JP2023031449A - 電解質膜シートの帯状物およびその製造方法 - Google Patents

電解質膜シートの帯状物およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】触媒層の積層工程を適切に実施することが可能な電解質膜シートの帯状物を提供する。【解決手段】帯状の基材フィルム上に電解質膜が積層された電解質膜シートの帯状物であって、前記電解質膜の厚みが40μm以上であり、前記電解質膜が前記基材フィルム側から順に高分子電解質を含む第1の電解質層、多孔質基材と高分子電解質とを含む複合層および高分子電解質を含む第2の電解質層を有し、前記基材フィルム、前記第1の電解質層および前記複合層の幅方向両端部が同位置で、かつ前記第2の電解質層の幅方向両端部がそれぞれ、前記基材フィルム、前記第1の電解質層および前記複合層のいずれの幅方向両端部より内側にあることを特徴とする、電解質膜シートの帯状物。【選択図】図1

Description

本発明は、電解質膜シートの帯状物およびその製造方法に関する。
近年、次世代におけるエネルギーの貯蔵・輸送手段として、水素エネルギーが注目されている。水素は、燃料電池の燃料として用いることで、熱機関を用いた発電よりも理論的に高いエネルギー効率で電力に変換可能で、かつ有害排出物レスであることから、高効率なクリーンエネルギー源となり得る。
水素は2次エネルギーであり、様々な作製方法があるが、再生可能エネルギーによる余剰電力を使用して水を電気分解すれば、二酸化炭素を排出することなく電力を水素エネルギーに変換可能である。水の電気分解による水素製造方式には、アルカリ水電解と固体高分子電解質膜(PEM)型水電解がある。PEM型水電解は高電流密度での運転が可能であり、再生可能エネルギーの出力変動に柔軟に対応できるという特長を有する。
PEM型の水電解式水素発生装置においては、生成された水素がカソードからアノードに逆透過することを抑制する必要があり、水素バリア性を高めるために膜厚の比較的大きい電解質膜を用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
一方、高分子電解質膜の耐久性を高めるために、電解質膜内部に多孔質基材(補強材)を配置することが知られている。このような多孔質基材を含む複合電解質膜として、多孔質基材に高分子電解質を充填させた複合層の両面にそれぞれ高分子電解質からなる電解質層を備えたものが知られている。
上記複合電解質膜の製造方法として、例えば、長尺帯状の基材フィルムに電解質溶液を塗布し、その上に多孔質基材を重ね合わせて電解質溶液を含浸させた後に多孔質基材の他方の面に電解質溶液を塗布して製造することが提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。
そして、上記のようにして製造された電解質膜シートの帯状物に触媒層が連続的に積層されて触媒層付き電解質膜が製造され、さらにガス拡散電極が積層されて膜・電極接合体が製造され、この膜・電極接合体が燃料電池や水電解式水素発生装置などに適用される。
特開2016-216826号公報 特開2015-76201号公報 特開2019-186183号公報
上記複合電解質膜の製造方法においては、例えば、図8に示されているように、多孔質基材を含む複合層12の両面に配置される第1の電解質層11と第2の電解質層13は、多孔質基材に電解質溶液を含浸させるため、通常、多孔質基材を覆うように積層される。このようにして製造された電解質膜シートの帯状物を、次の加工工程、例えば、触媒層を積層する工程に供給するに際し、その幅方向長さを調整するため、あるいは幅方向両端部位置を揃えるために、スリット切断することがある。例えば、切断位置s1およびs2でスリット切断されて、図9に示されているような帯状物が製造される。
図9の帯状物は、触媒インクを塗布する工程において、わずかな蛇行搬送などによって塗布された触媒インクが帯状物の幅方向端部からはみ出して、ガイドロールなどの周辺機材を汚染することがあった。
また、電解質膜の厚みが比較的大きい場合、スリット切断された帯状物の切断部y1、y2が盛り上がることがあり(図10)、この盛り上がりが帯状物の蛇行搬送を助長することがあった。帯状物が蛇行搬送すると、巻き取られたロール状物の側面が不揃いになったり、上記触媒インクのはみ出しを助長させたりすることがあった。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の課題に鑑み、例えば、触媒層の積層工程における触媒インクのはみ出しや蛇行搬送などを抑制し、次工程を問題なく適切に実施することができる電解質膜シートの帯状物を提供することにある。本発明の別の目的は、触媒積層工程などの次工程を問題なく適切に実施することができる電解質膜シートの帯状物の製造方法を提供することにある。
本発明の電解質膜シートの帯状物は、上記目的を達成するために、以下のような構成を採る。すなわち、帯状の基材フィルム上に電解質膜が積層された電解質膜シートの帯状物であって、前記電解質膜の厚みが40μm以上であり、前記電解質膜が前記基材フィルム側から順に高分子電解質を含む第1の電解質層、多孔質基材と高分子電解質とを含む複合層および高分子電解質を含む第2の電解質層を有し、前記基材フィルム、前記第1の電解質層および前記複合層の幅方向両端部が同位置で、かつ前記第2の電解質層の幅方向両端部がそれぞれ、前記基材フィルム、前記第1の電解質層および前記複合層のいずれの幅方向両端部よりも内側にあることを特徴とする、電解質膜シートの帯状物である。
また、本発明の電解質膜シートの帯状物の製造方法は、以下のような構成を採る。すなわち、幅方向長さWの帯状の基材フィルム上に高分子電解質を含む第1の電解質溶液を、前記長さWよりも短い幅方向長さWとなるように塗布する工程(A)、前記第1の電解質溶液の塗布面に、前記長さWと同じかそれよりも短い幅方向長さWである帯状の多孔質基材を前記塗布面が湿潤状態で貼り合わす工程(B)、前記多孔質基材上に高分子電解質を含む第2の電解質溶液を、前記長さWよりも短い幅方向長さWとなるように塗布する工程(C)、および乾燥する工程(D)をこの順に実施して、前記幅方向長さの関係がW>W≧W>Wを満足する電解質膜シートの帯状物前駆体を製造し、さらに、この電解質膜シートの帯状物前駆体の第2の電解質層の幅方向両端部の外側の位置で、前記基材フィルム、前記第1の電解質層および前記複合層をスリット切断する工程(E)を有する、電解質膜シートの帯状物の製造方法である。
本発明の電解質膜シートの帯状物は、触媒層の積層工程における触媒インクのはみ出しや蛇行搬送などを抑制し、次工程を問題なく適切に実施することができる。
