JP2023026903A - 水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 - Google Patents

水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】吐出安定性を損なうことなく、発色性に優れた画像を記録することが可能なインクジェット用の水性インク、この水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供する。【解決手段】顔料、複数の単糖分子がグリコシド結合で重合した重合物である、カルボン酸基を有する多糖類化合物、及びカルボン酸基を有する樹脂粒子を含有するインクジェット用の水性インクであり、多糖類化合物の重量平均分子量が10万以上である。また、この水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法に関する。
近年、インクジェット記録装置を使用して画像を記録するインクジェット記録方法に対しては、得られる画像が高精細であり、かつ、高い品位を有することが要求されている。高品位の画像を記録しようとする際の妨げとなる現象として、記録ヘッドから吐出されるインク滴が、体積の大きいインク滴(主滴)と、体積の小さいインク滴(サテライト)に分裂する現象がある。分裂したサテライトは、記録ヘッドの主走査方向に主滴とずれて記録媒体に付着するために、得られる画像の品位が低下しやすくなる。
サテライトを抑制して高品位な画像を記録すべく、例えば、ポリアクリル酸塩などの曳糸性化合物を含有するインクジェット用の水性インクが提案されている(特許文献1)。
特開2012-172041号公報
しかし、特許文献1で提案されたインクジェット用の水性インクであっても、近年要求される高品位な画像を記録することは必ずしも容易であるとはいえなかった。高品位な画像を記録するには、インク中の顔料の含有量を高めて、記録される画像の発色性を向上させる必要がある。しかし、顔料の含有量を高めると、顔料の粒子同士の接触機会が増加して凝集しやすくなるので、インクの吐出安定性を維持することが困難になる場合がある。
したがって、本発明の目的は、吐出安定性を損なうことなく、発色性に優れた画像を記録することが可能なインクジェット用の水性インクを提供することにある。また、本発明の別の目的は、この水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することにある。
すなわち、本発明によれば、顔料、複数の単糖分子がグリコシド結合で重合した重合物である、カルボン酸基を有する多糖類化合物、及びカルボン酸基を有する樹脂粒子を含有するインクジェット用の水性インクであって、前記多糖類化合物の重量平均分子量が、10万以上であることを特徴とする水性インクが提供される。
本発明によれば、吐出安定性を損なうことなく、発色性に優れた画像を記録することが可能なインクジェット用の水性インクを提供することができる。また、本発明によれば、この水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することができる。
本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。また、インクジェット用の水性インクのことを、単に「インク」と記載することがある。物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値である。
本発明者らは、インクジェット記録方法における吐出安定性を損なうことなく、発色性に優れた画像を記録することが可能なインクについて検討した。その結果、カルボン酸基を有するとともに重量平均分子量が10万以上の多糖類化合物と、カルボン酸基を有する樹脂粒子とを併用し、これらの成分を相互作用させることにより、吐出安定性を損なうことなく、画像の発色性を向上しうることを見出した。このような効果が得られるメカニズムにつき、本発明者らは以下のように推測している。
インク中において、多糖類化合物のカルボン酸基と、樹脂粒子のカルボン酸基は、インク中でいずれも解離して安定化している。多糖類化合物の解離したカルボン酸基(-COO)は、周囲に存在する水分子と水素結合している。これにより、多糖類化合物は多くの水分子を抱え込んで高次構造を形成している。記録媒体にインクが付与されると、インク中の水性媒体が記録媒体に速やかに浸透する。これに伴い、多糖類化合物、顔料、及び樹脂粒子の濃度が上昇し、これらの成分は相互に接近する。多糖類化合物、水、顔料、及び樹脂粒子が水素結合を伴って相互作用した結果、インクの粘度が急激に上昇し、粘度が上昇したインクは記録媒体に浸透しにくくなる。これにより、記録媒体の表面上に顔料、樹脂粒子、及び多糖類化合物が残存しやすくなり、画像の発色性が向上すると考えられる。
