JP2023023822A - 感光性樹脂成物、硬化膜および電子部品 - Google Patents

感光性樹脂成物、硬化膜および電子部品 Download PDF

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Abstract

【課題】厚膜でも微細パターンが剥離せずにパターン加工でき、熱硬化後も良好な密着性を保持することが可能な感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。【解決手段】(A)(メタ)アクリル基含有シラン化合物、(B)アルカリ可溶性樹脂、(C)光重合開始剤、(D)光重合性化合物、(E)有機溶媒を含有し、該(A)(メタ)アクリル基含有シラン化合物が式(1)で表される構造を有する感光性樹脂組成物。TIFF2023023822000015.tif40170式(1)中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に水素原子またはメチル基を示す。R4、R5およびR6は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1~3のアルキル基を示す。R7は、炭素数1~10の1価の有機基を示す。mおよびnは、1≦m≦5、1≦n≦5の範囲内の整数を示す。【選択図】なし

Description

本発明は、感光性樹脂組成物、硬化膜および電子部品に関する。さらに詳しくは、電子部品や半導体素子の表面保護膜や再配線用絶縁膜、薄膜インダクタの層間絶縁膜、有機エレクトロルミネッセンス素子の絶縁膜、有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた表示装置の駆動用薄膜トランジスタ基板の平坦化膜、回路基板の配線保護絶縁膜、固体撮像素子のオンチップマイクロレンズや各種ディスプレイ・固体撮像素子用平坦化膜などの用途に適した感光性樹脂組成物に関する。以下エレクトロルミネッセンスを「EL」、薄膜トランジスタを「TFT」と言う。
近年、薄膜インダクタと呼ばれる電子部品が注目されている。この薄膜インダクタは、基板上にフォトリソグラフィやメッキなどの工程を繰り返して形成した渦巻き状の薄膜コイル構造を有している。これは、主にウェアラブル機器、スマートフォン、タブレット端末、デジタルカメラなどのモバイル機器のコモンモードフィルタ用途などに用いられている。
特に、スマートフォンに代表される電子機器の高機能・多機能化に伴って部品数が増加し、各部品あたりのスペースが小さくなって、部品の小型化・薄膜化が求められている。このような製品に、省スペース化が可能な薄膜インダクタが必要とされている。
従来、このような薄膜インダクタのコイルパターンの導体形成には、セミアディティブ法が採用されている。まず、基板上に絶縁層として感光性樹脂組成物をスピンコートし、これを露光・現像することによって、開口部及びスルーホール部を形成する。そして残った樹脂を熱硬化して絶縁層を形成する。続いて、蒸着法又はスパッタリング法により下地導電層を形成する。これを給電体としたメッキを行うことにより、絶縁層上にコイル導体を形成する。このように絶縁層とコイル導体を形成する工程を繰り返すことにより、積層コイル構造を形成することができる。
絶縁層の材料として用いられる公知の感光性樹脂組成物としては、ポリイミドやポリイミド前駆体などのアルカリ可溶性重合体を含む感光性樹脂組成物(特許文献1)、アクリル樹脂やポリシロキサンなどのアルカリ可溶性樹脂、金属キレート化合物、マレイミド化合物を含む感光性樹脂組成物(特許文献2)、カルド構造を有するアルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、顔料、シランカップリング剤を含む感光性樹脂組成物(特許文献3)、フェノール樹脂、感光剤、架橋剤、窒素原子を有する基とシラノール基とを1分子中に含む化合物を含む感光性樹脂組成物(特許文献4)、ポリアミック酸を有するアルカリ可溶性樹脂、感光剤、アミノ基を有するシランカップリング剤、2官能以上のブロックイソシアネートを含む感光性樹脂組成物(特許文献5)などが挙げられる。
特開2011-148971旭化成号公報 特開2014-197171号公報 特開2019-3043号公報 特開2019-109425号公報 特開2020-166217号公報
しかしながら、近年では薄膜インタクダの性能向上を目的としたコイル導体の厚み増加に伴い、絶縁層の膜厚が従来5~10μm程度であったのが、15~100μmの厚膜化が求められており、従来の感光性樹脂組成物を用いるとパターン加工時の現像時間が長くなって微細パターンが基板から剥離や欠けが発生したり、熱硬化後の厚膜による応力で基板の反りが増加して基板/熱硬化膜間の密着性が低下する課題があった。
上記課題を解決するため、本発明の感光性樹脂組成物は下記の構成を有する。
(A)(メタ)アクリル基含有シラン化合物、(B)アルカリ可溶性樹脂、(C)光重合開始剤、(D)光重合性化合物、(E)有機溶媒を含有し、該(A)(メタ)アクリル基含有シラン化合物が式(1)で表される構造を有する感光性樹脂組成物。
Figure 2023023822000001
式(1)中、R、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子またはメチル基を示す。R、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子または炭素数1~3のアルキル基を示す。Rは、炭素数1~10の1価の有機基を示す。mおよびnは1≦m≦5、1≦n≦5の範囲内の整数を示す。
本発明は、厚膜でも微細パターンが剥離せずにパターン加工でき、熱硬化後も良好な密着性を保持することが可能な感光性樹脂組成物を得ることができる。
電子部品の一種である薄膜インダクタにおける、絶縁層とコイル導体とを交互に積層してなる多層構造部分を拡大した断面図である。
ここで「有機基」という用語を使用しているが、アルキル基、アリール基、アルコキシル基、エステル基を総称したものである。また、「(メタ)アクリル」という用語を使用しているが、メタクリルおよびアクリルを総称したものであり、メタクリルでもよくアクリルでもよいということである。
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)(メタ)アクリル基含有シラン化合物、(B)アルカリ可溶性樹脂、(C)光重合開始剤、(D)光重合性化合物、(E)有機溶媒を含有し、該(A)(メタ)アクリル基含有シラン化合物が前記の式(1)で表される構造を有するものである。これにより、厚膜でも微細パターンが剥離せずにパターン加工でき、熱硬化後も良好な密着性を保持することが可能な感光性樹脂組成物を得ることができる。このような効果が得られる理由は、次のように推測される。
前記の式(1)で表される構造を有する(A)(メタ)アクリル基含有シラン化合物は、構造中にシラン基を有することで、感光性樹脂組成物と基板との現像後パターン密着性およびキュア後密着性が向上する。また、構造中の(メタ)アクリル基により、露光工程において発生したラジカルやカチオンなどの活性種の存在によって、(メタ)アクリル基含有シラン化合物単独または他の光重合性化合物とともに架橋反応が起きて高分子化し、アルカリ現像液に対する過剰な溶解が抑制されて、現像後パターン密着性が維持される。さらに、(メタ)アクリル基含有シラン化合物中にウレア構造を有することで、キュア時の高温や、その後の高温を伴う処理で分解しにくくなり、キュア後密着性が向上すると考えられる。
<(A)(メタ)アクリル基含有シラン化合物>
(メタ)アクリル基含有シラン化合物とは、分子内に(メタ)アクリル基とシラン基を有する化合物であり、(A)(メタ)アクリル基含有シラン化合物は、前記の式(1)で表される構造を有する。
好ましくは、式(2)で表される構造を有する(メタ)アクリル基含有シラン化合物である。
Figure 2023023822000002
