JP2023019273A - 吸収性物品、及び吸収性物品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】吸収性能の向上と補助吸収性シートの取り外しの容易化の両立を図る。【解決手段】本開示にかかる吸収性物品10は、肌面側のトップシート13と、非肌面側のバックシート14と、トップシート13とバックシート14との間に設けられる吸収体15とを有する吸収性物品本体11と、肌面側の肌面側シート20と、非肌面側の非肌面側シート21と、肌面側シート20と非肌面側シート21との間に設けられる高吸水性ポリマー22とを有し、吸収性物品本体11のトップシート13の肌面側に取り外し可能に取り付けられる補助吸収性シート12と、を備え、吸収性物品本体11のトップシート13と補助吸収性シート12の非肌面側シート21とは、水溶性バインダー23で接着されている。【選択図】図2
Description
本開示は、吸収性物品、及び吸収性物品の製造方法に関する。
軽失禁ケア製品、尿取りパッド、パンツ型紙おむつ、テープ止め紙おむつ等の吸収性物品には、その肌面側に補助吸収性シートを取り付け、尿等の体液を吸収した補助吸収性シートを取り外して廃棄することが可能なものがある。
例えば、特許文献1には、使い捨てパッドを積み重ねて、汚損したパッドのみを取換え使用する積み重ねパッドが記載されている。
また、特許文献2には、使い捨ておむつが記載されている。使い捨ておむつは、使い捨てのおむつ本体、および、おむつ本体の内面上に固定されて着用者からの排泄物を受ける吸収性物品である積層吸収性シートを備える。積層吸収性シートは、上下方向に積層された複数の吸収性シートを備える。吸収性シートは、幅方向の両側部のみにおいて熱融着接合やホットメルト接着剤によりおむつ本体に接合される。
また、特許文献3には、吸収性物品の積層体が記載されている。上側ナプキン及び下側ナプキンはそれぞれ吸収性本体を具備する。使用時に下着のような衣類に向けられる下側ナプキンの肌非当接側シートの外面には、ナプキン積層体ないし下側ナプキンを衣類に固定するための粘着剤が適用される。
また、特許文献4には、吸収性パッドが複数積層された吸収性パッド積層体が記載されている。吸収性パッド積層体は、例えば別体の吸収性物品の上面に載置して用いられる。積層された吸収性パッドどうしは、例えば、断続的に塗布された接着剤、押圧(エンボス)、熱融着等により、積層された吸収性パッドどうしが取り外し可能に接合されている。吸収性パッド積層体の下面には、別体の吸収性物品や下着(パンツ)に取り付けるための、接着剤やフック・ループ・ファスナーのフック部材等の固定手段が設けられる。
ところで、軽失禁ケア製品、尿取りパッド、パンツ型紙おむつ、テープ止め紙おむつ等の吸収性物品には、吸収性能(尿等の吸収量や繰り返し吸収時のドライ感など)の向上が求められている。また、補助吸収性シートを取り外す際の取り外しの容易化も求められている。
そこで、本開示は、吸収性能の向上と補助吸収性シートの取り外しの容易化の両立を図ることが可能な吸収性物品、及び吸収性物品の製造方法の提供を目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様の吸収性物品は、肌面側のトップシートと、非肌面側のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に設けられる吸収体とを有する吸収性物品本体と、肌面側の肌面側シートと、非肌面側の非肌面側シートと、前記肌面側シートと前記非肌面側シートとの間に設けられる高吸水性ポリマーとを有し、前記吸収性物品本体の前記トップシートの肌面側に取り外し可能に取り付けられる補助吸収性シートと、を備え、前記吸収性物品本体の前記トップシートと前記補助吸収性シートの前記非肌面側シートとは、水溶性バインダーで接着されている。
本発明の第2の態様は、上記第1の態様の吸収性物品であって、前記水溶性バインダーは、前記補助吸収性シートの幅方向の両端部に設けられている。
本発明の第3の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様の吸収性物品であって、前記補助吸収性シートの前記肌面側シート及び前記非肌面側シートは、通水性の不織布であり、前記非肌面側シートの幅方向中央の領域は、撥水処理されている。
本発明の第4の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様の吸収性物品であって、前記補助吸収性シートの前記肌面側シート及び前記非肌面側シートは、通水性の不織布であり、前記非肌面側シートの幅方向中央の領域の肌面側及び非肌面側の少なくとも一方には、非通水性フィルムが接着されている。
本発明の第5の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様の吸収性物品であって、前記補助吸収性シートの前記肌面側シートは、通水性の不織布であり、前記補助吸収性シートの前記非肌面側シートは、非通水性フィルムであり、前記非肌面側シートの幅方向の長さは、前記肌面側シートの幅方向の長さよりも短い。
本発明の第6の態様は、上記第1の態様から上記第5の態様のいずれかの吸収性物品であって、前記補助吸収性シートは、高吸水性ポリマーが存在するポリマー存在領域と、高吸水性ポリマーが存在しないポリマー非存在領域とを有し、前記ポリマー存在領域と前記ポリマー非存在領域とは、長手方向にそれぞれ延び、幅方向に互いに交互に配置される。
本発明の第7の態様は、上記第1の態様から上記第6の態様のいずれかの吸収性物品であって、前記補助吸収性シートは、前記吸収性物品本体の長手方向のうち、着用者の股下に位置する領域に設けられている。
本発明の第8の態様は、上記第1の態様から上記第7の態様のいずれかの吸収性物品であって、前記吸収性物品本体の前記吸収体は、高吸水性ポリマーを含む。
本発明の第9の態様は、上記第1の態様から上記第8の態様のいずれかの吸収性物品であって、前記吸収性物品本体は、前記トップシートの肌面側の幅方向の両側に配置されて幅方向と交叉する長手方向に延びる1対のギャザーを有し、前記補助吸収性シートは、前記1対のギャザー間に配置され、前記補助吸収性シートの幅方向の両端は、前記1対のギャザーの根元に近接又は接触する。
本発明の第10の態様は、上記第9の態様の吸収性物品であって、前記水溶性バインダーは、前記1対のギャザーが伏した状態において、前記1対のギャザーの非肌面側に位置し、前記1対のギャザーと重なる領域に設けられる。
