JP2021045399A - 電気味覚提示装置、電気味覚提示システム、および電気味覚提示方法 - Google Patents

電気味覚提示装置、電気味覚提示システム、および電気味覚提示方法 Download PDF

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芳明 宮下
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Abstract

【課題】脱着が容易であり、種々の飲食環境において容易に使用でき、被検者の負荷を軽減しやすい電気味覚提示装置を提供する。【解決手段】電気味覚提示装置1は、被検物を通して味覚器官を含む人体に通電することによって被検物の電気味覚提示を行う電気味覚提示装置であって、絶縁膜層2Aと第1電極4とを有しており、第1電極4は、絶縁膜層2Aを介して少なくとも手の平側に露出するように手に装着可能な第1装着部W1と、第2電極6を有し、上肢のいずれかの表面に第2電極6を当てて装着可能な第2装着部W2と、第1電極4および第2電極6に電圧を印加する電源装置3と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、電気味覚提示装置、電気味覚提示システム、および電気味覚提示方法に関する。
電気味覚とは、味覚器に電気刺激が加わることで生じる味質変化のことである。従来、電気味覚提示を行うための種々の電気味覚提示装置が提案されている。
例えば、特許文献1には、ヒトの首筋に設置する陽極電極と、舌の付近に設置する陰極電極と、陽極電極および陰極電極の間に直流成分の電気信号を印加する刺激信号発生部とを備える味覚電気刺激装置が開示されている。
特開2018−42991号公報
しかしながら、上記のような関連技術には、以下のような問題がある。
電気味覚提示装置では、食品を通して味覚器に電気刺激を加えるために、味覚器を含む人体と、食品と、の間に電気回路を形成する必要がある。このため、少なくとも人体に導通する電極と、食品に導通する電極とを設置する必要がある。
例えば、特許文献1では、陽極電極を首筋に設置しているが、顔の近くで人体に接する電極は、飲食中の被検者に違和感を与えやすいという問題がある。
また、特許文献1では、食品に導通する陰極電極を導線の先端部によって構成している。導線の先端部は、コップの内部の水溶液に浸漬されるとともに、コップの内部に挿入されたストローの内部にも配置されている。このため、被検者は、導線付きのコップおよびストローを用いて水溶液を飲む必要がある。
このように食器類に配線が設けられると、飲食に必要なすべての食器に配線が必要になり、配線が絡まり合うなどして、飲食に支障が出るおそれがある。また、飲食環境として不自然さが生じ易い。
このような電気味覚提示装置は、家庭での食事時あるいは外食時などに使用しにくいという問題もある。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、脱着が容易であり、種々の飲食環境において容易に使用でき、被検者の負荷を軽減しやすい電気味覚提示装置、電気味覚提示システム、および電気味覚提示方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の第1の態様の電気味覚提示装置は、被検物を通して味覚器官を含む人体に通電することによって前記被検物の電気味覚提示を行う電気味覚提示装置であって、第1絶縁層と第1電極とを有しており、前記第1電極は、前記第1絶縁層を介して少なくとも手の平側に露出するように前記手に装着可能な第1装着部と、第2電極を有し、上肢のいずれかの表面に前記第2電極を当てて装着可能な第2装着部と、前記第1電極および前記第2電極に電圧を印加する電源装置と、を備える。
上記電気味覚提示装置においては、前記第1装着部は、前記手の5指のうち少なくとも1指からなる第1装着指の指先部に装着可能であってもよい。
上記電気味覚提示装置においては、前記第1装着部は、前記第1装着指のうち少なくとも前記指先部を覆う第1袋部を有してもよい。
上記電気味覚提示装置においては、前記第2装着部は、前記第2電極を前記表面と反対側から覆う第2絶縁層を有してもよい。
上記電気味覚提示装置においては、前記第1装着部および前記第2装着部は、前記手に装着可能な手袋に設けられていてもよい。
上記電気味覚提示装置においては、前記手袋は、前記第1電極の露出部を除く前記手の平側の表面および前記露出部を除く前記手の指間部の表面に形成された撥水性の第3絶縁層を有していてもよい。
上記電気味覚提示装置においては、前記電圧の波形を制御する電圧制御部を有してもよい。
本発明の第2の態様の電気味覚提示システムは、上記電気味覚提示装置を備える。
本発明の第3の態様の電気味覚提示方法は、上記電気味覚提示装置を準備することと、前記電気味覚提示装置における前記第1装着部および前記第2装着部を被検者に装着することと、前記電源装置から前記第1電極および前記第2電極に電圧を印加することと、前記第1装着部および前記第2装着部を装着した前記被検者の手における前記第1電極を被検物に導通させた状態で、前記被検物を前記被検者の味覚器官に当接させることと、とを含む。
上記電気味覚提示方法においては、前記被検者が、前記第1装着部を装着した手で前記被検物をつかむことによって、前記第1電極と前記被検物とを導通させてもよい。
上記電気味覚提示方法においては、前記被検者が、前記第1装着部の前記第1電極を移動して、前記被検物との導通状態を変えることをさらに含んでもよい。
上記電気味覚提示方法においては、前記被検物の味質と対比的な味質を有する物質または味覚修飾物質を前記被検物と共存させることを、さらに含んでもよい。
本発明によれば、脱着が容易であり、種々の飲食環境において容易に使用でき、被検者の負荷を軽減しやすい電気味覚提示装置、電気味覚提示システム、および電気味覚提示方法を提供できる。
本発明の第1の実施形態の電気味覚提示装置の一例を示す模式的な背面図である。 本発明の第1の実施形態の電気味覚提示装置の一例を示す模式的な正面図である。 図1におけるA−A断面図である。 図1におけるB−B断面図である。 本発明の第1の実施形態の電気味覚提示装置の使用方法の例を示す模式図である。 本発明の第1の実施形態の電気味覚提示装置の動作を説明する模式図である。 本発明の第1の実施形態の電気味覚提示装置における電圧印加時の電流変化の例を示す模式的なグラフである。 本発明の第1の実施形態の電気味覚提示装置の使用方法の例を示す模式図である。 本発明の第1の実施形態の電気味覚提示装置の使用方法の例を示す模式図である。 本発明の第1の実施形態の電気味覚提示装置の使用方法の例を示す模式図である。 本発明の第1の実施形態の電気味覚提示装置の使用方法の例を示す模式図である。 本発明の第2の実施形態の電気味覚提示装置の一例を示す模式的な正面図である。 本発明の第3の実施形態の電気味覚提示装置の一例を示す模式図である。 本発明の第4の実施形態の電気味覚提示装置の一例を示す模式図である。 本発明の第4の実施形態の電気味覚提示装置の使用方法を示す模式図である。 本発明の第5の実施形態の電気味覚提示装置における電源装置の一例の主要部を示す機能ブロック図である。 本発明の第5の実施形態の電気味覚提示装置における電圧印加時の電流波形の例を示す模式的なグラフである。 本発明の第6の実施形態の電気味覚提示システムの一例を示す機能ブロック図である。
以下では、本発明の実施形態の電気味覚提示装置、電気味覚提示システム、および電気味覚提示方法について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態の電気味覚提示装置について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の電気味覚提示装置の一例を示す模式的な背面図である。図2は、本発明の第1の実施形態の電気味覚提示装置の一例を示す模式的な正面図である。図3は、図1におけるA−A断面図である。図4は、図1におけるB−B断面図である。
図1、2に示す本実施形態の電気味覚提示装置1は、被検物を通して味覚器官を含む人体に通電することによって被検物の電気味覚提示を行うことができる手袋型のデバイスである。
被検物としては、被検者が摂食可能な飲食物が用いられる。
電気味覚提示装置1は、被検者の手の少なくとも一方に装着されればよいが、図1、2に示す電気味覚提示装置1は、一例として、被検者の左手に装着して用いられる。図1には左手に装着した時の手の甲の側の構成が、図2には左手に装着した時の手の平の側の構成がそれぞれ示されている。
