JP2023029089A - カード又はパスポート用フィルム、インレットシート、カード及びパスポート - Google Patents

カード又はパスポート用フィルム、インレットシート、カード及びパスポート Download PDF

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Abstract

【課題】ICチップなどのインレットの隠蔽性、及びレーザーマーキングシートに対する印字性を高めつつ、耐曲げ性及び加工性も良好にする。【解決手段】カード又はパスポート用フィルムは、樹脂、充填材、及び耐衝撃改良剤を含有するカード又はパスポート用フィルムであって、前記充填材の含有量が25.5質量%より多い。【選択図】なし

Description

本発明は、カード又はパスポート用フィルム、該フィルムを有するインレットシート、カード及びパスポートに関する。
パスポートにおいて、個人情報、顔写真等が書き込まれるデータページは、一般的に複数のフィルムが重ね合わされて構成されている。データページには、例えば、レーザー印字により書き込みが行われ、また、レンチキュラー、ホログラムなどの特殊印刷が施されるなどセキュリティ機能が付与されたりすることがある。また、カードも同様に複数のフィルムが重ね合わされて構成され、レーザー印字により書き込みが行われ、また、特殊印刷が施されるなどしてセキュリティ機能が付与されることがある。
パスポートのデータページやカードは、大きく分けて透明層と、白色層などからなる着色層とがあり、セキュリティ機能の付与やレーザー印字等は、一般的に透明層に対して行われる。一方で、着色層は、コアシートとも呼ばれる部位などであり、例えばICチップなどのインレットが内蔵されている。そのため、コアシートには、ICチップなどのインレットを適切に保持し、かつICチップどのインレットを隠蔽したりする機能が要求される。
コアシートは、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、又はこれらの混合物などの熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物から形成されることが知られている。また、熱可塑性樹脂組成物には、酸化チタンや、タルク、マイカ、炭酸カルシウムなどの無機充填材、ゴム状弾性体などの添加剤が配合されることが知られている(例えば、特許文献1参照)。コアシートは、酸化チタンや無機充填材が配合されることで、ICチップなどのインレットを隠蔽できる隠蔽性が付与される。
特開2009-262557号公報
近年、パスポートやカードでは、高いセキュリティが要求され、また、書き込まれる情報も年々増加しており、透明層を厚くしたい要望がある一方で、データページやカード自体の厚みはそのままに維持することが求められている。そのため、透明層を厚くし、その厚くした分だけコアシートなどの着色層を薄くすることが検討されている。しかし、コアシートなどの着色層を薄くすると、インレットの隠蔽性が不十分となる場合がある。
また、隠蔽性向上のために、酸化チタンなどの充填材を増量することも考えられるが、充填材を単純に増量すると耐曲げ性が低下し、また、ICチップが埋め込みにくくなるなどの加工性が低下する不具合も生じる。
さらに、個人情報などの印字は、透明層により形成され、かつレーザー発色剤を含有するレーザーマーキングシートに対して行うことが多いが、レーザー印字性が不十分なことがあり、レーザー印字性能の向上が求められている。
そこで、本発明は、ICチップなどのインレットの隠蔽性、及びレーザーマーキングシートに対する印字性を高めつつ、耐曲げ性及び加工性も良好にできるカード又はパスポート用フィルムを提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、コアシートなどを形成するためのフィルムにおいて、酸化チタンなどの充填材を一定量以上含有させることで、インレットの隠蔽性を向上させつつ、驚くべきことに、レーザーマーキングシートに積層した際のレーザーマーキングシートのレーザー印字性能が向上すること見出した。また、更に検討の結果、フィルムにさらに耐衝撃改良剤を含有させることで、耐曲げ性及び加工性を良好にできることも見出し、以下の本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下の[1]~[12]を提供する。
[1]樹脂、充填材、及び耐衝撃改良剤を含有するカード又はパスポート用フィルムであって、前記充填材の含有量が25.5質量%より多い、カード又はパスポート用フィルム。
[2]前記耐衝撃改良剤の含有量が1質量%以上30質量%以下である、上記[1]に記載のカード又はパスポート用フィルム。
[3]酸化防止剤及び熱安定剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤(X)をさらに含有し、前記添加剤(X)の含有量が0.01質量%以上3質量%以下である、上記[1]又は[2]に記載のカード又はパスポート用フィルム。
[4]前記充填材の屈折率が2以上である、上記[1]~[3]のいずれかに記載のカード又はパスポート用フィルム。
[5]前記充填材が酸化チタンを含む、上記[1]~[4]のいずれかに記載のカード又はパスポート用フィルム。
[6]前記樹脂がポリカーボネート樹脂及びポリエステル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である、上記[1]~[5]のいずれかに記載のカード又はパスポート用フィルム。
[7]前記樹脂と前記充填材とを含む中層と、前記中層の両面に設けられる両表層を備え、
前記両表層それぞれが、前記樹脂、前記充填材、及び前記耐衝撃改良剤を含有する、上記[1]~[6]のいずれかに記載のカード又はパスポート用フィルム。
[8]コアシートに用いられる、上記[1]~[7]のいずれかに記載のカード又はパスポート用フィルム。
[9]上記[1]~[8]のいずれかに記載のカード又はパスポート用フィルムを備えるインレットシート。
[10]厚みが100μm以上500μm以下である上記[9]に記載のインレットシート。
[11]上記[1]~[8]のいずれかにカード又はパスポート用フィルム、又は上記[9]若しくは[10]に記載のインレットシートを備える、カード。
[12]上記[1]~[8]のいずれかにカード又はパスポート用フィルム又は上記[9]若しくは[10]に記載のインレットシートを備える、パスポート。
本発明によれば、ICチップなどのインレットの隠蔽性、及びレーザーマーキングシートに対する印字性を高めつつ、耐曲げ性及び加工性も良好にできるカード又はパスポート用フィルムを提供する。
ICシートの一例を示す模式的な断面図である。
以下、本発明について実施形態を参考に詳細に説明する。但し、本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また、以下の説明において使用される用語「フィルム」と用語「シート」は明確に区別されるものではなく、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
<カード又はパスポート用フィルム>
本発明のカード又はパスポート用フィルム(以下、単に「本フィルム」ということがある)は、樹脂、充填材及び耐衝撃改良剤を含有する。
[樹脂]
本発明で使用できる樹脂は、熱可塑性樹脂であることが好ましい。熱可塑性樹脂を使用することで、本フィルムを含む複数の樹脂フィルムを重ねて熱プレスにより容易にカード又はパスポートを形成するためのコアシートなどを得ることができる。
使用される樹脂の具体例としては、例えばポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン-ビニルアルコール樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン(メタ)アクリレート共重合樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアセタール樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、ポリアリールエテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。
これら樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、耐久性、加工性の観点から、ポリカーボネート樹脂、及びポリエステル樹脂のいずれかを使用することが好ましく、中でも耐衝撃性及び耐熱性などを優れたものとして、耐曲げ性も良好にする観点から、ポリカーボネート樹脂を使用することがより好ましい。
(ポリカーボネート樹脂)
本フィルムに使用されるポリカーボネート樹脂としては、特に限定されないが、ビスフェノール系ポリカーボネート、又は、構造の一部に後述する式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂などが挙げられる。ポリカーボネート樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリカーボネート樹脂は、上記した中では、ビスフェノール系ポリカーボネートが好ましい。ビスフェノール系ポリカーボネートを使用することで、耐衝撃性及び耐熱性などを優れたものとしやすくなり、耐曲げ性も良好としやすい。
ビスフェノール系ポリカーボネートとは、ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位中50モル%以上、好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上が、ビスフェノールに由来する構造単位であるものをいう。ビスフェノール系ポリカーボネートは、単独重合体または共重合体のいずれであってもよい。また、ビスフェノール系ポリカーボネートは、分岐構造を有してもよいし、直鎖構造であってもよいし、さらに分岐構造を有する樹脂と直鎖構造のみの樹脂との混合物であってもよい。
ビスフェノールの具体例としては、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン(ビスフェノールAP)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(ビスフェノールAF)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン(ビスフェノールB)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン(ビスフェノールBP)、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン(ビスフェノールE)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)プロパン(ビスフェノールG)、1,3-ビス(2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル)ベンゼン(ビスフェノールM)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン(ビスフェノールS)、1,4-ビス(2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル)ベンゼン(ビスフェノールP)、5,5’-(1-メチルエチリデン)-ビス[1,1’-(ビスフェニル)-2-オール]プロパン(ビスフェノールPH)、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(ビスフェノールTMC)、及び、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)などが挙げられる。ビスフェノールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ビスフェノールとしては、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、すなわちビスフェノールAが好ましく用いられるが、ビスフェノールAの一部を他のビスフェノールで置き換えてもよい。
ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位中、ビスフェノールA由来の構造単位は、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、最も好ましくは100モル%である。したがって、ポリカーボネート樹脂としては、ビスフェノールAホモポリカーボネートが最も好ましい。
上記ビスフェノール系ポリカーボネートの製造方法は、例えば、ホスゲン法(界面重合法ともいう)、エステル交換法、ピリジン法などの公知のいずれの方法を用いてもかまわない。
例えば、エステル交換法は、ビスフェノールと炭酸ジエステルとを塩基性触媒、さらにはこの塩基性触媒を中和する酸性物質を添加し、溶融エステル交換縮重合を行う製造方法である。
炭酸ジエステルの具体例としては、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m-クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ビフェニル)カーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート等が例示でき、特にジフェニルカーボネートが好ましく用いられる。
また、ポリカーボネート樹脂としては、既述のとおり、構造の一部に以下の式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(以下、構造単位(A1)ということがある)を含むポリカーボネート樹脂を使用してもよい。構造単位(A1)を含むポリカーボネート樹脂は、植物由来原料により製造でき、環境負荷を低減できる。
Figure 2023029089000001

但し、前記式(1)で表される部位が-CH-O-Hの一部である場合を除く。すなわち、前記ジヒドロキシ化合物は、二つのヒドロキシル基と、さらに前記式(1)の部位を少なくとも含むものをいう。
