JP2023021644A - 接続部品、端子、端子付き電線、及び端子付き電線の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電線へのダメージを抑制可能とした接続部品、端子、端子付き電線、及び端子付き電線の製造方法を提供する。【解決手段】圧着端子21は、電線11が挿入される筒部22と、接続部23と、を備えている。筒部22は、金型に設けられた球状部の加圧により内周側に向かって凸となるように変形している変形部26を有している。そして、変形部26は、筒部22の表面に設けられた球面状に窪む球面凹部27を有している。【選択図】図1
Description
本開示は、接続部品、端子、端子付き電線、及び端子付き電線の製造方法に関するものである。
例えば特許文献1には、電線に端子がかしめ接続されて構成された端子付き電線が記載されている。同端子付き電線では、接続筒部に電線を挿通した状態で、かしめ治具にて接続筒部を局所的にかしめることで、接続筒部と電線とを圧着させている。接続筒部において、かしめ治具の加圧により変形されたかしめ部は、接続筒部の内周側に突出している。
上記の接続筒部において電線が挿通する軸方向に沿った断面を見たとき、前記軸方向におけるかしめ部の両側には非かしめ部が存在する。上記の端子付き電線では、非かしめ部からかしめ部にかけての変形が急峻であるため、非かしめ部内で電線が動いたときに、かしめ部の軸方向端部において電線に過大な応力がかかるおそれがある。
本開示の目的は、電線へのダメージを抑制可能とした接続部品、端子、端子付き電線、及び端子付き電線の製造方法を提供することにある。
本開示の接続部品は、電線にかしめ接続される接続部品であって、前記電線が挿入される筒部を備え、前記筒部は、金型に設けられた球状部の加圧により内周側に向かって凸となるように変形している変形部を有し、前記変形部は、前記筒部の表面に設けられた球面状に窪む球面凹部を有している。
また、本開示の端子は、電線にかしめ接続される端子であって、前記電線が挿入される筒部と、接続対象に接続される接続部と、を備え、前記筒部は、金型に設けられた球状部の加圧により内周側に向かって凸となるように変形している変形部を有し、前記変形部は、前記筒部の表面に設けられた球面状に窪む球面凹部を有している。
また、本開示の端子付き電線は、電線と、前記電線にかしめ接続される端子と、を備える端子付き電線であって、前記端子は、前記電線が挿入される筒部と、接続対象に接続される接続部と、を有し、前記筒部は、金型に設けられた球状部の加圧により内周側に向かって凸となるように変形している変形部を有し、前記変形部は、前記筒部の表面に設けられた球面状に窪む球面凹部を有している。
また、本開示の端子付き電線の製造方法は、電線と、前記電線にかしめ接続される端子と、を備える端子付き電線の製造方法であって、前記端子は、前記電線が挿入される筒部を有し、第1金型に前記端子をセットするセット工程と、前記第1金型の加圧により前記筒部の周方向全体を内周側に塑性変形させることで、前記筒部と前記筒部に挿通されている前記電線とを圧着させる第1加圧工程と、前記第1加圧工程の後、第2金型の球状部の加圧により、前記筒部において局所的に内周側に向かって凸となるように変形する変形部を形成する第2加圧工程と、を備える。
本開示の接続部品、端子、端子付き電線、及び端子付き電線の製造方法によれば、電線へのダメージを抑制可能となる。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の接続部品は、
[1]電線にかしめ接続される接続部品であって、前記電線が挿入される筒部を備え、前記筒部は、金型に設けられた球状部の加圧により内周側に向かって凸となるように変形している変形部を有し、前記変形部は、前記筒部の表面に設けられた球面状に窪む球面凹部を有している。
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の接続部品は、
[1]電線にかしめ接続される接続部品であって、前記電線が挿入される筒部を備え、前記筒部は、金型に設けられた球状部の加圧により内周側に向かって凸となるように変形している変形部を有し、前記変形部は、前記筒部の表面に設けられた球面状に窪む球面凹部を有している。
この構成によれば、球面凹部を有する変形部によって、電線を筒部に固定することが可能である。そして、変形部が球面凹部を有するため、筒部では変形部からその周辺部位にかけて緩やかに変形している。このため、筒部内において、電線が変形部以外のところで仮に動いた場合でも、電線に過大な応力がかかることを抑制できる。また、球面凹部を含む変形部を有する筒部では、変形部からその周辺部位にかけての変形が緩やかであるため、金型の球状部の加圧時において筒部の軸方向端部などの変形部の周辺部位が電線から離れるように浮き上がることを抑制可能である。このように、筒部の軸方向端部などの浮き上がりが抑制されることによっても、電線が筒部内で動くことが抑制され、その結果、電線に過大な応力がかかることを抑制できる。したがって、変形部で電線を確実に固定しつつも、電線へのダメージを抑制可能となる。
