JP2023025770A - 硫化物系無機固体電解質材料、固体電解質膜および全固体型リチウムイオン電池 - Google Patents

硫化物系無機固体電解質材料、固体電解質膜および全固体型リチウムイオン電池 Download PDF

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樹史 吉田
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Abstract

【課題】製造バッチごとのリチウムイオン伝導性のバラつきが少なく、安定性に優れる硫化物系無機固体電解質材料の提供。【解決手段】レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定された体積基準の累積度数分布曲線において累積度数が50%であるときの粒子径d50が0.1μm以上100μm以下の硫化物系無機固体電解質材料であって、以下の方法に従って測定した付着面積が10%以下である該材料。(1)JISB0601(2013)に従って測定した所定のSUS304プレートを、縦辺を水平面との接線として水平面に対する傾斜が45°となるように設置する(2)前記プレート全体に硫化物系無機固体電解質材料がかかるようにふるい落とす(3)前記プレートに対し、所定の条件でジルコニアボールを落とす(4)前記プレートの硫化物系無機固体電解質材料が付着した面の面積を測定し、前記プレートの片面の面積に対する割合(付着面積)を算出する【選択図】図5

Description

本発明は、硫化物系無機固体電解質材料、固体電解質膜および全固体型リチウムイオン電池に関する。
リチウムイオン電池は、一般的に、携帯電話やノートパソコン等の小型携帯機器の電源として使用されている。また、最近では小型携帯機器以外に、電気自動車や電力貯蔵等の電源としてもリチウムイオン電池は使用され始めている。
現在市販されているリチウムイオン電池には、可燃性の有機溶媒を含む電解液が使用されている。一方、電解液を固体電解質に替えて、電池を全固体化したリチウムイオン電池(以下、全固体型リチウムイオン電池とも呼ぶ。)は、電池内に可燃性の有機溶媒を用いないので、安全装置の簡素化が図れ、製造コストや生産性に優れると考えられている。
近年、このようなリチウムイオン電池の固体電解質材料として、硫化物固体電解質材料を主に含む固体電解質膜が用いられることがある。硫化物系無機固体電解質材料は、例えば原料として硫化リチウム(LiS)および五硫化リン(P)が主成分として用いられる。
特許文献1(特開2016-27545号公報)には、CuKα線を用いたX線回折測定における2θ=29.86°±1.00°の位置にピークを有し、Li2y+3PS(0.1≦y≦0.175)の組成を有することを特徴とする硫化物系固体電解質材料が記載されている。
特開2016-27545号公報
しかし、従来の技術では、得られる硫化物系無機固体電解質材料について、製造バッチごとにリチウムイオン伝導性にバラつきがあることが分かった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、ハンドリング性およびリチウムイオン伝導性を維持しつつも、製造バッチごとのリチウムイオン伝導性のバラつきが少ない硫化物系無機固体電解質材料、固体電解質膜および全固体型リチウムイオン電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、かかる課題を解決するために鋭意検討した。その結果、平滑な金属板に硫化物系無機固体電解質材料をふるいかけた際に、硫化物系無機固体電解質材料が金属板に付着し辛くすることにより、ハンドリング性およびリチウムイオン伝導性を維持しつつも、製造バッチごとのリチウムイオン伝導性のバラつきを減らし、高いリチウムイオン伝導性を有する硫化物系無機固体電解質材料を安定的に得られることが可能であることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明によれば、
レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定された体積基準の累積度数分布曲線において累積度数が50%であるときの粒子径d50が0.1μm以上100μm以下の硫化物系無機固体電解質材料であって、
以下(方法)に従って測定した付着面積が10%以下である、
硫化物系無機固体電解質材料が提供される。
(方法)
(1)JIS B 0601(2013)に従って測定した算術平均粗さRaが0.017μm以上0.023μm以下、最大高さRzが0.14μm以上0.18μm以下、十点平均粗さRzjisが0.12μm以上0.16μm以下であり、縦8cm×横9cmのSUS304プレートを、縦辺を水平面との接線として水平面に対する傾斜が45°となるように設置する。
(2)目開き250μmの篩を用いて、上記SUS304プレート上に硫化物系無機固体電解質材料10gを上記水平面から10cmの高さから、上記SUS304プレート全体に上記硫化物系無機固体電解質材料がかかるようにふるい落とす。
(3)上記SUS304プレートの上端から5cmの高さから、47gのジルコニアボール1個を上記SUS304プレートの上端のみに当たり、上記SUS304プレートの硫化物系無機固体電解質材料が付着した面には当たらないように3回落とす。
(4)衝撃が加わった後の上記SUS304プレートの上記硫化物系無機固体電解質材料が付着した面の面積を測定し、上記SUS304プレートの片面の面積に対する割合(付着面積)を算出する。
また、本発明によれば、
上記硫化物系無機固体電解質材料を主成分として含む固体電解質膜が提供される。
また、本発明によれば、
正極活物質層を含む正極と、電解質層と、負極活物質層を含む負極とを備えた全固体型リチウムイオン電池であって、
上記正極活物質層、上記電解質層および上記負極活物質層のうち少なくとも一つが、上記硫化物系無機固体電解質材料を含む全固体型リチウムイオン電池が提供される。
本発明によれば、ハンドリング性およびリチウムイオン伝導性を維持しつつも、製造バッチごとのリチウムイオン伝導性のバラつきが少ない硫化物系無機固体電解質材料、固体電解質膜および全固体型リチウムイオン電池を提供することができる。
本実施形態に係る装置を示す図である。 図1に示した粉砕部の回転テーブル及び複数のボールの上面図である。 図2のA-A´断面図である。 図3の変形例を示す図である。 本実施形態に係る全固体型リチウムイオン電池用電極の構造の一例を示す断面図である。 本実施形態に係る付着面積の測定試験を示す模式図である。 本実施形態に係る付着面積の測定試験を示す模式図である。 本実施形態に係る付着面積の測定結果を示す図である。
以下に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。図は概略図であり、実際の寸法比率とは必ずしも一致していない。なお、本実施形態では特に断りがなければ、正極材料により形成された層を正極活物質層と呼び、集電体上に正極活物質層を形成させたものを正極と呼ぶ。また、負極材料により形成された層を負極活物質層と呼び、集電体上に負極活物質層を形成させたものを負極と呼ぶ。
[硫化物系無機固体電解質材料]
はじめに、本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料について説明する。
本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定された体積基準の累積度数分布曲線において累積度数が50%であるときの粒子径d50が0.1μm以上100μm以下の硫化物系無機固体電解質材料であって、以下(方法)に従って測定した付着面積が10%以下である、硫化物系無機固体電解質材料である。
(方法)
(1)JIS B 0601(2013)に従って測定した算術平均粗さRaが0.017μm以上0.023μm以下、最大高さRzが0.14μm以上0.18μm以下、十点平均粗さRzjisが0.12μm以上0.16μm以下であり、縦8cm×横9cmのSUS304プレートを、縦辺を水平面との接線として水平面に対する傾斜が45°となるように設置する。
(2)目開き250μmの篩を用いて、上記SUS304プレート上に硫化物系無機固体電解質材料10gを上記水平面から10cmの高さから、上記SUS304プレート全体に上記硫化物系無機固体電解質材料がかかるようにふるい落とす。
(3)上記SUS304プレートの上端から5cmの高さから、47gのジルコニアボール1個を上記SUS304プレートの上端のみに当たり、上記SUS304プレートの硫化物系無機固体電解質材料が付着した面には当たらないように3回落とす。
(4)衝撃が加わった後の上記SUS304プレートの上記硫化物系無機固体電解質材料が付着した面の面積を測定し、上記SUS304プレートの片面の面積に対する割合(付着面積)を算出する。
硫化物系無機固体電解質材料の原料としてはP、LiS、LiN等が挙げられる。例えばPは反応性の高い不安定なイオン結晶粉末であるため、LiSとともにメカニカルミリング等の処理によりガラス化させた後、熱処理をすることによって結晶化し、安定化する。この安定化した硫化物系無機固体電解質材料の結晶性が、硫化物系無機固体電解質材料を用いて得られる固体電解質膜のリチウムイオン伝導性に影響を与える。この時、硫化物系無機固体電解質材料のメカニカルミリング等によるガラス化が不十分であり、熱処理において目的の結晶相が生成しない場合、得られる固体電解質膜のリチウムイオン伝導性が低下してしまう。
また、従来のメカニカルミリング方法を用いて製造された硫化物系無機固体電解質材料は、反応が不十分な硫化物系無機固体電解質材料が、製造装置から回収された硫化物系無機固体電解質材料中に混入することにより、製造バッチごとのリチウムイオン伝導性にバラつきが生じることがあった。
