JP2023022806A - 粘着剤および粘着シート - Google Patents

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慎太郎 野依
Shintaro Noyori
一輝 笹原
Kazuki Sasahara
普史 形見
Fushi Katami
昌邦 藤田
Masakuni Fujita
賢一 片岡
Kenichi Kataoka
智哉 西野
Tomoya Nishino
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Abstract

【課題】高屈折率と柔軟性とを両立し得る粘着剤を提供する。【解決手段】屈折率が1.55以上であり、かつ、0℃における貯蔵弾性率G’(0℃)が1.0×104Pa~1.0×106Paの範囲内にある粘着剤が提供される。【選択図】図1

Description

本発明は、粘着剤および粘着シートに関する。
一般に、粘着剤(感圧接着剤ともいう。以下同じ。)は、室温付近の温度域において柔らかい固体(粘弾性体)の状態を呈し、圧力により簡単に被着体に接着する性質を有する。このような性質を活かして、粘着剤は、家電製品から自動車、各種機械、電気機器、電子機器等の様々な産業分野において、接合や固定、保護等の目的で広く利用されている。粘着剤の用途の一例として、液晶表示装置や有機EL表示装置等のような表示装置において、偏光フィルム、位相差フィルム、カバーウィンドウ部材、その他種々の光透過性部材と、他の部材とを接合する用途が挙げられる。光学部材用の粘着剤に関する技術文献として特許文献1、2が挙げられる。
特開2014-169382号公報 特開2017-128732号公報
特許文献1、2は、モノマー単位として芳香環を複数有するモノマーを含有する(メタ)アクリル酸エステル重合体を主成分とする粘着剤組成物、および該粘着剤組成物を架橋してなる粘着剤を開示しており、芳香環を複数有するモノマーを用いることで粘着剤の屈折率を1.50以上、特に好ましくは1.51以上とすることを提案している。例えば、光学部材など、粘着剤が貼り付けられる材料のなかには、屈折率が高い材料があり、そのような高屈折率材料の接合に一般的なアクリル系粘着剤を用いると、両者の屈折率差に起因して界面で反射が生じることが知られている。上記高屈折材料の接合等に用いる粘着剤として、屈折率の高い粘着剤を用いることにより、上記界面反射を防止または抑制することができる。なお、アクリル系粘着剤の屈折率は通常1.47程度である。
ところで、粘着剤は、その適用箇所や使用態様に応じて、良好な柔軟性を有するものが好ましく用いられ得る。例えば、近年、スマートフォン等の電子機器に用いられる有機EL表示装置等のディスプレイとして、フォルダブルディスプレイやローラブルディスプレイが実用化されており、上記用途に用いられる粘着剤も、繰り返し折り曲げられる被着体に追従する柔軟性を有する必要がある。柔軟性に優れる粘着剤は、3次元形状等の曲面形状の表面にも追従、密着しやすく、曲面形状を有する電子機器用途にも好適である。高屈折率を有する粘着剤についても、柔軟性を高めることができれば、上述の柔軟性が求められる用途に適用することができ、有用である。しかし、粘着性ポリマーのモノマー成分や粘着剤用添加剤として用いられる高屈折率材料は、芳香環を有するなどガラス転移温度が高い傾向があり、高屈折率材料を用いて形成された粘着剤では、柔軟性が低下する傾向がある。粘着剤の設計において、高屈折率と柔軟性とはトレードオフの関係にある。
本発明は、上記の事情に鑑みて創出されたものであり、高屈折率と柔軟性とを両立し得る粘着剤を提供することを目的とする。本発明の他の目的は、上記粘着剤を含む粘着シートを提供することである。
この明細書によると、屈折率が1.55以上であり、かつ、0℃における貯蔵弾性率G’(0℃)が1.0×10Pa~1.0×10Paの範囲内にある粘着剤が提供される。上記粘着剤によると、高い屈折率を有しつつ、貯蔵弾性率G’(0℃)の範囲が低い範囲に抑制されているので、高屈折率と柔軟性とを両立するものとなり得る。かかる粘着剤は、フォルダブルディスプレイ用途など、高い屈折率を有することが望ましく、かつ繰返しの折曲げ操作に耐え得る柔軟性を有することが求められる用途における接合や固定、保護等に適している。
いくつかの態様において、ガラス転移温度(Tg)が-50℃~0℃の範囲内にある粘着剤が用いられる。Tgが-50~0℃の範囲にある粘着剤によると、良好な柔軟性が得られやすい傾向がある。
いくつかの態様において、80℃における貯蔵弾性率G’(80℃)に対する前記貯蔵弾性率G’(0℃)の比(G’(0℃)/G’(80℃))が1~1000の範囲内にある粘着剤が用いられる。上記の特性を満足する粘着剤によると、0℃から高温域まで幅広い温度域において弾性率の変化が抑制されているので、温度変化に対して安定した特性(柔軟性等)を発揮しやすい。
いくつかの好ましい態様において、80℃における貯蔵弾性率G’(80℃)に対する-10℃における貯蔵弾性率G’(-10℃)の比(G’(-10℃)/G’(80℃))が1~1000の範囲内にある粘着剤が用いられる。上記の特性を満足する粘着剤によると、低温域から高温域まで幅広い温度域において弾性率の変化が抑制されているので、温度変化に対して安定した特性(柔軟性等)を発揮しやすく好ましい。
また、この明細書によると、ここに開示されるいずれかの粘着剤(ここに開示されるいずれかの粘着剤組成物から形成された粘着剤であり得る。)からなる粘着剤層を含む粘着シートが提供される。ここに開示される粘着剤は、粘着シートの形態に成形されて、例えばフォルダブルディスプレイを構成する部材等の各種部材に貼り付けられる態様で好ましく用いられる。
いくつかの態様において、前記粘着剤層の厚さは5~75μmの範囲内にある。厚さ5~75μmの粘着剤層を備える態様で、ここに開示される技術は好ましく実施され得る。
いくつかの態様において、前記貯蔵弾性率G’(0℃)[Pa]と前記粘着剤層の厚さT[μm]との積(G’(0℃)×T)が5.0×10~5.0×10の範囲内にある。上記パラメータ(G’(0℃)×T)が5.0×10以上であることは、薄厚の粘着剤層においては、1.0×10Pa~1.0×10Paの範囲の貯蔵弾性率G’(0℃)を採用できることを意味する。一方、上記パラメータが5.0×10以下であることは、粘着剤層の厚さおよび貯蔵弾性率G’(0℃)の上限が制限されていることを意味する。上記パラメータを満足する粘着シートによると、粘着剤層の薄さ(所定値以下の厚み)と、1.0×10Pa~1.0×10Paの範囲において制限された貯蔵弾性率G’(0℃)とに基づき、優れた柔軟性を発揮し得る。
いくつかの好ましい態様において、粘着シートの全光線透過率は85%以上である。このように透明性の高い粘着シートは、高い光透過性が求められる用途(例えば光学用途)や、該粘着シートを通して被着体を良好に視認し得る性能が求められる用途に好ましく利用され得る。
いくつかの好ましい態様において、粘着シートのヘイズ値は3%以下である。このように透明性の高い粘着シートは、高い光透過性が求められる用途(例えば光学用途)や、該粘着シートを通して被着体を良好に視認し得る性能が求められる用途に好ましく利用され得る。
いくつかの態様に係る粘着シートは、ガラス板に対する剥離強度(粘着力)が0.1N/25mm以上である。上記粘着力を有する粘着シートは、被着体に貼り付ける態様で好ましく使用され得る。
なお、本明細書に記載された各要素を適宜組み合わせたものも、本件特許出願によって特許による保護を求める発明の範囲に含まれ得る。
一実施形態に係る粘着シートの構成を模式的に示す断面図である。 他の一実施形態に係る粘着シートの構成を模式的に示す断面図である。 他の一実施形態に係る粘着シートの構成を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、本明細書に記載された発明の実施についての教示と出願時の技術常識とに基づいて当業者に理解され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明することがあり、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、図面に記載の実施形態は、本発明を明瞭に説明するために模式化されており、実際に提供される製品のサイズや縮尺を必ずしも正確に表したものではない。
この明細書において、粘着剤の「ベースポリマー」とは、該粘着剤に含まれるゴム状ポリマーの主成分をいう。上記ゴム状ポリマーとは、室温付近の温度域においてゴム弾性を示すポリマーをいう。また、この明細書において「主成分」とは、特記しない場合、50重量%を超えて含まれる成分を指す。
この明細書において「アクリル系ポリマー」とは、該ポリマーを構成するモノマー単位として、1分子中に少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を有するモノマーに由来するモノマー単位を含む重合物をいう。以下、1分子中に少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を有するモノマーを「アクリル系モノマー」ともいう。したがって、この明細書におけるアクリル系ポリマーは、アクリル系モノマーに由来するモノマー単位を含むポリマーとして定義される。アクリル系ポリマーの典型例として、該ポリマーを構成するモノマー成分のうち50重量%超(好ましくは70重量%超、例えば90重量%超)がアクリル系モノマーであるアクリル系ポリマーが挙げられる。
また、この明細書において「アクリル系モノマー」とは、1分子中に少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を有するモノマーをいう。ここで、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基およびメタクリロイル基を包括的に指す意味である。したがって、ここでいうアクリル系モノマーの概念には、アクリロイル基を有するモノマー(アクリル系モノマー)とメタクリロイル基を有するモノマー(メタクリル系モノマー)との両方が包含され得る。同様に、この明細書において「(メタ)アクリル酸」とはアクリル酸およびメタクリル酸を、「(メタ)アクリレート」とはアクリレートおよびメタクリレートを、それぞれ包括的に指す意味である。他の類似用語も同様である。
<粘着剤の特性>
(屈折率)
ここに開示される粘着剤は、屈折率が1.55以上であることによって特徴づけられる。上記粘着剤の屈折率は、1.560以上であることが適当であり、好ましくは1.570超である。いくつかの態様において、上記粘着剤の屈折率は、1.575以上であってもよく、1.580以上でもよく、1.585以上でもよい。かかる屈折率を有する粘着剤によると、屈折率が高い材料に貼り付けられる使用態様において、被着体との界面における光線反射を好適に抑制し得る。粘着剤の屈折率の好ましい上限は、被着体の屈折率等に応じて異なり得るので特定の範囲に限定されず、例えば1.700以下であってよく、1.670以下でもよく、1.650以下でもよく、1.620以下でもよく、1.600以下でもよい。
粘着剤の屈折率は、例えば、該粘着剤の組成(例えば、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分の組成)によって調節することができる。例えば、モノマー成分におけるモノマー(A1)の含有量の多いアクリル系ポリマーや、添加剤(HRO)を含むことにより、所定以上の屈折率を示す粘着剤を調製することができる。
なお、本明細書において粘着剤の屈折率とは、該粘着剤の表面(粘着面)の屈折率をいう。粘着剤の屈折率は、市販の屈折率測定装置(アッベ屈折率計)を用いて、測定波長589nm、測定温度25℃の条件で測定することができる。アッベ屈折率計としては、例えばATAGO社製の型式「DR-M4」またはその相当品が用いられる。測定サンプルとしては、評価対象の粘着剤からなる粘着剤層を用いることができる。粘着剤の屈折率は、具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
(貯蔵弾性率G’)
また、ここに開示される粘着剤は、0℃における貯蔵弾性率G’(0℃)が1.0×104Pa~1.0×106Paの範囲内にあることをもう一つの特徴とする。上記粘着剤によると、高い屈折率を有しつつ、貯蔵弾性率G’(0℃)の範囲が低い範囲に抑制されているので、高屈折率と柔軟性とを両立するものとなり得る。上記範囲の貯蔵弾性率G’(0℃)を有する粘着剤は、高屈折率と柔軟性とを両立し、繰返しの折曲げ操作に耐え得る柔軟性を有するものとなり得る。上記貯蔵弾性率G’(0℃)は、好ましくは5.0×10Pa以下であり、2.0×10Pa以下であってもよく、1.0×10Pa以下でもよく、7.0×10Pa以下でもよく、5.0×10Pa以下でもよく、3.0×10Pa以下でもよい。また、上記貯蔵弾性率G’(0℃)は、好ましくは2.0×10Pa以上、より好ましくは4.0×10Pa以上であり、6.0×10Pa以上でもよく、1.0×10Pa以上でもよい。
ここに開示される粘着剤の80℃における貯蔵弾性率G’(80℃)は、特に限定されず、例えば1.0×10Pa未満であることが適当であり、好ましくは5.0×10Pa未満、より好ましくは3.0×10Pa未満であり、1.0×10Pa未満であってもよく、5.0×10Pa以下でもよい。上記のように貯蔵弾性率G’(80℃)が制限された粘着剤は、高温域において良好な柔軟性を有する。上記貯蔵弾性率G’(80℃)の下限は特に限定されず、例えば1.0×10Pa以上であり、5.0×10Pa以上であることが適当であり、好ましくは1.0×10Pa以上、より好ましくは3.0×10Pa以上であり、5.0×10Pa以上であってもよい。上記貯蔵弾性率G’(80℃)を有する粘着剤は、高温域においても適度な凝集力を有し、耐熱性に優れる傾向があり、好ましい。
ここに開示される粘着剤の-10℃における貯蔵弾性率G’(-10℃)は、特に限定されず、例えば1.0×10Pa未満であってもよく、1.0×10Pa未満でもよく、1.0×10Pa未満であることが適当であり、好ましくは5.0×10Pa以下であり、1.0×10Pa以下であってもよく、5.0×10Pa以下でもよく、1.0×10Pa以下でもよい。上記のように貯蔵弾性率G’(-10℃)が制限された粘着剤は、より優れた柔軟性を有するものとなり得る。例えば、低温域において良好な柔軟性を有し、低温域を含む広い温度域にて、繰返しの折曲げ操作に耐え得る柔軟性を有するものとなり得る。上記貯蔵弾性率G’(-10℃)の下限は特に限定されず、例えば1.0×10Pa以上であり、1.0×10Pa以上であることが適当であり、好ましくは5.0×10Pa以上、より好ましくは1.0×10Pa以上であり、5.0×10Pa以上であってもよく、1.0×10Pa以上でもよく、5.0×10Pa以上でもよい。上記貯蔵弾性率G’(-10℃)を有する粘着剤は、柔軟性を有しつつ、適度な凝集力を備えるものとなり得る。また、上記貯蔵弾性率G’(-10℃)を有する粘着剤によると、低温域においても高屈折率と柔軟性とを両立しやすい傾向がある。
ここに開示される粘着剤の-20℃における貯蔵弾性率G’(-20℃)は、特に限定されず、例えば1.0×1010Pa未満であってもよく、1.0×10Pa未満でもよく、5.0×10Pa以下であることが適当であり、1.0×10Pa以下であってもよく、5.0×10Pa以下でもよく、1.0×10Pa以下でもよく、5.0×10Pa以下でもよく、1.0×10Pa以下でもよく、5.0×10Pa以下でもよい。上記のように貯蔵弾性率G’(-20℃)が制限された粘着剤は、特に優れた柔軟性を有するものとなり得る。例えば、より低い温度域において良好な柔軟性を有し、低温域を含む広い温度域にて、繰返しの折曲げ操作に耐え得る柔軟性を有するものとなり得る。上記貯蔵弾性率G’(-20℃)の下限は特に限定されず、例えば1.0×10Pa以上であり、1.0×10Pa以上であることが適当であり、好ましくは1.0×10Pa以上、より好ましくは1.0×10Pa以上であり、5.0×10Pa以上であってもよく、1.0×10Pa以上でもよい。上記貯蔵弾性率G’(-20℃)を有する粘着剤は、柔軟性を有しつつ、適度な凝集力を備えるものとなり得る。また、上記貯蔵弾性率G’(-20℃)を有する粘着剤によると、低温域においても高屈折率と柔軟性とを両立しやすい傾向がある。
(貯蔵弾性率比)
いくつかの態様において、粘着剤として、80℃における貯蔵弾性率G’(80℃)に対する0℃における貯蔵弾性率G’(0℃)の比(G’(0℃)/G’(80℃))が、1~1000の範囲内にある粘着剤が用いられる。上記の特性を満足する粘着剤によると、0℃から高温域まで幅広い温度域において弾性率の変化が抑制されているので、温度変化に対して安定した特性(柔軟性等)を発揮しやすい。上記比(G’(0℃)/G’(80℃))は、300以下が適当であり、好ましくは100以下、より好ましくは50以下であり、25以下であってもよく、10以下でもよく、5以下でもよい。上記比(G’(0℃)/G’(80℃))の下限値は、例えば2以上であってもよく、3以上でもよい。
いくつかの態様において、粘着剤として、80℃における貯蔵弾性率G’(80℃)に対する-10℃における貯蔵弾性率G’(-10℃)の比(G’(-10℃)/G’(80℃))が、1~1000の範囲内にある粘着剤が用いられる。上記の特性を満足する粘着剤によると、低温域から高温域まで幅広い温度域において弾性率の変化が抑制されているので、温度変化に対して安定した特性(柔軟性等)を発揮しやすく、好ましい。上記比(G’(-10℃)/G’(80℃))は、300以下が適当であり、好ましくは150以下、より好ましくは100以下であり、50以下であってもよく、30以下でもよく、20以下でもよく、10以下でもよい。上記比(G’(-10℃)/G’(80℃))の下限値は、例えば2以上であってもよく、3以上でもよい。
いくつかの態様において、粘着剤として、80℃における貯蔵弾性率G’(80℃)に対する-20℃における貯蔵弾性率G’(-20℃)の比(G’(-20℃)/G’(80℃))が、1~1000の範囲内にある粘着剤が用いられる。上記の特性を満足する粘着剤によると、より低い温度域から高温域まで幅広い温度域において弾性率の変化が抑制されているので、温度変化に対して安定した特性(柔軟性等)を発揮することができる。上記比(G’(-20℃)/G’(80℃))は、500以下であってもよく、300以下でもよく、150以下でもよく、100以下でもよく、50以下でもよく、30以下でもよい。上記比(G’(-20℃)/G’(80℃))の下限値は、例えば5以上であってもよく、10以上でもよく、50以上でもよく、100以上でもよい。
粘着剤のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されず、低温域での柔軟性や、高温域での凝集力(耐熱性等)を考慮して設定され得る。いくつかの態様において、粘着剤のTgは、例えば30℃以下であり、15℃以下であってもよく、5℃以下でもよい。いくつかの好ましい態様において、粘着剤のTgは、柔軟性の観点から0℃以下であり、より好ましくは-5℃以下、さらに好ましくは-10℃以下であり、-15℃以下(例えば-20℃以下)であってもよい。粘着剤のTgが低いほど、被着体との密着性など粘着特性にも優れる傾向がある。また、粘着剤のTgを低く設定することにより、Tgよりも高い温度域における弾性率の変化を抑制することができる。粘着剤のTgの下限値は、例えば-50℃以上であり、-40℃以上が適当であり、-30℃以上であってもよい。上記Tgを有する粘着剤によると、適度な凝集力が得られやすい傾向がある。また、高屈折率と低弾性率とを両立した粘着剤を形成しやすい傾向がある。
上記各温度における粘着剤の貯蔵弾性率G’および粘着剤のガラス転移温度Tgは、後述の実施例に記載の方法で測定することができ、その結果から各貯蔵弾性率比を算出することができる。粘着剤の各貯蔵弾性率G’、各貯蔵弾性率比およびガラス転移温度Tgは、例えば、ベースポリマーを構成するモノマー成分の組成の選択(例えば、モノマー(A1)の種類および含有量の選択)、可塑剤種や使用量の選択、架橋剤の使用有無、種類および使用量の選択、添加剤の使用有無、種類および使用量の選択、等により調節し得る。
<粘着剤の組成>
(ベースポリマー)
ここに開示される技術において、粘着剤の種類は特に限定されない。上記粘着剤は、粘着剤の分野において用いられ得るアクリル系ポリマー、ゴム系ポリマー(例えば天然ゴム、合成ゴム、これらの混合物等)、ポリエステル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、ポリエーテル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、フッ素系ポリマー等の各種ゴム状ポリマーの1種または2種以上を粘着性ポリマー(粘着剤を形づくる構造ポリマーという意味で、以下「ベースポリマー」ともいう。)として含むものであり得る。粘着性能やコスト等の観点から、アクリル系ポリマーまたはゴム系ポリマーをベースポリマーとして含む粘着剤を好ましく採用し得る。なかでもアクリル系ポリマーをベースポリマーとする粘着剤(アクリル系粘着剤)が好ましい。ここに開示される技術は、アクリル系粘着剤を用いる態様で好ましく実施される。
以下、アクリル系粘着剤について主に説明するが、ここに開示される粘着剤をアクリル系粘着剤に限定する意図ではない。
(アクリル系ポリマー)
ここに開示される技術は、アクリル系粘着剤を用いる態様で好ましく実施し得る。上記アクリル系粘着剤のベースポリマーであるアクリル系ポリマーとしては、該アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分として芳香環含有モノマー(A1)を含むものが好ましい。すなわち、芳香環含有モノマー(A1)をモノマー単位として含むアクリル系ポリマーが好ましい。ここで、本明細書において「アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分」とは、あらかじめ形成された重合物(オリゴマーであり得る。)の形態で粘着剤組成物に含まれるか、未重合のモノマーの形態で粘着剤組成物に含まれるかを問わず、該粘着剤組成物から形成される粘着剤中においてアクリル系ポリマーの繰返し単位を構成するモノマーを意味する。すなわち、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、重合物、未重合物、部分重合物のいずれの形態で上記粘着剤組成物に含まれていてもよい。粘着剤組成物の調製容易性等の観点から、いくつかの態様において、モノマー成分の実質的に全部(例えば95重量%以上、好ましくは99重量%以上)を重合物の形態で含む粘着剤組成物が好ましい。
(モノマー(A1))
モノマー(A1)としては、1分子中に少なくとも1つの芳香環と少なくとも1つのエチレン性不飽和基とを含む化合物が用いられる。モノマー(A1)としては、かかる化合物の1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記エチレン性不飽和基の例としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、(メタ)アリル基等が挙げられる。重合反応性の観点から(メタ)アクリロイル基が好ましく、柔軟性や粘着性の観点からアクリロイル基がより好ましい。粘着剤の柔軟性低下を抑制する観点から、モノマー(A1)としては、1分子中に含まれるエチレン性不飽和基の数が1である化合物(すなわち、単官能モノマー)が好ましく用いられる。
モノマー(A1)として用いられる化合物1分子に含まれる芳香環の数は、1でもよく、2以上でもよい。上記芳香環の数の上限は特に制限されず、例えば16以下であり得る。いくつかの態様において、アクリル系ポリマーの調製容易性や粘着剤の透明性等の観点から、上記芳香環の数は、例えば12以下であってよく、8以下であることが好ましく、6以下であることがより好ましく、5以下でもよく、4以下でもよく、3以下でもよく、2以下でもよい。
モノマー(A1)として用いられる化合物の有する芳香環は、ベンゼン環(ビフェニル構造やフルオレン構造の一部を構成するベンゼン環であり得る。);ナフタレン環、インデン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環の縮合環;等の炭素環であってもよく、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、トリアジン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、チオフェン環;等の複素環(ヘテロ環)であってもよい。上記複素環において環構成原子として含まれるヘテロ原子は、例えば窒素、硫黄および酸素からなる群から選択される1または2以上であり得る。いくつかの態様において、上記複素環を構成するヘテロ原子は、窒素および硫黄の一方または両方であり得る。モノマー(A1)は、例えばジナフトチオフェン構造のように、1または2以上の炭素環と1または2以上の複素環とが縮合した構造を有していてもよい。
上記芳香環(好ましくは炭素環)は、環構成原子上に1または2以上の置換基を有していてもよく、置換基を有していなくてもよい。置換基を有する場合、該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、水酸基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルキルオキシ基、グリシジルオキシ基等が例示されるが、これらに限定されない。炭素原子を含む置換基において、該置換基に含まれる炭素原子の数は、好ましくは1~4であり、より好ましくは1~3であり、例えば1または2であり得る。いくつかの態様において、上記芳香環は、環構成原子上に置換基を有しないか、アルキル基、アルコキシ基およびハロゲン原子(例えば臭素原子)からなる群から選択される1または2以上の置換基を有する芳香環であり得る。なお、モノマー(A1)の有する芳香環がその環構成原子上に置換基を有するとは、該芳香環が、エチレン性不飽和基を有する置換基以外の置換基を有することをいう。
芳香環とエチレン性不飽和基とは、直接結合していてもよく、リンキング基を介して結合していてもよい。上記リンキング基は、例えば、アルキレン基、オキシアルキレン基、ポリ(オキシアルキレン)基、フェニル基、アルキルフェニル基、アルコキシフェニル基、これらの基において1または2以上の水素原子が水酸基で置換された構造の基(例えば、ヒドロキシアルキレン基)、オキシ基(-O-基)、チオオキシ基(-S-基)、等から選択される1または2以上の構造を含む基であり得る。いくつかの態様において、芳香環とエチレン性不飽和基とが、直接結合しているか、またはアルキレン基、オキシアルキレン基およびポリ(オキシアルキレン)基からなる群から選択されるリンキング基を介して結合している構造の芳香環含有モノマーを好ましく採用し得る。上記アルキレン基および上記オキシアルキレン基における炭素原子数は、好ましくは1~4であり、より好ましくは1~3であり、例えば1または2であり得る。上記ポリ(オキシアルキレン)基におけるオキシアルキレン単位の繰り返し数は、例えば2~3であり得る。
モノマー(A1)として好ましく採用し得る化合物の例として、芳香環含有(メタ)アクリレートおよび芳香環含有ビニル化合物が挙げられる。芳香環含有(メタ)アクリレートおよび芳香環含有ビニル化合物は、それぞれ、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。1種または2種以上の芳香環含有(メタ)アクリレートと、1種または2種以上の芳香環含有ビニル化合物とを組み合わせて用いてもよい。
