JP2023019867A - 試験装置 - Google Patents

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喜也 大沼
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Abstract

【課題】電力変換装置を所望の条件で試験運転させる。【解決手段】試験装置10は、昇圧チョッパ回路40、インバータ回路50、3相リアクトル60、インバータ回路70、降圧チョッパ回路80、帰還路91、92、制御回路100を備える。昇圧チョッパ回路40はインバータ回路50に接続し、インバータ回路50は3相リアクトル60に接続する。3相リアクトル60はインバータ回路70に接続し、インバータ回路70は降圧チョッパ回路80に接続する。帰還路91、92は、降圧チョッパ回路80の出力端子を昇圧チョッパ回路40の入力側に接続する。制御回路100は、帰還路91を流れる第1の帰還電流値Ipと、帰還路92を流れる第2の帰還電流値Inとの差を小さくするように、降圧チョッパ回路80の動作を制御する。【選択図】 図1

Description

本発明は、交流負荷に電力を供給する際に用いられる電力変換器の試験装置に関する。
特許文献1には、電力変換装置の試験システムが記載されている。特許文献1に記載の試験システムは、試験対象のインバータ、試験設備の交流リアクトル、AC-DC変換回路、および、直流リアクトルを備える。
試験設備の交流リアクトルは、DC-AC変換回路とAC-DC変換回路との間に接続される。DC-AC変換回路の直流側とAC-DC変換回路の直流側とは、直流リアクトルを通じて接続される。
特開2020-145909号公報
特許文献1に記載の試験システムでは、インバータの試験を行うことは可能である。しかしながら、近年は特に車載システムにおいて、インバータの前段に昇圧チョッパ回路が接続される構成が一般的になっており、特許文献1に記載の試験システムでは、昇圧チョッパ回路を含めたシステムの試験を行うことができない。
より具体的には、昇圧チョッパ回路単独で試験を行い、特許文献1に記載の試験システムでインバータ単独で試験を行っても、組合わせた時のシステムとしての性能は、特にノイズ等に関しては評価できない問題があり、昇圧チョッパ回路と入力側インバータ回路とが接続された状態で試験を行える装置が望まれていた。
したがって、本発明の目的は、昇圧チョッパ回路と入力側インバータ回路を備える電力変換装置を所望の条件で試験できる試験装置を提供することにある。
本発明の一態様である試験装置は、昇圧チョッパ回路、第1の3相インバータ回路、3相リアクトル、第2の3相インバータ回路、降圧チョッパ回路、第1の帰還路、第2の帰還路、制御回路、試験用計測器を備える。昇圧チョッパ回路は、一対となる第1の入力端子と第2の入力端子を有し、第1直流電圧を出力する。第1の3相インバータ回路は、第1直流電圧から3相交流電圧を生成する。3相リアクトルは、第1の3相インバータ回路に接続し、3相交流電圧が供給される擬似負荷である。第2の3相インバータ回路は、3相リアクトルに流れる3相交流電流を整流し、第2直流電圧に変換する。降圧チョッパ回路は、第2の3相インバータ回路に接続し、一対となる第1の出力端子と第2の出力端子を備え、第2直流電圧を降圧して第1直流電圧と同じ電圧値の第3直流電圧を生成し、一対となる第1の出力端子と第2の出力端子から出力する。第1の帰還路は、第1の出力端子と第1の入力端子とを接続する。第2の帰還路は、第2の出力端子と第2の入力端子とを接続する。制御回路は、昇圧チョッパ回路、第1の3相インバータ回路、第2の3相インバータ回路、および、降圧チョッパ回路の動作を制御する。試験用計測器は、昇圧チョッパ回路または第1の3相インバータ回路の動作試験用計測値を計測する。
試験装置は、さらに、第1の制御用計測器、および、第2の制御用計測器を備える。第1の制御用計測器は、第1の帰還路に流れる第1の帰還電流値を計測する。第2の制御用計測器は、第2の帰還路に流れる第2の帰還電流値を計測する。
制御回路は、第1の帰還電流値と第2の帰還電流値との差を小さくするように、降圧チョッパ回路の動作を制御する。