本発明者らの検討によれば、硫化物系無機固体電解質材料のSUS304プレートに対する付着面積が10%以下となるように硫化物系無機固体電解質材料を調製すること、すなわち、縦辺を水平面との接線として水平面に対して45°の傾斜を設けて設置した、JIS B 0601(2013)に従って測定した算術平均粗さRaが0.017μm以上0.023μm以下、最大高さRzが0.14μm以上0.18μm以下、十点平均粗さRzjisが0.12μm以上0.16μm以下のSUS304プレート上に硫化物系無機固体電解質材料10gを目開き250μmの篩を用いて上記水平面から10cmの高さからふるい落とし、SUS304プレートの上端に、47gのジルコニアボールを上記SUS304プレート上端から5cmの高さから落として衝撃を3度与えた際の付着面積を特定の範囲内となるように製造条件や配合を適切に選択することにより、従来のハンドリング性およびリチウムイオン伝導性を維持しつつも、製造バッチごとのリチウムイオン伝導性のバラつきを減らし、高いリチウムイオン伝導性を有する硫化物系無機固体電解質材料を安定的に得られることを見出し、本発明に至った。
この理由は定かではないが、SUS304プレートに対する付着面積が少ないということは、不安定で反応性が高い未反応の原料組成物が少ないということに言い換えることができる。その結果、従来のハンドリング性およびリチウムイオン伝導性を維持しつつも、製造バッチごとのリチウムイオン伝導性のバラつきが少ない硫化物系無機固体電解質材料が提供できるものと考えられる。
ここで、本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料は、上記(方法)に従って測定した付着面積の上限値が10%以下であり、8%以下がより好ましく、5%以下がさらに好ましい。付着面積が上記上限値以下であることにより、硫化物系無機固体電解質材料中の未反応の原料組成物をより少なくすることができる。
また、付着面積の下限値は特に限定されないが、例えば、0%以上である。
本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料を、上述した付着面積とするには、
(i)硫化物系無機固体電解質材料の原料配合割合
(ii)製造方法
以上の2点を適切に選択することが好ましい。ここで、(i)原料配合割合としては、後述する当該硫化物系無機固体電解質材料中のPの含有量に対するLiの含有量のモル比(Li/P)およびPの含有量に対するSの含有量のモル比(S/P)を後述の範囲とすることが好ましい。
また、(ii)製造方法としては、内壁面が表面粗さの小さい平滑面である装置を用いることが好ましい。このような内壁面が平滑面である装置の例として、後述する装置10が挙げられる。
本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定された体積基準の累積度数分布曲線において累積度数が50%であるときの粒子径d50が、0.1μm以上100μm以下であり、好ましくは2μm以上50μm以下、より好ましくは3μm以上25μm以下である。
硫化物系無機固体電解質材料の粒子径d50を上記範囲内とすることにより、良好なハンドリング性を維持すると共に、得られる固体電解質膜のリチウムイオン伝導性をより一層向上させることができる。
本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料は、構成元素としてLi、PおよびSを含む粉末状の硫化物系無機固体電解質材料であることが好ましい。
本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料は、リチウムイオン伝導性、電気化学的安定性、水分や空気中での安定性および取り扱い性等をより一層向上させる観点から、当該硫化物系無機固体電解質材料中のPの含有量に対するLiの含有量のモル比(Li/P)が好ましくは1.0以上10.0以下であり、より好ましくは1.5以上5.0以下であり、さらに好ましくは1.8以上4.5以下であり、さらにより好ましくは2.0以上4.4以下であり、特に好ましくは2.3以上4.3以下である。
また、Pの含有量に対するSの含有量のモル比(S/P)が好ましくは1.0以上10.0以下であり、より好ましくは2.5以上6.0以下であり、さらに好ましくは3.0以上5.0以下であり、さらにより好ましくは3.5以上4.8以下であり、特に好ましくは3.7以上4.5以下である。
ここで、本実施形態の固体電解質材料中のLi、P、およびSの含有量は、例えば、ICP発光分光分析により求めることができる。
本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料において、27.0℃、印加電圧10mV、測定周波数域0.1Hz~7MHzの測定条件における交流インピーダンス法による、硫化物系無機固体電解質材料のリチウムイオン伝導度の下限値が、好ましくは1.0×10-4S・cm-1以上、より好ましくは2.2×10-4S・cm-1以上、さらに好ましくは2.5×10-4S・cm-1以上、特に好ましくは2.8×10-4S・cm-1以上である。
本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料のリチウムイオン伝導度が上記下限値以上であると、より一層電池特性に優れた全固体型リチウムイオン電池を得ることができる。
また、硫化物系無機固体電解質材料のリチウムイオン伝導度の上限値は特に限定されないが、例えば、3.0×10-3S・cm-1以下である。
本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料の形状としては、例えば粒子状を挙げることができる。
本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料は、例えば、全固体型リチウムイオン電池を構成する固体電解質層に用いられる。
本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料を適用した全固体型リチウムイオン電池の例としては、正極層と、固体電解質層と、負極層とがこの順番に積層されたものが挙げられる。この場合、固体電解質層が硫化物系無機固体電解質材料により構成されたものである。
[硫化物系無機固体電解質材料の製造方法]
次に、本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料の製造方法について説明する。
本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料の製造方法は、従来の硫化物系無機固体電解質材料の製造方法とは異なるものである。SUS304プレートに対する付着面積が上記範囲内にある本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料は、硫化物系無機固体電解質材料の組成比率や、原料である無機組成物をガラス化すること等の製造条件を高度に制御することが重要である。
より具体的には、本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料は、以下の(A)および(B)の工程を含む製造方法により得ることができる。また、本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料の製造方法は、以下の(C)の工程をさらに含んでもよい。
工程(A):原料である2種以上の無機化合物を含む無機組成物を準備する工程
工程(B):無機組成物を機械的処理することにより、原料である無機化合物同士を化学反応させながら無機組成物をガラス化する工程
工程(C):得られた硫化物系無機固体電解質材料を粉砕、分級、または造粒する工程
以下、各工程について詳細に説明する。
(無機組成物を準備する工程(A))
はじめに、原料である2種以上の無機化合物を含む無機組成物を準備する。
無機化合物としては機械的処理により互いに化学反応して、構成元素としてLi、P、およびSを含む硫化物系無機固体電解質材料を生成する化合物を2種以上用いる。これらの無機化合物は、生成させる硫化物系無機固体電解質材料に応じて適宜選択することができ、例えば、硫化リチウム、硫化リン、窒化リチウム等を用いることができる。
上記無機組成物は、例えば、生成させる硫化物系無機固体電解質材料が所望の組成比になるように、原料である2種以上の無機化合物を所定のモル比で混合することにより得ることができる。
2種以上の無機化合物を混合する方法としては各無機化合物を均一に混合できる混合方法であれば特に限定されないが、例えば、乳鉢、ボールミル、ビーズミル、振動ミル、打撃粉砕装置、ミキサー(パグミキサー、リボンミキサー、タンブラーミキサー、ドラムミキサー、V型混合器等)、気流粉砕機等を用いて混合することができる。
各無機化合物を混合するときの攪拌速度や処理時間、温度、反応圧力、混合物に加えられる重力加速度等の混合条件は、混合物の処理量によって適宜決定することができる。
原料として用いる硫化リチウムとしては特に限定されず、市販されている硫化リチウムを使用してもよいし、例えば、水酸化リチウムと硫化水素との反応により得られる硫化リチウムを使用してもよい。高純度な硫化物系無機固体電解質材料を得る観点および副反応を抑制する観点から、不純物の少ない硫化リチウムを使用することが好ましい。
ここで、本実施形態において、硫化リチウムには多硫化リチウムも含まれる。
