JP2023030259A - 処理装置、処理方法、およびプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】 仕上圧延機の出側における圧延材の温度を制御するに際し、圧延材の形状悪化の抑制と温度制御の高応答化とを両立させる。【解決手段】 処理装置80は、仕上圧延機出側温度の測定値θF,nと、仕上圧延機出側温度の計算値Tcal,nと、に基づいて、仕上圧延機出側温度の補正量δ(n)を算出し、仕上圧延機出側温度の補正量δ(n)に基づいて、温度調節装置40、51~56の操作量zk,jを決定する。【選択図】 図3

Description

本発明は、処理装置、処理方法、およびプログラムに関する。
熱延薄鋼板は、以下のような工程で製造される。まず、圧延材であるスラブを加熱炉にて加熱する。その後、スラブを粗圧延機で粗圧延して粗バーとする。続いて、複数の圧延スタンドを備える仕上タンデム圧延機で粗バーを仕上圧延する。このようにして、熱延薄鋼板が製造される。仕上圧延では、強度や延性等の圧延材の機械的特性を確保するために、仕上タンデム圧延機の出口側の位置(温度管理位置)での圧延材の温度の制御が実施されている。圧延材の温度を調節する温度調節装置としては、例えば、粗圧延機と仕上タンデム圧延機との間で粗バーを加熱する粗バー加熱装置、粗圧延機と仕上タンデム圧延機との間で粗バーを冷却する粗バー冷却装置、および仕上タンデム圧延機の圧延スタンド間で圧延材を冷却する冷却スプレー装置等が用いられている。
このような仕上圧延時の圧延材の温度制御方法として、特許文献1~3に開示されている技術がある。
特許文献1に開示されている方法では、粗バーに、圧延方向にわたって複数の制御点を設定して、粗圧延機の出側における各制御点の温度を測定し、測定した温度に基づいて、仕上タンデム圧延機の出側における各制御点の温度を予測し、予測した仕上タンデム圧延機の出側における各制御点の温度が目標温度になるように粗バーヒータと冷却スプレー装置とを操作する。しかしながら、この方法による制御は、粗圧延機の出側における圧延材の温度のフィードフォワード制御である。したがって、予測された各制御点の温度に誤差がある場合には、各制御点の仕上タンデム圧延機出側温度は目標温度に一致しない。そこで、特許文献2、3に開示されている方法では、仕上タンデム圧延機の出側における圧延材の温度のフィードフォワード制御とフィードバック制御とを組み合わせることより、仕上タンデム圧延機の出側における圧延材の温度を制御する。
特開2002-219504号公報 特許第3657750号公報 特許第4425978号公報
しかしながら、特許文献2、3に開示されているフィードバック制御は、仕上タンデム圧延機の出側における圧延材の温度の測定値と目標値の偏差を比例積分制御することにより、温度調節装置の操作量を修正するものである。このように測定値と目標値の偏差をもとにフィードバック制御する際に重要になるのは、操作量を修正してから、その結果が測定値に現れるまでのむだ時間である。このむだ時間が小さいほど制御を高応答化しやすいため、特許文献2に開示されているフィードバック制御では、複数ある温度調節装置のうち下流側に位置する温度調節装置から優先して操作量を修正する。しかしながら、圧延材の温度変化が生じたとき、板厚が厚いほど圧延材の形状変化は生じにくい。このような観点からは、上流側に位置する温度調節装置から優先して用いることが望ましく、実際、特許文献2、3に開示されているフィードフォワード制御ではそのようにしている。したがって、特許文献2に開示されているフィードバック制御を適用すると、むだ時間は小さくなるが、圧延材の形状が悪化する虞がある。
そこで、特許文献3に開示されているフィードバック制御では、飽和状態に達していない温度調節装置の中で最上流に位置する温度調節装置の操作量を修正する。しかしながら、この方法では、特許文献2に開示されている方法に比べて圧延材の形状は悪化しづらいが、むだ時間が長くなるので高応答の制御は容易ではない。
以上のように、仕上タンデム圧延機の出側における圧延材の温度の測定値と目標値の偏差を、温度調節装置の操作量にフィードバックする方法では、圧延材の形状悪化の抑制と温度制御の高応答化とを両立させられない。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、仕上圧延機の出側における圧延材の温度を制御するに際し、圧延材の形状悪化の抑制と温度制御の高応答化とを両立させることを目的とする。
本発明の処理装置は、粗圧延機の出側から仕上圧延機の出側の間を搬送中の圧延材の温度を調節する温度調節装置の操作量を決定する処理装置であって、前記仕上圧延機の出側における前記圧延材の温度である仕上圧延機出側温度の測定値を取得する仕上圧延機出側温度取得手段と、前記温度調節装置の操作量の最新値に基づき、前記仕上圧延機出側温度の計算値を算出する温度算出手段と、前記仕上圧延機出側温度取得手段により取得された前記仕上圧延機出側温度の測定値と、前記温度算出手段により算出された前記仕上圧延機出側温度の計算値と、に基づいて、前記仕上圧延機出側温度の補正量を算出する補正量算出手段と、前記仕上圧延機出側温度の補正量に基づいて、前記仕上圧延機出側温度の測定値を取得した圧延材に対する前記温度調節装置の操作量を決定する操作量決定手段と、を備える。
本発明の処理方法は、粗圧延機の出側から仕上圧延機の出側の間を搬送中の圧延材の温度を調節する温度調節装置の操作量を決定する処理方法であって、前記仕上圧延機の出側における前記圧延材の温度である仕上圧延機出側温度の測定値を取得する仕上圧延機出側温度取得工程と、前記温度調節装置の操作量の最新値に基づき、前記仕上圧延機出側温度の計算値を算出する温度算出工程と、前記仕上圧延機出側温度取得工程により取得された前記仕上圧延機出側温度の測定値と、前記温度算出工程により算出された前記仕上圧延機出側温度の計算値と、に基づいて、前記仕上圧延機出側温度の補正量を算出する補正量算出工程と、前記仕上圧延機出側温度の補正量に基づいて、前記仕上圧延機出側温度の測定値を取得した圧延材に対する前記温度調節装置の操作量を決定する操作量決定工程と、を備える。
本発明のプログラムは、前記処理装置として各手段を機能させるためのものである。
本発明によれば、仕上圧延機出側温度の測定値と、仕上圧延機出側温度の計算値と、に基づいて、前記仕上圧延機出側温度の補正量を算出し、仕上圧延機出側温度の補正量に基づいて、温度調節装置の操作量を決定する。したがって、フィードフォワード制御を実行する場合と同様に、上流側にある温度調節装置から操作することができる。また、仕上圧延機出側温度の測定値と目標値との温度偏差に基づいてフィードバック制御する手法とは異なり、むだ時間の影響を受けることなくフィードバック制御を実行することができる。よって、仕上圧延機の出側における圧延材の温度を制御するに際し、圧延材の形状悪化の抑制と温度制御の高応答化とを両立させることができる。
圧延設備の構成の一例を示す図である。 制御点の一例を説明する図である。 処理装置の機能的な構成の一例を説明する図である。 フィードフォワード制御処理の一例を説明するフローチャートである。 フィードバック制御処理の一例を説明するフローチャートである。 粗圧延機出側温度の一例を示す図である。 比較例1のシミュレーションの条件および結果を示す図である。 比較例2のシミュレーションの条件および結果を示す図である。 発明例のシミュレーションの条件および結果を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。
尚、長さ、位置、大きさ、間隔等、比較対象が同じであるとは、厳密に同じである場合の他、発明の主旨を逸脱しない範囲で異なるもの(例えば、設計時に定められる公差の範囲内で異なるもの)も含むものとする。
<圧延設備100>
図1は、圧延設備100の構成の一例を示す図である。
圧延設備100は、圧延設備100に形成された搬送路R上で圧延材1を圧延する。搬送路Rは、搬送方向Dの上流側D1から下流側D2に向けて圧延材1を搬送しつつ圧延するために圧延設備100内に形成された空間である。
圧延設備100は、粗圧延機10と、仕上タンデム圧延機(仕上圧延機)20と、トラッキング装置30と、粗バー冷却装置40と、冷却スプレー装置51~56と、粗圧延機出側温度計60と、仕上圧延機出側温度計70と、を備える。
粗圧延機10および仕上タンデム圧延機20は、それぞれ搬送路R上で圧延材1を圧延する。粗圧延機10は、圧延材1を粗圧延する。粗圧延機10で粗圧延された圧延材1は、粗バーとも称される。仕上タンデム圧延機20は、粗圧延機10よりも搬送方向Dの下流側D2に設置されている。仕上タンデム圧延機20は、粗圧延機10で粗圧延された圧延材1を仕上圧延する。仕上タンデム圧延機20は、複数台(本実施形態では7台)の圧延スタンド(圧延機)F1~F7を備える。圧延スタンドF1~F7は、搬送方向Dの上流側D1から下流側D2に向かって、圧延スタンドF1、圧延スタンドF2、・・・、圧延スタンドF7の順に設置されている。
圧延材1には、搬送方向Dに互いに間隔を空けて複数の制御点が設定される。図2は、制御点の一例を説明する図である。図2では、矢印線の先端の位置が制御点を示す。制御点は、圧延材1上の温度制御位置(制御点)を示すものである(圧延材1に制御点を示す情報が付されているわけではない)。ここでは、複数の制御点のうち、搬送方向Dの下流側D2から上流側D1に向かってk番目の制御点を、第k制御点と称することとする。複数の制御点の数をNとする。即ち、kは、1以上N以下の整数である。例えば、図2において、k=1の下に示す矢印線の先の位置は、第1制御点を示す。同様に、k=2、3、・・・N-2、N-1、Nの下に示す矢印線の先の位置は、それぞれ、第2制御点、第3制御点、・・・、第N-2制御点、第N-1制御点、第N制御点を示す。
