JP2023018252A - 燃料電池用電極材料、燃料電池用膜電極接合体および燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】新規な燃料電池用電極材料を提供する。【解決手段】炭素繊維からなる燃料電池用電極材料であって、炭素繊維が触媒金属を担持した繊維状ナノ炭素で被覆されている炭素繊維であることを特徴とする燃料電池用電極材料である。【選択図】図9
Description
本発明は、燃料電池に用いられる電極材料、ならびに該電極材料を用いた膜電極接合体および燃料電池に関する。
燃料電池とは、水素やメタノールなどの燃料の化学エネルギーを熱に変えることなく、電気化学的に直接電気エネルギーに変換する装置である。燃料電池は、原料に水素と酸素を用い、発電時において電力、水および熱のみを生成することから、環境に優しいエネルギー変換装置として注目されている。
燃料電池は、電解質や燃料の種類により、固体高分子形燃料電池(PEFC)、リン酸形燃料電池(PAFC)、アルカリ電解質形燃料電池(AFC)、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)、固体酸化物形燃料電池(SOFC)、直接メタノール形燃料電池(DMFC)等に分類される。特に、PEFCは、低温動作でも発電効率が高いことから、自動車、住宅、モバイル機器等の用途で実用化と普及が期待されている。
しかし、低温動作が可能である燃料電池では、電極での反応を促進させる目的で白金などの貴金属を触媒として用いることが必要となる。このため、少量で高い触媒能を得るために、貴金属の粒径を小さくしたり高分散密度の状態で電極材料に担持させたりする技術の開発が進められている。
ここで、燃料電池における触媒担体としては炭素材料が使用されており、この炭素材料の選択によって、担持される触媒金属の量や利用率を制御することができるため、電極触媒を高性能化できる特性を有する炭素材料の開発が望まれる。
本発明者は、特許第5854314号公報(特許文献1)において、炭素材料であるマリモカーボンを燃料電池用の触媒担体として用いる技術を提案している。マリモカーボンとは、ダイヤモンド微粒子を核として、この核から放射状かつ等方向的にカーボンナノフィラメント(CNFs:Carbon Nanofilaments)が成長し、毬藻状の球状微粒子形態を呈する炭素材料である。そして、マリモカーボンを構成するCNFsは、結晶性が高く、グラフェンを構成単位とし、カップ状(または円錐状)のグラフェンが積層してなる繊維状構造を有する。特許文献1では、このマリモカーボンを用いて白金粒子が有効に担持されたことを示している。このため、活性炭やカーボンブラックのような非晶質の炭素材料に代わる触媒担体として期待される。
他方、本発明者は、触媒担体としてのマリモカーボンの実用化についての検討を進めていたところ、マリモカーボンは見かけが粉体であることから、燃料電池の構成部材を作製する上でプロセスを複雑にするという課題があった。
固体高分子形燃料電池において重要な基本構造は、一対の電極と該電極間に配置された電解質から構成されおり、燃料電池を作製する際には、通常、電極と電解質膜を一体化させた膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)が使用される。PEFCのMEAは、高分子電解質膜のそれぞれの面にアノード(負極)とカソード(正極)を貼り付けて作製される。ここで、電極は、電解質膜と接して電極反応を起こす電極触媒層から構成され、該電極触媒層の外側には、電極触媒層に水素や酸素を送り込むためのガス拡散層が設置されている。なお、ガス拡散層も含めて電極と称する場合もあるが、本明細書において、燃料電池の電極とは、電極触媒層を指し、ガス拡散層は電極と区別される部材とする。
マリモカーボンのような粉末の炭素材料を触媒担体として用いてMEAを作製する場合、まず白金等の触媒金属を粉末状の担体(マリモカーボンなど)に担持させて電極触媒を作製する。そして、得られた電極触媒をプロトン伝導性材料(イオノマーなど)と混ぜてスラリー化し、得られたスラリーをテフロンシートなどに吹き付けてシート状に成形し、このシート状成形物を電解質膜に圧着転写することによって、電極触媒層(電極)と電解質膜が一体化したMEAが作製できる。そして、得られたMEAの電極触媒層上には、さらにガス拡散層としてカーボンペーパー(CFP:Carbon Fiber Paper)などが圧着される。このように、触媒担体が粉体であることは、製造プロセスを複雑にする一因となっており、プロセスの簡素化が求められる。
また、マリモカーボンは、CNFsが密に集合した、大きさが10μm以上の球状微粒子であることから、マリモカーボンの内部にまで原料ガス(水素、酸素)が拡散(供給)しにくく、そして、マリモカーボンの内部で生じた反応生成物(水)を拡散(除去)することも困難であった。さらに、マリモカーボンの内部にプロトン伝導性材料を浸透させることも難しく、マリモカーボンの内部でプロトン伝導性を確保することも課題であった。このため、電極反応を効果的に行うための炭素材料としてマリモカーボンを用いるには、更なる改善の余地がある。
そこで、本発明の目的は、従来技術とは異なる技術により、新規な燃料電池用電極材料を提供することにある。また、本発明の他の目的は、かかる電極材料を用いた膜電極接合体および燃料電池を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明者は、マリモカーボンの代わりに、炭素繊維からなる基材に繊維状ナノ炭素を析出させた炭素複合材料を触媒担体として利用することについて検討した。この炭素複合材料に用いる基材は、炭素繊維間に空間が形成されているため、繊維状ナノ炭素を基材内部にまで形成することが可能であると共に、基材内部への原料ガスの拡散(供給)および基材内部からの反応生成物の拡散(除去)が容易である。そして、このような炭素複合材料であれば、プロトン伝導性材料を滴下したり又はプロトン伝導性材料に浸漬させたりすることによって、基材内部にプロトン伝導性を付与することも容易である。また、炭素複合材料は、粉体ではなく、電解質膜に直接重ねることができるため、MEAの製造プロセスの簡素化も達成できる。このように、本発明者は、炭素繊維からなる基材に繊維状ナノ炭素を形成させた炭素複合材料が燃料電池用の触媒担体として適していることを見出し、本発明を完成させるに至った。
したがって、本発明の第1の態様は、炭素繊維からなる燃料電池用電極材料であって、炭素繊維が触媒金属を担持した繊維状ナノ炭素で被覆されている炭素繊維であることを特徴とする燃料電池用電極材料である。
本発明の燃料電池用電極材料の好適例においては、前記触媒金属を担持した繊維状ナノ炭素で被覆されている炭素繊維が、さらにプロトン伝導性材料で覆われている。
また、本発明の第2の態様は、一対の電極触媒層と、該電極触媒層の間に配置された電解質膜とを備え、前記一対の電極触媒層の少なくとも一方が、本発明の第1の態様に従う電極材料を含む、燃料電池用膜電極接合体である。
