JP2023018320A - 基板の使用方法 - Google Patents

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Abstract

Figure 2023018320000001
【課題】オペレータにとって切削装置への切り込み条件の入力を簡略化する。
【解決手段】基板を保持するチャックテーブルと、スピンドルを有しスピンドルの先端部に切削ブレードが装着される切削ユニットと、を有する切削装置において、チャックテーブルで保持された基板に対して基板の厚さ方向に切削ブレードを切り込んで、切り込み深さに基づいて切削ブレードの高さ位置を検出するときに用いられる基板の使用方法であって、チャックテーブルに基板を載置する載置工程と、基板の外周部に切削ブレードで複数の溝を形成して、切削ブレードを切り込む際の切り込み条件に関する情報を基板に記録する記録工程と、を備える基板の使用方法を提供する。
【選択図】図2

Description

本発明は、切削ブレードの高さ位置を検出するときに用いられる基板の使用方法に関する。
携帯電話、パソコン等の電子機器には、デバイスチップが搭載されている。デバイスチップは、例えば、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)等のデバイスが表面側に形成された半導体ウェーハ等の被加工物の裏面側を研削して薄化した後、当該被加工物をデバイス単位に分割することで製造される。
被加工物を分割する際には、例えば、切削ブレードが装着された切削装置で被加工物を切削する。切削装置で切削を行う前には、切削ブレードの高さ方向の原点位置を検出することがある。原点位置の検出方法の1つとして、チョッパーカットセットアップ(Chopper Cut Setup:CCS)がある。
チョッパーカットセットアップでは、矩形状のサブチャックテーブルで矩形状のシリコン基板の一面側を吸引保持した状態で、スピンドルを回転中心として高速回転している切削ブレードを略垂直に下降させる。これにより、切削ブレードの下端部をシリコン基板の他面(即ち、上面)側に切り込み、溝(切削溝)を形成する。
そして、シリコン基板の上面における切削溝の長さと、切削ブレードの半径と、に基づいて、切削ブレードの下端がシリコン基板の上面に接するときの切削ブレードの高さ方向の原点位置を算出する(例えば、特許文献1参照)。
特開2002-59365号公報
しかし、チョッパーカットセットアップを行う際には、溝間の距離(所謂、インデックス量)、切り込み位置、切り込みを行った回数等の切り込み条件等を、使用する度に、オペレータが切削装置に入力しなければならず、作業が煩雑である。
本発明は係る問題点に鑑みてなされたものであり、オペレータにとって切削装置への切り込み条件の入力を簡略化することを目的とする。
本発明の一態様によれば、基板を保持するチャックテーブルと、スピンドルを有し該スピンドルの先端部に切削ブレードが装着される切削ユニットと、を有する切削装置において、該チャックテーブルで保持された該基板に対して該基板の厚さ方向に該切削ブレードを切り込んで、切り込み深さに基づいて該切削ブレードの高さ位置を検出するときに用いられる基板の使用方法であって、該チャックテーブルに該基板を載置する載置工程と、該基板の外周部に該切削ブレードで複数の溝を形成して、該切削ブレードを切り込む際の切り込む条件に関する情報を該基板に記録する記録工程と、を備える基板の使用方法を提供する。
好ましくは、基板の使用方法は、該記録工程の後、該基板に形成された該複数の溝を撮像し、該複数の溝の画像から該切り込み条件に関する情報を読み取る読取工程を更に備える。
また、好ましくは、該切り込み条件に関する情報は、各溝の長さ及び該複数の溝の配列に応じて定められており、該読取工程では、該画像から各溝の長さ及び該複数の溝の配列に応じた情報を読み取る。
また、好ましくは、基板の使用方法は、該読取工程後に、該基板の厚さ方向に該切削ブレードを切り込んで、該切削ブレードの切り込み深さ測定用の溝を形成するチョッパーカットセットアップ工程と、該チョッパーカットセットアップ工程後に、該基板の外周部に該切削ブレードで複数の溝を形成して該切り込み条件に関する更新情報を記録する追加の記録工程と、を更に備え、該更新情報は、該基板に形成された切り込み深さ測定用の溝の個数と、最後に該切削ブレードが切り込まれた切り込み深さ測定用の溝の位置と、の少なくともいずれかを含む。