構造の一部に式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物としては、分子内に式(1)で表される構造を有していれば特に限定されるものではないが、具体的には、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-イソブチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-tert-ブチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-フェニルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3,5-ジメチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-tert-ブチル-6-メチルフェニル)フルオレン9,9-ビス(4-(3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロポキシ)フェニル)フルオレン等、側鎖に芳香族基を有し、主鎖に芳香族基に結合したエーテル基を有する化合物や、下記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物及び下記式(3)で表されるスピログリコール等で代表される環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物が挙げられる。
上記のなかでも環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物が好ましく、特に式(2)で表されるような無水糖アルコールが好ましい。より具体的には、式(2)で表されるジヒドロキシ化合物としては、立体異性体の関係にある、イソソルビド、イソマンニド、イソイデットが挙げられる。また、下記式(3)で表されるジヒドロキシ化合物としては、3,9-ビス(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン(慣用名:スピログリコール)、3,9-ビス(1,1-ジエチル-2-ヒドロキシエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン、3,9-ビス(1,1-ジプロピル-2-ヒドロキシエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカンなどが挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 2023029089000002

Figure 2023029089000003

式(3)において、R~Rはそれぞれ独立に、炭素原子数1~3のアルキル基である。
前記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物は、植物起源物質を原料として糖質から製造可能なエーテルジオールである。とりわけイソソルビドは澱粉から得られるD-グルコースを水添してから脱水することにより安価に製造可能であって、資源として豊富に入手することが可能である。これら事情によりイソソルビドが最も好適に用いられる。
構造単位(A1)を含むポリカーボネート樹脂は、ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位として、構造単位(A1)以外の構造単位をさらに含むことができ、例えば、脂肪族ジヒドロキシ化合物及び脂環式ジヒドロキシ化合物から選択される少なくとも1種のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(以下、構造単位(A2)ということがある)を含有することが好ましい。
構造単位(A1)を含むポリカーボネート樹脂に使用する脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、その炭素原子数に関して特に限定されないが、好ましくは炭素原子数2~12程度、より好ましくは炭素原子数2~6の脂肪族ジヒドロキシ化合物が挙げられる。具体的には例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、2-エチル-1,6-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、水素化ジリノレイルグリコール,水素化ジオレイルグリコール等が挙げられる。好ましくはエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオールから選択される少なくとも1種が挙げられ、より好ましくはエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、及び1,6-ヘキサンジオールから選択される少なくとも1種が挙げられる。また、脂肪族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位としては、例えば国際公開第2004/111106号パンフレットに記載のものも使用できる。
構造単位(A1)を含むポリカーボネート樹脂に使用する脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位は、5員環構造又6員環構造の少なくともいずれかを含むことが好ましく、特に6員環構造は共有結合によって椅子型又は舟型に固定されていてもよい。これら構造の脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むことによって、得られるポリカーボネート樹脂の耐熱性を高めることができる。
脂環式ジヒドロキシ化合物に含まれる炭素原子数は、例えば5~70、好ましくは6~50、さらに好ましくは8~30である。
上記脂環式ジヒドロキシ化合物としては、好ましくは、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、アダマンタンジオール及びペンタシクロペンタデカンジメタノールから選択される少なくとも1種が挙げられ、経済性や耐熱性の観点から、シクロヘキサンジメタノール又はトリシクロデカンジメタノールがさらに好ましく、シクロヘキサンジメタノールがよりさらに好ましい。シクロヘキサンジメタノールは、工業的に入手が容易である点から、1,4-シクロヘキサンジメタノールが特に好ましい。
また、脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位としては、国際公開第2007/148604号パンフレットに記載のものも使用できる。
構造単位(A1)を含むポリカーボネート樹脂における構造単位(A1)の含有割合は、ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位中、好ましくは30モル%以上、さらに好ましくは40モル%以上、よりさらに好ましくは45モル%以上であり、また好ましくは75モル%以下、より好ましくは70モル%以下、さらに好ましくは65モル%以下である。かかる範囲とすることで、カーボネート構造に起因する着色、植物資源物質を用いる故に微量含有する不純物に起因する着色等を効果的に抑制することができる。また、構造単位(A1)のみで構成されるポリカーボネート樹脂では達成が困難な、適当な成形加工性や機械強度、耐熱性等の物性バランスを取ることができる傾向となる。
一方で、構造単位(A1)を含むポリカーボネート樹脂における構造単位(A2)の含有割合は、ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位中、好ましくは25モル%以上、より好ましくは30モル%以上、さらに好ましくは35モル%以上であり、また、好ましくは70モル%以下、より好ましくは60モル%以下、さらに好ましくは55モル%以下である。
構造単位(A1)を含むポリカーボネート樹脂は、ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位が、構造単位(A1)と、構造単位(A2)とからなることが好ましいが、その他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位が含まれていてもよい。具体的には2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(通称:ビスフェノールA)などのビスフェノールで代表される芳香環含有ジヒドロキシ化合物を、少量共重合させたりすることが挙げられる。芳香環含有ジヒドロキシ化合物を使用すると、耐熱性や成形加工性を効率よく改善できることが期待できるが、多く配合すると耐候性に不具合が生じる傾向があるため、耐候性に不具合が生じない程度の量で使用するとよい。
ビスフェノールA以外の芳香環含有ジヒドロキシ化合物としては、例えば、α,α’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-m-ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノールM)、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルフィド、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(ビスフェノールAF)及び1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)デカン等が挙げられる。
上記した構造単位(A1)を含むポリカーボネート樹脂は、一般に行われる重合方法で製造することができ、ホスゲン法、炭酸ジエステルと反応させるエステル交換法のいずれでも製造できる。中でも、重合触媒の存在下に、構造の一部に前記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物とその他のジヒドロキシ化合物とを、炭酸ジエステルと反応させるエステル交換法が好ましい。エステル交換法は、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル、塩基性触媒、該触媒を中和させる酸性物質を混合し、エステル交換反応を行う重合方法である。炭酸ジエステルの具体例は、上記の通りであり、中でもジフェニルカーボネートが好適に用いられる。
ポリカーボネート樹脂の質量平均分子量は、力学特性と成形加工性のバランスから、通常10000以上、好ましくは30000以上、より好ましくは38000以上、さらに好ましくは40000以上であり、また、通常100000以下、好ましくは80000以下の範囲である。なお、質量平均分子量の測定は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレンを標準物質として測定できる。
また、後述するとおり、ポリカーボネート樹脂は、添加剤(X)を配合しなくても発泡を抑制できる観点から、低分子量とすることが好ましく、そのような観点からポリカーボネート樹脂の質量平均分子量を70000以下とすることが好ましく、65000以下とすることがより好ましく、60000以下とすることがさらに好ましく、56000以下とすることがよりさらに好ましい。
一方、ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性、動的曲げ耐久性、荷重たわみ温度等の耐熱性の観点から、高分子量とすることも好ましく、そのような観点からもポリカーボネート樹脂の質量平均分子量を37000以上とすることが好ましく、40000以上とすることがより好ましく、45000以上とすることがさらに好ましく、50000以上とすることがよりさらに好ましく、55000以上とすることがよりさらに好ましく、58000以上とすることがよりさらに好ましく、60000以上とすることがよりさらに好ましく、63000以上とすることが特に好ましい。
また、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、力学特性と成形加工性のバランスから、通常12000以上、好ましくは15000以上、より好ましくは20000以上、さらに好ましくは22000以上であり、よりさらに好ましくは26000以上であり、特に好ましくは29000以上であり、また、通常、50000以下、好ましくは45000以下、より好ましくは40000以下、さらに好ましくは35000以下の範囲である。また、添加剤(X)を配合しなくても発泡を抑制できる観点からも粘度平均分子量は、33000以下とすることが好ましい。
なお、粘度平均分子量の測定は、溶媒としてジクロロメタンを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度20℃での極限粘度([η])(単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式:η=1.23×10-40.83の式から算出できる。
ポリカーボネート樹脂のメルトフローレート(300℃、1.2kgf)は、力学特性と成形加工性などの観点から、好ましくは1g/10分以上であり、より好ましくは3g/10分以上であり、さらに好ましくは5g/10分以上であり、よりさらに好ましくは6g/10分以上であり、また、好ましくは50g/10分以下であり、より好ましくは40g/10分以下であり、さらに好ましくは30g/10分以下であり、よりさらに好ましくは25g/10分以下であり、よりさらに好ましくは20g/10分以下である。なお、ポリカーボネート樹脂のメルトフローレートは、ISO 1133に準拠して測定できる。
ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度は、好ましくは110℃以上であり、より好ましくは125℃以上、さらに好ましくは135℃以上、よりさらに好ましくは140℃以上であり、また、好ましくは200℃以下、より好ましくは175℃以下、より好ましくは170℃以下、さらに好ましくは165℃以下である。
ガラス転移温度を上記下限値以上とすることで、適切な耐熱性を付与しやすくなり、カード又はパスポートを作製する際の寸法変化を小さくしやすくなる。また、上記上限値以下とすることで成形性等も良好となる。
なお、ガラス転移温度は、粘弾性スペクトロメーターを用い、JIS K7244-4:1999に準拠して、歪み0.07%、周波数1Hz、昇温速度3℃/分、引張モードにて動的粘弾性の温度分散測定を行い、損失弾性率のピークトップの温度を求めることで得ることができる。
(ポリエステル樹脂)
ポリエステル樹脂としては、ジカルボン酸とジヒドロキシ化合物とを重縮合して得られるポリエステルが挙げられる。なお、ジカルボン酸としては、ジカルボン酸のエステル、酸ハロゲン化物などのジカルボン酸誘導体がポリエステル樹脂の合成に供されてもよい。樹脂として、ポリエステル樹脂を使用すると、低温融着性が良好となり、本フィルムを比較的低い温度で加熱融着により他のフィルムに接着させやすくなる。また、加工性などを向上させやすくなる。
