JP2023020144A - ホイップクリーム - Google Patents

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Yoriko Endo
清美 大西
Kiyomi Onishi
明 赤羽
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Abstract

【課題】高いオーバーランおよび良好なボディー感を有するホイップドクリームを提供することである。【解決手段】オーバーランが150%以上であり、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを含有する、ホイップドクリーム。20~100gfの硬度を有する、前記ホイップドクリーム。0.001~1質量%のポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを含有する、ホイップクリーム。20~55質量%の油脂を含有する、前記ホイップドクリーム、または、前記ホイップクリーム。【選択図】なし

Description

本発明は、ホイップクリームおよびホイップクリームが起泡化されたホイップドクリームに関する。
高油分の(油脂の含有量が高い)ホイップクリームは、起泡化してボディー感のあるホイップドクリームを得やすい。しかし、口どけが良くない高油分のホイップドクリームは、ボディー感が逆に、重い食感というマイナス評価になることがある。また、高油分のホイップクリームは、乳化安定性が比較的乏しく(ボテ易く)、オーバーランが入りにくいので、オーバーランの調整による食感の改善および容積あたりのカロリーの低減は難しい。
低油分のホイップクリームは、起泡化しやすくオーバーランが高いホイップドクリームを得やすい。低油分のホイップクリームは、高いオーバーランにより、さらに容積あたりのカロリー低減が図れる。しかし、低油分でオーバーランの高いホイップドクリームは、ボディー感(コシ)が弱く、ふわふわとした食感になりがちである。そのために口どけが良くないと感じられることがある。低油分のホイップクリームは、固体脂含有量の高い油脂を使用することで、起泡化後のボディー感を強める試みがある(例えば、特開平5-219887号公報)。
特開平5-219887号公報
高いオーバーランのホイップドクリームは、容積あたりのカロリー低減が図れるので、生活習慣病の予防の点からも好ましい。しかし、オーバーランが高く、良好なボディー感を有するホイップドクリームを提供することは困難であった。
本発明の課題は、高いオーバーランおよび良好なボディー感を有するホイップドクリームを提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した。その結果、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを含有するホイップドクリームは、オーバーランが高くても、良好なボディー感を有することを見出した。これにより本発明は完成された。すなわち、本発明は以下の態様であり得る。
[1]オーバーランが150%以上であり、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを含有する、ホイップドクリーム。
[2]20~100gfの硬度を有する、[1]のホイップドクリーム。
[3]0.001~1質量%のポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを含有する、ホイップクリーム。
[4]20~55質量%の油脂を含有する、[1]または[2]のホイップドクリーム、または、[3]のホイップクリーム。
[5]0.5質量%以下のレシチンを含有する、[1]、[2]、[4]の何れか1つのホイップドクリーム、または、[3]または[4]のホイップクリーム。
[6]0.002~0.2質量%の増粘多糖類を含有する、[1]、[2]、[4]、[5]の何れか1つのホイップドクリーム、または、[3]~[5]の何れか1つのホイップクリーム。
[7]ラウリン系油脂および/またはパーム系油脂を含有する、[1]、[2]、[4]~[6]の何れか1つのホイップドクリーム、または、[3]~[6]の何れか1つのホイップクリーム。
本発明により、高いオーバーランおよび良好なボディー感を有するホイップドクリームを提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において、A(数値)~B(数値)は、A以上B以下を意味する。なお、以下で例示する好ましい態様やより好ましい態様などは、「好ましい」や「より好ましい」などの表現にかかわらず適宜相互に組み合わせて使用することができる。また、数値範囲の記載は例示であって、「好ましい」や「より好ましい」などの表現にかかわらず各範囲の上限と下限並びに実施例の数値とを適宜組み合わせた範囲も好ましく使用することができる。