式(2)中、R、RおよびR10は、それぞれ独立に水素原子またはメチル基を示す。R11、R12およびR13は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1~3のアルキル基を示す。oおよびpは、1≦o≦5、1≦p≦5の範囲内の整数を示す。
上記式(2)で表される構造を有することが、厚膜パターン加工時の現像後の微細パターン密着性とキュア後密着性向上の点で好ましい。
(A)(メタ)アクリル基含有シラン化合物の具体例として、式(1)で表される構造を有していれば、特に限定されるものではないが、例えば、下記で表される構造を有する化合物であることが好ましい。
Figure 2023023822000003
(A)(メタ)アクリル基含有化合物の含有量は、(B)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、5質量部~15質量部が好ましい。5質量部以上であると、現像時とキュア後の密着性向上の点で好ましく、10質量部以上がより好ましい。15質量部以下であると、過度な光重合の進行によって光未照射部が硬化することなく微細パターンの密着性が向上する点で好ましく、12質量部以上がより好ましい。
<(B)アルカリ可溶性樹脂>
(B)アルカリ可溶性樹脂とは、酸性基を有する樹脂であり、例えば、フェノール性水酸基やカルボキシル基、スルホン酸基などの酸性基を有する樹脂が挙げられる。(B)アルカリ可溶性樹脂としては、ポリイミド前駆体、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール前駆体およびポリベンゾオキサゾールからなる群から選択される1種以上の樹脂を含有することが好ましい。
これらの樹脂は、加熱または触媒により、イミド環、オキサゾール環またはその他の環状構造を有するポリマーとなり得るもので、環状構造となることで耐熱性および耐薬品性が飛躍的に向上する。ポリイミド前駆体、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール前駆体およびポリベンゾオキサゾール以外の樹脂としては、例えば、アクリル酸を有するラジカル重合性樹脂、フェノール-ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレンおよびポリシロキサンなどが挙げられる。
また、これら樹脂の酸性基を保護してアルカリ溶解性を調節してもよい。このようなアルカリ可溶性樹脂は、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド以外に、コリン、トリエチルアミン、ジメチルアミノピリジン、モノエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび炭酸ナトリウムなどのアルカリ水溶液に溶解する。これらのアルカリ可溶性樹脂を2種以上含有してもよいが、ポリイミド前駆体、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール前駆体およびポリベンゾオキサゾール以外のアルカリ可溶性樹脂全体に占める割合は70質量%以下であることが、熱硬化後に優れた膜物性の樹脂膜を得られる点で好ましい。
ポリイミドは、テトラカルボン酸や対応するテトラカルボン酸二無水物またはテトラカルボン酸ジエステルジクロリドなどと、ジアミンや対応するジイソシアネート化合物またはトリメチルシリル化ジアミンなどを反応させることにより得ることができ、テトラカルボン酸残基とジアミン残基を有する。ここで「テトラカルボン酸残基」および「ジアミン残基」という用語を使用しているが、「テトラカルボン酸残基」とは、テトラカルボン酸や対応するテトラカルボン酸二無水物やテトラカルボン酸ジエステルジクロリドなどに由来する高分子中の部分構造であり、「ジアミン残基」とは、ジアミンや対応するジイソシアネート化合物またはトリメチルシリル化ジアミンなどに由来する高分子中の部分構造である。
例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させて得られるポリイミド前駆体の1つであるポリアミド酸を、加熱処理により脱水閉環することにより得ることができる。この加熱処理時には、m-キシレンなどの水と共沸する溶媒を加えることもできる。または、カルボン酸無水物やジシクロヘキシルカルボジイミドなどの脱水縮合剤やトリエチルアミンなどの塩基などを閉環触媒として加えて、化学熱処理により脱水閉環することにより得ることもできる。または、弱酸性のカルボン酸化合物を加えて、100℃以下の低温で加熱処理により脱水閉環することにより得ることもできる。
ポリベンゾオキサゾールは、ビスアミノフェノール化合物とジカルボン酸や対応するジカルボン酸クロリドまたはジカルボン酸活性エステルなどを反応させて得ることができ、ジカルボン酸残基とビスアミノフェノール残基を有する。ここで「ジカルボン酸残基」および「ビスアミノフェノール残基」という用語を使用しているが、「ジカルボン酸残基」とは、ジカルボン酸や対応するジカルボン酸クロリドなどに由来する高分子中の部分構造であり、「ビスアミノフェノール残基」とは、ビスアミノフェノール化合物などに由来する高分子中の部分構造である。
例えば、ビスアミノフェノール化合物とジカルボン酸を反応させて得られるポリベンゾオキサゾール前駆体の1つであるポリヒドロキシアミドを、加熱処理により脱水閉環することにより得ることができる。または、無水リン酸、塩基、カルボジイミド化合物などを加えて、化学処理により脱水閉環することにより得ることができる。
本発明の感光性樹脂組成物において、ポリイミドは、アルカリ水溶液に対する溶解性の観点から、テトラカルボン酸残基および/またはジアミン残基に、OR14、SO14、CONR1415、COOR14またはSONR1415などで示される酸性基または酸性基誘導体を有することが好ましく、水酸基を有することがより好ましい。ここで、R14およびR15はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1~20の1価の有機基を示す。なお、酸性基とはR14およびR15が全て水素原子となる場合を示し、酸性基誘導体とはR14およびR15に炭素数1~20の1価の有機基が含まれる場合を示す。
また、ポリベンゾオキサゾールは、ジカルボン酸残基および/またはビスアミノフェノール残基にOR16、SO16、CONR1617、COOR16またはSONR1617などで示される酸性基または酸性基誘導体を有することが好ましく、水酸基を有することがより好ましい。ここで、R16およびR17はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1~20の1価の有機基を示す。なお、酸性基とはR16およびR17が全て水素原子となる場合を示し、酸性基誘導体とはR16およびR17に炭素数1~20の1価の有機基が含まれる場合を示す。
本発明の感光性樹脂組成物において、ポリイミドのテトラカルボン酸残基およびポリベンゾオキサゾールのジカルボン酸残基(以下、これらをあわせて酸残基という)の好ましい構造として、下記に示す構造や、これらの構造における水素原子の一部を炭素数1~20のアルキル基、フルオロアルキル基、アルコキシル基、エステル基、ニトロ基、シアノ基、フッ素原子、または塩素原子により1~4個置換した構造などが挙げられる。
Figure 2023023822000004
Figure 2023023822000005
Figure 2023023822000006
式中、Jは直接結合、-COO-、-CONH-、-CH-、-C-、-O-、-C-、-C-、-SO-、-S-、-Si(CH-、-OSi(CH-O-、-C-、-C-O-C-、-C-C-C-、または-C-C-C-のいずれかを示す。
本発明の感光性樹脂組成物において、ポリイミドのジアミン残基およびポリベンゾオキサゾールのビスアミノフェノール残基(以下、これらをあわせてアミン残基という)の好ましい構造として、下記に示す構造や、これらの構造における水素原子の一部を炭素数1~20のアルキル基、フルオロアルキル基、アルコキシル基、エステル基、ニトロ基、シアノ基、フッ素原子、または塩素原子により1~4個置換した構造などが挙げられる。