この構成では、3相リアクトルを擬似負荷として、昇圧チョッパ回路または第1の3相インバータ回路の動作を計測できる。この際、第1の帰還路と第2の帰還路、すなわち、高電位側の帰還路と低電位側の帰還路に流れる電流の差が小さくなるように制御されるので、第1の帰還路と第2の帰還路とを流れる不所望な循環電流が抑制される。したがって、所望の条件による試験が、より精度良く実現される。
この発明によれば、電力変換装置を所望の条件で試験運転できる。
図1は、第1の実施形態に係る試験装置の等価回路図である。 図2は、第1の実施形態に係る試験装置の昇圧チョッパ回路の等価回路図である。 図3は、第1の実施形態に係る試験装置の第1のインバータ回路の等価回路図である。 図4は、第1の実施形態に係る試験装置の第2のインバータ回路の等価回路図である。 図5は、第1の実施形態に係る試験装置の降圧チョッパ回路の等価回路図である。 図6は、第1のインバータ回路の駆動制御概念および各駆動制御信号の一例を示す図である。 図7(A)は、第1の実施形態の構成および制御のときの各帰還電流値を示したグラフであり、図7(B)は、第1の実施形態に係る構成および制御のときの循環電流値を示したグラフである。 図8は、第2の実施形態に係る試験装置の等価回路図である。 図9(A)は、第2の実施形態の構成および制御のときの各帰還電流値を示したグラフであり、図9(B)は、第2の実施形態に係る構成および制御のときの循環電流値を示したグラフである。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る試験装置について図を参照して説明する。図1は、第1の実施形態に係る試験装置の等価回路図である。図2は、第1の実施形態に係る試験装置の昇圧チョッパ回路の等価回路図である。図3は、第1の実施形態に係る試験装置の第1のインバータ回路の等価回路図である。図4は、第1の実施形態に係る試験装置の第2のインバータ回路の等価回路図である。図5は、第1の実施形態に係る試験装置の降圧チョッパ回路の等価回路図である。図6は、第1のインバータ回路の駆動制御概念および各駆動制御信号の一例を示す図である。
図1に示すように、試験装置10は、交流入力部20、全波整流回路30、インダクタL31、インダクタL32、インダクタL33、インダクタL34、キャパシタC31、昇圧チョッパ回路40、インバータ回路50、3相リアクトル60、インバータ回路70、降圧チョッパ回路80、帰還路91、帰還路92、および、制御回路100を備える。インバータ回路50が、本発明の「第1の3相インバータ回路」に対応し、インバータ回路70が、本発明の「第2の3相インバータ回路」に対応する。帰還路91が、本発明の「第1の帰還路」に対応し、帰還路92が、本発明の「第2の帰還路」に対応する。
また、試験装置10は、電圧計測器MAV2、電流計測器MAA11、電流計測器MAA12、電流計測器MAA13、電流計測器MAA2、および、電流計測器MAA3を備える。
概略的な回路構成として、交流入力部20は、全波整流回路30に接続する。全波整流回路30は、キャパシタC31に接続する。キャパシタC31は、昇圧チョッパ回路40の入力端子に接続する。
昇圧チョッパ回路40の出力端子は、インバータ回路50の入力端子(直流側端子)に接続する。インバータ回路50の出力端子(交流側端子)は、3相リアクトル60の一方端に接続する。
3相リアクトル60の他方端は、インバータ回路70の入力端子(交流側端子)に接続する。インバータ回路70の出力端子(直流側端子)は、降圧チョッパ回路80の入力端子に接続する。降圧チョッパ回路80の高電位側出力端子は、帰還路91および帰還路92を通じて、キャパシタC31の両端に接続する。
このような帰還路91および帰還路92を備えることによって、試験用の電流を帰還、回生させて試験に利用できる。この際、後述する本願発明に特徴的な構成および制御を行わなければ、帰還路91を流れる帰還電流と帰還路92を流れる帰還電流とのバランスが崩れて、循環電流が発生する。循環電流が発生すると、所望の条件で試験を行うことができなくなってしまう。
しかしながら、以下に具体例を示すように、本願発明の試験装置の構成および制御を用いることで、循環電流の発生を抑制でき、所望の条件での試験を実現できる。
より具体的には、試験装置10の各部は、次の構成を備える。
(交流入力部20)
交流入力部20は、商用交流電源およびラインフィルタからなる。交流入力部20からの3相交流電圧は、全波整流回路30に入力される。
(全波整流回路30)
