JP2023031313A - ニガウリ搾汁物及び/又は抽出物を含有する経口組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、運動時に筋肉での脂質代謝を促進するための経口組成物の提供、運動時の全身持久力を向上するための経口組成物の提供、運動時の筋肉疲労を抑制するための経口組成物の提供を目的とする。【解決手段】ニガウリ搾汁物及び/又は抽出物を有効成分として含有する、運動時の筋肉での脂質代謝の促進用、運動時の全身持久力の向上用、又は運動時の筋肉疲労の抑制用の経口組成物。【選択図】なし
Description
特許法第30条第2項適用申請有り (その1) ウェブサイトの掲載日 2021年8月26日 ウェブサイトのアドレス https://confit.atlas.jp/guide/event/jsfst68/top https://confit.atlas.jp/guide/event/jsfst68/participant_login?eventCode=jsfst68 (その2) 開催日 2021年8月26日から2021年8月28日 集会名、開催場所 日本食品科学工学会第68回大会(オンライン開催)
本発明は、ニガウリ搾汁物及び/又は抽出物を有効成分として含有する、運動時の筋肉での脂質代謝の促進用の経口組成物等に関する。
主としてゴーヤ又はニガウリの名称で一般に知られる植物(学名モモルディカチャランティア(Momordica charantia);別名ツルレイシ)は、主にその果実が食用され、苦み成分を含有することが知られている。その果実及び種子は、抗酸化、安静時の血糖値低下等の作用を有することが報告されている(特許文献1)。
本発明は、運動時に筋肉での脂質代謝を促進するための経口組成物の提供、運動時の全身持久力を向上するための経口組成物の提供、運動時の筋肉疲労を抑制するための経口組成物の提供を目的とする。
本発明者らは、ニガウリ搾汁物及び/又は抽出物が、運動時に、糖質酸化の抑制によってグリコーゲン消費を抑制すること、運動時に脂質を効率的に酸化すること等を見出し、本発明を完成した。
本発明は、例えば下記の主題を包含する。
[項1]
ニガウリ搾汁物及び/又は抽出物を有効成分として含有する、運動時の筋肉での脂質代謝の促進用の経口組成物。
[項2]
ニガウリ搾汁物及び/又は抽出物を有効成分として含有する、運動時の全身持久力の向上用の経口組成物。
[項3]
ニガウリ搾汁物及び/又は抽出物を有効成分として含有する、運動時の筋肉疲労の抑制用の経口組成物。
[項4]
ニガウリ搾汁物及び/又は抽出物がニガウリ果汁の濃縮物である項1~3のいずれか1項に記載の経口組成物。
[項5]
運動が、最大酸素摂取量VO2maxの20~80%の負荷の運動である、項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
[項6]
飲食品である、項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
[項7]
前記ニガウリ搾汁物がニガウリ果汁の濃縮物であり、前記ニガウリ抽出物がニガウリを酢酸エチルで抽出した酢酸エチル抽出物である、項1~6のいずれか1項に記載の経口組成物。
[項8]
前記酢酸エチル抽出物が、α-エレオステアリン酸及びモモルジコシド化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含有する、項7に記載の運動時の筋肉での脂質代謝の促進用の経口組成物。
[項9]
血中脂質の筋肉への取り込みを促進する作用を有する、項7に記載の運動時の筋肉での脂質代謝の促進用の経口組成物。
[項1]
ニガウリ搾汁物及び/又は抽出物を有効成分として含有する、運動時の筋肉での脂質代謝の促進用の経口組成物。
[項2]
ニガウリ搾汁物及び/又は抽出物を有効成分として含有する、運動時の全身持久力の向上用の経口組成物。
[項3]
ニガウリ搾汁物及び/又は抽出物を有効成分として含有する、運動時の筋肉疲労の抑制用の経口組成物。
[項4]
ニガウリ搾汁物及び/又は抽出物がニガウリ果汁の濃縮物である項1~3のいずれか1項に記載の経口組成物。
[項5]
運動が、最大酸素摂取量VO2maxの20~80%の負荷の運動である、項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
[項6]
飲食品である、項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
[項7]
前記ニガウリ搾汁物がニガウリ果汁の濃縮物であり、前記ニガウリ抽出物がニガウリを酢酸エチルで抽出した酢酸エチル抽出物である、項1~6のいずれか1項に記載の経口組成物。
[項8]
前記酢酸エチル抽出物が、α-エレオステアリン酸及びモモルジコシド化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含有する、項7に記載の運動時の筋肉での脂質代謝の促進用の経口組成物。
[項9]
血中脂質の筋肉への取り込みを促進する作用を有する、項7に記載の運動時の筋肉での脂質代謝の促進用の経口組成物。
本発明の経口組成物は、運動時に筋肉での脂質の酸化を促進できる。
本発明の経口組成物は、運動時に糖質の酸化を抑制できる。
本発明の経口組成物は、血中の脂質の筋肉への取り込みを促進できる。
本発明の経口組成物は、運動時に糖質の酸化を抑制できる。
本発明の経口組成物は、血中の脂質の筋肉への取り込みを促進できる。
本明細書において「運動」は、いわゆるスポーツ(運動競技)だけでなく、からだを鍛える、健康を保つ、健康増進等のために身体を動かすことをいい、肉体労働等の非日常的に身体を動かし筋肉に負担をかけることも包含する。一方、「運動」は、少なくとも安静状態は包含しない。好適にはスポーツ、肉体労働、健康維持のための運動、健康増進のための運動、又はからだを鍛えるための運動である。
本発明の組成物は、ニガウリ搾汁物及び/又は抽出物を有効成分として含有した、運動時の筋肉での脂質代謝促進用、運動時の全身持久力の向上用、又は運動時の筋肉疲労の抑制用の経口組成物である。
食事後に運動した場合、血中のトリグリセリド濃度は、通常、運動後に上昇する。しかし、ニガウリ搾汁物及び/又は抽出物の摂取によって運動後の血中のトリグリセリド濃度の上昇が見られない又は抑制されること、糖質酸化量がニガウリ搾汁物及び/又は抽出物摂取によって低下することを本発明者らは確認した。このことから、ニガウリ搾汁物及び/又は抽出物の摂取によって、摂取物中の脂肪分が優先的に代謝されることを見出した。特に、食事後に運動した場合、運動中に、糖質の酸化が抑制されるとともに脂質が積極的に酸化され、その結果、肥満防止に有用である。また、ニガウリ搾汁物及び/又は抽出物摂取によって、運動中の筋グリコーゲンの消費が抑制されるため、乳酸の蓄積が抑制されて、運動時の全身持久力の向上と筋肉疲労の抑制に有用である。
食事後に運動した場合、血中のトリグリセリド濃度は、通常、運動後に上昇する。しかし、ニガウリ搾汁物及び/又は抽出物の摂取によって運動後の血中のトリグリセリド濃度の上昇が見られない又は抑制されること、糖質酸化量がニガウリ搾汁物及び/又は抽出物摂取によって低下することを本発明者らは確認した。このことから、ニガウリ搾汁物及び/又は抽出物の摂取によって、摂取物中の脂肪分が優先的に代謝されることを見出した。特に、食事後に運動した場合、運動中に、糖質の酸化が抑制されるとともに脂質が積極的に酸化され、その結果、肥満防止に有用である。また、ニガウリ搾汁物及び/又は抽出物摂取によって、運動中の筋グリコーゲンの消費が抑制されるため、乳酸の蓄積が抑制されて、運動時の全身持久力の向上と筋肉疲労の抑制に有用である。