以下では、人体の手首から各指の先端(指先)までを「手」と称し、腕の付け根から各指の先端までを「上肢」と称する。さらに各指の先端から各指の第1関節までを「指先部」と称する。
図1に示すように、電気味覚提示装置1は、手袋2(第1絶縁層、第2絶縁層)、第1電極4、第2電極6、および電源装置3を備える。
手袋2の形状は、被検者の左手の5指すべてと、手の平と、手の甲とをそれぞれ覆う形状に形成されている。以下では、手袋2の外周部において、手袋2に手を装着したときに、手の平と同方向を向く表面を手袋2における手の平側と称し、手の甲と同方向を向く表面を手袋2における手の甲側と称する場合がある。
手袋2は、手袋本体2B、手首部2C、および絶縁膜層2A(第1絶縁層、第2絶縁層、第3絶縁層)を備える。
手袋本体2Bは、第1指袋部2a、第2指袋部2b(第1袋部)、第3指袋部2c、第4指袋部2d、第5指袋部2e(第2袋部)、手の甲部2f(図1参照)、および手の平部2g(図2参照)を備える。
第1指袋部2a、第2指袋部2b、第3指袋部2c、第4指袋部2d、および第5指袋部2eは、それぞれ、第1指、第2指、第3指、第4指、および第5指の各先端から各基端までを覆い、かつ先端部が閉じられた袋状に形成される。以下、簡単のため、第1指袋部2a、第2指袋部2b、第3指袋部2c、第4指袋部2d、および第5指袋部2eを、それぞれ区別しなくてよい場合、またはこれらを総称する場合、単に指袋部、各指袋部、全指袋部などと称する場合がある。
各指袋部は、対象とする被検者の各指の外周部に当接して覆うことができる大きさに形成される。各指袋部は、指にフィットしやすいように伸縮性を有する材料で形成されることがより好ましい。
手の甲部2fおよび手の平部2gは、それぞれ手の甲および手の平を覆う形状を有している。手の甲部2fおよび手の平部2gは、各指袋部の各基端部との接続部および後述する手首部2Cとの接続部を除く端部が互いに接合されており、手の甲および手の平を覆う袋体を構成している。
手の甲部2fおよび手の平部2gからなる袋体は、各指袋部の基端部において、各指袋部の内部と連通するように、各指袋部と接続されている。
手の甲部2fおよび手の平部2gからなる袋体は、指袋部との接続部と反対側の端部において、後述する手首部2Cの内部と連通するように、手首部2Cと接合されている。
手首部2Cは、手首を覆う筒状体であり、一方の端部開口が、手の甲部2fおよび手の平部2gからなる袋体の開口端に接続されている。
手首部2Cは、径方向に伸縮可能に設けられ、伸長時には手先から手首までが挿通可能な大きさに開口する。手首部2Cは、収縮時には、対象とする被検者の手首の外径よりも小径に収縮可能である。
このように手袋本体2Bおよび手首部2Cは、手首部2Cの端部開口を通して、各指袋部の先端部まで連通する袋体を構成している。
被検者は、この袋体の手首部2Cを拡径して、左手を挿入することができる。各指袋部に被検者の各指が挿入されると、被検者の手の甲および手の平がそれぞれ手の甲部2fおよび手の平部2gに覆われる。手首部2Cは、手首の外周部に位置し、収縮して被検者の手首の全周にわたって軽く接触する。
本実施形態では、後述する絶縁膜層2Aを有している。このため、手袋本体2Bおよび手首部2Cは、後述する第1電極4と第2電極6とが短絡せず、かつ被検者の左手に装着したときに後述する第1電極4と被検者の左手とが短絡しなければ、導電性を有する材料が用いられてもよい。ただし、手袋本体2Bおよび手首部2Cは、絶縁性材料で形成されることがより好ましい。
手袋本体2Bおよび手首部2Cは、少なくとも一部が伸縮性を有する材料で形成されることがより好ましい。手袋本体2Bおよび手首部2Cは、少なくとも手の甲側において通気性を有することがさらに好ましい。
例えば、手袋本体2Bおよび手首部2Cとしては、布、編み物、エラストマー材料、およびこれらの複合材料などが用いられてもよい。
手袋本体2Bおよび手首部2Cは、電気味覚提示装置1の専用部品として製造されてもよいが、既成の手袋が用いられてもよい。
以下では、手袋本体2Bおよび手首部2Cが非導電性繊維で編まれた編み物からなる場合の例で説明する。このため、手袋本体2Bおよび手首部2Cは乾燥状態では電気絶縁性を有する。ただし、被検者の汗、外部からの水分の染み込みなどによっては、ある程度電気導電性を呈する場合がある。
絶縁膜層2Aは、被検者の左手の表面と後述する第1電極4との間、および後述する第2電極6と後述する第1電極4との間、とを電気的に絶縁する部材である。
図1、2に示す例では、絶縁膜層2Aは、手袋本体2Bの手の平側の全体(図2参照)と、互いに隣り合う指袋間(図1参照)と、手首部2Cとの接続部を除く手の甲部2fの外周部(図1参照)とを覆うように、手袋本体2Bの外表面に層状に形成されている。
このため、手袋2において各指袋部の手の甲側の一部と、手の甲部2fの中央部の外表面は、手袋本体2Bの外表面によって形成されている。
このため、手袋本体2Bが通気性を有する材料で形成される場合には、手の甲側の通気性が良好になり、手袋2の装着時の手の蒸れが抑制される。
絶縁膜層2Aの材料としては、電気絶縁性が良好な材料であれば特に限定されない。
絶縁膜層2Aの材料は、手袋2の装着時に被検者が指を動かしやすいように、良好な可撓性を有することがより好ましい。絶縁膜層2Aの材料としては、水分が手袋2に透過しないように隙間なく手袋2を覆う撥水性材料が用いられることがより好ましい。この場合、絶縁膜層2Aは、第1電極4の露出部を除く手の平側の表面および露出部を除く手の指間部の表面に形成された撥水性の第3絶縁層を構成する。
絶縁膜層2Aの材料としては、例えば、食品等の被検物と直接接触しても、摂食に支障のある物質が被検物に移行しない材料であることがより好ましい。
絶縁膜層2Aに特に好適な材料としては、エラストマー材料が挙げられる。
例えば、絶縁膜層2Aの材料としてはシリコンエラストマー、ゴム、ラテックス、シリコンゴム、ニトリルゴム、ポリエチレン、プラスチックなどが用いられてもよい。
以下では、特に断らない限り、絶縁膜層2Aがゴム引き布からなる被膜が手袋2の表面を隙間なく覆っている場合の例で説明する。
第1電極4は、後述する電源装置3と電気的に接続されており、電源装置3からの出力電圧が印加される導電性部材である。第1電極4は、被検物自体または被検物と導通された導電性部材(以下、まとめて「被検物等」と称する)と接触することによって電源装置3から出力電圧を被検物に印加する。
第1電極4は、手袋2を装着した被検者の手と絶縁膜層2Aを介して電気的に絶縁されていれば、手袋2の表面のどこに設けられていてもよい。ただし、第1電極4は、手袋2を装着した被検者の手によって被検物等に接触しやすい部位に設けられるとともに、絶縁膜層2Aによって覆われない手と接触しにくい部位に設けられることがより好ましい。
被検者が被検物等に接触しやすい点では、第1電極4は、いずれかの指袋部において、手の平側に設けられることがより好ましい。第1電極4は、指袋部のうち、少なくとも挿入される指の指先部を覆うことができる先端部に設けられることがさらに好ましい。
図1、2に示す例では、第1電極4は、第2指袋部2bの先端部に設けられている。この例では、第1電極4は、第2指袋部2bに挿入される被検者の第2指(図示略)の指先部を収容する第2指袋部2b上の部位の外周全体を覆うように設けられている。
ただし、図1に示す例では、第2指袋部2bにおいて手の甲側の一部に形成された絶縁膜層2Aの開口部Sbにおいて、絶縁膜層2Aを間に挟むことなく、第1電極4と第2指袋部2bとが対向している。
すなわち、図3に断面構成を示すように、第1電極4と第2指袋部2bとは、開口部Sbの範囲において互いに当接可能である。しかし、図3に示す例では、第2指袋部2bが非導電性材料で形成されているので、第1電極4と第2指袋部2bとが接触しても、直ちに第2指f2(第1装着指)と、第1電極4とが短絡することはない。この場合、第1電極4によって覆われる、第2指袋部2bおよび第2指袋部2b上の絶縁膜層2Aは、第1電極4と左手Hとを絶縁する第1絶縁層を構成する。
ただし、水分の浸透などによって第2指袋部2bの絶縁性能が低下した場合にも、第2指f2と第1電極4とを確実に絶縁するために、図1において第1電極4で覆われる開口部Sbの範囲に絶縁膜層2Aが設けられてもよい。この場合、第1電極4によって覆われる範囲で、第2指袋部2bの全周に設けられる絶縁膜層2Aは、第1電極4と第2指f2とを絶縁する第1絶縁層を構成する。
