JP2023028676A - 味覚提示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ユーザの違和感を抑えつつ、味覚の改質効果を高めることが可能な味覚提示装置を提供する。【解決手段】ユーザが摂取する飲食物とユーザの身体との間に電気回路を形成できるように設けられる第1電極11及び第2電極12と、第1電極11と第2電極12との間に、電気的な刺激を発生させるための電流を供給する電気刺激発生部13とを備えた味覚提示装置10において、電流中のノイズ成分を低減するノイズ低減部17A、17Bを電気刺激発生部13に設ける。【選択図】図3

Description

本発明は、電気的な刺激を利用して、ユーザが感じ取る味覚に変化を与えるための味覚提示装置に関する。
健康管理上の都合等から塩分や糖分が制限された薄味の食事を採らざるを得ないユーザに対して、塩味等を増強して満足感を高めるための手法として、電気的な刺激を利用して飲食物の味覚をユーザの嗜好等に合うよう改質して提示する手法が提案されている。例えば、ユーザの首筋等の身体部位に接する陽極と、飲食物に接する陰極との間に一定周波数の矩形波状の電流を供給して、ユーザの味覚に対する増強効果を生じさせる味覚提示装置が提案されている(特許文献1参照)。ユーザの舌等に接するように配置された電極に二相電流を供給して味覚を脳へ運ぶ神経枝を電気的に刺激する装置も提案されている(特許文献2参照)。
特開2018-42991号公報 特表2010-517675号公報
電気的な刺激を利用して塩味の増強等の改質を試みる場合、ユーザが過度の刺激感や不自然な金属味を感じるといったように、ユーザが何らかの違和感を感じ取る場合がある。そのような不都合を回避するために電流値を低下させた場合には、それに伴って塩味増強効果も損なわれるといったように十分な改質効果が得られないおそれがある。
そこで、本発明はユーザの違和感を抑えつつ、味覚の改質効果を高めることが可能な味覚提示装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る味覚提示装置は、ユーザが摂取する飲食物と前記ユーザの身体との間に電気回路を形成できるように設けられる第1電極及び第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に、電気的な刺激を発生させるための電流を供給する電気刺激発生手段と、を備え、前記電気刺激発生手段は、前記電流中のノイズ成分を低減するノイズ低減手段を含んでいるものである。
本発明の一形態に係る味覚提示装置の一例を示す図。 味覚提示装置の他の例を示す図。 電気刺激発生部の構成例を示す図。 電気刺激発生部から供給される電流波形の一例を示す図。 電気刺激発生部から供給される電流波形の他の例を示す図。
図1は、本発明の一形態に係る味覚提示装置の一例を示す。図1の味覚提示装置10は、ユーザ1に接するように設けられる第1電極11と、ユーザ1が摂取する飲食物2に接するように設けられる第2電極12と、それらの電極11、12間に、電気的な刺激を発生させるための電流を供給する電気刺激手段の一例としての電気刺激発生部13とを備えている。
第1電極11は、一例としてユーザ1の手又は腕に装着される。ゲル状の電極を第1電極11として利用し、これをユーザに貼り付けてもよいし、ユーザが手で握るように第1電極11が設けられてもよい。第2電極12は、一例としてユーザが飲食に利用する導電性の食器3に装着される。食器3それ自体が第2電極12として利用されてもよい。例えば、図1に示すように、飲食物2の一例としての飲料内に浸かるマドラー3aに第2電極12が装着され、又はマドラー3aそれ自体が第2電極12として利用されてよい。あるいは、図2に示すように、飲食物2の一例としての食品を摂取するために用いられるフォーク、スプーン、箸等の器具(いわゆるカトラリー類を含む。)3bに第2電極12が装着され、あるいはそれらの器具3bが第2電極12として利用されてよい。いずれにせよ、第1電極11及び第2電極12は、ユーザ1が摂取する飲食物2とユーザ1の身体との間に電気回路が形成され、それにより、ユーザ1が味覚を感知する舌等の器官に、電気的な刺激を与えるための電流が流れるように設けられる限り、適宜の形態で構成されてよい。第2電極12が装着されるべき食器3は、図1及び図2の例に限らず、皿、お椀、茶碗、丼、鉢、コップ、グラス、マグカップ、杯、猪口、ボール、ジョッキ、湯飲み、タンブラー、水筒、箸、フォーク、スプーン、ナイフ、匙等、串、楊枝、ストロー等が第2電極12を装着する対象とされてよい。
