JP2023016483A - 錠剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、キトサンと他の有用物質を含有する錠剤において、キトサン及び共に配合された他の有用物質の錠剤からの溶出が向上した錠剤を提供することを課題とする。【解決手段】上記課題を解決するために、(A)有用物質と、(B)キトサンとを含有し、複数の層から形成される錠剤であって、前記(A)成分と前記(B)成分とがそれぞれ別々の層に含有されることを特徴とする錠剤が提供される。本発明によれば、キトサンと他の有用物質を含有する錠剤において、キトサン及び共に配合された他の有用物質の錠剤からの溶出が向上した錠剤を提供することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、キトサンと有用物質とを含有する錠剤に関するものである。より具体的には、キトサンと有用物質とを含有し、複数の層から形成される錠剤に関するものである。
キトサンは、カニ、エビなどの甲殻類の甲羅及びイカの甲などを形成するキチンをアルカリ処理することで得られる動物性の食物繊維である。キトサンはその生理作用として、脂肪吸収抑制作用、コレステロール上昇抑制作用及び血圧上昇抑制作用などの多種多様な機能を有することが報告されており、近年、医薬品分野及び健康食品分野などで広範囲に利用されている。
例えば、特許文献1には、キトサンにマメ科植物カワラケツメイより水又はアルコールなどの有機溶媒によって抽出した有効成分を含有する肥満及び生活習慣病の抑制剤が記載されている。
また、特許文献2には、消化酵素活性阻害作用を有する成分、キノコキトサン複合多糖体成分、及びミネラルバランスを整え、インスリンの産生及びインスリン受容体の活性化作用を有する成分を含有する健康食品用組成物が記載されている。
特開2005-343808号公報 特開2006-20606号公報
上記に示した特許文献に見られるように、キトサンを製剤に配合する場合には、他の有用物質が共に配合されることが一般的である。しかし、本発明者らが行った実験の結果、キトサンと他の有用物質を含有する製剤を生体に投与した場合においては、共に配合された他の有用物質の生体内での吸収が抑制されるという問題が確認され、さらにその問題が、キトサンにより他の有用物質の溶出が抑制されることに起因することが確認された。また、キトサン自体の溶出も他の有用物質が共に配合されることにより抑制されることが確認された。
キトサンは胃内で速やかに溶出した場合は、粘度が出て、腸内の中性領域で緩いゲルを形成しその効果を発揮するが、胃内での溶出が不十分だとキトサンの持つ本来の効果を発揮できない事が知られている。
上記の従来の知見を参考にして、本発明者らは、キトサンによる脂質の吸収抑制効果についてラットに対する油脂添加による血中トリグリセライドの吸収性試験を実施することにより確認した。試験の結果、キトサンを含有する通常のハードカプセル剤に対して、胃内での溶出がない腸溶性ハードカプセル剤の方が脂質の吸収抑制効果は低くなるという結果が得られ、これによりキトサンの溶出性による脂質の吸収抑制効果へ影響が確認されている。
本発明は上記の知見に基づきなされたものであり、即ち、本発明の課題は、キトサンと他の有用物質を含有する錠剤において、キトサン及び共に配合された他の有用物質の錠剤からの溶出が向上した錠剤を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、有用物質と、キトサンとを含有する錠剤において、錠剤を複数の層から形成される錠剤とし、有用物質とキトサンとをそれぞれ別々の層に含有させることにより、有用物質の錠剤からの溶出を向上し得るという知見を見出し、本発明を完成した。
さらに、キトサン自体の溶出性も向上することから、有用物質及びキトサンのバイオアベイラビリティも向上し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[4]を提供する。
[1](A)有用物質と、(B)キトサンとを含有し、複数の層から形成される錠剤であって、
前記(A)成分と前記(B)成分とがそれぞれ別々の層に含有されることを特徴とする錠剤。
本発明によれば、有用物質の錠剤からの溶出が向上した錠剤を得ることができる。
[2]前記(A)有用物質が藤茶エキス、アンペロプシン、ポリメトキシフラボン、ピリドキシン塩酸塩、リボフラビン、及びケルセチン配糖体からなる群から選択される1種以上であることを特徴とする、[1]に記載の錠剤。