第1電極4の材料は、導電性を有していれば特に限定されないが、被検者が被検物等を違和感なく把持できるように、可撓性を有することがより好ましい。
例えば、第1電極4は、導電性繊維で形成された布、編み物などによって袋状に形成された部材が用いられてもよい。例えば、第1電極4は導電性エラストマー、導電性樹脂、金属箔、導電性ゴム、金属メッシュ、金属布、導電性インクの塗布などによって形成されてもよい。第1電極4は、以上に例示した材料の複合材料によって形成されてもよい。
手袋2への第1電極4の固定方法は特に限定されない。例えば、手袋2への第1電極4の固定方法は、接着、融着、圧着、縫い止め、挿入、塗布、貼り付けなどが用いられてもよい。
図1に示すように、第1電極4には、第1電極4と電気的に接続する第1配線5が連結されている。第1配線5の外周部は、第1電極4および後述する電源装置3との接続部を除いて、絶縁チューブなどによって絶縁被覆されている。
第1配線5と第1電極4との接触位置は、互いに電気的に接続できれば、特に限定されない。例えば、第1配線5は、第1電極4の内面または第1電極4の開口端に接続されていてもよい。
第1配線5は、第2指袋部2bにおける開口部Sbを通って、手の甲部2f上に配置され、後述する電源装置3と電気的に接続されている。
第1配線5は、第1電極4と電源装置3との間の第2指袋部2bおよび手の甲部2fの少なくとも一方と固定されていることがより好ましい。第1配線5と、第2指袋部2bおよび手の甲部2fの少なくとも一方と、の固定方法は特に限定されず、例えば、接着、融着、圧着、縫い止め、テープ止め、半田付け、溶接などが用いられてもよい。
以上説明したように、手袋2において、第2指に装着可能な第2指袋部2bおよび第1電極4は、第1電極4が絶縁膜層2Aを介して少なくとも手の平側に露出するように第2指に装着可能な第1装着部W1を構成している。
第2電極6は、後述する電源装置3と電気的に接続されており、電源装置3からの出力電圧が印加される導電性部材である。第2電極6は、手袋2を装着した被検者の手と接触することによって電源装置3から出力電圧を被検者に印加する。
第2電極6は、第1電極4と電気的に絶縁されており、被検者が手袋2を装着したときに、被検者の左手と接触することができれば、手袋2の内面のどこに設けられていてもよい。
図1に示す例では、第2電極6は、第5指袋部2eの先端部の内側に設けられている。この例では、第2電極6は、第5指袋部2eに挿入される被検者の第5指(図示略)の指先部を収容する第2指袋部2e上の部位の内面全体を覆うように設けられている。
ただし、図1に示す例では、第5指袋部2eにおいて手の甲側の一部に形成された絶縁膜層2Aの開口部Seにおいて、絶縁膜層2Aを間に挟むことなく、第2電極6と第5指袋部2eとが当接している。
すなわち、図4に断面構成を示すように、第2電極6と第5指袋部2eとは、開口部Seの範囲において互いに当接している。しかし、図4に示す例では、第5指袋部2eが非導電性材料で形成されているので、第2電極6と第5指袋部2eとが当接していても、第2電極6と、外部から第5指袋部2eに接触する導電性部材と、が短絡することはない。この場合、第2電極6の外周を覆う、第5指袋部2eおよび第5指袋部2e上の絶縁膜層2Aは、第2電極6を第5指f5の表面と反対側(第2電極6の外周側)から覆って絶縁する第2絶縁層を構成する。
ただし、水分の浸透などによって第5指袋部2eの絶縁性能が低下した場合にも、第2電極6を外部から確実に絶縁するために、図1において第2電極6と重なる開口部Seの範囲に絶縁膜層2Aが設けられてもよい。この場合、第2電極6が配置された範囲の第5指袋部2eの外周部を外側から全周にわたって覆う絶縁膜層2Aは、第2電極6を第5指f5の表面と反対側から覆って第2電極6と外部とを絶縁する第2絶縁層を構成する。
第2電極6の材料は、導電性を有していれば特に限定されないが、被検者が被検物等を違和感なく把持できるように、可撓性を有することがより好ましい。例えば、第2電極6は、上述した第1電極4と同様な材料が用いられる。
手袋2への第2電極6の固定方法は特に限定されない。例えば、手袋2への第2電極6の固定方法は、第1電極4の固定方法と同様な方法が用いられる。
図1に示すように、第2電極6には、第2電極6と電気的に接続する第2配線7が連結されている。第2配線7の外周部は、第2電極6および後述する電源装置3との接続部を除いて、絶縁チューブなどによって絶縁被覆されている。
第2配線7と第2電極6との接触位置は、互いに電気的に接続できれば、特に限定されない。例えば、第2配線7は、第2電極6の外面または第2電極6の開口端に接続されていてもよい。
第2配線7は、第5指袋部2eにおける開口部Seの裏側を通って、手の甲部2f上に延出するように配置され、後述する電源装置3と電気的に接続されている。
第2配線7は、第2配線7と電源装置3との間の第5指袋部2eおよび手の甲部2fの少なくとも一方と固定されていることがより好ましい。第2配線7と、第5指袋部2eおよび手の甲部2fの少なくとも一方と、の固定方法は、第1電極4の固定方法と同様の固定方法が用いられる。
以上説明したように、手袋2において、第5指袋部2eおよび第2電極6は、上肢の一部である第5指の表面に第2電極6を当てて装着可能な第2装着部W2を構成している。
電源装置3は、第1電極4および第2電極6に電圧を印加する。図1に示すように、電源装置3は、第1配線5が接続される第1端子3Aと、第2配線7が接続される第2端子3Bと、第1端子3Aおよび第2端子3Bの間に、直流電圧を発生させる図示略の電源と、電源における電圧を操作する操作部8と、を備える。
電源装置3における電源は、例えば、直流電源である。直流電源の種類は特に限定されない。例えば、直流電源として、乾電池(一次電池)、充電池(二次電池)などの電池が用いられてもよい。電源装置3は、電圧を変更可能に設定するため、可変抵抗器を備えていてもよい。電源装置3は、第1端子3Aおよび第2端子3Bにおける極性を切り替える極性切り替え回路を備えていてもよい。
操作部8の構成としては、少なくとも電圧印加の開始および停止を操作できれば特に限定されない。
図1に示す例では、操作部8は、電源をオン/オフするメインスイッチ8aと、電圧の大きさおよび極性の少なくとも一方を調整する調整スイッチ8bとを備える。
メインスイッチ8aは、例えば、オン/オフの切り替えに応じて2位置の間を移動する押しボタンスイッチ、スライドスイッチなどが用いられる。
調整スイッチ8bの構成としては、電源の回路構成に応じて、電圧の大きさまたは極性の少なくとも一方を調整できれば特に限定されない。図1には、一例として、ボリューム調整型のスイッチが図示されている。調整スイッチ8bは、逆三角形で示す中立位置を中心として、矢印a、bで示す2方向に回転可能である。調整スイッチ8bをa方向に回転すると、第1端子3Aに負電圧、第2端子3Bに正電圧が出力される。調整スイッチ8bをb方向に回転すると、第1端子3Aに正電圧、第2端子3Bに負電圧が出力される。いずれの場合でも、第1端子3Aおよび第2端子3Bの電位差は、調整スイッチ8bの回転角の大きさに比例する。
電圧の大きさのみを調整する場合、調整スイッチ8bとしては、例えば、一方向のボリュームスイッチ、レバースイッチ、スライドスイッチなどが用いられてもよい。
電圧の極性のみを切り替える場合、調整スイッチ8bとしては、例えば、トグルスイッチ、ボタンスイッチなどが用いられてもよい。
以上、左手用の電気味覚提示装置1について説明したが、上記構成における手の平側の構成と手の甲側の構成を面対称に形成すれば、右手用の電気味覚提示装置1が得られる。
次に、電気味覚提示装置1の使用方法および動作について説明する。
図5は、本発明の第1の実施形態の電気味覚提示装置の使用方法の例を示す模式図である。図6は、本発明の第1の実施形態の電気味覚提示装置の動作を説明する模式図である。図7は、本発明の第1の実施形態の電気味覚提示装置における電圧印加時の電流変化の例を示す模式的なグラフである。図7において横軸は時間t、縦軸は電流Iを表す。
図5には、一例として、コップ10に満たされた飲料11を被検物として、被検者Pに飲料11の電気味覚提示を行う場合の電気味覚提示装置1の使用方法が示されている。
飲料11は、導電性を有する液体であれば特に限定されない。例えば、飲料11は電解質を含むことによって導電性を有していてもよい。
コップ10は、少なくとも、左手Hで持つとき第1電極4が当接可能な外周部と、飲料11が接触可能な内周部と、に互いに導通する導電性材料で設けられている。ただし、導電性材料は、被検者Pが飲料11を飲むときに唇Lをつけるコップ10の縁部の外周面を避けて設けられることがより好ましい。