ポリエステル樹脂を得るために使用されるジカルボン酸としては、耐熱性の観点から、芳香族ジカルボン酸を使用することが好ましく、したがって、ポリエステル樹脂は、芳香族ジカルボン酸由来の構造単位を含むことが好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン-1,4-ジカルボン酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、ナフタレン-2,7-ジカルボン酸、ナフタレン-1,5-ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸、5-スルホイソフタル酸、3-スルホイソフタル酸ナトリウム、2-クロロテレフタル酸、2,5-ジクロロテレフタル酸、2-メチルテレフタル酸等が挙げられ、これらの中では、テレフタル酸、イソフタル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
芳香族ジカルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
芳香族ジカルボン酸由来の構造単位は、ポリエステル樹脂中のジカルボン酸由来の構造単位中に、例えば60モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上含まれることがさらに好ましい。また、上限に関しては、特に限定されず、100モル%以下であればよいが、最も好ましくは100モル%である。
また、ポリエステル樹脂は、芳香族ジカルボン酸由来の構造単位に加えて、脂肪族ジカルボン酸由来の構造単位を少量(通常40モル%以下、例えば30モル%以下、好ましくは20モル%以下の範囲で)含んでもよい。脂肪族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、1,3または1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、4,4’-ジシクロヘキシルジカルボン酸等が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリエステル樹脂は、鎖式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むことが好ましい。ポリエステル樹脂は、鎖式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むことで、本フィルムの低温融着性が良好となりやすい。
ポリエステル樹脂に使用される鎖式ジヒドロキシ化合物は、直鎖であってもよいし、分岐構造を有してもよい。鎖式ジヒドロキシ化合物の具体例としては、エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、トリエチレングリコール、1,2-ヘキサデカンジオール、1,18-オクタデカンジオールなどの炭素原子数2~18程度の鎖式ジヒドロキシ化合物やポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリプロプレングリコール、ポリエチレングリコール等のポリグリコールが挙げられる。これらの中では、炭素原子数2~12の鎖式ジヒドロキシ化合物が好ましく、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール及び1,6-ヘキサンジオールから選択される1種又は2種以上であることがより好ましく、中でもエチレングリコール(EG)が特に好ましい。
鎖式ジヒドロキシ化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリエステル樹脂は、ジヒドロキシ化合物を2種以上共重合成分として使用した共重合体ポリエステル樹脂であることが好ましい。具体的には、ポリエステル樹脂を得るために使用されるジヒドロキシ化合物として、鎖式ジヒドロキシ化合物に加えて、脂環式ジヒドロキシ化合物を使用することが好ましい。したがって、ポリエステル樹脂は、鎖式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位に加えて、脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を有することが好ましい。脂環式ジヒドロキシ化合物を使用することで、耐熱性、耐溶剤性などが良好となりやすい。
脂環式ジヒドロキシ化合物の具体例としては、テトラメチルシクロブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、トリシクロデカンジメタノール、アダマンタンジオール、ペンタシクロペンタデカンジメタノールなどが挙げられる。これらの中ではテトラメチルシクロブタンジオール、シクロヘキサンジメタノールが好ましい。なお、シクロヘキサンジメタノールとしては、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノールがあるが、工業的に入手が容易である点から、1,4-シクロヘキサンジメタノールが好ましい。また、テトラメチルシクロブタンジオールとしては、一般的には、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールが使用される。
脂環式ジヒドロキシ化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。脂環式ジヒドロキシ化合物としては、少なくともシクロヘキサンジメタノールを使用することが好ましく、耐曲げ性の観点からはテトラメチルシクロブタンジオールとシクロヘキサンジメタノールを併用することが好ましい。
ポリエステル樹脂は、鎖式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位及び脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の合計100モル%中、脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の割合が、例えば5モル%以上、好ましくは15モル%以上、より好ましくは20モル%以上であり、また、例えば99モル%以下、好ましくは95モル%以下、より好ましくは90モル%以下、さらに好ましくは80モル%以下である。ポリエステル樹脂は、脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を一定量以上含有することで、耐熱性が良好となりやすくなる。また、脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を一定量以下とし、鎖式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を一定量以上含有することで、低温融着性が良好となりやすい。
ポリエステル樹脂は、特に、高温環境下での貯蔵弾性率や加熱伸縮率等の耐熱性や耐溶剤性の観点においては、鎖式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位及び脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の合計100モル%中、脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の割合が、好ましくは65モル%超、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、よりさらに好ましくは90モル%以上である。また、鎖式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位及び脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の合計100モル%中、脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の割合は、低温融着性の観点においては、好ましくは65モル%以下、より好ましくは55モル%以下、さらに好ましくは45モル%以下、よりさらに好ましくは40モル%以下である。
ポリエステル樹脂に使用されるジヒドロキシ化合物としては、本発明の効果を損なわない範囲で、鎖式ジヒドロキシ化合物及び脂環式ジヒドロキシ化合物以外のジヒドロキシ化合物(「他のジヒドロキシ化合物」ともいう)を使用してもよい。ポリエステル樹脂において、他のジヒドロキシ化合物由来の構造単位の含有量は、ポリエステル樹脂中のジヒドロキシ化合物由来の構造単位100モル中、例えば20モル%以下、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下、最も好ましくは0モル%である。
他のジヒドロキシ化合物としては、p-キシレンジオール、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2-ヒドロキシエチルエーテル)、α,α’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-m-ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノールM)、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルフィド、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(ビスフェノールAF)、及び1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)デカンなどが挙げられる。
ポリエステル樹脂は、上記した中でも、低温融着性、耐熱性、耐溶剤性などの観点から、エチレングリコールに由来する構造単位及びシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位を含むことが好ましく、エチレングリコールに由来する構造単位、シクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位、及びテトラメチルシクロブタンジオールに由来する構造単位を含むことも好ましい。
ポリエステル樹脂は、非晶性ポリエステルであることが好ましい。非晶性ポリエステルを使用することで、本フィルムの樹脂フィルムなどの他の部材に対する接着性が良好となりやすい。非晶性ポリエステルは、実質的に非結晶性であるポリエステルであればよい。実質的に非結晶性(低結晶性のものも含む。)であるポリエステルとしては、示差走査熱量計(DSC)により、昇温時に明確な結晶融解ピークを示さないポリエステル、及び、結晶性を有するものの結晶化速度が遅く、押出し製膜法などによる成形時に結晶性が高い状態とならないポリエステル、結晶性を有するものの示差走査熱量計(DSC)により、昇温時観測される結晶融解熱量(△Hm)が10J/g以下と低い値であるものを使用することができる。すなわち、本発明における非晶性とポリエステルには、“非結晶状態である結晶性のポリエステル”をも包含する。
本フィルムは、上記のとおり、樹脂としてポリカーボネート樹脂を使用することが好ましいが、ポリカーボネート樹脂を使用する場合、ポリカーボネート樹脂単独で使用してもよいし、ポリカーボネート樹脂以外の樹脂を併用してもよい。そのような樹脂としては、汎用的に使用される公知の樹脂を使用するとよいが、例えば、ポリエステル樹脂を使用することが好ましい。ポリカーボネート樹脂と併用されるポリエステル樹脂の詳細は、上記の通りである。
本フィルムを構成する樹脂は、ポリカーボネート樹脂を主成分として含有することが好ましく、ポリカーボネート樹脂は、本フィルムを構成する樹脂全量に対して、例えば50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、最も好ましくは100質量%である。
[フィルムの層構造]
本フィルムは、単層構造であってもよいが、多層構造であってもよい。なお、以下の説明において多層構造のフィルムを積層フィルムということがある。多層構造である場合には、積層フィルムを構成する各層は、いずれも樹脂を含有するが、各層を構成する樹脂の詳細は、上記で説明したとおりである。
したがって、各層を構成する樹脂は、いずれも熱可塑性樹脂であることが好ましく、ポリカーボネート樹脂、及びポリエステル樹脂のいずれかを使用することが好ましく、中でもポリカーボネート樹脂を使用することがより好ましい。各層を構成する樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上の混合物を使用してもよい。
各層において、ポリカーボネート樹脂を使用する場合、ポリカーボネート樹脂単独で使用してもよいし、ポリカーボネート樹脂以外の樹脂を混合させてもよい。ポリカーボネート樹脂以外の樹脂は、汎用的に使用される公知の樹脂を使用するとよいが、ポリカーボネート樹脂と相溶しやすい樹脂を使用するとよく、例えば、ポリエステル樹脂を使用することが好ましい。ポリカーボネート樹脂に併用されるポリエステル樹脂の詳細は、上記の通りである。
本フィルムの各層を構成する樹脂は、ポリカーボネート樹脂を主成分として含有することが好ましく、ポリカーボネート樹脂は、各層を構成する樹脂全量に対して、例えば50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、最も好ましくは100質量%である。
積層フィルムにおける層構成は、特に限定されず、2層以上を有すればよいが、中層の両面に表層が設けられた、表層/中層/表層の構造を有することが好ましい。表層/中層/表層の構造を有する場合、これら3層からなってもよいが、表層と中層の間には、適宜接着層などが設けられたり、中層が2層以上設けられたりして、3層以上の構造を有してもよい。
[充填材]
本フィルムは、上記のとおり充填材を含有する。本フィルムは、充填材を含有することで、光透過性が低くなり、隠蔽性を発揮させることができる。
本フィルム全体における充填材の含有量は、本フィルム全量基準で、25.5質量%より多くする。充填材の含有量が25.5質量%以下であると、隠蔽性を十分に向上させることができない。そのため、例えば本フィルムをICシートなどのインレットシートに使用した場合、適切な厚みのインレットシートによりICチップなどのインレットが十分に隠蔽できない。
本フィルムは、充填材を上記の通り大量に含有させることで、本フィルムにレーザーマーキングシートが積層される場合、そのレーザーマーキングシートのレーザー印字性を高めることができる。レーザーマーキングシートのレーザー印字性を高める原理は定かではないが、充填材を多量に含有する本フィルムは、レーザー光を多く反射させ、その反射光により、本フィルムに積層されたレーザーマーキングシートのレーザー印字性を高めることができると考えられる。また、レーザーマーキングシートが本フィルムに直接積層される場合には、その界面においてレーザー光による炭化や、レーザー発色剤による発色が生じやすくなり、レーザー印字性をより一層高めることができると考えられる。