本発明において、クリームは、生クリーム、および生クリームに準じて使用される油脂組成物、例えば植物性クリーム、コンパウンドクリームなどの総称である。すなわち、本発明において、クリームは、生クリームおよびその代替油脂組成物を示す用語であり、いずれも乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和26年12月27日厚生省令第52号)において定義されるクリームに限定されるものではなく、乳主原表示の全乳脂クリーム、植物性クリーム、コンパウンドクリームなどを包含する。
本発明において、ホイップクリーム(起泡性乳化物)は、ホイップ(起泡化、含気泡化)できるクリームである。本発明において、ホイップドクリームは、ホイップされた(含気泡状態にある)クリームである。本発明のホイップクリームは、水を最外相とする、水中油型(O/W型)または水中油中水型(W/O/W型)であり得る。しかし、水中油中水型(W/O/W型)を形成するには比較的多量のポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(以下、PGPRと表すことがある)が必要とされるので、PGPRの異味が感じられる可能性がある。そのため、本発明のホイップクリームは、好ましくは起泡性水中油型乳化物である。
本発明のホイップドクリームは、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(以下、PGPRと表記することがある)を含有する。ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの製造方法は公知であり、例えば、主にヒマシ油から得られるリシノレイン酸とポリグリセリンとのエステル化反応により得られる。ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルのポリグリセリン部分は、重合したグリセリンの数(重合度)が異なる複数のポリグリセリンの混合物であり、平均重合度で表記され得る。ポリグリセリンの平均重合度は、例えば、混合物の水酸基価から算出できる。本発明のホイップドクリームに含まれるポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルのポリグリセリン部分の平均重合度は、好ましくは2~10程度であり、より好ましくは2~8程度であり、さらに好ましくは3~6程度である。
本発明の一態様によれば、ホイップドクリームに含まれるポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルは、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、阪本薬品工業株式会社製のSYグリスターCR-310、CR-500、CR-ED、CRS-75など、太陽化学株式会社製のサンソフトNo.818DG、818R、818SK、818Hなど、理研ビタミン株式会社製のポエムPR-300など、が適宜使用できる。ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルは、2種以上を併用してもよい。
本発明の一態様によれば、ホイップドクリームに含まれるポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの含有量は、好ましくは0.001~1質量%であり、より好ましくは0.01~0.5質量%であり、さらに好ましくは0.015~0.24質量%であり、よりさらに好ましくは0.025~0.2質量%であり、なおさらに好ましくは0.04~0.12質量%であり、ことさらに好ましくは0.05~0.12質量%であり、最も好ましくは0.055~0.09質量%である。ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの含有量が上記範囲程度であると、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの異味はほとんど感じられない。そして、ホイップドクリームは、オーバーランが高くても、良好なボディー感を有する。
本発明のホイップドクリームは、150%以上のオーバーランを有する。ホイップドクリームのオーバーランは、好ましくは170~250%であり、より好ましくは180~240%であり、さらに好ましくは190~230%であり、ことさらに好ましくは200~220%である。ホイップドクリームのオーバーランは、ホイップクリームの増加体積の割合(%)であり、以下の数式(1)で表される。オーバーランの値が大きいほど、起泡化の度合いが大きい。オーバーランの測定は、好ましくは約5~約10℃(より好ましくは約7℃)の品温を有するホイップクリームを用いて、約20℃の環境下で行われてもよい。ホイップ終了後の温度は、約11~約16℃であり得る。