本発明の第11の態様は、肌面側のトップシートと、非肌面側のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に設けられる吸収体と、前記トップシートの肌面側にギャザーを構成する左右のギャザーシートと、前記トップシートの肌面側に設けられる補助吸収性シートとを備えた吸収性物品の製造方法であって、連続する前記トップシート、前記補助吸収性シート、前記左右のギャザーシート、及び前記バックシートを搬送する第1工程と、前記補助吸収性シートを長手方向に離間分離する第2工程と、分離された前記補助吸収性シートを、前記トップシートの肌面側に水溶性バインダーで接着する第3工程と、前記左右のギャザーシートを、前記トップシートのうち前記補助吸収性シートよりも幅方向の両側の領域に接着して複合シートを得る第4工程と、前記吸収体を前記複合シートと前記バックシートとの間に挟持する第5工程と、をこの工程順に含む。
本開示によれば、吸収性物品の吸収性能の向上と補助吸収性シートの取り外しの容易化の両立を図ることができる。
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明するが、これらは例示の目的で掲げたもので、これらにより本発明を限定するものではない。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ符号を付する。
また、本明細書の説明において、吸収性物品1の着用時とは、吸収性物品1の着用時及び着用後の少なくとも一方をいう。吸収性物品1の長手方向とは、吸収性物品1が着用されたときに着用者の前後にわたる方向であり、図中の符号Yは、長手方向の前方側を示す。また、吸収性物品1の幅方向とは、長手方向に対して横又は直交する方向(着用されたときに着用者の左右にわたる方向)であり、図中の符号Xは、幅方向の左側を示す。また、肌面側とは、吸収性物品1の厚さ方向のうち、着用時に着用者の肌側に向く方向(図中の符号Zが示す方向)を示し、非肌面側とは、着用時に着用者の肌側とは反対側に向く方向(図中の符号Zで示す方向とは反対の方向)を示す。体液とは、尿や血液、軟便中の水分等の体内から体外に排出された液体をいう。さらに、吸収性物品1としては、ベビー用又は成人用を問わず、軽失禁ケア製品、尿取りパッド、パンツ型紙おむつ、テープ止め紙おむつが例示されるが、これに限定されるものではなく、その他の吸収性物品であってもよい。
図1は、本発明の第1実施形態に係る吸収性物品10の平面図である。図2は、図1のII-II矢視断面図である。なお、図2の白抜き矢印は、体液の移動方向を概略的に示す。
図1及び図2に示すように、本発明の第1実施形態に係る吸収性物品10は、例えば、使い捨てのおむつであって、吸収性物品本体11と、吸収性物品本体11の肌面側に取り外し可能に取り付けられる補助吸収性シート12とを備える。
吸収性物品本体11は、肌面側に配置されるトップシート13と、トップシート13に対向して非肌面側に配置されるバックシート14と、トップシート13とバックシート14との間に配置される吸収体15と、トップシート13上に左右1対のギャザー17cを構成する左右のギャザーシート17と、を有する。これにより、吸収体15は、トップシート13とバックシート14との間に挟まれた構造となっている。
吸収性物品本体11の長手方向の寸法は、100mm以上800mm以下、幅方向の寸法は、50mm以上500mm以下であることが好ましい。吸収性物品本体11の寸法を上記の範囲に調整することにより、軽失禁パッド、パンツ型紙おむつ、テープ止め紙おむつ等に適した吸収性物品本体11を得ることができる。
トップシート13は、体液が吸収体15へと移動するような通水性(液透過性)を備えた不織布によって形成される。不織布の一例としては、例えば、エアスルー不織布、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布等の不織布、サーマルボンド/スパンボンドを積層した複合不織布などがある。なお、本実施形態では、トップシート13を通水性の不織布によって形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、通水性のウレタンフォーム等の発泡フィルム、あるいは、不織布や発泡フィルムを積層した複合シートによって形成されてもよい。また、トップシート13には、通水性を向上させるために、表面にエンボス加工や穿孔加工を施してもよい。これらのエンボス加工や穿孔加工を施すための方法としては、公知の方法を制限なく実施することができる。また、肌への刺激を低減させるため、トップシート13には、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等を含有させてもよい。
トップシート13の坪量は、強度、加工性及び液戻り量の点から、18g/m2以上40g/m2以下であることが好ましい。トップシート13の形状としては特に制限はないが、漏れがないように体液を吸収体15へと誘導するために必要とされる、吸収体15を覆う形状であればよい。
バックシート14は、吸収体15が保持している体液が衣類を濡らさないような非通水性(液不透過性)を備えた基材を用いて形成されていればよく、樹脂フィルムや、樹脂フィルムと不織布とを積層した複合シートといった材料から形成される。複合シートに用いられる不織布としては、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、あるいは、スパンボンド/メルトブロー、スパンボンド/メルトブロー/スパンボンドを積層した複合不織布及びこれらの複合材料が挙げられる。また、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等が挙げられる。
バックシート14の坪量は、強度及び加工性の点から、15g/m2以上60g/m2以下であることが好ましい。また、装着時の蒸れを防止するため、バックシート14には、通気性を持たせることが好ましい。バックシート14に通気性を備えさせるためには、例えば、基材の樹脂フィルムにフィラーを配合したり、バックシート14にエンボス加工を施したりすればよい。なお、フィラーとしては炭酸カルシウムを挙げることができ、その配合方法は、公知の方法を制限なく行うことができる。
吸収体15は、尿を吸収し、かつ、逆流を防止できる高吸水性ポリマー18(SAP(super absorbent polymer))を含む。高吸水性ポリマー18としては、ポリアクリル酸ナトリウム系、ポリアスパラギン酸塩系、(デンプン-アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸-ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン-無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物等の材料から形成されたものを使用することができる。なお、高吸水性ポリマー18の漏洩防止や、吸収体15の全体の形状の安定化の目的から、吸収体15をキャリアシートに包んでもよい。キャリアシートの基材としては親水性を有するものであればよく、ティシュ、吸収紙、エアレイド不織布等の親水性不織布を挙げることができる。