本発明の電解質膜シートの帯状物の一つの形態における幅方向の断面模式図である。 本発明の電解質膜シートの帯状物前駆体の一つの形態における幅方向の断面模式図である。 本発明の電解質膜シートの帯状物前駆体の他の形態における幅方向の断面模式図である。 本発明の電解質膜シートの帯状物の製造に用いることができる製造装置の一例の概略構成を示す側面図である。 本発明の電解質膜シートの帯状物の製造に用いることができる製造装置の他の例の概略構成を示す側面図である。 本発明の電解質膜シートの帯状物の製造に用いることができる製造装置の他の例の概略構成を示す側面図である。 触媒層の積層工程に用いることができる製造装置の一例の概略構成を示す側面図である。 従来の電解質膜シートの帯状物における幅方向の断面模式図である。 従来のスリット切断後の帯状物における幅方向の断面模式図である。 図9の切断部y1の部分拡大図である。
以下、本発明の実施態様について詳細に説明するが、本発明は以下の実施態様に限定されるものではなく、本発明の目的や用途に応じて種々に変更して実施することができる。
本発明の電解質膜シートの帯状物は、帯状の基材フィルム上に厚みが40μm以上の電解質膜が積層されたものである。電解質膜は、基材フィルム側から順に、高分子電解質を含む第1の電解質層、多孔質基材と高分子電解質を含む複合層および高分子電解質を含む第2の電解質層を有する。そして、基材フィルム、第1の電解質層および複合層の幅方向両端部が同位置で、かつ第2の電解質層の幅方向両端部がそれぞれ、基材フィルム、第1の電解質層および複合層のいずれの幅方向両端部より内側にあることを特徴とする。
以下、電解質膜シートの帯状物を「帯状物」と略記することがある。また、第2の電解質層に対して、基材フィルム、第1の電解質層および複合層を総称して「他の構成要素」ということがある。
本発明において、第2の電解質層の幅方向両端部がそれぞれ、他の構成要素のいずれの幅方向両端部より内側にあるとは、第2の電解質層の幅方向両端部がそれぞれ、他の構成要素のいずれの幅方向両端部よりも幅方向中心に近い位置にあることを意味する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る帯状物の幅方向の断面模式図である。帯状物101は、基材フィルム10上に、第1の電解質層11、複合層12および第2の電解質層13をこの順に有する。第2の電解質層13の幅方向端部A1およびA2は、それぞれ、他の構成要素(基材フィルム10、第1の電解質層11および複合層12)の幅方向端部B1およびB2よりも幅方向中心線Cに近い位置にある。ここで、第2の電解質層の中心線と他の構成要素の中心線とは、同位置であることが好ましいが、ずれていてもかまわない。詳細は後述する。
本実施の形態1に係る帯状物は、例えば、基材フィルムの幅方向長さ、多孔質基材の幅方向長さおよび第1の電解質層の塗布幅を同一とし、第2の電解質層の塗布幅を上記他の構成要素の幅方向長さよりも短くすることによって製造することができる。
また、本実施の形態1に係る帯状物は、例えば、図2または図3に示すような電解質膜シートの帯状物前駆体(以下、帯状物前駆体と略記することがある)を製造し、この帯状物前駆体を切断位置s1、s2でスリット切断することによって製造することができる。本実施の形態1に係る帯状物は、上記したように帯状物前駆体をスリット切断して製造することが好ましい。詳細は後述する。
本実施の形態1に係る帯状物を次工程の触媒層積層工程に供給し、帯状物の第2の電解質層上に触媒層を積層する場合、歩留まり向上の観点から、触媒層の塗布幅を第2の電解質層の幅と同程度にして触媒インクを塗布することが有効である。このとき、第2の電解質層の両端部がそれぞれ他の構成要素の両端部より内側にあること、および第2の電解質層の両端部と他の構成要素の両端部との間に段差があることによって、触媒インクが帯状物の端部からはみ出すことが抑制される。
上記観点から、端部A1と端部B1との端部間距離D1および端部A2と端部B2との端部間距離D2は、それぞれ、1mm以上が好ましく、2mm以上がより好ましく、3mm以上が特に好ましい。すなわち、第2の電解質層の両端部は、それぞれ、他の構成要素の両端部から1mm以上内側にあることが好ましく、2mm以上内側にあることがより好ましく、3mm以上内側にあることが特に好ましい。また、上記端部間距離D1およびD2は、それぞれ、20mm以下が好ましく、15mm以下がより好ましく、10mm以下が特に好ましい。
端部間距離D1とD2とは、同一であることが好ましい。この形態は、第2の電解質層の中心線と他の構成要素の中心線とが同位置であることを意味する。また、端部間距離D1とD2とは、上記範囲内で異なっていてもよい。例えば、D1とD2とが1~19mm程度異なっていてもよい。この形態は、第2の電解質層の中心線と他の構成要素の中心線とが、例えば、1~19mm程度ずれていることを意味する。つまり、第2の電解質層の中心線と他の構成要素の中心線とは、端部間距離D1とD2が確保できる範囲内でずれることを許容する。
また、触媒インクのはみ出しを抑制するという観点から、第2の電解質層の厚みは比較的大きいことが好ましく、具体的には、10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、30μm以上がさらに好ましく、40μm以上が特に好ましい。第2の電解質層の厚みの上限は70μm程度である。さらに、上記観点から、第2の電解質層と第1の電解質層の厚み比率(第2の電解質層の厚み/第1の電解質層の厚み)は、1.3以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、2.0以上がさらに好ましく、3.0以上が特に好ましい。
また、上記したように第2の電解質層の厚みが比較的大きい場合、他の構成要素のスリット切断部が盛り上がっても、その盛り上がりによる影響は第2の電解質層の厚みによって吸収もしくは緩和されるので、帯状物の蛇行搬送が抑制される。帯状物の蛇行搬送が抑制されることによって、触媒インクのはみだしが抑制され、またロール状物の側面が均一となる。
帯状物における第2の電解質層の幅方向長さは、例えば、触媒層の積層工程で要求される幅方向長さに応じて適宜決定される。一般的には、500~2000mm程度である。また、帯状物の長尺方向長さは、一般的には100~3000m程度である。
[帯状物の製造方法]
本発明の帯状物は、前述したように、図2または図3に示すような電解質膜シートの帯状物前駆体を製造し、この帯状物前駆体を切断位置s1、s2でスリット切断して製造することができる。以下、帯状物前駆体の形態について具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
図2は、帯状物前駆体の一つの形態における幅方向の断面模式図である。帯状物前駆体102は、基材フィルム10上に、第1の電解質層11、複合層12および第2の電解質層13が積層されたものである。各構成要素の幅方向中心線Cが概略同位置であり、第2の電解質層13の幅方向長さが最も短くなっている。
上記帯状物前駆体を切断位置s1およびs2でスリット切断することによって、すなわち、第2の電解質層13は切断せずに、他の構成要素(基材フィルム10、第1の電解質層11および複合層12)を切断することによって、図1の形態の帯状物を得ることができる。
