JP2023030458A - 熱処理装置および熱処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】加熱処理後の基板の降温速度を速める熱処理装置および熱処理方法を提供する。【解決手段】熱処理装置1は、半導体ウェハーWに光を照射することによって半導体ウェハーWを加熱する。熱処理装置1は、加熱された後の半導体ウェハーWを冷却する石英板100と、石英板100を、石英板100が半導体ウェハーWの裏面Wbに当接する当接位置と、石英板100が半導体ウェハーWから離間した離間位置との間で相対的に移動させる移動機構(昇降機構14)と、を備える。【選択図】図11

Description

本発明は、半導体ウェハー等の薄板状精密電子基板(以下、単に「基板」と称する)に光を照射することによって該基板を加熱する熱処理装置および熱処理方法に関する。
半導体デバイスの製造プロセスにおいて、極めて短時間で半導体ウェハーを加熱するフラッシュランプアニール(FLA)が注目されている。フラッシュランプアニールは、キセノンフラッシュランプ(以下、単に「フラッシュランプ」とするときにはキセノンフラッシュランプを意味する)を使用して半導体ウェハーの表面にフラッシュ光を照射することにより、半導体ウェハーの表面のみを極めて短時間(数ミリ秒以下)に昇温させる熱処理技術である。
キセノンフラッシュランプの放射分光分布は紫外域から近赤外域であり、従来のハロゲンランプよりも波長が短く、シリコンの半導体ウェハーの基礎吸収帯とほぼ一致している。よって、キセノンフラッシュランプから半導体ウェハーにフラッシュ光を照射したときには、透過光が少なく半導体ウェハーを急速に昇温することが可能である。また、数ミリ秒以下の極めて短時間のフラッシュ光照射であれば、半導体ウェハーの表面近傍のみを選択的に昇温できることも判明している。
このようなフラッシュランプアニールは、極短時間の加熱が必要とされる処理、例えば典型的には半導体ウェハーに注入された不純物の活性化に利用される。イオン注入法によって不純物が注入された半導体ウェハーの表面にフラッシュランプからフラッシュ光を照射すれば、当該半導体ウェハーの表面を極短時間だけ活性化温度にまで昇温することができ、不純物を深く拡散させることなく、不純物活性化のみを実行することができる。
フラッシュランプアニールを利用した装置としては、典型的には半導体ウェハーの裏面にハロゲンランプから光を照射してある程度の温度にまで予備加熱し、その後半導体ウェハーの表面にフラッシュ光を照射して所望の処理温度にまで昇温して不純物を活性化している。
このようなフラッシュランプアニールを利用する装置に関して、特許文献1には、フラッシュ加熱処理が終了した後、チャンバー内に冷却ガスが供給される装置が開示されている。この特許文献1に開示される装置によれば、チャンバー内への冷却ガスの供給によって、フラッシュ加熱直後の比較的高温の半導体ウェハーが冷却される。
また、フラッシュランプアニールを利用する他の装置に関して、特許文献2には、半導体ウェハーとサセプタとの距離を可変することができる装置が開示されている。この特許文献2に開示される装置は、支持部に支持された基板の昇温過程では基板と板状部材との距離が第1間隔とし、基板が目標温度に保持される保温過程では基板と板状部材との距離が第2間隔となるように制御している。この特許文献2に記載の装置によれば、光照射加熱時における基板の温度の制御性が向上する。
特開2021-044372号公報 特開2014-175630号公報
近年、加熱処理後の基板の降温速度を速めることにより、加熱処理により活性化された不純物の不活性化を防止することが求められている。これに対し、特許文献1および特許文献2に開示の技術では、近年要請される降温速度を実現することが困難であった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、加熱処理後の基板の降温速度を速める熱処理装置および熱処理方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、基板に光を照射することによって当該基板を加熱する熱処理装置であって、前記基板を収容するチャンバーと、前記チャンバー内において、前記基板を保持する保持部と、前記保持部に保持された前記基板に光を照射することにより前記基板を加熱する光照射部と、前記光照射部により加熱された後の前記基板を冷却する石英板と、前記石英板または前記基板を前記石英板が前記基板の表面または裏面に当接する当接位置と前記石英板が前記基板から離間した離間位置との間で相対的に移動させる移動機構と、前記移動機構の動作を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の熱処理装置において、前記制御部は、前記光照射部からの光照射によって前記基板が最高温度に到達した時点から0.1秒ないし3秒後に、前記石英板または前記基板が前記当接位置に移動するように前記移動機構を制御することを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の熱処理装置において、前記石英板の平面サイズは、前記基板の平面サイズの±20%であることを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか一つに記載の熱処理装置において、前記石英板の前記基板に当接する側の面に凹部または凸部が形成されることを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項4に記載の熱処理装置において、前記凹部は線状の溝であることを特徴とする。
また、請求項6の発明は、基板に光を照射することによって当該基板を加熱する熱処理方法であって、前記基板を収容するチャンバー内において、保持部により保持された前記基板に対して光を照射することにより加熱する加熱工程と、前記加熱工程の後、加熱された前記基板に対して石英板を相対的に移動させて前記基板の表面または裏面に前記石英板を当接させて前記基板を冷却する冷却工程と、を備えることを特徴とする。
また、請求項7の発明は、請求項6に記載の熱処理方法において、前記冷却工程では、光照射によって前記基板が最高温度に到達した時点から0.1秒ないし3秒後に、前記基板と前記石英板とを当接させることを特徴とする。
また、請求項8の発明は、基板に光を照射することによって当該基板を加熱する熱処理装置であって、前記基板を収容するチャンバーと、前記チャンバー内において、前記基板を保持する保持部と、前記保持部に保持された前記基板にフラッシュ光を照射して常温の前記基板を予備加熱温度に昇温する第1フラッシュ光照射部と、前記予備加熱温度に昇温された前記基板にフラッシュ光を照射して前記予備加熱温度よりも高い処理温度に前記基板を昇温する第2フラッシュ光照射部と、を備えることを特徴とする。
また、請求項9の発明は、請求項8に記載の熱処理装置において、前記第1フラッシュ光照射部および前記第2フラッシュ光照射部のフラッシュ光照射時間は0.1ミリ秒以上100ミリ秒以下であることを特徴とする。
また、請求項10の発明は、請求項8または請求項9に記載の熱処理装置において、前記第1フラッシュ光照射部が発光してから前記第2フラッシュ光照射部が発光するまでの間隔は1秒以内であることを特徴とする。
また、請求項11の発明は、基板に光を照射することによって当該基板を加熱する熱処理方法であって、前記基板を収容するチャンバー内において、保持部により保持された前記基板に対して第1のフラッシュ光を照射して常温の前記基板を予備加熱温度に昇温する第1フラッシュ光照射工程と、前記予備加熱温度に昇温された前記基板に対して第2のフラッシュ光を照射して前記予備加熱温度よりも高い処理温度に前記基板を昇温する第2フラッシュ光照射工程と、を備えることを特徴とする。
また、請求項12の発明は、請求項11に記載の熱処理方法において、前記第1フラッシュ光照射工程および前記第2フラッシュ光照射工程でのフラッシュ光照射時間は0.1ミリ秒以上100ミリ秒以下であることを特徴とする。