吸収体15の長手方向の最長幅の寸法は、80mm以上780mm以下であることが好ましく、150mm以上500mm以下であることがより好ましい。また、吸収体15の幅方向の最長幅の寸法は、30mm以上480mm以下であることが好ましく、70mm以上105mm以下であることがより好ましい。
左右のギャザーシート17は、左右1対のギャザー17cを構成するシートであって、幅方向の外端部17aがバックシート14の幅方向の外端部に固定され、外端部17aよりも幅方向の内側の部分17bがトップシート13の幅方向の外端部に固定され、トップシート13に固定される部分17bよりも幅方向の内側の領域17cが自由端となっている。左右のギャザーシート17のうち、トップシート13に固定される部分17bよりも幅方向の内側の領域(自由端側の領域)17cは、長手方向に延びるギャザー17cとして機能する。ギャザー17cには、立体ギャザー用弾性部材19が長手方向に沿って設けられる。これにより、ギャザー17cは、図2に実線で示すように、起立性を有し、着用者の体型に合わせて変形可能となる。ギャザーシート17としては、疎水性繊維にて形成された撥水性又は非通水性の不織布、例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、スパンボンド/メルトブロー/スパンボンドを積層した複合不織布等が使用される。また、立体ギャザー用弾性部材19としては、例えば、ポリウレタン糸、帯状のポリウレタンフィルム、糸状又は帯状の天然ゴム等が使用される。
補助吸収性シート12は、肌面側に配置される肌面側シート20と、肌面側シート20に対向して非肌面側に配置される非肌面側シート21と、肌面側シート20と非肌面側シート21との間に設けられる高吸水性ポリマー22とを有し、シート状に形成される。これにより、高吸水性ポリマー22は、肌面側シート20と非肌面側シート21との間に挟まれた構造となっている。なお、肌面側シート20と非肌面側シート21は、高吸水性ポリマー22がこぼれ出さないように、両シート20,21の周囲を互いに接合させる構造となっている。この接合は、公知の非水溶性ホットメルト又はヒートシールで行うことができ、この処理方法をとることで、吸水時も吸水や高吸水性ポリマー22の膨潤する力によってシート20,21同士が離れることを防ぐことができ、高吸水性ポリマー22のこぼれ出しを防止することができる。
補助吸収性シート12は、吸収性物品本体11の左右のギャザー17c間に配置される。また、補助吸収性シート12は、吸収性物品本体11の長手方向のうち、着用者の股下に位置する領域に配置される。補助吸収性シート12は、吸収性物品本体11のトップシート13に対して後述する水溶性バインダー23によって取り外し可能に接着されている。補助吸収性シート12の幅方向の両端12aは、左右のギャザー17cの根元に近接又は接触する。すなわち、補助吸収性シート12の幅方向の長さは、左右のギャザー17cの根元間の幅方向の距離L1と略同じ長さに設定される。近接する場合は、補助吸収性シート12の幅方向の両端12aと左右のギャザーシート17の内側の部分17bとの近接する距離は10mm以下であればよい。このように補助吸収性シート12とギャザーシート17との間の距離を多少離すと、製造工程において両シート12,17を、それぞれ吸収性物品本体11のトップシート13の肌面側に、互いにZ方向に重複せずに確実に接着加工することができる。
肌面側シート20は、吸収性物品本体11のトップシート13と同様に、体液が高吸水性ポリマー22へと移動するような通水性(液透過性)を備えた不織布によって形成される。
非肌面側シート21は、通水性(液透過性)を備えた不織布によって形成されるシートであって、幅方向の両側の外端部の接着領域21aと、左右の接着領域21a間の撥水領域21bとを有する。
非肌面側シート21の左右の接着領域21aは、通水性を有し、水溶性バインダー23によって吸収性物品本体11のトップシート13の肌面側の面に接着される。すなわち、非肌面側シート21の左右の接着領域21aの非肌面側の面が、水溶性バインダー23によって吸収性物品本体11のトップシート13の肌面側の面に接着される。非肌面側シート21の左右の接着領域21aは、吸収性物品本体11のトップシート13のうち、左右のギャザー17c間の領域の幅方向の両端部に対向する。非肌面側シート21の左右の接着領域21aは、左右のギャザー17cが伏した状態(図2に二点鎖線で示す状態)で、左右のギャザー17cの非肌面側に位置し、吸収性物品10の厚さ方向(符号Zに沿った方向)に左右のギャザー17cと重なる領域である。
非肌面側シート21の撥水領域21bは、非肌面側シート21の幅方向中央(左右の接着領域21aよりも幅方向中央)の領域であって、撥水処理が施されている。非肌面側シート21の撥水領域21bは、例えば、シリコンやフッ素などのコーティング剤で非肌面側シート21の肌面側の面をコーティングすることによって、撥水処理が施されている。非肌面側シート21の撥水領域21bでは、高吸水性ポリマー22側(肌面側)からの水分は、コーティング剤によってはじかれる。なお、非肌面側シート21の撥水領域21bは、撥水処理が施されていても、通気性は確保されている。
高吸水性ポリマー22は、吸収性物品本体11の吸収体15の高吸水性ポリマー18と同様に、ポリアクリル酸ナトリウム系、ポリアスパラギン酸塩系、(デンプン-アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸-ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン-無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物等の材料から形成されたものを使用することができる。高吸水性ポリマー22は、キャリアシートに包まれてもよい。キャリアシートの基材としては親水性を有するものであればよく、ティシュ、吸収紙、エアレイド不織布等の親水性不織布を挙げることができる。
補助吸収性シート12の非肌面側シート21の左右の接着領域21aと吸収性物品本体11のトップシート13とを接着する水溶性バインダー23は、水に溶ける性質を有するバインダーであって、例えば、水溶性ポリビニルアルコール系バインダー、水溶性アクリル系バインダー、水溶性ウレタン系バインダー、水溶性ウレタン変性エーテル系バインダー、水溶性ポリエチレンオキサイド系バインダー、水溶性ポリアミド系バインダー、水溶性フェノール系バインダー、水溶性酢酸ビニル系バインダー、水溶性スチレンアクリル酸系バインダー、水溶性スチレンマレイン酸系バインダー、水溶性スチレンアクリルマレイン酸系バインダー、水溶性ポリエステル系バインダー、水溶性ポリビニルアセタール系バインダー、水溶性ポリエステル・ウレタン系バインダー、水溶性ポリエーテル・ウレタン系バインダー、水溶性ホットメルト接着剤のいずれかをを用いることができる。中でも、水溶性ホットメルト接着剤が、水溶性、一時的接着性(加熱により接着するが、湿状態で接着力が低下する性質)の点で好ましい。水溶性ホットメルトは公知のもの(特開昭51-77632号公報、特開平5-5084号公報、特開平6-49423号公報、特開平07-305041号公報、特開平08-092537号公報、特開平09-031431号公報、特開平11-323305号公報など)を用いることができる。中でも、高速接着性に優れる水溶性ホットメルト(特開平11-323305号公報)が好ましい。
