JP2023022677A - 電気化学素子用セパレータ - Google Patents

電気化学素子用セパレータ Download PDF

Info

Publication number
JP2023022677A
JP2023022677A JP2021127684A JP2021127684A JP2023022677A JP 2023022677 A JP2023022677 A JP 2023022677A JP 2021127684 A JP2021127684 A JP 2021127684A JP 2021127684 A JP2021127684 A JP 2021127684A JP 2023022677 A JP2023022677 A JP 2023022677A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
section
fibers
less
cross
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021127684A
Other languages
English (en)
Inventor
智弘 平野
Tomohiro Hirano
修一 村田
Shuichi Murata
隆 多羅尾
Takashi Tarao
政尚 田中
Masanao Tanaka
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Vilene Co Ltd
Original Assignee
Japan Vilene Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Vilene Co Ltd filed Critical Japan Vilene Co Ltd
Priority to JP2021127684A priority Critical patent/JP2023022677A/ja
Publication of JP2023022677A publication Critical patent/JP2023022677A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Electric Double-Layer Capacitors Or The Like (AREA)
  • Cell Separators (AREA)

Abstract

【課題】短絡が発生し難い電気化学素子を実現可能な電気化学素子用セパレータの提供を目的とする。【解決手段】本発明の電気化学素子用セパレータは、伸度が30%以下の複合繊維を含んだ繊維集合体を備えているため、当該複合繊維はそのものの強度が高いことで繊維集合体の強度不足に起因する短絡が発生し難い。更に、繊維集合体の構成繊維として、扁平度が0.34未満の断面形状を有する異形断面繊維を含むため、短絡が発生し難い電気化学素子を実現可能な、電気化学素子用セパレータを提供できる。【選択図】図2

Description

本発明は、電気化学素子用セパレータに関する。
従来から、電気化学素子(例えば、キャパシタ、リチウム電池やニッケル水素電池などの一次電池や二次電池、燃料電池、固体電池、空気電池など)の正極と負極とを分離して短絡を防止すると共に起電反応を円滑に行なうことができるように、正極と負極との間に電気化学素子用セパレータが設けられ使用されている。そして、電気化学素子用セパレータには、電気化学素子の短絡発生を防止できることが求められており、このような要望に応えるため、芯鞘型接着繊維などの複合繊維を含んだ繊維集合体を備える電気化学素子用セパレータが検討されている。
例えば、特開2002-180330(特許文献1)には、不織布においてその強度を高めるため複合繊維を使用することが行われているという知見のもと、電気化学素子用セパレータ等の湿式不織布などの用途に最適な複合繊維として、伸度が30%以下の延伸複合繊維を採用することが開示されている。
また、特開2012-216427(特許文献2)には、「特開2002-180330号公報で提案されている、電池セパレータ材料に使用可能な高強度、低伸度、高ヤング率の延伸複合繊維は、(中略)極めて低伸度の複合繊維である。このような繊維をセパレータ材料に使用すると、延伸複合繊維そのものの強度は高いが、(中略)それを使用したセパレータ材料も変形しにくく、しなやかさに乏しいものとなる。電池セパレータ用途であると、デンドライトなどの針状異物によって、(中略)前記延伸複合繊維以外の部分(例えば構成繊維間の熱接着部分)から破壊されやすくなるおそれがある」という知見のもと、伸度が30%より大きく60%以下の高強度複合繊維を含んだセパレータ材料が開示されている。そして、当該構成を有する高強度複合繊維を含んだセパレータ材料によって、耐ショート(耐短絡)性を高められることが開示されている。
なお、特許文献2には、セパレータ材料の構成繊維として更に分割繊維を分割してなる異形断面繊維を含められることが開示されている。そして、その具体例として特許文献1の実施例には、高強度複合繊維と、中空複合分割型オレンジ状断面を有する繊維(複合比:5/5(体積比)、中空率:12%、分割数:16分割、繊度:1.1dtex)を分割してなる異形断面繊維を含んだセパレータ材料を調製したことが開示されている。
特開2002-180330(特許請求の範囲、0001、0004など) 特開2012-216427(特許請求の範囲、0006、0008など)
本願出願人は、特許文献1が開示するような従来技術にかかる電気化学素子用セパレータについて、つまり、「伸度が30%以下の複合繊維を含んだ繊維集合体を備える、電気化学素子用セパレータ」について検討を続けた。検討の結果、当該構成を満たす電気化学素子用セパレータを用いてなる電気化学素子では、特許文献2が開示する知見(伸度が30%以下の複合繊維を含んだ繊維集合体を備える電気化学素子用セパレータは、耐短絡性に劣るという知見)のとおり、電極に存在するデンドライトなどの針状異物に加えバリや他の異物により短絡が発生し易いものであった。
そのため、従来技術にかかる電気化学素子用セパレータを用いる限りでは、短絡が発生し難い電気化学素子を実現することが困難であった。
第一の本発明は、「異形断面繊維と伸度が30%以下の複合繊維を含んだ繊維集合体を備える、電気化学素子用セパレータであって、
前記異形断面繊維をその繊維長方向と垂直を成す方向に切断した断面において、下記の方法で算出される扁平度が0.34未満である、電気化学素子用セパレータ。

