmが好ましく、15~120μmがより好ましく、20~100μmがさらに好ましい。光学フィルム1の厚さが上記下限値以上であると、光学フィルム1の強度をより高められる。光学フィルム1の厚さが上記上限値以下であると、光学フィルム1をより軽量にでき、表示装置の薄型化に有利である。
光学フィルム1の厚さは、デジタルノギス等を用いて測定することにより求められる。
以下、光学フィルム1を構成する各層について説明する。
≪着色層≫
着色層10は、本発明の着色層形成用組成物の硬化物である。本発明の着色層形成用組成物は、色素(A)と、活性エネルギー線硬化性樹脂(B)と、光重合開始剤(C)と、水分吸着剤(D)と、水分吸着剤(D)を除く添加剤(E)と、溶剤(F)と、を含有する。
着色層10の厚さは、例えば、0.5~10μmが好ましい。着色層10の厚さが上記下限値以上であると、着色層10の外観に異常を発生させることなく色素を含有でき、色素の光吸収性により反射特性や色再現性を向上できる。着色層10の厚さが上記上限値以下であると、表示装置の薄型化に有利である。
着色層10の厚さは、光学フィルム1の厚さ方向の断面を顕微鏡等で観察することにより求められる。
<色素(A)>
色素(A)は、第一の色材と、第二の色材とを含有する。
第一の色材の吸収極大波長は、470~530nmの範囲内にある。第一の色材の吸収極大波長が上記下限値以上であると、青色発光の輝度効率を低下させにくい。第一の色材の吸収極大波長が上記上限値以下であると、緑色発光の輝度効率を低下させにくい。
第一の色材の吸光スペクトルの半値幅は、15~45nmである。第一の色材の吸光スペクトルの半値幅が上記数値範囲内であると、反射抑制と輝度効率とを両立でき、表示品位を向上できる。
第二の色材は、吸収極大波長が560~620nmの範囲内にあり、かつ、吸光スペクトルの半値幅が15~55nmである光吸収材である。
第二の色材の吸収極大波長は、560~620nmの範囲内にある。第二の色材の吸収極大波長が上記下限値以上であると、緑色発光の輝度効率を低下させにくい。第二の色材の吸収極大波長が上記上限値以下であると、赤色発光の輝度効率を低下させにくい。
第二の色材の吸光スペクトルの半値幅は、15~55nmである。第二の色材の吸光スペクトルの半値幅が上記数値範囲内であると、反射抑制と輝度効率とを両立でき、表示品位を向上できる。
色素(A)は、第一の色材及び第二の色材以外の他の色材を含有してもよい。他の色材としては、第三の色材が挙げられる。
第三の色材は、400~780nmの波長範囲において最も透過率の低い波長が650~780nmの範囲内にある光吸収材である。
第三の色材の400~780nmの波長範囲における最も透過率の低い波長は、650~780nmの範囲内にある。第三の色材の400~780nmの波長範囲における最も透過率の低い波長が上記数値範囲内であると、可視光範囲内において、赤色発光の輝度効率を低下させにくい。
色素(A)は、ポルフィリン構造、メロシアニン構造、フタロシアニン構造、アゾ構造、シアニン構造、スクアリリウム構造、クマリン構造、ポリエン構造、キノン構造、テトラジポルフィリン構造、ピロメテン構造、インジゴ構造のいずれかを有する化合物、又はその金属錯体を含有することが好ましい。特に、ポルフィリン構造やピロメテン構造、フタロシアニン構造を持つ金属錯体や、スクアリリウム構造を持つ化合物を含有すると、耐光性及び耐湿熱性をより向上できるため、より好ましい。
色素(A)は、これらの化合物又はその金属錯体を1種単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。これらの化合物又はその金属錯体は、第一の色材に含まれていてもよく、第二の色材に含まれていてもよく、第三の色材に含まれていてもよく、これらの色材の2種以上に含まれていてもよい。
<活性エネルギー線硬化性樹脂(B)>
活性エネルギー線硬化性樹脂(B)は、紫外線、電子線等の活性エネルギー線の照射により重合して硬化する樹脂である。活性エネルギー線硬化性樹脂(B)としては、例えば、単官能、2官能又は3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを使用できる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの両方の総称であり、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルとメタクリロイルの両方の総称である。
単官能の(メタ)アクリレート化合物の例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、N-ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリールアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-2-ヒドロキシプロピルフタレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2-アダマンタン、アダマンタンジオールから誘導される1価のモノ(メタ)アクリレートを有するアダマンチルアクリレート等のアダマンタン誘導体モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
2官能の(メタ)アクリレート化合物の例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリレート化合物の例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス2-ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3官能の(メタ)アクリレート化合物や、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物や、これら(メタ)アクリレートの一部をアルキル基やε-カプロラクトンで置換した多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
また、活性エネルギー線硬化性樹脂(B)として、ウレタン(メタ)アクリレートも使用できる。ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、もしくはプレポリマーを反応させて得られた生成物に水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーを反応させることによって得られるものを挙げることができる。
ウレタン(メタ)アクリレートの例としては、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー等が挙げられる。