水溶性バインダー23は、非肌面側シート21の左右の接着領域21aに設けられる。すなわち、水溶性バインダー23は、左右のギャザー17cが伏した状態(図2に二点鎖線で示す状態)で、左右のギャザー17cの非肌面側に位置し、吸収性物品10の厚さ方向(符号Zに沿った方向)に左右のギャザー17cと重なる領域に設けられる。
上記のように構成された吸収性物品10では、吸収体15を有する吸収性物品本体11の肌面側に、高吸水性ポリマー22を有する補助吸収性シート12が取り外し可能に取り付けられるので、体液を補助吸収性シート12の高吸水性ポリマー22で吸収した後、補助吸収性シート12を吸収性物品本体11から取り外すことができる。このため、吸収性物品本体11の吸収体15によって体液を再度吸収することができるので、吸収量(吸収性能)の向上を図ることができる。
また、補助吸収性シート12は、吸収性物品本体11のトップシート13に対して水溶性バインダー23によって取り外し可能に接着されている。水溶性バインダー23は、水に溶ける性質を有するので、補助吸収性シート12の高吸水性ポリマー22で体液を吸収する際、あるいは吸収した後に、補助吸収性シート12側から吸収性物品本体11側へ流通する体液によって、水溶性バインダー23を溶かすことができる。このため、補助吸収性シート12で体液を吸収した後、補助吸収性シート12を吸収性物品本体11から容易に取り外すことができる。
また、補助吸収性シート12の幅方向の両端12aは、左右のギャザー17cの根元に近接又は接触する。このように、補助吸収性シート12が、左右のギャザー17c間に幅広く設けられているので、補助吸収性シート12の面積を広く確保することができ、広い領域で体液を吸収することができる。
また、水溶性バインダー23は、非肌面側シート21の幅方向の両端部(外端部の接着領域21a)に設けられるので、水溶性バインダー23を非肌面側シート21の幅方向の中央部に設ける場合とは異なり、水溶性バインダー23を着用者の排泄部から幅方向にずらした位置に配置することができる。このため、水溶性バインダー23が溶けた際に、着用者の排泄部への水溶性バインダー23の接触を抑えることができ、着用感の低下を防止することができる。
また、水溶性バインダー23は、非肌面側シート21の幅方向の両端部(外端部の接着領域21a)に設けられ、非肌面側シート21の左右の接着領域21aは、吸収性物品本体11のトップシート13のうち、左右のギャザー17c間の領域の幅方向の両端部に対向する。すなわち、水溶性バインダー23は、吸収性物品本体11のトップシート13のうち、左右のギャザー17c間の領域の幅方向の両端部に位置するので、補助吸収性シート12を吸収性物品本体11から取り外した後、溶けた水溶性バインダー23がトップシート13上に残るとしても、トップシート13の幅方向の中央部には残らない。このため、補助吸収性シート12を吸収性物品本体11から取り外した後、溶けた水溶性バインダー23がトップシート13の幅方向の中央部に留まる場合とは異なり、溶けた水溶性バインダー23による吸収性物品本体11の吸収性の低下を抑えることができる。
また、水溶性バインダー23は、左右のギャザー17cが伏した状態(図2に二点鎖線で示す状態)で、左右のギャザー17cの非肌面側に位置し、吸収性物品10の厚さ方向(符号Zに沿った方向)に左右のギャザー17cと重なる領域に設けられる。すなわち、水溶性バインダー23が設けられる領域を、伏した状態の左右のギャザー17cによって肌面側からカバーすることができるので、水溶性バインダー23が溶けた後、溶けた水溶性バインダー23が肌面側へ移動したとしても、溶けた水溶性バインダー23が着用者の肌に直接的に触れてしまうことを、伏した状態の左右のギャザー17cによって防止することができる。
また、補助吸収性シート12の非肌面側シート21の左右の接着領域21aは、通水性を有し、非肌面側シート21の幅方向中央の撥水領域21bは、撥水処理が施されている。このため、図2に白抜き矢印で示すように、補助吸収性シート12の肌面側から吸収された体液は、非肌面側シート21の幅方向中央の撥水領域21bからは吸収性物品本体11側へ移動し難く、幅方向の両側へ移動する。このため、非肌面側シート21の幅方向の両側の接着領域21aへ体液を案内することができるので、水溶性バインダー23を多くの体液によって確実に溶かすことができ、補助吸収性シート12を吸収性物品本体11から容易に取り外すことができる。
また、非肌面側シート21の幅方向中央の撥水領域21bは、撥水処理が施されており、補助吸収性シート12の肌面側から吸収された体液は、非肌面側シート21の幅方向中央の撥水領域21bから吸収性物品本体11側へ移動し難い。このため、補助吸収性シート12を吸収性物品本体11から取り外した後の、吸収性物品本体11の幅方向中央の領域を体液未吸収の状態にすることができ、吸収性物品本体11の幅方向中央の領域にドライ感のある表面状態を作ることができるので、繰り返しの吸収に適した状態を確保することができる。
また、補助吸収性シート12は、吸収性物品本体11の長手方向のうち、着用者の股下に位置する領域に配置されるので、股下の領域の吸収性能を強化して、必要な領域の吸収性能を向上させることができる。
また、補助吸収性シート12がある状態で体液を吸収した場合、体液は、補助吸収性シート12、及び吸収性物品本体11の幅方向の両側の領域に吸収され、補助吸収性シート12の真下の吸収性物品本体11には吸収され難い。吸収性物品本体11の吸収体15は、高吸水性ポリマー18を含むので、吸収性物品本体11の幅方向の両側の領域の高吸水性ポリマー18が膨潤し、補助吸収性シート12の真下の領域の高吸水性ポリマー18は膨潤しない。このため、吸収性物品本体11の幅方向の断面形状は、幅方向の中央部が非肌面側へ凹む形状(以下、「凹部」という。)となるので、補助吸収性シート12を剥がした後は、着用者の排泄部は、吸収性物品本体11の凹部に接することとなる。これにより、吸収性物品本体11の凹部が、吸収体スリットのような機能を果たすこととなり、体液の横漏れを防止することができる。
このように、本実施形態によれば、吸収性物品10の吸収性能の向上と補助吸収性シート12の取り外しの容易化の両立を図ることができる。
次に、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の吸収性物品30は、補助吸収性シート31に非通水性フィルム32を設けている点で第1実施形態と相違する。なお、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