Figure 2023023822000007
Figure 2023023822000008
式中、Jは直接結合、-COO-、-CONH-、-CH-、-C-、-O-、-C-、-C-、-SO-、-S-、-Si(CH-、-O-Si(CH-O-、-C-、-C-O-C-、-C-C-C-、または-C-C-C-のいずれか示す。
本発明の感光性樹脂組成物において、ポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体は、主鎖にアミド結合を有する樹脂であり、加熱処理や化学処理により脱水閉環し、前述のポリイミドまたはポリベンゾオキサゾールとなる。構造単位の繰り返し数は10~100,000が好ましい。ポリイミド前駆体としては、ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸アミドおよびポリイソイミドなどを挙げることができ、ポリアミド酸およびポリアミド酸エステルが好ましい。ポリベンゾオキサゾール前駆体としては、ポリヒドロキシアミド、ポリアミノアミド、ポリアミドおよびポリアミドイミドなどを挙げることができ、ポリヒドロキシアミドが好ましい。
ポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体は、アルカリ水溶液に対する溶解性の観点から、酸残基またはアミン残基にOR18、SO18、CONR1819、COOR18またはSONR1819などで示される酸性基または酸性基誘導体を有することが好ましく、水酸基を有することがより好ましい。ここで、R18およびR19はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1~20の1価の有機基を示す。ここで、酸性基とはR18およびR19が全て水素原子となる場合を示し、酸性基誘導体とはR18およびR19に炭素数1~20の1価の有機基が含まれる場合を示す。有機基としては、アルキル基、アルコキシル基およびエステル基などが挙げられる。
ポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体の酸残基としては、ジカルボン酸の残基の例としてテレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ビス(カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビフェニルジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、トリフェニルジカルボン酸など、トリカルボン酸の例としてトリメリット酸、トリメシン酸、ジフェニルエーテルトリカルボン酸、ビフェニルトリカルボン酸など、テトラカルボン酸の例として、ピロメリット酸、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,5,6-ピリジンテトラカルボン酸、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸などの芳香族テトラカルボン酸や、ブタンテトラカルボン酸、シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.1.]ヘプタンテトラカルボン酸、ビシクロ[3.3.1.]テトラカルボン酸、ビシクロ[3.1.1.]ヘプト-2-エンテトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2.]オクタンテトラカルボン酸およびアダマタンテトラカルボン酸などの脂肪族テトラカルボン酸などの酸残基を挙げることができる。
また、上に例示したジカルボン酸、トリカルボン酸またはテトラカルボン酸の水素原子の一部を、OR20、SO20、CONR2021、COOR20、またはSONR2021などで示される酸性基または酸性基誘導体で置換することが好ましく、水酸基やスルホン酸基、スルホン酸アミド基またはスルホン酸エステル基などで1~4個置換することがより好ましい。ここで、R20およびR21は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1~20の1価の有機基を示す。
また、ポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体は、これらの残基を2種以上含有してもよい。
また、ポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体は、ジメチルシランジフタル酸、1,3-ビス(フタル酸)テトラメチルジシロキサンなどのシリコン原子含有テトラカルボン酸の残基を含有することにより、基板に対する接着性や、洗浄などに用いられる酸素プラズマ、UVオゾン処理に対する耐性を高めることができる。これらシリコン原子含有テトラカルボン酸の残基は、ポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体が含有する酸残基の全量を100モル%とした場合、酸残基の1~30モル%用いることが好ましく、1モル%以上では基板接着性やプラズマ処理に対する効果発現の点で好ましい。酸残基の全量を100モル%に対して、これらシリコン原子含有テトラカルボン酸の残基が30モル%以下では、得られる樹脂のアルカリ水溶液への溶解性の点で好ましい。
ポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体のアミン残基としては、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシ)ビフェニル、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)フルオレンなどのヒドロキシル基含有ジアミン、3,5-ジアミノ安息香酸、3-カルボキシ-4,4’-ジアミノジフェニルエーテルなどのカルボキシル基含有ジアミン、3-スルホン酸-4,4’-ジアミノジフェニルエーテルなどのスルホン酸含有ジアミン、ジチオヒドロキシフェニレンジアミン、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルヒド、4,4’-ジアミノジフェニルスルヒド、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、1,5-ナフタレンジアミン、2,6-ナフタレンジアミン、ビス(4-アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(3-アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス{4-(4-アミノフェノキシ)フェニル}エーテル、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジエチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’,3,3’-テトラメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’,4,4’-テトラメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジ(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル、またはこれらの芳香族環の水素原子の一部をアルキル基やF、Cl、Br、Iなどのハロゲン原子で置換した化合物、シクロヘキシルジアミン、メチレンビスシクロヘキシルアミンなどの脂肪族ジアミンなどの残基を挙げることができる。