上記した各構成要素の幅方向中心線Cが概略同位置であるとは、上記の切断位置s1およびs2が確保できる範囲内で各構成要素の幅方向中心線がずれることを許容する。各構成要素の幅方向中心線は、同位置であることが好ましい。
図2の形態は、基材フィルム10の幅方向長さをW、第1の電解質層11の幅方向長さをW、複合層12の幅方向長さをW、第2の電解質層13の幅方向長さをWとするとき、「W>W>W>W」の関係になっているが、これに限定されず、例えば、図3の形態、すなわち、「W>W=W>W」の関係であってもよい。すなわち、帯状物前駆体における各構成要素の幅方向長さの関係は、「W>W≧W>W」であることが好ましい。
上記形態において、スリット切断を円滑に実施するという観点から、WとWの差(W-W)は、10mm以上が好ましく、15mm以上がより好ましく、20mm以上が特に好ましい。一方、スリット切断における歩留まり(廃棄量の減少)の観点から、W-Wは、200mm以下が好ましく、150mm以下がより好ましく、100mm以下が特に好ましい。WとWとの差(W-W)は10~250mm程度が適当であり、20~200mmが好ましい。WとWとの差(W-W)は0~200mm程度が適当であり、10~100mmが好ましい。
帯状物前駆体における第2の電解質層の幅方向長さは、例えば、次の加工工程である触媒層の積層工程で要求される幅方向長さに応じて適宜決定される。他の構成要素(基材フィルム、第1の電解質層および複合層)の幅方向長さは、第2の電解質層の幅方向長さに応じて、さらに上記関係を考慮して適宜決定される。
本発明の帯状物は、上記したように、帯状物前駆体をスリット切断することによって得ることができるが、このとき、第2の電解質層は切断されないので、切断部(図1のB1およびB2)が盛り上がっていても、その盛り上がりによる影響は第2の電解質層(の厚み)によって吸収もしくは緩和され、帯状物の蛇行搬送が抑制される。
また、帯状物前駆体をスリット切断して本発明の帯状物を製造する方法では、第2の電解質層を切断しないので、スリット切断速度が従来に比べて大きく向上する。スリット切断速度を向上させるという観点から、帯状物前駆体における第2の電解質層の厚みは比較的大きいことが好ましく、具体的には、10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、30μm以上がさらに好ましく、40μm以上が特に好ましい。帯状物における第1の電解質層、複合層および第2の電解質層を合わせた厚みには好ましい範囲がある。その範囲内となることを考慮した上で、帯状物前駆体における第2の電解質層の厚みをある程度厚くすることにより、切断される第1の電解質層および複合層の厚みが薄くなり、スリット切断速度が向上する。
さらに、上記観点から、第2の電解質層と第1の電解質層の厚み比率(第2の電解質層の厚み/第1の電解質層の厚み)は、1.3以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、2.0以上がさらに好ましく、3.0以上が特に好ましい。
帯状物前駆体のスリット切断には、公知のスリット切断装置を用いて実施することができる。スリット切断装置としては、例えば、光学フィルム、ポリマーフィルム、粘着フィルム、保護フィルムなどの帯状物をスリット切断するためのスリット切断装置を用いることができる。スリット方式としては、シェアカット(シャーカット)方式、レザーカット方式、スコアカット方式などがあるが、シェアカット方式は本発明のような膜厚が比較的大きい帯状物前駆体をスリット切断するのに有効である。
[帯状物前駆体の製造方法]
次に、帯状物前駆体の製造方法を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。帯状物前駆体は、例えば、幅方向長さWの帯状の基材フィルム上に高分子電解質を含む第1の電解質溶液を、長さWよりも短い幅方向長さWとなるように塗布する工程(A)、第1の電解質溶液の塗布面に、長さWと同じかそれよりも短い幅方向長さWである帯状の多孔質基材を塗布面が湿潤状態で貼り合わす工程(B)、多孔質基材上に高分子電解質を含む第2の電解質溶液を、長さWよりも短い幅方向長さWとなるように塗布する工程(C)、および乾燥する工程(D)をこの順に実施して製造することができる。
上記製造方法は、工程(B)と工程(C)との間に、乾燥工程(F)を設けることができる。詳細は後述する。
上記製造方法において、工程(A)で第1の電解質層が形成され、工程(B)で複合層が形成され、工程(C)で第2の電解質層が形成される。つまり、第1の電解質溶液で第1の電解質層が形成され、第1の電解質溶液の塗布面が湿潤状態で多孔質基材を貼り合わすことによって多孔質基材に第1の電解質溶液が充填されて複合層が形成され、第2の電解質溶液で第2の電解質層が形成される。
工程(A)における第1の電解質溶液の塗布量、および工程(C)における第2の電解質溶液の塗布量を制御することによって、第1の電解質層および第2の電解質層の厚みを調整することができる。第1の電解質溶液の塗布量は、多孔質基材に充填(含浸)される量と第1の電解質層を形成する量との合計量であり、該塗布量は、多孔質基材の空孔率、電解質膜の設計厚み、第1の電解質溶液の固形分濃度などから求めることでき、また、簡易試験もしくは実機経験にてより精密に求めることが可能である。
上記製造方法は、ロール・ツー・ロール方式で行うことが好ましい。ロール・ツー・ロール方式とは、帯状の基材フィルムおよび帯状の多孔質基材をロールで供給し、上記した工程(A)~(D)および必要に応じて乾燥工程(F)を実施して、ロール状に巻き取る方式である。
ロール・ツー・ロール方式による帯状物前駆体の製造方法として、例えば、以下の第1の形態および第2の形態が挙げられる。すなわち、
(第1の形態)上記工程(A)、工程(B)、工程(C)、および工程(D)を一つの製造ラインにて1パスで実施する形態。
(第2の形態)上記工程(A)、工程(B)および乾燥工程(F)を実施した後、一旦、ロール状に巻き取り、このロール状物を用いて工程(C)と工程(D)を実施する形態。
第1の形態について詳細に説明する。第1の形態を実施することができる製造装置として、図4の製造装置が例示できる。
図4において、ロール巻出機21から巻き出された帯状基材フィルムPFの一方の面に第1の塗布装置22で第1の電解質溶液が塗布される。次いで、その塗布面に、供給ロール23から巻き出された帯状多孔質基材MSが貼り合わされ、帯状多孔質基材MSに第1の電解質溶液が含浸される。ここで、帯状多孔質基材MSに第1の電解質溶液の一部が含浸され、帯状多孔質基材MSの空孔に充填されて複合層が形成される。含浸されないで残った電解質溶液で第1の電解質層が形成される。従って、第1の電解質溶液のウェット塗布量(ウェット厚み)は、前述したように多孔質基材に含浸される量と第1の電解質層の設計膜厚とから適宜決定される。