レーザー印字性及び隠蔽性の観点から、特にレーザー印字性の観点から、本フィルム全体における充填材の含有量は、27質量%以上が好ましく、29質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましく、31質量%以上がよりさらに好ましく、33質量%以上がよりさらに好ましく、35質量超がさらに好ましく、36質量%以上がよりさらに好ましく、37質量%以上がよりさらに好ましく、39質量%以上がよりさらに好ましく、40質量%以上が特に好ましい。
本フィルム全体における充填材の含有量は、耐曲げ性などの機械特性を良好に維持する観点から、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、48質量%以下がさらに好ましく、46質量%以下がよりさらに好ましく、44質量%以下がよりさらに好ましく、42質量%以下が特に好ましい。
充填材としては、無機充填材、有機充填材のいずれでもよいが、例えば、酸化チタン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、酸化バリウム、酸化亜鉛、カーボンブラック、シリカ、チタン酸鉛、チタン酸カリウム、酸化ジルコン、硫化亜鉛、酸化アンチモン、酸化亜鉛などの無機充填材が挙げられる。これらの中でも、屈折率が2以上である充填材から選択される少なくとも1種が好ましく、屈折率は2.2以上であることがより好ましく、2.4以上であることがさらに好ましい。屈折率が2以上である充填材としては、例えば、酸化チタン、チタン酸鉛、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、酸化ジルコン、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、硫化亜鉛、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。屈折率が2以上である充填材を使用することで、隠蔽性及びレーザー印字性がより一層良好となる。また、本フィルムを白色に着色することができる。これら観点から、充填材としては、酸化チタンがより好ましい。酸化チタンとしては、特に限定されないが、ルチル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタン等が例示できる。なお、充填材の屈折率は、ベッケ線法により測定することができる。
充填材の平均粒子径は、特に限定されないが、例えば、0.01μm以上1μm以下、好ましくは0.05μm以上0.8μm以下、より好ましくは0.08μm以上0.6μm以下、さらに好ましくは0.1μm以上0.5μm以下、よりさらに好ましくは0.12μm以上0.4μm以下である。なお、平均粒子径は、走査型電子顕微鏡で観察される平均一次粒子径をいう。
本フィルムは、積層フィルムの場合、少なくとも1層が充填材を含有すればよいが、全ての層が充填材を含有することが好ましい。全ての層が充填材を含有することで、本フィルムに多量の充填材を含有させやすくなり、レーザー発色性及び隠蔽性の両方を向上させやすくなる。例えば、表層/中層/表層の構造を有する積層フィルムにおいては、両表層及び中層がいずれも充填材を含有することが好ましい。
積層フィルムにおいて、各層に含有される充填材の種類は、互いに異なってもよいが、同じであることが好ましい。したがって、積層フィルムの全ての層(例えば、両表層及び中層)が、充填材として、屈折率が2以上である充填材から選択される少なくとも1種を含有することが好ましく、酸化チタンを含有することがより好ましい。
なお、各層における充填材の含有量は、本フィルム全体における充填材の含有量が上記範囲内となるように調整すればよいが、充填材は、各層に均等に含有させることが好ましい。充填材を各層に均等に含有させることで、曲げ性などの機械強度が局所的に低くなることを防止して、フィルム全体の耐曲げ性などの機械強度を良好にしやすくなる。
したがって、各層(例えば、両表層及び中層それぞれ)における充填材の含有量は、各層の質量基準で、25.5質量%より多ければよい。そして、各層における充填材の上限値及び下限値の好適値は、上記した本フィルム全体における充填材の含有量の好適値と同じである。
[耐衝撃改良剤]
本フィルムは、上記の通り耐衝撃改良剤を含有する。本フィルムは、上記の通り酸化チタンなどの充填材を多量に含有しても、耐衝撃改良剤をさらに含有することで、実使用での折り曲げ、衝撃等の外的衝撃から生ずる影響を緩和して、耐曲げ性を良好に維持しやすくなる。また、樹脂として例えばポリカーボネート樹脂などの特定の樹脂を使用したことや、酸化チタン等の充填材の多量配合等に起因して生じる、加熱時の軟化性や流動性の低下を防止して、加工性を良好に維持しやすくなる。そのため、ICチップを埋め込みにくくなるなどの不具合が生じにくくなる。
耐衝撃改良剤としては、軟質スチレン系樹脂、エラストマーなどが挙げられる。エラストマーは、コア・シェル型エラストマーであってもよい。耐衝撃改良剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
耐衝撃改良剤としては、上記の中でもコア・シェル型エラストマーが好ましい。コア・シェル型エラストマーを使用することで、耐衝撃性が一層向上して、耐曲げ性がより一層良好となる。
軟質スチレン系樹脂は、スチレン重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックを含むブロック共重合体や、スチレン重合体ブロックとアクリロニトリルブロックを含むブロック共重合体などが挙げられる。
軟質スチレン系樹脂中に占めるスチレン含有量は、例えば5質量%以上80質量%以下であるが、好ましくは10質量%以上50質量%以下、より好ましくは15質量%以上30質量%以下である。スチレン含有量が上記範囲にあることにより、耐衝撃性の付与効果がより向上する。
軟質スチレン系樹脂に用いる共役ジエン系重合体ブロックとしては、ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン等の単独重合体、それらの共重合体、または、共役ジエン系モノマーと共重合可能なモノマーをブロック内に含む共重合体等を用いることができる。
具体的な軟質スチレン系樹脂としては、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)、シリコーン-アクリル複合ゴム・アクリロニトリル・スチレン共重合体(SAS)、メタクリル酸メチル・無水マレイン酸・スチレン共重合体(SMM)、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル-スチレン-アクリルゴム共重合体(ASA)、アクリロニトリル-エチレンプロピレン系ゴム-スチレン共重合体(AES)等が挙げられる。具体的な商品としては、クレイトンポリマー社製「クレイトンD」シリーズ、アロン化成社製「AR-100」シリーズ、UMG ABS社製「ダイヤラック」シリーズ、旭化成ケミカルズ社製「デルペット」シリーズ等が挙げられる。また、軟質スチレン系樹脂は、後述するスチレン系エラストマーとして、JSR社製「ダイナロン」シリーズ、旭化成ケミカルズ社製「タフテック」シリーズ、クラレ社製「ハイブラー」シリーズなども使用できる。
なお、ブロック共重合体はピュアブロック、ランダムブロック、テーパードブロック等を含み、共重合の形態については特に限定されない。また、そのブロック単位も繰り返し単位がいくつも重なっても構わない。具体的にはスチレン・ブタジエンブロック共重合体の場合、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン・ブタジエンブロック共重合体のようにブロック単位がいくつも繰り返されても構わない。
また、SBSやSISの共役ジエン系重合体ブロックの二重結合の一部、または、全部を水素添加した水素添加スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SEBS)、水素添加スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)を用いることもできる。具体的な商品としては、旭化成ケミカルズ社製「タフテックH」シリーズ、クレイトンポリマー社製「クレイトンG」シリーズ等があげられる。
軟質スチレン系樹脂には、極性を有する官能基を付与することも可能である。極性を有する官能基の具体例としては、酸無水物基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、カルボン酸塩化物基、カルボン酸アミド基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、スルホン酸塩化物基、スルホン酸アミド基、スルホン酸塩基、エポキシ基、アミノ基、イミド基、オキサゾリン基などが挙げられる。これらの中でも、酸無水物基やエポキシ基を付与することが好ましい。
極性を有する官能基を付与した軟質スチレン系樹脂としては、SEBS、SEPSの変性体が好ましく用いられる。具体的には、無水マレイン酸変性SEBS、無水マレイン酸変性SEPS、エポキシ変性SEBS、エポキシ変性SEPSなどが挙げられる。具体的な商品としては、旭化成ケミカルズ社製「タフテックM」シリーズ、JSR社製「ダイナロン」シリーズ、ダイセル化学工業社製「エポフレンド」シリーズ等が挙げられる。
また、軟質スチレン系樹脂は、エラストマー成分を含むスチレン系エラストマーであってもよい。具体的には、上記したものの中では、スチレン成分と、ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン等のブロック共重合体が挙げられ、これらの変性物や、水素添加物などであってもよい。より具体的には、SBS、SIS、SEBS、SEPSなどが挙げられる。
エラストマーとしては、スチレン系エラストマー以外であってもよく、ポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ジエン系エラストマー、アクリル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、フッ素系エラストマー、シリコーン系エラストマー等公知のものが挙げられる。エラストマーは、一般的に熱可塑性エラストマーである。エラストマーは、好ましくは、ポリエステル系エラストマー、又は上記したスチレン系エラストマーである。
ポリエステル系エラストマーは、常温でゴム特性をもつ熱可塑性ポリエステルであり、好ましくは、ポリエステル系ブロック共重合体を主成分とした熱可塑性エラストマーであり、ハードセグメントとして高融点・高結晶性の芳香族ポリエステル、ソフトセグメントとして非晶性ポリエステルや非晶性ポリエーテルを有するブロック共重合体であるものが好ましい。ポリエステル系エラストマーのソフトセグメントの含有量は、少なくとも全セグメント中の20~95モル%であり、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールのブロック共重合体(PTMG-PBT共重合体)の場合は50~95モル%である。好ましいソフトセグメントの含有量は50~90モル%、特に60~85モル%である。中でも、ポリエステルエーテルブロック共重合体、特にPTMG-PBT共重合体が好ましい。
コア・シェル型エラストマーは、最内層(すなわち、コア)とそれを覆う1層以上の外層(すなわち、シェル)とから構成される。コア・シェル型エラストマーとしては、コアに対してグラフト共重合可能な単量体成分がシェルとしてグラフト共重合されたコア・シェル型グラフト共重合体であることが好ましい。
コア・シェル型グラフト共重合体は、通常、ゴム成分と呼ばれる重合体成分をコアとする。コア・シェル型グラフト共重合体においては、コアを構成する重合体成分と、この重合体成分と共重合可能な単量体成分がシェルとしてグラフト共重合されていることが好ましい。
コア・シェル型グラフト共重合体の製造方法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などのいずれの製造方法であってもよく、共重合の方式は一段グラフトでも多段グラフトであってもよい。但し、通常、市販で入手可能なコア・シェル型エラストマーをそのまま使用することができる。市販で入手可能なコア・シェル型エラストマーは後に例示する。
コアを形成する重合体成分の具体例としては、ポリブタジエン、スチレン-ブタジエン共重合体などのブタジエン系ゴム、イソプレン系ゴム、ポリブチルアクリレート、ポリ(2-エチルヘキシルアクリレート)、ブチルアクリレート・2-エチルヘキシルアクリレート共重合体などのアクリル系ゴム、ポリオルガノシロキサンゴムなどのシリコーン系ゴム、ブタジエン・アクリル複合ゴム、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキルアクリレートゴムとからなるIPN(Interpenetrating Polymer Network)型複合ゴムなどのシリコーン・アクリル複合ゴム、、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブテン共重合体、エチレン-オクテン共重合体などのエチレン-αオレフィン系ゴム、エチレン-アクリルゴム、フッ素ゴムなど挙げることができる。これらは、単独で使用してもよいし2種以上を併用してもよい。これらの中でも、機械的特性や表面外観の面から、ブタジエン系ゴム、アクリル系ゴム、シリコーン系ゴム、及びシリコーン・アクリル複合ゴムから選ばれる少なくとも1種が好ましく、中でもブタジエン系ゴム及びシリコーン・アクリル複合ゴムから選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
シェルを構成する、コアの重合体成分とグラフト共重合可能な単量体成分の具体例としては、芳香族ビニル化合物;シアン化ビニル化合物;(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸化合物、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル化合物などの(メタ)アクリル系化合物;マレイミド、N-メチルマレイミド、N-フェニルマレイミド等のマレイミド化合物;マレイン酸、フタル酸、イタコン酸等のα,β-不飽和カルボン酸化合物やそれらの無水物(例えば無水マレイン酸等)などが挙げられる。これらの単量体成分は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、機械的特性や表面外観の面から、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル系化合物が好ましく、より好ましくは、芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル系化合物、中でも(メタ)アクリル酸エステル化合物である。