・オーバーラン(%)=[(定容積のホイップ前のクリーム質量-定容積のホイップ後のクリーム質量)/(定容積のホイップ後のクリーム質量)]×100 (1)
本発明の一態様によれば、ホイップドクリームは、好ましくは20~100gfの硬度を有する。ホイップドクリームの硬度は、より好ましくは30~80gfであり、さらに好ましくは35~70gfである。ホイップドクリームの硬度(単位gf)は、例えば、レオメーター(CREEP METER RE2-33005C(株式会社山電製))を用いて、オーバーラン測定のためにカップ詰めされたホイップドクリーム(品温約12℃)を、進入速度60mm/分、進入距離(深度)35mm、プランジャーφ20mm円盤、の条件で測定できる。良好なボディー感を有するホイップドクリームは、上記範囲程度の硬度が目安となる。
本発明の一態様によれば、ホイップドクリームは、好ましくは20~55質量%の油脂を含有する。ホイップドクリームに含有される油脂は、より好ましくは30~48質量%であり、さらに好ましくは32~42質量%であり、ことさらに好ましくは33~40質量%である。36質量%以上の比較的高い油脂含有量であっても、ホイップドクリームは高いオーバーランを有するので、クリーム容積あたりのカロリーは低減される。なお、ホイップドクリームに含まれる油脂には、ホイップクリーム製造の原材料として配合される植物油脂などの他に、全脂粉乳、生クリームなどの原材料に含まれる油脂も含まれる。例えば、植物油脂を30質量%、油分45質量%の生クリームを40質量%含むホイップドクリームの油脂含有量は、48質量%(=30+40×0.45)である。ホイップドクリームは、油脂として、乳脂肪を任意の割合で含んでもよい。しかし、ホイップドクリームに含まれる乳脂肪の含有量は、好ましくは0~48質量%であり、より好ましくは0~34質量%であり、さらに好ましくは0~20質量%である。なお、ホイップドクリームの油脂含有量は、原材料配合から計算できる他、ゲルベル法、レーゼゴットリーブ法など、公知の方法で測定、確認できる。
本発明の一態様によれば、ホイップドクリームは、好ましくは25~50質量%の植物油脂を含有する。ホイップドクリームに含有される植物油脂は、より好ましくは30~47質量%であり、さらに好ましくは33~45質量%である。ホイップドクリームに含有される植物油脂は、食用に適した植物油脂であれば特に限定されない。植物油脂は、食用に適するように、適宜精製処理されていてもよい。植物油脂としては、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、ひまわり油、紅花油、胡麻油、綿実油、米油、オリーブ油、落花生油、亜麻仁油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、カカオ脂など、および、これらの油脂の混合油、これらの油脂または混合油の加工油脂(エステル交換、分別、水素添加などの加工処理が、1または2以上なされた油脂)などを用いることができる。植物油脂は、1種または2種以上を適宜選択して使用してもよい。しかし、植物油脂には、好ましくはラウリン系油脂および/またはパーム系油脂が含まれる。
上記ラウリン系油脂は、油脂を構成する脂肪酸全量に占めるラウリン酸の含有量が30質量%以上の油脂である。ラウリン系油脂としては、例えば、ヤシ油、パーム核油、およびババス油など、ならびに、それらの加工油脂(硬化、エステル交換および分別のうち1以上の処理がなされたもの)が挙げられる。ラウリン系油脂は、1種あるいは2種以上が使用されてもよい。ラウリン系油脂は、好ましくはパーム核油、パーム核分別油、および、それらの水素添加油である。上記パーム系油脂は、パーム油、パーム油の分別油、および、それらの加工油脂(硬化、エステル交換および分別のうち1以上の処理がなされたもの)であれば何れでもよい。パーム系油脂としては、具体的には、パーム油の1段分別油であるパームオレインおよびパームステアリン、パームオレインの2段分別油であるパームオレイン(パームスーパーオレイン)およびパームミッドフラクション、パームステアリンの2段分別油であるパームオレイン(ソフトパーム)およびパームステアリン(ハードステアリン)などが例示できる。パーム系油脂は、1種あるいは2種以上が使用されてもよい。パーム系油脂は、好ましくは30~48のヨウ素価を有するパームミッドフラクション(PMF)を含む。