いくつかの態様において、モノマー(A1)として、高い高屈折率化効果が得られやすいことから、1分子中に2以上の芳香環(好ましくは炭素環)を有するモノマーが用いられ得る。1分子内に2以上の芳香環を有するモノマー(芳香環複数含有モノマー)の例としては、2以上の非縮合芳香環がリンキング基を介して結合した構造を有するモノマー、2以上の非縮合芳香環が直接(すなわち、他の原子を介さずに)化学結合した構造を有するモノマー、縮合芳香環構造を有するモノマー、フルオレン構造を有するモノマー、ジナフトチオフェン構造を有するモノマー、ジベンゾチオフェン構造を有するモノマー、等が挙げられる。芳香環複数含有モノマーは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記リンキング基は、例えばオキシ基(-O-)、チオオキシ基(-S-)、オキシアルキレン基(例えば-O-(CH-基、ここでnは1~3、好ましくは1)、チオオキシアルキレン基(例えば-S-(CH-基、ここでnは1~3、好ましくは1)、直鎖アルキレン基(すなわち-(CH-基、ここでnは1~6、好ましくは1~3)、上記オキシアルキレン基、上記チオオキシアルキレン基および上記直鎖アルキレン基におけるアルキレン基が部分ハロゲン化または完全ハロゲン化された基、等であり得る。粘着剤の柔軟性等の観点から、上記リンキング基の好適例として、オキシ基、チオオキシ基、オキシアルキレン基および直鎖アルキレン基が挙げられる。2以上の非縮合芳香環がリンキング基を介して結合した構造を有するモノマーの具体例としては、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート(例えば、m-フェノキシベンジル(メタ)アクリレート)、チオフェノキシベンジル(メタ)アクリレート、ベンジルベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記2以上の非縮合芳香環が直接化学結合した構造を有するモノマーは、例えばビフェニル構造含有(メタ)アクリレート、トリフェニル構造含有(メタ)アクリレート、ビニル基含有ビフェニル等であり得る。具体例としては、o-フェニルフェノール(メタ)アクリレート、ビフェニルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記縮合芳香環構造を有するモノマーの例としては、ナフタレン環含有(メタ)アクリレート、アントラセン環含有(メタ)アクリレート、ビニル基含有ナフタレン、ビニル基含有アントラセン等が挙げられる。具体例としては、1-ナフチルメチル(メタ)アクリレート(別名:1-ナフタレンメチル(メタ)アクリレート)、ヒドロキシエチル化β-ナフトールアクリレート、2-ナフトエチル(メタ)アクリレート、2-ナフトキシエチルアクリレート、2-(4-メトキシ-1-ナフトキシ)エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記フルオレン構造を有するモノマーの具体例としては、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン(メタ)アクリレート、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、フルオレン構造を有するモノマーは、2つのベンゼン環が直接化学結合した構造部分を含むため、上記2以上の非縮合芳香環が直接化学結合した構造を有するモノマーの概念に包含される。
上記ジナフトチオフェン構造を有するモノマーとしては、(メタ)アクリロイル基含有ジナフトチオフェン、ビニル基含有ジナフトチオフェン、(メタ)アリル基含有ジナフトチオフェン、等が挙げられる。具体例としては、(メタ)アクリロイルオキシメチルジナフトチオフェン(例えば、ジナフトチオフェン環の5位または6位にCHCH(R)C(O)OCH-が結合した構造の化合物。ここで、Rは水素原子またはメチル基である。)、(メタ)アクリロイルオキシエチルジナフトチオフェン(例えば、ジナフトチオフェン環の5位または6位に、CHCH(R)C(O)OCH(CH)-またはCHCH(R)C(O)OCHCH-が結合した構造の化合物。ここで、Rは水素原子またはメチル基である。)、ビニルジナフトチオフェン(例えば、ナフトチオフェン環の5位または6位にビニル基が結合した構造の化合物)、(メタ)アリルオキシジナフトチオフェン、等が挙げられる。なお、ジナフトチオフェン構造を有するモノマーは、ナフタレン構造を含むことにより、またチオフェン環と2つのナフタレン構造とが縮合した構造を有することによっても、上記縮合芳香環構造を有するモノマーの概念に包含される。
上記ジベンゾチオフェン構造を有するモノマーとしては、(メタ)アクリロイル基含有ジベンゾチオフェン、ビニル基含有ジベンゾチオフェン、等が挙げられる。なお、ジベンゾチオフェン構造を有するモノマーは、チオフェン環と2つのベンゼン環とが縮合した構造を有することから、上記縮合芳香環構造を有するモノマーの概念に包含される。
なお、ジナフトチオフェン構造およびジベンゾチオフェン構造は、いずれも、2以上の非縮合芳香環が直接化学結合した構造には該当しない。
いくつかの好ましい態様において、モノマー(A1)として、1分子中に1つの芳香環(好ましくは炭素環)を有するモノマーが用いられる。1分子中に1つの芳香環を有するモノマー(芳香環単数含有モノマー)は、例えば、粘着剤の柔軟性の向上や粘着特性の調整、透明性の向上等に役立ち得る。芳香環単数含有モノマーは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。いくつかの態様において、1分子中に1つの芳香環を有するモノマーは、粘着剤の屈折率向上の観点から、芳香環複数含有モノマーと組み合わせて用いてもよい。
1分子中に1つの芳香環を有するモノマーの例としては、べンジル(メタ)アクリレート、メトキシベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、エトキシ化フェノール(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシブチル(メタ)アクリレート、クレジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、クロロベンジル(メタ)アクリレート等の、炭素芳香環含有(メタ)アクリレート;2-(4,6-ジブロモ-2-s-ブチルフェノキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-(4,6-ジブロモ-2-イソプロピルフェノキシ)エチル(メタ)アクリレート、6-(4,6-ジブロモ-2-s-ブチルフェノキシ)ヘキシル(メタ)アクリレート、6-(4,6-ジブロモ-2-イソプロピルフェノキシ)ヘキシル(メタ)アクリレート、2,6-ジブロモ-4-ノニルフェニルアクリレート、2,6-ジブロモ-4-ドデシルフェニルアクリレート等の、臭素置換芳香環含有(メタ)アクリレート;スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、tert-ブチルスチレン等の、炭素芳香環含有ビニル化合物;N-ビニルピリジン、N-ビニルピリミジン、N-ビニルピラジン、N-ビニルピロール、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルオキサゾール等の、複素芳香環上にビニル置換基を有する化合物;等が挙げられる。
モノマー(A1)としては、上述のような各種芳香環含有モノマーにおけるエチレン性不飽和基と芳香環との間にオキシエチレン鎖を介在させた構造のモノマーを使用してもよい。このようにエチレン性不飽和基と芳香環との間にオキシエチレン鎖を介在させたモノマーは、元のモノマーのエトキシ化物として把握され得る。上記オキシエチレン鎖におけるオキシエチレン単位(-CHCHO-)の繰返し数は、典型的には1~4、好ましくは1~3、より好ましくは1~2であり、例えば1である。エトキシ化された芳香環含有モノマーの具体例としては、エトキシ化o-フェニルフェノール(メタ)アクリレート、エトキシ化ノニルフェノール(メタ)アクリレート、エトキシ化クレゾール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
モノマー(A1)における芳香環複数含有モノマーの含有量は、特に制限されず、例えば5重量%以上、25重量%以上、40重量%以上であり得る。いくつかの態様において、モノマー(A1)における芳香環複数含有モノマーの含有量は、例えば50重量%以上であってよく、より高い屈折率を得やすくする観点から70重量%以上であることが好ましく、85重量%以上でもよく、90重量%以上でもよく、95重量%以上でもよい。モノマー(A1)の実質的に100重量%が芳香環複数含有モノマーであってもよい。すなわち、モノマー(A1)として1種または2種以上の芳香環複数含有モノマーのみを使用してもよい。また、いくつかの態様において、例えば高屈折率と低弾性率、必要な場合はさらに接着力とのバランスを考慮して、モノマー(A1)における芳香環複数含有モノマーの含有量は、100重量%未満であってもよく、98重量%以下でもよく、90重量%以下でもよく、80重量%以下でもよく、70重量%以下でもよく、65重量%以下でもよく、50重量%以下でもよく、25重量%以下でもよく、10重量%以下でもよい。ここに開示される技術は、モノマー(A1)における芳香環複数含有モノマーの含有量が5重量%未満である態様でも実施し得る。芳香環複数含有モノマーを使用しなくてもよい。
アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分における芳香環複数含有モノマーの含有量は、特に制限されず、所望の屈折率と貯蔵弾性率G’(0℃)とを両立する粘着剤を実現し得るように設定することができる。上記モノマー成分における芳香環複数含有モノマーの含有量は、例えば3重量%以上であってよく、10重量%以上でもよく、25重量%以上でもよい。いくつかの態様において、より高い屈折率を有する粘着剤を実現しやすくする観点から、上記モノマー成分における芳香環複数含有モノマーの含有量は、例えば35重量%超であってもよく、50重量%超であることが有利であり、70重量%超であることが好ましく、75重量%以上でもよく、85重量%以上でもよく、90重量%以上でもよく、91重量%以上、92重量%以上、93重量%以上、94重量%以上、95重量%以上、96重量%以上、97重量%以上、98重量%以上または99重量%以上でもよい。上記モノマー成分における芳香環複数含有モノマーの含有量は、高屈折率と低弾性率、必要な場合はさらに接着力とのバランスを考慮して、凡そ99重量%以下とすることが有利であり、98重量%以下とすることが好ましく、96重量%以下とすることがより好ましく、93重量%以下でもよく、90重量%以下でもよく、85重量%以下でもよく、80重量%以下でもよく、75重量%以下でもよい。いくつかの態様において、より高い粘着特性および/または光学特性(例えば透明性)を実現しやすくする観点から、上記モノマー成分における芳香環複数含有モノマーの含有量は、70重量%以下でもよく、60重量%以下でもよく、50重量%以下でもよく、40重量%以下でもよく、25重量%以下でもよく、15重量%以下でもよく、5重量%以下でもよい。ここに開示される技術は、上記モノマー成分における芳香環複数含有モノマーの含有量が3重量%未満である態様でも実施し得る。
モノマー(A1)における芳香環単数含有モノマーの含有量は、特に制限されず、例えば5重量%以上、25重量%以上、40重量%以上であり得る。いくつかの態様において、モノマー(A1)における芳香環単数含有モノマーの含有量は、例えば50重量%以上であってよく、より高い屈折率を得やすくする観点から70重量%以上であることが好ましく、85重量%以上でもよく、90重量%以上でもよく、95重量%以上でもよい。モノマー(A1)の実質的に100重量%が芳香環単数含有モノマーであってもよい。すなわち、モノマー(A1)として1種または2種以上の芳香環単数含有モノマーのみを使用してもよい。また、いくつかの態様において、例えば高屈折率と低弾性率、必要な場合はさらに接着力とのバランスを考慮して、モノマー(A1)における芳香環単数含有モノマーの含有量は、100重量%未満であってもよく、98重量%以下でもよく、90重量%以下でもよく、80重量%以下でもよく、70重量%以下でもよく、65重量%以下でもよく、50重量%以下でもよく、25重量%以下でもよく、10重量%以下でもよい。ここに開示される技術は、モノマー(A1)における芳香環単数含有モノマーの含有量が5重量%未満である態様でも実施し得る。芳香環単数含有モノマーを使用しなくてもよい。
アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分における芳香環単数含有モノマーの含有量は、特に制限されず、所望の屈折率と貯蔵弾性率G’(0℃)とを両立する粘着剤を実現し得るように設定することができる。上記モノマー成分における芳香環単数含有モノマーの含有量は、例えば3重量%以上であってよく、10重量%以上でもよく、25重量%以上でもよい。いくつかの態様において、より高い屈折率を有する粘着剤を実現しやすくする観点から、上記モノマー成分における芳香環単数含有モノマーの含有量は、例えば35重量%超であってよく、50重量%超であることが有利であり、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%超であり、75重量%以上でもよく、85重量%以上でもよく、90重量%以上でもよく、95重量%以上でもよく、98重量%以上でもよい。上記モノマー成分における芳香環単数含有モノマーの含有量は、高屈折率と低弾性率、必要な場合はさらに接着力とのバランスを考慮して、凡そ99重量%以下であってもよく、98重量%以下とすることが好ましく、96重量%以下とすることがより好ましく、93重量%以下でもよく、90重量%以下でもよく、85重量%以下でもよく、80重量%以下でもよく、75重量%以下でもよい。いくつかの態様において、より高い粘着特性および/または光学特性(例えば透明性)を実現しやすくする観点から、上記モノマー成分における芳香環単数含有モノマーの含有量は、70重量%以下でもよく、60重量%以下でもよく、50重量%以下でもよく、40重量%以下でもよく、25重量%以下でもよく、15重量%以下でもよく、5重量%以下でもよい。ここに開示される技術は、上記モノマー成分における芳香環単数含有モノマーの含有量が3重量%未満である態様でも実施し得る。
ここに開示される技術のいくつかの態様において、モノマー(A1)の少なくとも一部として、高屈折率モノマーを好ましく採用し得る。ここで「高屈折率モノマー」とは、その屈折率が、例えば凡そ1.510以上、好ましくは凡そ1.530以上、より好ましくは凡そ1.550以上であるモノマーのことを指す。高屈折率モノマーの屈折率の上限は特に制限されないが、アクリル系ポリマーの調製容易性や、粘着剤として適した柔軟性との両立容易性の観点から、例えば3.000以下であり、2.500以下でもよく、2.000以下でもよく、1.900以下でもよく、1.800以下でもよく、1.700以下でもよい。高屈折率モノマーは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、モノマーの屈折率は、アッベ屈折率計を用いて、測定波長589nm、測定温度25℃の条件で測定される。アッベ屈折率計としては、ATAGO社製の型式「DR-M4」またはその相当品を用いることができる。メーカー等から25℃における屈折率の公称値が提供されている場合は、その公称値を採用することができる。
上記高屈折率モノマーとしては、ここに開示される芳香環含有モノマー(A1)の概念に包含される化合物(例えば、上記で例示した化合物および化合物群)のなかから、該当する屈折率を有するものを適宜採用することができる。具体例としては、m-フェノキシベンジルアクリレート(屈折率:1.566、ホモポリマーのTg:-35℃)、1-ナフチルメチルアクリレート(屈折率:1.595、ホモポリマーのTg:31℃)、エトキシ化o-フェニルフェノールアクリレート(オキシエチレン単位の繰返し数:1、屈折率:1.578)、ベンジルアクリレート(屈折率(nD20):1.519、ホモポリマーのTg:6℃)、フェノキシエチルアクリレート(屈折率(nD20):1.517、ホモポリマーのTg:2℃)、フェノキシジエチレングリコールアクリレート(屈折率:1.510、ホモポリマーのTg:-35℃)、6-アクリロイルオキシメチルジナフトチオフェン(6MDNTA、屈折率:1.75)、6-メタアクリロイルオキシメチルジナフトチオフェン(6MDNTMA、屈折率:1.726)、5-アクリロイルオキシエチルジナフトチオフェン(5EDNTA、屈折率:1.786)、6-アクリロイルオキシエチルジナフトチオフェン(6EDNTA、屈折率:1.722)、6-ビニルジナフトチオフェン(6VDNT、屈折率:1.802)、5-ビニルジナフトチオフェン(略号:5VDNT、屈折率:1.793)等が挙げられるが、これらに限定されない。
モノマー(A1)における高屈折率モノマー(すなわち、屈折率が凡そ1.510以上、好ましくは凡そ1.530以上、より好ましくは凡そ1.550以上である芳香環含有モノマー)の含有量は、特に制限されず、例えば5重量%以上であってよく、25重量%以上でもよく、35重量%以上でもよく、40重量%以上でもよい。いくつかの態様において、より高い屈折率を得やすくする観点から、モノマー(A1)における高屈折率モノマーの含有量は、例えば50重量%以上であってよく、70重量%以上であることが好ましく、85重量%以上でもよく、90重量%以上でもよく、95重量%以上でもよい。モノマー(A1)の実質的に100重量%が高屈折率モノマーであってもよい。また、いくつかの態様において、例えば高屈折率と低弾性率、必要な場合はさらに接着力とをバランスよく両立する観点から、モノマー(A1)における高屈折率モノマーの含有量は、100重量%未満であってもよく、98重量%以下でもよく、90重量%以下でもよく、80重量%以下でもよく、65重量%以下でもよい。いくつかの態様において、粘着特性および/または光学特性を考慮して、モノマー(A1)における高屈折率モノマーの含有量は、50重量%以下でもよく、25重量%以下でもよく、15重量%以下でもよく、10重量%以下でもよい。ここに開示される技術は、モノマー(A1)における高屈折率モノマーの含有量が5重量%未満である態様でも実施し得る。高屈折率モノマーを使用しなくてもよい。
アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分における高屈折率モノマーの含有量は、特に制限されず、所望の屈折率と弾性率とを両立する粘着剤を実現し得るように設定することができる。また、必要な場合、さらに粘着特性(例えば接着力等)および/または光学特性(例えば全光線透過性、ヘイズ値等)との両立も考慮して設定され得る。上記モノマー成分における高屈折率モノマーの含有量は、例えば3重量%以上であってよく、10重量%以上でもよく、25重量%以上でもよい。いくつかの態様において、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分における高屈折率モノマーの含有量は、例えば35重量%超であってよく、より高い屈折率を得やすくする観点から50重量%超であることが有利であり、70重量%超であることが好ましく、75重量%以上でもよく、85重量%以上でもよく、90重量%以上でもよく、95重量%以上でもよい。上記モノマー成分における高屈折率モノマーの含有量は、高屈折率と低弾性率、必要な場合はさらに接着力とをバランスよく両立する観点から、99重量%以下とすることが有利であり、98重量%以下とすることが好ましく、96重量%以下とすることがより好ましく、93重量%以下でもよく、90重量%以下でもよく、85重量%以下でもよく、80重量%以下でもよく、75重量%以下でもよい。いくつかの態様において、粘着特性および/または光学特性を考慮して、上記モノマー成分における高屈折率モノマーの含有量は、70重量%以下でもよく、50重量%以下でもよく、25重量%以下でもよく、15重量%以下でもよく、5重量%以下でもよい。ここに開示される技術は、上記モノマー成分における高屈折率モノマーの含有量が3重量%未満である態様でも実施し得る。
いくつかの好ましい態様では、モノマー(A1)の少なくとも一部として、ホモポリマーのTgが10℃以下である芳香環含有モノマー(以下、「モノマーL」と表記することがある。)を採用する。モノマー成分における芳香環含有モノマー(A1)(特に、上述した芳香環複数含有モノマー、芳香環単数含有モノマーおよび高屈折率モノマーの少なくとも一つに該当する芳香環含有モノマー(A1))の含有量を多くすると粘着剤の貯蔵弾性率G’は概して上昇する傾向にあるところ、該モノマー(A1)の一部または全部としてモノマーLを採用することにより、貯蔵弾性率G’の上昇を抑制することができる。これにより、低弾性率をよりよく維持しつつ、屈折率を向上させることができる。モノマーLのTgは、例えば5℃以下であってもよく、0℃以下でもよく、-10℃以下でもよく、-20℃以下でもよく、-25℃以下でもよい。モノマーLのTgの下限は特に制限されない。屈折率向上効果とのバランスを考慮して、いくつかの態様において、モノマーLのTgは、例えば-70℃以上であってよく、-55℃以上でもよく、-45℃以上でもよい。他のいくつかの態様において、モノマーLのTgは、例えば-30℃以上であってよく、-10℃以上でもよく、0℃以上でもよく、3℃以上でもよい。モノマーLは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
モノマーLとしては、ここに開示される芳香環含有モノマー(A1)の概念に包含される化合物(例えば、上記で例示した化合物および化合物群)のなかから、該当するTgを有するものを適宜採用することができる。モノマーLとして使用し得る芳香環含有モノマーの好適例として、m-フェノキシベンジルアクリレート(ホモポリマーのTg:-35℃)、ベンジルアクリレート(ホモポリマーのTg:6℃)、フェノキシエチルアクリレート(ホモポリマーのTg:2℃)、フェノキシジエチレングリコールアクリレート(ホモポリマーのTg:-35℃)が挙げられる。
モノマー(A1)におけるモノマーLの含有量は、特に制限されず、例えば5重量%以上であってよく、25重量%以上でもよく、40重量%以上でもよい。いくつかの態様において、高屈折率と低弾性率とをより高レベルで両立する粘着剤を得やすくする観点から、モノマー(A1)におけるモノマーLの含有量は、例えば50重量%以上であってよく、低弾性率化の観点から60重量%以上であることが好ましく、70重量%以上でもよく、75重量%以上でもよく、85重量%以上でもよく、90重量%以上でもよく、95重量%以上でもよい。モノマー(A1)の実質的に100重量%がモノマーLであってもよい。また、いくつかの態様において、例えば高屈折率と低弾性率、必要な場合はさらに接着力とをバランスよく両立する観点から、モノマー(A1)におけるモノマーLの含有量は、100重量%未満であってもよく、98重量%以下でもよく、90重量%以下でもよく、80重量%以下でもよく、65重量%以下でもよい。
アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分におけるモノマーLの含有量は、例えば3重量%以上であってよく、10重量%以上でもよく、25重量%以上でもよい。いくつかの態様において、高屈折率と低弾性率とをより高レベルで両立する粘着剤を得やすくする観点から、モノマー成分におけるモノマーLの含有量は、例えば35重量%超であってよく、屈折率向上の観点から50重量%超であることが有利であり、70重量%超であることが好ましく、75重量%以上でもよく、85重量%以上でもよく、90重量%以上でもよく、95重量%以上でもよい。上記モノマー成分におけるモノマーLの含有量は、高屈折率と低弾性率、必要な場合はさらに接着力とをバランスよく両立する観点から、凡そ99重量%以下とすることが有利であり、98重量%以下とすることが好ましく、96重量%以下とすることがより好ましく、93重量%以下でもよく、90重量%以下でもよく、85重量%以下でもよく、80重量%以下でもよく、75重量%以下でもよい。
いくつかの態様において、モノマー(A1)の組成に基づくガラス転移温度TgA1は、特に限定されない。低弾性率化の観点から、ガラス転移温度TgA1は凡そ20℃以下であることが有利であり、好ましくは10℃以下であり、例えば5℃以下であってもよく、0℃以下でもよく、-10℃以下でもよく、-20℃以下でもよく、-25℃以下でもよい。ガラス転移温度TgA1の下限は特に制限されない。屈折率向上効果とのバランスを考慮して、いくつかの態様において、ガラス転移温度TgA1は、例えば-70℃以上であってよく、-55℃以上でもよく、-45℃以上でもよい。ここに開示される技術は、ガラス転移温度TgA1が例えば-40℃以上、-35℃以上、-33℃以上、-30℃以上、または-25℃以上である態様でも好適に実施され得る。他のいくつかの態様において、ガラス転移温度TgA1は、例えば-10℃以上であってもよく、0℃以上でもよく、3℃以上でもよい。
ここで、モノマー(A1)の組成に基づくガラス転移温度TgA1とは、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分のうちモノマー(A1)のみの組成に基づいて、後述するFoxの式により求められるTgをいう。ガラス転移温度TgA1は、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分のうちモノマー(A1)のみを対象としてFoxの式を適用して、モノマー(A1)として用いられる各芳香環含有モノマーのホモポリマーのガラス転移温度と、モノマー(A1)の合計量に占める各芳香環含有モノマーの重量分率とから算出することができる。モノマー(A1)として1種類のモノマーのみを使用する態様では、該モノマーのホモポリマーのTgとガラス転移温度TgA1とは一致する。
いくつかの態様において、芳香環含有モノマー(A1)としては、モノマーL(すなわち、ホモポリマーのTgが10℃以下である芳香環含有モノマー)と、Tgが10℃よりも高いモノマーHとを組み合わせて用いることができる。モノマーHのTgは、例えば10℃超であってよく、15℃超であってもよく、20℃超であってもよい。モノマーLとモノマーHとを組み合わせて用いることにより、モノマー成分における芳香環含有モノマー(A1)の含有量の多い粘着剤において、該粘着剤の高屈折率化と、被着体への密着に適した柔軟性とを、より高レベルで両立させることができる。モノマーLとモノマーHとの使用量比は、かかる効果が好適に発現するように設定することができ、特に限定されない。例えば、上述したいずれかのガラス転移温度TgA1を満たすようにモノマーLとモノマーHとの使用量比を設定することが好ましい。
いくつかの態様において、芳香環含有モノマー(A1)は、2以上の非縮合芳香環が直接化学結合した構造(例えばビフェニル構造)を含まない化合物から好ましく選択され得る。例えば、2以上の非縮合芳香環が直接化学結合した構造を含む化合物の含有量が5重量%未満(より好ましくは3重量%未満であり、0重量%でもよい。)である組成のモノマー成分により構成されたアクリル系ポリマーが好ましい。このように2以上の非縮合芳香環が直接化学結合した構造を含む化合物の使用量を制限することは、高屈折率と低弾性率、必要な場合はさらに接着力とをよりバランスよく両立させた粘着剤を実現する観点から有利となり得る。
アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分におけるモノマー(A1)の含有量は、特に制限されず、所望の屈折率と弾性率、さらには粘着特性(例えば接着力等)および/または光学特性(例えば全光線透過性、ヘイズ値等)とを両立する粘着剤を実現し得るように設定することができる。いくつかの態様において、上記モノマー成分におけるモノマー(A1)の含有量は、例えば30重量%以上であってよく、好ましくは50重量%以上であり、より好ましくは60重量%以上でもよく、70重量%以上でもよい。いくつかの好ましい態様において、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分におけるモノマー(A1)の含有量は、例えば70重量%超であってよく、75重量%以上であることが適当であり、より高い屈折率を得やすくする観点から80重量%以上であることが好ましく、85重量%以上でもよく、90重量%以上でもよく、91重量%以上、92重量%以上、93重量%以上、94重量%以上、95重量%以上、96重量%以上、97重量%以上、98重量%以上または99重量%以上でもよい。上記モノマー成分におけるモノマー(A1)の含有量は、典型的には100重量%未満であり、高屈折率と低弾性率、必要な場合はさらに接着力とをバランスよく両立する観点から、凡そ99重量%以下であることが有利であり、98重量%以下であることが好ましく、96重量%以下であることがより好ましく、93重量%以下でもよく、90重量%以下でもよい。いくつかの態様において、より高い粘着特性および/または光学特性(例えば透明性)を実現しやすくする観点から、上記モノマー成分におけるモノマー(A1)の含有量は、90重量%未満でもよく、85重量%未満でもよく、80重量%未満でもよい。