導電性材料としては、金属などの良導体が用いられることがより好ましい。
なお、飲料11を口に運ぶことができれば、コップ10に代えて、導電性材料を含む皿、椀、どんぶりなどが用いられてもよい。
図5に示すように、まず、被検者Pは、左手Hに電気味覚提示装置1の手袋2を装着し、飲料11が入ったコップ10を左手Hで持つ。
手袋2は、5指型の手袋と同様にして装着することができ、装着が完了すると、第5指f5(第2装着指)と、第2電極6と、が互いに接触する。
被検者Pは、第2指の先端側の第1電極4がコップ10における導電性材料に当接するようにコップ10を持つことによって、電気味覚提示装置1を使用する電極配置が完了する。
被検者Pは、飲料11を飲み始めるまでに、図示略の操作部8を操作して電源装置3の電源をオンにしておく。
電源装置3における電圧の極性は、電気味覚提示の必要性に応じて、陰極提示の極性または陽極提示の極性に予め設定される。
陰極提示の極性とは、第1電極4から飲料11に負電圧を印加する極性であり、第1端子3Aに負電圧、第2端子3Bに正電圧が出力される。この場合、第1電極4が陰極、第2電極6(図示略)が陽極になる。
陽極提示の極性とは、第1電極4から飲料11に正電圧を印加する極性であり、第1端子3Aに正電圧、第2端子3Bに負電圧が出力される。この場合、第1電極4が陽極、第2電極6(図示略)が陰極になる。
被検者Pは、コップ10から飲料11を飲み始めると、飲料11は被検者Pの口内に移動し、例えば、舌T(味覚器官)などの口内の生体組織に接触する。これにより、電気味覚提示装置1と被検者Pの人体との間に電気回路が形成される。例えば、図6には、陰極提示において形成される電気回路を模式的に示す。
第1電極4は、実線で示すようにコップ10の導電性材料と接触し、コップ10と飲料11とは互いに導通している。飲料11は、舌Tと接触している。飲料11は電解質を含むため飲料11および舌Tとの間の導電部を形成している。
一方、第2電極6は、第5指f5を通して左手Hに導通している。人体は導電体であるため、左手Hと舌Tとは、体部Bを介して互いに導通している。本実施形態の場合、体部Bは、舌Tから、のど、上半身、左上肢を通って第5指f5に到る人体部分からなる。
このようにして、第1電極4および第2電極6の間に電気回路が形成されるため、第2電極6から第1電極4に向かって電流が流れる。
例えば、図7に折れ線101で示すように、電気回路が形成される時刻t0において、電流iが流れる。電流iの大きさ、第1端子3Aおよび第2端子3Bの電位差と電気回路上の電気抵抗に応じて決まる。
例えば、陰極提示において、味覚提示の増強効果は、被検物である飲料11に含まれる電解質の味覚呈示イオンの種類によっても異なる。したがって、陰極提示の刺激に好適な電流iの大きさは、被検物に含まれる味覚呈示イオンの種類に応じて味覚増強効果を確認しながら適宜調整することが望ましい。このような電流値は、予め実験等によって複数設定しておき、被検者Pが被検物の種類によって電源装置3を操作して選択できるようにしてもよいし、電源装置3に被検者Pの操作によって電流値が変更できる可変抵抗器などの電流調整機構が設けられてもよい。
飲料11と舌Tとの間に流れる電流によって、飲料11内の電解質のイオン泳動が生じる。これにより、電気刺激を受けた、舌T等の口内の味覚器には、種々の味質の変化を生じる。
陰極提示の場合、苦み、塩味等のアルカリ系の味覚変化が生じる。このため、陰極提示によれば、例えば、塩味などの味質を抑制したり増強したりすることができる。すなわち、電流量に応じて、例えば、塩味が増減される。
これにより、被検者Pは、飲料11に含まれている塩分量に応じた塩味よりも、強い塩味を感じることができる。
このように、陰極提示によれば、低塩分の被検物であっても塩味を感じて飲食できるので、低塩分量の食事を快適に食することができる。このため、陰極提示は、摂取塩分量が制限されている人の食事用として好適である。
なお、電源装置3の極性が反転されると、電気味覚提示は陽極提示になる。
陽極提示においては、被検者Pに、例えば、金属味、酸味などの陽極刺激による味質を感じさせることができ、これらの味覚を抑制したり増強したりすることができる。
第2指を動かすことによって、第1電極4をコップ10から離すか、またはコップ10における非導電部に移動させると、図6に二点鎖線で示すように電気回路が切断される。この場合、電気味覚刺激は停止される。このように、電気味覚提示装置1において、第1電極4は、第2指の動きと連動して、電気回路を開閉するスイッチの機能を有する。
また、舌T上の飲料11が嚥下されるなどして、コップ10と舌Tとの間に、飲料11が途切れる場合にも、電気回路が切断される。
例えば、図7に示す例では、時間t1において電気回路が切断されている。
このようにして、被検者Pは飲食中、左手Hを動かして第1電極4の位置を変化させたり、飲料11を断続的に飲み込んだりすることによって、電気味覚刺激の刺激量、刺激継続時間などを、被検者Pの好みなどに応じて変化させることができる。
このため、電気味覚提示装置1においては、被検者Pが電源装置3の操作部8(図示略)を操作しなくても、ある程度、電気味覚刺激を制御することができる。
本実施形態によれば、コップ10を持つ姿勢において、左手Hの第2指と第3指とが互いに当接する場合でも、第2指袋部2bおよび第3指袋部2cを覆う絶縁膜層2Aによって、第1電極4と第3指とが電気的に絶縁されている。このため、第1電極4が左手Hと短絡することはないので、飲食動作中に、第1電極4と左手Hとが短絡することによって、上述の電気回路が切断されることはない。電気回路が切断されるのは、上述のように、第1電極4をコップ10から離すか、飲料11を飲み込むか、または、被検者Pが電源装置3の操作部8を操作する場合などに限られる。これにより、被検者Pの意図に反して、電気回路が切断されることが生じないため、食事中の電気味覚刺激を安定して継続させることができる。
ここで、他の被検物を用いた電気味覚提示装置1の使用方法について説明する。
図8〜11は、本発明の第1の実施形態の電気味覚提示装置の使用方法の例を示す模式図である。ただし、図8〜11においては、簡単のため、例えば、絶縁膜層2Aなど、細部の構造の図示を一部省略している。
図8に示すように、被検物として、導電性を有する固体状の食品13が用いられてもよい。この場合、被検者Pは食品13を金属製の食器12と当接させ、電気味覚提示装置1を装着した左手Hで食器12を持って食事を行う。
図8には、食器12がフォークからなる場合の例が示されている。具体的には、食器12は、被検者Pが第1電極4を接触させて把持することができる柄部12aと、柄部12aの先端から突出した櫛歯部12bとを有する。
被検者Pは、食品13に櫛歯部12bを突き刺した状態で、柄部12aを左手Hに持って、食事を行う。
食品13が被検者Pの舌T(図示略)に当接すると、上述と同様の電気回路が形成され、電気味覚が提示される。
このような使用方法において用いることができる食器12は、フォークには限定されず、例えば、スプーン、串、箸、トング、ヘラなどであってもよい。ただし、食器12は、全体が金属製である構成には限定されず、第1電極4と接触する表面と、食品13に接触する表面との間に導通路が形成されている構成が用いられてもよい。
このように、電気味覚提示装置1によれば、例えば、金属製のフォークなどの一般的な食器類を用いて、専用の配線、電極などを食器類に設けることなく、種々の食品13を通した電気味覚提示が行える。
また、食事中に食品13の種類、形態に応じて、適宜の食器を持ち替えて、電気味覚提示を続けることができる。
上述の食器12に代えて、例えば、図9に示す食器12Aが用いられてもよい。
食器12Aは、食器12の柄部12aに、さらに抵抗入力部12cを設けて構成される。
抵抗入力部12cは、柄部12aの長手方向に沿って延びる抵抗体からなる。抵抗入力部12cは、長手方向の第1端部E1において柄部12aと電気的に接続されている以外は、柄部12aと電気的に絶縁されている。
被検者Pは、食器12Aを持つときに、抵抗入力部12c上における第1電極4の当接位置を長手方向に変化させることで、食器12Aの電気抵抗を変化させることができる。例えば、第1電極4を第1端部E1に当接させると、抵抗入力部12cにおける電気抵抗が最小になり、第1電極4を第2端部E2に当接させると、抵抗入力部12cにおける電気抵抗が最大になる。このため、被検者Pは第2指を動かして、抵抗入力部12c上の第1電極4の位置を変更することによって、電気回路に流れる電流値を変化させることができる。これにより、電気味覚提示の大きさを変化させることができる。