[2]前記筒部は、その周方向全体が内周側に塑性変形されて構成されている。
この構成によれば、筒部において、球面凹部を有する変形部だけで電線を固定するのではなく、変形部以外の部位でも電線に対する圧着力を得ることが可能となる。これにより、電線をより確実に筒部に固定することが可能となる。
この構成によれば、筒部において、球面凹部を有する変形部だけで電線を固定するのではなく、変形部以外の部位でも電線に対する圧着力を得ることが可能となる。これにより、電線をより確実に筒部に固定することが可能となる。
[3]前記筒部は、幅方向の寸法よりも厚さ方向の寸法が小さい扁平形状をなし、前記変形部は、前記筒部における前記表面のうち前記厚さ方向の一側面のみに設けられている。
この構成によれば、筒部の形状、ならびに、筒部と電線との固定に用いる加圧用の金型の構成の簡素化が可能となる。
[4]前記変形部は、前記筒部に1つのみ設けられ、1つの前記変形部は、平面視において前記筒部の中心に設けられている。
[4]前記変形部は、前記筒部に1つのみ設けられ、1つの前記変形部は、平面視において前記筒部の中心に設けられている。
この構成によれば、筒部の形状、ならびに、筒部と電線との固定に用いる加圧用の金型の構成の簡素化が可能となる。
[5]前記筒部は、周方向に途切れのない環状をなす。
[5]前記筒部は、周方向に途切れのない環状をなす。
この構成によれば、周方向に途切れのない環状をなす筒部と電線とのかしめ接続において、変形部で電線を確実に固定しつつも、電線へのダメージを抑制可能となる。
[6]前記筒部における前記球面凹部が形成された側面において、前記球面凹部以外の部分は平坦面をなす。
[6]前記筒部における前記球面凹部が形成された側面において、前記球面凹部以外の部分は平坦面をなす。
この構成によれば、筒部における前記球面凹部が形成された側面において、球面凹部以外の部分は平坦面をなす。すなわち、筒部の平坦面を含む部分において、電線から離れるように浮き上がることが好適に抑制されている。これにより、筒部内で電線が動くことを好適に抑制可能となる。その結果、電線へのダメージをより一層抑制可能となる。
[7]また、本開示の端子は、電線にかしめ接続される端子であって、前記電線が挿入される筒部と、接続対象に接続される接続部と、を備え、前記筒部は、金型に設けられた球状部の加圧により内周側に向かって凸となるように変形している変形部を有し、前記変形部は、前記筒部の表面に設けられた球面状に窪む球面凹部を有している。この構成によれば、端子において、上記の接続部品と同様の作用効果を得ることができる。
[8]また、本開示の端子付き電線は、電線と、前記電線にかしめ接続される端子と、を備える端子付き電線であって、前記端子は、前記電線が挿入される筒部と、接続対象に接続される接続部と、を有し、前記筒部は、金型に設けられた球状部の加圧により内周側に向かって凸となるように変形している変形部を有し、前記変形部は、前記筒部の表面に設けられた球面状に窪む球面凹部を有している。この構成によれば、端子付き電線において、上記の接続部品と同様の作用効果を得ることができる。
[9]前記端子は、前記筒部が前記電線の端部に圧着されている圧着端子である。
この構成によれば、圧着端子を有する端子付き電線において、端子の筒部における変形部で電線を確実に固定しつつも、電線へのダメージを抑制可能となる。
この構成によれば、圧着端子を有する端子付き電線において、端子の筒部における変形部で電線を確実に固定しつつも、電線へのダメージを抑制可能となる。
[10]また、本開示の端子付き電線の製造方法は、電線と、前記電線にかしめ接続される端子と、を備える端子付き電線の製造方法であって、前記端子は、前記電線が挿入される筒部を有し、第1金型に前記端子をセットするセット工程と、前記第1金型の加圧により前記筒部の周方向全体を内周側に塑性変形させることで、前記筒部と前記筒部に挿通されている前記電線とを圧着させる第1加圧工程と、前記第1加圧工程の後、第2金型の球状部の加圧により、前記筒部において局所的に内周側に向かって凸となるように変形する変形部を形成する第2加圧工程と、を備える。