また、好ましくは、該切り込み条件に関する情報は、該切削ブレードの切り込み深さ測定用の溝同士の間隔を含む。
本発明の一態様に係る基板の使用方法では、基板の外周部に切削ブレードで複数の溝を形成して、切削ブレードを切り込む際の切り込み条件に関する情報を基板に記録する(記録工程)。
切削装置が、予め定められた規則に従い当該複数の溝の画像を、切り込み条件に関する情報に変換すれば、オペレータによる切り込み条件の入力を省略できる。これにより、切削装置への切り込み条件の入力を簡略化できる。
切削装置の斜視図である。 シリコン基板の使用方法のフロー図である。 記録工程を示す図である。 読取工程を示す図である。 シリコン基板の上面図である。 矩形領域の拡大図である。 CCS工程を示す側面図である。 CCS工程後のシリコン基板の上面図である。 追加の記録工程後のシリコン基板の上面図である。 第2の実施形態に係る基板の上面図である。
添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。図1は、切削装置2の斜視図である。なお、図1では、切削装置2の構成要素の一部を機能ブロックで示している。また、以下において、X軸方向(加工送り方向)、Y軸方向(割り出し送り方向)及びZ軸方向(高さ方向)は、互いに直交する方向である。
切削装置2の前方側(Y軸方向の一方側)には、入力装置として機能する操作パネル4が設けられている。オペレータは、例えば、操作パネル4を介して、切削装置2に対して加工条件等を設定できる。切削装置2の前方側の側面には、表示装置として機能するモニタ6が設けられている。
モニタ6には、オペレータに対して操作を案内する案内画面や、後述する顕微鏡カメラユニット(撮像ユニット)26によって撮像された画像等が表示される。なお、モニタ6は、入力装置及び表示装置として機能するタッチパネルであってもよい。この場合、操作パネル4は省略してよい。
切削装置2では、シリコン等の半導体材料で形成された円板状のウェーハ11(図4参照)が切削される。ウェーハ11の裏面11b側には、樹脂製で円形のテープ25(ダイシングテープ、図10参照)の中央部が貼り付けられる。
ダイシングテープの外周部には、ウェーハ11の径よりも大きい径の開口を有する金属製の環状のフレーム27(図10参照)の一面が貼り付けられる。ウェーハ11、ダイシングテープ及び環状フレームは、ウェーハユニットを構成する。
複数(例えば、25個)のウェーハユニットは、1つのカセット8に収容され、当該カセット8は、切削装置2の前方側の角部に設けられているカセットテーブル10に載置される。カセットテーブル10の下方には、カセットテーブル10を上下に移動させることができるエレベータ12が連結されている。
カセットテーブル10の後方(Y軸方向の他方側)には、カセット8にアクセス可能なプッシュプルアーム14が設けられている。プッシュプルアーム14の移動経路の両脇には、ウェーハユニットのX軸方向の位置を調整する一対のガイドレール16が設けられている。
一対のガイドレール16の近傍には、一対のガイドレール16にアクセス可能な第1の搬送ユニット18が設けられている。第1の搬送ユニット18は、一対のガイドレール16から搬入搬出領域Aに位置する円板状のチャックテーブル20へ、ウェーハユニットを搬送する。
チャックテーブル20は、金属製の円板状の枠体と、枠体の中央部に配置された円板状の多孔質板と、を有する。多孔質板には、エジェクタ等の吸引源(不図示)から負圧が伝達される。多孔質板の上面と、枠体の上面とは、略面一となっており、ウェーハユニット(ウェーハ11)を吸引保持する保持面20aを構成する。
チャックテーブル20の外周部には、フレーム27を固定するための複数のクランプユニット20bが設けられている。また、チャックテーブル20の下方には、チャックテーブル20を所定の回転軸の周りに回転させるモータ等の回転駆動源(不図示)が連結されている。
回転駆動源と、チャックテーブル20との間には、矩形状のテーブルカバー22が設けられている。テーブルカバー22の上面には、金属で形成され矩形板状のサブチャックテーブル24が設けられている。