図3に示すように、電気刺激発生部13は、昇圧回路14と、電流出力部15と、電流制御部16と、ノイズ低減部17A、17B(参照符号17で代表することがある。)とを含んでいる。昇圧回路14は、例えば不図示の外部電源からPC(パーソナルコンピュータの略)20を経由して供給される直流電流を所定の電圧に昇圧して電流出力部15に供給する。外部電源は一例として交流の商用電源である。電源からの電流は、PC20を経由して供給される例に限らず、交流直流変換機能を備えた適宜のコンバータ、アダプタ等の変換器を介して供給されてもよい。電源電池等の直流電源が外部電源として利用されてもよい。
電流出力部15は、電流制御部16から与えられる指令値に従って電流波形を整形して電極11、12に供給する。電流制御部16は、例えばマイクロプロセッサを利用したコンピュータユニットとして構成され、PC20から与えられる電流波形の設定情報に従って電流波形の指令値を生成し、これを電流出力部15に出力することにより電極11、12に供給される電流を制御する。例えば、電流制御部16は、第2電極12が陽極となる陽極刺激、第2電極12が陰極となる陰極刺激とが選択できるように電流の向きを制御し、かつ電流の大きさ(電流値)及び変化率をPC20から与えられる目標値に制御することが可能である。電流制御の一例は後述する。
ノイズ低減部17は、電極11、12間に供給される電流に含まれるノイズ成分を低減する。ノイズ低減部17はノイズ低減手段の一例である。発明者の検討によれば、電流に含まれるノイズ成分は刺激感や金属味を悪化させる要因となり、ノイズ成分が大きいほどそれらの違和感が強まる傾向があることが判明した。そのため、ノイズ低減部17を設けることにより、微小なノイズ成分が刺激感や金属味に与える影響を抑えて味覚改質効果の増強を図っている。なお、「低減」の用語は、ノイズ低減部17を設けない場合と比較して電流中のノイズ成分を相対的に減少させることを意味し、ノイズ成分が多少なりとも残存する場合に限らず、ノイズ成分が検出不能なレベルまで減少する「除去」、「消去」、「解消」といった処理も包含する概念である。「改質」は、ユーザ1が感じ取る味覚を、電気的刺激を付加しない場合に感知される本来の味覚から変化させること意味する概念であり、「提示」は改質された味覚をユーザ1に感じ取らせることを意味する概念である。
ノイズ低減部17は、各種の電気回路におけるノイズ成分の低減に利用されるコンデンサ、インダクタあるいはフェライトコア等の各種の要素を単独で又は適宜に組み合わせて構成されてよい。図3の例では、外部電源に由来するノイズ成分を低減する目的で昇圧回路14の入力側にノイズ低減部17Aが、昇圧回路14の昇圧時に発生する内部発信周波数に相当するノイズ成分を除去する目的で昇圧回路14の出力側にノイズ低減部17Bがそれぞれ設けられている。ただし、ノイズ低減部17の位置、及び数は、電気刺激発生部13におけるノイズ発生源の位置等の内部構成に応じて適宜に変更されてよい。
次に、電流制御部16による電流制御の例を説明する。図4は、電流制御部16によって制御される電流波形の一例を示し、横軸は時間を、縦軸は電流値をそれぞれ示す。電流値は第2電極12が陽極となる場合を正の値で、陰極となる場合を負の値でそれぞれ示している。以下の説明において、電流値の変化は、正負のいずれの方向であっても、絶対値が大きくなる方向の変化を「増加」と表現する。
図4の例では、時刻t1にて、ユーザ1が飲食物2を摂取して電極11、12間が導通し、ユーザ1を含む電気回路が形成されるものとする。電気回路の形成が検知されると、電流制御部16は電流の向きを陽極刺激、すなわち第1電極11が陰極に、第2電極12が陽極になるように設定して電流の供給を開始し、電流値を所定の増加時間Txをかけて設定値Isまで漸次増加させる。設定値Isへの到達後、電流制御部16は所定の保持時間Tyに亘って設定値Isを保持し、保持時間Tyが経過したら電流の供給を停止する。増加時間Txにおける電流値の増加率(変化率)は、電流値を設定値Isまで直ちに増加させる場合の増加率、言い換えれば、電流値の増加速度を制限せず、電気刺激発生部13の電気的特性によって定まる最大速度で電流値を増加させる場合の増加率と比較して小さく制限される。このように、電流値を適度に緩やかに増加させることにより、ユーザ1が感じ取る刺激感を弱めることが可能である。
電流値の設定値Is、及び設定値Isに達するまでの電流値の増加率は、ユーザ1の個人差、目的とする味覚の改質効果の程度、あるいは摂取対象の飲食物2の種類といった環境状況に応じて適宜に設定されてよい。一例として、設定値Isの絶対値は0.1mA~1.0mAといった程度に設定することができる。設定値Isの絶対値は、味覚改質効果を高める観点から、0.1mA~1.0mAであることが好ましく、0.3mA~1.0mAであることがより好ましく、0.5mA~1.0mAであることがさらに好ましく、0.7mA~1.0mAであることがさらにより好ましい。増加率に関しては、0.1mA/m秒以下の範囲とすることができる。設定値Isを上記の程度とした場合、増加時間Txは少なくとも0.01秒以上を目安として設定されてよく、場合によっては0.1秒以上、あるいは0.3秒以上に設定されてもよい。設定値Isの保持時間Tyも、ユーザ1の個人差、目的とする味覚の改質効果の程度、あるいは摂取対象の飲食物2の種類といった環境状況に応じて適宜に設定されてよい。一例として、保持時間Tyは0.5秒程度に設定されてよい。