本発明の一態様によれば、ホイップドクリームに含まれる植物油脂は、ラウリン系油脂とパーム系油脂とを含む混合油脂をエステル交換反応した、エステル交換油脂を含んでもよい。当該混合油脂は、ラウリン系油脂とパーム系油脂とを、好ましくは30:70~65:35の質量比で含み、より好ましくは、35:65~57:43の質量比で含み、さらに好ましくは38:62~52:48の質量比で含む。当該混合油脂に含まれるラウリン系油脂は2種類以上であってもよいし、パーム系油脂も2種類以上であってもよい。当該エステル交換油脂の構成脂肪酸全量に占めるラウリン酸の含有量は、30質量%未満である。エステル交換油脂は、1種あるいは2種以上が使用されてもよい。
本発明の一態様によれば、ホイップドクリームに含まれる植物油脂に、上記の、ラウリン系油脂、パーム系油脂、エステル交換油脂、から選ばれる1種以上が使用される場合、植物油脂の合計含有量に占める、上記3種のうちの何れか1種の油脂の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60~95質量%、さらに好ましくは65~95質量%、ことさらに好ましくは70~90質量%に調整され得る。
本発明の一態様によれば、ホイップドクリームは、水を、好ましくは30~75質量%、より好ましくは40~70質量%、さらに好ましくは45~65質量%含み得る。ホイップドクリームに含まれる水は、水として配合されるもの以外に、原材料に含まれる水も含める。例えば、原材料の一部に、水飴が含まれる場合、水飴に含まれる水も、ホイップドクリームに含まれる水に含める。また、ホイップドクリームに使用(配合)される水は、飲食用に適すれば特に限定されない。水は、例えば、水道水、蒸留水、ミネラルウオーターなどが使用できる。ホイップドクリームに含まれる水の含有量(水分)の測定は、常圧加熱乾燥法、カールフィッシャー法など、従来公知の方法を適用できる。
本開示の一態様によれば、ホイップドクリームは、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、油脂、水、以外にも、ホイップドクリームに一般的に使用されるその他成分を含有してもよい。その他成分としては、例えば、呈味素材、甘味料、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル以外の乳化剤、安定剤、などが挙げられる。呈味素材としては、全脂粉乳、脱脂粉乳、生クリーム、全脂濃縮乳、脱脂濃縮乳、発酵乳、練乳、ヨーグルト、チーズなどの乳製品、卵黄パウダー、加糖卵黄などの卵製品、ココアパウダー、カカオペースト、抹茶パウダー、イチゴパウダー、豆乳、ココナッツミルク、青汁など、各種の、種実類、果実類、豆類、ハーブ類、が挙げられる。甘味料としては、ショ糖(砂糖)、麦芽糖、ブドウ糖、果糖、液糖、水あめ、キシリトール、エリスリトールなどの糖類および糖アルコール類、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムK、ソーマチンなどの非糖質甘味料、が挙げられる。ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル以外の乳化剤としては、例えば、レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリソルベートなどが挙げられる。安定剤としては、グアーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、ジェランガム、アラビアガムのようなガム類、コーンスターチ、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、CMC、微細セルロース、ゼラチン、寒天、ペクチンなどの他、リン酸塩のような塩類が挙げられる。これらのその他の成分は、一種類のみで使用してもよいし、二種類を組み合わせて使用してもよい。
本発明の一態様によれば、ホイップドクリームは、好ましくは0.5質量%以下のレシチンを含有する。ホイップドクリームに含まれるレシチンの含有量は、より好ましくは0~0.3質量%であり、さらに好ましくは0~0.1質量%であり、ことさらに好ましくは0質量%である。本発明のホイップドにクリーム含まれるレシチンは、レシチンであれば特に限定はされない。しかし、実用上は、油糧原料(大豆、菜種、向日葵など)または鶏卵に由来するレシチンである。レシチンとしては、例えば、卵黄粗レシチン、大豆粗レシチン、それらの脱糖レシチン、分画レシチン、酵素処理レシチン、水素添加レシチンなどが挙げられる。本発明において、ホイップドクリームに含まれるレシチンの含有量とは、レシチンに由来する正味のリン脂質含有量を意味する。例えば、リン脂質含有量が65質量%である大豆粗レシチンを0.4質量%含む場合、ホイップドクリームに含まれるレシチン含有量は0.26質量%(=0.4×0.65)であると定められる。ホイップドクリームは、植物油脂を含むホイップドクリームに一般的に使用されるレシチンを含まなくても、高いオーバーランを有する。
