JP2023017494A - 皮膚を菌又はウイルスから防御する方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】殺菌及び/又は殺ウイルス性及びその持続効果に優れる、皮膚を菌又はウイルスから防御する方法を提供する。【解決手段】(OH基数/C原子数)<1を満たすポリオール(A)又はこれを含有する組成物を、該成分(A)の適用量が皮膚1cm2あたり0.0005mg以上1.0mg以下となるように皮膚に適用する工程を有する、皮膚を菌又はウイルスから防御する方法である。【選択図】なし
Description
本発明は、皮膚を菌又はウイルスから防御する方法に関する。
近年の調査によれば、人の日常生活における菌又はウイルスの感染経路としては接触感染が多いことが知られてきている。接触感染は主として、菌又はウイルスの感染者、ドアノブ、ハンドル、食器、玩具、その他日用品、内装品等の被接触物に手指が接触することにより起こる。
このような日常生活での接触行動による菌又はウイルスの接触感染を予防する方法が求められている。
手指を介しての菌又はウイルスの接触感染を予防する方法として、手指にアルコール系消毒剤等を適用して殺菌消毒する方法が知られている。しかしながら、殺菌乃至消毒成分として用いられるエタノール等のアルコールは揮発性が高く、手指に殺菌及び/又は殺ウイルス効果を付与するという観点では効果の持続性が充分ではなかった。
手指を介しての菌又はウイルスの接触感染を予防する方法として、手指にアルコール系消毒剤等を適用して殺菌消毒する方法が知られている。しかしながら、殺菌乃至消毒成分として用いられるエタノール等のアルコールは揮発性が高く、手指に殺菌及び/又は殺ウイルス効果を付与するという観点では効果の持続性が充分ではなかった。
そこで、予め手指に菌又はウイルスに対する防御機能を付与する方法が検討されている。当該方法によれば、菌又はウイルスへの感染防止効果が継続して得られるので、外出先などで手洗い場がない環境下でも接触感染を予防することができる。特に、菌又はウイルスが付着した被接触物に繰り返し接触した場合でも感染を防止できる点で好ましい。
例えば特許文献1には、哺乳動物の皮膚表面に存在する細菌およびウイルスを抑制する方法として、皮膚pHを約4未満にまで低減することができる化合物または組成物と当該皮膚とを、少なくとも約0.5時間かけて接触させることを含む方法が開示されている。また、皮膚pHを低減することができる前記化合物または組成物は、フェノール系抗菌剤、第四アンモニウム抗微生物剤、アニリド、ビスグアニジン、およびこれらの混合物からなるグループから選択される抗微生物剤をさらに含むことが記載されている。
その他、殺菌剤又は抗菌剤を配合した皮膚殺菌用組成物が知られている(例えば特許文献2)。
特許文献2には、カチオン殺菌消毒剤、低級アルコール、油性基剤、高級脂肪族アルコール、親油性と親水性の非イオン界面活性剤、水溶性多価アルコール及び精製水を含み、かつ効果持続型の殺菌消毒クリームが、皮膚、手指及び外傷性傷の持続的な消毒効果と手荒れ防止効果を兼ね備えたものであることが開示されている。
特許文献2には、カチオン殺菌消毒剤、低級アルコール、油性基剤、高級脂肪族アルコール、親油性と親水性の非イオン界面活性剤、水溶性多価アルコール及び精製水を含み、かつ効果持続型の殺菌消毒クリームが、皮膚、手指及び外傷性傷の持続的な消毒効果と手荒れ防止効果を兼ね備えたものであることが開示されている。
手指等の皮膚用消毒剤において、塩化ベンザルコニウム等のカチオン殺菌剤が一般に使用されている。しかしながら本発明者らの検討によれば、ステンレス、ガラス等の無機物と比較すると、ヒトの皮膚表面は、カチオン殺菌剤等の、通常の殺菌剤による殺菌効果が得られ難いという知見が得られた。また殺菌剤及び抗菌剤は、人体への安全性等の観点から、皮膚用の組成物中への配合量が実質的に制限されることがある。そのため、殺菌剤又は抗菌剤による皮膚の殺菌及び/又は殺ウイルス活性及びその持続効果については充分なものとはいえず、さらなる改善が望まれていた。
また特許文献2では、手洗い後、未消毒の手指に対し殺菌消毒剤を適用し、消毒前菌数に対する消毒後の菌数の減少率を評価している。しかしながら、予め手指に菌又はウイルスに対する防御機能を付与し、その後に菌又はウイルスが付着した場合に殺菌及び/又は殺ウイルス効果を持続的に発現し得るか否かについては検討されておらず、この点において改善の余地があった。
また特許文献2では、手洗い後、未消毒の手指に対し殺菌消毒剤を適用し、消毒前菌数に対する消毒後の菌数の減少率を評価している。しかしながら、予め手指に菌又はウイルスに対する防御機能を付与し、その後に菌又はウイルスが付着した場合に殺菌及び/又は殺ウイルス効果を持続的に発現し得るか否かについては検討されておらず、この点において改善の余地があった。
本発明は、殺菌及び/又は殺ウイルス性及びその持続効果に優れる、皮膚を菌又はウイルスから防御する方法に関する。
本発明者らは、所定の要件を満たすポリオール又はこれを含有する組成物を、該ポリオールの適用量が所定の範囲となるよう皮膚に適用することにより、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明は、(OH基数/C原子数)<1を満たすポリオール(A)又はこれを含有する組成物を、該成分(A)の適用量が皮膚1cm2あたり0.0005mg以上1.0mg以下となるように皮膚に適用する工程を有する、皮膚を菌又はウイルスから防御する方法に関する。
すなわち本発明は、(OH基数/C原子数)<1を満たすポリオール(A)又はこれを含有する組成物を、該成分(A)の適用量が皮膚1cm2あたり0.0005mg以上1.0mg以下となるように皮膚に適用する工程を有する、皮膚を菌又はウイルスから防御する方法に関する。
本発明によれば、殺菌及び/又は殺ウイルス性及びその持続効果に優れる、皮膚を菌又はウイルスから防御する方法を提供できる。
[皮膚を菌又はウイルスから防御する方法]
本発明の、皮膚を菌又はウイルスから防御する方法(以下、「本発明の方法」ともいう)は、(OH基数/C原子数)<1を満たすポリオール(A)又はこれを含有する組成物を、該成分(A)の適用量が皮膚1cm2あたり0.0005mg以上1.0mg以下となるように皮膚に適用する工程を有する。
本発明の方法は上記構成を有することにより、皮膚表面の殺菌及び/又は殺ウイルス性及びその持続効果に優れる。
本発明の、皮膚を菌又はウイルスから防御する方法(以下、「本発明の方法」ともいう)は、(OH基数/C原子数)<1を満たすポリオール(A)又はこれを含有する組成物を、該成分(A)の適用量が皮膚1cm2あたり0.0005mg以上1.0mg以下となるように皮膚に適用する工程を有する。
本発明の方法は上記構成を有することにより、皮膚表面の殺菌及び/又は殺ウイルス性及びその持続効果に優れる。
本発明の方法が上記効果を奏する理由については定かではないが、次のように考えられる。
前記の通り、本発明者らの検討により、ヒトの皮膚表面は、通常の殺菌剤による殺菌効果が得られ難いという知見が得られた。その理由は、皮膚が負に帯電しているため、塩化ベンザルコニウム等のカチオン殺菌剤を適用すると電荷が相殺されて殺菌剤の殺菌及び/又は殺ウイルス性が低下することに起因すると考えられる。
そこで本発明者らは、皮膚表面においても殺菌及び/又は殺ウイルス性を効果的に発現し得る成分としてポリオールに着目した。
成分(A)であるポリオールは、(OH基数/C原子数)<1を満たすポリオールであり、親水部であるヒドロキシ基と、C原子を含む疎水部とを有する。成分(A)は、前記親水部は水分子との親和性が高く相互作用を形成するが、前記疎水部は水の三次元水素結合ネットワークを歪ませるないし破壊する。これはエタノール等と同じ作用である。この水の三次元水素結合ネットワークの破壊により、菌及びウイルス周囲の水の環境が変換される。この変化により、例えば親水性の膜タンパク質を変性させる作用を有していると考えられる。
また成分(A)はエタノール等の低級モノアルコールよりも揮発性が低く、皮膚に適用した後にも、高濃度で長時間皮膚表面付近に留まることができる。そのため、殺菌及び/又は殺ウイルス性の持続効果にも優れると考えられる。