図2では、第1制御点が圧延材1の先端の位置であり、第N制御点が圧延材1の後端の位置である場合を例示する。また、図2では、搬送方向Dにおいて隣接する2つの制御点のそれぞれの間隔が等間隔である場合を例示する。このように、複数の制御点は、圧延材1の搬送方向Dに、先端から後端まで一定ピッチに設定されることが好ましい。ただし、温度制御を行う圧延材1上の搬送方向Dの位置として複数の位置を複数の制御点として設定していれば、複数の制御点は、必ずしも図2に示すようにして設定されている必要はない。
粗圧延機出側温度計60は、粗圧延機10の出側(下流側D2)の位置に設置されている。粗圧延機10の出側とは、粗圧延機10よりも下流側D2であり、且つ、最上流の温度調節装置である粗バー冷却装置40よりも上流側D1であることを指す。粗圧延機出側温度計60は、粗圧延機10の出側において圧延材1の温度を測定して、処理装置80に出力する。なお、粗圧延機出側温度計60で測定される温度を、粗圧延機出側温度とも称することとする。仕上圧延機出側温度計70は、仕上タンデム圧延機20の出側の位置に設置されている。仕上タンデム圧延機20の出側とは、仕上タンデム圧延機20(最下流の圧延スタンドF7)よりも下流側D2であり、且つ、不図示のコイラー(仕上圧延後の圧延材1を巻き取る装置)よりも上流側D1であることを指す。不図示のコイラーよりも上流側D1の具体例として、例えば、コイラーによる巻き取りの前の仕上圧延後の圧延材1を冷却するための不図示のホットランスプレーよりも上流側D1が挙げられる。仕上圧延機出側温度計70は、仕上タンデム圧延機20の出側において圧延材1の温度を測定して、処理装置80に出力する。なお、仕上圧延機出側温度計70で測定される温度を、仕上圧延機出側温度とも称することとする。
粗バー冷却装置40および冷却スプレー装置51~56は、粗圧延機10の出側から仕上タンデム圧延機20の出側の間を搬送中の圧延材1の温度を調節する温度調節装置の一例である。粗バー冷却装置40は、粗圧延機出側温度計60と仕上タンデム圧延機20との間に設置されている。冷却スプレー装置51、52、53、54、55、56は、それぞれ、圧延スタンドF1、F2、F3、F4、F5、F6の出側の位置に設置されている。ここでは、圧延スタンドF1~F7のFの次に付す数字1~7を、iを用いて表すこととする。圧延スタンドFiの出側とは、圧延スタンドFiよりも下流側D2であり、且つ、圧延スタンドFi+1よりも上流側D1であることを指す。例えば、圧延スタンドF1(Fi)の出側の位置は、圧延スタンドF1(=Fi)よりも下流側D2であり、且つ、圧延スタンドF2(=Fi+1)よりも上流側D1の位置である。
粗バー冷却装置40および冷却スプレー装置51~56は、弁開度を操作することにより冷却水の流量を調節して圧延材1に冷却水を供給して圧延材1を冷却する装置である。
なお、温度調節装置は、粗バー冷却装置40および冷却スプレー装置51~56に限定されない。例えば、粗バー冷却装置40および冷却スプレー装置51~56の一方のみを設置してもよい。また、これらの温度調節装置に加えて、搬送路R上のそれぞれの設置位置において圧延材1を加熱する温度調節装置を設置してもよい。
ここで、粗バー冷却装置40および冷却スプレー装置51~56を、第j温度調節装置とも称する。jは、1以上7以下の整数である(7は、冷却調節装置の総数である)。ここでは、搬送方向Dの上流側D1にある温度調節装置から正の整数を昇順にjに割り振るものとする。したがって、粗バー冷却装置40には、j=1が割り振られる(粗バー冷却装置40は第1温度調節装置になる)。冷却スプレー装置51、52、53、54、55、56にはj=2、3、4、5、6、7がそれぞれ割り振られる(冷却スプレー装置51、52、53、54、55、56は、それぞれ、第2、第3、第4、第5、第6、第7温度調節装置になる)。なお、複数の温度調節装置の順番付けの方法は、特に限定されない。また、以下の説明において、第i+1温度調節装置と称する場合、第i+1温度調節装置は、圧延スタンドFiの出側の位置に設置されている冷却スプレー装置51、52、53、54、55、または56を示す。
トラッキング装置30は、圧延材1の各制御点の搬送方向Dの位置を時々刻々追跡し、それらの位置情報と、圧延材1の或る制御点が、粗圧延機出側温度計60、第1~第7温度調節装置40、51~56、および仕上圧延機出側温度計70の搬送方向Dの設置位置に新たに到達したか否かを示す情報と、を含むトラッキング情報を生成して、処理装置80および第1~第7温度調節装置40、51~56に出力する。圧延材1の各制御点の搬送方向Dの位置の追跡は、例えば、粗圧延機10の圧延速度、仕上タンデム圧延機20の圧延速度、および粗圧延機10と仕上タンデム圧延機20との間における圧延材1の搬送速度などを用いることにより実行される。ここで、新たに到達したか否かとは、現在時刻において到達しているかどうかを意味するものではなく、トラッキング装置30の1つ前のサンプリング周期においては到達していなかったが、現サンプリング周期においては到達しているという到達状態の変化が生じたか否かを意味するものである。トラッキング装置30のハードウェアは、例えば、プロセッサ、主記憶装置、補助記憶装置、および各種のインターフェースを備える情報処理装置や、プログラマブルロジックコントローラや、専用のハードウェアを用いることにより実現される。なお、以下の説明では、搬送方向Dの設置位置を、単に設置位置とも称する。また、トラッキング装置30による圧延材1の位置の追跡(トラッキング)の手法自体は、公知の手法で実現することができるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
処理装置80は、仕上圧延機出側温度の計算値を算出することと、算出した仕上圧延機出側温度の計算値と、仕上圧延機出側温度の測定値と、に基づいて、仕上圧延機出側温度の補正量を算出することと、算出した仕上圧延機出側温度の補正量に基づいて、温度調節装置の操作量を決定することと、を含む処理を実行する。
本実施形態では、処理装置80が、圧延材1の制御点ごとに第1~第7温度調節装置の操作量を決定する場合を例示する。そこで、処理装置80は、粗圧延機出側温度計60により測定された、圧延材1の各制御点における粗圧延機出側温度をサンプリングする。また、処理装置80は、仕上圧延機出側温度計70により測定された、圧延材1の各制御点における仕上圧延機出側温度をサンプリングする。また、処理装置80は、圧延材1の各制御点における仕上圧延機出側温度の計算値を算出する。例えば、処理装置80は、圧延材1の制御点に対する温度調節装置の操作量の最新値に基づいて、当該制御点における仕上圧延機出側温度の計算値を算出する。そして、処理装置80は、圧延材1の制御点における仕上圧延機出側温度の測定値と、当該制御点における仕上圧延機出側温度の計算値と、に基づいて、当該制御点における仕上圧延機出側温度の補正量を算出する。
そして、処理装置80は、当該制御点における仕上圧延機出側温度の補正量に基づいて、当該制御点よりも圧延材1の後端側に位置する各制御点に対する温度調節装置の操作量を決定する。例えば、処理装置80は、当該制御点における仕上圧延機出側温度の補正量で補正された仕上圧延機出側温度が所定の温度条件を満たすように、当該制御点よりも圧延材1の後端側に位置する各制御点に対する温度調節装置の操作量を決定する。所定の温度条件としては、例えば、補正後の仕上圧延機出側温度が所定値または所定の範囲内であることが挙げられる。処理装置80は、このようにして決定した操作量を、当該操作量の操作を実行する温度調節装置に出力する。本実施形態では、温度調節装置が第1~第7温度調節装置40、51~56であり、操作量が弁開度である場合を例示する。処理装置80のハードウェアは、例えば、プロセッサ、主記憶装置、補助記憶装置、および各種のインターフェースを備える情報処理装置や、プログラマブルロジックコントローラや、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の専用のハードウェアを用いることにより実現される。
粗バー冷却装置40は、処理装置80から出力された、圧延材1の各制御点に対する操作量(粗バー冷却装置40の弁開度)と、トラッキング装置30から出力されたトラッキング情報と、に基づいて、粗バー冷却装置40の弁開度を操作する。冷却スプレー装置51~56は、処理装置80から出力された圧延材1の各制御点に対する操作量(冷却スプレー装置51~56の弁開度)と、トラッキング装置30から出力されたトラッキング情報と、に基づいて、冷却スプレー装置51~56の弁開度を操作する。
本実施形態では、以上のようにして圧延材1の温度が制御される場合を例示する。
<機能構成>
次に、図3を参照しながら、処理装置80の機能的な構成の一例を説明する。
本実施形態では、処理装置80が、仕上圧延機出側温度取得部810と、粗圧延出側温度取得部820と、圧延材1の温度をフィードフォワード制御するための処理を実行するFF制御部830と、圧延材1の温度をフィードバック制御するための処理を実行するFB制御部840と、を備える場合を例示する。
<仕上圧延機出側温度取得部810>
仕上圧延機出側温度取得部810は、圧延材1の制御点が仕上圧延機出側温度計70の設置位置に新たに到達したというトラッキング情報がトラッキング装置30から与えられると、仕上圧延機出側温度計70により測定された仕上圧延機出側温度から、圧延材1の当該制御点における仕上圧延機出側温度の測定値をサンプリングする。以下の説明では、圧延材1の第n制御点(n=1~N)における仕上圧延機出側温度の測定値を示す記号をθF,nと表記する。nは、仕上圧延機出側温度の測定値のサンプリング番号であり、1以上N以下の整数(1≦n≦N)である。本実施形態では、圧延材1の各制御点の仕上圧延機出側温度の測定値がサンプリングされるので、nは、圧延材1の制御点を示すものである。