(モノマー(A2))
いくつかの好ましい態様において、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、上記モノマー(A1)に加えて、モノマー(A2)をさらに含有し得る。上記モノマー(A2)は、水酸基を有するモノマー(水酸基含有モノマー)およびカルボキシ基を有するモノマー(カルボキシ基含有モノマー)の少なくとも一方に該当するモノマーである。上記水酸基含有モノマーは、1分子内に少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つのエチレン性不飽和基とを有する化合物である。上記カルボキシ基含有モノマーは、1分子内に少なくとも1つのカルボキシ基と少なくとも1つのエチレン性不飽和基とを含む化合物である。モノマー(A2)は、アクリル系ポリマーに架橋点を導入したり、粘着剤に適度な凝集性を付与したりするために役立ち得る。モノマー(A2)は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。モノマー(A2)は、典型的には芳香環を含有しないモノマーである。
モノマー(A2)の有するエチレン性不飽和基の例としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、(メタ)アリル基等が挙げられる。重合反応性の観点から(メタ)アクリロイル基が好ましく、低弾性率化や粘着性の観点からアクリロイル基がより好ましい。粘着剤の低弾性率化の観点から、モノマー(A2)としては、1分子中に含まれるエチレン性不飽和基の数が1である化合物(すなわち、単官能モノマー)が好ましく用いられる。
いくつかの態様において、モノマー(A2)として、エチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリロイル基)と水酸基および/またはカルボキシ基との距離が比較的長いモノマーが使用され得る。これにより、上記水酸基および/またはカルボキシ基が架橋反応に用いられる態様において、柔軟性の高い架橋構造が得られやすい。例えば、上記エチレン性不飽和基と水酸基および/またはカルボキシ基とを連結する鎖(連結鎖)を構成する原子(典型的には炭素原子や酸素原子)の数が3以上(例えば4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、11以上、12以上、13以上、14以上、15以上、16以上、17以上、18以上または19以上)である化合物をモノマー(A2)として使用することができる。上記連結鎖構成原子数の上限は、例えば45以下であり、20以下(例えば19以下、18以下、17以下、16以下、15以下、14以下、13以下、12以下、11以下、10以下、9以下または8以下)であってもよい。なお、上記エチレン性不飽和基と水酸基および/またはカルボキシ基とを連結する連結鎖構成原子数とは、エチレン性不飽和基から水酸基またはカルボキシ基に到達するのに要する最小の原子の数をいう。例えば、上記連結鎖が直鎖アルキレン基(すなわち-(CH-基)からなる場合、nの数が上記連結鎖構成原子数となる。また例えば、上記連結鎖がオキシエチレン基(すなわち-(CO)-基)の場合、オキシエチレン基を構成する炭素原子数2と酸素原子数1との和である3とnとの積(3n)が上記連結鎖構成原子数となる。特に限定するものではないが、そのようなモノマー(A2)として、上記エチレン性不飽和基と、上記水酸基および/またはカルボキシ基との間に、例えば、-(CH-で表わされるアルキレン単位や、-(C2mO)-で表わされるオキシアルキレン単位(例えば、前記式中のmが2であるオキシエチレン単位、前記式中のmが3であるオキシプロピレン単位、前記式中のmが4であるオキシブチレン単位)を少なくとも1つ有するものが用いられ得る。上記アルキレン単位やオキシアルキレン単位の数は、特に限定されず、1以上(例えば1~15または1~10または2~6または2~4)であってもよい。また、上記アルキレン単位を表す式中のnは、例えば1~10の整数であり、2以上であってもよく、3以上でもよく、4以上でもよく、また、6以下でもよく、5以下でもよい。上記オキシアルキレン単位を表す式中のmは2以上の整数であり、例えば2~4の整数である。モノマー(A2)は、上記エチレン性不飽和基、水酸基および/またはカルボキシ基、アルキレン単位および/またはオキシアルキレン単位に加えて、エステル結合やエーテル結合、チオエーテル結合、芳香環、脂肪族環、ヘテロ環(例えば、窒素原子(N)や酸素原子(O)、硫黄原子(S)を含む環)を含むものであり得る。また、上記アルキレン単位やオキシアルキレン単位は置換基を有してもよい。
水酸基含有モノマーの例としては、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10-ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12-ヒドロキシラウリル、(4-ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルが挙げられるが、これらに限定されない。好ましく使用し得る水酸基含有モノマーの例として、アクリル酸4-ヒドロキシブチル(Tg:-40℃)およびアクリル酸2-ヒドロキシエチル(Tg:-15℃)が挙げられる。室温域における柔軟性向上の観点から、よりTgの低いアクリル酸4-ヒドロキシブチルがより好ましい。また、水酸基含有モノマーとして、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルを使用し、該水酸基を架橋反応に利用する態様においては、柔軟性の高い架橋構造を得る観点から、上記(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル中のヒドロキシアルキル基の炭素数が多いモノマー、例えば上記ヒドロキシアルキル基の炭素数が3以上(例えば3~12、好ましくは4~10)である(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル(例えばアクリル酸4-ヒドロキシブチル)の使用が好ましい。好ましい一態様では、モノマー(A2)の50重量%以上(例えば50重量%超、70重量%超または85重量%超)がアクリル酸4-ヒドロキシブチルであり得る。水酸基含有モノマーは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
モノマー(A2)として水酸基含有モノマーを使用するいくつかの態様において、上記水酸基含有モノマーは、メタクリロイル基を有しない化合物から選択される1種または2種以上であり得る。メタクリロイル基を有しない水酸基含有モノマーの好適例として、上述した各種のアクリル酸ヒドロキシアルキルが挙げられる。例えば、モノマー(A2)として使用する水酸基含有モノマーのうち50重量%超、70重量%超または85重量%超がアクリル酸ヒドロキシアルキルであることが好ましい。アクリル酸ヒドロキシアルキルの使用により、架橋点の提供や適度な凝集性の付与に役立つヒドロキシ基をアクリル系ポリマーに導入することができ、かつ対応するメタクリル酸ヒドロキシアルキルのみを使用する場合に比べて室温域における柔軟性や粘着性の良い粘着剤が得られやすい。
カルボキシ基含有モノマーの例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸カルボキシペンチル等のアクリル系モノマーのほか、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等が挙げられるが、これらに限定されない。好ましく使用し得るカルボキシ基含有モノマーの例として、アクリル酸、メタクリル酸が挙げられる。また、いくつかの態様において、粘着剤の弾性率低減の観点から、カルボキシ基含有モノマーとして、例えば下記式(1)で表わされる化合物を用いることが好ましい。
CH2=CR1-COO-R2-OCO-R3-COOH (1)
ここで、上記式(1)中のR1は水素またはメチル基である。R2およびR3は、2価の連結基(具体的には、炭素原子数1~20(例えば2~10、好ましくは2~5)の有機基)であり、互いに同じであってもよく異なっていてもよい。上記式(1)におけるR2およびR3は、例えば、2価の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、脂環族炭化水素基であり得る。例えば、上記R2およびR3は、炭素原子数2~5のアルキレンであり得る。上記式(1)で表わされるカルボキシ基含有モノマーの具体例としては、例えば、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-フタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチル-フタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-コハク酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート等が挙げられる。カルボキシ基含有モノマーは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。水酸基含有モノマーとカルボキシ基含有モノマーとを併用してもよい。
アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分におけるモノマー(A2)の含有量は、特に制限されず、目的に応じて設定し得る。いくつかの態様において、上記モノマー(A2)の含有量は、例えば0.01重量%以上、0.1重量%以上または0.5重量%以上であり得る。より高い使用効果を得る観点から、いくつかの態様において、上記モノマー(A2)の含有量は、1重量%以上とすることが好ましく、2重量%以上としてもよく、4重量%以上としてもよい。モノマー成分におけるモノマー(A2)の含有量の上限は、モノマー(A1)の含有量との合計が100重量%を超えないように設定される。いくつかの態様において、上記モノマー(A2)の含有量は、例えば30重量%以下または25重量%以下とすることが適当であり、モノマー(A1)の含有量を相対的に多くして高屈折率化を容易とする観点から、20重量%以下とすることが好ましく、15重量%以下とすることがより好ましく、12重量%未満でもよく、10重量%未満でもよく、7重量%未満でもよい。いくつかの好ましい態様において、粘着剤を低弾性率化する観点から、上記モノマー(A2)の含有量は、5重量%未満であり、より好ましくは3重量%未満であり、1.5重量%以下であってもよい。
アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分におけるモノマー(A1)とモノマー(A2)との合計含有量は、例えば31重量%以上であってよく、好ましくは51重量%以上であり、61重量%以上でもよく、71重量%以上でもよい。いくつかの態様において、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分におけるモノマー(A1)とモノマー(A2)との合計含有量は、これらのモノマーの効果を好適に発揮しやすくする観点から、例えば76重量%以上であってよく、81重量%以上であることが好ましく、86重量%以上でもよく、91重量%以上でもよく、96重量%以上でもよく、99重量%以上でもよく、実質的に100重量%でもよい。
(モノマーA3)
いくつかの好ましい態様において、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、上記モノマー(A1)に加えて、アルキル(メタ)アクリレート(以下、「モノマー(A3)」ともいう。)をさらに含有し得る。モノマー(A3)は、粘着剤の弾性率低減に役立ち得る。また、粘着剤内における添加剤の相溶性や、接着力等の粘着特性の改善にも役立ち得る。モノマー(A3)は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
モノマー(A3)としては、炭素原子数1~20の(すなわち、C1-20の)直鎖または分岐鎖状のアルキル基をエステル末端に有するアルキル(メタ)アクリレートが好ましく用いられ得る。C1-20アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル等が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの態様において、モノマー(A3)の少なくとも一部として、ホモポリマーのTgが-20℃以下(より好ましくは-40℃以下、例えば-50℃以下)であるアルキル(メタ)アクリレートを好ましく採用し得る。このような低Tgのアルキル(メタ)アクリレートは、粘着剤の低弾性率化に役立ち得る。また、接着力等の粘着特性の改善にも役立ち得る。上記アルキル(メタ)アクリレートのTgの下限は特に制限されず、例えば-85℃以上であってよく、-75℃以上でもよく、-65℃以上でもよく、-60℃以上でもよい。上記低Tgアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、アクリル酸n-ブチル(BA)、アクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、アクリル酸イソノニル(iNA)等が挙げられる。他のいくつかの態様において、モノマー(A3)の少なくとも一部として、ホモポリマーのTgが-20℃超(例えば-10℃以上)であるアルキル(メタ)アクリレートを採用し得る。上記アルキル(メタ)アクリレートのTgの上限は、例えば10℃以下であり、5℃以下であってもよく、0℃以下でもよい。この範囲のTgを有するアルキル(メタ)アクリレートは、粘着剤の弾性率の調整に役立ち得る。特に限定するものではないが、上記Tgを有するアルキル(メタ)アクリレートは、上記低Tgアルキル(メタ)アクリレートと併用することが好ましい。上記Tgを有するアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、ラウリルアクリレート(LA)が挙げられる。
モノマー(A3)を使用するいくつかの態様において、モノマー(A3)として、C4-8アルキル(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。なかでも、C4-8アルキルアクリレートの使用がより好ましい。C4-8アルキル(メタ)アクリレートは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。C4-8アルキル(メタ)アクリレートの使用により、粘着剤の弾性率低減を実現しやすく、また、良好な粘着特性(接着力等)が得られやすい傾向がある。モノマー(A3)としてC4-8アルキル(メタ)アクリレートを使用する態様において、モノマー成分中に含まれるアルキル(メタ)アクリレートのうちC4-8アルキル(メタ)アクリレートの割合は、30重量%以上であることが適当であり、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上であり、実質的に100重量%であってもよい。
モノマー(A3)を使用するいくつかの態様において、モノマー(A3)として、C1-6アルキル(メタ)アクリレートが好ましく用いられ得る。C1-6アルキル(メタ)アクリレートの使用により、各温度域の貯蔵弾性率を調節することができる。例えば、高温域の貯蔵弾性率を相対的に高く設定したり、低温域と高温域の貯蔵弾性率差が大きくなることを抑制し得る。また、C1-6アルキル(メタ)アクリレートは、モノマー(A1)との共重合性にも優れる傾向がある。C1-6アルキル(メタ)アクリレートは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。C1-6アルキル(メタ)アクリレートとしては、C1-6アルキルアクリレートが好ましく、C2-6アルキルアクリレートがより好ましく、C4-6アルキルアクリレートがさらに好ましい。他のいくつかの態様では、C1-6アルキル(メタ)アクリレートは、好ましくはC1-4アルキル(メタ)アクリレートであり、より好ましくはC2-4アルキル(メタ)アクリレートであり、さらに好ましくはC2-4アルキルアクリレートである。C1-6アルキル(メタ)アクリレートの好適例としては、BAが挙げられる。
アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分におけるC1-6アルキル(メタ)アクリレートの含有量は、例えば1重量%以上であってよく、3重量%以上でもよく、5重量%以上でもよく、8重量%以上でもよい。いくつかの態様において、上記C1-6アルキル(メタ)アクリレートの含有量は、低弾性率化、接着力等の観点から、10重量%以上であってもよく、15重量%以上でもよく、20重量%以上でもよく、25重量%以上(例えば30重量%以上)でもよい。モノマー成分におけるC1-6アルキル(メタ)アクリレートの含有量の上限は、例えば50重量%未満であり、35重量%未満であってもよい。いくつかの態様において、高屈折率維持の観点から、上記C1-6アルキル(メタ)アクリレートの含有量は、例えば24重量%以下であり、20重量%未満であることが好ましく、17重量%未満であることがより好ましく、12重量%未満でもよく、7重量%未満でもよく、3重量%未満でもよく、1重量%未満でもよい。ここに開示される技術は、C1-6アルキル(メタ)アクリレートを実質的に使用しない態様でも実施され得る。
モノマー(A3)を使用する他のいくつかの態様において、モノマー(A3)として、C7-12アルキル(メタ)アクリレートが好ましく用いられ得る。C7-12アルキル(メタ)アクリレートの使用により、貯蔵弾性率を好ましく低減することができる。C7-12アルキル(メタ)アクリレートは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。C7-12アルキル(メタ)アクリレートとしては、C7-10アルキルアクリレートが好ましく、C7-9アルキルアクリレートがより好ましく、Cアルキルアクリレートがさらに好ましい。C7-12アルキル(メタ)アクリレートの例としては、2EHA、iNA、LAが挙げられ、好適例としては、2EHAが挙げられる。
アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分におけるC7-12アルキル(メタ)アクリレートの含有量は、例えば1重量%以上であってよく、3重量%以上でもよく、5重量%以上でもよく、8重量%以上でもよい。いくつかの態様において、上記C7-12アルキル(メタ)アクリレートの含有量は、低弾性率化、接着力等の観点から、10重量%以上であってもよく、15重量%以上でもよく、20重量%以上でもよく、25重量%以上(例えば30重量%以上)でもよい。モノマー成分におけるC7-12アルキル(メタ)アクリレートの含有量の上限は、例えば50重量%未満であり、35重量%未満であってもよい。いくつかの態様において、高屈折率維持の観点から、上記C7-12アルキル(メタ)アクリレートの含有量は、例えば24重量%以下であり、20重量%未満であることが好ましく、17重量%未満であることがより好ましく、12重量%未満でもよく、7重量%未満でもよく、3重量%未満でもよく、1重量%未満でもよい。ここに開示される技術は、C7-12アルキル(メタ)アクリレートを実質的に使用しない態様でも実施され得る。
モノマー(A3)を使用するいくつかの態様において、低弾性率化の観点から、上記モノマー(A3)の少なくとも一部はアルキルアクリレートであることが好ましい。アルキルアクリレートの使用は、接着力等の粘着特性の点でも有利である。例えば、モノマー(A3)のうち50重量%以上がアルキルアクリレートであることが好ましく、モノマー(A3)におけるアルキルアクリレートの割合は、より好ましくは75重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上であり、モノマー(A3)の実質的に100重量%がアルキルアクリレートであってもよい。モノマー(A3)として1種または2種以上のアルキルアクリレートのみを使用し、アルキルメタクリレートを使用しない態様であってもよい。
モノマー成分がアルキル(メタ)アクリレートを含む態様において、モノマー成分におけるアルキル(メタ)アクリレートの含有量は、その使用効果が適切に発揮されるように設定することができる。いくつかの態様において、上記アルキル(メタ)アクリレートの含有量は、例えば1重量%以上であってよく、3重量%以上でもよく、5重量%以上でもよく、8重量%以上でもよい。モノマー成分におけるモノマー(A3)の含有量の上限は、モノマー(A1)、(A2)の含有量との合計が100重量%を超えないように設定され、例えば50重量%未満であり、35重量%未満であってもよい。いくつかの態様において、上記モノマー(A3)の含有量は、例えば24重量%以下であり得る。一般にアルキル(メタ)アクリレートの屈折率は比較的低いため、高屈折率化のためには、モノマー成分におけるモノマー(A3)の含有量を制限し、モノマー(A1)の含有量を相対的に多くすることが有利である。かかる観点から、モノマー(A3)の含有量は、モノマー成分の23重量%未満であることが適当であり、20重量%未満であることが好ましく、17重量%未満であることがより好ましく、12重量%未満でもよく、7重量%未満でもよく、3重量%未満でもよく、1重量%未満でもよい。ここに開示される技術は、モノマー(A3)を実質的に使用しない態様でも好ましく実施され得る。
(その他のモノマー)
アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、必要に応じて、上記モノマー(A1)、(A2)、(A3)以外のモノマー(以下、「その他モノマー」という。)を含んでいてもよい。上記その他モノマーは、例えば、アクリル系ポリマーのTg調整、粘着性能の調整、粘着剤層内における相溶性の改善等の目的で使用することができる。上記その他モノマーは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記その他モノマーの例として、水酸基およびカルボキシ基以外の官能基を有するモノマー(官能基含有モノマー)が挙げられる。例えば、粘着剤の凝集力や耐熱性を向上させ得るその他モノマーとして、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、シアノ基含有モノマー等が挙げられる。また、アクリル系ポリマーに架橋基点となり得る官能基を導入することができ、あるいは被着体との密着力の向上や粘着剤内における相溶性の改善に寄与し得るモノマーとして、アミド基含有モノマー(例えば、(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド等)、アミノ基含有モノマー(例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等)、窒素原子含有環を有するモノマー(例えば、N-ビニル-2-ピロリドン、N-(メタ)アクリロイルモルホリン等)、イミド基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、ケト基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマー、アルコキシシリル基含有モノマー等が挙げられる。なお、窒素原子含有環を有するモノマーのなかには、例えばN-ビニル-2-ピロリドンのように、アミド基含有モノマーにも該当するものがある。上記窒素原子含有環を有するモノマーとアミノ基含有モノマーとの関係についても同様である。
上記官能基含有モノマー以外で使用し得るその他モノマーとしては、酢酸ビニル等のビニルエステル系モノマー;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の非芳香族性環含有(メタ)アクリレート;エチレン、ブタジエン、イソブチレン等のオレフィン系モノマー;塩化ビニル等の塩素含有モノマー;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ基含有モノマー;メチルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー;等が挙げられる。粘着剤の柔軟性向上等の目的で使用し得るその他モノマーの一好適例として、エトキシエトキシエチルアクリレート(別名:エチルカルビトールアクリレート、ホモポリマーのTg:-67℃)が挙げられる。
上記その他モノマーを使用する場合、その使用量は特に制限されず、モノマー成分の合計量が100重量%を超えない範囲で適宜設定し得る。モノマー(A1)の使用による屈折率向上効果を発揮しやすくする観点から、モノマー成分における上記その他モノマーの含有量は、例えば凡そ35重量%以下とすることができ、凡そ25重量%以下(例えば0~25重量%)とすることが適当であり、凡そ20重量%以下(例えば0~20重量%)でもよく、凡そ10重量%以下(例えば0~10重量%)とすることが有利であり、好ましくは凡そ5重量%以下、例えば凡そ1重量%以下である。ここに開示される技術は、モノマー成分が上記その他のモノマーを実質的に含まない態様で好ましく実施され得る。
いくつかの態様において、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、メタクリロイル基含有モノマーの使用量が所定以下に抑えられた組成であり得る。モノマー成分におけるメタクリロイル基含有モノマーの使用量は、例えば5重量%未満であってよく、3重量%未満でもよく、1重量%未満でもよく、0.5重量%未満でもよい。このようにメタクリロイル基含有モノマーの使用量を制限することは、柔軟性や粘着性と高屈折率とをバランスよく両立させた粘着剤を実現する観点から有利となり得る。アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、メタクリロイル基含有モノマーを含まない組成(例えば、アクリロイル基含有モノマーのみからなる組成)であってもよい。
いくつかの態様において、粘着剤のベースポリマー(例えばアクリル系ポリマー)を構成するモノマー成分は、粘着剤の着色または変色(例えば黄変)を抑制する観点から、カルボキシ基含有モノマーの使用量が制限されている。モノマー成分におけるカルボキシ基含有モノマーの使用量は、例えば1重量%未満であってよく、0.5重量%未満でもよく、0.3重量%未満でもよく、0.1重量%未満でもよく、0.05重量%未満でもよい。このようにカルボキシ基含有モノマーの使用量が制限されていることは、ここに開示される粘着剤に接触または近接して配置され得る金属材料(例えば、被着体上に存在し得る金属配線や金属膜等)の腐食を抑制する観点からも有利である。ここに開示される技術は、上記モノマー成分がカルボキシ基含有モノマーを含有しない態様で実施され得る。
同様の理由から、いくつかの態様において、粘着剤のベースポリマーを構成するモノマー成分は、酸性官能基(カルボキシ基の他、スルホン酸基、リン酸基等を包含する。)を有するモノマーの使用量が制限されていることが好ましい。かかる態様のモノマー成分における酸性官能基含有モノマーの使用量としては、上述したカルボキシ基含有モノマーの好ましい使用量を適用することができる。ここに開示される技術は、上記モノマー成分が酸性基含有モノマーを含有しない態様(すなわち、粘着剤のベースポリマーが酸フリーである態様)で好ましく実施され得る。
(ガラス転移温度Tg
粘着剤のベースポリマー(例えばアクリル系ポリマー)を構成するモノマー成分は、該モノマー成分の組成に基づくガラス転移温度Tgが凡そ15℃以下となる組成を有することが好ましい。いくつかの態様において、上記ガラス転移温度Tgは、10℃以下であることが好ましく、5℃以下であることがより好ましく、1℃以下であることがさらに好ましく、0℃以下でもよい。他のいくつかの態様において、上記ガラス転移温度Tgは、-10℃以下であってもよく、-20℃以下でもよく、-25℃以下でもよく、-30℃以下でもよく、-35℃以下でもよい。ガラス転移温度Tgが低いことは、粘着剤の低弾性率化の観点から有利となり得る。また、ガラス転移温度Tgは、例えば-60℃以上であってよく、粘着剤の高屈折率化を容易とする観点から、好ましくは-50℃以上、より好ましくは-45℃超であり、-40℃超であってもよい。いくつかの好ましい態様において、上記ガラス転移温度Tgは、-30℃超であってもよく、-20℃超でもよく、-10℃超でもよく、-5℃以上でもよい。高屈折率と低弾性率とを両立した粘着剤は、上記範囲のガラス転移温度Tgを有する組成のベースポリマーを用いることにより、好ましく形成され得る。