ニガウリは、ゴーヤー、ゴーヤとも呼ばれるウリ科の一年草であり、標準和名とはツルレイシ(蔓茘枝)、学名はMomordica charantiaである。インドが原産で熱帯アジア、中国、日本(特に関東以西の沖縄など)で栽培されている。特に未熟果は苦みが著しく、果実部を油いため、三杯酢、漬物などとして食用に供され、また完熟果は種子を包む果肉が甘く、そのままで食用に供されている。中国では古来果実部を薬用に利用している。
本発明において、ニガウリの搾汁又は抽出用の原料として用いる部位については特に制限はなく、全草、花、果実、種子、葉、茎等のいずれの部位であってもよいが、なかでも、特に果実部を用いることが好ましい。果実部には、果皮、果汁、果肉、わた、種子などが含まれるが、任意の部位を一部位又は組み合わせて用いることができる。
ニガウリ搾汁物は、前記のニガウリ原料を搾汁して得られる液であっても、その液を濃縮した濃縮物であっても、その液又は濃縮物を乾燥(凍結乾燥を含む)した乾燥物であってもよい。また、搾汁方法は、ニガウリに適用できる公知の方法であってよい。
ニガウリ搾汁物としては、ニガウリの果汁、果汁の濃縮物、果汁又は濃縮物の乾燥物、果汁又は濃縮物の粉末が好適であり、果汁を粉末化した、又は果汁を濃縮及び粉末化したニガウリ果汁粉末がより好適である。ニガウリ果汁粉末は市販品でもよい。
ニガウリ搾汁物としては、ニガウリの果汁、果汁の濃縮物、果汁又は濃縮物の乾燥物、果汁又は濃縮物の粉末が好適であり、果汁を粉末化した、又は果汁を濃縮及び粉末化したニガウリ果汁粉末がより好適である。ニガウリ果汁粉末は市販品でもよい。
ニガウリ抽出物は、ニガウリを抽出溶媒で抽出して得られる抽出液であっても、この抽出液を濃縮した濃縮物であっても、この抽出液又は濃縮物を乾燥(凍結乾燥を含む)させて得られる乾燥物であってもよい。ニガウリ抽出物としては、濃縮物が好適である。抽出液処理の対象となるニガウリは、切断及び粉砕されたものであってもよいし、ニガウリ搾汁液又はその濃縮液であってもよく、ニガウリ搾汁液又はその濃縮液が好ましい。
ニガウリを抽出する溶媒としては、ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、メタノール、エタノール等のアルコール、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、水などが挙げられる。抽出溶媒としては、水、エタノール又は水とエタノールとの混合物(含水エタノール)、酢酸エチルが好ましく、酢酸エチルがより好ましい。
抽出処理の対象が固形物(例えば、全草、花、果実、種子、葉、茎、それらの切断物、細断物、粉砕物等)であるときは、固液抽出により抽出が実施されてよく、抽出溶媒の使用量は、抽出対象物乾燥重量1gに対し、0.5g以上、1g~300g等とでき、5g~50gが好ましい。
抽出処理の対象が液状物(搾汁液、その濃縮液等)であるときは、液液抽出により抽出が実施されてよく、抽出溶媒の使用量は、抽出対象物1gに対し、0.1g以上、0.5g~100g等とでき、1g~100gが好ましい。
抽出作業は、一度に実施してもよいし、複数回に分けて実施してもよく、複数回に分けて実施することが好ましい。抽出作業を一度に実施する場合は、抽出溶媒の全量を使用できる。抽出作業を複数回に分けて実施する場合は、抽出溶媒を抽出作業の回数分に分けて使用できる。抽出作業の回数は、例えば1~100回、好ましくは1~30回、より好ましくは1~10回である。
抽出処理の対象が液状物(搾汁液、その濃縮液等)であるときは、液液抽出により抽出が実施されてよく、抽出溶媒の使用量は、抽出対象物1gに対し、0.1g以上、0.5g~100g等とでき、1g~100gが好ましい。
抽出作業は、一度に実施してもよいし、複数回に分けて実施してもよく、複数回に分けて実施することが好ましい。抽出作業を一度に実施する場合は、抽出溶媒の全量を使用できる。抽出作業を複数回に分けて実施する場合は、抽出溶媒を抽出作業の回数分に分けて使用できる。抽出作業の回数は、例えば1~100回、好ましくは1~30回、より好ましくは1~10回である。
ニガウリ搾汁物及び抽出物は、α-エレオステアリン酸、四環式テルペノイド化合物等の少なくとも1種を含有することが好ましい。四環式テルペノイド化合物としては、ククルビタン型化合物であっても良く、この化合物に糖が結合していても結合していなくても良い。その中でもアグリコンに糖が結合した配糖体であるモモルジコシド類であっても、糖が結合しないアグリコン体であるモモルデシン類であっても良い。本発明においては、モモルジコシド類及びモモルデシン類を総称してモモルジコシド化合物と称する。モモルジコシド化合物は、モモルジコシド類及びモモルデシン類からなる群から選択される少なくとも1種であってよい。モモルジコシド類は、例えば、モモルジコシドK、モモルジコシドA、モモルジコシドB、モモルジコシドF1、モモルジコシドF2、モモルジコシドL、モモルジコシドM、モモルジコシドN、モモルジコシドS、及びモモルジコシドI等であってよく、モモルジコシドKが好ましい。モモルデシン類は、例えば、前記列挙したモモルジコシド類に対応するモモルデシンであってよい。
ニガウリ搾汁物に含有されるα-エレオステアリン酸は、ニガウリ搾汁物の固形分質量を100質量%とした場合に、0.01~50質量%、好ましくは0.1~20質量%、より好ましくは0.5~5質量%である。ニガウリ抽出物に含有されるα-エレオステアリン酸の量は、ニガウリ抽出物の固形分質量を100質量%とした場合に、0.1~80質量%、好ましくは5~50質量%、より好ましくは10~40質量%である。
ニガウリ搾汁物に含有されるモモルジコシド化合物の量は、ニガウリ搾汁物の固形分質量を100質量%とした場合に、0.0005~50質量%、好ましくは0.005~25質量%、より好ましくは0.05~5質量%である。ニガウリ抽出物に含有されるモモルジコシド化合物の量は、ニガウリ抽出物の固形分質量を100質量%とした場合に、0.05~80質量%、好ましくは0.5~50質量%、より好ましくは0.5~10質量%である。
ニガウリ搾汁物に含有されるモモルジコシドKの量は、ニガウリ搾汁物の固形分質量を100質量%とした場合に、0.0001~10質量%、好ましくは0.001~5質量%、より好ましくは0.01~1質量%である。ニガウリ抽出物に含有されるモモルジコシドKの量は、ニガウリ抽出物の固形分質量を100質量%とした場合に、0.01~30質量%、好ましくは0.1~10質量%、より好ましくは0.1~1質量%である。
本発明による各種の効果は、α-エレオステアリン酸及びモモルジコシド化合物の両方又はいずれか一方によるものと推測される。α-エレオステアリン酸はニガウリの酢酸エチル抽出物に多く含有される。モモルジコシド化合物は、ニガウリに含まれる苦み成分であり、ニガウリに特徴的な成分である。
抽出温度は、抽出溶媒の沸点未満、例えば沸点より5℃低い温度以下であればよい。エタノールでの抽出温度は、例えば10℃~60℃、好ましくは30℃~60℃、より好ましくは40℃~60℃、特に好ましくは50℃~60℃である。また、水での抽出温度は、例えば10℃~100℃、好ましくは20℃~100℃、より好ましくは40℃~100℃、特に好ましくは60℃~100℃である。酢酸エチルでの抽出温度は、例えば9℃~59℃、好ましくは29℃~59℃、より好ましくは39℃~59℃、特に好ましくは49℃~59℃である。
抽出時間は抽出温度、抽出時の撹拌条件等に基づいて適宜設定できるが、例えば1分~24時間、好ましくは10分~4時間、より好ましくは20分~2時間、特に好ましくは30分~90分である。抽出溶媒の量及び抽出時間は公知の方法を参照して適宜変更できる。ニガウリ搾汁液又はその濃縮液から抽出する場合は、ニガウリ搾汁液又はその濃縮液と抽出溶媒とを混合及び浸透し、分液する方法が好ましい。
本発明の経口組成物はニガウリ搾汁物及びニガウリ抽出物を1種単独又は2種以上含有できる。