さらにこれらのジアミンは、水素原子の一部をメチル基、エチル基などの炭素数1~10のアルキル基、トリフルオロメチル基などの炭素数1~10のフルオロアルキル基、F、Cl、Br、Iなどのハロゲン原子で置換してもよい。また、上に例示したジアミンは、OR22、SO22、CONR2223、COOR22、SONR2223で示される酸性基または酸性基誘導体を有することが好ましく、水酸基を有することがより好ましい。ここで、R22およびR23は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1~20の1価の有機基を示す。
また、ポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体は、これらの残基を2種以上含有してもよい。耐熱性が要求される用途では、芳香族ジアミンをジアミン全体の50モル%以上使用することが好ましい。
また、ジアミン成分として、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(4-アニリノ)テトラメチルジシロキサンなどのシリコン原子含有ジアミンを用いることにより、基板に対する接着性や、洗浄などに用いられる酸素プラズマ、UVオゾン処理に対する耐性を高めることができる。これらシリコン原子含有ジアミンは、全ジアミン成分の1~30モル%用いることが好ましく、1モル%以上では接着性向上やプラズマ処理に対する耐性を高めることができる点で好ましい。30モル%以下では、得られる樹脂のアルカリ水溶液への溶解性の点で好ましい。
また、前記(B)アルカリ可溶性樹脂が、主鎖末端に重合性官能基を有する樹脂を含むことが好ましい。重合性官能基の例としては、エチレン性不飽和結合を有する基、アセチレン基などが挙げられる。樹脂末端に前述の基を有することにより、露光工程において発生したラジカルやカチオンなどの活性種の存在によって、(メタ)アクリル基含有シラン化合物や他の光重合性化合物とともに架橋反応が起きて高分子化し、密着性が向上する。
樹脂中に導入された末端封止剤は、以下の方法で容易に検出できる。例えば、末端封止剤が導入された樹脂を酸性溶液に溶解し、樹脂の構成単位であるジアミン成分と酸成分に分解する。生成物ガスクロマトグラフィー(GC)や、NMR測定することにより、末端封止剤を容易に検出することができる。これとは別に、末端封止剤が導入された樹脂を直接、熱分解ガスクロマトグラフ(PGC)や赤外スペクトルまたは13C-NMRスペクトル測定することにより検出することも可能である。
<(C)光重合開始剤>
本発明の感光性樹脂組成物は(C)光重合開始剤を含有する。
(C)光重合開始剤は、光の照射によりラジカルなどの活性種を発生する化合物である。(C)光重合開始剤と(D)光重合性化合物を含有することで、光照射部に発生した活性ラジカルが(D)光重合性化合物のラジカル重合を進行させ、光照射部が不溶化するネガ型のレリーフパターンを得ることができる。
(C)光重合開始剤としては以下のものが挙げられる。
ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4,-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、3,3,4,4,-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類。
3,5-ビス(ジエチルアミノベンジリデン)-N-メチル-4-ピペリドン、3,5-ビス(ジエチルアミノベンジリデン)-N-エチル-4-ピペリドンなどのベンジリデン類。
7-ジエチルアミノ-3-テノニルクマリン、4,6-ジメチル-3-エチルアミノクマリン、3,3-カルボニルビス(7-ジエチルアミノクマリン)、7-ジエチルアミノ-3-(1-メチルベンゾイミダゾリル)クマリン、3-(2-ベンゾチアゾリル)-7-ジエチルアミノクマリンなどのクマリン類。
2-t-ブチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノンなどのアントラキノン類。
ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾイン類。
エチレングリコールジ(3-メルカプトプロピオネート)、2-メルカプトベンズチアゾール、2-メルカプトベンゾキサゾール、2-メルカプトベンズイミダゾールなどのメルカプト類。
N-フェニルグリシン、N-メチル-N-フェニルグリシン、N-エチル-N-(p-クロロフェニル)グリシン、N-(4-シアノフェニル)グリシンなどのグリシン類。
1-フェニル-1,2-ブタンジオン-2-(o-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o(メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-ベンゾイル)オキシム、ビス(A-イソニトロソプロピオフェノンオキシム)イソフタル、“IRGACURE”(登録商標)OXE01(商品名、BASFジャパン(株)製)、“IRGACURE”(登録商標)OXE02(商品名、BASFジャパン(株)製)、“IRGACURE”(登録商標)OXE03(商品名、BASFジャパン(株)製)、“IRGACURE”(登録商標)OXE04(商品名、BASFジャパン(株)製)、NCI-831(商品名、株式会社ADEKA製)などのオキシム類。
2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モリフォリノプロパン-1-オン、“IRGACURE”(登録商標)907(商品名、BASFジャパン(株)製)などのα-アミノアルキルフェノン類、2,2´-ビス(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾールなど。
これらのうち上記オキシム型の構造を有するものが現像後残膜率向上の点で好ましく、さらに好ましいものとしては、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-ベンゾイル)オキシム、ビス(A-イソニトロソプロピオフェノンオキシム)イソフタル、“IRGACURE”(登録商標)OXE01(商品名、BASFジャパン(株)製)、“IRGACURE”(登録商標)OXE02(商品名、BASFジャパン(株)製)、NCI-831(商品名、株式会社ADEKA製)である。これらは単独でまたは2種類以上を組み合わせて含有することができる。
(C)光重合開始剤の含有量は、(B)アルカリ可溶性樹脂の総量100質量部に対して、2~10質量部が好ましい。2質量部以上であると、露光時の光照射により十分なラジカルが発生して光架橋反応が進行し、現像後残膜率が向上する点で好ましく、10質量部以下であると、露光時に照射した光が塗布膜表面から底部まで透過して塗布膜全体で光架橋反応が進行し、現像後残膜率が向上する。
<(D)光重合性化合物>
本発明の感光性樹脂組成物は、(D)光重合性化合物を含有する。
