JP2023020601A - 摺動面用潤滑油組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】切削油タンク内で微生物の繁殖を抑制することができる、摺動面用潤滑油組成物を提供する。【解決手段】基油(A)と、第1級アミン(B1)及び第2級アミン(B2)からなる群から選択される1種以上のアミン化合物(B)とを含有し、前記第1級アミン(B1)は、炭素数が12以上であり、前記第2級アミン(B2)は、少なくとも一つの環状構造基を有する、摺動面用潤滑油組成物とした。【選択図】なし
Description
本発明は、摺動面用潤滑油組成物に関する。
工作機械には、工具及び被削材等を任意の方向に動かすために摺動面が存在する。そして、摺動運動を円滑にするために摺動面用潤滑油組成物が用いられる。
ところで、摺動面用潤滑油組成物は、工作機械に設置されている切削油タンクに混入し、水溶性切削油の劣化を促進する。詳細には、切削油タンクに混入した摺動面用潤滑油組成物がバクテリアの栄養源となって、切削油タンク内で微生物の繁殖が促進され、水溶性切削油の劣化が促進される。
ところで、摺動面用潤滑油組成物は、工作機械に設置されている切削油タンクに混入し、水溶性切削油の劣化を促進する。詳細には、切削油タンクに混入した摺動面用潤滑油組成物がバクテリアの栄養源となって、切削油タンク内で微生物の繁殖が促進され、水溶性切削油の劣化が促進される。
従来は、水溶性切削油と摺動面用潤滑油組成物とを速やかに分離することで、切削タンク内での微生物の繁殖を抑制し、水溶性切削油の使用期間の延長を図っていた(例えば、特許文献1を参照)。
水溶性切削油と摺動面用潤滑油組成物とを速やかに分離するためには、オイルスキマー等の油分離装置が必要になるが、近年、オイルスキマー等の油分離装置が切削油タンクに備えられていないケースが増えている。そこで、切削油タンク内で微生物の繁殖を抑制可能な摺動面用潤滑油組成物の創出が望まれている。
本発明は、切削油タンク内で微生物の繁殖を抑制することができる、摺動面用潤滑油組成物を提供することを課題とする。
本発明によれば、下記[1]~[3]が提供される。
[1] 基油(A)と、第1級アミン(B1)及び第2級アミン(B2)からなる群から選択される1種以上のアミン化合物(B)とを含有し、
前記第1級アミン(B1)は、炭素数が12以上であり、
前記第2級アミン(B2)は、少なくとも一つの環状構造基を有する、摺動面用潤滑油組成物。
[2] 上記[1]に記載の摺動面用潤滑油組成物を、水溶性切削油中の微生物の繁殖抑制のために使用する、使用方法。
[3] 上記[1]に記載の摺動面用潤滑油組成物を水溶性切削油に混入させた後、前記摺動面用潤滑油組成物を除去することなく、前記水溶性切削油中に保持する工程を含む、水溶性切削油中の微生物の繁殖抑制方法。
[1] 基油(A)と、第1級アミン(B1)及び第2級アミン(B2)からなる群から選択される1種以上のアミン化合物(B)とを含有し、
前記第1級アミン(B1)は、炭素数が12以上であり、
前記第2級アミン(B2)は、少なくとも一つの環状構造基を有する、摺動面用潤滑油組成物。
[2] 上記[1]に記載の摺動面用潤滑油組成物を、水溶性切削油中の微生物の繁殖抑制のために使用する、使用方法。
[3] 上記[1]に記載の摺動面用潤滑油組成物を水溶性切削油に混入させた後、前記摺動面用潤滑油組成物を除去することなく、前記水溶性切削油中に保持する工程を含む、水溶性切削油中の微生物の繁殖抑制方法。
本発明によれば、切削油タンク内で微生物の繁殖を抑制することができる、摺動面用潤滑油組成物を提供することが可能となる。
本明細書に記載された数値範囲の上限値および下限値は任意に組み合わせることができる。例えば、数値範囲として「A~B」及び「C~D」が記載されている場合、「A~D」及び「C~B」の数値範囲も、本発明の範囲に含まれる。
また、本明細書に記載された数値範囲「下限値~上限値」は、特に断りのない限り、下限値以上、上限値以下であることを意味する。
また、本明細書において、実施例の数値は、上限値又は下限値として用いられ得る数値である。
また、本明細書に記載された数値範囲「下限値~上限値」は、特に断りのない限り、下限値以上、上限値以下であることを意味する。
また、本明細書において、実施例の数値は、上限値又は下限値として用いられ得る数値である。
[摺動面用潤滑油組成物の態様]
本実施形態の摺動面用潤滑油組成物は、基油(A)と、第1級アミン(B1)及び第2級アミン(B2)からなる群から選択される1種以上のアミン化合物(B)とを含有する。
第1級アミン(B1)は、炭素数が12以上である。
そして、第2級アミン(B2)は、少なくとも一つの環状構造基を有する。
本実施形態の摺動面用潤滑油組成物は、基油(A)と、第1級アミン(B1)及び第2級アミン(B2)からなる群から選択される1種以上のアミン化合物(B)とを含有する。
第1級アミン(B1)は、炭素数が12以上である。
そして、第2級アミン(B2)は、少なくとも一つの環状構造基を有する。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討を行った。その結果、特定のアミン化合物を含有する摺動面用潤滑油組成物が、上記課題を解決し得ることを見出した。
本発明の摺動面用潤滑油組成物が上記課題を解決し得るメカニズムは明確にはなっていないが、例えば以下のように推察される。すなわち、アミン化合物(B)の構造が、微生物の活性の低減に対して効果的に作用し、切削油タンク内での微生物の繁殖の抑制に資するものと推察される。また、アミン化合物(B)は、揮発しにくいため、摺動面用潤滑油組成物中に長期に亘りとどまり続けることができる。そして、アミン化合物(B)は、摺動面用潤滑油組成物が水溶性切削油に混入した後も、摺動面用潤滑油組成物中に長期に亘りとどまり続けることができ、その機能をいかんなく発揮することができるためと推察される。
本発明の摺動面用潤滑油組成物が上記課題を解決し得るメカニズムは明確にはなっていないが、例えば以下のように推察される。すなわち、アミン化合物(B)の構造が、微生物の活性の低減に対して効果的に作用し、切削油タンク内での微生物の繁殖の抑制に資するものと推察される。また、アミン化合物(B)は、揮発しにくいため、摺動面用潤滑油組成物中に長期に亘りとどまり続けることができる。そして、アミン化合物(B)は、摺動面用潤滑油組成物が水溶性切削油に混入した後も、摺動面用潤滑油組成物中に長期に亘りとどまり続けることができ、その機能をいかんなく発揮することができるためと推察される。
また、アミン化合物(B)は、油溶性が高いため、摺動面用潤滑油組成物が水溶性切削油に混入した後も、摺動面用潤滑油組成物中にとどまりやすい。そのため、微生物が栄養源を求めて、水溶性切削油に混入した摺動面用潤滑油組成物に接触すると、当該微生物が、摺動面用潤滑油組成物中に存在するアミン化合物(B)にも接触しやすくなる。その結果、当該微生物のアミン化合物(B)への接触確率が向上し、アミン化合物(B)が当該微生物の活性を低減させて、当該微生物の繁殖を効果的に抑制できているものと推察される。
なお、以降の説明では、「摺動面用潤滑油組成物」を、単に「潤滑油組成物」ともいう。
本実施形態の潤滑油組成物は、基油(A)及びアミン化合物(B)のみから構成されていてもよいが、本発明の効果を大きく損なうことのない範囲で、基油(A)及びアミン化合物(B)以外の他の成分を任意に含んでいてもよい。
本実施形態の潤滑油組成物において、基油(A)及びアミン化合物(B)の合計含有量は、潤滑油組成物の全量基準で、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上である。また、好ましくは100質量%以下、より好ましくは100質量%未満、更に好ましくは99.5質量%以下、より更に好ましくは99.0質量%以下である。
これらの数値範囲の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。具体的には、好ましくは80質量%~100質量%、より好ましくは85質量%~100質量%未満、更に好ましくは90質量%~99.5質量%、より更に好ましくは95質量%~99.0質量%である。