サブチャックテーブル24の保持面24aの高さは、保持面20aと略同じ高さに設定されている。保持面24aには、矩形環状の溝が形成されており、矩形環状の溝よりも保持面24aの中心側には、矩形環状の溝に接続する十字状の溝が形成されている。
各溝には、エジェクタ等の吸引源(不図示)から負圧が伝達される。保持面24aは、この負圧により、単結晶シリコンで形成された矩形板状のシリコン基板(基板)13を吸引保持する。シリコン基板13は、後述する切削ブレード34の高さ位置を検出するときに使用される。
シリコン基板13は、保持面24aと略同じ大きさの一面を有する。本実施形態のシリコン基板13は、長辺75mm、短辺37.5mm、厚さ0.8mmから1.0mm程度の矩形板状である。
チャックテーブル20の回転駆動源の下方には、X軸方向移動機構22aが設けられている。X軸方向移動機構22aは、回転駆動源、チャックテーブル20、テーブルカバー22、サブチャックテーブル24等を、X軸方向に沿って一体的に移動させる。
なお、図1では、X軸方向移動機構22aの概略の位置が矢印で示されているが、具体的な構造は省略されている。X軸方向移動機構22aは、X軸方向に沿って配置された一対のガイドレール(不図示)を有する。
一対のガイドレール上には、X軸方向移動テーブル(不図示)がスライド可能に連結されている。X軸方向移動テーブルの上面には、チャックテーブル20の回転駆動源が固定されている。X軸方向移動テーブルの下面側にはナット部(不図示)が設けられている。
ナット部には、ボールねじ(不図示)が回転可能に連結されている。ボールねじは、一対のガイドレールの間に配置されており、ボールねじの一端部には、ステッピングモータ(不図示)が設けられている。ステッピングモータを動作させれば、X軸方向移動テーブルがX軸方向に沿って移動する。
X軸方向移動機構22aは、チャックテーブル20を搬入搬出領域Aと切削領域Aとの間で移動させる。また、X軸方向移動機構22aは、切削領域Aにおいてチャックテーブル20を所定の加工送り速度で加工送りする。
チャックテーブル20の移動経路の上方には、保持面20a又は保持面24aに対面可能な態様で、顕微鏡カメラユニット26が設けられている。顕微鏡カメラユニット26は、所定の光学系と、CCDイメージセンサ又はCMOSイメージセンサ等の撮像素子と、を含むカメラを有する。
顕微鏡カメラユニット26には、ボールねじ式のY軸方向移動ユニット(不図示)が連結されている。顕微鏡カメラユニット26の位置をY軸方向で調整し、チャックテーブル20の位置をX軸方向で調整することで、保持面20a上に位置するウェーハ11の表面11a側の任意の領域が撮像される。顕微鏡カメラユニット26で撮像された画像は、後述する制御ユニット44へ送られる。
同様に、顕微鏡カメラユニット26の位置をY軸方向で調整し、サブチャックテーブル24の位置をX軸方向で調整することで、保持面24a上に位置するシリコン基板13の上面13a側の任意の領域が撮像される。撮像された画像は、制御ユニット44へ送られる。
切削領域Aの上方には、切削ユニット28が設けられている。ここで、図3を参照し、切削ユニット28について説明する。切削ユニット28は、長手方向がY軸方向に沿って配置された筒状のスピンドルハウジング30を有する。
スピンドルハウジング30には、円柱状のスピンドル32の一部が回転可能に収容されている。スピンドル32の基端部には、モータ等の回転駆動源(不図示)が設けられており、スピンドル32の先端部には、円環状の切り刃を有する切削ブレード34が装着されている。回転駆動源を動作させると、切削ブレード34は所定方向Rに高速で回転する。
切削ブレード34の上部は、ブレードカバー36で覆われている。ブレードカバー36には、切削ブレード34に純水等の切削水を供給するノズルユニット38が設けられている。
スピンドルハウジング30には、切削ユニット28をZ軸方向に沿って移動させるボールねじ式の切り込み送り機構(不図示)が連結されている。また、切り込み送り機構は、切削ユニット28と共に、ボールねじ式の割り出し送り機構(不図示)により、Y軸方向に沿って移動させられる。
ここで図1に戻り、切削装置2の他の構成要素について説明する。搬入搬出領域Aの後方には、第2の搬送ユニット40及びスピンナ洗浄ユニット42が設けられている。