また、請求項13の発明は、請求項11または請求項12に記載の熱処理方法において、前記第1フラッシュ光照射工程の終了後、前記第2フラッシュ光照射工程の開始までの間は1秒以内であることを特徴とする。
請求項1ないし請求項3の発明によれば、光照射部により加熱された後の基板を冷却する石英板と、石英板または基板を石英板が基板の表面または裏面に当接する当接位置と石英板が基板から離間した離間位置との間で相対的に移動させる移動機構を備えることから、加熱処理後に石英板を基板に当接させることにより加熱処理後の基板の降温速度を速めることができる。これにより、基板において活性状態にある不純物の不活性化を防止することができる。
請求項4の発明によれば、石英板の基板に当接する側の面に凹部または凸部が形成されることから、当接した基板と石英板との離間を促進することができる。
請求項5の発明によれば、凹部は線状の溝であることから、石英板に対して簡易に凹部を形成することができる。
請求項6および請求項7の発明によれば、加熱された基板に対して石英板を相対的に移動させて基板の表面または裏面に石英板を当接させて基板を冷却する冷却工程を備えることから、加熱処理後に石英板を基板に当接させることにより加熱処理後の基板の降温速度を速めることができる。
請求項8ないし請求項10の発明によれば、保持部に保持された前記基板にフラッシュ光を照射して常温の基板を予備加熱温度に昇温する第1フラッシュ光照射部と、予備加熱温度に昇温された基板にフラッシュ光を照射して予備加熱温度よりも高い処理温度に基板を昇温する第2フラッシュ光照射部と、を備えることから、基板の表面から所望の深さ領域だけを処理温度に昇温させることができる。これにより、サーマルバジェットを小さくして加熱処理後の基板の降温速度を速めることができ、基板に注入された不純物の拡散を防止できる。
請求項11ないし請求項13の発明によれば、基板を予備加熱温度に昇温する第1フラッシュ光照射工程と、予備加熱温度よりも高い処理温度に基板を昇温する第2フラッシュ光照射工程と、を備えることから、基板の表面から所望の深さ領域だけを処理温度に昇温させることができる。これにより、サーマルバジェットを小さくして加熱処理後の基板の降温速度を速めることができ、基板に注入された不純物の拡散を防止できる。
本発明に係る熱処理装置の構成を示す縦断面図である。 保持部の全体外観を示す斜視図である。 サセプタの平面図である。 石英板を示す斜視図である。 石英板の部分的な断面を示す部分断面図である。 移載機構の平面図である。 移載機構の側面図である。 図1の熱処理装置における処理動作を示すフロー図である。 サセプタを半導体ウェハー、石英板、リフトピンと共に示す側面図である。 サセプタを半導体ウェハー、石英板、リフトピンと共に示す側面図である。 サセプタを半導体ウェハー、石英板、リフトピンと共に示す側面図である。 本実施形態の熱処理装置による半導体ウェハーの経時的な温度変化を示すグラフである。 第1実施形態の変形例1のサセプタを半導体ウェハー、石英板、リフトピンと共に示す側面図である。 第1実施形態の変形例2のサセプタを半導体ウェハー、石英板、リフトピンと共に示す側面図である。 第1実施形態の変形例3のサセプタを半導体ウェハー、石英板、リフトピンと共に示す側面図である。 本発明に係る熱処理方法を実施する熱処理装置の構成を示す縦断面図である。 第2実施形態の熱処理装置による半導体ウェハーの熱処理の流れを示すフロー図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明に係る熱処理装置1の構成を示す縦断面図である。図1の熱処理装置1は、基板として円板形状の半導体ウェハーWに対してフラッシュ光照射を行うことによってその半導体ウェハーWを加熱するフラッシュランプアニール装置である。処理対象となる半導体ウェハーWのサイズは特に限定されるものではないが、例えばφ300mmやφ450mmである(本実施形態ではφ300mm)。なお、図1および以降の各図においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている。
熱処理装置1は、半導体ウェハーWを収容するチャンバー6と、複数のフラッシュランプFLを内蔵するフラッシュ光照射部としてのフラッシュ加熱部5と、複数のハロゲンランプHLを内蔵するハロゲン光照射部としてのハロゲン加熱部4と、を備える。チャンバー6の上側にフラッシュ加熱部5が設けられるとともに、下側にハロゲン加熱部4が設けられている。また、熱処理装置1は、チャンバー6の内部に、半導体ウェハーWを水平姿勢に保持する保持部7と、保持部7と装置外部との間で半導体ウェハーWの受け渡しを行う移載機構10と、を備える。さらに、熱処理装置1は、ハロゲン加熱部4、フラッシュ加熱部5およびチャンバー6に設けられた各動作機構を制御して半導体ウェハーWの熱処理を実行させる制御部3を備える。
チャンバー6の上方に設けられたフラッシュ加熱部5は、筐体51の内側に、複数本(本実施形態では30本)のフラッシュランプFL(例えば、キセノンフラッシュランプ)からなる光源と、その光源の上方を覆うように設けられたリフレクタ52と、を備えて構成される。また、フラッシュ加熱部5の筐体51の底部にはランプ光放射窓53が装着されている。フラッシュ加熱部5の床部を構成するランプ光放射窓53は、石英により形成された板状の石英窓である。フラッシュ加熱部5がチャンバー6の上方に設置されることにより、ランプ光放射窓53が上側チャンバー窓63と相対向することとなる。フラッシュランプFLはチャンバー6の上方からランプ光放射窓53および上側チャンバー窓63を介して熱処理空間65にフラッシュ光を照射する。
複数のフラッシュランプFLは、それぞれが長尺の円筒形状を有する棒状ランプであり、それぞれの長手方向が保持部7に保持される半導体ウェハーWの主面に沿って(つまり水平方向に沿って)互いに平行となるように平面状に配列されている。よって、フラッシュランプFLの配列によって形成される平面も水平面である。
フラッシュランプFLは、例えば、その内部にキセノンガスが封入されその両端部にコンデンサーに接続された陽極および陰極が配設された棒状のガラス管(放電管)と、該ガラス管の外周面上に付設されたトリガー電極とを備える。キセノンガスは電気的には絶縁体であることから、コンデンサーに電荷が蓄積されていたとしても通常の状態ではガラス管内に電気は流れない。しかしながら、トリガー電極に高電圧を印加して絶縁を破壊した場合には、コンデンサーに蓄えられた電気がガラス管内に瞬時に流れ、そのときのキセノンの原子あるいは分子の励起によって光が放出される。このようなフラッシュランプFLにおいては、予めコンデンサーに蓄えられていた静電エネルギーが0.1ミリセカンドないし100ミリセカンドという極めて短い光パルスに変換されることから、ハロゲンランプHLの如き連続点灯の光源に比べて極めて強い光を照射し得るという特徴を有する。すなわち、フラッシュランプFLは、1秒未満の極めて短い時間で瞬間的に発光するパルス発光ランプである。なお、フラッシュランプFLの発光時間は、フラッシュランプFLに電力供給を行うランプ電源のコイル定数によって調整することができる。
また、リフレクタ52は、複数のフラッシュランプFLの上方にそれら全体を覆うように設けられている。リフレクタ52の基本的な機能は、複数のフラッシュランプFLから出射されたフラッシュ光を熱処理空間65の側に反射するというものである。リフレクタ52はアルミニウム合金板にて形成されており、その表面(フラッシュランプFLに臨む側の面)はブラスト処理により粗面化加工が施されている。
チャンバー6の下方に設けられたハロゲン加熱部4は、筐体41の内側に複数本(本実施形態では40本)のハロゲンランプHLを内蔵している。ハロゲン加熱部4は、複数のハロゲンランプHLによってチャンバー6の下方から下側チャンバー窓64を介して熱処理空間65への光照射を行って半導体ウェハーWを加熱する。