本実施形態の潤滑油組成物において、基油(A)及びアミン化合物(B)の合計含有量は、潤滑油組成物の全量基準で、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上である。また、好ましくは100質量%以下、より好ましくは100質量%未満、更に好ましくは99.5質量%以下、より更に好ましくは99.0質量%以下である。
これらの数値範囲の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。具体的には、好ましくは80質量%~100質量%、より好ましくは85質量%~100質量%未満、更に好ましくは90質量%~99.5質量%、より更に好ましくは95質量%~99.0質量%である。
以下、本実施形態の潤滑油組成物が含有する各成分について、詳細に説明する。
<基油(A)>
本実施形態の潤滑油組成物は、基油(A)を含有する。
基油(A)としては、例えば、従来、摺動面用潤滑油組成物の基油として用いられている鉱油及び合成油から選択される1種以上を、特に制限なく使用することができる。
本実施形態の潤滑油組成物は、基油(A)を含有する。
基油(A)としては、例えば、従来、摺動面用潤滑油組成物の基油として用いられている鉱油及び合成油から選択される1種以上を、特に制限なく使用することができる。
鉱油としては、例えば、パラフィン系原油、中間基系原油、又はナフテン系原油等の原油を常圧蒸留して得られる常圧残油;これらの常圧残油を減圧蒸留して得られる留出油;当該留出油を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、及び水素化精製等の精製処理を1つ以上施して得られる鉱油;等が挙げられる。
合成油としては、例えば、ポリブテン、1-オクテンオリゴマー、及び1-デセンオリゴマー等並びにこれらの水添物、エチレン-α-オレフィン共重合体等のポリオレフィン;イソパラフィン;ポリオールエステル及び二塩基酸エステル等の各種エステル;ポリフェニルエーテル等の各種エーテル;ポリアルキレングリコール;アルキルベンゼン;アルキルナフタレン;天然ガスからフィッシャー・トロプシュ法等により製造されるワックス(ガストゥリキッド(GTL)ワックス)を異性化することで得られるGTL基油等が挙げられる。
鉱油は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。合成油も、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、1種以上の鉱油と1種以上の合成油とを組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の潤滑油組成物において、基油(A)は、鉱油を含むことが好ましい。鉱油の含有量は、基油(A)の全量基準で、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上、更になお好ましくは90質量%以上、一層好ましくは95質量%以上である。また、好ましくは100質量%以下、より好ましくは99.5質量%以下、更に好ましくは99.0質量%以下、より更に好ましくは98.5質量%以下、更になお好ましくは98.0質量%以下である。
なお、基油(A)が鉱油を含む場合、当該鉱油は、米国石油協会(API)のカテゴリーにおいてグループI、II、及びIIIに分類される鉱油から選択される1種以上であってもよく、グループI及びIIに分類される鉱油から選択される1種以上であってもよく、グループIに分類される鉱油であってもよい。
基油(A)がAPIカテゴリーにおいてグループIに分類される鉱油を含む場合、グループIに分類される鉱油の含有量は、基油(A)の全量基準で、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上、更になお好ましくは90質量%以上、一層好ましくは95質量%以上である。また、好ましくは100質量%以下、より好ましくは99.5質量%以下、更に好ましくは99.0質量%以下、より更に好ましくは98.5質量%以下、更になお好ましくは98.0質量%以下である。
基油(A)がAPIカテゴリーにおいてグループIに分類される鉱油を含む場合、グループIに分類される鉱油の含有量は、基油(A)の全量基準で、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上、更になお好ましくは90質量%以上、一層好ましくは95質量%以上である。また、好ましくは100質量%以下、より好ましくは99.5質量%以下、更に好ましくは99.0質量%以下、より更に好ましくは98.5質量%以下、更になお好ましくは98.0質量%以下である。
また、摺動部における油膜保持性(張り付き性)を付与しやすくする観点から、基油(A)は、ポリオレフィンを含むことが好ましい。ポリオレフィンの含有量は、基油(A)の全量基準で、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上である。また、好ましくは2.0質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、更に好ましくは1.0質量%以下である。
また、ポリオレフィンは、摺動部における油膜保持性(張り付き性)をより付与しやすくする観点から、100℃における動粘度が2,000mm2/s~4,000mm2/sであることが好ましく、2,000mm2/s~3,500mm2/sであることがより好ましい。
なお、ポリオレフィンの中でも、摺動部における油膜保持性(張り付き性)をさらに付与しやすくする観点から、ポリブテンが好ましい。
また、ポリオレフィンは、摺動部における油膜保持性(張り付き性)をより付与しやすくする観点から、100℃における動粘度が2,000mm2/s~4,000mm2/sであることが好ましく、2,000mm2/s~3,500mm2/sであることがより好ましい。
なお、ポリオレフィンの中でも、摺動部における油膜保持性(張り付き性)をさらに付与しやすくする観点から、ポリブテンが好ましい。
また、基油(A)は、40℃における動粘度(以下、「40℃動粘度」ともいう)が、好ましくは10mm2/s~220mm2/sである。
基油(A)の40℃動粘度が220mm2/s以下であると、潤滑油組成物の中すべり速度及び高すべり速度での摺動特性を向上させやすい。
また、基油(A)の40℃動粘度が10mm2/s以上であると、潤滑油組成物の低すべり速度での摩擦係数をより低減させやすい。
上記観点から、基油(A)の40℃動粘度は、より好ましくは15mm2/s以上、更に好ましくは20mm2/s以上、より更に好ましくは25mm2/s以上、であり、そして、より好ましくは150mm2/s以下、更に好ましくは90mm2/s以下、より更に好ましくは75mm2/s以下である。
これらの数値範囲の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。具体的には、より好ましくは15mm2/s~150mm2/s、更に好ましくは20mm2/s~90mm2/s、より更に好ましくは25mm2/s~75mm2/sである。
本明細書において、基油(A)の40℃動粘度は、JIS K2283:2000に準拠して測定される値を意味する。
なお、基油(A)が2種以上の基油を含有する混合基油である場合、当該混合基油の40℃動粘度が上記範囲内であることが好ましい。
基油(A)の40℃動粘度が220mm2/s以下であると、潤滑油組成物の中すべり速度及び高すべり速度での摺動特性を向上させやすい。
また、基油(A)の40℃動粘度が10mm2/s以上であると、潤滑油組成物の低すべり速度での摩擦係数をより低減させやすい。
上記観点から、基油(A)の40℃動粘度は、より好ましくは15mm2/s以上、更に好ましくは20mm2/s以上、より更に好ましくは25mm2/s以上、であり、そして、より好ましくは150mm2/s以下、更に好ましくは90mm2/s以下、より更に好ましくは75mm2/s以下である。
これらの数値範囲の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。具体的には、より好ましくは15mm2/s~150mm2/s、更に好ましくは20mm2/s~90mm2/s、より更に好ましくは25mm2/s~75mm2/sである。
本明細書において、基油(A)の40℃動粘度は、JIS K2283:2000に準拠して測定される値を意味する。