図5は、電流制御部16によって制御される電流波形の他の例を示す。横軸及び縦軸は図4の場合と同様であり、時刻t1にてユーザ1を含む電気回路が形成される点も図4と同様である。図5の例は、電流供給中に電極11、12の極性を反転させることにより、陰極刺激及び陽極刺激の両者を実施する点で図4の例と相違する。すなわち、図5の例においては、時刻t1にて電気回路の形成が検知されると、電流制御部16は電流の向きが陰極刺激、すなわち第1電極11が陽極に、第2電極12が陰極になるように設定して電流の供給を開始し、電流値を所定の増加時間Tx1をかけて設定値Is1まで漸次増加させる。設定値Is1への到達後、電流制御部16は所定の保持時間Ty1に亘って設定値Is1を保持する。保持時間Ty1が経過すると、電流制御部16は、第1電極11が陰極に、第2電極12が陽極になるように電流の向きを変化させ、所定の反転時間Tx2をかけて第2電極12の電流値を設定値Is2まで増加させる。設定値Is2への到達後、電流制御部16は所定の保持時間Ty2に亘って設定値Is2を保持し、保持時間Ty2が経過したら電流の供給を停止する。
図5のように、電流の供給開始後に極性を反転させる場合には、電流値Is1、Is2を比較的小さい値に抑えつつ、極性反転を利用して味覚の変化作用を十分に引き出し、それにより、味覚改質効果の増強を図ることが可能である。陰極刺激はユーザ1の違和感が比較的小さく抑えられる一方で味覚改質効果が弱く、陽極刺激は味覚改質効果が比較的大きくなる一方で違和感、特には金属味が比較的強く惹起される傾向がある。そのため、先に陰極刺激を実施して違和感を抑えつつ、その後に極性を反転させて陽極刺激を実施することにより、反転中における電流値の変化量を大きく確保して味覚改質効果を高めつつ、陽極刺激時の電流の設定値Is2を相対的に低く抑えて違和感の増大を抑えることが可能である。
図5の例において、電流波形を規定する各種のパラメータ、すなわち、電流値の設定値Is1、Is2、設定値Is1、Is2に達するまでの電流値の増加率、陰極刺激の保持時間Ty1は、ユーザ1の個人差、目的とする味覚の改質効果の程度、あるいは摂取対象の飲食物2の種類といった環境状況に応じて適宜に設定されてよい。一例として、設定値Is1、Is2のそれぞれの絶対値は0.1mA~1.0mA程度に設定することができる。設定値Is1、Is2の絶対値は互いに等しくてもよいし、異なっていてもよい。設定値Is1、Is2の絶対値は、味覚改質効果を高める観点から、0.1mA~1.0mAであることが好ましく、0.3mA~1.0mAであることがより好ましく、0.5mA~1.0mAであることがさらに好ましく、0.7mA~1.0mAであることがさらにより好ましい。
陰極刺激時の電流値が設定値Is1に達するまでの電流値の増加率に関しては、0.1mA/m秒以下の範囲とすることができる。設定値Is1を上記の程度とした場合、増加時間Tx1は少なくとも0.01秒以上を目安として設定されてよく、場合によっては0.1秒以上、あるいは0.3秒以上に設定されてもよい。設定値Is1の保持時間Ty1は、一例として0.1秒以上を目安として設定されてよく、場合によっては0.3秒以上、あるいは0.5秒以上、さらには1秒以上に設定されてもよい。保持時間Ty1を長く確保する方が陰極刺激の効果が得られ易い傾向がある。
設定値Is1からIs2への変化に要する反転時間Tx2は、0.5秒以下を目安として設定されてよい。0.5秒を超えると、反転による効果が十分に得られないおそれがある。反転時間Tx2は、好ましくは0.4秒以下に設定されてもよい。一方、刺激感の低減の観点から、反転時間Tx2は、好ましくは0.01秒以上、さらに好適には0.1秒以上に設定されてもよい。陽極刺激時の設定値Is2の保持時間Ty2は、ユーザ1の個人差、目的とする味覚の改質効果の程度、あるいは摂取対象の飲食物2の種類といった環境状況に応じて適宜に設定されてよい。