第2の搬送ユニット40は、ウェーハ11の切削後に搬入搬出領域Aに配置されたチャックテーブル20にアクセスし、搬入搬出領域Aのチャックテーブル20から、スピンナ洗浄ユニット42のスピンナテーブルへウェーハ11を搬送する。
スピンナ洗浄ユニット42でのスピン洗浄及びスピン乾燥の後、ウェーハ11は、第1の搬送ユニット18で一対のガイドレール16へ搬送され、その後、プッシュプルアーム14等により、カセット8へ搬入される。
切削装置2の各構成要素は、制御ユニット44により制御される。本実施形態の制御ユニット44は、コンピュータによって構成されている。制御ユニット44は、CPU(Central Processing Unit)に代表されるプロセッサ(処理装置)と、主記憶装置と、補助記憶装置と、を含む。
主記憶装置は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含む。また、補助記憶装置は、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等を含む。
補助記憶装置には、所定のプログラムを含むソフトウェアが記憶されている。このソフトウェアに従い処理装置等を動作させることによって、制御ユニット44の機能が実現される。
制御ユニット44は、顕微鏡カメラユニット26から送られた画像を処理する画像処理部46を含む。画像処理部46は、例えば、補助記憶装置に記憶されている所定のプログラムである。画像処理部46は、シリコン基板13の上面13a側の画像に基づき、上面13a側の所定領域に形成されている複数の溝15(図5参照)の長さを特定する。
例えば、画像中の1画素の長さは撮影倍率に応じて予め定められており、画像処理部46は、溝15に対応する画素の数から溝15の長さを算出することで、各溝15の長さを特定する。
複数の溝15は、シリコン基板13の上面13a側の外周部の一部において、シリコン基板13の直線状の縁に直交する態様で形成される。本実施形態の複数の溝15は、図5に示す様に、シリコン基板13の角部近傍に形成される。
本実施形態では、切削ブレード34を用いて各溝15を形成するので、各溝15は、略同じ幅と、下面13bに至らない所定深さ(例えば、50μm)と、を有する。しかし、各溝15の長さは必ずしも同じではない。
各溝15の長さ及び複数の溝15の配列は、情報変換部48により、切削ブレード34をシリコン基板13に切り込む際の切り込み条件に関する情報17(図6参照)に変換される。情報変換部48は、例えば、補助記憶装置に記憶されている所定のプログラムである。
まず、図6を参照し、溝15の長さが示す数字について説明する。図6の左端から1つ目の溝15aは、溝15a除く複数の溝15の基準長さを示す(第1規則)。左端から2つ目の溝15bの長さは、溝15aの長さを基準として情報変換部48により数字に変換される。
本実施形態において、溝15aの長さは1mmであり、溝15bの長さは3mmである。この場合、情報変換部48は、溝15aを数字「1」に変換し、溝15bを数字「3」に変換する。
次に、複数の溝15の配列について説明する。複数の溝15の配列は、所定の情報を示す。例えば、溝15a及び溝15bは、シリコン基板13の管理番号(例えば、品番や製品ロット番号)を示す情報17aに対応する(第2規則)。
溝15a及び15bで特定される数字「13」は、補助記憶装置に予め記憶されているテーブル、数式等により、シリコン基板13の管理番号に一対一で紐付けられている。それゆえ、制御ユニット44は、溝15a及び溝15bの画像に基づいて、シリコン基板13の管理番号を読み取ることができる。
溝15の間隔について説明すると、本実施形態の溝15a及び溝15bは、シリコン基板13の長辺方向において0.5mm離れて配置されている。これに対して、溝15bと、図6の左端から3つ目の溝15cとは、1mm離れている。しかし、数値は一例であり、適宜変更してよい。
溝15cは、チョッパーカットセットアップの際に、切削ブレード34を略垂直にシリコン基板13の上面13aに切り込むことで形成される切り込み深さ測定用の溝19(図8、図9参照)同士の割り出し送り方向での間隔(所謂、インデックス量)を示す情報17bに対応する(第3規則)。