図10に示すように、被検物として、金属製の串14の突き刺された固体状の食品15が用いられてもよい。このような形態に好適な食品15としては、例えば、焼き鳥、串焼き肉、串カツ、団子などが挙げられる。なお、図10では、串14の先端が食品15から突き出ている場合の例が図示されているが、串14の先端は、食品15の外部に飛び出していなくてもよい。
この場合、被検者Pは、電気味覚提示装置1を装着した左手Hで串14の端部を把持して食事を行う。
この場合、被検者Pは、食品15を噛んで串14を引き抜く間に、上述と同様の電気回路が形成され、電気味覚が提示される。
図11に示すように、被検物として、導電性を有し、手に持つことができる食品16が用いられてもよい。このような形態に好適な食品16としては、例えば、スイカ、バナナ、寿司などが挙げられる。
この場合、被検者Pは、電気味覚提示装置1を装着した左手Hで食品16を把持した状態で食事を行う。被検者Pが、第1電極4を食品16の導電部に当接させた状態で、食品16をほおばることで、上述と同様の電気回路が形成され、電気味覚が提示される。
このように、電気味覚提示装置1によれば、手に持つことができる食品16であれば、導電性を有する食器などを用いることなく、電気味覚提示を行うことができる。
また、手づかみでほおばることが多い食品16を、手づかみで食して電気味覚を提示することができるので、より自然な食事形態において、電気味覚提示が行える。
以上の説明では、被検物自体が導電性と、ある程度の味質と、を有する場合の例で説明した。しかし、被検物には、食する際に、種々のソース、調味料、添加材を加えられてもよい。
例えば、水分が少ないため食品自体が導電しにくい場合、食品に、醤油、ソース、たれ、スープ、餡などの導電性を有する液状体を加えることで、飲食時の導電性を向上できる。その際、例えば、陰極提示であれば、塩味を増強させることができるため、液状体は低塩分とすることができる。
例えば、口内に、被検物と種々の添加材とが共存した状態で、電気味覚提示を行うことで、電気味覚提示の味質を変化させることができる。本発明者は、鋭意研究したところ、被検物の味質と対比的な味質を有する物質(以下、対比物質)または味覚修飾物質を被検物と共存させることにより、種々の味覚変化を発生させることができることを見出した。
例えば、スイカに塩(対比物質)をかけると甘く感じるという現象は味覚の対比効果であり、文化的なものではなく、生理的な現象である。例えば、犬を用いた実験において、糖と塩とを同時に提示することによって糖の神経応答が増強されることが報告されている。この現象は、食塩に限らず様々な塩、様々な糖によって起こり、比較的低濃度の塩によって増強され、逆に高濃度の塩によって抑制される。
本発明者は、電気味覚提示装置1を用いて実験を行った結果、甘い食物に塩をかけたものに陰極刺激することで塩味を増強し、食物に含まれる糖分の甘みに対する陰極提示による塩味との対比効果によって、甘みが増強されることを見出した。
具体的には、被検者Pが電気味覚提示装置1を装着し、スイカに塩をかけて試食したところ、まずスイカを口にしたときに陰極刺激により塩味が弱く感じられた。この後、噛みとられたスイカが口内で咀嚼されるときには、口内のスイカへの陰極刺激印加が停止される。このとき、口内では、イオン泳動によって塩味が増強された。こうして増強された塩味とスイカに含まれる甘みとの対比効果によって、甘みが増強したことが確認された。
味覚修飾物質とは味物質の構造を変えるのではなく、味覚器に直接作用することで一時的に味覚機能を変化させる物質である。中でも、ミラクルフルーツに含まれるミラクリンは、酸性下において人の甘味受容体を繰り返し活性化させる作用を有している。このため、ミラクリンは酸味を甘味のように知覚できる効果をもたらす味覚修飾物質である。例えば、口内にミラクリンが提示された後にレモンなどの酸味の強い食品を食べると、酸味とともに甘味を感じることができる。
味質修飾物質としては、ミラクリンの他にも、甘味を抑制するギムネマ酸、苦みを抑制するホモエリオジクチオールなどが知られている。
本発明者は、電気味覚提示装置1を用いて実験を行った結果、ミラクリンの摂取後に、酸味を陰極刺激によって制御することで、甘味を制御できることを見出した。
具体的には、被検者Pがミラクリンを摂取してから、電気味覚提示装置1を装着し、レモンが第1電極4に接触するようにレモンを持って、レモンをかじった。これにより、被検者Pの人体に上述と同様の電気回路が形成され、舌に陰極刺激が加わることによって甘味が抑制された。この後、レモンをかじった状態で、第1電極4をレモンから離した。このとき、甘味が増強された。
また、ミラクルフルーツ摂取後に、電気味覚提示装置1を装着し、クエン酸溶液(濃度0.5%)を被検物として、陰極提示を行ったところ、レモンを食した場合と同様、陰極刺激時に酸味が抑制され、陰極刺激停止時に酸味が増強され、この結果として、甘味が増強されることが確認できた。
食品の甘味は、例えば、ショ糖などの非電解質が味覚器に作用することによって感じられることが多い。このため、イオン泳動を利用する電気味覚提示では、甘味を増強しにくいと考えられる。しかし、上述のような電気味覚提示方法によれば、電気味覚提示において、被検物とともに対比物質または味覚修飾物質を併用することによって、甘味の増強が可能である。
以上説明したように、電気味覚提示装置1およびこれを用いた電気味覚提示方法においては、第1装着部W1、第2装着部W2が手袋2に一体に設けられているので、脱着が容易である。電気味覚提示装置1は、被検物を直接手に持つか、または導電性を有する食器を用いて食することによって電気味覚刺激が行えるので、種々の飲食環境において容易に使用できる。このため、電気味覚提示装置1を使用する被検者Pの負荷を軽減しやすい。
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態の電気味覚提示装置について説明する。
図12は、本発明の第2の実施形態の電気味覚提示装置の一例を示す模式的な正面図である。
図12に示すように、本実施形態の電気味覚提示装置1Aは、第1の実施形態の電気味覚提示装置1における第1電極4、第2電極6に代えて、第1電極4A、第2電極6Aを備える。以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
第1電極4Aは、第2指袋部2bにおける手の平側の表面を覆う絶縁膜層2A上に設けられている。第1電極4Aの正面視形状は、第2指における指先部の腹を覆う卵形である。このため、第1電極4Aの外縁は、第2指袋部2bの側面を覆う絶縁膜層2A上には達していない。
第1電極4Aには、第1電極4と同様、第1配線5が電気的に接続されている。
本実施形態における第1配線5は、第1電極4Aと導通していればどの位置に接続されていてもよいが、図12に示す例では、第1電極4Aの第1指袋部2a側の側部に接続されている。第1配線5は、第2指袋部2bにおける第1指袋部2a側の側部を手の甲側に迂回して、第2指袋部2bの手の甲側の表面において、適宜位置で手袋2と固定されている。本実施形態における第1配線5も第1の実施形態と同様に、電源装置3の第1端子3Aに電気的に接続されている。
第1電極4Aは、第1の実施形態における第1電極4と同様な材料によって形成されてもよい。第1電極4Aの絶縁膜層2Aへの固定方法も同様である。
ただし、第1電極4Aは、第2指における指先部の腹を覆う範囲に設けられるので、第1電極4よりは可撓性の低い材料で形成されてもよい。
第2電極6Aは、手首部2Cの内側において、図示略の被検者Pの手首に当接できるように配置されている。手首における当接位置は、特に限定されない。例えば、第2電極6は、手首部2Cの内側において手の平側に配置されてもよいし、手の甲側に配置されてもよい。
第2電極6Aには、第2電極6と同様、第2配線7が電気的に接続されている。本実施形態における第2配線7は、第1の実施形態における同様、電源装置3の第2端子3Bに電気的に接続されている。
第2電極6Aは、第1の実施形態における第1電極4と同様な材料によって形成されてもよい。ただし、第2電極6Aは、手首において平坦な部分に当接する場合、ほとんど可撓性を有しない材料で形成されてもよい。