前記の通り、本発明者らの検討により、ヒトの皮膚表面は、通常の殺菌剤による殺菌効果が得られ難いという知見が得られた。その理由は、皮膚が負に帯電しているため、塩化ベンザルコニウム等のカチオン殺菌剤を適用すると電荷が相殺されて殺菌剤の殺菌及び/又は殺ウイルス性が低下することに起因すると考えられる。
そこで本発明者らは、皮膚表面においても殺菌及び/又は殺ウイルス性を効果的に発現し得る成分としてポリオールに着目した。
成分(A)であるポリオールは、(OH基数/C原子数)<1を満たすポリオールであり、親水部であるヒドロキシ基と、C原子を含む疎水部とを有する。成分(A)は、前記親水部は水分子との親和性が高く相互作用を形成するが、前記疎水部は水の三次元水素結合ネットワークを歪ませるないし破壊する。これはエタノール等と同じ作用である。この水の三次元水素結合ネットワークの破壊により、菌及びウイルス周囲の水の環境が変換される。この変化により、例えば親水性の膜タンパク質を変性させる作用を有していると考えられる。
また成分(A)はエタノール等の低級モノアルコールよりも揮発性が低く、皮膚に適用した後にも、高濃度で長時間皮膚表面付近に留まることができる。そのため、殺菌及び/又は殺ウイルス性の持続効果にも優れると考えられる。
本明細書において「皮膚を菌又はウイルスから防御する」とは、(1)ポリオール(A)又はこれを含有する組成物を皮膚表面に適用した後に、該皮膚表面に付着した菌・ウイルスに対して発現される殺菌及び/又は殺ウイルス効果、(2)皮膚に付着した菌・ウイルスに対し、ポリオール(A)又はこれを含有する組成物を適用することにより発現される殺菌及び/又は殺ウイルス効果、(3)皮膚を菌・ウイルスが媒介しない皮膚に整える効果、(4)皮膚を菌・ウイルスから保護し、衛生的に保つ効果、(5)皮膚を介した菌・ウイルスの伝播及び接触感染を防止する効果、及び(6)菌・ウイルスに対する皮膚の感染防御力を高める効果、等を付与する概念を包含するものである。
また、本発明の方法は、エタノール等で殺菌及び/又は殺ウイルスを行う技術とは異なり、成分(A)が皮膚表面に残留しやすく、継続的な殺菌及び/又は殺ウイルス性を皮膚表面に付与できることから、成分(A)を皮膚表面に残留させるリーブオン製剤に対し、特に有用な技術である。すなわち本発明の方法は、成分(A)又はこれを含有する組成物を皮膚に塗布等により適用した後に、成分(A)を水洗等で除去せず、皮膚表面に残留させることが好ましい。
本発明の方法が殺菌及び/又は殺ウイルス性を発現する対象となる菌又はウイルスとしては、成分(A)との接触により不活性化又は死滅するものであれば特に制限されず、例えば厚生労働省の保育所における感染症対策ガイドラインに記載の微生物を適用することができると考えられる。
具体的には、菌としてはグラム陽性細菌である炭疽菌、結核菌、溶血性レンサ球菌、黄色ブドウ球菌、肺炎球菌等、あるいはグラム陰性細菌である野兎病菌、ペスト菌、ブルセラ菌、鼻疽菌、コレラ菌、サルモネラ菌、赤痢菌、腸管出血性大腸菌、百日咳菌等が挙げられる。また、ウイルスとしては、エンベロープウイルスであるアレナウイルス、エボラウイルス、痘そうウイルス、ナイロウイルス、マールブルグウイルス、コロナウイルス、サル痘ウイルス、ベータコロナウイルス、インフルエンザウイルス、RSウイルス、ヘルペスウイルス、ムンプスウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、風しんウイルス、麻しんウイルス等、及びノンエンベロープウイルスであるエンテロウイルス、アデノウイルス、コクサッキーウイルス、ノロウイルス、ロタウイルス等が挙げられる。
なお、本実施例では、セラチア菌を例に挙げて殺菌性を評価しているが、本発明の方法が対象とする菌又はウイルスはこれに限定されない。
具体的には、菌としてはグラム陽性細菌である炭疽菌、結核菌、溶血性レンサ球菌、黄色ブドウ球菌、肺炎球菌等、あるいはグラム陰性細菌である野兎病菌、ペスト菌、ブルセラ菌、鼻疽菌、コレラ菌、サルモネラ菌、赤痢菌、腸管出血性大腸菌、百日咳菌等が挙げられる。また、ウイルスとしては、エンベロープウイルスであるアレナウイルス、エボラウイルス、痘そうウイルス、ナイロウイルス、マールブルグウイルス、コロナウイルス、サル痘ウイルス、ベータコロナウイルス、インフルエンザウイルス、RSウイルス、ヘルペスウイルス、ムンプスウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、風しんウイルス、麻しんウイルス等、及びノンエンベロープウイルスであるエンテロウイルス、アデノウイルス、コクサッキーウイルス、ノロウイルス、ロタウイルス等が挙げられる。
なお、本実施例では、セラチア菌を例に挙げて殺菌性を評価しているが、本発明の方法が対象とする菌又はウイルスはこれに限定されない。
<成分(A):ポリオール>
本発明の方法は、(OH基数/C原子数)<1を満たすポリオール(A)又はこれを含有する組成物を皮膚に適用する工程を有する。成分(A)はそれ自体が殺菌及び/又は殺ウイルス成分として作用する。
本発明の方法は、(OH基数/C原子数)<1を満たすポリオール(A)又はこれを含有する組成物を皮膚に適用する工程を有する。成分(A)はそれ自体が殺菌及び/又は殺ウイルス成分として作用する。
成分(A)の(OH基数/C原子数)は、殺菌及び/又は殺ウイルス性及びその持続効果向上の観点から、1未満であり、好ましくは0.95以下、より好ましくは0.80以下、さらに好ましくは0.70以下、よりさらに好ましくは0.60以下、よりさらに好ましくは0.50以下、よりさらに好ましくは0.40以下、よりさらに好ましくは0.35以下であり、また、好ましくは0.15以上、より好ましくは0.18以上、さらに好ましくは0.20以上、よりさらに好ましくは0.23以上である。
成分(A)は、殺菌及び/又は殺ウイルス性及びその持続効果向上の観点から、IR測定において、縦軸を吸光度、横軸を波数(cm-1)とした場合のOH伸縮振動に由来するピークトップの波数が、好ましくは3300cm-1以上、より好ましくは3318cm-1以上であり、また、通常は3452cm-1以下である。該ピークトップ波数が高波数側に存在するほど、水の三次元水素結合ネットワークを歪ませるないし破壊する効果が得られやすいと考えられるためである。
成分(A)のIR測定は、具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。
成分(A)のIR測定は、具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。
成分(A)は、殺菌及び/又は殺ウイルス活性及びその持続効果向上の観点から、logPow値が好ましくは-2.5以上、より好ましくは-1.0以上、さらに好ましくは0以上、よりさらに好ましくは0.5以上である。logPow値が高いほど成分(A)の疎水性が高くなり、水の三次元水素結合ネットワークを歪ませるないし破壊する効果が得られやすいと考えられるためである。
ここで、
Pow:1-オクタノールと水の2つの溶媒相中に成分(A)を加えて平衡状態となった時の、その2つの溶媒相における成分(A)の濃度比
logPow=log10(1-オクタノール相中の成分(A)の濃度/水相中の成分(A)の濃度)
である。
成分(A)のlogPow値は、Renxiao Wang et al., J.Chem.Inf.Model.2007,Vol.47,pp.2140に記載のアルゴリズム「XLOGP3」を使用して計算値を求めることができる。
ここで、
Pow:1-オクタノールと水の2つの溶媒相中に成分(A)を加えて平衡状態となった時の、その2つの溶媒相における成分(A)の濃度比
logPow=log10(1-オクタノール相中の成分(A)の濃度/水相中の成分(A)の濃度)
である。
成分(A)のlogPow値は、Renxiao Wang et al., J.Chem.Inf.Model.2007,Vol.47,pp.2140に記載のアルゴリズム「XLOGP3」を使用して計算値を求めることができる。