上述した(メタ)アクリレート化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、上述した(メタ)アクリレート化合物は、着色層形成用組成物中でモノマーであってもよく、一部が重合したオリゴマーであってもよい。
活性エネルギー線硬化性樹脂(B)の含有量は、着色層形成用組成物の総質量に対して、20~80質量%が好ましく、30~70質量%がより好ましい。活性エネルギー線硬化性樹脂(B)の含有量が上記下限値以上であると、退色抑制効果をより高められる。活性エネルギー線硬化性樹脂(B)の含有量が上記上限値以下であると、着色層形成用組成物の取扱い性をより高められる。
<光重合開始剤(C)>
光重合開始剤(C)は、例えば、活性エネルギー線として紫外線を用いる場合、紫外線が照射された際にラジカルを発生するものである。
光重合開始剤(C)としては、例えば、ベンゾイン類(ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類等)、フェニルケトン類[例えば、アセトフェノン類(例えば、アセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン等)、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン等のアルキルフェニルケトン類;1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のシクロアルキルフェニルケトン類等]、アミノアセトフェノン類{2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノアミノプロパノン-1、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1等}、アントラキノン類(アントラキノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン等)、チオキサントン類(2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン等)、ケタール類(アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等)、ベンゾフェノン類(ベンゾフェノン等)、キサントン類、ホスフィンオキサイド類(例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等)等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤(C)の含有量は、着色層形成用組成物の総質量に対して、0.01~20質量%が好ましく、0.1~5質量%がより好ましい。光重合開始剤(C)の含有量が上記下限値未満であると、硬化性が不足する。光重合開始剤(C)の含有量が上記上限値超であると、未反応の光重合開始剤(C)が残留し、信頼性が悪化する場合がある。
<水分吸着剤(D)>
水分吸着剤(D)は、大気中の水分を吸着できる物質である。本発明の着色層形成用組成物は、水分吸着剤(D)を含有することで、耐湿熱性をより向上できる。
水分吸着剤(D)は、疎水変性セルロースナノファイバーを含有する。疎水変性セルロースナノファイバーは、セルロースの水酸基の一部をアルキル基やフェニル基等の疎水性の高い官能基(以下、「疎水基」ともいう。)で置換したセルロースナノファイバーである。疎水変性セルロースナノファイバーは、構造中に疎水基を有するため、活性エネルギー線硬化性樹脂(B)、溶剤(F)との相溶性に優れる。加えて、疎水変性セルロースナノファイバーは、構造中に水酸基等の親水基を有するため、大気中の水分を吸着できる。このため、水分吸着剤(D)が疎水変性セルロースナノファイバーを含有することで、耐湿熱性をより向上でき、着色層10を有する発光素子の長寿命化を図れる。
水分吸着剤(D)は、疎水変性セルロースナノファイバーの分散液であることが好ましい。水分吸着剤(D)の分散媒としては、後述する溶剤(F)を除く有機溶剤が挙げられる。このような有機溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等が挙げられる。
水分吸着剤(D)における疎水変性セルロースナノファイバーの固形分の含有量は、着色層形成用組成物の全固形分の含有量に対して0.5~3.0質量%が好ましく、0.5~2.5質量%がより好ましく、1.0~2.0質量%がさらに好ましい。水分吸着剤(D)における疎水変性セルロースナノファイバーの固形分の含有量が上記下限値以上であると、耐湿熱性をより向上できる。水分吸着剤(D)における疎水変性セルロースナノファイバーの固形分の含有量が上記上限値以下であると、着色層形成用組成物のゲル化を抑制できる。ここで、水分吸着剤(D)における疎水変性セルロースナノファイバーの固形分とは、疎水変性セルロースナノファイバーのうち、疎水変性セルロースナノファイバーの分散媒を除く成分のことをいう。
水分吸着剤(D)の含有量は、着色層形成用組成物の総質量に対して、20~70質量%が好ましく、30~60質量%がより好ましい。水分吸着剤(D)の含有量が上記下限値以上であると、耐湿熱性をより高められる。水分吸着剤(D)の含有量が上記上限値以下であると、着色層形成用組成物のゲル化を抑制できる。
<添加剤(E)>
添加剤(E)は、水分吸着剤(D)を除く化合物である。本発明の着色層形成用組成物は、添加剤(E)を含有することで、着色層10に種々の機能を付与できる。
添加剤(E)は、ラジカル捕捉剤、過酸化物分解剤及び一重項酸素クエンチャーから選択される1種以上を含有する。
ラジカル捕捉剤は、色素(A)が酸化劣化する際のラジカルを捕捉し、自動酸化を抑制する働きを持ち、色素劣化(退色)を抑制する。ラジカル捕捉剤としては、分子量が2000以上のヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。ヒンダードアミン系光安定剤の分子量が2000以上であると、高い退色抑制効果が得られる。これは、ヒンダードアミン系光安定剤が揮発しにくく、着色層10内に留まる分子が多く、充分な退色抑制効果が得られるためであると考えられる。
分子量が2000以上のヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、BASF社製のChimassorb2020FDL、Chimassorb944FDL、Tinuvin622、株式会社ADEKA製のアデカスタブLA-63P等が挙げられる。
過酸化物分解剤は、ヒドロペルオキシド(ROOH、Rはアルキル基、Oは酸素原子、Hは水素原子を表す。)をイオン的に分解し、不活性な化合物にさせ、ラジカルの生成を抑制する機能を持つ酸化防止剤の一種である。添加剤(E)が過酸化物分解剤を含有することで、色素(A)の酸化劣化を抑制でき、着色層10を有する発光素子の長寿命化を図れる。なお、過酸化物分解剤が、後述する一重項酸素クエンチャーに該当する場合、本明細書において、一重項酸素クエンチャーは、過酸化物分解剤から除くものとする。