本特徴によれば、藤茶エキス、アンペロプシン、ポリメトキシフラボン、ピリドキシン塩酸塩、リボフラビン、ケルセチン配糖体の錠剤からの溶出が向上した錠剤を得ることができる。
[3]錠剤中の(A)成分を含む層の質量に対する(B)成分を含む層の質量の比(B/A)が0.1以上1.0以下であることを特徴とする、[1]又は[2]に記載の錠剤。
本特徴によれば、有用物質の錠剤からの溶出がより向上した錠剤を得ることができる。
[4]前記錠剤が積層錠剤であることを特徴とする、[1]~[3]のいずれかに記載の錠剤。
本特徴によれば、有用物質の錠剤からの溶出がさらに向上した錠剤を得ることができる。
本発明によれば、キトサンと他の有用物質を含有する錠剤において、キトサン及び共に配合された他の有用物質の錠剤からの溶出が向上した錠剤を提供することができる。
有用物質とキトサンを含有する普通錠剤において、キトサンの含有量に対しての有用物質の溶出を評価した結果を示す。 有用物質とキトサン若しくはゲル化剤とを含有する普通錠剤における有用物質の溶出を評価した結果を示す。 有用物質とキトサンとを含有する積層錠剤、普通錠剤、及びハードカプセルにおける有用物質の溶出を評価した結果を示す。 有用物質とキトサンとを含有する積層錠剤、普通錠剤、及びハードカプセルにおけるキトサンの溶出を評価した結果を示す。 有用物質とキトサンとを含有する製剤を生体に投与した際の、有用物質の薬物動態試験の結果を示す。 有用物質とキトサンとを含有する製剤を生体に投与した際の、有用物質の血中濃度を評価した結果を示す。 有用物質とキトサンとを含有する積層錠剤、普通錠剤、及びハードカプセルにおける、有用物質の溶出を5種類の有用物質を用いて評価した結果を示す。 有用物質とキトサンとを含有する積層錠剤において、層の比率の有用物質とキトサンの溶出に与える影響について評価した結果を示す。
[錠剤]
本発明の錠剤は、(A)有用物質と、(B)キトサンとを含有し、複数の層から形成される錠剤であって、前記(A)成分と前記(B)成分がそれぞれ別々の層に含有されることを特徴とする。
本発明の錠剤は有用物質とキトサンとを含有するが、キトサンと他の有用物質を含有する製剤を生体に投与した場合においては、共に配合された他の有用物質の生体内での吸収が抑制されるという問題があることが、さらにその問題が、キトサンにより他の有用物質の溶出が抑制されることに起因することが本発明者らにより確認されている。本発明においては、錠剤を複数の層から形成し、有用物質とキトサンとを別々の層に含有することにより、各々の粉末組成物から形成された層が、混合されることなく崩壊するため、有用物質とキトサンとの相互作用を抑制することができる。これにより、キトサンと共に配合された他の有用物質の溶出を向上することができ、生体内における吸収性を向上することができる。さらに、キトサン自体の溶出性も向上することから、有用物質及びキトサンのバイオアベイラビリティを向上することができる。
<錠剤の形状>
本発明の錠剤は、複数の層から形成される錠剤であり、(A)有用物質と(B)キトサンとが別々の層に含有される。このような錠剤としては、特に制限されないが、有用物質を含有する第1層とキトサンを含有する第2層の2層を有する錠剤、又はさらにこれら2層以外の層を有する錠剤などが挙げられる。これら別々の層は、接触していてもよいし、間に中間層が設けられていてもよい。有用物質を含有する第1層は、(B)キトサンを実質的に含有しない。また、キトサンを含有する第2層は(A)有用物質を実質的に含有しない。なお、実質的に含有しないとは、各層中の含有量が0.5質量%以下であることを示す。
複数の層から形成される錠剤の種類としては、特に制限されないが、積層錠剤、有核錠剤などが挙げられる。これらの複数の層から形成される錠剤においては、生体に投与された際に、各々の粉末組成物から形成された層が、混合されることなく崩壊するため、有用物質とキトサンとの相互作用を抑制することができる。このような効果は複数の層から形成される錠剤であれば得ることができるが、積層錠剤では各々の粉末組成物から形成された2以上の層が単純に積層されることにより錠剤が形成されており、互いの層が例えば一方が一方を包むなどの混合された構成でないため、より有用物質とキトサンとの相互作用を抑制することができ、顕著な効果を得ることができる。