本発明の経口組成物におけるニガウリ搾汁物及び/又は抽出物の含有割合は、本発明の効果が得られる範囲であれば特に制限されない。その含有割合は、例えば、経口組成物全体質量に対するニガウリ搾汁物及び抽出物の合計質量(液体の場合は乾燥質量換算)が0.001~100質量%、0.01~100質量%、0.1~100質量%等とでき、1~100質量%が好適であり、1~50質量%がより好適である。
本発明の経口組成物におけるニガウリ搾汁物及び/又は抽出物の含有割合は、本発明の効果が得られる範囲であれば特に制限されない。その含有割合は、例えば、経口組成物全体質量に対するニガウリ搾汁物及び抽出物の合計質量(液体の場合は乾燥質量換算)が0.001~100質量%、0.01~100質量%、0.1~100質量%等とでき、1~100質量%が好適であり、1~50質量%がより好適である。
本発明の経口組成物はニガウリ搾汁物及び/又は抽出物を含有し、経口摂取可能な組成物であってよい。このため、本発明の経口組成物は、ニガウリ搾汁物及び/又は抽出物に公知の経口組成物の製造方法をそのまま適用又は適宜変形して適用することで製造することができる。
経口組成物は、例えば、食品組成物(食品添加物を包含する)、医薬品組成物、医薬部外品等であってよい。
経口組成物は、運動時の筋肉での脂質代謝の促進用、運動時の全身持久力の向上用、又は運動時の筋肉疲労の抑制用の飲食品であってよい。飲食品は、運動時の筋肉での脂質代謝の促進用、運動時の全身持久力の向上用、又は運動時の筋肉疲労の抑制用の、健康食品、機能性食品、栄養補助食品、サプリメント、保健用食品、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品などであってよい。サプリメントとして使用する際の投与単位形態については特に限定されず適宜選択できるが、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、液剤、散剤等が挙げられる。
経口組成物は、運動時の筋肉での脂質代謝の促進用、運動時の全身持久力の向上用、又は運動時の筋肉疲労の抑制用の飲食品であってよい。飲食品は、運動時の筋肉での脂質代謝の促進用、運動時の全身持久力の向上用、又は運動時の筋肉疲労の抑制用の、健康食品、機能性食品、栄養補助食品、サプリメント、保健用食品、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品などであってよい。サプリメントとして使用する際の投与単位形態については特に限定されず適宜選択できるが、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、液剤、散剤等が挙げられる。
飲食品には、哺乳動物(ヒトを含む)が摂取できるあらゆる飲料品及び食品が含まれ、例えば、乳製品;発酵食品(ヨーグルト、チーズ等);飲料類(コーヒー、ジュース、ココア、茶飲料、スポーツドリンク、栄養ドリンクのような清涼飲料、乳飲料、乳酸菌飲料、乳酸菌入り飲料、ヨーグルト飲料、炭酸飲料、日本酒、洋酒、果実酒のような酒等);スプレッド類(カスタードクリーム等);ペースト類(フルーツペースト等);洋菓子類(チョコレート、ドーナツ、パイ、シュークリーム、ガム、グミ、ゼリー、キャンデー、クッキー、ケーキ、プリン、ビスケット等);氷菓類(アイスクリーム、アイスキャンデー、シャーベット等);食品類(カレー、牛丼、雑炊、味噌汁、スープ、ミートソース、パスタ、漬物、ジャム、ハム、ソーセージ、ベーコン等);調味料類(ドレッシング、ふりかけ、旨味調味料、スープの素、味噌、醤油、ソース、ケチャップ、オイスターソース等)などが挙げられる。
飲食品の製造方法も特に限定されず、適宜公知の飲食品の製法をそのまま適用又は適宜変更して適用して製造できる。
経口組成物には、必要に応じて、賦形剤、タンパク質、糖類、ビタミン類、ミネラル類、フラボノイド類、キノン類、ポリフェノール類、アミノ酸、核酸、必須脂肪酸、清涼剤、結合剤、甘味料、崩壊剤、滑沢剤、着色料、香料、安定化剤、防腐剤、徐放調整剤、界面活性剤、光沢剤、溶解剤、湿潤剤等を、1種単独で又は2種以上組み合わせて配合することができる。タンパク質としては、例えば、大豆ホエイ、乳ホエイ、ゼラチンなどが挙げられる。糖類は、例えば、デンプン、デキストリン、単糖、ブドウ糖、果糖、結晶セルロース、ガム類などが挙げられる。ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、カロチン類、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD群、ビタミンE、ビタミンK群、ビタミンP、ビタミンQ、ナイアシン、ニコチン酸、パントテン酸、ビオチン、イノシトール、コリン、葉酸などが挙げられる。ミネラル類としては、例えば、カルシウム、カリウム、マグネシウム、ナトリウム、銅、鉄、マンガン、亜鉛、セレンなどが挙げられる。
経口組成物の摂取量は、摂取者の体重、年齢、性別、症状などの種々の条件に応じて適宜設定することができる。摂取量は、ニガウリ搾汁物及び/又は抽出物の摂取量(液体の場合は乾燥質量換算)として、成人1日当たり、例えば、0.1mg~2g/kg、0.2mg~2g/kg、0.5mg~2g/kg、1mg~2g/kg、0.1mg~1g/kg、0.2mg~1g/kg、0.5mg~1g/kg、1mg~1g/kgなどとできる。
本発明の経口組成物は、運動時の筋肉での脂質代謝促進用、運動時の全身持久力の向上用、又は運動時の筋肉疲労の抑制用である。運動の負荷(強度)は、運動者に装備した呼気ガス分析器で測定して得られる最大酸素摂取量(VO2max)を100%とし、該当運動時の酸素摂取量の相対値(%)で表すことができる。運動は、その負荷が最大酸素摂取量の、例えば20~80%、20~70%等であってよく、30~80%が好適であり、35~75%がより好適であり、40~70%がより一層好適である。
全身持久力は、運動時に長期間、体を動かすことのできる能力であり、例えばスタミナ、粘り強さ等と表現され得、例えば最大酸素摂取量を指標として評価される。最大酸素摂取量が多い人は、エネルギー消費量が多く、心血管系疾患の罹患率や死亡率が低いことが報告されている。また、最大酸素摂取量には、心臓のポンプ機能や血液運搬、骨格筋、肺拡散能力などが関連するため、全身組織の総合力を表すといえる。また、全身持久力の高い人はエネルギー消費の予備力が高く、同じ身体活動を行っても低い人よりも余裕があるので、エネルギーを効率よく使うことができる。このため、全身持久力を高めることによって、より少ないエネルギーで全身運動を行うことが可能となる。
以下、試験例等によって本発明の一実施態様を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。試験例において、「N.S.」は有意差なしを意味する。
ニガウリ果汁末の製造
ニガウリ果汁末を製造し、試験例1~3にて使用した。ニガウリ果汁末は、ニガウリの果実を搾汁した液を濃縮及び殺菌した後、デキストリンを混合し、スプレードライヤにて乾燥粉末化した。このニガウリ果汁末の一般成分は、糖質73.1%、タンパク質9.8%、脂質1.6%、灰分7.5%、食物繊維5.2%、水分2.8%であった。また、その他の有効成分としては、カリウム3.47%、粗サポニン2.36%、ビタミンC 9.0mg/gであった。また、100g当たり356kcalであった。
ニガウリ果汁末を製造し、試験例1~3にて使用した。ニガウリ果汁末は、ニガウリの果実を搾汁した液を濃縮及び殺菌した後、デキストリンを混合し、スプレードライヤにて乾燥粉末化した。このニガウリ果汁末の一般成分は、糖質73.1%、タンパク質9.8%、脂質1.6%、灰分7.5%、食物繊維5.2%、水分2.8%であった。また、その他の有効成分としては、カリウム3.47%、粗サポニン2.36%、ビタミンC 9.0mg/gであった。また、100g当たり356kcalであった。