ここで、ガラス転移温度Tgとは、特記しない場合、上記モノマー成分の組成に基づいて、Foxの式により求められるガラス転移温度をいう。Foxの式とは、以下に示すように、共重合体のTgと、該共重合体を構成するモノマーのそれぞれを単独重合したホモポリマーのガラス転移温度Tgiとの関係式である。
1/Tg=Σ(Wi/Tgi)
上記Foxの式において、Tgは共重合体のガラス転移温度(単位:K)、Wiは該共重合体におけるモノマーiの重量分率(重量基準の共重合割合)、Tgiはモノマーiのホモポリマーのガラス転移温度(単位:K)を表す。
Tgの算出に使用するホモポリマーのガラス転移温度としては、「Polymer Handbook」(第3版、John Wiley & Sons, Inc., 1989年)等の公知資料に記載の値を用いるものとする。上記Polymer Handbookに複数種類の値が記載されているモノマーについては、最も高い値を採用する。公知資料にホモポリマーのTgが記載されていない場合は、特開2007-51271号公報に記載の測定方法により得られる値を用いるものとする。
(ベースポリマーの調製方法)
ここに開示される技術において、このようなモノマー成分により構成されたベースポリマー(例えばアクリル系ポリマー)を得る方法は特に限定されず、溶液重合法、エマルション重合法、バルク重合法、懸濁重合法、光重合法等の公知の重合方法を適宜採用することができる。例えば、溶液重合法を好ましく採用し得る。溶液重合を行う際の重合温度は、使用するモノマーおよび溶媒の種類、重合開始剤の種類等に応じて適宜選択することができ、例えば20℃~170℃程度(典型的には40℃~140℃程度)とすることができる。
溶液重合に用いる溶媒(重合溶媒)は、従来公知の有機溶媒から適宜選択することができる。例えば、トルエン等の芳香族化合物類(典型的には芳香族炭化水素類);酢酸エチル等の酢酸エステル類;ヘキサンやシクロヘキサン等の脂肪族または脂環式炭化水素類;1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化アルカン類;イソプロピルアルコール等の低級アルコール類(例えば、炭素原子数1~4の一価アルコール類);tert-ブチルメチルエーテル等のエーテル類;メチルエチルケトン等のケトン類;等から選択されるいずれか1種の溶媒、または2種以上の混合溶媒を用いることができる。
重合に用いる開始剤は、重合方法の種類に応じて、従来公知の重合開始剤から適宜選択することができる。例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等のアゾ系重合開始剤の1種または2種以上を好ましく使用し得る。重合開始剤の他の例としては、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;ベンゾイルパーオキサイド、過酸化水素等の過酸化物系開始剤;フェニル置換エタン等の置換エタン系開始剤;芳香族カルボニル化合物;等が挙げられる。重合開始剤のさらに他の例として、過酸化物と還元剤との組み合わせによるレドックス系開始剤が挙げられる。重合開始剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。重合開始剤の使用量は、通常の使用量であればよく、例えば、モノマー成分100重量部に対して凡そ0.005~1重量部程度(典型的には凡そ0.01~1重量部程度)の範囲から選択することができる。
上記重合には、必要に応じて、従来公知の各種の連鎖移動剤を使用することができる。例えば、n-ドデシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸、α-チオグリセロール等のメルカプタン類を用いることができる。あるいは、硫黄原子を含まない連鎖移動剤(非硫黄系連鎖移動剤)を用いてもよい。非硫黄系連鎖移動剤の例としては、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン等のアニリン類;α-ピネン、ターピノーレン等のテルペノイド類;α-メチルスチレン、α-メチルスチレンダイマー等のスチレン類;等が挙げられる。連鎖移動剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。連鎖移動剤を使用する場合における使用量は、モノマー成分100重量部に対して、例えば凡そ0.01~1重量部程度とすることができる。
ベースポリマー(例えばアクリル系ポリマー)の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されず、例えば凡そ30×10以上であり、凡そ50×10以上であることが適当であり、凡そ70×10以上であってもよく、凡そ80×10以上でもよい。Mwが所定値以上であるベースポリマーを用いることにより、所望の粘着特性を発揮し得る適度な凝集力が得られやすい。また、可塑剤等の添加剤をより多く含有させることができ、所望の弾性率を実現しやすい傾向がある。また、ベースポリマーのMwの上限は、例えば凡そ500×10以下であり、粘着性能の観点から、凡そ400×10以下(より好ましくは凡そ150×10以下、例えば凡そ130×10以下)の範囲にあることが好ましい。
ここで、ポリマーのMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算して求めることができる。具体的には、GPC測定装置として商品名「HLC-8220GPC」(東ソー社製)を用いて、下記の条件で測定して求めることができる。
[GPCの測定条件]
サンプル濃度:0.2重量%(テトラヒドロフラン溶液)
サンプル注入量:10μL
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流量(流速):0.6mL/分
カラム温度(測定温度):40℃
カラム:
サンプルカラム:商品名「TSKguardcolumn SuperHZ-H」1本+商品名「TSKgel SuperHZM-H」2本」(東ソー社製)
リファレンスカラム:商品名「TSKgel SuperH-RC」1本(東ソー社製)
検出器:示差屈折計(RI)
標準試料:ポリスチレン
(可塑剤)
いくつかの態様において、上述の粘着剤(例えばアクリル系粘着剤)は、ベースポリマーに加えて、可塑剤を含有する。可塑剤の使用により、粘着剤の弾性率を効果的に低減することができる。また、粘着シートに成形した形態において、柔軟性や変形に対する追従性が向上し得る。可塑剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ここに開示される可塑剤の好適例として、二重結合含有環を2以上有する環状不飽和有機化合物が挙げられる。上記好適例としての可塑剤は、換言すれば、1分子中に2以上の二重結合含有環を有する化合物である。したがって、上記可塑剤は、少なくとも、第1の二重結合含有環と第2の二重結合含有環とを有する。二重結合含有環を2以上有することにより、粘着剤の屈折率を損なわずに、あるいは屈折率を維持しつつ、粘着剤の低弾性率化に寄与し得る。上記可塑剤が有する二重結合含有環の数は、可塑化効果を発揮する観点から、好ましくは6以下であり、4以下であってもよく、3以下でもよい。
また、ここに開示される技術において使用される可塑剤は、30℃で液状の化合物であることが好ましい。なお、本明細書において「液状」とは、流動性を示すことを意味し、物質の状態としては液体を指す。かかる化合物には、融点が30℃以下である化合物が包含される。上記可塑剤は、30℃で液状であることにより、可塑化効果が好適に発揮され、粘着剤の低弾性率化を効果的に実現することができる。上記可塑剤は、25℃で液状の化合物であることが好ましく、20℃で液状の化合物であることがより好ましい。例えば、可塑剤として、二重結合含有環を2以上有する30℃で液状の化合物を使用することにより、高屈折率と低弾性率とを両立する粘着剤を好ましく形成することができる。
二重結合含有環を有する可塑剤が用いられる態様において、上記可塑剤が有する二重結合含有環は、共役二重結合含有環(典型的には芳香環)であってもよく、非共役二重結合含有環のいずれであってもよい。上記可塑剤は、二重結合含有環として、芳香環および複素環(ヘテロ環)から選択される少なくとも1種の環を有するものであり得る。なお、上記複素環は、芳香環に包含される構造を有するものであってもよく、芳香環とは異なる二重結合含有複素環構造を有するものであってもよい。上記可塑剤が有し得る二重結合含有環(典型的には芳香環)としては、ベンゼン環(ビフェニル構造やフルオレン構造の一部を構成するベンゼン環であり得る。);ナフタレン環、インデン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環の縮合環;等の炭素環であってもよく、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、トリアジン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、チオフェン環;等の複素環であってもよい。上記複素環において環構成原子として含まれるヘテロ原子は、例えば窒素、硫黄および酸素からなる群から選択される1または2以上であり得る。いくつかの態様において、上記複素環を構成するヘテロ原子は、窒素および硫黄の一方または両方であり得る。上記可塑剤は、例えばジナフトチオフェン構造のように、1または2以上の炭素環と1または2以上の複素環とが縮合した構造を有していてもよい。
上記二重結合含有環(典型的には芳香環、好ましくは炭素環)は、環構成原子上に1または2以上の置換基を有していてもよく、置換基を有していなくてもよい。置換基を有する場合、該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、水酸基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルキルオキシ基、グリシジルオキシ基等が例示されるが、これらに限定されない。炭素原子を含む置換基において、該置換基に含まれる炭素原子の数は、好ましくは1~4であり、より好ましくは1~3であり、例えば1または2であり得る。いくつかの態様において、上記二重結合含有環は、環構成原子上に置換基を有しないか、アルキル基、アルコキシ基、エチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリロキシ基)、ヒドロキシ基およびヒドロキシアルキル基からなる群から選択される1または2以上の置換基を有する芳香環であり得る。置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基が好ましく用いられる。
いくつかの態様において、可塑剤として、エチレン性不飽和基を有しない化合物を好ましく採用し得る。これにより、熱や光による粘着剤組成物の変質(ゲル化の進行や粘度上昇によるレベリング性の低下)を抑制し、保存安定性を高めることができる。エチレン性不飽和基を有しない可塑剤を採用することは、該可塑剤を含む粘着剤層を有する粘着シートにおいて、エチレン性不飽和基の反応に起因する弾性率の変化、寸法変化や変形(反り、波打ち等)、光学歪の発生等を抑制する観点からも好ましい。
可塑剤としては、屈折率が凡そ1.50以上である高屈折率可塑剤が好ましく用いられ得る。高屈折率可塑剤を用いることにより、高屈折率と低弾性率とをより高いレベルで両立することができる。可塑剤の屈折率は、低弾性率化しつつ、粘着剤の屈折率を維持、向上する観点から、好ましくは凡そ1.51以上、より好ましくは凡そ1.53以上、さらに好ましくは凡そ1.55以上であり、凡そ1.56以上であってもよく、凡そ1.58以上でもよく、凡そ1.60以上でもよく、凡そ1.62以上でもよい。いくつかの態様において、粘着剤組成物の調製容易性や、粘着剤内における相溶性等の観点から、可塑剤の屈折率は、2.50以下であることが適当であり、2.00以下であることが有利であり、1.90以下でもよく、1.80以下でもよく、1.70以下でもよい。
なお、可塑剤の屈折率は、モノマーの屈折率と同様に、アッベ屈折率計を用いて、測定波長589nm、測定温度25℃の条件で測定される。メーカー等から25℃における屈折率の公称値が提供されている場合は、その公称値を採用することができる。
可塑剤の分子量は、特に限定されないが、通常、上記ベースポリマー(例えばアクリル系ポリマー)よりも分子量の小さいものが用いられる。可塑剤の分子量は、可塑化効果を発現しやすくする観点から、30000以下であることが適当であり、25000以下であることが有利であり、10000未満(例えば5000未満)であってもよく、3000未満でもよい。いくつかの態様において、可塑剤の分子量は、好ましくは2000以下、より好ましくは1200以下、さらに好ましくは900以下であり、600以下であってもよく、500以下でもよく、400以下でもよく、300以下でもよく、250以下(例えば220以下)でもよい。可塑剤の分子量が大きすぎないことは、粘着剤層内における相溶性向上等の観点から有利となり得る。また、可塑剤の分子量は、十分な可塑化効果を発揮しやすくする観点から、100以上であることが適当であり、130以上であることが好ましく、150以上であることがより好ましく、170以上でもよく、200以上でもよく、220以上でもよく、250以上でもよい。可塑剤の分子量が低すぎないことは、粘着シートの耐熱性能や被着体の汚染抑制の観点からも好ましい。いくつかの態様において、可塑剤の分子量は、例えば300以上であり、315以上であることが適当であり、350以上であってもよい。分子量の大きい可塑剤は気化しにくいので、分子量が大きい可塑剤を粘着剤に利用することで、安定した特性を発揮し得る粘着剤が得られやすい。また、分子量の大きい可塑剤は、粘着剤内で移動しにくい。したがって、例えば、可塑剤が粘着剤表面に移動するなどして粘着特性に影響する事象が生じにくい。上記可塑剤の分子量は、より好ましくは400以上、さらに好ましくは450以上、特に好ましくは500以上であり、530以上であってもよい。
なお、可塑剤の分子量としては、化学構造に基づいて算出される分子量が用いられる。メーカー等から分子量の公称値が提供されている場合は、その公称値を採用することができる。
いくつかの態様において、可塑剤として、2以上の非縮合二重結合含有環(典型的には芳香環)がリンキング基を介して結合した構造を有する化合物、2以上の非縮合二重結合含有環(典型的には芳香環)が直接(すなわち、他の原子を介さずに)化学結合した構造を有する化合物、縮合二重結合含有環(典型的には芳香環)構造を有する化合物、フルオレン構造を有する化合物、ジナフトチオフェン構造を有する化合物、ジベンゾチオフェン構造を有する化合物、等であって、かつ30℃(例えば25℃または20℃)で液状である化合物から選択される1種または2種以上が用いられ得る。
可塑剤として、2以上の非縮合二重結合含有環がリンキング基を介して結合した構造を有する化合物を用いる態様において、上記リンキング基は、例えばオキシ基(-O-)、チオオキシ基(-S-)、オキシアルキレン基(例えば-O-(CH-基、ここでnは1~3、好ましくは1)、チオオキシアルキレン基(例えば-S-(CH-基、ここでnは1~3、好ましくは1)、直鎖アルキレン基(すなわち-(CH-基、ここでnは1~6、好ましくは1~3)、上記オキシアルキレン基、上記チオオキシアルキレン基および上記直鎖アルキレン基におけるアルキレン基が部分ハロゲン化または完全ハロゲン化された基、等であり得る。上記リンキング基は、シロキサン結合(-SiOR-)やエステル結合を有するものであってもよい。可塑剤において、第1の二重結合含有環(非縮合環)と第2の二重結合含有環(非縮合環)とを連結するリンキング基も上記と同種のものから選択され得る。粘着剤の低弾性率化の観点から、上記リンキング基の好適例として、オキシ基、チオオキシ基、オキシアルキレン基および直鎖アルキレン基が挙げられる。上記リンキング基の原子数は、特に限定されず、例えば1~30であり、1~25であってもよく、1~20でもよく、1~18とすることが適当であり、好ましくは1~12、より好ましくは1~10、さらに好ましくは1~8、特に好ましくは1~5であり、1~3であってもよく、1または2でもよい。なお、リンキング基の原子数とは、一方の非縮合二重結合含有環から他方の非縮合二重結合含有環に到達するのに要する最小の原子の数をいう。例えば、リンキング基が直鎖アルキレン基(すなわち-(CH-基)からなる場合、nの数がリンキング基の原子数となる。また例えば、リンキング基がオキシエチレン基(すなわち-(CO)-基)の場合、オキシエチレン基を構成する炭素原子数2と酸素原子数1との和である3とnとの積(3n)がリンキング基の原子数となる。上記化合物の好適例としては、フェノキシベンジル基を有する化合物が挙げられる。上記化合物の例としては、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート(例えば、m-フェノキシベンジル(メタ)アクリレート)、フェノキシベンジルアルコール、オキシビス[(アルコキシアルキル)ベンゼン](例えば、4,4′-オキシビス[(メトキシメチル)ベンゼン])等が挙げられる。上記化合物の他の例としては、後述するシリコーン系可塑剤(具体的にはシロキサン化合物)が挙げられる。
上記2以上の二重結合含有環(非縮合環)が直接化学結合した構造を有する化合物は、例えばビフェニル構造含有化合物、トリフェニル構造含有化合物等であり得る。また、縮合二重結合含有環構造を有する化合物の例としては、ナフタレン環含有化合物、アントラセン環含有化合物等が挙げられる。具体例としては、1-アセトナフトン等が挙げられる。なお、上記フルオレン構造を有する化合物は、2つのベンゼン環が直接化学結合した構造部分を含むため、上記2以上の二重結合含有環(非縮合環)が直接化学結合した構造を有する化合物の概念に包含される。上記ジナフトチオフェン構造を有する化合物は、ナフタレン構造を含むことにより、またチオフェン環と2つのナフタレン構造とが縮合した構造を有することによっても、上記縮合二重結合含有環構造を有する化合物の概念に包含される。上記ジベンゾチオフェン構造を有する化合物は、チオフェン環と2つのベンゼン環とが縮合した構造を有することから、上記縮合二重結合含有環構造を有する化合物の概念に包含される。
いくつかの態様において、可塑剤として、シリコーン系可塑剤が用いられる。シリコーン系可塑剤を使用することにより、安定した可塑化効果が得られやすく、また、高い接着力を得やすいので、粘着剤の屈折率、柔軟性および接着力をバランスよく向上することができる。シリコーン系可塑剤としては、特に限定されず、例えば、二重結合含有環を1または2以上有する化合物を使用することができる。また、シリコーン系可塑剤は、30℃で液状の化合物であることが好ましい。シリコーン系可塑剤は、具体的には、シロキサン化合物であり、該化合物が有するSi原子数は、1以上(典型的には2以上)であり、その上限は特に限定されず、例えば10以下程度であり得る。シリコーン系可塑剤1分子中、Si原子と二重結合含有環とは直接結合していてもよく、直接結合していなくてもよい。上記Si原子のうち少なくとも1つは、少なくとも1つの二重結合含有環と直接結合していることが好ましい。シリコーン系可塑剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
いくつかの態様において、シリコーン系可塑剤として、Si原子数が2以上5以下のシロキサン化合物からなり、かつ上記Si原子のうち少なくとも1つは該Si原子に2つ以上の二重結合含有環が結合しているものが用いられ得る。このような構造を有するシロキサン化合物からなるシリコーン系可塑剤は、シロキサン構造の柔軟性に基づく可塑化効果を発揮し得るとともに、Si原子数が2以上5以下であってかつ2つ以上の二重結合含有環が結合したSi原子を少なくとも1つ有することにより、可塑化対象材料への配合容易性や相溶性と、上記可塑化効果の安定性(例えば、湿熱下での保存に対して弾性率の上昇率が低いこと)とをバランスよく実現し得る。上記シロキサン化合物は、化学的安定性の観点から、Si原子に結合する水素原子を有しないことが好ましい。すなわち、Si-H結合を有しないシロキサン化合物が好ましい。
上記シロキサン化合物のSi原子数が3以上である場合、上記シロキサン化合物は、鎖状であっても環状であってもよいが、揮発抑制の観点から鎖状シロキサン化合物であることが好ましい。上記Si原子数3以上の鎖状シロキサン化合物は、直鎖状であってもよく分岐を有していてもよいが、より高い可塑化効果を得る観点から、直鎖状であることが好ましい。以下、特記しない場合、Si原子数3以上のシロキサン化合物とは、Si原子数3以上の鎖状(典型的には直鎖状)のシロキサン化合物を意味するものとする。
いくつかの態様において、上記シリコーン系可塑剤が有する二重結合含有環は、共役二重結合含有環(典型的には芳香環)であってもよく、非共役二重結合含有環であってもよい。上記可塑剤は、二重結合含有環として、芳香環および複素環(ヘテロ環)から選択される少なくとも1種の環を有するものであり得る。なお、上記複素環は、芳香環に包含される構造を有するものであってもよく、芳香環とは異なる二重結合含有複素環構造を有するものであってもよい。可塑剤が有し得る二重結合含有環(典型的には芳香環)としては、ベンゼン環やナフタレン環等の炭素環であってもよく、ピリジン環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、チオフェン環等の複素環であってもよい。上記複素環において環構成原子として含まれるヘテロ原子は、例えば窒素、硫黄および酸素からなる群から選択される1または2以上であり得る。いくつかの態様において、上記複素環を構成するヘテロ原子は、窒素および硫黄の一方または両方であり得る。
上記二重結合含有環(典型的には芳香環、好ましくは炭素環)は、環構成原子上に1または2以上の置換基を有していてもよく、置換基を有していなくてもよい。置換基を有する場合、該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルキルオキシ基、グリシジルオキシ基等が例示されるが、これらに限定されない。炭素原子を含む置換基において、該置換基に含まれる炭素原子の数は、好ましくは1~4であり、より好ましくは1~3であり、例えば1または2であり得る。いくつかの態様では、シリコーン系可塑剤が有する各二重結合含有環は、それぞれ独立に、環構成原子上に置換基を有しない芳香環、および、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基およびヒドロキシアルキル基からなる群(好ましくは、アルキル基およびアルコキシ基からなる群)から選択される1または2以上の置換基を有する芳香環からなる群から選択される。例えば、シリコーン系可塑剤が有する二重結合含有環は、環構成原子上に置換基を有しない芳香環(好ましくは炭素環)から選択される。いくつかの好ましい態様では、シリコーン系可塑剤が有する二重結合含有環がいずれもベンゼン環である。
上記シロキサン化合物のSi原子数は、可塑化効果の発揮しやすさおよびその安定性(例えば、可塑剤が配合された材料から該可塑剤が揮発散逸することによる弾性率上昇の抑制)の観点から、3以上であることが好ましい。また、上記シロキサン化合物のSi原子数は、粘着剤内における相溶性等の観点から、4以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましい。なかでも、上記シロキサン化合物のSi原子数が3であるシリコーン系可塑剤、すなわちトリシロキサン化合物からなるシリコーン系可塑剤が好ましい。
いくつかの態様において、上記シロキサン化合物の有する二重結合含有環(例えば、置換基を有するまたは有しないベンゼン環)の数は、少なくとも2であり、可塑化効果の耐熱性(例えば、湿熱下での保存に対して弾性率の上昇率が低いこと)の観点から3以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましく、5以上であってもよい。また、上記シロキサン化合物の有する二重結合含有環の数は、該シロキサン化合物のSi原子数をnとして、典型的には2n+2以下であり、可塑化効果を高める観点から2n+1以下であることが適当であり、2n以下であることが好ましく、2n-1以下であってもよく、2n-2以下であってもよい。例えば、上記シロキサン化合物がトリシロキサン化合物である態様において、該トリシロキサン化合物の有する二重結合含有環の数は、典型的には8以下であり、例えば2以上7以下であってよく、3以上7以下であってもよく、4以上7以下であってもよい。なかでも、二重結合含有環(例えば、無置換のベンゼン環)の数が4以上6以下(例えば、4または5)であるトリシロキサン化合物が好ましい。
いくつかの態様において、上記シロキサン化合物に含まれるSi原子(典型的には、シロキサン鎖を構成するSi原子)のうち少なくとも1つは、2つ以上の二重結合含有環が結合しているSi原子である。可塑化効果の安定性向上の観点から、上記シロキサン化合物において2つ以上の二重結合含有環が結合しているSi原子の数が2つ以上であってもよい。Si原子数3以上のシロキサン化合物では、2つ以上の二重結合含有環が結合しているSi原子の数は、2以上であってもよく、3以上であってもよく、また、上記シロキサン化合物のSi原子数をnとして、n以下であってもよく、n-1以下であってもよく、n-2以下であってもよい。いくつかの態様では、可塑化効果を高める観点から、上記シロキサン化合物(好ましくは、Si原子数3以上のシロキサン化合物)に含まれるSi原子のうち少なくとも1つは、該Si原子に結合している二重結合含有環の数が1または0である。例えば、Si原子数3以上5以下の直鎖状シロキサン化合物であって、両末端のSi原子がそれぞれ独立に2つまたは3つ(好ましくは2つ)の二重結合含有環を有し、両末端以外のSi原子がそれぞれ独立に1つの二重結合含有環を有するかまたは二重結合含有環を有しない構造のシロキサン化合物が好ましい。
いくつかの態様において、上記シロキサン化合物は、二重結合含有環以外の基が結合しているSi原子を含んでいてもよい。上記二重結合含有環以外の基としては、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フルオロアルキル基、水酸基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルキルオキシ基、エポキシ基、グリシジルオキシ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシ基、カルボキシアルキル基、メルカプト基等が挙げられるが、これらに限定されない。炭素原子を含む置換基において、該置換基に含まれる炭素原子の数は、例えば1~8であり、好ましくは1~4であり、より好ましくは1~3であり、例えば1または2であり得る。シロキサン化合物に含まれる各Si原子に結合している二重結合含有環以外の基は、それぞれ独立に、上記で例示された基からなる群から選択され得る。
いくつかの態様において、上記シロキサン化合物は、エチレン性不飽和基(二重結合含有環において二重結合がエチレン性二重結合であるものを包含する。)を有しないことが好ましい。エチレン性不飽和基を有しないシロキサン化合物からなるシリコーン系可塑剤は、該可塑剤による可塑化効果の安定性の観点から有利であり、また、上記シリコーン系可塑剤を含む粘着剤層を有する粘着シートの保存安定性の観点や、エチレン性不飽和基の反応に起因する弾性率の変化、寸法変化や変形(反り、波打ち等)、光学歪の発生等を抑制する観点からも好ましい。
ここに開示されるシリコーン系可塑剤のいくつかの態様において、上記シロキサン化合物に含まれるSi原子のうち少なくとも1つ(Si原子数が3以上のシロキサン化合物では少なくとも2つ)は、可塑化効果を高める観点から、該Si原子上に少なくとも1つのメチル基を有することが好ましい。例えば、シロキサン鎖の両末端に位置するSi原子がそれぞれ独立に1つまたは2つ(より好ましくは1つ)のメチル基を有することが好ましい。いくつかの好ましい態様では、上記シロキサン化合物に含まれるSi原子の各々が、それぞれ独立に、1つまたは2つのメチル基を有する。このような構造のシロキサン化合物からなるシリコーン系可塑剤によると、シロキサン構造の柔軟性による可塑化効果と、少なくとも1つのSi原子に2つ以上の二重結合含有環が結合した構造を有することによる上記可塑化効果の安定性とをバランスよく両立し得る。