図3は、本発明の第2実施形態に係る吸収性物品30の補助吸収性シート31の断面図である。なお、図3では、分かり易くするために、吸収性物品本体11のトップシート13を図示しており、また、吸収性物品本体11の他の部分についての図示を省略している。
図3に示すように、本実施形態に係る吸収性物品30は、吸収性物品本体11と、吸収性物品本体11の肌面側に取り外し可能に取り付けられる補助吸収性シート31とを備える。
補助吸収性シート31は、肌面側に配置される肌面側シート33と、肌面側シート33に対向して非肌面側に配置される非肌面側シート34と、肌面側シート33と非肌面側シート34との間に設けられる高吸水性ポリマー22とを有し、シート状に形成される。これにより、高吸水性ポリマー22は、肌面側シート33と非肌面側シート34との間に挟まれた構造となっている。肌面側シート33と非肌面側シート34とは、第1実施形態の肌面側シート20及び非肌面側シート21と同様に、高吸水性ポリマー22がこぼれ出さないように、両シート33,34の高吸水性ポリマー22の周囲を互いに接合させる構造となっている。なお、本実施形態に係る吸収性物品30の補助吸収性シート31は、その構成が第1実施形態の吸収性物品10の補助吸収性シート12と異なるが、吸収性物品本体11に対する配置位置、接着態様は、第1実施形態と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
肌面側シート33は、吸収性物品本体11のトップシート13と同様に、体液が高吸水性ポリマー22へと移動するような通水性(液透過性)を備えた不織布によって形成される。
非肌面側シート34は、通水性(液透過性)を備えた不織布によって形成されるシートであって、幅方向の両側の外端部の接着領域34aと、左右の接着領域34a間の中央領域34bとを有する。左右の接着領域34aは、通水性を有し、水溶性バインダー23によって吸収性物品本体11のトップシート13の肌面側の面に接着される。左右の接着領域34aは、吸収性物品本体11のトップシート13のうち、左右のギャザー17c間の領域の幅方向の両端部に対向する。左右の接着領域34aは、左右のギャザー17cが伏した状態(図2に二点鎖線で示す状態)で、左右のギャザー17cの非肌面側に位置し、吸収性物品30の厚さ方向(符号Zに沿った方向)に左右のギャザー17cと重なる領域である。非肌面側シート34の中央領域34bの非肌面側には、非通水性(液不透過性)の非通水性フィルム32が接着されている。なお、非肌面側シート34の中央領域34bに、非通水性フィルム32に加えて、第1実施形態と同様に、撥水処理を施してもよい。
非通水性フィルム32は、樹脂フィルムであってもよく、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等が挙げられる。
上記のように構成された吸収性物品30では、吸収性物品本体11の肌面側に、高吸水性ポリマー22を有する補助吸収性シート31が取り外し可能に取り付けられるので、体液を補助吸収性シート31の高吸水性ポリマー22で吸収した後、補助吸収性シート31を吸収性物品本体11から取り外すことができる。補助吸収性シート31を吸収性物品本体11から取り外すことによって、体液を吸収性物品本体11の吸収体15で再度吸収することができるので、吸収量(吸収性能)の向上を図ることができる。
また、補助吸収性シート31は、吸収性物品本体11のトップシート13に対して水溶性バインダー23によって取り外し可能に接着されている。水溶性バインダー23は、水に溶ける性質を有するので、補助吸収性シート31の高吸水性ポリマー22で体液を吸収する際、あるいは吸収した後に、補助吸収性シート31側から吸収性物品本体11側へ流通する体液によって、水溶性バインダー23を溶かすことができる。このため、補助吸収性シート31で体液を吸収した後、補助吸収性シート31を吸収性物品本体11から容易に取り外すことができる。
また、補助吸収性シート31の非肌面側シート34の中央領域34bの非肌面側には、非通水性(液不透過性)の非通水性フィルム32が接着されている。このため、補助吸収性シート31の肌面側からの体液が、補助吸収性シート31の幅方向の両側へ案内されるので、非肌面側シート34の幅方向の両側の接着領域34aへ体液を案内して、水溶性バインダー23を多くの体液によって確実に溶かすことができ、補助吸収性シート31を吸収性物品本体11から容易に取り外すことができる。
また、補助吸収性シート31の非肌面側シート34の中央領域34bの非肌面側には、非通水性(液不透過性)の非通水性フィルム32が接着されており、補助吸収性シート31の肌面側からの体液が、補助吸収性シート31の幅方向の両側へ案内されるので、吸収性物品本体11の幅方向中央への体液の移動を抑えることができる。このため、補助吸収性シート31を吸収性物品本体11から取り外した後の、吸収性物品本体11の幅方向中央の領域を体液未吸収の状態にすることができ、吸収性物品本体11の幅方向中央の領域にドライ感のある表面状態を作ることができるので、繰り返しの吸収に適した状態を確保することができる。
このように、本実施形態によれば、吸収性物品30の吸収性能の向上と補助吸収性シート31の取り外しの容易化の両立を図ることができる。
なお、本実施形態では、非通水性(液不透過性)の非通水性フィルム32を、補助吸収性シート31の非肌面側シート34の中央領域34bの非肌面側に設けたが、非肌面側シート34の中央領域34bの肌面側に設けてもよい。あるいは、非通水性フィルム32を、補助吸収性シート31の非肌面側シート34の中央領域34bの両面(肌面側及び非肌面側の双方の面)に設けてもよい。
次に、本発明の第3実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の吸収性物品40は、補助吸収性シート41の非肌面側シート43が非通水性フィルムで構成される点で第1実施形態と相違する。なお、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
図4は、本発明の第3実施形態に係る吸収性物品40の補助吸収性シート41の断面図である。なお、図4では、分かり易くするために、吸収性物品本体11のトップシート13を図示しており、また、吸収性物品本体11の他の部分についての図示を省略している。
図4に示すように、本実施形態に係る吸収性物品40は、吸収性物品本体11と、吸収性物品本体11の肌面側に取り外し可能に取り付けられる補助吸収性シート41とを備える。