積層錠剤の製造方法としては、医薬品、医薬部外品、獣医科製品、食品、サプリメント等の分野で従来用いられる方法を用いることができる。2層からなる積層錠剤の場合は、例えば、打錠機の臼に装填した下層材料を杵によって打錠して下層を形成し、次に当該臼内の下層の上に装填した上層材料を杵によって打錠して下層の上に上層を接着させて形成することにより、1台の打錠機の連続する打錠操作によって作製することができる。上記の製造方法は下層の充填後の打錠を省き、下層材料を充填後、上層材料を充填し打錠することにより行うこともできる。なお、上記の上層、下層は、有用物質を含有する第1層とキトサンを含有する第2層のいずれか一方を任意に用いることができる。
本発明の錠剤において、錠剤中の(A)成分を含む層の質量に対する(B)成分を含む層の質量の比(B/A)は、特に制限されないが、例えば、0.05以上2.0以下である。下限値としては、好ましくは0.1以上であり、より好ましく0.2以上である。上限値としては、好ましくは1.0以下であり、より好ましくは0.6以下であり、さらに好ましくは0.4以下である。
錠剤の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、円形錠、楕円形錠、花形錠などが挙げられる。また、錠剤は、必要に応じて2分割、4分割するための1本から2本の割線を設けることができる。
錠剤の大きさは、特に限定されるものではなく、好ましくは直径が3mm以上25mm以下である。下限値としては、より好ましくは4mm以上であり、更に好ましくは5mm以上であり、特に好ましくは6mm以上である。一方、上限値としては、より好ましくは20mm以下であり、更に好ましくは15mm以下であり、特に好ましくは10mm以下である。
錠剤の厚さは、特に限定されるものではなく、好ましくは1.0mm以上10mm以下である。下限値としては、より好ましくは1.5mm以上であり、更に好ましくは2.0mm以上であり、特に好ましくは2.5mm以上である。一方、上限値としては、より好ましくは8mm以下であり、更に好ましくは6mm以下である。
錠剤の大きさ、厚さを上記範囲とすることにより、服用のしやすい製剤とすることができる。
<(A)有用物質>
有用物質は、特に限定されるものではなく、例えば、医薬品、医薬部外品、OTC医薬品、漢方薬、生薬、化粧品、健康食品、サプリメント、動物用医薬品などに用いられる医薬成分、機能性成分などが用いられる。
医薬成分、機能性成分の具体例としては、例えば、脂質調整剤、抗糖尿病剤、食欲抑制剤、降圧剤、血管拡張剤、βアドレナリン受容体遮断薬、強心イオンチャンネル剤、不整脈治療剤、抗凝血剤、止血剤、抗炎症剤、鎮痛剤、抗アレルギー剤、免疫抑制剤、コルチコステロイド、ステロイド、抗腫瘍剤、交感神経刺激剤、副交感神経刺激剤、抗ムスカリン様作動剤、ドーパミン作動剤、止痢剤、制吐剤、鎮静剤、収斂剤、精神安定剤、抗鬱剤、抗癲癇剤、抗不安剤、催眠剤、覚醒剤、気管支拡張剤、鎮咳剤、利尿薬、筋肉弛緩剤、ビスホスホネート、抗生物質、抗ウイルス剤、診断用剤、画像診断用剤、放射線薬剤、ラピジン、ノビレチン、スルフォラファン、アンペロプシン、ポリメトキシフラボン、ピリドキシン塩酸塩、リボフラビン、ケルセチン配糖体、クルクミン類、レスベラトロール類、ゲラニオール、オサジン、イソリキリチゲニン、ヒドロキシチロソール、25-ヒドロキシコレカルシフェロール、コエンザイムQ-10、S-アデノシルメチオニン、アントシアニン、アスコルビン酸2-グルコシド、プロテオグリカン、N-アセチルグルコサミン、コラーゲン、藤茶エキス、ビルベリーエキス、ニンジン末、ゴカヒ、カンゾウ、シャクヤク、ケイヒ、ウイキョウ、シュクシャ、ビフィズス菌、乳酸菌、ビタミンAやビタミンB、ビタミンCなどのビタミン、カルシウムやマグネシウム、鉄などのミネラル、ポリデキストロースなどの食物繊維、ポリフェノール、タンパク質、アミノ酸、オリゴ糖、レシチン、カロテノイド、クロロフィルなどが挙げられる。これらの中でも藤茶エキス、アンペロプシン、ポリメトキシフラボン、ピリドキシン塩酸塩、リボフラビン、ケルセチン配糖体が好ましい。また、これらの医薬成分、機能性成分は、単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
<キトサン>
本発明の錠剤はキトサンを含有する。キトサンは、種々の生理活性を有し、その生理活性を得ることを目的として配合される。生理活性としては、例えば、脂肪吸収抑制作用、コレステロール上昇抑制作用及び血圧上昇抑制作用などが挙げられる。