溝15cの長さが示す数字は、溝15bにより指定される数字をN(N:自然数)とした場合に、(N+1)進数で表現される。本実施形態では、溝15bの長さが示す数が3であるので、溝15cから溝15fの各々の長さが示す数字は、4(=3+1)進数で表現される。
本実施形態において、溝15cの長さは1mmであるので、溝15cは4進数で数字「1」を示し、これは、10進数の1(=4×1)に対応する。溝15cにより指定される10進数の数字は、予め補助記憶装置に記憶されているテーブル、数式等に従い、切り込み深さ測定用の溝19の間隔に一対一で紐付けられている。それゆえ、制御ユニット44は、溝15cの画像に基づいて、溝19の間隔の情報17bを読み取ることができる。
なお、溝15cに対して、溝15a、15bとは反対側に、更に別の溝15d、15e、15f、15g、15h(図9参照)を形成することにより、シリコン基板13の使用に伴うシリコン基板13の更新情報(情報17c、17d)を更に記録してもよい。
溝15d、15e、15fは、既に形成された切り込み深さ測定用の溝19の個数を示す情報17cに対応する(第4規則)。本実施形態において溝15dの長さは1mmであり、溝15eの長さは3mmであり、溝15fの長さは2mmであるので、溝15d、15e、15は4進数で数字「132」を示す。
4進数の数字「132」は、10進数の30(=4×1+4×3+4×2)に対応する。溝15d、15e、15fにより指定される10進数の数字は、予め補助記憶装置に記憶されているテーブル、数式等に従い、シリコン基板13に形成された溝19の個数に変換される。この様にして、制御ユニット44は、溝15d、15e、15fを含む画像に基づいて、既に形成された溝19の個数を示す情報17cを読み取ることができる。
なお、本実施形態において、溝15d、15e、15fは、シリコン基板13の長辺方向において0.5mm間隔で配置されている。これに対して、溝15c及び溝15dは同方向において1mm離れている。しかし、数値は一例であり、適宜変更してよい。
溝15g、15hは、最後に切削ブレード34が切り込まれた溝19の位置19aに対応するシリコン基板13の上面13a内の位置(二次元座標)を示す情報17dに対応する(第5規則)。
図9に示す溝15gの長さは3mmであるので、溝15gは4進数で数字「3」を示す。また、溝15hは2mmであるので、溝15hは4進数で数字「2」を示す。4進数の数字「3」は、10進数の3(=4×3)に対応し、4進数の数字「2」は、10進数の2(=4×2)に対応する。
溝15g、15hにより指定される10進数の数字は、予め補助記憶装置に記憶されているテーブル、数式等に従い、最後にシリコン基板13に形成された溝19のXY座標に変換される。例えば、溝15gにより指定される10進数の数字が、X座標に対応し、溝15hにより指定される10進数の数字が、Y座標に対応する。
なお、本実施形態において、溝15g、15hは、シリコン基板13の長辺方向において0.5mm離れている。これに対して、溝15f及び溝15gは、同方向において1mm離れている。しかし、数値は一例であり、適宜変更してよい。
溝15dから溝15hが示す更新情報を更に更新する場合には、溝15dから溝15h自体を変更することなく、溝15aから溝15cが形成されている角部とは異なる他の角部に、この更新された更新情報に対応する追加的な1又は複数の溝を形成する。
例えば、追加的な溝は、溝15aから溝15cが形成されている角部を起点として、更新の順番に応じて時計回りに進んだ他の角部に形成する。この場合、顕微鏡カメラユニット26でシリコン基板13の角部を時計回りに順番に撮像することで最新情報を確認できる。
次に、図1から図9を参照して、第1の実施形態に係るシリコン基板13の使用方法について説明する。図2は、シリコン基板13の使用方法のフロー図である。
まず、図1に示す様に、未使用の(即ち、溝15、溝19が形成されていない)シリコン基板13を、オペレータがサブチャックテーブル24に載置する(載置工程S10)。載置工程S10の後、シリコン基板13を保持面24aで吸引保持する。
そして、オペレータは、シリコン基板13の管理番号、形成される切り込み深さ測定用の溝19同士の間隔(インデックス量)、複数の溝15を形成する領域等の情報を、操作パネル4を通じて入力する(入力工程S20)。