試験例1:ニガウリ果汁末が血中のトリグリセリド(TG)の吸収に及ぼす影響の検討
ニガウリ果汁末を用いて、油脂負荷試験を行い各経過時間における血清トリグリセリド(TG)濃度の推移を調べた。
体重150g前後(5週齢)のSD系雄ラットに市販の固形飼料CE-2(日本クレア製)を与えて2週間予備飼育をした後、平均体重がほぼ等しくなるように、コントロール群(CON)、ニガウリ果汁末投与群(BM群)の2群に分けた(CON群7匹、BM群7匹)。12時間絶食後、CON群には蒸留水、BM群には0.75g/kg Body Weight(B.W.)の投与量(ラット体重150gであれば0.1125g)で、蒸留水に溶解したニガウリ果汁末(1g/24ml water)を経口投与した。30分後、油脂源としてイントラリピッド10%(フレゼニウスカビAB製)を15ml/kg B.W.で経口投与し、0時間目とした。それから、0.5、 1.5、 2.5、 3.5、及び5.5時間目に尾採血により採血を行った。
ニガウリ果汁末を用いて、油脂負荷試験を行い各経過時間における血清トリグリセリド(TG)濃度の推移を調べた。
体重150g前後(5週齢)のSD系雄ラットに市販の固形飼料CE-2(日本クレア製)を与えて2週間予備飼育をした後、平均体重がほぼ等しくなるように、コントロール群(CON)、ニガウリ果汁末投与群(BM群)の2群に分けた(CON群7匹、BM群7匹)。12時間絶食後、CON群には蒸留水、BM群には0.75g/kg Body Weight(B.W.)の投与量(ラット体重150gであれば0.1125g)で、蒸留水に溶解したニガウリ果汁末(1g/24ml water)を経口投与した。30分後、油脂源としてイントラリピッド10%(フレゼニウスカビAB製)を15ml/kg B.W.で経口投与し、0時間目とした。それから、0.5、 1.5、 2.5、 3.5、及び5.5時間目に尾採血により採血を行った。
尾採血後採取した血液を4℃、830×g(3,000rpm)で15分間遠心分離を行い、上清の血清を採取し、血清TG濃度をトリグリセリドE-テストワコー(和光純薬工業製)測定した。 油脂負荷(0時間目)後の各時間における血清TG濃度(平均値)の推移を表1に示した。油脂負荷後、血清TG濃度は上昇し、両群とも1.5時間目でピークを示した。その後、CON群の血清TG濃度が緩やかに低下していくのに対し、BM群の血清TG濃度は速やかに低下した。3.5時間目でCON群とBM群の間に有意差が確認された。
この結果から、ニガウリ果汁末の摂取は、食事脂肪の吸収速度には影響を与えず、血清TGの消失速度を早くすることが考えられた。この血清TGの消失速度が早くなる要因としては、末梢組織でのTGの取り込みの増加及び肝臓での超低密度リポタンパク質(VLDL)の分泌の低下の可能性が考えられた。
試験例2:末梢組織における血中のトリグリセリドの吸収について
ニガウリ果汁末を用いて、油脂負荷後の1.5時間目及び3.5時間目の各臓器の血中脂質量の推移について検討した。
体重210g前後(7週齢)のSD系雄ラットに市販の固形飼料CE-2(日本クレア株式会社製)を与えて1日間予備飼育をした後、平均体重がほぼ等しくなるように、コントロール群(CON)、ニガウリ果汁末投与群(BM群)の2群に分けた(CON群各6匹、BM群各7匹)。12時間絶食後、CON群には蒸留水、BM群には0.75g/kg B.W.の投与量(ラット体重210gであれば0.1575g)濃度で、蒸留水に溶解したニガウリ果汁末(1g/24mL water)を経口投与した。30分後、油脂源としてイントラリピッド10%を15ml/kg B.W.で経口投与し、0時間目とした。油脂負荷後1.5時間目及び3.5時間目にラットの抹消組織(肝臓、胃、小腸及び筋肉)を採取し、各組織の重量を測定した。小腸は2等分し上部を空腸、下部を回腸とした。
ニガウリ果汁末を用いて、油脂負荷後の1.5時間目及び3.5時間目の各臓器の血中脂質量の推移について検討した。
体重210g前後(7週齢)のSD系雄ラットに市販の固形飼料CE-2(日本クレア株式会社製)を与えて1日間予備飼育をした後、平均体重がほぼ等しくなるように、コントロール群(CON)、ニガウリ果汁末投与群(BM群)の2群に分けた(CON群各6匹、BM群各7匹)。12時間絶食後、CON群には蒸留水、BM群には0.75g/kg B.W.の投与量(ラット体重210gであれば0.1575g)濃度で、蒸留水に溶解したニガウリ果汁末(1g/24mL water)を経口投与した。30分後、油脂源としてイントラリピッド10%を15ml/kg B.W.で経口投与し、0時間目とした。油脂負荷後1.5時間目及び3.5時間目にラットの抹消組織(肝臓、胃、小腸及び筋肉)を採取し、各組織の重量を測定した。小腸は2等分し上部を空腸、下部を回腸とした。
血清TG濃度はトリグリセリドE-テストワコー、血清コレステロール濃度はコレステロール-テストワコー、血清リン脂質はリン脂質E-テストワコー、血清グルコース濃度はグルコースCII-テストワコー(いずれも和光純薬工業株式会社製)を用いて測定した。高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールはHDL-C・2「第一」(第一化学薬品株式会社製)を用いてHDL画分を分画した後、血清コレステロール濃度と同様に測定した。
肝臓及び筋肉の脂質の抽出はFolchらの方法に準じて行った。具体的に、肝臓及び筋肉0.5gを50mlのクロロホルム:メタノール(2:1)でホモジナイズし、40℃の湯浴中で30分間振とうし、総脂質を抽出した。脂質抽出液における、TG濃度はFletcher法に従い、定量した。具体的に、脂質抽出液に窒素ガスを吹き付けて乾固後、ケイ酸1gを加えて、リン脂質を除去し、2mlのイソプロピルアルコール:水(9:1)と0.6mlの5%水酸化カリウムを添加して、60~70℃で30分間、ケン化を行った。放冷後、0.003mol/LのNaIO4溶液とアセチルアセトン溶液を加えて、発色させ、405nmの吸光度を測定した。標準物質として30~120μgのトリオレインを同時に測定した。総コレステロール濃度はSperry&Webb法により定量した。具体的に、脂質抽出液に窒素ガスを吹き付けて乾固後、エタノール:アセトン(1:1)を0.5ml及び50%水酸化カリウム1滴を加え、40℃で30分間、ケン化を行った。その後、10%酢酸溶液で中和し、0.5%ジギトニン溶液0.2mlを加え、1晩放置した。遠心分離後、上清を除去し、酢酸0.5mlに再溶解し、無水酢酸:硫酸(20:1)を1ml加え、25℃の湯浴で30分間反応させ、620nm吸光度を測定した。50~250μg/mlのコレステロールを標準物質として、同時に測定した。リン脂質濃度は、Rouser法により定量した。具体的に、脂質抽出液に窒素ガスを吹き付けて乾固後、70%過塩素酸1mlを加え、180~190℃で0.5~1時間反応させた。その後、2.5%モリブデン酸アンモニウム1ml及び10%アスコルビン酸1mlを加え、沸騰湯浴中で5分間反応させ、820nmの吸光度を測定した。標準物質として、リン酸二水素カリウムを用い、2~10μgのリンを同時に測定した。
体重及び各組織重量の測定結果を表2に示した。肝臓重量は、CON群、BM群ともに、1.5時間目と比べて3.5時間目で低かった。空腸の重量は、CON群、BM群ともに、1.5時間目と比較して3.5時間目で高かった。白色脂肪、筋肉、回腸の重量は経過時間及びBMによる影響は確認されなかった。
血清脂質、血清グルコース等の濃度を表3に示した。血清TG濃度は1.5時間目と比べて3.5時間目で低下した。また、3.5時間目におけるBM群のTG濃度は、CON群の74%程度の低値を示した。血清コレステロール、血清リン脂質濃度及び血清グルコース濃度は、経過時間及びBM群による影響は確認されなかった。血清中の遊離脂肪酸(FFA)濃度は、1.5時間目と比較し3.5時間目で低下した。