補助吸収性シート41は、肌面側に配置される肌面側シート42と、肌面側シート42に対向して非肌面側に配置される非肌面側シート43と、肌面側シート42と非肌面側シート43との間に設けられる高吸水性ポリマー22とを有し、シート状に形成される。これにより、高吸水性ポリマー22は、肌面側シート42と非肌面側シート43との間に挟まれた構造となっている。肌面側シート42と非肌面側シート43とは、第1実施形態の肌面側シート20及び非肌面側シート21と同様に、高吸水性ポリマー22がこぼれ出さないように、両シート42,43の高吸水性ポリマー22の周囲を互いに接合させる構造となっている。なお、本実施形態に係る吸収性物品40の補助吸収性シート41は、その構成が第1実施形態の吸収性物品10の補助吸収性シート12と異なるが、吸収性物品本体11に対する配置位置、接着態様は、第1実施形態と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
肌面側シート42は、吸収性物品本体11のトップシート13と同様に、体液が高吸水性ポリマー22へと移動するような通水性(液透過性)を備えた不織布によって形成される。
非肌面側シート43は、非通水性(液不透過性)の非通水性フィルムによって形成されるシートであって、非肌面側シート43の幅方向の長さL2が、肌面側シート42の幅方向の長さL3よりも短い。非肌面側シート43は、幅方向の両側の外端部に接着領域43aを有する。左右の接着領域43aは、水溶性バインダー23によって吸収性物品本体11のトップシート13の肌面側の面に接着される。左右の接着領域43aは、吸収性物品本体11のトップシート13のうち、左右のギャザー17c間の領域の幅方向の両端部に対向する。左右の接着領域43aは、左右のギャザー17cが伏した状態(図2に二点鎖線で示す状態)で、左右のギャザー17cの非肌面側に位置し、吸収性物品40の厚さ方向(符号Zに沿った方向)に左右のギャザー17cと重なる領域である。非肌面側シート43を構成する非通水性フィルムは、樹脂フィルムであってもよく、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等が挙げられる。
上記のように構成された吸収性物品40では、吸収性物品本体11の肌面側に、高吸水性ポリマー22を有する補助吸収性シート41が取り外し可能に取り付けられるので、体液を補助吸収性シート41の高吸水性ポリマー22で吸収した後、補助吸収性シート41を吸収性物品本体11から取り外すことができる。補助吸収性シート41を吸収性物品本体11から取り外すことによって、体液を吸収性物品本体11の吸収体15で再度吸収することができるので、吸収量(吸収性能)の向上を図ることができる。
また、補助吸収性シート41は、吸収性物品本体11のトップシート13に対して水溶性バインダー23によって取り外し可能に接着されている。水溶性バインダー23は、水に溶ける性質を有するので、補助吸収性シート41の高吸水性ポリマー22で体液を吸収する際、あるいは吸収した後に、補助吸収性シート41側から吸収性物品本体11側へ流通する体液によって、水溶性バインダー23を溶かすことができる。このため、補助吸収性シート41で体液を吸収した後、補助吸収性シート41を吸収性物品本体11から容易に取り外すことができる。
また、補助吸収性シート41の非肌面側シート43は、非通水性(液不透過性)の非通水性フィルムによって形成されるので、補助吸収性シート41の肌面側から吸収した体液が、非肌面側シート43の肌面側で幅方向の両側へ案内される。また、非肌面側シート43の幅方向の長さL2が、肌面側シート42の幅方向の長さL3よりも短いので、非肌面側シート43よりも幅方向外側に水溶性バインダー23を配置することができる。このため、非肌面側シート43の幅方向の両側の接着領域43aへ案内された多くの体液によって水溶性バインダー23を溶かすことができるので、補助吸収性シート41を吸収性物品本体11から容易に取り外すことができる。
また、補助吸収性シート41の非肌面側シート43の幅方向の長さL2が肌面側シート42の幅方向の長さL3よりも短いので、高吸水性ポリマー22を挟持する肌面側シート42と非肌面側シート43との間の接合は、非肌面側シート43(非通水性フィルム)の周囲の領域とそれに対向する肌面側シート42の領域との間で行われる。このとき、水溶性バインダー23は、肌面側シート42の非肌面側に配置されることが好ましい。この位置に水溶性バインダー23を配置することで、この領域を通って下方の吸収性物品本体11へ移動するように体液の移動を促すことができるので、多くの体液によって水溶性バインダー23を溶かすことができ、吸収性物品本体11からの補助吸収性シート41の取り外し容易性を向上することができる。
また、補助吸収性シート41の非肌面側シート43は、非通水性(液不透過性)の非通水性フィルムによって形成されるので、補助吸収性シート41の肌面側から吸収された体液が、非肌面側シート43を通過して吸収性物品本体11側へ移動することがない。このため、補助吸収性シート41を吸収性物品本体11から取り外した後の、吸収性物品本体11の幅方向中央の領域を体液未吸収の状態にすることができ、吸収性物品本体11の幅方向中央の領域にドライ感のある表面状態を作ることができるので、繰り返しの吸収に適した状態を確保することができる。
このように、本実施形態によれば、吸収性物品40の吸収性能の向上と補助吸収性シート41の取り外しの容易化の両立を図ることができる。
次に、本発明の第4実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の吸収性物品50は、補助吸収性シート51の高吸水性ポリマー22の配置位置が第1実施形態と相違する。なお、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
図5は、本発明の第4実施形態に係る吸収性物品50の補助吸収性シート51の平面図である。図6は、図5のVI-VI矢視断面図であって、(a)は吸収前の状態を、(b)は吸収後の状態をそれぞれ示す。なお、図6では、分かり易くするために、吸収性物品本体11のトップシート13を図示しており、また、吸収性物品本体11の他の部分についての図示を省略している。
図5及び図6に示すように、本実施形態に係る吸収性物品50は、吸収性物品本体11と、吸収性物品本体11の肌面側に取り外し可能に取り付けられる補助吸収性シート51とを備える。
補助吸収性シート51は、肌面側に配置される肌面側シート52と、肌面側シート52に対向して非肌面側に配置される非肌面側シート53と、肌面側シート52と非肌面側シート53との間に設けられる高吸水性ポリマー22とを有し、シート状に形成される。これにより、高吸水性ポリマー22は、肌面側シート52と非肌面側シート53との間に挟まれた構造となっている。肌面側シート52と非肌面側シート53とは、第1実施形態の肌面側シート20及び非肌面側シート21と同様に、高吸水性ポリマー22がこぼれ出さないように、両シート52,53の高吸水性ポリマー22の周囲を互いに接合させる構造となっている。なお、本実施形態に係る吸収性物品50の補助吸収性シート51は、その構成が第1実施形態の吸収性物品10の補助吸収性シート12と異なるが、吸収性物品本体11に対する配置位置、接着態様は、第1実施形態と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