続いて、帯状多孔質基材MSに第2の塗布手段24で第2の電解質溶液が塗布され、乾燥炉25で乾燥されて帯状物前駆体102が製造される。製造された帯状物前駆体102はロール巻取機26でロール状に巻き取られる。
上記塗布装置としては、スリットダイコーター、グラビアコーター、バーコーター、ロールコーター、ドクターコーター、ナイフコート、ダイレクトロールコート、スプレーコーター、ディップコーター、カーテンコート、エクストルージョンコーター、スピンコーターなどを用いることができる。これらのなかでも、塗布幅を精度良く制御するという観点から、塗布方式としてはスリットダイコーターが好ましい。
上記乾燥炉の温度は、50~200℃が好ましく、60~170℃がより好ましく、70~160℃が特に好ましい。
帯状基材フィルムPFに第1の電解質溶液が塗布されてから帯状多孔質基材MSが貼り合わされるまでの時間は、第1の電解質溶液の湿潤状態が維持されていれば特に限定されないが、生産性向上や設備縮小の観点から、5分以内が好ましく、3分以内がより好ましく、2分以内が特に好ましい。下限は5秒程度である。
また、帯状基材フィルムPFの第1の電解質溶液が塗布された面に帯状多孔質基材MSが貼り合わされてから第2の電解質溶液が塗布されるまでの時間、すなわち含浸時間は、帯状多孔質基材MSの空孔に第1の電解質溶液を十分に充填させるという観点から、3秒以上が好ましく、5秒以上がより好ましく、10秒以上が特に好ましい。また、生産性向上や設備縮小の観点から、上記含浸時間は、4分以内が好ましく、3分以内がより好ましく、2分以内が特に好ましい。
また、帯状基材フィルムPFの第1の電解質溶液が塗布された面に帯状多孔質基材MSが貼り合わされてから第2の電解質溶液が塗布されるまでに、乾燥炉を設けて第1の電解質溶液を乾燥することができる。つまり、乾燥工程(F)を設けることができる。しかし、第1の形態では、第1の電解質溶液が湿潤状態で第2の電解質溶液を塗布し、乾燥工程(D)で一括乾燥することが好ましい。これによって、設備縮小や生産性向上が図られる。
次に、第2の形態について説明する。第2の形態を実施することができる製造装置として、図5および図6の製造装置が例示できる。
図5において、ロール巻出機31から巻き出された帯基材フィルムPFの一方の面に第1の塗布装置32で第1の電解質溶液が塗布される。次いで、その塗布面に、供給ロール33から巻き出された帯状多孔質基材MSが貼り合わされ、帯状多孔質基材MSに第1の電解質溶液が含浸される。続いて、乾燥炉35で乾燥されて中間製造物IMP(帯状基材フィルムに第1の電解質層と複合層が積層されたもの)が製造される。製造された中間製造物IMPはロール巻取機36でロール状に巻き取られる。
次に、図6の製造装置を用いて、中間製造物IMPに第2の電解質層を積層して帯状物前駆体を製造する。図6において、ロール巻出機41から巻き出された中間製造物IMPの基材フィルムとは反対面に第2の塗布装置44で第2の電解質溶液が塗布され、乾燥炉45で乾燥されて帯状物前駆体102が製造される。製造された帯状物前駆体102はロール巻取機46でロール状に巻き取られる。
上記のようにして製造された帯状物前駆体に、高分子電解質をプロトン化するための酸処理を施す必要がある場合は、図4または図6の製造ラインにおいて、乾燥炉25からロール巻取機26までの間または乾燥炉45からロール巻取機46までの間に、酸処理を施すための手段、例えば、酸処理槽、水洗槽および乾燥炉を設置して、帯状物前駆体の製造に続いて連続的に酸処理を行うことができる。また、帯状物前駆体の製造後に別の工程で酸処理を施してもよい。酸処理装置としては、例えば、特開2011-194593号公報、国際公開第2017/141710号に記載の装置を用いることができる。
また、帯状物前駆体の基材フィルムは、スリット切断する前に別の基材フィルムに貼り替えることができる。詳細は後述する。
[基材フィルム]
本発明の帯状物において、基材フィルムと電解質膜とは剥離可能に積層されたものであって、基材フィルムは最終的に電解質膜から剥離される。例えば、帯状物の電解質膜の両面に触媒層を積層する工程の中で、基材フィルムは剥離される。
基材フィルムとしては、公知のポリマーフィルムを用いることができる。ポリマーフィルムの材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオリド、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂等が挙げられる。これらのなかでも、耐薬品性、耐熱性、価格の観点から、ポリエステルが好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。基材フィルムは、最終的には剥離されるものであり、必要に応じ離型処理が施されていてもよい。
基材フィルムの厚みとしては、電解質膜の厚みが40μm以上と比較的厚膜であることから、電解質膜の乾燥収縮によるカールを抑制するという観点から、150μm以上が好ましく、175μm以上がより好ましく、210μm以上が特に好ましい。一方、スリット切断時の負荷の軽減、帯状物の単位長さ当たりの質量増大を抑制するという観点から500μm以下が好ましく、400μm以下がより好ましく、350μm以下が特に好ましい。さらに、上記観点から、基材フィルムの厚みは、150~500μmの範囲内で、かつ電解質膜の厚みの2.0~6.5倍が好ましく、2.5~5.0倍がより好ましく、3.0~4.5倍が特に好ましい。
帯状物前駆体の製造時に使用した基材フィルムは、スリット切断する前に、別の基材フィルムに貼り替えることができる。別の基材フィルムの厚みは、120μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましく、80μm以下が特に好ましい。上記厚みは、20μm以上が好ましく、30μm以上がより好ましく、35μm以上が特に好ましい。別の基材フィルムとしては、上記ポリマーフィルムを用いることができる。別の基材フィルムは、電解質膜との密着性を適度に高めるための処理、例えば、加熱処理、加湿処理、アンカー処理、粘着処理などを施すことができる。
[電解質膜]
本発明における電解質膜は、基材フィルム側から順に、高分子電解質を含む第1の電解質層、多孔質基材と高分子電解質を含む複合層および高分子電解質を含む第2の電解質層を有する。ここで、第1の電解質層および第2の電解質層は、多孔質基材を含まない。複合層は、多孔質基材の空孔に高分子電解質が充填されたものである。
本発明における電解質膜は、水電解式水素発生装置や電気化学式水素ポンプに適用されることが好ましい。水電解式水素発生装置や電気化学式水素ポンプは、生成された水素がカソードからアノードに逆透過することを抑制する必要があり、水素バリア性が高い電解質膜が求められている。本発明の電解質膜は、その厚みが40μm以上であり、比較的良好な水素バリア性を有する。
水素バリア性を高めるという観点から、電解質膜の厚みは、50μm以上が好ましく、60μm以上がより好ましく、70μm以上がさらに好ましく、85μm以上が特に好ましい。
