JP3230457U - ウコンを含有する錠剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】ウコンに含まれる有用な成分である精油成分を活かし、且つ、流通時などの際に容易に型崩れや損壊などを起こさない強度を有するウコンを含有する製剤を提供する。【解決手段】秋ウコンと紫ウコンおよびウコン抽出物を含むとともに、秋ウコンおよび紫ウコンの各精油成分を担持するセルロース、および微粒二酸化ケイ素とショ糖脂肪酸エステルとを添加剤とし、セルロース誘導体を結合剤として配合され、この混合末を打錠機を用いて打錠成形し、錠径9mm、曲率半径6.8mmの錠剤とした。【選択図】図1

Description

本考案は、精油成分を含むウコンを用いたウコン含有製剤に関するものである。
ウコン(Curcuma longa L.)は、インド原産のショウガ科の薬用植物で、東南アジアを中心に、世界中の熱帯・亜熱帯地域で栽培されている。主に根茎を使用する。ウコンの根茎には3〜5%のクルクミン(黄色色素)が含有されている。クルクミンは抗酸化能や肝機能改善あるいは肝機能の維持などに寄与するウコンの代表的な活性成分と考えられており、以下に示す様々な製剤や製造方法が開示されている。
特許文献1は、ウコンエキスを含有した柔らかい錠剤であり、ウコンエキス、ゼラチンなどゲル化剤、グリセリンなどの可塑剤、レシチンなどの放出剤、甘味料、保存料および香味料から成る製剤で、喉、食道、消化器管に限らずこれを含患部へ長時間有効成分を継続的に送達することができる経口投与薬である。
特許文献2は、ウコンやクルクミンを含むゼリーで、ゼリーを構成するゲル化剤がジェランガムとカラギナンから成ることを特徴とし、胃と腸において徐々にクルクミンが放出される組成のゼリー剤である。
特許文献3は、ウコンなどを含有した製剤の不快味のマスキングに関して、ウコンエキスの不快な呈味・異味が炭酸を加えることにとって大きく改善されることを見出し、不快な呈味・異味が低減されたウコンエキス含有飲料の技術を提案したものである。
特許文献4は、ウコンなどの機能性素材に起因する可食性組成物の不快味が馬鈴薯を原料とし、DE(デキストロース当量)が2以上6以下で、25℃の蒸留水で調製したデキストリン30質量%水溶液を、25℃で5分間静置した時の粘度が150Pa・s以下であるデキストリンを用いることで、マスキングする方法である。
特許文献5は、ウコン粉末を加温処理することにより臭味を改良する方法として、加温処理後のウコンに含まれるクルクミン含量が、該加温処理前のウコンに含まれるクルクミン含量の80%以上であるように加温する方法である。該加熱処理方法としては、実施例で155℃、15分で効果が確認できたことを記載している。
また、特許文献6は、クルクミノイドを脂質で被覆し、アルファ化デンプンを崩壊剤として配合したクルクミノイド含有錠剤とその製造方法であり、脂溶性のクルクミノイドの粉体表面に脂肪酸、食用油、リン脂質、胆汁酸などを用いて被覆し、体内吸収性を向上させている。
さらに、非特許文献1では、ウコンを用いた錠剤の成形について報告されており、ウコン関連の粒(錠剤)製品の錠剤硬度が一般的な医薬品の硬度に比べて低いものが多く、圧縮成形性がよくない。そこで、流動層造粒装置を用いて、結合剤にコラーゲンペプチド、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロースを用いて造粒した。ヒドロキシプロピルセルロースで造粒した場合の硬度は、秋ウコン<春ウコン<紫ウコンの順の傾向がある。各造粒物の錠剤硬度は、品種によって異なること、その要因は、粉体物性よりも、ウコン中の脂質含量の方が大きいことがわかったとしている。そして、3種のウコン類の脂質含量を測定した。その結果、秋ウコンが春ウコンより脂質含量が低いことがわかった。ここで、各種ウコンをジエチルエーテルで脱脂し、その脱脂粉末を用いて錠剤を製したところ、秋ウコンでは、16.5倍も錠剤硬度が改善するものであった。
特表2016−535028号公報 特開2017−197465号公報 特開2015−65938号公報 特開2015−128420号公報 特開2007−116945号公報 特開2018−19307号公報
鎌田靖弘,PHARM TECH JAPAN,vol.28 No.14(2012) 179〜186頁
しかしながら、上述した特許文献1および2の技術は、ゲル化剤を用いた半固形製剤であることから、製造では、特別な設備、そして、保存についても防腐剤などの添加が必要となり、製造の工程が多く、煩雑でありコストアップとなる欠点を有する。
また、特許文献3は、飲料におけるウコンの不快味のマスキング技術で、特許文献4では、形態として錠剤も挙げられているが、実施例では、機能性素材としてペプチドを水溶液の形態でマスキング効果が評価されている。しかし錠剤の形態でのウコンに対するマスキング効果は確認されておらず、手軽に持ち運べて摂取が可能であるとは言えない。
特許文献5の方法では、オートクレーブなどの特別な設備を必要とするもので、製造工程、製造コストが増大する欠点を有する。
特許文献6では、実施例で、脂質被覆クルクミド粉体製剤と崩壊剤を混合し、得られた混合粉体を流動造粒機で造粒している。このように予めに前処理として混合工程が必要となり、すなわち工程数が多い欠点を有する。
さらに非特許文献1では、錠剤としての硬度を向上させることが可能ではあるが、その硬度を得るためにウコン末を脱脂してしまい、すなわちウコンに含有される精油成分を取り除いてしまうものである。
また、これら特許文献6と非特許文献1においては、流動層造粒装置で、つまり粉体を空気中に浮遊させた状態で製造しており、錠剤の硬度を高められるものの、成分の均一性のために、前処理として混合工程が必要となり、工程数が増える欠点を有する。さらに、製造された錠剤の摩損度についての記載が無く、すなわち、摩損度の大きい錠剤の場合では、出荷・流通の際に振動や衝撃などの外力が加わった場合に錠剤が壊れてしまう不具合があり、つまり錠剤としての正常な形状を維持できないという欠点を有する。
そして、上記各特許文献,非特許文献のいずれも、ウコン末を用いるもののウコンに含有される精油成分を活かしておらず、この精油成分に含まれる有用な成分を用いて、錠剤などの製剤を得るという点について具体的な考察等がされていなかった。
そこで本考案は、上記問題点を解消するために、ウコンに含まれる有用な成分である精油成分を活かしたウコン含有製剤とその製造方法を提供するとともに、流通時などの際に容易に型崩れや損壊などを起こさない強度を有するウコン含有製剤を提供することを目的としている。
次に、上記の課題を解決するための手段を説明する。
この考案の請求項1記載のウコン含有製剤は、秋ウコンと紫ウコンおよびウコン抽出物を含むとともに、前記秋ウコンおよび前記紫ウコンの各精油成分を担持するセルロース、および微粒二酸化ケイ素とショ糖脂肪酸エステルとを添加剤とし、セルロース誘導体を結合剤として配合したことを特徴としている。
このウコン含有製剤によれば、秋ウコン及び紫ウコンに含まれる精油成分を含有した製剤とされることから、精油成分の持つ胆汁分泌促進、健胃、殺菌、防腐などの薬理作用などを有するウコン末として摂取することができる。また、秋ウコン及び紫ウコンに含まれる精油成分の持つ特有の芳香や異臭,苦味などを添加剤であるセルロースで担持し、すなわちセルロースで精油成分に特有の苦味などをマスキングしている。このことから、有用な成分である精油成分を摂取可能となる。さらに、ウコン抽出物は、肝保護作用、抗酸化性、抗腫瘍作用、免疫賦活作用、抗炎症作用、抗菌作用を有している。
請求項2記載のウコン含有製剤は、請求項1記載のウコン含有製剤であって、
前記秋ウコンと紫ウコンおよびウコン抽出物を合わせて100部に対し、前記セルロースを60〜120部、前記セルロース誘導体を5〜15部、前記微粒二酸化ケイ素を1〜10部、前記ショ糖脂肪酸エステル1〜10部の配合で組成したことを特徴としている。
このウコン含有製剤によれば、秋ウコンおよび紫ウコンの精油成分をセルロースが担持し、苦味等のマスキングを行えるとともに、凝集性の高いウコン末を解凝集でき、微粒二酸化ケイ素、ショ糖脂肪酸エステルにて顆粒としての流動性を保ち、微粒二酸化ケイ素は精油成分の担持を補助し、ショ糖脂肪酸エステルは錠剤へと加工する際のスティッキングを防いで打錠障害を回避可能となる。これにより、安定した製剤を得ることができる。
請求項3記載のウコン含有製剤は、請求項1または2記載のウコン含有製剤であって、
前記セルロースは、粉末セルロースまたは結晶セルロースが用いられ、
前記微粒二酸化ケイ素は、微粒シリカゲル、微粉末シリカ、軽質無水ケイ酸のいずれかが用いられ、
ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖ベヘニン酸エステル、ショ糖混合脂肪酸エステルのいずれかが用いられ、
前記結合剤となるセルロース誘導体は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC・ヒプロメロース)、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na・カルメロースナトリウム)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)のいずれかが用いられることを特徴としている。
このウコン含有製剤によれば、セルロースが、賦形剤となり、製剤工程の際にウコン末の再凝集を抑える効果を有し、また、秋ウコンおよび紫ウコンに含まれる精油成分を担持し、苦味などをマスキングする。また、微粒二酸化ケイ素は、製造工程の際の乾燥顆粒の状態で添加されることで、上記セルロースを補助して精油成分を担持するとともに、顆粒の流動性を高める。さらに、ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖と植物由来の脂肪酸からなることで滑沢剤となり、上記微粒二酸化ケイ素の添加により、このショ糖脂肪酸エステルの分散が高められ、このことから打錠装置にて錠剤を成形する際に、スティッキングなどの打錠障害が防止できる。また、添加剤であるセルロースは、秋ウコンおよび紫ウコンが含有する精油成分を担持することとなり、秋ウコンや紫ウコンの有する苦味である精油成分をセルロースが担持することで、苦味をマスキングすることができ、また、このセルロースによって、ウコン末の再凝集を抑えることとなり、且つ、打錠の際の圧縮時に粒子間で結合剤としての機能を得られる。
請求項4記載のウコン含有製剤は、請求項1〜3のいずれか1つに記載のウコン含有製剤であって、前記ウコン抽出物に含有されるクルクミノイドのクルクミンが、体重1kgあたり0〜3mg/日の用量とされることを特徴としている。
このウコン含有製剤によれば、例えば体重60kgの摂取者であれば、1日あたり0〜180mgの範囲であり、クルクミンとしての1日摂取容量(ADI)の範囲内である。
請求項5記載のウコン含有製剤は、請求項1〜4のいずれか1つに記載のウコン含有製剤であって、
前記秋ウコンと紫ウコンおよびウコン抽出物と前記セルロースと前記セルロース誘導体とを混合し、この混合末に水/エタノール混液を結合液として添加して造粒し、乾燥した後に整粒して顆粒を形成した後、前記顆粒に、篩過し解凝集させた前記微粒二酸化ケイ素を、前記ショ糖脂肪酸エステルとともに添加して得られることを特徴としている。
このウコン含有製剤によれば、秋ウコンおよび紫ウコンに含まれる精油成分を含有した製剤を得ることができ、精油成分の持つ胆汁分泌促進、健胃、殺菌、防腐などの薬理作用などを有するウコン末として摂取することが可能な製剤を得ることができる。また、十分な硬度を有する製剤となり、流通時の外力による損壊などが発生しない。そして、セルロースが精油成分を担持することとなり、有用な成分を取り除く必要がなくなり、この精油成分の持つ各種薬理作用を有用にする。また、セルロースや微粒二酸化ケイ素がウコン末の解凝集となり、ウコン末の分散を行う。
請求項6記載のウコン含有製剤は、請求項1〜5のいずれか1つに記載のウコン含有製剤であって、
前記秋ウコンと紫ウコンおよびウコン抽出物と前記セルロースと前記セルロース誘導体とが撹拌造粒機を用いて撹拌混合され得られることを特徴としている。
このウコン含有製剤によれば、撹拌造粒機を用いることで、それぞれがほぐされて凝集などによる偏りが減少、すなわち再凝集を防いで、適度に分散して製剤として得ることができる。
請求項7記載のウコン含有製剤は、請求項1〜6のいずれか1つに記載のウコン含有製剤であって、
打錠されて、外形状が錠剤とされることを特徴としている。
このウコン含有製剤によれば、錠剤として成形されることで可搬性を向上でき、流通しやすい形態となるとともに、摂取量を容易に把握することができ、扱い易い。
本考案による請求項1記載のウコン含有製剤では、秋ウコン及び紫ウコンに含まれる精油成分を含有した製剤とされることから、精油成分の持つ胆汁分泌促進、健胃、殺菌、防腐などの薬理作用などを有するウコン末として摂取することができる。また、秋ウコン及び紫ウコンに含まれる精油成分を取り除くことなく、錠剤として成形した際に、十分な硬度を有する錠剤を得ることができ、流通時の外力による損壊などを防止することができる。さらに、秋ウコン及び紫ウコンに含まれる精油成分の持つ特有の芳香や異臭,苦味などを添加剤であるセルロースで担持し、すなわちセルロースで精油成分に特有の苦味などをマスキングしている。このことから、有用な成分である精油成分を摂取することが可能となる。また、ウコン抽出物を摂取でき、このウコン抽出物の持つ様々な有効作用を得ることができる。
請求項2記載のウコン含有製剤では、秋ウコンおよび紫ウコンの精油成分をセルロースが担持し、苦味等のマスキングを行えるとともに、凝集性の高いウコン末を解凝集でき、微粒二酸化ケイ素とショ糖脂肪酸エステルにて顆粒としての流動性を保ち、微粒二酸化ケイ素は精油成分の担持を補助し、ショ糖脂肪酸エステルは錠剤へと加工する際のスティッキングを防いで打錠障害を回避可能となる。これにより、安定した製剤を得ることができる。