肌面側シート52は、吸収性物品本体11のトップシート13と同様に、体液が高吸水性ポリマー22へと移動するような通水性(液透過性)を備えた不織布によって形成される。
非肌面側シート53は、通水性(液透過性)を備えた不織布によって形成されるシートであって、幅方向の両側の外端部の接着領域53aと、左右の接着領域53a間の中央領域53bとを有する。左右の接着領域53aは、通水性を有し、水溶性バインダー23によって吸収性物品本体11のトップシート13の肌面側の面に接着される。左右の接着領域53aは、吸収性物品本体11のトップシート13のうち、左右のギャザー17c間の領域の幅方向の両端部に対向する。左右の接着領域53aは、左右のギャザー17cが伏した状態(図2に二点鎖線で示す状態)で、左右のギャザー17cの非肌面側に位置し、吸収性物品50の厚さ方向(符号Zに沿った方向)に左右のギャザー17cと重なる領域である。なお、非肌面側シート53の中央領域53bに、第1実施形態と同様に、撥水処理を施してもよい。
補助吸収性シート51は、高吸水性ポリマー22が存在する複数(本実施形態では3つ)のポリマー存在領域54と、高吸水性ポリマー22が存在しないポリマー非存在領域55とを有する。複数のポリマー存在領域54は、幅方向に互いに離間した状態で長手方向に延びる。ポリマー非存在領域55は、複数のポリマー存在領域54に挟まれた領域であって、長手方向に延びる。すなわち、ポリマー存在領域54とポリマー非存在領域55とは、長手方向にそれぞれ延び、幅方向に互いに交互に配置される。ポリマー非存在領域55の肌面側シート52と非肌面側シート53とは互いに固定されている。なお、複数のポリマー存在領域54の数は、3つに限定されるものではない。
上記のように構成された吸収性物品50では、吸収性物品本体11の肌面側に、高吸水性ポリマー22を有する補助吸収性シート51が取り外し可能に取り付けられるので、体液を補助吸収性シート51の高吸水性ポリマー22で吸収した後、補助吸収性シート51を吸収性物品本体11から取り外すことができる。補助吸収性シート51を吸収性物品本体11から取り外すことによって、体液を吸収性物品本体11の吸収体15で再度吸収することができるので、吸収量(吸収性能)の向上を図ることができる。
また、補助吸収性シート51は、吸収性物品本体11のトップシート13に対して水溶性バインダー23によって取り外し可能に接着されている。水溶性バインダー23は、水に溶ける性質を有するので、補助吸収性シート51の高吸水性ポリマー22で体液を吸収する際、あるいは吸収した後に、補助吸収性シート51側から吸収性物品本体11側へ流通する体液によって、水溶性バインダー23を溶かすことができる。このため、補助吸収性シート51で体液を吸収した後、補助吸収性シート51を吸収性物品本体11から容易に取り外すことができる。
また、複数のポリマー存在領域54は、幅方向に互いに離間した状態で長手方向に延びるので、体液の繰り返しの吸収時に、長手方向への体液の拡散を促進できる。
また、幅方向に互いに離間した状態で長手方向に延びる複数のポリマー存在領域54を有するので、1つのポリマー存在領域54を補助吸収性シート51の全域に設ける場合とは異なり、少量の体液の吸収でもポリマー存在領域54を補助吸収性シート51の厚さ方向(符号Zに沿った方向)に膨潤させることができる。図6(b)に示すように、ポリマー存在領域54が補助吸収性シート51の厚さ方向に膨潤すると、吸収性物品本体11のトップシート13から離間する方向への力が非肌面側シート53の接着領域53aに作用するので、補助吸収性シート51を吸収性物品本体11から更に容易に取り外すことができる。
このように、本実施形態によれば、吸収性物品50の吸収性能の向上と補助吸収性シート51の取り外しの容易化の両立を図ることができる。
次に、本発明の一実施形態に係る吸収性物品1の製造方法について説明する。本実施形態では、上記第1実施形態に係る吸収性物品10の製造方法を例として説明する。本実施形態に係る製造方法は、肌面側のトップシート13と、非肌面側のバックシート14と、トップシート13とバックシート14との間に設けられる吸収体15と、トップシート13の肌面側にギャザー17cを構成するギャザーシート17と、トップシート13の肌面側に設けられる補助吸収性シート12とを備えた吸収性物品10の製造方法である。
図7は、本発明の一実施形態に係る吸収性物品10の製造方法の説明図である。なお、図中の白抜き矢印は、各部材が搬送される方向を示す。また、各工程は、説明する順番通りの工程順(第1工程、第2工程、第3工程、第4工程、第5工程の順)に行われる。
図7に示すように、この製造方法では、トップシート13、バックシート14、ギャザーシート17、及び補助吸収性シート12は、それぞれ連続している状態で予め準備されている。連続している状態とは、複数の吸収性物品10用の各シート12,13,14,17が切断されていない状態をいう。
先ず、第1工程では、連続している状態のトップシート13、バックシート14、ギャザーシート17、及び補助吸収性シート12を所定の搬送ライン上に沿って搬送する。この搬送ラインの搬送方向は、吸収性物品10の長手方向と同一方向になっている。各シート12,13,14,17は、上下方向と交叉する状態で搬送される。
次に、第2工程では、連続している状態で搬送される補助吸収性シート12を切断し、長手方向に離間分離する。切断された補助吸収性シート12の長手方向の長さは、1つの吸収性物品10用の長さとなっている。
次に、第3工程では、第2工程で分離した補助吸収性シート12を、搬送ライン上を搬送されるトップシート13の肌面側(本実施形態では、上面)に、水溶性バインダー23で接着する。
次に、第4工程では、左右のギャザーシート17(部分17b)を、トップシート13上の補助吸収性シート12の幅方向の両端部の幅方向外側に近接又は接触させた状態で、トップシート13に接着して複合シート61を得る。すなわち、第4工程では、左右のギャザーシート17を、トップシート13のうち、補助吸収性シート12よりも幅方向の両側の領域に接着して複合シート61を得る。
次に、第5工程では、吸収体15を、複合シート61のトップシート13とバックシート14との間に配置して、トップシート13、バックシート14、及び左右のギャザーシート17を接合する。本実施形態では、吸収体15を複合シート61のトップシート13とバックシート14との間に配置した状態で、左右のギャザーシート17の幅方向の外端部17aをバックシート14の幅方向の外端部に接合する。すなわち、第5工程では、吸収体15を、複合シート61とバックシート14との間に挟持する。なお、図7には、吸収体15とバックシート14との間にキャリアシート62が配置された状態が図示されている。
なお、第5工程よりも後に、単体の吸収性物品10となるように、連続する吸収性物品10を切断する工程を備えてもよい。