電解質膜における水素バリア性は、80℃、相対湿度90%雰囲気下での水素透過度(以下、単に「水素透過度」という)で表すことができる。本発明における電解質膜の水素透過度は、3.0×10-7cm・(cm・s・cmHg)-1以下であることが好ましく、2.0×10-7cm・(cm・s・cmHg)-1以下であることがより好ましく、1.0×10-7cm・(cm・s・cmHg)-1以下であることが特に好ましい。ここで、水素透過度とは、単位面積当たりの電解質膜の水素透過量を表す。
一方、電解質膜の厚みは、生産効率や材料コストの観点から、250μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましく、180μm以下がさらに好ましく、150μm以下が特に好ましい。電解質膜の厚みが250μmを超えると、帯状物の製造工程におけるカールを抑制するために基材フィルムの厚みを必要以上に大きくする必要があり、材料コスト増や帯状物の単位長さ当たりの質量増大によって生産効率が低下する場合がある。また、電解質膜の厚みが大きくなると、スリット切断時の負荷が増大することがある。
第2の電解質層の厚みは、前述したように、触媒インクの帯状物端部からのはみ出しを抑制するという観点から、帯状物の蛇行搬送が抑制、帯状物前駆体のスリット切断速度を向上させるという観点から、第2の電解質層の厚みは比較的大きいことが好ましく、具体的には、10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、30μm以上がさらに好ましく、40μm以上が特に好ましい。上限は70μm程度である。さらに、上記観点から、第2の電解質層と第1の電解質層の厚み比率(第2の電解質層の厚み/第1の電解質層の厚み)は、1.3以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、2.0以上がさらに好ましく、3.0以上が特に好ましい。
複合層の厚みは、電解質膜の機械的強度を高めて耐久性を向上させるという観点から、20μm以上が好ましく、25μm以上がより好ましく、30μm以上が特に好ましい。一方、プロトン伝導性の観点から、上記厚みは47μm以下が好ましく、45μm以下がより好ましく、43μm以下が特に好ましい。電解質膜における複合層の厚み比率は、電解質膜の厚みを100%として、10~90%が好ましく、20~80%がより好ましく、30~70%が特に好ましい。ここで、複合層の厚みは多孔質基材の厚みを意味する。
複合層を構成する多孔質基材の形態としては、織布、不織布、微多孔膜、メッシュ織物等が挙げられる。多孔質基材の材質としては、例えば、炭化水素系高分子を主成分とする炭化水素系多孔質基材、フッ素系高分子を主成分とするフッ素系多孔質基材などが挙げられる。
炭化水素系高分子としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリアリーレンエーテル系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリパラフェニレン(PPP)、ポリアリーレン系ポリマー、ポリアリーレンケトン、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリアリーレンホスフィンオキシド、ポリエーテルホスフィンオキシド、ポリベンズオキサゾール(PBO)、ポリベンズチアゾール(PBT)、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミドスルホン(PIS)などが挙げられる。
フッ素系高分子としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、エチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)などが挙げられる。
多孔質基材は電解質膜の強度を補強するという役目があり、本発明における電解質膜のように厚みが40μm以上と比較的厚い電解質膜を補強するという観点から、強度が比較的高い多孔質基材が好ましく、その観点からメッシュ織物が好ましい。メッシュ織物は、当該分野で従来から一般的に使用されている多孔質基材に比べて、繊維径が比較的大きく、強度が高いものを比較的容易に製造することができる。メッシュ織物を構成する繊維の材質としては、ポリエステル、液晶ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトンが好ましい。
メッシュ織物は、例えば、スクリーン印刷版として適用されており、公知の製造方法で製造することができる。例えば、国際公開第2019/188960号、国際公開第2019/146620号などに記載の製造方法を参照して製造することができる。
第1の電解質層、複合層および第2の電解質層にそれぞれ含まれる高分子電解質は、同種であっても異種であってもよい。高分子電解質が異種である形態としては、例えば、第1の電解質層と複合層とが同種で第2の電解質層が異種である形態が挙げられる。
高分子電解質としては、燃料電池や水電解式水素発生装置に使用される電解質膜を構成する公知の高分子電解質を用いることができる。かかる高分子電解質としては、例えば、イオン性基を有するパーフルオロ系ポリマー、イオン性基を有する炭化水素系ポリマーが挙げられる。電解質膜の水素バリア性を高めるという観点から、イオン性基を有する炭化水素系ポリマーが好ましい。
イオン性基を有するパーフルオロ系ポリマーとは、ポリマー中のアルキル基および/またはアルキレン基の水素の大部分または全部がフッ素原子に置換されたものを意味する。フッ素系高分子電解質としては、例えば、パーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマー、パーフルオロカーボンホスホン酸系ポリマー、トリフルオロスチレンスルホン酸系ポリマー、トリフルオロスチレンホスホン酸系ポリマー、エチレンテトラフルオロエチレン-g-スチレンスルホン酸系ポリマー、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオリド-パーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマーなどが挙げられる。
これらの中でも、耐熱性や化学的安定性など観点からパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマーが好ましく、かかるポリマーとして、例えば、“ナフィオン”(登録商標)(ケマーズ社製)、“フレミオン”(登録商標)(AGC(株)製)および“アシプレックス”(登録商標)(旭化成(株)製)などの市販品を挙げることができる。