本発明の燃料電池用膜電極接合体の好適例においては、前記電解質膜がプロトン伝導性高分子膜である。
また、本発明の第3の態様は、一対の電極触媒層と、該電極触媒層の間に配置された電解質とを備え、前記一対の電極触媒層の少なくとも一方が、本発明の第1の態様に従う電極材料を含む、燃料電池である。
また、本発明の第4の態様は、本発明の第2の態様に従う膜電極接合体を備える、燃料電池である。
本発明の燃料電池の好適例においては、前記電極材料を含む電極触媒層が、ガス拡散機能を有する電極触媒層である。
本発明の第1の態様によれば、新規な燃料電池用電極材料を提供することができる。本発明の第2から第4の態様によれば、かかる電極材料を用いた膜電極接合体および燃料電池を提供することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の1つの態様は、炭素繊維からなる燃料電池用電極材料であって、炭素繊維が触媒金属を担持した繊維状ナノ炭素で被覆されている炭素繊維であることを特徴とする燃料電池用電極材料である。本明細書においては、この燃料電池用電極材料を「本発明の電極材料」とも称する。
本発明の電極材料は、炭素繊維からなる材料を含む。炭素繊維からなる材料は、複数の炭素繊維の集合体であり、本発明においては、触媒金属を担持した繊維状ナノ炭素の支持体としての機能を有する。このため、炭素繊維からなる材料を基材と称することもできる。また、この基材は、炭素繊維間に空間が形成されており、多孔質基材とも称される。このように、炭素繊維間に空間が形成された基材を用いることで、基材内部においても、触媒金属を担持した繊維状ナノ炭素を支えることができる。基材の厚みは、0.15~0.4mmであることが好ましい。
炭素繊維からなる材料は、燃料電池の電極材料として用いるため、平面状の材料であることが好ましい。炭素繊維からなる材料の具体例としては、炭素繊維織物、炭素繊維抄紙体、炭素繊維不織布、カーボンフェルト、カーボンペーパー(CFP:Carbon Fiber Paper)、カーボンクロス等が挙げられる。この中でもCFPが好ましい。
基材を構成する炭素繊維は、繊維状ナノ炭素の支持体となることから、繊維状ナノ炭素よりも直径が大きく、通常、マイクロメートルオーダーの直径を有する。例えば、炭素繊維の単繊維の直径は、5~10μmである。炭素繊維の単繊維の直径は、JIS R7607:2000に従って求めることができる。
炭素繊維からなる材料の気体透過性は、好ましい範囲は100~10000ml・mm/(cm2・hr・mmAq)であり、より好ましくは500~5000ml・mm/(cm2・hr・mmAq)であり、最も好ましくは1000~3000ml・mm/(cm2・hr・mmAq)である。本明細書において、気体透過性は、JIS K 7126-2に従う等圧法によって測定することができる。試験ガスとしては酸素ガスを用いる。
本発明の電極材料において、炭素繊維は、触媒金属を担持した繊維状ナノ炭素で被覆されている。ここで「炭素繊維が繊維状ナノ炭素で被覆されている」とは、炭素繊維の全体または一部が繊維状ナノ炭素で被覆されていることを意味する。具体的には、全炭素繊維の一部の炭素繊維についてその全体または一部が繊維状ナノ炭素で覆われている態様、全ての炭素繊維の全体または一部が繊維状ナノ炭素で覆われている態様が挙げられる。本発明の電極材料においては、基材を構成する炭素繊維の全体が繊維状ナノ炭素で均一に覆われていることが好ましい。本発明の電極材料において、基材は、炭素繊維の集合体であり、炭素繊維間に空間が形成されているため、基材の内部に存在する炭素繊維も繊維状ナノ炭素で被覆することができる。
本発明の電極材料は、高い導電性を有することが好ましく、触媒金属を担持する前の体積抵抗率(即ち炭素複合材料の体積抵抗率)は、好ましくは10―8~108mΩ・cmであり、より好ましくは10―8~104mΩ・cmであり、さらに好ましくは10―8~100mΩ・cmであり、最も好ましくは10―8~10mΩ・cmである。本明細書において、体積抵抗率は、接触式または非接触式のいずれかの電気抵抗測定装置を用いて測定することができる。
本明細書において、繊維状ナノ炭素は、直径がナノメートルオーダーの繊維状炭素材料であり、カーボンナノフィラメント(CNFs:Carbon Nanofilaments)と同義であり、CNFsと称する場合もある。繊維状ナノ炭素は、グラフェンを構成単位とし、グラフェンが積層してなる繊維状構造を有する炭素材料である。繊維状ナノ炭素は、構成単位がグラフェン様構造であることから結晶性が高く、活性炭やカーボンブラックのような非晶質の炭素材料とは異なり、繰り返しの利用によっても構造の変化は生じないため、発電性能の長寿命化に寄与する。また、繊維状ナノ炭素は、グラフェンが積層してなる繊維状構造を有することから、その表面にはグラフェンエッジが無数に存在し、それが触媒金属の担持サイトとなる。よって、触媒金属微粒子の粒径微細化、高分散化が促進され、電極反応サイトを増やすことができる。なお、グラフェンの積層構造は、カップ状のグラフェンが積層した構造、コイン状のグラフェンが積層した構造等があり、繊維状ナノ炭素の合成条件によって作り分けることができる。よって本発明のCNFsは、繊維状構造の表面全体に、グラフェンエッジが規則的に露出している点が、いわゆるカーボンナノチューブと呼ばれる構造とは大きく異なる点である。当該研究分野では、竹の節のような内部構造を持つ繊維状ナノ炭素としてバンブーライク構造と言われるものも存在するが、これをカップ積層構造と主張する報告もある。しかしこれらは実際には、多層カーボンナノチューブに分類されるべき程度のグラフェンエッジを有するもので、その露出状態は不規則で部分的であり、本発明が提供するCNFs構造とは大きく異なるものである。
繊維状ナノ炭素は、その平均繊維径は、好ましくは5~300nm、より好ましくは10~100nmであり、さらに好ましくは10~40nmである。繊維状ナノ炭素の繊維径は、走査型電子顕微鏡(SEM)によって得られるSEM像から決定することができる。例えば、10万倍程度で観察したSEM像10枚~20枚程度について、各SEM像から繊維状ナノ炭素を5本程度、鮮明な撮影状態のものを重複がないように選び、選んだ繊維状ナノ炭素の繊維径を測定し、繊維径5nmの階級に分類したヒストグラムを作成して平均繊維径を求める。本発明の実施例においては、ニッケル触媒とメタンとの接触反応で合成したCNFs100本程度の繊維径測定結果から得られた繊維径分布は、合成温度が450℃である場合は15nm~30nmの範囲に多く分布し、合成温度が550℃である場合は20nm~40nmの範囲に多く分布していた。
繊維状ナノ炭素の合成では、基材を構成する炭素繊維上で繊維状ナノ炭素を密に成長させることができ、これにより、炭素繊維表面に繊維状ナノ炭素を薄い層状に形成させることができる。このため、炭素繊維表面に形成される繊維状ナノ炭素の層は、マリモカーボンのような大きさが10μm以上の球状微粒子とは異なり、その内部への原料ガスの拡散(供給)及びその内部からの反応生成物の拡散(除去)を容易に行うことができる。本発明の電極材料において、炭素繊維表面に形成される繊維状ナノ炭素の層の厚みは、下限値が、好ましくは0.1μm以上であり、より好ましくは0.5μm以上であり、さらに好ましくは1μm以上である。また、炭素繊維表面に形成される繊維状ナノ炭素の層の厚みは、上限値が、好ましくは10μm以下であり、より好ましくは5μm以下であり、さらに好ましくは3μm以下である。