請求項3記載のウコン含有製剤では、セルロースが、賦形剤となり、製剤工程の際にウコン末の再凝集を抑える効果を有し、また、秋ウコンおよび紫ウコンに含まれる精油成分を担持し、苦味などをマスキングする。また、微粒二酸化ケイ素は、製造工程の際の乾燥顆粒の状態で添加されることで、上記セルロースを補助して精油成分を担持するとともに、顆粒の流動性を高める。さらに、ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖と植物由来の脂肪酸からなることで滑沢剤となり、上記微粒二酸化ケイ素の添加により、このショ糖脂肪酸エステルの分散が高められ、このことから打錠装置にて錠剤を成形する際に、スティッキングなどの打錠障害が防止できる。また、添加剤であるセルロースは、秋ウコンおよび紫ウコンが含有する精油成分を担持することとなり、秋ウコンおよび紫ウコンの有する苦味である精油成分をセルロースが担持することで、苦味をマスキングすることができ、また、このセルロースによって、ウコン末の再凝集を抑えることとなり、且つ、打錠の際の圧縮時に粒子間で結合剤としての機能を得られる。
請求項4記載のウコン含有製剤では、例えば、体重60kgの摂取者であれば、1日あたり0〜180mgの範囲であり、クルクミンとしての1日摂取容量(ADI)の範囲を超えることなく摂取可能となる。
請求項5記載のウコン含有製剤では、秋ウコンおよび紫ウコンに含まれる精油成分を含有した製剤を得ることができ、精油成分の持つ胆汁分泌促進、健胃、殺菌、防腐などの薬理作用などを有するウコン末として摂取することが可能となる。また、十分な硬度を有する製剤となり、流通時の外力による損壊などが発生しない製剤を得ることが可能なる。また、セルロースが精油成分を担持することとなり、秋ウコンおよび紫ウコンに含まれる有用な成分を取り除く必要がなくなり、この精油成分の持つ各種薬理作用を得ることが可能となる。また、セルロースや微粒二酸化ケイ素がウコン末の解凝集となり、ウコン末の分散を行うことができ、成分均一性を高めた製剤を得ることが可能となる。
請求項6記載のウコン含有製剤では、撹拌造粒機を用いることで、組成のそれぞれがほぐされて凝集などによる偏りが減少、すなわち再凝集を防いで、適度に分散された製剤として得ることができる。
請求項7記載のウコン含有製剤では、錠剤として成形されることで可搬性を向上でき、流通しやすい形態となるとともに、摂取量を容易に把握することができるという効果がある。
本発明のウコン含有製剤としての錠剤の実施例1と実施例2の試験結果を示す表である。
本考案のウコン含有製剤は、秋ウコンと紫ウコンおよびウコン抽出物に、添加剤と結合剤とを特定な組成で配合してなるものであって、添加剤としては、セルロースと微粒二酸化ケイ素およびショ糖脂肪酸エステルとされ、結合剤としてはセルロース誘導体としている。特に、添加剤の微粒二酸化ケイ素とショ糖脂肪酸エステルの配合および混合方法によって実用に十分耐えうるウコン含有製剤よりなる錠剤を得られた。
ウコン含有製剤の主成分となるウコンとしては、秋ウコン,紫ウコン(ガジュツ)とされ、漢方では、利胆、健胃、利尿、止血、通経薬などに用いられているものである。また、これらウコンの成分としてクルクミン,デメトキシクルクミン,ビスデメトキシクルクミンなどを含む。そして、これらウコンに含まれる精油成分を用いるとともに、秋ウコンから抽出されるウコン抽出物を用いる。
本考案に用いられるウコンに含まれる黄色色素として知られるクルクミンは、ウコンに含有される3種のクルクミノイドであるクルクミン,デメトキシクルクミン,ビスデメトキシクルクミンのうち最も含有量の多いポリフェノールである。このクルクミンは、ウコンの種類によってその含有量が異なる。秋ウコンは春ウコン、紫ウコンに比べクルクミンの含有量が多く、1.1〜4.8%含有されている。このクルクミンは、作用として、肝保護作用、抗酸化性、抗腫瘍作用、免疫賦活作用、抗炎症作用、抗菌作用を有している。
なお、本実施形態では、クルクミノイドをクルクミンとして、ADI(1日摂取許容量)の体重1kgあたり0〜3mg、例えば体重60kg人では、0〜180mg/日を超えない範囲で含有することとされる。例えば、上述するがウコン含有製剤の剤形を錠剤とした場合に、1粒あたり10mg程度の含有量とすれば、1日あたり十数粒程度の服用として設定可能となる。
また、秋ウコンおよび紫ウコンに含まれる精油成分としては、これらウコンに数%が含まれており、本実施形態では、ビサクロンなどの成分である。この精油成分は、芳香性健胃としての作用や、抗菌作用、抗炎症、抗酸化、抗転移などの作用が確認されている。
ウコン抽出物は、秋ウコンから抽出したものであって、クルクミノイドが95%以上含有されている。
添加剤を構成するセルロースは、粉末セルロース(KCフロック(登録商標):日本製紙株式会社)、結晶セルロース(セオラス(登録商標)FD−101,301,ST−100,UF−711,PH−101,301,KG−1000,UF−711:旭化成株式会社)などがある。
このセルロースは、賦形剤とされ、製剤工程の際にウコン末の再凝集を抑える効果を有し、また、上記したウコンに含まれる精油成分を担持し、苦味などをマスキングする。
添加剤を構成する微粒二酸化ケイ素は、微粒シリカゲル、微粉末シリカ(サイロページ(登録商標):富士シリシア化学株式会社)、軽質無水ケイ酸(アエロジル(登録商標)200:日本アエロジル株式会社,アドソリダー(登録商標)101:フロイント産業株式会社)などがある。
この微粒二酸化ケイ素は、製造工程の際の乾燥顆粒の状態で添加されることで、上記セルロースを補助して精油成分を担持するとともに、顆粒の流動性を高める。
添加剤を構成するショ糖脂肪酸エステルとしては、ショ糖ステアリン酸エステル(S−370,S−370F,S−1170,S−1170F(商品名):三菱ケミカルフーズ株式会社)、ショ糖ベヘニン酸エステル(B−370,B−370F(商品名):三菱ケミカルフーズ株式会社)、ショ糖混合脂肪酸エステル(POS−135(商品名):三菱ケミカルフーズ株式会社)などが用いられる。
このショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖と植物由来の脂肪酸からなるもので、滑沢剤となる。なお、上記微粒二酸化ケイ素の添加により、このショ糖脂肪酸エステルの分散が高められ、このことから打錠装置にて錠剤を成形する際に、スティッキングなどの打錠障害が防止できる。
結合剤として使用されるセルロース誘導体には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC・ヒプロメロース)、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na・カルメロースナトリウム)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)などがある。
また、本考案のウコン含有製剤の製造過程において、上記した秋ウコンと紫ウコンとウコン抽出物とセルロースとセルロース誘導体とを混合する際に、結合液として水/エタノール混液が添加される。
さらに、本実施形態のウコン含有製剤においては、これらに加えて、安定剤や香料,甘味剤なども添加することが出来る。
このように構成された本考案のウコン含有製剤は、健康食品分野をはじめ、食品、医薬品、医薬部外品などの分野にも適用することができる。また、剤形としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤などとして構成することができる。
したがって、本考案のウコン含有製剤では、秋ウコンおよび紫ウコンの持つ様々な有用な作用を、これらウコンに含まれる精油成分とともに得ることができ、その精油成分が製剤の状態で滲み出るようなことがなく、セルロースによってこの精油成分を担持し、苦味などをマスキングしており、また、微粒二酸化ケイ素が添加されていることで、セルロースを補助して精油成分を担持し、顆粒の流動性を高めている。また、ショ糖脂肪酸エステルは、滑沢剤となり、微粒二酸化ケイ素の添加により、このショ糖脂肪酸エステルの分散が高められ、このことから打錠装置にて錠剤を成形する際に、スティッキングなどの打錠障害が防止することが可能となる。このように構成されたウコン含有製剤では、精油成分が含まれている状態であっても十分な硬度を有し、例えば、剤形を錠剤とした場合に、硬度が6kgf以上となり、流通過程などで損壊などを起こすことがなく、落下や摩耗などによる錠剤破壊のしやすさの指標となる摩損度を極めて小さくすることができ、従来品のような錠剤表面の一部が欠落したり、剥離を起こすことがなく、実用に十分耐え得る錠剤物性を有する優れたウコン含有錠を製造することが可能となる。
また、本考案のウコン含有製剤では、滑沢剤の構成を、従来品において使用されている金属石鹸(ステアリン酸カルシウム)を用いておらず、ショ糖脂肪酸エステルを使用しており、このショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖と植物由来の脂肪酸からなるものであって、安心して摂取可能なものとなっている。
さらに、本考案のウコン含有製剤では、精油成分を含んでいるが、十分な硬度で構成されていることから、上記したように容易に損壊することがなく、且つ摩損することが略無い。このことから、従来のウコン含有製剤においては硬度を得るために脱脂を行っていたが、本考案のウコン含有製剤では、有用な成分である精油成分を含有した状態で製剤として得られており、精油成分の持つ胆汁分泌促進、健胃、殺菌、防腐などの薬理作用などを有するウコン末として摂取することが可能で、十分な硬度を有する製剤となり、流通時の外力による損壊などが発生することが無い。
次に、上述したウコン含有製剤の製造方法について説明する。
まず、秋ウコン、紫ウコン、ウコン抽出物、セルロースとしての結晶セルロース、および、セルロース誘導体としてのヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)のそれぞれを、撹拌混合造粒装置に投入し、混合する。
それぞれの配合比率としては、秋ウコンと紫ウコンとウコン抽出物とを合わせて100部に対し、セルロース(結晶セルロース)を60〜120部、好ましくは80〜100部、セルロース誘導体(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)を5〜15部、好ましくは7〜11部とする。
次に、この混合粉末に、水/エタノール(1:1)を添加し、練合し、造粒する。
次に、この造粒物を50℃で18時間乾燥して、含水量を3%以下とした。
次に、この乾燥した造粒物を整粒機で整粒する。
次に、この整粒した顆粒を混合機に投入し、ここに、予め篩過した微粒二酸化ケイ素、および、予め篩過したショ糖脂肪酸エステルを添加して、混合し混合末を得る。
ここで、上記秋ウコンと紫ウコンとウコン抽出物とを合わせて100部に対して、微粒二酸化ケイ素は1〜10部、好ましくは2〜6部とし、ショ糖脂肪酸エステルは1〜10部、好ましくは2〜6部の配合で添加する。
そして、この混合末を打錠機を用いて、所定の形状に打錠し、錠剤を製造する。
従ってこのウコン含有製剤の製造方法によれば、添加剤として、セルロース、微粒二酸化ケイ素およびショ糖脂肪酸エステルを、結合剤にヒプロメロースを、それぞれ特定な組成で配合し、特に、微粒二酸化ケイ素とショ糖脂肪酸エステルの配合および混合方法にて実用に十分耐え得る、すなわち損壊の起きない強度を有する錠剤であり、秋ウコンおよび紫ウコンに含まれる精油成分を備えた物性を有する優れたウコン含有製剤を得ることができた。すなわち、ウコン末を脱脂することなく、十分な硬度を有するウコン含有製剤を得ることができた。
添加剤であるセルロースは、秋ウコンおよび紫ウコンが含有する精油成分を担持することとなり、これらウコンの有する苦味は精油成分、主にターメロンによるものと考えられていることから、セルロースが精油成分を担持することで、苦味をマスキングすることができる。また、このセルロースによって、ウコン末の再凝集を抑えることとなり、且つ、打錠の際の圧縮時に粒子間で結合剤としての機能を得られる。
また、秋ウコン、紫ウコン、ウコン抽出物、添加剤であるセルロース(結晶セルロース)および結合剤であるセルロース誘導体(ヒプロメロース)を混合し、この混合末に水/エタノール混液を結合液として添加し、造粒・乾燥した後、整粒し、ここに予め、特定の目開きの篩いを通過させることで、解凝集させた微粒二酸化ケイ素をショ糖脂肪酸エステルとともに添加する工程としたことで、微粒二酸化ケイ素は、顆粒の流動性を改善するとともに、これらウコンに含有する精油成分の担持を補助する、つまり、乾燥時に加熱を行うが、その際に滲み出る油分を後から添加する微粒二酸化ケイ素にてトラップすることができ流動性の低下を防ぐこととなり、また、ショ糖脂肪酸エステルの分散を促進することで、打錠障害、特にスティッキングの発生を回避することが可能となる。
さらに、この製造方法によれば、前処理として混合工程を必要とする従来法の流動層造粒法ではなく、撹拌混合造粒機にて混合・造粒を行うことから、各組成の分散性が良好となり、成分の均一性を高めた優れた製剤を得ることが可能となる。
なお、本考案のウコン含有製剤には、用途に応じて種々の成分をさらに配合することが出来る。
例えば、機能性素材としては、月見草、菊の花、大豆イソフラボン、アガリスク、ノコギリヤシ、ヨウ葉、紅麹、ドコサヘキサエン酸、レスベラトール、ラクトフェリン、サラシア、グルコサミン、ポリフェノール、コラーゲン、ペプチド、コエンザイムQ10、ケール、アミノ酸、イチョウ葉、霊芝、ビタミン、ミネラル、ギャバ(GABA)、アスタキサンチン、プロポリス、ローヤルゼリー、スピルリナ、クロレラなどの成分が含まれることとしてもよい。