一般的に、分散剤によって分散させた顔料を含有するインクから水分が蒸発して顔料の濃度が上昇すると、顔料の粒子表面同士が接触する頻度が高まる。分散剤は顔料の粒子表面をまんべんなく被覆しているとは限らないため、顔料の粒子表面同士が接触するのを抑制することは困難である。分散剤に被覆されていない顔料の粒子表面同士が接触すると、顔料の粒子同士が強固に密着及び凝集するとともに、インクの粘度が上昇して吐出安定性が低下する傾向にある。
これに対して、本発明のインク中の顔料は、分散方式に関わらず、吐出前の段階では樹脂粒子のカルボン酸基との反発も利用して安定して分散している。インクが記録媒体に付与されると、多糖類化合物、水分子、顔料、及び樹脂粒子の相互接近を起点し、これらの成分が相互作用することによってはじめてインクの粘度が上昇する。すなわち、吐出前の状態において、不可逆的な顔料の凝集は生じにくく、インクの吐出安定性は良好な状態に維持される。これにより、吐出安定性を損なうことなく、画像の発色性を向上することができると考えられる。
<水性インク>
本発明のインクは、顔料、カルボン酸基を有する多糖類化合物、及びカルボン酸基を有する樹脂粒子を含有するインクジェット用の水性インクである。多糖類化合物は、複数の単糖分子がグリコシド結合で重合した重合物である。そして、多糖類化合物の重量平均分子量は10万以上である。以下、インクを構成する各成分について、それぞれ説明する。
(顔料)
色材として用いられる顔料は、インク中に分散した状態で含まれている。インク中における分散方法で顔料を分類すると、分散剤として樹脂を用いる樹脂分散タイプの顔料や、顔料の粒子表面にアニオン性基を導入した自己分散タイプの顔料(自己分散顔料)などを挙げることができる。樹脂分散タイプの顔料には、樹脂分散剤を用いた樹脂分散顔料、顔料の粒子表面を樹脂で被覆したマイクロカプセル顔料、及び顔料の粒子表面に樹脂を含む有機基が化学的に結合した樹脂結合顔料などがある。分散方法の異なる顔料を併用することも可能である。
顔料としては、カーボンブラックなどの無機顔料や有機顔料などを挙げることができる。インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.2質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、0.6質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
顔料を分散させるための樹脂(樹脂分散剤)は、親水性部位及び疎水性部位を有することが好ましい。樹脂分散剤としては、アクリル酸やメタクリル酸などのカルボン酸基を有するモノマーに由来するユニットを有するアクリル樹脂;ジメチロールプロピオン酸などのアニオン性基を有するジオールに由来するユニットを有するウレタン樹脂;などがある。
樹脂分散剤として用いる樹脂の酸価は、50mgKOH/g以上550mgKOH/g以下であることが好ましい。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される、樹脂分散剤として用いる樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、1,000以上60,000以下であることが好ましい。インク中の樹脂分散剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上4.0質量%以下であることがさらに好ましい。インク中の樹脂分散剤の含有量(質量%)は、顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.1倍以上3.0倍以下であることが好ましい。
(多糖類化合物)
多糖類化合物は、複数の単糖分子がグリコシド結合で重合した、その分子構造中にカルボン酸基を有する重合物である。多糖類化合物の重量平均分子量は10万以上であり、好ましくは100万以上である。重量平均分子量が大きいほど、多糖類化合物の1分子当たりの、樹脂粒子と相互作用がより強くなる。一方、重量平均分子量が過度に大きいと、インクの粘度が顕著に増加することがある。このため、多糖類化合物の重量平均分子量は、1,000万以下であることが好ましい。多糖類化合物の重量平均分子量は1,000万以下であることが好ましく、500万以下であることがさらに好ましい。多糖類化合物の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。
多糖類化合物としては、キサンタンガム、スクシノグリカン、ペクチン、及びアガロペクチンなどの天然多糖類化合物を用いることができる。また、単糖類を原材料として用いて合成した多糖類化合物を用いてもよい。多糖類化合物は、ユニットの繰り返しで構成されている重合物であるとともに、重量平均分子量が大きいため、水性場体中で高次構造を形成して立体的に挙動していると考えられる。このように形成された高次構造によって、樹脂粒子と強く相互作用すると考えられる。