制御ユニット44は、入力工程S20で入力された情報等に基づいて、X軸方向移動機構22a、顕微鏡カメラユニット26、切削ユニット28等を制御し、シリコン基板13の外周部に切削ブレード34を切り込み、各々所定深さの溝15a、15b、15cを形成する(記録工程S30)。
図3は、記録工程S30を示す図である。記録工程S30では、まず、顕微鏡カメラユニット26でシリコン基板13の前方側の角部を撮像し、シリコン基板13に対する切削ブレード34のY軸方向の位置を調整する。
そして、回転する切削ブレード34の下端をシリコン基板13の外側において上面13aから所定の切り込み深さ(例えば、50μm)の深さに位置付け、X軸方向移動機構22aでサブチャックテーブル24を加工送りする。
溝15aの長さに対応する距離だけサブチャックテーブル24を加工送りした後、切削ユニット28を溝15の間隔に対応する距離だけ割り出し送りし、溝15aと同様に、溝15bを形成する。更に、溝15cを形成する。
この様にして、入力工程S20で入力された情報(情報17a、17bに対応する)を複数の溝15a、15b、15cとして記録する。記録工程S30の完了後、複数の溝15aから溝15cが形成されたシリコン基板13を、一旦、サブチャックテーブル24から取り外す(取り外し工程S40)。
取り外し工程S40の後、チョッパーカットセットアップを行わない場合(S50でNO)にはフローを終了するが、チョッパーカットセットアップを行う場合(S50でYES)には読取工程S60へ進む。
読取工程S60では、まず、複数の溝15a、15b、15cが形成されたシリコン基板13を、オペレータがサブチャックテーブル24に載置し、保持面24aでシリコン基板13の下面13b側を吸引保持する。
そして、顕微鏡カメラユニット26で複数の溝15a、15b、溝15cを撮像して得られた画像から、予め定められた上述の第1規則及び第3規則に従い、切り込み条件に関する情報17を読み取る。なお、このとき、第2規則に基づいて、シリコン基板13の管理番号も読み取られる。図4は、読取工程S60を示す図である。
本実施形態では、複数の溝15a、15b、15cにより、切り込み条件に関する情報17を切削ブレード34で記録した後、複数の溝15の画像に基づいて、切り込み条件に関する情報17を読み取ることができる。
これにより、切削装置2が、予め定められた規則に従い、複数の溝15a、15b、15cの画像を切り込み条件に関する情報に変換できるので、オペレータによる切り込み条件の入力を省略できる。
それゆえ、切削装置2への切り込み条件の入力を簡略化できる。また、オペレータが操作パネル4を介して切り込み条件を入力する手間が低減され、入力する際の入力ミスも回避できる。
図5は、読取工程S60時におけるシリコン基板13の上面図であり、図6は、図5の一点鎖線で示す矩形領域Bの拡大図である。なお、情報17a、17bは、スピンドル32に装着されている切削ブレード34の種類の情報と共に、モニタ6に表示されてもよい。
読取工程S60後、チョッパーカットセットアップ工程(以下、単にCCS工程)S70を行う。図7は、CCS工程S70を示す側面図であり、図8は、CCS工程S70後のシリコン基板13の上面図である。
CCS工程S70では、切削ブレード34をZ軸方向に沿って下降させ、シリコン基板13の厚さ方向に切削ブレード34の下端部を切り込む。これにより、シリコン基板13の上面13a側に保持面24aには達しない溝19を形成する。
そして、顕微鏡カメラユニット26で測定される溝19の長さCと、切削ブレード34の半径Dと、に基づいて、切削ブレード34の下端が上面13aに接するときの切削ブレード34の中心のZ軸方向の位置を算出する。
具体的には、まず、切削ブレード34の半径Dを算出する。そのために、切削ブレード34の中心のZ軸方向の位置Zと、シリコン基板13の上面13aのZ軸方向の位置Zと、の差分から、中心及び上面13a間の距離hを算出する。
距離h及び長さCにより、切削ブレード34の半径Dは、{h+(C/2)1/2と表すことができる。長さC及び半径Dにより、切り込み深さEは、D-{D-(C/2)1/2と表すことができる。以上により、切削ブレード34の下端が上面13aに接するときの切削ブレード34のZ軸方向の位置(原点位置)は、Z+Eと算出される。