芳香族ビニル化合物の具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、1-ビニルナフタレン、4-メチルスチレン、4-プロピルスチレン、4-シクロヘキシルスチレン、4-ドデシルスチレン、2-エチル-4-ベンジルスチレン、4-(フェニルブチル)スチレンまたはハロゲン化スチレンなどが挙げられ、なかでも、スチレンまたはα-メチルスチレンがより好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル等が挙げられ、これらの中でも比較的入手しやすい(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルが好ましく、(メタ)アクリル酸メチルがより好ましい。なお、「(メタ)アクリル」とは「アクリル」と「メタクリル」とを総称するものである。
コア・シェル型エラストマーとしては、ブタジエン系ゴム、アクリル系ゴム、シリコーン系ゴム、及びシリコーン・アクリル複合ゴムから選ばれる少なくとも1種の重合体成分をコアとし、その周囲に(メタ)アクリル酸エステルなどの(メタ)アクリル系化合物や芳香族ビニル化合物をグラフト共重合して形成されたシェルからなる、コア・シェル型グラフト共重合体が特に好ましい。コア・シェル型グラフト共重合体におけるコアの重合体成分の含有量は、40質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがよい好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましく、80質量%以上であることがよりさらに好ましい。
また、コア・シェル型グラフト共重合体のシェルにおける、(メタ)アクリル系化合物(中でも、(メタ)アクリル酸エステル)成分及び芳香族ビニル化合物成分の合計含有量は、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることがさらに好ましく、70質量%以上であることがよりさらに好ましい。シェルでは、(メタ)アクリル系化合物及び芳香族ビニル化合物のいずれかが単独で使用されてもよいし、これらは併用されてもよい。
コア・シェル型エラストマーの好ましい具体例としては、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン共重合体(MBS)、メチルメタクリレート-アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(MABS)、メチルメタクリレート-ブタジエン共重合体(MB)、メチルメタクリレート-アクリルゴム共重合体(MA)、メチルメタクリレート-アクリルゴム-スチレン共重合体(MAS)、メチルメタクリレート-アクリル・ブタジエンゴム共重合体、メチルメタクリレート-アクリル・ブタジエンゴム-スチレン共重合体、メチルメタクリレート-(アクリル・シリコーン複合ゴム)共重合体等が挙げられる。
市販で入手可能なコア・シェル型グラフト共重合体としては、例えば、ダウケミカル・ジャパン社製の「パラロイドEXL2602」、「パラロイドEXL2603」、「パラロイドEXL2690」、「パラロイドEXL2691J」、「パラロイドEXL2650J」「パラロイドEXL2655」、「パラロイドEXL2311」、「パラロイドEXL2313」、「パラロイドEXL2315」、「パラロイドKM330」、「パラロイドKM336P」、「パラロイドKCZ201」、三菱ケミカル社製の「メタブレンC-223A」、「メタブレンE-901」、「メタブレンS-2001」、「メタブレンW-450A」、「メタブレンSRK-200」、「メタブレンE-870A」、カネカ社製の「カネエースM-210」、「カネエースM-511」、「カネエースM-600」、「カネエースM-400」、「カネエースM-580」、「カネエースM-590」、「カネエースM-711」、「カネエースMR-01」、「カネエースM-300」等が挙げられる。
これらのコア・シェル型グラフト共重合体等の耐衝撃改良剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本フィルム全体における耐衝撃改良剤の含有量は、本フィルム全量基準で、1質量%以上30質量%以下であることが好ましい。耐衝撃改良剤の含有量を1質量%以上とすると、外的衝撃から生ずる影響を適度に緩和して、耐曲げ性などが向上しやすくなる。また、使用する樹脂の種類や充填材の多量配合に起因する、フィルム加熱時の軟化性や流動性の低下を防止して、加工性を良好に維持しやすくなる。
一方で、30質量%以下とすることで、含有量に見合った効果を発揮することができる。また、本フィルムの耐熱性などの各種物性が低下したり、本フィルムの加工時の流動性が高くなりすぎたりすることも防止できる。
これら観点から、本フィルム全体における耐衝撃改良剤の含有量は、1.5質量%以上がより好ましく、2質量%以上がさらに好ましく、2.5質量%以上がよりさらに好ましく、3質量%以上が特に好ましい。また、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることがさらに好ましく、10質量%以下であることがよりさらに好ましく、8質量%以下であることが特に好ましく、6質量%以下であることが最も好ましい。
本フィルムは、積層フィルムの場合、少なくとも1層が耐衝撃改良剤を含有すればよい。積層フィルムは、全ての層が耐衝撃改良剤を含有してもよいが、フィルムの最表層を構成する表面層が少なくとも耐衝撃改良剤を含有することが好ましい。
したがって、表層/中層/表層の構造を有する積層フィルムにおいては、両表層が耐衝撃改良剤を含有することが好ましく、したがって、両表層は、樹脂及び充填材に加えて耐衝撃改良剤を含有することが好ましい。一方で、中層は、樹脂及び充填材を含有するとよいが、耐衝撃改良剤は含有しないか、または、含有していても両表層よりも少ない含有量で耐衝撃改良剤を含有することが好ましい。
このように、両表層に充填材を相対的に多く含有させることで、フィルム全体における耐衝撃改良剤の含有量をそれほど多くしなくても、耐曲げ性や耐衝撃性を良好にし、かつ加工性を向上させて、ICチップなどの埋め込み性も良好にしやすくなる。
両表層それぞれにおける耐衝撃改良剤の含有量は、各層の質量基準で2質量%以上が好ましく、4質量%以上がより好ましく、6質量%以上がさらに好ましく、8質量%以上がよりさらに好ましく、また、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、25質量%以下がさらに好ましく、20質量%以下がよりさらに好ましく、15質量%以下が特に好ましい。
一方で、上記の通り、中層における耐衝撃改良剤の含有量は、各層の質量基準で両表層それぞれにおける耐衝撃改良剤の含有量よりも少なくするとよく、好ましくは4質量%未満、より好ましくは2質量%未満、さらに好ましくは1質量%以下、より更に好ましくは0.5質量%以下、最も好ましくは0質量%である。
[熱安定剤/酸化防止剤(添加剤(X))]
本フィルムは、熱安定剤及び酸化防止剤から選択される少なくとも1種の添加剤(X)を含有することが好ましい。本フィルムは、上記のとおり多量の充填材を含有することで、発泡が生じて外観不良が発生するおそれがあるが、添加剤(X)を含有することで、発泡を抑制して、フィルムの外観を良好にすることができる。
本フィルムは、添加剤(X)として、熱安定剤及び酸化防止剤の一方、又はこれら両方を含有すればよいが、少なくとも熱安定剤を含有することが好ましく、熱安定剤と酸化防止剤を併用することがより好ましい。
(熱安定剤)
熱安定剤としては、例えばリン系化合物が挙げられる。リン系化合物としては、公知のものを使用できる。具体例を挙げると、リン酸、ホスホン酸、亜燐酸、ホスフィン酸、ポリリン酸などのリンのオキソ酸、酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、酸性ピロリン酸カルシウムなどの酸性ピロリン酸金属塩、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸セシウム、リン酸亜鉛など第1族または第2B族金属のリン酸塩、有機ホスファイト化合物、有機ホスフェート化合物、有機ホスホナイト化合物などが挙げられる。また、有機ホスフェート化合物、有機ホスファイト化合物、有機ホスホナイト化合物などは、金属塩を使用してもよい。
有機ホスファイト化合物としては、トリフェニルホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノノニル/ジノニル・フェニル)ホスファイト、トリス(2,5-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス〔2,4-ビス(1,1-ジメチルプロピル)フェニル〕ホスファイト、トリス(モノー/ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリステアリルホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェニル-ジ-トリデシルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニルホスファイト)、3,9-ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン等の各種の亜リン酸エステルが挙げられる。これらの中でも、トリステアリルホスファイト等のトリアルキルホスファイトが好ましい。
また、有機ホスファイト化合物としては、少なくとも1つのオキセタン基を有する亜リン酸エステルも使用できる。そのようなオキセタン基含有亜リン酸エステルは、1つ、2つまたは3つのオキセタン基を有してよい。
オキセタン基含有亜リン酸エステルの例は、トリス[(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル]ホスファイト、ビス[(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル]ホスファイト、モノ[(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル]ホスファイト、トリス[(3-ペンチルオキセタン-3-イル)メチル]ホスファイト、ビス[(3-ペンチルオキセタン-3-イル)メチル]ホスファイト、トリス[(3-ヘキサデシルオキセタン-3-イル)メチル]ホスファイト、ビス[(3-ヘキサデシルオキセタン-3-イル)メチル]ホスファイト、トリス[(3-フェニルオキセタン-3-イル)メチル]ホスファイト、ビス[(3-フェニルオキセタン-3-イル)メチル]ホスファイト、トリス[(3-p-トリルオキセタン-3-イル)メチル]ホスファイト、ビス[(3-p-トリルオキセタン-3-イル)メチル]ホスファイト、トリス[(3-ベンジルオキセタン-3-イル)メチル]ホスファイト、ビス[(3-ベンジルオキセタン-3-イル)メチル]ホスファイト、フェニルビス[(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル]ホスファイト、2-フェノキシスピロ(1,3,2-ジオキサホスホリナン-5,3’-オキセタン)、3,3-ビス[スピロ(オキセタン-3’,5”-(1”,3”,2”-ジオキサ-2”-ホスホリナン))-オキシメチル]オキセタン及びP,P’-[(1-メチルエチリデン)-ジ-4,1-フェニレン]-P,P,P’,P’-テトラキス[(3-エチル-3-オキセタンイル)メチル]ホスファイトである。また、米国特許3,209,013号明細書に記載のオキセタン基含有亜リン酸エステルも適宜使用できる。オキセタン基含有亜リン酸エステルを使用することで、色素が発色した後の色彩強度を高めやすくなる。
有機ホスフェート化合物は、好ましくは、有機リン酸エステル化合物、又は有機リン酸エステル化合物の金属塩であり、金属としては、周期律表第Ia、IIa、IIb、IIIa及びIIIbから選ばれる少なくとも1種の金属がより好ましく、中でも、マグネシウム、バリウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウムがさらに好ましく、マグネシウム、カルシウム又は亜鉛が特に好ましい。
また、有機リン酸エステル化合物としては、酸性有機リン酸エステル及びその金属塩が好ましい。酸性有機リン酸エステルとしては、ジアルキルアシッドホスフェート、モノアルキルアシッドホスフェート、ジアリールアシッドホスフェート、モノアルキルモノアリールアシッドホスフェートなどが挙げられる。酸性有機リン酸エステルにおけるアルキル基は、例えば炭素原子数1~30のアルキル基であるが、その炭素原子数は好ましくは2~25、より好ましくは6~23である。また、アリール基の炭素原子数は6~30程度であればよい。
有機リン酸エステル化合物の好ましい具体例としては、酸性有機リン酸エステルとして、ジステアリルアシッドホスフェート、モノステアリルアシッドホスフェートが挙げられる。また、酸性有機リン酸エステルの金属塩としては、ビス(ジステアリルアシッドホスフェート)亜鉛塩、モノステアリルアシッドホスフェート亜鉛塩、トリス(ジステアリルアッシドホスフェート)アルミニウム塩、モノステアリルアッシドホスフェートと2個のモノステアリルアッシドホスフェートアルミニウム塩との塩、モノステアリルアシッドホスフェート、ジステアリルアシッドホスフェート等が挙げられる。これらの中でも、ジステアリルアシッドホスフェート、モノステアリルアシッドホスフェートがさらに好ましい。
有機ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4-ジ-iso-プロピルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-n-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-3,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-iso-プロピルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-n-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,3’-ビフェニレンジホスホナイト及びテトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-3,3’-ビフェニレンジホスホナイト等が挙げられる。