全波整流回路30は、複数のダイオード(整流素子)を用いた既知の回路構成である。全波整流回路30は、入力された3相交流電圧を直流電圧に変換して出力する。
キャパシタC31は、所謂、昇圧チョッパ回路40に対する入力コンデンサである。キャパシタC31は、全波整流回路30の出力端子に並列接続される。より具体的には、キャパシタC31の高電位側端子は、全波整流回路30の高電位側出力端子に接続し、キャパシタC31の低電位側端子は、全波整流回路30の低電位側出力端子に接続する。
インダクタL31は、全波整流回路30の高電位側出力端子とキャパシタC31の高電位側端子の間に接続される。インダクタL32は、全波整流回路30の低電位側出力端子とキャパシタC31の低電位側端子の間に接続される。
インダクタL31、インダクタL32、および、キャパシタC31によって、ローパスフィルタが構成される。
インダクタL33は、キャパシタC31の高電位側端子と昇圧チョッパ回路40の高電位側入力端子との間に接続される。
インダクタL34は、キャパシタC31の低電位側端子と昇圧チョッパ回路40の低電位側入力端子との間に接続される。インダクタL33およびインダクタL34は、例えば、ノイズフィルタ等の機能を実現する。
キャパシタC31の高電位側端子には、帰還路91が接続される。キャパシタC31の低電位側端子には、帰還路92が接続される。
(昇圧チョッパ回路40)
図2に示すように、昇圧チョッパ回路40は、インダクタL40、スイッチング素子Q41、ダイオードD42、および、キャパシタC40を備える。
インダクタL40の一方端は、昇圧チョッパ回路40の高電位側入力端子(インダクタL33)に接続する。
スイッチング素子Q41は、例えば、FETである。スイッチング素子Q41のソースは、昇圧チョッパ回路40の低電位側入力端子(インダクタL34)に接続する。スイッチング素子Q41のドレインは、インダクタL40の他方端に接続する。スイッチング素子Q41のゲートは、制御回路100に接続する。
ダイオードD42のアノードは、インダクタL40とスイッチング素子Q41とのノードに接続する。ダイオードD42のカソードは、昇圧チョッパ回路40の高電位側出力端子に接続する。
キャパシタC40は、ダイオードD42のカソードとスイッチング素子Q41のソースとの間に接続される。言い換えれば、キャパシタC40は、昇圧チョッパ回路40の高電位側出力端子と低電位側出力端子との間に接続される。
(インバータ回路50)
図3に示すように、インバータ回路50は、複数のスイッチング素子Q1-Q6(スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2、スイッチング素子Q3、スイッチング素子Q4、スイッチング素子Q5、スイッチング素子Q6)を備える。複数のスイッチング素子Q1-Q6は、同じFETである。
スイッチング素子Q1のドレインは、インバータ回路50の高電位側直流入力端子(昇圧チョッパ回路40の高電位側出力端子)に接続する。スイッチング素子Q1のソースは、スイッチング素子Q2のドレインに接続する。スイッチング素子Q2のソースは、インバータ回路50の低電位側直流入力端子(昇圧チョッパ回路40の低電位側出力端子)に接続する。
スイッチング素子Q1のゲートとスイッチング素子Q2のゲートとは、制御回路100に接続する。スイッチング素子Q1のソースとスイッチング素子Q2のドレインのノードは、インバータ回路50の第1交流出力端子に接続する。
スイッチング素子Q3のドレインは、インバータ回路50の高電位側直流入力端子(昇圧チョッパ回路40の高電位側出力端子)に接続する。スイッチング素子Q3のソースは、スイッチング素子Q4のドレインに接続する。スイッチング素子Q4のソースは、インバータ回路50の低電位側直流入力端子(昇圧チョッパ回路40の低電位側出力端子)に接続する。
スイッチング素子Q3のゲートとスイッチング素子Q4のゲートとは、制御回路100に接続する。スイッチング素子Q3のソースとスイッチング素子Q4のドレインのノードは、インバータ回路50の第2交流出力端子に接続する。
スイッチング素子Q5のドレインは、インバータ回路50の高電位側直流入力端子(昇圧チョッパ回路40の高電位側出力端子)に接続する。スイッチング素子Q5のソースは、スイッチング素子Q6のドレインに接続する。スイッチング素子Q6のソースは、インバータ回路50の低電位側直流入力端子(昇圧チョッパ回路40の低電位側出力端子)に接続する。