ハロゲン加熱部4を構成するハロゲンランプHLは、例えば、上下2段に分けて40本配置されている(図1参照)。保持部7に近い上段に20本のハロゲンランプHLが配設されるとともに、上段よりも保持部7から遠い下段にも20本のハロゲンランプHLが配設されている。各ハロゲンランプHLは、長尺の円筒形状を有する棒状ランプである。上段、下段ともに20本のハロゲンランプHLは、それぞれの長手方向が保持部7に保持される半導体ウェハーWの主面に沿って(つまり水平方向に沿って)互いに平行となるように配列されている。よって、上段、下段ともにハロゲンランプHLの配列によって形成される平面は水平面である。
また、上段、下段ともに、保持部7に保持される半導体ウェハーWの中央部に対向する領域よりも周縁部に対向する領域におけるハロゲンランプHLの配設密度が高くなっている。すなわち、上下段ともに、ランプ配列の中央部よりも周縁部の方がハロゲンランプHLの配設ピッチが短い。このため、ハロゲン加熱部4からの光照射による加熱時に温度低下が生じやすい半導体ウェハーWの周縁部により多い光量の照射を行うことができる。
また、上段のハロゲンランプHLからなるランプ群と下段のハロゲンランプHLからなるランプ群とが格子状に交差するように配列されている。すなわち、上段に配置された20本のハロゲンランプHLの長手方向と下段に配置された20本のハロゲンランプHLの長手方向とが互いに直交するように計40本のハロゲンランプHLが配設されている。
ハロゲンランプHLは、ガラス管内部に配設されたフィラメントに通電することでフィラメントを白熱化させて発光させるフィラメント方式の光源である。ガラス管の内部には、窒素やアルゴン等の不活性ガスにハロゲン元素(ヨウ素、臭素等)を微量導入した気体が封入されている。ハロゲン元素を導入することによって、フィラメントの折損を抑制しつつフィラメントの温度を高温に設定することが可能となる。したがって、ハロゲンランプHLは、通常の白熱電球に比べて寿命が長くかつ強い光を連続的に照射できるという特性を有する。すなわち、ハロゲンランプHLは少なくとも1秒以上連続して発光する連続点灯ランプである。また、ハロゲンランプHLは棒状ランプであるため長寿命であり、ハロゲンランプHLを水平方向に沿わせて配置することにより上方の半導体ウェハーWへの放射効率が優れたものとなる。
また、ハロゲン加熱部4の筐体41内にも、2段のハロゲンランプHLの下側にリフレクタ43が設けられている(図1参照)。リフレクタ43は、複数のハロゲンランプHLから出射された光を熱処理空間65の側に反射する。
図1に示すように、チャンバー6には、上部放射温度計25および下部放射温度計20の2つの放射温度計(本実施形態ではパイロメーター)が設けられている。上部放射温度計25は、サセプタ74に保持された半導体ウェハーWの斜め上方に設置され、その半導体ウェハーWの上面から放射された赤外光を受光して上面の温度を測定する。上部放射温度計25の赤外線センサー29は、フラッシュ光が照射された瞬間の半導体ウェハーWの上面の急激な温度変化に対応できるように、InSb(インジウムアンチモン)の光学素子を備えている。一方、下部放射温度計20は、サセプタ74に保持された半導体ウェハーWの斜め下方に設けられ、その半導体ウェハーWの下面から放射された赤外光を受光して下面の温度を測定する。
制御部3は、熱処理装置1に設けられた上記の種々の動作機構を制御する。制御部3のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部3は、各種演算処理を行う回路であるCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスクを備えている。制御部3のCPUが所定の処理プログラムを実行することによって熱処理装置1における処理が進行する。移載機構10も、制御部3により制御される。すなわち、制御部3は、移載機構10を構成する昇降機構14や水平移動機構13の動作を制御する。
上記の構成以外にも熱処理装置1は、半導体ウェハーWの熱処理時にハロゲンランプHLおよびフラッシュランプFLから発生する熱エネルギーによるハロゲン加熱部4、フラッシュ加熱部5およびチャンバー6の過剰な温度上昇を防止するため、様々な冷却用の構造を備えている。例えば、チャンバー6の壁体には水冷管(図示省略)が設けられている。また、ハロゲン加熱部4およびフラッシュ加熱部5は、内部に気体流を形成して排熱する空冷構造とされている。また、上側チャンバー窓63とランプ光放射窓53との間隙にも空気が供給され、フラッシュ加熱部5および上側チャンバー窓63を冷却する。
チャンバー6は、筒状のチャンバー側部61の上下に石英製のチャンバー窓を装着して構成されている。チャンバー側部61は上下が開口された概略筒形状を有しており、上側開口には上側チャンバー窓63が装着されて閉塞され、下側開口には下側チャンバー窓64が装着されて閉塞されている。チャンバー6の天井部を構成する上側チャンバー窓63は、石英により形成された円板形状部材であり、フラッシュ加熱部5から出射されたフラッシュ光をチャンバー6内に透過する石英窓として機能する。また、チャンバー6の床部を構成する下側チャンバー窓64も、石英により形成された円板形状部材であり、ハロゲン加熱部4からの光をチャンバー6内に透過する石英窓として機能する。熱処理装置1は、このように半導体ウェハーWに対して光を照射することにより半導体ウェハーWを加熱する。
また、チャンバー側部61の内側の壁面の上部には反射リング68が装着され、下部には反射リング69が装着されている。反射リング68,69は、ともに円環状に形成されている。上側の反射リング68は、チャンバー側部61の上側から嵌め込むことによって装着される。一方、下側の反射リング69は、チャンバー側部61の下側から嵌め込んで図示省略のビスで留めることによって装着される。すなわち、反射リング68,69は、ともに着脱自在にチャンバー側部61に装着されるものである。チャンバー6の内側空間、すなわち上側チャンバー窓63、下側チャンバー窓64、チャンバー側部61および反射リング68,69によって囲まれる空間が熱処理空間65として規定される。
チャンバー側部61に反射リング68,69が装着されることによって、チャンバー6の内壁面に凹部62が形成される。すなわち、チャンバー側部61の内壁面のうち反射リング68,69が装着されていない中央部分と、反射リング68の下端面と、反射リング69の上端面とで囲まれた凹部62が形成される。凹部62は、チャンバー6の内壁面に水平方向に沿って円環状に形成され、半導体ウェハーWを保持する保持部7を囲繞する。チャンバー側部61および反射リング68,69は、強度と耐熱性に優れた金属材料(例えば、ステンレススチール)にて形成されている。
また、チャンバー側部61には、チャンバー6に対して半導体ウェハーWの搬入および搬出を行うための搬送開口部(炉口)66が形設されている。搬送開口部66は、ゲートバルブ185によって開閉可能とされている。搬送開口部66は凹部62の外周面に連通接続されている。このため、ゲートバルブ185が搬送開口部66を開放しているときには、搬送開口部66から凹部62を通過して熱処理空間65への半導体ウェハーWの搬入および熱処理空間65からの半導体ウェハーWの搬出を行うことができる。また、ゲートバルブ185が搬送開口部66を閉鎖するとチャンバー6内の熱処理空間65が密閉空間とされる。
さらに、チャンバー側部61には、貫通孔61aおよび貫通孔61bが穿設されている。貫通孔61aは、後述するサセプタ74に保持された半導体ウェハーWの上面から放射された赤外光を上部放射温度計25の赤外線センサー29に導くための円筒状の孔である。一方、貫通孔61bは、半導体ウェハーWの下面から放射された赤外光を下部放射温度計20の赤外線センサー24に導くための円筒状の孔である。貫通孔61aおよび貫通孔61bは、それらの貫通方向の軸がサセプタ74に保持された半導体ウェハーWの主面と交わるように、水平方向に対して傾斜して設けられている。貫通孔61aの熱処理空間65に臨む側の端部には、上部放射温度計25が測定可能な波長領域の赤外光を透過させるフッ化カルシウム材料からなる透明窓26が装着されている。また、貫通孔61bの熱処理空間65に臨む側の端部には、下部放射温度計20が測定可能な波長領域の赤外光を透過させるフッ化バリウム材料からなる透明窓21が装着されている。