上記吸収性物品10の製造方法では、第3工程で補助吸収性シート12をトップシート13に接着し、次の第4工程で左右のギャザーシート17をトップシート13側(の補助吸収性シート12)に固定して複合シート61を得ている。このように、トップシート13に対して、左右のギャザーシート17を取り付けるよりも前に、補助吸収性シート12を接着しているので、補助吸収性シート12をトップシート13に接着する際に、ギャザー17cと干渉することがない。このため、補助吸収性シート12をトップシート13に容易に接着することができる。
また、トップシート13に対して、左右のギャザーシート17を取り付けるよりも前に、補助吸収性シート12を接着している。すなわち、トップシート13に対して補助吸収性シート12を接着した後、左右のギャザーシート17をトップシート13に対して接合するので、補助吸収性シート12の幅方向の両端12aを、左右のギャザー17cの根元に近接又は接触させて配置し易い。
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
1,10,30,40,50:吸収性物品
11:吸収性物品本体
12,31,41,51:補助吸収性シート
13:トップシート
14:バックシート
15:吸収体
17:ギャザーシート
17c:ギャザー
20,33,42,52:肌面側シート
21,34,43,53:非肌面側シート
22:高吸水性ポリマー
23:水溶性バインダー
32:非通水性フィルム
54:ポリマー存在領域
55:ポリマー非存在領域
61:複合シート
11:吸収性物品本体
12,31,41,51:補助吸収性シート
13:トップシート
14:バックシート
15:吸収体
17:ギャザーシート
17c:ギャザー
20,33,42,52:肌面側シート
21,34,43,53:非肌面側シート
22:高吸水性ポリマー
23:水溶性バインダー
32:非通水性フィルム
54:ポリマー存在領域
55:ポリマー非存在領域
61:複合シート
Claims (11)
- 肌面側のトップシートと、非肌面側のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に設けられる吸収体とを有する吸収性物品本体と、
肌面側の肌面側シートと、非肌面側の非肌面側シートと、前記肌面側シートと前記非肌面側シートとの間に設けられる高吸水性ポリマーとを有し、前記吸収性物品本体の前記トップシートの肌面側に取り外し可能に取り付けられる補助吸収性シートと、を備え、
前記吸収性物品本体の前記トップシートと前記補助吸収性シートの前記非肌面側シートとは、水溶性バインダーで接着されている
ことを特徴とする、吸収性物品。 - 前記水溶性バインダーは、前記補助吸収性シートの幅方向の両端部に設けられている
ことを特徴とする、請求項1に記載の吸収性物品。 - 前記補助吸収性シートの前記肌面側シート及び前記非肌面側シートは、通水性の不織布であり、
前記非肌面側シートの幅方向中央の領域は、撥水処理されている
ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品。 - 前記補助吸収性シートの前記肌面側シート及び前記非肌面側シートは、通水性の不織布であり、
前記非肌面側シートの幅方向中央の領域の肌面側及び非肌面側の少なくとも一方には、非通水性フィルムが接着されている
ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品。 - 前記補助吸収性シートの前記肌面側シートは、通水性の不織布であり、
前記補助吸収性シートの前記非肌面側シートは、非通水性フィルムであり、
前記非肌面側シートの幅方向の長さは、前記肌面側シートの幅方向の長さよりも短い
ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品。 - 前記補助吸収性シートは、高吸水性ポリマーが存在するポリマー存在領域と、高吸水性ポリマーが存在しないポリマー非存在領域とを有し、
前記ポリマー存在領域と前記ポリマー非存在領域とは、長手方向にそれぞれ延び、幅方向に互いに交互に配置される
ことを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の吸収性物品。 - 前記補助吸収性シートは、前記吸収性物品本体の長手方向のうち、着用者の股下に位置する領域に設けられている
ことを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の吸収性物品。 - 前記吸収性物品本体の前記吸収体は、高吸水性ポリマーを含む
ことを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の吸収性物品。 - 前記吸収性物品本体は、前記トップシートの肌面側の幅方向の両側に配置されて幅方向と交叉する長手方向に延びる1対のギャザーを有し、
前記補助吸収性シートは、前記1対のギャザー間に配置され、
前記補助吸収性シートの幅方向の両端は、前記1対のギャザーの根元に近接又は接触する
ことを特徴とする、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の吸収性物品。 - 前記水溶性バインダーは、前記1対のギャザーが伏した状態において、前記1対のギャザーの非肌面側に位置し、前記1対のギャザーと重なる領域に設けられる
ことを特徴とする、請求項9に記載の吸収性物品。 - 肌面側のトップシートと、非肌面側のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に設けられる吸収体と、前記トップシートの肌面側にギャザーを構成する左右のギャザーシートと、前記トップシートの肌面側に設けられる補助吸収性シートとを備えた吸収性物品の製造方法であって、
連続する前記トップシート、前記補助吸収性シート、前記左右のギャザーシート、及び前記バックシートを搬送する第1工程と、
前記補助吸収性シートを長手方向に離間分離する第2工程と、
分離された前記補助吸収性シートを、前記トップシートの肌面側に水溶性バインダーで接着する第3工程と、
前記左右のギャザーシートを、前記トップシートのうち前記補助吸収性シートよりも幅方向の両側の領域に接着して複合シートを得る第4工程と、
前記吸収体を前記複合シートと前記バックシートとの間に挟持する第5工程と、をこの工程順に含む
吸収性物品の製造方法。
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JP (1) | JP2023019273A (ja) |
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2021
- 2021-07-29 JP JP2021123886A patent/JP2023019273A/ja active Pending
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