この構成によれば、第2加圧工程における球状部の加圧により、筒部に変形部が形成される。これにより、上記の接続部品と同様の作用効果を得ることができる。また、第1加圧工程において、第1金型の加圧により前記筒部の周方向全体を内周側に塑性変形させることで、筒部と電線とを圧着させる。これにより、筒部において、変形部だけで電線を固定するのではなく、変形部以外の部位でも電線に対する圧着力を得ることが可能となる。これにより、電線をより確実に筒部に固定することが可能となる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の接続部品、端子、端子付き電線、及び端子付き電線の製造方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。また、本明細書における「直交」は、厳密に直交の場合のみでなく、本実施形態における作用ならびに効果を奏する範囲内で概ね直交の場合も含まれる。
本開示の接続部品、端子、端子付き電線、及び端子付き電線の製造方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。また、本明細書における「直交」は、厳密に直交の場合のみでなく、本実施形態における作用ならびに効果を奏する範囲内で概ね直交の場合も含まれる。
また、本明細書における「対向」とは、面同士又は部材同士が互いに正面の位置にあることを指し、互いが完全に正面の位置にある場合だけでなく、互いが部分的に正面の位置にある場合を含む。また、本明細書における「対向」とは、2つの部分の間に、2つの部分とは別の部材が介在している場合と、2つの部分の間に何も介在していない場合の両方を含む。
図1及び図2に示すように、本実施形態の端子付き電線10は、電線11と、接続部品としての圧着端子21とを備えている。
(電線11)
電線11は、芯線12と、芯線12を被覆する絶縁被覆13とを有している。芯線12は、例えば、複数の金属素線が撚り合わされてなる撚り線、または、複数の金属素線が編み込まれてなる編組線である。また、芯線12の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料を用いることができる。
(電線11)
電線11は、芯線12と、芯線12を被覆する絶縁被覆13とを有している。芯線12は、例えば、複数の金属素線が撚り合わされてなる撚り線、または、複数の金属素線が編み込まれてなる編組線である。また、芯線12の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料を用いることができる。
絶縁被覆13は、例えば、芯線12の外周面を周方向全周にわたって被覆している。絶縁被覆13は、例えば、合成樹脂などの絶縁材料によって構成されている。絶縁被覆13は、例えば、芯線12に対する押出成形によって形成することができる。芯線12は、例えば長さ方向の端部において絶縁被覆13から露出されている。芯線12は、絶縁被覆13から露出された部位において圧着端子21にかしめ接続される。
(圧着端子21)
圧着端子21は、筒部22と、接続部23とを有している。圧着端子21は導体にて構成されている。なお、圧着端子21の構成材料には、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料を用いることができる。
圧着端子21は、筒部22と、接続部23とを有している。圧着端子21は導体にて構成されている。なお、圧着端子21の構成材料には、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料を用いることができる。
筒部22は、芯線12と電気的に接続されるいわゆるクローズドバレルである。筒部22は、電線11が挿入される電線挿通部24と、電線挿通部24を囲む周壁25とを有している。電線挿通部24は、筒状をなす筒部22の内部の中空部分である。筒部22は、軸線Lを有している。電線挿通部24は、例えば、筒部22を軸線Lに沿って貫通する孔である。周壁25は、軸線Lの周りを囲む壁である。芯線12は、軸線Lに沿って電線挿通部24に挿通されている。すなわち、筒部22は、軸線Lが電線11の長さ方向に沿うように電線11に接続される。
図3に示すように、筒部22は、互いに直交する幅方向Wと厚さ方向Tを有している。筒部22の幅方向W及び厚さ方向Tはそれぞれ軸線Lに直交する方向である。筒部22は、幅方向Wの寸法よりも厚さ方向Tの寸法が小さい扁平形状をなしている。本実施形態において、軸線Lに直交する筒部22の断面形状は、幅方向Wに長い略長方形をなしている。なお、筒部22は、芯線12にかしめ接続される前の状態では円筒状をなす。つまり、軸線Lに直交する筒部22の断面形状は、芯線12にかしめ接続される前の状態では円形である。そして、後述の成形用の第1金型M1の加圧により、筒部22の断面形状が図3に示すような略長方形に成形される。これにより、筒部22の周方向全体が、電線挿通部24側、すなわち内部側に塑性変形されて構成されている。筒部22は、例えば軸方向に沿った切れ目のない構成である。すなわち、筒部22は、周方向に途切れのない環状をなしている。なお、筒部22の周壁25は、厚さ方向Tに互いに対向する第1壁部25a及び第2壁部25bを含む。第1壁部25aは、後述する変形部26以外の部位において略平板状をなす。第1壁部25aと第2壁部25bとは、例えば互いに略平行をなしている。