イオン性基を有する炭化水素系ポリマーとしては、ポリマー主鎖に芳香環を有する芳香族炭化水素系ポリマーであることがより好ましい。芳香族炭化水素系ポリマーの具体例としては、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリアリーレンエーテル系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリパラフェニレン、ポリアリーレン系ポリマー、ポリアリーレンケトン、ポリエーテルケトン、ポリアリーレンホスフィンホキシド、ポリエーテルホスフィンホキシド、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾイミダゾール、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミドスルホンから選択される構造を芳香環とともに主鎖に有するポリマーが挙げられる。なお、ここでいうポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン等は、その分子鎖にスルホン結合、エーテル結合、ケトン結合を有している構造の総称であり、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンケトン、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン、ポリエーテルケトンスルホンなどを含む。炭化水素骨格は、これらの構造のうち複数の構造を有していてもよい。これらのなかでも、芳香族炭化水素系ポリマーとして特にポリエーテルケトン骨格を有するポリマー、すなわちポリエーテルケトン系ポリマーが最も好ましい。ポリエーテルケトン系ポリマーは、電解質膜の水素バリア性をより高めるという観点から好ましい。
ここでイオン性基は、スルホン酸基(-SO(OH))、硫酸基(-OSO(OH))、スルホンイミド基(-SONHSOR(Rは有機基を表す。))、ホスホン酸基(-PO(OH))、リン酸基(-OPO(OH))、カルボン酸基(-CO(OH))およびこれらの金属塩からなる群より選択される一種以上を好ましく採用することができる。中でも、高プロトン伝導度の点から少なくともスルホン酸基、スルホンイミド基、硫酸基、ホスホン酸基のいずれかを有することがより好ましく、耐加水分解性の点から少なくともスルホン酸基を有することが最も好ましい。
電解質膜の製膜時は、塗布装置の材質による不純物の混入や、加熱によるイオン性基の分解を軽減するために、これらのイオン性基は金属塩として導入しておくことが好ましい。金属塩を形成する金属は、イオン性基と塩を形成しうるものであればよい。価格および環境負荷の点からはLi、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Mo、Wなどが好ましく、これらの中でもLi、Na、K、Ca、Sr、Baがより好ましく、Li、Na、Kがさらに好ましい。電解質膜へのイオン性基の導入は、重合後のポリマーにイオン性基の金属塩または誘導体を導入する方法で行ってもよく、あるいはモノマーにイオン性基の金属塩を導入後、該モノマーを重合する方法で行っても構わない。
イオン性基を金属塩として導入する場合、電解質膜の製膜後に酸処理(酸性溶液と接触させる)することで、金属塩をプロトンに置換してイオン性基に変換することができる。酸処理方法としては、公知の方法を用いることができる。
電解質膜は、さらに、機械的強度の向上およびイオン性基の熱安定性向上、耐水性向上、耐溶剤性向上、耐ラジカル性向上、塗液の塗布性の向上、保存安定性向上などの目的のために、架橋剤や通常の高分子化合物に使用される結晶化核剤、可塑剤、安定剤、離型剤、酸化防止剤、ラジカル補足剤、無機微粒子などの添加剤を含有することができる。
[触媒層の積層工程]
本発明の帯状物は、次の加工工程、例えば、触媒層の積層工程に供給され、帯状物の電解質膜に触媒層が積層される。触媒層の積層方法としては、転写方式、塗布方式および転写方式と塗布方式との併用方式が一般的に知られているが、ここでは、塗布方式を例に挙げて説明する。図7は、触媒層の積層工程に用いることができる製造装置の一例の概略構成を示す側面図である。
図7において、巻出機ロール51から巻き出され帯状物101の第2の電解質層の面に塗布装置52で触媒インクが塗布され、乾燥炉53で乾燥されて触媒層が形成されて触媒層付き電解質膜CCMが製造される。製造されたCCMがロール巻取機56でロール状に巻き取られる。
このような触媒層の積層工程において、本発明の帯状物は、第2の電解質層の両端部がそれぞれ他の構成要素の両端部より内側にあり、かつ第2の電解質層の両端部と他の構成要素の両端部との間に段差があることによって、塗布された触媒インクが幅方向端部からはみ出すことが抑制され、ガイドロールなどの周辺部材の汚染が抑制される。また、本発明の帯状物は、蛇行なく搬送されるので、さらに、塗布された触媒インクが幅方向端部からはみ出すことが抑制される。また、帯状物が蛇行なく搬送されるので、ロール巻取機56で巻き取られたロール状物の側面が均一となる。
触媒層転写シートを用いてロール・ツー・ロール方式で触媒層を転写する場合であっても、本発明の帯状物は蛇行なく搬送されるので、触媒層転写シートを適切に貼り合わすことができる。
また、帯状物の第2の電解質層に触媒層が積層された後、帯状物の基材フィルムを剥離して、第1の電解質層を露出させ、この第1の電解質層に触媒層を上記と同様の塗布方式または転写方式で積層して、電解質膜の両面に触媒層が積層された触媒層付き電解質膜を得ることができる。
[適用例]
本発明の帯状物における電解質膜は、例えば、電気化学用途に適用することができる。電気化学用途としては、例えば、燃料電池、レドックスフロー電池、水電解式水素発生装置、電気化学式水素圧縮装置等が挙げられる。これらの中でも水電解式水素発生装置が最も好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各種測定方法および評価方法は次の通りである。
(1)ポリマーの分子量の測定
ポリマー溶液の数平均分子量及び重量平均分子量をGPCにより測定した。紫外検出器と示差屈折計の一体型装置として東ソー(株)製HLC-8022GPCを用いた。また、GPCカラムとして東ソー(株)製TSK gel SuperHM-H(内径6.0mm、長さ15cm)2本を用いた。N-メチル-2-ピロリドン溶媒(臭化リチウムを10mmol/L含有するN-メチル-2-ピロリドン溶媒)にて、流量0.2mL/minで測定し、標準ポリスチレン換算により数平均分子量及び重量平均分子量を求めた。
(2)厚みの測定
下記条件に従い、電解質膜シートの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、得られた画像からそれぞれの厚みを測定した。
装置:電界放射型走査電子顕微鏡(FE-SEM)S-4800(日立ハイテクノロジーズ製)
加速電圧:2.0kV
前処理:BIB法にて作製した断面試料にPtコートして測定した。