また、医薬品分野においては、マレイン酸クロルフェニラミン,塩酸ジフェンヒドラミン,プロメタジンなどの抗ヒスタミン剤、臭化水素酸デキストロメトルファン,グアイフェネシン,テオフィリンなどの鎮咳去痰剤、カプトリル,メチルドーパ,塩酸ラベタロールなどの血圧降下剤、ピンドロール,塩酸プロプラノロール,塩酸プロカインアミドなどの不整脈用剤、イソソルビド,フロセミドなどの利尿剤、臭化水素酸スコポラミン,塩酸パパベリンなどの鎮痙薬、ロートエキス,ジアスターゼ,ケイヒ油などの健胃消化剤、塩化ベルベリン,乳酸菌,ビフィズス菌などの整腸剤、酸化マグネシウム,炭酸マグネシウム,スクラルファートなどの制酸剤、シメチジン,ラニチジン,ファモチジンなどのH2−受容体括抗剤、アセトアミノフェン,イブプロフェン,エテンザミドなどの解熱鎮痛消炎薬、ジアゼパム,ニトラゼパム,フェノバルビタールナトリウムなどの催眠鎮静剤、アンフェタミン,イミプラミンなどの抗うつ薬などを医薬品成分として含まれることとしてもよい。
さらに、滋養強壮保健薬には、例えば、生薬,漢方薬などの天然由来物質、タンパク、アミノ酸、鉄,カルシウム,マグネシウムなどのミネラル、ビタミンA,ビタミンB1,ビタミンB2,ビタミンB6,ビタミンB12,ビタミンC,ビタミンEなどのビタミンなどが含まれることとしてもよい。
次に、上述した実施の形態における、具体的な実施例について説明する。
この実施例においては、ウコン含有製剤は、剤形として錠剤に成形したものとしている。
<実施例1>
実施例1の製剤としての錠剤は、精油成分を含有する秋ウコン34.1重量%,精油成分を含有する紫ウコン11.4重量%,ウコン抽出物2.8重量%を、セルロースとしての結晶セルロース43.6重量%、セルロース誘導体としてのヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)4.5重量%、微粒二酸化ケイ素としての微粒シリカゲル1.8重量%、および、ショ糖脂肪酸エステル1.8重量%からなる組成とする。
まず、秋ウコン、紫ウコン、ウコン抽出物、結晶セルロース(セオラス(登録商標)FD101:旭化成株式会社)およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ(登録商標)SE−06:信越化学工業株式会社)を、撹拌混合造粒装置に投入し、混合する。
次に、この混合粉末に、水/エタノール(1:1)を添加し、練合・造粒する。
次に、この造粒物を50℃で、18時間乾燥して、含水量3%以下とした。
この乾燥した造粒物を整粒機コーミル(スクリーン孔径:1.143mm、インペラ回転数:20Hz)で整粒する。
次に、この整粒した顆粒をV型混合機に投入し、ここに、予め20メッシュで篩過(しか)した二酸化ケイ素(サイロページ(登録商標):富士シリシア化学株式会社)、および、予め30メッシュで篩過したショ糖脂肪酸エステル(シュガーエステルB−370F(商品名):三菱ケミカルフーズ株式会社)を添加して、回転数20rpm,混合時間30secで混合し混合末を得る。
そして、この混合末をロータリー打錠機を用いて、1錠重量330mg、剤形9mmφCR/6.8R、回転数35rpmで打錠し、錠剤を製した。
<実施例2>
実施例2の錠剤は、秋ウコン37.5重量%、紫ウコン12.5重量%、セルロースとしての結晶セルロース41.0重量%、セルロース誘導体としてのヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)5.0重量%、微粒二酸化ケイ素としての微粒シリカゲル2.0重量%、および、ショ糖脂肪酸エステル2.0重量%からなる組成とする。
秋ウコン、紫ウコン、結晶セルロース(セオラス(登録商標)FD101:旭化成株式会社)およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ(登録商標)SE−06:信越化学工業株式会社)を撹拌造粒機に投入し、混合する。
この混合粉末に水/エタノール(1:1)を添加し、練合・造粒する。
次に、この造粒物を50℃で、18時間乾燥し、さらに65℃で、2時間乾燥した。
次に、この乾燥した造粒物を整粒機コーミル(スクリーン孔径:1.143mm、インペラ回転数:20Hz)で整粒する。
この整粒した顆粒をV型混合機に投入し、ここに、予め18メッシュで篩過した二酸化ケイ素(サイロページ(登録商標):富士シリシア化学株式会社)を加え、一次混合する。さらに、ここに予め30メッシュで篩過したショ糖脂肪酸エステル(シュガーエステルB−370F(商品名):三菱ケミカルフーズ株式会社)を添加して、二次混合した混合末を得る。
そして、この混合末をロータリー打錠機を用いて、1錠重量300mg、剤形9mmAR、回転数30rpmで打錠し、錠剤を製した。
<試験例>
次に、上記実施例1および実施例2の各錠剤について、錠剤硬度、崩壊時間、摩損度および錠剤水分を比較した。
錠剤硬度は、錠剤硬度計(富山産業株式会社製:NT−60H)を用い、各錠剤10錠の平均値で評価した。
崩壊時間は、日本薬局方崩壊試験法に従い、水を試験液として行い、6錠の平均値で評価した。
摩損度は、(富山産業株式会社製:TFT−120)25rpm、15分(試料質量10g)で測定した。
錠剤水分は、赤外線水分計(株式会社ケット科学研究所製:FD−600)60℃・20分(試料質量10g)で測定し、評価した。
通常の流通過程および製品の取扱いにおいて、実用に耐える錠剤物性として、すなわち錠剤としての形を維持可能な条件として、錠剤硬度が5kgf以上で、摩損度0.8%以下を目標とした。
試験の結果を図1の表に示す。
上記試験の結果から、実施例1の錠剤では、錠剤硬度が6.20kgfで、摩損度は0.0%であった。また、実施例2の錠剤は、錠剤硬度4.91kgfで、摩損度が0.0 であった。
摩損度に関しては、実施例1および実施例2ともに問題なく、従来のように動的な外力、例えば多数の錠剤同士を所定の空間内で掻き回すような環境に対し、錠剤表面の一部が欠落したり、剥離するようなことがなかった。
一方、錠剤硬度、すなわち静的な外力に対しては、実施例1は、6.20kgfであったが、実施例2では、目標としている5kgf以上を満たしていなかった。
この実施例2の錠剤は、ウコン抽出物を含有させてない点、および乾燥工程を2工程とし乾燥時間が長かったことが原因と思われる。すなわち、実施例1に示す組成および条件による製法が好ましい結果となった。
本考案は、精油成分を含むウコンを用いたウコン含有製剤に関するものである。
ウコン(Curcuma longa L.)は、インド原産のショウガ科の薬用植物で、東南アジアを中心に、世界中の熱帯・亜熱帯地域で栽培されている。主に根茎を使用する。ウコンの根茎には3〜5%のクルクミン(黄色色素)が含有されている。クルクミンは抗酸化能や肝機能改善あるいは肝機能の維持などに寄与するウコンの代表的な活性成分と考えられており、以下に示す様々な製剤や製造方法が開示されている。
特許文献1は、ウコンエキスを含有した柔らかい錠剤であり、ウコンエキス、ゼラチンなどゲル化剤、グリセリンなどの可塑剤、レシチンなどの放出剤、甘味料、保存料および香味料から成る製剤で、喉、食道、消化器管に限らずこれを含患部へ長時間有効成分を継続的に送達することができる経口投与薬である。
特許文献2は、ウコンやクルクミンを含むゼリーで、ゼリーを構成するゲル化剤がジェランガムとカラギナンから成ることを特徴とし、胃と腸において徐々にクルクミンが放出される組成のゼリー剤である。
特許文献3は、ウコンなどを含有した製剤の不快味のマスキングに関して、ウコンエキスの不快な呈味・異味が炭酸を加えることにとって大きく改善されることを見出し、不快な呈味・異味が低減されたウコンエキス含有飲料の技術を提案したものである。
特許文献4は、ウコンなどの機能性素材に起因する可食性組成物の不快味が馬鈴薯を原料とし、DE(デキストロース当量)が2以上6以下で、25℃の蒸留水で調製したデキストリン30質量%水溶液を、25℃で5分間静置した時の粘度が150Pa・s以下であるデキストリンを用いることで、マスキングする方法である。
特許文献5は、ウコン粉末を加温処理することにより臭味を改良する方法として、加温処理後のウコンに含まれるクルクミン含量が、該加温処理前のウコンに含まれるクルクミン含量の80%以上であるように加温する方法である。該加熱処理方法としては、実施例で155℃、15分で効果が確認できたことを記載している。
また、特許文献6は、クルクミノイドを脂質で被覆し、アルファ化デンプンを崩壊剤として配合したクルクミノイド含有錠剤とその製造方法であり、脂溶性のクルクミノイドの粉体表面に脂肪酸、食用油、リン脂質、胆汁酸などを用いて被覆し、体内吸収性を向上させている。
さらに、非特許文献1では、ウコンを用いた錠剤の成形について報告されており、ウコン関連の粒(錠剤)製品の錠剤硬度が一般的な医薬品の硬度に比べて低いものが多く、圧縮成形性がよくない。そこで、流動層造粒装置を用いて、結合剤にコラーゲンペプチド、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロースを用いて造粒した。ヒドロキシプロピルセルロースで造粒した場合の硬度は、秋ウコン<春ウコン<紫ウコンの順の傾向がある。各造粒物の錠剤硬度は、品種によって異なること、その要因は、粉体物性よりも、ウコン中の脂質含量の方が大きいことがわかったとしている。そして、3種のウコン類の脂質含量を測定した。その結果、秋ウコンが春ウコンより脂質含量が低いことがわかった。ここで、各種ウコンをジエチルエーテルで脱脂し、その脱脂粉末を用いて錠剤を製したところ、秋ウコンでは、16.5倍も錠剤硬度が改善するものであった。
特表2016−535028号公報 特開2017−197465号公報 特開2015−65938号公報 特開2015−128420号公報 特開2007−116945号公報 特開2018−19307号公報
鎌田靖弘,PHARM TECH JAPAN,vol.28 No.14(2012) 179〜186頁
しかしながら、上述した特許文献1および2の技術は、ゲル化剤を用いた半固形製剤であることから、製造では、特別な設備、そして、保存についても防腐剤などの添加が必要となり、製造の工程が多く、煩雑でありコストアップとなる欠点を有する。
また、特許文献3は、飲料におけるウコンの不快味のマスキング技術で、特許文献4では、形態として錠剤も挙げられているが、実施例では、機能性素材としてペプチドを水溶液の形態でマスキング効果が評価されている。しかし錠剤の形態でのウコンに対するマスキング効果は確認されておらず、手軽に持ち運べて摂取が可能であるとは言えない。
特許文献5の方法では、オートクレーブなどの特別な設備を必要とするもので、製造工程、製造コストが増大する欠点を有する。
特許文献6では、実施例で、脂質被覆クルクミド粉体製剤と崩壊剤を混合し、得られた混合粉体を流動造粒機で造粒している。このように予めに前処理として混合工程が必要となり、すなわち工程数が多い欠点を有する。
さらに非特許文献1では、錠剤としての硬度を向上させることが可能ではあるが、その硬度を得るためにウコン末を脱脂してしまい、すなわちウコンに含有される精油成分を取り除いてしまうものである。
また、これら特許文献6と非特許文献1においては、流動層造粒装置で、つまり粉体を空気中に浮遊させた状態で製造しており、錠剤の硬度を高められるものの、成分の均一性のために、前処理として混合工程が必要となり、工程数が増える欠点を有する。さらに、製造された錠剤の摩損度についての記載が無く、すなわち、摩損度の大きい錠剤の場合では、出荷・流通の際に振動や衝撃などの外力が加わった場合に錠剤が壊れてしまう不具合があり、つまり錠剤としての正常な形状を維持できないという欠点を有する。
そして、上記各特許文献,非特許文献のいずれも、ウコン末を用いるもののウコンに含有される精油成分を活かしておらず、この精油成分に含まれる有用な成分を用いて、錠剤などの製剤を得るという点について具体的な考察等がされていなかった。
そこで本考案は、上記問題点を解消するために、ウコンに含まれる有用な成分である精油成分を活かしたウコン含有製剤とその製造方法を提供するとともに、流通時などの際に容易に型崩れや損壊などを起こさない強度を有するウコン含有製剤を提供することを目的としている。
次に、上記の課題を解決するための手段を説明する。
この考案の請求項1記載のウコン含有製剤は、秋ウコンと紫ウコンおよびウコン抽出物を含むとともに、前記秋ウコンおよび前記紫ウコンの各精油成分を担持するセルロース、および微粒二酸化ケイ素とショ糖脂肪酸エステルとを添加剤とし、セルロース誘導体を結合剤として配合して、剤形として、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤として構成されることを特徴としている。
このウコン含有製剤によれば、秋ウコン及び紫ウコンに含まれる精油成分を含有した製剤とされることから、精油成分の持つ胆汁分泌促進、健胃、殺菌、防腐などの薬理作用などを有するウコン末として摂取することができる。また、秋ウコン及び紫ウコンに含まれる精油成分の持つ特有の芳香や異臭,苦味などを添加剤であるセルロースで担持し、すなわちセルロースで精油成分に特有の苦味などをマスキングしている。このことから、有用な成分である精油成分を摂取可能となる。さらに、ウコン抽出物は、肝保護作用、抗酸化性、抗腫瘍作用、免疫賦活作用、抗炎症作用、抗菌作用を有している。
そして、剤形を錠剤として成形されることで可搬性を向上でき、流通しやすい形態となるとともに、摂取量を容易に把握することができ、扱い易い。
請求項2記載のウコン含有製剤は、請求項1記載のウコン含有製剤であって、
前記秋ウコンと紫ウコンおよびウコン抽出物を合わせて100部に対し、前記セルロースを60〜120部、前記セルロース誘導体を5〜15部、前記微粒二酸化ケイ素を1〜10部、前記ショ糖脂肪酸エステル1〜10部の配合で組成したことを特徴としている。