(変形部26)
図3及び図4に示すように、筒部22は、周壁25が部分的に塑性変形されてなる変形部26を有している。変形部26は、例えば、周壁25の第1壁部25aに形成されている。変形部26は、後述する成形用の第2金型M2に設けられた球状部42の加圧により、電線挿通部24に向かって凸となるように変形している。すなわち、変形部26は、電線挿通部24に挿通された芯線12に圧接している。
図3及び図4に示すように、筒部22は、周壁25が部分的に塑性変形されてなる変形部26を有している。変形部26は、例えば、周壁25の第1壁部25aに形成されている。変形部26は、後述する成形用の第2金型M2に設けられた球状部42の加圧により、電線挿通部24に向かって凸となるように変形している。すなわち、変形部26は、電線挿通部24に挿通された芯線12に圧接している。
筒部22の表面において、変形部26は球面状に窪む球面凹部27を有している。球面凹部27は、第2金型M2による加圧時に球状部42に接触する部位である。すなわち、球面凹部27の表面は、球状部42の形状に倣った形状に形成されている。球面凹部27の表面は、中心Cを中心とする球面の一部に沿った形状をなしている。本実施形態において、球面凹部27の表面の曲率半径Crは、例えば、球面凹部27の最大深さDよりも大きく設定される。すなわち、中心Cは、球面凹部27の外側に設定されている。これにより、球面凹部27の表面が緩やかな球面をなすため、筒部22内の芯線12にかかる応力を好適に分散させることが可能となる。
球面凹部27を有する変形部26は、例えば、筒部22の表面のうち厚さ方向Tの一方側の側面22aのみに設けられている。側面22aは、第1壁部25aの外側表面である。変形部26は、例えば、側面22aに1つのみ設けられている。変形部26は、平面視、すなわち厚さ方向T視において、側面22aの中心に設けられている。つまり、変形部26は、軸線L方向における側面22aの中心に設けられるとともに、幅方向Wにおいても側面22aの中心に設けられている。
図4に示すように、側面22aにおいて、球面凹部27以外の部分は平坦面28をなしている。平坦面28は、例えば、厚さ方向Tに直交する平面である。周壁25の軸線Lに直交する断面において、球面凹部27を含まない領域における断面は、例えば、軸線L方向において一様とされている。すなわち、本実施形態の構成は、球状部42の加圧による変形部26以外の第1壁部25aへの影響が極めて低い構成となっている。これにより、第1壁部25aにおいて、球状部42の加圧による球状部42以外の部分の浮き上がりなどが抑制されている。
図1に示すように、圧着端子21において、接続部23は、筒部22に対して例えば一体をなしている。接続部23は、筒部22の周壁25から軸線Lに沿った方向に延出されている。接続部23は、接続対象としての図示しない相手端子に接続される。
次に、端子付き電線10の製造方法について説明する。
まず、図5に示すように、圧着端子21を第1金型M1にセットするセット工程を行う。第1金型M1は、ダイとしての下金型31と、パンチとしての第1上金型32とを有している。同工程では、圧着端子21の筒部22を下金型31の成形凹部33に配置する。同工程において、筒部22はかしめ前の状態の状態である。すなわち、同工程において、筒部22は円筒状をなしている。なお、成形凹部33の深さは、例えば、円筒状をなす筒部22の外周面の半径以下に設定されている。
まず、図5に示すように、圧着端子21を第1金型M1にセットするセット工程を行う。第1金型M1は、ダイとしての下金型31と、パンチとしての第1上金型32とを有している。同工程では、圧着端子21の筒部22を下金型31の成形凹部33に配置する。同工程において、筒部22はかしめ前の状態の状態である。すなわち、同工程において、筒部22は円筒状をなしている。なお、成形凹部33の深さは、例えば、円筒状をなす筒部22の外周面の半径以下に設定されている。
次に、図6に示すように、第1金型M1を用いた第1加圧工程を行う。同工程では、第1上金型32のプレスにより、円筒状の筒部22が成形凹部33に倣った形状に成形される。つまり、筒部22の周方向全体が内径側、すなわち電線挿通部24側に塑性変形される。これにより、芯線12には、周方向全体において筒部22からの応力が加わる。その結果、電線挿通部24に挿通されている芯線12と筒部22とが圧着される。なお、同工程を経て、芯線12は、筒部22の形に即した扁平形状に成形される。また、本実施形態の第1加圧工程では、例えば、筒部22の軸線L方向の全体が第1金型M1にて加圧される。これにより、芯線12には、筒部22の軸線L方向の全体から応力が加わる。