本発明でいうキトサンとは、β-1,4-ポリグルコサミン構造を基本単位とする多糖類である。キトサンは一般的に、1,4-ポリ-N-アセチルグルコサミン構造を基本単位とする多糖類であるキチンを脱アセチル化して得ることができる。
キトサンは、一般的には、カニ、エビ、オキアミ等の甲殻類の甲皮、昆虫類の甲皮、イカの骨等を脱カルシウム処理し、除タンパク質処理し、そして得られたキチンを脱アセチル化処理して得ることができる。また、キノコ類、微生物からも得ることができる。
本発明におけるキトサンは、いずれの原料から得られたキトサンをも用いることができるが、食品として摂取した場合の安全性が明らかであり、経済的にも優れていると考えられる点で、カニ、エビ等の甲殻類の甲皮を原料としたキトサンが好ましい。さらに、本発明の組成物に使用するキトサンは、ヒトが経口摂取した場合の安全性が明らかにされており、食品添加物等として実績があるものが好ましい。
本発明に用いられるキトサンの平均分子量は、キトサンの生理活性の観点から、10万以上が好ましく、100万以上がより好ましい。脱アセチル化度は、キトサンの生理活性の観点から、50%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、85%以上がさらに好ましい。
キトサンの分子量は、水系GPCカラムを用いたGPC法で測定することができる。ま
た、脱アセチル化度というときは、特に示さない限り、ポリビニル硫酸カリウム溶液によ
るコロイド滴定法により測定することができる。
本発明に用いるキトサンは、市販の食品添加物用として市販されているものであれば使
用可能である。このような製品としては、日本化薬フードテクノ株式会社製の食品用キト
サン(製品名:キトサミン 登録商標)を例示する。
錠剤中のキトサンの含有量は、キトサンの生理活性が得られる含有量であれば特に制限されないが、例えば、1質量%以上40質量%以下である。下限値は、好ましく2質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上である。上限値は、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下である。キトサンの含有量を上記範囲内とすることにより、キトサンの生理活性をより効果的に得ることができる。
<その他の成分>
固形製剤には、必要に応じて、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、保存剤、流動化剤、着色剤などの添加剤を配合してもよい。
賦形剤は、特に限定されるものではなく、例えば、微結晶セルロース、乳糖、白糖、マンニトール、グルコース、デンプン、リン酸カルシウム、硫酸カルシウムなどが挙げられる。また、これらの賦形剤は、単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。賦形剤を添加することにより、有用物質のかさを調節することができる。
結合剤は、特に限定されるものではなく、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、グルコース、白糖、乳糖、麦芽糖、デキストリン、ソルビトール、マンニトール、マクロゴール、パラフィン、アラビアゴム、ゼラチン、寒天、デンプン、プルランなどが挙げられる。また、これらの結合剤は、単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。結合剤を添加することにより、粉末成分に結合力を与え、安定な固形製剤を製造することができる。
崩壊剤は、特に限定されるものではなく、例えば、トウモロコシデンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポリビニルピロリドン、アルギン酸塩などが挙げられる。また、これらの崩壊剤は、単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。崩壊剤を添加することにより、固形製剤の崩壊を促進し、吸収性を向上させることができる。