原料として用いる硫化リンとしては特に限定されず、市販されている硫化リン(例えば、P、P、P、P等)を使用することができる。高純度な硫化物系無機固体電解質材料を得る観点および副反応を抑制する観点から、不純物の少ない硫化リンを使用することが好ましい。また、硫化リンに代えて、相当するモル比の単体リン(P)および単体硫黄(S)を用いることもできる。単体リン(P)および単体硫黄(S)は、工業的に生産され、販売されているものであれば、特に限定なく使用することができる。
原料である無機化合物としては窒化リチウムを用いてもよい。ここで、窒化リチウム中の窒素はNとして系内に排出されるため、原料である無機化合物として窒化リチウムを利用することで、構成元素としてLi、P、およびSを含む硫化物系無機固体電解質材料に対し、Li組成のみを増加させることが可能となる。
本実施形態の窒化リチウムとしては特に限定されず、市販されている窒化リチウム(例えば、LiN等)を使用してもよいし、例えば、金属リチウム(例えば、Li箔)と窒素ガスとの反応により得られる窒化リチウムを使用してもよい。高純度な固体電解質材料を得る観点および副反応を抑制する観点から、不純物の少ない窒化リチウムを使用することが好ましい。
(無機組成物をガラス化する工程(B))
つづいて、無機組成物を機械的処理することにより、原料である無機化合物同士を化学反応させながら無機組成物をガラス化する。
ここで、機械的処理は、原料である2種以上の無機化合物を機械的に衝突させることにより、化学反応させながら無機組成物をガラス化させることができるものであり、例えば、メカノケミカル処理等が挙げられる。
ここで、メカノケミカル処理とは、混合対象に、せん断力、衝突力または遠心力のような機械的エネルギーを加えつつガラス化する方法である。メカノケミカル処理によるガラス化をおこなう装置としては、ボールミル、ビーズミル、振動ミル、ターボミル、メカノフュージョン、ディスクミル、ロールミル等の粉砕・分散機や、削岩機や振動ドリル、インパクトドライバ等で代表される回転、押出しおよび打撃を組み合わせた機構からなる打撃粉砕装置等が挙げられる。これらの中でも、回転、押出しおよび打撃を組み合わせた機構からなる打撃粉砕装置として、本願の課題を解決する観点から、後述する装置10を用いることが好ましい。
また、メカノケミカル処理は不活性雰囲気下でおこなうことが好ましい。これにより、無機組成物と、水蒸気や酸素等との反応を抑制することができる。
また、不活性雰囲気下とは、真空雰囲気下または不活性ガス雰囲気下のことである。上記不活性雰囲気下では、水分の接触を避けるために露点が-50℃以下であることが好ましく、-60℃以下であることがより好ましい。上記不活性ガス雰囲気下とは、アルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガス等の不活性ガスの雰囲気下のことである。これらの不活性ガスは、製品への不純物の混入を防止するために、高純度である程好ましい。混合系への不活性ガスの導入方法としては、混合系内が不活性ガス雰囲気で満たされる方法であれば特に限定されないが、不活性ガスをパージする方法、不活性ガスを一定量導入し続ける方法等が挙げられる。
また、無機組成物をガラス化するときに、ヘキサン、トルエン、またはキシレン等の非プロトン性有機溶媒を添加して、溶媒に各原料を分散させた状態でガラス化してもよい。
無機組成物をガラス化するときの回転速度や処理時間、温度、反応圧力、無機組成物に加えられる重力加速度等の混合条件は、無機組成物の種類や処理量によって適宜決定することができる。一般的には、回転速度が速いほど、ガラスの生成速度は速くなり、処理時間が長いほどガラスヘの転化率は高くなる。
通常は、線源としてCuKα線を用いたX線回折分析をしたとき、無機組成物の回折ピークが消失または低下していたら、無機組成物はガラス化され、所望の硫化物系無機固体電解質材料が得られていると判断することができる。
(装置10)
ここで、このような硫化物系無機固体電解質材料の製造に好ましく用いられる装置10について、図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料を製造するための装置10を示す図である。図2は、図1に示した粉砕部200の回転テーブル212及び複数のボール214の上面図である。図3は、図2のA-A´断面図である。装置10は、複数種の無機化合物(A1)から無機材料(A)を製造する。図1において、図1の上方に向かう方向は、鉛直方向において上方に向かう方向であり、図1の下方に向かう方向は、鉛直方向において下方に向かう方向である。図2では、説明のため、押圧部216を示していない。図3における黒矢印は、複数種の無機化合物(A1)の流れを示している。図3における白矢印は、不活性ガスの流れを示している。
図1を用いて、装置10の概要を説明する。装置10は、送風部100、粉砕部200、第1回収部300及び系Sを備えている。送風部100は、不活性ガスを送る。粉砕部200は、複数種の無機化合物(A1)を、機械的エネルギーによってガラス化することと、ガラス化された複数種の無機化合物(A1)を、送風部100から送られた不活性ガスによって吹き上げることと、を繰り返す。第1回収部300には、不活性ガスによって吹き上げられた複数種の無機化合物(A1)の少なくとも一部が入り込む。第1回収部300は、複数種の無機化合物(A1)の当該少なくとも一部を粉砕部200に向けて戻す。系S(例えば、後述する配管Pa、バッファタンク110、配管Pb、配管Pc及び配管Pi)は、送風部100から粉砕部200及び第1回収部300を経由して送風部100にかけて不活性ガスを循環させる。
このとき、粉砕部200の装置内壁面を算術平均粗さRaが小さい平滑面とすることにより、上述の(方法)によって得られる付着面積が10%以下である硫化物系無機固体電解質材料を得ることが可能である。
この理由は定かではないが、粉砕部200の装置内壁面を算術平均粗さRaが小さい平滑面とすることにより、未反応の原料組成物および硫化物系無機固体電解質材料の装置内壁面への付着および堆積を防止し、粉砕部200に未反応の原料組成物および硫化物系無機固体電解質材料を投入しやすくなったと考えられる。その結果、未反応の原料組成物および硫化物系無機固体電解質材料のメカノケミカル処理が進みやすくなり、原料組成物が未反応のまま回収されることを防止できるものと考えられる。
具体的には、粉砕部200の装置内壁面のJIS B 0601(2013)に従って測定した算術平均粗さRaの上限値が0.02μmであることが好ましく、0.015μmがさらに好ましく、0.01μmがより好ましく、0.005μmが特に好ましい。
また、粉砕部200の装置内壁面の算術平均粗さRaの下限値は特に限定されないが、例えば、0μm以上であり、0.001μm以上であり、0.003μm以上である。
このように装置内壁面の算術平均粗さRaを小さくするためには、装置内壁面に用いられる金属プレート表面部に公知の研磨処理を行うことで得られる。公知の研磨処理としては、例えば、バフ研磨である。
また、装置10において、粉砕部200の装置内壁面のJIS B 0601(2013)に従って測定した最大高さRzの上限値が0.16μmであることが好ましく、0.13μmがさらに好ましく、0.10μmがより好ましく、0.05μmが特に好ましい。粉砕部200の装置内壁面の最大高さRzを上記上限値以下とすることで、得られる硫化物系無機固体電解質材料の製造バッチごとのリチウムイオン伝導性のバラつきをより低減させることが可能である。
また、粉砕部200の装置内壁面の最大高さRzの下限値は特に限定されないが、例えば、0μm以上であり、0.01μm以上であり、0.03μm以上である。
また、装置10において、粉砕部200の装置内壁面のJIS B 0601(2013)に従って測定した十点平均粗さRzjisの上限値が0.14μmであることが好ましく、0.10μmがさらに好ましく、0.07μmがより好ましく、0.04μmが特に好ましい。粉砕部200の装置内壁面の十点平均粗さRzjisを上記上限値以下とすることで、得られる硫化物系無機固体電解質材料の製造バッチごとのリチウムイオン伝導性のバラつきをより低減させることが可能である。
また、粉砕部200の装置内壁面の十点平均粗さRzjisの下限値は特に限定されないが、例えば、0μm以上であり、0.01μm以上であり、0.03μm以上である。
以下、図1を用いて、装置10の構造をさらに詳細に説明する。
装置10は、送風部100、バッファタンク110、粉砕部200、第1回収部300、第1収容部310、第2回収部400、第2収容部410、減圧部500、配管Pa、複数の配管Pb(第5配管)、配管Pc(第2配管)、配管Pd(第6配管)、配管Pe(第1配管)、配管Pf(第3配管)、配管Pg、配管Ph(第4配管)、配管Pi、配管Pj、配管Pk、配管Pl、配管Pm、配管Pn、配管Po、バルブVa1、複数のバルブVb1(第5バルブ)、バルブVc1、バルブVc2(第2バルブ)、バルブVc3、バルブVd1(第6バルブ)、バルブVe1(第1バルブ)、バルブVe2、バルブVf1(第3バルブ)、バルブVg1、バルブVh1、バルブVh2、バルブVi1、バルブVi2、バルブVj1、バルブVk1、バルブVl1、バルブVm1、バルブVn1、バルブVo1、ラインLe(第1ライン)、ラインLh(第2ライン)及び排気ダクトDを備えている。
配管Paは、送風部100のガス出口104と、バッファタンク110のガス入口112と、に通じている。バルブVa1は、配管Paに設けられている。
複数の配管Pbの各々は、バッファタンク110の複数のガス出口114の各々と、粉砕部200の複数のガス入口202の各々と、に通じている。複数のバルブVb1の各々は、複数の配管Pbの各々に設けられている。一例において、粉砕部200の回転テーブル212(詳細は後述する。)の上方から見て、複数の配管Pbは、回転テーブル212の周りに配置されており、具体的には、回転テーブル212の中心(後述する回転軸R)に関して回転対称に配置されている。