多糖類化合物の分子が枝分かれ構造を有する場合、最も長い分子鎖が主鎖であり、この主鎖から分岐した分子鎖が側鎖である。多糖類化合物は、側鎖にカルボン酸基を有することが好ましい。側鎖にカルボン酸基を有する多糖類化合物としては、キサンタンガム、スクシノグリカンなどを挙げることができる。水性媒体中に分散した多糖類化合物は、そのカルボン酸基がイオン解離して、分子鎖中の複数のカルボン酸基間で互いに反発し、水性媒体中に分子が広がった状態で存在しうる。さらに、多糖類化合物は、分子を構成する原子の振動や回転運動により絶えず動いている状態であると考えられる。主鎖にカルボン酸基を有する多糖類化合物と比べて、側鎖にカルボン酸基を有する多糖類化合物は分子の広がりの外方に向かってカルボン酸基が配置されやすいので、樹脂粒子とより相互作用しやすい。このため、側鎖にカルボン酸基を有する多糖類化合物を用いると、記録される画像の発色性をより向上させることができる。
インク中の多糖類化合物の含有量B(質量%)は、0.030質量%以下であることが好ましい。多糖類化合物の含有量Bが0.030質量%超であると、インクの粘度が過度に上昇することがあり、インクの吐出安定性が低下しやすくなる場合がある。インク中の多糖類化合物の含有量B(質量%)は、0.002質量%以上0.010質量%以下であることがさらに好ましい。
(樹脂粒子)
樹脂粒子は、カルボン酸基をする。樹脂粒子としては、アクリル系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系などを挙げることができる。
樹脂粒子のカルボン酸基の量から、酸価を算出することができる。樹脂粒子の酸価は、10mgKOH/g以下であることが好ましく、7/mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。樹脂粒子の酸価が10mgKOH/g超であると、樹脂粒子の表面に存在するカルボン酸基の量が過剰となる場合がある。このため、多糖類化合物1分子当たりと相互作用する樹脂粒子の数が減少しやすくなり、画像の発色性の向上効果がやや低くなる場合がある。樹脂粒子の酸価の下限は、2mgKOH/g以上であることが好ましい。
インク中の樹脂粒子の含有量A(質量%)及び多糖類化合物の含有量B(質量%)は、下記式(2)の関係を満たすことが好ましい。
0.0002≦B/A≦0.0125 ・・・(2)
「B/A」の値が0.0125超であると、多糖類化合物の含有量が相対的に過剰となり、インクの粘度が過度に上昇して、吐出安定性の向上効果がやや低くなる場合がある。一方、「B/A」の値が0.0002未満であると、多糖類化合物の含有量が相対的に不足し、多糖類化合物と相互作用しない樹脂粒子の数が増加するので、画像の発色性向上効果がやや低くなる場合がある。
(水性媒体)
インクは、水性媒体として少なくとも水を含有する水性インクである。インクには、水性媒体としてさらに水溶性有機溶剤を含有させることができる。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、10.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましく、30.0質量%以上80.0質量%以下であることがさらに好ましい。また、水溶性有機溶剤としては、インクに一般的に用いられているものをいずれも用いることができる。例えば、アルコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類、含硫黄化合物類などを挙げることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましく、3.0質量%以上40.0質量%以下であることがさらに好ましい。
(その他の添加剤)
インクは、上記した成分以外にも必要に応じて、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類や、尿素、エチレン尿素などの尿素誘導体などの、常温で固体の水溶性有機化合物を含有してもよい。さらに、インクは、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及びその他の樹脂などの種々の添加剤を含有してもよい。インク中のこれらの添加剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.05質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上5.0質量%以下であることがさらに好ましい。
(インクの物性)
コーンプレート型粘度計を使用して測定される、回転数50rpmにおけるインクの粘度X(mPa・s)及び回転数20rpmにおけるインクの粘度Y(mPa・s)が、下記式(1)の関係を満たすことが好ましい。上記のインクの粘度X及びYは、いずれもJIS K 5600-2-3:2014に準拠して測定される。
0≦|Y-X|/30≦0.007 ・・・(1)