いくつかの態様において、上記シロキサン化合物に含まれるSi原子の数をnとして、それらのSi原子に結合する置換基の数を合計した値(以下、全置換基数ともいう。)は、典型的には2n+2であり、そのうち少なくとも2個は二重結合含有環である。いくつかの態様において、シリコーン系可塑剤における全置換基数のうち二重結合含有環(好ましくは芳香族炭素環、例えばベンゼン環)の数の占める割合SRは、少なくとも16%であり、20%以上でもよく、25%以上でもよい。上記割合SRが高くなると、シリコーン系可塑剤の耐熱性や、該シリコーン系可塑剤による可塑化効果の安定性は概して向上する傾向にある。いくつかの態様において、上記割合SRは、33%以上であることが有利であり、40%以上であることが好ましく、50%以上(例えば60%以上)であることがより好ましく、65%以上であってもよく、75%以上であってもよい。上記割合SRは、100%であり得るが、配合容易性や相溶性の観点から85%以下であることが有利であり、80%以下であることが好ましく、75%以下であってもよく、65%以下であってもよく、60%以下(例えば50%以下)であってもよい。
いくつかの態様において、上記シリコーン系可塑剤(具体的にはシロキサン化合物)の分子量は、可塑化効果の安定性の観点から、400以上であることが適当であり、430以上であることが有利であり、460以上であることが好ましく、490以上でもよく、520以上でもよい。また、上記シロキサン化合物の分子量は、可塑化効果や配合容易性、相溶性等の観点から、900以下であることが適当であり、850以下であることが有利であり、700以下であることが好ましく、650以下であることがより好ましく、600以下でもよく、560以下でもよく、540以下でもよく、500以下でもよい。
上記シロキサン化合物の分子量としては、化学構造に基づいて算出される分子量、もしくはマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(MALDI-TOF-MS)を用いた測定値を用いることができる。メーカー等から分子量の公称値が提供されている場合は、その公称値を採用することができる。
ここに開示されるシリコーン系可塑剤の屈折率は特に限定されず、例えば1.30~1.80程度の範囲内であり得る。可塑剤が配合される材料(例えば粘着剤)の屈折率低下を抑制しつつ低弾性率化を図る観点から、いくつかの態様に係るシリコーン系可塑剤は、その屈折率が1.45以上であることが適当であり、1.50以上であることが好ましく、1.52以上(例えば、1.53以上または1.54以上)であることがより好ましく、1.55以上(例えば、1.56以上または1.57以上)であることがさらに好ましい。また、シリコーン系可塑剤の屈折率は、配合容易性や相溶性等の観点から、例えば1.70以下であってよく、1.65以下でもよく、1.60以下でもよい。
いくつかの態様において、可塑剤として、1分子中に2以上の二重結合含有環を有するエチレングリコール系化合物を用いることができる。上記エチレングリコール系化合物が有するオキシエチレン単位(すなわち-(CO)-単位)の数は、例えば1~10であり、1~6であってもよく、2~4でもよい。上記エチレングリコール系化合物は、2以上の非縮合二重結合含有環が、リンキング基としてのオキシエチレン単位(例えば1~10、好適には1~6、さらには2~4のオキシエチレン単位)を介して結合した構造を有する化合物であり得る。かかる化合物は1または2以上のエステル基を有するものであり得る。上記エチレングリコール系化合物としては、2以上の安息香酸が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールまたはポリエチレングリコールとエステル結合によって連結した構造を有する化合物が挙げられる。
また、ここに開示される技術は、可塑剤として上記エチレングリコール系化合物を使用しないか、その使用量を制限した態様で実施することができる。例えば、粘着剤に含まれる可塑剤中、上記エチレングリコール系化合物の含有割合を90重量%未満とすることができる。上記可塑剤中の上記エチレングリコール系化合物の含有割合は50重量%未満であってもよく、10重量%未満でもよく、3重量%未満でもよく、1重量%未満でもよく、粘着剤は、可塑剤として上記エチレングリコール系化合物を実質的に含有しなくてもよい。同様に、粘着剤中、ベースポリマー(例えばアクリル系ポリマー)100重量部に対する上記エチレングリコール系化合物の使用量は0.5重量部未満とすることができ、0.1重量部未満であってもよい。
他のいくつかの態様において、可塑剤として、液状ロジンエステル等の液状ロジン類、液状カンフェンフェノールを使用することができる。上記液状ロジン類(例えば液状ロジンエステル)は、上記縮合二重結合含有環構造を有する化合物に該当し得る。
また、可塑剤として、公知の可塑剤(例えば、フタル酸エステル系、テレフタル酸エステル系、アジピン酸エステル系、アジピン酸系ポリエステル、安息香酸グリコールエステル等)の1種または2種以上を利用してもよい。
可塑剤の使用量は、特に限定されず、目的に応じて設定することができる。粘着剤の弾性率を低減する観点から、ベースポリマー(例えばアクリル系ポリマー)100重量部に対する可塑剤の使用量は、例えば1重量部以上であってよく、10重量部以上であってもよい。いくつかの好ましい態様において、ベースポリマー100重量部に対する可塑剤の使用量は、15重量部よりも多く、20重量部以上であってもよく、30重量部以上(例えば30重量部超)でもよく、より好ましくは40重量部以上、さらに好ましくは50重量部以上、特に好ましくは60重量部以上であり、75重量部以上であってもよく、90重量部以上でもよい。例えば、可塑剤として、上述のエチレングリコール系化合物を使用する場合、ベースポリマー100重量部に対して30重量部を超えて(例えば40重量部以上、さらには50重量部以上)用いることが好ましい。また、粘着剤の高屈折率化と低弾性率化とをバランスよく両立する観点から、ベースポリマー100重量部に対する可塑剤の使用量は、凡そ200重量部以下とすることが適当であり、150重量部以下とすることが好ましく、120重量部以下とすることがより好ましく、100重量部以下でもよく、80重量部以下でもよく、70重量部以下でもよい。より粘着特性を重視するいくつかの態様において、ベースポリマー100重量部に対する可塑剤の使用量は、45重量部以下でもよく、35重量部以下でもよい。
(添加剤(HRO))
ここに開示される粘着剤には、所望により用いられる添加剤として、ベースポリマー(例えばアクリル系ポリマー)より高屈折率の有機材料を含有させることができる。以下、このような有機材料を「添加剤(HRO)」と表記することがある。ここで、上記「HRO」は、高屈折率(High Refractive index)の有機材料(Organic material)であることを表す。添加剤(HRO)を用いることにより、屈折率と粘着特性(剥離強度、柔軟性等)とをより好適に両立する粘着剤を実現し得る。添加剤(HRO)として用いられる有機材料は、重合体であってもよく、非重合体であってもよい。また、重合性官能基を有していてもよく、有していなくてもよい。なお、本明細書において、添加剤(HRO)は、上述した可塑剤として用いられる化合物と異なるものとして定義される。したがって、添加剤(HRO)は、具体的には、30℃(例えば25℃または20℃)において液状(液体)ではない。添加剤(HRO)は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
添加剤(HRO)の屈折率は、ベースポリマー(例えばアクリル系ポリマー)の屈折率との相対関係で適当な範囲に設定し得るので、特定の範囲に限定されない。添加剤(HRO)の屈折率は、例えば1.55超、1.56超または1.57超であって、かつベースポリマーの屈折率より高い範囲から選択し得る。粘着剤の高屈折率化の観点から、いくつかの態様において、添加剤(HRO)の屈折率は、1.58以上であることが有利であり、1.60以上であることが好ましく、1.63以上であることがより好ましく、1.65以上でもよく、1.70以上でもよく、1.75以上でもよい。より屈折率の高い添加剤(HRO)によると、より少量の添加剤(HRO)の使用によっても目的の屈折率を達成し得る。このことは粘着特性や光学特性の低下抑制の観点から好ましい。添加剤(HRO)の屈折率の上限は特に制限されないが、粘着剤内における相溶性や、高屈折率化と粘着剤として適した柔軟性との両立容易性等の観点から、例えば3.000以下であり、2.500以下でもよく、2.000以下でもよく、1.950以下でもよく、1.900以下でもよく、1.850以下でもよい。
なお、添加剤(HRO)の屈折率は、モノマーの屈折率と同様に、アッベ屈折率計を用いて、測定波長589nm、測定温度25℃の条件で測定される。メーカー等から25℃における屈折率の公称値が提供されている場合は、その公称値を採用することができる。
添加剤(HRO)の屈折率nとベースポリマー(例えばアクリル系ポリマー)の屈折率nとの差、すなわちn-n(以下、「Δn」ともいう。)は、0より大きくなるように設定される。いくつかの態様において、Δnは、例えば0.02以上であり、0.05以上でもよく、0.07以上でもよく、0.10以上でもよく、0.15以上でもよく、0.20以上または0.25以上でもよい。Δnがより大きくなるようにベースポリマーおよび添加剤(HRO)を選択することにより、添加剤(HRO)の使用による屈折率向上効果は高くなる傾向にある。また、粘着剤内における添加剤(HRO)の相溶性の観点から、いくつかの態様において、Δnは、例えば0.70以下であってよく、0.60以下でもよく、0.50以下でもよく、0.40以下または0.35以下でもよい。
いくつかの態様において、添加剤(HRO)の屈折率nと、該添加剤(HRO)を含む粘着剤の屈折率nとの差、すなわちn-n(以下、「Δn」ともいう。)は、0より大きくなるように設定され得る。いくつかの態様において、Δnは、例えば0.02以上であり、0.05以上でもよく、0.07以上でもよく、0.10以上でもよく、0.15以上でもよく、0.20以上または0.25以上でもよい。Δnがより大きくなるように粘着剤の組成および添加剤(HRO)を選択することにより、添加剤(HRO)の使用による屈折率向上効果は高くなる傾向にある。また、粘着剤内における相溶性や、粘着剤の透明性等の観点から、いくつかの態様において、Δnは、例えば0.70以下であってよく、0.60以下でもよく、0.50以下でもよく、0.40以下または0.35以下でもよい。
添加剤(HRO)として使用する有機材料の分子量は、特に限定されず、目的に応じて選択し得る。高屈折率化の効果と他の特性(例えば、粘着剤に適した柔軟性、ヘイズ等の光学特性)とをバランスよく両立する観点から、いくつかの態様において、添加剤(HRO)の分子量は、凡そ10000未満であることが適当であり、5000未満であることが好ましく、3000未満(例えば1000未満)であることがより好ましく、800未満でもよく、600未満でもよく、500未満でもよく、400未満でもよい。添加剤(HRO)の分子量が大きすぎないことは、粘着剤内における相溶性向上の観点から有利となり得る。また、添加剤(HRO)の分子量は、例えば130以上であってよく、150以上でもよい。いくつかの態様において、添加剤(HRO)の分子量は、該添加剤(HRO)の高屈折率化の観点から、170以上であることが好ましく、200以上であることがより好ましく、230以上でもよく、250以上でもよく、270以上でもよく、500以上でもよく、1000以上でもよく、2000以上でもよい。いくつかの態様において、分子量が1000~10000程度(例えば1000以上5000未満)の重合体を、添加剤(HRO)として用いることができる。
添加剤(HRO)の分子量としては、非重合体または低重合度(例えば2~5量体程度)の重合体については、化学構造に基づいて算出される分子量、もしくはマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(MALDI-TOF-MS)を用いた測定値を用いることができる。添加剤(HRO)がより重合度の高い重合体である場合は、適切な条件で行われるGPCに基づく重量平均分子量(Mw)を用いることができる。メーカー等から分子量の公称値が提供されている場合は、その公称値を採用することができる。
添加剤(HRO)の選択肢となり得る有機材料の例には、芳香環を有する有機化合物、複素環(芳香環でもよく、非芳香族性の複素環でもよい。)を有する有機化合物、等が含まれるが、これらに限定されない。
添加剤(HRO)として用いられる上記芳香環を有する有機化合物(以下、「芳香環含有化合物」ともいう。)の有する芳香環は、モノマー(A1)として用いられる化合物の有する芳香環と同様のものから選択され得る。
上記芳香環は、環構成原子上に1または2以上の置換基を有していてもよく、置換基を有していなくてもよい。置換基を有する場合、該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、水酸基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルキルオキシ基、グリシジルオキシ基等が例示されるが、これらに限定されない。炭素原子を含む置換基において、該置換基に含まれる炭素原子の数は、例えば1~10であり、有利には1~6であり、好ましくは1~4であり、より好ましくは1~3であり、例えば1または2であり得る。いくつかの態様において、上記芳香環は、環構成原子上に置換基を有しないか、アルキル基、アルコキシ基およびハロゲン原子(例えば臭素原子)からなる群から選択される1または2以上の置換基を有する芳香環であり得る。
添加剤(HRO)として用いられ得る芳香環含有化合物の例としては、例えば:モノマー(A1)として用いられ得る化合物;モノマー(A1)として用いられ得る化合物をモノマー単位として含むオリゴマー;モノマー(A1)として用いられ得る化合物から、エチレン性不飽和基を有する基(環構成原子に結合した置換基であり得る。)または該基のうちエチレン性不飽和基を構成する部分を除き、水素原子またはエチレン性不飽和基を有しない基(例えば、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルキルオキシ基、グリシジルオキシ基等)に置き換えた構造の化合物;等であって、ここに開示される可塑剤に該当しないものが挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの態様において、添加剤(HRO)としては、高い高屈折率化効果が得られやすいことから、1分子中に2以上の芳香環を有する有機化合物(以下、「芳香環複数含有化合物」ともいう。)を好ましく採用し得る。芳香環複数含有化合物は、エチレン性不飽和基等の重合性官能基を有していてもよく、有していなくてもよい。また、芳香環複数含有化合物は、重合体であってもよく、非重合体であってもよい。また、上記重合体は、芳香環複数含有モノマーをモノマー単位として含むオリゴマー(好ましくは分子量が凡そ5000以下、より好ましくは凡そ1000以下のオリゴマー。例えば2~5量体程度の低重合物)であり得る。上記オリゴマーは、例えば:芳香環複数含有モノマーの単独重合体;2種以上の芳香環複数含有モノマーの共重合体;1種または2種以上の芳香環複数含有モノマーと他のモノマーとの共重合体;等であり得る。上記他のモノマーは、芳香環複数含有モノマーに該当しない芳香環含有モノマーでもよく、芳香環を有しないモノマーでもよく、これらの組合せであってもよい。
芳香環複数含有化合物の非限定的な例としては、2以上の非縮合芳香環がリンキング基を介して結合した構造を有する化合物、2以上の非縮合芳香環が直接(すなわち、他の原子を介さずに)化学結合した構造を有する化合物、縮合芳香環構造を有する化合物、フルオレン構造を有する化合物、ジナフトチオフェン構造を有する化合物、ジベンゾチオフェン構造を有する化合物、等が挙げられる。芳香環複数含有化合物は、1種を単独でまたは2種以上を組み合せて用いることができる。
添加剤(HRO)の選択肢となり得る、複素環を有する有機化合物(以下、複素環含有有機化合物ともいう。)の例としては、チオエポキシ化合物、トリアジン環を有する化合物、等が挙げられる。チオエポキシ化合物の例としては、特許第3712653号公報に記載のビス(2,3-エピチオプロピル)ジスルフィドおよびその重合物(屈折率1.74)が挙げられる。トリアジン環を有する化合物の例としては、1分子内にトリアジン環を少なくとも1つ(例えば3~40個、好ましくは5~20個))有する化合物が挙げられる。なお、トリアジン環は芳香族性を有するため、トリアジン環を有する化合物は上記芳香環含有化合物の概念にも包含され、また、トリアジン環を複数有する化合物は上記芳香環複数含有化合物の概念にも包含される。
いくつかの態様において、添加剤(HRO)としては、エチレン性不飽和基を有しない化合物を好ましく採用し得る。これにより、熱や光による粘着剤組成物の変質(ゲル化の進行や粘度上昇によるレベリング性の低下)を抑制し、保存安定性を高めることができる。エチレン性不飽和基を有しない添加剤(HRO)を採用することは、該添加剤(HRO)を含む粘着剤層を有する粘着シートにおいて、エチレン性不飽和基の反応に起因する寸法変化や変形(反り、波打ち等)、光学歪の発生等を抑制する観点からも好ましい。
添加剤(HRO)としてオリゴマーを使用する態様において、該オリゴマーは、対応するモノマー成分を公知の方法で重合させることにより得ることができる。上記オリゴマーをラジカル重合により製造する場合には、上記モノマー成分に、ラジカル重合に用いられる重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤等を適宜添加して、重合を行うことができる。上記ラジカル重合に用いられる重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤等は、特に限定されず、適宜選択して使用することができる。なお、オリゴマーの重量平均分子量は、重合開始剤、連鎖移動剤の使用量、反応条件により制御可能であり、これらの種類に応じて適宜その使用量が調整される。
上記連鎖移動剤としては、例えば、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、2-メルカプトエタノール、α-チオグリセロール、チオグリコール酸、チオグルコール酸2-エチルヘキシル、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール等が挙げられる。連鎖移動剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。連鎖移動剤の使用量は、オリゴマーの合成に用いられるモノマー成分の組成や連鎖移動剤の種類等に応じて、所望の重量平均分子量のオリゴマーが得られるように設定することができる。いくつかの態様において、オリゴマーの合成に用いられるモノマーの全量100重量部に対する連鎖移動剤の使用量は、凡そ15重量部以下とすることが適当であり、10重量部以下でもよく、5重量部程度以下でもよい。オリゴマーの合成に用いられるモノマーの全量100重量部に対する連鎖移動剤の使用量の下限は特に制限されないが、例えば0.01重量部以上であってよく、0.1重量部以上でもよく、0.5重量部以上でもよく、1重量部以上でもよい。
ベースポリマー(例えばアクリル系ポリマー)100重量部に対する添加剤(HRO)の使用量(複数種の化合物を用いる場合は、それらの合計量)は、0重量部超であれば特に限定されず、目的に応じて設定することができる。いくつかの態様において、ベースポリマー100重量部に対する添加剤(HRO)の使用量は、例えば80重量部以下とすることができ、粘着剤の高屈折率化と粘着特性や光学特性の低下抑制とをバランスよく両立する観点から、60重量部以下とすることが有利であり、45重量部以下とすることが好ましい。より粘着特性や光学特性を重視するいくつかの態様において、ベースポリマー100重量部に対する添加剤(HRO)の使用量は、例えば30重量部以下であってよく、20重量部以下でもよく、15重量部以下でもよく、10重量部以下でもよい。また、粘着剤の高屈折率化の観点から、ベースポリマー100重量部に対する添加剤(HRO)の使用量は、例えば1重量部以上とすることができ、3重量部以上とすることが有利であり、5重量部以上とすることが好ましく、7重量部以上でもよく、10重量部以上でもよく、15重量部以上でもよく、20重量部以上でもよい。
(架橋剤)
ここに開示される技術において、粘着剤の形成に使用する粘着剤組成物には、粘着剤の凝集力の調整等の目的で、必要に応じて架橋剤を含有させることができる。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、メラミン系樹脂、金属キレート系架橋剤等の、粘着剤の分野において公知の架橋剤を使用することができる。なかでもイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤を好ましく採用し得る。架橋剤の他の例として、1分子内に2以上のエチレン性不飽和基を有するモノマー、すなわち多官能性モノマーが挙げられる。架橋剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
イソシアネート系架橋剤としては、2官能以上のイソシアネート化合物を用いることができ、例えば、トリメチレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の脂環族イソシアネート類;2,4-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)等の芳香族イソシアネート類;上記イソシアネート化合物をアロファネート結合、ビウレット結合、イソシアヌレート結合、ウレトジオン結合、ウレア結合、カルボジイミド結合、ウレトンイミン結合、オキサジアジントリオン結合等により変性したポリイソシネート変性体(例えばHDIのイソシアヌレート体、HDIのアロファネート体等);等が挙げられる。市販品の例としては、商品名タケネート300S、タケネート500、タケネート600、タケネートD165N、タケネートD178N、タケネートD178NL(以上、三井化学社製)、スミジュールT80、スミジュールL、デスモジュールN3400(以上、住化バイエルウレタン社製)、ミリオネートMR、ミリオネートMT、コロネートL、コロネートHL、コロネートHX、コロネート2770(以上、東ソー社製)、商品名デュラネートA201H(以上、旭化成社製)等が挙げられる。イソシアネート化合物は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。2官能のイソシアネート化合物と3官能以上のイソシアネート化合物を併用してもよい。
エポキシ系架橋剤としては、例えば、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミンおよび1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
多官能性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ブチルジオール(メタ)アクリレート、ヘキシルジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。多官能性モノマーは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
いくつかの態様において、架橋剤の少なくとも一部が、1分子当たり2個の架橋反応性基(例えばイソシアネート基)を有する2官能架橋剤が用いられる。2官能架橋剤を使用することにより、柔軟な架橋構造を形成しやすい。2官能架橋剤は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、2官能架橋剤は、3官能以上の架橋剤と併用してもよい。
いくつかの態様において、架橋剤として、芳香環、脂肪族環等の環構造を有しない非環式架橋剤(鎖状架橋剤ともいう。)が好ましく用いられる。例えば、上述したイソシアネート系架橋剤のなかでは、芳香環およびイソシアヌレート環等の環構造を有しないイソシアネート系化合物の使用が好ましい。架橋剤として、非環式イソシアネート系化合物を用いることにより、柔軟性の高い架橋剤を形成しやすい。上記非環式イソシアネートの具体例としては、脂肪族イソシアネート系化合物(例えばPDIやHDI)や、脂肪族イソシアネート系化合物の変性体(例えばPDIやHDIのアロファネート結合、ビウレット結合、ウレア結合、カルボジイミド結合により変性したポリイソシネート変性体)が挙げられる。非環式架橋剤は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。いくつかの好ましい態様において、架橋剤として、非環式の2官能架橋剤を用いられ得る。
いくつかの態様において、架橋剤として、1分子中の一の架橋反応性基(例えばイソシアネート基)と他の一の架橋反応性基との距離が比較的長い架橋剤が使用され得る。これにより、所定以上の長さを有する柔軟な架橋構造が形成される。例えば、架橋剤1分子において、一の架橋反応性基と他の架橋反応性基とを連結する連結鎖を構成する原子の数が10以上(例えば12以上または14以上)である化合物を架橋剤として使用することができる。上記連結鎖構成原子数の上限は、目的に応じて重合等により調製可能なため特に限定されず、例えば2000以下であり、1000以下であってもよく、500以下でもよく、100以下でもよく、50以下でもよく、30以下でもよく、20以下であってもよい。なお、上記架橋反応性基を連結する連結鎖構成原子数とは、架橋剤1分子において、一の架橋反応性基から他の架橋反応性基(架橋反応性基を3以上有する場合、上記一の架橋反応性基に最も近い架橋反応性基)に到達するのに要する最小の原子の数をいう。上記連結鎖を有する架橋剤は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。いくつかの好ましい態様において、上記架橋剤として、非環式の2官能架橋剤が用いられ得る。上記架橋剤の市販品の例としては、商品名コロネート2770(東ソー社製)、商品名タケネートD178NL(三井化学社製)、商品名デュラネートA201H(旭化成社製)等が挙げられる。
架橋剤(多官能性モノマーであり得る。)を用いる場合における使用量は、特に限定されず、例えばベースポリマー100重量部に対して0.001重量部~5.0重量部程度の範囲とすることができる。被着体に対する密着性向上の観点から、いくつかの態様において、ベースポリマー100重量部に対する架橋剤の使用量は、好ましくは3.0重量部以下、より好ましくは2.0重量部以下であり、1.0重量部以下でもよく、0.5重量部以下でもよく、0.2重量部以下でもよい。また、架橋剤の使用効果を適切に発揮する観点から、いくつかの態様において、ベースポリマー100重量部に対する架橋剤の使用量は、例えば0.005重量部以上であってよく、0.01重量部以上であってもよく、0.05重量部以上でもよく、0.08重量部以上でもよく、0.1重量部以上でもよく、0.2重量部以上でもよく、0.4重量部以上でもよい。
架橋反応をより効果的に進行させるために、架橋触媒を用いてもよい。架橋触媒の例としては、テトラ-n-ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ナーセム第二鉄、ブチルスズオキシド、ジオクチルスズジラウレート等の金属系架橋触媒等が挙げられる。なかでも、ジオクチルスズジラウレート等のスズ系架橋触媒が好ましい。架橋触媒の使用量は特に制限されない。ベースポリマー100重量部に対する架橋触媒の使用量は、架橋反応速度の速さと粘着剤組成物のポットライフの長さとのバランスを考慮して、例えば凡そ0.0001重量部以上1重量部以下の範囲とすることができ、0.001重量部以上0.5重量部以下の範囲とすることが好ましい。