上記レシチンに含まれるリン脂質含有量は、例えば、アセトン不溶物含有量として求めることができる。レシチンのアセトン不溶物含量は、例えば、次のようにして求められる。試料2gをビーカーに計りとり、氷冷したアセトン300ミリリットルを加え、十分攪拌して30分間放置する。上澄み液を質量既知のガラス濾過器で吸引ろ過し、さらに氷冷したアセトン30ミリリットルで3回不溶物を洗浄して、不溶物の全量をガラス濾過器に移し入れる。ガラス濾過器に氷冷したアセトンを満たし、吸引した後、ガラス濾過機を減圧下で乾燥させ、質量を測定する。ガラス濾過機の質量の増加分が、アセトン不溶物の質量である。(不溶物の質量/試料採取量)×100がアセトン不溶物(質量%)となる。また、リン脂質含有量の測定は、日本油化学協会の基準油脂分析試験法(2.4.11-1996)の比色法を用いて行ってもよい(リン量からの換算係数25.4)。
本発明の一態様によれば、ホイップドクリームは、好ましくは0.002~0.2質量%の増粘多糖類を含有する、ホイップドクリーム含有される増粘多糖類の含有量は、より好ましくは0.005~0.15質量%であり、さらに好ましくは0.01~0.1質量%であり、ことさらに好ましくは0.02~0.08質量%である。増粘多糖類としては、例えば、ジェランガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアーガム、カラギーナン、セルロース類(メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなど)、寒天、ペクチン、などが挙げられる。増粘多糖類は、1種あるいは2種以上が使用されてもよい。増粘多糖類は、好ましくはガム類であり、より好ましくはキサンタンガムおよび/またはグアーガムである。
本発明のホイップドクリームは、PGPRを含み、オーバーランが150%以上である限り、その態様は限定されない。本発明の一態様によれば、ホイップドクリームは、以下に記述する本発明のホイップクリームが起泡化されたものであり得る。また、本発明の一態様によれば、ホイップドクリームは、PGPRを含有するホイップクリームとPGPRを含有しないホイップクリームとが混合されて起泡化されたホイップドクリームであり得る。本発明の一態様によれば、ホイップドクリームは、PGPRを含有するホイップクリームに、糖類などが混合された後、起泡化されたホイップドクリームであり得る。本発明の一態様によれば、ホイップドクリームは、PGPRを含有する、起泡化されたホイップクリームと起泡化されないホイップクリームとの混合物、であり得る。
本発明の一態様によれば、ホイップドクリームのpHは好ましくは中性である。すなわち、ホイップドクリームのpHは、好ましくは5~8程度であり、より好ましくは5.5~7.5程度であり、さらに好ましくは6~7程度である。ホイップドクリームのpHが上記範囲程度であると、オーバーランおよびクリームの硬度が安定し易い。また、オーバーランが高くてもボディー感が得られる。なお、ホイップドクリームのpHは、起泡化前のホイップクリームのpH、もしくは、ホイップドクリームを加熱などにより乳化破壊して得られた水相のpHである。
本発明のホイップドクリームを得るために起泡化は、従来公知の方法が適用できる。例えば、ボウルに取ったホイップクリームを、ホイッパーを使って手でホイップしてもよいし、電動泡立て器を使ってホイップしてもよい。また、大容量ミキサーを使用してホイップしてもよい。ホイップドクリーム(ホイップクリーム)は、氷結晶がない状態で(フリーザーを使用しないで)起泡化され得る。ホイップドクリームのオーバーラン(起泡化の程度、含気量)は150%以上に調整される。
本発明のホイップクリームは、起泡化前のクリームであって、オーバーランとクリーム硬度以外は、上記のホイップドクリームの要件が適宜適用され得る。本発明の一態様によれば、本発明のホイップクリームは、起泡化前の本発明のホイップドクリームであり得る。すなわち、ホイップクリームの一般的な使用態様である、ホイップクリームそのものをあるいは、ホイップクリームに甘味料(糖類など)加えて、起泡化することにより、本発明のホイップドクリームとなり得る。
本発明の一態様によれば、ホイップクリームは、ホイップドクリームと同様に、好ましくは0.5質量%以下のレシチンを含有する。これにより、ホイップクリームは、良好な乳化安定性を有する。また、ホイップクリームに含まれる油脂には、レシチンに限らず、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル以外の乳化剤は、好ましくは0~0.5質量%、より好ましくは0~0.2質量%、さらに好ましくは0~0.1質量%、最も好ましくは0質量%、含まれ得る。