第2電極6Aは、手首部2Cの内側に、第1電極4と同様にして固定される。ただし、本実施形態における第2電極6Aは、手首部2Cの収縮によって手首に押圧されるので、手首部2Cの伸縮性をあまり妨げないようにして、手首部2Cに固定されることがより好ましい。
手首部2Cは、第2指の指先部が挿入される第2指袋部2bの先端部に設けられた第1電極4Aによって、接触することは困難であり、かつ、被検物の飲食時には、電気味覚提示装置1Aを装着した左手Hによって持たれた被検物等とも接触困難である。このため、手首部2Cの表面が絶縁膜層2Aに覆われていなくても、第1電極4Aと、第2電極6Aとが短絡することはない。
電気味覚提示装置1Aにおいては、第2指袋部2b、第2指袋部2b回りの絶縁膜層2A、および第1電極4Aによって、第1装着部W1Aが形成されている。
また、手首部2Cおよび第2電極6Aによって、第2装着部W2Aが形成されている。
本実施形態の電気味覚提示装置1Aによれば、第1の実施形態と同様に、左手Hに手袋2を装着することによって、被検物等を持って飲食する際に、電気味覚提示を行うことができる。すなわち、第1の実施形態と同様の電気味覚提示方法を行うことができる。
このため、電気味覚提示装置1Aおよびこれを用いた電気味覚提示方法によれば、種々の飲食環境において容易に使用でき、被検者の負荷を軽減しやすくなる。
特に、本実施形態によれば、第2電極6Aが、手首部2Cの伸縮性によって、被検者Pの手首に押し付けられるので、第2電極6Aが人体により安定的に当接する。また、第2電極6Aは、第5指と接触させる場合に比べて、電極面積を広げることができるので、接触抵抗を低減できる。
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態の電気味覚提示装置について説明する。
図13は、本発明の第3の実施形態の電気味覚提示装置の一例を示す模式図である。
図13に示すように、本実施形態の電気味覚提示装置1Bは、第1の実施形態の電気味覚提示装置1における第2電極6、電源装置3、第1配線5、第2配線7に代えて、第2電極26a、電源装置23、第1配線25、第2配線27を備える。
以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
第2電極26aは、手袋2とは別体の電極バンドユニット26(第2装着部)に設けられている。
電極バンドユニット26は、被検者の上肢のいずれかの部位に巻き付け可能なバンド部26b(第2絶縁層)を有する。例えば、バンド部26bは、左右の上腕部、右手首、右手における5指のいずれかに装着可能な長さを有していてもよい。
バンド部26bは、電気絶縁性を有する材料で形成された短冊状である。
バンド部26bの長手方向の両端部には、両端部を互いに着脱する着脱部26cが設けられている。着脱部26cとしては、例えば、面ファスナーなどが用いられてもよい。
着脱部26cによって、バンド部26bの両端部が連結されると、図13に示すように、バンド部26bは環状体を形成する。
このように形成される環状体の内周面となる表面に、第2電極26aが形成されている。第2電極26aの材料としては、第1の実施形態における第2電極6と同様な材料を用いることができる。第2電極26aとしては、体表に装着する適宜の医療用電極と同様な構成が用いられてもよい。
電極バンドユニット26が、例えば、上肢のいずれかの部位に第2電極26aを当てて装着されるとき、バンド部26bは、第2電極26aを上肢の表面と反対側から覆う第2絶縁層を構成する。
電源装置23は、手袋2とは別体に設けられている以外は、電源装置3と同様に構成される。特に図示しないが、電源装置23は、被検者が身につけるための装着ベルト、クリップなどを有していてもよい。
第1配線25は、第1配線5と同様に第1電極4と接続され、手袋2に固定されている。ただし、第1配線25は、手袋2の手首部2Cから手袋2の外部に延びている。第1配線25における第1電極4と反対側の端部は、電源装置23の第1端子3Aに電気的に接続されている。
第2配線27は、電源装置23の第2端子3Bと、電極バンドユニット26の第2電極26aとを電気的に接続する。
第1配線25、第2配線27の長さは、電源装置23、電極バンドユニット26の装着可能位置に対して余裕を有する適宜の長さに設定される。
本実施形態電気味覚提示装置1Bによれば、電源装置23および電極バンドユニット26が、手袋2と別体になっているため、電源装置23および電極バンドユニット26を、手袋2に装着位置と異なる部位に配置または装着できる。
例えば、電極バンドユニット26を左手の上腕に巻き付け、電源装置23を被検者の胸ポケットの収容する、といった装着形態も可能である。
電気味覚提示装置1Bによれば、手袋2を左手Hに装着し、電極バンドユニット26の第2電極26aを被検者の上肢に装着したら、第1の実施形態と同様にして、電気味覚提示を行うことができる。
このため、電気味覚提示装置1Bおよびこれを用いた電気味覚提示方法によれば、種々の飲食環境において容易に使用でき、被検者の負荷を軽減しやすくなる。
特に、本実施形態によれば、電源装置23が手袋2と別体とされているため、手袋2を装着する左手Hに対する重量負荷が軽減される。
また、電源装置23の配置位置を第1配線25および第2配線27の長さの範囲で自由に選ぶことができるので、被検者の都合によって、操作部8が操作しやすい位置に電源装置23を配置できる。
また、第2電極26aを電極バンドユニット26に設けているので、第2電極26aを第5指と接触させる場合に比べて、電極面積を広げることができる。この結果、第2電極26aと人体との接触抵抗を低減できる。
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態の電気味覚提示装置について説明する。
図14は、本発明の第4の実施形態の電気味覚提示装置の一例を示す模式図である。図15は、本発明の第4の実施形態の電気味覚提示装置の使用方法を示す模式図である。
図14に示すように、本実施形態の電気味覚提示装置1Cは、手袋に代えて、指袋に第1電極および第2電極を設けた指袋型のデバイスである。
電気味覚提示装置1Cは、第1装着部32A、第2装着部32B、および第3の実施形態におけると同様の電源装置23とを備える。
以下、第1〜第3の実施形態と異なる点を中心に説明する。
第1装着部32Aは、第2の実施形態におけると同様の第1電極4Aと、指袋32a(第1袋部、第1絶縁層)と、を備える。
指袋32aは、第2指、第3指、第4指のいずれかに先端側から装着可能な袋体である。このため、指袋32aは、第2指、第3指、および第4指の少なくとも1つを第1装着指としている。指袋32aの装着長さは少なくとも第1装着指の指先部を覆うことができれば、特に限定されない。
指袋32aの外表面において指先部の腹と対向可能な部位には、第1電極4Aが第2の実施形態と同様にして固定されている。
指袋32aは、少なくとも第1電極4Aと重なる範囲において、第1電極4Aと指袋32aの内周面とが互いに非導通になるような絶縁層を有している。図14に示す例では、指袋32aは全体が絶縁性材料から構成されている。
例えば、指袋32aは、全体が非導電性エラストマーによって形成されてもよいし、第2の実施形態における第2指袋部2bの先端部と同様、非導電性繊維で形成された袋の表面に絶縁膜層2Aと同様の非導電性エラストマーが積層されて構成されてもよい。この場合、非導電性エラストマーは、全周に形成されてもよいし、第1電極4Aを覆う範囲のみに形成されていてもよい。
第2装着部32Bは、第1の実施形態におけると同様の第2電極6と、指袋32b(第2袋部、第2絶縁層)と、を備える。
指袋32bは、第5指の指先部に装着可能な袋体である。このため、指袋32bは、第5指を第2装着指としている。指袋32bの装着長さは少なくとも第2装着指の指先部を覆うことができれば、特に限定されない。
指袋32bは、少なくとも第2電極6と重なる範囲において、指袋32bの外表面と第2電極6とが互いに非導通になるような絶縁層を有している。図14に示す例では、指袋32bは全体が絶縁性材料から構成されている。
例えば、指袋32bは、全体が非導電性のエラストマーによって形成されてもよいし、第1の実施形態における第5指袋部2eの先端部と同様、非導電性繊維で形成された袋の表面に絶縁膜層2Aと同様の非導電性エラストマーが積層されて構成されてもよい。
第1配線35は、第2の実施形態における第1配線5と同様に第1電極4Aと接続され、指袋32aに固定されている。第1配線35における第1電極4Aと反対側の端部は、電源装置23の第1端子3Aに電気的に接続されている。