(D)光重合性化合物として、エチレン性不飽和結合を2個以上有するモノマーが挙げられ、例としてエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレートトリエチレングリコールジメタクリレートテトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,3-ブタンジオールジアクリレート、1,3-ブタンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9-ノナンジオールジメタクリレート、1,10-デカンジオールジメタクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、1,3-ジアクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロパン、1,3-ジメタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロパン、N,N-メチレンビスアクリルアミド、“ブレンマー”(登録商標)PDBE-250(商品名、日油株式会社製)、BP-6EM(商品名、共栄社化学株式会社製)、AH-600(商品名、共栄社化学(株)製)、AT-600(商品名、共栄社化学(株)製)、UA-306H(商品名、共栄社化学(株)製)、UA-306T(商品名、共栄社化学(株)製)、ライトアクリレートDCP-A(商品名、栄社化学(株)製)、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジメタクリレート、などが挙げられる。 これらのうち“ブレンマー”(登録商標)PDBE-250(商品名、日油株式会社製)、BP-6EM(商品名、共栄社化学株式会社製)、AH-600(商品名、共栄社化学(株)製)、AT-600(商品名、共栄社化学(株)製)、UA-306H(商品名、共栄社化学(株)製)、UA-306T(商品名、共栄社化学(株)製)、ライトアクリレートDCP-A(商品名、栄社化学(株)製)、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジメタクリレートなどが現像後残膜率向上の点で好ましい。これらは単独または2種類以上を組み合わせて含有させることができる。
<(E)有機溶媒>
本発明の感光性樹脂組成物は、(E)有機溶媒を含有する。
(E)有機溶媒は、大気圧下沸点が80℃~250℃であるものを含有することが好ましい。
有機溶媒としては、具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテルなどのエーテル類、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどのアセテート類、アセチルアセトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、2-ヘプタノンなどのケトン類、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、3-メチル-2-ブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、N-メチル-2-ピロリドン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N,N-ジメチルプロピレン尿素、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、デルタバレロラクトンなどが挙げられる。(E)有機溶媒は、これらを単独または2種以上含有することができる。
(E)有機溶媒は、これらのうち、(A)~(D)の各成分を溶解しかつ、大気圧下沸点が100℃~210℃であるものを含有することが特に好ましい。沸点がこの範囲であれば、感光性樹脂組成物の塗布時に(E)有機溶媒の過度な揮発が抑制されて塗布性が向上し、かつ感光性樹脂組成物の乾燥温度を高くしなくてもよいため、下地基板の材質に制約が生じることがない。また、(E)有機溶媒が、前記大気圧下沸点が100℃~210℃である有機溶媒を含有することによって、下地基板に均一性の良い塗膜を形成することができる。
大気圧下沸点が100℃~210℃である有機溶媒として、具体的には、シクロペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、ジアセトンアルコール、3-メチル-3-メトキシブタノール、ガンマブチロラクトン、N-メチル-2-ピロリドンが挙げられる。
また、本発明の感光性樹脂組成物に含有させることができる(E)有機溶媒は、アルカリ可溶性樹脂(B)の総量100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは30質量部以上であり、好ましくは800質量部以下、より好ましくは500質量部以下である。
本発明の感光性樹脂組成物は公知の熱架橋剤、溶解調整剤、接着改良剤および界面活性剤などを公知の含有量の範囲で含有することができる。
次に、本発明の感光性樹脂組成物の製造方法について説明する。例えば、(A)~(E)の各成分と、必要により公知の熱架橋剤、溶解調整剤、接着改良剤および界面活性剤などを溶解させることにより、感光性樹脂組成物を得ることができる。溶解方法としては、撹拌や加熱が挙げられる。加熱する場合、加熱温度は感光性樹脂組成物の性能を損なわない範囲で設定することが好ましく、通常、20℃~80℃である。また、各成分の溶解順序は特に限定されず、例えば、溶解性の低い化合物から順次溶解させる方法がある。また、界面活性剤や一部の密着改良剤など、撹拌溶解時に気泡を発生しやすい成分については、他の成分を溶解してから最後に添加することで、気泡の発生による他成分の溶解不良を防ぐことができる。
得られた感光性樹脂組成物は、濾過フィルターを用いて濾過し、ゴミや粒子を除去することが好ましい。フィルター孔径は、例えば0.5μm、0.2μm、0.1μm、0.07μm、0.05μm、0.03μm、0.02μm、0.01μm、0.005μmなどがあるが、これらに限定されない。濾過フィルターの材質には、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン(NY)、ポリテトラフルオロエチエレン(PTFE)などがあるが、PEやNYが好ましい。
次に、本発明の感光性樹脂組成物を硬化した硬化膜について説明する。
本発明の硬化膜は、感光性樹脂組成物を硬化したものである。感光性樹脂組成物を硬化する方法としては、感光性樹脂組成物を基板上に塗布して乾燥させて感光性の塗布膜とし、この塗布膜を露光と現像によってパターンを形成した後に160~500℃の温度範囲で5分間~5時間加熱して硬化すればよい。
次に、本発明の感光性樹脂組成物を用いて硬化膜を製造する方法について、例を挙げて説明する。
まず、感光性樹脂組成物を基板上に塗布する。基板としてはシリコンウエハ、セラミックス類、ガリウムヒ素などが用いられるが、これらに限定されない。シランカップリング剤、チタンキレート剤などの薬液で基板を前処理してもよい。例えば、前述のカップリング剤をイソプロパノール、エタノール、メタノール、水、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、アジピン酸ジエチルなどの溶媒に0.5~20質量%溶解させた溶液をスピンコート、浸漬、スプレー塗布、蒸気処理などで表面処理をする。場合によっては、その後50℃~300℃までの温度をかけることで、基板と上記カップリング剤との反応を進行させることもできる。
感光性樹脂組成物の塗布方法としてはスピンナを用いた回転塗布、スプレー塗布、ロールコーティングなどの方法がある。また、塗布膜厚は、塗布手法、組成物の固形分濃度、粘度などによって異なるが、通常、乾燥後の膜厚が、1~50μmになるように塗布することが好ましい。
次に、感光性樹脂組成物を塗布した基板を乾燥して、感光性の塗布膜を得る。この工程をプリベークとも言う。乾燥はオーブン、ホットプレート、赤外線などを使用し、70~140℃の範囲で1分間~数時間行うことが好ましい。ホットプレートを用いる場合、プレート上に直接、もしくは、プレート上に設置したプロキシピンなどの治具上に塗布膜を保持して加熱することができる。プロキシピンの材質としては、アルミニウムやステンレスなどの金属材料、またはポリイミド樹脂や“テフロン”(登録商標)などの合成樹脂があり、耐熱性があればいずれの材質のプロキシピンを用いてもかまわない。プロキシピンの高さは、基板のサイズ、塗布膜の種類、加熱の目的などにより様々であるが、0.1~10mmが好ましい。
次に、この感光性の塗布膜に所望のパターンを有するマスクを通して化学線を照射し、露光する。露光に用いられる化学線としては紫外線、可視光線、電子線、X線などがあるが、本発明では、水銀灯のi線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)を用いることが好ましい。ネガ型の感光性を有する場合、露光部は硬化し、現像液に不溶化する。