粘着剤組成物には、架橋遅延剤として、ケト-エノール互変異性を生じる化合物を含有させることができる。これにより、粘着剤組成物のポットライフを延長する効果が実現され得る。例えば、イソシアネート系架橋剤を含む粘着剤組成物において、ケト-エノール互変異性を生じる化合物を好ましく利用し得る。ケト-エノール互変異性を生じる化合物としては、各種のβ-ジカルボニル化合物を用いることができる。例えば、β-ジケトン類(アセチルアセトン、2,4-ヘキサンジオン等)やアセト酢酸エステル類(アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等)を好ましく採用し得る。ケト-エノール互変異性を生じる化合物は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。ケト-エノール互変異性を生じる化合物の使用量は、ベースポリマー100重量部に対して、例えば0.1重量部以上20重量部以下とすることができ、0.5重量部以上10重量部以下としてもよく、1重量部以上5重量部以下としてもよい。
(粘着付与剤)
ここに開示される粘着剤には、粘着付与剤を含有させてもよい。粘着付与剤としては、ロジン系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂、フェノール系粘着付与樹脂、炭化水素系粘着付与樹脂、ケトン系粘着付与樹脂、ポリアミド系粘着付与樹脂、エポキシ系粘着付与樹脂、エラストマー系粘着付与樹脂等の公知の粘着付与樹脂を用いることができる。これらは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。粘着付与樹脂の使用量は特に限定されず、目的や用途に応じて適切な粘着性能が発揮されるように設定することができる。いくつかの態様において、屈折率や透明性の観点から、ベースポリマー100重量部に対する粘着付与剤の使用量は、30重量部以下とすることが適当であり、10重量部以下とすることが好ましく、5重量部以下とすることがより好ましい。ここに開示される技術は、粘着付与剤を使用しない態様で好ましく実施され得る。
(レベリング剤)
いくつかの態様において、粘着剤層の形成に用いられる粘着剤組成物には、該組成物から形成される粘着剤層の外観向上(例えば、厚みの均一性の向上)や粘着剤組成物の塗工性向上等の目的で、必要に応じてレベリング剤を含有させることができる。レベリング剤の非限定的な例としては、アクリル系レベリング剤、フッ素系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤等が挙げられる。レベリング剤は、例えば、市販のレベリング剤から適切なものを選択し、常法により用いることができる。
いくつかの態様において、上記レベリング剤として、ポリオルガノシロキサン骨格を有するモノマー(以下、「モノマーS1」ともいう。)とアクリル系モノマーとを含むモノマー原料(以下、「モノマー原料B」ともいう。)の重合物であるポリマー(以下、「ポリマー(B)」ともいう。)を好ましく用いることができる。ポリマー(B)は、モノマーS1とアクリル系モノマーとの共重合体ということができる。ポリマー(B)は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用することができる。
モノマーS1としては、特に限定されず、ポリオルガノシロキサン骨格を含有する任意のモノマーを用いることができる。モノマーS1としては、片末端に重合性反応基を有する構造のものを好ましく用いることができる。なかでも、片末端に重合性反応基を有し、かつ他の末端にアクリル系ポリマーと架橋反応を生じる官能基を有しない構造のモノマーS1を好ましく採用し得る。市販品としては、例えば、信越化学工業社製の片末端反応性シリコーンオイル(例えば、X-22-174ASX、X-22-2426、X-22-2475、KF-2012等の品番)が挙げられる。モノマーS1は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用することができる。
モノマーS1の官能基当量は、例えば100g/mol~30000g/mol程度であり得る。いくつかの好ましい態様では、上記官能基当量は、例えば500g/mol以上であり、800g/mol以上でもよく、1500g/mol以上でもよく、2000g/mol以上でもよい。また、上記官能基当量は、例えば20000g/mol以下であってよく、10000g/mol未満でもよく、7000g/mol以下でもよく、5500g/mol以下でもよい。モノマーS1の官能基当量が上記範囲内であると、良好なレベリング効果が発揮されやすい。
なお、モノマーS1として官能基当量が異なる二種類以上のモノマーを用いる場合、モノマーS1の官能基当量とは、各種類のモノマーの官能基当量と該モノマーの重量分率との積の総和を用いることができる。
ここで、「官能基当量」とは、官能基1個当たりに結合している主骨格(例えばポリジメチルシロキサン)の重量を意味する。標記単位g/molに関しては、官能基1molと換算している。モノマーS1の官能基当量は、例えば、核磁気共鳴(NMR)に基づくH-NMR(プロトンNMR)のスペクトル強度から算出することができる。H-NMRのスペクトル強度に基づくモノマーS1の官能基当量(g/mol)の算出は、H-NMRスペクトル解析に係る一般的な構造解析手法に基づいて、必要であれば特許第5951153号公報の記載を参照して行うことができる。モノマーS1の官能基当量において、上記官能基とは、重合性官能基(例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和基)を意味する。
モノマー原料BにおけるモノマーS1の含有量は、該モノマーS1を用いて所望の効果が発揮される範囲で適切な値を採用することができ、特定の範囲に限定されない。いくつかの態様において、モノマー原料BにおけるモノマーS1の含有量は、例えば5~60重量%であってよく、10~50重量%でもよく、15~40重量%でもよい。
モノマー原料Bは、モノマーS1に加えて、モノマーS1と共重合可能なアクリル系モノマーを含む。これにより、粘着剤層内におけるポリマー(B)の相溶性を改善し得る。モノマー原料Bに使用し得るアクリル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。ここでいう「アルキル」は、鎖状(直鎖状、分岐鎖状を包含する。)のアルキル(基)をいい、後述の脂環式炭化水素基を含まない。いくつかの態様において、モノマー原料Bは、(メタ)アクリル酸C4-12アルキルエステル(好ましくは(メタ)アクリル酸C4-10アルキルエステル、例えば(メタ)アクリル酸C6-10アルキルエステル)の少なくとも一種を含有し得る。他のいくつかの態様において、モノマー原料Bは、メタクリル酸C1-18アルキルエステル(好ましくはメタクリル酸C1-14アルキルエステル、例えばメタクリル酸C1-10アルキルエステル)の少なくとも一種を含有し得る。モノマー原料Bは、アクリル系モノマーとして、例えば、メタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸n-ブチル(BMA)およびメタクリル酸2-エチルヘキシル(2EHMA)から選択される一種または二種以上を含み得る。
上記アクリル系モノマーの他の例として、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。例えば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート等を用いることができる。脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルを使用しなくてもよい。
モノマー原料Bにおける上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび上記脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルの含有量は、例えば10重量%以上95重量%以下であってよく、20重量%以上95重量%以下であってもよく、30重量%以上90重量%以下であってもよく、40重量%以上90重量%以下であってもよく、50重量%以上85重量%以下であってもよい。
モノマーS1とともにモノマー原料Bに含まれ得るモノマーの他の例として、アクリル系ポリマーに用いられ得るモノマーとして上記で例示したカルボキシ基含有モノマー、酸無水物基含有モノマー、水酸基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマー、アミド基含有モノマー、窒素原子含有環を有するモノマー、(メタ)アクリル酸アミノアルキル類、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、オレフィン類、芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル、ハロゲン原子含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ポリマー(B)のMwは、例えば5,000以上であってよく、10,000以上であることが好ましく、15,000以上でもよい。また、ポリマー(B)のMwは、例えば200,000以下であってよく、100,000以下であることが好ましく、50,000以下でもよく、30,000以下でもよい。ポリマー(B)のMwを適当な範囲に設定することにより、好適な相溶性およびレベリング性が発揮され得る。
ポリマー(B)は、例えば、上述したモノマーを、溶液重合法、エマルション重合法、バルク重合法、懸濁重合法、光重合法等の公知の手法により重合させることで作製することができる。
ポリマー(B)の分子量を調整するために、必要に応じて連鎖移動剤を用いることができる。使用する連鎖移動剤の例としては、t-ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール、α-チオグリセロール等のメルカプト基を有する化合物;チオグリコール酸、チオグリコール酸メチル等のチオグリコール酸エステル類;α-メチルスチレンダイマー;等が挙げられる。連鎖移動剤の使用量は特に制限されず、所望の分子量を有するポリマー(B)が得られるように適宜設定し得る。いくつかの態様において、モノマー100重量部に対する連鎖移動剤の使用量は、例えば0.1~5重量部であってよく、0.2~3重量部でもよく、0.5~2重量部でもよい。
ベースポリマー(例えばアクリル系ポリマー)100重量部に対するポリマー(B)の使用量は、例えば0.001重量部以上とすることができ、より高い使用効果を得る観点から0.01重量部以上としてもよく、0.03重量部以上としてもよい。また、上記ポリマー(B)の使用量は、例えば3重量部以下であってよく、屈折率への影響を軽減する観点から1重量部以下とすることが適当であり、0.5重量部以下でもよく、0.1重量部以下でもよい。ここに開示される技術は、粘着剤組成物がポリマー(B)を実質的に含まない態様で実施され得る。
(高屈折率粒子)
ここに開示される粘着剤には、任意成分として、高屈折率粒子を含有させることができる。ここで高屈折率粒子とは、粘着剤に含有させることで該粘着剤の屈折率を高めることのできる粒子を意味する。以下、高屈折率粒子を「粒子PHRI」と表記することがある。HRIは、high refractive indexを意味する。
粒子PHRIとしては、例えば1.60以上、好ましくは1.70以上(1.80以上でもよく、1.90以上でもよく、さらには2.00以上でもよい。)の屈折率を有する材料から構成された粒子の1種または2種以上が用いられ得る。粒子PHRIを構成する材料の屈折率の上限は、特に限定されず、例えば3.00以下であってよく、2.80以下でもよく、2.50以下でもよく、2.20以下でもよく、2.00以下でもよい。粒子PHRIを構成する材料の屈折率は、当該材料の単層膜(屈折率測定が可能な膜厚とする。)につき、市販の分光エリプソメーターを用いて、測定波長589nm、測定温度25℃の条件で測定される屈折率である。分光エリプソメーターとしては、例えば製品名「EC-400」(JA.Woolam社製)またはその相当品が用いられる。
粒子PHRIの種類は、特に限定されず、金属粒子、金属化合物粒子、有機粒子、有機-無機複合体粒子のなかから、粘着剤の屈折率を向上させ得る材料の1種または2種以上を選定し、用いることができる。粒子PHRIとしては、無機酸化物(例えば金属酸化物)のなかから、粘着シートの屈折率を向上させ得るものが好ましく用いられ得る。粒子PHRIを構成する材料の好適例としては、チタニア(酸化チタン、TiO)、ジルコニア(酸化ジルコニウム、ZrO)、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化銅、チタン酸バリウム、酸化ニオブ(Nb等)等の無機酸化物(具体的には金属酸化物)が挙げられる。これら無機酸化物(例えば金属酸化物)からなる粒子は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、チタニアやジルコニアからなる粒子が好ましく、ジルコニアからなる粒子が特に好ましい。また、金属粒子としては、例えば鉄系や亜鉛系、タングステン系、白金系の材料は高い屈折率を有し得る。有機粒子としては、スチレン系樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等の樹脂からなる粒子の屈折率は相対的に高い。有機-無機複合体粒子としては、上述の無機材料と有機材料との複合体や、樹脂等の有機材料で無機粒子を被覆したもの等が挙げられる。粒子PHRIとしては、粘着剤成分との相溶性の観点から、上述の有機、無機粒子を表面処理剤によって表面処理したものを用いてもよい。
粒子PHRIの平均粒径は、特に限定されず、粘着剤に含有させることで所望の屈折率向上を実現し得る適当なサイズの粒子が用いられ得る。粒子PHRIの平均粒径は、例えば凡そ1nm以上とすることができ、凡そ5nm以上が適当である。屈折率向上や取扱い性等の観点から、粒子PHRIの平均粒径は、好ましくは凡そ10nm以上であり、凡そ20nm以上でもよく、凡そ30nm以上でもよい。また、粘着特性維持等の観点から、上記平均粒径の上限は、例えば凡そ300nm以下が適当であり、屈折率向上の観点から、好ましくは凡そ100nm以下、より好ましくは凡そ70nm以下、さらに好ましくは凡そ50nm以下であり、凡そ35nm以下(例えば凡そ25nm以下)であってもよい。
なお、上記粒子PHRIの平均粒径は、体積平均粒子径を指し、具体的には、レーザ散乱・回折法に基づく粒度分布測定装置を用いて、粒子PHRI分散液について測定した粒度分布における積算値50%での粒径(50%体積平均粒子径;以下、D50と略記する場合もある。)を指す。測定装置としては、例えば、マイクロトラック・ベル社製の製品名「マイクロトラックMT3000II」またはその相当品を用いることができる。
粘着剤における粒子PHRIの含有量は、特に限定されない。上記粒子PHRIの含有量は、目的とする屈折率に応じて異なり得る。例えば、上記粒子PHRIの含有量は、要求される粘着特性等を考慮して、所定以上の屈折率となるよう適切に設定され得る。いくつかの態様において、粘着剤における粒子PHRIの含有量は、粘着剤中、例えば凡そ75重量%以下とすることができ、粘着特性や透明性の観点から凡そ50重量%以下としてもよく、凡そ30重量%以下としてもよい。粒子PHRIの含有量の下限は特に制限されず、例えば0重量%超であってよく、1重量%以上でもよく、5重量%以上でもよい。他のいくつかの態様において、粘着剤における粒子PHRIの含有量は、粘着剤中、例えば10重量%未満であり、1重量%未満であってもよく、0.1重量%未満でもよい。ここに開示される技術は、粘着剤が粒子PHRIを実質的に含まない態様で実施され得る。
粘着剤における粒子PHRIの含有量は、該粘着剤に含まれるベースポリマー(例えばアクリル系ポリマー)の量との相対的関係によっても特定され得る。粒子PHRIの含有量は、ベースポリマー100重量部に対して、例えば凡そ100重量部以下とすることができ、粘着特性や透明性の観点から凡そ60重量部以下としてもよく、凡そ40重量部以下としてもよい。粒子PHRIの含有量の下限は特に制限されず、例えば0重量%超であってよく、1重量%以上でもよく、5重量%以上でもよい。いくつかの態様において、粒子PHRIの含有量は、ベースポリマー100重量部に対して、例えば30重量部未満であり、10重量部未満であってもよく、1重量部未満でもよく、0.1重量部未満でもよい。
(その他の添加剤)
ここに開示される技術において、粘着剤の形成に用いられる粘着剤組成物は、本発明の効果が著しく妨げられない範囲で、軟化剤、着色剤(染料、顔料等)、充填剤、帯電防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、防腐剤等の、粘着剤組成物に使用され得る公知の添加剤を、必要に応じて含んでいてもよい。このような各種添加剤については、従来公知のものを常法により使用することができ、特に本発明を特徴づけるものではないので、詳細な説明は省略する。
(粘着剤(層)の形成)
ここに開示される粘着剤は、粘着剤組成物を用いて形成することができる。用いられる粘着剤組成物の形態は特に限定されず、例えば、有機溶媒中に粘着剤形成成分を含む形態の溶剤型粘着剤組成物、紫外線や放射線等の活性エネルギー線により硬化して粘着剤を形成するように調製された活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物、粘着剤形成成分が水に分散した形態の水分散型粘着剤組成物、加熱溶融状態で塗工され、室温付近まで冷えると粘着剤を形成するホットメルト型粘着剤組成物、等の種々の形態であり得る。粘着剤は、溶剤型、活性エネルギー線硬化型、水分散型、ホットメルト型等の形態の粘着剤組成物を、乾燥、架橋、重合、冷却等により硬化させてなる粘着剤、すなわち上記粘着剤組成物の硬化物であり得る。粘着剤組成物の硬化手段(例えば乾燥、架橋、重合、冷却等)は、1種のみを適用してもよく、2種以上を同時に、または多段階にわたって適用してもよい。溶剤型粘着剤組成物では、典型的には該組成物を乾燥(好ましくは、さらに架橋)させて粘着剤を形成することができる。活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物では、典型的には活性エネルギー線を照射して重合反応および/または架橋反応を進行させることにより粘着剤が形成される。活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物で乾燥させる必要がある場合は、乾燥後に活性エネルギー線を照射するとよい。特に限定するものではないが、ここに開示される粘着剤は、溶剤型粘着剤組成物を用いて好ましく形成され得る。溶剤型粘着剤組成物から形成された溶剤型粘着剤層を備える態様において、高屈折率と低弾性率との両立は好ましく実現され得る。
粘着剤層は、粘着剤組成物を適当な表面に付与(例えば塗布)した後、該組成物を硬化させることにより形成され得る。粘着剤組成物の塗布は、例えば、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター等の慣用のコーターを用いて実施することができる。
<粘着シート>
この明細書により、粘着剤層を有する粘着シートが提供される。上記粘着剤層を構成する粘着剤は、上述したとおりであり、上述の粘着剤組成物から形成された粘着剤(例えば、該粘着剤組成物の硬化物)であり得る。
上記粘着シートは、非剥離性の基材(支持基材)の片面または両面に上記粘着剤層を有する形態の基材付き粘着シートであってもよく、上記粘着剤層が剥離ライナーに保持された形態等の基材レスの粘着シート(すなわち、非剥離性の基材を有しない粘着シート。典型的には粘着剤層からなる粘着シート)であってもよい。ここでいう粘着シートの概念には、粘着テープ、粘着ラベル、粘着フィルム等と称されるものが包含され得る。ここに開示される粘着シートは、ロール状であってもよく、枚葉状であってもよい。あるいは、さらに種々の形状に加工された形態の粘着シートであってもよい。
両面粘着タイプの基材レス粘着シート(基材レス両面粘着シート)の構成例を図1,2に示す。図1に示す粘着シート1は、基材レスの粘着剤層21の両面21A,21Bが、少なくとも該粘着剤層側が剥離面となっている剥離ライナー31,32によってそれぞれ保護された構成を有する。図2に示す粘着シート2は、基材レスの粘着剤層21の一方の表面(粘着面)21Aが、両面が剥離面となっている剥離ライナー31により保護された構成を有し、これを巻回すると、粘着剤層21の他方の表面(粘着面)21Bが剥離ライナー31の背面に当接することにより、他面21Bもまた剥離ライナー31で保護された構成とできるようになっている。ここに開示される技術は、繰り返し折り曲げられるような被着体に追従する柔軟性の観点から、粘着剤層からなる基材レス粘着シートの形態で好ましく実施される。上記基材レス粘着シートは、例えば粘着シートの厚さを小さくする観点や、粘着シートの透明性を高める観点からも好ましい。
ここに開示される粘着シートは、例えば、図3に模式的に示される断面構造を有するものであり得る。図3に示す粘着シート3は、支持基材10と、その支持基材10の第1面10Aおよび第2面10Bにそれぞれ支持された第1粘着剤層21および第2粘着剤層22とを備える。第1面10Aおよび第2面10Bは、いずれも非剥離性の表面(非剥離面)である。粘着シート3は、第1粘着剤層21の表面(第1粘着面)21Aおよび第2粘着剤層22の表面(第2粘着面)22Aをそれぞれ被着体に貼り付けて使用される。すなわち、粘着シート3は両面粘着シート(両面接着性の粘着シート)として構成されている。使用前の粘着シート3は、第1粘着面21Aおよび第2粘着面22Aが、少なくとも該粘着剤面側が剥離性を有する表面(剥離面)となっている剥離ライナー31,32によってそれぞれ保護された構成を有している。あるいは、剥離ライナー32を省略して、剥離ライナー31として両面が剥離面となっているものを使用し、粘着シート3を巻回して第2粘着面22Aを剥離ライナー31の裏面に当接させることにより、第2粘着面22Aもまた剥離ライナー31によって保護された構成としてもよい。
ここに開示される技術は、部材(例えば光学部材)の固定や接合のため、上述の基材レスまたは基材付き両面粘着シートの形態で好ましく実施される。あるいは、ここに開示される粘着シートは、特に図示しないが、非剥離性の基材(支持基材)の片面のみに粘着剤層を有する基材付き片面粘着シートの形態であってもよい。片面粘着シートの形態の例として、図3に示す構成において第1粘着剤層21および第2粘着剤層22のいずれか一方を有しない形態が挙げられる。
(粘着剤層)
粘着シートを構成する粘着剤層の厚さは特に限定されず、例えば3μm以上とすることができる。いくつかの態様において、粘着剤層の厚さは、例えば5μm以上であることが適当であり、10μm以上であってもよく、15μm以上でもよく、20μm以上でもよく、30μm以上でもよく、50μm以上でもよく、70μm以上または85μm以上でもよい。粘着剤層の厚さの増大により、粘着力は上昇する傾向にある。また、いくつかの態様において、粘着剤層の厚さは、例えば300μm以下であってよく、250μm以下でもよく、200μm以下でもよく、150μm以下でもよく、120μm以下でもよい。いくつかの好ましい態様において、粘着剤層の厚さは100μm以下であり、より好ましくは75μm以下、さらに好ましくは70μm以下であり、50μm以下であってもよく、30μm以下でもよい。粘着剤層の厚さが大きすぎないことは、粘着シートの薄型化等の観点から有利となり得る。また、薄厚の粘着剤層は、被着体への追従性に優れる傾向がある。ここに開示される技術は、例えば、粘着剤層の厚さが3μm~200μm(より好ましくは5μm~100μm、さらに好ましくは5μm~75μm)の範囲となる態様で好ましく実施され得る。なお、基材の第1面および第2面に第1粘着剤層および第2粘着剤層を有する粘着シートの場合、上述した粘着剤層の厚さは、少なくとも第1粘着剤層の厚さに適用され得る。第2粘着剤層の厚さも同様の範囲から選択され得る。また、基材レスの粘着シートの場合、該粘着シートの厚さは粘着剤層の厚さと一致する。
いくつかの態様において、粘着剤の0℃における貯蔵弾性率G’(0℃)[Pa]と粘着剤層の厚さT[μm]との積(G’(0℃)×T)は、例えば5.0×10~7.5×10の範囲内にあることが適当であり、5.0×10~5.0×10の範囲内にあることが好ましい。薄厚の粘着剤層においては、相対的に高弾性率であっても、上記範囲の積(G’(0℃)×T)を有することで、良好な柔軟性を有するものになりやすい。また、上記積(G’(0℃)×T)が所定値以下に制限されていることにより、粘着剤層の厚さおよび貯蔵弾性率G’(0℃)の上限が制限され、これにより、優れた柔軟性が得られやすい。いくつかの好ましい態様において、上記積(G’(0℃)×T)は、1.0×10以上であってもよく、2.0×10以上でもよく、8.0×10以上でもよい。また、上記積(G’(0℃)×T)は、2.0×10以下であってもよく、1.0×10以下であってもよく、6.0×10以下でもよい。
(ヘイズ値)
いくつかの態様において、粘着シートを構成する粘着剤層のヘイズ値は、例えば5.0%以下であってよく、3.0%以下であることが好ましく、2.0%以下であることがより好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましく、0.9%以下でもよく、0.8%以下でもよく、0.5%以下でもよく、0.3%以下でもよい。このように透明性の高い粘着剤層を有する粘着シートは、基材を有する構成または有しない構成において、高い光透過性が求められる用途(例えば光学用途)や、該粘着シートを通して被着体を良好に視認し得る性能が求められる用途に好ましく適用され得る。粘着剤層のヘイズ値の下限は特に制限されず、透明性向上の観点からはヘイズ値は小さいほど好ましい。一方、いくつかの態様では、屈折率や粘着特性を考慮して、ヘイズ値は、例えば0.05%以上であってよく、0.10%以上でもよい。粘着剤層に関するこれらのヘイズ値は、ここに開示される技術を基材レス粘着シート(典型的には、粘着剤層からなる粘着シート)の形態で実施する場合における該粘着シートのヘイズ値にも好ましく適用され得る。
ここで「ヘイズ値」とは、測定対象に可視光を照射したときの、全透過光に対する拡散透過光の割合をいう。くもり価ともいう。ヘイズ値は、以下の式で表すことができる。
Th(%)=Td/Tt×100
上記式において、Thはヘイズ値(%)であり、Tdは散乱光透過率、Ttは全光透過率である。ヘイズ値の測定は、後述する実施例に記載の方法に従って行うことができる。粘着剤層のヘイズ値は、例えば、該粘着剤層の組成や厚さ等の選択によって調節することができる。
いくつかの態様において、粘着シートのヘイズ値は、例えば5.0%以下であってよく、3.0%以下であることが好ましく、2.0%以下であることがより好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましく、0.9%以下でもよく、0.8%以下でもよく、0.5%以下でもよく、0.3%以下でもよい。このように透明性の高い粘着シートは、高い光透過性が求められる用途(例えば光学用途)や、該粘着シートを通して被着体を良好に視認し得る性能が求められる用途に好ましく適用され得る。粘着シートのヘイズ値の下限は特に制限されず、透明性向上の観点からはヘイズ値は小さいほど好ましい。一方、いくつかの態様では、屈折率や粘着特性を考慮して、ヘイズ値は、例えば0.05%以上であってよく、0.10%以上でもよい。粘着シートのヘイズ値は、上記粘着剤層のヘイズ値の測定と同様の方法で測定することができる。粘着シートの上記ヘイズ値は、上述した粘着剤層の組成等や、基材を有する構成においては基材種や基材厚さの選択によって得ることができる。
いくつかの態様において、粘着剤層の全光線透過率は、85.0%以上(例えば、88.0%以上、90.0%以上、または90.0%超)であることが好ましい。このように透明性の高い粘着剤層を有する粘着シートは、基材を有する構成または有しない構成において、高い光透過性が求められる用途(例えば光学用途)や、該粘着シートを通して被着体を良好に視認し得る性能が求められる用途に好ましく適用され得る。全光線透過率の上限は、実用上、例えば凡そ98%以下であってよく、凡そ96%以下でもよく、凡そ95%以下でもよい。いくつかの態様では、屈折率や粘着特性を考慮して、粘着剤層の全光線透過率は、凡そ94%以下でもよく、凡そ93%以下でもよく、凡そ92%以下でもよい。全光線透過率は、JIS K 7136:2000に準拠して、市販の透過率計を使用して測定される。透過率計としては、村上色彩技術研究所製の商品名「HAZEMETER HM-150」またはその相当品が用いられる。全光線透過率は、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。粘着剤層の全光線透過率は、例えば、該粘着剤層の組成や厚さ等の選択によって調節することができる。