<粗圧延機出側温度取得部820>
粗圧延機出側温度取得部820は、圧延材1の制御点が粗圧延機出側温度計60の設置位置に新たに到達したというトラッキング情報がトラッキング装置30から与えられると、粗圧延機出側温度計60により測定された粗圧延機出側温度から、圧延材1の当該制御点における粗圧延機出側温度の測定値をサンプリングする。以下の説明では、圧延材1の第k制御点における粗圧延機出側温度の測定値を示す記号をθR,kと表記する。kは、粗圧延機出側温度の測定値のサンプリング番号であり、1以上N以下の整数(1≦k≦N)である。本実施形態では、圧延材1の各制御点の粗圧延機出側温度の測定値がサンプリングされるので、kは、圧延材1の制御点を示すものである。
<FF制御部830>
FF制御部830は、粗圧延機出側温度の測定値θR,kに基づいて、各制御点に対する第1~第7温度調節装置40、51~56の操作量の初期値を算出する。これは、粗圧延機出側温度の測定値θR,kを用いたフィードフォワード制御に相当する。かかるフィードフォワード制御は、例えば、特許文献1に記載の公知の手法で実現してもよいが、本実施形態では、数理計画法を用いた手法で、各制御点に対する第1~第7温度調節装置40、51~56の操作量の初期値を算出する場合を例示する。FF制御部830は、このような初期値の算出を、トラッキング装置30から出力されるトラッキング情報に基づいて、圧延材1の各制御点が粗圧延機出側温度計60の設置位置に新たに到達したと判断するたびに実行する。以下に、圧延材1の第k制御点が粗圧延機出側温度計60の設置位置に新たに到達したものとして、FF制御部830の詳細な機能の一例を説明する。本実施形態では、FF制御部830は、初期値算出部831と、出力部832と、を備える。
<<初期値算出部831>>
初期値算出部831は、圧延材1の第k制御点における粗圧延機出側温度の測定値θR,kに基づいて、圧延材1の第k制御点に対する第1~第7温度調節装置40、51~56の操作量の初期値を算出する。また、初期値算出部831は、当該初期値の操作によって達成される当該第k制御点における仕上圧延機出側温度の計算値の初期値を算出する。以下に、初期値算出部831の詳細な機能の一例を説明する。
まず、初期値算出部831は、圧延材1の第k制御点における粗圧延機出側温度の測定値θR,kに基づいて、第1~第7温度調節装置40、51~56それぞれの弁開度(操作量)を0(零)としたときの圧延材1の第k制御点に対する温度計算を実行することにより、圧延材1の第k制御点における仕上圧延機出側温度T-kを算出(予測)する。第1~第7温度調節装置40、51~56それぞれの操作量を0(零)とするとは、第1~第7温度調節装置40、51~56の全てにおいて温度制御を実施しないことを意味する。なお、記号T-は、後述する各式において、Tの上に-が付されている記号に対応する。以下の説明では、第k制御点における仕上圧延機出側温度T-kを基準温度T-kとも称する。なお、この温度計算には、例えば特開2008-221232号公報に記載されている公知の計算方法を用いることができる。
次に、初期値算出部831は、圧延材1の第k制御点における粗圧延機出側温度の測定値θR,kに基づいて、粗バー冷却装置40の弁開度(操作量)を最大にし、且つ、粗バー冷却装置40以外の弁開度(操作量)を0(零)としたときの圧延材1の第k制御点における仕上圧延機出側温度を算出(予測)する。初期値算出部831は、算出した第k制御点における仕上圧延機出側温度から、基準温度T-kを減算した値を、粗バー冷却装置40の最大温度変更可能量ΔTk,1として算出する。粗バー冷却装置40は冷却装置であるため、粗バー冷却装置40の最大温度変更可能量ΔTk,1の値は負である。粗バー冷却装置40の最大温度変更可能量ΔTk,1は、第1温度調節装置である粗バー冷却装置40が、圧延材1の第k制御点における仕上圧延機出側温度を、最も大きな変化幅で調節可能な温度差である。
また、初期値算出部831は、第k制御点の粗圧延機出側温度θR,kに基づいて、圧延スタンドFi(i=1~6)の出側の位置に設置されている冷却スプレー装置50+i(51(=50+1)、52(=50+2)、53(=50+3)、54(=50+4)、55(=50+5)、56(=50+6))の弁開度(操作量)を最大にし、且つ、冷却スプレー装置50+i以外の弁開度(操作量)を0(零)としたときの圧延材1の第k制御点における仕上圧延機出側温度を算出(予測)する。初期値算出部831は、算出した第k制御点における仕上圧延機出側温度から、基準温度T-kを減算した値を、冷却スプレー装置50+iの最大温度変更可能量ΔTk,i+1として算出する。冷却スプレー装置51~56は冷却装置であるため、冷却スプレー装置50+iの最大温度変更可能量ΔTk,i+1(i=1~6)の値は負である。なお、50+iは、iに応じて、図1に付した符号51、52、53、54、55、56のいずれかになることを表す(以下においても、このような方法と同様にして符号を表記することがある)。冷却スプレー装置50+iの最大温度変更可能量ΔTk,i+1は、第i+1温度調節装置である冷却スプレー装置50+iが、圧延材1の第k制御点における仕上圧延機出側温度を、最も大きな変化幅で調節可能な温度差である。粗バー冷却装置40および冷却スプレー装置51~56による温度変化の計算には、例えば特開2008-221232号公報に記載されている公知の計算方法を用いることができる。
以上のようにして、圧延材1の第k制御点における基準温度T-kと、粗バー冷却装置40の最大温度変更可能量ΔTk,1と、冷却スプレー装置50+i(i=1~6)の最大温度変更可能量ΔTk,i+1と、が算出される。これらを用いると、圧延材1の第k制御点における仕上圧延機出側温度の計算値Tkは、以下の(1)式で表される。
Figure 2023030259000002
ただし、xk,jは、圧延材1の第k制御点に対する第j温度調節装置の操作比率であり、圧延材1の第k制御点に対する第j温度調節装置の操作量を0(零)とした場合を0、操作量を最大とした場合を1とする比率である。圧延材1の第k制御点に対する第j温度調節装置の操作比率は、当該第j温度調節装置を最大の操作量で操作したときの圧延材1の第k制御点の温度変化に対する、当該第j温度調節装置を求解される操作量で操作したときの圧延材1の第k制御点の温度変化の比率である。具体的にxk,1は、圧延材1の第k制御点に対する粗バー冷却装置40の操作比率である。xk,i+1(i=1~6)は、圧延材1の第k制御点に対する冷却スプレー装置50+iの操作比率である。粗バー冷却装置40および冷却スプレー装置51~56の操作量は連続的な値であるので、以下の(2)式が成立する。
Figure 2023030259000003
また、圧延材1の第k制御点における仕上圧延機出側温度を、下限温度以上かつ上限温度以下に収めるという温度条件は、以下の(3)式の不等式制約条件式で表される。
Figure 2023030259000004
ここで、d、uは、それぞれ、仕上圧延機出側温度の下限温度、上限温度であり、圧延材1に求められる機械特性から、圧延材1ごとに予め定められる。なお、下限温度の制約が不要な場合には、下限温度を例えば0℃と小さくして、下限温度の制約が必ず満足できるようにすればよい。また、上限温度の制約が不要な場合には、上限温度を例えば2000℃と大きくして、上限温度の制約が必ず満足できるようにすればよい。また、下限温度および上限温度という一定の温度幅を持った範囲ではなく、所定の値の目標温度に可能な限り一致させたい場合は、下限温度および上限温度にそれぞれ目標温度を与えればよい。
発明が解決しようとする課題で説明したように、圧延材1に温度変化が生じたとき、圧延材1の板厚が厚いほど圧延材1の形状変化は生じにくい。このため、(3)式の温度制約条件を満たすという条件下では、搬送方向Dの上流側D1に設置された温度調節装置から順に使用することが望ましい。本実施形態では、粗バー冷却装置40、冷却スプレー装置51~56の中から、搬送方向Dの上流側D1に設置された温度調節装置を優先して使用することが望ましい。そこで、本実施形態では、以下の(4)式のように、圧延材1の第k制御点に対して使用する第j温度調節装置(第1~第7温度調節装置)の使用順を評価する評価指標を含む目的関数Jkを用いる場合を例示する。
Figure 2023030259000005
ただし、wjは、正の重み係数であり、添え字jに対してwjが昇順になる(w1<w2<・・・<w7)ように予め設定される。(4)式の目的関数Jkの値を小さくすることにより、(3)式の温度制約条件を満たすという条件下で、搬送方向Dの上流側D1に設置された冷却調節装置から優先的に使用することができる。これにより、圧延材1の形状変化を生じにくくすることができる。
初期値算出部831は、(2)式および(3)式の不等式制約条件式を満たす範囲で、(4)式の目的関数Jkの値が最小となる圧延材1の第k制御点に対する第j温度調節装置の操作比率xk,jを、圧延材1の第k制御点に対する第j温度調節装置の操作比率xk,jの最適解xopt,k,j(k=1~N、j=1~7)として、数理計画法による最適化問題を解くことにより算出する。本実施形態における数理計画法による最適化問題の求解は、例えば、線形計画問題を求解するための公知のソルバーを用いることにより実現される。なお、ここでは、初期値算出部831が、(4)式の目的関数Jの値を最小化する最小化問題を求解する場合を例示する。しかしながら、例えば、初期値算出部831は、最大化問題を求解してもよい。このようにする場合、例えば、(4)式の右辺に(-1)を乗算したものを目的関数として用いればよい。