また、チャンバー6の内壁上部には熱処理空間65に処理ガスを供給するガス供給孔81が形設されている。ガス供給孔81は、凹部62よりも上側位置に形設されており、反射リング68に設けられていても良い。ガス供給孔81はチャンバー6の側壁内部に円環状に形成された緩衝空間82を介してガス供給管83に連通接続されている。ガス供給管83は処理ガス供給源85に接続されている。また、ガス供給管83の経路途中にはバルブ84が介挿されている。バルブ84が開放されると、処理ガス供給源85から緩衝空間82に処理ガスが送給される。緩衝空間82に流入した処理ガスは、ガス供給孔81よりも流体抵抗の小さい緩衝空間82内を拡がるように流れてガス供給孔81から熱処理空間65内へと供給される。処理ガスとしては、例えば窒素(N)等の不活性ガス、または、水素(H)、アンモニア(NH)等の反応性ガス、或いはそれらを混合した混合ガスを用いることができる(本実施形態では窒素ガス)。
一方、チャンバー6の内壁下部には熱処理空間65内の気体を排気するガス排気孔86が形設されている。ガス排気孔86は、凹部62よりも下側位置に形設されており、反射リング69に設けられていても良い。ガス排気孔86はチャンバー6の側壁内部に円環状に形成された緩衝空間87を介してガス排気管88に連通接続されている。ガス排気管88は排気部190に接続されている。また、ガス排気管88の経路途中にはバルブ89が介挿されている。バルブ89が開放されると、熱処理空間65の気体がガス排気孔86から緩衝空間87を経てガス排気管88へと排出される。なお、ガス供給孔81およびガス排気孔86は、チャンバー6の周方向に沿って複数設けられていても良いし、スリット状のものであっても良い。また、処理ガス供給源85および排気部190は、熱処理装置1に設けられた機構であっても良いし、熱処理装置1が設置される工場のユーティリティであっても良い。
また、搬送開口部66の先端にも熱処理空間65内の気体を排出するガス排気管191が接続されている。ガス排気管191はバルブ192を介して排気部190に接続されている。バルブ192を開放することによって、搬送開口部66を介してチャンバー6内の気体が排気される。
図2は、保持部7の全体外観を示す斜視図である。保持部7は、基台リング71、連結部72およびサセプタ74を備えて構成される。基台リング71、連結部72およびサセプタ74はいずれも石英にて形成されている。すなわち、保持部7の全体が石英にて形成されている。
基台リング71は円環形状から一部が欠落した円弧形状の石英部材である。この欠落部分は、後述する移載機構10の移載アーム11と基台リング71との干渉を防ぐために設けられている。基台リング71は凹部62の底面に載置されることによって、チャンバー6の壁面に支持されることとなる(図1参照)。基台リング71の上面に、その円環形状の周方向に沿って複数の連結部72(本実施形態では4個)が立設される。連結部72も石英の部材であり、溶接によって基台リング71に固着される。
サセプタ74は基台リング71に設けられた4個の連結部72によって支持される。図3は、サセプタ74の平面図である。
サセプタ74は、保持プレート75と、複数の支持ピン77を備える。保持プレート75は、石英にて形成された略円形の平板状部材である。保持プレート75の直径は、例えば、半導体ウェハーWの直径よりも大きい。すなわち、保持プレート75は、例えば、半導体ウェハーWよりも大きな平面サイズを有する。
保持プレート75の上面は、平面状の保持面75aになっている。保持プレート75の保持面75aには、複数の支持ピン77が立設されている。本実施形態においては、保持面75aの外周円と同心円の周上に沿って30°毎に計12個の支持ピン77が立設されている。12個の支持ピン77を配置した円の径(対向する支持ピン77間の距離)は半導体ウェハーWの径よりも小さい。例えば、半導体ウェハーWの径がφ300mmであれば、好ましくは、φ270mm~φ280mm(本実施形態ではφ270mm)である。それぞれの支持ピン77は石英にて形成されている。複数の支持ピン77は、保持プレート75の上面に溶接によって設けるようにしても良いし、保持プレート75と一体に加工するようにしても良い。
図2に戻り、基台リング71に立設された4個の連結部72とサセプタ74の保持プレート75の周縁部とが溶接によって固着される。すなわち、サセプタ74と基台リング71とは連結部72によって固定的に連結されている。このような保持部7の基台リング71がチャンバー6の壁面に支持されることによって、保持部7がチャンバー6に装着される。保持部7がチャンバー6に装着された状態においては、サセプタ74の保持プレート75は水平姿勢(法線が鉛直方向と一致する姿勢)となる。すなわち、保持プレート75の保持面75aは水平面となる。
チャンバー6に搬入された半導体ウェハーWは、チャンバー6に装着された保持部7のサセプタ74の上に水平姿勢にて載置されて保持される。このとき、半導体ウェハーWは保持プレート75上に立設された12個の支持ピン77によって支持されてサセプタ74に保持される。より厳密には、12個の支持ピン77の上端部が半導体ウェハーWの下面に接触して当該半導体ウェハーWを支持する。12個の支持ピン77の高さ(支持ピン77の上端から保持プレート75の保持面75aまでの距離)は均一であるため、12個の支持ピン77によって半導体ウェハーWを水平姿勢に支持することができる。支持ピンまた、半導体ウェハーWは複数の支持ピン77によって保持プレート75の保持面75aから所定の間隔を隔てて支持されることとなる。
また、図2および図3に示すように、サセプタ74の保持プレート75には、上下に貫通する開口部78が形成されている。開口部78は、下部放射温度計20が半導体ウェハーWの下面から放射される放射光(赤外光)を受光するために設けられている。すなわち、下部放射温度計20が開口部78およびチャンバー側部61の貫通孔61bに装着された透明窓21を介して半導体ウェハーWの下面から放射された光を受光して当該半導体ウェハーWの温度を測定する。また、サセプタ74の保持プレート75には、後述する移載機構10のリフトピン12が半導体ウェハーWの受け渡しのために貫通する4個の貫通孔79が穿設されている。さらに、保持プレート75には、後述する移載機構10のリフトピン12が石英板100の昇降移動のために貫通する4個の貫通孔76が穿設されている。
図4は、石英板100を示す斜視図である。保持プレート75の保持面75aには、石英板100(図4参照)が載置される。石英板100は、例えば、保持プレート75の保持面75aの外周円と同心円の外周円を有する石英の円板形状に形成される。石英板100には、保持プレート75と同様に、上下に貫通する開口部108が形成されている。開口部108は、下部放射温度計20が石英板100の下面から放射される放射光(赤外光)を受光するために設けられている。石英板100は、その開口部108が、開口部78の直上に配置されるように、保持プレート75上に載置される。このため、下部放射温度計20が、半導体ウェハーWの下面から放射される放射光を受光することができる。また、石英板100には、後述する移載機構10のリフトピン12が半導体ウェハーWの受け渡しのために貫通する4個の貫通孔109が穿設されている。さらに、石英板100には、円板形状の保持面75aに立設される支持ピン77を貫通させるピン貫通孔107が穿設されている。
また、石英板100の平面サイズは、例えば、半導体ウェハーWの平面サイズの±20%である。例えば、半導体ウェハーWの直径がφ300mmであれば、石英板100の直径がφ240mm~φ360mm程度であることが好ましい。なお、後に説明するように、石英板100は、半導体ウェハーWの一面(表面Wfまたは裏面Wb)に当接することにより、半導体ウェハーWを冷却させる。なお、本実施形態においては、石英板100は、半導体ウェハーWの裏面に当接する。また、石英板100の平面サイズが半導体ウェハーWの平面サイズに近い方が、石英板100により半導体ウェハーWの全面が冷却される。このため、石英板100による半導体ウェハーWの冷却効率が向上する。ただし、半導体ウェハーWにおいて、中央部よりも端部の方が、降温速度が速い傾向にある。このため、半導体ウェハーWの中央部にのみ当接可能な平面サイズの石英板100であっても、半導体ウェハーWは効率的に冷却される。