次に、図7に示すように、金型交換工程を行う。同工程では、前記第1加圧工程が完了し、下金型31から第1上金型32を離した後、第1上金型32を第2上金型41に交換する。このとき、下金型31及び成形凹部33内の第1加圧工程後の筒部22はそのまま維持する。同工程の後に行う第2加圧工程に用いる第2金型M2は、下金型31と第2上金型41とを有する。
次に、図8に示すように、第2金型M2を用いた第2加圧工程を行う。第2上金型41は、球面凹部27を含む変形部26を形成するための球状部42を有している。球状部42の表面形状は、球面状をなしている。球状部42の表面形状は、前述した球面凹部27の表面と同様の形状であるため、詳細な説明を省略する。第2加圧工程では、成形凹部33内にある第1加圧工程後の筒部22に対して球状部42にて加圧することで、変形部26を形成する。このとき、変形部26は、電線挿通部24内の芯線12に向かって突出する。これにより、第1加圧工程を経て筒部22から芯線12に付与されている圧着力が、変形部26においてさらに増大される。その結果、芯線12と筒部22とが確実に圧着されることとなる。
第2加圧工程においては、第1加圧工程によって成形凹部33と略同形状に成形された筒部22が、同成形凹部33に配置されている。すなわち、筒部22が成形凹部33によって幅方向Wに位置決めされるため、球状部42による加圧時に筒部22が幅方向Wにずれにくくなっている。
本実施形態の作用について説明する。
図4に示すように、第1壁部25aは、軸線L方向の中央に形成された変形部26と、変形部26の軸線L方向の両側において球状部42にて加圧されない非変形部25xと、を有している。変形部26は、球状部42にて形成される球面凹部27を有している。つまり、変形部26は、変形部26の中央から非変形部25xにかけて球面状に緩やかに変位する部位である。これにより、変形部26と芯線12との圧着の応力が局所的に集中することなく分散されるようになっている。
図4に示すように、第1壁部25aは、軸線L方向の中央に形成された変形部26と、変形部26の軸線L方向の両側において球状部42にて加圧されない非変形部25xと、を有している。変形部26は、球状部42にて形成される球面凹部27を有している。つまり、変形部26は、変形部26の中央から非変形部25xにかけて球面状に緩やかに変位する部位である。これにより、変形部26と芯線12との圧着の応力が局所的に集中することなく分散されるようになっている。
本実施形態の効果について説明する。
(1)筒部22の周壁25は、第2上金型41に設けられた球状部42の加圧により電線挿通部24に向かって凸となるように変形している変形部26を有している。そして、変形部26は、周壁25の外表面に設けられた球面状に窪む球面凹部27を有している。この構成によれば、球面凹部27を有する変形部26によって、電線11を筒部22に固定することが可能である。そして、変形部26が球面凹部27を有するため、第1壁部25aにおいて変形部26から非変形部25xなどの周辺部位にかけて緩やかに変形している。このため、筒部22内において、電線11が変形部26以外のところで仮に動いた場合でも、電線11に過大な応力がかかることを抑制できる。
(1)筒部22の周壁25は、第2上金型41に設けられた球状部42の加圧により電線挿通部24に向かって凸となるように変形している変形部26を有している。そして、変形部26は、周壁25の外表面に設けられた球面状に窪む球面凹部27を有している。この構成によれば、球面凹部27を有する変形部26によって、電線11を筒部22に固定することが可能である。そして、変形部26が球面凹部27を有するため、第1壁部25aにおいて変形部26から非変形部25xなどの周辺部位にかけて緩やかに変形している。このため、筒部22内において、電線11が変形部26以外のところで仮に動いた場合でも、電線11に過大な応力がかかることを抑制できる。
また、変形部26を有する筒部22では、変形部26からその周辺部位にかけての変形が緩やかであるため、第2上金型41の球状部42の加圧時において、筒部22の軸方向端部を含む非変形部25xが電線11から離れるように浮き上がることを抑制可能である。このように、筒部22の軸方向端部などの浮き上がりが抑制されることによっても、電線11が筒部22内で動くことが抑制され、その結果、電線11に過大な応力がかかることを抑制できる。したがって、変形部26で電線11を確実に固定しつつも、電線11へのダメージを抑制可能となる。
(2)筒部22は、その周方向全体が内周側に塑性変形されて構成されている。この構成によれば、筒部22において、球面凹部27を有する変形部26だけで電線11を固定するのではなく、変形部26以外の部位でも電線11に対する圧着力を得ることが可能となる。これにより、電線11をより確実に筒部22に固定することが可能となる。