スイッチング素子Q5のゲートとスイッチング素子Q6のゲートとは、制御回路100に接続する。スイッチング素子Q5のソースとスイッチング素子Q6のドレインのノードは、インバータ回路50の第3交流出力端子に接続する。
(3相リアクトル)
図1に示すように、3相リアクトル60は、コイルL61、コイルL62、および、コイルL63を備える。
コイルL61は、インバータ回路50の第1交流出力端子に接続する。コイルL62は、インバータ回路50の第2交流出力端子に接続する。コイルL63は、インバータ回路50の第3交流出力端子に接続する。
(インバータ回路70)
図4に示すように、インバータ回路70は、複数のスイッチング素子Q7-Q12(スイッチング素子Q7、スイッチング素子Q8、スイッチング素子Q9、スイッチング素子Q10、スイッチング素子Q11、スイッチング素子Q12)を備える。複数のスイッチング素子Q7-Q12は、同じFETである。
スイッチング素子Q7のソースは、スイッチング素子Q8のドレインに接続する。スイッチング素子Q7のソースとスイッチング素子Q8のドレインのノードは、インバータ回路70の第3交流入力端子に接続する。第3交流入力端子は、3相リアクトル60のコイルL63に接続する。
スイッチング素子Q7のドレインは、インバータ回路70の高電位側直流出力端子に接続する。スイッチング素子Q8のソースは、インバータ回路70の低電位側直流出力端子に接続する。
スイッチング素子Q7のゲートとスイッチング素子Q8のゲートとは、制御回路100に接続する。
スイッチング素子Q9のソースは、スイッチング素子Q10のドレインに接続する。スイッチング素子Q9のソースとスイッチング素子Q10のドレインのノードは、インバータ回路70の第2交流入力端子に接続する。第2交流入力端子は、3相リアクトル60のコイルL62に接続する。
スイッチング素子Q9のドレインは、インバータ回路70の高電位側直流出力端子に接続する。スイッチング素子Q10のソースは、インバータ回路70の低電位側直流出力端子に接続する。
スイッチング素子Q9のゲートとスイッチング素子Q10のゲートとは、制御回路100に接続する。
スイッチング素子Q11のソースは、スイッチング素子Q12のドレインに接続する。スイッチング素子Q11のソースとスイッチング素子Q12のドレインのノードは、インバータ回路70の第1交流入力端子に接続する。第1交流入力端子は、3相リアクトル60のコイルL61に接続する。
スイッチング素子Q11のドレインは、インバータ回路70の高電位側直流出力端子に接続する。スイッチング素子Q12のソースは、インバータ回路70の低電位側直流出力端子に接続する。
スイッチング素子Q11のゲートとスイッチング素子Q12のゲートとは、制御回路100に接続する。
(降圧チョッパ回路80)
図5に示すように、降圧チョッパ回路80は、インダクタL80、ダイオードD81、スイッチング素子Q82、キャパシタC81、および、キャパシタC82を備える。
キャパシタC81は、降圧チョッパ回路80の高電位側入力端子と低電位側入力端子との間に接続される。なお、降圧チョッパ回路80の高電位側入力端子は、インバータ回路70の高電位側直流出力端子に接続し、降圧チョッパ回路80の低電位側入力端子は、インバータ回路70の低電位側直流出力端子に接続する。
スイッチング素子Q82のドレインは、降圧チョッパ回路80の高電位側入力端子に接続する。スイッチング素子Q82のソースは、ダイオードD81のカソードに接続する。ダイオードD81のアノードは、降圧チョッパ回路80の低電位側入力端子に接続する。
インダクタL80の一方端は、スイッチング素子Q82のソースとダイオードD81のカソードとのノードに接続する。インダクタL80の他方端は、降圧チョッパ回路80の高電位側出力端子に接続する。
キャパシタC82は、降圧チョッパ回路80の高電位側出力端子と低電位側出力端子との間に接続される。降圧チョッパ回路80の低電位側出力端子は、降圧チョッパ回路80の低電位側入力端子に接続される。
(帰還路91、帰還路92)
図1に示すように、帰還路91は、降圧チョッパ回路80の高電位側出力端子と、キャパシタC31の高電位側端子とを接続する。帰還路92は、降圧チョッパ回路80の低電位側出力端子と、キャパシタC31の低電位側端子とを接続する。
(各計測器)