図5は、石英板100の部分的な断面を示す部分断面図である。図5に示すように、石英板100の半導体ウェハーWに当接する側の面100a(以下、当接面100aという。)に凹部101が形成される。凹部101は、例えば複数形成される。また。凹部101は、好ましくは、線状の溝である。これらの線状の溝は、例えば、互いに平行に形成される。凹部101が形成されておらずに石英板100の表面が平滑面の場合、石英板100と半導体ウェハーWとは、当接した後に、離間し難いという現象が見られることがある。そこで、石英板100に凹部101が形成されることにより、石英板100と半導体ウェハーWとが当接している状態であっても、石英板100と半導体ウェハーWとの間に隙間が存在する。これにより、石英板100と半導体ウェハーWとの吸着が防止される。そして、この隙間が、当接した半導体ウェハーWと石英板100との離間を促進することができる。したがって、石英板100による半導体ウェハーWの冷却後の石英板100と半導体ウェハーWと離間がスムーズに行われる。
また、図6は、移載機構10の平面図である。移載機構10は、2本の移載アーム11を備える。移載アーム11は、概ね円環状の凹部62に沿うような円弧形状とされている。それぞれの移載アーム11には2本のリフトピン12が立設されている。移載アーム11およびリフトピン12は石英にて形成されている。各移載アーム11は水平移動機構13によって回動可能とされている。水平移動機構13は、保持部7に対して半導体ウェハーWの移載を行う移載動作位置A(図6の実線位置)と、石英板100(および半導体ウェハーW)の昇降を行う冷却動作位置B(図6の一点鎖線位置)と、保持部7に保持された半導体ウェハーWと平面視で重ならない退避位置C(図6の二点鎖線位置)との間で移載アーム11を水平移動させる。水平移動機構13としては、個別のモータによって各移載アーム11をそれぞれ回動させるものであっても良いし、リンク機構を用いて1個のモータによって一対の移載アーム11を連動させて回動させるものであっても良い。なお、退避位置Cは、保持部7の基台リング71の直上である。基台リング71は凹部62の底面に載置されているため、移載アーム11の退避位置Cは凹部62の内側となる。
また、図7は、移載機構10の側面図である。移載機構10は、昇降機構14を備える。昇降機構14は、移載アーム11およびリフトピン12を上下方向に移動させる。図7に示すように、昇降機構14は、半導体ウェハーWを受け渡しするための最も高い位置(後述する搬送位置Xに対応する移載アーム11の高さ位置)、半導体ウェハーWに加熱処理を行う最も低い位置(後述する加熱位置Yに対応する移載アーム11の高さ位置)、および、その間の石英板100が半導体ウェハーWの裏面Wbに当接する位置(後述する冷却位置Zに対応する移載アーム11の高さ位置)に移載アーム11を昇降させる。
なお、移載機構10の駆動部(水平移動機構13および昇降機構14)が設けられている部位の近傍にも図示省略の排気機構が設けられており、移載機構10の駆動部周辺の雰囲気がチャンバー6の外部に排出されるように構成されている。
図8は、熱処理装置1における処理動作を示すフロー図である。また、図9ないし図11は、サセプタ74を半導体ウェハーW、石英板100、リフトピン12と共に示す側面図である。なお、図9は搬送位置X、図10は加熱位置Y、図11は冷却位置Z、に半導体ウェハーWが配置された状態を示している。
以下、図8から図11を参照して、熱処理装置1の具体的な動作を説明する。まず、半導体ウェハーWの処理に先立って給気のためのバルブ84が開放されるとともに、排気用のバルブ89が開放されてチャンバー6内に対する給排気が開始される。バルブ84が開放されると、ガス供給孔81から熱処理空間65に窒素ガスが供給される。また、バルブ89が開放されると、ガス排気孔86からチャンバー6内の気体が排気される。これにより、チャンバー6内の熱処理空間65の上部から供給された窒素ガスが下方へと流れ、熱処理空間65の下部から排気される。
また、バルブ192が開放されることによって、搬送開口部66からもチャンバー6内の気体が排気される。さらに、図示省略の排気機構によって移載機構10の駆動部周辺の雰囲気も排気される。なお、熱処理装置1における半導体ウェハーWの熱処理時には窒素ガスが熱処理空間65に継続的に供給されており、その供給量は処理工程に応じて適宜変更される。
続いて、ゲートバルブ185が開いて搬送開口部66が開放され、装置外部の搬送ロボットにより搬送開口部66を介して処理対象となる半導体ウェハーWがチャンバー6内の熱処理空間65に搬入される。このときには、半導体ウェハーWの搬入にともなって装置外部の雰囲気を巻き込むおそれがあるが、チャンバー6には窒素ガスが供給され続けているため、搬送開口部66から窒素ガスが流出して、そのような外部雰囲気の巻き込みを最小限に抑制することができる。
搬送ロボットによって搬入された半導体ウェハーWは保持部7の直上位置まで進出して停止する(ステップS1)。そして、移載機構10の一対の移載アーム11が退避位置C(図6参照)から移載動作位置A(図6参照)に水平移動して上昇することにより、図9に示すように、リフトピン12がサセプタ74の貫通孔79および石英板100の貫通孔109を通って石英板100の上面から突き出て半導体ウェハーWを受け取る。このとき、リフトピン12は支持ピン77の上端よりも上方にまで上昇する。
半導体ウェハーWがリフトピン12に載置された後、搬送ロボットが熱処理空間65から退出し、ゲートバルブ185によって搬送開口部66が閉鎖される。そして、一対の移載アーム11が下降することにより、半導体ウェハーWは移載機構10から保持部7のサセプタ74に受け渡されて水平姿勢にて下方より保持される。半導体ウェハーWは、保持プレート75上に立設された複数の支持ピン77によって支持されてサセプタ74に保持される。また、半導体ウェハーWは、被処理面である表面を上面として保持部7に保持される。すなわち、図10に示すように、半導体ウェハーWが加熱位置Yに移動する(ステップS2)。ここで、半導体ウェハーWが保持部7に保持される位置を加熱位置Yとしている(図8、図10参照)。なお、複数の支持ピン77によって支持された半導体ウェハーWの裏面Wb(表面Wfとは反対側の主面)と保持プレート75の保持面75aとの間には所定の間隔が形成される。サセプタ74の下方にまで下降した一対の移載アーム11は水平移動機構13によって退避位置C、すなわち凹部62の内側に退避する。
半導体ウェハーWが石英にて形成された保持部7のサセプタ74によって水平姿勢にて下方より保持された後、ハロゲン加熱部4の40本のハロゲンランプHLが一斉に点灯して予備加熱(アシスト加熱)が開始される(予備加熱工程)(ステップS3)。ハロゲンランプHLから出射されたハロゲン光は、石英にて形成された下側チャンバー窓64、サセプタ74および石英板100を透過して半導体ウェハーWの下面に照射される。ハロゲンランプHLからの光照射を受けることによって半導体ウェハーWが予備加熱されて温度が上昇する。なお、移載機構10の移載アーム11は凹部62の内側に退避しているため、ハロゲンランプHLによる加熱の障害となることは無い。
ハロゲンランプHLからの光照射によって昇温する半導体ウェハーWの温度は下部放射温度計20によって測定される。測定された半導体ウェハーWの温度は制御部3に伝達される。制御部3は、ハロゲンランプHLからの光照射によって昇温する半導体ウェハーWの温度が所定の予備加熱温度T1に到達したか否かを監視しつつ、ハロゲンランプHLの出力を制御する。すなわち、制御部3は、下部放射温度計20による測定値に基づいて、半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1となるようにハロゲンランプHLの出力をフィードバック制御する。