図4及び図5に示した電流波形は一例であり、電極11、12間に供給すべき電流の波形は、適宜の変形又は変更が施されてよい。例えば、図4の例では陽極刺激のみを実施したが、陰極刺激のみを実施してもよい。図5の例では、先に陰極刺激を実施し、その後に電極11、12の極性を反転させて陽極刺激を実施したが、それらの順序を入れ替えて先に陽極刺激を実施し、その後に陰極刺激を実施してもよい。電流波形は、電気的な刺激を与える目的、すなわち、味覚をどのように改質してユーザ1に提示すべきかの観点、味覚の改質の対象となる飲食物2の種類、あるいはユーザ1の嗜好その他の個性といった各種の事項を考慮して設定されてよい。図4の例における増加時間Txの電流値の増加率、図5の例における増加時間Tx1及び反転時間Tx2の電流値の増加率はいずれも一定であり、電流値の変化が傾き一定の直線状の変化とされているが、電流値の変化を、二次曲線その他の非線形の変化としてもよい。保持時間Ty、Ty1、Ty2においても電流値を一定値に固定せず、許容され得る範囲で変化させてもよい。例えば、電流波形を正弦波状、あるいは鋸歯状等の適宜の波形に設定してもよい。このような場合でもノイズ低減手段を設けることによる違和感の低減効果を得ることが可能であるし、電流値を比較的緩やかに増加させることによる刺激感の低減を図ることが可能である。さらに、極性の反転を伴う電流波形を設定すれば、陰極刺激又は陽極刺激のいずれを先行させるかに関わらず、電流値を相対的に小さく抑えつつ、電流値の変化量を増加させて味覚の改質効果を高めることが可能である。
本発明によって味覚を提示する対象となる飲食物は、電気的刺激を発生させるための電流を通過させ得る限りにおいて、各種の飲食物が含まれてよい。水分を含んだ飲食物であれば電流を流すことが可能であるが、好適には水分を20重量%以上、より好ましくは25重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上含んだ飲食物を対象とすることができる。味覚を改質する効果は、味覚成分を含んでいる限り、各種の飲食物にて発揮させることが可能である。例えば、塩分を含んだ飲食物の塩味を増強させる場合には、塩分を0.05重量%以上含んだ飲食物に対して本発明を好適に適用することが可能であり、より好ましくは塩分を0.1重量%以上、さらに好ましくは0.15%以上含んだ飲食物に本発明を適用することができる。具体的な飲食物としては、ラーメン等の麺類、スープ類、ソーセージやから揚げ等の肉料理と肉類加工品、焼き魚や魚卵等の魚料理と水産加工品、卵料理と卵加工品、豆腐料理と豆腐加工品、チーズ、調理加工品、野菜料理や野菜加工品、粉物料理、揚げ物、鍋物、カレー等の煮込み料理、ビール、ワイン等のアルコール飲料、ニアウォータ飲料、スポーツ飲料(アイソトニック飲料)、果汁飲料、乳飲料、野菜汁飲料、酸性飲料、炭酸飲料、乳清飲料、コーヒー飲料、紅茶飲料、緑茶飲料、ウーロン茶飲料、麦茶飲料、エナジードリンクまたはビールテイスト飲料等のノンアルコール飲料等を本発明による味覚改質の対象として挙げることができる。改質対象となる味覚は塩味に限らず、甘味、酸味、旨味、苦味、渋味、刺激味、脂質味、炭酸感、アルコール感等の各種の味覚を本発明によって改質して提示することが可能である。
本発明における味覚(例えば、塩味)増強効果、刺激感及び金属味の強弱の程度は、訓練されたパネラーであれば、容易かつ明確に決定することができる。評価の基準や、パネラー間の評価のまとめ方は、一般的な方法を用いることができる。本発明における味覚(例えば、塩味)増強効果、刺激感及び金属味の強弱の程度を評価するパネラーの人数は1名であってもよいが、客観性がより高い評価を得る観点から、パネラーの人数の下限を、例えば2名以上、好ましくは3名以上とすることができ、また、評価試験をより簡便に実施する観点から、パネラーの人数の上限を、例えば20名以下、10名以下とすることができる。パネラーが2名以上の場合の味覚(例えば、塩味)増強効果、刺激感及び金属味の強弱の程度の評価は、その飲食物サンプルの味覚(例えば、塩味)増強効果、刺激感及び金属味の強弱の程度についてのパネラー全員の評価の平均を採用してもよい。各評価基準に整数の評価点が付与されている場合、パネラー全員の評価点の平均値をその味覚(例えば、塩味)増強効果、刺激感及び金属味の強弱の程度の評価として採用してもよい。前述のように、評価点の平均値を採用する場合は、その平均値の小数第1位又は第2位(好ましくは小数第2位)を四捨五入した値を採用してもよい。なお、パネラーが2名以上である場合には、各パネラーの評価のばらつきを低減するために、実際の官能評価試験を行う前に、各パネラーの評価基準ができるだけ揃うように評価基準を共通化する作業を行っておくことが好ましい。かかる共通化作業としては、味覚(例えば、塩味)増強効果が既知の複数種の飲食物サンプルに対する味覚強度、若しくは刺激感及び金属味の強弱の程度を各パネラーで評価した後、その評価点を比較し、各パネラーの評価基準に大きな乖離が生じないよう確認することが挙げられる。また、このような評価基準に関する事前の共通化作業により、評価点が複数段階のいずれか(例えば1、2、3、4、5の5段階のいずれか)で与えられる場合の、各パネラーによる味覚(例えば、塩味)増強効果、刺激感及び金属味の強弱の程度の評価の標準偏差が0.5以内となるようにしておくことが好ましい。
次に、本発明による効果を確認するために行った試験について説明する。試験条件は次の通りである。
(1)試験条件について
[使用装置]