なお、基油(A)が2種以上の基油を含有する混合基油である場合、当該混合基油の40℃動粘度が上記範囲内であることが好ましい。
本実施形態において、潤滑油組成物中の基油(A)の含有量は、潤滑油組成物の全量基準で、好ましくは70.0質量%以上、より好ましくは80.0質量%以上、更に好ましくは90.0質量%以上である。また、好ましくは99.0質量%以下、より好ましくは98.5質量%以下、更に好ましくは98.0質量%以下である。
これらの数値範囲の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。具体的には、好ましくは70.0質量%~99.0質量%、より好ましくは80.0質量%~98.5質量%、更に好ましくは90.0質量%~98.0質量%である。
これらの数値範囲の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。具体的には、好ましくは70.0質量%~99.0質量%、より好ましくは80.0質量%~98.5質量%、更に好ましくは90.0質量%~98.0質量%である。
<アミン化合物(B)>
本実施形態の潤滑油組成物は、アミン化合物(B)を含有する。
アミン化合物(B)は、第1級アミン(B1)及び第2級アミン(B2)からなる群から選択される1種以上である。
第1級アミン(B1)は、炭素数が12以上である。
第2級アミン(B2)は、少なくとも一つの環状構造基を有する。
本実施形態の潤滑油組成物は、アミン化合物(B)を含有する。
アミン化合物(B)は、第1級アミン(B1)及び第2級アミン(B2)からなる群から選択される1種以上である。
第1級アミン(B1)は、炭素数が12以上である。
第2級アミン(B2)は、少なくとも一つの環状構造基を有する。
本実施形態において、第1級アミン(B1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。第2級アミン(B2)も、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、1種以上の第1級アミン(B1)と1種以上の第2級アミン(B2)とを組み合わせて用いてもよい。
以下、第1級アミン(B1)及び第2級アミン(B2)について、詳細に説明する。
(第1級アミン(B1))
第1級アミン(B1)は、炭素数が12以上である。
第1級アミン(B1)の炭素数が12未満である場合、第1級アミン(B1)が揮発しやすくなり、潤滑油組成物中に長期に亘ってとどめおくことができず、微生物の繁殖の抑制効果が低減してしまう。
第1級アミン(B1)は、炭素数が12以上である。
第1級アミン(B1)の炭素数が12未満である場合、第1級アミン(B1)が揮発しやすくなり、潤滑油組成物中に長期に亘ってとどめおくことができず、微生物の繁殖の抑制効果が低減してしまう。
第1級アミン(B1)が有する窒素原子に結合する炭化水素基は、炭素数が12以上の炭化水素基であれば特に制限されない。炭素数が12以上の炭化水素基を例示すると、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アルキルシクロアルキルアルキル基、シクロアルケニル基、アルキルシクロアルケニル基、シクロアルケニルアルキル基、アルキルシクロアルケニルアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、アルキルアリールアルキル基等が挙げられる。
なお、アルキル基及びアルケニル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
なお、アルキル基及びアルケニル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
ここで、第1級アミン(B1)が有する窒素原子に結合する炭化水素基の炭素数は、第1級アミン(B1)の揮発をより抑えやすくする観点から、好ましくは14以上、より好ましくは16以上である。また、微生物の繁殖抑制効果を向上させやすくする観点から、好ましくは28以下、より好ましくは24以下である。
(第2級アミン(B2))
第2級アミン(B2)は、少なくとも一つの環状構造基を有する。
第2級アミン(B2)が環状構造基を有しない場合、第2級アミン(B2)による微生物の活性の低減効果が不十分となり、微生物の繁殖を抑制することが困難である。
第2級アミン(B2)は、少なくとも一つの環状構造基を有する。
第2級アミン(B2)が環状構造基を有しない場合、第2級アミン(B2)による微生物の活性の低減効果が不十分となり、微生物の繁殖を抑制することが困難である。
第2級アミン(B2)は、少なくとも一つの環状構造基を有していれば、その構造は特に制限されない。
具体的には、第2級アミン(B2)は、環状構造基と環状構造を有しない基とを有し、環状構造基と環状構造を有しない基とが、それぞれ窒素原子に結合していてもよい。又は、第2級アミン(B2)は、各々独立した2つの環状構造基を有し、該2つの環状構造基がそれぞれ窒素原子に結合していてもよい。
第2級アミン(B2)が有する環状構造基としては、例えば、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アルキルシクロアルキルアルキル基、シクロアルケニル基、アルキルシクロアルケニル基、シクロアルケニルアルキル基、アルキルシクロアルケニルアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、アルキルアリールアルキル基等の環状炭化水素基が挙げられる。
第2級アミン(B2)が有していてもよい、環状構造を有しない基としては、アルキル基、アルケニル基等の鎖状脂肪族炭化水素基が挙げられる。当該鎖状脂肪族炭化水素基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
具体的には、第2級アミン(B2)は、環状構造基と環状構造を有しない基とを有し、環状構造基と環状構造を有しない基とが、それぞれ窒素原子に結合していてもよい。又は、第2級アミン(B2)は、各々独立した2つの環状構造基を有し、該2つの環状構造基がそれぞれ窒素原子に結合していてもよい。
第2級アミン(B2)が有する環状構造基としては、例えば、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アルキルシクロアルキルアルキル基、シクロアルケニル基、アルキルシクロアルケニル基、シクロアルケニルアルキル基、アルキルシクロアルケニルアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、アルキルアリールアルキル基等の環状炭化水素基が挙げられる。
第2級アミン(B2)が有していてもよい、環状構造を有しない基としては、アルキル基、アルケニル基等の鎖状脂肪族炭化水素基が挙げられる。当該鎖状脂肪族炭化水素基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
なお、第2級アミン(B2)の炭素数は、第2級アミン(B2)の揮発をより抑えやすくする観点から、好ましくは10以上、より好ましくは12以上である。また、微生物の繁殖抑制効果を向上させやすくする観点から、好ましくは30以下、より好ましくは28以下である。
ここで、第2級アミン(B2)による微生物の繁殖抑制効果をより向上させやすくする観点から、第2級アミン(B2)が有する窒素原子には、各々独立した2つの環状構造基(環状炭化水素基)がそれぞれ結合していることが好ましい。
具体的には、第2級アミン(B2)は、下記一般式(b2)で表される化合物であることが好ましい。
具体的には、第2級アミン(B2)は、下記一般式(b2)で表される化合物であることが好ましい。
上記一般式(b2)中、R1及びR2は、各々独立に、環形成炭素数が5~10である置換又は無置換の1価の環状炭化水素基である。
環形成炭素数が5~10である1価の環状炭化水素基を例示すると、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、及びデカヒドロナフチル基等のシクロアルキル基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロペンテニル基、シクロオクテニル基、シクロノネニル基、シクロデセニル基、及びデカヒドロナフテニル基等のシクロヘキシル基;フェニル基及びナフチル基等のアリール基が挙げられる。