過酸化物分解剤としては、例えば、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等が挙げられる。硫黄系酸化防止剤としては、例えば、3,3’-チオジプロピオン酸ジドデシル、2-メルカプトベンゾイミダゾール等が挙げられる。リン系酸化防止剤としては、例えば、亜リン酸トリヘキシル、亜リン酸トリオレイル、亜リン酸トリオクチル、亜リン酸トリス(2-エチルヘキシル)、亜リン酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)、亜リン酸トリス(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロピル)、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリス(2-メチルフェニル)、亜リン酸トリス(4-メチルフェニル)、3,9-ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン等が挙げられる。
一重項酸素クエンチャーは、一重項酸素による色素(A)の酸化劣化を抑制する化合物である。添加剤(E)が一重項酸素クエンチャーを含有することで、色素(A)の酸化劣化を抑制でき、着色層10を有する発光素子の長寿命化を図れる。
一重項酸素クエンチャーとしては、遷移金属錯体、色素類(ただし、色素(A)を除く。)、アミン類、フェノール類、スルフィド類等が挙げられる。一重項酸素クエンチャーとして特に好適に用いられる材料としては、ジアルキルホスフェート、ジアルキルジチオカルバメート、ベンゼンジチオールあるいはこれに類似するジチオールの遷移金属錯体で、中心金属としては、ニッケル、銅又はコバルトが好適に用いられる。一重項酸素クエンチャーとしては、例えば、(株)林原製のNKX1199(ビス[2’-クロロ-3-メトキシ-4-(2-メトキシエトキシ)ジチオベンジル]ニッケル)、NKX113(ビス(ジチオベンジル)ニッケル)、NKX114(ビス[4-(ジメチルアミノ)ジチオベンジル]ニッケル)、東京化成工業(株)製のD1781(ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル(II))、B1350(ビス(ジチオベンジル)ニッケル(II))、B4360(ビス[4,4’-ジメトキシ(ジチオベンジル)]ニッケル(II))、T3204(テトラブチルアンモニウムビス(3,6-ジクロロ-1,2-ベンゼンジチオラト)ニッケラート)等が挙げられる。
添加剤(E)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
添加剤(E)は、ラジカル捕捉剤、過酸化物分解剤及び一重項酸素クエンチャー以外の添加剤(以下、「任意添加剤」ともいう。)を含有してもよい。任意添加剤としては、レベリング剤、消泡剤、過酸化物分解剤を除く酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、光増感剤、帯電防止剤等が挙げられる。
任意添加剤の含有量は、添加剤(E)の総質量に対して、50質量%以下が好ましい。任意添加剤の含有量が上記上限値以下であると、ラジカル捕捉剤、過酸化物分解剤及び一重項酸素クエンチャーから選択される1種以上をより多く含有でき、色素(A)の酸化劣化をより抑制できる。
添加剤(E)の含有量は、着色層形成用組成物の総質量に対して、0.1~20質量%が好ましく、0.1~15質量%がより好ましい。添加剤(E)の含有量が上記数値範囲内であると、色素(A)の酸化劣化をより抑制できる。このため、着色層10を有する発光素子の長寿命化を図れる。
<溶剤(F)>
溶剤(F)としては、エーテル類、ケトン類、エステル類、セロソルブ類等が挙げられる。エーテル類としては、例えば、ジブチルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、1,3,5-トリオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール又はフェネトール等が挙げられる。ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン又はエチルシクロヘキサノン等が挙げられる。エステル類としては、例えば、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸n-ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン醸エチル、酢酸n-ペンチル又はγ-ブチロラクトン等が挙げられる。セロソルブ類としては、例えば、メチルセロソルブ、セロソルブ(エチルセロソルブ)、ブチルセロソルブ又はセロソルブアセテート等が挙げられる。溶剤(F)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
溶剤(F)の含有量は、着色層形成用組成物の総質量に対して、40~70質量%が好ましく、40~60質量%がより好ましい。溶剤(F)の含有量が上記数値範囲内であると、色素(A)や添加剤(E)の溶解性が良好になり、塗液安定性(液体安定性)が維持され、良好な塗工性が得られる。
着色層10は、本発明の着色層形成用組成物を含有することで、耐光性及び耐湿熱性を向上させ、反射抑制と輝度効率とを両立でき、表示品位を向上でき、色再現性を向上でき、発光素子を長寿命化できる。
≪透明基材≫
透明基材20は、着色層10の一方の面に位置し、光学フィルム1を形成するシート状部材である。
透明基材20の形成材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアリレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、シクロオレフィンコポリマー、含ノルボルネン樹脂、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン等の透明樹脂や無機ガラスを利用できる。ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。ポリアクリレートとしては、例えば、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。ポリアミドとしては、例えば、ナイロン6、ナイロン66等が挙げられる。この中でも、ポリエチレンテレフタレートからなるフィルム(PET)、トリアセチルセルロースからなるフィルム(TAC)、ポリメチルメタクリレートからなるフィルム(PMMA)、PETを除くポリエステルからなるフィルムを好適に利用できる。