・装置1:図1に示すように電極を構成し、かつ電気刺激発生部を図3に示すように構成した装置。ただし、外部電源として交流の100V交流の商用電源を利用し、これをACアダプターにより20V、2.25Aの直流に変換して昇圧回路に供給した。
・装置2:装置1に対して電極を図2に示す構成に変換した装置。
・装置3:装置1に対してノイズ低減部を省略した装置。
・装置4:装置2に対してノイズ低減部を省略した装置。
装置1~4のいずれにおいても、第1電極には、スリーエムジャパン株式会社製の商品名「レッドダット」(登録商標)、モニタリング電極2560を使用した。第1電極は被験者の手に貼付した。第2電極は、例えばクリップ式の電極のように接続対象に装着可能な電極を利用し、これを導電性の食器に直接接続した。ノイズ低減部については、外部電源に由来するノイズ成分を低減する目的のノイズ低減部17Aに、株式会社村田製作所製のインダクタ、品番LQM21PN4R7MGRDを使用し、昇圧回路の内部発信周波数に相当するノイズ低減部17Bに、TDK株式会社製のインダクタ、MLZ2012タイプ、品番MLZ2012N101LT000を使用した。
[飲食物サンプル]
摂取対象となるべき飲食物のサンプルとして以下を用意した。
・試飲サンプル:通常~薄味のスープ類の塩分濃度を参考に、塩分濃度が0.3重量%、及び0.5重量%の食塩水を試飲サンプルとして調製した。
・試食サンプル:家庭で調理される通常~薄味の焼き物の塩分濃度を参考に、塩分濃度が0.6重量%の食塩水寒天ゲル(寒天濃度0.8重量%)を調製し、これを1cm角の立方体形状に切り揃えて試食サンプルとした。
・一般食品サンプル:市販のスポーツドリンク、インスタント卵スープ、インスタント味噌汁、魚肉ソーセージ、サラダチキン、カップ麺を用いた。カップ麺はスープを2倍に希釈して、薄味の状態に調製した。
[試験方法]
事前検査により、塩分濃度0.03重量%の塩味強度の違いを判別可能であることが確認された4名の被験者を選別し、各被験者に装置1~4を適宜に用いて飲食物サンプルを摂取させた。被験者の選別においては、各被験者の評価のばらつきを低減するために、実際の官能評価試験を行う前に、塩味増強効果、刺激感及び金属味の強弱の程度について、既知の複数種の飲食物サンプルの味覚強度、もしくは刺激感及び金属味の強弱の程度が既知の複数種の電気刺激条件を提示する電極を舌にあてた際の刺激感および金属味の程度 を各被験者で評価した後、その評価点を比較し、各被験者の評価基準に大きな乖離が生じないように確認した。さらに、各被験者による塩味増強効果、刺激感及び金属味の強弱の程度の評価の標準偏差が0.5以内であることも確認した。摂取中に電気刺激発生部から電極間に味覚刺激用の電流を供給し、各試験者に、塩味増強効果、刺激感、金属味のそれぞれに対し、下表1~3の基準に従って点数を付与させることにより、官能評価を取得した。その後、被験者全員の評価点の平均値の小数第1位を四捨五入した値を評価結果とした。電流の制御に関しては、陽極刺激のみを行う場合(図4の例)、陰極刺激のみを行う場合(図4を上下反転させた波形に相当する。)、図5に例示したように陰極刺激を先行させ、その後に陽極刺激へと極性を反転させる場合のそれぞれについて試験を実施した。図4又は図5に示した増加時間Tx、保持時間Ty、Ty1も適宜に変化させてその影響を確認した。
Figure 2023028676000002
Figure 2023028676000003
Figure 2023028676000004
表1の塩味増強効果については、3点以上を「効果あり」と評価し、表2の刺激感、及び表3の金属味については、それぞれ3点以下を「問題なし」と評価した。以下に示す試験結果においては、塩味増強効果が3点以上、かつ刺激感及び金属味が3点以下と評価された場合を実施例とし、これに当てはまらない試験結果を比較例として表記する。
(2)ノイズ低減による効果の確認
表4を参照して、ノイズ低減が塩味増強効果等に与える影響を確認するために実施した試験について説明する。表4の実施例1~12は、ノイズ低減部を備えた装置1又は装置2のいずれかを使用し、陽極刺激又は陰極刺激のいずれか一方となるように電極間に電流を供給した場合の評価結果を示している。比較例1~4は、ノイズ低減部を省略した装置3又は装置4のいずれかを使用し、陽極刺激又は陰極刺激のいずれか一方となるように電極間に電流を供給した場合の評価結果を示している。
Figure 2023028676000005