肝臓の脂質濃度を表4に示した。TG濃度はCON群で1.5時間目と比較して3.5時間目で有意に低い値を示したのに対し、BM群では増加する傾向を示した。コレステロール濃度及びリン脂質(PL)濃度はBM群により有意に低い値を示した。
筋肉の脂質濃度を表5に示した。筋肉TG濃度は、CON群では1.5時間目と3.5時間目で大きな違いは認められなかったのに対し、BM群では1.5時間目と比較して3.5時間目で有意に高い値を示し、CON群の3倍程度を示した。一方、リン脂質濃度には経過時間及びBM群による影響は確認されなかった。
以上のように、ニガウリ果汁末の摂取は、脂質の吸収に影響しないが、吸収した脂質の肝臓や筋肉へのTG輸送を促進することで、食後の血中TG濃度の上昇を速やかに低下させると考えられた。特に、脂質酸化の主要組織である筋肉への促進的な輸送が認められた。
試験例3:ニガウリの運動時におけるエネルギー代謝に及ぼす影響の検討
試験例1及び2において、ニガウリ果汁末は、食事脂肪を肝臓や筋肉に積極的に輸送した。このことから、ニガウリ果汁末は、抹消組織での脂質酸化を亢進する可能性が考えられた。そこで、ニガウリ果汁末が、糖質酸化量を低下させ、脂質酸化量を増加させるかどうか調べるために、運動時におけるエネルギー代謝についてヒト試験を行った。
試験例1及び2において、ニガウリ果汁末は、食事脂肪を肝臓や筋肉に積極的に輸送した。このことから、ニガウリ果汁末は、抹消組織での脂質酸化を亢進する可能性が考えられた。そこで、ニガウリ果汁末が、糖質酸化量を低下させ、脂質酸化量を増加させるかどうか調べるために、運動時におけるエネルギー代謝についてヒト試験を行った。
運動習慣がない被験者(健常な学生)15人(表6)に「ニガウリ果汁末」を用いた二重盲検クロスオーバー試験を実施した。摂取は、単回摂取又は7日間の連続摂取とした。摂取量は1回2gとし、連続摂取では1日3回(食後)で7日間摂取した。単回及び連続摂取後に自転車漕ぎ運動を負荷した。
サンプル(カプセル剤)の内容物及び内容量の詳細は、表7及び表8に記載した。
目視で内容物を判別できないようにするため、サンプルをダークカラメル色のハードカプセル(1号)に充填した。1回にそのカプセルを7粒を摂取することで、ニガウリ群のサンプルは、ニガウリ果汁末約300mg及びデキストリン約1700mg、プラセボ群のサンプルでは、デキストリン約2,000mgが得られる容量とした。長期7日間連続摂取試験では、10日間以上のウォッシュアウト期間を実施した。
運動強度については、呼気ガス分析器を用いて、呼気ガスを採取し、自転車エルゴメーター上にて最大負荷時の酸素摂取量(VO2max)を測定し、V-Slope法に基づいて換気性閾値(Ventilation Threshold: VT)を規定した。VTの70%を中強度の運動、VTの40%を低強度の運動とした。
より詳細には、単回摂取試験については、採血後にサンプルを摂取し、30分後に脂肪源としてカロリーメイト(200kcal)を摂取した。カロリーメイト摂取の60分後に自転車エルゴメーターを用いて、40%VO2@VTにて30分間、続けて70%VO2@VTにて30分間の自転車漕ぎ運動を実施した。運動中、呼気ガス分析器を装着し、呼吸交換比、脂質酸化量、糖質酸化量ならびにエネルギー消費量を測定した。
連続摂取試験については、採血後に脂肪源としてカロリーメイト(200kcal)を摂取し、その摂取の60分後に自転車エルゴメーターを用いて、40%VO2@VTにて30分、続けて70%VO2@VTにて30分の自転車漕ぎ運動を実施した。運動中、呼気ガス分析器を装着し、呼吸交換比、脂質酸化量、糖質酸化量ならびにエネルギー消費量を測定した。また、運動負荷試験終了後に採血を実施し、血清トリグリセリド濃度の測定は、株式会社エスアールエルに依頼した。
脂質酸化量
運動中の脂質酸化量は、単回摂取試験では運動強度及びニガウリ摂取の影響は認められなかった。連続摂取試験では、ニガウリ摂取により脂質酸化量が有意に増加した(p<0.05)(図1)。
運動中の脂質酸化量は、単回摂取試験では運動強度及びニガウリ摂取の影響は認められなかった。連続摂取試験では、ニガウリ摂取により脂質酸化量が有意に増加した(p<0.05)(図1)。
糖質酸化量
糖質酸化量は、連続摂取において、低強度から中強度への運動強度の増加に伴い増加したが、ニガウリ摂取により低下した。一方、単回摂取試験においては、運動強度の増加に伴い糖質酸化量が増加したが、ニガウリ摂取の影響は認められなかった。この結果から、ニガウリの7日間の連続摂取は、運動中のエネルギー代謝において、糖質の酸化を抑制し、脂肪酸の酸化を促進すると考えられた(図2)。
糖質酸化量は、連続摂取において、低強度から中強度への運動強度の増加に伴い増加したが、ニガウリ摂取により低下した。一方、単回摂取試験においては、運動強度の増加に伴い糖質酸化量が増加したが、ニガウリ摂取の影響は認められなかった。この結果から、ニガウリの7日間の連続摂取は、運動中のエネルギー代謝において、糖質の酸化を抑制し、脂肪酸の酸化を促進すると考えられた(図2)。
血中のトリグリセリド濃度
血中のトリグリセリド濃度は、単回摂取試験及び連続摂取試験のいずれにおいてもプラセボ摂取群では運動後に上昇したが、ニガウリ摂取群では変化が認められなかった(図3)。このことから、運動前に摂取した食事脂肪は、ニガウリ果汁末の摂取により運動時に積極的に筋肉等に輸送及び酸化され、ひいては肥満防止に寄与すると考えられた。また、筋グリコーゲンが消費されると乳酸が蓄積して疲労感をもたらすが、ニガウリの摂取は、運動時の脂質酸化を促進することで、筋グリコーゲンの消費を節約する(前述の糖質酸化の抑制作用)ことができる。このため、ニガウリ果汁末の摂取は、疲労困憊までの運動時間を延長させることにより、運動パフォーマンスを向上させると考えられた。なお、高脂肪食の摂取により、中強度運動(最大出力の50%)における運動持続時間を有意に延長させること及び糖質分解を抑制することが報告されている(Lambert et al., European Journal of Applied Physiology and Occupational Physiology volume 69, pages287-293 (1994))。ニガウリはこのような食事脂肪の利用を促進すると考えられた。
血中のトリグリセリド濃度は、単回摂取試験及び連続摂取試験のいずれにおいてもプラセボ摂取群では運動後に上昇したが、ニガウリ摂取群では変化が認められなかった(図3)。このことから、運動前に摂取した食事脂肪は、ニガウリ果汁末の摂取により運動時に積極的に筋肉等に輸送及び酸化され、ひいては肥満防止に寄与すると考えられた。また、筋グリコーゲンが消費されると乳酸が蓄積して疲労感をもたらすが、ニガウリの摂取は、運動時の脂質酸化を促進することで、筋グリコーゲンの消費を節約する(前述の糖質酸化の抑制作用)ことができる。このため、ニガウリ果汁末の摂取は、疲労困憊までの運動時間を延長させることにより、運動パフォーマンスを向上させると考えられた。なお、高脂肪食の摂取により、中強度運動(最大出力の50%)における運動持続時間を有意に延長させること及び糖質分解を抑制することが報告されている(Lambert et al., European Journal of Applied Physiology and Occupational Physiology volume 69, pages287-293 (1994))。ニガウリはこのような食事脂肪の利用を促進すると考えられた。
調製例1:ニガウリ果汁濃縮液の調製