透明基材20の透過率としては、例えば、90%以上であることが好ましい。透明基材20の透過率は、分光光度計((株)日立製作所製、U-4100)を用いて測定できる。
透明基材20には、紫外線吸収能を付与してもよい。透明基材20の原料となる樹脂に、紫外線吸収剤を添加することで、透明基材20に紫外線吸収能を付与できる。
紫外線吸収剤としては、例えば、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
これらの紫外線吸収剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
透明基材20に紫外線吸収能を付与する場合、紫外線遮蔽率は、85%以上であることが好ましい。ここで、紫外線遮蔽率は、JIS L1925に準拠して測定される値であり、下記式(I)により算出される。
紫外線遮蔽率(%)=100-(波長290~400nmの紫外線の平均透過率(%)) ・・・(I)
紫外線遮蔽率が85%未満の場合、色素(A)の耐光性での退色抑制効果が低くなる。
透明基材20の厚さは、例えば、10~100μmが好ましい。透明基材20の厚さが上記下限値以上であると、光学フィルム1の強度をより高められる。透明基材20の厚さが上記上限値以下であると、光学フィルム1をより薄膜にできる。
透明基材20の厚さは、デジタルノギス等を用いて測定することにより求められる。
≪機能層≫
機能層30は、着色層10の一方又は他方の面に位置する。光学フィルムは、機能層30を有することで、種々の機能を発揮できる。
機能層30の機能としては、反射防止機能、防眩機能、酸素バリア機能、帯電防止機能、防汚機能、強化機能、紫外線吸収機能(紫外線吸収能)等が挙げられる。
機能層30は、単層であってもよく、複数の層であってもよい。機能層30は、1種の機能を有していてもよく、2種以上の機能を有していてもよい。
光学フィルム1が反射防止機能を有する場合、機能層30は、反射防止層として機能する。反射防止層としては、後述するハードコート層32や防眩層34、透明基材20よりも低い屈折率を呈する低屈折率層31が挙げられる。低屈折率層31は、ハードコート層32や防眩層34、透明基材20の材質よりも屈折率が低い材質を機能層に採用することで形成できる。
低屈折率層31の屈折率調整のため、フッ化リチウム(LiF)、フッ化マグネシウム(MgF)、ヘキサフルオロアルミニウムナトリウム(氷晶石、クリオライト、3NaF・AlF、NaAlF)、フッ化アルミニウム(AlF)等の微粒子や、シリカ微粒子等を配合してもよい。シリカ微粒子としては、多孔質シリカ微粒子や中空シリカ微粒子等の粒子内部に空隙を有するものを用いることが、低屈折率層31の低屈折率化に有効である。また、低屈折率層31を形成する組成物(低屈折率層形成用組成物)には、着色層10で説明した光重合開始剤(C)や添加剤(E)、溶剤(F)を適宜配合してもよい。
低屈折率層31の屈折率は、1.20~1.55とすることが好ましい。
低屈折率層31の厚さは、特に限定されないが、例えば、40nm~1μmが好ましい。
光学フィルム1が防眩機能を有する場合、機能層30は、防眩層34として機能する。防眩層34は、表面に微細な凹凸を有し、この凹凸で外光を散乱させ、映り込みを抑えて表示品位を向上させる層である。低屈折率層31と組み合わされる場合、低屈折率層31と防眩層34とで反射防止層を構成する。
防眩層34には、必要に応じて有機微粒子及び無機微粒子から選択される1種以上が含まれる。有機微粒子は、表面に微細な凹凸を形成し、外光を散乱させる機能を付与する材料である。有機微粒子としては、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン系樹脂等の透光性樹脂材料からなる樹脂粒子が挙げられる。屈折率や樹脂粒子の分散性を調整するために、材質(屈折率)の異なる2種類以上の樹脂粒子を混合して使用してもよい。
無機微粒子は、有機微粒子の沈降や凝集を調整する材料である。無機微粒子としては、例えば、シリカ微粒子や、金属酸化物微粒子、各種の鉱物微粒子等を使用することができる。シリカ微粒子としては、例えば、コロイダルシリカや(メタ)アクリロイル基等の反応性官能基で表面修飾されたシリカ微粒子等を使用することができる。金属酸化物微粒子としては、例えば、アルミナ(酸化アルミニウム)や酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタニア(二酸化チタン)、ジルコニア(二酸化ジルコニウム)等を使用することができる。鉱物微粒子としては、例えば、雲母、合成雲母、バーミキュライト、モンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、ベントナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ノントロナイト、マガディアイト、アイラライト、カネマイト、層状チタン酸、スメクタイト、合成スメクタイト等を使用することができる。鉱物微粒子は、天然物及び合成物(置換体、誘導体を含む)のいずれであってもよく、両者の混合物を使用してもよい。鉱物微粒子の中でも、層状有機粘土がより好ましい。層状有機粘土とは、膨潤性粘土の層間に有機オニウムイオンを導入したものをいう。有機オニウムイオンは、膨潤性粘土の陽イオン交換性を利用して有機化することができるものであれば制限されない。鉱物微粒子として、層状有機粘土鉱物を用いる場合、上述した合成スメクタイトを好適に使用できる。合成スメクタイトは、防眩層形成用の塗工液の粘性を増加させ、樹脂粒子及び無機微粒子の沈降を抑制して、防眩層34(機能層30)の表面の凹凸形状を調整する機能を有する。
光学フィルム1が酸素バリア機能を有する場合、機能層30は、酸素バリア層33として機能する。酸素バリア層33の酸素透過度は、10cm/(m・day・atm)以下であり、5cm/(m・day・atm)以下が好ましく、1cm/(m・day・atm)以下がより好ましい。酸素バリア層33の酸素透過度が上記上限値以下であると、機能層30に充分な酸素バリア機能を付与できる。酸素バリア層33の酸素透過度の下限値は、特に限定されず、0cm/(m・day・atm)であってもよい。
酸素バリア層33の酸素透過度は、酸素透過度測定装置を用いて、30℃、相対湿度60%の条件下で測定される値である。
光学フィルム1が帯電防止機能を有する場合、機能層30は、帯電防止層として機能する。帯電防止層としては、例えば、アンチモンをドープした酸化錫(ATO)、スズをドープした酸化インジウム(ITO)等の金属酸化物微粒子、高分子型導電性組成物、4級アンモニウム塩等の帯電防止剤を含有する層が挙げられる。
帯電防止層は、機能層30の最表面に設けられてもよいし、機能層30と透明基材20との間に設けられてもよい。あるいは、上述した機能層30を構成するいずれかの層に帯電防止剤を配合することにより、帯電防止層を形成してもよい。帯電防止層を設ける場合、光学フィルムの表面抵抗値は、1.0×10~1.0×1012(Ω/cm)であることが好ましい。