表4の「電気刺激条件」は、陽極刺激又は陰極刺激のいずれを実施したかの区別と、電流の設定値、及び設定値の電流の保持時間とを示している。例えば、実施例1の陽極刺激0.3mA、0.5秒保持は、図4に示した陽極刺激が実施され、設定値Isが0.3mA、保持時間Tyが0.5秒であることを示している。実施例1~9は試飲サンプルに対して装置1を用いて電気的な刺激を加えた例、実施例10及び11は試食サンプルに対して装置2を用いて電気的な刺激を加えた例である。電流値の増加時間Txは実施例1~11のいずれも0.01秒に設定した。設定値Isは、0.3mA(実施例1、5)、0.5mA(実施例2、6、8~11)、0.7mA(実施例3)、1.0mA(実施例4)のいずれかに設定されているため、増加時間Txにおける電流値の増加率は、0.03mA/m秒~0.1mA/m秒の範囲である。一方、比較例1~4はノイズ低減部が実装されない装置3又は装置4を用いた例である。飲食物サンプル及び電気刺激条件については比較例1が実施例1と同一、比較例2が実施例4と同一、比較例3が実施例7と同一、比較例4が実施例10と同一である。
表4から明らかなように、ノイズ低減を実施した実施例1~11では、陽極刺激であるか陰極刺激であるかを問わず、塩味増強効果、刺激感及び金属味のいずれも適切な評価が得られることが確認された。一方、ノイズ低減を実施しない比較例1~4は、対応する実施例1、4、7、10と電気的刺激の条件が同一であっても不適切な評価にとどまる。特に、刺激感又は金属味に関して十分な効果が得られていない。
(3)極性反転による効果の確認
表5を参照して、電極の極性反転による塩味増強効果等の変化を確認するために実施した試験について説明する。表5の実施例12~22は、試飲サンプルに対して装置1を、試食サンプルに対して装置2をそれぞれ使用し、図5の電流波形に倣って陰極刺激を先行して実施し、その後に電流の向きを反転させて陽極刺激を実施した場合の評価結果を示している。
Figure 2023028676000006
表5の「電気刺激条件」は、図5の設定値Is1、Is2、保持時間Ty1、Ty2の設定を示している。例えば、実施例12では、陰極刺激時の電流値の設定値Is1が-0.7mA、その保持時間Ty1が1.0秒、陽極刺激時の電流値の設定値Is2が+0.7mA、その保持時間Ty2が0.5秒であることを示している。実施例12~22のサンプル及び陽極刺激の条件と、表4の実施例1~11のサンプル及び陽極刺激の条件との対応関係は、実施例12が実施例3に対応し、実施例13~17が実施例4に対応し、実施例18が実施例2に対応し、実施例19が実施例1に対応し、実施例21が実施例8に対応し、実施例21が実施例9に対応する関係にある。実施例20に関しては、実施例19に対して陽極刺激の保持時間Ty2を同一に設定しつつ、電流値の設定値Is2を0.3mAから0.1mAへとさらに減少させた例である。なお、陰極刺激を開始する際の電流値の増加時間Tx1は0.01秒であり、増加率は表4の実施例1~11と同範囲である。また、反転時間Tx2は実施例12~22のいずれも0.1秒以下に設定した。
上述した対応関係に従って評価結果を比較すると、実施例14を除いて、いずれも表4に示した実施例の評価結果に対するさらなる改善が確認された。例えば、実施例3では塩味増強効果、刺激感及び金属味の評価が「4、1、2」であるところ、実施例12では「5、1、1」であり、塩味増強効果及び金属味が改善されている。また、極性の反転を実施した場合には、飲食物サンプルの香味全体が増強され、その結果として金属味が陽極刺激を単独で実施した場合よりも低減されることも確認された。なお、実施例14に関しては、陽極刺激を単独で実施した場合とほぼ同等の評価にとどまる。その要因として、陰極刺激の保持時間が0.01秒と極めて短く、陰極刺激を先行させる効果が十分には発揮されなかった可能性がある。よって、陰極刺激は最低限の目安として0.01秒以上は保持することがよい。一方、実施例20から明らかなように、極性を反転させた場合には、陽極刺激時の電流値の設定値が0.1mAと小さいにも関わらず、実施例1よりも塩味増強効果が増強されている。この点からも、極性反転が、電流値の設定値を抑えつつ、味覚の改質効果を高める手段として有効であることが看取できる。
(4)飲食物の種類が効果に与える影響の確認
表6を参照して、飲食物の種類による塩味増強効果等の相違を確認するために実施した試験を説明する。表6は、試飲サンプル又は試食サンプルに代えて、各種の一般食品サンプルに対して装置1~装置4を選択的に使用し、塩味増強効果等を評価した結果を示す。
Figure 2023028676000007
表6において、実施例23~42は、図4の電流波形に倣って陽極刺激又は陰極刺激のいずれか一方を単独で実施し、又は図5の電流波形に倣って陰極刺激を先行して実施し、その後に陽極刺激を実施した場合の評価結果である。比較例5~12は、ノイズ低減部を省略した装置3又は装置4のいずれかを使用して陽極刺激又は陰極刺激のいずれか一方を単独で実施し、又は陰極刺激を先行して実施し、その後に陽極刺激を実施した場合の評価結果である。各例における一般食品サンプルの種類、及び電気刺激条件は表6中に記載の通りである。また、表6では、被験者の代表的なコメントを併記した。なお、陽極刺激を単独で実施し、又は陰極刺激を先行して開始する際の電流値の増加時間は0.01秒であり、増加率は表4の実施例1~11と同範囲である。また、極性反転を実施する場合の反転時間は、表5の例と同じく0.1秒以下である。また、一般食品サンプルとしてインスタント卵スープ、及びインスタント味噌汁を採用する場合、それらのサンプルの摂取は、ストローを用いず、サンプルを収容する容器に直接口をつけて飲用した。