初期値算出部831は、以上のようにして算出した第j温度調節装置の操作比率xk,jの最適値xopt,k,j(k=1~N、j=1~7)に基づいて、当該第j温度調節装置の操作量を算出する。
ここで、粗バー冷却装置40の弁開度z1に対する圧延材1の温度変化は、例えば、特開2008-221232号公報に記載されているような関係で表すことができる。したがって、粗バー冷却装置40の弁開度z1に対する圧延材1の第k制御点における温度変化は、関数f1(zk,1)として表される。粗バー冷却装置40の最大弁開度をz1maxとすると、粗バー冷却装置40の操作比率xk,1の最適解xopt,k,1を満たす粗バー冷却装置40の第k制御点に対する弁開度zk,1(操作量)は、以下の(5)式で表される。
Figure 2023030259000006
初期値算出部831は、粗バー冷却装置40の操作比率xk,1の最適解xopt,k,1を用いて(5)式を解くことにより、圧延材1の第k制御点に対する粗バー冷却装置40の弁開度zk,1(k=1~N)を、フィードフォワード操作量として算出する。
粗バー冷却装置40の弁開度z1に対する圧延材1の第k制御点にける温度変化と同様に、圧延スタンドFiの出側(i=1~6)の位置に設置された冷却スプレー装置50+iの弁開度zi+1に対する圧延材1の第k制御点における温度変化は、関数fi+1(zi+1)として表される。冷却スプレー装置50+iの最大弁開度をz(i+1)maxとすると、冷却スプレー装置50+iの操作比率xk,i+1の最適解xopt,k,i+1を満たす冷却スプレー装置50+iの弁開度zk,i+1(操作量)は、以下の(6)式で表される。
Figure 2023030259000007
初期値算出部831は、冷却スプレー装置50+iの操作比率xk,i+1の最適解xopt,k,i+1を用いて(6)式を解くことにより、圧延材1の第k制御点に対する冷却スプレー装置50+iの弁開度zk,i+1(k=1~N、i=1~6)を、フィードフォワード操作量として算出する。初期値算出部831は、圧延材1の第k制御点における仕上圧延機出側温度の測定値が得られた後のフィードバック制御を実行するために、(5)式および(6)式により算出した第1~第7温度調節装置40、51~56の弁開度zk,1、zk,i+1(k=1~N、i=1~6)を、第k制御点に対する各温度調節装置40、51~56の弁開度(操作量)の初期値z(0) k,j(k=1~N、j=1~7)とする。また、初期値算出部831は、仕上圧延機出側温度の補正量δの初期値δ(0)を0(零)に初期化する(δ(0)=0にする)。また、初期値算出部831は、第1~第7温度調節装置40、51~56の操作比率xk,jの最適解xopt,k,j(k=1~N、j=1~7)、第1~第7温度調節装置40、51~56の最大温度変更可能量ΔTk,j(k=1~N、j=1~7)、および基準温度T-kを(1)式に代入して、圧延材1の第k制御点における仕上圧延機出側温度の計算値Tkの初期値T(0) cal,kを算出する。圧延材1の第k制御点における仕上圧延機出側温度の計算値Tkの初期値T(0) cal,kは、圧延材1の第k制御点に対する各温度調節装置40、51~56の弁開度(操作量)の初期値z(0) k,j(j=1~7)で各温度調節装置40、51~56を操作することによって達成される、圧延材1の第k制御点における仕上圧延機出側温度の計算値である。なお、記号z(0) k,jは、後述する各式において、zの横の上側に(0)、下側にk,jが並べられた記号に対応する。また、記号T(0) cal,kは、後述する各式において、Tの横の上側に(0)、下側にcal,kが並べられた記号に対応する。
<<出力部832>>
出力部832は、初期値算出部831により算出された圧延材1の第k制御点に対する第j温度調節装置の弁開度zk,j(k=1~N、j=1~7)を、当該第j温度調節装置に出力する。第j温度調節装置は、圧延材1の第k制御点が、自身の設置位置に新たに到達したことを示すトラッキング情報をトラッキング装置30から取得すると、自身の弁開度を、出力部832から出力された弁開度zk,jに変更する。この際、圧延材1の最先端の第1制御点が、仕上圧延機出側温度計70の設置位置に到達するまでは、後述するFB制御部840によるフィードバック制御は実行されない。したがって、各温度調節装置40、51~56で用いられる弁開度zk,j(k=1~N、j=1~7)は、初期値z(0) k,j(k=1~N、j=1~7)、すなわち、出力部832から出力される弁開度zk,j(k=1~N、j=1~7)に等しい。また、出力部832は、初期値算出部831により算出された各種の初期値、最大温度変更可能量ΔTk,j(k=1~N、j=1~7)、および基準温度T-k(k=1~N)を、FB制御部840に出力する。なお、前述したように初期値算出部831により算出される初期値は、圧延材1の第k制御点に対する各温度調節装置40、51~56の弁開度(操作量)の初期値z(0) k,j(k=1~N、j=1~7)、仕上圧延機出側温度の補正量δの初期値δ(0)、および圧延材1の第k制御点における仕上圧延機出側温度の計算値Tkの初期値T(0) cal,k(k=1~N)である。
<FB制御部840>
FB制御部840は、圧延材1の第n制御点における仕上圧延機出側温度の測定値θF,nが得られると、第n制御点よりも圧延材1の後端側(上流側D1)に位置する制御点、すなわちk>nを満たす第k制御点に対する第1~第7温度調節装置の弁開度(操作量)zk,j(j=1~7)を決定する。FB制御部840は、このような弁開度(操作量)の決定を、トラッキング装置30から出力されるトラッキング情報に基づいて、圧延材1の第n制御点(n=1~N)が仕上圧延機出側温度計70の設置位置に新たに到達したと判断するたびに実行する。以下に、圧延材1の第n制御点が仕上圧延機出側温度計70の設置位置に新たに到達したものとして、FB制御部840の詳細な機能を説明する。本実施形態では、FB制御部840は、温度算出部841と、補正量算出部842と、操作量決定部843と、出力部844と、を備える。
<<温度算出部841>>
温度算出部841は、仕上圧延機出側温度の測定値が得られると、圧延材1の第n制御点に対する温度調節装置の操作量の最新値zn,jに基づいて、圧延材1の第n制御点に対する仕上圧延機出側温度の計算値を算出する。前述したように本実施形態では、処理装置80が、圧延材1の制御点ごとに各温度調節装置40、51~56の操作量を決定する場合を例示する。そこで、温度算出部841は、圧延材1の第n制御点における仕上圧延機出側温度の測定値が得られると、圧延材1の第n制御点における仕上圧延機出側温度の計算値を算出する。以下に温度算出部841の詳細な機能の一例を説明する。
圧延材1の第n制御点に対する各温度調節装置40、51~56の弁開度(操作量)が初期値z(0) n,j(n=1~N、j=1~7)である場合の圧延材1の第n制御点における仕上圧延機出側温度の計算値は、T(0) cal,nである。しかしながら、圧延材1の第n制御点よりも先端側(下流側D2)の第1~第n-1制御点における仕上圧延機出側温度の測定値θF,1~θF,n-1が得られた際に、以下に説明するFB制御部840によるフィードバック制御によって、圧延材1の第n制御点に対する各温度調節装置40、51~56の弁開度が更新されている可能性がある。したがって、圧延材1の第n制御点における仕上圧延機出側温度の計算値を算出し直す必要がある。
本実施形態では、圧延材1の第n制御点における仕上圧延機出側温度の計算値Tcal,nが、圧延材1の第n制御点における仕上圧延機出側温度の計算値の初期値T(0) cal,nと、圧延材1の第n制御点に対する各温度調節装置の操作量の初期値z(0) n,jと、最大温度変更可能量ΔTn,j(j=1~7)と、圧延材1の第n制御点に対する温度調節装置の操作量の最新値zn,jと、を用いて算出される場合を例示する。圧延材1の第n制御点に対する各温度調節装置40、51~56の弁開度(操作量)の最新値を示す記号をzn,j(n=1~N、j=1~7)と表記する。圧延材1の第n制御点に対する各温度調節装置40、51~56の弁開度が最新値zn,jである場合の圧延材1の第n制御点に対する各温度調節装置40、51~56の操作比率xn,j(n=1~N、j=1~7)は、以下の(7)式で表される。また、圧延材1の第n制御点に対する各温度調節装置40、51~56の弁開度が初期値z(0) n,jである場合の圧延材1の第n制御点に対する各温度調節装置40、51~56の操作比率x(0) n,j(n=1~N、j=1~7)は、以下の(8)式で表される。なお、記号x(0) n,jは、各式において、xの横の上側に(0)、下側にn,jが並べられた記号に対応する。
Figure 2023030259000008
(7)式のxn,jおよび(8)式のx(0) n,jを用いると、(1)式より、圧延材1の第n制御点に対する仕上圧延機出側温度の計算値Tcal,nは、以下の(9)式で表される。
Figure 2023030259000009
(9)式の右辺第2項は、圧延材1の第n制御点に対する各温度調節装置40、51~56の操作比率をx(0) n,jからxn,jに変更した場合の圧延材1の第n制御点における仕上圧延機出側温度の計算値の初期値T(0) cal,nに対する変化を表す。
