JP2023023598A - アンダーフィル用液状樹脂組成物、電子部品装置、及び電子部品装置の製造方法 - Google Patents

アンダーフィル用液状樹脂組成物、電子部品装置、及び電子部品装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】熱膨張係数及び高温での弾性率が低いアンダーフィル用液状樹脂組成物、これを用いる電子部品装置、及び電子部品装置の製造方法を提供する。【解決手段】ビスフェノール型エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂と、硬化剤と、無機充填材と、ポリエステルポリオールと、を含有する、アンダーフィル用液状樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本開示は、アンダーフィル用液状樹脂組成物、電子部品装置、及び電子部品装置の製造方法に関する。
従来から、トランジスタ、IC(Integrated Circuit)等の電子部品装置の半導体素子(以下、チップともいう)の封止の分野では、生産性、コスト等の面から樹脂封止が主流となっている。封止用材料としては、エポキシ樹脂組成物が広く用いられている。この理由として、エポキシ樹脂が作業性、成形性、電気特性、耐湿性、耐熱性、機械特性、インサート品との接着性等の諸特性においてバランスに優れるためである。
さらに、COB(Chip on Board)、COG(Chip on Glass)、TCP(Tape Carrier Package)等のベアチップ実装した半導体装置においては、アンダーフィル材が広く使用されている。また、半導体素子をセラミック、ガラスエポキシ樹脂、ガラスイミド樹脂、ポリイミドフィルム等を基板とする配線基板上に直接バンプ接続してなる半導体装置(フリップチップともいう)では、バンプ接続した半導体素子と配線基板の間隙(ギャップ)を充填するアンダーフィル材として、エポキシ樹脂を含有する液状樹脂組成物が使用されている。これらのエポキシ樹脂を含有する液状樹脂組成物は電子部品を温度、湿度、機械的な外力等から保護するために重要な役割を果たしている。
エポキシ樹脂を含有するアンダーフィル材として、(A-1)1分子中に2つ以上のエポキシ基を有する液状エポキシ樹脂及び/又はエポキシ化合物50~99質量部、及び(A-2)ビフェニル構造を有する単官能エポキシ化合物1~50質量部(但し、(A-1)と(A-2)の合計は100質量部である)、(B)成分中のアミノ基のモル量に対する(A)成分中のエポキシ基のモル量が0.7~1.2となる量である(B)アミン系硬化剤、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対し50~300質量部である(C)無機充填材、及び(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対し1~15質量部である(D)ポリオルガノシルセスキオキサン樹脂を被覆してなるシリコーン微粒子を含有するアンダーフィル材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2012-144661号公報
フリップチップ実装を行う場合、半導体素子と配線基板はそれぞれ熱膨張係数が異なることから、半導体素子と配線基板の接合部に熱応力が発生し、接続信頼性が低下するおそれがある。また、ベアチップは、回路形成面が充分に保護されていないため、水分、イオン性不純物等が浸入しやすく、耐湿信頼性が低下するおそれがある。
また、通常、アンダーフィル材を用いて半導体素子と配線基板の間隙の封止を行う場合、半導体素子の保護のために、半導体素子の側面にフィレットが形成される。しかし、配線基板と半導体素子の熱膨張差に起因した熱応力によって、フィレットにクラックが生じたり、半導体素子が破壊されたりするおそれがある。
さらに、アンダーフィル材の選定によっては、温度サイクル等において繰り返し熱衝撃を受ける場合に、接続部の保護が不十分となり、低サイクルでも接合部が疲労破壊することがある。例えば、アンダーフィル材の熱膨張係数を低下させることで耐温度サイクル性を高められる傾向にある。
このような背景から、熱膨張係数が低いアンダーフィル用液状樹脂組成物の需要が高まっている。しかしながら、特許文献1に記載のアンダーフィル材では、低い熱膨張係数の観点で改善の余地がある。
さらに、アンダーフィル材の耐リフロー性を高めて耐温度サイクル性を向上させる観点では、高温(例えば、240℃)での弾性率が低いことが望ましい。
本開示は、上記の事情に鑑みなされたもので、熱膨張係数及び高温での弾性率が低いアンダーフィル用液状樹脂組成物、これを用いる電子部品装置、並びに電子部品装置の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための手段には以下の態様が含まれる。
<1> ビスフェノール型エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂と、
硬化剤と、
無機充填材と、
ポリエステルポリオールと、
を含有する、アンダーフィル用液状樹脂組成物。
<2> 75℃での前記ポリエステルポリオールの粘度は、50mPa・s~1500mPa・sである<1>に記載のアンダーフィル用液状樹脂組成物。
<3> コーン角度3゜、コーン半径14mmのコーンロータを装着したEHD型回転粘度計を用いて測定した、25℃、10rpm、換算係数0.5での粘度が1Pa・s~50Pa・sである<1>又は<2>に記載のアンダーフィル用液状樹脂組成物。
<4> 前記エポキシ樹脂は、ナフタレン型ジグリシジルエーテルエポキシ樹脂をさらに含む<1>~<3>のいずれか1つに記載のアンダーフィル用液状樹脂組成物。
<5> 前記硬化剤は、アミン硬化剤を含む<1>~<4>のいずれか1つに記載のアンダーフィル用液状樹脂組成物。
<6> 電子部品と、前記電子部品と接続部を介して電気的に接続されている支持部材とを備える電子部品装置の、前記接続部を封止するために用いられる、<1>~<5>のいずれか1つに記載のアンダーフィル用液状樹脂組成物。
<7> 電子部品と、
前記電子部品と接続部を介して電気的に接続されている支持部材と、
前記接続部を封止している<1>~<6>のいずれか1つに記載のアンダーフィル用液状樹脂組成物の硬化物と、
を備える電子部品装置。