光学フィルム1が防汚機能を有する場合、機能層30は、防汚層として機能する。防汚層は、撥水性及び撥油性の双方又はいずれか一方を付与することにより、防汚性を高めるものである。防汚層としては、珪素酸化物、フッ素含有シラン化合物、フルオロアルキルシラザン、フルオロアルキルシラン、フッ素含有珪素系化合物、パーフルオロポリエーテル基含有シランカップリング剤等の防汚剤を含有する層が挙げられる。
防汚層は、機能層30の最表面に設けられてもよく、上述した機能層30のうち、最表面となる層に防汚剤を配合することにより、防汚層を形成してもよい。
光学フィルム1が強化機能を有する場合、機能層30は、強化層として機能する。強化層は、光学フィルムの強度を高める層である。強化層としては、例えば、ハードコート層32が挙げられる。ハードコート層32としては、例えば、単官能、2官能又は3官能以上の(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートを含むハードコート剤で形成された層が挙げられる。
光学フィルム1が紫外線吸収能を有する場合、機能層30は、紫外線吸収層として機能する。紫外線吸収層としては、例えば、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヘキシルオキシフェノール等のトリアジン系、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチルフェノール等のベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤を含有する層が挙げられる。
紫外線吸収剤の含有量は、紫外線吸収層を形成する材料の総質量に対して、0.1~5質量%が好ましい。紫外線吸収剤の含有量が上記下限値以上であると、機能層30に充分な紫外線吸収能を付与できる。紫外線吸収剤の含有量が上記上限値以下であると、硬化成分の減少に伴う硬度不足を回避できる。
光学フィルム1において、透明基材20及び機能層30の一方又は双方は、紫外線遮蔽率が85%以上であり、90%以上が好ましく、95%以上がより好ましく、100%であってもよい。紫外線遮蔽率が上記下限値以上であると、耐光性を向上できる。
紫外線遮蔽率は、JIS L1925に記載の方法に準じて測定できる。
紫外線遮蔽率は、透明基材20及び機能層30の一方又は双方に紫外線吸収能を付与することにより調節できる。
機能層30の厚さは、例えば、0.04~25μmが好ましく、0.1~20μmがより好ましく、0.2~15μmがさらに好ましい。機能層30の厚さが上記下限値以上であると、光学フィルム1に種々の機能を付与しやすい。機能層30の厚さが上記上限値以下であると、表示装置の薄型化に有利である。
機能層30の厚さは、光学フィルム1の厚さ方向の断面を顕微鏡等で観察することにより求められる。
[光学フィルムの製造方法]
本実施形態の光学フィルム1は、従来公知の方法により製造できる。
例えば、透明基材20の一方の面に着色層形成用組成物を塗布し、活性エネルギー線を照射して着色層形成用組成物を硬化することにより着色層10を得る。
活性エネルギー線を照射して着色層形成用組成物を硬化させ、着色層10を形成するための光源は、活性エネルギー線を発生する光源であれば制限なく使用できる。活性エネルギー線としては、放射線(ガンマ線、X線等)、紫外線、可視光線、電子線(EB)等の光エネルギー線が使用でき、通常、紫外線、電子線である場合が多い。例えば、紫外線を放射するランプとして低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、無電極放電管等を使用できる。照射条件として紫外線照射量は、通常100~1000mJ/cmである。
次に、透明基材20の他方の面にハードコート剤を塗布し、着色層10と同様に活性エネルギー線を照射してハードコート剤を硬化することによりハードコート層32を得る。
ハードコート層32上に低屈折率層31を形成することにより、透明基材20の他方の面に機能層30が位置する光学フィルム1が得られる。
低屈折率層31の形成方法に制限はなく、低屈折率層形成用組成物をハードコート層32に塗布し、活性エネルギー線を照射して硬化させる方法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビーム法、プラズマ気相成長法等を使用できる。
[その他の実施形態]
光学フィルムは、図2に示すように、着色層10の一方の面に位置する透明基材20を有し、着色層10、透明基材20、酸素バリア層33、ハードコート層32、低屈折率層31が、この順で積層された光学フィルム2であってもよい。光学フィルム2では、酸素バリア層33、ハードコート層32、低屈折率層31が機能層30を構成する。
本実施形態の光学フィルム2は、酸素バリア層33を有するため、光学フィルム1よりも酸素バリア性に優れる。
光学フィルムは、図3に示すように、着色層10の一方の面に位置する透明基材20を有し、着色層10、透明基材20、防眩層34が、この順で積層された光学フィルム3であってもよい。光学フィルム3では、防眩層34が機能層30を構成する。
本実施形態の光学フィルム3は、防眩層34を有するため、反射抑制に優れる。
光学フィルムは、図4に示すように、着色層10の一方の面に位置する透明基材20を有し、着色層10、透明基材20、防眩層34、低屈折率層31が、この順で積層された光学フィルム4であってもよい。光学フィルム4では、防眩層34、低屈折率層31が機能層30を構成する。
本実施形態の光学フィルム4は、低屈折率層31と防眩層34とを有するため、反射抑制により優れる。
光学フィルムは、図5に示すように、着色層10の一方の面に位置する透明基材20と、着色層10の他方の面に位置する機能層30とを有し、透明基材20、着色層10、ハードコート層32、低屈折率層31が、この順で積層された光学フィルム5であってもよい。光学フィルム5では、ハードコート層32、低屈折率層31が機能層30を構成する。
本実施形態の光学フィルム5は、透明基材20の一方の面に着色層10と紫外線吸収能及び反射防止機能を有する機能層30とを有するため、輝度効率により優れる。
光学フィルムは、図6に示すように、着色層10の一方の面に位置する透明基材20と、着色層10の他方の面に位置する機能層30とを有し、透明基材20、着色層10、酸素バリア層33、ハードコート層32、低屈折率層31が、この順で積層された光学フィルム6であってもよい。光学フィルム6では、酸素バリア層33、ハードコート層32、低屈折率層31が機能層30を構成する。
本実施形態の光学フィルム6は、酸素バリア層33を有するため、酸素バリア性に優れる。