配管Pcは、粉砕部200の材料排出管206と、第1回収部300の吸引口302と、に通じている。バルブVc1、バルブVc2及びバルブVc3は、配管Pcに設けられており、粉砕部200の材料排出管206から第1回収部300の吸引口302にかけて、バルブVc1、バルブVc2及びバルブVc3の順に並んでいる。
配管Pdは、粉砕部200の材料供給管204と、第1回収部300の材料排出口304と、に通じている。バルブVd1は、配管Pdに設けられている。
配管Peは、第1収容部310と、第1回収部300の材料供給口308と、に通じている。バルブVe1及びバルブVe2は、配管Peに設けられており、第1収容部310から第1回収部300の材料供給口308にかけて、バルブVe1及びバルブVe2の順に並んでいる。また、バルブVe1は、第1収容部310とともに配管Peに対して着脱可能に取り付けられている。言い換えると、バルブVe1を配管Peから取り外した場合において、第1収容部310及びバルブVe1は、一体にすることができる。さらに配管Peは、バルブVe1とバルブVe2との間においてラインLeと接続されている。配管Peの内部は、ラインLeを介して、真空又は不活性ガスに置換可能になっている。すなわち、ラインLeは、配管Peの内部を減圧することができるとともに、配管Peに不活性ガスを導入することができる。
配管Pfは、配管PcのうちバルブVc1とバルブVc2との間(すなわち、粉砕部200とバルブVc2との間)に位置する部分と、第2回収部400の吸引口402と、に通じている。バルブVf1は、配管Pfに設けられている。
配管Pgは、配管PcのうちバルブVc2とバルブVc3との間に位置する部分と、第2回収部400のガス排出管406と、に通じている。バルブVg1は、配管Pgに設けられている。
配管Phは、第2収容部410と、第2回収部400の材料排出口404と、に通じている。バルブVh1及びバルブVh2は、配管Phに設けられており、第2収容部410から第2回収部400の材料排出口404にかけて、バルブVh1及びバルブVh2の順に並んでいる。さらに配管Phは、バルブVh1とバルブVh2との間において、ラインLhと接続されている。配管Phの内部は、ラインLhを介して、真空又は不活性ガスに置換可能になっている。すなわち、ラインLhは、配管Phの内部を減圧することができるとともに、配管Phに不活性ガスを導入することができる。
配管Piは、第1回収部300のガス排出口306と、送風部100のガス入口102と、に通じている。バルブVi1及びバルブVi2は、配管Piに設けられており、第1回収部300のガス排出口306から送風部100のガス入口102にかけて、バルブVi1及びバルブVi2の順に並んでいる。
配管Pjは、配管Piのうち第1回収部300のガス排出口306と、バルブVi1と、の間に位置する部分と、配管Piのうち送風部100のガス入口102と、バルブVi2と、の間に位置する部分と、に通じている。バルブVj1は、配管Pjに設けられている。
配管Pkは、バッファタンク110の調整口116と、排気ダクトDと、に通じている。バルブVk1は、配管Pkに設けられている。
配管Plは、粉砕部200のガス排出口208と、減圧部500と、に通じている。バルブVl1は、配管Plに設けられている。
配管Pmは、減圧部500と、排気ダクトDと、に通じている。バルブVm1は、配管Pmに設けられている。
配管Pnは、配管Plのうち粉砕部200のガス排出口208と、バルブVl1と、の間に位置する部分と、排気ダクトDと、に通じている。バルブVn1は、配管Pnに設けられている。
配管Poは、配管Piから分岐して排気ダクトDに通じている。具体的には、配管Piは、配管PjのうちバルブVi2と送風部100のガス入口102との間に位置する端部と接続する部分を有している。配管Poは、配管Piのうち、配管Piの当該部分と、送風部100のガス入口102と、の間に位置する部分と、排気ダクトDと、に通じている。バルブVo1は、配管Poに設けられている。
送風部100は、配管Pj内のガスを送風部100のガス入口102から吸引する。また、送風部100は、送風部100のガス入口102から吸引されたガスを、送風部100のガス出口104から排出する。このようにして、送風部100は、配管Paを経由してバッファタンク110にガスを送る。また、送風部100のモータの回転数はインバーター106によって変更可能になっており、送風部100から送られるガスの流量は、モータの回転数に応じて、任意に変更可能となっている。
バッファタンク110のガス入口112には、送風部100から配管Paを経由して送られたガスが入り込む。バッファタンク110内に入り込んだガスは、バッファタンク110の複数のガス出口114を通過して、複数の配管Pbを経由して粉砕部200に送られる。バッファタンク110内におけるガスの圧力は、バルブVk1によって調節されている。
粉砕部200の複数のガス入口202には、バッファタンク110から複数の配管Pbを経由して送られたガスが入り込む。粉砕部200の材料供給管204には、第1収容部310から配管Pe、第1回収部300、配管Pdを経由して送られた材料が入り込む。粉砕部200の材料排出管206からは、粉砕部200内の材料の少なくとも一部及びガスの少なくとも一部が排出される。粉砕部200の内部の圧力は、減圧部500によって減少させることができる。また、粉砕部200の内部のガスは、配管Pnを経由して排気ダクトDに排出させることができる。
第1回収部300は、配管Pc内の材料及びガスを第1回収部300の吸引口302から吸引する。また、第1回収部300は、第1回収部300の吸引口302から吸引された材料を、第1回収部300の材料排出口304から排出する。このようにして、第1回収部300は、配管Pdを経由して粉砕部200に材料を送る。また、第1回収部300は、第1回収部300の吸引口302から吸引されたガスを、第1回収部300のガス排出口306から排出する。このようにして、第1回収部300は、配管Piを経由して送風部100にガスを送る。第1回収部300は、例えば、集塵機である。
第2回収部400は、配管Pc及び配管Pf内の材料及びガスを第2回収部400の吸引口402から吸引する。また、第2回収部400は、第2回収部400の吸引口402から吸引された材料を、第2回収部400の材料排出口404から排出する。このようにして、第2回収部400は、配管Phを経由して第2収容部410に材料を送る。また、第2回収部400は、第2回収部400の吸引口402から吸引されたガスを、第2回収部400のガス排出管406から排出する。第2回収部400は、例えば、サイクロン集塵機である。
ここで、装置10において、粉体が通過しうる部分の装置内壁面においても、装置内壁面を算術平均粗さの小さい平滑面とすることが好ましい。上記構成を採用することにより、得られる硫化物系無機固体電解質材料の製造バッチごとのリチウムイオン伝導性のバラつきをより低減させることが可能である。なお、粉体が通過しうる部分とは、例えば、第1回収部、第2回収部、第1収容部、第2収容部、第1配管、第2配管、第3配管、第4配管、第5配管および第6配管等が挙げられる。
具体的には、第1回収部、第2回収部、第1収容部、第2収容部、第1配管、第2配管、第3配管、第4配管、第5配管および第6配管から選択される1部または2部以上の部分における装置内壁面のJIS B 0601(2013)に従って測定した算術平均粗さRaの上限値が0.02μmであることが好ましく、0.015μmがさらに好ましく、0.01μmがより好ましく、0.005μmが特に好ましい。上記算術平均粗さRaを上記上限値以下とすることで、得られる硫化物系無機固体電解質材料の製造バッチごとのリチウムイオン伝導性のバラつきをより低減させることが可能である。
また、上記算術平均粗さRaの下限値は特に限定されないが、例えば、0μm以上であり、0.001μm以上であり、0.003μm以上である。
装置10において、第1回収部、第2回収部、第1収容部、第2収容部、第1配管、第2配管、第3配管、第4配管、第5配管および第6配管から選択される1部または2部以上の部分における装置内壁面のJIS B 0601(2013)に従って測定した最大高さRzの上限値が0.16μmであることが好ましく、0.13μmがさらに好ましく、0.10μmがより好ましく、0.05μmが特に好ましい。上記最大高さRzを上記上限値以下とすることで、得られる硫化物系無機固体電解質材料の製造バッチごとのリチウムイオン伝導性のバラつきをより低減させることが可能である。
また、上記最大高さRzの下限値は特に限定されないが、例えば、0μm以上であり、0.01μm以上であり、0.03μm以上である。
装置10において、第1回収部、第2回収部、第1収容部、第2収容部、第1配管、第2配管、第3配管、第4配管、第5配管および第6配管から選択される1部または2部以上の部分における装置内壁面のJIS B 0601(2013)に従って測定した十点平均粗さRzjisの上限値が0.14μmであることが好ましく、0.10μmがさらに好ましく、0.07μmがより好ましく、0.04μmが特に好ましい。上記十点平均粗さRzjisを上記上限値以下とすることで、得られる硫化物系無機固体電解質材料の製造バッチごとのリチウムイオン伝導性のバラつきをより低減させることが可能である。
また、上記十点平均粗さRzjisの下限値は特に限定されないが、例えば、0μm以上であり、0.01μm以上であり、0.03μm以上である。
次に、図2及び図3を用いて、粉砕部200の構造を説明する。
粉砕部200は、回転テーブル212、複数のボール214及び押圧部216を有している。図2に示す例において、複数のボール214の数は7つとなっている。ただし、複数のボール214の数は図2に示す例に限定されない。