このウコン含有製剤によれば、秋ウコンおよび紫ウコンの精油成分をセルロースが担持し、苦味等のマスキングを行えるとともに、凝集性の高いウコン末を解凝集でき、微粒二酸化ケイ素、ショ糖脂肪酸エステルにて顆粒としての流動性を保ち、微粒二酸化ケイ素は精油成分の担持を補助し、ショ糖脂肪酸エステルは錠剤へと加工する際のスティッキングを防いで打錠障害を回避可能となる。これにより、安定した製剤を得ることができる。
請求項3記載のウコン含有製剤は、請求項1または2記載のウコン含有製剤であって、
前記セルロースは、粉末セルロースまたは結晶セルロースが用いられ、
前記微粒二酸化ケイ素は、微粒シリカゲル、微粉末シリカ、軽質無水ケイ酸のいずれかが用いられ、
ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖ベヘニン酸エステル、ショ糖混合脂肪酸エステルのいずれかが用いられ、
前記結合剤となるセルロース誘導体は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC・ヒプロメロース)、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na・カルメロースナトリウム)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)のいずれかが用いられることを特徴としている。
このウコン含有製剤によれば、セルロースが、賦形剤となり、製剤工程の際にウコン末の再凝集を抑える効果を有し、また、秋ウコンおよび紫ウコンに含まれる精油成分を担持し、苦味などをマスキングする。また、微粒二酸化ケイ素は、製造工程の際の乾燥顆粒の状態で添加されることで、上記セルロースを補助して精油成分を担持するとともに、顆粒の流動性を高める。さらに、ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖と植物由来の脂肪酸からなることで滑沢剤となり、上記微粒二酸化ケイ素の添加により、このショ糖脂肪酸エステルの分散が高められ、このことから打錠装置にて錠剤を成形する際に、スティッキングなどの打錠障害が防止できる。また、添加剤であるセルロースは、秋ウコンおよび紫ウコンが含有する精油成分を担持することとなり、秋ウコンや紫ウコンの有する苦味である精油成分をセルロースが担持することで、苦味をマスキングすることができ、また、このセルロースによって、ウコン末の再凝集を抑えることとなり、且つ、打錠の際の圧縮時に粒子間で結合剤としての機能を得られる。
請求項4記載のウコン含有製剤は、請求項1〜3のいずれか1つに記載のウコン含有製剤であって、前記ウコン抽出物に含有されるクルクミノイドのクルクミンが、体重1kgあたり0〜3mg/日の用量とされることを特徴としている。
このウコン含有製剤によれば、例えば体重60kgの摂取者であれば、1日あたり0〜180mgの範囲であり、クルクミンとしての1日摂取容量(ADI)の範囲内である。
請求項5記載のウコン含有製剤は、請求項1〜4のいずれか1つに記載のウコン含有製剤であって、
前記秋ウコンと紫ウコンおよびウコン抽出物と前記セルロースと前記セルロース誘導体とを混合し、この混合末に水/エタノール混液を結合液として添加して造粒し、乾燥した後に整粒して顆粒を形成した後、前記顆粒に、篩過し解凝集させた前記微粒二酸化ケイ素を、前記ショ糖脂肪酸エステルとともに添加して得られることを特徴としている。
このウコン含有製剤によれば、秋ウコンおよび紫ウコンに含まれる精油成分を含有した製剤を得ることができ、精油成分の持つ胆汁分泌促進、健胃、殺菌、防腐などの薬理作用などを有するウコン末として摂取することが可能な製剤を得ることができる。また、十分な硬度を有する製剤となり、流通時の外力による損壊などが発生しない。そして、セルロースが精油成分を担持することとなり、有用な成分を取り除く必要がなくなり、この精油成分の持つ各種薬理作用を有用にする。また、セルロースや微粒二酸化ケイ素がウコン末の解凝集となり、ウコン末の分散を行う。
請求項6記載のウコン含有製剤は、請求項1〜5のいずれか1つに記載のウコン含有製剤であって、
前記秋ウコンと紫ウコンおよびウコン抽出物と前記セルロースと前記セルロース誘導体とが撹拌造粒機を用いて撹拌混合され得られることを特徴としている。
このウコン含有製剤によれば、撹拌造粒機を用いることで、それぞれがほぐされて凝集などによる偏りが減少、すなわち再凝集を防いで、適度に分散して製剤として得ることができる。
本考案による請求項1記載のウコン含有製剤では、秋ウコン及び紫ウコンに含まれる精油成分を含有した製剤とされることから、精油成分の持つ胆汁分泌促進、健胃、殺菌、防腐などの薬理作用などを有するウコン末として摂取することができる。また、秋ウコン及び紫ウコンに含まれる精油成分を取り除くことなく、錠剤として成形した際に、十分な硬度を有する錠剤を得ることができ、流通時の外力による損壊などを防止することができる。さらに、秋ウコン及び紫ウコンに含まれる精油成分の持つ特有の芳香や異臭,苦味などを添加剤であるセルロースで担持し、すなわちセルロースで精油成分に特有の苦味などをマスキングしている。このことから、有用な成分である精油成分を摂取することが可能となる。また、ウコン抽出物を摂取でき、このウコン抽出物の持つ様々な有効作用を得ることができる。
また、ウコン含有製剤では、剤形を錠剤として成形されることで可搬性を向上でき、流通しやすい形態となるとともに、摂取量を容易に把握することができるという効果がある。
請求項2記載のウコン含有製剤では、秋ウコンおよび紫ウコンの精油成分をセルロースが担持し、苦味等のマスキングを行えるとともに、凝集性の高いウコン末を解凝集でき、微粒二酸化ケイ素とショ糖脂肪酸エステルにて顆粒としての流動性を保ち、微粒二酸化ケイ素は精油成分の担持を補助し、ショ糖脂肪酸エステルは錠剤へと加工する際のスティッキングを防いで打錠障害を回避可能となる。これにより、安定した製剤を得ることができる。
請求項3記載のウコン含有製剤では、セルロースが、賦形剤となり、製剤工程の際にウコン末の再凝集を抑える効果を有し、また、秋ウコンおよび紫ウコンに含まれる精油成分を担持し、苦味などをマスキングする。また、微粒二酸化ケイ素は、製造工程の際の乾燥顆粒の状態で添加されることで、上記セルロースを補助して精油成分を担持するとともに、顆粒の流動性を高める。さらに、ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖と植物由来の脂肪酸からなることで滑沢剤となり、上記微粒二酸化ケイ素の添加により、このショ糖脂肪酸エステルの分散が高められ、このことから打錠装置にて錠剤を成形する際に、スティッキングなどの打錠障害が防止できる。また、添加剤であるセルロースは、秋ウコンおよび紫ウコンが含有する精油成分を担持することとなり、秋ウコンおよび紫ウコンの有する苦味である精油成分をセルロースが担持することで、苦味をマスキングすることができ、また、このセルロースによって、ウコン末の再凝集を抑えることとなり、且つ、打錠の際の圧縮時に粒子間で結合剤としての機能を得られる。
請求項4記載のウコン含有製剤では、例えば、体重60kgの摂取者であれば、1日あたり0〜180mgの範囲であり、クルクミンとしての1日摂取容量(ADI)の範囲を超えることなく摂取可能となる。
請求項5記載のウコン含有製剤では、秋ウコンおよび紫ウコンに含まれる精油成分を含有した製剤を得ることができ、精油成分の持つ胆汁分泌促進、健胃、殺菌、防腐などの薬理作用などを有するウコン末として摂取することが可能となる。また、十分な硬度を有する製剤となり、流通時の外力による損壊などが発生しない製剤を得ることが可能なる。また、セルロースが精油成分を担持することとなり、秋ウコンおよび紫ウコンに含まれる有用な成分を取り除く必要がなくなり、この精油成分の持つ各種薬理作用を得ることが可能となる。また、セルロースや微粒二酸化ケイ素がウコン末の解凝集となり、ウコン末の分散を行うことができ、成分均一性を高めた製剤を得ることが可能となる。
請求項6記載のウコン含有製剤では、撹拌造粒機を用いることで、組成のそれぞれがほぐされて凝集などによる偏りが減少、すなわち再凝集を防いで、適度に分散された製剤として得ることができる。
本発明のウコン含有製剤としての錠剤の実施例1と実施例2の試験結果を示す表である。
本考案のウコン含有製剤は、秋ウコンと紫ウコンおよびウコン抽出物に、添加剤と結合剤とを特定な組成で配合してなるものであって、添加剤としては、セルロースと微粒二酸化ケイ素およびショ糖脂肪酸エステルとされ、結合剤としてはセルロース誘導体としている。特に、添加剤の微粒二酸化ケイ素とショ糖脂肪酸エステルの配合および混合方法によって実用に十分耐えうるウコン含有製剤よりなる錠剤を得られた。
ウコン含有製剤の主成分となるウコンとしては、秋ウコン,紫ウコン(ガジュツ)とされ、漢方では、利胆、健胃、利尿、止血、通経薬などに用いられているものである。また、これらウコンの成分としてクルクミン,デメトキシクルクミン,ビスデメトキシクルクミンなどを含む。そして、これらウコンに含まれる精油成分を用いるとともに、秋ウコンから抽出されるウコン抽出物を用いる。
本考案に用いられるウコンに含まれる黄色色素として知られるクルクミンは、ウコンに含有される3種のクルクミノイドであるクルクミン,デメトキシクルクミン,ビスデメトキシクルクミンのうち最も含有量の多いポリフェノールである。このクルクミンは、ウコンの種類によってその含有量が異なる。秋ウコンは春ウコン、紫ウコンに比べクルクミンの含有量が多く、1.1〜4.8%含有されている。このクルクミンは、作用として、肝保護作用、抗酸化性、抗腫瘍作用、免疫賦活作用、抗炎症作用、抗菌作用を有している。
なお、本実施形態では、クルクミノイドをクルクミンとして、ADI(1日摂取許容量)の体重1kgあたり0〜3mg、例えば体重60kg人では、0〜180mg/日を超えない範囲で含有することとされる。例えば、上述するがウコン含有製剤の剤形を錠剤とした場合に、1粒あたり10mg程度の含有量とすれば、1日あたり十数粒程度の服用として設定可能となる。
また、秋ウコンおよび紫ウコンに含まれる精油成分としては、これらウコンに数%が含まれており、本実施形態では、ビサクロンなどの成分である。この精油成分は、芳香性健胃としての作用や、抗菌作用、抗炎症、抗酸化、抗転移などの作用が確認されている。
ウコン抽出物は、秋ウコンから抽出したものであって、クルクミノイドが95%以上含有されている。
添加剤を構成するセルロースは、粉末セルロース(KCフロック(登録商標):日本製紙株式会社)、結晶セルロース(セオラス(登録商標)FD−101,301,ST−100,UF−711,PH−101,301,KG−1000,UF−711:旭化成株式会社)などがある。
このセルロースは、賦形剤とされ、製剤工程の際にウコン末の再凝集を抑える効果を有し、また、上記したウコンに含まれる精油成分を担持し、苦味などをマスキングする。
添加剤を構成する微粒二酸化ケイ素は、微粒シリカゲル、微粉末シリカ(サイロページ(登録商標):富士シリシア化学株式会社)、軽質無水ケイ酸(アエロジル(登録商標)200:日本アエロジル株式会社,アドソリダー(登録商標)101:フロイント産業株式会社)などがある。
この微粒二酸化ケイ素は、製造工程の際の乾燥顆粒の状態で添加されることで、上記セルロースを補助して精油成分を担持するとともに、顆粒の流動性を高める。
添加剤を構成するショ糖脂肪酸エステルとしては、ショ糖ステアリン酸エステル(S−370,S−370F,S−1170,S−1170F(商品名):三菱ケミカルフーズ株式会社)、ショ糖ベヘニン酸エステル(B−370,B−370F(商品名):三菱ケミカルフーズ株式会社)、ショ糖混合脂肪酸エステル(POS−135(商品名):三菱ケミカルフーズ株式会社)などが用いられる。
このショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖と植物由来の脂肪酸からなるもので、滑沢剤となる。なお、上記微粒二酸化ケイ素の添加により、このショ糖脂肪酸エステルの分散が高められ、このことから打錠装置にて錠剤を成形する際に、スティッキングなどの打錠障害が防止できる。
結合剤として使用されるセルロース誘導体には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC・ヒプロメロース)、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na・カルメロースナトリウム)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)などがある。
また、本考案のウコン含有製剤の製造過程において、上記した秋ウコンと紫ウコンとウコン抽出物とセルロースとセルロース誘導体とを混合する際に、結合液として水/エタノール混液が添加される。
さらに、本実施形態のウコン含有製剤においては、これらに加えて、安定剤や香料,甘味剤なども添加することが出来る。
このように構成された本考案のウコン含有製剤は、健康食品分野をはじめ、食品、医薬品、医薬部外品などの分野にも適用することができる。また、剤形としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤などとして構成することができる。
したがって、本考案のウコン含有製剤では、秋ウコンおよび紫ウコンの持つ様々な有用な作用を、これらウコンに含まれる精油成分とともに得ることができ、その精油成分が製剤の状態で滲み出るようなことがなく、セルロースによってこの精油成分を担持し、苦味などをマスキングしており、また、微粒二酸化ケイ素が添加されていることで、セルロースを補助して精油成分を担持し、顆粒の流動性を高めている。また、ショ糖脂肪酸エステルは、滑沢剤となり、微粒二酸化ケイ素の添加により、このショ糖脂肪酸エステルの分散が高められ、このことから打錠装置にて錠剤を成形する際に、スティッキングなどの打錠障害が防止することが可能となる。このように構成されたウコン含有製剤では、精油成分が含まれている状態であっても十分な硬度を有し、例えば、剤形を錠剤とした場合に、硬度が6kgf以上となり、流通過程などで損壊などを起こすことがなく、落下や摩耗などによる錠剤破壊のしやすさの指標となる摩損度を極めて小さくすることができ、従来品のような錠剤表面の一部が欠落したり、剥離を起こすことがなく、実用に十分耐え得る錠剤物性を有する優れたウコン含有錠を製造することが可能となる。