光学フィルムは、図7に示すように、着色層10の一方の面に位置する透明基材20と、着色層10の他方の面に位置する機能層30とを有し、透明基材20、着色層10、防眩層34が、この順で積層された光学フィルム7であってもよい。光学フィルム7では、防眩層34が機能層30を構成する。
本実施形態の光学フィルム7は、防眩層34を有するため、反射抑制に優れる。
光学フィルムは、図8に示すように、着色層10の一方の面に位置する透明基材20と、着色層10の他方の面に位置する機能層30とを有し、透明基材20、着色層10、防眩層34、低屈折率層31が、この順で積層された光学フィルム8であってもよい。光学フィルム8では、防眩層34、低屈折率層31が機能層30を構成する。
本実施形態の光学フィルム8は、低屈折率層31と防眩層34とを有するため、反射抑制により優れる。
[表示装置]
本発明の表示装置は、本発明の光学フィルムを備える。表示装置の具体例としては、例えば、テレビ、モニタ、携帯電話、携帯型ゲーム機器、携帯情報端末、パーソナルコンピュータ、電子書籍、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、ヘッドマウントディスプレイ、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤ等)、複写機、ファクシミリ、プリンター、プリンター複合機、自動販売機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、個人認証機器、光通信機器、ICカード等が挙げられる。中でも、金属製の電極や配線により、外光反射の影響を受けやすいLED、有機EL、無機蛍光体、量子ドット等の自発光素子を備える表示装置に好適に用いられる。
本実施形態の光学フィルムによれば、本発明の着色層形成用組成物を含有する着色層を有するため、耐光性及び耐湿熱性を向上させ、色再現性を向上させ、反射抑制と輝度効率とを両立できる。このため、本実施形態の光学フィルムを備える表示装置は、表示品位を向上でき、発光素子を長寿命化できる。
以上、本発明の各実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ等も含まれる。
例えば、本実施形態の光学フィルムは、着色層10の数が1つであるが、着色層の数は、2以上であってもよい。
本実施形態の光学フィルムにおいて、紫外線吸収能は、透明基材20に付与してもよく、ハードコート層32等の機能層30に付与してもよい。
以下に、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1~7、比較例1~3]
以下の実施例及び比較例では、表1、表2に示す層構成の光学フィルムA~Jを作製した。作製した光学フィルムA~Jについて、光学フィルム特性、有機ELパネルでの表示装置特性をシミュレーションにより評価した。表中、「-」は、その層を有しないことを示す。
Figure 2023032001000001
Figure 2023032001000002
[光学フィルムの作製]
以下、各層の形成方法を説明する。
≪透明基材≫
光学フィルム形成に用いる透明基材として、以下のものを用いた。
・TAC:トリアセチルセルロースフィルム(富士フイルム(株)製、TG60UL、基材厚60μm、紫外線遮蔽率92.9%)。
≪着色層の形成≫
(着色層形成用組成物 使用材料)
着色層の形成に用いる着色層形成用組成物の使用材料としては、以下のものを用いた。
なお、色材の吸収極大波長、半値幅、及び規定波長範囲での最小透過率波長は、硬化塗膜での特性値である。
<色素(A)>
・第一の色材
Dye-1:下記式(1)で表されるピロメテンコバルト錯体染料(吸収極大波長493nm、半値幅26nm)。
・第二の色材
Dye-2:テトラアザポルフォリン銅錯体染料(山田化学工業(株)製、FDG-007、吸収極大波長595nm、半値幅22nm)。
Dye-3:テトラアザポルフォリン銅錯体染料(山本化成(株)製、PD-311S、吸収極大波長586nm、半値幅22nm)。
・第三の色材
Dye-4:フタロシアニン銅錯体染料(山田化学工業(株)製、FDN-002、400~780nmでの最小透過率波長 780nm)。
Figure 2023032001000003
<活性エネルギー線硬化性樹脂(B)>
・UA-306H:ペンタエリスリトールトリアクリレート ヘキサメチレンジイソシアネート ウレタンプレポリマー(共栄社化学(株)製、UA-306H)。
・DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート。
・PETA:ペンタエリスリトールトリアクリレート。
<光重合開始剤(C)>
・Omnirad TPO:アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤(IGM Resins B.V.社製)。
<水分吸着剤(D)>
・疎水CNF:疎水変性セルロースナノファイバー分散液(固形分1.4質量%、PGME分散液)。
<添加剤(E)>
・Chimassorb944FDL:ラジカル捕捉剤、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)(BASFジャパン株式会社製、分子量2000~3100)。
・D1781:一重項酸素クエンチャー、ビス(ジブチルジチオカルバミン酸)ニッケル(II)、製品コードD1781(東京化成工業(株)製)。
・Tinuvin479:ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、Tinuvin(登録商標)479(BASFジャパン(株)製)。
・LA-36:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、アデカスタブ(登録商標)LA-36((株)ADEKA製)。
<溶剤(F)>
・MEK:メチルエチルケトン。
・酢酸メチル:酢酸メチル。
(着色層の形成)
表1、表2に示す透明基材上に、表3に示す着色層形成用組成物を塗布し、80℃のオーブンで60秒間乾燥させた。その後、紫外線照射装置を用いて照射線量150mJ/cm(フュージョンUVシステムズジャパン(株)製、光源Hバルブ)で紫外線照射を行うことにより塗膜を硬化させ、硬化後の膜厚が5.0μmとなるよう着色層を形成した。なお、添加量は質量比(質量%)である。表中、「-」は、その成分を含有しないことを示す。
Figure 2023032001000004
≪機能層の形成:酸素バリア層≫
(酸素バリア層形成用組成物)
・バインダー用ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂、クラレポバール(登録商標)PVA-117((株)クラレ製)80質量%水溶液。
(酸素バリア層の形成)
表1に示す実施例6の透明基材上に、上記の酸素バリア層形成用組成物を塗布し、乾燥させ、酸素透過度が1cm/(m・day・atm)である酸素バリア層を形成した。