成分(A)の炭素数は、殺菌及び/又は殺ウイルス性及びその持続効果を向上させる観点から、好ましくは3以上、より好ましくは4以上であり、水の三次元水素結合ネットワークを歪ませるないし破壊することにより殺菌及び/又は殺ウイルス性を向上させる観点からは、好ましくは24以下、より好ましくは20以下、さらに好ましくは16以下、よりさらに好ましくは12以下、よりさらに好ましくは11以下、よりさらに好ましくは8以下である。
また成分(A)のOH基数は、殺菌及び/又は殺ウイルス性及びその持続効果を向上させる観点から、好ましくは2以上5以下であり、より好ましくは2以上4以下、さらに好ましくは2以上3以下である。
また成分(A)のOH基数は、殺菌及び/又は殺ウイルス性及びその持続効果を向上させる観点から、好ましくは2以上5以下であり、より好ましくは2以上4以下、さらに好ましくは2以上3以下である。
成分(A)の具体例としては、鎖状ポリオール、環状構造を有するポリオールが挙げられ、これらのいずれも用いることができる。成分(A)は、水の三次元水素結合ネットワークを歪ませるないし破壊することにより殺菌及び/又は殺ウイルス性を向上させる観点から、鎖状ポリオールであることが好ましく、疎水部を有することにより殺菌及び/又は殺ウイルス性を向上させる観点、及び殺菌及び/又は殺ウイルス性の持続効果の観点から、炭素数3以上の鎖状ポリオールであることがより好ましく、炭素数3以上の、鎖状ジオール又は鎖状トリオールであることがさらに好ましい。なお鎖状ポリオールにおいて、OH基の結合位置は特に制限されない。
成分(A)として用いられる鎖状ポリオールとしては、例えば、プロピレングリコール(1,2-プロパンジオール)、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、2,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ヘプタンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,2-オクタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,2-ノナンジオール、1,9-ノナンジオール、1,2-デカンジオール、1,10-デカンジオール、1,2-ドデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,2-テトラデカンジオール、1,2-ヘキサデカンジオール、1,16-ヘキサデカンジオール等の直鎖状ジオール;
1,2,3-ブタントリオール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、1,2,6-ヘキサントリオール、1,2,7-ヘプタントリオール、1,2,8-オクタントリオール、1,2,9-ノナントリオール、1,2,10-デカントリオール等の直鎖状トリオール;
2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、2-メチルペンタン-2,4-ジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、トリプロピレングリコール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、3-(2-エチルヘキシルオキシ)-1,2-プロパンジオール、(ラウリル/ミリスチル)グリコールヒドロキシプロピルエーテル、3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカン-1,2,3-トリオール等の分岐鎖状ジオール又はトリオール;及び、
ポリエチレングリコール、ポリグリセリン、PPG-10ブタンジオール等のポリマー;等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。
1,2,3-ブタントリオール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、1,2,6-ヘキサントリオール、1,2,7-ヘプタントリオール、1,2,8-オクタントリオール、1,2,9-ノナントリオール、1,2,10-デカントリオール等の直鎖状トリオール;
2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、2-メチルペンタン-2,4-ジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、トリプロピレングリコール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、3-(2-エチルヘキシルオキシ)-1,2-プロパンジオール、(ラウリル/ミリスチル)グリコールヒドロキシプロピルエーテル、3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカン-1,2,3-トリオール等の分岐鎖状ジオール又はトリオール;及び、
ポリエチレングリコール、ポリグリセリン、PPG-10ブタンジオール等のポリマー;等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。
上記の中でも、殺菌及び/又は殺ウイルス性及びその持続効果向上の観点から、成分(A)は、好ましくはプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,2-ノナンジオール、1,9-ノナンジオール、1,2-デカンジオール、1,10-デカンジオール、1,2-ドデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,2,6-ヘキサントリオール、1,2,10-デカントリオール、2-メチルペンタン-2,4-ジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、3-(2-エチルヘキシルオキシ)-1,2-プロパンジオール、トリプロピレングリコール、及びポリエチレングリコールからなる群から選ばれる1種以上、より好ましくはジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-ノナンジオール、1,2-ドデカンジオール、1,2,10-デカントリオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、及び3-(2-エチルヘキシルオキシ)-1,2-プロパンジオールからなる群から選ばれる1種以上、さらに好ましくはジプロピレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、及び3-(2-エチルヘキシルオキシ)-1,2-プロパンジオールからなる群から選ばれる1種以上である。
<成分(A)を含有する組成物>
本発明の方法において、成分(A)は、単独で皮膚に適用してもよいが、皮膚への適用しやすさの観点から、成分(A)を含有する組成物を調製し、該組成物を皮膚に適用することが好ましい。
本発明の方法において成分(A)を含有する組成物を用いる場合、該組成物中の成分(A)の含有量は、殺菌及び/又は殺ウイルス性及びその持続効果向上の観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.2質量%以上、よりさらに好ましくは0.5質量%以上である。また、組成物の使用感向上の観点から、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下、よりさらに好ましくは10質量%以下、よりさらに好ましくは5.0質量%以下、よりさらに好ましくは4.0質量%以下、よりさらに好ましくは3.0質量%以下である。
本発明の方法において、成分(A)は、単独で皮膚に適用してもよいが、皮膚への適用しやすさの観点から、成分(A)を含有する組成物を調製し、該組成物を皮膚に適用することが好ましい。
本発明の方法において成分(A)を含有する組成物を用いる場合、該組成物中の成分(A)の含有量は、殺菌及び/又は殺ウイルス性及びその持続効果向上の観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.2質量%以上、よりさらに好ましくは0.5質量%以上である。また、組成物の使用感向上の観点から、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下、よりさらに好ましくは10質量%以下、よりさらに好ましくは5.0質量%以下、よりさらに好ましくは4.0質量%以下、よりさらに好ましくは3.0質量%以下である。