回転テーブル212は、回転軸Rの周りに回転可能になっている。回転テーブル212の回転軸Rは、回転テーブル212の高さ方向(厚さ方向)に沿って回転テーブル212の中心を通過している。回転テーブル212の高さ方向(厚さ方向)は、鉛直方向に沿っている。複数のボール214は、回転テーブル212の回転軸Rの周りに配置されており、具体的には、回転軸Rに関して回転対称に配置されている。複数のボール214は、回転テーブル212の回転とともに回転する。また、複数のボール214の各々は、回転テーブル212の回転とともに回転する回転軸R1を回転軸として回転可能になっている。各ボール214の回転軸R1は、ボール214の高さ方向(厚さ方向)に沿ってボール214の中心を通過している。ボール214の高さ方向(厚さ方向)は、鉛直方向に沿っている。押圧部216は、回転テーブル212の反対側から複数のボール214を回転テーブル212に向けて押圧する。
次に、図1から図4を用いて、装置10によって、複数種の無機化合物(A1)から無機材料(A)を製造する方法の一例を説明する。
バルブVe1及びバルブVe2を閉じて、第1収容部310に複数種の無機化合物(A1)を収容する。具体的には、まず、第1収容部310をバルブVe1とともに配管Peから取り外す。次いで、第1収容部310に複数種の無機化合物(A1)を収容する。複数種の無機化合物(A1)の収容は不活性ガスでコントロールされた雰囲気(例えばグローブボックス内)で実施する。次いで、バルブVe1が閉じた状態で第1収容部310及びバルブVe1を配管Peに取り付ける。この場合、第1収容部310及びバルブVe1が大気に曝されても、バルブVe1が閉じていることで、第1収容部310内の複数種の無機化合物(A1)は、大気(空気)に暴露されないようにすることができる。また、第1収納部310を取り付けの際、配管Pe内に入り込んだ大気は、配管Peに接続されたラインLeで不活性ガスに置換することができる。これによって、無機化合物(A1)が配管Peを通過する際、無機化合物(A1)が大気(空気)に暴露されないようにすることができる。次いで、バルブVe1、バルブVe2及びバルブVd1を開いて、複数種の無機化合物(A1)を、第1収容部310から配管Pe、第1回収部300及び配管Pdを経由して粉砕部200に送る。すなわち、第1収容部310は、粉砕部200に供給される複数種の無機化合物(A1)を収容している。
さらに、バルブVe1、バルブVe2、バルブVf1、バルブVg1、バルブVh1、バルブVh2、バルブVj1、バルブVl1、バルブVm1、バルブVn1及びバルブVo1を閉じ、バルブVa1、バルブVb1、バルブVc1、バルブVc2、バルブVc3、バルブVd1、バルブVi1及びバルブVi2を開いて、配管PiのうちバルブVi1とバルブVi2との間に位置する部分に不活性ガスを供給する。次いで、バッファタンク110の内部の圧力をバルブVk1によって調節しながら、送風部100を動作させる。これによって、系S、すなわち、送風部100から配管Pa、バッファタンク110、配管Pb、粉砕部200、配管Pc、第1回収部300及び配管Piを経由して送風部100にかけての系は、不活性ガスを循環させ、かつ外部から閉じている(すなわち、系Sは、大気(空気)に暴露されていない。)。
配管PiのうちバルブVi1とバルブVi2との間に位置する部分への不活性ガスの供給は、第1収容部310から粉砕部200へ複数種の無機化合物(A1)を供給する前又は供給した後に行ってもよいし、又は第1収容部310から粉砕部200へ複数種の無機化合物(A1)を供給しながら行ってもよい。また、不活性ガスが供給される位置は、配管PiのうちバルブVi1とバルブVi2との間に位置する部分でなくてもよく、系Sのうちのいずれかの部分であってもよい。さらに、不活性ガスは、系Sのうちの複数の部分(配管PiのうちバルブVi1とバルブVi2との間に位置する部分を含む。)に供給されてもよい。
装置10に導入される不活性ガスは、例えば窒素ガスである。窒素ガスは、例えば、窒素ボンベから窒素精製装置を経由して供給される。この例において、窒素ガスの不純物濃度(例えば、水分濃度又は酸素濃度)を低くすることができる。例えば、窒素ガスの水分濃度は、400ppm以下、好ましくは40ppm以下、さらに好ましくは2ppm以下にすることができ、窒素ガスの酸素濃度は、400ppm以下、好ましくは40ppm以下、さらに好ましくは2ppm以下にすることができる。ただし、不活性ガスは、窒素ガスと異なるガスであってもよく、例えば、アルゴンガスであってもよい。
さらに、粉砕部200を動作させる。具体的には、回転テーブル212を回転軸Rの周りに回転させ、各ボール214を回転軸R1の周りに回転させ、押圧部216によって複数のボール214を回転テーブル212に向けて押圧する。粉砕部200の動作は、第1収容部310から粉砕部200へ複数種の無機化合物(A1)を供給する前又は供給した後に開始してもよいし、又は第1収容部310から粉砕部200へ複数種の無機化合物(A1)を供給しながら開始してもよい。粉砕部200は、以下のようにして、複数種の無機化合物(A1)を、機械的エネルギーによってガラス化することと、ガラス化された複数種の無機化合物(A1)を、送風部100から送られた不活性ガスによって吹き上げることと、を繰り返す。
まず、図3において材料供給管204から回転テーブル212に向けて延びる黒矢印で示すように、第1収容部310から供給された複数種の無機化合物(A1)は、材料供給管204を経由して、回転テーブル212の中心又はその周辺(回転軸R及びその周辺)上に到達する。
その後、図3において回転テーブル212の中心(回転軸R)の周辺から両側に向けて延びる2本の黒矢印で示すように、複数種の無機化合物(A1)は、回転テーブル212の回転によって生じる遠心力によって回転テーブル212の中心(回転軸R)からボール214に向けて移動し、回転テーブル212とボール214の間の隙間に入り込む。回転テーブル212とボール214の間の隙間に入り込んだ複数種の無機化合物(A1)は、機械的エネルギーによってガラス化される。具体的には、回転テーブル212とボール214の間の隙間に入り込んだ複数種の無機化合物(A1)には、ボール214の回転と、押圧部216による回転テーブル212へのボール214の押圧と、によって、せん断応力及び圧縮応力が加えられる。当該せん断応力及び当該圧縮応力によって、複数種の無機化合物(A1)はガラス化される。すなわち、複数種の無機化合物(A1)に対して、メカニカルミリングが施されている。
図3において回転テーブル212、複数のボール214及び押圧部216の両側に位置する2本の白矢印で示すように、回転テーブル212の外側では、粉砕部200の下方から上方に向けて不活性ガスの流れが生じている。この流れは、送風部100から粉砕部200のガス入口202を経由して送られた不活性ガスによって生じている。図3において複数のボール214及び押圧部216の両側に位置する2本の黒矢印で示すように、ガラス化された複数種の無機化合物(A1)は、不活性ガスによって吹き上げられる。この時送風部100のモータの回転数はインバーター106によって低く抑えられており、これによって送風部100から粉砕部200に送られる不活性ガスの流量を低く抑え、無機化合物(A1)がなるべく材料排出管206から出ていかないようにする。
図3において押圧部216上において回転テーブル212の外側から回転テーブル212の中心に向けて延びる2本の黒矢印で示すように、不活性ガスによって吹き上げられた複数種の無機化合物(A1)の一部は、押圧部216の上方において回転テーブル212の外側から回転テーブル212の中心に向けて移動する。この複数種の無機化合物(A1)は、材料供給管204から供給された複数種の無機化合物(A1)と同様にして、回転テーブル212の中心又はその周辺(回転軸R及びその周辺)上に到達する。その後、複数種の無機化合物(A1)は、上述した態様と同様の態様によって、メカニカルミリングを施される。
図3において押圧部216の上方において押圧部216の上方に向けて延びる2本の黒矢印で示すように、不活性ガスによって吹き上げられた複数種の無機化合物(A1)の他の一部は、回転テーブル212に戻らずに材料排出管206内に入り込むことがある。例えば、粒子径の小さい複数種の無機化合物(A1)は、回転テーブル212に戻らずに材料排出管206内に入り込みやすい。材料排出管206に入り込んだ複数種の無機化合物(A1)は、配管Pcを経由して第1回収部300に送られ、第1回収部300から配管Pdを経由して粉砕部200の材料供給管204に送られ、回転テーブル212に戻る。したがって、材料排出管206に入り込んだ複数種の無機化合物(A1)であっても、粉砕部200によって再びメカニカルミリングを施すことができる。
粉砕部200のメカニカルミリングが行われている間、上述したように、系S、すなわち、送風部100から配管Pa、バッファタンク110、配管Pb、粉砕部200、配管Pc、第1回収部300及び配管Piを経由して送風部100にかけての系は、不活性ガスを循環させ、かつ外部から閉じている。したがって、複数種の無機化合物(A1)と空気との接触を低減することができる。
粉砕部200によって複数種の無機化合物(A1)にメカニカルミリングが施されることで、複数種の無機化合物(A1)はガラス化され、複数種の無機化合物(A1)から無機材料(A)が製造される。
図4は、図3の変形例を示す図である。