次に、必要に応じて露光後のベーク処理を行う。この温度としては50~150℃の範囲が好ましく、特に60~140℃の範囲がより好ましい。時間は特に制限はないが、その後の現像性の観点からは10秒~数時間が好ましい。
露光後、樹脂膜のパターンを形成するには、現像液を用いて未露光部を除去する。現像液は、テトラメチルアンモニウム水溶液、ジエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、酢酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエチルメタクリレート、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのアルカリ性を示す化合物の水溶液が好ましい。場合によっては、これらのアルカリ水溶液にN-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、ジメチルアクリルアミドなどの極性溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類などを1種類以上添加してもよい。
現像後は水にてリンス処理をすることが一般的である。リンス処理には、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシメチルプロパネートなどのエステル類などを1種類以上水に添加してもよい。
現像後、得られた塗布膜のパターンを160~500℃の温度範囲で加熱して樹脂膜を硬化膜に変換する。この加熱処理は温度を選び、段階的に昇温するか、ある温度範囲を選び連続的に昇温しながら5分間~5時間実施することが好ましい。例としては、130℃、200℃、350℃で各30分間ずつ熱処理する方法、室温より220℃まで2時間かけて直線的に昇温する方法などが挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物により得られる硬化膜は、電子部品や半導体部品の表面保護膜や再配線用絶縁膜、薄膜インダクタなどの電子部品や高密度実装用多層配線の層間絶縁膜、有機電界発光素子の絶縁層などの用途に好適に用いられる。
本発明の電子部品は、上記感光性樹脂組成物を硬化した硬化膜を具備する。具体的には、表面保護膜や再配線用絶縁膜として硬化膜を具備する半導体素子、層間絶縁膜として硬化膜を具備する薄膜インダクタ、絶縁膜として硬化膜を具備する有機エレクトロルミネッセンス素子、駆動用薄膜トランジスタ基板の平坦化膜として硬化膜を具備する有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた表示装置、配線保護絶縁膜として硬化膜を具備する回路基板などが挙げられる。
本発明の電子部品の好ましい形態は、上記感光性樹脂組成物を硬化した硬化膜が、2~10層を備える積層構造であって、各層の膜厚が15μm~100μmである。 このような構造を有することが、電子部品の性能向上の点で好ましい。より好ましい積層数は、4~10層であって、さらに好ましい積層数は、6~10層である。より好ましい膜厚は、各層の膜厚が30μm~100μmであって、さらに好ましい膜厚は、各層の膜厚が40μm~100μmである。具体的には、2~10層の積層構造かつ各層の膜厚が15μm~100μmの層間絶縁膜となるように上記感光性樹脂組成物を硬化した硬化膜を具備する薄膜インダクタなどが挙げられる。
次に、本発明の感光性樹脂組成物を用いた、電子部品の1種である薄膜インダクタへの応用例について図面を用いて説明する。図1は本発明の絶縁膜を有する薄膜インダクタのコイル部分の断面図である。図1に示すように、基板1には絶縁膜2、その上にパターンとして絶縁膜3が形成される。基板1としてはフェライト等が用いられる。本発明の樹脂組成物は絶縁膜2と絶縁膜3の両方またはいずれかに使用してもよい。このパターンの開口部に金属(Cr、Ti等)膜4が形成され、この上に金属配線(Ag、Cu等)5がめっき形成される。金属配線5(Ag、Cu等)はスパイラル上に形成されている。上記の絶縁膜2~金属配線5を形成する工程を複数回繰り返し、積層させることでコイルとしての機能を持たせることができる。最後に金属配線5(Ag、Cu等)は金属配線6(Ag、Cu等)によって電極7に接続され、封止樹脂8により封止される。絶縁層の層数には上限はないが、2~10層のものが好ましい。
以下実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。実施例中の感光性樹脂組成物および硬化膜の評価は以下の方法により行った。
<塗布膜の作製>
4インチシリコンウエハ上に、感光性樹脂組成物をプリベーク後の膜厚が30μmとなるように塗布し、ついでホットプレート(大日本スクリーン製造(株)製D-SPIN)を用いて、120℃で3分プリベークすることにより、感光性の塗布膜を得た。
<膜厚の測定方法>
大日本スクリーン製造(株)製ラムダエースSTM-602Jを使用し、感光性の塗布膜を対象として屈折率1.63として膜厚測定を行った。
<露光>
露光機(キャノン(株)社製PLA-501F)に、10・15・20・25・30・35・40・45・50μmまでのライン&スペースの残しパターンを有するフォトマスクをセットし、プリベーク後の感光性の塗布膜に対して、露光量500mJ/cmのパターン露光を行った。
<露光後ベーク>
露光した感光性の塗布膜に対して、ホットプレート(大日本スクリーン製造(株)製D-SPIN)を用いて、110℃で1分熱処理を行った。
<現像>
露光後ベークした感光性の塗布膜に対して、現像装置AD-3000(ミカサ社製)を用い、塗布膜がのった基板を50rpmで回転させながら、水酸化テトラメチルアンモニウムの2.38%水溶液を10秒間吐出した。この後、0rpmで170秒間静置した。その後500rpmで純水にてリンスし、3000rpmで10秒振り切り乾燥し、現像後の塗布膜を得た。
<現像後パターン密着性評価>
現像後の塗布膜上の10・15・20・25・30・35・40・45・50μmまでのライン&スペースの残しパターンを光学顕微鏡で観察し、パターンの全体や角部に剥離や欠けが無く基板上に密着している最小のパターンサイズが10μm以下を極めて良好(5点)、15~20μmを非常に良好(4点)、25~30μmを良好(3点)、35~45μmまでを可(2点)、50μm以上を不十分(1点)とした。
<熱硬化(キュア)後密着性評価>
露光時にフォトマスクを使用せずに塗布膜の全面に露光する以外は、前記の方法と同様の手法で4インチシリコンウエハ上に現像後の塗布膜を作製した後、イナートオーブンCLH-21CD-S(光洋サーモシステム(株)製)を用いて、酸素濃度20ppm以下のオーブン内雰囲気中で、50℃から昇温速度3.5℃/分で350℃まで昇温し、350℃で1時間加熱処理を行なった。その後、オーブン内の温度が50℃以下になるまで徐冷して4インチシリコンウエハ上に硬化膜を得た。ウエハを2分割してサンプル基板とし、それぞれのサンプル基板についてキュア後の膜に片刃を使用して2mm間隔で10行10列の碁盤目状の切り込みをいれた。このうち一方の基板を用い、“セロテープ”(登録商標)による引き剥がしによって100マスのうち何マス剥がれたかで硬化膜/シリコンウエハ間の密着性の評価を行なった。また、もう一方のサンプル基板については、プレッシャークッカー試験(PCT)装置(タバイエスペエック(株)製HAST CHAMBER EHS-211MD)を用いて121℃、2気圧の飽和条件で50時間PCT処理を行なった後、上記の引き剥がしテストを行なった。いずれの基板についても引き剥がしテストで剥がれ個数が0を極めて良好(3点)、1以上10未満を良好(2点)、10以上を不良(1点)とした。
<合成例の化合物の名称>
合成例の化合物の名称を以下のとおりの略称としている。
MS1:合成例1の(メタ)アクリル基含有シラン化合物
MS2:合成例2の(メタ)アクリル基含有シラン化合物
PI1:合成例3のポリイミド
PAA1:合成例5のポリイミド前駆体