半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達した後、制御部3は半導体ウェハーWをその予備加熱温度T1に暫時維持する。具体的には、下部放射温度計20によって測定される半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達した時点にて制御部3がハロゲンランプHLの出力を調整し、半導体ウェハーWの温度をほぼ予備加熱温度T1に維持している。
このようなハロゲンランプHLによる予備加熱を行うことによって、半導体ウェハーWの全体を予備加熱温度T1に均一に昇温している。ハロゲンランプHLによる予備加熱の段階においては、より放熱が生じやすい半導体ウェハーWの周縁部の温度が中央部よりも低下する傾向にあるが、ハロゲン加熱部4におけるハロゲンランプHLの配設密度は、半導体ウェハーWの中央部に対向する領域よりも周縁部に対向する領域の方が高くなっている。このため、放熱が生じやすい半導体ウェハーWの周縁部に照射される光量が多くなり、予備加熱段階における半導体ウェハーWの面内温度分布を均一なものとすることができる。
半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達して所定時間が経過するとフラッシュ加熱部5のフラッシュランプFLがサセプタ74に保持された半導体ウェハーWの表面にフラッシュ光照射を行う。このとき、フラッシュランプFLから放射されるフラッシュ光の一部は直接にチャンバー6内へと向かい、他の一部は一旦リフレクタ52により反射されてからチャンバー6内へと向かい、これらのフラッシュ光の照射により半導体ウェハーWのフラッシュ加熱が行われる(本加熱工程)(ステップS4)。
フラッシュ加熱は、フラッシュランプFLからのフラッシュ光(閃光)照射により行われるため、半導体ウェハーWの表面温度を短時間で上昇することができる。すなわち、フラッシュランプFLから照射されるフラッシュ光は、予めコンデンサーに蓄えられていた静電エネルギーが極めて短い光パルスに変換された、照射時間(フラッシュ光照射時間)が0.1ミリセカンド以上100ミリセカンド以下程度の極めて短く強い閃光である。そして、フラッシュランプFLからのフラッシュ光照射によりフラッシュ加熱される半導体ウェハーWの表面温度は、瞬間的に1000℃以上の処理温度T2まで上昇した後、急速に下降する。
フラッシュ加熱処理が終了した後、所定時間が経過した後にハロゲンランプHLが消灯する。これにより、半導体ウェハーWが予備加熱温度T1から急速に降温する。降温中の半導体ウェハーWの温度は下部放射温度計20によって測定され、その測定結果は制御部3に伝達される。制御部3は、下部放射温度計20の測定結果より半導体ウェハーWの温度が所定温度まで降温したか否かを監視する。
また、制御部3は、フラッシュランプFLからのフラッシュ光照射によって半導体ウェハーWが最高温度(処理温度T2)に到達した時点から所定時間t1が経過した後に、石英板100を半導体ウェハーWに当接させる(ステップS5)。ここで、所定時間t1は、例えば、0.1秒ないし3秒である。このような所定時間を設定することにより、迅速に半導体ウェハーWを降温させることができる。
なお、石英板100の移動は、昇降機構14により行われる。具体的には、昇降機構14が一対の移載アーム11を冷却動作位置B(図6、図11参照)の状態で上昇させると、計4本のリフトピン12がサセプタ74に穿設された貫通孔76(図2参照)を通過する。そして、リフトピン12の上端がサセプタ74の上面から突き出る。そして、図11に示すように、サセプタ74の上面から突き出たリフトピン12の上端は、石英板100を載置して、石英板100を上方へ移動させる。リフトピン12により上方へ移動した石英板100は、支持ピン77に支持された状態の半導体ウェハーWの裏面Wbに当接する。リフトピン12の上端の上昇により半導体ウェハーWに当接した石英板100は、さらなるリフトピン12の上端の上昇により、半導体ウェハーWを載置した後も、さらに上方に移動する。昇降機構14により、半導体ウェハーWおよび石英板100が、サセプタ74と最も離間する位置に配置されて停止する。この時、半導体ウェハーWの裏面Wbが石英板100に当接した状態となり、半導体ウェハーWが石英板100により冷却される。すなわち、半導体ウェハーWが図11に示す冷却位置Zに移動する(冷却工程)(ステップS6)。なお、石英板100が半導体ウェハーWの裏面Wbに当接してから半導体ウェハーWが冷却位置Zに上昇するまでの間の石英板100の高さ位置が石英板100と半導体ウェハーWとの当接位置である。
半導体ウェハーWが所定温度以下まで降温した後、昇降機構14により半導体ウェハーWおよび石英板100が下降する。そして、図10に示すように、半導体ウェハーWが再び加熱位置Yに移動する(ステップS7)。具体的には、昇降機構14が一対の移載アーム11を冷却動作位置Bの状態で下降させてリフトピン12を貫通孔76から抜き取る。この時、半導体ウェハーWは支持ピン77の上端に載置される。そして、石英板100はサセプタ74上に載置される。このようにして、半導体ウェハーWと石英板100とは、互いに離間した状態となる。なお、石英板100が半導体ウェハーWの裏面Wbから離れてから石英板100がサセプタ74上に載置されるまでの間の石英板100の高さ位置が石英板100と半導体ウェハーWとの離間位置である。
そして、移載アーム11が移載動作位置Aに水平移動して上昇することにより、リフトピン12がサセプタ74に穿設された貫通孔79および石英板100に穿設された貫通孔109から突き出て熱処理後の半導体ウェハーWを上方へ移動させる。これにより、半導体ウェハーWが搬送位置Xに移動する(ステップS8)。
その後、ゲートバルブ185により閉鎖されていた搬送開口部66が開放され、リフトピン12上に載置された半導体ウェハーWが装置外部の搬送ロボットによりチャンバー6から搬出され、半導体ウェハーWの加熱処理が完了する。
以上のように、昇降機構14は石英板100を石英板100が半導体ウェハーWの裏面Wbに当接する当接位置と石英板100が半導体ウェハーWから離間した離間位置との間で半導体ウェハーWに対して昇降移動させる。つまり、半導体ウェハーWと石英板100とは離間位置と、当接位置との間で相対的に移動される。
図12は、本実施形態の熱処理装置1による半導体ウェハーWの経時的な温度変化を示すグラフである。なお、図12の中での点線は、比較対象として、石英板100を利用しない自然放冷による半導体ウェハーWの経時的な温度変化を示している。
図12において、点Oは半導体ウェハーWが最高温度に到達する時を、点Pは半導体ウェハーWと石英板100とが当接する時を示している。図12に示すように、半導体ウェハーWが最高温度に到達した後に石英板100と接触する場合、石英板100との接触後の降温速度が、石英板100と接触しない場合と比較して、速まっていることがわかる。本実施形態においては、半導体ウェハーWの最高温度への到達の直後に、半導体ウェハーWと石英板100とが当接することから、加熱処理後の半導体ウェハーWの降温速度を速めることができる。これにより、半導体ウェハーWにおいて活性状態にある不純物の不活性化を防止することが期待できる。半導体ウェハーWの最高温度への到達時点から0.1秒ないし3秒の間に、半導体ウェハーWと石英板100とが当接する場合には、特にこの効果が顕著である。
<第1実施形態の変形例1>
以下、第1実施形態の変形例1に係る熱処理装置を説明する。図13は、第1実施形態の変形例1のサセプタ274を半導体ウェハーW、石英板100、リフトピン12と共に示す側面図である。変形例1に係る熱処理装置は、サセプタ74に代えてサセプタ274を備える。サセプタ274は、保持プレート275と、複数の支持ピン77を備える。保持プレート275は、支持ピン77の立設する位置よりも内側に中空部279が形成される。この中空部279が形成されることにより、第1実施形態の保持プレート75のように、複数の貫通孔79が形成されることが不要となる。つまり、単一の中空部279が形成されることにより、移載動作位置Aでも冷却動作位置Bでも、リフトピン12が中空部279を通過して半導体ウェハーWまたは石英板100を上方へ移動させることができる。第1実施形態の変形例1に係る熱処理装置によれば、保持プレート75の構成を簡易にできる。