温度算出部841は、圧延材1の第n制御点に対する各温度調節装置40、51~56の弁開度が最新値zn,jである場合の圧延材1の第n制御点に対する各温度調節装置40、51~56の操作比率xn,jを、(7)式により算出する。また、温度算出部841は、圧延材1の第n制御点に対する各温度調節装置40、51~56の弁開度が初期値z(0) k,jである場合の圧延材1の第n制御点に対する各温度調節装置40、51~56の操作比率x(0) n,jを、(8)式により算出する。そして、温度算出部841は、これらの算出した値(xn,j、x(0) n,j)と、圧延材1の第n制御点における仕上圧延機出側温度の計算値の初期値T(0) cal,nと、を(9)式に代入する。これにより、圧延材1の第n制御点における仕上圧延機出側温度の計算値Tcal,nが算出される。
<<補正量算出部842>>
補正量算出部842は、仕上圧延機出側温度の測定値と、温度算出部841により算出された仕上圧延機出側温度の計算値と、に基づいて、仕上圧延機出側温度の補正量を算出する。本実施形態では、補正量算出部842は、圧延材1の第n制御点における仕上圧延機出側温度の測定値θF,nと、温度算出部841により算出された圧延材1の第n制御点における仕上圧延機出側温度の計算値Tcal,nと、に基づいて、圧延材1の第n制御点における仕上圧延機出側温度の補正量δ(n)を算出して、仕上圧延機出側温度の補正量を更新する。補正量算出部842は、例えば、以下の(10)式により、圧延材1の第n制御点における仕上圧延機出側温度の補正量δ(n)を算出する。
Figure 2023030259000010
ここで、aは、圧延材1の第n制御点における仕上圧延機出側温度の補正量δ(n)が一度に大きく変更されることを抑制するための平滑ゲインである。平滑ゲインaの値として、0を上回り1を下回る値(0<a<1)が予め設定される。
<<操作量決定部843>>
操作量決定部843は、補正量算出部842により算出されて更新された仕上圧延機出側温度の補正量δ(n)に基づいて、仕上圧延機出側温度の測定値θF,nを取得した圧延材1に対する温度調節装置の操作量を決定する。本実施形態では、操作量決定部843は、圧延材1の第n制御点における仕上圧延機出側温度の補正量δ(n)に基づいて、第n制御点よりも圧延材1の後端側に位置する第k制御点(k=n+1~N)に対する温度調節装置の操作量を決定する。以下に操作量決定部843の詳細な機能の一例を説明する。
(1)式で算出される仕上圧延機出側温度の計算値Tkを、(10)式に示す仕上圧延機出側温度の補正量δ(n)を用いて補正すると、圧延材1の第k制御点(k=n+1~N)における仕上圧延機出側温度Tkは、以下の(11)式で表される。
Figure 2023030259000011
操作量決定部843は、(2)式および(3)式の不等式制約条件式を満たす範囲で、(4)式の目的関数Jkの値が最小となる圧延材1の第k制御点に対する第j温度調節装置の操作比率xk,jを、圧延材1の第k制御点に対する第j温度調節装置の操作比率xk,jの最適解xopt,k,j(k=n+1~N、j=1~7)として、数理計画法による最適化問題を解くことにより算出する。初期値算出部831における処理では、(3)式におけるTkとして(1)式で表されるTkを用いる。これに対し、操作量決定部843における処理では、(3)式におけるTkとして(11)式で表されるTkを用いる。また、初期値算出部831における処理では、第k制御点の粗圧延機出側温度θR,kが得られたときの最適解xopt,k,jの算出対象のkは、粗圧延機出側温度が測定された制御点kの1つである。これに対し、操作量決定部843における処理では、第n制御点の仕上圧延機出側温度θF,nが得られたときの最適解xopt,k,jの算出対象のkは、仕上圧延機出側温度が測定された制御点より後端側にある制御点n+1~Nである。なお、操作量決定部843においても、<<初期値算出部831>>の項で説明したように、最小化問題ではなく、最大化問題を求解するように目的関数Jkを構成してもよい。
操作量決定部843は、圧延材1の第k制御点に対する各温度調節装置40、51~56の操作比率xk,jの最適解xopt,k,jを用いて以下の(12)式を解くことにより、圧延材1の第k制御点に対する温度調節装置40、51~56の弁開度zk,j(k=n+1~N、j=1~7)を算出して更新する。本実施形態ではこのようにして、圧延材1の第k制御点を温度制御する際の各温度調節装置40、51~56の弁開度zk,jが操作量の最新値として算出される。
Figure 2023030259000012
<<出力部844>>
出力部844は、操作量決定部843により算出されて更新された圧延材1の第k制御点に対する第j温度調節装置の弁開度zk,j(k=n+1~N、j=1~7)を、当該第j温度調節装置に出力する。第j温度調節装置は、FF制御部830(フィードフォワード制御)の出力部832から出力された弁開度zk,jを、FB制御部840(フィードバック制御)の出力部844から出力された弁開度zk,jに置換し、圧延材1の第k制御点(k=n+1~N)が、自身の設置位置に新たに到達したことを示すトラッキング情報をトラッキング装置30から取得すると、弁開度をその値に変更する。これにより、圧延材1の第n制御点における仕上圧延機出側温度の測定値θF,nを用いたフィードバック制御が実現される。
<フローチャート>
次に、図4のフローチャートを参照しながら、処理装置80(FF制御部830)によるフィードフォワード制御処理の一例を説明する。
まず、ステップS401において、FF制御部830は、圧延材1の制御点を識別する変数(粗圧延機出側温度のサンプリング番号)kに初期値(=1)を設定する。
次に、ステップS402において、粗圧延機出側温度取得部820は、圧延材1の第k制御点における粗圧延機出側温度の測定値θR,kを取得する。
次に、ステップS403において、初期値算出部831は、圧延材1の第k制御点における粗圧延機出側温度の測定値θR,kに基づいて、各温度調節装置40、51~56それぞれの弁開度(操作量)を0(零)としたときの圧延材1の第k制御点における仕上圧延機出側温度T-kを基準温度T-kとして算出する。
次に、ステップS404において、初期値算出部831は、圧延材1の第k制御点の粗圧延機出側温度θR,kに基づいて、温度調節装置40、51~56の弁開度(操作量)のいずれか1つの装置を最大にし、残りの弁開度(操作量)を0(零)としたときの圧延材1の第k制御点における仕上圧延機出側温度を、温度調節装置40、51~56のそれぞれについて個別に算出(予測)する。そして、初期値算出部831は、算出した第k制御点における仕上圧延機出側温度から、基準温度T-kを減算した値を、各温度調節装置40、51~56の最大温度変更可能量ΔTk,j(j=1~7)として算出する。
次に、ステップS405において、初期値算出部831は、(2)式および(3)式の不等式制約条件式を満たす範囲で、(4)式の目的関数Jkの値が最小となる圧延材1の第k制御点に対する第j温度調節装置の操作比率xk,jを、圧延材1の第k制御点に対する第j温度調節装置の操作比率xk,jの最適解xopt,k,j(j=1~7)として算出する。
次に、ステップS406において、初期値算出部831は、粗バー冷却装置40の操作比率xk,1の最適解xopt,k,1を用いて(5)式を解くことにより、圧延材1の第k制御点に対する粗バー冷却装置40の弁開度zk,1を算出する。また、初期値算出部831は、冷却スプレー装置50+iの操作比率xk,i+1の最適解xopt,k,i+1を用いて(6)式を解くことにより、圧延材1の第k制御点に対する冷却スプレー装置50+iの弁開度zk,i+1(i=1~6)を算出する。このようにして、ステップS405で算出された圧延材1の第k制御点に対する第j温度調節装置の操作比率xk,jの最適解xopt,k,jに対応する第j温度調節装置40、51~56の弁開度zk,j(j=1~7)が算出される。
次に、ステップS407において、出力部832は、ステップS406で算出された圧延材1の第k制御点に対する第j温度調節装置40、51~56の弁開度zk,j(j=1~7)を、第j温度調節装置に出力する。
次に、ステップS408において、初期値算出部831は、ステップS406で算出された各温度調節装置40、51~56の弁開度zk,j(j=1~7)を、第k制御点に対する各温度調節装置40、51~56の弁開度の初期値z(0) k,j(j=1~7)とする。また、初期値算出部831は、仕上圧延機出側温度の補正量δの初期値δ(0)を0(零)に初期化する(δ(0)=0にする)。
次に、ステップS409において、初期値算出部831は、各温度調節装置40、51~56の操作比率xk,jの最適解xopt,k,j(j=1~7)を(1)式に代入して、圧延材1の第k制御点における仕上圧延機出側温度の計算値Tkの初期値T(0) cal,kを算出する。
次にステップ410において、出力部832は、初期値算出部831により算出された初期値z(0) k,j(k=1~N、j=1~7)、δ(0)、T(0) cal,k(k=1~N)と、最大温度変更可能量ΔTk,j(k=1~N、j=1~7)と、基準温度T-k(k=1~N)とを、FB制御部840に出力する。
次に、ステップS411において、FF制御部830は、変数kがNであるか否かを判定する。この判定の結果、変数kがNでない場合(ステップS411でNOの場合)、圧延材1の全ての制御点に対するFF制御部830による処理が終了していないので、処理はステップS412に進む。ステップS412において、FF制御部830は、変数kの値に1を加算して変数kを更新する。そして、更新後の第k制御点に対してステップS402~S411の処理が実行される。そして、ステップS411において変数kがNであると判定されると(ステップS411でYESの場合)、図4のフローチャートによる処理は終了する。