PAA2:合成例6のポリイミド前駆体
PBO1:合成例7のポリベンゾオキサザール前駆体
<原料の略称>
以下の例において、原料を略称しているところがある。略称は以下のとおりである。
NCI-831:アデカアークルズNCI-831(商品名、株式会社ADEKA製)
BP-6EM:ライトエステルBP-6EM(商品名、共栄社化学株式会社製)
GBL:γ‐ブチロラクトン
<合成例1 (メタ)アクリル基含有シラン化合物MS1の合成>
攪拌機、温度計、滴下ロート、還流冷却管を備えた1L四つ口フラスコに、3-(ブチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン(東京化成工業株式会社製)117.70g(0.50mol)を加え、氷浴にて2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製“カレンズ”(登録商標)MOI)77.58g(0.50mol)を、滴下ロートを用いてゆっくり滴下し、その後40℃で8時間反応させた。赤外吸収スペクトルでイソシアネート基の吸収が消失したことを確認して反応を終了した。室温まで冷却し、下記式で表される化合物を得た。
Figure 2023023822000009
<合成例2 (メタ)アクリル基含有シラン化合物MS2の合成>
攪拌機、温度計、滴下ロート、還流冷却管を備えた1L四つ口フラスコに、3-(フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン(東京化成工業株式会社製)127.70g(0.50mol)を加え、氷浴にて2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製“カレンズ”(登録商標)MOI)77.58g(0.50mol)を、滴下ロートを用いてゆっくり滴下し、その後40℃で8時間反応させた。赤外吸収スペクトルでイソシアネート基の吸収が消失したことを確認して反応を終了した。室温まで冷却し、下記式で表される化合物を得た。
Figure 2023023822000010
<合成例3 ポリイミドPI1の合成>
乾燥窒素気流下、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(メルク株式会社製、BAHF)31.13g(0.085モル)、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(SiDA、信越化学(株)製)1.24g(0.005モル)をNMP500gに溶解した。ここにODPA31.02g(0.1モル)をNMP50gとともに加えて、30℃で2時間撹拌した。その後、3-アミノフェノール(東京化成(株)製)2.18g(0.02モル)を加え、40℃で2時間撹拌した。さらにピリジン(東京化成(株)製)5gをトルエン(東京化成(株)製30g)で希釈して、溶液に加え、冷却管を付け系外に水をトルエンとともに共沸で除去しながら溶液の温度を120℃にして2時間、さらに180℃で2時間反応させた。この溶液の温度を室温まで低下させ、水3Lに溶液を投入し、白色の粉体を得た。この粉体を濾過で集め、さらに水で3回洗浄を行った。洗浄後、白色粉体を50℃の真空乾燥機で72時間乾燥させ、ポリイミドを得た。
<合成例4 ヒドロキシル基含有ジアミン化合物(HA)の合成>
2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(セントラル硝子(株)製、BAHF)18.3g(0.05モル)をアセトン100mL、プロピレンオキシド(東京化成(株)製)17.4g(0.3モル)に溶解させ、-15℃に冷却した。ここに3-ニトロベンゾイルクロリド(東京化成(株)製)20.4g(0.11モル)をアセトン100mLに溶解させた溶液を滴下した。滴下終了後、-15℃で4時間撹拌し、その後室温に戻した。析出した白色固体を濾別し、50℃で真空乾燥した。
得られた白色固体30gを300mLのステンレスオートクレーブに入れ、メチルセルソルブ250mLに分散させ、5%パラジウム-炭素(和光純薬(株)製)を2g加えた。ここに水素を風船で導入して、還元反応を室温で行った。約2時間後、風船がこれ以上しぼまないことを確認して反応を終了させた。反応終了後、濾過して触媒であるパラジウム化合物を除き、ロータリーエバポレーターで濃縮し、下記式で表されるヒドロキシル基含有ジアミン化合物(HA)を得た。
Figure 2023023822000011
<合成例5 ポリイミド前駆体PAA1の合成>
乾燥窒素気流下、合成例2で得られたHA51.38g(0.085モル)、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(SiDA、信越化学(株)製)1.24g(0.005モル)、3-アミノフェノール(東京化成(株)製)2.18g(0.02モル)をN-メチル-2-ピロリドン(NMP)200gに溶解した。ここにODPA31.0g(0.100モル)を加え、40℃で2時間撹拌した。その後、ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(三菱レーヨン(株)製)18.47g(0.155モル)をNMP5gで希釈した溶液を10分間かけて滴下した。滴下後、40℃で2時間撹拌を続けた。撹拌終了後、溶液を水2Lに投入して、ポリマー固体の沈殿を濾過で集めた。さらに水2Lで3回洗浄を行い、集めたポリマー固体を50℃の真空乾燥機で72時間乾燥し、ポリイミド前駆体を得た。
<合成例6 ポリイミド前駆体PAA2の合成>
乾燥窒素気流下、合成例2で得られたHA51.38g(0.085モル)、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(SiDA、信越化学(株)製)1.24g(0.005モル)、4-エチニルアニリン( 富士写真フイルム( 株) 社製)2.34g(0.02モル)をN-メチル-2-ピロリドン(NMP)200gに溶解した。ここにODPA31.02g(0.1モル)を加え、40℃で2時間撹拌した。その後、ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(三菱レーヨン(株)製、DFA)18.47g(0.155モル)をNMP5gで希釈した溶液を10分間かけて滴下した。滴下後、40℃で2時間撹拌を続けた。撹拌終了後、溶液を水2Lに投入して、ポリマー固体の沈殿を濾過で集めた。さらに水2Lで3回洗浄を行い、集めたポリマー固体を50℃の真空乾燥機で72時間乾燥し、ポリイミド前駆体を得た。
<合成例7 ポリベンゾオキサゾール前駆体PBO1の合成>
乾燥窒素気流下、BAHF18.3g(0.05モル)をNMP50g、グリシジルメチルエーテル26.4g(0.3モル)に溶解させ、溶液の温度を-15℃まで冷却した。ここにジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロリド(日本農薬(株)製)7.4g(0.025モル)とイソフタル酸クロリド(東京化成(株)製)5.1g(0.025モル)をγ-ブチロラクトン25gに溶解させた溶液を内部の温度が0℃を越えないように滴下した。滴下終了後、-15℃で6時間撹拌を続けた。反応終了後、メタノールを10質量%含んだ水3Lに溶液を投入して白色の沈殿を集めた。この沈殿を濾過で集めて、水で3回洗浄した後、50℃の真空乾燥機で72時間乾燥し、ポリベンゾオキサゾール前駆体を得た。
[実施例1]
以下の物質をγ-ブチロラクトン12.7gに加えて攪拌し、感光性樹脂組成物を得た。
(A)(メタ)アクリル基含有シラン化合物として、合成例1のMS1を1.1g、
(B)アルカリ可溶性樹脂として、合成例3のPI1を10.0g、
(C)光重合開始剤として、NCI-831を0.7g、
(D)光重合性化合物として、BP-6EMを7.1g。
得られた感光性樹脂組成物を用いて、上記方法で、現像後パターン密着性評価と熱硬化(キュア)後密着性評価を実施した。
[実施例2]