(3)筒部22は、幅方向Wの寸法よりも厚さ方向Tの寸法が小さい扁平形状をなしている。そして、変形部26は、筒部22における厚さ方向Tの一方側の側面22aのみに設けられている。この構成によれば、筒部22の形状、ならびに、筒部22と電線11との固定に用いる加圧用の第1金型M1及び第2金型M2の構成の簡素化が可能となる。その結果、金型費用の削減、ひいては端子付き電線10の製造コストの削減に寄与できる。さらには、第1金型M1及び第2金型M2の構成が簡素化されることで、第1金型M1及び第2金型M2のメンテナンスを容易にすることが可能となる。
(4)変形部26は、筒部22に1つのみ設けられている。そして、1つの変形部26は、平面視において筒部22の中心に設けられている。この構成によれば、筒部22の形状、ならびに、筒部22と電線11との固定に用いる加圧用の第1金型M1及び第2金型M2の構成の簡素化が可能となる。その結果、金型費用の削減、ひいては端子付き電線10の製造コストの削減に寄与できる。さらには、第1金型M1及び第2金型M2の構成が簡素化されることで、第1金型M1及び第2金型M2のメンテナンスを容易にすることが可能となる。
(5)筒部22は、周方向に途切れのない環状をなす。この構成によれば、周方向に途切れのない環状をなす筒部22と電線11とのかしめ接続において、変形部26で電線11を確実に固定しつつも、電線11へのダメージを抑制可能となる。
(6)筒部22における球面凹部27が形成された側面22aにおいて、球面凹部27以外の部分は平坦面28をなす。すなわち、筒部22の平坦面28を含む部分において、電線11から離れるように浮き上がることが好適に抑制されている。これにより、筒部22内で電線11が動くことを好適に抑制可能となる。その結果、電線11へのダメージをより一層抑制可能となる。
(7)圧着端子21は、筒部22が電線11の端部に圧着されている圧着端子である。この構成によれば、圧着端子としての圧着端子21を有する端子付き電線10において、筒部22における変形部26で電線11を確実に固定しつつも、電線11へのダメージを抑制可能となる。
(8)端子付き電線10の製造方法は、セット工程と、第1加圧工程と、第2加圧工程とを備える。セット工程では、第1金型M1に圧着端子21をセットする。第1加圧工程では、第1金型M1の加圧により筒部22の周方向全体を内周側に塑性変形させることで、電線挿通部24に挿通されている芯線12と筒部22とを圧着させる。第1加圧工程の後の第2加圧工程では、第2金型M2の球状部42の加圧により、筒部22において局所的に内周側に向かって凸となるように変形する変形部26を形成する。
この製造方法によれば、第1加圧工程により筒部22の周方向全体を電線11に圧着させた後、第2加圧工程で形成される球面凹部27を有する変形部26にて電線11にさらに圧着させる。これにより、電線11をより確実に筒部22に固定することが可能となる。
また、球状部42を有する第2上金型41の加圧の前に、球状部42を有しない第1上金型32を用いた第1加圧工程を行う。仮に、第1加圧工程を省略して、球状部42を有する第2金型M2を用いた1つの加圧工程で圧着端子21と電線11とを圧着することを考える。この場合、球状部42による加圧時に、円筒状の筒部22の幅方向Wの位置決めが難しく、筒部22が幅方向Wに逃げてしまうおそれがある。その点、本製造方法では、第1加圧工程にて筒部22が成形凹部33と略同形状に成形されることで、筒部22が成形凹部33に対して幅方向Wに位置決めされる。これにより、球状部42による加圧時に筒部22が幅方向Wにずれにくくなる。
(9)第1加圧工程と第2加圧工程とで、共通の下金型31を用いている。すなわち、第1金型M1と第2金型M2において、下金型31が共用化されている。これにより、第1金型M1及び第2金型M2の構成の簡素化が可能となる。その結果、金型費用の削減、ひいては端子付き電線10の製造コストの削減に寄与できる。さらには、第1金型M1及び第2金型M2の構成が簡素化されることで、第1金型M1及び第2金型M2のメンテナンスを容易にすることが可能となる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態の筒部22は、周方向に途切れのない環状をなすが、これに限らず、複数の部品を組み合わせて環状をなすものや、C字状のように周方向の一部に切り欠きなどを有する環状としてもよい。
・上記実施形態の筒部22は、周方向に途切れのない環状をなすが、これに限らず、複数の部品を組み合わせて環状をなすものや、C字状のように周方向の一部に切り欠きなどを有する環状としてもよい。
・上記実施形態の筒部22は、幅方向Wの寸法よりも厚さ方向Tの寸法が小さい扁平形状をなすが、これ以外に例えば、幅方向Wの寸法と厚さ方向Tの寸法とが等しい形状としてもよい。