<8> 電子部品と、前記電子部品と接続部を介して電気的に接続されている支持部材と、の間の前記接続部を、<1>~<6>のいずれか1つに記載のアンダーフィル用液状樹脂組成物で封止する工程を有する、電子部品装置の製造方法。
本開示によれば、熱膨張係数及び高温での弾性率が低いアンダーフィル用液状樹脂組成物、これを用いる電子部品装置、並びに電子部品装置の製造方法が提供される。
本開示において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率又は含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本開示において各成分に該当する粒子は複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本開示において「(メタ)アクリル」はアクリル又はメタクリルの少なくとも一方を意味する。
≪アンダーフィル用液状樹脂組成物≫
本開示のアンダーフィル用液状樹脂組成物(以下、単に「液状樹脂組成物」ともいう)は、ビスフェノール型エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂と、硬化剤と、無機充填材と、ポリエステルポリオールと、を含有する。
アンダーフィル用液状樹脂組成物は必要に応じてその他の成分をさらに含んでいてもよい。
なお、本開示における「液状」とは、常温(25℃)で液状であることを意味する。具体的には、25℃において、E型粘度計で測定される粘度が1000Pa・s以下であることを意味する。
本開示の液状樹脂組成物は、熱膨張係数及び高温での弾性率が低い。この理由は必ずしも明らかではないが、以下のように推測される。本開示の液状樹脂組成物は、ビスフェノール型エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂と、ポリエステルポリオールと、を含有する。硬化前の液状樹脂組成物では、相溶した状態であるエポキシ樹脂及びポリエステルポリオールは、液状樹脂組成物の硬化によって相分離し、エポキシ樹脂が海部であり、ポリエステルポリオールが島部である海島型の相分離構造を形成する。このように、ポリエステルポリオールが硬化したエポキシ樹脂中に分散していることによって、熱膨張係数及び高温での弾性率が低下する、と考えられる。
なお、以上の推測は本開示を何ら限定するものではない。
以下、本開示の液状樹脂組成物に含有される各成分について説明する。
[エポキシ樹脂]
液状樹脂組成物はビスフェノール型エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂を含有する。エポキシ樹脂は、ビスフェノール型エポキシ樹脂を含んでいれば一般に使用されているエポキシ樹脂を特に制限なく用いることができ、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であることが好ましい。
液状樹脂組成物が全体として常温で液状である限り、エポキシ樹脂は常温で固形であっても液状であってもよく、両者を併用してもよい。液状樹脂組成物の低粘度化の観点からは、常温で液状のエポキシ樹脂を用いることが好ましい。
本開示の液状樹脂組成物には、所望の効果が達成される範囲内であれば、固形エポキシ樹脂を使用してもよい。この場合、成形時の流動性の観点から、固形エポキシ樹脂の含有率はエポキシ樹脂全体に対して20質量%以下とすることが好ましい。
ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂が挙げられる。粘度低減の観点からは、ビスフェノール型エポキシ樹脂はビスフェノールF型エポキシ樹脂であることが好ましい。
ビスフェノール型エポキシ樹脂は1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂はビスフェノール型エポキシ樹脂以外のその他のエポキシ樹脂を含有していてもよい。その他のエポキシ樹脂としては、水添ビスフェノールA等のジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;トリフェノール型エポキシ樹脂:ナフタレン骨格含有のエポキシ樹脂;オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のフェノール類とアルデヒド類のノボラック樹脂をエポキシ化したもの;フタル酸、ダイマー酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;p-アミノフェノール、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等のアミン化合物とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酢酸等の過酸により酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂;脂環族エポキシ樹脂;柔軟骨格を有するエポキシ樹脂などが挙げられる。エポキシ樹脂の「柔軟骨格」とは、エポキシ樹脂に柔軟性を付与する部分構造を表し、例えば、アルキレンオキシド基、ポリエーテル基、長鎖アルキル基、アルキレン基、シロキサン骨格等が挙げられる。アルキレンオキシド基としては、エチレンオキシド基、及びアルキレンオキシド基が挙げられる。その他のエポキシ樹脂は1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
その他のエポキシ樹脂は、耐熱性、接着性及び流動性の観点からは液状のグリシジルアミン型エポキシ樹脂を含むことが好ましい。ジグリシジルエーテルエポキシ樹脂としては、ナフタレン型ジグリシジルエーテルエポキシ樹脂等が挙げられる。ナフタレン型ジグリシジルエーテルエポキシ樹脂のなかでも、1,6-ビス(グリシジルオキシ)ナフタレンが好ましい。
グリシジルアミン型エポキシ樹脂は、2官能であっても3官能以上であってもよい。硬化後の耐熱性向上の観点からは3官能以上(1分子中にエポキシ基を3つ以上有する)のグリシジルアミン型エポキシ樹脂が好ましい。2官能以上のグリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、N,N-ジグリシジルアニリン、N,N-ジグリシジル-o-トルイジン等が挙げられる。3官能以上のグリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、トリグリシジル-p-アミノフェノール、4,4’-メチレンビス[N,N-ビス(オキシラニルメチル)アニリン]等が挙げられる。これらのなかでも、常温(例えば、25℃)での粘度の観点からはトリグリシジル-p-アミノフェノールが好ましい。