滑沢剤は、特に限定されるものではなく、例えば、タルク、コロイダルシリカ、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、パルミチン酸、ステアリルフマル酸ナトリウム、ワックス類、硬化植物油、脂肪、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。また、これらの滑沢剤は、単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。滑沢剤を添加することにより、錠剤の製造時に、スティッキングなどの打錠障害の発生を抑制することができる。
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において様々な変形が可能である。
(1)試験1 有用物質の錠剤からの溶出に対するキトサンの影響
有用物質とキトサンとを含有する錠剤におけるキトサン濃度の有用物質の溶出に与える影響について、表2に示す試験例1~6の普通錠剤を製造し、溶出試験により評価した。本試験では有用物質として、アンペロプシンを含有する藤茶エキスを用いた。なお、実施例で用いた原料を以下の表1に示す。
Figure 2023016483000002
(普通錠剤の製造)
以下の手順で試験例1~6の普通錠剤を製造した。
表2の組成の粉末組成物を10分間混合し、打錠用粉末とした。打錠用粉末を、単発打錠機(岡田精工社製)により杵サイズφ8mm、R10、打錠圧1000kgfで打錠することで、直径約8mm、重さ300mgの普通錠剤を得た。
Figure 2023016483000003
(溶出試験)
製造した製剤について、NTR-6400A(富山産業社製)を用いて日本薬局方一般試験法溶出試験法のパドル法による溶出試験を行った。
試験液(日本薬局方溶出試験1液(pH1.2))の液量は900mLとし、パドル回転数50rpmにて、試験開始0分後、試験開始0分後、10分後、20分後、30分後、40分後、60分後、90分後、120分後に溶出試験液から200μLを採取した。
測定試料に含まれる錠剤から溶出した藤茶エキスに含まれるアンペロプシン(AMP)の溶出濃度は、UV測定器UV-1800(島津製作所社製)を用いて、290nmの吸光度から算出した。
試験の結果、図1に示すように、キトサンは、特に2.8質量%以上の含有量のキトサンは、錠剤に共に配合した有用物質の溶出性を大きく低下させること確認された。
(2)試験2 キトサン以外のゲル化剤による有用物質の錠剤からの溶出に対する影響
キトサンとキトサン以外のゲル化剤の有用物質の溶出に与える影響について、表3に示す試験例7、8の普通錠剤を試験例1、5と同様の試験1に記載の方法で製造し、試験1と同様の溶出試験により評価した。
Figure 2023016483000004
試験の結果、図2に示すように、他のゲル化物質と比較して、キトサンが特に共に配合した有用物質の溶出性を大きく低下させることが確認された。
(3)試験3 剤型の溶出に与える影響
3種類の剤型(積層錠剤、普通錠剤、ハードカプセル)の製剤を用いて、有用物質の溶出に与える影響について、製剤を製造し、溶出試験により評価した。積層錠剤、ハードカプセルは以下の製法方法に従って製造した。
(ハードカプセルの製造)
以下の手順でハードカプセルを製造した。
表4(試験例9)の原料を量り取り、V型混合器(筒井理化学器械社製:ミクロ型透視式混合器)で10分間混合した後、ステアリン酸カルシウムを加え、5分間混合し、カプセル充填用の粉末組成物を得た。次いで、カプセル充填機(ProFiller 1100(カプスゲル社製))を使用し、1カプセル当り255mgの粉末組成物を2号HPMCカプセルに充填しハードカプセルを得た。
Figure 2023016483000005
(積層錠剤の製造)
以下の手順で積層錠剤を製造した。
表5の組成の第1層用及び第2層用の粉末組成物を各々10分間混合し、第1層用及び第2層用打錠用粉末とした。打錠は単発打錠機(岡田精工社製)、杵サイズφ8mm、R10で行った。具体的には第一層用打錠用粉末を50kgfの打錠圧で圧縮後、そこに第二層打錠用粉末を加えて1000kgfの打錠圧で圧縮して作成し、直径約8mm、重さ300mgの積層錠剤を得た。
Figure 2023016483000006
(溶出試験)
製造した製剤について、NTR-6400A(富山産業社製)を用いて日本薬局方一般試験法溶出試験法のパドル法による溶出試験を行った。
試験液(日本薬局方溶出試験1液(pH1.2))の液量は900mLとし、パドル回転数50rpmにて、試験開始0分後、試験開始0分後、10分後、20分後、30分後、40分後、60分後、90分後、120分後に溶出試験液から200μLを採取した。