CCS工程S70の後、既に形成された溝19の個数を示す情報17cに対応する溝15d、15e、15fと、最後に形成された溝19の位置19aを示す情報17dに対応する溝15g、15hと、を切削ブレード34で記録する(追加の記録工程S80)。
図9は、追加の記録工程S80後のシリコン基板13の上面である。なお、図9では、説明の便宜上、複数の溝19を示すが、1つの溝19を形成した後に、追加の記録工程S80を行ってもよい。
溝15dから溝15hにより、次回の読取工程S60では、形成済の溝19の個数と、最後に形成された溝19の位置とを、制御ユニット44が自動的に読み取ることができる。それゆえ、オペレータが操作パネル4を介して切り込み条件を入力する手間が低減され、入力する際の入力ミスも回避できる。
なお、既に形成された溝19の個数(情報17c)と、最後に切削ブレード34が切り込まれた溝19の位置19a(情報17d)と、のいずれか一方が、シリコン基板13に記録されてもよい。
例えば、インデックス量(情報17b)と、シリコン基板13の大きさと、溝19が形成される順序と、が既知である場合、情報17cにより情報17dを特定でき、逆に、情報17dにより情報17cを特定できる。
また、最後に切削ブレード34が切り込まれた溝19の位置19aが判明すれば、制御ユニット44は、次に溝19を形成する位置19b(図9において破線で示す)を、自動的に決定できる。
ところで、溝15a、15b以外の溝15は、任意の(N+1)進数で表現することもできる。但し、2進数(N=1)の場合、記録される情報量に応じて並列に配置される溝15の数が比較的多くなる。
それゆえ、N(自然数)の下限は、2以上(即ち、3進数、4進数…等)が好ましい。これに対して、1つの溝15に記録される情報量を多くするために、例えば、16進数(N=15)を採用することが考えられる。
しかし、切削装置2に搭載される顕微鏡カメラユニット26の撮像視野の大きさは、通常、Y軸方向が約5.1mm、X軸方向が4.8mmであるので、16進数の場合、例えば5mmを超える長さの溝15が形成されると、当該溝15を一回で撮像できない。つまり、一回の撮像では、溝15の全長を把握できない。
勿論、画像処理部46が、複数の画像をつなぎ合わせて1つの画像を作成することで、溝15の全長を把握することも可能であるが、画像のつなぎ合わせ等により、画像処理部46に負荷がかかる。
そこで、N(自然数)の上限は、撮像視野の大きさに応じて定めることが好ましい。例えば、撮像視野のX軸方向の長さが4.8mmである場合、Nは3以下(即ち、3進数、4進数)が好ましく、同長さが8.0mmである場合、Nは7以下(即ち、3進数から8進数)が好ましい。
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、サブチャックテーブル24ではなく、チャックテーブル20を用いて、円板状のシリコン基板23を吸引保持する(図10参照)。
図10は、第2の実施形態に係るシリコン基板23の上面図であり、特に、追加の記録工程S80後の状態を示す。本実施形態では、200mmの直径と、0.8mm程度の厚さと、を有する円板状のシリコン基板(シリコンウェーハ)23が使用される。
シリコン基板23の裏面側には、シリコン基板23の径よりも大きい径を有するテープ25の中央部が貼り付けられている。テープ25の外周部には、金属製で環状のフレーム27の一面が貼り付けられている。
この様にして、シリコン基板23がテープ25を介してフレーム27で支持されたウェーハユニット29が形成されている。ウェーハユニット29は、カセット8に収容されており、使用時にチャックテーブル20へ搬送される。
第2の実施形態に係るシリコン基板23の使用方法も、図2に示す手順に従って進める。第2の実施形態の記録工程S30及び追加の記録工程S80では、シリコン基板23の周方向に沿って、シリコン基板23の上面23a側の外周部に複数の溝15を放射状に形成する。
本実施形態の読取工程S60においても、制御ユニット44が、予め定められた規則に従い、当該複数の溝15の画像を切り込み条件に関する情報に変換するので、オペレータによる切り込み条件の入力を省略できる。
その他、上述の実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。例えば、シリコン基板13、23に代えて、ガラス製又はガリウムヒ素(GaAs)製の基板を用いてもよい。基板の形状は、矩形状でも円板状でもよい。