これらの中でも、第2級アミン(B2)による微生物の繁殖抑制効果を更に向上させやすくする観点から、シクロアルキル基が好ましい。
また、R1及びR2として選択し得る1価の環状炭化水素基は、同一であってもよく、異なっていてもよいが、第2級アミン(B2)による微生物の活性の低減効果を更に向上させやすくする観点から、同一であることが好ましく、R1及びR2の双方が、シクロアルキル基であることがより好ましい。
これらの中でも、第2級アミン(B2)による微生物の繁殖抑制効果を更に向上させやすくする観点から、シクロアルキル基が好ましい。
また、R1及びR2として選択し得る1価の環状炭化水素基は、同一であってもよく、異なっていてもよいが、第2級アミン(B2)による微生物の活性の低減効果を更に向上させやすくする観点から、同一であることが好ましく、R1及びR2の双方が、シクロアルキル基であることがより好ましい。
また、1価の環状炭化水素基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。
置換基を有する場合、当該置換基としては、例えば炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のアルケニル基が挙げられる。当該アルキル基及び当該アルケニル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。なお、1価の環状炭化水素基が置換基を有する場合、当該置換基の数は1つであってもよく、2つ以上であってもよい。1価の環状炭化水素基が2つ以上の置換基を有する場合、2以上の置換基は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
置換基を有する場合、当該置換基としては、例えば炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のアルケニル基が挙げられる。当該アルキル基及び当該アルケニル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。なお、1価の環状炭化水素基が置換基を有する場合、当該置換基の数は1つであってもよく、2つ以上であってもよい。1価の環状炭化水素基が2つ以上の置換基を有する場合、2以上の置換基は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記一般式(b2)中、L1及びL2は、各々独立に、単結合又は炭素数1~4のアルキレン基である。
ここでいう「単結合」とは、上記一般式(b2)中、窒素原子とR1が直接結合していること、窒素原子とR2が直接結合していることを意味する。
なお、第2級アミン(B2)による微生物の繁殖抑制効果を更に向上させやすくする観点から、L1及びL2は、各々独立に、単結合又は炭素数1~2のアルキレン基であることが好ましく、単結合又は炭素数1のアルキレン基であることがより好ましく、単結合であることが更に好ましい。
また、L1及びL2として選択し得る基は、同一であってもよく、異なっていてもよいが、第2級アミン(B2)による微生物の繁殖抑制効果を更に向上させやすくする観点から、同一であることが好ましく、L1及びL2の双方が、単結合であることがより好ましい。
ここでいう「単結合」とは、上記一般式(b2)中、窒素原子とR1が直接結合していること、窒素原子とR2が直接結合していることを意味する。
なお、第2級アミン(B2)による微生物の繁殖抑制効果を更に向上させやすくする観点から、L1及びL2は、各々独立に、単結合又は炭素数1~2のアルキレン基であることが好ましく、単結合又は炭素数1のアルキレン基であることがより好ましく、単結合であることが更に好ましい。
また、L1及びL2として選択し得る基は、同一であってもよく、異なっていてもよいが、第2級アミン(B2)による微生物の繁殖抑制効果を更に向上させやすくする観点から、同一であることが好ましく、L1及びL2の双方が、単結合であることがより好ましい。
上記一般式(b2x)中、R11及びR12は、各々独立に、炭素数1~4のアルキル基又はアルケニル基である。
mは、0~5の整数である。なお、mが2~5である場合、複数存在するR11は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
nは、0~5の整数である。なお、nが2~5である場合、複数存在するR12は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
mは、0~5の整数である。なお、mが2~5である場合、複数存在するR11は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
nは、0~5の整数である。なお、nが2~5である場合、複数存在するR12は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
R11及びR12として選択し得るアルキル基及びアルケニル基の炭素数は、好ましくは1~3、より好ましくは1~2、更に好ましくは1である。
また、mの値は、好ましくは0~3、より好ましくは0~2、更に好ましくは0~1、より更に好ましくは0である。
また、nの値は、好ましくは0~3、より好ましくは0~2、更に好ましくは0~1、より更に好ましくは0である。
<アミン化合物(B)の含有量>
本実施形態の潤滑油組成物において、アミン化合物(B)の含有量は、潤滑油組成物の全量基準で、好ましくは0.1質量%以上5.0質量%未満である。
アミン化合物(B)の含有量が、0.1質量%以上であると、微生物の繁殖抑制効果を発揮させやすい。
また、アミン化合物(B)の含有量が、5.0質量%以下であれば、アミン化合物(B)の過剰投入による酸化安定性の低下を抑制しやすい。
アミン化合物(B)の含有量は、上記観点から、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、より更に好ましくは0.7質量%以上である。また、より好ましくは4.0質量%以下、更に好ましくは3.0質量%以下、より更に好ましくは2.0質量%以下である。これらの数値範囲の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。具体的には、より好ましくは0.3質量%~4.0質量%、更に好ましくは0.5質量%~3.0質量%、より更に好ましくは0.7質量%~2.0質量%である。
本実施形態の潤滑油組成物において、アミン化合物(B)の含有量は、潤滑油組成物の全量基準で、好ましくは0.1質量%以上5.0質量%未満である。
アミン化合物(B)の含有量が、0.1質量%以上であると、微生物の繁殖抑制効果を発揮させやすい。
また、アミン化合物(B)の含有量が、5.0質量%以下であれば、アミン化合物(B)の過剰投入による酸化安定性の低下を抑制しやすい。
アミン化合物(B)の含有量は、上記観点から、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、より更に好ましくは0.7質量%以上である。また、より好ましくは4.0質量%以下、更に好ましくは3.0質量%以下、より更に好ましくは2.0質量%以下である。これらの数値範囲の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。具体的には、より好ましくは0.3質量%~4.0質量%、更に好ましくは0.5質量%~3.0質量%、より更に好ましくは0.7質量%~2.0質量%である。
<アミン化合物(B)の物性値>
(揮発量)
アミン化合物(B)は、後述する実施例に記載の方法で測定した揮発量(60℃×1時間)が、好ましくは10%以下、より好ましくは7%以下、更に好ましくは5%以下である。
(揮発量)
アミン化合物(B)は、後述する実施例に記載の方法で測定した揮発量(60℃×1時間)が、好ましくは10%以下、より好ましくは7%以下、更に好ましくは5%以下である。
<基油(A)及びアミン化合物(B)以外の他の成分>
本実施形態の潤滑油組成物は、本発明の効果を大きく損なうことのない範囲で、基油(A)及びアミン化合物(B)以外の他の成分を含有していてもよく、含有していなくてもよい。