202本の生のニガウリ果実(50.2 kg)をフードカッターでカットし、粉砕機で粉砕した後、粉砕果実を濾布で包み圧搾機を用いてBrix 2.9%の搾汁物(28,630 g)を調製した。この搾汁物をエバポレーターを用いてBrix20.3%まで減圧濃縮し、4,090 gの搾汁の濃縮液を得た。
202本の生のニガウリ果実(50.2 kg)をフードカッターでカットし、粉砕機で粉砕した後、粉砕果実を濾布で包み圧搾機を用いてBrix 2.9%の搾汁物(28,630 g)を調製した。この搾汁物をエバポレーターを用いてBrix20.3%まで減圧濃縮し、4,090 gの搾汁の濃縮液を得た。
調製例2:ニガウリ搾汁物の粉末(「FP」とも称する。)の調製
調製例1で得られた搾汁の濃縮液のうち100 gを用いて、更にBrix 45.2%までエバポレーターを用いて減圧濃縮し、次いで凍結乾燥を行った。その結果、20.6 gの粉末(FP)が得られた。
調製例1で得られた搾汁の濃縮液のうち100 gを用いて、更にBrix 45.2%までエバポレーターを用いて減圧濃縮し、次いで凍結乾燥を行った。その結果、20.6 gの粉末(FP)が得られた。
調製例3:ニガウリの酢酸エチル抽出物の粉末(「EP」とも称する。)と水層粉末(「WP」とも称する。)の調製
調製例1で得られた濃縮液3,990 gのうち320 gを1,000 mL容の分液ロートに移し、320 mLの酢酸エチルを加えて激しく振盪した。分液ロート内の液が澄んだ2層になるまで静置し、上層(酢酸エチル層)と下層(水層)に分離した。下層は再度分液ロートに移し、酢酸エチル325 mLを加えて再び激しく振盪した。この操作を水層が透明になる5回まで繰り返した。下層はそのまま回収し、上層は1つにまとめた。残った2,275 gの濃縮液も同様に上層と下層に分離し、下層はそのまま回収し、上層は1つにまとめた。分画した全ての上層(酢酸エチル層)をエバポレーターで、水分や酢酸エチル等の溶媒が蒸発しなくなるまで濃縮した。溶媒を更に除くために凍結乾燥器で48時間の乾燥を行った。同様の操作を全ての下層(水層)の画分でも行った。その結果、37.8 gの酢酸エチル層粉末(酢酸エチル抽出物の粉末;(EP)と736.5 gの水層粉末(WP)を得た。
調製例1で得られた濃縮液3,990 gのうち320 gを1,000 mL容の分液ロートに移し、320 mLの酢酸エチルを加えて激しく振盪した。分液ロート内の液が澄んだ2層になるまで静置し、上層(酢酸エチル層)と下層(水層)に分離した。下層は再度分液ロートに移し、酢酸エチル325 mLを加えて再び激しく振盪した。この操作を水層が透明になる5回まで繰り返した。下層はそのまま回収し、上層は1つにまとめた。残った2,275 gの濃縮液も同様に上層と下層に分離し、下層はそのまま回収し、上層は1つにまとめた。分画した全ての上層(酢酸エチル層)をエバポレーターで、水分や酢酸エチル等の溶媒が蒸発しなくなるまで濃縮した。溶媒を更に除くために凍結乾燥器で48時間の乾燥を行った。同様の操作を全ての下層(水層)の画分でも行った。その結果、37.8 gの酢酸エチル層粉末(酢酸エチル抽出物の粉末;(EP)と736.5 gの水層粉末(WP)を得た。
試験例4:FP、EP、及びWPがトリグリセリドの吸収に及ぼす影響の検討
調製例2で得られた搾汁物の粉末(FP)、調製例3で得られた酢酸エチル抽出物の粉末(EP)及び水層粉末(WP)を用いてラットに油脂負荷試験を行い、各経過時間における血清トリグリセリド(TG)濃度と筋肉への脂質の取込みについて分析を行った。6週齢の体重298g前後を4群(1群8匹)に分け、12時間絶食後、対照群として蒸留水、試料投与群として実施例1で調製したFP及びWPを各々40 mg/mL、EPを20 mg/mLになるように20% DMSO溶液で溶解し、FP及びWPについては溶解している固形分として750 mg/kg体重(各群8匹)なるようにゾンデを用いて経口投与した。一方、EPは同様に375 mg/kg体重となるように経口投与した。その30分後、油脂としてイントラリポス輸液10%(10% 大豆油含有:大塚製薬社製)を15 mL/kg体重になるように経口投与した(1匹あたり4.5 mL投与)。油脂投与前、投与後1.5時間及び2.5時間目に尾採血により採血を行った。採血後、失血死させ、左右の腓腹筋及びヒラメ筋を採取した。採血した血液を氷冷し、3,000rpmで10分間遠心分離を行い、上清の血清を採取し、血清TG濃度をトリグリセリドE-テストワコー(和光純薬工業製)を用いて測定した。油脂投与後の各時間における血清TG濃度(平均値)の推移を図2に示した。油脂投与後、血清TG濃度は上昇し、各群共に1.5時間目でピークを示した。その後、対照群の血清TG濃度が緩やかに低下していくのに対し、試料投与群は3試料とも血清TG濃度が速やかに低下した。2.5時間目でコントロールと3試料との間で有意差が確認された。この結果からいずれの試料摂取においても、食事脂肪の吸収速度には影響を与えず、血清TGの消失速度を早めることが明らかになった。
調製例2で得られた搾汁物の粉末(FP)、調製例3で得られた酢酸エチル抽出物の粉末(EP)及び水層粉末(WP)を用いてラットに油脂負荷試験を行い、各経過時間における血清トリグリセリド(TG)濃度と筋肉への脂質の取込みについて分析を行った。6週齢の体重298g前後を4群(1群8匹)に分け、12時間絶食後、対照群として蒸留水、試料投与群として実施例1で調製したFP及びWPを各々40 mg/mL、EPを20 mg/mLになるように20% DMSO溶液で溶解し、FP及びWPについては溶解している固形分として750 mg/kg体重(各群8匹)なるようにゾンデを用いて経口投与した。一方、EPは同様に375 mg/kg体重となるように経口投与した。その30分後、油脂としてイントラリポス輸液10%(10% 大豆油含有:大塚製薬社製)を15 mL/kg体重になるように経口投与した(1匹あたり4.5 mL投与)。油脂投与前、投与後1.5時間及び2.5時間目に尾採血により採血を行った。採血後、失血死させ、左右の腓腹筋及びヒラメ筋を採取した。採血した血液を氷冷し、3,000rpmで10分間遠心分離を行い、上清の血清を採取し、血清TG濃度をトリグリセリドE-テストワコー(和光純薬工業製)を用いて測定した。油脂投与後の各時間における血清TG濃度(平均値)の推移を図2に示した。油脂投与後、血清TG濃度は上昇し、各群共に1.5時間目でピークを示した。その後、対照群の血清TG濃度が緩やかに低下していくのに対し、試料投与群は3試料とも血清TG濃度が速やかに低下した。2.5時間目でコントロールと3試料との間で有意差が確認された。この結果からいずれの試料摂取においても、食事脂肪の吸収速度には影響を与えず、血清TGの消失速度を早めることが明らかになった。
試験例5:FP、EP、及びWPが筋肉におけるトリグリセリド(TG)濃度に及ぼす影響の検討
試験例4で採取した左右の腓腹筋及びヒラメ筋を細かく切り刻み、0.5g(湿重量)を計り取り、50mlのクロロホルム:メタノール(2:1)でホモジナイズし、40℃の湯浴中で30分間振とうし、総脂質を抽出した。脂質抽出液における、TG濃度はFletcher法に従い、定量した。具体的には、脂質抽出液に窒素ガスを吹き付けて乾固後、ケイ酸1gを加えて、リン脂質を除去し、2mlのイソプロピルアルコール:水(9:1)と0.6mlの5%水酸化カリウムを添加して、60~70℃で30分間、ケン化を行った。放冷後、0.003mol/LのNaIO4溶液とアセチルアセトン溶液を加えて、発色させ、405nmの吸光度を測定した。標準物質として30~120μgのトリオレインを同時に測定した。総コレステロール濃度は、Sperry&Webb法により定量した。脂質抽出液に窒素ガスを吹き付けて乾固後、エタノール:アセトン(1:1)を0.5ml及び50%水酸化カリウム1滴を加え、40℃で30分間、ケン化を行った。その後、10%酢酸溶液で中和し、0.5%ジギトニン溶液0.2mlを加え、1晩放置した。遠心分離後、上清を除去し、酢酸0.5mlに再溶解し、無水酢酸:硫酸(20:1)を1ml加え、25℃の湯浴で30分間反応させ、620nm吸光度を測定した。50~250μg/mlのコレステロールを標準物質として、同時に測定した。リン脂質濃度はRouser法により定量した。具体的には、脂質抽出液に窒素ガスを吹き付けて乾固後、70%過塩素酸1mlを加え、180~190℃で0.5~1時間反応させた。その後、2.5%モリブデン酸アンモニウム1ml及び10%アスコルビン酸1mlを加え、沸騰湯浴中で5分間反応させ、820nmの吸光度を測定した。標準物質として、リン酸二水素カリウムを用い、2~10μgのリンを同時に測定した。筋肉中のTG濃度を図3に示した。その結果、筋肉中の中性脂肪濃度は、FP及びEPにおいて優位に高い値を示した。この結果は、ニガウリ搾汁物の酢酸エチル画分の成分が、脂質の筋肉中への積極的な取り込みを促進していることを示している。