BIB法:アルゴンイオンビームを使用した断面試料作製装置。試料直上に遮蔽板を置き、その上からアルゴンのブロードイオンビームを照射してエッチングを行うことで観察面・分析面(断面)を作製する。
(3)スリット切断の速度
シェアカット方式のスリット切断装置を用いて、実施例および比較例の帯状物前駆体をスリット切断し、引き裂けなどの切断不良が起こらない最大の切断速度を求めた。
(4)触媒層積層工程におけるガイドロール汚染および帯状物の蛇行搬送の観察
図7の製造装置を用いて、実施例および比較例の帯状物の第2の電解質層上に下記の触媒インクを塗布、乾燥して、触媒層付き電解質膜を製造し、巻き取った。このときガイドロールが触媒インクの付着によって汚染されているかどうかを目視で観察した。また、帯状物が蛇行搬送しているかどうかを目視で観察した。
<触媒インク>
・触媒粒子:田中貴金属工業(株)製白金触媒担持炭素粒子TEC10E50E(白金担持率50質量%)を10質量部
・フッ素系高分子電解質:ケマーズ(Chemours)(株)製の“Nafion”(登録商標)品番D2020(電解質と水と1-プロパノールの質量比が20:34:46の分散液)を固形分換算で5質量部
・溶媒:水と1-プロピルアルコールとの質量比4:6の混合溶媒
上記の触媒粒子と高分子電解質を溶媒中でビーズミルを用いて分散して、固形分濃度が10質量%の触媒インクを調製した。
[ポリエーテル系ブロック共重合体の合成]
<ブロック共重合体b1の合成>
[合成例1]
(下記一般式(G1)で表される2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,3-ジオキソラン(K-DHBP)の合成)
攪拌器、温度計及び留出管を備えた500mLフラスコに、4,4′-ジヒドロキシベンゾフェノン49.5g、エチレングリコール134g、オルトギ酸トリメチル96.9g及びp-トルエンスルホン酸一水和物0.50gを仕込み溶解した。その後78~82℃で2時間保温攪拌した。更に、内温を120℃まで徐々に昇温し、ギ酸メチル、メタノール、オルトギ酸トリメチルの留出が完全に止まるまで加熱した。この反応液を室温まで冷却後、反応液を酢酸エチルで希釈し、有機層を5%炭酸カリウム水溶液100mLで洗浄し分液後、溶媒を留去した。残留物にジクロロメタン80mLを加え結晶を析出させ、濾過し、乾燥して2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,3-ジオキソラン52.0gを得た。この結晶をGC分析したところ99.8%の2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,3-ジオキソランと0.2%の4,4′-ジヒドロキシベンゾフェノンであった。
Figure 2023031449000002
[合成例2]
(下記一般式(G2)で表されるジソジウム-3,3'-ジスルホネート-4,4'-ジフルオロベンゾフェノンの合成)
4,4’-ジフルオロベンゾフェノン109.1g(アルドリッチ試薬)を発煙硫酸(50%SO3)150mL(和光純薬(株)試薬)中、100℃で10時間反応させた。その後、多量の水中に少しずつ投入し、NaOHで中和した後、食塩(NaCl)200gを加え合成物を沈殿させた。得られた沈殿を濾別し、エタノール水溶液で再結晶し、下記化学式(G2)で示されるジソジウム-3,3’-ジスルホネート-4,4’-ジフルオロベンゾフェノンを得た。純度は99.3%であった。
Figure 2023031449000003
[合成例3]
(下記一般式(G3)で表される非イオン性オリゴマーa1の合成)
攪拌機、窒素導入管、Dean-Starkトラップを備えた2,000mLのSUS製重合装置に、炭酸カリウム16.59g(アルドリッチ試薬、120mmol)、合成例1で得たK-DHBP25.83g(100mmol)および4,4’-ジフルオロベンゾフェノン20.3g(アルドリッチ試薬、93mmol)を入れた。窒素置換後、N-メチルピロリドン(NMP)300mLとトルエン100mLを加え、160℃で脱水した後、昇温してトルエンを除去し、180℃で1時間重合を行った。多量のメタノールで再沈殿精製を行い、非イオン性オリゴマーa1の末端ヒドロキシ体を得た。この非イオン性オリゴマーa1の末端ヒドロキシ体の数平均分子量は10,000であった。
攪拌機、窒素導入管、Dean-Starkトラップを備えた500mL三口フラスコに、炭酸カリウム1.1g(アルドリッチ試薬、8mmol)、上記非イオン性オリゴマーa1の末端ヒドロキシ体20.0g(2mmol)を入れた。装置内を窒素置換した後、NMP100mL及びシクロヘキサン30mLを加え、100℃で脱水後、昇温してシクロヘキサンを除去した。さらに、デカフルオロビフェニル4.0g(アルドリッチ試薬、12mmol)を加え、105℃で1時間反応を行った。多量のイソプロピルアルコールで再沈殿精製を行い、下記一般式(G3)で示される非イオン性オリゴマーa1(末端:フルオロ基)を得た。数平均分子量は11,000であった。
Figure 2023031449000004
[合成例4]
(下記一般式(G4)で表されるイオン性オリゴマーa2の合成)
撹拌機、窒素導入管、Dean-Starkトラップを備えた2,000mLのSUS製重合装置に、炭酸カリウム27.6g(アルドリッチ試薬、200mmol)、合成例1で得たK-DHBP12.9g(50mmol)、4,4’-ビフェノール9.3g(アルドリッチ試薬、50mmol)、合成例2で得たジソジウム-3,3’-ジスルホネート-4,4’-ジフルオロベンゾフェノン40.1g(95mmol)、および18-クラウン-6 17.9g(和光純薬(株)、82mmol)を入れ、窒素置換後、NMP300mL及びトルエン100mLを加え、150℃で脱水した後、昇温してトルエンを除去し、170℃で6時間重合を行った。多量のイソプロピルアルコールで再沈殿精製を行い、下記一般式(G4)で示されるイオン性オリゴマーa2(末端:OM基)を得た。数平均分子量は21,000であった。なお、式(G4)において、Mは、NaまたはKを表す。またnは、正の整数を表す。
Figure 2023031449000005
[合成例5]
(ブロック共重合体b1の合成)
撹拌機、窒素導入管、Dean-Starkトラップを備えた2,000mLのSUS製重合装置に、炭酸カリウム0.56g(アルドリッチ試薬、4mmol)、イオン性基を含有するオリゴマーa2(末端:OM基)を21g(1mmol)入れ、窒素置換した。その後、NMP100mL、シクロヘキサン30mLを加え、100℃で脱水した後、昇温してシクロヘキサンを除去し、イオン性基を含有しないオリゴマーa1’(末端:フルオロ基)11g(1mmol)を入れ、105℃で24時間反応を行った。多量のイソプロピルアルコールへの再沈殿精製により、ブロック共重合体b1を得た。重量平均分子量は35万であった。
[多孔質基材(メッシュ織物)]