<第1実施形態の変形例2>
以下、第1実施形態の変形例2に係る熱処理装置を説明する。図14は、第1実施形態の変形例2のサセプタ374を半導体ウェハーW、石英板300、リフトピン12と共に示す側面図である。変形例2に係る熱処理装置は、サセプタ74に代えてサセプタ374を備える。サセプタ374は、保持プレート375と、複数の支持ピン77を備える。保持プレート375には、貫通孔76が形成されない。また、サセプタ374には、石英板保持部376が立設される。石英板300は、石英板保持部376により半導体ウェハーWよりも上方(フラッシュ加熱部5側)で保持される。石英板300には、リフトピンの貫通孔や支持ピン77の貫通孔が形成される必要がない。
このような変形例2に係る熱処理装置を用いて半導体ウェハーWと石英板300とが当接する場合には、まず、昇降機構14によりリフトピン12が貫通孔79を通過する。そして、リフトピン12のさらなる上方への移動により、半導体ウェハーWがリフトピン12上に載置され、上方に移動する。そして、半導体ウェハーWの表面が、石英板300と当接することにより、石英板300によって半導体ウェハーWが冷却される。このため、石英板300や保持プレート375の構成を簡易にできる。
<第1実施形態の変形例3>
以下、第1実施形態の変形例3に係る熱処理装置を説明する。図15は、第1実施形態の変形例3のサセプタ474を半導体ウェハーW、石英板400、リフトピン12と共に示す側面図である。変形例3に係る熱処理装置は、変形例2のサセプタ374に代えてサセプタ474を備える。この変形例3に係る熱処理装置は、上述の変形例2の石英板保持部376に代えて石英板保持部460を備える。したがって、サセプタ474には、石英板保持部376が立設されない。石英板保持部460はチャンバー側部61に固定される。石英板400は、石英板保持部460により、半導体ウェハーWの上方で保持される。このような変形例3に係る熱処理装置によっても、石英板400や保持プレート375の構成を簡易にできる。
<第2実施形態>
以下、第2実施形態に係る熱処理装置2を説明する。図16は、本発明に係る熱処理装置2の構成を示す縦断面図である。図16の熱処理装置2は、基板として円板形状の半導体ウェハーWに対してフラッシュ光照射を行うことによってその半導体ウェハーWを加熱するフラッシュランプアニール装置である。
熱処理装置2は、熱処理装置1におけるフラッシュ加熱部5に代えて、フラッシュ加熱部250を備える。また、熱処理装置2は、熱処理装置1におけるハロゲン加熱部4を備えない。なお、第2実施形態の説明において、第1実施形態において説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
チャンバー6の上方に設けられたフラッシュ加熱部250は、筐体51の内側に、複数本のフラッシュランプFLからなる光源と、その光源の上方を覆うように設けられたリフレクタ52と、を備えて構成される。フラッシュランプFLは、例えば、上下2段に分けて60本配置されている(図16参照)。保持部7に近い下段に30本のフラッシュランプFL(D)が配設されるとともに、下段よりも保持部7から遠い上段にも30本のフラッシュランプFL(U)が配設されている。上段、下段ともに30本のフラッシュランプFLは、それぞれの長手方向が保持部7に保持される半導体ウェハーWの主面に沿って(つまり水平方向に沿って)互いに平行となるように配列されている。よって、上段、下段ともにフラッシュランプFL(U)、FL(D)の配列によって形成される平面は水平面である。フラッシュランプFL(U)が第1フラッシュ光照射部として機能し、フラッシュランプFL(D)が第2フラッシュ光照射部として機能する。
なお、第2実施形態におけるフラッシュランプFL(U)、FL(D)においても、第1実施形態におけるフラッシュランプFLと同様に、0.1ミリセカンドないし100ミリセカンドという極めて短い照射時間のフラッシュ光を照射する。
第2実施形態の予備加熱工程では、フラッシュランプFL(U)が保持部7に保持された半導体ウェハーWにフラッシュ光を照射して常温の半導体ウェハーWの表面を予備加熱温度T1に昇温する。続いて本加熱工程では、フラッシュランプFL(D)は、予備加熱温度T1に昇温された半導体ウェハーWにフラッシュ光を照射して半導体ウェハーWの表面を予備加熱温度T1よりも高い処理温度T2に昇温する。なお、予備加熱温度T1に昇温させるフラッシュランプFL(第1フラッシュランプ)は、フラッシュランプFL(D)であってもよい。処理温度T2に昇温させるフラッシュランプFL(第2フラッシュランプ)は、第1フラッシュランプと異なるフラッシュランプFLが利用される。
図17は、第2実施形態の熱処理装置2による半導体ウェハーWの熱処理の流れを示すフロー図である。
以下、図16および図17を参照して、熱処理装置2の具体的な動作を説明する。まず、半導体ウェハーWが、第1実施形態と同様の動作で、チャンバー6内の熱処理空間65に搬入される。
搬送ロボットによって搬入された半導体ウェハーWは保持部7の直上位置まで進出して停止する(ステップS11)。そして、移載機構10の一対の移載アーム11の動作により、半導体ウェハーWがリフトピン12に載置された後、搬送ロボットが熱処理空間65から退出し、ゲートバルブ185によって搬送開口部66が閉鎖される。そして、一対の移載アーム11が下降することにより、半導体ウェハーWは移載機構10から保持部7のサセプタ74に受け渡されて水平姿勢にて下方より保持される。半導体ウェハーWは、保持プレート75上に立設された複数の支持ピン77によって支持されてサセプタ74に保持される。また、半導体ウェハーWは、被処理面である表面を上面として保持部7に保持される。すなわち、半導体ウェハーWが加熱位置Yに移動する(ステップS12)。
半導体ウェハーWが石英にて形成された保持部7のサセプタ74によって水平姿勢にて下方より保持された後、第1フラッシュランプが一斉に点灯して予備加熱(アシスト加熱)が開始される(第1フラッシュ光照射工程)(ステップS13)。第1フラッシュランプからの光照射を受けることによって半導体ウェハーWが予備加熱されて表面温度が常温から予備加熱温度T1に上昇する。この時の予備加熱温度T1は例えば700℃である。
半導体ウェハーWの表面の温度が予備加熱温度T1に到達した後、第2フラッシュランプが一斉に点灯して本加熱が開始される(第2フラッシュ光照射工程)(ステップS14)。第2フラッシュランプからの光照射を受けることによって半導体ウェハーWの表面温度が予備加熱温度T1からそれよりも高い処理温度T2に昇温される。ここで、第1フラッシュランプが発光してから第2フラッシュランプが発光するまでの間隔t2は1秒以内であることが好ましい。これは、フラッシュランプからの光照射による加熱は、半導体ウェハーWの表面部分だけを昇温させるため、第1フラッシュランプが発光してから第2フラッシュランプが発光するまでの間隔が長いと半導体ウェハーWが急速に降温してしまうためである。
第1フラッシュランプおよび第2フラッシュランプによる光照射による加熱が終了した後、移載アーム11のリフトピン12が半導体ウェハーWを上方へ移動させる。これにより半導体ウェハーWが搬送位置Xに移動する(ステップS15)。そしてその後、半導体ウェハーWは、搬送ロボットによって熱処理装置2から搬出される。
以上のような、第2実施形態に係る熱処理装置2によれば、予備加熱温度への昇温および処理温度への昇温の双方をフラッシュ光照射により行うことから、半導体ウェハーWの裏面の温度をほとんど上昇させることなく表面のみの温度を上昇させることができる。その結果、フラッシュ光照射が終了した後、半導体ウェハーWの表面から裏面への向けての急激な熱伝導が生じ、加熱処理後の半導体ウェハーWの降温速度を速めることができる。これにより、フラッシュ光照射によって活性化された不純物の不活性化を防止することができる。