試験装置10は、電圧計測器MAV2、電流計測器MAA11、電流計測器MAA12、電流計測器MAA13、電流計測器MAA2、および、電流計測器MAA3を備える。
電圧計測器MAV2は、昇圧チョッパ回路40のキャパシタC40の両端に接続される。電圧計測器MAV2は、昇圧チョッパ回路40の出力電圧を計測し、制御回路100に出力する。
電流計測器MAA11、電流計測器MAA12、電流計測器MAA13、電流計測器MAA2、および、電流計測器MAA3は、例えば、相互誘導を利用したカレントセンサである。
電流計測器MAA11は、コイルL61に直列接続される。電流計測器MAA11は、3相リアクトル60のコイルL61に流れる電流をセンシングして、制御回路100に出力する。
電流計測器MAA12は、コイルL62に直列接続される。電流計測器MAA12は、3相リアクトル60のコイルL62に流れる電流をセンシングして、制御回路100に出力する。
電流計測器MAA13は、コイルL63に直列接続される。電流計測器MAA13は、3相リアクトル60のコイルL63に流れる電流をセンシングして、制御回路100に出力する。
電流計測器MAA2は、帰還路91に直列接続(挿入)される。電流計測器MAA2は、帰還路91に流れる電流(第1の帰還電流)をセンシングして、制御回路100に出力する。
電流計測器MAA3は、帰還路92に直列接続(挿入)される。電流計測器MAA3は、帰還路92に流れる電流(第2の帰還電流)をセンシングして、制御回路100に出力する。
電流計測器MAA2および電流計測器MAA3が、それぞれ、「第1の制御用計測器」および「第2の制御用計測器」に対応する。また、電流計測器MAA11、電流計測器MAA12、電流計測器MAA13が、「試験用計測器」に対応する。なお、試験装置10は、試験用計測器として、ダイオードD42に直列接続する電流計測器(図示せず)を備えていてもよい。この電流計測器は、例えば、キャパシタC40が高電位側出力端子に接続するノードとダイオードD42のカソードとの間に接続される。
(制御回路100)
制御回路100は、例えば、DSP等の演算処理能力を有するICである。制御回路100は、昇圧チョッパ回路40のスイッチング素子Q41、インバータ回路50の複数のスイッチング素子Q1-Q6、インバータ回路70の複数のスイッチング素子Q7-Q12、降圧チョッパ回路80のスイッチング素子Q82に接続する。
制御回路100は、各スイッチング素子Q41、Q1-Q6、Q7-Q12、Q82に対して、それぞれスイッチング制御信号を与える。各スイッチング素子Q41、Q1-Q6、Q7-Q12、Q82は、このスイッチング制御信号によってオンオフ動作する。これにより、昇圧チョッパ回路40、インバータ回路50、インバータ回路70、および、降圧チョッパ回路80は、それぞれに動作制御される。なお、これらの動作制御の詳細は後述する。
(試験装置10の動作)
交流入力部20から電力が供給されると、全波整流回路30は、交流電圧を整流して、所定電圧値の直流電圧を出力する。
キャパシタC31および複数のインダクタL31、L32、L33、L34からなる回路は、直流電圧に重畳する各種のノイズを抑圧する。各種のノイズが抑圧された直流電圧は、昇圧チョッパ回路40に入力される。
昇圧チョッパ回路40は、入力された直流電圧(第1直流電圧)を昇圧して、昇圧後の直流電圧(第2直流電圧)をインバータ回路50に出力する。この際、昇圧チョッパ回路40は、制御回路100からの昇圧制御用のスイッチング制御信号によって、動作制御される。
より具体的には、制御回路100は、電圧計測器MAV2の計測電圧を用いて、昇圧チョッパ回路40にて直流入力電圧から所望の直流出力電圧を得るように、昇圧チョッパ回路40のスイッチング素子Q41のスイッチング制御信号を生成する。制御回路100は、この昇圧制御用のスイッチング制御信号をスイッチング素子Q41に与える。スイッチング素子Q41は、昇圧制御用のスイッチング制御信号によってオンオフし、これにより、昇圧チョッパ回路40は、所望の直流出力電圧を、インバータ回路50に出力する。
インバータ回路50は、オープンループ制御によって、直流電圧を3相交流電流に変換して、3相リアクトル60に出力する。すなわち、制御回路100は、インバータ回路50の制御に関わる電圧や電流を参照することなく、図6に示すような所定周波数で所定電圧の3相交流電流を生成するように、第1インバータ制御信号を生成し、インバータ回路50の複数のスイッチング素子Q1-Q6に与える。