(1)電子顕微鏡を用いて繊維集合体を撮影する、なお、当該撮影により得られた電子顕微鏡写真中に、測定対象となる異形断面繊維の断面が写るようにする、
(2)前記電子顕微鏡写真に、前記断面の外周上に両端を有する線分を複数本作図する、
(3)作図した線分のうち最も長い線分を選出し、当該線分の長さをaとする、
(4)前記電子顕微鏡写真に、前記選出した線分の中点を通過すると共に前記線分と垂直をなす直線を引く、
(5)前記直線上に、前記断面の外周上に両端を有する線分を引き、当該線分の長さをbとする、
(6)前記長さbを前記長さaで割り値Vを算出する、
(7)上述した(2)~(6)の工程を繰り返し、前記電子顕微鏡写真に写る10個の前記異形断面繊維の断面ごとに、値Vを各々算出する、
(8)算出された各値Vの平均値を、扁平度とする。」である。
第二の本発明は、「前記繊維集合体を構成する繊維の質量に占める、前記扁平度が0.34未満である異形断面繊維の質量の百分率が、9.3質量%よりも多い、請求項1に記載の電気化学素子用セパレータ。」である。
本願出願人は検討を続けた結果、本発明の構成を満たす電気化学素子用セパレータによって、短絡が発生し難い電気化学素子を実現可能であることを見出した。
本発明に係る電気化学素子用セパレータは「伸度が30%以下の複合繊維を含んだ繊維集合体を備える」ため、特許文献2が開示するように、当該複合繊維はそのものの強度が高いことで、繊維集合体の強度不足に起因する短絡(例えば、製造工程中に繊維集合体が破損したことに起因する短絡)が発生し難い。
そして、本発明に係る電気化学素子用セパレータは、繊維集合体の構成繊維として更に異形断面繊維を含むと共に、当該異形断面繊維として最適な断面形状を有する異形断面繊維を採用することによって、具体的には、上述した方法で算出される扁平度が0.34未満の断面形状を有する異形断面繊維を採用することによって、更に短絡が発生し難い電気化学素子を実現可能な、電気化学素子用セパレータを提供できる。
また、前記扁平度が0.34未満である異形断面繊維の割合が多い繊維集合体を備える電気化学素子用セパレータであるほど、更に短絡が発生し難い電気化学素子を実現可能である。具体的には、前記繊維集合体を構成する繊維の質量に占める、前記扁平度が0.34未満である異形断面繊維の質量の百分率が、9.3質量%よりも多いことで、更に短絡が発生し難い電気化学素子を実現可能な、電気化学素子用セパレータを提供できる。
二種類の樹脂からなる、中実の分割型繊維の断面を示した模式図である。 二種類の樹脂からなる、中空を有する分割型繊維の断面を示した模式図である。
本発明では、例えば以下の構成など、各種構成を適宜選択できる。なお、本発明で説明する各種測定は特に記載のない限り、大気圧下のもと測定を行った。また、25℃温度条件下で測定を行った。そして、本発明で説明する各種測定結果は特に記載のない限り、求める値よりも一桁小さな値まで測定で求め、前記値を四捨五入することで求める値を算出した。具体例として、小数第一位までが求める値である場合、測定によって小数第二位まで値を求め、得られた小数第二位の値を四捨五入することで小数第一位までの値を算出し、この値を求める値とした。そして、本発明で例示する各上限値および各下限値は、任意に組み合わせることができる。
本発明に係る電気化学素子用セパレータにおいて、繊維集合体は電気化学素子用セパレータの主骨格を成す役割を担う。繊維集合体は、例えば、繊維ウェブや不織布、あるいは、織物や編物などシート状の布帛であることができる。特に、繊維ウェブあるいは不織布などの繊維がランダムに絡み合い形成された繊維集合体であると、短絡が発生し難い電気化学素子を実現可能であると共に、空隙率や開孔径が均一的であることによって、より電気出力特性に優れる電気化学素子を実現可能な電気化学素子用セパレータを提供でき好ましい。
本発明では、繊維集合体を構成する繊維として伸度が30%以下の複合繊維に加え、異形断面繊維を含んでいることを特徴としている。
ここでいう異形断面繊維とは、繊維長方向と垂直を成す方向に切断した断面(以降、繊維断面と称することがある)において、その断面形状が略円形や楕円形以外の形状を有する繊維を指す。具体例として、断面形状が略三角形形状や略台形形状などの略四角形形状などの繊維を例示できる。詳細は後述するが、複数種類の樹脂を有すると共に図1に図示するような断面形状に樹脂が分布している中実複合繊維を分割処理へ供することによって、断面形状が略三角形形状の異形断面繊維を得ることができる。また、複数種類の樹脂を有すると共に図2に図示するような断面形状に樹脂が分布している中空複合繊維を分割処理へ供することによって、断面形状が略台形形状の異形断面繊維を得ることができる。
異形断面繊維を構成する樹脂は適宜選択できるが、例えば、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、炭化水素の一部をニトリル基またはフッ素或いは塩素といったハロゲンで置換した構造のポリオレフィン系樹脂など)、スチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエーテル系樹脂(例えば、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、芳香族ポリエーテルケトンなど)、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、全芳香族ポリエステル樹脂など)、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド系樹脂(例えば、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエーテルアミド樹脂、ナイロン樹脂など)、二トリル基を有する樹脂(例えば、ポリアクリロニトリルなど)、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスルホン系樹脂(例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、フッ素系樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなど)、セルロース系樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、アクリル系樹脂(例えば、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルなどを共重合したポリアクリロニトリル系樹脂、アクリロニトリルと塩化ビニルまたは塩化ビニリデンを共重合したモダアクリル系樹脂など)など、公知の樹脂を用いて構成できる。なお、これらの樹脂は、直鎖状ポリマーまたは分岐状ポリマーのいずれからなるものでも構わず、また樹脂がブロック共重合体やランダム共重合体でも構わず、また樹脂の立体構造や結晶性の有無がいかなるものでも、特に限定されるものではない。更には、多成分の樹脂を混ぜ合わせたものでも良い。