次に、図5のフローチャートを参照しながら、処理装置80(FB制御部840)によるフィードバック制御処理の一例を説明する。
まず、ステップS501において、FB制御部840は、圧延材1の制御点を識別する変数(仕上圧延機出側温度のサンプリング番号)nに初期値(=1)を設定する。
次に、ステップS502において、FB制御部840は、図4のステップS410でFF制御部830から出力された、初期値z(0) k,j(k=1~N、j=1~7)、δ(0)、T(0) cal,k(k=1~N)と、最大温度変更可能量ΔTk,j(k=1~N、j=1~7)と、基準温度T-k(k=1~N)とを取得する。
次に、ステップS503において、仕上圧延機出側温度取得部810は、圧延材1の第n制御点における仕上圧延機出側温度の測定値θF,nを取得する。
次に、ステップS504において、FB制御部840は、圧延材1の第n制御点に対する各温度調節装置40、51~56の弁開度(操作量)の最新値zn,j(j=1~7)を各温度調節装置40、51~56から取得する。
次に、ステップS505において、温度算出部841は、圧延材1の第n制御点に対する各温度調節装置40、51~56の弁開度が最新値zn,jである場合の圧延材1の第n制御点に対する各温度調節装置40、51~56の操作比率xn,j(j=1~7)を、(7)式により算出する。
次に、ステップS506において、温度算出部841は、圧延材1の第n制御点に対する各温度調節装置40、51~56の弁開度が初期値z(0) n,jである場合の圧延材1の第n制御点に対する各温度調節装置40、51~56の操作比率x(0) n,j(j=1~7)を、(8)式により算出する。
次に、ステップS507において、温度算出部841は、ステップS505、S506で算出した値(xn,j、x(0) n,j)と、ステップS502において取得された圧延材1の第n制御点における仕上圧延機出側温度の計算値の初期値T(0) cal,nと、最大温度変更可能量ΔTn,j(j=1~7)、とを(9)式に代入して、圧延材1の第n制御点における仕上圧延機出側温度の計算値Tcal,nを算出する。
次に、ステップS508において、補正量算出部842は、ステップS503において取得された圧延材1の第n制御点における仕上圧延機出側温度の測定値θF,nと、ステップS507で算出された圧延材1の第n制御点における仕上圧延機出側温度の計算値Tcal,nを用いて(10)式にしたがって、圧延材1の第n制御点における仕上圧延機出側温度の補正量δ(n)を算出する。
次に、ステップS509において、操作量決定部843は、(2)式および(3)式の不等式制約条件式を満たす範囲で、(4)式の目的関数Jkの値が最小となる圧延材1の第k制御点に対する第j温度調節装置の操作比率xk,jを、圧延材1の第k制御点に対する第j温度調節装置の操作比率xk,jの最適解xopt,k,j(k=n+1~N、j=1~7)として算出する。ここでは、ステップS502で取得された最大温度変更可能量ΔTk,j(k=1~N、j=1~7)のうち、k=n+1~N、j=1~7の最大温度変更可能量ΔTk,jが用いられる。また、ステップS502で取得された基準温度T-k(k=1~N)のうち、k=n+1~Nの基準温度T-kが用いられる。
次に、ステップS510において、操作量決定部843は、圧延材1の第k制御点に対する各温度調節装置40、51~56の操作比率xk,jの最適解xopt,k,jを用いて(12)式を解くことにより、圧延材1の第k制御点に対する各温度調節装置40、51~56の操作比率xk,jの最適解xopt,k,jに対応する温度調節装置40、51~56の弁開度zk,j(k=n+1~N、j=1~7)を算出して更新する。
次に、ステップS511において、出力部844は、ステップS510で算出された圧延材1の第k制御点に対する第j温度調節装置の弁開度zk,j(k=n+1~N、j=1~7)を、第j温度調節装置のそれぞれに出力する。
次に、ステップS512において、FB制御部840は、変数nがNであるか否かを判定する。この判定の結果、変数nがNでない場合(ステップS512でNOの場合)、圧延材1の全ての制御点に対するFB制御部840による処理が終了していないので、処理はステップS513に進む。ステップS513において、FB制御部840は、変数nの値に1を加算して変数nを更新する。そして、更新後の第n制御点に対してステップS502~S512の処理が実行される。そして、ステップS512において変数nがNであると判定されると(ステップS512でYESの場合)、図5のフローチャートによる処理は終了する。
<まとめ>
以上のように本実施形態では、処理装置80は、仕上圧延機出側温度の測定値θF,nと、仕上圧延機出側温度の計算値Tcal,nと、に基づいて、仕上圧延機出側温度の補正量δ(n)を算出し、仕上圧延機出側温度の補正量δ(n)に基づいて、フィードフォワード制御を実行する場合と同様に(4)式の目的関数が最小になるように、温度調節装置40、51~56の操作量zk,jを決定する。したがって、本フィーバック制御は上流側にある温度調節装置から操作することができる。また、仕上圧延機出側温度の測定値と目標値との温度偏差に基づいてフィードバック制御する手法とは異なり、むだ時間の影響を受けることなくフィードバック制御を実行することができる。よって、仕上圧延機出側温度を制御するに際し、圧延材の形状悪化の抑制と温度制御の高応答化とを両立させることができる。
また、本実施形態では、処理装置80は、粗圧延機出側温度の測定値θR,nが取得された第n制御点における仕上圧延機出側温度の計算値Tcal,nを、温度調節装置40、51~56の操作量の最新値zn,jに基づいて算出して仕上圧延機出側温度の補正量δ(n)を算出する。そして、処理装置80は、仕上圧延機出側温度の補正量δ(n)で補正された仕上圧延機出側温度Tkが所定の温度条件(例えば、d<Tk<u)を満たすように、温度調節装置40、51~56の操作量zk,jを決定する。したがって、圧延材1の品質に大きく影響を与える仕上圧延機出側温度として、仕上タンデム圧延機20よりも下流側における圧延材1の状態をフィードバックとして反映する補正量δ(n)によって補正された仕上圧延機出側温度Tkを用いて、温度調節装置40、51~56の操作量zk,jを決定することができる。
また、本実施形態では、処理装置80は、第n制御点における仕上圧延機出側温度の測定値θF,nと、当該第n制御点における仕上圧延機出側温度の計算値Tcal,nと、に基づいて、当該第n制御点における仕上圧延機出側温度の補正量δ(n)を算出する。そして、処理装置80は、当該第n制御点における仕上圧延機出側温度の補正量δ(n)に基づいて、当該第n制御点よりも後端側に位置する第k制御点(k=n+1~N)に対する温度調節装置の操作量zk,jを決定する。したがって、仕上圧延機出側温度を制御点ごとに制御することができる。よって、制御点の設定間隔によって、計算負荷の軽減させることを優先させたり、高精度の制御を実行することを優先させたりすることができる。
また、本実施形態では、処理装置80は、圧延材1の第k制御点における粗圧延機出側温度の測定値θR,kに基づいて、当該第k制御点に対する温度調節装置40、51~56の操作量の初期値z(0) k,j(j=1~7)と、当該初期値の操作によって達成される当該第k制御点における仕上圧延機出側温度の計算値の初期値T(0) cal,kと、を算出する。そして、処理装置80は、圧延材1の第n制御点における仕上圧延機出側温度の測定値θF,nが得られると、当該第n制御点における仕上圧延機出側温度の計算値の初期値T(0) cal,nと、当該第n制御点に対する温度調節装置40、51~56の操作量の初期値z(0) n,jと、当該第n制御点に対する温度調節装置40、51~56の操作量の最新値zn,jと、を用いて、当該第n制御点における仕上圧延機出側温度の計算値Tcal,nを算出する。したがって、第n制御点に対する温度調節装置40、51~56の操作量の初期値z(0) n,jに対する修正分を算出すればよいので、仕上圧延機出側温度の予測計算の負荷を低減することができる。
以上のように本実施形態におけるFB制御部840で実行されるフィードバック制御は、特許文献2、3に開示されている技術のように、仕上圧延機出側温度の測定値と目標値の偏差に基づいて温度調節装置40、51~56の操作量を修正するのではなく、仕上圧延機出側温度計70の設置位置に到達した第n制御点における仕上圧延機出側温度の測定値θF,nと、(9)式で表される仕上圧延機出側温度の計算値Tcal,nと、基づいて、仕上圧延機出側温度の補正量δ(n)を算出して(δ(n-1)から)更新し、仕上圧延機出側温度の補正量δ(n)を用いて、第n制御点よりも圧延材1の後端側に位置する各制御点に対する各温度調節装置40、51~56の操作量を決定する。各温度調節装置40、51~56の操作量の決定においてフィードフォワード制御と本質的に違う点は、フィードフォワード制御における(1)式のTkが、フィードバック制御では(11)式のように、仕上圧延機出側温度の補正量δ(n)によって、仕上圧延機出側温度の測定値θF,nに合うように補正されていることである。また、フィードバック制御に際し温度調節装置40、51~56の操作量の決定方法はフィードフォワード制御と同様である((2)式~(4)式を参照)。したがって、本実施形態におけるフィードバック制御では、従来からフィードフォワード制御で実施しているように、温度調節装置を上流側から使用することができるので、圧延材1の形状悪化を抑制できる。また、本実施形態の手法は、特許文献2、3に開示されている手法のように、測定値と目標値の偏差をもとにフィードバック制御する手法ではないので、むだ時間の影響を受けることなくフィードバック制御を実行することができ、温度制御の高応答化が可能になる。また、仕上圧延機出側温度が下限温度以上かつ上限温度以下になるように制御する場合に、特許文献2、3に記載のフィードバック制御を適用すると、下限温度と上限温度の間を不感帯として温度偏差を求めることになる。したがって、仕上圧延機出側温度の測定値θF,nが上下限温度を逸脱するまで温度調節装置40、51~56の操作量が変更されず、応答が遅くなるという問題が生じる。これに対し、本実施形態の手法では、仕上タンデム圧延機出側温度が下限温度以上かつ上限温度以下になるように制御する場合でも((3)式を参照)、下限温度と上限温度との間を不感帯にすることなく仕上圧延機出側温度の補正量δ(n)を算出して更新する。したがって、仕上圧延機出側温度の測定値θF,nが上下限温度を逸脱していなくても温度調節装置40、51~56の操作量を変更することができる。