(水)
前記組成物は、成分(A)を溶解させる観点、及び皮膚表面等の対象物に適用しやすくする観点から、さらに水を含有することが好ましい。前記組成物中の水の含有量は、好ましくは25質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であり、また、好ましくは99.9質量%以下である。
前記組成物は、成分(A)を溶解させる観点、及び皮膚表面等の対象物に適用しやすくする観点から、さらに水を含有することが好ましい。前記組成物中の水の含有量は、好ましくは25質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であり、また、好ましくは99.9質量%以下である。
前記組成物中の成分(A)及び水の合計含有量は、本発明の効果を得る観点から、好ましくは25質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、よりさらに好ましくは90質量%以上、よりさらに好ましくは95質量%以上であり、100質量%であってもよい。
前記組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、成分(A)に加え、グリセリン等の(OH基数/炭素原子数)≧1となるポリオール(以下「成分(A’)」ともいう)を含有してもよい。前記組成物が成分(A’)を含有する場合、その含有量は、保湿性の観点から、組成物中、好ましくは0.025質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上、よりさらに好ましくは0.15質量%以上、よりさらに好ましくは0.25質量%以上、よりさらに好ましくは0.35質量%以上、よりさらに好ましくは0.5質量%以上である。また、組成物の使用感向上の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7.0質量%以下、さらに好ましくは5.0質量%以下、よりさらに好ましくは2.5質量%以下、よりさらに好ましくは2.0質量%以下、よりさらに好ましくは1,5質量%以下である。
また前記組成物に含有される全ポリオール中、成分(A)の占める割合(成分(A)含有量/全ポリオール含有量×100)は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であり、100質量%以下である。
また前記組成物に含有される全ポリオール中、成分(A)の占める割合(成分(A)含有量/全ポリオール含有量×100)は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であり、100質量%以下である。
(成分(B):有機酸又はその塩)
前記組成物は、殺菌及び/又は殺ウイルス性及びその持続効果向上の観点で、さらに成分(B)として有機酸又はその塩を含有することができる。
該有機酸としては、乳酸、ピルビン酸、ウロカニン酸、酢酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、及びアジピン酸等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。殺菌及び/又は殺ウイルス性及びその持続効果向上の観点、並びに皮膚刺激性が少ないという観点から、有機酸としては乳酸、ピルビン酸及びウロカニン酸からなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
乳酸、ピルビン酸及びウロカニン酸の塩としては、乳酸又はピルビン酸の、カリウム塩、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アミン塩;アンモニウム塩等が挙げられる。これらの中でも、殺菌及び/又は殺ウイルス性向上の観点、並びに入手容易性の観点から、乳酸、ピルビン酸及びウロカニン酸の、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、カリウム塩、ナトリウム塩、及びカルシウム塩からなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、乳酸カリウム、乳酸ナトリウム、及び乳酸カルシウムからなる群から選ばれる1種以上がさらに好ましい。
殺菌及び/又は殺ウイルス性及びその持続効果向上の観点から、成分(B)としては乳酸又はその塩がよりさらに好ましく、乳酸、乳酸カリウム、乳酸ナトリウム、及び乳酸カルシウムからなる群から選ばれる1種以上がよりさらに好ましく、乳酸がよりさらに好ましい。
前記組成物は、殺菌及び/又は殺ウイルス性及びその持続効果向上の観点で、さらに成分(B)として有機酸又はその塩を含有することができる。
該有機酸としては、乳酸、ピルビン酸、ウロカニン酸、酢酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、及びアジピン酸等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。殺菌及び/又は殺ウイルス性及びその持続効果向上の観点、並びに皮膚刺激性が少ないという観点から、有機酸としては乳酸、ピルビン酸及びウロカニン酸からなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
乳酸、ピルビン酸及びウロカニン酸の塩としては、乳酸又はピルビン酸の、カリウム塩、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アミン塩;アンモニウム塩等が挙げられる。これらの中でも、殺菌及び/又は殺ウイルス性向上の観点、並びに入手容易性の観点から、乳酸、ピルビン酸及びウロカニン酸の、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、カリウム塩、ナトリウム塩、及びカルシウム塩からなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、乳酸カリウム、乳酸ナトリウム、及び乳酸カルシウムからなる群から選ばれる1種以上がさらに好ましい。
殺菌及び/又は殺ウイルス性及びその持続効果向上の観点から、成分(B)としては乳酸又はその塩がよりさらに好ましく、乳酸、乳酸カリウム、乳酸ナトリウム、及び乳酸カルシウムからなる群から選ばれる1種以上がよりさらに好ましく、乳酸がよりさらに好ましい。
前記組成物が成分(B)を含有する場合、該組成物中の成分(B)の含有量は、殺菌及び/又は殺ウイルス性及びその持続効果向上の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上である。また、皮膚刺激性抑制の観点、及び経済性の観点から、好ましくは10.0質量%以下であり、より好ましくは5.0質量%以下、さらに好ましくは3.0質量%以下、よりさらに好ましくは2.0質量%以下である。
なお本明細書において、成分(B)が塩を含む場合、「成分(B)の含有量」とは、酸に換算した量を意味する。
なお本明細書において、成分(B)が塩を含む場合、「成分(B)の含有量」とは、酸に換算した量を意味する。
また、前記組成物が成分(B)を含有する場合、該組成物中に含まれる成分(A)に対する成分(B)の質量比(B/A)は、殺菌及び/又は殺ウイルス性及びその持続効果向上の観点から、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.5以上、よりさらに好ましくは1.0以上である。また、皮膚刺激性抑制の観点から、好ましくは30以下、より好ましくは20以下、さらに好ましくは25以下、よりさらに好ましくは10以下である。
(成分(C):界面活性剤)
前記組成物は、殺菌及び/又は殺ウイルス性及びその持続効果向上の観点で、さらに成分(C)として、ノニオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤からなる群から選ばれる1種以上の界面活性剤を含有することができる。