・上記実施形態の圧着端子21は、筒部22の電線挿通部24が軸線Lに沿って貫通する貫通タイプのクローズド端子であるが、これに特に限定されるものではない。例えば、筒部22における軸線L方向の接続部23側の端部を塞ぐ底部を有する構成とし、芯線12の先端部が当該底部に突き当てられている所謂突き当てタイプのクローズド端子であってもよい。
・上記実施形態の筒部22は、側面22aに変形部26を1つのみ有するが、これに限らず、例えば、側面22aに複数の変形部26を有していてもよい。この場合、複数の変形部26を、例えば、軸線Lに沿った一直線上に形成してもよい。また、例えば、複数の変形部26を、幅方向Wに沿って一直線上に形成してもよい。また、3つ以上の変形部26を設ける場合、当該変形部26を互いに等間隔に配置してもよいし、軸線L方向の中央ほど変形部26が密となるように配置してもよい。なお、変形部26の数は、筒部22の軸線L方向、幅方向W及び厚さ方向Tの寸法に応じて適宜変更可能である。
・上記実施形態の筒部22において、第2壁部25bにも変形部26を追加で設けてもよい。この場合、第1壁部25a及び第2壁部25bの各々の変形部26を厚さ方向Tに重なる位置、すなわち上記実施形態では軸線L方向の中央に形成してもよい。また、第1壁部25a及び第2壁部25bの各々の変形部26を、軸線L方向または幅方向Wに互いにずらして設けてもよい。これにより、第1壁部25a及び第2壁部25bの各々の変形部26から電線11が受ける力が緩和される。したがって、第1壁部25a及び第2壁部25bのそれぞれに変形部26を設けることで、筒部22と電線11との圧着力を向上させつつも、電線11へのダメージを抑制することが可能となる。
・上記実施形態では、変形部26が筒部22の軸線L方向の中央に形成されるが、これ以外に例えば、変形部26を筒部22の軸線L方向の端部に形成してもよい。この場合、球面凹部27が筒部22の軸線L方向の端部に重なると、厚さ方向Tから見た球面凹部27の形状が円形とならない場合もありうる。
・上記実施形態の第1加圧工程では、筒部22の軸線L方向の全体が第1金型M1にて加圧されるが、これに限らず、筒部22の軸線L方向の一部を第1金型M1にて加圧する態様でもよい。
・上記実施形態では、第1加圧工程と第2加圧工程とで共通の下金型31を用いるが、これに限らず、各々別の下金型を用いてもよい。
・上記実施形態において、第1加圧工程を省略し、第2金型M2を用いた1つの加圧工程で圧着端子21と電線11とを圧着してもよい。
・上記実施形態において、第1加圧工程を省略し、第2金型M2を用いた1つの加圧工程で圧着端子21と電線11とを圧着してもよい。
・球状部42が筒部22に加圧しているときの第2上金型41の位置において、第2上金型41における下金型31に対向する対向面が、下金型31に接していてもよいし、下金型31から離れていてもよい。
・上記実施形態では、電線11にかしめ接続される接続部品として、電線11の端部に設けられて図示しない相手端子に接続される圧着端子21を例にとって説明したが、これに特に限定されるものではない。例えば、図9に示すように、2つの電線11を接続するための接続部品50に適用してもよい。接続部品50は、全体として筒状をなしている。すなわち、接続部品50は、その少なくとも軸方向の両端部において、変形部26を有する筒部22を備えている。そして、各筒部22に電線11が圧着されることで、2つの電線11同士が接続部品50にて互いに電気的に接続されている。各筒部22と電線11との圧着の態様は、上記実施形態と同様である。このような構成によっても、変形部26で接続部品50と電線11とを確実に固定しつつも、電線11へのダメージを抑制可能となる。
・今回開示された実施形態及び変更例はすべての点で例示であって、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。すなわち、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 端子付き電線
11 電線
12 芯線
13 絶縁被覆
21 圧着端子(接続部品、端子)
22 筒部
22a 側面(一側面、筒部の表面)
23 接続部
24 電線挿通部
25 周壁
25a 第1壁部
25b 第2壁部
25x 非変形部
26 変形部
27 球面凹部
28 平坦面
31 下金型(第1金型、第2金型)
32 第1上金型(第1金型)
33 成形凹部
41 第2上金型(金型、第2金型)
42 球状部
50 接続部品
C 中心
Cr 曲率半径
D 最大深さ
L 軸線
M1 第1金型
M2 第2金型
T 厚さ方向
W 幅方向
11 電線
12 芯線
13 絶縁被覆
21 圧着端子(接続部品、端子)
22 筒部
22a 側面(一側面、筒部の表面)
23 接続部
24 電線挿通部
25 周壁
25a 第1壁部
25b 第2壁部
25x 非変形部
26 変形部
27 球面凹部
28 平坦面