以上のように、熱処理装置2により半導体ウェハーWの表面から比較的浅い部分にのみ昇温させることにより、半導体ウェハーWにおいて活性状態にある不純物の不活性化を防止することが期待できる。また、熱処理装置2においては、予備加熱のための熱源として、第1実施形態におけるハロゲン加熱部4が不要であるため、装置の構成が簡易となる。
<その他>
上記第1実施形態においては、フラッシュ加熱部5に30本のフラッシュランプFLを備えるようにしていたが、これに限定されるものではなく、フラッシュランプFLの本数は任意の数とすることができる。また、フラッシュランプFLはキセノンフラッシュランプに限定されるものではなく、クリプトンフラッシュランプであっても良い。また、ハロゲン加熱部4に備えるハロゲンランプHLの本数も40本に限定されるものではなく、任意の数とすることができる。また、上記第2実施形態においては、上下2段に分けて60本のフラッシュランプに限定されるものでもない。第2実施形態におけるフラッシュランプの本数も適宜変更可能である。
また、上記第1実施形態においては、1秒以上連続して発光する連続点灯ランプとしてフィラメント方式のハロゲンランプHLを用いて半導体ウェハーWの予備加熱を行っていたが、これに限定されるものではなく、ハロゲンランプHLに代えて放電型のアークランプ(例えば、キセノンアークランプ)またはLEDランプを連続点灯ランプとして用いて予備加熱を行うようにしても良い。
また、上記第1実施形態においては、石英板100(300,400)に、線状の溝の凹部101が形成されているが、線状の溝に限定されるものではない。また、凹部101に限定されるものでもなく、半導体ウェハーWに当接する側の面に形成されることで、半導体ウェハーWとの間に隙間を生じさせる構成であれば良い。したがって、凹部ではなく凸部であっても良い。
また、上記第1実施形態においては、石英板100(300,400)は、円板形状に形成されるが、この形状に限定されるものではない。円板形状の他、三角形状や四角形状など他の種々の形状でも良い。
また、上記第2実施形態においては、フラッシュランプFLが上下2段に分けて配置されるが、これに限定されるものではない。第1フラッシュランプと第2フラッシュランプとが同一平面上に配置されていても良い。また、第1フラッシュランプによる予備加熱と第2フラッシュランプによる本加熱とを実現できるのであれば、第1フラッシュランプと第2フラッシュランプとが同一のフラッシュランプで構成されても良い。
また、熱処理装置1および熱処理装置2によって処理対象となる基板は半導体ウェハーに限定されるものではなく、液晶表示装置などのフラットパネルディスプレイに用いるガラス基板や太陽電池用の基板であっても良い。
1,2 熱処理装置
3 制御部
4 ハロゲン加熱部
5,250 フラッシュ加熱部
6 チャンバー
7 保持部
10 移載機構
11 移載アーム
12 リフトピン
13 水平移動機構
14 昇降機構
20 下部放射温度計
25 上部放射温度計
43 リフレクタ
52 リフレクタ
63 上側チャンバー窓
64 下側チャンバー窓
65 熱処理空間
71 基台リング
72 連結部
74,374,474 サセプタ
75,275,375 保持プレート
75a 保持面
76 貫通孔
77 支持ピン
78 開口部
79,279 貫通孔
100,300,400 石英板
100a 当接面
101 凹部
107,109 貫通孔
108 開口部
376 石英板保持部
460 石英板保持部
FL フラッシュランプ
HL ハロゲンランプ
W 半導体ウェハー
Wf 半導体ウェハーの表面
Wb 半導体ウェハーの裏面

Claims (13)

  1. 基板に光を照射することによって当該基板を加熱する熱処理装置であって、
    前記基板を収容するチャンバーと、
    前記チャンバー内において、前記基板を保持する保持部と、
    前記保持部に保持された前記基板に光を照射することにより前記基板を加熱する光照射部と、
    前記光照射部により加熱された後の前記基板を冷却する石英板と、
    前記石英板または前記基板を前記石英板が前記基板の表面または裏面に当接する当接位置と前記石英板が前記基板から離間した離間位置との間で相対的に移動させる移動機構と、
    前記移動機構の動作を制御する制御部と、
    を備えることを特徴とする熱処理装置。
  2. 請求項1に記載の熱処理装置において、
    前記制御部は、前記光照射部からの光照射によって前記基板が最高温度に到達した時点から0.1秒ないし3秒後に、前記石英板または前記基板が前記当接位置に移動するように前記移動機構を制御することを特徴とする熱処理装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の熱処理装置において、
    前記石英板の平面サイズは、前記基板の平面サイズの±20%であることを特徴とする熱処理装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか一つに記載の熱処理装置において、
    前記石英板の前記基板に当接する側の面に凹部または凸部が形成されることを特徴とする熱処理装置。
  5. 請求項4に記載の熱処理装置において、
    前記凹部は線状の溝であることを特徴とする熱処理装置。
  6. 基板に光を照射することによって当該基板を加熱する熱処理方法であって、
    前記基板を収容するチャンバー内において、保持部により保持された前記基板に対して光を照射することにより加熱する加熱工程と、
    前記加熱工程の後、加熱された前記基板に対して石英板を相対的に移動させて前記基板の表面または裏面に前記石英板を当接させて前記基板を冷却する冷却工程と、
    を備えることを特徴とする熱処理方法。
  7. 請求項6に記載の熱処理方法において、
    前記冷却工程では、光照射によって前記基板が最高温度に到達した時点から0.1秒ないし3秒後に、前記基板と前記石英板とを当接させることを特徴とする熱処理方法。
  8. 基板に光を照射することによって当該基板を加熱する熱処理装置であって、
    前記基板を収容するチャンバーと、
    前記チャンバー内において、前記基板を保持する保持部と、
    前記保持部に保持された前記基板にフラッシュ光を照射して常温の前記基板を予備加熱温度に昇温する第1フラッシュ光照射部と、
    前記予備加熱温度に昇温された前記基板にフラッシュ光を照射して前記予備加熱温度よりも高い処理温度に前記基板を昇温する第2フラッシュ光照射部と、
    を備えることを特徴とする熱処理装置。
  9. 請求項8に記載の熱処理装置において、
    前記第1フラッシュ光照射部および前記第2フラッシュ光照射部のフラッシュ光照射時間は0.1ミリ秒以上100ミリ秒以下であることを特徴とする熱処理装置。
  10. 請求項8または請求項9に記載の熱処理装置において、
    前記第1フラッシュ光照射部が発光してから前記第2フラッシュ光照射部が発光するまでの間隔は1秒以内であることを特徴とする熱処理装置。
  11. 基板に光を照射することによって当該基板を加熱する熱処理方法であって、
    前記基板を収容するチャンバー内において、保持部により保持された前記基板に対して第1のフラッシュ光を照射して常温の前記基板を予備加熱温度に昇温する第1フラッシュ光照射工程と、
    前記予備加熱温度に昇温された前記基板に対して第2のフラッシュ光を照射して前記予備加熱温度よりも高い処理温度に前記基板を昇温する第2フラッシュ光照射工程と、
    を備えることを特徴とする熱処理方法。
  12. 請求項11に記載の熱処理方法において、
    前記第1フラッシュ光照射工程および前記第2フラッシュ光照射工程でのフラッシュ光照射時間は0.1ミリ秒以上100ミリ秒以下であることを特徴とする熱処理方法。
  13. 請求項11または請求項12に記載の熱処理方法において、
    前記第1フラッシュ光照射工程の終了後、前記第2フラッシュ光照射工程の開始までの間は1秒以内であることを特徴とする熱処理方法。
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