表6の結果によれば、ノイズ低減を施した実施例23~42が、同一サンプルに対してノイズ低減が省略された比較例5~12との比較において、違和感を抑える効果が改善されていることが確認できる。特に、刺激感、及び金属味に関しては、ノイズ低減による効果が顕著に出現している。例えば、実施例23と比較例5との対比によれば、刺激感の評価が「4」から「1」へと改善され、金属味の評価が「5」から「1」へと改善されている。さらに、極性反転を実施した場合には、陽極刺激又は陰極刺激を単独で実施した場合と比較して、一般食品サンプルの種類を問わず、さらなる改善が認められる。例えば、実施例23と実施例25との比較、あるいは実施例29と実施例31との比較によれば、陽極刺激時の電流値の設定値が1.0mAから0.5mAへと減少しているにも関わらず、塩味増強効果の評価は「4」から「5」へと改善されている。これらの実施例の比較では、陽極刺激の保持時間が異なり、極性反転を実施した場合の保持時間の方が長く設定されている。しかし、実施例40と実施例42とを比較すれば、実施例42の陽極刺激の保持時間が0.3秒で、実施例40の保持時間0.5秒よりも短縮されているにも関わらず、同一の電流値であれば実施例42の方が塩味増強効果の評価が高いことが看取できる。よって、陽極刺激時の保持時間の長短よりも、極性反転の実施の有無が味覚を改質する効果に相対的に大きく影響するものと推察される。被験者のコメントから、多くの実施例にて香味全体の増強が看取されたことも確認できる。
(5)電流値の増加率の相違による効果の確認
表7を参照して、電流供給時における電流値の増加率の相違が塩味増強効果等に与える影響を確認するために実施した試験を説明する。表7は、一般食品サンプルとして市販魚肉ソーセージを採用し、装置2を使用して塩味増強効果等を評価した結果を実施例43及び44として示している。市販魚肉ソーセージをサンプルとして選択したのは、飲料よりも食品の方が水分含量が少なく、摂取時の刺激感が食品においてより顕著に出現する傾向があることから、刺激感の抑制効果を確認するに適していると判断したためである。
Figure 2023028676000008
表7の実施例43は陽極刺激のみを実施するものであって、電気刺激の条件は、同一サンプルを対象とする実施例29に対して、電流値が設定値1.0mAに達するまでの増加時間が0.1秒(実施例29は0.01秒)へと変更されたことを除いて一致する。実施例44は陰極刺激のみを実施するものであって、電気刺激の条件は、同一サンプルを対象とする実施例30に対して、電流値が設定値1.0mAに達するまでの増加時間が0.1秒(実施例30は0.01秒)へと変更されたことを除いて一致する。実施例29と実施例43との比較、及び実施例30と実施例44との比較から明らかなように、増加時間を相対的に長く設定した実施例43、44において、刺激感がさらに弱まっていることが確認できる。
上述した実施の形態、変形例、及び実施例のそれぞれから導き出される本発明の各種の態様を以下に記載する。なお、以下の説明では、本発明の各態様の理解を容易にするために添付図面に図示された対応する構成要素を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
本発明の一態様に係る味覚提示装置(10)は、ユーザ(1)が摂取する飲食物(2)と前記ユーザの身体との間に電気回路を形成できるように設けられる第1電極(11)及び第2電極(12)と、前記第1電極と前記第2電極との間に、電気的な刺激を発生させるための電流を供給する電気刺激発生手段(13)と、を備え、前記電気刺激発生手段は、前記電流中のノイズ成分を低減するノイズ低減手段(17A、17B)を含んでいるものである。
発明者の検討によれば、電気的な刺激を利用して味覚の改質を図る場合、電流に含まれるノイズ成分が刺激感や金属味を悪化させる要因となり、ノイズ成分が大きいほどそれらの違和感が強まる傾向があることが判明した。したがって、電極間に供給される電流中のノイズ成分をノイズ低減手段にて低減することにより、ノイズ成分が刺激感や金属味に与える影響を抑え、目的とする味覚改質効果の増強を図ることが可能である。
上記態様において、前記電気刺激発生手段は、前記電流の供給開始後に前記第1電極及び前記第2電極の極性が反転するように前記電流の向きを変化させてもよい。電流を供給して電気的な刺激を発生させている途中で極性を反転させた場合には、電流値の絶対値を相対的に小さく抑えつつ、極性反転時における電流値の変化量を増加させて味覚の改質効果を効果的に引き出すことが可能である。