31 下金型(第1金型、第2金型)
32 第1上金型(第1金型)
33 成形凹部
41 第2上金型(金型、第2金型)
42 球状部
50 接続部品
C 中心
Cr 曲率半径
D 最大深さ
L 軸線
M1 第1金型
M2 第2金型
T 厚さ方向
W 幅方向
Claims (10)
- 電線にかしめ接続される接続部品であって、
前記電線が挿入される筒部を備え、
前記筒部は、金型に設けられた球状部の加圧により内周側に向かって凸となるように変形している変形部を有し、
前記変形部は、前記筒部の表面に設けられた球面状に窪む球面凹部を有している、
接続部品。 - 前記筒部は、その周方向全体が内周側に塑性変形されて構成されている、
請求項1に記載の接続部品。 - 前記筒部は、幅方向の寸法よりも厚さ方向の寸法が小さい扁平形状をなし、
前記変形部は、前記筒部における前記表面のうち前記厚さ方向の一側面のみに設けられている、
請求項1または請求項2に記載の接続部品。 - 前記変形部は、前記筒部に1つのみ設けられ、
1つの前記変形部は、平面視において前記筒部の中心に設けられている、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の接続部品。 - 前記筒部は、周方向に途切れのない環状をなす、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の接続部品。 - 前記筒部における前記球面凹部が形成された側面において、前記球面凹部以外の部分は平坦面をなす、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の接続部品。 - 電線にかしめ接続される端子であって、
前記電線が挿入される筒部と、接続対象に接続される接続部と、を備え、
前記筒部は、金型に設けられた球状部の加圧により内周側に向かって凸となるように変形している変形部を有し、
前記変形部は、前記筒部の表面に設けられた球面状に窪む球面凹部を有している、
端子。 - 電線と、前記電線にかしめ接続される端子と、を備える端子付き電線であって、
前記端子は、前記電線が挿入される筒部と、接続対象に接続される接続部と、を有し、
前記筒部は、金型に設けられた球状部の加圧により内周側に向かって凸となるように変形している変形部を有し、
前記変形部は、前記筒部の表面に設けられた球面状に窪む球面凹部を有している、
端子付き電線。 - 前記端子は、前記筒部が前記電線の端部に圧着されている圧着端子である、
請求項8に記載の端子付き電線。 - 電線と、前記電線にかしめ接続される端子と、を備える端子付き電線の製造方法であって、
前記端子は、前記電線が挿入される筒部を有し、
第1金型に前記端子をセットするセット工程と、
前記第1金型の加圧により前記筒部の周方向全体を内周側に塑性変形させることで、前記筒部と前記筒部に挿通されている前記電線とを圧着させる第1加圧工程と、
前記第1加圧工程の後、第2金型の球状部の加圧により、前記筒部において局所的に内周側に向かって凸となるように変形する変形部を形成する第2加圧工程と、
を備える、
端子付き電線の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021126634A JP2023021644A (ja) | 2021-08-02 | 2021-08-02 | 接続部品、端子、端子付き電線、及び端子付き電線の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP2021126634A JP2023021644A (ja) | 2021-08-02 | 2021-08-02 | 接続部品、端子、端子付き電線、及び端子付き電線の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2023021644A true JP2023021644A (ja) | 2023-02-14 |
Family
ID=85201341
Family Applications (1)
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JP2021126634A Pending JP2023021644A (ja) | 2021-08-02 | 2021-08-02 | 接続部品、端子、端子付き電線、及び端子付き電線の製造方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2023021644A (ja) |
-
2021
- 2021-08-02 JP JP2021126634A patent/JP2023021644A/ja active Pending
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