前記組成物は、殺菌及び/又は殺ウイルス性及びその持続効果向上の観点で、さらに成分(C)として、ノニオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤からなる群から選ばれる1種以上の界面活性剤を含有することができる。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリグリセリルアルキルエーテル、脂肪酸ポリグリセリル、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。
上記のうち、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリセリルアルキルエーテル、アルキルグルコシド、及びポリオキシエチレンアルキルアミンにおけるアルキル基、ポリオキシエチレンアルケニルエーテルにおけるアルケニル基、並びに、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、脂肪酸ポリグリセリル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルにおける脂肪酸は、殺菌及び/又は殺ウイルス性及びその持続効果向上の観点から、好ましくは炭素数8以上22以下、より好ましくは炭素数10以上22以下、さらに好ましくは炭素数10以上18以下である。
また、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルにおけるオキシエチレン基の平均付加モル数(以下、「EO平均付加モル数」という)は、殺菌及び/又は殺ウイルス性及びその持続効果向上の観点から、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、また、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、さらに好ましくは10以下である。なお、EO平均付加モル数は数平均値である。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホ脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸、リン酸モノ又はジエステル、スルホコハク酸エステル等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。
アニオン性界面活性剤におけるアニオン性基の対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン;カルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;アンモニウムイオン;炭素数2又は3のアルカノール基を1~3個有するアルカノールアンモニウム(例えばモノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、トリイソプロパノールアンモニウム等)が挙げられる。
上記の中でも、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩及びアルキルエーテルカルボン酸塩からなる群から選ばれる1種以上が好ましい。上記アルキルエーテル硫酸塩としては、例えば、ラウレス硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩が挙げられ、アルキルエーテルカルボン酸塩としてはラウレス酢酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩が挙げられる。
アニオン性界面活性剤におけるアニオン性基の対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン;カルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;アンモニウムイオン;炭素数2又は3のアルカノール基を1~3個有するアルカノールアンモニウム(例えばモノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、トリイソプロパノールアンモニウム等)が挙げられる。
上記の中でも、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩及びアルキルエーテルカルボン酸塩からなる群から選ばれる1種以上が好ましい。上記アルキルエーテル硫酸塩としては、例えば、ラウレス硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩が挙げられ、アルキルエーテルカルボン酸塩としてはラウレス酢酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩が挙げられる。
成分(C)は、1種又は2種以上を用いることができる。
上記の中でも、殺菌及び/又は殺ウイルス性及びその持続効果向上の観点から、成分(C)としてはノニオン性界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリグリセリルアルキルエーテル、脂肪酸ポリグリセリル、アルキルグルコシド、及びポリオキシエチレンアルキルアミンからなる群から選ばれる1種以上が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、及びポリオキシエチレン脂肪酸エステルからなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテルがさらに好ましい。
上記の中でも、殺菌及び/又は殺ウイルス性及びその持続効果向上の観点から、成分(C)としてはノニオン性界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリグリセリルアルキルエーテル、脂肪酸ポリグリセリル、アルキルグルコシド、及びポリオキシエチレンアルキルアミンからなる群から選ばれる1種以上が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、及びポリオキシエチレン脂肪酸エステルからなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテルがさらに好ましい。
前記組成物が成分(C)を含有する場合、該組成物中の成分(C)の含有量は、殺菌及び/又は殺ウイルス性及びその持続効果向上の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上である。また、皮膚刺激性抑制の観点、及び経済性の観点から、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下、さらに好ましくは1.0質量%以下である。
(殺菌剤)
前記組成物は、成分(A)を殺菌及び/又は殺ウイルス成分として用いた組成物であるが、殺菌及び/又は殺ウイルス性及びその持続効果向上の観点から、さらに殺菌剤を含有することもできる。
皮膚に適用する観点から、該殺菌剤は、好ましくはカチオン殺菌剤、ヨウ素系殺菌剤、フェノール系殺菌剤、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルレチン酸ステアリル、サリチル酸、及びビグアナイド系殺菌剤からなる群から選ばれる1種以上である。
カチオン殺菌剤としては、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム等の第四級アンモニウム塩化合物が挙げられる。
ヨウ素系殺菌剤としては、ポビドンヨード、ポリビニルアルコールヨード、シクロデキストリンヨード等が挙げられる。
フェノール系殺菌剤としては、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、フェノキシエタノール等が挙げられる。
ビグアナイド系殺菌剤としては、クロルヘキシジングルコン酸塩等が挙げられる。