<変形例>
本実施形態では、FB制御部840によるフィードバック制御に際し、全ての温度調節装置40、51~56の操作比率xk,jの最適解xopt,k,jを算出して、全ての温度調節装置40、51~56の弁開度zk,jを、当該最適解xopt,k,jに応じた値に変更する場合を例示した。しかしながら、温度調節装置40、51~56のうち、圧延材1の第k制御点が既に通過した温度調節装置の操作量を変更しても、当該第k制御点の温度を変化させることはできない。したがって、第k制御点がまだ通過していない温度調節装置の操作量のみを変更するのが好ましい。このようにする場合、例えば、以下のようにすればよい。本実施形態では、処理装置80には、トラッキング装置30から、圧延材1の各制御点の位置を表すトラッキング情報が与えられている。そこで、操作量決定部843は、トラッキング情報に基づいて、第k制御点が存在する位置よりも下流側D2(圧延材1の先端側)にある温度調節装置を特定する。操作量決定部843は、その中で最上流(圧延材1の最も後端側)に位置する温度調節装置の操作量に対応する操作比率xk,jのjに相当する添字m(k)を算出する。本実施形態では、最上流に位置する温度調節装置が、第1温度調節装置(粗バー冷却装置40)の場合にはm(k)=1となり、第i+1温度調節装置(冷却スプレー装置50+i、i=1~6)の場合には、m(k)=i+1となる。m(k)を用いると、(11)式は、以下の(13)式のように表される。
Figure 2023030259000013
(13)式において、xk,j(k=n+1~N、j=1~m(k)-1)は、圧延材1の第k制御点が存在する位置よりも上流側D1にある温度調節装置(圧延材1の第k制御点が既に通過した温度調節装置)の操作比率である。操作量決定部843は、圧延材1の第k制御点が存在する位置よりも上流側D1にある温度調節装置の弁開度(操作量)zk,j(k=n+1~N、j=1~m(k)-1)を更新しない。そこで、操作量決定部843は、圧延材1の第k制御点が存在する位置よりも上流側D1にある温度調節装置の操作比率xk,j(k=n+1~N、j=1~m(k)-1)を、当該温度調節装置の弁開度(操作量)の最新値zk,j(k=n+1~N、j=1~m(k)-1)を用いて以下の(14)式で再計算する。一方、xk,j(k=n+1~N、j=m(k)~7)は、圧延材1の第k制御点が存在する位置よりも下流側D2にある温度調節装置(圧延材1の第k制御点がまだ通過していない温度調節装置)の操作比率である。操作量決定部843は、圧延材1の第k制御点が存在する位置よりも下流側にある温度調節装置の操作比率xk,jの最適解xopt,k,j(k=n+1~N、j=m(k)~7)を、数理計画法による最適化問題を解くことにより算出する。その際、操作量決定部843は、圧延材1の第k制御点が存在する位置よりも上流側にある温度調節装置の操作比率xk,j(k=n+1~N、j=1~m(k)-1)を、以下の(14)式で算出される値に固定して定数として扱う。また、不等式制約条件式として、(2)式と(3)式ではなく、(2)式と以下の(15)式とが用いられる。そして、操作量決定部843は、圧延材1の第k制御点が存在する位置よりも下流側D2にある温度調節装置の操作比率xk,jの最適解xopt,k,jを用いて以下の(16)式を解くことにより、圧延材1の第k制御点に対する温度調節装置40、51~56の弁開度zk,j(k=n+1~N、j=m(k)~7)を算出して更新する。なお、圧延材1の第k制御点が全ての温度調節装置40、51~56の設置位置を通過している場合(全ての温度調節装置40、51~56よりも下流側D2にある場合)、m(k)を求めることができない。この場合、操作量決定部843は、第k制御点に対する温度調節装置40、51~56の弁開度zk,j(k=n+1~N、j=1~7)を更新しない。
Figure 2023030259000014
このように、処理装置80が、仕上圧延機出側温度の測定値θF,nが得られた制御点よりも圧延材1の後端側に位置する各制御点に対して、当該制御点が存在する位置よりも下流側にある温度調節装置を特定し、当該制御点が存在する位置よりも下流側にある温度調節装置の操作量のみを更新することで、当該制御点における仕上圧延機出側温度に影響を与える温度調節装置のみの操作量を更新可能にする。よって、仕上圧延機出側温度のフィードバック制御の性能を向上させること(例えば、仕上圧延機出側温度が定常状態になるまでの時間を短縮すること、および/または、仕上圧延機出側温度が目標値に近づくことなど)ができる。
本実施形態では、FB制御部840(温度算出部841)は、計算負荷を削減するために、FF制御部830で算出された仕上圧延機出側温度の計算値の初期値T(0) cal,nと、各温度調節装置の操作量の初期値z(0) n,jと、最大温度変更可能量ΔTn,j(j=1~7)を用いて仕上圧延機出側温度の計算値Tcal,nを算出する場合を例示した。しかしながら、FB制御部840(温度算出部841)が、圧延材1の第n制御点における粗圧延機出側温度θR,nを取得して、圧延材1の第n制御点における仕上圧延機出側温度の計算値Tcal,nを算出しても良い。
<実施例>
次に、実施例を説明する。以下では、本発明の実施例および比較例を具体的に示してより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例では、本実施形態で説明した手法でコンピュータシミュレーションした結果を説明する。発明例および比較例のいずれにおいても、仕上圧延機出側温度の下限温度dを860℃、上限温度uを900℃とした。また、粗バーの粗圧延機出側温度のサンプリングピッチを0.5mとし、サンプリングされた各制御点の粗圧延機出側温度を図6に示す粗圧延機出側温度とした。図6の横軸の粗バー先端からの距離は、粗バーの状態における圧延材1の先端から各制御点までの距離を表す。また、フィードバック制御の有無による差を示すために、各制御点の粗圧延機出側温度の測定値θR,kは、コンピュータシミュレーションにより計算される温度よりも10℃高くなるものとした。
図7、図8、図9は、それぞれ、比較例1、比較例2、発明例のシミュレーションの条件および結果を示す。図7~図9の(a)の縦軸の仕上圧延速度は、各制御点が圧延スタンドF7を通過する際の仕上タンデム圧延機20の圧延速度(圧延スタンドF7の圧延ロールの周速度)を表す。図7~図9の(a)に示すように、仕上圧延速度は、圧延途中から加速して一定となるパターンとした。図7~図9の(c)~(i)の弁開度は、全開のときを1とし、全閉のときを0(零)とする相対値で表されるものとする。また、図7~図9の(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)の縦軸のF1出側スプレー装置、F2出側スプレー装置、F3出側スプレー装置、F4出側スプレー装置、F5出側スプレー装置、F6出側スプレー装置は、それぞれ冷却スプレー装置51、52、53、54、55、56を表す。
従来法の一例である比較例1では、特許文献2のように、各制御点の粗圧延機出側温度の測定値に基づいて各制御点の温度調節装置のフィードフォワード操作量を求める。そして、仕上圧延機出側温度が測定された後は、仕上圧延機出側温度の測定値と目標値の温度偏差を積分して、下流側に位置する温度調節装置から優先するように温度調節装置のフィードバック操作量を求め、フィードフォワード操作量とフィードバック操作量とを加算して温度調節装置の操作量とする。比較例1のコンピュータシミュレーションの結果を図7の(b)~(i)に示す。
従来法の別の一例である比較例2では、特許文献3のように、仕上圧延機出側温度が測定されるまでは、粗圧延機出側温度の測定値に基づいて上流側に位置する温度調節装置から優先して用いるように温度調節装置の初期操作量をフィードフォワード操作量として求める。そして、仕上圧延機出側温度が測定されると、フィードフォワード操作量をそのときの値に固定する。仕上圧延機出側温度が測定された後は、仕上圧延機出側温度の測定値と目標値の温度偏差を積分して、0(零)でない操作量を出力している温度調節装置の中で最下流に位置する温度調節装置の操作量をフィードバック操作量として、前述したようにして固定したフィードフォワード操作量に加算して温度調節装置の操作量を修正する。比較例2のコンピュータシミュレーションの結果を図8の(b)~(i)に示す。
発明例では、本実施形態で説明したように、各制御点の粗圧延機出側温度の測定値に基づいて各制御点に対する温度調節装置の操作量の初期値をフィードフォワード操作量として決定する。そして、仕上圧延機出側温度が測定された後は、仕上圧延機出側温度の測定値と仕上圧延機出側温度の計算値とに基づいて仕上圧延機出側温度の補正量を算出し、算出した仕上圧延機出側温度の補正量に基づいて各温度調節装置の操作量をフィードバック操作量としてフィードフォワード操作量と置換する。発明例のコンピュータシミュレーションの結果を図9の(b)~(i)に示す。