エポキシ樹脂のエポキシ当量(分子量/エポキシ基数)は、特に制限されない。成形性、耐リフロー性及び電気的信頼性等の各種特性バランスの観点からは、70g/eq~500g/eqであることが好ましく、80g/eq~400g/eqであることがより好ましく、90g/eq~300g/eqであることがさらに好ましい。本開示において、エポキシ樹脂のエポキシ当量は、JIS K 7236:2009に準じた方法で測定される値とする。
液状樹脂組成物中のエポキシ樹脂の含有率は特に制限されない。粘度、ガラス転移温度、耐熱性等の観点から0.5質量%~50質量%であることが好ましく、2質量%~40質量%であることがより好ましく、2質量%~30質量%であることがさらに好ましい。
エポキシ樹脂に含まれるビスフェノール型エポキシ樹脂の含有率は、エポキシ樹脂全体に対して、50質量%~100質量%であることが好ましく、60質量%~100質量%であることがより好ましく、70質量%~100質量%であることがさらに好ましい。
エポキシ樹脂がその他のエポキシ樹脂を含む場合、例えば、エポキシ樹脂がグリシジルアミン型エポキシ樹脂を含む場合、その他のエポキシ樹脂の含有率又はグリシジルアミン型エポキシ樹脂の含有率は、それぞれ独立に、エポキシ樹脂全体に対して、5質量%~50質量%であることが好ましく、10質量%~40質量%であることがより好ましく、20質量%~35質量%であることがさらに好ましい。
[硬化剤]
液状樹脂組成物は、硬化剤を含有する。硬化剤は、一般に使用されているエポキシ樹脂の硬化剤を特に制限なく用いることができる。例えば、アミン硬化剤、フェノール硬化剤、酸無水物硬化剤、ポリメルカプタン硬化剤、ポリアミノアミド硬化剤、イソシアネート硬化剤、ブロックイソシアネート硬化剤等が挙げられる。なかでも、作業性、組成物特性の観点から、アミン硬化剤、フェノール硬化剤、及び酸無水物硬化剤からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、アミン硬化剤がより好ましい。硬化剤は、常温で固形であっても液状であってもよく、液状であることが好ましい。硬化剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なかでも、耐温度サイクル性、耐湿性等に優れ、電子部品装置の信頼性を向上できる観点から、硬化剤は芳香族アミンであることが好ましく、常温で液状の芳香族アミン(液状芳香族アミンともいう)であることがより好ましい。液状芳香族アミンとしては、エチルトルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン(3,5-ジエチルトルエン-2,4-ジアミン及び3,5-ジエチルトルエン-2,6-ジアミン等)、1-メチル-3,5-ジエチル-2,4-ジアミノベンゼン、1-メチル-3,5-ジエチル-2,6-ジアミノベンゼン、1,3,5-トリエチル-2,6-ジアミノベンゼン、3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,5,3’,5’-テトラメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、ジメチルチオトルエンジアミン等が挙げられる。硬化剤は単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
なかでも保存安定性の観点から、3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、エチルトルエンジアミン、及びジメチルチオトルエンジアミンが好ましく、硬化剤はこれらのいずれか1種又は2種以上の混合物を主成分とすることが好ましい。
硬化剤として液状芳香族アミンを用いる場合、液状芳香族アミンに加えて、フェノール硬化剤、酸無水物硬化剤等の一般に使用されている硬化剤を併用してもよい。また、液状芳香族アミンに加えて、固形硬化剤を併用してもよい。
硬化剤の官能基当量は、特に制限されない。反応性、及び組成物特性の観点からは、官能基当量は、30g/eq~300g/eqであることが好ましく、35g/eq~200g/eqであることがより好ましい。硬化剤の官能基当量は、JIS K 0070:1992に準じた方法により測定される値とする。
エポキシ樹脂に対する硬化剤の配合量は特に制限されない。それぞれの未反応分を少なく抑えるために、エポキシ樹脂と硬化剤との当量比、すなわちエポキシ樹脂中のエポキシ基数に対する硬化剤中の官能基数の比(硬化剤中の官能基数/エポキシ樹脂中のエポキシ基数)は、0.5~2.0であることが好ましく、0.6~1.8であることがより好ましく、0.7~1.5であることがさらに好ましい。
[無機充填材]
液状樹脂組成物は、無機充填材を含有する。無機充填材としては、球状シリカ、結晶シリカ、溶融シリカ等のシリカ、炭酸カルシウム、クレー、アルミナ、窒化珪素、炭化珪素、窒化ホウ素、珪酸カルシウム、チタン酸カリウム、窒化アルミ、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニアなどの粉体、又はこれらを球形化したビーズ、ガラス繊維などが挙げられる。さらに、難燃効果のある無機充填材として、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硼酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛等を用いてもよい。無機充填材は単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、入手のし易さ、化学的安定性、及び材料コストの観点から、シリカが好ましく、液状樹脂組成物の微細間隙への流動性及び浸透性の観点から、球状シリカがより好ましい。球状シリカとしては、爆燃法によって得られるシリカ、溶融シリカ等が挙げられる。無機充填材は予め後述のシランカップリング剤等の各種表面処理剤を用いて表面処理されていてもよい。