殺菌及び/又は殺ウイルス性及びその持続効果をより向上させる観点から、該殺菌剤は、より好ましくはカチオン殺菌剤、ヨウ素系殺菌剤、フェノール系殺菌剤、及びビグアナイド系殺菌剤からなる群から選ばれる1種以上であり、さらに好ましくは塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ポビドンヨード、及びクロルヘキシジングルコン酸塩からなる群から選ばれる1種以上であり、さらに好ましくは塩化ベンザルコニウムである。
前記組成物は、成分(A)を殺菌及び/又は殺ウイルス成分として用いた組成物であるが、殺菌及び/又は殺ウイルス性及びその持続効果向上の観点から、さらに殺菌剤を含有することもできる。
皮膚に適用する観点から、該殺菌剤は、好ましくはカチオン殺菌剤、ヨウ素系殺菌剤、フェノール系殺菌剤、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルレチン酸ステアリル、サリチル酸、及びビグアナイド系殺菌剤からなる群から選ばれる1種以上である。
カチオン殺菌剤としては、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム等の第四級アンモニウム塩化合物が挙げられる。
ヨウ素系殺菌剤としては、ポビドンヨード、ポリビニルアルコールヨード、シクロデキストリンヨード等が挙げられる。
フェノール系殺菌剤としては、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、フェノキシエタノール等が挙げられる。
ビグアナイド系殺菌剤としては、クロルヘキシジングルコン酸塩等が挙げられる。
殺菌及び/又は殺ウイルス性及びその持続効果をより向上させる観点から、該殺菌剤は、より好ましくはカチオン殺菌剤、ヨウ素系殺菌剤、フェノール系殺菌剤、及びビグアナイド系殺菌剤からなる群から選ばれる1種以上であり、さらに好ましくは塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ポビドンヨード、及びクロルヘキシジングルコン酸塩からなる群から選ばれる1種以上であり、さらに好ましくは塩化ベンザルコニウムである。
前記組成物が殺菌剤を含有する場合、該組成物中の殺菌剤の含有量は、殺菌及び/又は殺ウイルス性及びその持続効果向上の観点から、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.02質量%以上、さらに好ましくは0.03質量%以上である。また、皮膚刺激性抑制の観点、及び経済性の観点から、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5.0質量%以下、さらに好ましくは3.0質量%以下、よりさらに好ましくは1.0質量%以下、よりさらに好ましくは0.5質量%以下、よりさらに好ましくは0.2質量%以下、よりさらに好ましくは0.1質量%以下である。
(その他の成分)
前記組成物には、上記以外に、必要に応じて他の成分、例えば、増粘剤、pH調整剤(塩酸、水酸化ナトリウム等)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、制汗剤、香料、保湿剤、感触調整剤、抗炎症剤等を含有させることもできる。
前記組成物には、上記以外に、必要に応じて他の成分、例えば、増粘剤、pH調整剤(塩酸、水酸化ナトリウム等)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、制汗剤、香料、保湿剤、感触調整剤、抗炎症剤等を含有させることもできる。
前記組成物は、成分(A)を殺菌及び/又は殺ウイルス成分として用いた組成物であることから、エタノール、イソプロパノール等の炭素数4以下のモノアルコールを配合せずとも、殺菌及び/又は殺ウイルス性を発現する。さらに、皮膚刺激性を抑制する観点から、該組成物中の炭素数4以下のモノアルコールの含有量は、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、よりさらに好ましくは3質量%以下、よりさらに好ましくは1質量%以下であり、よりさらに好ましくは0.07質量%以下であり、よりさらに好ましくは0.05質量%以下であり、よりさらに好ましくは0.03質量%以下であり、よりさらに好ましくは0.01質量%未満であり、実質0質量%とすることが最も好ましい。
前記組成物は、成分(A)と菌・ウイルスとの接触を阻害せず、殺菌及び/又は殺ウイルス性及びその持続効果を得る観点から、油性成分の含有量が少ないことが好ましい。本明細書において油性成分とは、20℃の水100gに対する溶解度が0.01g未満の油剤を意味し、例えば、シリコーン油、エステル油、エーテル油、炭化水素油、炭素数12以上の脂肪酸、炭素数12以上の高級アルコール等が挙げられる。
前記組成物中の油性成分の含有量は、殺菌及び/又は殺ウイルス性及びその持続効果を得る観点から、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2質量%未満、よりさらに好ましくは1質量%以下、よりさらに好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.2質量%以下、よりさらに好ましくは0.1質量%以下、よりさらに好ましくは0.05質量%以下であり、0質量%であってもよい。
前記組成物中の油性成分の含有量は、殺菌及び/又は殺ウイルス性及びその持続効果を得る観点から、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2質量%未満、よりさらに好ましくは1質量%以下、よりさらに好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.2質量%以下、よりさらに好ましくは0.1質量%以下、よりさらに好ましくは0.05質量%以下であり、0質量%であってもよい。
(pH)
前記組成物は、皮膚刺激性を抑制する観点から、25℃におけるpHが好ましくは3.5以上、より好ましくは3.7以上、さらに好ましくは4.0以上である。また、皮膚刺激性を抑制する観点から、好ましくは10未満であり、より好ましくは8.0以下、さらに好ましくは7.5以下である。一方、有機酸又はその塩(B)を含有する場合、殺菌及び/又は殺ウイルス活性及びその持続効果向上の観点から、好ましくは、5.0以下、更に好ましくは4.5以下である。
上記pHは25℃における値であり、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
前記組成物は、皮膚刺激性を抑制する観点から、25℃におけるpHが好ましくは3.5以上、より好ましくは3.7以上、さらに好ましくは4.0以上である。また、皮膚刺激性を抑制する観点から、好ましくは10未満であり、より好ましくは8.0以下、さらに好ましくは7.5以下である。一方、有機酸又はその塩(B)を含有する場合、殺菌及び/又は殺ウイルス活性及びその持続効果向上の観点から、好ましくは、5.0以下、更に好ましくは4.5以下である。
上記pHは25℃における値であり、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
前記組成物の形態は特に制限されず、例えば、固形状、液状、ジェル状、クリーム状とすることができる。皮膚への塗布しやすさの点からは、前記組成物の形態はジェル状又はクリーム状であることが好ましい。該組成物は乳化組成物の形態であってもよく、該乳化組成物としては水中油型乳化組成物、油中水型乳化組成物のいずれでもよい。
前記組成物がリーブオン製剤である場合、その剤型としては、例えば、固形状組成物を備えたスティック製剤;液状組成物を充填したロールオン製剤もしくはスプレー製剤;液状、ジェル状又はクリーム状組成物をボトル、チューブ、ディスペンサー式容器等に充填した製剤、組成物を含浸させたシート製品等が挙げられる。
<成分(A)又は組成物の適用工程>
本発明の方法は、成分(A)又はこれを含有する前記組成物を、該成分(A)の適用量が皮膚1cm2あたり0.0005mg以上1.0mg以下となるように皮膚に適用する工程を有する。