国際公開第2019/188960号の製造例1で製造した液晶ポリエステル繊維からなる多孔質基材を用いた。この多孔質基材は、繊維径が25μm、紗厚が35μm、オープニングが52μm、オープニングエリア(OPA)が45%であった。
[電解質溶液p1の作製]
20質量部のブロック共重合体b1を80質量部のNMPに添加して撹拌機で20,000rpmで1時間撹拌して、ポリマー濃度が20質量%の透明な溶液を調製した。この溶液をガラス繊維フィルターで加圧ろ過して、電解質溶液p1を作製した。
[実施例1]
<帯状物前駆体の製造>
図4の製造装置を用いて、基材フィルム(PETフィルム)に電解質溶液p1を塗布し、多孔質基材を貼り合わせて含浸させ、多孔質基材上にさらに電解質溶液p1を塗布し、乾燥して帯状物前駆体1を製造し、ロール状に巻き取った。この帯状物前駆体1のロール状物の巻き長さは500mであった。各構成要素の幅方向長さおよび厚み(乾燥厚み)は、以下の通りである。なお、各構成要素の幅方向における中心線は同位置である。
(幅方向長さ)
・基材フィルムの幅方向長さW:900mm
・第1の電解質層の幅方向長さW:800mm
・複合層(多孔質基材)の幅方向長さW:700mm
・第2の電解質層の幅方向長さW:600mm
(厚み)
・基材フィルムの厚み:300μm
・第1の電解質層の厚み:10μm
・複合層(多孔質基材)の厚み:35μm
・第2の電解質層の厚み:40μm
・電解質膜の合計厚み:85μm。
<帯状物の製造>
上記帯状物前駆体1を、シェアカット方式のスリット切断装置にて、図2に示すように切断位置s1およびs2で切断して帯状物1を得た。最大の切断速度は、10m/分であった。得られた帯状物1の第2の電解質層の幅方向長さは600mm、他の構成要素の幅方向長さは610mm、端部間距離D1およびD2はそれぞれ5mmであった。各構成要素の幅方向における中心線は同位置である。
<触媒層積層工程における帯状物の蛇行搬送およびガイドロール汚染の観察>
触媒インクを、塗布幅600mmで塗布した。ガイドロールの汚染はなかった。また、帯状物の蛇行搬送もなかった。
[実施例2]
<帯状物前駆体の製造>
厚みを以下のように変更する以外は、実施例1と同様にして帯状物前駆体2を製造した。
(厚み)
・基材フィルムの厚み:300μm
・第1の電解質層の厚み:25μm
・複合層(多孔質基材)の厚み:35μm
・第2の電解質層の厚み:25μm
・電解質膜の合計厚み:85μm。
<帯状物の製造>
上記帯状物前駆体2を、シェアカット方式のスリット切断装置にて、図2に示すように切断位置s1およびs2で切断して帯状物2を得た。最大の切断速度は、8m/分であった。得られた帯状物2の第2の電解質層の幅方向長さは600mm、他の構成要素の幅方向長さは610mm、端部間距離D1およびD2はそれぞれ5mmであった。各構成要素の幅方向における中心線は同位置である。
<触媒層積層工程における帯状物の蛇行搬送およびガイドロール汚染の観察>
触媒インクを、塗布幅600mmで塗布した。ガイドロールの汚染はなかった。また、帯状物の蛇行搬送もなかった。
[比較例1]
<帯状物前駆体の製造>
各構成要素の幅方向長さを以下のように変更した以外は、実施例2と同様にして帯状物前駆体3を製造した。各構成要素の幅方向における中心線は同位置である。
(幅方向長さ)
・基材フィルムの幅方向長さW:900mm
・第1の電解質層の幅方向長さW:700mm
・複合層(多孔質基材)の幅方向長さW:650mm
・第2の電解質層の幅方向長さW:700mm。
<帯状物の製造>
上記帯状物前駆体3を、シェアカット方式のスリット切断装置にて、図8に示すように切断位置s1およびs2で切断して帯状物3を得た。最大の切断速度は、4m/分であった。得られた帯状物2の第2の電解質層および他の構成要素の幅方向長さは、いずれも610mm、端部間距離D1およびD2はそれぞれ0mmであった。各構成要素の幅方向における中心線は同位置である。
<触媒層積層工程における帯状物の蛇行搬送およびガイドロール汚染の観察>
触媒インクを、塗布幅600mmで塗布した。ガイドロールの汚染および帯状物の蛇行搬送が確認された。
10 基材フィルム
11 第1の電解質層
12 複合層
13 第2の電解質層
21、23、31、33、41、51 ロール巻出機
22、32 第1の塗布装置
24、44 第2の塗布装置
25、35、45、55 乾燥炉
26、36、46 56 ロール巻取機
52 触媒インクの塗布装置
101 電解質膜シートの帯状物
102 電解質膜シートの帯状物前駆体
PF 帯状基材フィルム
MS 帯状多孔質基材
IMP 中間製造物(帯状基材フィルムに第1の電解質層と複合層が積層されたもの)
CCM 触媒層付き電解質膜
A1、A2 第2の電解質層の端部
B1、B2 他の構成要素の端部
D1、D2 端部間距離
C 幅方向中心線
s1、s2 切断位置
y1、y2 切断部

Claims (5)

  1. 帯状の基材フィルム上に電解質膜が積層された電解質膜シートの帯状物であって、前記電解質膜の厚みが40μm以上であり、前記電解質膜が前記基材フィルム側から順に高分子電解質を含む第1の電解質層、多孔質基材と高分子電解質とを含む複合層および高分子電解質を含む第2の電解質層を有し、前記基材フィルム、前記第1の電解質層および前記複合層の幅方向両端部が同位置で、かつ前記第2の電解質層の幅方向両端部がそれぞれ、前記基材フィルム、前記第1の電解質層および前記複合層のいずれの幅方向両端部よりも内側にあることを特徴とする、電解質膜シートの帯状物。
  2. 前記第2の電解質層の幅方向両端部がそれぞれ、前記基材フィルム、前記第1の電解質層および前記複合層のいずれの幅方向両端部から1mm以上内側にある、請求項1に記載の電解質膜シートの帯状物。
  3. 前記第2の電解質層の厚みが10μm以上である、請求項1または2に記載の電解質膜シートの帯状物。
  4. 前記多孔質基材がメッシュ織物である、請求項1~3のいずれかに記載の電解質膜シートの帯状物。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載の電解質膜シートの帯状物の製造方法であって、幅方向長さWの帯状の基材フィルム上に高分子電解質を含む第1の電解質溶液を、前記長さWよりも短い幅方向長さWとなるように塗布する工程(A)、前記第1の電解質溶液の塗布面に、前記長さWと同じかそれよりも短い幅方向長さWである帯状の多孔質基材を前記塗布面が湿潤状態で貼り合わす工程(B)、前記多孔質基材上に高分子電解質を含む第2の電解質溶液を、前記長さWよりも短い幅方向長さWとなるように塗布する工程(C)、および乾燥する工程(D)をこの順に実施して、前記幅方向長さの関係がW>W≧W>Wを満足する電解質膜シートの帯状物前駆体を製造し、さらに、この電解質膜シートの帯状物前駆体の第2の電解質層の幅方向両端部の外側の位置で、前記基材フィルム、前記第1の電解質層および前記複合層をスリット切断する工程(E)を有する、電解質膜シートの帯状物の製造方法。
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