上記リン系化合物の中では、熱安定性の向上、酸化抑制、発泡抑制の観点から、有機ホスファイト化合物、及び有機リン酸エステル化合物から選択される少なくとも1種が好ましい。また、有機ホスファイト化合物は後述する酸化防止剤と併用することも好ましく、具体的には、フェノール系酸化防止剤と併用することがより好ましい。フェノール系酸化防止剤と併用することで、本フィルムで生じる発泡を効果的に抑制することができる。また、押出製膜時に、樹脂の分子量低下や黄変を効果的に抑えることができるとともに、押出製膜時の安定性と、成形品としての長期安定性とを両立することもできる。
また、上記リン系化合物は、ポリエステル樹脂とポリカーボネート樹脂とのエステル交換反応を抑制できるエステル交換抑制剤としても使用できる。したがって、本フィルムが、樹脂としてポリエステル樹脂及びポリカーボネート樹脂の両方を含有する場合に、本フィルムにおけるエステル交換も防止することができる。また、本フィルムが、ポリエステル樹脂又はポリカーボネート樹脂を含有する場合には、本フィルムを含む積層体において、本フィルムに隣接する層に含有されるポリカーボネート樹脂又はポリエステル樹脂とのエステル交換も防止することができる。
本フィルムは、上記した熱安定剤を1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(酸化防止剤)
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などを用いることができる。中でも、フェノール系酸化防止剤が好ましい。
フェノール系酸化防止剤としては、α-トコフェロール、4-メトキシフェノール、4-ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、β-トコフェロール、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-4-メトキシフェノール、2-tert-ブチル-4-メトキシフェノール、2,4-ジメチル-6-tert-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(ジブチルヒドロキシトルエン、BHT)、プロピオン酸ステアリル-β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)等が挙げられる。中でも、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(ジブチルヒドロキシトルエン、BHT)が好ましい。
イオウ系酸化防止剤としては、チオジプロピオン酸、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリル-β,β’-チオジブチレート、チオビス(β-ナフトール)、チオビス(N-フェニル-β-ナフチルアミン、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール、テトラメチルチウラムモノサルファイド、テトラメチルチウラムジサルファイド、ニッケルジブチルジチオカルバメート等が挙げられる。
積層フィルムの場合、添加剤(X)は、積層フィルムの少なくともいずれかの層に含有させるとよいが、発泡抑制の観点から、充填材が含有する層に含有させることが好ましい。本フィルムは、積層フィルムの場合、全ての層に充填材を含有させることが好ましく、添加剤(X)も全ての層に含有に含有させることが好ましい。
例えば、本フィルムが、表層/中層/表層の積層構造を有する場合、中層及び両表層のいずれにも添加剤(X)を含有させることが好ましい。
本フィルムにおいて、発泡は、樹脂として分子量が高いポリカーボネート樹脂を使用する場合に発生しやすい。そのため、本フィルムに使用される樹脂として、分子量が高い高分子量ポリカーボネート樹脂を使用する場合に、添加剤(X)を含有させることが好ましい。高分子量ポリカーボネート樹脂とは、具体的には、質量平均分子量で58000以上のポリカーボネート樹脂であり、好ましくは質量平均分子量が60000以上のポリカーボネート樹脂であり、より好ましくは質量平均分子量が63000以上120000以下のポリカーボネート樹脂である。したがって、積層フィルムの場合には、樹脂として高分子量ポリカーボネート樹脂が使用される層に添加剤(X)を含有させることが好ましい。
また、充填材を多量に含む場合、具体的には本フィルム全体において充填材を30質量%超、さらには31質量%以上、さらには33質量%以上、さらには35質量%超、さらには36質量%以上、さらには37質量%以上、さらには39質量%以上、特に40質量%以上含む場合は、耐衝撃性、動的曲げ耐久性、靭性等の機械的特性が低下しやすい傾向となるため、上記したような高分子量のポリカーボネート樹脂を使用することが好ましい。
一方で、本フィルムにおいて、ポリカーボネート樹脂として分子量が低い低分子量ポリカーボネート樹脂を使用する場合には、発泡が生じにくいので、添加剤(X)を含有させなくてもよい。同様に積層フィルムの場合には、ポリカーボネート樹脂として低分子量ポリカーボネート樹脂が使用される層には、添加剤(X)を含有させなくてもよい。
なお、低分子量ポリカーボネート樹脂とは、具体的には、質量平均分子量で58000未満のポリカーボネート樹脂であり、好ましくは質量平均分子量が56000以下のポリカーボネート樹脂であり、より好ましくは質量平均分子量が20000以上54000以下のポリカーボネート樹脂である。
本フィルム全体における添加剤(X)の含有量は、本フィルム全量基準で、0.01質量%以上3質量%以下であることが好ましい。添加剤(X)の含有量を0.01質量%以上とすることで、添加剤(X)を含有させた効果を適切に発揮でき、例えば発泡を効果的に抑制することができる。また、3質量%以下とすることで、含有量に見合った効果を発揮できる。
これら観点から、添加剤(X)の含有量は、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましく、また、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましく、0.6質量%以下がよりさらに好ましい。
本フィルムでは、上記の通り、添加剤(X)として、熱安定剤と、酸化防止剤を併用してもよいが、その場合の熱安定剤に対する酸化防止剤の質量比(酸化防止剤/熱安定剤)は、好ましくは1/9以上9/1以下、より好ましくは2/8以上8/2以下、さらに好ましくは3/7以上7/3以下である。
本フィルムが積層フィルムの場合、積層フィルムにおいて、各層に含有される添加剤(X)の種類は、互いに異なってもよいが、同じであってもよい。また、積層フィルムの場合、各層における充填材の含有量は、本フィルム全体における充填材の含有量が上記範囲内となるように調整すればよい。ただし、添加剤(X)が含有される各層における、添加剤(X)の含有量の好適な上限値及び下限値や、質量比(酸化防止剤/熱安定剤)の好適範囲は、上記した本フィルム全体における添加剤(X)の含有量の好適な上限値及び下限値や、質量比(酸化防止剤/熱安定剤)の好適範囲と同じである。
[帯電防止剤]
本フィルムは、帯電防止剤を含有してもよい。本フィルムは、帯電防止剤を含有することで、搬送時や他のフィルムに重ね合わせた際の帯電を抑制したり、熱プレス等の際のプレス板への付着が起こりにくい等、ハンドリング性が向上する傾向となる。また、フィルムの表面抵抗率が低くなるため、フィルムロールからフィルムを繰り出す際に静電気が発生しにくく、繰り出し時にスパークが発生しフィルム等の表面に傷が付いたり、フィルムを送り出す際にフィルムが蛇行又は斜行して、ズレ、捻じれ、シワ等が発生したりすることを効果的に防止できる。そのため、取扱い性及び加工性が良好になる。加えて、表面抵抗率が低くなると、浮遊している塵埃が静電気により引き寄せられフィルム等の表面に付着し、得られる積層フィルムやカード、パスポート等の製品中に異物が混入するといった問題も発生しにくくなり、防塵性が高められる。
帯電防止剤としては、例えば、低分子型帯電防止剤、高分子型帯電防止剤等を挙げることができる。これらはイオン伝導型でもよいし電子伝導型でもよい。
低分子型帯電防止剤としては、例えば、アニオン系帯電防止剤;カチオン系帯電防止剤;非イオン系帯電防止剤;両性系帯電防止剤;錯化合物;アルコキシシラン、アルコキシチタン、アルコキシジルコニウム等の金属アルコキシド、その誘導体;コーテッドシリカなどを挙げることができる。
両性系帯電防止剤は、ベタイン型であってもよいが、ベタイン型以外であってもよく、カチオンとアニオンにより構成される帯電防止剤であればよく、イオン液体であってもよい。
高分子型帯電防止剤は、例えば、分子内にアルキルスルホン酸金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩などのスルホン酸金属塩を有するビニル共重合体などの各種ポリマーであってもよいし、ベタイン型であってもよい。また、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー等を用いることもできる。
帯電防止剤は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
帯電防止剤は、上記の中では、カチオンとアニオンにより構成される帯電防止剤が好ましく、具体的には、フッ素原子を含むスルホンイミドアニオン及びフッ素原子を含むスルホネートアニオンから選択されるアニオンと、ホスホニウムカチオン、アンモニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン及びピリジニウムカチオンから選択されるカチオンとから構成される帯電防止剤が挙げられる。
カチオンとアニオンから構成される帯電防止剤は、イオン液体であることが好ましい。イオン液体は、物質そのものが高い導電度を有しており、かつ、室温付近で液体であるため、分散性に優れ、より高い帯電防止性能を発揮する。また、耐熱性に優れ、帯電防止剤の熱分解による物性低下を抑えつつ、優れた帯電防止性能を付与することが可能となる。なお、イオン液体とは、イオンのみからなり、融点が100℃以下である化合物をいう。
上記したフッ素原子を含むスルホンイミドアニオン及びフッ素原子を含むスルホネートアニオンから選択されるアニオンは、パーフルオロアルキルスルホンイミドアニオン及びパーフルオロアルキルスルホネートアニオンから選択されるアニオンを含むことが好ましい。アニオンは、フッ素原子、特にパーフルオロアルキル基を含むことにより、フィルムにおけるイオン液体の表面への移行性が向上する傾向となる。従って、より低い添加量で高い帯電防止性能を付与することが可能となる。
上記したアニオンとカチオンから構成される帯電防止剤としては、下記の式(4)で表される帯電防止剤が好ましい。
[(R11]・(R12SO)(R12SO)N (4)
(上記式(4)中、R11は、それぞれ独立に、炭化水素基を表し、R12は、それぞれ独立に、フッ素原子を含む炭化水素基を表す。)
式(4)において、R11は、それぞれ独立に、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルケニル基、及びアリール基から選択されることが好ましく、直鎖または分岐のアルキル基がより好ましく、直鎖のアルキル基がさらに好ましい。R11はそれぞれ、置換基を有していてもよいが、有していない方が好ましい。
11の炭化水素基を構成する炭素原子数は、例えば1~20であり、1~12が好ましく、1~8がより好ましく、1~6がさらに好ましく、1~4がよりさらに好ましい。炭化水素基は、上記の通りアルキル基が好ましく、したがって、R11は、炭素原子数1~4のアルキル基が最も好ましい。一分子内における複数のR11は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
一分子内における複数のR11が異なる場合、3つR11の炭化水素基を構成する炭素原子数が同じであり、他の1つのR11の炭化水素基を構成する炭素原子数は異なることが好ましい。3つR11の炭化水素基を構成する炭素原子数は、例えば9以下であり、4~9が好ましく、5~8がより好ましく、6~7がさらに好ましい。他の1つのR11の炭化水素基を構成する炭素原子数は、例えば10以上であり、10~18が好ましく、11~16がより好ましく、12~14がさらに好ましい。炭化水素基は、上記の通りアルキル基が好ましい。
12は、好ましくは、それぞれ独立に、フッ素原子を含む直鎖、分岐または環状のアルキル基、フッ素原子を含む直鎖、分岐または環状のアルケニル基、及び、フッ素原子を含むアリール基から選択され、フッ素原子を含む直鎖または分岐のアルキル基がより好ましく、フッ素原子を含む直鎖アルキル基がさらに好ましい。
各R12において、炭化水素基を構成する炭素原子数は、1~10が好ましく、1~6がより好ましく、1~4がさらに好ましく、1~3がよりさらに好ましい。
より具体的には、R12は、それぞれ独立に、パーフルオロ炭化水素基であることが好ましく、パーフルオロアルキル基であることがより好ましく、パーフルオロメチル基またはパーフルオロエチル基がさらに好ましく、パーフルオロメチル基が一層好ましい。
一分子内における複数のR12は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
式(4)で表される帯電防止剤は、好ましくは以下の式(5)で示される化合物である。

Figure 2023029089000004

単層構造のフィルムにおいては、その単層に帯電防止剤が含有されるとよい。積層フィルムにおいて、帯電防止剤は、積層フィルムの少なくとも1つの層に含有されればよく、全ての層に含有されてもよい。ただし、帯電防止剤は、好ましくは表面層に含有される。したがって、表層/中層/表層の構造を有する積層フィルムにおいては、両表層が帯電防止剤を含有することが好ましい。両表層が帯電防止剤を含有することで、本フィルムにおける帯電を効果的に抑制してハンドリング性が向上する等の上述した効果が得られやすくなる。
帯電防止剤が含有される各層における帯電防止剤の含有量は、カチオンとアニオンにより構成される帯電防止剤である場合は、0.1質量%以上3質量%以下が好ましく、0.2質量%以上2.5質量%以下がより好ましく、0.3質量%以上2質量%以下がさらに好ましく、0.4質量%以上1.5質量%以下がよりさらに好ましい。その他の帯電防止剤である場合は、各層における帯電防止剤の含有量は、0.1質量%以上5質量%以下が好ましく、0.2質量%以上4質量%以下がより好ましく、0.4質量%以上3質量%以下がさらに好ましく、0.5質量%以上2質量%以下がよりさらに好ましい。