無機充填材の体積平均粒径は特に制限されない。例えば、球形シリカの場合、体積平均粒径は0.1μm~10μmであることが好ましく、0.2μm~7μmであることがより好ましく、0.3μm~5μmであることがさらに好ましく、0.3μm~1.3μmであってもよい。体積平均粒径が0.1μm以上であると、液状樹脂組成物に対する分散性に優れ、液状樹脂組成物にチキソトロピック性が付与されにくく、流動特性に優れる傾向にある。体積平均粒径が10μm以下であると、液状樹脂組成物中での無機充填材の沈降を低減でき、液状樹脂組成物としての微細間隙への浸透性及び流動性が向上してボイド及び未充填を防止できる傾向にある。無機充填材の体積平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置により測定された体積基準の粒度分布において、小径側からの累積が50%となるときの粒子径(D50)として測定することができる。
無機充填材の含有率は特に制限されず、液状樹脂組成物全体の30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましく、60質量%以上であってもよい。また、無機充填材の含有率は、液状樹脂組成物全体の80質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがさらに好ましい。無機充填材の含有率が30質量%以上であると、熱膨張係数を低減しやすく、80質量%以下であると、液状樹脂組成物の粘度の上昇を抑制しやすく、流動性、浸透性及びディスペンス性が良好となる傾向にある。
特に、無機充填材の含有率は、液状樹脂組成物全体に対して、50質量%~75質量%であることが好ましく、55質量%~70質量%であることがより好ましい。
[ポリエステルポリオール]
液状樹脂組成物はポリエステルポリオールを含有する。ポリエステルポリオールは、ポリエステルに由来する構成単位と、ポリオールに由来する構成単位と、を含む化合物であれば特に限定されない。ポリエステルポリオールは、例えば、ポリオールとカルボン酸又はその無水物とを反応させた化合物であってもよい。ポリエステルポリオールは、ポリエステルに由来する構成単位及びポリオールに由来する構成単位以外の構成単位を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。
75℃でのポリエステルポリオールの粘度は、液状樹脂組成物の流動性及び熱膨張係数の観点から、50mPa・s~1500mPa・sであることが好ましく、60mPa・s~1000mPa・sであることがより好ましく、80mPa・s~500mPa・sであることがさらに好ましい。
ポリエステルポリオールの粘度は、B型粘度計により測定した値である。
ポリエステルポリオールの数平均分子量は、特に限定されず、例えば、1000~10000であってもよく、1200~5000であってもよく、1500~2500であってもよい。
ポリエステルポリオールの数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値である。
ポリエステルポリオールの含有率は特に制限されず、エポキシ樹脂及び硬化剤の全体に対して、1質量%~20質量%であることが好ましく、3質量%~17質量%であることがより好ましく、4質量%~13質量%であることがさらに好ましい。
[カップリング剤]
液状樹脂組成物は必要に応じてカップリング剤を含有してもよい。液状樹脂組成物がカップリング剤を含有すると、エポキシ樹脂と無機充填材、又はエポキシ樹脂と電子部品の構成部材との界面接着を強固にすることができる傾向にある。カップリング剤の種類に特に制限はなく、従来公知のものを用いることができる。例えば、1級及び/又は2級及び/又は3級アミノ基を有するシラン化合物、エポキシシラン、メルカプトシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン、(メタ)アクリルシラン等の各種シラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物などが挙げられる。カップリング剤は、1種を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
カップリング剤としては、例えば、モノマーを用いてもよく、オリゴマーを用いてもよい。
モノマーのカップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシオクチルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ-アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ-アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ-(N,N-ジメチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(N,N-ジエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(N,N-ジブチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(N-メチル)アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ-(N-エチル)アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ-(N,N-ジメチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-(N,N-ジエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-(N,N-ジブチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-(N-メチル)アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ-(N-エチル)アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ-(N,N-ジメチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(N,N-ジエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(N,N-ジブチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(N-メチル)アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(N-エチル)アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N-(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、
メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ビニルトリメトキシシラン、ヘキセニルトリメトキシシラン、オクテニルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシオクチルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N-アミノエチル-アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチタネート系カップリング剤などが挙げられる。
また、オリゴマーのカップリング剤としては、メチル系、メチル/フェニル系、プロピル/フェニル系、エポキシ変性、メルカプト変性、アミン変性、(メタ)アクリル変性、又はポリエステル樹脂変性されたアルコキシオリゴマー等が挙げられる。
液状樹脂組成物中のカップリング剤の含有率は特に制限されない。接着性、流動性等の観点から、カップリング剤の含有率は、エポキシ樹脂の総量に対して0.01質量%~20質量%であることが好ましく、0.01質量%~10質量%であることがより好ましい。
[その他成分]
液状樹脂組成物は上述の成分に加えて、可撓剤、界面活性剤、硬化促進剤、イオン交換体等の各種添加剤を含んでもよい。液状樹脂組成物は、以下に例示する添加剤以外にも必要に応じて当技術分野で周知の各種添加剤を含んでもよい。
(可撓剤)
液状樹脂組成物は耐熱衝撃性向上、半導体素子への応力低減等の観点から、各種可撓剤を配合してもよい。可撓剤の種類は特に制限されず、シリコーンゴム、アクリルエラストマー、フェノキシ樹脂等、当該分野において一般に用いられているものを適用してよい。なかでも、可撓剤としては、ゴム粒子が好ましい。ゴム粒子としては、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、ブタジエンゴム(BR)、ウレタンゴム(UR)、アクリルゴム(AR)等の粒子が挙げられる。可撓剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(界面活性剤)
液状樹脂組成物は、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。界面活性剤としては、例えば、シリコーン変性エポキシ樹脂が挙げられる。シリコーン変性エポキシ樹脂はエポキシ基と反応する官能基を有するオルガノシロキサンとエポキシ樹脂との反応物として得ることができる。シリコーン変性エポキシ樹脂は常温で液状であることが好ましい。
エポキシ基と反応する官能基を有するオルガノシロキサンとしては、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、フェノール性水酸基、メルカプト基等を1分子中に1個以上有する、ジメチルシロキサン、ジフェニルシロキサン、メチルフェニルシロキサン等が挙げられる。エポキシ基と反応する官能基を有するオルガノシロキサンの重量平均分子量は特に制限されず、500~5000であることが好ましい。重量平均分子量が500以上であると、樹脂系との相溶性が高くなりすぎず、添加剤としての効果を発揮しやすい。重量平均分子量が5000以下であると、樹脂成分に相溶するため、シリコーン変性エポキシ樹脂の成形時に分離、しみ出し等が抑制され、接着性及び外観が損なわれにくい傾向にある。
シリコーン変性エポキシ樹脂を得るためのエポキシ樹脂としては、液状樹脂組成物の樹脂成分に相溶するものであれば特に制限はなく、液状樹脂組成物に一般に使用されているエポキシ樹脂を用いることができる。
シリコーン変性エポキシ樹脂を得るためのエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、ナフタレンジオール、水添ビスフェノールA等とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のフェノール類とアルデヒド類とを縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したノボラック型エポキシ樹脂;フタル酸、ダイマー酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等のポリアミンとエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂;脂環族エポキシ樹脂などが挙げられる。シリコーン変性エポキシ樹脂を得るためのエポキシ樹脂は1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。シリコーン変性エポキシ樹脂を得るためのエポキシ樹脂としては、常温で液状であるエポキシ樹脂が好ましい。
液状樹脂組成物中の界面活性剤の含有率は特に制限されず、液状樹脂組成物全体に対して、0.01質量%~1.5質量%であることが好ましく、0.05質量%~1質量%であることがより好ましい。含有率が0.01質量%以上であると、界面活性剤の作用を発揮しやすい傾向にあり、1.5質量%以下であると、硬化時に硬化物表面からの染み出しが抑制され接着力が向上する傾向にある。
(硬化促進剤)
液状樹脂組成物は、必要に応じて硬化促進剤を含有してもよい。硬化促進剤の種類は特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。