測定試料に含まれる錠剤から溶出したアンペロプシンの溶出濃度は、UV測定器UV-1800(島津製作所社製)を用いて、290nmの吸光度から算出した。
測定試料に含まれる錠剤から溶出したキトサンの量は、キトサンアッセイキット(CELL BIOLABS, INC.社製)を用いて製造者のマニュアルに従って測定した。
試験の結果、図3に示すように、積層錠剤である試験例10においては、普通錠剤である試験例5、ハードカプセルである試験例9と比較して有用物質の高い溶出が確認された。
また、図4に示すように、積層錠剤である試験例10においては、普通錠剤である試験例5、ハードカプセルである試験例9と比較してキトサンの高い溶出が得られることも確認された。このことは、積層錠剤とすることにより、有用物質及びキトサンのバイオアベイラビリティの高い製剤とすることができることを示している。
(4)試験4 剤型の生体への投与時における効果
試験3で製造した試験例5、9、10の製剤を下記の手順でヒトに投与して、投与後の有用物質の血中濃度の変化と薬物動態を評価する臨床試験を下記の手順で行った。試験の結果得られた薬物動態パラメーター(薬物血中濃度(AUC)、最高血中濃度到達時間(Tmax)、最高血中濃度(Cmax))を表6に示す。積層錠剤のそれぞれの結果については分散分析(ANOVA)を実施した後、有意差検定(Tukey-kramer test)を行った。
(臨床試験)
試験は非盲検無作為化3剤3期ラテン方格型クロスオーバー試験で行い9例(3例×3群)の被験者に対して行った。10時間以上の空腹状態の被験者に対して製剤投与前の空腹時採血(0分)を行った後、各製剤4カプセルあるいは4錠(アンペロプシンとして154.6mg、キトサンとして133.6mg)を被験者に200mLの水とともに投与した。そして、製剤の投与後、30分、60分、120分、180分、240分に採血を行い被験者の血清サンプルを得た。
(血清サンプルの分析)
臨床試験で採取した血清サンプルを以下の手順で藤茶の有用成分であるアンペロプシン量を分析した。
先ず、血清の前処理として、血清100uLを溶解し、酵素液(Sulfatase Type H-1 4mg/mL、0.1M 酢酸ナトリウム緩衝液)を100uL添加し、37℃で1時間インキュベートして脱グルクロン酸抱合処理を行った。次に、固層抽出プレート(96wellプレートSTRATA-X 10mg、島津ジーエルシー社製)を用いて製造者のマニュアルに従って徐蛋白処理を行い測定サンプルを得た。測定サンプルに対して以下の条件でLC/MSMS分析を行った。
<LC/MSMS分析条件>
LC条件 (Method:DMY)
カラム:ACQUITY UPLC HSST3 1.8μm 2.1×100mm
カラム温度:40℃
移動相:A液(0.1%ギ酸水溶液):B液(0.1%ギ酸含アセトニトリル)=88:12
流速:0.4mL/分
インジェクション量:2μL
Figure 2023016483000007
試験の結果、図5、6及び表6に示すように、積層錠剤にすることで、ヒトに投与した場合における有用物質の薬物血中濃度(AUC)が普通錠やハードカプセルと比較して有意に向上(vsハードカプセル:P=0.0054、vs普通錠剤:P=0.036)することが確認された。各採血時点における有用物質の血中濃度では、積層錠はハードカプセルに対しては、摂取後30分、60分、120分に、普通錠については摂取後120分に有用物質の血中濃度が有意に上昇していた(P<0.05)。最高血中濃度(Cmax)についても有意な上昇が確認された(vsハードカプセル、vs普通錠剤:P<0.05)。
(5)試験5 他の種類の有用物質を用いた場合のキトサンの影響と積層錠剤の効果
試験1~3で用いたアンペロプシンを含有する藤茶エキス以外の有用物質の5種類の有用物質、ポリメトキシフラボン、ピリドキシン塩酸塩、リボフラビン、ケルセチン配糖体、クルクミンを含有する表7、8の組成の製剤を試験3と同様に製造した、下記の溶出試験によりキトサンによる有用物質の溶出抑制、及び積層錠剤の効果について評価した。表中7、8中の有用物質はポリメトキシフラボン、ピリドキシン塩酸塩、リボフラビン、又はケルセチン配糖体、クルクミンのいずれかを示す。
Figure 2023016483000008
Figure 2023016483000009
(溶出試験)