当該他の成分としては、例えば、油性剤、酸化防止剤、防錆剤、金属不活性化剤、腐食防止剤、極圧剤、消泡剤、抗乳化剤、及び流動点降下剤等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の潤滑油組成物において、他の成分の合計含有量は、潤滑油組成物の全量基準で、好ましくは0質量%~15質量%、より好ましくは0.1質量%~10質量%、更に好ましくは0.5質量%~5質量%である。
本実施形態の潤滑油組成物は、本発明の効果を大きく損なうことのない範囲で、基油(A)及びアミン化合物(B)以外の他の成分を含有していてもよく、含有していなくてもよい。
当該他の成分としては、例えば、油性剤、酸化防止剤、防錆剤、金属不活性化剤、腐食防止剤、極圧剤、消泡剤、抗乳化剤、及び流動点降下剤等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の潤滑油組成物において、他の成分の合計含有量は、潤滑油組成物の全量基準で、好ましくは0質量%~15質量%、より好ましくは0.1質量%~10質量%、更に好ましくは0.5質量%~5質量%である。
(油性剤)
油性剤としては、例えば、ステアリン酸及びオレイン酸等の脂肪族飽和モノカルボン酸及び脂肪族不飽和モノカルボン酸;ダイマー酸及び水添ダイマー酸等の重合脂肪酸;リシノレイン酸及び12-ヒドロキシステアリン酸等のヒドロキシ脂肪酸;ラウリルアルコール及びオレイルアルコール等の脂肪族飽和及び不飽和モノアルコール;ラウリン酸アミド及びオレイン酸アミド等の脂肪族飽和モノカルボン酸アミド及び脂肪族不飽和モノカルボン酸アミド;グリセリン及びソルビトール等の多価アルコールと脂肪族飽和モノカルボン酸又は脂肪族不飽和モノカルボン酸との部分エステル等が挙げられる。
油性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
油性剤の含有量は、潤滑油組成物の全量基準で、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上である。また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
油性剤としては、例えば、ステアリン酸及びオレイン酸等の脂肪族飽和モノカルボン酸及び脂肪族不飽和モノカルボン酸;ダイマー酸及び水添ダイマー酸等の重合脂肪酸;リシノレイン酸及び12-ヒドロキシステアリン酸等のヒドロキシ脂肪酸;ラウリルアルコール及びオレイルアルコール等の脂肪族飽和及び不飽和モノアルコール;ラウリン酸アミド及びオレイン酸アミド等の脂肪族飽和モノカルボン酸アミド及び脂肪族不飽和モノカルボン酸アミド;グリセリン及びソルビトール等の多価アルコールと脂肪族飽和モノカルボン酸又は脂肪族不飽和モノカルボン酸との部分エステル等が挙げられる。
油性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
油性剤の含有量は、潤滑油組成物の全量基準で、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上である。また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
(酸化防止剤)
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。
酸化防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸化防止剤の含有量は、潤滑油組成物の全量基準で、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上である。また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。
酸化防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸化防止剤の含有量は、潤滑油組成物の全量基準で、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上である。また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。
(金属不活性化剤)
金属不活性化剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンズイミダゾール系、ベンゾチアゾール系、チアジアゾール系、及びジメルカプトチアゾール系等を挙げることができる。
金属不活性化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
金属不活性化剤の含有量は、潤滑油組成物の全量基準で、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上である。また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。
金属不活性化剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンズイミダゾール系、ベンゾチアゾール系、チアジアゾール系、及びジメルカプトチアゾール系等を挙げることができる。
金属不活性化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
金属不活性化剤の含有量は、潤滑油組成物の全量基準で、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上である。また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。
(腐食防止剤)
腐食防止剤としては、例えば、アルカノールアミン、アミド、及びカルボン酸等が挙げられる。
腐食防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
腐食防止剤の含有量は、潤滑油組成物の全量基準で、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上である。また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。
腐食防止剤としては、例えば、アルカノールアミン、アミド、及びカルボン酸等が挙げられる。
腐食防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
腐食防止剤の含有量は、潤滑油組成物の全量基準で、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上である。また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。
(極圧剤)
極圧剤としては、例えば、リン酸エステル、酸性リン酸エステル、亜リン酸エステル、及び酸性亜リン酸エステル並びにこれらのアミン塩等のリン系極圧剤を挙げることができ、例えば、トリチオフェニルホスフェート等が挙げられる。
また、他の極圧剤としては、カルボン酸の金属塩が挙げられる。ここでいうカルボン酸の金属塩は、好ましくは炭素数3以上60以下のカルボン酸、より好ましくは炭素数3以上30以下の脂肪酸の金属塩、更に好ましくは炭素数12以上30以下の脂肪酸の金属塩である。また、前記脂肪酸のダイマー酸、トリマー酸及び炭素数3以上30以下のジカルボン酸の金属塩を挙げることができる。カルボン酸の金属塩としては、これらのうち炭素数12以上30以下の脂肪酸及び炭素数3以上30以下のジカルボン酸の金属塩が好ましい。該金属塩を構成する金属としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属が好ましく、アルカリ金属がより好ましい。
更に、前記以外の極圧剤として、例えば、ジヒドロカルビルポリサルファイド、チオカーバメート類、チオテルペン類、及びジアルキルチオジプロピオネート類等の硫黄系極圧剤を挙げることができる。
極圧剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
極圧剤の含有量は、潤滑油組成物の全量基準で、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上である。また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