硬化促進剤としては、1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、1,5-ジアザ-ビシクロ[4.3.0]ノネン、5、6-ジブチルアミノ-1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7等のシクロアミジン化合物;トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン化合物;2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,4-ジアミノ-6-(2’-メチルイミダゾリル-(1’))-エチル-s-トリアジン、2-ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾール化合物;トリブチルホスフィン等のトリアルキルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン等のジアルキルアリールホスフィン、メチルジフェニルホスフィン等のアルキルジアリールホスフィン、トリフェニルホスフィン、アルキル基置換トリフェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類、及びこれらの化合物に無水マレイン酸、1,4-ベンゾキノン、2,5-トルキノン、1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルベンゾキノン、2,6-ジメチルベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-5-メチル-1,4-ベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-1,4-ベンゾキノン、フェニル-1,4-ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物;2-エチル-4-メチルイミダゾールテトラフェニルボレート、N-メチルモルホリンテトラフェニルボレート等のフェニルボロン塩;並びにこれらの誘導体などが挙げられる。
また、潜在性を有する硬化促進剤を用いてもよい。潜在性を有する硬化促進剤としては、常温で固体のアミノ基を有する化合物をコアとして、常温で固体のエポキシ化合物のシェルを被覆してなるコアシェル粒子が挙げられる。このようなコアシェル粒子としては、市販品であるアミキュア(味の素株式会社製、商品名)、マイクロカプセル化されたアミンをビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂に分散させたノバキュア(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名)等が挙げられる。硬化促進剤は1種を単独で用いても2種以上を組合せて用いてもよい。
硬化促進剤の含有率は、硬化促進効果が達成される量であれば特に制限されず、エポキシ樹脂に対して0.1質量%~40質量%であることが好ましく、1質量%~20質量%であることがより好ましい。硬化促進剤の含有率がエポキシ樹脂に対して0.1質量%以上であると、短時間でも硬化性に優れる傾向にあり、40質量%以下であると、硬化速度を制御しやすく、ポットライフ、シェルライフ等の保存安定性を制御しやすい傾向にある。
また、カップリング剤の縮合反応、及びカップリング剤中のシラノール基とシリカ等の無機充填材のシラノール基との反応を促進させ、無機充填材の分散性向上、液状樹脂組成物の低粘度化等を図る場合には、プロトンを供給する酸、ルイス酸等の触媒を添加してもよい。なかでもルイス酸としては、保存安定性の観点から、金属種を含むキレート剤が好ましい。金属種を含むキレート剤としては、アルミ、ホウ素、コバルト、チタン等のキレート剤が挙げられる。
ルイス酸の含有量は無機充填材100質量部に対して0.001質量部~1.0質量部であることが好ましく、0.002質量部~0.8質量部であることがより好ましく、0.005質量部~0.6質量部であることがさらに好ましい。
(イオン交換体)
液状樹脂組成物は、必要に応じてイオン交換体を含有してもよい。液状樹脂組成物がイオン交換体を含有すると、IC等の半導体素子の耐マイグレーション性、耐湿性、体温放置特性等が向上する傾向にある。イオン交換体としては、下記組成式(I)又は(II)で表される化合物が挙げられる。
Mg1-XAl(OH)(COX/2・mHO ・・・(I)
(0<X≦0.5、mは正の数)
BiO(OH)(NO・・・(II)
(0.9≦x≦1.1、 0.6≦y≦0.8、 0.2≦z≦0.4)
イオン交換体の添加量としては0.1質量%~3.0質量%が好ましく、0.3質量%以上1.5質量%以下であることがより好ましい。イオン交換体の体積平均粒径は0.1μm~3.0μmであることが好ましい。イオン交換体の体積平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置により測定された体積基準の粒度分布において、小径側からの累積が50%となるときの粒子径(D50)として測定することができる。イオン交換体の最大粒径は10μmであることが好ましい。
上記式(I)で表される化合物としては、市販品であるDHT-4A(協和化学工業株式会社製、商品名)が挙げられる。また、上記式(II)で表される化合物としては、市販品であるIXE500(東亞合成株式会社製、商品名)が挙げられる。また、必要に応じてその他の陰イオン交換体を添加してもよい。陰イオン交換体の種類は特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、アンチモン等から選ばれる元素の含水酸化物などが挙げられる。イオン交換体は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(その他の添加剤)
液状樹脂組成物は、その他の添加剤として、染料、カーボンブラック等の着色剤、希釈剤、レベリング剤、消泡剤などを必要に応じて配合してもよい。
[液状樹脂組成物の調製方法]
樹脂液状組成物は、各種成分を均一性高く分散混合できるのであれば、いかなる手法を用いて調製してもよい。例えば、成分を秤量し、らいかい機、ミキシングロール、プラネタリミキサ等を用いて混合及び混練し、必要に応じて脱泡することによって得ることができる。
〔液状樹脂組成物の物性〕
(粘度)
液状樹脂組成物の粘度は特に制限されない。コーン角度3゜、コーン半径14mmのコーンロータを装着したEHD型回転粘度計を用いて測定した、25℃、10rpm、換算係数0.5での液状樹脂組成物の粘度は、例えば、流動性の観点から、1Pa・s~50Pa・sであることが好ましく、3Pa・s~30Pa・sであることがより好ましく、3Pa・s~20a・sであることがさらに好ましい。
また、アンダーフィル材等の用途で100℃~120℃付近の液状樹脂組成物を狭ギャップ間に充填する際の充填性の観点から、液状樹脂組成物の110℃における粘度は、例えば、0.3Pa・s以下であることが好ましく、0.2Pa・s以下であることがより好ましい。なお、液状樹脂組成物110℃における粘度は、レオメーターを用いて測定される。具体的には、実施例に記載の方法で測定することができる。