高い殺菌及び/又は殺ウイルス性及びその持続性を付与する観点から、該工程における成分(A)の適用量は、皮膚1cm2あたり、好ましくは0.001mg以上、より好ましくは0.002mg以上、さらに好ましくは0.005mg以上、よりさらに好ましくは0.01mg以上、よりさらに好ましくは0.02mg以上となる量であり、皮膚刺激性を抑制する観点、及び経済性の観点から、好ましくは0.5mg以下、より好ましくは0.3mg以下、さらに好ましくは0.2mg以下となる量である。
本発明の方法は、成分(A)又はこれを含有する前記組成物を、該成分(A)の適用量が皮膚1cm2あたり0.0005mg以上1.0mg以下となるように皮膚に適用する工程を有する。
高い殺菌及び/又は殺ウイルス性及びその持続性を付与する観点から、該工程における成分(A)の適用量は、皮膚1cm2あたり、好ましくは0.001mg以上、より好ましくは0.002mg以上、さらに好ましくは0.005mg以上、よりさらに好ましくは0.01mg以上、よりさらに好ましくは0.02mg以上となる量であり、皮膚刺激性を抑制する観点、及び経済性の観点から、好ましくは0.5mg以下、より好ましくは0.3mg以下、さらに好ましくは0.2mg以下となる量である。
成分(A)を含有する組成物を皮膚に適用する方法は、該組成物の剤型、適用部位等に応じて選択でき、例えば、該組成物を皮膚に塗布、噴霧等して適用することができる。
前記組成物を適用する身体部位は特に制限されず、手指、上腕、下肢、首、胴体等、任意の身体部位に適用できる。ヒトとヒト、モノとヒトの接触によって菌やウイルスが感染・伝播する経路を断つという観点から、日常生活中、公共物、自身の鼻や口に触れる機会が多い手指に適用することが好ましい。
本発明の方法においては、成分(A)又は前記組成物を皮膚に適用した後に水洗等を行わず、成分(A)を皮膚表面に残留させることが好ましい。殺菌及び/又は殺ウイルス成分である成分(A)を皮膚表面に残留させることにより、皮膚表面に殺菌及び/又は殺ウイルス性を付与できるためである。
前記組成物を適用する身体部位は特に制限されず、手指、上腕、下肢、首、胴体等、任意の身体部位に適用できる。ヒトとヒト、モノとヒトの接触によって菌やウイルスが感染・伝播する経路を断つという観点から、日常生活中、公共物、自身の鼻や口に触れる機会が多い手指に適用することが好ましい。
本発明の方法においては、成分(A)又は前記組成物を皮膚に適用した後に水洗等を行わず、成分(A)を皮膚表面に残留させることが好ましい。殺菌及び/又は殺ウイルス成分である成分(A)を皮膚表面に残留させることにより、皮膚表面に殺菌及び/又は殺ウイルス性を付与できるためである。
成分(A)又は前記組成物は、予め水、石鹸、ボディソープ、ハンドソープなどで皮膚を洗浄し、洗浄後の皮膚に適用してもよく、未洗浄の皮膚に適用することもできる。洗浄後の皮膚は、生来存在する乳酸等の成分が洗い流され、外界に存在する菌やウイルスの防御力が低下している状態であることから、洗浄後の皮膚に成分(A)又は前記組成物を適用して本発明の方法を実施することがより好ましい。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は実施例の範囲に限定されない。なお本実施例において、各種測定及び評価は以下の方法により行った。
(pH)
組成物のpHは、25℃においてpHメータ(電極は6367-10D((株)堀場製作所製))を用いて測定した。
組成物のpHは、25℃においてpHメータ(電極は6367-10D((株)堀場製作所製))を用いて測定した。
(IR測定)
表1に記載のポリオールを測定試料とし、赤外分光光度計(PerkinElmer製「Spectrum 400、Universal ATR unit」)を用いて、ATR法によりIR測定を行った。クリスタルにはダイヤモンド/ZnSeを使用し、分解能4cm-1、積算回数16回で、4000~650cm-1の範囲で測定を行った。なお、室温22℃、湿度35%RHの環境で測定を行った。チャートの縦軸を吸光度、横軸を波数(cm-1)として、3250~3452cm-1の範囲におけるピークトップの波数をOH伸縮振動の波数(cm-1)として表1に示した。
(logPow値)
表1に記載のポリオールのlogPow値は、表1に脚注があるものについては文献値である。また、表1に脚注がないものについては、化学物質データベース「PubChem」から引用した値であり、前述のアルゴリズム「XLOGP3」を使用して計算された値である。
表1に記載のポリオールを測定試料とし、赤外分光光度計(PerkinElmer製「Spectrum 400、Universal ATR unit」)を用いて、ATR法によりIR測定を行った。クリスタルにはダイヤモンド/ZnSeを使用し、分解能4cm-1、積算回数16回で、4000~650cm-1の範囲で測定を行った。なお、室温22℃、湿度35%RHの環境で測定を行った。チャートの縦軸を吸光度、横軸を波数(cm-1)として、3250~3452cm-1の範囲におけるピークトップの波数をOH伸縮振動の波数(cm-1)として表1に示した。
(logPow値)
表1に記載のポリオールのlogPow値は、表1に脚注があるものについては文献値である。また、表1に脚注がないものについては、化学物質データベース「PubChem」から引用した値であり、前述のアルゴリズム「XLOGP3」を使用して計算された値である。
(菌液の調製)
殺菌性評価には、下記方法により調製したセラチア菌の菌液を用いた。
セラチア菌としてはNBRC12648株を用いた。この菌を、LB液体培地にて培養し、遠心により菌体を回収した後、純水を用いてOD600=10になるように調整した。
(殺菌性評価)
〔a.組成物の塗布直後の殺菌活性(対数減少値)〕
被験者の前腕内側部を「ビオレu Rg」(花王(株)製)を用いて洗浄した。5~10分待機後、表2~3に記載の組成物を前腕内側部の皮膚表面(7.5cm-1の範囲、比較例2,3においては、それぞれ、ステンレス表面、ガラス表面)に適用し、均一に塗布して、各表に記載の適用量となるようにした。
5分間静置し乾燥後、前記方法で調整したセラチア菌液を、組成物適用後の皮膚表面に一定量(7.5μL/7.5cm-1)、均一に塗布した。この状態で、所定時間(表中に記載の「菌との接触時間」)静置した後、スワブ2本を用いて塗布した菌液を回収した。
次いで、インキュベーションリーダー「HiTS」((株)サイニクス製)を用いて下記方法により生存菌数を測定して、菌数の減少量(生存菌数/初期の生菌数)を確認した。
インキュベーションリーダー「HiTS」中で37℃にて液体培養し、波長600nmにおける吸光度(濁度)を経時で測定して、菌液中の生菌数の増殖曲線を作成した。同時に既知の生菌数を有する菌液を段階希釈し、同様に培養及び増殖曲線の作成を行い、一定の濁度に到達する時間と生菌数との検量線を作成した。各サンプルの一定濁度に到達するまでの時間と検量線の関係より、回収した菌液中の生存菌数を推定し、菌数の減少量を確認した。
菌数の減少度合い(対数減少値)については、上記菌数減少量の-log値をとり、表2~5に「評価結果a」として示した。この値が大きいほど、殺菌活性が高いことを意味する。
殺菌性評価には、下記方法により調製したセラチア菌の菌液を用いた。
セラチア菌としてはNBRC12648株を用いた。この菌を、LB液体培地にて培養し、遠心により菌体を回収した後、純水を用いてOD600=10になるように調整した。
(殺菌性評価)
〔a.組成物の塗布直後の殺菌活性(対数減少値)〕
被験者の前腕内側部を「ビオレu Rg」(花王(株)製)を用いて洗浄した。5~10分待機後、表2~3に記載の組成物を前腕内側部の皮膚表面(7.5cm-1の範囲、比較例2,3においては、それぞれ、ステンレス表面、ガラス表面)に適用し、均一に塗布して、各表に記載の適用量となるようにした。
5分間静置し乾燥後、前記方法で調整したセラチア菌液を、組成物適用後の皮膚表面に一定量(7.5μL/7.5cm-1)、均一に塗布した。この状態で、所定時間(表中に記載の「菌との接触時間」)静置した後、スワブ2本を用いて塗布した菌液を回収した。
次いで、インキュベーションリーダー「HiTS」((株)サイニクス製)を用いて下記方法により生存菌数を測定して、菌数の減少量(生存菌数/初期の生菌数)を確認した。