異形断面繊維は、二種類の樹脂から構成されてなるものでも、三種類以上の樹脂から構成されてなるものでも構わない。
異形断面繊維の繊維長は適宜選択できるが、開孔径が均一的かつ緻密であることによって、短絡が発生し難い電気化学素子を実現可能であると共に、空隙率や開孔径が均一的であることによって、より電気出力特性に優れる電気化学素子を実現可能な電気化学素子用セパレータを実現できるよう、繊維長は20mm以下であるのが好ましく、15mm以下であるのが好ましく、10mm以下であるのが好ましい。一方、繊維長の下限値は適宜選択するが、0.5mm以上であるのが現実的である。なお、「繊維長」は、JIS L1015(2010)、8.4.1c)直接法(C法)に則って測定した値をいう。
異形断面繊維の平均繊維径は適宜選択できるが、開孔径が均一的かつ緻密な電気化学素子用セパレータを実現できるよう、平均繊維径は10μm以下であるのが好ましく、5μm以下であるのが好ましく、4.5μm以下であるのが好ましく、4μm以下であるのが好ましい。一方、平均繊維径の下限値は適宜選択するが、1μm以上であるのが現実的であり、2μm以上であるのがより現実的である。
なお、本発明でいう「平均繊維径」とは、繊維集合体の断面や表面などを撮影した5000倍の電子顕微鏡写真中に写る、50点の測定対象の繊維における、各繊維断面の外形の直径の算術平均値をいう。なお、当該外形が非円形である場合には、当該外形内を全て満たす面積と同じ面積の円の直径を、繊維断面の外形の直径とみなす。なお、繊維が細過ぎて測定が困難である場合には、より高い倍率の電子顕微鏡写真をもとに測定できる。
本発明にかかる異形断面繊維は、その繊維長方向と垂直を成す方向に切断した断面の扁平度が0.34未満であることを特徴としている。本願出願人は、扁平度が0.34未満の繊維断面を有する異形断面繊維を採用することによって、短絡が発生し難い電気化学素子を実現可能な、電気化学素子用セパレータを提供できることを見出した。
本効果が発揮される理由は完全には明らかにできていないが、以下の効果が発揮されているためだと考えられる。
本発明にかかる異形断面繊維の断面形状は扁平度が0.34未満であり、その断面形状は縦方向と横方向の長さの比率が極端に偏った扁平な形状を有している。そのため、本発明に係る繊維集合体において各異形断面繊維は、その長辺方向(後述する長さaを有する線分の方向)を繊維集合体の主面と平行させた状態で堆積し易い。その結果、本発明にかかる繊維集合体を備える電気化学素子用セパレータでは、空隙率が高く両主面間を直線状につなぐ空隙を有し得る場合であっても、当該空隙が、本発明にかかる異形断面繊維の上述した長辺方向を有する部分(異形断面繊維における広い面積を有する部分)で覆われていると考えられる。そのため、本発明にかかる電気化学素子用セパレータは、電極に存在するデンドライトなどの針状異物に加えバリや他の異物が貫通し難い構造を有していると考えられる。
なお、異形断面繊維の扁平度は、以下の測定へ供することで算出できる。
(異形断面繊維の扁平度の算出方法)
(1)電子顕微鏡を用いて繊維集合体の表面および/または断面、あるいは、繊維集合体から抽出した当該繊維集合体の構成繊維を撮影する。なお、当該撮影により得られた電子顕微鏡写真中に、当該繊維集合体を構成する繊維の繊維断面が写るように調整して撮影することで、測定対象となる異形断面繊維の繊維断面を確認できるようにする。
(2)前記電子顕微鏡写真に、前記断面の外周上に両端を有する線分を複数本作図する。
(3)作図した線分のうち最も長い線分を選出し、当該線分の長さをaとする。
(4)前記電子顕微鏡写真に、前記選出した線分の中点を通過すると共に前記線分と垂直をなす直線を引く。
(5)前記直線上に、前記断面の外周上に両端を有する線分を引き、当該線分の長さをbとする。
(6)前記長さbを前記長さaで割り値Vを算出する。
(7)上述した(1)~(6)の工程を繰り返し、前記電子顕微鏡写真に写る10個の前記異形断面繊維の断面ごとに、値Vを各々算出する。
(8)算出された各値Vの平均値を、扁平度とする。
繊維集合体が含む異形断面繊維における扁平度は、0.34未満であれば適宜調整できるものであるが、より短絡が発生し難い電気化学素子を実現可能な、電気化学素子用セパレータを提供できるよう、扁平度は0.30以下であるのが好ましく、0.25以下であるのが好ましく、0.21以下であるのが好ましい。一方、扁平度の下限値は適宜選択するが、繊維集合体が含んでいる異形断面繊維における扁平度は0よりも大きいものであり、0.10以上であるのが現実的であり、0.15以上であるのがより現実的である。
なお繊維集合体の製造工程が判明している場合には、当該繊維集合体の製造工程に使用する異形断面繊維(あるいは、当該異形断面繊維を発生可能な分割型繊維を構成している、異形断面繊維になる部分)の扁平度を測定し、当該扁平度を満足した場合には、当該異形断面繊維(あるいは、当該異形断面繊維を発生可能な分割型繊維)を用いて調製された繊維集合体は、本発明の構成を満足するとみなすことができる。
本発明にかかる繊維集合体は、伸度が30%以下の複合繊維を含んでいる。
当該複合繊維を構成する樹脂は適宜選択できるが、上述した異形断面繊維を構成可能であると例示した樹脂を採用できる。なお、それらの樹脂は、直鎖状ポリマーまたは分岐状ポリマーのいずれからなるものでも構わず、また樹脂がブロック共重合体やランダム共重合体でも構わず、また樹脂の立体構造や結晶性の有無がいかなるものでも、特に限定されるものではない。更には、多成分の樹脂を混ぜ合わせたものでも良い。
当該複合繊維は、複数種類の樹脂から構成されてなるものであって、一般的に複合繊維と称される、例えば、芯鞘型、海島型、サイドバイサイド型、オレンジ型、バイメタル型などの態様であることができる。