また、本考案のウコン含有製剤では、滑沢剤の構成を、従来品において使用されている金属石鹸(ステアリン酸カルシウム)を用いておらず、ショ糖脂肪酸エステルを使用しており、このショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖と植物由来の脂肪酸からなるものであって、安心して摂取可能なものとなっている。
さらに、本考案のウコン含有製剤では、精油成分を含んでいるが、十分な硬度で構成されていることから、上記したように容易に損壊することがなく、且つ摩損することが略無い。このことから、従来のウコン含有製剤においては硬度を得るために脱脂を行っていたが、本考案のウコン含有製剤では、有用な成分である精油成分を含有した状態で製剤として得られており、精油成分の持つ胆汁分泌促進、健胃、殺菌、防腐などの薬理作用などを有するウコン末として摂取することが可能で、十分な硬度を有する製剤となり、流通時の外力による損壊などが発生することが無い。
次に、上述したウコン含有製剤の製造方法について説明する。
まず、秋ウコン、紫ウコン、ウコン抽出物、セルロースとしての結晶セルロース、および、セルロース誘導体としてのヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)のそれぞれを、撹拌混合造粒装置に投入し、混合する。
それぞれの配合比率としては、秋ウコンと紫ウコンとウコン抽出物とを合わせて100部に対し、セルロース(結晶セルロース)を60〜120部、好ましくは80〜100部、セルロース誘導体(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)を5〜15部、好ましくは7〜11部とする。
次に、この混合粉末に、水/エタノール(1:1)を添加し、練合し、造粒する。
次に、この造粒物を50℃で18時間乾燥して、含水量を3%以下とした。
次に、この乾燥した造粒物を整粒機で整粒する。
次に、この整粒した顆粒を混合機に投入し、ここに、予め篩過した微粒二酸化ケイ素、および、予め篩過したショ糖脂肪酸エステルを添加して、混合し混合末を得る。
ここで、上記秋ウコンと紫ウコンとウコン抽出物とを合わせて100部に対して、微粒二酸化ケイ素は1〜10部、好ましくは2〜6部とし、ショ糖脂肪酸エステルは1〜10部、好ましくは2〜6部の配合で添加する。
そして、この混合末を打錠機を用いて、所定の形状に打錠し、錠剤を製造する。
従ってこのウコン含有製剤の製造方法によれば、添加剤として、セルロース、微粒二酸化ケイ素およびショ糖脂肪酸エステルを、結合剤にヒプロメロースを、それぞれ特定な組成で配合し、特に、微粒二酸化ケイ素とショ糖脂肪酸エステルの配合および混合方法にて実用に十分耐え得る、すなわち損壊の起きない強度を有する錠剤であり、秋ウコンおよび紫ウコンに含まれる精油成分を備えた物性を有する優れたウコン含有製剤を得ることができた。すなわち、ウコン末を脱脂することなく、十分な硬度を有するウコン含有製剤を得ることができた。
添加剤であるセルロースは、秋ウコンおよび紫ウコンが含有する精油成分を担持することとなり、これらウコンの有する苦味は精油成分、主にターメロンによるものと考えられていることから、セルロースが精油成分を担持することで、苦味をマスキングすることができる。また、このセルロースによって、ウコン末の再凝集を抑えることとなり、且つ、打錠の際の圧縮時に粒子間で結合剤としての機能を得られる。
また、秋ウコン、紫ウコン、ウコン抽出物、添加剤であるセルロース(結晶セルロース)および結合剤であるセルロース誘導体(ヒプロメロース)を混合し、この混合末に水/エタノール混液を結合液として添加し、造粒・乾燥した後、整粒し、ここに予め、特定の目開きの篩いを通過させることで、解凝集させた微粒二酸化ケイ素をショ糖脂肪酸エステルとともに添加する工程としたことで、微粒二酸化ケイ素は、顆粒の流動性を改善するとともに、これらウコンに含有する精油成分の担持を補助する、つまり、乾燥時に加熱を行うが、その際に滲み出る油分を後から添加する微粒二酸化ケイ素にてトラップすることができ流動性の低下を防ぐこととなり、また、ショ糖脂肪酸エステルの分散を促進することで、打錠障害、特にスティッキングの発生を回避することが可能となる。
さらに、この製造方法によれば、前処理として混合工程を必要とする従来法の流動層造粒法ではなく、撹拌混合造粒機にて混合・造粒を行うことから、各組成の分散性が良好となり、成分の均一性を高めた優れた製剤を得ることが可能となる。
なお、本考案のウコン含有製剤には、用途に応じて種々の成分をさらに配合することが出来る。
例えば、機能性素材としては、月見草、菊の花、大豆イソフラボン、アガリスク、ノコギリヤシ、ヨウ葉、紅麹、ドコサヘキサエン酸、レスベラトール、ラクトフェリン、サラシア、グルコサミン、ポリフェノール、コラーゲン、ペプチド、コエンザイムQ10、ケール、アミノ酸、イチョウ葉、霊芝、ビタミン、ミネラル、ギャバ(GABA)、アスタキサンチン、プロポリス、ローヤルゼリー、スピルリナ、クロレラなどの成分が含まれることとしてもよい。
また、医薬品分野においては、マレイン酸クロルフェニラミン,塩酸ジフェンヒドラミン,プロメタジンなどの抗ヒスタミン剤、臭化水素酸デキストロメトルファン,グアイフェネシン,テオフィリンなどの鎮咳去痰剤、カプトリル,メチルドーパ,塩酸ラベタロールなどの血圧降下剤、ピンドロール,塩酸プロプラノロール,塩酸プロカインアミドなどの不整脈用剤、イソソルビド,フロセミドなどの利尿剤、臭化水素酸スコポラミン,塩酸パパベリンなどの鎮痙薬、ロートエキス,ジアスターゼ,ケイヒ油などの健胃消化剤、塩化ベルベリン,乳酸菌,ビフィズス菌などの整腸剤、酸化マグネシウム,炭酸マグネシウム,スクラルファートなどの制酸剤、シメチジン,ラニチジン,ファモチジンなどのH2−受容体括抗剤、アセトアミノフェン,イブプロフェン,エテンザミドなどの解熱鎮痛消炎薬、ジアゼパム,ニトラゼパム,フェノバルビタールナトリウムなどの催眠鎮静剤、アンフェタミン,イミプラミンなどの抗うつ薬などを医薬品成分として含まれることとしてもよい。
さらに、滋養強壮保健薬には、例えば、生薬,漢方薬などの天然由来物質、タンパク、アミノ酸、鉄,カルシウム,マグネシウムなどのミネラル、ビタミンA,ビタミンB1,ビタミンB2,ビタミンB6,ビタミンB12,ビタミンC,ビタミンEなどのビタミンなどが含まれることとしてもよい。
次に、上述した実施の形態における、具体的な実施例について説明する。
この実施例においては、ウコン含有製剤は、剤形として錠剤に成形したものとしている。
<実施例1>
実施例1の製剤としての錠剤は、精油成分を含有する秋ウコン34.1重量%,精油成分を含有する紫ウコン11.4重量%,ウコン抽出物2.8重量%を、セルロースとしての結晶セルロース43.6重量%、セルロース誘導体としてのヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)4.5重量%、微粒二酸化ケイ素としての微粒シリカゲル1.8重量%、および、ショ糖脂肪酸エステル1.8重量%からなる組成とする。
まず、秋ウコン、紫ウコン、ウコン抽出物、結晶セルロース(セオラス(登録商標)FD101:旭化成株式会社)およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ(登録商標)SE−06:信越化学工業株式会社)を、撹拌混合造粒装置に投入し、混合する。
次に、この混合粉末に、水/エタノール(1:1)を添加し、練合・造粒する。
次に、この造粒物を50℃で、18時間乾燥して、含水量3%以下とした。
この乾燥した造粒物を整粒機コーミル(スクリーン孔径:1.143mm、インペラ回転数:20Hz)で整粒する。
次に、この整粒した顆粒をV型混合機に投入し、ここに、予め20メッシュで篩過(しか)した二酸化ケイ素(サイロページ(登録商標):富士シリシア化学株式会社)、および、予め30メッシュで篩過したショ糖脂肪酸エステル(シュガーエステルB−370F(商品名):三菱ケミカルフーズ株式会社)を添加して、回転数20rpm,混合時間30secで混合し混合末を得る。
そして、この混合末をロータリー打錠機を用いて、1錠重量330mg、剤形9mmφCR/6.8R、回転数35rpmで打錠し、錠剤を製した。
<実施例2>
実施例2の錠剤は、秋ウコン37.5重量%、紫ウコン12.5重量%、セルロースとしての結晶セルロース41.0重量%、セルロース誘導体としてのヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)5.0重量%、微粒二酸化ケイ素としての微粒シリカゲル2.0重量%、および、ショ糖脂肪酸エステル2.0重量%からなる組成とする。
秋ウコン、紫ウコン、結晶セルロース(セオラス(登録商標)FD101:旭化成株式会社)およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ(登録商標)SE−06:信越化学工業株式会社)を撹拌造粒機に投入し、混合する。
この混合粉末に水/エタノール(1:1)を添加し、練合・造粒する。
次に、この造粒物を50℃で、18時間乾燥し、さらに65℃で、2時間乾燥した。
次に、この乾燥した造粒物を整粒機コーミル(スクリーン孔径:1.143mm、インペラ回転数:20Hz)で整粒する。
この整粒した顆粒をV型混合機に投入し、ここに、予め18メッシュで篩過した二酸化ケイ素(サイロページ(登録商標):富士シリシア化学株式会社)を加え、一次混合する。さらに、ここに予め30メッシュで篩過したショ糖脂肪酸エステル(シュガーエステルB−370F(商品名):三菱ケミカルフーズ株式会社)を添加して、二次混合した混合末を得る。
そして、この混合末をロータリー打錠機を用いて、1錠重量300mg、剤形9mmAR、回転数30rpmで打錠し、錠剤を製した。
<試験例>
次に、上記実施例1および実施例2の各錠剤について、錠剤硬度、崩壊時間、摩損度および錠剤水分を比較した。
錠剤硬度は、錠剤硬度計(富山産業株式会社製:NT−60H)を用い、各錠剤10錠の平均値で評価した。
崩壊時間は、日本薬局方崩壊試験法に従い、水を試験液として行い、6錠の平均値で評価した。
摩損度は、(富山産業株式会社製:TFT−120)25rpm、15分(試料質量10g)で測定した。
錠剤水分は、赤外線水分計(株式会社ケット科学研究所製:FD−600)60℃・20分(試料質量10g)で測定し、評価した。
通常の流通過程および製品の取扱いにおいて、実用に耐える錠剤物性として、すなわち錠剤としての形を維持可能な条件として、錠剤硬度が5kgf以上で、摩損度0.8%以下を目標とした。
試験の結果を図1の表に示す。
上記試験の結果から、実施例1の錠剤では、錠剤硬度が6.20kgfで、摩損度は0.0%であった。また、実施例2の錠剤は、錠剤硬度4.91kgfで、摩損度が0.0 であった。
摩損度に関しては、実施例1および実施例2ともに問題なく、従来のように動的な外力、例えば多数の錠剤同士を所定の空間内で掻き回すような環境に対し、錠剤表面の一部が欠落したり、剥離するようなことがなかった。
一方、錠剤硬度、すなわち静的な外力に対しては、実施例1は、6.20kgfであったが、実施例2では、目標としている5kgf以上を満たしていなかった。
この実施例2の錠剤は、ウコン抽出物を含有させてない点、および乾燥工程を2工程とし乾燥時間が長かったことが原因と思われる。すなわち、実施例1に示す組成および条件による製法が好ましい結果となった。
本考案は、精油成分を含むウコンを用いたウコンを含有する錠剤に関するものである。
ウコン(Curcuma longa L.)は、インド原産のショウガ科の薬用植物で、東南アジアを中心に、世界中の熱帯・亜熱帯地域で栽培されている。主に根茎を使用する。ウコンの根茎には3〜5%のクルクミン(黄色色素)が含有されている。クルクミンは抗酸化能や肝機能改善あるいは肝機能の維持などに寄与するウコンの代表的な活性成分と考えられており、以下に示す様々な製剤や製造方法が開示されている。
特許文献1は、ウコンエキスを含有した柔らかい錠剤であり、ウコンエキス、ゼラチンなどゲル化剤、グリセリンなどの可塑剤、レシチンなどの放出剤、甘味料、保存料および香味料から成る製剤で、喉、食道、消化器管に限らずこれを含患部へ長時間有効成分を継続的に送達することができる経口投与薬である。
特許文献2は、ウコンやクルクミンを含むゼリーで、ゼリーを構成するゲル化剤がジェランガムとカラギナンから成ることを特徴とし、胃と腸において徐々にクルクミンが放出される組成のゼリー剤である。
特許文献3は、ウコンなどを含有した製剤の不快味のマスキングに関して、ウコンエキスの不快な呈味・異味が炭酸を加えることにとって大きく改善されることを見出し、不快な呈味・異味が低減されたウコンエキス含有飲料の技術を提案したものである。
特許文献4は、ウコンなどの機能性素材に起因する可食性組成物の不快味が馬鈴薯を原料とし、DE(デキストロース当量)が2以上6以下で、25℃の蒸留水で調製したデキストリン30質量%水溶液を、25℃で5分間静置した時の粘度が150Pa・s以下であるデキストリンを用いることで、マスキングする方法である。
特許文献5は、ウコン粉末を加温処理することにより臭味を改良する方法として、加温処理後のウコンに含まれるクルクミン含量が、該加温処理前のウコンに含まれるクルクミン含量の80%以上であるように加温する方法である。該加熱処理方法としては、実施例で155℃、15分で効果が確認できたことを記載している。
また、特許文献6は、クルクミノイドを脂質で被覆し、アルファ化デンプンを崩壊剤として配合したクルクミノイド含有錠剤とその製造方法であり、脂溶性のクルクミノイドの粉体表面に脂肪酸、食用油、リン脂質、胆汁酸などを用いて被覆し、体内吸収性を向上させている。
