JP4037814B2 - 燃料電池用膜−電極接合体及び燃料電池 - Google Patents
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Description
また、新材料として注目されているカーボンナノチューブは、比表面積は数百m2/g以上と大きいものもあるが、数nmから数10nmと非常に微細であるため、電極を作製する際に空間を塞いでしまい、好ましくない。
ーがあるが、直径が100nm以下であるために、電極作製という点で困難である。
このグラファイトナノファイバーのこのような形態は、その合成用触媒の形態に大きく依存する。従来の方法では、共沈法等により作製した微細な触媒前駆体を出発原料として、合成直前の触媒粒径が粒成長により1μmと大きく、これが合成中に細分化するために微細なカーボンが生成するものと考えられている。
プロトン伝導物質は、パーフルオロスルホン酸重合体のようなイオン交換樹脂が用いられる。このような物質としては、デュポン社から発売されているナフィオン(商標名)が知られている。
A×B×D/C 2 < 2.5×10 −4 (mg・min/cm 2 )
で、さらに炭化水素ガスの導入時間が1時間以上である条件で合成することを特徴とする繊維状カーボンを用いることが好ましい。
<カーボンナノファイバー合成用触媒の作製>
本実施の形態における第1工程は、カーボンナノファイバー成長用触媒の作製である。
カーボンナノファイバー成長用の触媒(以下CNF合成触媒と略称する)としては、Ni,Fe,Coの少なくとも一つからなる金属から構成されるもので、さらに、Cu,Ag,Mn等の金属元素が合金化されていても良い。
以下、NiとCuの合金からなるCNF合成触媒を用いる場合を例にとり説明する。
まず、硝酸ニッケル、硝酸銅等の塩をアンモニア等のアルカリを用いて湿式中で中和して合成した、酸化ニッケルと酸化銅粉末を、還元後に目的としたCNF合成触媒組成となるように秤量する。秤量後は前記2種類の粉末に、さらに、平均直径が100nm以下の酸化アルミニウム粉末を添加する。
らである。また、細かすぎると均一に分散させることが困難になり、好ましくない。
上記触媒前駆体を構成する酸化物粒子の平均1次粒径は10nm〜1000nmであることが好ましく、さらには、30nm〜100nmであることが好ましい。なぜならこの範囲以下の粒子を使った場合、粒成長の抑制効果が少なく、凝集・粒成長
が起こってしまうからである。また、これ範囲以上の粒子を使った場合も、粒子の径が大きくなりすぎる。このような大きな粒子から成長するカーボンナノファイバーは、カーボンナノファイバーの成長中に、前記触媒前駆体粒子の細分化が起こり、結果として、平均直径が100nm以下で短いカーボンナノファイバーが多くなり、電極形成に適さないからである。
<カーボンナノファイバーの合成>
第2の工程は、カーボンナノファイバーの合成工程である。
本発明の実施の形態においては、この合成の手段は公知の方法を採用することができるが、簡単で安価なプロセスであることから、熱CVD法が最も好ましい方法である。
この熱CVD法によるカーボンナノファイバーの合成は、次のようにして行われる。
すなわち、上記CNF合成触媒の製造工程に引き続いて、同じ炉を用いて水素ガスを流しながら、炉温をカーボンナノファイバー成長温度にまで加熱する。炉温が成長温度まで上昇したら、炭化水素ガスを主成分とするガスを炉内に供給し、雰囲気ガスを置換して、加熱しながらNi−Cu合金触媒上で炭化水素ガスを分解させてカーボンナノファイバーを析出させる。
この工程において、燃料極側のカーボンナノファイバーの合成条件は、以下のように示される。
A=(繊維状カーボン合成用触媒の単位体積当たりの触媒重量、mg/cm 3 )、B=(繊維状カーボンを合成する際の炭化水素の導入量、ml/min)、C=(全導入ガス流量、ml/min)、D=(合成用の炉の断面積、cm 2 )としたときに、
A×B×D/C 2 < 2.5×10 −4 (mg・min/cm 2 )
で、さらに炭化水素ガスの導入時間が1時間以上である条件で合成する。
この工程によって製造される燃料極側のカーボンナノファイバーは、直径が10〜1000nmでアスペクト比が10以上であって、さらに、比表面積が100m 2 /g以下であり、またその表面には細孔が存在しているものである。この細孔はその平均径が1〜5nmであり、この細孔部分が以後の工程で燃料電池用触媒を効率的に担持するサイトになる。
さらに、上記本実施の形態のカーボンナノファイバーは、0.5原子%以上の水素原子を含んでいる。これらの水素原子は、この後の、燃料電池用触媒の担持に効果的である。
また、合成されたカーボンナノファイバーは、カーボンナノファイバーを構成するグラファイトの結晶のC面が、長手方向に対して45℃以上90℃以下の角度で配向している、いわゆるPlatelet型、Herringbone型である事が好ましい。なぜなら、上記カーボンナノファイバーは、ファイバーの側面表面もしくは側面表面と内部に金属触媒粒子を、微細に高密度に担持することができるからである。