本発明の電極材料において、炭素繊維からなる基材1グラムあたりに存在する繊維状ナノ炭素の量は、好ましくは2~10000mg/gであり、より好ましくは5~5000mg/gであり、さらに好ましくは10~500mg/gである。炭素繊維からなる基材1グラムあたりに存在する繊維状ナノ炭素の量が上記特定した範囲内にあれば、炭素繊維表面に繊維状ナノ炭素を薄い層状に形成させることができる。
本発明の電極材料において、触媒金属は、繊維状ナノ炭素に担持されている。炭素繊維を覆う繊維状ナノ炭素に触媒金属を担持させることで、炭素繊維上に触媒金属を担持させるよりも、触媒金属の担持量を著しく増大させることができる。また、CNFsからなる燃料電池用触媒担体としてマリモカーボンが知られている。マリモカーボンは、ほぼCNFsで構成されており、本発明に用いる炭素複合材料に比べてCNFsの割合が非常に高く、触媒金属の担持量も当然多くなることが予想された。しかしながら、実際には、本発明に用いる炭素複合材料の方が、マリモカーボンよりも多くの触媒金属を担持することができる。これは、マリモカーボンは、その直径が10μm以上と大きいことから、触媒金属の原液をマリモカーボン全体に含浸させることは難しく、触媒金属の担持量を多くすることができなかったものと考えられる。一方で、本発明に用いる炭素複合材料では、炭素繊維表面に繊維状ナノ炭素を薄い層状に形成させることができるため、繊維状ナノ炭素の層全体を触媒金属の原液に十分含浸させることができ、結果として、マリモカーボンのようなCNFsからなる炭素材料よりも、多くの触媒金属を担持させることができたものと考えられる。このため、本発明の電極材料は、高い触媒効果を奏し、電極性能に優れる。
本発明の電極材料において、触媒金属の担持量は、繊維状ナノ炭素で被覆されている炭素繊維からなる材料(炭素複合材料)の全質量に対して0.3~10質量%であることが好ましく、0.5~5質量%であることが更に好ましい。なお、炭素繊維の全体が繊維状ナノ炭素で被覆されていない場合、触媒金属は、炭素繊維上にも担持され得る。
本発明の電極材料において、触媒金属の平均粒径は、好ましくは0.5~50nmであり、より好ましくは1~30nmであり、さらに好ましくは2~20nmである。触媒金属の粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定することができる。触媒金属の画像が円でない場合は、2点間距離の最大値をその触媒金属の粒径とする。本明細書においては、50個以上の触媒金属の粒径から平均値を求める。
触媒金属は、燃料電池の種類によって適宜選択されるが、例えば、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、オスミウムといった白金族金属などが挙げられ、白金やパラジウムを使用することが多い。
本発明の電極材料において、触媒金属を担持した繊維状ナノ炭素で被覆されている炭素繊維は、さらにプロトン伝導性材料で覆われていることが好ましい。プロトン伝導性材料は、プロトンを移動させることが可能な材料であり、燃料電池を構成する電解質に使用できる材料が好適に使用できる。例えば、フッ素系イオノマーや炭化水素系イオノマー等のイオノマーが好ましい。フッ素系イオノマーは、ポリマー骨格にフッ素原子を含むイオノマーであり、具体例として、パーフルオロアルキルスルホン酸系ポリマー等が挙げられ、デュポン社のNafion(登録商標)が好適に使用できる。炭化水素系イオノマーは、ポリマー骨格にフッ素原子を含まない非フッ素系イオノマーであり、具体例として、ポリスチレンや芳香族ポリエーテルケトン等の芳香族系ポリマーにスルホン酸基を導入したイオノマー等が挙げられる。触媒金属を担持した繊維状ナノ炭素で被覆されている炭素繊維(触媒担持炭素繊維)をプロトン伝導性材料で被覆することによって、燃料電池を構成する電解質との接触界面以外の部分でも、電極反応を行うことが可能となり、担持された触媒金属の利用率を向上させることができる。さらに、触媒担持炭素繊維をプロトン伝導性材料で被覆することにより、これを電解質膜に直接圧着して膜電極接合体を作成する際、炭素繊維どうしの接着状態を保ち、炭素繊維の破壊を抑制する結着材であり、補強材でもあり、さらに緩衝材ともいえる役割も期待できる。ここで「触媒金属を担持した繊維状ナノ炭素で被覆されている炭素繊維がプロトン伝導性材料で覆われている」とは、触媒担持炭素繊維の全体または一部がプロトン伝導性材料で被覆されていることを意味する。
触媒金属を担持した繊維状ナノ炭素で被覆されている炭素繊維からなる材料(触媒担持炭素複合材料)がプロトン伝導性材料で被覆された後も炭素繊維間の空間を残すため、適量のプロトン伝導性材料で触媒担持炭素繊維を薄く被覆させることが好ましい。本発明の電極材料において、プロトン伝導性材料の量は、触媒金属を担持した繊維状ナノ炭素で被覆されている炭素繊維からなる材料の全質量に対して10~25質量%であることが好ましく、15~20質量%であることが更に好ましい。
本発明の電極材料は、原料ガスの拡散(供給)および反応生成物の拡散(除去)が容易である炭素繊維からなる材料を基材として用い、炭素繊維の表面で繊維状ナノ炭素を密に成長させることができ、その繊維状ナノ炭素上に触媒金属を高分散に担持させることができる。本発明の電極材料によれば、この構造によって、触媒金属の利用率を向上できると共に、原料ガスの供給が酸化還元反応の律速となることを避けることができる。加えて、排水性が高いことから、激しく反応が起こる出力側で排水が律速とならず、電圧降下が生じない。本発明の電極材料は、燃料電池の高出力化に寄与する。
また、本発明の電極材料は、ガス拡散機能を有することができ(燃料電池における電極触媒層とガス拡散層が一体化した部材として使用することができ)、ガス拡散層を別に用意しなくてもよいことから、燃料電池の小型化にも寄与する。また、ガス拡散層の設置が不要となることに加えて、本発明の電極材料は、粉体ではなく、電解質膜に直接重ねることができるため、MEAの製造プロセスの簡素化も達成できる。
また、本発明の電極材料は、繊維状ナノ炭素が、構成単位がグラフェン様構造であることから結晶性が高く、活性炭やカーボンブラックのような非晶質の炭素材料とは異なり、繰り返しの利用によっても構造の変化は生じないため、燃料電池の長寿命化に寄与する。また、繊維状ナノ炭素の表面にはグラフェンエッジが無数に存在し、それが触媒金属の担持サイトとなる。よって、触媒金属微粒子の粒径微細化、高分散化が促進され、電極反応サイトを増やすことができる。
次に、本発明の電極材料の製造方法について説明する。