ところで、溝15a、15b…等の長さにより指定される数字と、情報17a、17b…等と、の対応関係は、上述の実施形態の様に、予め補助記憶装置に記憶されていてもよく、USBメモリ等の外部記憶装置や、インターネット等(いずれも不図示)を通じて補助記憶装置に提供されてもよい。
また、制御ユニット44が、外部のサーバやコンピュータ(いずれも不図示)に接続されている場合、上述の対応関係は、サーバやコンピュータのメモリに保存されてもよい。この場合、制御ユニット44は、サーバやコンピュータにアクセスして、各溝15の長さ及び複数の溝15の配列に対応した情報17を読み取ることができる。
2:切削装置、4:操作パネル、6:モニタ、8:カセット、10:カセットテーブル
11:ウェーハ、11a:表面、11b:裏面
12:エレベータ、14:プッシュプルアーム、16:ガイドレール
13,23:シリコン基板、13a:上面、13b:下面
15,15a,15b,15c,15d,15e,15f,15g,15h:溝
17,17a,17b,17c,17d:情報
18:第1の搬送ユニット
19:溝、19a,19b:位置
20:チャックテーブル、20a:保持面、20b:クランプユニット
22:テーブルカバー、22a:X軸方向移動機構
23a:上面、25:テープ、27:フレーム、29:ウェーハユニット
24:サブチャックテーブル、24a:保持面、26:顕微鏡カメラユニット
28:切削ユニット、30:スピンドルハウジング、32:スピンドル
34:切削ブレード、36:ブレードカバー、38:ノズルユニット
40:第2の搬送ユニット、42:スピンナ洗浄ユニット
44:制御ユニット、46:画像処理部、48:情報変換部
:搬入搬出領域、A:切削領域、B:矩形領域、C:長さ、D:半径
E:切り込み深さ、R:所定方向、Z,Z:位置

Claims (5)

  1. 基板を保持するチャックテーブルと、スピンドルを有し該スピンドルの先端部に切削ブレードが装着される切削ユニットと、を有する切削装置において、該チャックテーブルで保持された該基板に対して該基板の厚さ方向に該切削ブレードを切り込んで、切り込み深さに基づいて該切削ブレードの高さ位置を検出するときに用いられる基板の使用方法であって、
    該チャックテーブルに該基板を載置する載置工程と、
    該基板の外周部に該切削ブレードで複数の溝を形成して、該切削ブレードを切り込む際の切り込み条件に関する情報を該基板に記録する記録工程と、
    を備えることを特徴とする基板の使用方法。
  2. 該記録工程の後、該基板に形成された該複数の溝を撮像し、該複数の溝の画像から該切り込み条件に関する情報を読み取る読取工程を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の基板の使用方法。
  3. 該切り込み条件に関する情報は、各溝の長さ及び該複数の溝の配列に応じて定められており、
    該読取工程では、該画像から各溝の長さ及び該複数の溝の配列に応じた情報を読み取ることを特徴とする請求項2に記載の基板の使用方法。
  4. 該読取工程後に、該基板の厚さ方向に該切削ブレードを切り込んで、該切削ブレードの切り込み深さ測定用の溝を形成するチョッパーカットセットアップ工程と、
    該チョッパーカットセットアップ工程後に、該基板の外周部に該切削ブレードで複数の溝を形成して該切り込み条件に関する更新情報を記録する追加の記録工程と、
    を更に備え、
    該更新情報は、該基板に形成された切り込み深さ測定用の溝の個数と、最後に該切削ブレードが切り込まれた切り込み深さ測定用の溝の位置と、の少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項2又は3に記載の基板の使用方法。
  5. 該切り込み条件に関する情報は、該切削ブレードの切り込み深さ測定用の溝同士の間隔を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の基板の使用方法。
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