第3の工程は、前記工程によって得られたカーボンナノファイバーに燃料電池用触媒を担持させる工程である。
同士が合体粒成長を起こすため好ましくない。
以上の工程で、燃料電池用触媒が担持されたカーボンナノファイバーと酸化アルミニウム粉末とからなる混合物を合成することができる。本実施の形態においては、カーボンナノファイバー表面へのPtの吸着能が高いため、5nm以下の微粒子の状態で、高密度に担持することができる。
<燃料電池用電極の作製>
第4の工程は、多孔質体を用いて、燃料電池用触媒が担持されたカーボンナノファイバーと酸化アルミニウム粉末との混合物を薄膜に形成する工程である。
この工程において、多孔質体としては、カーボン、すず酸化物、チタン酸化物や、フッ素樹脂などのプラスチックなどの材料からなる板状、クロス状、フェルト状、ペーパー状の多孔質体を使用することができる。
本発明においては、燃料電池電極として燃料電池を担持したカーボンナノファイバー、酸化アルミニウム粉末、及びイオン導電性物質を導電性支持体上に形成する場合には、
この多孔質体をそのまま使用し導電性支持体を兼用させることもできる。この場合に、クロス状またはフェルト状のカーボンを多孔質体として用いることにより、最終的に変形能を有する電極を作成することが可能となる。
また、カーボンナノファイバーの長さは、燃料極側、空気極側どちらの電極にも、1μm以上のものが少なくとも10%以上含まれることが好ましい。なぜなら、面内方向のネットワークを形成するためには、1μm以上の長さが必要だからである。これ以下の長さになると、面内のネットワークが形成できずにひび割れがおこり、カーボンナノファイバーを主構成材とする電極層を形成することができない。さらに好ましくは、10μm以上のカーボンナノファイバーが50%以上含まれることが好ましい。また、燃料極側の電極には燃料電池用触媒を担持された、もしくは担持されていない粒子状カーボンを混合することも出来る。
る場合は、カーボンペーパー以外に、テフロン製の多孔質ペーパーを用いることもできる。
堆積後は、室温〜100℃程度の温度で乾燥させる。これによりカーボンペーパー上に燃料電池電極層を形成することができる。
イオン導伝性物質としては、プロトンを伝達できる材料であればなんでも良い。具体的には、スルホン酸基を持つフッ素系樹脂(ナフィオン、フレミオン、アシプレックスなど)や、タングステン酸、リンタングステン酸などの無機物が挙げられるが、パーフルオロスルホン酸重合体(デュポン社製:商品名「ナフィオン」(R))が代表的に用いられている。
<燃料電池用膜-電極接合体の作製>
上記のような方法で作製した電極を用いて、プロトン導電性固体膜を、燃料極電極と空気極電極で挟んで、ロールまたはプレスによって熱圧着し、膜-電極接合体を作製することが出来る。
(実施例1)
空気極側の電極材料を作製する。
空気極側の電極材料(カーボンナノファイバー)を合成した触媒(Ni、Cu、アルミナ混合粉)を、A=(繊維状カーボン合成用触媒の単位体積当たりの触媒重量、mg/cm 3 )、B=(繊維状カーボンを合成する際の炭化水素の導入量、ml/min)、C=(全導入ガス流量、ml/min)、D=(合成用の炉の断面積、cm 2 )としたときに、
A×B×D/C 2 < 2.5×10 −4 (mg・min/cm 2 )
となる条件で、空気極側のカーボンナノファイバーを作製するのと同様の方法で、カーボンナノファイバーを3時間成長させた。
(Pt量3)=(Pt量4)×(定数a)・・・・・(式2)
という関係が成り立つようにPt担持位置を調整した。実施例1から3までは、(定数a)=10(平均値)という関係が成り立っている。
1.5<(定数a)
を満足していれば良く、(Pt量4)=0でも構わない。また、カーボンナノファイバーの径や長さ、種類に限定されるものではない。
以上のように作製した燃料極用電極と、空気極用電極の間に、パーフルオロスルホン酸重合体膜を挟んで、100℃で、30kg/cm 2 の圧力で、膜電極複合体(MEA)を作成した。
(実施例2)
燃料極側の電極を構成するカーボンナノファイバーの比表面積が60m 2 /g、空気極側の電極を構成するカーボンナノファイバーの比表面積が500m 2 /gであること以外は、実施例1と同様に作製した電極を用い、評価を行った。
(実施例3)
燃料極側の電極を構成するカーボンナノファイバーの比表面積が100m 2 /g、空気極側の電極を構成するカーボンナノファイバーの比表面積が250m 2 /gであること以外は、実施例1と同様に作製した電極を用い、評価を行った。
(比較例1)
ケッチェンブラックECを、水中に分散させて超音波をつかって30分間分散性を高めた後、実施例1のカーボンファイバー当りの白金量と等しくなるように、塩化白金酸と、塩化ニッケルと、塩化銅の混合水溶液中に浸析して、煮沸して、1時間煮た後、炭酸水素ナトリウム約3mlの水に溶かしたものを約30分間かけて滴下した。滴下後、そのまま2時間還流させた。その後、試料を純粋中に移し、さらに煮沸して洗浄した。洗浄後は試料を、乾燥機内に移し、100℃で12時間乾燥させた。