本発明の電極材料の製造方法の一実施形態は、炭素繊維からなる材料を構成する炭素繊維を繊維状ナノ炭素で被覆する工程と、繊維状ナノ炭素で被覆された炭素繊維からなる材料(炭素複合材料)に触媒金属を担持させる工程とを含み、好ましくは、触媒金属を担持した繊維状ナノ炭素で被覆された炭素繊維からなる材料(触媒担持炭素複合材料)をプロトン伝導性材料で被覆する工程をさらに含む。
炭素繊維からなる材料を構成する炭素繊維を繊維状ナノ炭素で被覆する工程は、繊維状ナノ炭素で被覆された炭素繊維からなる材料(炭素複合材料)を形成する工程であり、好ましくは炭素繊維上で繊維状ナノ炭素の気相合成、より好ましくは炭化水素ガスと遷移金属触媒との接触反応を利用した繊維状ナノ炭素の化学的気相合成が行われる。炭素繊維からなる材料は、炭素繊維間に空間が形成されており、炭素繊維間の隙間は溶液やガスの通り道となる。このため、気相合成法を利用することにより、炭素繊維の一本一本を全て覆うように繊維状ナノ炭素を密に成長させることができ、炭素繊維からなる材料の面方向および厚み方向において繊維状ナノ炭素を合成することができる。
繊維状ナノ炭素の化学的気相合成においては、遷移金属イオンを含む溶液を用い、含浸法によって、炭素繊維からなる材料を構成する炭素繊維に遷移金属触媒を微粒子状に担持させることが好ましい。炭素繊維からなる材料に遷移金属触媒をむらなく担持させることを確実に行うには、含浸法を繰り返し行うことが好ましい。ここで、使用される遷移金属としては、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、亜鉛(Zn)、コバルト(Co)、鉄(Fe)等が挙げられ、ニッケルが特に好ましい。ニッケルを単独で触媒として使用するだけではなく、ニッケルを主成分として、例えば銅をモル比で約20パーセント添加した触媒を用いると、グラフェンシートが積層して繊維状構造を成すコイン積層型のCNFsが得られる。ニッケルに亜鉛を添加した場合は、CNFの直径がニッケルのみの場合と比較して小さく、カップ積層構造のCNFsが合成できる。ニッケルにコバルトを添加した場合は、CNF表面の単位長さあたりのグラフェンエッジ露出状態を減じる方向に調整することもできる。このように、ニッケルを主成分として、第2元素、あるいはさらに第3元素を添加した多元系の触媒を用いてCNFs合成を行うことにより、繊維状構造の表面に、グラフェンエッジを制御して配置することができる。この構造は、いわゆるカーボンナノチューブと呼ばれるものの構造とは全く異なる。カーボンナノチューブは、その名の通り、グラフェンシートを巻いてできた中空構造を持ち、表面にはグラフェンエッジが存在しない。バンブーライク構造と呼ばれるものも、本発明のCNFsとは異なる微細構造を持つ。バンブーライクとは、繊維状構造の内部に、竹の節様の構造ができる繊維状炭素で、カーボンナノチューブに比べれば、表面にグラフェンエッジの露出は見られるが、数は本発明のCNFsと比べて極めて少なく、むしろ多層カーボンナノチューブ構造に近い構造を有するものと言える。このように、本発明のCNFsは、ニッケルを主成分とした触媒金属を用いること、反応ガス種や合成温度等の条件によって、カップ積層構造、コイン積層構造といった微細構造を一様に制御したものである。よって、本発明のCNFsは、表面に露出するグラフェンエッジが繊維状構造の長手方向に一様かつ規則的に配列したものとなっており、グラフェンエッジの露出がほとんどないチューブ構造や、グラフェンエッジが少なく露出状態が一様ではないバンブー構造とは大きく異なるものである。遷移金属イオンを含む溶液の溶媒としては、純水に加えて、例えばエタノールやアセトン等が挙げられる。炭素繊維に遷移金属触媒を担持させた後に乾燥させることが好ましい。乾燥は空気中で行うことができ、乾燥温度は例えば300~400℃であり、乾燥時間は例えば30分~90分である。次に、この炭素繊維に担持された遷移金属触媒と炭化水素ガスとの接触反応によって、繊維状ナノ炭素を成長させることができ、これによって、繊維状ナノ炭素で被覆された炭素繊維からなる材料(炭素複合材料)を形成することができる。ここで、使用される炭化水素ガスとしては、メタン、エタン、メタンとエタンの混合ガス等が挙げられる。また、必要に応じて、炭化水素ガスに、アルゴンや水素等反応補助ガスや希釈ガス等を適宜混合させることができる。接触反応を行う際の温度は、例えば400~600℃、好ましくは450~550℃であり、反応時間は例えば30分~180分である。接触反応は、固定床式であっても流動床式であってもよい。また、接触反応を行う前に、遷移金属触媒を担持した炭素繊維からなる材料に対してアニール処理を行ってもよい。アニール処理は、アルゴン(Ar)等の不活性ガス中で行うことが好ましく、処理温度は例えば350~450℃であり、処理時間は例えば30分~90分である。
炭素複合材料に触媒金属を担持させる工程は、触媒金属を担持した繊維状ナノ炭素で被覆された炭素繊維からなる材料(触媒担持炭素複合材料)を形成する工程である。これによって、炭素複合材料を構成する繊維状ナノ炭素の表面に無数に存在するグラフェンエッジに触媒金属微粒子を担持させることができる。触媒金属の担持は、触媒金属イオンを含む溶液を用い、含浸法またはナノコロイド法によって、炭素複合材料を溶液中で処理することが好ましい。炭素複合材料に触媒金属をむらなく担持させることを確実に行うには、含浸法の場合は繰り返し操作が好ましく、ナノコロイド法の場合は還元剤の量や濃度、添加方法、反応中の撹拌方法を検討し、最適化条件を明らかにすることが好ましい。触媒金属イオンを含む溶液の溶媒としては、主には純水(イオン交換水)にエタノールやアセトン等を適宜混合した溶液等が挙げられる。得られた触媒担持炭素複合材料に対して、水素気流中で還元操作を行ってもよい。水素やアルゴン(Ar)等の不活性ガス中で行うことが好ましく、処理温度は金属種によるが例えば200~600℃であり、処理時間は例えば30分~60分である。
触媒担持炭素複合材料をプロトン伝導性材料で被覆する工程は、触媒金属を担持した繊維状ナノ炭素で被覆されている炭素繊維をプロトン伝導性材料でさらに被覆する工程である。これによって、燃料電池を構成する電解質との接触界面以外の部分でも、電極反応を行うことが可能となり、担持された触媒金属の利用率を向上させることができる。プロトン伝導性材料を滴下したり又はプロトン伝導性材料に浸漬させたりすることによって、触媒担持炭素複合材料を構成する炭素繊維をプロトン伝導性材料で被覆することができる。プロトン伝導性材料の滴下や浸漬には溶媒を用いてもよい。プロトン伝導性材料は、繊維状ナノ炭素材料の微細構造に応じた最適量とする。
本発明の別の態様は、一対の電極触媒層と、該電極触媒層の間に配置された電解質膜とを備える燃料電池用膜電極接合体である。本明細書においては、この燃料電池用膜電極接合体を「本発明の膜電極接合体」とも称する。
本発明の膜電極接合体において、一対の電極触媒層は、一方が燃料電池のアノードを構成する電極触媒層であり、他方が燃料電池のカソードを構成する電極触媒層である。本発明の膜電極接合体は、一対の電極触媒層の少なくとも一方が、上述した本発明の電極材料を含むものであり、好ましくは一対の電極触媒層の両方が、上述した本発明の電極材料を含むものである。本発明の電極材料はガス拡散機能を有することができることから、本発明の膜電極接合体は、電極触媒層上にガス拡散層を設けることを必ずしも必要としない。本発明の膜電極接合体の好ましい実施形態において、本発明の電極材料を含む電極触媒層は、ガス拡散機能を有する電極触媒層である。