本発明のホイップクリームの製造方法には、従来公知の方法を用いることができる。一例としては、油脂を融解し、油溶性のその他の成分を溶解または分散させて油相を調製する。一方、水に水溶性のその他の成分を溶解または分散させて水相を調製する。それぞれ調製した油相と水相を混合し、予備的に乳化させる。そして、予備乳化した乳化物を均質化処理することにより製造できる。また、必要に応じて乳化物を殺菌処理してもよい。均質化処理は、殺菌処理の前に行う前均質であっても、殺菌処理の後に行う後均質であってもよい。また、前均質および後均質の両者を組み合わせた二段均質を行ってもよい。均質化処理の後は、冷却、エージングの工程をとることが好ましい。
本発明のホイップクリームは、0.001~1質量%のポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを含有する限り、その態様は限定されない。本発明の一態様によれば、ホイップクリームは、PGPRを含有するホイップクリームとPGPRを含有しないホイップクリームとが混合されたホイップクリームであり得る。また、ホイップクリームは、PGPRを含有する1種以上のホイップクリームの混合物であり得る。しかし、ホイップクリームは、好ましくは、1種類のPGPR含有ホイップクリームからなるか、1種類のPGPR含有ホイップクリームと生クリームとが混合されたホイップクリームである。
本発明ホイップクリームまたはホイップドクリームは、製菓製パン用、調理用、飲料用など、従来のホイップクリームまたはホイップドクリームの用途に使用できる。本発明の一態様によれば、ホイップクリームは、コーヒーゼリー、ムース、プリンなどの上掛け用や練り込み用に使用され得る。本発明の一態様によれば、ホイップドクリームは、例えば、ケーキやパンなどのベーカリー食品への、ナッペ、サンド、トッピングなどの用途に使用され、複合食品の一素材となり得る。
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明する。しかし、本発明は以下の実施例の内容に限定して解釈されない。
<分析方法>
・ホイップドクリームのオーバーラン
7℃に調温した500gのホイップクリームに、35gの砂糖を加え、ホバートミキサー(ホバートジャパン社製)を用いて、中速2の条件で、起泡化(ホイップ)させた。ホイップドクリームを、直径4.5cm、高さ5.8cmのカップ(OR用カップ)に詰め、以下の数式(1)により、オーバーラン(クリームの増加体積の割合)を求めた。
オーバーラン(%)=[(定容積のホイップ前のクリーム質量-定容積のホイップ後のクリーム質量)/(定容積のホイップ後のクリーム質量)]×100 (1)
・ホイップドクリームの硬度
レオメーター(CREEP METER RE2-33005C(株式会社山電製))を用いて、オーバーラン測定のためにカップ詰めされた品温約12℃のホイップドクリームの硬度(単位gf)を、進入速度60mm/分、進入距離(深度)35mm、プランジャーφ20mm円盤の条件で測定した。
<油脂原料>
ラウリン系油脂A:
パーム核油(ヨウ素価18.1、ラウリン酸含有量46.2質量%、日清オイリオグループ株式会社製)をラウリン系油脂Aとして使用した。
ラウリン系油脂B:
極度硬化パーム核油(ヨウ素価2以下、ラウリン酸含有量46.0質量%、日清オイリオグループ株式会社製)をラウリン系油脂Bとして使用した。
パーム系油脂A:
パーム油中融点画分(ヨウ素価45、日清オイリオグループ株式会社製)を、パーム系油脂Aとして使用した。
パーム系油脂B:
パーム油(ヨウ素価52、日清オイリオグループ株式会社製)を、パーム系油脂Bとして使用した。
パーム系油脂C:
パームオレイン(ヨウ素価56)のランダムエステル交換油脂を、パーム系油脂Cとして使用した。
エステル交換油脂A:
50質量部の極度硬化パーム油と50質量部の極度硬化パーム核油との混合油のランダムエステル交換油脂(ラウリン酸含有量23.2質量%)をエステル交換油脂Aとして使用した。
<乳化剤>
・ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(商品名:サンソフト818H、太陽化学株式会社製、ポリグリセリンの平均重合度6、略称818H)
・ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(商品名:サンソフト818JC、太陽化学株式会社製、ポリグリセリンの平均重合度3、略称818JC)
・ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(商品名:MYVATEX CHOCO、Kerry社製、ポリグリセリンの平均重合度不明、略称Kerry)
・グリセリン脂肪酸エステル(商品名:エマルジーP-100、理研ビタミン株式会社製、主構成脂肪酸の炭素数16~18、モノエステル含有量95%以上、略称P-100)