多糖類化合物を0.1質量%程度含有するインクは、通常、強いせん断応力を付与すると粘度が低下し、弱いせん断応力を付与すると粘度が上昇するといった、いわゆる擬塑性を示す。せん断応力の強弱は、コーンプレート型粘度計の回転数に対応する。具体的には、せん断応力が強い場合は、コーンプレート型粘度計の回転数が高い条件に対応し、せん断応力が弱い場合は、コーンプレート型粘度計の回転数が低い条件に対応する。上記式(1)中の値「30」は、50rpmから20rpmへの回転数の変化量に対応する。また、上記式(1)中の「Y-X」は、同条件下におけるインクの粘度の変化量に対応する。すなわち、上記式(1)は、単位回転数当たりのインクの粘度変化量を示している。粘度測定時の回転数は、インクジェット用の水性インクの使用条件として適切な範囲の粘度を精度よく測定しうる回転数である。
上記式(1)を満たすインクは擬塑性を示さないため、吐出直前などのせん断応力が弱い状況下であっても粘度が上昇しにくく、吐出安定性により優れている。
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明の水性インクである。図1は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明の水性インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
図2は、本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。インクジェット記録装置には、記録媒体32を搬送する搬送手段(不図示)、及びキャリッジシャフト34が設けられている。キャリッジシャフト34にはヘッドカートリッジ36が搭載可能となっている。ヘッドカートリッジ36は記録ヘッド38及び40を具備しており、インクカートリッジ42がセットされるように構成されている。ヘッドカートリッジ36がキャリッジシャフト34に沿って主走査方向に搬送される間に、記録ヘッド38及び40から記録媒体32に向かってインク(不図示)が吐出される。そして、記録媒体32が搬送手段(不図示)により副走査方向に搬送されることによって、記録媒体32に画像が記録される。
記録媒体としては、特に制限はないが、水性媒体を吸収する記録媒体を用いることが好ましい。具体的には、普通紙などのコート層を有しない記録媒体、光沢紙やマット紙などのコート層を有する記録媒体などの、紙を基材とした記録媒体を用いることが好ましい。記録媒体は、軽質炭酸カルシウム及び塩化カルシウムの少なくとも一方のカルシウム成分を含有することが好ましい。そして、記録媒体中のカルシウム成分の含有量(質量%)は、記録媒体全質量を基準として、15.0質量%以上であることが好ましい。カルシウム成分を上記の割合で含有する記録媒体に吐出されたインクが接触すると、インクの粘度がさらに上昇するので、記録媒体の表面に顔料が残りやすくなり、得られる画像の発色性をより向上させることができる。記録媒体中のカルシウム成分の含有量(質量%)は、記録媒体全質量を基準として、30.0質量%以下であることが好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<顔料分散液の製造>
(顔料分散液1)
顔料15.0部、樹脂分散剤の水溶液30.0部、及び水55.0部を混合し、サンドグラインダーを使用して1時間分散させた後、遠心分離して粗大粒子を含む非分散物を除去した。顔料としては、C.I.ピグメントブルー15:3(クラリアント製)を用いた。樹脂分散剤の水溶液としては、スチレン-アクリル酸共重合体(組成(モル比)=33:67)を酸価となどモルの10%水酸化カリウム水溶液で中和し、適量のイオン交換水を添加して得た、樹脂(固形分)の含有量が20.0%である水溶液を用いた。スチレン-アクリル酸共重合体の酸価は150mgKOH/gであり、重量平均分子量8,000であった。ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過した後、適量のイオン交換水を加えて、アニオン性分散のシアン顔料分散液1を得た。顔料分散液1中の顔料の含有量は15.0%、樹脂の含有量は3.0%であった。
(顔料分散液2)
顔料としてカーボンブラック(商品名「MA-100」、三菱化学製)を用いたこと以外は、前述の顔料分散液1の場合と同様にして、顔料分散液2を得た。顔料分散液2中の顔料の含有量は15.0%、樹脂の含有量は3.0%であった。
<多糖類化合物の用意>
(多糖類化合物1)
側鎖にカルボン酸基を有するキサンタンガム(東京化成工業製、重量平均分子量200万)を多糖類化合物1とした。
(多糖類化合物2)
側鎖にカルボン酸基を有するスクシノグリカン(DSP五協フード&ケミカル製、重量平均分子量100万)を多糖類化合物2とした。
(多糖類化合物3)
主鎖にカルボン酸基を有するペクチン(東京化成工業製、重量平均分子量30万)を多糖類化合物3とした。
(多糖類化合物4)
カルボン酸基を有しないグァーガム(東京化成工業製、重量平均分子量200万)を多糖類化合物4とした。
(多糖類化合物5)
多糖類化合物1(キサンタンガム)1部と純水99部を混合及び撹拌した。超音波照射機(商品名「S-150Dデジタルソニファイアー」、ブランソン製)を使用し、400W、20kHz、3時間の条件で超音波を照射して、多糖類化合物5(重量平均分子量9万)を調製した。
<樹脂粒子分散液の製造>
(樹脂粒子1)