極圧剤としては、例えば、リン酸エステル、酸性リン酸エステル、亜リン酸エステル、及び酸性亜リン酸エステル並びにこれらのアミン塩等のリン系極圧剤を挙げることができ、例えば、トリチオフェニルホスフェート等が挙げられる。
また、他の極圧剤としては、カルボン酸の金属塩が挙げられる。ここでいうカルボン酸の金属塩は、好ましくは炭素数3以上60以下のカルボン酸、より好ましくは炭素数3以上30以下の脂肪酸の金属塩、更に好ましくは炭素数12以上30以下の脂肪酸の金属塩である。また、前記脂肪酸のダイマー酸、トリマー酸及び炭素数3以上30以下のジカルボン酸の金属塩を挙げることができる。カルボン酸の金属塩としては、これらのうち炭素数12以上30以下の脂肪酸及び炭素数3以上30以下のジカルボン酸の金属塩が好ましい。該金属塩を構成する金属としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属が好ましく、アルカリ金属がより好ましい。
更に、前記以外の極圧剤として、例えば、ジヒドロカルビルポリサルファイド、チオカーバメート類、チオテルペン類、及びジアルキルチオジプロピオネート類等の硫黄系極圧剤を挙げることができる。
極圧剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
極圧剤の含有量は、潤滑油組成物の全量基準で、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上である。また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
(消泡剤)
消泡剤としては、例えば、シリコーン油等のシリコーン系消泡剤、フルオロシリコーン油等のフッ素化シリコーン系消泡剤、及びポリアクリレート等が挙げられる。
消泡剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
消泡剤の含有量は、潤滑油組成物の全量基準で、好ましくは0.0001質量%以上、より好ましくは0.0005質量%以上である。また、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下である。
消泡剤としては、例えば、シリコーン油等のシリコーン系消泡剤、フルオロシリコーン油等のフッ素化シリコーン系消泡剤、及びポリアクリレート等が挙げられる。
消泡剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
消泡剤の含有量は、潤滑油組成物の全量基準で、好ましくは0.0001質量%以上、より好ましくは0.0005質量%以上である。また、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下である。
(抗乳化剤)
抗乳化剤としては、例えば、ポリアルキレングリコール及びその誘導体;アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤等の界面活性剤;等が挙げられる。
抗乳化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
抗乳化剤の含有量は、潤滑油組成物の全量基準で、例えば0.001質量%以上0.5質量%以下である。
但し、本実施形態の潤滑油組成物は、水溶性切削油中に潤滑油組成物を保持して微生物の繁殖を抑制することから、水溶性切削油との分離性を向上させずともよい。したがって、抗乳化剤の含有量は少なくてもよく、好ましくは0.001質量%未満、より好ましくは0.0001質量%未満である。
抗乳化剤としては、例えば、ポリアルキレングリコール及びその誘導体;アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤等の界面活性剤;等が挙げられる。
抗乳化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
抗乳化剤の含有量は、潤滑油組成物の全量基準で、例えば0.001質量%以上0.5質量%以下である。
但し、本実施形態の潤滑油組成物は、水溶性切削油中に潤滑油組成物を保持して微生物の繁殖を抑制することから、水溶性切削油との分離性を向上させずともよい。したがって、抗乳化剤の含有量は少なくてもよく、好ましくは0.001質量%未満、より好ましくは0.0001質量%未満である。
(流動点降下剤)
流動点降下剤としては、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体、塩素化パラフィンとナフタレンとの縮合物、塩素化パラフィンとフェノールとの縮合物、ポリメタクリレート系(PMA系;ポリアルキル(メタ)アクリレート等)、ポリビニルアセテート、ポリアルキルスチレン等が挙げられる。
流動点降下剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
流動点降下剤の含有量は、潤滑油組成物の全量基準で、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上である。また、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。
流動点降下剤としては、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体、塩素化パラフィンとナフタレンとの縮合物、塩素化パラフィンとフェノールとの縮合物、ポリメタクリレート系(PMA系;ポリアルキル(メタ)アクリレート等)、ポリビニルアセテート、ポリアルキルスチレン等が挙げられる。
流動点降下剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
流動点降下剤の含有量は、潤滑油組成物の全量基準で、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上である。また、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。
[潤滑油組成物の製造方法]
本実施形態の潤滑油組成物の製造方法は、特に制限されない。
例えば、本実施形態の潤滑油組成物の製造方法は、基油(A)と、第1級アミン(B1)及び第2級アミン(B2)からなる群から選択される1種以上のアミン化合物(B)とを混合する工程を含み、前記第1級アミン(B1)は、炭素数が12以上であり、前記第2級アミン(B2)は、少なくとも一つの環状構造基を有する、潤滑油組成物の製造方法である。
上記各成分を混合する方法としては、特に制限はないが、例えば、基油(A)に、アミン化合物(B)を配合する工程を有する方法が挙げられる。基油(A)及びアミン化合物(B)以外の他の成分を配合する場合、当該他の成分は、アミン化合物(B)と同時に配合してもよいし、別々に配合してもよい。また、各成分は、希釈油等を加えて溶液(分散体)の形態とした上で配合してもよい。各成分を配合した後、公知の方法により、撹拌して均一に分散させることが好ましい。
本実施形態の潤滑油組成物の製造方法は、特に制限されない。
例えば、本実施形態の潤滑油組成物の製造方法は、基油(A)と、第1級アミン(B1)及び第2級アミン(B2)からなる群から選択される1種以上のアミン化合物(B)とを混合する工程を含み、前記第1級アミン(B1)は、炭素数が12以上であり、前記第2級アミン(B2)は、少なくとも一つの環状構造基を有する、潤滑油組成物の製造方法である。
上記各成分を混合する方法としては、特に制限はないが、例えば、基油(A)に、アミン化合物(B)を配合する工程を有する方法が挙げられる。基油(A)及びアミン化合物(B)以外の他の成分を配合する場合、当該他の成分は、アミン化合物(B)と同時に配合してもよいし、別々に配合してもよい。また、各成分は、希釈油等を加えて溶液(分散体)の形態とした上で配合してもよい。各成分を配合した後、公知の方法により、撹拌して均一に分散させることが好ましい。
[潤滑油組成物の用途]
本実施形態の潤滑油組成物は、切削油タンク内で微生物の繁殖を抑制することができる。
したがって、本発明によれば、下記使用方法が提供される。
・本実施形態の潤滑油組成物を、水溶性切削油中の微生物の繁殖抑制のために使用する、使用方法。
また、本発明によれば、下記方法が提供される。