当該複合繊維が熱融着性繊維であると、構成繊維同士を熱融着することによって強度と形態安定性を向上できる。全融着型の熱融着性繊維であっても良いし、一部融着型の熱融着性繊維であっても良い。熱融着性を発揮する成分(樹脂)として、例えば、低融点ポリオレフィン系樹脂や低融点ポリエステル系樹脂を含む熱融着性繊維などを適宜選択して使用することができる。
当該複合繊維の繊維長は適宜選択できるが、開孔径が均一的かつ緻密な電気化学素子用セパレータを実現できるよう、繊維長は20mm以下であるのが好ましく、15mm以下であるのが好ましく、10mm以下であるのが好ましい。一方、繊維長の下限値は適宜選択するが、0.5mm以上であるのが現実的である。当該複合繊維の平均繊維径は適宜選択できるが5~32μmであることが好ましく、8~17μmであることがより好ましい。
本発明で採用する複合繊維は、その伸度が30%以下であることを特徴とする。なお、本発明でいう伸度とは、JIS L1015「化学繊維ステープル試験方法」に準じ、引張試験機を用い試料のつかみ間隔を20mmとして引張試験を行い、破断したときの伸び率(%)をその繊維の伸度とする。複合繊維の伸度は適宜調整できるが、0%以上であって、30%以下であることができ、25%以下であることができ、20%以下であることができ、15%以下であることができ、10%以下であることができ、5%以下であることができる。
なお、繊維集合体は異形断面繊維と伸度が30%以下の複合繊維以外にも、その他繊維として、より平均繊維径の細い極細繊維を含んでいても良い。このような極細繊維の平均繊維径は、2μm以下であることが好ましく、平均繊維径の下限は特に限定するものではないが、0.001μm以上であることができ、0.01μm以上であることができ、0.1μm以上であることができる。その他繊維の態様は前述した樹脂組成や繊維構造のうちから、適宜選択して採用できる。
上述したような繊維集合体の構成繊維は、例えば、溶融紡糸法、乾式紡糸法、湿式紡糸法、直接紡糸法(メルトブロー法、スパンボンド法、静電紡糸法など)、複合繊維から一種類以上の樹脂成分を除去することで繊維径が細い繊維を抽出する方法、繊維を叩解して分割された繊維を得る方法など公知の方法により得ることができる。
繊維ウェブや不織布は、例えば、上述の構成繊維をカード装置やエアレイ装置などに供することで繊維を絡み合わせる乾式法、繊維を分散媒に分散させシート状に抄き繊維を絡み合わせる湿式法、直接紡糸法(メルトブロー法、スパンボンド法、静電紡糸法、紡糸原液と気体流を平行に吐出して紡糸する方法(例えば、特開2009-287138号公報に開示の方法)など)を用いて繊維の紡糸を行うと共にこれを捕集する方法、などによって調製できる。
調製した繊維ウェブの構成繊維を絡合および/または一体化させて不織布を調製できる。構成繊維同士を絡合および/または一体化させる方法として、例えば、ニードルや水流によって絡合する方法、繊維ウェブを加熱処理へ供するなどして接着剤あるいは接着繊維によって構成繊維同士を接着一体化あるいは溶融一体化させる方法などを挙げることができる。なお、加熱処理の方法は適宜選択できるが、例えば、ロールにより加熱または加熱加圧する方法、オーブンドライヤー、遠赤外線ヒーター、乾熱乾燥機、熱風乾燥機などの加熱機へ供し加熱する方法、無圧下で赤外線を照射して含まれている樹脂を加熱する方法などを用いることができる。しかし、接着剤により繊維集合体の開孔が意図せず閉塞するのを防止できるよう、接着繊維として本発明にかかる複合繊維によって構成繊維同士が接着してなる繊維集合体であるのが好ましい。また、本発明にかかる複合繊維により構成繊維が接着されることで、強度が向上することにより短絡し難い電気化学素子用セパレータを提供でき好ましい。
布帛が織物や編物である場合、上述のようにして調製した繊維を織るあるいは編むことで、織物や編物を調製できる。
なお、繊維ウェブ以外にも不織布あるいは織物や編物など布帛を、上述した構成繊維同士を絡合および/または一体化させる方法へ供しても良い。
繊維集合体を構成する繊維の質量に占める、異形断面繊維の質量の百分率(単位:質量%)は0質量%より多くなるよう適宜調整できるが、短絡が発生し難い電気化学素子を実現可能な電気化学素子用セパレータを提供できるよう、5~70質量%であるのが好ましく、10~60質量%であるのが好ましく、20~50質量%であるのが好ましい。
特に、扁平度が0.34未満である異形断面繊維の割合が多い繊維集合体を備える電気化学素子用セパレータであるほど、更に短絡が発生し難い電気化学素子を実現可能である。そのため、繊維集合体を構成する繊維の質量に占める、扁平度が0.34未満である異形断面繊維の質量の百分率は、9.3質量%以上であるのが好ましく、9.3質量%よりも多いのが好ましく、10質量%以上であるのが好ましく、11質量%以上であるのが好ましい。上限値は適宜調整するが100質量%未満であって、90質量%以下であるのが現実的であり、50質量%以下であることができ、40質量%以下であることができる。
なお、扁平度が0.34未満である異形断面繊維の質量の百分率の算出方法は、以下に説明する方法を用いて算出できる。
(扁平度が0.34未満である異形断面繊維の質量の百分率の算出方法)
(1)電気化学素子用セパレータを構成する繊維集合体などの測定対象から、ランダムに100本の繊維を抽出し、その総質量Yを測定する。
(2)抽出した繊維のうち、扁平度が0.34未満である異形断面繊維の質量Xを測定する。なお、抽出した繊維が当該異形断面繊維であるか否かは、上述した(異形断面繊維の扁平度の算出方法)に挙げた方法で確認できる。
(3)上述のようにして得られた質量Yおよび質量Xを次の式へ代入し、算出された値を、扁平度が0.34未満である異形断面繊維の質量の百分率(単位:%)とする。
扁平度が0.34未満である異形断面繊維の質量の百分率(単位:質量%)=100×(X/Y)
また、繊維集合体を構成する繊維の質量に占める、伸度が30%以下の複合繊維の質量の百分率(単位:質量%)は0質量%より多くなるよう適宜調整できるが、短絡が発生し難い電気化学素子を実現可能な電気化学素子用セパレータを提供できるよう、95~30質量%であるのが好ましく、90~40質量%であるのが好ましく、80~50質量%であるのが好ましい。
なお、伸度が30%以下の複合繊維の質量の百分率の算出方法は、以下に説明する方法を用いて算出できる。
(伸度が30%以下の複合繊維の質量の百分率の算出方法)
(1)電気化学素子用セパレータを構成する繊維集合体などの測定対象から、ランダムに100本の繊維を抽出し、その総質量Yを測定する。