粉砕部200は、カバー部220をさらに有している。カバー部220は、押圧部216の上方に位置している。図4においてカバー部220に沿って延伸する白矢印で示すように、カバー部220は、複数種の無機化合物(A1)を吹き上げる不活性ガスの流れを、粉砕部200の中心(回転テーブル212の回転軸R)かつ粉砕部200の下方に向けている。この場合、カバー部220が設けられていない場合と比較して、不活性ガスによって吹き上げられて材料排出管206に入り込む複数種の無機化合物(A1)の量を減少させることができ、かつ不活性ガスによって吹き上げられて回転テーブル212に戻る複数種の無機化合物(A1)の量を増加させることができる。したがって、カバー部220が設けられていない場合と比較して、粉砕部200のメカニカルミリングの効率を向上させることができる。
次に、無機材料(A)を装置10の外部に取り出す方法の一例を説明する。
バルブVc2を閉じ、バルブVf1及びバルブVg1を開き、送風部100のモータに接続されているインバーター106を制御し送風部100のモータの回転数を上げることで、粉砕部200のガス入口202に送られる不活性ガスの流量を増加させる(この段階において、バルブVh1及びバルブVh2は閉じている。)。粉砕部200のガス入口202に送られる不活性ガスの流量が増加することで、粉砕部200内において不活性ガスによって吹き上げられた無機材料(A)は、回転テーブル212にほとんど又は全く戻ることなく、材料排出管206内に送られる。材料排出管206内に送られた無機材料(A)は、配管Pc及び配管Pfを経由して第2回収部400の吸引口402に入り込む。これによって、無機材料(A)は、第2回収部400によって回収される。次いで、バルブVh1及びバルブVh2を開く。これによって、第2回収部400によって回収された無機材料(A)は、配管Phを経由して第2収容部410に入り込む。次いで、バルブVh1及びバルブVh2を閉じる。次いで、第2収容部410を配管Phから取り外す。この場合、バルブVh1及びバルブVh2が閉じていることで、配管Phの内部が大気(空気)に暴露されないようにすることができる。再び第2収容部410を配管Phに取り付ける際は、配管Ph内に入り込んだ大気は、配管Phに接続されたラインLhで不活性ガスに置換することができる。これによって、無機材料(A)が配管Phを通過する際、無機材料(A)が大気(空気)に暴露されないようにすることができる。
次に、減圧部500の動作の一例を説明する。
粉砕部200の内部は、例えば粉砕部200の内部部品(例えば、回転テーブル212、ボール214又は押圧部216)の洗浄によって、大気(気体)に暴露されることがある。この場合、減圧部500によって粉砕部200の内部の圧力を低減することで、粉砕部200の内部の空気を抜くことができる。例えば、複数のバルブVb1、バルブVc1、バルブVd1及びバルブVn1を閉じ、バルブVl1及びバルブVm1を開いて、減圧部500を動作させることができる。
このような装置を用いて製造された硫化物系無機固体電解質材料は、装置内壁面に付着することなく回収することができる。そのため、硫化物系無機固体電解質材料中の未反応の原料組成物を少なくすることができ、結果的に製造バッチごとのリチウムイオン伝導性のバラつきが少なく、安定性に優れる硫化物系無機固体電解質材料を製造することができる。
(粉砕、分級、または造粒する工程(C))
本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料の製造方法では、必要に応じて、得られた硫化物系無機固体電解質材料を粉砕、分級、または造粒する工程をさらにおこなってもよい。例えば、粉砕により微粒子化し、その後、分級操作や造粒操作によって粒子径を調整することにより、所望の粒子径を有する硫化物系無機固体電解質材料を得ることができる。上記粉砕方法としては特に限定されず、ミキサー、気流粉砕、乳鉢、回転ミル、コーヒーミル等公知の粉砕方法を用いることができる。また、上記分級方法としては特に限定されず、篩等公知の方法を用いることができる。
これらの粉砕または分級は、空気中の水分との接触を防ぐことができる点から、不活性ガス雰囲気下または真空雰囲気下で行うことが好ましい。
[固体電解質膜]
次に、本実施形態に係る固体電解質膜について説明する。
本実施形態に係る固体電解質膜は、前述した本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料を主成分として含む固体電解質膜である。
本実施形態に係る固体電解質膜は、例えば、全固体型リチウムイオン電池を構成する固体電解質層に用いられる。
本実施形態に係る固体電解質膜を適用した全固体型リチウムイオン電池の例としては、正極層と、固体電解質層と、負極層とがこの順番に積層されたものが挙げられる。この場合、固体電解質層が固体電解質膜により構成されたものである。
本実施形態に係る固体電解質膜の平均厚みは、好ましくは5μm以上500μm以下であり、より好ましくは10μm以上200μm以下であり、さらに好ましくは20μm以上100μm以下である。上記固体電解質膜の平均厚みが上記下限値以上であると、硫化物系無機固体電解質材料の欠落や、固体電解質膜表面のクラックの発生をより一層抑制できる。また、上記固体電解質膜の平均厚みが上記上限値以下であると、固体電解質膜のインピーダンスをより一層低下させることができる。その結果、得られる全固体型リチウムイオン電池の電池特性をより一層向上できる。
本実施形態に係る固体電解質膜は、粉末状の硫化物系無機固体電解質材料の加圧成形体であることが好ましい。すなわち、粒子状の無機固体電解質材料を加圧し、無機固体電解質材料同士のアンカー効果で一定の強度を有する固体電解質膜とすることが好ましい。
加圧成形体とすることにより、無機固体電解質材料同士の結合が起こり、得られる固体電解質膜の強度はより一層高くなる。その結果、無機固体電解質材料の欠落や、無機固体電解質材料表面のクラックの発生をより一層抑制できる。
本実施形態に係る固体電解質膜中の上記した本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料の含有量は、固体電解質膜の全体を100質量%としたとき、好ましくは98質量%以上、より好ましくは99質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。これにより、無機固体電解質材料間の接触性が改善され、固体電解質膜の界面接触抵抗を低下させることができる。その結果、固体電解質膜のリチウムイオン伝導性をより一層向上させることができる。そして、このようなリチウムイオン伝導性に優れた固体電解質膜を用いることにより、得られる全固体型リチウムイオン電池の電池特性をより一層向上できる。
固体電解質膜の平面形状は、特に限定されず、電極層や集電体層の形状に合わせて適宜選択することが可能であるが、例えば、矩形とすることができる。
また、本実施形態に係る固体電解質膜にはバインダー樹脂が含まれてもよいが、バインダー樹脂の含有量は、固体電解質膜の全体を100質量%としたとき、好ましくは0.5質量%未満、より好ましくは0.1質量%以下、さらに好ましくは0.05質量%以下、さらにより好ましくは0.01質量%以下である。また、本実施形態に係る固体電解質膜は、バインダー樹脂を実質的に含まないことがさらにより好ましく、バインダー樹脂を含まないことが最も好ましい。
これにより、固体電解質材料間の接触性が改善され、固体電解質膜の界面接触抵抗を低下させることができる。その結果、固体電解質膜のリチウムイオン伝導性をより一層向上させることができる。そして、このようなリチウムイオン伝導性に優れた固体電解質膜を用いることにより、得られる全固体型リチウムイオン電池の電池特性を向上できる。
なお、「バインダー樹脂を実質的に含まない」とは、本実施形態の効果が損なわれない程度には含有してもよいことを意味する。また、固体電解質層と正極層または負極層との間に粘着性樹脂層を設ける場合、固体電解質層と粘着性樹脂層との界面近傍に存在する粘着性樹脂層由来の粘着性樹脂は、「固体電解質膜中のバインダー樹脂」から除かれる。
上記バインダー樹脂とは固体電解質材料間を結着させるために、リチウムイオン電池に一般的に使用される結着剤のことをいい、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、スチレン・ブタジエン系ゴム、ポリイミド等が挙げられる。
本実施形態に係る固体電解質膜は、例えば、粉末状の硫化物系無機固体電解質材料を金型のキャビティ表面上または基材表面上に膜状に堆積させ、次いで、膜状に堆積した硫化物系無機固体電解質材料を加圧することにより得ることができる。
上記硫化物系無機固体電解質材料を加圧する方法は特に限定されず、例えば、金型のキャビティ表面上に粉末状の硫化物系無機固体電解質材料を堆積させた場合は金型と押し型によるプレス、粉末状の硫化物系無機固体電解質材料を基材表面上に堆積させた場合は金型と押し型によるプレスやロールプレス、平板プレス等を用いることができる。
硫化物系無機固体電解質材料を加圧する圧力は、例えば、10MPa以上500MPa以下である。
また、必要に応じて、膜状に堆積した硫化物系無機固体電解質材料を加圧するとともに加熱してもよい。加熱加圧を行えば硫化物系無機固体電解質材料同士の融着・結合が起こり、得られる固体電解質膜の強度はより一層高くなる。その結果、硫化物系無機固体電解質材料の欠落や、硫化物系無機固体電解質材料表面のクラックの発生をより一層抑制できる。
硫化物系無機固体電解質材料を加熱する温度は、例えば、40℃以上500℃以下である。
[全固体型リチウムイオン電池]
つぎに、本実施形態に係る全固体型リチウムイオン電池600について説明する。図5は、本発明に係る実施形態の全固体型リチウムイオン電池600の構造の一例を模式的に示した断面図である。本実施形態に係る全固体型リチウムイオン電池600はリチウムイオン二次電池であるが、リチウムイオン一次電池であってもよい。
本実施形態に係る全固体型リチウムイオン電池600は、正極層610と、固体電解質層620と、負極層630とがこの順番に積層されてなる。そして、固体電解質層620が、本実施形態に係る固体電解質膜により構成されたものである。