本発明の膜電極接合体において、電解質膜は、プロトン伝導性高分子膜であることが好ましい。本発明の電極材料において説明されたようなプロトン伝導性材料をプロトン伝導性高分子膜として用いることができる。例えば、フッ素系イオノマーや炭化水素系イオノマー等のイオノマーからなる電解質膜を用いることが好ましい。フッ素系イオノマーの具体例としては、パーフルオロアルキルスルホン酸系ポリマー等が挙げられ、デュポン社のNafion(登録商標)が好適に使用できる。炭化水素系イオノマーの具体例としては、ポリスチレンや芳香族ポリエーテルケトン等の芳香族系ポリマーにスルホン酸基を導入したイオノマー等が挙げられる。
本発明の膜電極接合体においては、本発明の電極材料を電解質膜に直接貼り付けることで、電極触媒層を電解質膜上に配置させることができるため、電極触媒のスラリー化と薄膜の作製・転写が不要となり、膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)の製造プロセスが簡素化できる。また、本発明の電極材料は、ガス拡散機能を有することができ、電極触媒層上にガス拡散層を設けることを必ずしも必要としないため、この点からもMEAの製造プロセスが簡素化される。
本発明の別の態様は、一対の電極触媒層と、該電極触媒層の間に配置された電解質とを備える燃料電池である。本明細書においては、この燃料電池を「本発明の燃料電池」とも称する。本発明の燃料電池は、固体高分子形燃料電池(PEFC)、リン酸形燃料電池(PAFC)、アルカリ電解質形燃料電池(AFC)、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)、固体酸化物形燃料電池(SOFC)、直接メタノール形燃料電池(DMFC)等の燃料電池として使用可能であるが、好ましくはPEFCおよびDMFCであり、最も好ましくはPEFCである。
本発明の燃料電池の一実施態様においては、一対の電極触媒層の少なくとも一方が、本発明の電極材料を含む。また、本発明の燃料電池の別の実施態様においては、本発明の膜電極接合体を備える。
本発明の燃料電池において、一対の電極触媒層は、一方がアノードを構成する電極触媒層であり、他方がカソードを構成する電極触媒層である。アノードでは、通常、水素の酸化が行われる。カソードでは、通常、酸素の還元が行われ、水が生成する。なお、DMFCの場合、カソードでは同様の反応が行われるが、アノードでは、メタノールと水の供給によりメタノールの酸化が行われ、二酸化炭素が生成する。
本発明の燃料電池における一対の電極触媒層の少なくとも一方が本発明の電極材料を含む実施態様においては、一対の電極触媒層の両方が、本発明の電極材料を含むものであることが好ましい。本発明の電極材料を含む電極触媒層は、ガス拡散機能を有する電極触媒層であることが好ましい。また、この実施態様において、電解質は電解質膜で構成されていることが好ましく、電解質膜としてはプロトン伝導性高分子膜であることが好ましい。本発明の電極材料において説明されたようなプロトン伝導性材料をプロトン伝導性高分子膜として用いることができる。例えば、フッ素系イオノマーや炭化水素系イオノマー等のイオノマーからなる電解質膜を用いることが好ましい。フッ素系イオノマーの具体例としては、パーフルオロアルキルスルホン酸系ポリマー等が挙げられ、デュポン社のNafion(登録商標)が好適に使用できる。炭化水素系イオノマーの具体例としては、ポリスチレンや芳香族ポリエーテルケトン等の芳香族系ポリマーにスルホン酸基を導入したイオノマー等が挙げられる。
本発明の燃料電池が本発明の膜電極接合体を備える場合、燃料電池における一対の電極触媒層は、本発明の膜電極接合体を構成する一対の電極触媒層である。この実施態様において、本発明の膜電極接合体は、一対の電極触媒層の少なくとも一方が本発明の電極材料を含み、好ましくは一対の電極触媒層の両方が本発明の電極材料を含むものであり、ここで、本発明の電極材料を含む電極触媒層は、ガス拡散機能を有する電極触媒層であることが好ましい。また、本発明の燃料電池が本発明の膜電極接合体を備える場合、燃料電池の電解質は、本発明の膜電極接合体を構成する電解質膜である。
本発明の燃料電池は、電解質に電極触媒層によって覆われていない部分がある場合、ガスケットを含むことが好ましい。ガスケットは、電極触媒層によって覆われていない電解質の表面に配置させることができる。本発明の燃料電池の一実施態様は、一対のガスケットを更に含み、ここで、一対のガスケットは、一対の電極触媒層によって覆われていない電解質の表面を覆うように配置されている。ガスケットは、電極触媒層の外周に沿って配置されることが好ましい。ガスケットには、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド等の各種高分子フィルムを使用することができる。
本発明の燃料電池は、一対の電極触媒層のそれぞれの外側に設置されている一対のセパレータを含むことができる。本発明の燃料電池が一対のガスケットを含む場合は、一対のセパレータは、一対の電極触媒層および一対のガスケットの外側に配置させることができる。一対のセパレータの間には、発電に必要な電解質、アノード、カソード等が配置されており、セパレータは燃料電池セル同士を区切るために使用できる。セパレータは、好ましくは導電性平板で構成され、炭素系材料や、鉄鋼、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム等の金属系材料を使用することができる。
本発明の燃料電池は、一対の電極触媒層のそれぞれの外側に一対の集電部材を含むことができる。一対の集電部材は一対のセパレータの外側に配置されることが好ましい。集電部材は、電極反応によって発生した電気を外部に取り出すための部材であり、好ましくは導電性平板で構成され、鉄鋼、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム等の金属系材料を使用することができる。
本発明の燃料電池は、一対の電極触媒層のそれぞれの外側に一対の締付部材を含むことができる。一対の締付部材は一対の集電部材の外側に配置されることが好ましく、集電部材と締付部材の間には絶縁部材が配置されることが好ましい。締付部材は、締付部材間にある電解質、電極等の部材を締め付けるための部材であり、好ましくは平板で構成され、鉄鋼、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム等の金属系材料を使用することができる。
本発明の燃料電池は、電解質、電極触媒層、必要に応じてガスケット、セパレータ、集電部材、締付部材などを含む構造をセル構成部材とし、目的とする電圧、電流を得るために、複数のセル構成部材を並列または直列に集積させることができる。単独のセル構成部材を燃料電池セル、複数のセル構成部材で構成される燃料電池を燃料電池スタック、複数のスタックで構成される燃料電池を燃料電池モジュールと称する場合もある。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