・本実施形態の潤滑油組成物を、水溶性切削油に混入させた後、前記摺動面用潤滑油組成物を除去することなく、前記水溶性切削油中に保持する工程を含む、水溶性切削油中の微生物の繁殖抑制方法。
本実施形態の潤滑油組成物は、切削油タンク内で微生物の繁殖を抑制することができる。
したがって、本発明によれば、下記使用方法が提供される。
・本実施形態の潤滑油組成物を、水溶性切削油中の微生物の繁殖抑制のために使用する、使用方法。
また、本発明によれば、下記方法が提供される。
・本実施形態の潤滑油組成物を、水溶性切削油に混入させた後、前記摺動面用潤滑油組成物を除去することなく、前記水溶性切削油中に保持する工程を含む、水溶性切削油中の微生物の繁殖抑制方法。
[工作機械]
本実施形態の潤滑油組成物は、工作機械用の摺動面用潤滑油組成物として好適に用いることができる。
本実施形態の潤滑油組成物を用いる工作機械としては、例えば、NC(Numerical Control Machine)工作機械、マシニングセンター、研削盤、CNC(Computerized Numerical Control)、複合加工機等が挙げられる。
本実施形態の潤滑油組成物は、切削油タンク内で微生物の繁殖を抑制することができる。したがって、切削タンク内において水溶性切削油から本実施形態の潤滑油組成物をオイルスキマー等の装置で分離する必要がない。
したがって、本実施形態の潤滑油組成物によれば、当該潤滑油組成物を摺動面に給油する機構を有する工作機械が提供される。そして、当該工作機械としては、NC(Numerical Control Machine)工作機械、マシニングセンター、研削盤、CNC(Computerized Nume)、複合加工機等が挙げられる。そして、当該潤滑油組成物を摺動面に給油する機構を有する工作機械を含むシステムには、オイルスキマー等の油分離装置が備えられていなくてもよい。
本実施形態の潤滑油組成物は、工作機械用の摺動面用潤滑油組成物として好適に用いることができる。
本実施形態の潤滑油組成物を用いる工作機械としては、例えば、NC(Numerical Control Machine)工作機械、マシニングセンター、研削盤、CNC(Computerized Numerical Control)、複合加工機等が挙げられる。
本実施形態の潤滑油組成物は、切削油タンク内で微生物の繁殖を抑制することができる。したがって、切削タンク内において水溶性切削油から本実施形態の潤滑油組成物をオイルスキマー等の装置で分離する必要がない。
したがって、本実施形態の潤滑油組成物によれば、当該潤滑油組成物を摺動面に給油する機構を有する工作機械が提供される。そして、当該工作機械としては、NC(Numerical Control Machine)工作機械、マシニングセンター、研削盤、CNC(Computerized Nume)、複合加工機等が挙げられる。そして、当該潤滑油組成物を摺動面に給油する機構を有する工作機械を含むシステムには、オイルスキマー等の油分離装置が備えられていなくてもよい。
[提供される本発明の一態様]
本発明の一態様によれば、下記[1]~[5]が提供される。
[1] 基油(A)と、第1級アミン(B1)及び第2級アミン(B2)からなる群から選択される1種以上のアミン化合物(B)とを含有し、
前記第1級アミン(B1)は、炭素数が12以上であり、
前記第2級アミン(B2)は、少なくとも一つの環状構造基を有する、摺動面用潤滑油組成物。
[2] 前記第2級アミン(B2)は、各々独立した2つの環状構造基を有し、該2つの環状構造基がそれぞれ窒素原子に結合している、上記[1]に記載の摺動面用潤滑油組成物。
[3] 前記アミン化合物(B)の含有量が、前記摺動面用潤滑油組成物の全量基準で、0.1質量%以上5.0質量%以下である、上記[1]又は[2]に記載の摺動面用潤滑油組成物。
[4] 上記[1]~[3]のいずれかに記載の摺動面用潤滑油組成物を、水溶性切削油中の微生物の繁殖抑制のために使用する、使用方法。
[5] 上記[1]~[3]のいずれかに記載の摺動面用潤滑油組成物を水溶性切削油に混入させた後、前記摺動面用潤滑油組成物を除去することなく、前記水溶性切削油中に保持する工程を含む、水溶性切削油中の微生物の繁殖抑制方法。
本発明の一態様によれば、下記[1]~[5]が提供される。
[1] 基油(A)と、第1級アミン(B1)及び第2級アミン(B2)からなる群から選択される1種以上のアミン化合物(B)とを含有し、
前記第1級アミン(B1)は、炭素数が12以上であり、
前記第2級アミン(B2)は、少なくとも一つの環状構造基を有する、摺動面用潤滑油組成物。
[2] 前記第2級アミン(B2)は、各々独立した2つの環状構造基を有し、該2つの環状構造基がそれぞれ窒素原子に結合している、上記[1]に記載の摺動面用潤滑油組成物。
[3] 前記アミン化合物(B)の含有量が、前記摺動面用潤滑油組成物の全量基準で、0.1質量%以上5.0質量%以下である、上記[1]又は[2]に記載の摺動面用潤滑油組成物。
[4] 上記[1]~[3]のいずれかに記載の摺動面用潤滑油組成物を、水溶性切削油中の微生物の繁殖抑制のために使用する、使用方法。
[5] 上記[1]~[3]のいずれかに記載の摺動面用潤滑油組成物を水溶性切削油に混入させた後、前記摺動面用潤滑油組成物を除去することなく、前記水溶性切削油中に保持する工程を含む、水溶性切削油中の微生物の繁殖抑制方法。
本発明について、以下の実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1及び比較例1~6]
実施例1及び比較例1~6の摺動面用潤滑油組成物の調製に用いた原料を以下に示す。
実施例1及び比較例1~6の摺動面用潤滑油組成物の調製に用いた原料を以下に示す。
<基油(A)>
・「鉱油1」:APIカテゴリーでグループIに分類される鉱油(40℃動粘度:29mm2/s)
・「鉱油2」:APIカテゴリーでグループIに分類される鉱油(40℃動粘度:97mm2/s)
・「合成油」:ポリブテン(100℃動粘度:2850mm2/s)
・「鉱油1」:APIカテゴリーでグループIに分類される鉱油(40℃動粘度:29mm2/s)
・「鉱油2」:APIカテゴリーでグループIに分類される鉱油(40℃動粘度:97mm2/s)
・「合成油」:ポリブテン(100℃動粘度:2850mm2/s)
<アミン化合物(B)>
・「ジシクロヘキシルアミン」:少なくとも一つの環状構造基を有する第2級アミン(B2)に該当し、上記一般式(b2x)中、n=0、m=0である化合物である。
・「ジシクロヘキシルアミン」:少なくとも一つの環状構造基を有する第2級アミン(B2)に該当し、上記一般式(b2x)中、n=0、m=0である化合物である。
<アミン化合物(B’)>
・「シクロヘキシルアミン」:炭素数12未満の1級アミン(炭素数6、環状構造基あり)
・「n-ヘキシルアミン」:炭素数12未満の1級アミン(炭素数6、環状構造基なし)
・「ジ-n-ヘキシルアミン」:環状構造基を有しない2級アミン(炭素数12)
・「N-メチルジシクロヘキシルアミン」:3級アミン(炭素数13、環状構造基あり)
・「トリヘキシルアミン」:3級アミン(炭素数18、環状構造基なし)
・「シクロヘキシルアミン」:炭素数12未満の1級アミン(炭素数6、環状構造基あり)
・「n-ヘキシルアミン」:炭素数12未満の1級アミン(炭素数6、環状構造基なし)
・「ジ-n-ヘキシルアミン」:環状構造基を有しない2級アミン(炭素数12)
・「N-メチルジシクロヘキシルアミン」:3級アミン(炭素数13、環状構造基あり)
・「トリヘキシルアミン」:3級アミン(炭素数18、環状構造基なし)
<その他添加剤>
・「摺動面油パッケージ添加剤」:アミン系酸化防止剤、硫黄系極圧剤、チオリン酸塩、脂肪酸塩、防錆剤、希釈油
・「摺動面油パッケージ添加剤」:アミン系酸化防止剤、硫黄系極圧剤、チオリン酸塩、脂肪酸塩、防錆剤、希釈油
上記原料を、表1に示す配合量(質量%)で十分に混合し、実施例1及び比較例1~6の摺動面用潤滑油組成物をそれぞれ調製した。
[各種物性の測定又は評価方法]
(1)40℃動粘度
基油の40℃動粘度は、JIS K2283:2000に準拠して測定した。
(1)40℃動粘度
基油の40℃動粘度は、JIS K2283:2000に準拠して測定した。
(2)アミン化合物の揮発量
アミン化合物を120mL容の容器に20g入れて重量を測定した(初期重量)。次いで、当該容器に入れたアミン化合物を60℃に昇温して1時間保持した後、重量を測定した(試験後重量)。