撹拌機、還流冷却装置、及び窒素ガス導入管を備えたフラスコを用意した。ラウリル硫酸ナトリウム(乳化剤)0.3部、アクリル酸-2-エチルヘキシル30.8部、メタクリル酸メチル52.4部、及びメタクリル酸16.8部をフラスコに入れた。反応成分の含有量が20%となる量の水を添加した後、混合して乳化物を調製した。5%の過硫酸カリウム水溶液10.0部を3時間かけて滴下した後、2時間エージングした。適量のイオン交換水を添加して固形分を調整し、樹脂の含有量が50.0%である樹脂粒子1の分散液を得た。樹脂粒子1の酸価は、6mgKOH/gであった。
樹脂粒子の酸価は、以下に示す逆滴定法によって測定及び算出した。まず、樹脂粒子の分散液に塩酸水溶液を添加してpHを2.0に調整した後、10,000rpmで30分間遠心分離して、樹脂粒子の固形分を得た。得られた樹脂粒子の固形分を常温で24時間乾燥した乾燥物1gに、0.1mol/L炭酸水素ナトリウム水溶液30gを添加し、15分間撹拌した後、25℃、80,000rpmで60分間遠心分離して上澄み溶液を採取した。採取した上澄み溶液15gに水を添加して全体が200gとなるように希釈した後、0.1mol/Lの塩酸水溶液で滴定し、樹脂粒子1g当たりの表面の酸価(mgKOH/g)を算出した。
(樹脂粒子2)
ブチルメタクリレート35.0部、ハイドロホーブであるn-ヘキサデカン2.0部、及び2,2’-アゾビス-(2-メチルブチロニトリル)2.0部を混合し、30分間撹拌して混合溶液を得た。得られた混合溶液を、ポリオキシエチレンセチルエーテル(商品名「Nikkol BC15」、日光ケミカルズ製)の5.0%水溶液61.0部に滴下し、30分間撹拌した。超音波照射機(商品名「S-150Dデジタルソニファイアー」、ブランソン製)を使用し、400W、20kHz、3時間の条件で分散した後、窒素雰囲気下、80℃で4時間重合して、樹脂粒子を構成する第1の層の分散液を得た。
得られた第1の層の分散液73.0部を窒素雰囲気下で70℃に加熱し、イオン交換水7.9部及び過硫酸カリウム0.1部を添加した。別の容器に、ブチルメタクリレート10.0部、メタクリル酸3.0部、1,4-ブタンジオールジメタクリレート3.0部、反応性界面活性剤(商品名「アクアロンKH-05」、第一工業製薬製)3.0部を入れて乳化物を調製した。調製した乳化物を第1の層の分散液に1時間かけて滴下した後、85℃に加熱して2時間撹拌した。室温まで冷却してイオン交換水及び水酸化カリウム水溶液を添加し、樹脂の含有量が50.0%である、pH8.5の樹脂粒子2の分散液を得た。樹脂粒子2の酸価は、6mgKOH/gであった。樹脂粒子2は、架橋していない樹脂で形成された第1の層と、カルボン酸基を有する架橋した樹脂で形成された第2の層、並びに親水性部位及び疎水性部位を有するユニットで形成された第3の層をこの順に有する、3層構造の樹脂粒子である。
(樹脂粒子3)
メタクリル酸の量を8.0部として、メタクリル酸メチルの量を61.2部としたこと以外は、前述の樹脂粒子1の場合と同様にして、樹脂の含有量が50.0%である樹脂粒子3の分散液を得た。樹脂粒子3の酸価は、2mgKOH/gであった。
(樹脂粒子4)
メタクリル酸の量を15.5部として、メタクリル酸メチルの量を53.7部としたこと以外は、前述の樹脂粒子1の場合と同様にして、樹脂の含有量が50.0%である樹脂粒子4の分散液を得た。樹脂粒子4の酸価は、10mgKOH/gであった。
(樹脂粒子5)
メタクリル酸の量を20.0部として、メタクリル酸メチルの量を49.2部としたこと以外は、前述の樹脂粒子1の場合と同様にして、樹脂の含有量が50.0%である樹脂粒子5の分散液を得た。樹脂粒子5の酸価は、12mgKOH/gであった。
(樹脂粒子6)
メタクリル酸を用いず、メタクリル酸メチルの量を69.2部としたこと以外は、前述の樹脂粒子1の場合と同様にして、樹脂の含有量が50.0%である樹脂粒子6の分散液を得た。樹脂粒子6の酸価は、0mgKOH/gであった。
(インクの調製)
表1-1及び1-2の中段に示す各成分(単位:%)を混合し、十分撹拌した後、孔径1.2μmのメンブレンフィルター(商品名「HDCIIフィルター」、ポール製)にて加圧ろ過し、各インクを調製した。表1-1及び1-2中、「界面活性剤」としては、ノニオン性界面活性剤(商品名「アセチレノールE60」、川研ファインケミカル製)を用いた。調製した各インクの特性を表1-1及び1-2の下段に示す。インクの粘度は、E型粘度計(商品名「RE-80L」、TOKI製)を使用して測定した。
Figure 2023026903000001
Figure 2023026903000002
<評価>
調製した各インクをインクカートリッジに充填し、熱エネルギーの作用によりインクを吐出する記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置(商品名「MAXIFY IB4030」、キヤノン製)に装着した。このインクジェット記録装置を使用し、以下の各項目の評価を行った。評価結果を表2に示す。本発明においては、「A」及び「B」を許容できるレベルとし、「C」及び「D」を許容できないレベルとした。
(発色性)