前記電気刺激発生手段は、前記第2電極が陰極となる陰極刺激の状態で前記電流の供給を開始し、その後に、前記第2電極が陽極となる陽極刺激の状態に切り替わるように前記電流の向きを変化させてもよい。陰極刺激はユーザの違和感が比較的小さく抑えられる一方で味覚改質効果が弱く、陽極刺激は味覚改質効果が比較的大きくなる一方で違和感、特には金属味が比較的強く惹起される傾向がある。そのため、先に陰極刺激を実施して違和感を抑えつつ、その後に極性を反転させて陽極刺激を実施することにより、反転中における電流値の変化量を大きく確保して味覚改質効果を高めつつ、陽極刺激時の電流の設定値を相対的に低く抑えて違和感の増大を抑えることが可能である。
前記電気刺激発生手段は、所定の電流設定値(Is1)を保持した前記陰極刺激が0.1秒以上の保持時間(Ty1)に亘って実施され、前記保持時間後は前記陽極刺激が実施されるように前記電流の向きを変化させてもよい。陰極刺激の保持時間を上記の範囲に設定することにより、陰極刺激を先行させる場合の効果を高めることが可能である。
前記電気刺激発生手段は、前記極性の反転が0.5秒以下の反転時間(Tx2)内で完了するように前記電流の向きを変化させてもよい。これによれば、極性反転を実施する効果を効果的に引き出すことができる。
前記電気刺激発生手段は、前記電流の供給開始時にて、電流値の変化率が0.1mA/m秒以下に制限されるようにして前記電流値を漸次増加させてもよい。電流値の変化率を上記の範囲内に制限しつつ電流値を増加させることにより、電流値の急激な増加に伴う刺激感の悪化を抑え、味覚増強といった改質効果を確実に引き出すことが可能である。
前記第1電極は前記ユーザの身体に接するように設けられ、前記第2電極は前記飲食物に接するように設けられてもよい。このように電極を配置すれば、飲食物の摂取時に員淑物とユーザの身体との間に電気回路を形成することができる。
前記ノイズ低減手段(17A)は、電源に由来するノイズ成分を低減するように設けられてもよい。前記電気刺激発生手段が昇圧回路(14)を含んでいる場合、前記ノイズ低減手段(17B)は、前記昇圧回路における内部発信周波数に相当するノイズ成分を低減するように設けられてもよい。これらの形態によれば、刺激感や金属味の悪化の要因となるノイズ成分を効果的に低減することが可能である。
10 味覚提示装置
11 第1電極
12 第2電極
13 電気刺激発生部(電気刺激発生手段)
14 昇圧回路
17A、17B ノイズ低減部(ノイズ低減手段)

Claims (9)

  1. ユーザが摂取する飲食物と前記ユーザの身体との間に電気回路を形成できるように設けられる第1電極及び第2電極と、
    前記第1電極と前記第2電極との間に、電気的な刺激を発生させるための電流を供給する電気刺激発生手段と、を備え、
    前記電気刺激発生手段は、前記電流中のノイズ成分を低減するノイズ低減手段を含んでいる味覚提示装置。
  2. 前記電気刺激発生手段は、前記電流の供給開始後に前記第1電極及び前記第2電極の極性が反転するように前記電流の向きを変化させる請求項1に記載の味覚提示装置。
  3. 前記電気刺激発生手段は、前記第2電極が陰極となる陰極刺激の状態で前記電流の供給を開始し、その後に、前記第2電極が陽極となる陽極刺激の状態に切り替わるように前記電流の向きを変化させる請求項2に記載の味覚提示装置。
  4. 前記電気刺激発生手段は、所定の電流設定値を保持した前記陰極刺激が0.01秒以上の保持時間に亘って実施され、前記保持時間後は前記陽極刺激が実施されるように前記電流の向きを変化させる請求項3に記載の味覚提示装置。
  5. 前記電気刺激発生手段は、前記極性の反転が0.5秒以下の反転時間内で完了するように前記電流の向きを変化させる請求項2~4のいずれか一項に記載の味覚提示装置。
  6. 前記電気刺激発生手段は、前記電流の供給開始時にて、電流値の変化率が0.1mA/m秒以下に制限されるようにして前記電流値を漸次増加させる請求項1~5のいずれか一項に記載の味覚提示装置。
  7. 前記第1電極は前記ユーザの身体に接するように設けられ、前記第2電極は前記飲食物に接するように設けられている請求項1~6のいずれか一項に記載の味覚提示装置。
  8. 前記ノイズ低減手段は、電源に由来するノイズ成分を低減するように設けられている請求項1~7のいずれか一項に記載の味覚提示装置。
  9. 前記電気刺激発生手段は昇圧回路を含み、前記ノイズ低減手段は、前記昇圧回路における内部発信周波数に相当するノイズ成分を低減するように設けられている請求項1~8のいずれか一項に記載の味覚提示装置。
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