(2)抽出した繊維の各伸度を測定し、そのうち伸度が30%以下の複合繊維の質量Xを測定する。なお、抽出した繊維が複合繊維であるか否かは、測定対象とする繊維の繊維断面を撮影した電子顕微鏡写真を目視で確認することで、判断できる。この際、目視による確認と共に、測定対象とする繊維を赤外分光分析装置(FT-IR)、元素分析装置、核磁気共鳴装置(NMR)などの各種分析装置へ供した結果を併せることで、判断してもよい。
(3)上述のようにして得られた質量Yおよび質量Xを次の式へ代入し、算出された値を、伸度が30%以下の複合繊維の質量の百分率(単位:%)とする。
伸度が30%以下の複合繊維の質量の百分率(単位:質量%)=100×(X/Y)
なお、繊維集合体や電気化学素子用セパレータの製造工程が判明している場合には、当該製造工程において配合した各種繊維(例えば、分割処理へ供することによって扁平度が0.34未満の異形断面繊維を発生可能な分割型繊維や、30%以下の複合繊維)を構成する樹脂の比重や配合割合と、配合されている各種繊維の質量比率を元にして、繊維集合体を構成する繊維の質量に占める、扁平度が0.34未満である異形断面繊維の質量の百分率や、伸度が30%以下の複合繊維の質量の百分率を算出してもよい。
繊維集合体の目付は適宜選択するが、下限値は1g/m以上であることができ、2g/m以上であることができ、3g/m以上であることができる。一方、上限値は80g/m以下であることができ、70g/m以下であることができ、65g/m以下であることができ、55g/m以下であることができ、40g/m以下であることができ、30g/m以下であることができる。
繊維集合体の厚さは適宜選択するが、電極に存在するデンドライトなどの針状異物に加えバリや他の異物による短絡を防止しやすいように、ある程度厚さを有するのが好ましく、より具体的には、160μm以上であるのが好ましく、170μm以上であるのがより好ましく、180μm以上であるのが更に好ましい。一方で、電気抵抗が低い電気化学素子用セパレータを実現し高容量の電池を作製できるように、250μm以下であるのが好ましい
なお、本発明における「厚さ」は、JIS B7502:1994に規定されている外側マイクロメーター(0~25mm)を用いた5N荷重時の測定を、無作為に選んだ10点について行い、その算術平均値をいう。
上述した繊維集合体をそのまま電気化学素子用セパレータとして使用してもよいが、表面にシリカやアルミナなどの無機粒子やバインダを担持する、表面を平滑にする、厚さを調整するなどの二次工程へ供し、電気化学素子用セパレータとして使用してもよい。また、電解液の保持性を向上させるために、親水化処理工程などの二次工程へ供してもよい。この親水化処理工程としては、例えば、スルホン化処理、フッ素ガス処理、ビニルモノマーのグラフト重合処理、界面活性剤処理、放電処理、あるいは親水性樹脂付与処理などを挙げることができる
電気化学素子用セパレータの、例えば、目付や厚さならびに空隙率などの諸構成は、ハイレート放電に優れるなど電気出力特性に優れる電気化学素子を実現可能となるよう適宜調整する。目付の下限値は5g/m以上であることができ、8g/m以上であることができ、10g/m以上であることができる。一方、上限値は80g/m以下であることができ、70g/m以下であることができ、65g/m以下であることができ、55g/m以下であることができ、45g/m以下であることができ、40g/m以下であることができる。
また、厚さは160μm以上であるのが好ましく、170μm以上であるのがより好ましく、180μm以上であるのが更に好ましい。一方で、電気抵抗が低い電気化学素子用セパレータを実現し高容量の電池を作製できるように、250μm以下であるのが好ましい。
また、空隙率は、20%以上であることができ、30%以上であることができ、40%以上であることができる。
なお、本発明でいう「空隙率(P)」(単位:%)は次の式から得られる値をいう。
P=100-(Fr+Fr+・・+Fr
ここで、Frは電気化学素子用セパレータを構成する各種成分nの充填率(単位:%)を示し、次の式から得られる値をいう。
Fr={(M×Pr)/(T×SG)}×100
ここで、Mは電気化学素子用セパレータの目付(単位:g/cm)、Tは電気化学素子用セパレータの厚さ(単位:cm)、Prは電気化学素子用セパレータが有する各種成分nの存在質量比率、SGは各種成分nの比重(単位:g/cm)をそれぞれ意味する。
上述のようにして調製した電気化学素子用セパレータは、使用する電気化学素子の形状に合わせて形状を打ち抜く、巻回形状を取り得るように加工するなど、各種二次工程へ供してもよい。
次に、本発明に係る電気化学素子用セパレータの製造方法について、一製造例を挙げ説明する。なお、上述した項目と構成を同じくする点については説明を省略する。
電気化学素子用セパレータの製造方法は適宜選択することができるが、一例として、
(1)伸度が30%以下の複合繊維と、分割処理へ供することによって扁平度が0.34未満の異形断面繊維を発生可能な分割型繊維を用意する工程、
(2)用意した前記繊維を分散媒へ混合してなる抄紙液を用意する工程、
(3)前記抄紙液を抄き上げ、湿式繊維ウェブを調製する工程、
(4)前記湿式繊維ウェブを水流絡合処理へ供することで、当該湿式繊維ウェブの構成繊維である前記分割型繊維を分割して、扁平度が0.34未満の異形断面繊維を発生させる工程、
(5)水流絡合処理へ供した後の湿式繊維ウェブから、前記抄紙液の分散媒を除去する工程、
を備える電気化学素子用セパレータの製造方法を用いることができる。
工程(1)において、扁平度が0.34未満の異形断面繊維を発生できるのであれば、使用する分割型繊維の種類は適宜選択できる。
分割型繊維として、複数種類の樹脂からなる中実の断面形状を有する分割型繊維を採用できる。例えば、図1に図示するような、二種類の樹脂(樹脂Aと樹脂B)からなるオレンジ型の断面形状を有する分割型繊維を採用した場合には、分割することによって、樹脂Aで構成された断面形状が略三角形形状の異形断面繊維と、樹脂Bで構成された断面形状が略三角形形状の異形断面繊維を得ることができる。
また、分割型繊維として、複数種類の樹脂からなる中空を有する分割型繊維を採用できる。例えば、図2に図示するような、二種類の樹脂(樹脂Aと樹脂B)からなる中空を有するオレンジ型の断面形状を有する分割型繊維を採用した場合には、分割することによって、樹脂Aで構成された断面形状が略台形形状の異形断面繊維と、樹脂Bで構成された断面形状が略台形形状の異形断面繊維を得ることができる。