<参考例:炭素複合材料の合成と評価>
(実験)
CFP(東レ製、TGP-H-060、0.19mm厚、単繊維の直径:約6μm)に対して、前処理として空気中350℃で30分間加熱処理を行った。このCFPから10mm×30mmに切り出して基材とした。基材にNi触媒を担持するプロセスは次の通りである。まずNi(NO3)2・6H2Oをエタノールで溶かした含浸溶液に基材を30分間含浸し、溶液から取り出して空気中350℃で60分間乾燥した。この操作を二回繰り返し行ったが、二回目の含浸は、一回目の含浸の際に上を向いていた基材の面を下に向けて溶液に入れた。これによりNi触媒を担持した基材(Ni/CFP)を得た。Ni/CFPを固定床流通式反応装置に導入し、含浸溶液に含まれる硝酸根の分解除去とNi触媒微粒子化のため、Arガス雰囲気下400℃で60分間アニールを行った。アニール終了後、Ar中で反応温度(500℃)まで昇温し、500℃に達したと同時にArガスからCH4ガスに切り替え、60分間接触反応を行い、CFPを構成する炭素繊維がCNFsで被覆されている炭素複合材料(CNFs/CFP)を合成した。
(実験)
CFP(東レ製、TGP-H-060、0.19mm厚、単繊維の直径:約6μm)に対して、前処理として空気中350℃で30分間加熱処理を行った。このCFPから10mm×30mmに切り出して基材とした。基材にNi触媒を担持するプロセスは次の通りである。まずNi(NO3)2・6H2Oをエタノールで溶かした含浸溶液に基材を30分間含浸し、溶液から取り出して空気中350℃で60分間乾燥した。この操作を二回繰り返し行ったが、二回目の含浸は、一回目の含浸の際に上を向いていた基材の面を下に向けて溶液に入れた。これによりNi触媒を担持した基材(Ni/CFP)を得た。Ni/CFPを固定床流通式反応装置に導入し、含浸溶液に含まれる硝酸根の分解除去とNi触媒微粒子化のため、Arガス雰囲気下400℃で60分間アニールを行った。アニール終了後、Ar中で反応温度(500℃)まで昇温し、500℃に達したと同時にArガスからCH4ガスに切り替え、60分間接触反応を行い、CFPを構成する炭素繊維がCNFsで被覆されている炭素複合材料(CNFs/CFP)を合成した。
(結果および考察)
図1は、CFPのSEM像(上側)とCNFs/CFPのSEM像(下側)を示す。CNFs/CFPのSEM像から、炭素繊維の表面に均一にCNFsが析出していることが分かる。本実験では、二度の含浸によりCFPの面内方向および厚み方向において遷移金属触媒がむらなく担持できたため、CFPを構成する炭素繊維のCNFsによるむらのない被覆が達成できたと考えられる。本実験を数十回繰り返し行ったが、炭素繊維が繊維状ナノ炭素でむらなく被覆されている炭素複合材料を再現性良く合成することができた。
図2は、CNFのTEM像を示す。CNFのTEM像から、CNFの微細構造は、カップ状のグラフェンが積層した構造を有することが分かる。
図1は、CFPのSEM像(上側)とCNFs/CFPのSEM像(下側)を示す。CNFs/CFPのSEM像から、炭素繊維の表面に均一にCNFsが析出していることが分かる。本実験では、二度の含浸によりCFPの面内方向および厚み方向において遷移金属触媒がむらなく担持できたため、CFPを構成する炭素繊維のCNFsによるむらのない被覆が達成できたと考えられる。本実験を数十回繰り返し行ったが、炭素繊維が繊維状ナノ炭素でむらなく被覆されている炭素複合材料を再現性良く合成することができた。
図2は、CNFのTEM像を示す。CNFのTEM像から、CNFの微細構造は、カップ状のグラフェンが積層した構造を有することが分かる。
<実施例1:触媒担持炭素複合材料の合成と評価>
(実験)
CFP(東レ製、TGP-H-060、0.19mm厚、単繊維の直径:約6μm)を空気中350℃で30min熱処理し、1cm×3cmに切り出して、基材として使用した。Ni触媒の担持は、触媒前駆体に硝酸Ni六水和物、溶媒にエタノールを用いて、含浸法によって行った。含浸後の基材は、空気中350℃で60min乾燥させ、Ni/CFPを得た。CNFsの合成は、固定床流通式反応装置を用いて行った。まず、Ni/CFPを装置に導入し、Ar中400℃で60minアニール処理を行った。続けて、合成温度まで昇温、維持しCNFsの合成を行った。反応ガスにはCH4を用いて、合成時間は60minとし、合成温度は、450℃から600℃の範囲で設定して合成を行った。得られたCNFs/CFPへのPd粒子の担持は、触媒前駆体に酢酸パラジウム、溶媒にアセトンを用いた含浸法で行った。含浸後のCNFs/CFPを自然乾燥した後、Ar中250℃で30min熱処理を行い、触媒担持炭素複合材料としてPd/CNFs/CFPを得た。サンプルの形態は走査型電子顕微鏡(SEM)、電気抵抗は四探針法を用いて調べた。
なお、図示しないが、参考例と同様に、CNFsがカップ状のグラフェンが積層した構造を有することを透過型電子顕微鏡(TEM)により確認した。
(実験)
CFP(東レ製、TGP-H-060、0.19mm厚、単繊維の直径:約6μm)を空気中350℃で30min熱処理し、1cm×3cmに切り出して、基材として使用した。Ni触媒の担持は、触媒前駆体に硝酸Ni六水和物、溶媒にエタノールを用いて、含浸法によって行った。含浸後の基材は、空気中350℃で60min乾燥させ、Ni/CFPを得た。CNFsの合成は、固定床流通式反応装置を用いて行った。まず、Ni/CFPを装置に導入し、Ar中400℃で60minアニール処理を行った。続けて、合成温度まで昇温、維持しCNFsの合成を行った。反応ガスにはCH4を用いて、合成時間は60minとし、合成温度は、450℃から600℃の範囲で設定して合成を行った。得られたCNFs/CFPへのPd粒子の担持は、触媒前駆体に酢酸パラジウム、溶媒にアセトンを用いた含浸法で行った。含浸後のCNFs/CFPを自然乾燥した後、Ar中250℃で30min熱処理を行い、触媒担持炭素複合材料としてPd/CNFs/CFPを得た。サンプルの形態は走査型電子顕微鏡(SEM)、電気抵抗は四探針法を用いて調べた。
なお、図示しないが、参考例と同様に、CNFsがカップ状のグラフェンが積層した構造を有することを透過型電子顕微鏡(TEM)により確認した。
(結果および考察)
図3は、繊維状ナノ炭素の析出量(炭素析出量)と合成温度の関係を示す。図3から分かるように、繊維状ナノ炭素の析出は、450℃から550℃で安定して行われた。1cm×3cmの大きさのCFP約25mgに対して繊維状ナノ炭素が約5mg析出し、CNFs/CFPの質量はCFPの質量より2割程度増加した。この材料を電極として用いた場合、CNFsの析出量は、電極面積1cm2あたり1.7mgであった。