≪機能層の形成:ハードコート層≫
(ハードコート層形成用組成物 使用材料)
ハードコート層の形成に用いるハードコート層形成用組成物の使用材料として、下記のものを用いた。
・活性エネルギー線硬化性樹脂
UA-306H:ペンタエリスリトールトリアクリレート ヘキサメチレンジイソシアネート ウレタンプレポリマー(共栄社化学(株)製、UA-306H)。
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート。
PETA:ペンタエリスリトールトリアクリレート。
・光重合開始剤
Omnirad TPO:アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤(IGM Resins B.V.社製)。
Omnirad 184:アルキルフェノン系光重合開始剤(IGM Resins B.V.社製)。
・添加剤(紫外線(UV)吸収剤)
Tinuvin479:ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、Tinuvin(登録商標)479(BASFジャパン(株)製)。
LA-36:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、アデカスタブ(登録商標)LA-36((株)ADEKA製)。
・溶剤
MEK:メチルエチルケトン。
酢酸メチル:酢酸メチル。
(ハードコート層の形成)
表1、表2に示す透明基材又は酸素バリア層上に、表4に示すハードコート層形成用組成物を塗布し、80℃のオーブンで60秒間乾燥させた。その後、紫外線照射装置を用いて照射線量150mJ/cm(フュージョンUVシステムズジャパン(株)製、光源Hバルブ)で紫外線照射を行うことにより塗膜を硬化させ、硬化後の膜厚が5.0μmとなるようハードコート層を形成した。なお、添加量は質量比(質量%)である。表中、「-」は、その成分を含有しないことを示す。
Figure 2023032001000005
≪機能層の形成:防眩層≫
(防眩層形成用組成物)
防眩層の形成に用いる防眩層形成用組成物として、下記のものを用いた。
・活性エネルギー線硬化性樹脂
ペンタエリスリトールトリアクリレート、ライトアクリレートPE-3A(共栄社化学(株)製、屈折率1.52) 43.7質量部。
・光重合開始剤
Omnirad TPO(IGM Resins B.V.社製) 4.55質量部。
・樹脂粒子
スチレン-メタクリル酸メチル共重合体粒子(屈折率1.515、平均粒径2.0μm) 0.5質量部。
・無機微粒子
合成スクメタイト 0.25質量部。
アルミナナノ粒子(平均粒径40nm) 1.0質量部。
・溶剤
トルエン 15質量部。
イソプロピルアルコール 35質量部。
(防眩層の形成)
表1に示す透明基材上に、上記の防眩層形成用組成物を塗布し、80℃のオーブンで60秒間乾燥させた。その後、紫外線照射装置を用いて照射線量150mJ/cm(フュージョンUVシステムズジャパン(株)製、光源Hバルブ)で紫外線照射を行うことにより塗膜を硬化させ、硬化後の膜厚が5.0μmとなるよう防眩層を形成した。
≪機能層の形成:低屈折率層≫
(低屈折率層形成用組成物)
低屈折率層の形成に用いる低屈折率層形成用組成物として、下記のものを用いた。
・屈折率調整剤
多孔質シリカ微粒子(平均粒径75nm、固形分20%)メチルイソブチルケトン分散液 8.5質量部。
・防汚付与剤
オプツール(登録商標)AR-110(ダイキン工業(株)製、固形分15%、溶剤:メチルイソブチルケトン) 5.6質量部。
・活性エネルギー線硬化性樹脂
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA) 0.4質量部。
・光重合開始剤
Omnirad TPO(IGM Resins B.V.社製) 0.07質量部。
・レベリング剤
RS-77(DIC(株)製) 1.7質量部。
・溶剤
メチルイソブチルケトン 83.73質量部。
(低屈折率層の形成)
表1、表2に示すハードコート層上又は防眩層上に、上記の低屈折率層形成用組成物を塗布し、80℃のオーブンで60秒間乾燥させた。その後、紫外線照射装置を用いて照射線量200mJ/cm(フュージョンUVシステムズジャパン(株)製、光源Hバルブ)で紫外線照射を行うことにより塗膜を硬化させ、硬化後の膜厚が100nmである低屈折率層を形成した。
得られた光学フィルムを用いて、以下の評価試験を行った。結果を表5~6に示す。
[フィルム特性評価]
<着色層上層の紫外線遮蔽率>
着色層より上層に透明基材となる場合は、基材を自動分光光度計((株)日立製作所製、U-4100)を用いて透過率を測定した。また、着色層が基材より上層にくる場合は、JIS-K5600-5-6:1999付着性試験準拠の透明感圧付着テープを用いて着色層より上層を剥離し、上記自動分光光度計を用い、粘着テープをリファレンスとして着色層上層の透過率を測定した。これらの透過率を用いて、紫外域(290~400nm)の平均透過率[%]を算出し、紫外線遮蔽率[%]を100%から紫外域(290~400nm)の平均透過率[%]を引いた値として算出した。なお、第一の色材及び第二の色材を含有しない比較例3については紫外線遮蔽率の算出を行わなかった(表中「-」で示す。)。
<耐光性試験>
各例の光学フィルムに、キセノンウェザーメーター試験機(スガ試験機株式会社製、X75)を用い、照度60W/m(300~400nm)、試験機内温度45℃・湿度50%RH条件にて、キセノンランプを120時間照射した。第一の色材及び第二の色材の波長範囲での吸収極大波長における照射前後の透過率を自動分光光度計((株)日立製作所製、U-4100)でそれぞれ測定し、透過率の差((透過率差)=(照射後の透過率)-(照射前の透過率))(%)を算出した。第一の色材及び第二の色材のうち、透過率の差が大きかった方について下記評価基準に基づき、耐光性を評価した。なお、第一の色材及び第二の色材を含有しない比較例3については耐光性試験を行わなかった(表中「-」で示す。)。
《評価基準》
◎:透過率の差が10%以下。
○:透過率の差が10%超20%以下。
△:透過率の差が20%超30%以下。
×:透過率の差が30%超。
<耐湿熱性試験>
各例の光学フィルムを60℃、相対湿度90%の環境下で500時間加熱した。第一の色材及び第二の色材の波長範囲での吸収極大波長における加湿、加熱前後の透過率を自動分光光度計((株)日立製作所製、U-4100)でそれぞれ測定し、透過率の差((透過率差)=(照射後の透過率)-(照射前の透過率))(%)を算出した。第一の色材及び第二の色材のうち、透過率の差が大きかった方について下記評価基準に基づき、耐湿熱性を評価した。なお、第一の色材及び第二の色材を含有しない比較例3については耐湿熱性試験を行わなかった(表中「-」で示す。)。
《評価基準》
◎:透過率の差が5%以下。