試験例4で採取した左右の腓腹筋及びヒラメ筋を細かく切り刻み、0.5g(湿重量)を計り取り、50mlのクロロホルム:メタノール(2:1)でホモジナイズし、40℃の湯浴中で30分間振とうし、総脂質を抽出した。脂質抽出液における、TG濃度はFletcher法に従い、定量した。具体的には、脂質抽出液に窒素ガスを吹き付けて乾固後、ケイ酸1gを加えて、リン脂質を除去し、2mlのイソプロピルアルコール:水(9:1)と0.6mlの5%水酸化カリウムを添加して、60~70℃で30分間、ケン化を行った。放冷後、0.003mol/LのNaIO4溶液とアセチルアセトン溶液を加えて、発色させ、405nmの吸光度を測定した。標準物質として30~120μgのトリオレインを同時に測定した。総コレステロール濃度は、Sperry&Webb法により定量した。脂質抽出液に窒素ガスを吹き付けて乾固後、エタノール:アセトン(1:1)を0.5ml及び50%水酸化カリウム1滴を加え、40℃で30分間、ケン化を行った。その後、10%酢酸溶液で中和し、0.5%ジギトニン溶液0.2mlを加え、1晩放置した。遠心分離後、上清を除去し、酢酸0.5mlに再溶解し、無水酢酸:硫酸(20:1)を1ml加え、25℃の湯浴で30分間反応させ、620nm吸光度を測定した。50~250μg/mlのコレステロールを標準物質として、同時に測定した。リン脂質濃度はRouser法により定量した。具体的には、脂質抽出液に窒素ガスを吹き付けて乾固後、70%過塩素酸1mlを加え、180~190℃で0.5~1時間反応させた。その後、2.5%モリブデン酸アンモニウム1ml及び10%アスコルビン酸1mlを加え、沸騰湯浴中で5分間反応させ、820nmの吸光度を測定した。標準物質として、リン酸二水素カリウムを用い、2~10μgのリンを同時に測定した。筋肉中のTG濃度を図3に示した。その結果、筋肉中の中性脂肪濃度は、FP及びEPにおいて優位に高い値を示した。この結果は、ニガウリ搾汁物の酢酸エチル画分の成分が、脂質の筋肉中への積極的な取り込みを促進していることを示している。
EP中のTG量の測定
調製例3で得られたEPにおけるTG濃度をFletcher法に従い定量した。具体的には、脂質抽出液に窒素ガスを吹き付けて乾固後、ケイ酸1gを加えて、リン脂質を除去し、2mlのイソプロピルアルコール:水(9:1)と0.6mlの5%水酸化カリウムを添加して、60~70℃で30分間、ケン化を行った。放冷後、0.003mol/LのNaIO4溶液とアセチルアセトン溶液を加えて、発色させ、405nmの吸光度を測定した。標準物質として30~120μgのトリオレインを同時に測定した。その結果、EP(粉末)1 g中のTG量は488 mgであった
調製例3で得られたEPにおけるTG濃度をFletcher法に従い定量した。具体的には、脂質抽出液に窒素ガスを吹き付けて乾固後、ケイ酸1gを加えて、リン脂質を除去し、2mlのイソプロピルアルコール:水(9:1)と0.6mlの5%水酸化カリウムを添加して、60~70℃で30分間、ケン化を行った。放冷後、0.003mol/LのNaIO4溶液とアセチルアセトン溶液を加えて、発色させ、405nmの吸光度を測定した。標準物質として30~120μgのトリオレインを同時に測定した。その結果、EP(粉末)1 g中のTG量は488 mgであった
EP中の脂肪酸の組成
調製例3で得られたEPの脂肪酸組成分析を行った。EP 0.1gにクロロホルム:メタノール(2:1)10mlを加え、40℃で30分反応させ、総脂質を抽出した。脂質抽出液に窒素ガスを吹き付けて乾固後、ヘキサン2mlを加え、さらに2M水酸化カリウム-メタノール溶液200μlを添加した。1500 rpmで5分遠心分離し、上層を分析用瓶に移し、ガスクロマトグラフィーによる分析を行った。Folch法により総脂質を抽出した後、水酸化カリウム-メタノール法でメチル化し、ガスクロマトグラフィーGC-17A(島津製作所社)により分析した。カラムはOmegawax 320 キャピラリーカラム(Supelco社)を用い、カラム温度は200℃とし、キャリアガスにヘリウムを用いた。試料気化室は250℃、検出器(FID)は260℃に設定した。サンプルの分析は3回行い、各脂肪酸のエリア面積から、平均の脂肪酸組成を算出した。その結果、EP中のTG含量は48.8%であり、その脂肪酸組成比は、52% α-エレオステアリン酸(P6)、21% ステアリン酸(P2)、9%リノレン酸(P5)、6% リノール酸(P4)、6% パルミチン酸(P1)、6% オレイン酸(P3)であった(図6)。
調製例3で得られたEPの脂肪酸組成分析を行った。EP 0.1gにクロロホルム:メタノール(2:1)10mlを加え、40℃で30分反応させ、総脂質を抽出した。脂質抽出液に窒素ガスを吹き付けて乾固後、ヘキサン2mlを加え、さらに2M水酸化カリウム-メタノール溶液200μlを添加した。1500 rpmで5分遠心分離し、上層を分析用瓶に移し、ガスクロマトグラフィーによる分析を行った。Folch法により総脂質を抽出した後、水酸化カリウム-メタノール法でメチル化し、ガスクロマトグラフィーGC-17A(島津製作所社)により分析した。カラムはOmegawax 320 キャピラリーカラム(Supelco社)を用い、カラム温度は200℃とし、キャリアガスにヘリウムを用いた。試料気化室は250℃、検出器(FID)は260℃に設定した。サンプルの分析は3回行い、各脂肪酸のエリア面積から、平均の脂肪酸組成を算出した。その結果、EP中のTG含量は48.8%であり、その脂肪酸組成比は、52% α-エレオステアリン酸(P6)、21% ステアリン酸(P2)、9%リノレン酸(P5)、6% リノール酸(P4)、6% パルミチン酸(P1)、6% オレイン酸(P3)であった(図6)。
EP中の非トリグリセロールの組成