また、実施形態に係る全固体型リチウムイオン電池600は、正極層610と、固体電解質層620と、負極層630とにより構成される単位セルを2つ以上積層させることにより、バイポーラ型リチウムイオン電池とすることもできる。
全固体型リチウムイオン電池600の形状は特に限定されず、円筒型、コイン型、角型、フィルム型その他任意の形状が挙げられる。
本実施形態に係る全固体型リチウムイオン電池600は、一般的に公知の方法に準じて製造される。例えば、正極層610と、固体電解質層620と、負極層630とを重ねたものを、円筒型、コイン型、角型、フィルム型その他任意の形状に形成することにより作製される。
正極層610は特に限定されず、全固体型リチウムイオン電池に一般的に用いられている正極を使用することができる。正極層610は特に限定されないが、一般的に公知の方法に準じて製造することができる。例えば、正極活物質を含む正極活物質層をアルミ箔等の集電体上に形成することにより得ることができる。
正極活物質層の厚みや密度は、電池の使用用途等に応じて適宜決定されるため特に限定されず、一般的に公知の情報に準じて設定することができる。
上記正極活物質層は正極活物質を含む。
正極活物質としては特に限定されず、全固体型リチウムイオン電池の正極層に使用可能な一般的に公知の正極活物質を用いることができる。例えば、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO)、リチウムマンガン酸化物(LiMn)、固溶体酸化物(LiMnO-LiMO(M=Co、Ni等))、リチウム-マンガン-ニッケル酸化物(LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2)、オリビン型リチウムリン酸化物(LiFePO)等の複合酸化物;ポリアニリン、ポリピロール等の導電性高分子;LiS、CuS、Li-Cu-S化合物、TiS、FeS、MoS、Li-Mo-S化合物、Li-Ti-S化合物、Li-V-S化合物等の硫化物系正極活物質;硫黄を含浸したアセチレンブラック、硫黄を含浸した多孔質炭素、硫黄と炭素の混合粉等の硫黄を活物質とした材料;等を用いることができる。これらの正極活物質は1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、より高い放電容量密度を有し、かつ、サイクル特性により優れる観点から、硫化物系正極活物質が好ましく、Li-Mo-S化合物、Li-Ti-S化合物、Li-V-S化合物から選択される一種または二種以上がより好ましい。
ここで、Li-Mo-S化合物は構成元素としてLi、Mo、およびSを含んでいるものであり、通常は原料であるモリブデン硫化物および硫化リチウムをメカノケミカル処理等の混合粉砕することにより得ることができる。
また、Li-Ti-S化合物は構成元素としてLi、Ti、およびSを含んでいるものであり、通常は原料であるチタン硫化物と硫化リチウムをメカノケミカル処理等の混合粉砕することにより得ることができる。
Li-V-S化合物は構成元素としてLi、V、およびSを含んでいるものであり、通常は原料であるバナジウム硫化物と硫化リチウムをメカノケミカル処理等の混合粉砕することにより得ることができる。
上記正極活物質層は特に限定されないが、正極活物質以外の成分として、例えば、固体電解質材料、バインダー、導電助剤等から選択される一種または二種以上の材料を含んでもよい。
正極活物質層中の各種材料の配合割合は、電池の使用用途等に応じて、適宜決定されるため特に限定されず、一般的に公知の情報に準じて設定することができる。
負極層630は特に限定されず、全固体型リチウムイオン電池に一般的に用いられているものを使用することができる。負極層630は特に限定されないが、一般的に公知の方法に準じて製造することができる。例えば、負極活物質を含む負極活物質層を銅箔等の集電体上に形成することにより得ることができる。
負極活物質層の厚みや密度は、電池の使用用途等に応じて適宜決定されるため特に限定されず、一般的に公知の情報に準じて設定することができる。
上記負極活物質層は負極活物質を含む。
負極活物質としては特に限定されず、全固体型リチウムイオン電池の負極層に使用可能な一般的に公知の負極活物質を用いることができる。例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、樹脂炭、炭素繊維、活性炭、ハードカーボン、ソフトカーボン等の炭素質材料;スズ、スズ合金、シリコン、シリコン合金、ガリウム、ガリウム合金、インジウム、インジウム合金、アルミニウム、アルミニウム合金等を主体とした金属系材料;ポリアセン、ポリアセチレン、ポリピロール等の導電性ポリマー;金属リチウム;リチウムチタン複合酸化物(例えばLiTi12)等が挙げられる。これらの負極活物質は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記負極活物質層は特に限定されないが、負極活物質以外の成分として、例えば、固体電解質材料、バインダー、導電助剤等から選択される一種または二種以上の材料を含んでもよい。
負極活物質層中の各種材料の配合割合は、電池の使用用途等に応じて、適宜決定されるため特に限定されず、一般的に公知の情報に準じて設定することができる。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<評価方法>
はじめに、以下の実施例および比較例における評価方法を説明する。
(1)粒子径d50
レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(マルバーン社製、マスターサイザー3000)を用いて、レーザー回折散乱法により、実施例および比較例で得られた硫化物系無機固体電解質材料の粒度分布を測定した。測定結果から、各硫化物系無機固体電解質材料について、体積基準の累積分布における50%累積時の粒径(d50、粒子径)をそれぞれ求めた。
(2)付着面積
実施例および比較例で得られた硫化物系無機固体電解質材料について、以下に示すふるいかけ試験を行った。以下、図6に硫化物系無機固体電解質材料740のふるいかけの模式図を、図7にジルコミアボール780により衝撃を与える模式図を示す。以降の説明は、図6および図7を参照して説明する。
JIS B 0601(2013)に従って測定した算術平均粗さRaが0.020μm、最大高さRzが0.16μm、十点平均粗さRzjisが0.14μmのSUS304を、縦8cm×横9cmとなるように切断加工し、SUS304プレート710とした。その後、上記SUS304プレートを、水平面720に対する設置角度730が45°となるようにテーブル上に設置した。次いで、実施例および比較例で得られた硫化物系無機固体電解質材料740 10gを、目開き250μmの篩750を用いて、上記水平面720からの高さ760が10cmとなる位置から、硫化物系無機固体電解質材料740がSUS304プレート710全体にふるいかかるようにふるい落とした。さらに、SUS304プレート710の上端からの高さ770が5cmとなる位置から、47gのジルコニアボール780(ニッカトー社製、直径2.5cmの真球状)を、SUS304プレート710の上端のみに当たり、SUS304プレート710の硫化物系無機固体電解質材料740が付着した面には当たらないように3回落とすことで、SUS304プレート710に衝撃を加えた。最後に、衝撃が加わった後のSUS304プレート710の硫化物系無機固体電解質材料740が付着した面をカメラにて撮影し、その写真を画像処理ソフトPaint.net(v4.2.16)にて粉付着部と未付着部に分離、画像解析ソフトImageJ(1.52a)にて粉付着部の面積を測定し、SUS304プレート710の片面の面積72cmに対する割合(付着面積)を算出した。
図8に、実施例および比較例の硫化物系無機固体電解質材料を用いたふるいかけ試験後のSUS304プレートの様子および付着面積の算出結果を示す。
(3)ICP発光分光分析
ICP発光分光分析装置(セイコーインスツルメント社製、SPS3000)を用いて、ICP発光分光分析法により測定し、実施例および比較例で得られた硫化物系無機固体電解質材料中の各元素の質量%をそれぞれ求め、それに基づいて、各元素のモル比をそれぞれ計算した。
(4)リチウムイオン伝導度の測定
実施例および比較例の硫化物系無機固体電解質材料をそれぞれ10バッチ用意し、各バッチにおいて交流インピーダンス法によるリチウムイオン伝導度の測定をおこなった。
リチウムイオン伝導度の測定は、バイオロジック社製のポテンショスタット/ガルバノスタットSP-300を用いた。試料の大きさはφ9.5mm、厚さ1.3mm、測定条件は、印加電圧10mV、測定温度27.0℃、測定周波数域0.1Hz~3MHz、電極はLi箔とした。
ここで、リチウムイオン伝導度測定用の試料としては、プレス装置を用いて、実施例および比較例で得られた粉末状の硫化物系無機固体電解質材料を290℃で2時間アニールした後、270MPa、10分間プレスして得られる厚さ1.3mmの板状の硫化物系無機固体電解質材料を用いた。
その後、実施例および比較例において、測定した硫化物系無機固体電解質材料のリチウムイオン伝導度の10バッチの平均値を算出した。この10バッチの平均値を、各実施例および比較例における硫化物系無機固体電解質材料のリチウムイオン伝導度とした。
(5)リチウムイオン伝導度の安定性の評価
実施例および比較例で得られた硫化物系無機固体電解質材料をそれぞれ10バッチ用意し、各バッチにおいて上記(4)で上述した交流インピーダンス法によるリチウムイオン伝導度の測定をおこなった。
つづいて、実施例および比較例において、測定したリチウムイオン伝導度の10バッチの平均値を算出した。その後、10バッチ中のリチウムイオン伝導度の安定性について、以下の3段階より評価を行った。