以下の物質をγ-ブチロラクトン12.7gに加えて攪拌し、感光性樹脂組成物を得た。
(A)(メタ)アクリル基含有シラン化合物として、合成例1のMS2を0.4g、
(B)アルカリ可溶性樹脂として、合成例3のPI1を10.0g、
(C)光重合開始剤として、NCI-831を0.7g、
(D)光重合性化合物として、BP-6EMを7.1g。
得られた感光性樹脂組成物を用いて、上記方法で、現像後パターン密着性評価と熱硬化(キュア)後密着性評価を実施した。
[実施例3]
以下の物質をγ-ブチロラクトン12.7gに加えて攪拌し、感光性樹脂組成物を得た。
(A)(メタ)アクリル基含有シラン化合物として、合成例1のMS2を0.7g、
(B)アルカリ可溶性樹脂として、合成例3のPI1を10.0g、
(C)光重合開始剤として、NCI-831を0.7g、
(D)光重合性化合物として、BP-6EMを7.1g。
得られた感光性樹脂組成物を用いて、上記方法で、現像後パターン密着性評価と熱硬化(キュア)後密着性評価を実施した。
[実施例4]
以下の物質をγ-ブチロラクトン12.7gに加えて攪拌し、感光性樹脂組成物を得た。
(A)(メタ)アクリル基含有シラン化合物として、合成例1のMS2を1.1g、
(B)アルカリ可溶性樹脂として、合成例3のPI1を10.0g、
(C)光重合開始剤として、NCI-831を0.7g、
(D)光重合性化合物として、BP-6EMを7.1g。
得られた感光性樹脂組成物を用いて、上記方法で、現像後パターン密着性評価と熱硬化(キュア)後密着性評価を実施した。
[実施例5]
以下の物質をγ-ブチロラクトン12.7gに加えて攪拌し、感光性樹脂組成物を得た。
(A)(メタ)アクリル基含有シラン化合物として、合成例1のMS2を1.3g、
(B)アルカリ可溶性樹脂として、合成例3のPI1を10.0g、
(C)光重合開始剤として、NCI-831を0.7g、
(D)光重合性化合物として、BP-6EMを7.1g。
得られた感光性樹脂組成物を用いて、上記方法で、現像後パターン密着性評価と熱硬化(キュア)後密着性評価を実施した。
[実施例6]
以下の物質をγ-ブチロラクトン12.7gに加えて攪拌し、感光性樹脂組成物を得た。
(A)(メタ)アクリル基含有シラン化合物として、合成例1のMS2を1.7g、
(B)アルカリ可溶性樹脂として、合成例3のPI1を10.0g、
(C)光重合開始剤として、NCI-831を0.7g、
(D)光重合性化合物として、BP-6EMを7.1g。
得られた感光性樹脂組成物を用いて、上記方法で、現像後パターン密着性評価と熱硬化(キュア)後密着性評価を実施した。
[実施例7]
以下の物質をγ-ブチロラクトン12.7gに加えて攪拌し、感光性樹脂組成物を得た。
(A)(メタ)アクリル基含有シラン化合物として、合成例1のMS2を1.1g、
(B)アルカリ可溶性樹脂として、合成例5のPAA1を10.0g、
(C)光重合開始剤として、NCI-831を0.7g、
(D)光重合性化合物として、BP-6EMを7.1g。
得られた感光性樹脂組成物を用いて、上記方法で、現像後パターン密着性評価と熱硬化(キュア)後密着性評価を実施した。
[実施例8]
以下の物質をγ-ブチロラクトン12.7gに加えて攪拌し、感光性樹脂組成物を得た。
(A)(メタ)アクリル基含有シラン化合物として、合成例1のMS2を1.1g、
(B)アルカリ可溶性樹脂として、合成例7のPBO1を10.0g、
(C)光重合開始剤として、NCI-831を0.7g、
(D)光重合性化合物として、BP-6EMを7.1g。
得られた感光性樹脂組成物を用いて、上記方法で、現像後パターン密着性評価と熱硬化(キュア)後密着性評価を実施した。
[実施例9]
以下の物質をγ-ブチロラクトン12.7gに加えて攪拌し、感光性樹脂組成物を得た。
(A)(メタ)アクリル基含有シラン化合物として、合成例1のMS2を1.1g、
(B)アルカリ可溶性樹脂として、合成例6のPAA2を10.0g、
(C)光重合開始剤として、NCI-831を0.7g、
(D)光重合性化合物として、BP-6EMを7.1g。
得られた感光性樹脂組成物を用いて、上記方法で、現像後パターン密着性評価と熱硬化(キュア)後密着性評価を実施した。
[比較例1]
以下の物質をγ-ブチロラクトン12.7gに加えて攪拌し、感光性樹脂組成物を得た。
(A)(メタ)アクリル基含有シラン化合物を含有せず、3-(フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシランを1.1g、
(B)アルカリ可溶性樹脂として、合成例3のPI1を10.0g、
(C)光重合開始剤として、NCI-831を0.7g、
(D)光重合性化合物として、BP-6EMを7.1g。
得られた感光性樹脂組成物を用いて、上記方法で、現像後パターン密着性評価と熱硬化(キュア)後密着性評価を実施した。
上記の組成および評価結果に関し、実施例と比較例について表1に示す。
Figure 2023023822000012
表1に示した名称は、それぞれ以下の意味である。
MS1:合成例1の(メタ)アクリル基含有シラン化合物
MS2:合成例2の(メタ)アクリル基含有シラン化合物
PI1:合成例3のポリイミド
PAA1:合成例5のポリイミド前駆体
PAA2:合成例6のポリイミド前駆体
PBO1:合成例7のポリベンゾオキサザール前駆体
NCI-831:アデカアークルズNCI-831(商品名、株式会社ADEKA製)
BP-6EM:ライトエステルBP-6EM(商品名、共栄社化学株式会社製)
GBL:γ‐ブチロラクトン
1 基板
2 絶縁膜
3 絶縁膜
4 金属(Cr、Ti等)膜
5 金属配線(Ag、Cu等)
6 金属配線(Ag、Cu等)
7 電極
8 封止樹脂

Claims (7)

  1. (A)(メタ)アクリル基含有シラン化合物、(B)アルカリ可溶性樹脂、(C)光重合開始剤、(D)光重合性化合物、(E)有機溶媒を含有し、
    該(A)(メタ)アクリル基含有シラン化合物が式(1)で表される構造を有する感光性樹脂組成物。
    Figure 2023023822000013
    (式(1)中、R、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子またはメチル基を示す。R、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子または炭素数1~3のアルキル基を示す。Rは、炭素数1~10の1価の有機基を示す。mおよびnは、1≦m≦5、1≦n≦5の範囲内の整数を示す。)
  2. 前期(A)(メタ)アクリル基含有シラン化合物が、式(2)で表される構造を有する、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
    Figure 2023023822000014
    (式(2)中、R、RおよびR10は、それぞれ独立に水素原子またはメチル基を示す。R11、R12およびR13は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1~3のアルキル基を示す。oおよびpは、1≦o≦5、1≦p≦5の範囲内の整数を示す。)
  3. 前記(A)(メタ)アクリル基含有シラン化合物を、前記(B)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、5質量部~15質量部含む、請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 前記(B)アルカリ可溶性樹脂が、主鎖末端に重合性官能基を有する樹脂を含む、請求項1~3のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を硬化した硬化膜。
  6. 請求項5に記載の硬化膜を具備する電子部品。
  7. 前記硬化膜が、2~10層を備える積層構造であって、各層の膜厚が15μm~100μmである、請求項6に記載の電子部品。
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