図4は、CNFs/CFPのSEM像を示す。図4(a)はCNFs/CFPの表面を示し、図4(b)はCNFs/CFPの断面を示す。図4(a)から分かるように、CNFsは、密に成長し、CFPを構成する炭素繊維を均一に覆うように生成された。また、図4(b)から分かるように、CNFsはCFPの厚み方向にも生成されており、CFP全体をCNFsで被覆することができた。この場合、炭素繊維を覆っているCNFsの層の厚みは約2μmであった。
図5は、450℃および550℃で合成したCNFsの繊維径分布を示す。図5(a)は450℃、図5(b)は550℃の場合である。450℃で合成したCNFsの繊維径は15nmから30nmの範囲に多く分布していた。一方、550℃で合成したCNFsの繊維径は20nmから40nmの範囲に多く分布していた。550℃の場合は、450℃の場合よりも繊維径の分布が繊維径の大きい方に広がり、450℃ではほとんど見られなかった繊維径40nm以上にも存在した。CNFsの繊維径は、遷移金属触媒の大きさに起因することが知られており(N.M.Rodriguez;J.Mater.Res.,8,3233(1993))、高温側では、遷移金属触媒のシンタリングが起こり、CNFsの繊維径が大きくなったと考えられる。
図6は、面方向への測定により得られた、CFPおよびCNFs/CFPの体積抵抗率を示す。CFPの体積抵抗率は約6.0mΩ・cm~7.0mΩ・cmであった。一方、CNFs/CFPは約5.3mΩ・cm~6.0mΩ・cmであり、CNFsを合成することで体積抵抗率は小さくなった。CFPの体積抵抗率の公称値は5.8mΩ・cmであり、CNFsの値はCFPと同等か、それ以下であることが示唆された。
図7は、触媒担持炭素複合材料であるPd/CNFs/CFPのSEM像(a)と、パラジウムをCFPに担持させたPd/CFPのSEM像(b)を示す。Pd/CNFs/CFPでは、CNFs/CFPに対してPdを約0.9質量%担持することができた。CNFsの表面に粒子の大きさが5nmから20nm程度のパラジウム粒子が観察された。Pd/CFPについて、CFPへのPdの担持は、Pd/CNFs/CFPの場合と同様の操作が行われた。CFPに対してPdを約0.3質量%担持され、Pd粒子の大きさは100nmから200nmで、Pd/CNFs/CFPの場合と比べてPd粒子が最大約40倍大きかった。CNFs/CFPはCFPよりも多くPdを担持することができ、さらに、Pd粒子のサイズを小さくすることができた。
図3は、繊維状ナノ炭素の析出量(炭素析出量)と合成温度の関係を示す。図3から分かるように、繊維状ナノ炭素の析出は、450℃から550℃で安定して行われた。1cm×3cmの大きさのCFP約25mgに対して繊維状ナノ炭素が約5mg析出し、CNFs/CFPの質量はCFPの質量より2割程度増加した。この材料を電極として用いた場合、CNFsの析出量は、電極面積1cm2あたり1.7mgであった。
図4は、CNFs/CFPのSEM像を示す。図4(a)はCNFs/CFPの表面を示し、図4(b)はCNFs/CFPの断面を示す。図4(a)から分かるように、CNFsは、密に成長し、CFPを構成する炭素繊維を均一に覆うように生成された。また、図4(b)から分かるように、CNFsはCFPの厚み方向にも生成されており、CFP全体をCNFsで被覆することができた。この場合、炭素繊維を覆っているCNFsの層の厚みは約2μmであった。
図5は、450℃および550℃で合成したCNFsの繊維径分布を示す。図5(a)は450℃、図5(b)は550℃の場合である。450℃で合成したCNFsの繊維径は15nmから30nmの範囲に多く分布していた。一方、550℃で合成したCNFsの繊維径は20nmから40nmの範囲に多く分布していた。550℃の場合は、450℃の場合よりも繊維径の分布が繊維径の大きい方に広がり、450℃ではほとんど見られなかった繊維径40nm以上にも存在した。CNFsの繊維径は、遷移金属触媒の大きさに起因することが知られており(N.M.Rodriguez;J.Mater.Res.,8,3233(1993))、高温側では、遷移金属触媒のシンタリングが起こり、CNFsの繊維径が大きくなったと考えられる。
図6は、面方向への測定により得られた、CFPおよびCNFs/CFPの体積抵抗率を示す。CFPの体積抵抗率は約6.0mΩ・cm~7.0mΩ・cmであった。一方、CNFs/CFPは約5.3mΩ・cm~6.0mΩ・cmであり、CNFsを合成することで体積抵抗率は小さくなった。CFPの体積抵抗率の公称値は5.8mΩ・cmであり、CNFsの値はCFPと同等か、それ以下であることが示唆された。
図7は、触媒担持炭素複合材料であるPd/CNFs/CFPのSEM像(a)と、パラジウムをCFPに担持させたPd/CFPのSEM像(b)を示す。Pd/CNFs/CFPでは、CNFs/CFPに対してPdを約0.9質量%担持することができた。CNFsの表面に粒子の大きさが5nmから20nm程度のパラジウム粒子が観察された。Pd/CFPについて、CFPへのPdの担持は、Pd/CNFs/CFPの場合と同様の操作が行われた。CFPに対してPdを約0.3質量%担持され、Pd粒子の大きさは100nmから200nmで、Pd/CNFs/CFPの場合と比べてPd粒子が最大約40倍大きかった。CNFs/CFPはCFPよりも多くPdを担持することができ、さらに、Pd粒子のサイズを小さくすることができた。
(まとめ)
CNFs/CFPは、遷移金属触媒にNi、反応ガスにCH4を用いた場合、450℃から550℃で安定して合成することができた。合成温度によってCNFsの繊維径を制御できることが示唆された。さらに、CNFs/CFPは、CFPよりも電気抵抗が小さくなり、担持したPd粒子を小さくすることができた。
CNFs/CFPは、遷移金属触媒にNi、反応ガスにCH4を用いた場合、450℃から550℃で安定して合成することができた。合成温度によってCNFsの繊維径を制御できることが示唆された。さらに、CNFs/CFPは、CFPよりも電気抵抗が小さくなり、担持したPd粒子を小さくすることができた。
<実施例2:CFPおよびCNFs/CFPへのパラジウム担持>
(実験)
酢酸パラジウムを100mg量り、12mLのアセトンで溶かし、パラジウム溶液を調製した。調製したパラジウム溶液を内径3cm、高さ1.5cmのシャーレに5mL加え、1cm角に切り出したCFPおよびCNFs/CFPを浸漬させた。なお、CFPとしては東レ製TGP-H-060(0.19mm厚)を用い、CNFs/CFPとしては実験例1で合成したCNFs/CFPを用いた。60分後、CFPおよびCNFs/CFPを取り出し、石英のボートに乗せて2時間自然乾燥を行った。自然乾燥後、固定床流通式反応装置に導入し、250℃で60分、Ar中でアニールを行った。パラジウムの重量は含浸前と含浸・アニール後の重量変化から求めた。調製したサンプルのモルフォロジーは走査型電子顕微鏡(SEM)で評価した。
なお、図示しないが、参考例と同様に、CNFsがカップ状のグラフェンが積層した構造を有することを透過型電子顕微鏡(TEM)により確認した。
(実験)