いくつかの態様において、粘着シートの全光線透過率は、85.0%以上(例えば、88.0%以上、90.0%以上、または90.0%超)であることが好ましい。このように透明性の高い粘着シートは、高い光透過性が求められる用途(例えば光学用途)や、該粘着シートを通して被着体を良好に視認し得る性能が求められる用途に好ましく適用され得る。全光線透過率の上限は、実用上、例えば凡そ98%以下であってよく、凡そ96%以下でもよく、凡そ95%以下でもよい。いくつかの態様では、屈折率や粘着特性を考慮して、粘着シートの全光線透過率は、凡そ94%以下でもよく、凡そ93%以下でもよく、凡そ92%以下でもよい。粘着シートの全光線透過率は、上記粘着剤層の全光線透過率の測定と同様の方法で測定することができる。粘着シートの全光線透過率は、上述した粘着剤層の組成等や、基材を有する構成においては基材種や基材厚さの選択によって得ることができる。
(剥離強度)
粘着シートのガラス板に対する剥離強度は、特に限定されない。いくつかの態様において、粘着シートは、ガラス板に対する剥離強度が、例えば0.1N/25mm以上であり、0.5N/25mm以上であってもよい。いくつかの好ましい態様において、上記ガラス板に対する剥離強度は、1.0N/25mm以上であり、より好ましくは1.5N/25mm以上、さらに好ましくは2.0N/25mm以上であり、3.0N/25mm以上であってもよく、5.0N/25mm以上であってもよく、10N/25mm以上でもよい。このように対ガラス板剥離強度が所定値以上である粘着シートは、例えばガラス製部材等の接合や固定に好適である。上記剥離強度の上限は特に制限されず、例えば30N/25mm以下、25N/25mm以下または20N/25mm以下であり得る。
ここで、上記剥離強度は、被着体としてのアルカリガラス板に圧着して23℃、50%RHの環境で30分間放置した後、剥離角度180度、引張速度300mm/分の条件で剥離強度を測定することにより把握される。測定にあたっては、必要に応じて、測定対象の粘着シートに適切な裏打ち材(例えば、厚さ25μm程度~50μm程度のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム)を貼り付けて補強することができる。剥離強度は、より具体的には、後述する実施例に記載の方法に準じて測定することができる。
(粘着シートの厚さ)
ここに開示される粘着シート(基材レス粘着シートまたは基材付き粘着シート)の厚さは、例えば1000μm以下であってよく、350μm以下でもよく、200μm以下でもよく、120μm以下でもよく、75μm以下でもよく、50μm以下でもよい。また、粘着シートの厚さは、取扱い性等の観点から、例えば5μm以上であってもよく、10μm以上でもよく、25μm以上でもよく、80μm以上でもよく、130μm以上でもよい。
なお、粘着シートの厚さとは、被着体に貼り付けられる部分の厚さをいう。例えば図3に示す構成の粘着シート3では、第1粘着面21Aから第2粘着面22Aまでの厚さを指し、剥離ライナー31,32の厚さは含まない。
<支持基材>
いくつかの態様に係る粘着シートは、支持基材の片面または両面に粘着剤層を備える基材付き粘着シートの形態であり得る。支持基材の材質は特に限定されず、粘着シートの使用目的や使用態様等に応じて適宜選択することができる。使用し得る基材の非限定的な例として、ポリプロピレン(PP)やエチレン-プロピレン共重合体等のポリオレフィンを主成分とするポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルを主成分とするポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルを主成分とするポリ塩化ビニルフィルム等のプラスチックフィルム;ポリウレタンフォーム、ポリエチレン(PE)フォーム、ポリクロロプレンフォーム等の発泡体からなる発泡体シート;各種の繊維状物質(麻、綿等の天然繊維、ポリエステル、ビニロン等の合成繊維、アセテート等の半合成繊維、等であり得る。)の単独または混紡等による織布および不織布;和紙、上質紙、クラフト紙、クレープ紙等の紙類;アルミニウム箔、銅箔等の金属箔;等が挙げられる。これらを複合した構成の基材であってもよい。このような複合基材の例として、例えば、金属箔と上記プラスチックフィルムとが積層した構造の基材、ガラスクロス等の無機繊維で強化されたプラスチック基材等が挙げられる。
いくつかの態様において、各種のフィルム基材を好ましく用いることができる。上記フィルム基材は、発泡体フィルムや不織布シート等のように多孔質の基材であってもよく、非多孔質の基材であってもよく、多孔質の層と非多孔質の層とが積層した構造の基材であってもよい。いくつかの態様において、上記フィルム基材としては、独立して形状維持可能な(自立型の、あるいは非依存性の)樹脂フィルムをベースフィルムとして含むものを好ましく用いることができる。ここで「樹脂フィルム」とは、非多孔質の構造であって、典型的には実質的に気泡を含まない(ボイドレスの)樹脂フィルムを意味する。したがって、上記樹脂フィルムは、発泡体フィルムや不織布とは区別される概念である。上記樹脂フィルムとしては、独立して形状維持可能な(自立型の、あるいは非依存性の)ものが好ましく用いられ得る。上記樹脂フィルムは、単層構造であってもよく、2層以上の多層構造(例えば、3層構造)であってもよい。
樹脂フィルムを構成する樹脂材料としては、例えば、ポリエステル;ポリオレフィン;ノルボルネン構造等の脂肪族環構造を有するモノマーに由来するポリシクロオレフィン;ナイロン6、ナイロン66、部分芳香族ポリアミド等のポリアミド(PA);透明ポリイミド(CPI)等のポリイミド(PI);ポリアミドイミド(PAI);ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリエーテルスルホン(PES);ポリフェニレンサルファイド(PPS);ポリカーボネート(PC);ポリウレタン(PU);エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA);ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂;アクリル樹脂;トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系ポリマー;ポリアリレート;ポリスチレン;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン等の樹脂を用いることができる。
上記樹脂フィルムは、このような樹脂の1種を単独で含む樹脂材料を用いて形成されたものであってもよく、2種以上がブレンドされた樹脂材料を用いて形成されたものであってもよい。上記樹脂フィルムは、無延伸であってもよく、延伸(例えば一軸延伸または二軸延伸)されたものであってもよい。例えば、PETフィルム、PBTフィルム、PENフィルム、無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム、低密度ポリエチレン(LDPE)フィルム、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム、PP/PEブレンドフィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、CPIフィルム、TACフィルム等が好ましく用いられ得る。強度や寸法安定性の観点から好ましい樹脂フィルムの例として、PETフィルム、PENフィルム、PPSフィルムおよびPEEKフィルムが挙げられる。入手容易性等の観点からPETフィルムおよびPPSフィルムが特に好ましく、なかでもPETフィルムが好ましい。
樹脂フィルムには、本発明の効果が著しく妨げられない範囲で、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤(染料、顔料等)、充填材、スリップ剤、アンチブロッキング剤等の公知の添加剤を、必要に応じて配合することができる。添加剤の配合量は特に限定されず、粘着シートの用途等に応じて適宜設定することができる。
樹脂フィルムの製造方法は特に限定されない。例えば、押出成形、インフレーション成形、Tダイキャスト成形、カレンダーロール成形等の、従来公知の一般的な樹脂フィルム成形方法を適宜採用することができる。
上記基材は、このようなベースフィルムから実質的に構成されたものであり得る。あるいは、上記基材は、上記ベースフィルムの他に、補助的な層を含むものであってもよい。上記補助的な層の例としては、光学特性調整層(例えば着色層、反射防止層)、基材に所望の外観を付与するための印刷層やラミネート層、帯電防止層、下塗り層、剥離層等の表面処理層が挙げられる。
いくつかの態様において、支持基材としては、光透過性を有する基材(以下、光透過性基材ともいう。)を好ましく採用し得る。これにより、光透過性を有する基材付き粘着シートを構成することが可能となる。光透過性基材の全光線透過率は、例えば50%超であってよく、70%以上であってもよい。いくつかの好ましい態様では、支持基材の全光線透過率は80%以上であり、より好ましくは90%以上であり、95%以上(例えば95~100%)であってもよい。上記全光線透過率は、JIS K 7136:2000に準拠して、市販の透過率計を使用して測定される。透過率計としては、村上色彩技術研究所製の商品名「HAZEMETER HM-150」またはその相当品が用いられる。上記光透過性基材の好適例として、光透過性を有する樹脂フィルムが挙げられる。上記光透過性基材は、光学フィルムであってもよい。
基材の厚さは、特に限定されず、粘着シートの使用目的や使用態様等に応じて選択し得る。基材の厚さは、例えば500μm以下であってよく、粘着シートの取扱い性や加工性の観点から300μm以下であることが好ましく、150μm以下でもよく、100μm以下でもよく、50μm以下でもよく、25μm以下でもよく、10μm以下でもよい。基材の厚さが小さくなると、被着体の表面形状への追従性が向上する傾向にある。また、取扱い性や加工性等の観点から、基材の厚さは、例えば2μm以上であってよく、10μm以上でもよく、25μm以上でもよい。
基材のうち粘着剤層が積層される側の面には、必要に応じて、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、酸処理、アルカリ処理、下塗り剤(プライマー)の塗布による下塗り層の形成等の、従来公知の表面処理が施されていてもよい。このような表面処理は、粘着剤層の基材への投錨性を向上させるための処理であり得る。下塗り層の形成に用いるプライマーの組成は特に限定されず、公知のものから適宜選択することができる。下塗り層の厚さは特に制限されないが、通常、0.01μm~1μm程度が適当であり、0.1μm~1μm程度が好ましい。必要に応じて基材に施され得る他の処理として、帯電防止層形成処理、着色層形成処理、印刷処理等が挙げられる。これらの処理は、単独でまたは組み合わせて適用することができる。
<剥離ライナー付き粘着シート>
ここに開示される粘着シートは、粘着剤層の表面(粘着面)を剥離ライナーの剥離面に当接させた粘着製品の形態をとり得る。したがって、この明細書により、ここに開示されるいずれかの粘着シートと、該粘着シートの粘着面に当接する剥離面を有する剥離ライナーと、を含む剥離ライナー付き粘着シート(粘着製品)が提供される。
剥離ライナーとしては、特に限定されず、例えば、樹脂フィルムや紙(ポリエチレン等の樹脂がラミネートされた紙であり得る。)等のライナー基材の表面に剥離層を有する剥離ライナーや、フッ素系ポリマー(ポリテトラフルオロエチレン等)やポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)のような低接着性材料により形成された樹脂フィルムからなる剥離ライナー等を用いることができる。表面平滑性に優れることから、ライナー基材としての樹脂フィルムの表面に剥離層を有する剥離ライナーや、低接着性材料により形成された樹脂フィルムからなる剥離ライナーを好ましく採用し得る。樹脂フィルムとしては、粘着剤層を保護し得るフィルムであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエステルフィルム(PETフィルム、PBTフィルム等)、ポリウレタンフィルム、エチレン-酢酸ビニル共重合体フィルム等が挙げられる。上記剥離層の形成には、例えば、シリコーン系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤、オレフィン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、脂肪酸アミド系剥離処理剤、硫化モリブデン、シリカ粉等の、公知の剥離処理剤を用いることができる。
<用途>
ここに開示される粘着シートの用途は限定されず、各種用途に利用することができる。ここに開示される粘着シートは、高屈折率と柔軟性とを両立した粘着剤を備えるものであるので、その特徴を活かして、高屈折率および柔軟性が要求される各種用途に利用され得る。例えば、携帯電子機器等の電子機器において、液晶表示装置、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置、PDP(プラズマディスプレイパネル)、電子ペーパー等の表示装置(画像表示装置)や、タッチパネル等の入力装置等の機器(光学機器)、特に、フォルダブルディスプレイやローラブルディスプレイ用の粘着シートとして好適である。例えば、フォルダブルディスプレイやローラブルディスプレイにおいて、高屈折率を有する部材の接合や固定、保護等の手段として好ましく用いられる。ここに開示される粘着シートは、高屈折率を有しつつ、繰返しの折曲げ操作に耐え得る柔軟性を有し得るので、フォルダブルディスプレイやローラブルディスプレイに貼り付けられた状態で、繰り返し折り曲げられる被着体(フォルダブルディスプレイ等)に良好に追従することができる。かかる使用形態における貼付け対象物としては、フォルダブルディスプレイやローラブルディスプレイに用いられるウィンドウガラスやカバーガラス等のガラス部材が挙げられる。また、ここに開示される粘着シートは、例えば携帯電子機器が有する3次元形状等の曲面形状の表面にも追従、密着しやすいので、かかる曲面形状を有する電子機器用途にも好適である。また、いくつかの好ましい態様において、粘着剤は、高屈折率および柔軟性を有することに加えて、耐熱性に優れるものでもあり得る。上記携帯電子機器は、高温環境下で使用されることがあり、また、その内部空間が電子部品の発熱により熱を帯びることがあるため、上記耐熱性粘着シートを用いる利点は大きい。
上記携帯電子機器の例には、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット型パソコン、ノート型パソコン、各種ウェアラブル機器(例えば、腕時計のように手首に装着するリストウェア型、クリップやストラップ等で体の一部に装着するモジュラー型、メガネ型(単眼型や両眼型。ヘッドマウント型も含む。)を包含するアイウェア型、シャツや靴下、帽子等に例えばアクセサリの形態で取り付ける衣服型、イヤホンのように耳に取り付けるイヤウェア型等)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、音響機器(携帯音楽プレーヤー、ICレコーダー等)、計算機(電卓等)、携帯ゲーム機器、電子辞書、電子手帳、電子書籍、車載用情報機器、携帯ラジオ、携帯テレビ、携帯プリンター、携帯スキャナ、携帯モデム等が含まれる。なお、この明細書において「携帯」とは、単に携帯することが可能であるだけでは十分ではなく、個人(標準的な成人)が相対的に容易に持ち運び可能なレベルの携帯性を有することを意味するものとする。
ここに開示される粘着シートが貼り付けられる材料(被着体材料)としては、特に限定されるものではないが、例えば、銅、銀、金、鉄、錫、パラジウム、アルミニウム、ニッケル、チタン、クロム、亜鉛等、またはこれらの2種以上を含む合金等の金属材料や、例えばポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエーテルニトリル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエステル系樹脂(PET系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂等)、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリアミド系樹脂(いわゆるアラミド樹脂等)、ポリアリレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、液晶ポリマー等の各種樹脂材料(典型的にはプラスチック材)、アルミナ、ジルコニア、アルカリガラス、無アルカリガラス、石英ガラス、カーボン等の無機材料等が挙げられる。ここに開示される粘着シートは、上記材料から構成された部材(例えば光学部材)に貼り付けられて用いられ得る。
ここに開示される粘着シートの貼り付け対象である部材や材料(両面粘着シートにおいては、少なくとも一方の被着体)は、一般的な粘着剤(例えばアクリル系粘着剤)よりも屈折率が高い材料からなるものであり得る。被着体材料の屈折率は、例えば1.50以上であり、なかには屈折率が1.55以上または1.58以上の被着体材料もあり、さらには屈折率が1.62以上(例えば1.66程度)のものも存在する。そのような高屈折率の被着体材料は、典型的には樹脂材料である。より具体的には、PET等のポリエステル系樹脂や、ポリイミド系樹脂、アラミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等であり得る。そのような材料に対して、ここに開示される粘着シートを用いることの効果(屈折率差を原因とする光線の反射抑制)は好ましく発揮され得る。上記被着体材料の屈折率の上限は、例えば1.80以下であり、1.70以下であり得る。ここに開示される粘着シートは、上記のような高屈折率の被着体(例えば部材)に貼り付ける態様で好ましく用いられ得る。そのような被着体の好適例として、屈折率が1.50~1.80(好ましくは1.55~1.75、例えば1.60~1.70)の樹脂フィルムが挙げられる。上記屈折率は、粘着剤の屈折率と同様の方法で測定され得る。
粘着シートの貼り付け対象である部材や材料(両面粘着シートにおいては、少なくとも一方の被着体)は、光透過性を有するものであり得る。このような被着体では、ここに開示される技術による効果(被着体と粘着シートとの界面における光線反射の抑制)の利点が得られやすい。上記被着体の全光線透過率は、例えば50%よりも大きく、好ましくは70%以上であり得る。いくつかの好ましい態様では、上記被着体の全光線透過率は80%以上であり、より好ましくは90%以上であり、95%以上(例えば95~100%)であり得る。ここに開示される粘着シートは、全光線透過率が所定値以上の被着体(例えば光学部材)に貼り付ける態様で好ましく用いられ得る。上記全光線透過率は、JIS K 7136:2000に準拠して、市販の透過率計を使用して測定される。透過率計としては、村上色彩技術研究所製の商品名「HAZEMETER HM-150」またはその相当品が用いられる。
いくつかの好ましい態様では、粘着シートを貼り付ける被着体(例えば部材)は、上述の屈折率を有し、かつ上述の全光線透過率を有するものであり得る。具体的には、屈折率が1.50以上(例えば1.55以上、1.58以上、1.62以上、1.66程度等)であり、かつ全光線透過率が50%よりも大きい(例えば70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらには95%以上であり得る)被着体、例えば部材に貼り付ける態様で、ここに開示される粘着シートは好ましく用いられ得る。このような部材に貼り付けられる態様において、ここに開示される技術による効果は特に好ましく発揮される。
好ましい用途の一例として、光学用途が挙げられる。より具体的には、例えば、光学部材を貼り合わせる用途(光学部材貼り合わせ用)や上記光学部材が用いられた製品(光学製品)の製造用途等に用いられる光学用粘着シートとして、ここに開示される粘着シートを好ましく用いることができる。
上記光学部材とは、光学的特性(例えば、偏光性、光屈折性、光散乱性、光反射性、光透過性、光吸収性、光回折性、旋光性、視認性等)を有する部材をいう。上記光学部材としては、光学的特性を有する部材であれば特に限定されないが、例えば、表示装置(画像表示装置)、入力装置等の機器(光学機器)を構成する部材またはこれらの機器に用いられる部材が挙げられ、例えば、偏光板、波長板、位相差板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、導光板、反射フィルム、反射防止フィルム、ハードコート(HC)フィルム、衝撃吸収フィルム、防汚フィルム、フォトクロミックフィルム、調光フィルム、透明導電フィルム(ITOフィルム)、意匠フィルム、装飾フィルム、表面保護板、プリズム、レンズ、カラーフィルター、透明基板や、さらにはこれらが積層されている部材(これらを総称して「機能性フィルム」と称する場合がある。)等が挙げられる。なお、上記の「板」および「フィルム」は、それぞれ板状、フィルム状、シート状等の形態を含むものとし、例えば、「偏光フィルム」は、「偏光板」や「偏光シート」等を含み、「導光板」は、「導光フィルム」や「導光シート」等を含むものとする。また、上記「偏光板」は、円偏光板を含むものとする。
上記表示装置としては、例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置、マイクロLED(μLED)、ミニLED(miniLED)、PDP、電子ペーパー等が挙げられる。また、上記入力装置としては、タッチパネル等が挙げられる。
上記光学部材としては、特に限定されないが、例えば、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート、PET、金属薄膜等からなる部材(例えば、シート状やフィルム状、板状の部材)等が挙げられる。なお、この明細書における「光学部材」には、表示装置や入力装置の視認性を保ちながら加飾や保護の役割を担う部材(意匠フィルム、装飾フィルムや表面保護フィルム等)も含むものとする。
ここに開示される技術は、例えば、光の透過、反射、拡散、導波、集光、回折等の1または2以上の機能を有するフィルムや蛍光フィルム等の光学フィルムを、他の光学部材(他の光学フィルムであり得る。)に接合するために好ましく用いられ得る。なかでも、光の導波、集光、回折の少なくとも1つの機能を有する光学フィルムの接合においては、接合層のバルク全体が高屈折率であることが望ましく、ここに開示される技術の好ましい適用対象となり得る。
ここに開示される粘着剤は、例えば、導光フィルム、拡散フィルム、蛍光フィルム、調色フィルム、プリズムシート、レンチキュラーフィルム、マイクロレンズアレイフィルム等の光学フィルムの接合に好ましく用いられ得る。これらの用途では、光学部材の小型化の傾向や高性能化の観点から、薄型化や光取出し効率の向上が求められている。かかる要請に応え得る粘着剤として、ここに開示される粘着剤は好ましく利用され得る。より詳しくは、例えば導光フィルムや拡散フィルムの接合では、接合層としての粘着剤層の屈折率を調整(例えば高屈折率化)することによって薄型化に寄与し得る。蛍光フィルムの接合では、蛍光発光体と粘着剤との屈折率差を適切に調整することにより、光取出し効率(発光効率としても把握され得る。)を向上させることができる。調色フィルムの接合では、調色用顔料との屈折率差が小さくなるように粘着剤の屈折率を適切に調整することで散乱成分を低減し、光透過性の向上に貢献し得る。プリズムシート、レンチキュラーフィルム、マイクロレンズアレイフィルム等の接合においては、粘着剤の屈折率を適切に調整することにより、光の回折を制御し、輝度および/または視野角の向上に貢献し得る。
ここに開示される粘着シートは、高屈折率の被着体(高屈折率の層や部材等であり得る。)に貼り付けられる態様で好ましく用いられて、上記被着体との界面反射を抑制することができる。かかる態様で用いられる粘着シートは、上述のように被着体との屈折率差が小さく、かつ被着体との界面における密着性が高いことが好ましい。また、外観の均質性を高める観点から、粘着剤層の厚みの均一性が高いことが好ましく、例えば粘着面の表面平滑性が高いことが好ましい。高屈折率の被着体の厚みが比較的小さい場合(例えば5μm以下、4μm以下、または2μm以下である場合)には、反射光の干渉による色付きや色むらを抑制する観点から、界面での反射を抑えることが特に有意義である。このような使用態様の一例として、偏光子と第1位相差層と第2位相差層とをこの順に備える位相差層付き偏光板において上記偏光子と上記第1位相差層との接合および/または上記第1位相差層と上記第2位相差層との接合に用いられる態様が挙げられる。
また、ここに開示される粘着シートは、高屈折率化に適することから、光半導体等の発光層(例えば、主に無機材料により構成された高屈折の発光層)に貼り付けられる態様で好ましく用いられ得る。発光層と粘着剤層との屈折率差を小さくすることにより、それらの界面における反射を抑制し、光取出し効率を向上させ得る。かかる態様で用いられる粘着シートは、高屈折率の粘着剤層を備えることが好ましい。また、輝度向上の観点から、粘着シートは低着色であることが好ましい。このことは、粘着シートに起因する非意図的な着色を抑制する観点からも有利となり得る。
なお、この明細書において、自発光素子とは、流れる電流値によって発光輝度を制御することが可能な発光素子を意味する。自発光素子は、単一体で構成されていてもよく、集合体で構成されていてもよい。自発光素子の具体例には、発光ダイオード(LED)および有機ELが含まれるが、これらに限定されない。また、この明細書において、発光装置とは、このような自発光素子を構成要素として含む装置を意味する。上記発光装置の例には、照明として利用される光源モジュール装置(例えば、面状発光体モジュール)や、画素を形成した表示装置が含まれるが、これらに限定されない。
ここに開示される粘着剤は、カメラや発光装置等の構成部材として用いられるマイクロレンズその他のレンズ部材(例えば、マイクロレンズアレイフィルムを構成するマイクロレンズや、カメラ用マイクロレンズ等のレンズ部材)において、レンズ面を覆うコーティング層、上記レンズ面に対向する部材(例えば、レンズ面に対応する表面形状を有する部材)との接合層、上記レンズ面と上記部材との間に充填される充填層、等として好ましく用いられ得る。ここに開示される粘着剤は、高屈折率化に適することから、高屈折率のレンズ(例えば、高屈折率樹脂により構成されたレンズや、高屈折率樹脂製の表面層を有するレンズ)であっても該レンズとの屈折率差を低減することができる。このことは、上記レンズおよび該レンズを備えた製品の薄型化の観点から有利であり、収差の抑制やアッベ数の向上にも貢献し得る。ここに開示される粘着剤は、例えば適切な透明部材の凹部または空隙に充填された形態で、それ自体をレンズ樹脂として利用することも可能である。
ここに開示される粘着シートを用いて光学部材を貼り合わせる態様としては、特に限定されないが、例えば、(1)ここに開示される粘着シートを介して光学部材同士を貼り合わせる態様や、(2)ここに開示される粘着シートを介して光学部材を光学部材以外の部材に貼り合わせる態様であってもよいし、(3)ここに開示される粘着シートが光学部材を含む形態であって該粘着シートを光学部材または光学部材以外の部材に貼り合わせる態様であってもよい。なお、上記(3)の態様において、光学部材を含む形態の粘着シートは、例えば、支持体が光学部材(例えば、光学フィルム)である粘着シートであり得る。このように支持体として光学部材を含む形態の粘着シートは、粘着型光学部材(例えば、粘着型光学フィルム)としても把握され得る。また、ここに開示される粘着シートが支持体を有するタイプの粘着シートであって、上記支持体として上記機能性フィルムを用いた場合には、ここに開示される粘着シートは、機能性フィルムの少なくとも片面側にここに開示される粘着剤層を有する「粘着型機能性フィルム」としても把握され得る。
上記より、ここに開示される技術によると、ここに開示される粘着シートと、該粘着シートが貼り付けられた部材とを備える積層体が提供される。粘着シートが貼り付けられる部材は、上述した被着体材料の屈折率を有するものであり得る。また、粘着シートの屈折率と部材の屈折率との差(屈折率差)は、上述した被着体と粘着シートとの屈折率差であり得る。積層体を構成する部材については、上述の部材、材料、被着体として説明したとおりであるので、重複する説明は繰り返さない。