〔液状樹脂組成物の硬化物の物性〕
以下に記載の液状樹脂組成物の硬化物の熱膨張係数、弾性率、及びガラス転移温度の測定において、硬化物は液状樹脂組成物を165℃で2時間加熱して得られたものとする。
(線膨張係数)
液状樹脂組成物を硬化物としたときの線膨張係数は特に制限されない。例えば、圧縮法にて0℃から300℃まで5℃/minで昇温測定し、10℃~30℃における接線の傾きとして求められる線膨張係数(CTE1)は、29ppm/℃未満であることが好ましく、28ppm/℃以下であることがより好ましく、27ppm/℃以下であることがさらに好ましく、26ppm/℃以下であることが特に好ましい。ガラス転移温度以下の線膨張係数が29ppm/℃未満であると、リフローの際のバンプクラックの発生が抑制され、かつ耐温度サイクル特性が向上する傾向にある。ガラス転移温度以下の熱膨張係数は15ppm/℃以上であってもよい。ガラス転移温度以下の熱膨張係数はTMA(熱機械分析)で測定することができる。具体的には、実施例に記載の方法で測定することができる。
一般的に、液状樹脂組成物の弾性率が下がると、線膨張係数は上昇する傾向にある。このため、一般的に、弾性率を下げつつ線膨張係数を抑えることは困難である。しかしながら、本開示の液状樹脂組成物は、弾性率を下げつつ線膨張係数を抑えることができる傾向にある。このため本開示の液状樹脂組成物は、効果的に耐温度サイクル性を向上させることができると考えられる。
(弾性率)
液状樹脂組成物を硬化物としたときの弾性率は特に制限されない。耐リフロー性の観点から、本開示の液状樹脂組成物を硬化物としたときの240℃における弾性率は、0.10GPa以下であることが好ましく、0.08GPa以下であることがより好ましく、0.06GPa以下であることがさらに好ましく、0.05GPa未満であることが特に好ましく、0.04GPa以下であることが極めて好ましい。
液状樹脂組成物を硬化物としたときの弾性率は、DMA(動的粘弾性測定)で測定することができる。具体的には、実施例に記載の方法で測定することができる。
(ガラス転移温度)
液状樹脂組成物を硬化物としたときのガラス転移温度(Tg)は特に制限されず、60℃~150℃であることが好ましく、70~140℃であることがより好ましく、80~140℃であることがさらに好ましい。ガラス転移温度が60℃以上であると、高温でのバンプの保護性が高く断線が生じにくくなる傾向にある。ガラス転移温度が150℃以下であると常温(25℃)での反りが大きくなりにくい傾向にある。硬化物のガラス転移温度は、熱機械分析装置(TMA)によって測定することができる。具体的には、実施例に記載の方法で測定することができる。
[液状樹脂組成物の用途]
一実施態様では、本開示の液状樹脂組成物は、電子部品と、前記電子部品と接続部を介して電気的に接続されている支持部材とを備える電子部品装置の、前記接続部を封止するために用いられる。電子部品装置の構成及び封止方法の詳細は後述の通りである。
≪電子部品装置、及び電子部品装置の製造方法≫
本開示の電子部品装置は、電子部品と、前記電子部品と接続部を介して電気的に接続されている支持部材と、前記接続部を封止している本開示のアンダーフィル用液状樹脂組成物の硬化物と、を備える。
本開示の電子部品装置の製造方法は、電子部品と、前記電子部品と接続部を介して電気的に接続されている支持部材と、の間の前記接続部を、本開示のアンダーフィル用液状樹脂組成物で封止する工程を有する。
電子部品としては、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、抵抗アレイ、コイル、スイッチ等の受動素子などが挙げられる。電子部品の大きさは特に制限されず、一例として、長さ20mm×幅20mmの半導体チップが挙げられる。また、本開示の液状樹脂組成物は、より半導体チップのサイズが大きい場合でも、アンダーフィル材としての信頼性に優れる。
支持部材としては、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、配線板(リジッド又はフレキシブル)、ガラス、シリコーンウエハ等が挙げられる。
本開示の電子部品装置において電子部品と支持部材は接続部を介して電気的に接続されている。接続部としてはバンプ等が挙げられる。バンプとしては、例えば、銅ピラーを用いるバンプであってもよい。銅ピラーを用いるバンプを有するパッケージは、薄型化又は高密度化されたパッケージに多く用いられるようになってきたが、一般的に、温度サイクル後の剥離、クラック、吸湿耐熱試験後の剥離等の不良が発生しやすい傾向にある。しかしながら、本開示の電子部品装置は、本開示の液状樹脂組成物を用いているため、銅ピラーを用いるパッケージであっても耐温度サイクル性に優れる。
電子部品装置としては、例えば、支持部材上に電子部品をバンプ接続によりフリップチップボンディングして得られる、フリップチップ型の半導体装置が挙げられる。フリップチップ型の半導体装置としては、BGA(Ball Grid Array)、LGA(Land Grid Array)、COF(Chip On Film)等が挙げられる。
電子部品装置としては、高密度化又は大型化された電子部品装置であってもよい。一般的に、電子部品装置の高密度化又は大型化に伴い、電子部品のサイズが大きくなったり、多ピン化によりバンプの小径化、狭ピッチ化、及び狭ギャップ化が進むと、温度サイクル後の剥離、クラック等の不良が生じやすい傾向にある。しかしながら、本開示の電子部品装置は本開示の液状樹脂組成物を用いているため、高密度化又は大型化された電子部品装置であっても耐温度サイクル性に優れる。
本開示の電子部品装置において、接続部は本開示の液状樹脂組成物の硬化物により封止されている。封止方法は特に制限されず、ディスペンス方式、注型方式、印刷方式等が挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<液状樹脂組成物の調製>
実施例及び比較例の液状樹脂組成物に用いた各成分を以下に示す。
<エポキシ樹脂>
・エポキシ樹脂1:エポキシ当量が160g/eqであり、ビスフェノールF型の液状エポキシ樹脂
・エポキシ樹脂2:トリグリシジル-p-アミノフェノール、エポキシ当量:95g/eq
・エポキシ樹脂3:1,6-ビス(グリシジルオキシ)ナフタレン、エポキシ当量:143g/eq
・エポキシ樹脂4:エポキシ当量が135g/eqであり、アルキレン基を有する2官能の液状エポキシ樹脂