(比較例2)
空気極側の電極は、実施例1と同様の方法で作製した。燃料極側の電極に用いるカーボンナノファイバーを、実施例1で空気極側に使用したカーボンナノファイバーを用いること以外は実施例1と同様の方法で作製し、評価を行った。
(比較例3)
カーボンナノファイバーを、燃料極にも空気極にも、市販されているVGCF(比表面積15m 2 /g)を用いること以外は、実施例1と同様の方法で作製し、評価を行った。
(比較例4)
カーボンナノファイバーを、比表面積3000m 2 /gの活性炭ファイバーを用いること以外は、実施例1と同様の方法で作製し、評価を行った。
・ カソード気孔率、気孔径: 電極層をカーボンペーパーから剥離させ、水銀圧入法を用いて気孔径、気孔率を測定。
・ 燃料電池用触媒平均粒径: 透過型電子顕微鏡(TEM)を使い、20〜100万倍の倍率で写真を撮影し、10〜50個の粒子をランダムに選んで粒径を測定し、この操作を5〜10の異なる視野で行なう。
・ 燃料電池用触媒の担持量:担持前後のカーボンナノファイバー重量差より算出
・ 燃料電池触媒組成: TEM―EDX、原子吸光法等の定量性のある分析法
・ 70℃での出力: アノード燃料濃度0.75Mメタノールを毎分1ml/min。カソードは空気を毎分100、200ml/minで送った場合の出力。電極面積が10cm2の単セルで評価。
・エネルギー変換効率=(セル電圧、V)×(電流量、A)/(燃料消費量、g)/(燃 料1gから理論的に取り出せる電力量、6.07)×100
図3には、空気極側カーボンナノファイバーの比表面積と、燃料極側カーボンナノファイバーの比表面積に関して、本特許の範囲を示す。Aゾーン、Bゾーンが本特許の範囲、AゾーンはBゾーンより、出力が高く、エネルギー変換効率が高い高性能な電池が得られるゾーン、Cゾーンは本特許の範囲外となる。
2 空気極側のカーボンナノファイバー断面
3 Pt量(最大値)
4 Pt量(最小値)
5 燃料電池用触媒粒子
Claims (8)
- 第1の繊維状カーボンおよび第1の燃料電池用触媒を有する燃料極と、この燃料極に第1の面が隣接して形成される固体高分子膜と、この固体高分子膜の第1の面と対向する第2の面に隣接して形成され第2の繊維状カーボンおよび第2の燃料電池用触媒を有する空気極とを具備する燃料電池用膜−電極接合体において、前記第1の繊維状カーボンには、前記第1の燃料電池用触媒が内部よりも表面に高密度で担持され、かつ前記第2の繊維状カーボンには、前記第2の燃料電池用触媒が表面および内部に均一に担持されることを特徴とする燃料電池用膜−電極接合体。
- 前記第1の繊維状カーボンの比表面積が100m2/g以下10m2/g以上であり、前記第2の繊維状カーボンの比表面積が200m2/g以上600m2/g以下であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用膜−電極接合体。
- 前記第1の繊維状カーボンの比表面積が90m2/g以下15m2/g以上であり、前記第2の繊維状カーボンの比表面積が250m2/g以上450m2/g以下であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用膜−電極接合体。
- 第1の繊維状カーボンおよび第1の燃料電池用触媒を有する燃料極と、この燃料極に第1の面が隣接して形成される固体高分子膜と、この固体高分子膜の第1の面と対向する第2の面に隣接して形成され第2の繊維状カーボンおよび第2の燃料電池用触媒を有する空気極とを具備する燃料電池において、前記第1の繊維状カーボンには、前記第1の燃料電池用触媒が内部よりも表面に高密度で担持され、かつ前記第2の繊維状カーボンには、前記第2の燃料電池用触媒が表面および内部に均一に担持されることを特徴とする燃料電池。
- 前記第1の繊維状カーボンの比表面積が100m2/g以下10m2/g以上であり、前記第2の繊維状カーボンの比表面積が200m2/g以上600m2/g以下であることを特徴とする請求項4に−記載の燃料電池。
- 前記第1の繊維状カーボンの比表面積が90m2/g以下15m2/g以上であり、前記第2の繊維状カーボンの比表面積が250m2/g以上450m2/g以下であることを特徴とする請求項4に記載の燃料電池。
- 前記燃料極の平均気孔径および気孔率が前記空気極の平均気孔径および気孔率より小さく、前記燃料極および空気極の平均気孔径が0.1μm以上5μm以下であり、前記燃料極および空気極の気孔率が30%以上であることを特徴とする請求項4に記載の燃料電池。
- 前記第1及び第2の燃料電池用触媒は、PtおよびRuから選ばれる金属単体或いは金属単体相互間の合金から選ばれる事を特徴とする請求項4に記載の燃料電池。
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