A:平均値の0.85倍以下1.15倍以上の測定値が無い
B:平均値の0.85倍以下1.15倍以上の測定値が1~2バッチある
C:平均値の0.85倍以下1.15倍以上の測定値が3バッチ以上ある
<実施例1>
構成元素としてLi、PおよびSを含む粉末状の硫化物系無機固体電解質材料を以下の手順で作製した。
原料には、LiS(古河機械金属社製、純度99.9%)、P(関東化学社製)、およびLiN(古河機械金属社製)をそれぞれ使用した。
つづいて、装置10(JIS B 0601(2013)に従って測定した装置内壁面のRa:0.005μm、Rz:0.030μm、Rzjis:0.026μm)に各原料をLiS:P:LiN=71.0:23.7:5.3(モル%)になるように投入し、70時間のメカニカルミリングを行い、硫化物系無機固体電解質材料を得た。
得られた硫化物系無機固体電解質材料について各評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
<比較例1>
原料は、実施例1と同様のものを用いた。
つづいて、実施例1における装置10を従来の装置(JIS B 0601(2013)に従って測定した装置内壁面のRa:3.0μm、Rz:18.8μm、Rzjis:17μm)に変更した以外は、実施例1と同様の条件にてメカニカルミリングを行い、硫化物系無機固体電解質材料を得た。
得られた硫化物系無機固体電解質材料について各評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
<比較例2>
原料は、実施例1と同様のものを用いた。
つづいて、実施例1における装置10を従来の装置(JIS B 0601(2013)に従って測定した装置内壁面のRa:1.5μm、Rz:7.0μm、Rzjis:6.1μm)に変更した以外は、実施例1と同様の条件にてメカニカルミリングを行い、硫化物系無機固体電解質材料を得た。
得られた硫化物系無機固体電解質材料について各評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
<比較例3>
原料は、実施例1と同様のものを用いた。
つづいて、実施例1における装置10を従来の装置(JIS B 0601(2013)に従って測定した装置内壁面のRa:1.0μm、Rz:5.7μm、Rzjis:4.6μm)に変更した以外は、実施例1と同様の条件にてメカニカルミリングを行い、硫化物系無機固体電解質材料を得た。
得られた硫化物系無機固体電解質材料について各評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
<比較例4>
原料は、実施例1と同様のものを用いた。
つづいて、実施例1における装置10を従来の装置(JIS B 0601(2013)に従って測定した装置内壁面のRa:0.5μm、Rz:2.4μm、Rzjis:2.1μm)に変更した以外は、実施例1と同様の条件にてメカニカルミリングを行い、硫化物系無機固体電解質材料を得た。
得られた硫化物系無機固体電解質材料について各評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
<比較例5>
原料は、実施例1と同様のものを用いた。
つづいて、実施例1における装置10を従来の装置(JIS B 0601(2013)に従って測定した装置内壁面のRa:0.3μm、Rz:1.6μm、Rzjis:1.2μm)に変更した以外は、実施例1と同様の条件にてメカニカルミリングを行い、硫化物系無機固体電解質材料を得た。
得られた硫化物系無機固体電解質材料について各評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
<比較例6>
原料は、実施例1と同様のものを用いた。
つづいて、実施例1における装置10を従来の装置(JIS B 0601(2013)に従って測定した装置内壁面のRa:0.1μm、Rz:0.6μm、Rzjis:0.5μm)に変更した以外は、実施例1と同様の条件にてメカニカルミリングを行い、硫化物系無機固体電解質材料を得た。
得られた硫化物系無機固体電解質材料について各評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
<比較例7>
原料は、実施例1と同様のものを用いた。
つづいて、実施例1における装置10を従来の装置(JIS B 0601(2013)に従って測定した装置内壁面のRa:0.05μm、Rz:0.29μm、Rzjis:0.24μm)に変更した以外は、実施例1と同様の条件にてメカニカルミリングを行い、硫化物系無機固体電解質材料を得た。
得られた硫化物系無機固体電解質材料について各評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
Figure 2023025770000002
10 装置
100 送風部
102 ガス入口
104 ガス出口
106 インバーター
110 バッファタンク
112 ガス入口
114 ガス出口
116 調整口
200 粉砕部
202 ガス入口
204 材料供給管
206 材料排出管
208 ガス排出口
212 回転テーブル
214 ボール
216 押圧部
220 カバー部
300 第1回収部
302 吸引口
304 材料排出口
306 ガス排出口
308 材料供給口
310 第1収容部
400 第2回収部
402 吸引口
404 材料排出口
406 ガス排出管
410 第2収容部
500 減圧部
600 全固体型リチウムイオン電池
610 正極層
620 固体電解質層
630 負極層
710 SUS340プレート
720 水平面
730 設置角度
740 硫化物系無機固体電解質材料
750 篩
760 水平面720からの高さ
770 SUS304プレート710の上端からの高さ
780 ジルコニアボール
D 排気ダクト
Le 第1ライン
Lh 第2ライン
Pa 配管
Pb 第5配管
Pc 第2配管
Pd 第6配管
Pe 第1配管
Pf 第3配管
Pg 配管
Ph 第4配管
Pi 配管
Pj 配管
Pk 配管
Pl 配管
Pm 配管
Pn 配管
Po 配管
S 系
Va1 バルブ
Vb1 第5バルブ
Vc1 バルブ
Vc2 第2バルブ
Vc3 バルブ
Vd1 第6バルブ
Ve1 第1バルブ
Ve2 バルブ
Vf1 第3バルブ
Vg1 バルブ
Vh1 バルブ
Vh2 バルブ
Vi1 バルブ
Vi2 バルブ
Vj1 バルブ
Vk1 バルブ
Vl1 バルブ
Vm1 バルブ
Vn1 バルブ
Vo1 バルブ

Claims (6)

  1. レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定された体積基準の累積度数分布曲線において累積度数が50%であるときの粒子径d50が0.1μm以上100μm以下の硫化物系無機固体電解質材料であって、
    以下(方法)に従って測定した付着面積が10%以下である、
    硫化物系無機固体電解質材料。
    (方法)
    (1)JIS B 0601(2013)に従って測定した算術平均粗さRaが0.017μm以上0.023μm以下、最大高さRzが0.14μm以上0.18μm以下、十点平均粗さRzjisが0.12μm以上0.16μm以下であり、縦8cm×横9cmのSUS304プレートを、縦辺を水平面との接線として水平面に対する傾斜が45°となるように設置する。
    (2)目開き250μmの篩を用いて、前記SUS304プレート上に硫化物系無機固体電解質材料10gを前記水平面から10cmの高さから、前記SUS304プレート全体に前記硫化物系無機固体電解質材料がかかるようにふるい落とす。
    (3)前記SUS304プレートの上端から5cmの高さから、47gのジルコニアボール1個を前記SUS304プレートの上端のみに当たり、前記SUS304プレートの硫化物系無機固体電解質材料が付着した面には当たらないように3回落とす。
    (4)衝撃が加わった後の前記SUS304プレートの前記硫化物系無機固体電解質材料が付着した面の面積を測定し、前記SUS304プレートの片面の面積に対する割合(付着面積)を算出する。
  2. 請求項1に記載の硫化物系無機固体電解質材料であって、
    構成元素として、Li、P、およびSを含む硫化物系無機固体電解質材料。
  3. 請求項2に記載の硫化物系無機固体電解質材料であって、
    前記硫化物系無機固体電解質材料中の前記Pの含有量に対する前記Liの含有量のモル比(Li/P)が1.0以上10.0以下であり、前記Pの含有量に対する前記Sの含有量のモル比(S/P)が1.0以上10.0以下である硫化物系無機固体電解質材料。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の硫化物系無機固体電解質材料であって、
    27.0℃、印加電圧10mV、測定周波数域0.1Hz~7MHzの測定条件における交流インピーダンス法で測定したリチウムイオン伝導度が1.0×10-4S・cm-1以上である、硫化物系無機固体電解質材料。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の硫化物系無機固体電解質材料を含む固体電解質膜。
  6. 正極活物質層を含む正極と、電解質層と、負極活物質層を含む負極とを備えた全固体型リチウムイオン電池であって、
    前記正極活物質層、前記電解質層および前記負極活物質層のうち少なくとも一つが、請求項1~4のいずれか1項に記載の硫化物系無機固体電解質材料を含む全固体型リチウムイオン電池。
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