・ソルビタン脂肪酸エステル(商品名:ポエムS-320YN、理研ビタミン株式会社製、主構成脂肪酸ステアリン酸、略称S-320YN)
・ポリグリセリン脂肪酸エステル(商品名:SYグリスターPS-5S、阪本薬品工業株式会社製、ヘキサグリセリンペンタエステル、HLB4.5、略称PS-5S)
・コハク酸モノグリセリド(商品名:ポエムB-30、理研ビタミン株式会社製、コハク酸モノグリセライドステアリン系、略称B-30)
・大豆レシチン(商品名:ベイシスLP-20、日清オイリオグループ株式会社製、アセトン不溶分90質量%以上、略称LP-20)
・ショ糖脂肪酸エステル(商品名:リョートーシュガーエステルS-1170、三菱ケミカル株式会社製、主構成脂肪酸ステアリン酸、HLB11、略称S-1170)
<ホイップクリームの調製>
表1~3の配合に従って、例1~16のホイップクリームを調製した。すなわち、以下の(1)~(6)の製造手順に従って調製した。調製したホイップクリームのpHは6.6であった。そして、調製した各ホイップクリームについて、100質量部のホイップクリームに対して7質量部の砂糖を加えて卓上ホイッパーを用いてホイップすることにより、例1~16のホイップドクリームを調製した。調製したホイップドクリームは、風味評価まで7℃で保存した。

(1)油脂に、油脂以外の油相成分を混合し、70℃の油相を調製した。
(2)水に、水以外の水相成分を混合し、70℃の水相を調製した。
(3)水相に油相を投入して撹拌乳化しながら、80℃まで昇温した。
(4)次いでホモゲナイザーを用いて6MPaの圧力下で微細均質化した。
(5)その後、85℃、15分のバッチ殺菌を行った。
(6)得られた乳化物を氷水に浸漬して冷却後、5℃で12時間以上静置した。
Figure 2023020144000001

Figure 2023020144000002

Figure 2023020144000003

<ホイップクリームの分析・評価>
例1~16のホイップクリームついて、それぞれ、以下のホイップ適性の指標となる分析・評価を行った。結果は表1および2に示される。
1.乳化安定性
例1~16の各ホイップクリームを100mlビーカーに60g計量し、品温を20℃に調整した。スリーワンモーター(新東科学株式会社製、攪拌翼プロペラRを先端に付けた攪拌棒を使用)を用いて160rpmで攪拌し、起泡性水中油型乳化物が凝固・増粘する(いわゆるボテる)までの時間(hr)を計測した。ホイップクリームが凝固・増粘するまでの時間が長いほど、乳化安定性が高いことを示す。
2.オーバーラン
例1~16の各ホイップクリーム500g計量し、品温を7℃に調整した。砂糖35gを加え、ホバートミキサー(ホバートジャパン社製)を用い、中速2(約120rpm)で10分立てまでホイップし、オーバーランとクリーム硬度を測定した。
3.クリームのボディー感
10分立てにした例1~16の各ホイップドクリームのボディー感を、以下の評価基準に従って評価した。
評価基準
評価◎:ボディー感があり、口どけが非常によく、たいへん良好。
評価○:ボディー感があり、口どけがよく、良好。
評価△:ボディー感はあるが、やや重い、または、口どけはよいがボディー感がやや乏しい。
評価▲:ボディー感はあるが重い、または、口どけはよいがボディー感がない。
評価×:ボディー感はあるが非常に重い、または、口どけボディー感ともによくない

Claims (7)

  1. オーバーランが150%以上であり、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを含有する、ホイップドクリーム。
  2. 20~100gfの硬度を有する、請求項1に記載のホイップドクリーム。
  3. 0.001~1質量%のポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを含有する、ホイップクリーム。
  4. 20~55質量%の油脂を含有する、請求項1または2に記載のホイップドクリーム、または、請求項3に記載のホイップクリーム。
  5. 0.5質量%以下のレシチンを含有する、請求項1、2、4の何れか1項に記載のホイップドクリーム、または、請求項3または4に記載のホイップクリーム。
  6. 0.002~0.2質量%の増粘多糖類を含有する、請求項1、2、4、5の何れか1項に記載のホイップドクリーム、または、請求項3~5の何れか1項に記載のホイップクリーム。
  7. ラウリン系油脂および/またはパーム系油脂を含有する、請求項1、2、4~6の何れか1項に記載のホイップドクリーム、または、請求項3~6の何れか1項に記載のホイップクリーム。
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