<アミン硬化剤>
・硬化剤1:活性水素当量63g/eqの液状アミン樹脂
・硬化剤2:活性水素当量45g/eqの液状アミン樹脂
・無機充填材:最大粒径25μm、体積平均粒径0.5μmのシリカ
上記無機充填材の体積平均粒径は、メジアン径(D50)である。また、この体積平均粒径はレーザー回折散乱式粒度分布計によって測定された値である。
・着色剤:カーボンブラック
・ポリエステルポリオール1(数平均分子量:約2000)
・ポリエステルポリオール2(数平均分子量:約2000)
・ポリエステルポリオール3(数平均分子量:約2000)
各成分を表1及び表2に示す組成で配合し、三本ロール及び真空擂潰機で混練分散した後、実施例及び比較例の液状樹脂組成物を調製した。
<流動特性の評価>
(25℃での粘度)
調製した液状樹脂組成物の25℃での粘度を、EHD型回転粘度計にて25℃で1分間、所定の回毎分(10rpm、5rpm、2.5rpm、1rpm)で回転させ、その時の測定値に所定の換算係数を乗じた値とした。上記測定値は、25±1℃に保たれた組成物について、コーン角度3゜、コーン半径14mmのコーンロータを装着したEHD型回転粘度計を用いて得た。前記回毎分及び換算係数は、測定対象の組成物の粘度を予め大まかに推定し、推定値に応じて決定した。
測定対象の組成物の粘度の推定値が0Pa・s以上50Pa・s未満の場合は回転数を10rpm、換算係数を0.5とし、粘度の推定値が50Pa・s以上100Pa・s未満の場合は回転数を5rpm、換算係数を1とし、粘度の推定値が100Pa・s以上200Pa・s未満の場合は回転数を2.5rpm、換算係数を2とし、粘度の推定値が200Pa・s以上500Pa・s未満の場合は回転数を1rpm、換算係数を5とした。
(110℃での粘度)
調製した液状樹脂組成物の110℃での粘度を、AR2000(商品名、TA Instruments社製)を用いて測定した。40mmパラレルプレート、せん断速度32.5(1/s)の条件で測定を行い、110℃での粘度を測定した。
<熱膨張係数(CTE1)の評価>
液状樹脂組成物を165℃で2時間硬化させた。硬化物をφ8mm×20mmのサイズに切り出して試験片を作製した。試験片及び熱機械分析装置(商品名:TMA2940、TA Instruments社製)を用いて、圧縮法にて0℃から300℃まで5℃/minで昇温測定し、10℃~30℃における接線の傾きをCTE1とした。
<弾性率の評価>
液状樹脂組成物を165℃で2時間硬化させた。硬化物を60mm×10mm×2mmのサイズに切り出して試験片を作製した。試験片及び粘弾性測定装置(商品名:RSAIII、TA Instruments社製)を用いて、スパン間距離40mm、周波数1Hzの条件下、3点曲げ法にて0℃から300℃まで3℃/分で昇温し、240℃における貯蔵弾性率の値を高温弾性率とした。
<ガラス転移温度>
液状樹脂組成物を165℃で2時間硬化させて試験片を作製した。上記熱膨張係数の評価と同じ装置、及び条件で測定を行い、50℃と150℃における接線の交点に対応する温度をガラス転移温度(℃)とした。
<フロータイムの評価>
2枚のガラスで厚さ25μmの東京シクネス株式会社製スペーサーを挟み、幅1.5mm、高さ25μmの流路を作った。これを110℃のホットプレート上に水平に置いた後、アンダーフィル材を流路の開口部に滴下し、流路中に深さ20mmまで浸入する時間を測定した。
Figure 2023023598000001
Figure 2023023598000002
なお、硬化剤の含有量(当量比)は、エポキシ樹脂中のエポキシ基数を1とした場合の硬化剤中の官能基数を表す。無機充填材の含有量は、組成物全量に対する無機充填材の含有量(質量%)を表す。ポリエステルポリオールの含有率について、樹脂成分に対する質量%とは、エポキシ樹脂、硬化剤及びポリエステルポリオールの合計に対する質量%を意味する。
評価の結果、同様のエポキシ樹脂及び硬化剤の組み合わせにて、本開示のポリエステルポリオールを含有する実施例では、ポリエステルポリオールを含有しない比較例よりもCTE1及び240℃での弾性率が低い液状樹脂組成物が得られた。

Claims (8)

  1. ビスフェノール型エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂と、
    硬化剤と、
    無機充填材と、
    ポリエステルポリオールと、
    を含有する、アンダーフィル用液状樹脂組成物。
  2. 75℃での前記ポリエステルポリオールの粘度は、50mPa・s~1500mPa・sである請求項1に記載のアンダーフィル用液状樹脂組成物。
  3. コーン角度3゜、コーン半径14mmのコーンロータを装着したEHD型回転粘度計を用いて測定した、25℃、10rpm、換算係数0.5での粘度が1Pa・s~50Pa・sである請求項1又は請求項2に記載のアンダーフィル用液状樹脂組成物。
  4. 前記エポキシ樹脂は、ナフタレン型ジグリシジルエーテルエポキシ樹脂をさらに含む請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のアンダーフィル用液状樹脂組成物。
  5. 前記硬化剤は、アミン硬化剤を含む請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のアンダーフィル用液状樹脂組成物。
  6. 電子部品と、前記電子部品と接続部を介して電気的に接続されている支持部材とを備える電子部品装置の、前記接続部を封止するために用いられる、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のアンダーフィル用液状樹脂組成物。
  7. 電子部品と、
    前記電子部品と接続部を介して電気的に接続されている支持部材と、
    前記接続部を封止している請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のアンダーフィル用液状樹脂組成物の硬化物と、
    を備える電子部品装置。
  8. 電子部品と、前記電子部品と接続部を介して電気的に接続されている支持部材と、の間の前記接続部を、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のアンダーフィル用液状樹脂組成物で封止する工程を有する、電子部品装置の製造方法。
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