第2配線37は、電源装置23の第2端子3Bと、第2装着部32Bにおける第2電極6とを電気的に接続する。
第1配線35、第2配線37の長さは、第1装着部32A、第2装着部32B、および電源装置23の装着可能位置に対して余裕を有する適宜の長さに設定される。
図15には、第1装着部32Aおよび第2装着部32Bを被検者Pの左手Hに装着した状態が示されている。
第1装着部32Aは、第1電極4Aが左手Hの手の平側に向くように、第2指f2に装着される。このとき、第1配線35は、第2指f2における手の甲側に配置される。
第2装着部32Bは、第2配線37が第5指f5における手の甲側に位置する向きとされて第5指f5に装着される。
第1配線35および第2配線37は、左手Hの手首に巻き付く固定用バンド31によって束ねられ、手首上の位置が固定される。
電源装置23は、第3の実施形態におけると同様、固定用バンド31から延出した第1配線35および第2配線37の長さが許す適宜の位置に配置される。
以上、第1装着部32Aおよび第2装着部32Bを左手Hに装着した例で説明したが、第1装着部32Aおよび第2装着部32Bは、右手にも同様にして装着可能である。さらに、第1装着部32Aおよび第2装着部32Bは、左手と右手に分けて装着されてもよい。
本実施形態の電気味覚提示装置1Cによれば、上述のように、例えば、第1装着部32Aを第2指f2に、第2装着部32Bを第5指f5にHに装着した後、第1の実施形態と同様にして、被検物の電気味覚提示を行うことができる。ただし、本実施形態では、被検物等を把持する際に、被検物を介することなく第1電極4Aと左手Hとが短絡すると、電気味覚提示可能な電気回路が形成されなくなる。このため、被検物等を把持する場合には、第1電極4Aが接触する被検物等の導電部と、第1装着部32Aおよび第2装着部32Bを除く左手Hとが、接触しないように把持することが必要である。
電気味覚提示装置1Cは、例えば、非導電性の柄を有するスプーン、フォークなどの食器のように、第1電極4A以外の左手Hが触れないように導電部が形成された食器を使用して被検物を飲食する場合などに特に好適である。
電気味覚提示装置1Cを装着した手と、第1電極4Aとが短絡しないようにして、電気味覚提示装置1Cを用いる場合には、電気味覚提示装置1Cは、第1の実施形態と同様、種々の飲食環境において容易に使用でき、被検者の負荷を軽減しやすくなる。
特に、本実施形態によれば、素手に近い状態で電気味覚提示が行えるので、より自然に近い飲食が可能である。
また、第3の実施形態と同様、電源装置23の配置位置を第1配線35および第2配線37の長さの範囲で自由に選ぶことができるので、被検者の都合によって、操作部8が操作しやすい位置に電源装置23を配置できる。
[第5の実施形態]
本発明の第5の実施形態の電気味覚提示装置について説明する。
図16は、本発明の第5の実施形態の電気味覚提示装置における電源装置の一例の主要部を機能ブロック図である。図17(a)、(b)は、本発明の第5の実施形態の電気味覚提示装置における電圧印加時の電流波形の例を示す模式的なグラフである。図17(a)、(b)において、それぞれの横軸は時間t、縦軸は電流Iを表す。
図16に主要部を示すように、本実施形態の電気味覚提示装置1Dは、第1の実施形態における電源装置3に代えて、電源装置43を備える。
以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
電源装置43は、直流電圧を発生する電源43aと、電源43aから供給される直流電圧から適宜の電圧波形を生成する波形発生器43b(電圧制御部)と、を備える。
上述したように、電気味覚は、電気味覚刺激の発生時と停止時とによって変化するので、電圧を断続的に印加することによって、電気味覚提示を種々変化させることができる。波形発生器43bによる電圧信号の波形は、電気味覚提示の必要に応じて、適宜選択することができる。
例えば、波形発生器43bは、矩形パルス状の電圧信号を断続的に生成してもよい。この場合、電気回路の抵抗が一定であれば、例えば、図17(a)において折れ線102で示すように、電圧信号に追従した矩形パルス状の電流が断続的に流れる。
例えば、波形発生器43bは、鋸歯パルス状の電圧信号を断続的に生成してもよい。この場合、電気回路の抵抗が一定であれば、例えば、図17(b)において折れ線103で示すように、鋸歯パルス状の電流が断続的に流れる。
図17(a)、(b)では、一例として電圧パルスのデューティ比が一定の例で説明したが、各パルスのデューティ比は時間とともに変化してもよい。また各パルスの振幅は時間とともに変化してもよい。
波形発生器43bが発生する電圧信号の波形は、複数用意され、操作部8によって被検者が選択することができてもよい。
なお、被検者が変わった際の人体の抵抗変化、あるいは被検者が同一人物であっても電極の装着位置による抵抗の変化、体内の水分量の変化による人体の抵抗変化、発汗による電極との接触抵抗の変化、被検物である飲食物の違いや、飲食物を手掴みで食するか、金属製の食器を介して食するかなど、種々の条件により、電極間の抵抗値は変化する。
電気味覚提示の効果は電流の強さや変化の度合いによって生じる電解質の泳動に比例すると考えられるので、電気味覚提示の効果を凡そ同じ程度に保つためには電流Iを制御対象とし、電圧は抵抗値に応じて追従変化することがより好ましい。
上述の例では、電極間の抵抗値が一定であるため、電圧信号と電流波形とが同様の形状になるとして説明したが、波形発生器43bは、例えば、図17(a)、(b)のような電流波形を目標として、電圧を変化させるフィードバック制御を行ってもよい。
ただし、抵抗値の変化により電流波形が図17(a)、(b)から変化しても、適切な電気味覚提示が行える場合には、波形発生器43bは、図17(a)、(b)の縦軸を電圧に置き換えた電圧信号を生成してもよい。
本実施形態の電気味覚提示装置1Dによれば、第1の実施形態と同様に、左手Hに手袋2を装着することによって、被検物等を持って飲食する際に、電気味覚提示を行うことができる。すなわち、第1の実施形態と同様の電気味覚提示方法を行うことができる。
このため、電気味覚提示装置1Dおよびこれを用いた電気味覚提示方法によれば、種々の飲食環境において容易に使用でき、被検者の負荷を軽減しやすくなる。
特に、本実施形態によれば、電源装置43の波形発生器43bによって、電圧波形を種々変化させることができるので、より変化に富んだ電気味覚提示を行うことができる。
[第6の実施形態]
本発明の第6の実施形態の電気味覚提示装置および電気味覚提示システムについて説明する。
上述の各実施形態の電気味覚提示装置は、他の装置と連携する電気味覚提示システムの一部として使用可能である。以下では、このような電気味覚提示システムの一例と、電気味覚提示システムに好適な電気味覚提示装置の一例について説明する。
図18は、本発明の第6の実施形態の電気味覚提示システムの一例を示す機能ブロック図である。
図18に主要部を示すように、本実施形態の電気味覚提示システム70は、本実施形態の電気味覚提示装置1Eと、データ収録装置60と、を備える。
例えば、電気味覚提示システム70は、電気味覚提示装置1Eを装着した被検者の飲食行動を把握するデータ収集に用いられる。
以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
電気味覚提示装置1Eは、第1の実施形態の電気味覚提示装置1の電源装置3に代えて、電源装置53を備える。
電源装置53は、直流電圧を発生する電源53aと、電源53aから流れる直流電流を計測し、電流量をデジタルデータに変換するセンサ53bと、センサ53bが生成したデジタルデータを無線送信する送信部53cと、を備える。
上述したように、第1電極4および第2電極6の間において、人体に流れる電流は、被検物が人体に接触して形成される電気回路に流れる。この電気回路における電流量の情報は、電気味覚提示装置1Eの図示略の手袋2を左手Hに装着して食事を摂った時間、食事量などと相関する。このため、センサ53bによって計測された電流量の情報は、被検者の食事時間、食事量などの情報を表す。
このように、電気味覚提示装置1Eは、第1の実施形態の電気味覚提示装置1に、さらにセンサ53bと、送信部53cを加えた構成を有するので、電気味覚提示機能に関しては電気味覚提示装置1と同様の機能を有する。
データ収録装置60は、送信部53cから送信されたデジタルデータを受信する受信部60bと、受信したデジタルデータをデータ処理するデータ処理部60aと、データ処理部60aによるデータ処理結果を表示する表示部60cと、を備える。