12.03gのEPを30 mLの酢酸エチルに溶解し、この溶解液をシリカゲルカラム(φ50×250 mm)に通液した後、溶出溶媒にて分画した。溶出溶媒は順次n-ヘキサン (600 mL)、n-ヘキサン:アセトン=20:1(2,000 mL)、n-ヘキサン:アセトン=15:1(1, 600 mL)、n-ヘキサン:アセトン=9:1(2,000 mL)、n-ヘキサン:アセトン=6:1(700 mL)、n-ヘキサン:アセトン=4:1(1,000 mL)、n-ヘキサン:アセトン=2:1(900 mL)、n-ヘキサン:アセトン=1:1(1,000 mL)、クロロフホルム:メタノール=100:1(1,000 mL)、クロロフホルム:メタノール:水=9:1:0.1(1,000 mL)、クロロフホルム:メタノール:水=8:2:0.2(1,500 mL)を用いた。溶出液は500 mLの三角フラスコで22個に取り分けた。得られた各フラスコについて薄層クロマトグラフィーをもとに特徴的な化合物群が分散しないようにまとめて減圧下濃縮した。その結果、n-ヘキサン:アセトン=20:1溶出を中心とした脂肪酸画分(7.15 g)、その他のn-ヘキサン:アセトン溶出を合わせた低極性画分(2.17 g)、クロロフホルム:メタノール:水=8:2:0.2溶出を中心としたトリテルペン配糖体画分(0.57 g)、その他のクロロフホルム:メタノール:水溶出を合わせた高極性画分(1.08 g)の4画分が得られた。そのうち、トリテルペン配糖体画分(0.57 g)を1 mLの70%メタノールに溶解し、ODS逆相カラム(Radial-Pak: μBondapak C18 Column (φ25×100 mm×2))(ウォーターズ社)による分画を行った。溶出溶媒は順次70%メタノール、80%メタノール、90%メタノール、100% メタノールを各250 mL用いて溶出を行った。各溶出液をまとめて減圧下濃縮した結果、70%メタノール画分(105 mg)、80%メタノール画分(173 mg)、90%メタノール画分(132 mg)、100% メタノール画分(152 mg)の4画分が得られた。80%メタノール画分の一部(78 mg)について、繰り返し分取HPLCで精製した。カラム:Cosmosil Cholester (φ10×250 mm)(ナカライテスク社);溶出条件:80%メタノール、2.0 mL/min、40℃;検出器:示差屈折計(Shimadzu RID 20A)を用いて、保持時間22.8分に単一のピークを分取し18.7 mgの化合物を得た。
12.03gのEPを30 mLの酢酸エチルに溶解し、この溶解液をシリカゲルカラム(φ50×250 mm)に通液した後、溶出溶媒にて分画した。溶出溶媒は順次n-ヘキサン (600 mL)、n-ヘキサン:アセトン=20:1(2,000 mL)、n-ヘキサン:アセトン=15:1(1, 600 mL)、n-ヘキサン:アセトン=9:1(2,000 mL)、n-ヘキサン:アセトン=6:1(700 mL)、n-ヘキサン:アセトン=4:1(1,000 mL)、n-ヘキサン:アセトン=2:1(900 mL)、n-ヘキサン:アセトン=1:1(1,000 mL)、クロロフホルム:メタノール=100:1(1,000 mL)、クロロフホルム:メタノール:水=9:1:0.1(1,000 mL)、クロロフホルム:メタノール:水=8:2:0.2(1,500 mL)を用いた。溶出液は500 mLの三角フラスコで22個に取り分けた。得られた各フラスコについて薄層クロマトグラフィーをもとに特徴的な化合物群が分散しないようにまとめて減圧下濃縮した。その結果、n-ヘキサン:アセトン=20:1溶出を中心とした脂肪酸画分(7.15 g)、その他のn-ヘキサン:アセトン溶出を合わせた低極性画分(2.17 g)、クロロフホルム:メタノール:水=8:2:0.2溶出を中心としたトリテルペン配糖体画分(0.57 g)、その他のクロロフホルム:メタノール:水溶出を合わせた高極性画分(1.08 g)の4画分が得られた。そのうち、トリテルペン配糖体画分(0.57 g)を1 mLの70%メタノールに溶解し、ODS逆相カラム(Radial-Pak: μBondapak C18 Column (φ25×100 mm×2))(ウォーターズ社)による分画を行った。溶出溶媒は順次70%メタノール、80%メタノール、90%メタノール、100% メタノールを各250 mL用いて溶出を行った。各溶出液をまとめて減圧下濃縮した結果、70%メタノール画分(105 mg)、80%メタノール画分(173 mg)、90%メタノール画分(132 mg)、100% メタノール画分(152 mg)の4画分が得られた。80%メタノール画分の一部(78 mg)について、繰り返し分取HPLCで精製した。カラム:Cosmosil Cholester (φ10×250 mm)(ナカライテスク社);溶出条件:80%メタノール、2.0 mL/min、40℃;検出器:示差屈折計(Shimadzu RID 20A)を用いて、保持時間22.8分に単一のピークを分取し18.7 mgの化合物を得た。
得られた化合物は、1H-NMR、 13C-NMR(JEOL ECA 500 NMR spectrometer)で測定を行い、1H-NMRで測定した化合物のシグナルは、1H NMR (in pyridine-d5): δ0.75 (3H、s)、0.84(3H、s)、0.93(3H、d、J= 6.3 Hz)、1.09(3H、s)、1.30 (6H、s)、1.40(3H、s)、3.19 (3H、s、-OCH3)、4.92(1H、d、J=7.5 Hz)、5.52(1H、d、J=15.4 Hz)、5.58(1H、dd、J= 5.1、13.7 Hz)、6.16 (1H、d、J=4.6 Hz)、10.44 (1H、s)を示した。更に13C-NMRで測定した化合物のシグナルは、13C NMR(in pyridine-d5): δ14.7、17.8、18.6、21.5、22.3、25.7、25.8、26.1、27.0、27.3、29.0、29.3、34.6、36.0、36.4、39.3、40.4、41.5、45.4、47.8、49.8、49.9、50.1、62.4、71.3、71.8、74.5、74.6、75.2、78.0、78.3、101.6、122.0、128.1、137.3、147.3、207.5を示した。
得られた結果をChem. Pharm. Bull. 1982、30(12)、4334-4340.の論文値と比較することによりモモルジコシドKと同定した。
Claims (9)
- ニガウリ搾汁物及び/又は抽出物を有効成分として含有する、運動時の筋肉での脂質代謝の促進用の経口組成物。
- ニガウリ搾汁物及び/又は抽出物を有効成分として含有する、運動時の全身持久力の向上用の経口組成物。
- ニガウリ搾汁物及び/又は抽出物を有効成分として含有する、運動時の筋肉疲労の抑制用の経口組成物。
- ニガウリ搾汁物及び/又は抽出物がニガウリ果汁の濃縮物である請求項1~3のいずれか1項に記載の経口組成物。
- 運動が、最大酸素摂取量VO2maxの20~80%の負荷の運動である、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
- 飲食品である、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記ニガウリ搾汁物がニガウリ果汁の濃縮物であり、前記ニガウリ抽出物がニガウリを酢酸エチルで抽出した酢酸エチル抽出物である、請求項1~3のいずれか1項に記載の経口組成物。
- 前記酢酸エチル抽出物が、α-エレオステアリン酸及びモモルジコシド化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含有する、請求項7に記載の運動時の筋肉での脂質代謝の促進用の経口組成物。
- 血中脂質の筋肉への取り込みを促進する作用を有する、請求項7に記載の運動時の筋肉での脂質代謝の促進用の経口組成物。
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JP2022133563A Pending JP2023031313A (ja) | 2021-08-24 | 2022-08-24 | ニガウリ搾汁物及び/又は抽出物を含有する経口組成物 |
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JP (1) | JP2023031313A (ja) |
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2022
- 2022-08-24 JP JP2022133563A patent/JP2023031313A/ja active Pending
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