さらに、非特許文献1では、ウコンを用いた錠剤の成形について報告されており、ウコン関連の粒(錠剤)製品の錠剤硬度が一般的な医薬品の硬度に比べて低いものが多く、圧縮成形性がよくない。そこで、流動層造粒装置を用いて、結合剤にコラーゲンペプチド、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロースを用いて造粒した。ヒドロキシプロピルセルロースで造粒した場合の硬度は、秋ウコン<春ウコン<紫ウコンの順の傾向がある。各造粒物の錠剤硬度は、品種によって異なること、その要因は、粉体物性よりも、ウコン中の脂質含量の方が大きいことがわかったとしている。そして、3種のウコン類の脂質含量を測定した。その結果、秋ウコンが春ウコンより脂質含量が低いことがわかった。ここで、各種ウコンをジエチルエーテルで脱脂し、その脱脂粉末を用いて錠剤を製したところ、秋ウコンでは、16.5倍も錠剤硬度が改善するものであった。
特表2016−535028号公報 特開2017−197465号公報 特開2015−65938号公報 特開2015−128420号公報 特開2007−116945号公報 特開2018−19307号公報
鎌田靖弘,PHARM TECH JAPAN,vol.28 No.14(2012) 179〜186頁
しかしながら、上述した特許文献1および2の技術は、ゲル化剤を用いた半固形製剤であることから、製造では、特別な設備、そして、保存についても防腐剤などの添加が必要となり、製造の工程が多く、煩雑でありコストアップとなる欠点を有する。
また、特許文献3は、飲料におけるウコンの不快味のマスキング技術で、特許文献4では、形態として錠剤も挙げられているが、実施例では、機能性素材としてペプチドを水溶液の形態でマスキング効果が評価されている。しかし錠剤の形態でのウコンに対するマスキング効果は確認されておらず、手軽に持ち運べて摂取が可能であるとは言えない。
特許文献5の方法では、オートクレーブなどの特別な設備を必要とするもので、製造工程、製造コストが増大する欠点を有する。
特許文献6では、実施例で、脂質被覆クルクミド粉体製剤と崩壊剤を混合し、得られた混合粉体を流動造粒機で造粒している。このように予めに前処理として混合工程が必要となり、すなわち工程数が多い欠点を有する。
さらに非特許文献1では、錠剤としての硬度を向上させることが可能ではあるが、その硬度を得るためにウコン末を脱脂してしまい、すなわちウコンに含有される精油成分を取り除いてしまうものである。
また、これら特許文献6と非特許文献1においては、流動層造粒装置で、つまり粉体を空気中に浮遊させた状態で製造しており、錠剤の硬度を高められるものの、成分の均一性のために、前処理として混合工程が必要となり、工程数が増える欠点を有する。さらに、製造された錠剤の摩損度についての記載が無く、すなわち、摩損度の大きい錠剤の場合では、出荷・流通の際に振動や衝撃などの外力が加わった場合に錠剤が壊れてしまう不具合があり、つまり錠剤としての正常な形状を維持できないという欠点を有する。
そして、上記各特許文献,非特許文献のいずれも、ウコン末を用いるもののウコンに含有される精油成分を活かしておらず、この精油成分に含まれる有用な成分を用いて、錠剤などの製剤を得るという点について具体的な考察等がされていなかった。
そこで本考案は、上記問題点を解消するために、ウコンに含まれる有用な成分である精油成分を活かしたウコン含有錠剤とその製造方法を提供するとともに、流通時などの際に容易に型崩れや損壊などを起こさない強度を有するウコンを含有する錠剤を提供することを目的としている。
次に、上記の課題を解決するための手段を説明する。
この考案の請求項1記載のウコンを含有する錠剤は、秋ウコンと紫ウコンおよびウコン抽出物を含むとともに、前記秋ウコンおよび前記紫ウコンの各精油成分を担持するセルロース、および微粒二酸化ケイ素とショ糖脂肪酸エステルとを添加剤とし、セルロース誘導体を結合剤として配合され、この混合末を打錠機を用いて打錠成形された錠剤よりなることを特徴としている。
このウコンを含有する錠剤によれば、秋ウコン及び紫ウコンに含まれる精油成分を含有した製剤とされることから、精油成分の持つ胆汁分泌促進、健胃、殺菌、防腐などの薬理作用などを有するウコン末として摂取することができる。また、秋ウコン及び紫ウコンに含まれる精油成分の持つ特有の芳香や異臭,苦味などを添加剤であるセルロースで担持し、すなわちセルロースで精油成分に特有の苦味などをマスキングしている。このことから、有用な成分である精油成分を摂取可能となる。さらに、ウコン抽出物は、肝保護作用、抗酸化性、抗腫瘍作用、免疫賦活作用、抗炎症作用、抗菌作用を有している。
そして、剤形を錠剤として成形されることで可搬性を向上でき、流通しやすい形態となるとともに、摂取量を容易に把握することができ、扱い易い。
請求項2記載のウコンを含有する錠剤は、請求項1記載のウコンを含有する錠剤であって、
前記秋ウコンと紫ウコンおよびウコン抽出物を合わせて100部に対し、前記セルロースを60〜120部、前記セルロース誘導体を5〜15部、前記微粒二酸化ケイ素を1〜10部、前記ショ糖脂肪酸エステル1〜10部の配合で組成したことを特徴としている。
このウコンを含有する錠剤によれば、秋ウコンおよび紫ウコンの精油成分をセルロースが担持し、苦味等のマスキングを行えるとともに、凝集性の高いウコン末を解凝集でき、微粒二酸化ケイ素、ショ糖脂肪酸エステルにて顆粒としての流動性を保ち、微粒二酸化ケイ素は精油成分の担持を補助し、ショ糖脂肪酸エステルは錠剤へと加工する際のスティッキングを防いで打錠障害を回避可能となる。これにより、安定した錠剤を得ることができる。
請求項3記載のウコンを含有する錠剤は、請求項1または2記載のウコンを含有する錠剤であって、
前記セルロースは、粉末セルロースまたは結晶セルロースが用いられ、
前記微粒二酸化ケイ素は、微粒シリカゲル、微粉末シリカ、軽質無水ケイ酸のいずれかが用いられ、
ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖ベヘニン酸エステル、ショ糖混合脂肪酸エステルのいずれかが用いられ、
前記結合剤となるセルロース誘導体は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC・ヒプロメロース)、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na・カルメロースナトリウム)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)のいずれかが用いられることを特徴としている。
このウコンを含有する錠剤によれば、セルロースが、賦形剤となり、製剤工程の際にウコン末の再凝集を抑える効果を有し、また、秋ウコンおよび紫ウコンに含まれる精油成分を担持し、苦味などをマスキングする。また、微粒二酸化ケイ素は、製造工程の際の乾燥顆粒の状態で添加されることで、上記セルロースを補助して精油成分を担持するとともに、顆粒の流動性を高める。さらに、ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖と植物由来の脂肪酸からなることで滑沢剤となり、上記微粒二酸化ケイ素の添加により、このショ糖脂肪酸エステルの分散が高められ、このことから打錠装置にて錠剤を成形する際に、スティッキングなどの打錠障害が防止できる。また、添加剤であるセルロースは、秋ウコンおよび紫ウコンが含有する精油成分を担持することとなり、秋ウコンや紫ウコンの有する苦味である精油成分をセルロースが担持することで、苦味をマスキングすることができ、また、このセルロースによって、ウコン末の再凝集を抑えることとなり、且つ、打錠の際の圧縮時に粒子間で結合剤としての機能を得られる。
請求項4記載のウコンを含有する錠剤は、請求項1〜3のいずれか1つに記載のウコンを含有する錠剤であって、前記ウコン抽出物に含有されるクルクミノイドのクルクミンが、体重1kgあたり0〜3mg/日の用量とされることを特徴としている。
このウコンを含有する錠剤によれば、例えば体重60kgの摂取者であれば、1日あたり0〜180mgの範囲であり、クルクミンとしての1日摂取容量(ADI)の範囲内である。
請求項5記載のウコンを含有する錠剤は、請求項1〜4のいずれか1つに記載のウコンを含有する錠剤であって、
前記秋ウコンと紫ウコンおよびウコン抽出物と前記セルロースと前記セルロース誘導体とを混合し、この混合末に水/エタノール混液を結合液として添加して造粒し、乾燥した後に整粒して顆粒を形成した後、前記顆粒に、篩過し解凝集させた前記微粒二酸化ケイ素を、前記ショ糖脂肪酸エステルとともに添加して得られることを特徴としている。
このウコンを含有する錠剤によれば、秋ウコンおよび紫ウコンに含まれる精油成分を含有した製剤を得ることができ、精油成分の持つ胆汁分泌促進、健胃、殺菌、防腐などの薬理作用などを有するウコン末として摂取することが可能な錠剤を得ることができる。また、十分な硬度を有する錠剤となり、流通時の外力による損壊などが発生しない。そして、セルロースが精油成分を担持することとなり、有用な成分を取り除く必要がなくなり、この精油成分の持つ各種薬理作用を有用にする。また、セルロースや微粒二酸化ケイ素がウコン末の解凝集となり、ウコン末の分散を行う。
請求項6記載のウコンを含有する錠剤は、請求項1〜5のいずれか1つに記載のウコンを含有する錠剤であって、
前記秋ウコンと紫ウコンおよびウコン抽出物と前記セルロースと前記セルロース誘導体とが撹拌造粒機を用いて撹拌混合され得られることを特徴としている。
このウコンを含有する錠剤によれば、撹拌造粒機を用いることで、それぞれがほぐされて凝集などによる偏りが減少、すなわち再凝集を防いで、適度に分散して錠剤として得ることができる。
本考案による請求項1記載のウコンを含有する錠剤では、秋ウコン及び紫ウコンに含まれる精油成分を含有した製剤とされることから、精油成分の持つ胆汁分泌促進、健胃、殺菌、防腐などの薬理作用などを有するウコン末として摂取することができる。また、秋ウコン及び紫ウコンに含まれる精油成分を取り除くことなく、錠剤として成形した際に、十分な硬度を有する錠剤を得ることができ、流通時の外力による損壊などを防止することができる。さらに、秋ウコン及び紫ウコンに含まれる精油成分の持つ特有の芳香や異臭,苦味などを添加剤であるセルロースで担持し、すなわちセルロースで精油成分に特有の苦味などをマスキングしている。このことから、有用な成分である精油成分を摂取することが可能となる。また、ウコン抽出物を摂取でき、このウコン抽出物の持つ様々な有効作用を得ることができる。
また、ウコンを含有する錠剤では、剤形を錠剤として成形されることで可搬性を向上でき、流通しやすい形態となるとともに、摂取量を容易に把握することができるという効果がある。
請求項2記載のウコンを含有する錠剤では、秋ウコンおよび紫ウコンの精油成分をセルロースが担持し、苦味等のマスキングを行えるとともに、凝集性の高いウコン末を解凝集でき、微粒二酸化ケイ素とショ糖脂肪酸エステルにて顆粒としての流動性を保ち、微粒二酸化ケイ素は精油成分の担持を補助し、ショ糖脂肪酸エステルは錠剤へと加工する際のスティッキングを防いで打錠障害を回避可能となる。これにより、安定した錠剤を得ることができる。
請求項3記載のウコンを含有する錠剤では、セルロースが、賦形剤となり、製剤工程の際にウコン末の再凝集を抑える効果を有し、また、秋ウコンおよび紫ウコンに含まれる精油成分を担持し、苦味などをマスキングする。また、微粒二酸化ケイ素は、製造工程の際の乾燥顆粒の状態で添加されることで、上記セルロースを補助して精油成分を担持するとともに、顆粒の流動性を高める。さらに、ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖と植物由来の脂肪酸からなることで滑沢剤となり、上記微粒二酸化ケイ素の添加により、このショ糖脂肪酸エステルの分散が高められ、このことから打錠装置にて錠剤を成形する際に、スティッキングなどの打錠障害が防止できる。また、添加剤であるセルロースは、秋ウコンおよび紫ウコンが含有する精油成分を担持することとなり、秋ウコンおよび紫ウコンの有する苦味である精油成分をセルロースが担持することで、苦味をマスキングすることができ、また、このセルロースによって、ウコン末の再凝集を抑えることとなり、且つ、打錠の際の圧縮時に粒子間で結合剤としての機能を得られる。
請求項4記載のウコンを含有する錠剤では、例えば、体重60kgの摂取者であれば、1日あたり0〜180mgの範囲であり、クルクミンとしての1日摂取容量(ADI)の範囲を超えることなく摂取可能となる。
請求項5記載のウコンを含有する錠剤では、秋ウコンおよび紫ウコンに含まれる精油成分を含有した錠剤を得ることができ、精油成分の持つ胆汁分泌促進、健胃、殺菌、防腐などの薬理作用などを有するウコン末として摂取することが可能となる。また、十分な硬度を有する錠剤となり、流通時の外力による損壊などが発生しない錠剤を得ることが可能なる。また、セルロースが精油成分を担持することとなり、秋ウコンおよび紫ウコンに含まれる有用な成分を取り除く必要がなくなり、この精油成分の持つ各種薬理作用を得ることが可能となる。また、セルロースや微粒二酸化ケイ素がウコン末の解凝集となり、ウコン末の分散を行うことができ、成分均一性を高めた錠剤を得ることが可能となる。
請求項6記載のウコンを含有する錠剤では、撹拌造粒機を用いることで、組成のそれぞれがほぐされて凝集などによる偏りが減少、すなわち再凝集を防いで、適度に分散された錠剤として得ることができる。
本発明のウコンを含有する錠剤としての錠剤の実施例1と実施例2の試験結果を示す表である。
本考案のウコンを含有する錠剤は、秋ウコンと紫ウコンおよびウコン抽出物に、添加剤と結合剤とを特定な組成で配合してなるものであって、添加剤としては、セルロースと微粒二酸化ケイ素およびショ糖脂肪酸エステルとされ、結合剤としてはセルロース誘導体としている。特に、添加剤の微粒二酸化ケイ素とショ糖脂肪酸エステルの配合および混合方法によって実用に十分耐えうるウコン含有錠剤を得られた。