インキュベーションリーダー「HiTS」中で37℃にて液体培養し、波長600nmにおける吸光度(濁度)を経時で測定して、菌液中の生菌数の増殖曲線を作成した。同時に既知の生菌数を有する菌液を段階希釈し、同様に培養及び増殖曲線の作成を行い、一定の濁度に到達する時間と生菌数との検量線を作成した。各サンプルの一定濁度に到達するまでの時間と検量線の関係より、回収した菌液中の生存菌数を推定し、菌数の減少量を確認した。
菌数の減少度合い(対数減少値)については、上記菌数減少量の-log値をとり、表2~5に「評価結果a」として示した。この値が大きいほど、殺菌活性が高いことを意味する。
〔b.組成物の持続性評価時間経過後の殺菌活性(対数減少値)〕
上記a.において、表2に記載の組成物を適用対象物に塗布した後の静置時間(5分間)を、各表に記載の「持続性評価のための静置時間」に変更したこと以外は、上記a.と同様の操作を行った。菌数の減少度合い(対数減少値)については、菌数減少量の-log値をとり、表2に「評価結果b」として示した。この値が大きいほど、殺菌活性が高いことを意味する。
上記a.において、表2に記載の組成物を適用対象物に塗布した後の静置時間(5分間)を、各表に記載の「持続性評価のための静置時間」に変更したこと以外は、上記a.と同様の操作を行った。菌数の減少度合い(対数減少値)については、菌数減少量の-log値をとり、表2に「評価結果b」として示した。この値が大きいほど、殺菌活性が高いことを意味する。
〔c.成分非添加の組成物(純水もしくはエタノール)の塗布直後の殺菌活性(対数減少値)〕
表2~5に記載の組成物に替えて純水もしくはエタノールを用いて、前記a.と同様の方法で殺菌活性を評価した(評価結果c)。
表2~5に記載の組成物に替えて純水もしくはエタノールを用いて、前記a.と同様の方法で殺菌活性を評価した(評価結果c)。
〔d.成分非添加の組成物(純水)の持続性評価時間経過後の殺菌活性(対数減少値)〕
表2に記載の組成物に替えて純水を用い、前記c.と同様の方法で殺菌活性を評価した(評価結果d)。
表2に記載の組成物に替えて純水を用い、前記c.と同様の方法で殺菌活性を評価した(評価結果d)。
さらに、評価結果aとcとの差分(a-c)、及び、評価結果bとdとの差分(b-d)を算出し、表2~5に示した。(a-c)の値が大きいほど、組成物の塗布直後(初期)の殺菌性向上効果が高く、(b-d)の値が大きいほど、組成物を塗布した後に時間が経過した場合でも、殺菌性向上効果が高いことを意味する。
実施例1~15、比較例1~4(組成物の調製及び評価)
表2~5に示す量の各成分を配合し、室温にて混合した後、pH調整剤として濃度1mol/Lの塩酸水溶液及び/又は濃度1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いて各表に記載のpHに調整し、組成物を調製した。表2~5に記載した配合量は、各成分の有効成分量(質量%)である。
得られた組成物を用いて、前記方法により殺菌活性を評価した。結果を表2~5に示す。表2~5で用いた成分(A)、並びに、成分(A)に該当しないポリオールである成分(A’)の詳細は表1に示した。
表2~5に示す量の各成分を配合し、室温にて混合した後、pH調整剤として濃度1mol/Lの塩酸水溶液及び/又は濃度1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いて各表に記載のpHに調整し、組成物を調製した。表2~5に記載した配合量は、各成分の有効成分量(質量%)である。
得られた組成物を用いて、前記方法により殺菌活性を評価した。結果を表2~5に示す。表2~5で用いた成分(A)、並びに、成分(A)に該当しないポリオールである成分(A’)の詳細は表1に示した。
*1:ジプロピレングリコール 富士フイルム和光純薬(株)製「ジプロピレングリコール(異性体混合物)」
*2:3-(2-エチルヘキシルオキシ)-1,2-プロパンジオール 東京化成工業(株)製
*3:グリセロール 富士フイルム和光純薬(株)製「グリセリン」
*4:塩化ベンザルコニウム 東京化成工業(株)製「塩化ベンザルコニウム(50%水溶液)」
*5:2-エチル-1,3-ヘキサンジオール 東京化成工業(株)製「2-エチル-1,3-ヘキサンジオール(異性体混合物)」
*6:1,2-ヘキサンジオール 東京化成工業(株)製
*7:乳酸 富士フイルム和光純薬(株)製「乳酸(アクティブ:90%)」
*8:1,2-オクタンジオール 東京化成工業(株)製
*9:1,2-ノナンジオール 東京化成工業(株)製
*10:1,2-ドデカンジオール 東京化成工業(株)製
*11:エタノール 富士フイルム和光純薬(株)製「エタノール(99.5)」
*2:3-(2-エチルヘキシルオキシ)-1,2-プロパンジオール 東京化成工業(株)製
*3:グリセロール 富士フイルム和光純薬(株)製「グリセリン」
*4:塩化ベンザルコニウム 東京化成工業(株)製「塩化ベンザルコニウム(50%水溶液)」
*5:2-エチル-1,3-ヘキサンジオール 東京化成工業(株)製「2-エチル-1,3-ヘキサンジオール(異性体混合物)」
*6:1,2-ヘキサンジオール 東京化成工業(株)製
*7:乳酸 富士フイルム和光純薬(株)製「乳酸(アクティブ:90%)」
*8:1,2-オクタンジオール 東京化成工業(株)製
*9:1,2-ノナンジオール 東京化成工業(株)製
*10:1,2-ドデカンジオール 東京化成工業(株)製
*11:エタノール 富士フイルム和光純薬(株)製「エタノール(99.5)」
表2~5より、本実施例の方法は、殺菌性及びその持続効果に優れることがわかる。
なお、表2の比較例1と比較例2,3との対比から、組成物の適用対象物が皮膚である場合、ステンレス、ガラスと比較して殺菌剤による殺菌性が得られにくいことがわかる。
また表2の実施例1と比較例1との対比によれば、公知の殺菌剤を含む組成物を皮膚に適用した比較例1よりも、実施例1の方が殺菌性及びその持続効果が良好である。また表2の実施例1と比較例4との対比によれば、所定の要件を満たさないポリオールを用いても本実施例の方法に比べて殺菌性が低いことがわかる。
なお、表2の比較例1と比較例2,3との対比から、組成物の適用対象物が皮膚である場合、ステンレス、ガラスと比較して殺菌剤による殺菌性が得られにくいことがわかる。
また表2の実施例1と比較例1との対比によれば、公知の殺菌剤を含む組成物を皮膚に適用した比較例1よりも、実施例1の方が殺菌性及びその持続効果が良好である。また表2の実施例1と比較例4との対比によれば、所定の要件を満たさないポリオールを用いても本実施例の方法に比べて殺菌性が低いことがわかる。
本発明によれば、殺菌及び/又は殺ウイルス性及びその持続効果に優れる、皮膚を菌又はウイルスから防御する方法を提供できる。
Claims (5)
- (OH基数/C原子数)<1を満たすポリオール(A)又はこれを含有する組成物を、該成分(A)の適用量が皮膚1cm2あたり0.0005mg以上1.0mg以下となるように皮膚に適用する工程を有する、皮膚を菌又はウイルスから防御する方法。
- 前記成分(A)が炭素数3以上の鎖状ポリオールである、請求項1に記載の方法。
- 前記組成物中の前記成分(A)の含有量が0.05質量%以上30質量%以下である、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記組成物が、さらに成分(B)として有機酸又はその塩を含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
- 前記組成物の25℃におけるpHが3.5以上10未満である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
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---|---|---|---|
JP2021121804A JP2023017494A (ja) | 2021-07-26 | 2021-07-26 | 皮膚を菌又はウイルスから防御する方法 |
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