(その他の成分)
本フィルムは、カード又はパスポート用フィルムに一般的に使用される、上記以外の添加剤(その他の添加剤)を含有してもよい。その他の添加剤としては、滑剤、プロセス安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、艶消し剤、加工助剤、金属不活化剤、残留重合触媒不活化剤、抗菌・防かび剤、抗ウイルス剤、難燃剤等が挙げられる。なお、本フィルムが積層フィルムである場合、積層フィルムを構成する複数の層のうち少なくとも1層が上記したその他の添加剤の少なくとも1種を含有してもよいし、全ての層がその他の添加剤の少なくとも1種を含有してもよい。
本フィルムの厚みは、特に限定されなく、使用される目的によって適宜調整すればよいが、例えば、5μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、さらに好ましくは20μm以上、よりさらに好ましくは40μm以上であり、また、例えば300μm以下、好ましくは250μm以下、より好ましくは200μm以下、さらに好ましくは170μm以下である。本フィルムの厚みを一定以上とすることで、隠蔽性を確保しやすくなる。一方で、一定以下の厚みとすることで、カードやパスポートを薄型化しやすくなり、また透明層にセキュリティ機能などの層を付与しやすくなる。
また、本フィルムは、表層/中層/表層の構造を有する場合、中層に対する各表層の厚み比(各表層/中層)が、好ましくは0.03以上0.85以下、より好ましくは0.05以上0.7以下、さらに好ましくは0.1以上0.5以下、よりさらに好ましくは0.15以上0.35以下である。厚み比を上記範囲内とすることで、表層及び中層それぞれが適切な機能を発揮しやすくなる。例えば、上記のとおり、表層に耐衝撃改良剤を含有させ、かつその含有量を中層より多くすることで、フィルム全体における耐衝撃改良剤の含有量を抑制しつつ、耐衝撃改良剤を使用した効果を効果的に発揮させることができる。
(本フィルムの光透過濃度)
本フィルムの光透過濃度は、好ましくは0.8以上である。光透過濃度を0.8以上とすることで、本フィルムの隠蔽性が高くなり、ICチップなどのインレットを本フィルムにより適切に隠蔽できる。本フィルムの隠蔽性を高くする観点から、本フィルムの光透過濃度は、より好ましくは0.85以上、さらに好ましくは0.9以上、よりさらに好ましくは0.95以上、よりさらに好ましくは0.97以上、特に好ましくは1以上、最も好ましくは1.05以上である。光透過濃度は、その上限に関して特に限定されないが、本フィルムの厚みを必要以上に厚くなることを防止する観点などから、例えば3以下であり、2.5以下であってもよい。なお、光透過濃度は、実施例記載の方法により測定できる。
(カード又はパスポート用フィルムの製造方法)
カード又はパスポート用フィルム(本フィルム)は、公知の方法で製造できるが、本フィルムを形成するための樹脂組成物を得て、その樹脂組成物をフィルム状にするとよい。
樹脂組成物は、例えば、樹脂、充填材、耐衝撃改良剤、及び、任意で配合される添加剤(X)、帯電防止剤、その他の成分などの樹脂組成物を構成する原料を混合して得るとよい。
原料の混合は、押出機、プラストミルなどにおいて加熱しながら溶融混練して行うとよいが、樹脂組成物を構成する原料をタンブラー等でドライブレンドしたものをそのまま用いてもよい。
樹脂組成物をフィルム状にする方法は、特に限定されないが、プレス成形などでもよいし、押出成形などでもよいが、生産性、コストの面からは押出成形が好ましい。
また、本フィルムが積層フィルムである場合には、各層を形成するための樹脂組成物を作製して、各樹脂組成物から各樹脂層を形成しつつ公知のラミネート法により複数の樹脂層を積層して形成してもよい。また、いずれかの樹脂組成物から形成された樹脂フィルムの上に、別の樹脂層を形成するための樹脂組成物を溶融押し出して積層してもよい。また、共押出により多層構造としてもよい。生産性、コスト等の観点から共押出法を採用することが好ましい。
積層フィルムにおいて、各層を形成するための樹脂組成物は、各層の組成に応じて、各層を形成するための成分を混合して得るとよい。
例えば、表層/中層/表層の構造を有する積層フィルムでは、表層を形成するための少なくとも樹脂と、充填材と、耐衝撃改良剤を含有する表層用樹脂組成物、及び、中層を形成するための少なくとも樹脂と、充填材を含有する中層用樹脂組成物を作製して、その樹脂組成物を用いて積層フィルムを成形するとよい。
<カード又はパスポート>
本フィルムは、カード又はパスポート用に使用されるフィルムである。カードとしては、ICカード、磁気カード、運転免許証、在留カード、資格証明書、社員証、学生証、マイナンバーカード、印鑑登録証明書、車検証、タグカード、プリペイドカード、キャッシュカード、クレジットカード、ETCカード、SIMカード、B-CASカードなどが挙げられる。
カード又はパスポート(より具体的には、パスポートのデータページ)は、コアシートを備えるとよい。また、カード又はパスポートのデータページは、コアシートに加えて、レーザーマーキングシート、印刷シート及び保護シートの少なくともいずれかを備えてもよい。パスポートのデータページ又はカードは、コアシート及び上記のコアシート以外のシートから選択される1以上のシートを重ね合わせて、プレスして加熱融着させた後、打ち抜き加工などがなされて、製造されるとよい。また、加熱融着の代わりに適宜接着剤などを使用して、シート同士を接着させてもよい。
本発明において、カード又はパスポートは、上記した本フィルムを備える。カード又はパスポートは、通常は複数の樹脂フィルムを備え、そのうちの少なくとも一つが本フィルムにより構成されるとよいが、本フィルムは、カード又はパスポートにおいて、コアシートに使用されることが好ましい。中でも本フィルムは、ICチップ、アンテナなどのインレットが内蔵される、インレットシートを構成することが好ましく、特にICチップが内蔵されるICシートを構成することがより好ましい。
本フィルムは、隠蔽性が高いので、コアシート、特にICシートなどのインレットシートに使用すると、インレットシートを薄くしてもICチップ、アンテナなどのインレットを適切に隠蔽することができる。
また、本フィルムは、上記の通り耐衝撃改良剤を含有することで、充填材の多量配合などに起因する、加熱時の軟化性や流動性の低下を防止して、加工性を良好に維持できる。そのため、本フィルムは、インレットシートに使用されても、ICチップを埋め込みにくくなるなどの不具合が生じにくくなる。
本フィルムをICシートなどのインレットシートに使用する場合は2枚以上を積層して用いることが好ましく、3枚以上積層することがより好ましく、4枚以上積層することがさらに好ましい。積層する場合は、本シートと本シートとを直接積層してもよいし、必要に応じて接着層等の他の層が存在していてもよい。このように本フィルムを積層してインレットシートとすることにより、本フィルム単層でのインレットシートに比べて、ICチップやアンテナ等のインレットの埋め込み加工がしやすくなるといった利点がある。また、ICチップ等は様々な厚みのものが流通しているが、例えば、後記で説明する図1のようなインレットシートの構成とすることにより、ICチップ等の厚みに応じて内部側の本フィルムの厚みを調整できるといった利点もある。加えて、インレットシートの両表面の本フィルムがICチップ等の上側及び下側に配置されるため、ICチップ等のインレット等を適切に隠蔽できるようになるといった利点もある。
また、このように本フィルムを2枚以上積層してインレットシートとすると、他の樹脂フィルム、例えば、レーザーマーキングシートや印刷シート等の他の樹脂フィルムと積層してカードやパスポート等の実際の製品にする際に、製品全厚みの調整がしやすいといった利点もある。
図1は、本フィルムが適用された、インレットシートとしてのICシートの一例を示す。図1に示すように、ICシート(インレットシート)11は、ICチップ12などのインレットが内蔵されるように複数の樹脂フィルム10を積層されてなるものであり、例えば、2枚又はそれ以上の樹脂フィルム10の間にインレットを挟み込んで積層して、熱融着などにより一体化して形成されるとよい。
なお、図1では、ICシート(インレットシート)11は、4枚の樹脂フィルム10により形成されるが、樹脂フィルム10は、2枚以上であれば何枚でもよい。また、インレットとして、ICチップ12のみが示されるが、アンテナなどのICチップ12以外のインレットを有していてもよい。
さらに、複数の樹脂フィルム10のうち少なくとも1つは、インレットが内部に適切に埋め込むことができるように、インレット(例えば、ICチップ12)の形状に応じて適宜切り取られるなどして、中空部や切り欠きが設けられ、その中空部や切り欠きにインレットを配置したうえで、複数の樹脂フィルムを積層して一体化してもよい。例えば、図1の例では、4枚の樹脂フィルム10のうち、内部側の2枚の樹脂フィルム10に、ICチップ12を配置するための中空部が設けられていてもよい。
ICシート11などのインレットシートにおいて、複数の樹脂フィルム10は、少なくとも1枚が上記した本フィルムであればよい。そのため、例えば、複数の樹脂フィルム10のうちの一部(例えば、図1の構成では、両表面に設けられた樹脂フィルム)が本フィルムであってもよいが、全てが上記した本フィルムであってもよい。本フィルムは、上記のとおり、隠蔽性が高いので、ICシート11などのインレットシートの一部又は全部として使用されることで、ICチップ12などのインレットを適切に隠蔽することができる。
インレットシート(ICシート)の厚みは、特に限定されないが、好ましくは100μm以上500μm以下、より好ましくは200μm以上460μm以下、さらに好ましくは250μm以上440μm以下、よりさらに好ましくは280μm以上420μm以下である。インレットシートの厚みを100μm以上とすることで、ICチップなどのインレットをインレットシートにより適切に隠蔽することができる。また、500μm以下とすることで、パスポートのデータページやカードを必要以上に厚くすることなく、インレットシート以外の部分を厚くして、様々な機能をデータページやカードに付与しやすくなる。
パスポート又はカードにおいては、上記インレットシートをコアシートとして、その一方又は両方の面にレーザーマーキングシートがさらに積層されるとよい。レーザーマーキングシートは、レーザー印字により個人情報などが印刷されるためのシートである。個人情報は、パスポードやカード所有者の個人を特定するための情報であり、個人名、個人ID、カード番号などである。
本フィルムは、上記のとおり、レーザーマーキングシートに対する印字性を良好にできるので、本フィルムにレーザーマーキングシートが積層されることで、レーザーマーキングシートの印字性を向上させることができる。なお、レーザーマーキングシートの印字性をより一層向上させるために、レーザーマーキングシートは、本フィルムに直接積層される位置に配置されることが好ましいが、本フィルムに直接積層されなくてもよい。すなわち、本フィルムとレーザーマーキングシートは、別の層を介して積層されてもよい。
なお、例えば図1の構成のICシート11では、表面の樹脂フィルム10が本フィルムにより構成されることで、レーザーマーキングシートを本フィルムに直接積層させることが可能である。
レーザーマーキングシートは、単層の樹脂層からなってもよいが、複数の樹脂層からなる多層構造の積層体であることが好ましい。レーザーマーキングシートは、レーザー発色剤を含有する樹脂層を含むことが好ましく、単層の樹脂層からなる場合、その1つの樹脂層がレーザー発色剤を含有するとよい。なお、多層構造の場合、レーザーマーキングシートは、例えば、中層の両面に表層が設けられた構造を有し、中層にレーザー発色剤を含有させるとよい。レーザーマーキングシートは、典型的には透明層を構成する。
レーザーマーキングシートの厚みは、特に限定されないが、15μm以上400μm以下が好ましく、30μm以上300μm以下がより好ましく、40μm以上250μm以下がさらに好ましく、60μm以上200μm以下がよりさらに好ましい。レーザーマーキングシートの厚みを15μm以上とすると、レーザー印字により適切に各種情報を印字できるようになる。また、400μm以下とすると、パスポート又はカードが必要以上の厚みを有することを防止できる。
レーザーマーキングシートを構成する各樹脂層に使用する樹脂は、特に限定されず、ポリエステル樹脂であってもよいし、ポリカーボネート樹脂であってもよいし、これらが併用されてもよいが、レーザー印字性の観点からポリカーボネート樹脂が使用されることが好ましい。ポリエステル樹脂及びポリカーボネート樹脂の詳細は、上記の通りである。
レーザーマーキングシートに使用されるレーザー発色剤は、レーザー光線の照射によって発熱する機能を有するものであれば特に限定されず、レーザー光の照射によってそれ自身が発色するいわゆる自己発色型発色剤でもよいし、それ自身は発色しないものであってもよい。レーザー発色剤は、発熱することにより、その周辺の形成材料の炭化を促進し、レーザー印字性を高めることができる。さらに自己発色するレーザー発色剤を用いると、レーザー発色剤の発色と、形成材料が炭化することによって生じる炭化物による発色とが相乗して、色が濃く、視認性に優れた印字を表すことができる。レーザー発色剤が発色する場合、その色彩は特に限定されるものではないが、視認性の観点から、黒、紺、茶を含む濃色に発色し得るレーザー発色剤を用いることが好ましい。
レーザー発色剤は、金属酸化物であってもよいし、金属酸化物以外の化合物であってもよい。金属酸化物としてはレーザー発色効果を有するものであれば限定されず、例えば、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化錫、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化ビスマス、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化ネオジウム、マイカ、ハイドロタルサイト、モンモリロナイト、スメクタイトなどが挙げられる。