ウコンを含有する錠剤の主成分となるウコンとしては、秋ウコン,紫ウコン(ガジュツ)とされ、漢方では、利胆、健胃、利尿、止血、通経薬などに用いられているものである。また、これらウコンの成分としてクルクミン,デメトキシクルクミン,ビスデメトキシクルクミンなどを含む。そして、これらウコンに含まれる精油成分を用いるとともに、秋ウコンから抽出されるウコン抽出物を用いる。
本考案に用いられるウコンに含まれる黄色色素として知られるクルクミンは、ウコンに含有される3種のクルクミノイドであるクルクミン,デメトキシクルクミン,ビスデメトキシクルクミンのうち最も含有量の多いポリフェノールである。このクルクミンは、ウコンの種類によってその含有量が異なる。秋ウコンは春ウコン、紫ウコンに比べクルクミンの含有量が多く、1.1〜4.8%含有されている。このクルクミンは、作用として、肝保護作用、抗酸化性、抗腫瘍作用、免疫賦活作用、抗炎症作用、抗菌作用を有している。
なお、本実施形態では、クルクミノイドをクルクミンとして、ADI(1日摂取許容量)の体重1kgあたり0〜3mg、例えば体重60kg人では、0〜180mg/日を超えない範囲で含有することとされる。例えば、上述するがウコン含有製剤の剤形を錠剤とした場合に、1粒あたり10mg程度の含有量とすれば、1日あたり十数粒程度の服用として設定可能となる。
また、秋ウコンおよび紫ウコンに含まれる精油成分としては、これらウコンに数%が含まれており、本実施形態では、ビサクロンなどの成分である。この精油成分は、芳香性健胃としての作用や、抗菌作用、抗炎症、抗酸化、抗転移などの作用が確認されている。
ウコン抽出物は、秋ウコンから抽出したものであって、クルクミノイドが95%以上含有されている。
添加剤を構成するセルロースは、粉末セルロース(KCフロック(登録商標):日本製紙株式会社)、結晶セルロース(セオラス(登録商標)FD−101,301,ST−100,UF−711,PH−101,301,KG−1000,UF−711:旭化成株式会社)などがある。
このセルロースは、賦形剤とされ、製剤工程の際にウコン末の再凝集を抑える効果を有し、また、上記したウコンに含まれる精油成分を担持し、苦味などをマスキングする。
添加剤を構成する微粒二酸化ケイ素は、微粒シリカゲル、微粉末シリカ(サイロページ(登録商標):富士シリシア化学株式会社)、軽質無水ケイ酸(アエロジル(登録商標)200:日本アエロジル株式会社,アドソリダー(登録商標)101:フロイント産業株式会社)などがある。
この微粒二酸化ケイ素は、製造工程の際の乾燥顆粒の状態で添加されることで、上記セルロースを補助して精油成分を担持するとともに、顆粒の流動性を高める。
添加剤を構成するショ糖脂肪酸エステルとしては、ショ糖ステアリン酸エステル(S−370,S−370F,S−1170,S−1170F(商品名):三菱ケミカルフーズ株式会社)、ショ糖ベヘニン酸エステル(B−370,B−370F(商品名):三菱ケミカルフーズ株式会社)、ショ糖混合脂肪酸エステル(POS−135(商品名):三菱ケミカルフーズ株式会社)などが用いられる。
このショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖と植物由来の脂肪酸からなるもので、滑沢剤となる。なお、上記微粒二酸化ケイ素の添加により、このショ糖脂肪酸エステルの分散が高められ、このことから打錠装置にて錠剤を成形する際に、スティッキングなどの打錠障害が防止できる。
結合剤として使用されるセルロース誘導体には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC・ヒプロメロース)、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na・カルメロースナトリウム)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)などがある。
また、本考案のウコンを含有する錠剤の製造過程において、上記した秋ウコンと紫ウコンとウコン抽出物とセルロースとセルロース誘導体とを混合する際に、結合液として水/エタノール混液が添加される。
さらに、本実施形態のウコンを含有する錠剤においては、これらに加えて、安定剤や香料,甘味剤なども添加することが出来る。
このように構成された本考案のウコンを含有する錠剤は、健康食品分野をはじめ、食品、医薬品、医薬部外品などの分野にも適用することができる。また、剤形としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤などとして構成することができる。
したがって、本考案のウコンを含有する錠剤では、秋ウコンおよび紫ウコンの持つ様々な有用な作用を、これらウコンに含まれる精油成分とともに得ることができ、その精油成分が錠剤の状態で滲み出るようなことがなく、セルロースによってこの精油成分を担持し、苦味などをマスキングしており、また、微粒二酸化ケイ素が添加されていることで、セルロースを補助して精油成分を担持し、顆粒の流動性を高めている。また、ショ糖脂肪酸エステルは、滑沢剤となり、微粒二酸化ケイ素の添加により、このショ糖脂肪酸エステルの分散が高められ、このことから打錠装置にて錠剤を成形する際に、スティッキングなどの打錠障害が防止することが可能となる。このように構成されたウコンを含有する錠剤では、精油成分が含まれている状態であっても十分な硬度を有し、例えば、剤形を錠剤とした場合に、硬度が6kgf以上となり、流通過程などで損壊などを起こすことがなく、落下や摩耗などによる錠剤破壊のしやすさの指標となる摩損度を極めて小さくすることができ、従来品のような錠剤表面の一部が欠落したり、剥離を起こすことがなく、実用に十分耐え得る錠剤物性を有する優れたウコン含有錠を製造することが可能となる。
また、本考案のウコンを含有する錠剤では、滑沢剤の構成を、従来品において使用されている金属石鹸(ステアリン酸カルシウム)を用いておらず、ショ糖脂肪酸エステルを使用しており、このショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖と植物由来の脂肪酸からなるものであって、安心して摂取可能なものとなっている。
さらに、本考案のウコンを含有する錠剤では、精油成分を含んでいるが、十分な硬度で構成されていることから、上記したように容易に損壊することがなく、且つ摩損することが略無い。このことから、従来のウコン含有製剤においては硬度を得るために脱脂を行っていたが、本考案のウコンを含有する錠剤では、有用な成分である精油成分を含有した状態で錠剤として得られており、精油成分の持つ胆汁分泌促進、健胃、殺菌、防腐などの薬理作用などを有するウコン末として摂取することが可能で、十分な硬度を有する錠剤となり、流通時の外力による損壊などが発生することが無い。
次に、上述したウコンを含有する錠剤の製造方法について説明する。
まず、秋ウコン、紫ウコン、ウコン抽出物、セルロースとしての結晶セルロース、および、セルロース誘導体としてのヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)のそれぞれを、撹拌混合造粒装置に投入し、混合する。
それぞれの配合比率としては、秋ウコンと紫ウコンとウコン抽出物とを合わせて100部に対し、セルロース(結晶セルロース)を60〜120部、好ましくは80〜100部、セルロース誘導体(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)を5〜15部、好ましくは7〜11部とする。
次に、この混合粉末に、水/エタノール(1:1)を添加し、練合し、造粒する。
次に、この造粒物を50℃で18時間乾燥して、含水量を3%以下とした。
次に、この乾燥した造粒物を整粒機で整粒する。
次に、この整粒した顆粒を混合機に投入し、ここに、予め篩過した微粒二酸化ケイ素、および、予め篩過したショ糖脂肪酸エステルを添加して、混合し混合末を得る。
ここで、上記秋ウコンと紫ウコンとウコン抽出物とを合わせて100部に対して、微粒二酸化ケイ素は1〜10部、好ましくは2〜6部とし、ショ糖脂肪酸エステルは1〜10部、好ましくは2〜6部の配合で添加する。
そして、この混合末を打錠機を用いて、所定の形状に打錠し、錠剤を製造する。
従ってこのウコンを含有する錠剤の製造方法によれば、添加剤として、セルロース、微粒二酸化ケイ素およびショ糖脂肪酸エステルを、結合剤にヒプロメロースを、それぞれ特定な組成で配合し、特に、微粒二酸化ケイ素とショ糖脂肪酸エステルの配合および混合方法にて実用に十分耐え得る、すなわち損壊の起きない強度を有する錠剤であり、秋ウコンおよび紫ウコンに含まれる精油成分を備えた物性を有する優れたウコンを含有する錠剤を得ることができた。すなわち、ウコン末を脱脂することなく、十分な硬度を有するウコンを含有する錠剤を得ることができた。
添加剤であるセルロースは、秋ウコンおよび紫ウコンが含有する精油成分を担持することとなり、これらウコンの有する苦味は精油成分、主にターメロンによるものと考えられていることから、セルロースが精油成分を担持することで、苦味をマスキングすることができる。また、このセルロースによって、ウコン末の再凝集を抑えることとなり、且つ、打錠の際の圧縮時に粒子間で結合剤としての機能を得られる。
また、秋ウコン、紫ウコン、ウコン抽出物、添加剤であるセルロース(結晶セルロース)および結合剤であるセルロース誘導体(ヒプロメロース)を混合し、この混合末に水/エタノール混液を結合液として添加し、造粒・乾燥した後、整粒し、ここに予め、特定の目開きの篩いを通過させることで、解凝集させた微粒二酸化ケイ素をショ糖脂肪酸エステルとともに添加する工程としたことで、微粒二酸化ケイ素は、顆粒の流動性を改善するとともに、これらウコンに含有する精油成分の担持を補助する、つまり、乾燥時に加熱を行うが、その際に滲み出る油分を後から添加する微粒二酸化ケイ素にてトラップすることができ流動性の低下を防ぐこととなり、また、ショ糖脂肪酸エステルの分散を促進することで、打錠障害、特にスティッキングの発生を回避することが可能となる。
さらに、この製造方法によれば、前処理として混合工程を必要とする従来法の流動層造粒法ではなく、撹拌混合造粒機にて混合・造粒を行うことから、各組成の分散性が良好となり、成分の均一性を高めた優れた錠剤を得ることが可能となる。
なお、本考案のウコンを含有する錠剤には、用途に応じて種々の成分をさらに配合することが出来る。
例えば、機能性素材としては、月見草、菊の花、大豆イソフラボン、アガリスク、ノコギリヤシ、ヨウ葉、紅麹、ドコサヘキサエン酸、レスベラトール、ラクトフェリン、サラシア、グルコサミン、ポリフェノール、コラーゲン、ペプチド、コエンザイムQ10、ケール、アミノ酸、イチョウ葉、霊芝、ビタミン、ミネラル、ギャバ(GABA)、アスタキサンチン、プロポリス、ローヤルゼリー、スピルリナ、クロレラなどの成分が含まれることとしてもよい。
また、医薬品分野においては、マレイン酸クロルフェニラミン,塩酸ジフェンヒドラミン,プロメタジンなどの抗ヒスタミン剤、臭化水素酸デキストロメトルファン,グアイフェネシン,テオフィリンなどの鎮咳去痰剤、カプトリル,メチルドーパ,塩酸ラベタロールなどの血圧降下剤、ピンドロール,塩酸プロプラノロール,塩酸プロカインアミドなどの不整脈用剤、イソソルビド,フロセミドなどの利尿剤、臭化水素酸スコポラミン,塩酸パパベリンなどの鎮痙薬、ロートエキス,ジアスターゼ,ケイヒ油などの健胃消化剤、塩化ベルベリン,乳酸菌,ビフィズス菌などの整腸剤、酸化マグネシウム,炭酸マグネシウム,スクラルファートなどの制酸剤、シメチジン,ラニチジン,ファモチジンなどのH2−受容体括抗剤、アセトアミノフェン,イブプロフェン,エテンザミドなどの解熱鎮痛消炎薬、ジアゼパム,ニトラゼパム,フェノバルビタールナトリウムなどの催眠鎮静剤、アンフェタミン,イミプラミンなどの抗うつ薬などを医薬品成分として含まれることとしてもよい。
さらに、滋養強壮保健薬には、例えば、生薬,漢方薬などの天然由来物質、タンパク、アミノ酸、鉄,カルシウム,マグネシウムなどのミネラル、ビタミンA,ビタミンB1,ビタミンB2,ビタミンB6,ビタミンB12,ビタミンC,ビタミンEなどのビタミンなどが含まれることとしてもよい。
次に、上述した実施の形態における、具体的な実施例について説明する。
この実施例においては、ウコン含有製剤は、剤形として錠剤に成形したものとしている。
<実施例1>
実施例1の製剤としての錠剤は、精油成分を含有する秋ウコン34.1重量%,精油成分を含有する紫ウコン11.4重量%,ウコン抽出物2.8重量%を、セルロースとしての結晶セルロース43.6重量%、セルロース誘導体としてのヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)4.5重量%、微粒二酸化ケイ素としての微粒シリカゲル1.8重量%、および、ショ糖脂肪酸エステル1.8重量%からなる組成とする。
まず、秋ウコン、紫ウコン、ウコン抽出物、結晶セルロース(セオラス(登録商標)FD101:旭化成株式会社)およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ(登録商標)SE−06:信越化学工業株式会社)を、撹拌混合造粒装置に投入し、混合する。
次に、この混合粉末に、水/エタノール(1:1)を添加し、練合・造粒する。
次に、この造粒物を50℃で、18時間乾燥して、含水量3%以下とした。
この乾燥した造粒物を整粒機コーミル(スクリーン孔径:1.143mm、インペラ回転数:20Hz)で整粒する。
次に、この整粒した顆粒をV型混合機に投入し、ここに、予め20メッシュで篩過(しか)した二酸化ケイ素(サイロページ(登録商標):富士シリシア化学株式会社)、および、予め30メッシュで篩過したショ糖脂肪酸エステル(シュガーエステルB−370F(商品名):三菱ケミカルフーズ株式会社)を添加して、回転数20rpm,混合時間30secで混合し混合末を得る。