例えば、データ収録装置60は、電気味覚提示装置1Eから送信された電流量の情報に基づいて、被検者の食事時間、食事量などを推定するデータ処理を随時行い、データおよびデータ処理結果を記憶する。データ処理結果は、表示部60cに表示される。
これにより、表示部60c上に被検者の食事行動の履歴、食事量の変化などが、例えば、グラフなどによって表示される。
図18には、データ収録装置60が1つの電気味覚提示装置1Eからデータを取得する例が描かれているが、データ収録装置60は、複数の電気味覚提示装置1Eと通信可能に接続されていてもよい。この場合、複数の被検者の食事行動を同時並行的に検出することが可能である。
本実施形態の電気味覚提示システム70は、例えば、味覚障害を持つなどの理由で電気味覚提示装置1Eを頻繁に装着する患者の食事行動の観察、管理などに用いることができる。
なお、上記各実施形態の説明では、第1装着指が第2指であるとして説明したが、第1装着指は、第1指から第5指の少なくとも1指であればよく、第2指には限定されない。
また、上記第1、第4〜第6の実施形態の説明では、第2装着指が第5指であるとして説明したが、第2装着指は、第1指から第5指の少なくとも1指であればよく、第5指には限定されない。
上記各実施形態の説明では、電気味覚提示装置が左手に装着される場合の例で説明したが、右手用の電気味覚提示装置を右手に装着してもよいし、両手にそれぞれ装着してもよい。
上記各実施形態では、電気味覚提示装置が第1電極および第2電極をそれぞれ1箇所に設けられている場合の例で説明した。しかし、第1電極および第2電極の個数は、1つには限定されない。
上記第1、第2、第4〜第6の実施形態の説明では、第1電極が5指型の手袋に設けられた例で説明した。しかし、手袋は、5指型には限定されない。例えば、2指型などの手袋が用いられてもよい。
上記第1、第2、第4〜第6の実施形態の説明では、開口部が手首部のみに設けられた5指型の手袋を用いる例で説明した。しかし、被検物等を持つ際に、手を通して電気回路が短絡されるおそれが少ない場合には、手の一部が外部に露出する開口を有する手袋が用いられてもよい。
上記各実施形態では、第1電極および第2電極と、電源装置とが、第1配線および第2配線によって有線接続された例で説明した。しかし、第1配線および第2配線の少なくとも一方は、電源装置と無線接続されていてもよい。
また、上記第6の実施形態では、電源装置53と、データ収録装置60と、が無線接続された例で説明した。しかし、電源装置53と、データ収録装置60と、は有線接続されていてもよい。
上記第6の実施形態では、電気味覚提示装置1Eとともに用いる装置が、データ収録装置60である例で説明した。しかし、電気味覚提示システムにおいて、電気味覚提示装置とともに用いる装置は、データ収録装置には限定されない。
例えば、電気味覚提示装置を手袋型デバイスで構成する場合、手袋は拡張現実(AR)用グローブを兼用していてもよい。この場合、電気味覚提示装置を、ARコントローラおよびARグラスなどの装置類とともに用いることによって、電気味覚提示による味覚体験を含むARシステムを構成することができる。
以上、本発明の好ましい各実施形態を説明したが、本発明はこの実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
また、本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
1、1A、1B、1C、1D、1E 電気味覚提示装置
2 手袋(第1絶縁層、第2絶縁層)
2A 絶縁膜層(第1絶縁層、第2絶縁層、第3絶縁層)
2b 第2指袋部(第1袋部)
2C 手首部
2e 第5指袋部(第2袋部)
3、23、43、53 電源装置
4、4A 第1電極
5、25、35 第1配線
6、6A、26a 第2電極
7、27、37 第2配線
8 操作部
10 コップ
11 飲料(被検物)
12、12A 食器
12c 抵抗入力部
13、15、16 食品(被検物)
14 串
26 電極バンドユニット(第2装着部)
26b バンド部(第2絶縁層)
32a 指袋(第1袋部、第1絶縁層)
32A 第1装着部
32b 指袋(第2袋部、第2絶縁層)
32B 第2装着部
43a、53a 電源
43b 波形発生器(電圧制御部)
53b センサ
60 データ収録装置
70 電気味覚提示システム
B 体部
f2 第2指(第1装着指)
f5 第5指(第2装着指)
H 左手
P 被検者
T 舌
W1、W1A 第1装着部
W2、W2A 第2装着部

Claims (12)

  1. 被検物を通して味覚器官を含む人体に通電することによって前記被検物の電気味覚提示を行う電気味覚提示装置であって、
    第1絶縁層と第1電極とを有しており、前記第1電極は、前記第1絶縁層を介して少なくとも手の平側に露出するように前記手に装着可能な第1装着部と、
    第2電極を有し、上肢のいずれかの表面に前記第2電極を当てて装着可能な第2装着部と、
    前記第1電極および前記第2電極に電圧を印加する電源装置と、
    を備える、
    電気味覚提示装置。
  2. 前記第1装着部は、前記手の5指のうち少なくとも1指からなる第1装着指の指先部に装着可能である、
    請求項1に記載の電気味覚提示装置。
  3. 前記第1装着部は、前記第1装着指のうち少なくとも前記指先部を覆う第1袋部を有する、
    請求項2に記載の電気味覚提示装置。
  4. 前記第2装着部は、前記第2電極を前記表面と反対側から覆う第2絶縁層を有する、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気味覚提示装置。
  5. 前記第1装着部および前記第2装着部は、前記手に装着可能な手袋に設けられている、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気味覚提示装置。
  6. 前記手袋は、
    前記第1電極の露出部を除く前記手の平側の表面および前記露出部を除く前記手の指間部の表面に形成された撥水性の第3絶縁層を有する、
    請求項5に記載の電気味覚提示装置。
  7. 前記電源装置は、
    前記電圧の波形を制御する電圧制御部を有する、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の電気味覚提示装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の電気味覚提示装置を備える、
    電気味覚提示システム。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の電気味覚提示装置を準備することと、
    前記電気味覚提示装置における前記第1装着部および前記第2装着部を被検者に装着することと、
    前記電源装置から前記第1電極および前記第2電極に電圧を印加することと、
    前記第1装着部および前記第2装着部を装着した前記被検者の手における前記第1電極を被検物に導通させた状態で、前記被検物を前記被検者の味覚器官に当接させることと、
    とを含む、
    電気味覚提示方法。
  10. 前記被検者が、前記第1装着部を装着した手で前記被検物をつかむことによって、前記第1電極と前記被検物とを導通させる、
    請求項9に記載の電気味覚提示方法。
  11. 前記被検者が、前記第1装着部の前記第1電極を移動して、前記被検物との導通状態を変えることをさらに含む、
    請求項9または10に記載の電気味覚提示方法。
  12. 前記被検物の味質と対比的な味質を有する物質または味覚修飾物質を前記被検物と共存させることを、さらに含む、
    請求項9〜11のいずれか1項に記載の電気味覚提示方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022239857A1 (ja) 2021-05-14 2022-11-17 味の素株式会社 味の感じ方を変化させる電気条件データ管理装置
WO2023022223A1 (ja) * 2021-08-20 2023-02-23 キリンホールディングス株式会社 味覚提示装置及び味覚提示方法
WO2024018649A1 (ja) 2022-07-22 2024-01-25 株式会社UBeing 電気味覚調整装置及び電気味覚検査装置

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