また、金属酸化物以外のレーザー発色剤でもよく、鉄、銅、亜鉛、錫、金、銀、コバルト、ニッケル、ビスマス、アンチモン、アルミニウムなどの金属、それらの塩である塩化鉄、硝酸鉄、リン酸鉄、塩化銅、硝酸銅、リン酸銅、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、リン酸亜鉛、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、次炭酸ビスマス、硝酸ビスマスなどの金属塩、水酸化マグネシウム、水酸化ランタン、水酸化ニッケル、水酸化ビスマスなどの金属水酸化物、ホウ化ジルコニウム、ホウ化チタン、ランタンホウ化物などの金属ホウ化物などでもよい。なお、金属ホウ化物は、六ホウ化物が近赤外吸収能を有しており、中でも六ホウ化ランタンはレーザー光の吸収効率に優れているため好ましい。また、例えば、フルオラン系、フェノチアジン系、スピロピラン系、トリフェニルメタフタリド系、ローダミンラクタム系などのロイコ染料などで代表される染料系や、カーボンブラックなども使用できる。
レーザー発色剤としては、酸化ビスマスや、ビスマスとZn、Ti、Al、Zr、Sr、Nd及びNbから選択される少なくとも1種の金属を含んだ金属酸化物等のビスマス系の金属酸化物を用いることが好ましい。
レーザー発色剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
印刷シートは、複数のシートを積層して一体化する前に、固定情報が印刷されるためのシートである。固定情報は、上記した個人情報以外の情報であり、カードやパスポードが異なっても変わらない情報である。固定情報は、光または熱硬化型インクなどの公知のインクで印刷シートに印刷されるとよい。印刷シートは、着色シートであり、単層の樹脂フィルムからなってもよいし、複数の樹脂層からなる積層フィルムであってもよい。
印刷シートは、インレットシートの外側に配置されるシートである。また、レーザーマーキングシートが設けられる場合には、印刷シートは、インレットシートとレーザーマーキングシートの間に設けられてもよい。
パスポート又はカードに使用される印刷シートは、上記した本フィルムから構成されてもよい。印刷シートは、本フィルムにより構成されることで、高い隠蔽性を有するので、インレットシートの外側に配置されることで、インレットシートによってインレットが十分に隠蔽できない場合にも、印刷シートによって隠蔽することができる。また、レーザーマーキングシートが設けられる場合、印刷シートの上にレーザーマーキングシートが積層されることがあるが、そのような場合には、上記の通りレーザーマーキングシートにおけるレーザー印字性を向上させることができる。
パスポート又はカードに使用される保護シートは、オーバーシートとも呼ばれるものであり、一般的にカード又はパスポートのデータページにおいて最外層を構成する。したがって、保護シートは、レーザーマーキングシートや印刷シートが積層される場合には、これらの外側に積層されるとよい。保護シートは、レーザーマーキングシートの外側に積層される場合には、レーザー光照射によってレーザー印字部分が発泡する、いわゆる「膨れ」を抑制する。保護シートは、単層の樹脂層からなってもよいし、複数の樹脂層からなり多層構造の積層体であってもよい。保護シートを構成する各樹脂層に使用する樹脂は、特に限定されず、ポリエステル樹脂であってもよいし、ポリカーボネート樹脂であってもよいし、これらが併用されてもよいが、透明性、耐熱性の観点からポリカーボネート樹脂が使用されることが好ましい。ポリエステル樹脂及びポリカーボネート樹脂の詳細は、上記の通りである。なお、保護シートは、典型的に透明層を構成する。
パスポートのデータページ、又はカードにおける積層構造は、特に限定されないが、例えば以下(1)~(6)のいずれかの積層構造を有するとよい。
(1)保護シート/レーザーマーキングシート/ICシート(インレットシート)/印刷シート/保護シート
(2)保護シート/レーザーマーキングシート/ICシート(インレットシート)/レーザーマーキングシート/保護シート
(3)保護シート/レーザーマーキングシート/印刷シート/ICシート(インレットシート)/印刷シート/レーザーマーキングシート/保護シート
(4)保護シート/レーザーマーキングシート/印刷シート/ICシート(インレットシート)/レーザーマーキングシート/保護シート
(5)保護シート/レーザーマーキングシート/ICシート(インレットシート)/保護シート
(6)保護シート/レーザーマーキングシート/印刷シート/ICシート(インレットシート)/保護シート
パスポート又はカードは、上記の中では、(1)の積層構造を有することが好ましい。なお、以上の(1)~(6)の積層構造では、両最表面に保護シートが設けられる構造を示したが、保護シートの一方又は両方は適宜省略されてもよい。
また、パスポートのデータページやカードにおいては、特殊印刷などにより、レンチキュラー印刷、ホログラム印刷、セキュリティスレッドなどのセキュリティ部が設けられてもよく、これらは、例えば保護シートとレーザーマーキングシートの間や、レーザーマーキングシートと印刷シートの間、レーザーマーキングシートとインレットシートとの間などに適宜設けられてもよい。
また、パスポートにおいては、ヒンジシートが設けられてもよい。ヒンジシートは、データページをパスポートの表紙や他のビザシート等と一体に堅固に綴じるための役割を担うシートである。ヒンジシートは、例えばコアシートを構成するインレットシートに連結されるように、インレットシートから張り出す位置に配置されてもよい。また、ヒンジシートは、例えば、インレットシートと、印刷シート、レーザーマーキングシート、又は保護シートの間などに配置され、一部がインレットシートより張り出すようにして、データページ中に積層されていてもよい。
以下、実施例及び比較例を示すが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものでは無い。
評価方法は、以下のとおりである。
(1)隠蔽性(光透過濃度)
各実施例、比較例で得られた本フィルムについて、X―Rite社の透過濃度計「341」を用いて光透過濃度を測定した。なお、光透過濃度が高いほど隠蔽性が高いことを示す。
(2)レーザー印字性
本フィルムを用いて作製したカードに対して、日本電産コパル株式会社製「CLM-20」を用いて、反射濃度値:64μm/Step×50%でレーザー印字を行って、X-Rite社製「eXact」によりレーザー印字部の反射濃度値を測定した。なお、反射濃度値は、高いほどレーザー印字性が良好であることを示す。
レーザー印字性評価で使用したカードは、実施例、比較例で得た本フィルム、及び以下のレーザーマーキングシートを用いて以下のように用意した。レーザーマーキングシートは、中層の両面に表層を備える3層構造のシートであり、表層はポリカーボネート樹脂(PC2)100質量%からなり、中層はポリカーボネート樹脂(PC2)99.8質量%、及びレーザー発色剤0.2質量%からなる層である。レーザーマーキングシートは、総厚み50μmであり、表層/中層/表層の厚み比が1/4/1である。
カードは、レーザーマーキングシート/本フィルム(比較例2以外は15枚、比較例2は7枚を使用)/レーザーマーキングシートをこの順に重ねた後、熱プレス機を用いて175℃で熱プレスによって得た積層体をカード形状(54mm×85mm)に打ち抜いたものである。
(3)カード曲げ試験
本フィルムを用いて作製したカードについて、JIS X 6305を参考にして、最大たわみ量15mmでカード短辺方向に曲げ、試験周波数0.5Hzの条件でカードにひびが入るまでの回数を確認した。5000回曲げてもヒビが入らなかった場合を「AA」、1000回以上5000回未満でヒビが入った場合を「A」、1000回未満でヒビが入った場合を「B」と評価した。
なお、カード曲げ試験で使用したカードは、厚みが800μmとなるように、本フィルムを複数枚重ねた後、熱プレス機を用いて170℃で熱プレスによって得た積層体をカード形状(54mm×85mm)に打ち抜いたものであった。
(4)チップ埋め込み性
チップ埋め込み性は、従来のコアシートに一般的に使用される、比較例1の白色ポリカーボネートフィルムとのビカット軟化温度の差により評価した。ビカット軟化温度は、実施例及び比較例1で得られたフィルムを試験片とし、試験片を針状圧子の先端に置き、規定荷重をかけて、一定の昇温速度で昇温させ試験片に針状圧子が1mm侵入した時の温度を求めることにより測定した。ビカット軟化温度の測定は、荷重10N及び昇温速度50℃/時間であるA50法で行った。針状圧子は、JIS K7206規定のものを使用した。
比較例1の白色ポリカーボネートフィルムよりもビカット軟化温度が低く、かつその差が20~5℃の場合、ICチップの埋め込み性が優れ、ICシートに使用するとICチップを内部に適切に埋め込むことができるとして「A」と評価した。
本実施例で使用した各原料は、以下の通りである。
PC1:ビスフェノールA系ホモポリカーボネート(界面重合法)、質量平均分子量:約72000、メルトフローレート(300℃、1.2kgf):4g/10分、ガラス転移温度:150℃
PC2:ビスフェノールA系ホモポリカーボネート(界面重合法)、質量平均分子量:約53000、メルトフローレート(300℃、1.2kgf):15g/10分、ガラス転移温度:150℃
充填材:酸化チタン(ルチル型、屈折率2.7)
酸化防止剤/熱安定剤:フェノール系酸化防止剤(ジブチルヒドロキシトルエン(BHT))と、リン系熱安定剤(トリステアリルホスファイト)を質量比1:1で併用した。
熱安定剤:ジステアリルアシッドホスフェートとモノステアリルアシッドホスフェートの混合物
耐衝撃改良剤:コア・シェル型エラストマー、三菱ケミカル社製「メタブレンE-870A」
レーザー発色剤:ビスマス・ネオジウム系金属酸化物、平均粒子径0.8μm、比重:8.9g/cm
[実施例1]
A層を構成する各成分を表1に示す配合にドランブレンドして、押出機を用いて混練し、かつ2種3層のマルチマニホールド式の口金よりA層(表層)として、255℃で押出した。また、B層を構成する各成分を表1に示す配合にドランブレンドして、押出機を用いて混練し、上記口金より、B層(中層)として、255℃で押出した。押出された各層が積層された積層体を、約120℃のキャスティングロールにて急冷して、厚み比が1/4/1で総厚みが50μmである、表層/中層/表層からなる本フィルムを得た。
[実施例2]
A層、及びB層の配合を表1に示したように変更し、かつA層とB層の押出温度を235℃に変更した以外は実施例1と同様に実施した。
[比較例1]
A層を構成する各成分を表1に示す配合にドランブレンドして、押出機を用いて混練し、かつ255℃で押出機から押出し、A層単層からなる厚み50μmのフィルムを得た。
[比較例2]
A層を構成する各成分を表1に示す配合にドランブレンドして、押出機を用いて混練し、かつ290℃で押出機から押出し、A層単層からなる厚み100μmの本フィルムを得た。
[比較例3]
A層の配合を表1に示したように変更した以外は比較例1と同様に実施した。
[比較例4]
A層、及びB層の配合を表1に示したように変更し、かつA層とB層の押出温度を275℃に変更した以外は実施例1と同様に実施した。
Figure 2023029089000005
以上の通り、実施例1、2では、本フィルムに多量の充填材を含有させることにより、フィルムの光透過濃度が高くなり、ICチップなどのインレットの隠蔽性を高めることができた。それに対して、比較例1、4のフィルムは、充填材が含有されるものの、その含有量が多くないため、光透過濃度が低くなり、ICチップなどのインレットの隠蔽性を十分に高めることができなかった。
また、実施例1、2では、本フィルムに積層されたレーザーマーキングシートにレーザー印字を行うと、本フィルムに多量の充填材を含有させたことで、多量の充填材を含有させなかった、比較例1、4のフィルムに積層したレーザーマーキングシートに印字したときに比べて、反射濃度値が高くなり、レーザー印字性を高めることができた。
さらに、実施例1、2の本フィルムは、充填材を多量に含有していたにもかかわらず、耐衝撃改良剤を配合したことで、耐曲げ性が良好になった。加えて、実施例1、2では、樹脂としてポリカーボネート樹脂を使用したことや、充填材の多量配合等に起因する加熱時の軟化性や流動性の低下を防止できたため、チップ埋め込み性が良好となると推測される。
なお、実施例1の本フィルムは、添加剤(X)を含有しているため、また、実施例2の本フィルムは使用したポリカーボネート樹脂が低分子量で低温押出が可能であったため、シートに発泡が生じにくく、外観が良好であった。
10 樹脂フィルム
11 ICシート(インレットシート)
12 ICチップ

Claims (12)

  1. 樹脂、充填材、及び耐衝撃改良剤を含有するカード又はパスポート用フィルムであって、前記充填材の含有量が25.5質量%より多い、カード又はパスポート用フィルム。
  2. 前記耐衝撃改良剤の含有量が1質量%以上30質量%以下である、請求項1に記載のカード又はパスポート用フィルム。
  3. 酸化防止剤及び熱安定剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤(X)をさらに含有し、前記添加剤(X)の含有量が0.01質量%以上3質量%以下である、請求項1又は2に記載のカード又はパスポート用フィルム。
  4. 前記充填材の屈折率が2以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載のカード又はパスポート用フィルム。
  5. 前記充填材が酸化チタンを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のカード又はパスポート用フィルム。
  6. 前記樹脂がポリカーボネート樹脂及びポリエステル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1~5のいずれか1項に記載のカード又はパスポート用フィルム。
  7. 前記樹脂と前記充填材とを含む中層と、前記中層の両面に設けられる両表層を備え、
    前記両表層それぞれが、前記樹脂、前記充填材、及び前記耐衝撃改良剤を含有する、請求項1~6のいずれか1項に記載のカード又はパスポート用フィルム。
  8. コアシートに用いられる、請求項1~7のいずれか1項に記載のカード又はパスポート用フィルム。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載のカード又はパスポート用フィルムを備えるインレットシート。
  10. 厚みが100μm以上500μm以下である請求項9に記載のインレットシート。
  11. 請求項1~8のいずれか1項に記載のカード又はパスポート用フィルム、又は請求項9若しくは10に記載のインレットシートを備える、カード。
  12. 請求項1~8のいずれか1項に記載のカード又はパスポート用フィルム、又は請求項9若しくは10に記載のインレットシートを備える、パスポート。
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