3相リアクトル60には、インバータ回路50からの3相交流電流が流れる。ここで、3相リアクトル60の動作は、疑似負荷(例えば、ブラシレスモータの界磁巻線等)の動作を模擬するように制御される。この制御は、インバータ回路70の動作制御によって実現される。
インバータ回路70は、3相リアクトル60からの3相交流電流を直流電圧に変換し、降圧チョッパ回路80に出力する。
この際、制御回路100は、疑似負荷の所定動作(例えば、ブラシレスモータの速度指令値に応じた周波数およびトルク指令値)を実現するように、3相交流電流のベクトル制御を行う。すなわち、制御回路100は、疑似負荷の所定動作を実現する電流が3相リアクトル60の各相(コイルL61、L62、L63)に流れるように、インバータ回路70の複数のスイッチング素子Q7-Q12のスイッチング制御信号を生成する。複数のスイッチング素子Q7-Q12は、この疑似動作実現用のスイッチング制御信号によってオンオフ動作する。これにより、3相リアクトル60は、あたかも試験に利用する疑似負荷のように動作し、3相リアクトル60には、この動作に応じた3相交流電流が流れる。
降圧チョッパ回路80は、インバータ回路70の出力電圧を降圧して、所望の出力電圧(第3直流電圧)を生成する。この出力電圧は、キャパシタC31の両端電圧(第1直流電圧)を同じ電圧値に設定される。降圧チョッパ回路80からの出力電圧(出力電力)は、帰還路91および帰還路92を通じて、キャパシタC31の両端、言い換えれば、昇圧チョッパ回路40の入力側に回生(帰還)される。
このような構成および動作によって、試験装置10は、模擬対象の負荷(例えば、EV車のモータ等)に対して電力供給する際のインバータ回路50や昇圧チョッパ回路40の動作試験を行うことができる。そして、制御回路100が試験用計測器の計測値(動作試験用計測値)を取得することで、この計測値を解析すれば、試験装置10または評価者は、インバータ回路50や昇圧チョッパ回路40の性能、信頼性等を評価できる。
また、この構成では、降圧チョッパ回路80の出力電力が昇圧チョッパ回路40の入力側に回生される(帰還電流が得られる)ので、試験装置10の消費電力を抑制できる。
ここで、降圧チョッパ回路80を一般的な定電圧制御とすると、オン時間とオフ時間が等しくならない。さらに、降圧チョッパ回路80におけるスイッチング素子Q82のオン時(導通時)とオフ時(開放時)とで、電流経路が異なる。これにより、帰還路91に流れる帰還電流(第1の帰還電流)と、帰還路92に流れる帰還電流(第2の帰還電流)とのバランスが崩れ、帰還路91および帰還路92に循環電流が流れてしまう。そして、循環電流が流れることによって、高精度な計測ができなくなってしまう。
そこで、試験装置10は、第1の帰還電流の電流値(第1の帰還電流値)と第2の帰還電流の電流値(第2の帰還電流値)との差が小さくなるように、言い換えれば、第1の帰還電流値と第2の帰還電流値とが同じになるように、制御を行う。
より具体的には、電流計測器MAA2は、第1の帰還電流値Ipをセンシングして、制御回路100に出力する。この際、例えば、第1の帰還電流値Ipは、降圧チョッパ回路80の出力端子からキャパシタC31に向けて流れる場合に正値となり、逆方向に流れる場合に負値となるように計測される。
電流計測器MAA3は、第2の帰還電流値Inをセンシングして、制御回路100に出力する。第2の帰還電流値Inは、降圧チョッパ回路80の出力端子からキャパシタC31に向けて流れる場合に負値となり、逆方向に流れる場合に正値となるように計測される。
制御回路100は、第1の帰還電流値Ipと第2の帰還電流値Inとを取得する。制御回路100は、第1の帰還電流値Ipと第2の帰還電流値Inの差を算出する。
制御回路100は、この差(Ip-In)が0に近づくように、降圧チョッパ回路80へのスイッチング制御信号を生成する。すなわち、制御回路100は、降圧チョッパ回路80を定電流制御する。そして、降圧チョッパ回路80のスイッチング素子Q82は、このスイッチング制御信号に応じて動作する。
これにより、第1の帰還電流値Ipと第2の帰還電流値Inとの差は小さくなり(0に近づき)、循環電流は抑制される。
このように、循環電流が抑制されることによって、試験装置10は、試験状態を高精度に実現できる。すなわち、試験装置10は、模擬負荷に電力を供給する電力変換装置を所望の条件で試験運転できる。したがって、試験装置10は、所望とする条件の試験を精度良く実現できる。