以上の説明および以下の実施例から理解されるように、この明細書により開示される事項には以下のものが含まれる。
〔1〕 屈折率が1.55以上であり、かつ、0℃における貯蔵弾性率G’(0℃)が1.0×104Pa~1.0×106Paの範囲内にある、粘着剤。
〔2〕 ガラス転移温度が-50℃~0℃の範囲内にある、上記〔1〕に記載の粘着剤。
〔3〕 80℃における貯蔵弾性率G’(80℃)に対する前記貯蔵弾性率G’(0℃)の比(G’(0℃)/G’(80℃))が1~1000の範囲内にある、上記〔1〕または〔2〕に記載の粘着剤。
〔4〕 80℃における貯蔵弾性率G’(80℃)に対する-10℃における貯蔵弾性率G’(-10℃)の比(G’(-10℃)/G’(80℃))が1~1000の範囲内にある、上記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の粘着剤。
〔5〕 アクリル系ポリマーを含み、
前記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、芳香環含有モノマー(A1)を含有する、上記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の粘着剤。
〔6〕 可塑剤を含み、前記可塑剤は、二重結合含有環を2以上有する30℃で液状の化合物である、上記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の粘着剤。
〔7〕 前記化合物は20℃で液状の化合物である、上記〔6〕に記載の粘着剤。
〔8〕 前記可塑剤は、ベースポリマー100重量部に対して15重量部(さらには30重量部)を超えて含まれている、上記〔6〕または〔7〕に記載の粘着剤。
〔9〕 前記可塑剤は、前記二重結合含有環として、芳香環およびヘテロ環から選択される少なくとも1種の環を有する、上記〔6〕~〔8〕のいずれかに記載の粘着剤。
〔10〕 前記可塑剤は、第1の二重結合含有環と第2の二重結合含有環とを有しており、前記第1の二重結合含有環と前記第2の二重結合含有環とは、原子数1~5のリンキング基を介して連結している、上記〔6〕~〔9〕のいずれかに記載の粘着剤。
〔11〕 前記可塑剤の分子量は100~2000の範囲内である、上記〔6〕~〔10〕のいずれかに記載の粘着剤。
〔12〕 前記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、前記芳香環含有モノマー(A1)に加えて、水酸基およびカルボキシ基の少なくとも一方を有するモノマー(A2)を含有する、上記〔5〕に記載の粘着剤。
〔13〕 前記モノマー成分において、前記芳香環含有モノマー(A1)の含有量は60重量%以上である、上記〔5〕または〔12〕に記載の粘着剤。
〔14〕 前記芳香環含有モノマー(A1)のうち50重量%以上は、ホモポリマーのガラス転移温度が10℃以下のモノマーである、上記〔5〕、〔12〕および〔13〕のいずれかに記載の粘着剤。
〔15〕 さらに架橋剤を含む、上記〔5〕、〔12〕~〔14〕のいずれかに記載の粘着剤。
〔16〕 上記〔1〕~〔15〕のいずれかに記載の粘着剤からなる粘着剤層を含む、粘着シート。
〔17〕 前記粘着剤層の厚さは5~75μmの範囲内にある、上記〔16〕に記載の粘着シート。
〔18〕 0℃における貯蔵弾性率G’(0℃)[Pa]と粘着剤層の厚さT[μm]との積(G’(0℃)×T)が5.0×104~5.0×107の範囲内にある、上記〔16〕または〔17〕に記載の粘着シート。
〔19〕 全光線透過率が85%以上である、上記〔16〕~〔18〕のいずれかに記載の粘着シート。
〔20〕 ヘイズ値が3%以下である、上記〔16〕~〔19〕のいずれかに記載の粘着シート。
〔21〕 ガラス板に対する剥離強度が0.1N/25mm以上である、上記〔16〕~〔20〕のいずれかに記載の粘着シート。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明において、使用量や含有量を表す「部」および「%」は、特に断りがない限り重量基準である。
<例1>
(アクリル系ポリマー溶液の調製)
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管および冷却器を備えた四つ口フラスコに、モノマー成分としてm-フェノキシベンジルアクリレート(共栄社化学社製、商品名「ライトアクリレートPOB-A」、屈折率:1.566、ホモポリマーのTg:-35℃。以下、「POB-A」と表記する。)95部および4-ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)5部、重合開始剤として2、2’-アゾビスイソブチロニトリル0.2部、および重合溶媒として酢酸エチル150部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を60℃付近に保って6時間重合反応を行い、アクリル系ポリマーP1の溶液(40%)を調製した。アクリル系ポリマーP1のMwは50万であった。
(粘着剤組成物の調製)
上記アクリル系ポリマーP1の溶液(40%)を酢酸エチルで20%に希釈し、この溶液500部(不揮発分100部)に、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(東ソー社製、商品名「コロネートHX」、3官能イソシアネート化合物)の1%酢酸エチル溶液を10部(不揮発分0.1部)、架橋遅延剤としてアセチルアセトンを2部、架橋触媒としてナーセム第二鉄の1%酢酸エチル溶液を1部(不揮発分0.01部)加えて攪拌混合し、本例に係るアクリル系粘着剤組成物を調製した。
(粘着シートの作製)
上記で調製したアクリル系粘着剤組成物を、片面にシリコーン処理が施されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムR1(厚さ50μm)のシリコーン処理面に塗布し、130℃で2分間加熱して、厚さ20μmの粘着剤層を形成した。次いで、上記粘着剤層の表面に、片面にシリコーン処理が施されたPETフィルムR2(厚さ25μm)のシリコーン処理面を貼り合わせた。このようにして、上記粘着剤層からなる基材レス両面粘着シートを得た。この粘着シートの両面は、PETフィルム(剥離ライナー)R1,R2により保護されている。
<例2>
(アクリル系ポリマー溶液の調製)
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管および冷却器を備えた四つ口フラスコに、モノマー成分としてベンジルアクリレート(大阪有機化学工業社製、商品名「ビスコート#160」、屈折率:1.519、ホモポリマーのTg:6℃。以下、「BZA」と表記する。)99部および4HBA1部、重合開始剤として2、2’-アゾビスイソブチロニトリル0.2部、および重合溶媒として酢酸エチル100部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を60℃付近に保って6時間重合反応を行い、アクリル系ポリマーP2の溶液(ポリマー濃度50%)を調製した。アクリル系ポリマーP2のMwは100万であった。
(粘着剤組成物の調製)
上記アクリル系ポリマーP2の溶液(ポリマー濃度50%)を酢酸エチルでポリマー濃度30%に希釈し、この溶液334部(不揮発分100部)に、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(東ソー社製、商品名「コロネートHX」、3官能イソシアネート化合物)の1%酢酸エチル溶液を10部(不揮発分0.1部)、架橋遅延剤としてアセチルアセトンを2部、架橋触媒としてナーセム第二鉄の1%酢酸エチル溶液を1部(不揮発分0.01部)加えて攪拌混合し、本例に係るアクリル系粘着剤組成物を調製した。
(粘着シートの作製)
得られたアクリル系粘着剤組成物を使用して、例1と同様にして、本例に係る粘着シート(粘着剤層からなる基材レス両面粘着シート)を作製した。
<例3~例5>
例2におけるアクリル系粘着剤組成物の調製において、アクリル系ポリマーP2の溶液に含まれる不揮発分100部に対して、可塑剤A1としてPOB-A(共栄社化学社製、商品名「ライトアクリレートPOB-A」、m-フェノキシベンジルアクリレート、屈折率:1.566、20℃で液体)を30部(例3)、45部(例4)または60部(例5)をさらに加えた他は、例2におけるアクリル系粘着剤組成物の調製と同様にして、各例に係るアクリル系粘着剤組成物をそれぞれ調製した。得られた各アクリル系粘着剤組成物を使用した他は例1における粘着シートの作製と同様にして、各例に係る粘着シート(粘着剤層からなる基材レス両面粘着シート)をそれぞれ作製した。
<例6>
モノマー成分の組成をフェノキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業社製、商品名「ビスコート#192」、屈折率:1.517、ホモポリマーのTg:2℃。以下、「PEA」と表記する。)99部および4HBA1部に変更した他は例2におけるアクリル系ポリマー溶液の調製と同様にして、アクリル系ポリマーP3の溶液を調製した。アクリル系ポリマーP3のMwは100万であった。
アクリル系ポリマーP2の溶液に代えてアクリル系ポリマーP3の溶液を使用した他は例2におけるアクリル系粘着剤組成物の調製と同様にして、本例に係るアクリル系粘着剤組成物を調製し、得られたアクリル系粘着剤組成物を使用して、例1と同様にして、本例に係る粘着シート(粘着剤層からなる基材レス両面粘着シート)を作製した。
<例7>
例3におけるアクリル系粘着剤組成物の調製において、アクリル系ポリマーP2の溶液に代えてアクリル系ポリマーP3の溶液を使用した。その他は例3におけるアクリル系粘着剤組成物の調製と同様にして、本例に係るアクリル系粘着剤組成物を調製し、得られたアクリル系粘着剤組成物を使用して、例1と同様にして、本例に係る粘着シート(粘着剤層からなる基材レス両面粘着シート)を作製した。
<例8>
モノマー成分の組成をBZA99部およびアクリル酸(AA)1部に変更した他は例2におけるアクリル系ポリマー溶液の調製と同様にして、アクリル系ポリマーP4の溶液を調製した。アクリル系ポリマーP4のMwは100万であった。
上記アクリル系ポリマーP4の溶液(ポリマー濃度50%)を酢酸エチルでポリマー濃度30%に希釈し、この溶液334部(不揮発分100部)に、架橋剤としてエポキシ系架橋剤(三菱瓦斯化学社製、商品名「テトラッドC」、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロへキサン)0.1部を加えて攪拌混合し、本例に係るアクリル系粘着剤組成物を調製した。
得られたアクリル系粘着剤組成物を使用した他は例1における粘着シートの作製と同様にして、本例に係る粘着シート(粘着剤層からなる基材レス両面粘着シート)を作製した。
<例9~例12>
例8におけるアクリル系粘着剤組成物の調製において、アクリル系ポリマーP4の溶液に含まれる不揮発分100部に対して、可塑剤A1としてPOB-Aを60部(例9)、可塑剤A2として4,4′-オキシビス[(メトキシメチル)ベンゼン](東京化成工業社製、屈折率:1.56、20℃で液体)を60部(例10)、可塑剤A3として3-フェノキシベンジルアルコール(東京化成工業社製、屈折率:1.591、20℃で液体)を60部(例11)、または、可塑剤A4として1-アセトナフトン(東京化成工業社製、屈折率:1.63、20℃で液体)を60部(例12)さらに加えた他は、例8におけるアクリル系粘着剤組成物の調製と同様にして、各例に係るアクリル系粘着剤組成物をそれぞれ調製した。得られた各アクリル系粘着剤組成物を使用した他は例1における粘着シートの作製と同様にして、各例に係る粘着シート(粘着剤層からなる基材レス両面粘着シート)をそれぞれ作製した。
<例13>
モノマー成分の組成をBZA90部、n-ブチルアクリレート(BA)9部およびAA1部に変更した他は例2におけるアクリル系ポリマー溶液の調製と同様にして、アクリル系ポリマーP5の溶液を調製した。アクリル系ポリマーP5のMwは100万であった。
上記アクリル系ポリマーP5の溶液(ポリマー濃度50%)を酢酸エチルでポリマー濃度30%に希釈し、この溶液334部(不揮発分100部)に、上記可塑剤A3(POB-AL)60部、および、上記エポキシ系架橋剤0.1部を加えて攪拌混合し、本例に係るアクリル系粘着剤組成物を調製した。
得られたアクリル系粘着剤組成物を使用した他は例1における粘着シートの作製と同様にして、本例に係る粘着シート(粘着剤層からなる基材レス両面粘着シート)を作製した。
<例14>
例13におけるアクリル系粘着剤組成物の調製において、アクリル系ポリマーP5の溶液に含まれる不揮発分100部に対して、添加剤として、ビスクレゾールフルオレン(大阪ガスケミカル社製、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、屈折率:1.68。以下、「BCF」と表記する場合がある。)を固形分として15部さらに加えた他は、例13におけるアクリル系粘着剤組成物の調製と同様にして、本例に係るアクリル系粘着剤組成物をそれぞれ調製した。上記添加剤は、10%酢酸エチル溶液として添加した。
得られたアクリル系粘着剤組成物を使用した他は例1における粘着シートの作製と同様にして、本例に係る粘着シート(粘着剤層からなる基材レス両面粘着シート)を作製した。
<例15~例16>
モノマー成分の組成をBZA90部、2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)9部およびAA1部に変更した他は例2におけるアクリル系ポリマー溶液の調製と同様にして、アクリル系ポリマーP6の溶液を調製した。アクリル系ポリマーP6のMwは100万であった。
例13~例14におけるアクリル系粘着剤組成物の調製において、アクリル系ポリマーP5の溶液に代えてアクリル系ポリマーP6の溶液を使用した。その他は例13~例14におけるアクリル系粘着剤組成物の調製と同様にして、例15~例16に係るアクリル系粘着剤組成物をそれぞれ調製し、得られた各アクリル系粘着剤組成物を使用して、例1と同様にして、各例に係る粘着シート(粘着剤層からなる基材レス両面粘着シート)をそれぞれ作製した。
<例17~例18>
モノマー成分の組成をBZA80部、BA19部およびAA1部に変更した他は例2におけるアクリル系ポリマー溶液の調製と同様にして、アクリル系ポリマーP7の溶液を調製した。また、モノマー成分の組成をBZA66部、BA33部およびAA1部に変更した他は例2におけるアクリル系ポリマー溶液の調製と同様にして、アクリル系ポリマーP8の溶液を調製した。アクリル系ポリマーP7,P8のMwは100万であった。
例13におけるアクリル系粘着剤組成物の調製において、アクリル系ポリマーP5の溶液に代えてアクリル系ポリマーP7(例17)またはP8(例18)の溶液を使用した。その他は例13におけるアクリル系粘着剤組成物の調製と同様にして、例17~例18に係るアクリル系粘着剤組成物をそれぞれ調製し、得られた各アクリル系粘着剤組成物を使用して、例1と同様にして、各例に係る粘着シート(粘着剤層からなる基材レス両面粘着シート)をそれぞれ作製した。
<例19>
モノマー成分の組成をPOB-A85部、BA14部およびAA1部に変更した他は例2におけるアクリル系ポリマー溶液の調製と同様にして、アクリル系ポリマーP9の溶液を調製した。アクリル系ポリマーP9のMwは100万であった。
例13におけるアクリル系粘着剤組成物の調製において、アクリル系ポリマーP5の溶液に代えてアクリル系ポリマーP9の溶液を使用した。その他は例13におけるアクリル系粘着剤組成物の調製と同様にして、本例に係るアクリル系粘着剤組成物を調製し、得られたアクリル系粘着剤組成物を使用して、例1と同様にして、本例に係る粘着シート(粘着剤層からなる基材レス両面粘着シート)を作製した。
<例20>
例19におけるアクリル系粘着剤組成物の調製において、アクリル系ポリマーP9の溶液に含まれる不揮発分100部に対して、さらに添加剤として6-アクリロイルオキシメチルジナフトチオフェン(スガイ化学工業社製の商品名「6MDNTA」、ジナフトチオフェン-6-メチルアクリレート体、屈折率1.75。以下、「6MDNTA」と表記する場合がある。)を23部加えた。その他は例19におけるアクリル系粘着剤組成物の調製と同様にして、本例に係るアクリル系粘着剤組成物を調製し、得られたアクリル系粘着剤組成物を使用して、例1と同様にして、本例に係る粘着シート(粘着剤層からなる基材レス両面粘着シート)を作製した。上記添加剤は、10%酢酸エチル溶液として添加した。
<例21~例22>
モノマー成分の組成をPOB-A80部、BA19部およびAA1部に変更した他は例2におけるアクリル系ポリマー溶液の調製と同様にして、アクリル系ポリマーP10の溶液を調製した。アクリル系ポリマーP10のMwは100万であった。
例13におけるアクリル系粘着剤組成物の調製において、アクリル系ポリマーP5の溶液に代えてアクリル系ポリマーP10の溶液を使用した。その他は例13におけるアクリル系粘着剤組成物の調製と同様にして、例21に係るアクリル系粘着剤組成物を調製した。また、例21に係るアクリル系粘着剤組成物の調製において、アクリル系ポリマーP10の溶液に含まれる不揮発分100部に対する上記エポキシ系架橋剤の使用量を0.5部に変更して、例22に係るアクリル系粘着剤組成物をそれぞれ調製した。
得られた各アクリル系粘着剤組成物を使用して、例1と同様にして、各例に係る粘着シート(粘着剤層からなる基材レス両面粘着シート)をそれぞれ作製した。
<例23>
モノマー成分の組成をPOB-A99部および2-アクリロイロキシエチル-コハク酸(共栄社化学社製、商品名「HOA-MS(N)」、以下、「HOA-MS」と表記する)1部に変更した他は例1におけるアクリル系ポリマー溶液の調製と同様にして、アクリル系ポリマーP11の溶液を調製した。アクリル系ポリマーP11のMwは50万であった。
上記アクリル系ポリマーP11の溶液を酢酸エチルでポリマー濃度30%に希釈し、この溶液334部(不揮発分100部)に、上記可塑剤A3(POB-AL)40部、可塑剤A5としてトリメチルペンタフェニルトリシロキサン(信越化学工業社製、商品名「HIVAC F-5」、屈折率:1.575、20℃で液体)20部、および、上記エポキシ系架橋剤(以下、架橋剤C1ともいう。)0.3部を加えて攪拌混合し、本例に係るアクリル系粘着剤組成物を調製した。
得られたアクリル系粘着剤組成物を使用した他は例1における粘着シートの作製と同様にして、本例に係る粘着シート(粘着剤層からなる基材レス両面粘着シート)を作製した。
<例24>
モノマー成分の組成をPOB-A95部、ラウリルアクリレート(LA)2部、2EHA2部および4HBA1部に変更した他は例23におけるアクリル系ポリマー溶液の調製と同様にして、アクリル系ポリマーP12の溶液を調製した。アクリル系ポリマーP12のMwは50万であった。
上記アクリル系ポリマーP12の溶液を酢酸エチルでポリマー濃度30%に希釈し、この溶液334部(不揮発分100部)に、上記可塑剤A3(POB-AL)40部、上記可塑剤A5(HIVAC F-5)20部、架橋剤C2として非環式2官能のイソシアネート系架橋剤(東ソー社製、商品名「コロネート2770」、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)アロファネート体)0.3部、架橋遅延剤としてアセチルアセトン2部、架橋触媒としてナーセム第二鉄の1%酢酸エチル溶液1部(不揮発分0.01部)を加えて攪拌混合し、本例に係るアクリル系粘着剤組成物を調製した。を加えて攪拌混合し、本例に係るアクリル系粘着剤組成物を調製した。
得られたアクリル系粘着剤組成物を使用した他は例1における粘着シートの作製と同様にして、本例に係る粘着シート(粘着剤層からなる基材レス両面粘着シート)を作製した。
<例25>
モノマー成分の組成をPOB-A90部、2EHA9部および4HBA1部に変更した他は例23におけるアクリル系ポリマー溶液の調製と同様にして、アクリル系ポリマーP13の溶液を調製した。アクリル系ポリマーP13のMwは50万であった。
上記アクリル系ポリマーP13の溶液を酢酸エチルでポリマー濃度30%に希釈し、この溶液334部(不揮発分100部)に、上記可塑剤A5(HIVAC F-5)80部、上記架橋剤C2(コロネート2770)0.5部、架橋遅延剤としてアセチルアセトン2部、架橋触媒としてナーセム第二鉄の1%酢酸エチル溶液1部(不揮発分0.01部)を加えて攪拌混合し、本例に係るアクリル系粘着剤組成物を調製した。
得られたアクリル系粘着剤組成物を使用した他は例1における粘着シートの作製と同様にして、本例に係る粘着シート(粘着剤層からなる基材レス両面粘着シート)を作製した。
<例26~28>
モノマー成分の組成を表3に示すように変更した他は例23におけるアクリル系ポリマー溶液の調製と同様にして、アクリル系ポリマーP14およびP15の溶液をそれぞれ調製した。アクリル系ポリマーP14およびP15のMwはそれぞれ50万であった。
上記アクリル系ポリマーP11、P14またはP15の溶液を酢酸エチルでポリマー濃度30%に希釈し、この溶液334部(不揮発分100部)に対して、上記可塑剤A3、上記架橋剤C1またはC2を表3に示すように添加し、例26および28については、さらに架橋遅延剤としてアセチルアセトン2部、架橋触媒としてナーセム第二鉄の1%酢酸エチル溶液1部(不揮発分0.01部)を加えて攪拌混合し、各例に係るアクリル系粘着剤組成物を調製した。
得られたアクリル系粘着剤組成物を使用した他は例1における粘着シートの作製とそれぞれ同様にして、各例に係る粘着シート(粘着剤層からなる基材レス両面粘着シート)を作製した。
<評価方法>
(屈折率)
各例に係る粘着剤層(基材レス両面粘着シート)について、測定波長589nm、測定温度25℃の条件で、アッベ屈折率計(ATAGO社製、型式「DR-M4」)を使用して屈折率を測定した。
(貯蔵弾性率G’およびガラス転移温度)
各例に係る粘着剤層を積層して厚み約1.5mmとしたものを測定用サンプルとした。Rheometric Scientific社製「Advanced Rheometric Expansion System (ARES)」を用いて、以下の条件により動的粘弾性測定を行った。測定結果から、粘着剤の各温度(-20℃、-10℃、0℃および80℃)における貯蔵弾性率G’[Pa]を求めた。また、上記動的粘弾性測定における損失正接tanδ(損失弾性率G”/貯蔵弾性率G’)のピークトップ温度に相当する温度を粘着剤のガラス転移温度(Tg)[℃]として求めた。
[測定条件]
変形モード:ねじり
測定周波数:1Hz
温度範囲 :-50℃~150℃
昇温速度:5℃/分
形状:パラレルプレート 7.9mmφ
(全光線透過率およびヘイズ)
各例に係る粘着剤層を無アルカリガラス(厚さ0.8~1.0mm、全光線透過率92%、ヘイズ0.4%)に貼り合わせた試験片を用い、23℃の測定環境下において、ヘイズメータ(村上色彩技術研究所製「HM-150」)を用いて、上記試験片の全光線透過率およびヘイズを測定した。測定値から上記無アルカリガラスの全光線透過率およびヘイズを差し引いた値を粘着剤(層)の全光線透過率[%]およびヘイズ[%]とした。上記粘着剤層からなる基材レス粘着シートについては、粘着剤層の全光線透過率[%]およびヘイズ[%]は、粘着シートの全光線透過率[%]およびヘイズ[%]となる。
(対ガラス板剥離強度)
23℃、50%RHの測定環境下において、粘着シートの一方の面から剥離ライナーを剥離し、厚み50μmのPETフィルムを貼り合わせて裏打ちした後、幅25mm、長さ100mmのサイズにカットしたものを試験片とした。試験片から他方の面の剥離ライナーを剥離し、被着体としてのアルカリガラス板(松浪硝子工業社製、厚さ1.35mm、青板縁磨品)の表面に、2kgのローラを1往復させて圧着した。これを同環境下に30分間放置した後、万能引張圧縮試験機を使用して、JIS Z 0237:2000に準じて、引張速度300mm/分、剥離角度180度の条件で、剥離強度(接着力)[N/25mm]を測定した。万能引張圧縮試験機としては、ミネベア社製の「引張圧縮試験機、TG-1kN」を使用した。なお、基材付き片面粘着シートの場合、PETフィルムの裏打ちは必須ではない。
(折り曲げ試験)
各例に係る剥離ライナー付き粘着シートを2cm×10cmの長方形にカットし、測定用試験片を得た。φ4mmの円柱状の棒を測定に十分な高さにて水平に固定し、上記で得た試験片を棒にかけ、屈曲させた。具体的には、上記試験片を、その長さ方向の中央部分を棒にかけ、逆U字状とした。そして、試験片の下方に位置する両端をクリップ(13g)で固定し、当該クリップに長さ1cmの糸を介して60gの錘を吊り下げて固定し、試験片の屈曲部に負荷をかけた。この状態で、試験片を所定の温度環境下(-20℃、-10℃または0℃)にて1分間保持し、1分経過後、試験片を棒から取り外した。そして、同温度環境下にて、試験片を、その屈曲部の山側が下方となるように水平面に静置し、10分間静置した。10分静置後の試験片の端部(短辺端部)が水平面に接するまでの時間を測定した。この試験を、-20℃、-10℃および0℃の条件でそれぞれ実施し、以下の基準で柔軟性を評価した。
E(Excellent):すべての温度条件(-20℃、-10℃および0℃)の折り曲げ試験において、10分以内に試験片の端部が水平面に接した。
G(Good):-10℃および0℃の温度条件の折り曲げ試験において、10分以内に試験片の端部が水平面に接した。
A(Acceptable):0℃の温度条件の折り曲げ試験において、10分以内に試験片の端部が水平面に接した。
P(Poor):すべての温度条件の折り曲げ試験において、10分以内に試験片の端部が水平面に接しなかったか、あるいは粘着剤層が剥離ライナーから剥離した。
各例に係る粘着剤の概要および評価結果を表1~3に示す。
Figure 2023022806000002
Figure 2023022806000003
Figure 2023022806000004
表1~3に示されるように、例3~5,例7、例9~28に係る粘着剤は、屈折率が1.55以上であり、かつ0℃における貯蔵弾性率G’(0℃)が1.0×104Pa~1.0×106Paの範囲内にあり、折り曲げ試験の結果がいずれも合格(A以上)であった。これらの例に係る粘着剤は、高屈折率と柔軟性とを両立するものであった。一方、例1~2、例6、例8に係る粘着剤は、貯蔵弾性率G’(0℃)が1.0×106Paを超え、折り曲げ試験の結果が不合格(P)であり、高屈折率と柔軟性とを両立するものではなかった。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
1,2,3 粘着シート
10 支持基材
10A 第1面
10B 第2面
21 粘着剤層、第1粘着剤層
21A 粘着面、第1粘着面
21B 粘着面
22 第2粘着剤層
22A 第2粘着面
31,32 剥離ライナー

Claims (10)

  1. 屈折率が1.55以上であり、かつ、0℃における貯蔵弾性率G’(0℃)が1.0×104Pa~1.0×106Paの範囲内にある、粘着剤。
  2. ガラス転移温度が-50℃~0℃の範囲内にある、請求項1に記載の粘着剤。
  3. 80℃における貯蔵弾性率G’(80℃)に対する前記貯蔵弾性率G’(0℃)の比(G’(0℃)/G’(80℃))が1~1000の範囲内にある、請求項1または2に記載の粘着剤。
  4. 80℃における貯蔵弾性率G’(80℃)に対する-10℃における貯蔵弾性率G’(-10℃)の比(G’(-10℃)/G’(80℃))が1~1000の範囲内にある、請求項1~3のいずれか一項に記載の粘着剤。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の粘着剤からなる粘着剤層を含む、粘着シート。
  6. 前記粘着剤層の厚さは5~75μmの範囲内にある、請求項5に記載の粘着シート。
  7. 前記貯蔵弾性率G’(0℃)[Pa]と前記粘着剤層の厚さT[μm]との積(G’(0℃)×T)が5.0×104~5.0×107の範囲内にある、請求項6に記載の粘着シート。
  8. 全光線透過率が85%以上である、請求項5~7のいずれか一項に記載の粘着シート。
  9. ヘイズ値が3%以下である、請求項5~8のいずれか一項に記載の粘着シート。
  10. ガラス板に対する剥離強度が0.1N/25mm以上である、請求項5~9のいずれか一項に記載の粘着シート。

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