○:透過率の差が5%超10%以下。
△:透過率の差が10%超15%以下。
×:透過率の差が15%超。
[表示装置特性評価]
<白表示透過特性>
得られた光学フィルムの透過率を自動分光光度計((株)日立製作所製、U-4100)を用いて測定し、この透過率を用いて、白表示時に光学フィルムを透過した光の効率を算出し、白表示透過特性として評価した。基準として、図9に示すスペクトルの白色有機EL光源とカラーフィルタを通して出力される白表示時のスペクトルの効率を100とした。100に近いほど白表示透過率が高く、輝度効率に優れる。
<表示装置反射特性>
得られた光学フィルムの透過率T(λ)及び表面反射率R(λ)を自動分光光度計((株)日立製作所製、U-4100)を用いて測定した。表面反射率R(λ)の測定については、機能層の最表面と反対側の面につや消し黒色染料を塗布して反射防止の処理を行い、入射角5°の分光反射率を測定して表面反射率R(λ)とした。また、表示パネル反射率を40%とし、他の各層での界面反射及び表面反射は考慮せず、光学フィルムの無い状態でのD65光源(CIE(国際照明委員会)標準光源D65)に対する表示装置反射値を100とした際の相対反射値を下記式(II)に基づいて算出し、表示装置反射特性として評価した。表示装置反射特性の値が低いほど、外光反射を低減可能で、反射特性に優れる。
Figure 2023032001000006
<色再現性>
得られた光学フィルムの透過率を自動分光光度計((株)日立製作所製、U-4100)を用いて測定し、図9に示すスペクトルの、白色EL光源とカラーフィルタを通して出力される図10の赤色表示、緑色表示、青色表示スペクトルを測定した。図9及び図10のグラフの縦軸は、発光強度[a.u.](任意単位:arbitrary unit)を表す。測定した透過率と図10の赤色表示、緑色表示、青色表示スペクトルとを用いて算出されるCIE1931色度値からNTSC(全米テレビジョン放送方式標準化委員会)比を算出し、NTSC比を色再現性の指標として評価した。NTSC比が高いほど色再現性に優れる。
なお、比較例3における白表示透過特性を基準とした白表示透過特性の割合(比較例3比)、比較例3における表示装置反射特性を基準とした表示装置反射特性の割合(比較例3比)をそれぞれ表5、表6に示した。
Figure 2023032001000007
Figure 2023032001000008
表5~6に示すように、本発明を適用した実施例1~7は、耐光性、耐湿熱性の評価結果が「◎」又は「○」で、耐光性と耐湿熱性との両立が可能であった。
一方、着色層形成用組成物に水分吸着剤(D)及び添加剤(E)を含有せず、紫外線遮蔽層を着色層上に別層で設けていない比較例1~2は、耐光性及び耐湿熱性の評価結果が「×」だった。着色層を有しない比較例3と比較すると、本発明の着色層を設けた実施例1~7については大幅に反射特性が低くなった。また、円偏光板では白表示透過特性が半減するといわれているのに対し、本発明を適用した実施例1~7は、白表示特性も高く、輝度効率にも優れ、さらに色再現性も向上し、表示特性も優れる。
本発明の着色層形成用組成物を用いた光学フィルム及び本発明の光学フィルムを用いた表示装置は、耐光性及び耐湿熱性を向上させ、反射抑制と輝度効率とを両立でき、表示品位を向上でき、色再現性を向上でき、発光素子を長寿命化できることが分かった。
1,2,3,4,5,6,7,8 光学フィルム
10 着色層
20 透明基材
30 機能層
31 低屈折率層
32 ハードコート層
33 酸素バリア層
34 防眩層

Claims (10)

  1. 色素(A)と、活性エネルギー線硬化性樹脂(B)と、光重合開始剤(C)と、水分吸着剤(D)と、前記水分吸着剤(D)を除く添加剤(E)と、溶剤(F)と、を含有し、
    前記色素(A)は、第一の色材と、第二の色材とを含有し、
    前記第一の色材は、吸収極大波長が470~530nmの範囲内にあり、吸光スペクトルの半値幅が15~45nmであり、
    前記第二の色材は、吸収極大波長が560~620nmの範囲内にあり、吸光スペクトルの半値幅が15~55nmであり、
    前記水分吸着剤(D)は、疎水変性セルロースナノファイバーを含有し、
    前記添加剤(E)は、ラジカル捕捉剤、過酸化物分解剤及び一重項酸素クエンチャーから選択される1種以上を含有する、着色層形成用組成物。
  2. 前記疎水変性セルロースナノファイバーの固形分の含有量が、着色層形成用組成物の全固形分の含有量に対して0.5~3.0質量%である、請求項1に記載の着色層形成用組成物。
  3. 前記添加剤(E)がラジカル捕捉剤を含有し、前記ラジカル捕捉剤が分子量2000以上のヒンダードアミン系光安定剤である、請求項1又は2に記載の着色層形成用組成物。
  4. 前記添加剤(E)が一重項酸素クエンチャーを含有し、前記一重項酸素クエンチャーがジアルキルホスフェート、ジアルキルジチオカルバメート、又はベンゼンジチオールあるいはこれに類似するジチオールの遷移金属錯体である、請求項1~3のいずれか一項に記載の着色層形成用組成物。
  5. 前記色素(A)が、400~780nmの波長範囲において最も透過率の低い波長が650~780nmの範囲内にある第三の色材をさらに含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の着色層形成用組成物。
  6. 前記色素(A)が、ポルフィリン構造、メロシアニン構造、フタロシアニン構造、アゾ構造、シアニン構造、スクアリリウム構造、クマリン構造、ポリエン構造、キノン構造、テトラジポルフィリン構造、ピロメテン構造及びインジゴ構造のいずれかを有する化合物並びにその金属錯体からなる群から選択される1種以上の化合物を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の着色層形成用組成物。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載の着色層形成用組成物の硬化物である着色層と、
    前記着色層の一方の面に位置する透明基材と、
    前記着色層の一方又は他方の面に位置する機能層と、を有し、
    前記透明基材及び前記機能層の一方又は双方が、JIS L1925に記載の方法に準じて測定される紫外線遮蔽率が85%以上であり、
    前記機能層が、反射防止層又は防眩層として機能する、光学フィルム。
  8. 前記機能層として、酸素透過度が10cm/(m・day・atm)以下である酸素バリア層をさらに有する、請求項7に記載の光学フィルム。
  9. 前記機能層として、帯電防止層又は防汚層をさらに有する、請求項7又は8に記載の光学フィルム。
  10. 請求項7~9のいずれか一項に記載の光学フィルムを備える、表示装置。
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