図7~図9ではいずれも、仕上圧延機出側温度の測定値を用いた温度調節装置の操作量の変更(すなわち、フィードバック操作量の加算)を実施しない場合を点線で示し、実施した場合を実線で示す。また、横軸の時間は、圧延材1の先端が粗バー冷却装置40の設置位置に到達した時刻を0(零)とする時間である。
比較例1では、図7に示すように、(b)の仕上圧延機出側温度の測定値が上限温度の900℃を超えた36.7s以降で、(i)のF6出側スプレー装置、(h)のF5出側スプレー装置、(g)のF4出側スプレー装置の順(冷却スプレー装置56、55、54の順)に弁開度を開方向に変更することにより、(b)の仕上圧延機出側温度の測定値は約52.8sの時点で上下限温度の範囲である860~900℃の範囲内に変更されている。しかしながら、この方法では、下流側の冷却スプレー装置の操作量が大きく修正されるので、圧延材1の形状が悪化する可能性が高い。また、圧延材1の先端が仕上圧延機出側温度計70の設置位置に到達して仕上圧延機出側温度の測定が開始されるのは22.3sの時点であるが、仕上圧延機出側温度の測定値が上限温度の900℃を超える36.7sの時点まで、粗バー冷却装置40の操作量(弁開度)と冷却スプレー装置51~56の操作量(F1~F6出側スプレー装置の弁開度)が変更されないという問題がある。
比較例2では、図8に示すように、(b)の仕上圧延機出側温度の測定値が上限温度の900℃を超えた36.7s(A点)以降で、(c)の粗バー冷却装置、(d)のF1出側スプレー装置、(e)のF2出側スプレー装置、(f)のF3出側スプレー装置、(g)のF4出側スプレー装置、(h)のF5出側スプレー装置の順(粗バー冷却装置40、冷却スプレー装置51、52、53、54、55の順)に弁開度を開方向に変更することにより、(b)の仕上圧延機出側温度の測定値は約59.9sの時点で上下限温度の範囲である860~900℃に修正されている。しかしながら、この方法では、フィードバック制御の開始初期に操作量の変更対象としている上流側の冷却調節装置を操作してから、その結果が仕上圧延機出側温度の測定値に現れるまでのむだ時間が非常に大きい。具体的に、(b)の仕上圧延機出側温度の測定値が上限温度の900℃を超えた36.7s(A点)の時点で最初に温度制御が実行される制御点(A点を参照)が、仕上圧延機出側温度計70の設置位置まで移動して(b)の仕上圧延機出側温度の測定値として現れる(B点を参照)までに15.3sも要している(この15.3sの期間はA点からB点までの期間である)。このため、(b)の仕上圧延機出側温度の測定値が上下限温度の範囲である860~900℃になるまでに要する時間が比較例1よりも遅くなっているだけでなく、その後に大きな温度低下が生じている。また、比較例1と同様に、仕上圧延機出側温度の測定値が上限温度の900℃を超える36.7sの時点まで、粗バー冷却装置40の操作量(弁開度)と冷却スプレー装置51~56の操作量(図8の(d)~(i)のF1~F6出側スプレー装置の弁開度)が変更されないという問題がある。
比較例1、2に対して発明例では、図9に示すように、仕上圧延機出側温度の測定が開始された22.3s以降で、各制御点に対して上流側に位置する温度調節装置から優先して弁開度を開方向に変更する。したがって、図9の(b)の仕上圧延機出側温度の測定値は、圧延材1の全長にわたって上下限温度の範囲である860~900℃に収まっている。なお、発明例との相違をより明確に示すために比較例2においては、比較例1および発明例と異なり、フィードフォワード操作量を固定する場合を例示するが、比較例2においてむだ時間が長くなることはフィードフォワード制御の形態によって変わるものではない。
このように、発明例では、上流側に位置する温度調節装置から優先して操作量を修正することにより、圧延材の形状悪化を抑制することができる。さらに、むだ時間の影響を受けることなくフィードバック制御を実行することができる。また、仕上圧延機出側温度を上下限温度の範囲内にする場合、仕上圧延機出側温度の測定値が下限温度以上かつ上限温度以下に収まっていても仕上圧延機出側温度の補正量を算出して温度調節装置の操作量を決定し直すことにより、温度制御の高応答化が可能になる。
なお、以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
1 圧延材
10 粗圧延機
20 仕上タンデム圧延機
30 トラッキング装置
40 粗バー冷却装置
51~56 冷却スプレー装置
60 粗圧延機出側温度計
70 仕上圧延機出側温度計
80 処理装置
100 圧延設備
810 仕上圧延機出側温度取得部
820 粗圧延機出側温度取得部
830 FF制御部
831 初期値算出部
832 出力部
840 FB制御部
841 温度算出部
842 補正量算出部
843 操作量決定部
844 出力部
D1 上流側
D2 下流側
F1~F7 圧延スタンド
R 搬送路

Claims (8)

  1. 粗圧延機の出側から仕上圧延機の出側の間を搬送中の圧延材の温度を調節する温度調節装置の操作量を決定する処理装置であって、
    前記仕上圧延機の出側における前記圧延材の温度である仕上圧延機出側温度の測定値を取得する仕上圧延機出側温度取得手段と、
    前記温度調節装置の操作量の最新値に基づき、前記仕上圧延機出側温度の計算値を算出する温度算出手段と、
    前記仕上圧延機出側温度取得手段により取得された前記仕上圧延機出側温度の測定値と、前記温度算出手段により算出された前記仕上圧延機出側温度の計算値と、に基づいて、前記仕上圧延機出側温度の補正量を算出する補正量算出手段と、
    前記仕上圧延機出側温度の補正量に基づいて、前記仕上圧延機出側温度の測定値を取得した圧延材に対する前記温度調節装置の操作量を決定する操作量決定手段と、
    を備える、処理装置。
  2. 前記粗圧延機の出側における前記圧延材の温度である粗圧延機出側温度の測定値を取得する粗圧延機出側温度取得手段、
    を更に備え、
    前記温度算出手段は、前記粗圧延機出側温度取得手段により前記粗圧延機出側温度の測定値が取得された前記圧延材の位置における前記仕上圧延機出側温度の計算値を、前記温度調節装置の操作量の最新値に基づいて算出し、
    前記操作量決定手段は、前記仕上圧延機出側温度の補正量で補正された前記仕上圧延機出側温度が所定の温度条件を満たすように、前記温度調節装置の操作量を決定する、請求項1に記載の処理装置。
  3. 前記圧延材の搬送方向に相互に間隔を空けて前記圧延材に対して複数の制御点が設定されており、
    前記温度算出手段は、各制御点における仕上圧延機出側温度の測定値が取得されると、当該制御点における前記仕上圧延機出側温度の計算値を算出し、
    前記補正量算出手段は、前記制御点における仕上圧延機出側温度の測定値と、当該制御点における前記仕上圧延機出側温度の計算値と、に基づいて、当該制御点における前記仕上圧延機出側温度の補正量を算出し、
    前記操作量決定手段は、前記制御点における前記仕上圧延機出側温度の補正量に基づいて、当該制御点よりも後端側に位置する各制御点に対する前記温度調節装置の操作量を決定する、請求項1または2に記載の処理装置。
  4. 前記粗圧延機の出側における前記圧延材の温度である粗圧延機出側温度の測定値に基づいて、前記制御点に対する前記温度調節装置の操作量の初期値と、当該初期値の操作によって達成される当該制御点における前記仕上圧延機出側温度の計算値の初期値と、を算出する初期値算出手段
    をさらに備え、
    前記温度算出手段は、前記制御点における前記仕上圧延機出側温度の測定値が得られると、当該制御点における前記仕上圧延機出側温度の計算値の初期値と、当該制御点に対する前記温度調節装置の操作量の初期値と、当該制御点に対する前記温度調節装置の操作量の最新値と、を用いて、当該制御点における前記仕上圧延機出側温度の計算値を算出する、請求項3に記載の処理装置。
  5. 前記操作量決定手段は、前記仕上圧延機出側温度の測定値が得られた前記制御点より後端側に位置する各制御点に対して、当該制御点が存在する位置より下流側にある温度調節装置を特定し、当該制御点が存在する位置より下流側にある温度調節装置の操作量のみを更新する、請求項3または4に記載の処理装置。
  6. 前記操作量決定手段は、前記仕上圧延機出側温度の補正量で補正された前記仕上圧延機出側温度が、予め設定された下限温度以上かつ上限温度以下になるように、前記温度調節装置の操作量を決定する、請求項1~5のいずれか1項に記載の処理装置。
  7. 粗圧延機の出側から仕上圧延機の出側の間を搬送中の圧延材の温度を調節する温度調節装置の操作量を決定する処理方法であって、
    前記仕上圧延機の出側における前記圧延材の温度である仕上圧延機出側温度の測定値を取得する仕上圧延機出側温度取得工程と、
    前記温度調節装置の操作量の最新値に基づき、前記仕上圧延機出側温度の計算値を算出する温度算出工程と、
    前記仕上圧延機出側温度取得工程により取得された前記仕上圧延機出側温度の測定値と、前記温度算出工程により算出された前記仕上圧延機出側温度の計算値と、に基づいて、前記仕上圧延機出側温度の補正量を算出する補正量算出工程と、
    前記仕上圧延機出側温度の補正量に基づいて、前記仕上圧延機出側温度の測定値を取得した圧延材に対する前記温度調節装置の操作量を決定する操作量決定工程と、
    を備える、処理方法。
  8. 請求項1~6のいずれか1項に記載の処理装置として各手段を機能させるためのプログラム。
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