なお、分割型繊維として、複数種類の樹脂からなる多重バイメタル型の断面形状を有する分割型繊維も採用可能であり、当該分割型繊維を分割することによって、略長方形形状の異形断面繊維を得ることができる。しかし、当該分割型繊維から得られる異形断面繊維は、略三角形形状や略台形形状の異形断面繊維と比べその断面形状において、対向する長辺同士が平行あるいは略平行を成すものとなる。その結果、繊維集合体を構成する異形断面繊維は、長辺同士を向かい合わせるようにして異形断面繊維同士が密に堆積した態様を成し易い。その結果、イオンの通過が意図する通り行われるために最低限必要となる空隙すら不足して、イオン通過性が劣る電気化学素子用セパレータとなる恐れがある。
そのため、分割型繊維として複数種類の樹脂からなる、オレンジ型の断面形状を有する分割型繊維や、中空を有するオレンジ型の断面形状を有する分割型繊維を採用するのが好ましい。
分割型繊維を分割して得られる異形断面繊維の数、換言すれば、分割型繊維の分割数は、扁平度が0.34未満の異形断面繊維を発生できるのであれば、適宜選択できる。扁平度が0.34未満の異形断面繊維を得やすいよう、分割型繊維の分割数は16以上であるのが好ましく、分割型繊維の分割数は18以上であるのが好ましく、分割型繊維の分割数は20以上であるのが好ましく、分割型繊維の分割数は22以上であるのが好ましく、分割型繊維の分割数は24以上であるのが好ましい。
また、分割型繊維の繊維断面に占める複数種類の樹脂の各面積の比率は、扁平度が0.34未満の異形断面繊維を発生できるのであれば、適宜選択できる。例えば、図1~2に図示するように、分割型繊維の繊維断面に樹脂A(図中では黒色に挟まれた白色で示している)と樹脂B(図中では黒色で示している)という二種類の樹脂が交互に存在している場合、一つの樹脂Aの面積と一つの樹脂Bの面積の比率は適宜調整可能であるが、具体例として、1対1の態様(図1の態様)、あるいは、6対4の態様(図示せず)や1対3の態様(図2の態様)であることができる。
本発明の電気化学素子用セパレータを製造するため使用可能な、分割型繊維の繊度や繊維長は適宜調整できる。繊度は0.1~4dtexであることができ、0.5~3.3dtexであることができ、0.8~2.2dtexであることができる。また繊維長は20mm以下であるのが好ましく、15mm以下であるのが好ましく、10mm以下であるのが好ましい。一方、繊維長の下限値は適宜選択するが、0.5mm以上であるのが現実的である。
分割型繊維を構成する各樹脂(例えば、樹脂Aと樹脂B)の種類は適宜選択できるが、容易に分割可能となるよう、樹脂種類が異なる樹脂同士の組み合わせであるのが好ましい、具体例として、二種類の樹脂で構成された分割型繊維である場合、ポリプロピレンとポリメチルペンテンの組み合わせ、ポリプロピレンとポリエチレンの組み合わせ、ポリプロピレンとエチレン-ビニルアルコール共重合の組み合わせなどであることができる。
工程(2)および(3)において、抄紙液の分散媒は適宜選択でき、分散剤および/または活性剤が入った分散媒を使用できる。抄紙液を抄き上げる際、サクション装置を用いて、不要な分散媒を吸引除去してもよい。当該例示において、抄紙液に配合される分割型繊維と伸度が30%以下の複合繊維との比率は適宜調整できるが、その配合比率は20質量%:80質量%~80質量%:20質量%であることができ、30質量%:70質量%~70質量%:30質量%であることができ、40質量%:60質量%~60質量%:40質量%であることができる。また、抄紙液には、分割型繊維以外にもその他繊維(例えば、繊度の小さい極細繊維など)や無機粒子やバインダなどを配合してもよい。
工程(4)において、水流絡合処理において湿式繊維ウェブへ作用させる水流の強さは、分割型繊維を分割し、扁平度が0.34未満の異形断面繊維を発生できるのであれば、適宜選択できる。特に限定するものではないが、例えば、直径0.05~0.3mm、ピッチ0.2~3mmで一列または二列以上にノズルを配置したノズルプレートから、圧力1MPa~30MPaの水流を湿式繊維ウェブに対して噴出すれば良い。
なお、本工程において、湿式繊維ウェブの一方の主面のみへ水流絡合処理を施しても、湿式繊維ウェブの両主面へ水流絡合処理を施しても良い。また水流絡合処理の回数は、一回であっても複数回であってもよい。
なお、水流絡合処理において分割型繊維を分割し易くできるよう、水流絡合処理の前に接着繊維の接着成分により分割型繊維を含む構成繊維同士を繊維接着して、その後、水流絡合処理へ供するのが好ましい。
工程(5)において、分散媒を除去する方法は適宜選択するが、例えば、分散媒を吸引あるいは吹き飛ばすことで除去する方法、加熱機へ供することで分散媒を除去する方法、室温環境下や減圧環境下に放置することで分散媒を除去する方法、フェルトなど吸水性を有する布帛に分散媒を吸収させることで分散媒を除去する方法などを用いることができる。なお、本工程において加熱処理へ供することで、伸度が30%以下の複合繊維やバインダにより繊維同士を接着してもよい。
加熱処理の方法は適宜選択できるが、前述した方法を用いることができる。本工程における加熱温度は適宜調整するが、80℃以上であることができる。なお、加熱温度の上限値は適宜調整するが、構成繊維などが意図せず融解あるいは軟化するのを防止できるよう、150℃以下であるのが望ましい。
このようにして調製した電気化学素子用セパレータをそのまま用いて電気化学素子を調製できるが、必要であれば、表面にシリカやアルミナなどの無機粒子を担持しても、別途補強層として他の部材を設けて電気化学素子用セパレータにを調製してもよい。
また、電解液の保持性を付与又は向上させるために、親水化処理工程へ供してもよい。この親水化処理工程としては、例えば、スルホン化処理、フッ素ガス処理、ビニルモノマーのグラフト重合処理、界面活性剤処理、放電処理、あるいは親水性樹脂付与処理などを挙げることができる。
さらに、使用する電気化学素子の形状に合わせて形状を打ち抜く、巻回形状を取り得るように加工するなど、各種二次工程へ供して電気化学素子用セパレータを調製してもよい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
なお、分割型繊維における「中空部分の平均直径」とは、繊維集合体の断面や表面などを撮影した5000倍の電子顕微鏡写真中に写る、50点の測定対象の繊維における、各分割型繊維断面中に存在する中空部分の直径の算術平均値をいう。なお、当該中空部分が非円形である場合には、当該中空部分を満たす面積と同じ面積の円の直径を中空部分の直径とみなす。なお、繊維が細過ぎて測定が困難である場合には、より高い倍率の電子顕微鏡写真をもとに測定できる。