図7(A)は、第1の実施形態の構成および制御のときの各帰還電流値を示したグラフである。図7(B)は、第1の実施形態に係る構成および制御のときの循環電流値を示したグラフである。
図7(A)に示すように、第1の実施形態の構成および制御を用いることによって、第1の帰還電流値Ipと第2の帰還電流値Inとは、定常的にほぼ同じになる。これにより、図7(B)に示すように、循環電流は、定常的にほぼ0になる。
したがって、試験装置10は、所望とする試験条件を精度良く実現でき、インバータ回路50や昇圧チョッパ回路40の動作試験を、精度良く実現できる。
[第2の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る試験装置について図を参照して説明する。図8は、第2の実施形態に係る試験装置の等価回路図である。
第2の実施形態に係る試験装置10Aは、第1の実施形態に係る試験装置10に対して、降圧チョッパ回路80の制御において異なる。すなわち、制御回路100Aの制御が、制御回路100と異なる。そして、図9に示すように、試験装置10Aは、試験装置10と比較して、電流計測器MAA2、および、電流計測器MAA3を省略し、電圧計測器MAV3を備える点で異なる。
制御回路100Aは、3相リアクトル60のコイルL61に流れる第1相電流Ia、コイルL62に流れる第2相電流Ib、コイルL63に流れる第3相電流Icの合計電流値Isumが0になるように、第1相電流Ia、第2相電流Ib、第3相電流Icのベクトル制御を行う。
より具体的には、電流計測器MAA11は、第1相電流Iaをセンシングして、制御回路100Aに出力する。第1相電流Iaは、昇圧チョッパ回路40からコイルL61に向けて流れる場合を正値とし、逆方向に流れる場合を負値として計測される。
電流計測器MAA12は、第2相電流Ibをセンシングして、制御回路100Aに出力する。第2相電流Ibは、昇圧チョッパ回路40からコイルL62に向けて流れる場合を正値とし、逆方向に流れる場合を負値として計測される。
電流計測器MAA13は、第3相電流Icをセンシングして、制御回路100Aに出力する。第3相電流Icは、昇圧チョッパ回路40からコイルL63に向けて流れる場合を正値とし、逆方向に流れる場合を負値として計測される。
このように、試験装置10Aでは、電流計測器MAA11、電流計測器MAA12、電流計測器MAA13を、第3の制御用計測器として利用する。
制御回路100Aは、第1相電流Ia、第2相電流Ib、および、第3相電流Icを取得する。制御回路100Aは、第1相電流Ia、第2相電流Ib、および、第3相電流Icを合算して、合計電流値Isumを算出する。
制御回路100Aは、合計電流値Isumが0に近づくように、インバータ回路70へのスイッチング制御信号を生成する。
これにより、第1相電流Ia、第2相電流Ib、および、第3相電流Icのバランスが保たれる(合計電流値Isumが0に近づく)。したがって、電圧計測器MAV3の計測した出力電圧を用いて降圧チョッパ回路80で定電圧制御を行っても、第1の帰還電流値Ipと第2の帰還電流値Inとの差は小さくなり、循環電流は抑制される。
このように、循環電流が抑制されることによって、試験装置10Aは、試験状態を高精度に実現できる。すなわち、試験装置10Aは、模擬負荷に電力を供給する電力変換装置を所望の条件で試験運転できる。したがって、試験装置10Aは、所望とする条件の試験を精度良く実現できる。
図9(A)は、第2の実施形態の構成および制御のときの各帰還電流値を示したグラフである。図9(B)は、第2の実施形態に係る構成および制御のときの循環電流値を示したグラフである。
図9(A)に示すように、第2の実施形態の構成および制御を用いることによって、第1の帰還電流値Ipと第2の帰還電流値Inとは、定常的にほぼ同じになる。これにより、図9(B)に示すように、循環電流は、定常的にほぼ0になる。
したがって、試験装置10Aは、所望とする試験条件を精度良く実現でき、インバータ回路50や昇圧チョッパ回路40の動作試験を、精度良く実現できる。
なお、上述の各実施形態に係る昇圧チョッパ回路40および降圧チョッパ回路80のダイオードは、スイッチング素子(例えば、FET)に置き換えることもできる。すなわち、昇圧チョッパ回路40および降圧チョッパ回路80は、非同期型から同期型に置き換えることもできる。