酢酸パラジウムを100mg量り、12mLのアセトンで溶かし、パラジウム溶液を調製した。調製したパラジウム溶液を内径3cm、高さ1.5cmのシャーレに5mL加え、1cm角に切り出したCFPおよびCNFs/CFPを浸漬させた。なお、CFPとしては東レ製TGP-H-060(0.19mm厚)を用い、CNFs/CFPとしては実験例1で合成したCNFs/CFPを用いた。60分後、CFPおよびCNFs/CFPを取り出し、石英のボートに乗せて2時間自然乾燥を行った。自然乾燥後、固定床流通式反応装置に導入し、250℃で60分、Ar中でアニールを行った。パラジウムの重量は含浸前と含浸・アニール後の重量変化から求めた。調製したサンプルのモルフォロジーは走査型電子顕微鏡(SEM)で評価した。
なお、図示しないが、参考例と同様に、CNFsがカップ状のグラフェンが積層した構造を有することを透過型電子顕微鏡(TEM)により確認した。
(結果)
表1及び2は、含浸前後のCFPおよびCNFs/CFPならびにパラジウムの担持量を示す。CFPの場合、含浸後に質量が0.0232mg増加し、基材(CFP)に対してパラジウムを0.281質量%担持できた。CNFs/CFPの場合、含浸後に質量が0.0918mg増加し、複合炭素材料(CNFs/CFP)に対して0.879質量%担持できた。複合炭素材料(CNFs/CFP)に含まれるCNFsの質量は1.3928mgであり、CNFsに対するパラジウムの質量は6.183質量%だった。CFPよりもCNFs/CFPの方が0.0686mg多くパラジウムが担持できた。
表1及び2は、含浸前後のCFPおよびCNFs/CFPならびにパラジウムの担持量を示す。CFPの場合、含浸後に質量が0.0232mg増加し、基材(CFP)に対してパラジウムを0.281質量%担持できた。CNFs/CFPの場合、含浸後に質量が0.0918mg増加し、複合炭素材料(CNFs/CFP)に対して0.879質量%担持できた。複合炭素材料(CNFs/CFP)に含まれるCNFsの質量は1.3928mgであり、CNFsに対するパラジウムの質量は6.183質量%だった。CFPよりもCNFs/CFPの方が0.0686mg多くパラジウムが担持できた。
表1中、「含浸前」は、パラジウム溶液に含浸させる前のCFPの質量を表し、「含浸後」は、パラジウム溶液に含浸させ、アニール処理を行った後のPd/CFPの質量を表し、「パラジウムの質量」は、CFPに担持されているパラジウムの質量を表し、「担持量」は、CFPの質量に対するパラジウムの担持量(質量%)を表す。
表2中、「含浸前」は、パラジウム溶液に含浸させる前のCNFs/CFPの質量を表し、「含浸後」は、パラジウム溶液に含浸させ、アニール処理を行った後のPd/CNFs/CFPの質量を表し、「パラジウムの質量」は、CNFs/CFPに担持されているパラジウムの質量を表し、「CNFs/CFPに対する担持量」は、CNFs/CFPの質量に対するパラジウムの担持量(質量%)を表し、「CNFsの質量」は、CNFs/CFPに含まれるCNFsの質量を表し、「CNFsに対する担持量」は、CNFsの質量に対するパラジウムの担持量(質量%)を表す
図8は、Pd/CFPのSEM像を示し、図9は、Pd/CNFs/CFPのSEM像を示す。図8から分かるように、CFPには、炭素繊維の表面を覆うように直径約90nmのPd粒子が担持されていた。また、図9から分かるように、CNFs/CFPでは、CNFsの表面に直径約5nmから20nm程度のPd粒子が存在し、CFPよりもPd粒子が小さかった。
<実施例3:Pd/CNFs/CFPとPd/CFPの水素に対する反応性の対比>
(実験)
Pd/CFPとPd/CNFs/CFPを用いて水素への反応性を調べた。Pdの担持は、実施例2とは異なり、スパッタリング法によって行った。CFPは、実施例2で用いたものと同じ材料を用いた。CFPへのCNFs合成は、実施例2と同じ条件で行い、CNFs/CFPを得た。窒素ガスで満たした測定容器に、水素ガスを大気圧下で100sccm(1分あたり100cc)送り込み、Pd/CFPとPd/CNFs/CFPのそれぞれに対してK熱電対を近づけて温度変化を測定した。結果を図10に示す。
(結果)
図10から分かるように、Pd/CFPよりもPd/CNFs/CFPの方が水素に対する反応のしやすさが向上している。つまり、Pd/CNFs/CFPの方が、Pd/CFPよりも反応が早く開始し、その速度も速い。この理由としてCFPにCNFsが成長することで、Pdの微細化により活性点が増えたことが考えられる。Pdの担持は、スパッタリングで行っているので、含浸法等に比べて、CNFs/CFPの厚さ方向にはPdはおらず、CNFs/CFPの厚み全体を活かした結果ではないが、表面近傍だけでも、顕著な変化となっている。なお、Pdのスパッタ量は、膜厚換算で40nm程度(質量では約0.5g/m2)である。
(実験)
Pd/CFPとPd/CNFs/CFPを用いて水素への反応性を調べた。Pdの担持は、実施例2とは異なり、スパッタリング法によって行った。CFPは、実施例2で用いたものと同じ材料を用いた。CFPへのCNFs合成は、実施例2と同じ条件で行い、CNFs/CFPを得た。窒素ガスで満たした測定容器に、水素ガスを大気圧下で100sccm(1分あたり100cc)送り込み、Pd/CFPとPd/CNFs/CFPのそれぞれに対してK熱電対を近づけて温度変化を測定した。結果を図10に示す。
(結果)
図10から分かるように、Pd/CFPよりもPd/CNFs/CFPの方が水素に対する反応のしやすさが向上している。つまり、Pd/CNFs/CFPの方が、Pd/CFPよりも反応が早く開始し、その速度も速い。この理由としてCFPにCNFsが成長することで、Pdの微細化により活性点が増えたことが考えられる。Pdの担持は、スパッタリングで行っているので、含浸法等に比べて、CNFs/CFPの厚さ方向にはPdはおらず、CNFs/CFPの厚み全体を活かした結果ではないが、表面近傍だけでも、顕著な変化となっている。なお、Pdのスパッタ量は、膜厚換算で40nm程度(質量では約0.5g/m2)である。
Claims (7)
- 炭素繊維からなる燃料電池用電極材料であって、炭素繊維が触媒金属を担持した繊維状ナノ炭素で被覆されている炭素繊維であることを特徴とする燃料電池用電極材料。
- 前記触媒金属を担持した繊維状ナノ炭素で被覆されている炭素繊維が、さらにプロトン伝導性材料で覆われていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用電極材料。
- 一対の電極触媒層と、該電極触媒層の間に配置された電解質膜とを備え、前記一対の電極触媒層の少なくとも一方が、請求項1又は2に記載の電極材料を含む、燃料電池用膜電極接合体。
- 前記電解質膜がプロトン伝導性高分子膜である、請求項3に記載の膜電極接合体。
- 一対の電極触媒層と、該電極触媒層の間に配置された電解質とを備え、前記一対の電極触媒層の少なくとも一方が、請求項1又は2に記載の電極材料を含む、燃料電池。
- 請求項3又は4に記載の膜電極接合体を備える、燃料電池。
- 前記電極材料を含む電極触媒層が、ガス拡散機能を有する電極触媒層である、請求項5又は6に記載の燃料電池。
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