(分割型繊維の準備)
中心に略円形の中空部分を有しており、ポリプロピレン(以降、PPと略すことがある、融点:168℃、比重:0.91)とポリメチルペンテン(以降、PMPと略すことがある、融点:235℃、比重:0.83)とが交互に存在してなるオレンジ型の断面形状であって、以下の構成の分割型繊維1~3を用意した。
分割型繊維1
・繊維長:5mm
・平均繊維径:15μm(繊度:1.7dtex)
・繊維断面における、一つのPP部分の面積と一つのPMP部分の面積の比率:6対4、
・分割数:16分割、
・中空部分の平均直径:4μm、
・分割によって生じる異形断面繊維:扁平度が0.42のPP異形断面繊維、扁平度が0.34のPMP異形断面繊維。
分割型繊維2
・繊維長:5mm
・平均繊維径:15μm(繊度:1.7dtex)
・繊維断面における、一つのPP部分の面積と一つのPMP部分の面積の比率:3対1、
・分割数:16分割、
・中空部分の平均直径:4μm、
・分割によって生じる異形断面繊維:扁平度が0.51のPP異形断面繊維、扁平度が0.21のPMP異形断面繊維。
分割型繊維3
・繊維長:5mm
・平均繊維径:15μm(繊度:1.7dtex)
・繊維断面における、一つのPP部分の面積と一つのPMP部分の面積の比率:1対1、
・分割数:24分割、
・中空部分の平均直径:2μm、
・分割によって生じる異形断面繊維:扁平度が0.18のPP異形断面繊維、扁平度が0.18のPMP異形断面繊維。
なお、特許文献1における実施例中で使用されている、中空複合分割型オレンジ状断面を有する繊維(複合比:5/5(体積比)、中空率:12%、分割数:16分割、繊度:1.1dtex)を分割すると、算術上0.40の扁平度を有する略台形形状の異形断面繊維が生じるものである。
(伸度が30%以下の複合繊維の準備)
芯部がポリプロピレン(融点:168℃)であり鞘部が高密度ポリエチレン(融点:130℃)である、芯鞘型接着繊維(繊維径:10μm、繊維長:5mm、ヤング率:45cN/dtex、引張強さ:6.5cN/dtex、熱収縮率:12%、伸度:20%)を用意した。
(比較例1~2、実施例1~4)
表1にまとめた繊維配合となるようにして、分割型繊維と伸度が30%以下の複合繊維を分散媒中へ混合して各抄紙液を用意した。そして各抄紙液を用いて抄造した後、水流絡合処理へ供することで分割型繊維を分割し、異形断面繊維と伸度が30%以下の複合繊維が絡合してなる湿式繊維ウェブを各々調製した。
調製した各湿式繊維ウェブを無加圧下、温度140℃で分散媒を除去すると共に伸度が30%以下の複合繊維の鞘成分を融解させた。その後、放冷することで異形断面繊維が伸度が30%以下の複合繊維の鞘成分により繊維接着されてなる不織布を各々製造した。
比較例および実施例で調製した各不織布の、各種構成と諸物性を測定し表1にまとめた。また、有していない構成は表中に「-」を記載した。
なお、「最大孔径(単位:μm)」「最小孔径(単位:μm)」「平均孔径(単位:μm)」は、測定対象となる不織布をポロメータ〔Polometer,コールター(Coulter)社製〕を用いたバブルポイント法へ供し測定により得られた値をいう。つまり、測定された最大流量孔径を「最大孔径」とし、測定された最小流量孔径を「最小孔径」とし、測定された平均流量孔径を「平均孔径」とした。
そして、「短絡率(単位:%)」は、測定対象となる不織布を単体で電気化学素子用セパレータとして使用し、以下の測定を行った結果を指す。
1.はじめに、5cm×5cmの正方形形状に切り出した電気化学素子用セパレータにおける一方の主面上中央部分に、平均粒子径150μmの鉄粉0.005gを直径14mmの円形の範囲内へ均一に付与し、試料を作成した。同様にして10枚の試料を作成した。
2.試料における鉄粉を付与した側の主面にNi板を積層し、試料におけるもう一方の主面に別のNi板を積層した。
3.両Ni板間に3MPaの圧力を作用させた状態のまま、試料における鉄粉を付与した側の主面側に積層したNi板を正極として、Ni板間に直流電圧0.2kVを5秒間、電圧印荷した。
4.上述の測定を、残り9枚の試料に対しても同様に行った。
5.このようにして行った10回の測定のうち、両電極間に短絡を発生させた試料の数の百分率を算出し、これを電気化学素子用セパレータの短絡率とした。
なお、当該短絡率が低いほど、短絡が発生し難い電気化学素子を実現可能な、電気化学素子用セパレータであることを意味する。
Figure 2023022677000002
一般的に、「最大孔径」や「最小孔径」あるいは「平均孔径」が大きい電気化学素子用セパレータであるほど、電気化学素子用セパレータは大きな空隙を有することを意味している。そのため、各種孔径の値が大きい電気化学素子用セパレータは両主面間をつなぐ直径の大きな経路(空隙)を有しているものであり、電極に存在するデンドライトなどの針状異物に加えバリや他の異物を通過させ易い電気化学素子用セパレータとなる。
そのため、技術常識をふまえ考えれば、実施例1は比較例1に比べて、また、実施例3は比較例2に比べて、「最大孔径」「最小孔径」「平均孔径」いずれの値も大きかったことから、実施例1は比較例1に比べて、また、実施例3は比較例2に比べて、短絡が発生し易い電気化学素子用セパレータになると考えられた。
しかし、前述した技術常識をふまえた想定に反し、実施例1は比較例1に比べて、また、実施例3は比較例2に比べて、短絡率が低く短絡の発生し難い電気化学素子用セパレータであった。このような逆転現象が発生した理由として、電気化学素子用セパレータが扁平度0.34未満(好ましくは0.21以下)の異形断面繊維を含んでいるためだと考えられた。
また、実施例2もまた扁平度0.34未満(扁平度が0.18)の異形断面繊維を含んでいたため、その短絡率は比較例1より低く、短絡が発生し難い電気化学素子用セパレータであった。また、実施例4もまた扁平度0.34未満(扁平度が0.18)の異形断面繊維を含んでいたため、その短絡率は比較例2より低く、短絡が発生し難い電気化学素子用セパレータであった。
以上から、本発明によって、短絡が発生し難い電気化学素子を実現可能な、電気化学素子用セパレータを提供できることが判明した。
なお、実施例1と実施例2を比較した結果、ならびに、実施例3と実施例4を比較した結果から、より扁平度が低い(好ましくは0.21未満)異形断面繊維を含んでいることによって、より短絡が発生し難い電気化学素子用セパレータを提供できることが判明した。