10、10A:試験装置
20:交流入力部
30:全波整流回路
40:昇圧チョッパ回路
50:インバータ回路
60:3相リアクトル
70:インバータ回路
80:降圧チョッパ回路
91、92:帰還路
100、100A:制御回路
C31、C40、C81、C82:キャパシタ
D42、D81:ダイオード
Ia:第1相電流
Ib:第2相電流
Ic:第3相電流
Ip:第1の帰還電流値
In:第2の帰還電流値
L31、L32、L33、L34:インダクタ
L40:インダクタ
L61、L62、L63:コイル
L80:インダクタ
MAA11、MAA12、MAA13、MAA2、MAA3:電流計測器
MAV2:電圧計測器
Q1-Q12:スイッチング素子
Q41:スイッチング素子
Q82:スイッチング素子

Claims (3)

  1. 一対となる第1の入力端子と第2の入力端子を有し、第1直流電圧を出力する昇圧チョッパ回路と、
    前記第1直流電圧から3相交流電圧を生成する第1の3相インバータ回路と、
    前記第1の3相インバータ回路に接続し、前記3相交流電圧が供給される擬似負荷である3相リアクトルと、
    前記3相リアクトルに流れる3相交流電流を整流し、第2直流電圧に変換する第2の3相インバータ回路と、
    前記第2の3相インバータ回路に接続し、一対となる第1の出力端子と第2の出力端子を備え、定電流制御によって前記第2直流電圧を降圧して前記一対となる第1の出力端子と第2の出力端子から出力する降圧チョッパ回路と、
    前記第1の出力端子と前記第1の入力端子とを接続する第1の帰還路と、
    前記第2の出力端子と前記第2の入力端子とを接続する第2の帰還路と、
    前記昇圧チョッパ回路、前記第1の3相インバータ回路、前記第2の3相インバータ回路、および、前記降圧チョッパ回路の動作を制御する制御回路と、
    前記昇圧チョッパ回路または前記第1の3相インバータ回路の動作試験用計測値を計測する試験用計測器と、
    を備え、
    前記第1の帰還路に流れる第1の帰還電流値を計測する第1の制御用計測器と、
    前記第2の帰還路に流れる第2の帰還電流値を計測する第2の制御用計測器と、
    をさらに備え、
    前記制御回路は、前記第1の帰還電流値と前記第2の帰還電流値との差を小さくするように、前記降圧チョッパ回路の動作を制御する、
    試験装置。
  2. 一対となる第1の入力端子と第2の入力端子を有し、第1直流電圧を出力する昇圧チョッパ回路と、
    前記第1直流電圧から3相交流電圧を生成する第1の3相インバータ回路と、
    前記第1の3相インバータ回路に接続し、前記3相交流電圧が供給される擬似負荷である3相リアクトルと、
    前記3相リアクトルに流れる3相交流電流を整流し、第2直流電圧に変換する第2の3相インバータ回路と、
    前記第2の3相インバータ回路に接続し、一対となる第1の出力端子と第2の出力端子を備え、前記第2直流電圧を降圧して第3直流電圧を生成し、前記一対となる第1の出力端子と第2の出力端子から出力する降圧チョッパ回路と、
    前記第1の出力端子と前記第1の入力端子とを接続する第1の帰還路と、
    前記第2の出力端子と前記第2の入力端子とを接続する第2の帰還路と、
    前記昇圧チョッパ回路、前記第1の3相インバータ回路、前記第2の3相インバータ回路、および、前記降圧チョッパ回路の動作を制御する制御回路と、
    前記昇圧チョッパ回路または前記第1の3相インバータ回路の動作試験用計測値を計測する試験用計測器と、
    を備え、
    前記3相交流電流のそれぞれを個別に計測する複数の第3の制御用計測器をさらに備え、
    前記制御回路は、
    前記降圧チョッパ回路を定電圧制御し、前記3相交流電流のそれぞれを合計した合計電流値が0に近づくように前記第2のインバータ回路の動作を制御する、
    試験装置。
  3. 前記制御回路は、
    前記3相リアクトルをブラシレスモータの界磁巻線として擬似するように、前記ブラシレスモータの速度指令値に応じた周波数およびトルク指令値を実現する電流が前記3相リアクトルの各相に流れるように前記3相交流電流のベクトル制御を行う、
    請求項1または請求項2に記載の試験装置。
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