そして、アミン化合物の揮発量(60℃、1時間)を、以下の式(f1)により算出した。
揮発量(単位:%)={(初期重量)-(試験後重量)}×100/(初期重量)・・・(f1)
アミン化合物の揮発量が多い程、アミン化合物は揮発しやすい。逆にアミン化合物の揮発量が少ない程、アミン化合物は揮発し難い。
本実施例では、アミン化合物の揮発量が10%以下であるものを合格と判断した。
アミン化合物を120mL容の容器に20g入れて重量を測定した(初期重量)。次いで、当該容器に入れたアミン化合物を60℃に昇温して1時間保持した後、重量を測定した(試験後重量)。
そして、アミン化合物の揮発量(60℃、1時間)を、以下の式(f1)により算出した。
揮発量(単位:%)={(初期重量)-(試験後重量)}×100/(初期重量)・・・(f1)
アミン化合物の揮発量が多い程、アミン化合物は揮発しやすい。逆にアミン化合物の揮発量が少ない程、アミン化合物は揮発し難い。
本実施例では、アミン化合物の揮発量が10%以下であるものを合格と判断した。
(3)腐敗試験
三角フラスコ内に、30倍希釈したエマルジョン型水溶性切削油100mLと、実施例1及び比較例1~6の摺動面用潤滑油組成物をそれぞれ10mLとを投入した。
次いで、三角フラスコ内に、ASTM D4627で定められたCast Iron Chipsを3gと、下記に示す腐敗液Aを1mL、腐敗液Bを0.2mL添加し、30℃、150rpmの条件で振とう培養を開始した。培養期間中、腐敗液A(1mL)及び腐敗液B(0.2mL)は、7日毎に追加添加した。そして、腐敗液A及び腐敗液Bの7日毎の追加添加の直前に三角フラスコ内の液体の生菌数を測定し、生菌数が107CFU/mLに到達したときを寿命と判断した。
寿命が長いほど、微生物活性を低減する効果が高く、切削タンク内での微生物の繁殖を抑えやすい。逆に、寿命が短いほど、微生物活性を低減する効果が低く、切削タンク内での微生物の繁殖を抑えにくい。
本実施例では、生菌数が107CFU/mLに到達するまでの時間が3週間以上である摺動面用潤滑油組成物を合格とした。
以下に、腐敗液A及びBの詳細及び生菌数の測定方法を示す。
三角フラスコ内に、30倍希釈したエマルジョン型水溶性切削油100mLと、実施例1及び比較例1~6の摺動面用潤滑油組成物をそれぞれ10mLとを投入した。
次いで、三角フラスコ内に、ASTM D4627で定められたCast Iron Chipsを3gと、下記に示す腐敗液Aを1mL、腐敗液Bを0.2mL添加し、30℃、150rpmの条件で振とう培養を開始した。培養期間中、腐敗液A(1mL)及び腐敗液B(0.2mL)は、7日毎に追加添加した。そして、腐敗液A及び腐敗液Bの7日毎の追加添加の直前に三角フラスコ内の液体の生菌数を測定し、生菌数が107CFU/mLに到達したときを寿命と判断した。
寿命が長いほど、微生物活性を低減する効果が高く、切削タンク内での微生物の繁殖を抑えやすい。逆に、寿命が短いほど、微生物活性を低減する効果が低く、切削タンク内での微生物の繁殖を抑えにくい。
本実施例では、生菌数が107CFU/mLに到達するまでの時間が3週間以上である摺動面用潤滑油組成物を合格とした。
以下に、腐敗液A及びBの詳細及び生菌数の測定方法を示す。
(腐敗液A及びBの詳細)
・腐敗液A
腐敗劣化したエマルジョン型水溶性切削液にMerck社製の「Tryptic Soy Broth 105459」を添加し、24時間振とう培養して活性化させたもの。
・腐敗液B
Sigma Aldrich社製の「Potato Dextrose Broth P6685」に酒石酸を添加してpHを3.5に調整した培地に、腐敗劣化したエマルジョン型水溶性切削液を添加し、これを48時間振とう培養して活性化させたもの。
なお、腐敗液A及びBを調製する際の振とう培養の条件は、ASTM D4627で定められたCast Iron Chipsを3g添加した環境下、30℃、150rpmとした。
・腐敗液A
腐敗劣化したエマルジョン型水溶性切削液にMerck社製の「Tryptic Soy Broth 105459」を添加し、24時間振とう培養して活性化させたもの。
・腐敗液B
Sigma Aldrich社製の「Potato Dextrose Broth P6685」に酒石酸を添加してpHを3.5に調整した培地に、腐敗劣化したエマルジョン型水溶性切削液を添加し、これを48時間振とう培養して活性化させたもの。
なお、腐敗液A及びBを調製する際の振とう培養の条件は、ASTM D4627で定められたCast Iron Chipsを3g添加した環境下、30℃、150rpmとした。
(生菌数の測定方法)
1mL中の生菌数を、Aidian社製の「Easicult(登録商標) Combi」の細菌数用のTTC培地を用いて測定し、細菌の生菌数に基づいて寿命を判断した。
なお、Rose Bengal培地を用いて酵母とカビの測定も実施したが、細菌の生菌数に基づく寿命の範囲内では、酵母とカビの増殖は抑制されていることを確認した。
1mL中の生菌数を、Aidian社製の「Easicult(登録商標) Combi」の細菌数用のTTC培地を用いて測定し、細菌の生菌数に基づいて寿命を判断した。
なお、Rose Bengal培地を用いて酵母とカビの測定も実施したが、細菌の生菌数に基づく寿命の範囲内では、酵母とカビの増殖は抑制されていることを確認した。
結果を表1に示す。
なお、表1中、比較例1の摺動面用潤滑油組成物は、アミン化合物を含有していないため、アミン化合物の揮発量の測定は行わなかった。
なお、表1中、比較例1の摺動面用潤滑油組成物は、アミン化合物を含有していないため、アミン化合物の揮発量の測定は行わなかった。
表1より、以下のことがわかる。
実施例1に示す結果から、アミン化合物(B)を含有する摺動面用潤滑油組成物は、微生物の繁殖を抑制する効果に優れ、揮発し難いことがわかる、
これに対し、比較例2及び3の摺動面用潤滑油組成物中に含まれる、炭素数が12未満である第1級アミンは、揮発しやすく、摺動面用潤滑油組成物中に長期に亘ってとどまることができないことがわかる。
また、比較例4のように、環状構造基を有しない第2級アミンを含有する摺動面用潤滑油組成物は、微生物の繁殖を抑制する効果が不十分であることがわかる。
また、比較例5及び6のように、第3級アミンを含有する摺動面用潤滑油組成物も、微生物の繁殖を抑制する効果が不十分であることがわかる。
実施例1に示す結果から、アミン化合物(B)を含有する摺動面用潤滑油組成物は、微生物の繁殖を抑制する効果に優れ、揮発し難いことがわかる、
これに対し、比較例2及び3の摺動面用潤滑油組成物中に含まれる、炭素数が12未満である第1級アミンは、揮発しやすく、摺動面用潤滑油組成物中に長期に亘ってとどまることができないことがわかる。
また、比較例4のように、環状構造基を有しない第2級アミンを含有する摺動面用潤滑油組成物は、微生物の繁殖を抑制する効果が不十分であることがわかる。
また、比較例5及び6のように、第3級アミンを含有する摺動面用潤滑油組成物も、微生物の繁殖を抑制する効果が不十分であることがわかる。
Claims (5)
- 基油(A)と、第1級アミン(B1)及び第2級アミン(B2)からなる群から選択される1種以上のアミン化合物(B)とを含有し、
前記第1級アミン(B1)は、炭素数が12以上であり、
前記第2級アミン(B2)は、少なくとも一つの環状構造基を有する、摺動面用潤滑油組成物。 - 前記第2級アミン(B2)は、各々独立した2つの環状構造基を有し、該2つの環状構造基がそれぞれ窒素原子に結合している、請求項1に記載の摺動面用潤滑油組成物。
- 前記アミン化合物(B)の含有量が、前記摺動面用潤滑油組成物の全量基準で、0.1質量%以上5.0質量%以下である、請求項1又は2に記載の摺動面用潤滑油組成物。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載の摺動面用潤滑油組成物を、水溶性切削油中の微生物の繁殖抑制のために使用する、使用方法。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載の摺動面用潤滑油組成物を水溶性切削油に混入させた後、前記摺動面用潤滑油組成物を除去することなく、前記水溶性切削油中に保持する工程を含む、水溶性切削油中の微生物の繁殖抑制方法。
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