また、扁平度が0.34未満である異形断面繊維の割合が9.3質量%以上の繊維集合体を備えることによって、より短絡が発生し難い電気化学素子用セパレータを提供できることが判明した。特に、実施例1と実施例3を比較した結果から、扁平度が0.34未満である異形断面繊維の割合が9.3質量%よりも多い繊維集合体を備えることによって、より一層短絡が発生し難い電気化学素子用セパレータを提供できることが判明した。
本発明の電気化学素子用セパレータは、例えば、一次電池(たとえばリチウム電池、マンガン電池、マグネシウム電池など)あるいは二次電池(例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、亜鉛電池、レドックスフロー電池など)、キャパシタ、燃料電池などの電気化学素子用の、電極間を隔離する電気化学素子用セパレータとして水系、非水系問わずに使用できるものである。
10・・・分割型繊維
A・・・樹脂A
B・・・樹脂B

Claims (2)

  1. 異形断面繊維と伸度が30%以下の複合繊維を含んだ繊維集合体を備える、電気化学素子用セパレータであって、
    前記異形断面繊維をその繊維長方向と垂直を成す方向に切断した断面において、下記の方法で算出される扁平度が0.34未満である、電気化学素子用セパレータ。

    (1)電子顕微鏡を用いて繊維集合体を撮影する、なお、当該撮影により得られた電子顕微鏡写真中に、測定対象となる異形断面繊維の断面が写るようにする、
    (2)前記電子顕微鏡写真に、前記断面の外周上に両端を有する線分を複数本作図する、
    (3)作図した線分のうち最も長い線分を選出し、当該線分の長さをaとする、
    (4)前記電子顕微鏡写真に、前記選出した線分の中点を通過すると共に前記線分と垂直をなす直線を引く、
    (5)前記直線上に、前記断面の外周上に両端を有する線分を引き、当該線分の長さをbとする、
    (6)前記長さbを前記長さaで割り値Vを算出する、
    (7)上述した(2)~(6)の工程を繰り返し、前記電子顕微鏡写真に写る10個の前記異形断面繊維の断面ごとに、値Vを各々算出する、
    (8)算出された各値Vの平均値を、扁平度とする。
  2. 前記繊維集合体を構成する繊維の質量に占める、前記扁平度が0.34未満である異形断面繊維の質量の百分率が、9.3質量%よりも多い、請求項1に記載の電気化学素子用セパレータ。
JP2021127684A 2021-08-03 2021-08-03 電気化学素子用セパレータ Pending JP2023022677A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021127684A JP2023022677A (ja) 2021-08-03 2021-08-03 電気化学素子用セパレータ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021127684A JP2023022677A (ja) 2021-08-03 2021-08-03 電気化学素子用セパレータ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023022677A true JP2023022677A (ja) 2023-02-15

Family

ID=85201753

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021127684A Pending JP2023022677A (ja) 2021-08-03 2021-08-03 電気化学素子用セパレータ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023022677A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN104157812B (zh) 锂离子电池隔膜及其制备方法及锂离子电池
KR102146811B1 (ko) 전기화학 전지용 분리막 매체
WO1996025771A1 (en) Nonwoven fabric for an alkaline battery separator and method for producing the same
JP2005514731A (ja) メルトブローン電池セパレータ
JP4174160B2 (ja) 耐突き刺し性に優れた不織布、その製造方法および電池用セパレータ
JP5337599B2 (ja) 電池セパレータ、電池および分割型複合繊維
JP6347690B2 (ja) 電気化学素子用セパレータ
JP4800527B2 (ja) 不織布、この不織布を用いた電池、及びこの不織布を用いたキャパシタ
JP2023022677A (ja) 電気化学素子用セパレータ
JP7125938B2 (ja) 電気化学素子用セパレータ
JP2882675B2 (ja) セパレーターシート
JP2018133266A (ja) 多孔質電極材、その製造方法
JP4372393B2 (ja) セパレータ材料とその製造方法および電池
JP2011210680A (ja) 電池用セパレータ
JP4384391B2 (ja) セパレータ材料の製造方法およびこれを組み込んだ電池
JP4759239B2 (ja) 電池用セパレータ及びその製造方法
JP7195763B2 (ja) アルカリ電池用セパレータ
EP3882384B1 (en) Non-woven fabric and separator for electrochemical elements
JP2018144379A (ja) 炭素繊維不織布積層体
CN107452927B (zh) 碱性电池用隔板及其制造方法
JP2001084986A (ja) アルカリ蓄電池セパレーター用不織布及びその製造方法
JP2014075239A (ja) 蓄電デバイス用セパレータおよびその製造方法、並びにこれを用いた電池
KR100533124B1 (ko) 전지 세퍼레이터와 그 제조방법 및 전지
JP2022090831A (ja) 電気化学素子用セパレータ
JP2019067680A (ja) 電気化学素子用セパレータ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240528