製造した製剤について、NTR-6400A(富山産業社製)を用いて日本薬局方一般試験法溶出試験法のパドル法による溶出試験を行った。
試験液(日本薬局方溶出試験1液(pH1.2))の液量は900mLとし、パドル回転数50rpmにて、試験開始0分後、試験開始0分後、10分後、20分後、30分後、40分後、60分後、90分後、120分後に溶出試験液から200μLを採取した。
測定試料に含まれる錠剤から溶出した有用物質の濃度は、UV測定器UV-1800(島津製作所社製)を用いて、各々の有用物質に設定した波長(ポリメトキシフラボン:260nm、リボフラビン:267nm、ピリドキシン塩酸塩:290nm、ケルセチン配糖体:370nm)の吸光度から算出した。
試験の結果、図7に示すように、試験した5種類の有用物質中、ポリメトキシフラボン、ピリドキシン塩酸塩、リボフラビン、ケルセチン配糖体においても、アンペロプシンと同様にキトサンによる溶出の抑制と積層錠剤とすることによる溶出の向上が観察された。
(6)試験6 積層錠剤における層の比率の検討
有用物質とキトサンを含有する積層錠剤の適切な各々の層の比率を検討するために、有用物質を含有する第1層とキトサンを含有する第2層の比率を変化させた積層錠剤を製造し、有用物質の溶出への影響を評価した。
(積層錠剤の製造)
以下の手順で有用物質を含有する第1層に対するキトサンを含有する第2層の比率を1:1、2:1、4:1とした試験例11~13の積層錠剤を製造した。
表9の組成の第1層用及び第2層用の粉末組成物を各々10分間混合し、第1層用及び第2層用打錠用粉末とした。打錠は単発打錠機(岡田精工社製)、杵サイズφ8mm、R10で行った。具体的には第一層用打錠用粉末を50kgfの打錠圧で圧縮後、そこに第二層打錠用粉末を加えて1000kgfの打錠圧で圧縮して作成し、直径約8mm、重さ300mgの積層錠剤を得た。
Figure 2023016483000010
(溶出試験)
製造した各々の製剤について、NTR-6400A(富山産業社製)を用いて日本薬局方一般試験法溶出試験法のパドル法による溶出試験を行った。
試験液(日本薬局方溶出試験1液(pH1.2))の液量は900mLとし、パドル回転数50rpmにて、試験開始60分後に溶出試験液から200μLを採取した。
測定試料に含まれる錠剤から溶出したアンペロプシンの溶出濃度は、UV測定器UV-1800(島津製作所社製)を用いて、290nmの吸光度から算出した。
測定試料に含まれる錠剤から溶出したキトサンの量は、キトサンアッセイキット(CELL BIOLABS, INC.社製)を用いて製造者のマニュアルに従って測定した。溶出量は積層錠剤(1:1)における溶出量を100%として示した。
試験の結果、図8に示すように、有用物質を含有する第1層に対するキトサンを含有する第2層の比率を2:1とした試験例12、4:1とした試験例13の積層錠剤で1:1とした試験例11と比較して有用物質の溶出の向上が確認された。特に4:1とした試験例13で有用物質の溶出の大きな向上が確認された。
本発明によって、キトサンと他の有用物質を含有する錠剤において、キトサンと共に配合された他の有用物質の体内における吸収性が向上した錠剤を提供することができる。本発明は、医薬品、医薬部外品、獣医科製品、食品、サプリメント等さまざまな分野において活用できるものである。

Claims (4)

  1. (A)有用物質と、(B)キトサンとを含有し、複数の層から形成される錠剤であって、
    前記(A)成分と前記(B)成分とがそれぞれ別々の層に含有されることを特徴とする錠剤。
  2. 前記(A)有用物質が藤茶エキス、アンペロプシン、ポリメトキシフラボン、ピリドキシン塩酸塩、リボフラビン、及びケルセチン配糖体からなる群から選択される1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の錠剤。
  3. 錠剤中の(A)成分を含む層の質量に対する(B)成分を含む層の質量の比(B/A)が0.1以上1.0以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の錠剤。
  4. 前記錠剤が積層錠剤であることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の錠剤。

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