上記のインクジェット記録装置を使用し、温度23℃、相対湿度50%の環境下で、以下の評価を行った。1/600インチ×1/600インチの単位領域に約10ngのインク滴を付与する条件で、以下に示す3種類の記録媒体にベタ画像(3cm×3cm)を記録した。反射濃度計(商品名「FD-7」、コニカミノルタ製)を使用して記録したベタ画像の光学濃度を測定した。3種類の記録媒体に記録した画像の光学濃度の平均値を算出し、以下に示す評価基準にしたがって画像の発色性を評価した。
[記録媒体:実施例1~14、及び比較例1~5]
・商品名「CS-680」(キヤノン製)、カルシウム成分の含有量:5.5%
・商品名「Canon Recycled Classic」(キヤノン製)、カルシウム成分の含有量:0%
・商品名「HP Bright White」(HP製)、カルシウム成分の含有量:21.3%
[記録媒体:実施例15]
・商品名「CS-680」(キヤノン製)、カルシウム成分の含有量:5.5%
・商品名「Canon Recycled Classic」(キヤノン製)、カルシウム成分の含有量:0%
・商品名「Hammermill Copy Plus」(International Paper製)、カルシウム成分の含有量:14.8%
[発色性の評価基準]
A:光学濃度の平均値が1.23以上であった。
B:光学濃度の平均値が1.18以上1.22以下であった。
C:光学濃度の平均値が1.13以上1.17以下であった。
D:光学濃度の平均値が1.12以下であった。
(吐出安定性)
上記のインクジェット記録装置を使用し、温度15℃、相対湿度10%の環境下で、以下の評価を行った。1/600インチ×1/600インチの単位領域に約10ngのインク滴を付与する条件で、記録媒体(商品名「Canon Red Label Superior」、キヤノン製)に、ベタ画像(15cm×20cm)を連続して1,000枚分記録した。次いで、MAXIFY IB4030のノズルチェックパターンを記録した。得られたノズルチェックパターンにおける、記録ヘッドの各吐出口から吐出されたインクの付与位置のずれを目視で確認して、以下に示す評価基準にしたがって吐出安定性を評価した。
A:インクの付与位置がずれていた吐出口はなかった。
B:インクの付与位置がずれていた吐出口の数が、0%を超えて0.5%以下であった。
C:インクの付与位置がずれていた吐出口の数が、0.5%を超えていた。
Figure 2023026903000003

Claims (9)

  1. 顔料、複数の単糖分子がグリコシド結合で重合した重合物である、カルボン酸基を有する多糖類化合物、及びカルボン酸基を有する樹脂粒子を含有するインクジェット用の水性インクであって、
    前記多糖類化合物の重量平均分子量が、10万以上であることを特徴とする水性インク。
  2. JIS K 5600-2-3:2014に準拠し、コーンプレート型粘度計を使用して測定される、回転数50rpmにおける粘度X(mPa・s)及び回転数20rpmにおける粘度Y(mPa・s)が、下記式(1)の関係を満たす請求項1に記載の水性インク。
    0≦|Y-X|/30≦0.007 ・・・(1)
  3. 前記樹脂粒子の含有量A(質量%)及び前記多糖類化合物の含有量B(質量%)が、下記式(2)の関係を満たす請求項1又は2に記載の水性インク。
    0.0002≦B/A≦0.0125 ・・・(2)
  4. 前記樹脂粒子の酸価が、10mgKOH/g以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水性インク。
  5. 前記多糖類化合物が、側鎖にカルボン酸基を有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水性インク。
  6. 前記多糖類化合物の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、0.030質量%以下である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の水性インク。
  7. インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えたインクカートリッジであって、
    前記インクが、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  8. インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記インクが、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
  9. 前記記録媒体が、軽質炭酸カルシウム及び塩化カルシウムの少なくとも一方のカルシウム成分を含有し、
    前記記録媒体中の前記カルシウム成分の含有量(質量%)が、記録媒体全質量を基準として、15.0質量%以上である請求項8に記載のインクジェット記録方法。

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