そして、この混合末をロータリー打錠機を用いて、1錠重量330mg、剤形9mmφCR/6.8R、回転数35rpmで打錠し、錠剤を製した。
<実施例2>
実施例2の錠剤は、秋ウコン37.5重量%、紫ウコン12.5重量%、セルロースとしての結晶セルロース41.0重量%、セルロース誘導体としてのヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)5.0重量%、微粒二酸化ケイ素としての微粒シリカゲル2.0重量%、および、ショ糖脂肪酸エステル2.0重量%からなる組成とする。
秋ウコン、紫ウコン、結晶セルロース(セオラス(登録商標)FD101:旭化成株式会社)およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ(登録商標)SE−06:信越化学工業株式会社)を撹拌造粒機に投入し、混合する。
この混合粉末に水/エタノール(1:1)を添加し、練合・造粒する。
次に、この造粒物を50℃で、18時間乾燥し、さらに65℃で、2時間乾燥した。
次に、この乾燥した造粒物を整粒機コーミル(スクリーン孔径:1.143mm、インペラ回転数:20Hz)で整粒する。
この整粒した顆粒をV型混合機に投入し、ここに、予め18メッシュで篩過した二酸化ケイ素(サイロページ(登録商標):富士シリシア化学株式会社)を加え、一次混合する。さらに、ここに予め30メッシュで篩過したショ糖脂肪酸エステル(シュガーエステルB−370F(商品名):三菱ケミカルフーズ株式会社)を添加して、二次混合した混合末を得る。
そして、この混合末をロータリー打錠機を用いて、1錠重量300mg、剤形9mmAR、回転数30rpmで打錠し、錠剤を製した。
<試験例>
次に、上記実施例1および実施例2の各錠剤について、錠剤硬度、崩壊時間、摩損度および錠剤水分を比較した。
錠剤硬度は、錠剤硬度計(富山産業株式会社製:NT−60H)を用い、各錠剤10錠の平均値で評価した。
崩壊時間は、日本薬局方崩壊試験法に従い、水を試験液として行い、6錠の平均値で評価した。
摩損度は、(富山産業株式会社製:TFT−120)25rpm、15分(試料質量10g)で測定した。
錠剤水分は、赤外線水分計(株式会社ケット科学研究所製:FD−600)60℃・20分(試料質量10g)で測定し、評価した。
通常の流通過程および製品の取扱いにおいて、実用に耐える錠剤物性として、すなわち錠剤としての形を維持可能な条件として、錠剤硬度が5kgf以上で、摩損度0.8%以下を目標とした。
試験の結果を図1の表に示す。
上記試験の結果から、実施例1の錠剤では、錠剤硬度が6.20kgfで、摩損度は0.0%であった。また、実施例2の錠剤は、錠剤硬度4.91kgfで、摩損度が0.0 であった。
摩損度に関しては、実施例1および実施例2ともに問題なく、従来のように動的な外力、例えば多数の錠剤同士を所定の空間内で掻き回すような環境に対し、錠剤表面の一部が欠落したり、剥離するようなことがなかった。
一方、錠剤硬度、すなわち静的な外力に対しては、実施例1は、6.20kgfであったが、実施例2では、目標としている5kgf以上を満たしていなかった。
この実施例2の錠剤は、ウコン抽出物を含有させてない点、および乾燥工程を2工程とし乾燥時間が長かったことが原因と思われる。すなわち、実施例1に示す組成および条件による製法が好ましい結果となった。
本考案は、精油成分を含むウコンを用いたウコンを含有する錠剤に関するものである。
ウコン(Curcuma longa L.)は、インド原産のショウガ科の薬用植物で、東南アジアを中心に、世界中の熱帯・亜熱帯地域で栽培されている。主に根茎を使用する。ウコンの根茎には3〜5%のクルクミン(黄色色素)が含有されている。クルクミンは抗酸化能や肝機能改善あるいは肝機能の維持などに寄与するウコンの代表的な活性成分と考えられており、以下に示す様々な製剤や製造方法が開示されている。
特許文献1は、ウコンエキスを含有した柔らかい錠剤であり、ウコンエキス、ゼラチンなどゲル化剤、グリセリンなどの可塑剤、レシチンなどの放出剤、甘味料、保存料および香味料から成る製剤で、喉、食道、消化器管に限らずこれを含患部へ長時間有効成分を継続的に送達することができる経口投与薬である。
特許文献2は、ウコンやクルクミンを含むゼリーで、ゼリーを構成するゲル化剤がジェランガムとカラギナンから成ることを特徴とし、胃と腸において徐々にクルクミンが放出される組成のゼリー剤である。
特許文献3は、ウコンなどを含有した製剤の不快味のマスキングに関して、ウコンエキスの不快な呈味・異味が炭酸を加えることにとって大きく改善されることを見出し、不快な呈味・異味が低減されたウコンエキス含有飲料の技術を提案したものである。
特許文献4は、ウコンなどの機能性素材に起因する可食性組成物の不快味が馬鈴薯を原料とし、DE(デキストロース当量)が2以上6以下で、25℃の蒸留水で調製したデキストリン30質量%水溶液を、25℃で5分間静置した時の粘度が150Pa・s以下であるデキストリンを用いることで、マスキングする方法である。
特許文献5は、ウコン粉末を加温処理することにより臭味を改良する方法として、加温処理後のウコンに含まれるクルクミン含量が、該加温処理前のウコンに含まれるクルクミン含量の80%以上であるように加温する方法である。該加熱処理方法としては、実施例で155℃、15分で効果が確認できたことを記載している。
また、特許文献6は、クルクミノイドを脂質で被覆し、アルファ化デンプンを崩壊剤として配合したクルクミノイド含有錠剤とその製造方法であり、脂溶性のクルクミノイドの粉体表面に脂肪酸、食用油、リン脂質、胆汁酸などを用いて被覆し、体内吸収性を向上させている。
さらに、非特許文献1では、ウコンを用いた錠剤の成形について報告されており、ウコン関連の粒(錠剤)製品の錠剤硬度が一般的な医薬品の硬度に比べて低いものが多く、圧縮成形性がよくない。そこで、流動層造粒装置を用いて、結合剤にコラーゲンペプチド、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロースを用いて造粒した。ヒドロキシプロピルセルロースで造粒した場合の硬度は、秋ウコン<春ウコン<紫ウコンの順の傾向がある。各造粒物の錠剤硬度は、品種によって異なること、その要因は、粉体物性よりも、ウコン中の脂質含量の方が大きいことがわかったとしている。そして、3種のウコン類の脂質含量を測定した。その結果、秋ウコンが春ウコンより脂質含量が低いことがわかった。ここで、各種ウコンをジエチルエーテルで脱脂し、その脱脂粉末を用いて錠剤を製したところ、秋ウコンでは、16.5倍も錠剤硬度が改善するものであった。
特表2016−535028号公報 特開2017−197465号公報 特開2015−65938号公報 特開2015−128420号公報 特開2007−116945号公報 特開2018−19307号公報
鎌田靖弘,PHARM TECH JAPAN,vol.28 No.14(2012) 179〜186頁
しかしながら、上述した特許文献1および2の技術は、ゲル化剤を用いた半固形製剤であることから、製造では、特別な設備、そして、保存についても防腐剤などの添加が必要となり、製造の工程が多く、煩雑でありコストアップとなる欠点を有する。
また、特許文献3は、飲料におけるウコンの不快味のマスキング技術で、特許文献4では、形態として錠剤も挙げられているが、実施例では、機能性素材としてペプチドを水溶液の形態でマスキング効果が評価されている。しかし錠剤の形態でのウコンに対するマスキング効果は確認されておらず、手軽に持ち運べて摂取が可能であるとは言えない。
特許文献5の方法では、オートクレーブなどの特別な設備を必要とするもので、製造工程、製造コストが増大する欠点を有する。
特許文献6では、実施例で、脂質被覆クルクミド粉体製剤と崩壊剤を混合し、得られた混合粉体を流動造粒機で造粒している。このように予めに前処理として混合工程が必要となり、すなわち工程数が多い欠点を有する。
さらに非特許文献1では、錠剤としての硬度を向上させることが可能ではあるが、その硬度を得るためにウコン末を脱脂してしまい、すなわちウコンに含有される精油成分を取り除いてしまうものである。
また、これら特許文献6と非特許文献1においては、流動層造粒装置で、つまり粉体を空気中に浮遊させた状態で製造しており、錠剤の硬度を高められるものの、成分の均一性のために、前処理として混合工程が必要となり、工程数が増える欠点を有する。さらに、製造された錠剤の摩損度についての記載が無く、すなわち、摩損度の大きい錠剤の場合では、出荷・流通の際に振動や衝撃などの外力が加わった場合に錠剤が壊れてしまう不具合があり、つまり錠剤としての正常な形状を維持できないという欠点を有する。
そして、上記各特許文献,非特許文献のいずれも、ウコン末を用いるもののウコンに含有される精油成分を活かしておらず、この精油成分に含まれる有用な成分を用いて、錠剤などの製剤を得るという点について具体的な考察等がされていなかった。
そこで本考案は、上記問題点を解消するために、ウコンに含まれる有用な成分である精油成分を活かしたウコン含有錠剤とその製造方法を提供するとともに、流通時などの際に容易に型崩れや損壊などを起こさない強度を有するウコンを含有する錠剤を提供することを目的としている。
次に、上記の課題を解決するための手段を説明する。
この考案の請求項1記載のウコンを含有する錠剤は、秋ウコンと紫ウコンおよびウコン抽出物を含むとともに、前記秋ウコンおよび前記紫ウコンの各精油成分を担持するセルロース、および微粒二酸化ケイ素とショ糖脂肪酸エステルとを添加剤とし、セルロース誘導体を結合剤として配合され、この混合末を打錠機を用いて打錠成形し、錠径9mm、曲率半径6.8mmの錠剤としたことを特徴としている。
このウコンを含有する錠剤によれば、秋ウコン及び紫ウコンに含まれる精油成分を含有した製剤とされることから、精油成分の持つ胆汁分泌促進、健胃、殺菌、防腐などの薬理作用などを有するウコン末として摂取することができる。また、秋ウコン及び紫ウコンに含まれる精油成分の持つ特有の芳香や異臭,苦味などを添加剤であるセルロースで担持し、すなわちセルロースで精油成分に特有の苦味などをマスキングしている。このことから、有用な成分である精油成分を摂取可能となる。さらに、ウコン抽出物は、肝保護作用、抗酸化性、抗腫瘍作用、免疫賦活作用、抗炎症作用、抗菌作用を有している。
そして、剤形を錠剤として成形されることで可搬性を向上でき、流通しやすい形態となるとともに、摂取量を容易に把握することができ、扱い易い。
請求項2記載のウコンを含有する錠剤は、請求項1記載のウコンを含有する錠剤であって、
前記秋ウコンと紫ウコンおよびウコン抽出物を合わせて100部に対し、前記セルロースを60〜120部、前記セルロース誘導体を5〜15部、前記微粒二酸化ケイ素を1〜10部、前記ショ糖脂肪酸エステル1〜10部の配合で組成したことを特徴としている。
このウコンを含有する錠剤によれば、秋ウコンおよび紫ウコンの精油成分をセルロースが担持し、苦味等のマスキングを行えるとともに、凝集性の高いウコン末を解凝集でき、微粒二酸化ケイ素、ショ糖脂肪酸エステルにて顆粒としての流動性を保ち、微粒二酸化ケイ素は精油成分の担持を補助し、ショ糖脂肪酸エステルは錠剤へと加工する際のスティッキングを防いで打錠障害を回避可能となる。これにより、安定した錠剤を得ることができる。
請求項3記載のウコンを含有する錠剤は、請求項1または2記載のウコンを含有する錠剤であって、
前記セルロースは、粉末セルロースまたは結晶セルロースが用いられ、
前記微粒二酸化ケイ素は、微粒シリカゲル、微粉末シリカ、軽質無水ケイ酸のいずれかが用いられ、
ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖ベヘニン酸エステル、ショ糖混合脂肪酸エステルのいずれかが用いられ、
前記結合剤となるセルロース誘導体は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC・ヒプロメロース)、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na・カルメロースナトリウム)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)のいずれかが用いられることを特徴としている。
このウコンを含有する錠剤によれば、セルロースが、賦形剤となり、製剤工程の際にウコン末の再凝集を抑える効果を有し、また、秋ウコンおよび紫ウコンに含まれる精油成分を担持し、苦味などをマスキングする。また、微粒二酸化ケイ素は、製造工程の際の乾燥顆粒の状態で添加されることで、上記セルロースを補助して精油成分を担持するとともに、顆粒の流動性を高める。さらに、ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖と植物由来の脂肪酸からなることで滑沢剤となり、上記微粒二酸化ケイ素の添加により、このショ糖脂肪酸エステルの分散が高められ、このことから打錠装置にて錠剤を成形する際に、スティッキングなどの打錠障害が防止できる。また、添加剤であるセルロースは、秋ウコンおよび紫ウコンが含有する精油成分を担持することとなり、秋ウコンや紫ウコンの有する苦味である精油成分をセルロースが担持することで、苦味をマスキングすることができ、また、このセルロースによって、ウコン末の再凝集を抑えることとなり、且つ、打錠の際の圧縮時に粒子間で結合剤としての機能を得られる。
請求項4記載のウコンを含有する錠剤は、請求項1〜3のいずれか1つに記載のウコンを含有する錠剤であって、前記ウコン抽出物に含有されるクルクミノイドのクルクミンが、体重1kgあたり0〜3mg/日の用量とされることを特徴としている。
このウコンを含有する錠剤によれば、例えば体重60kgの摂取者であれば、1日あたり0〜180mgの範囲であり、クルクミンとしての1日摂取容量(ADI)の範囲内である。
請求項5記載のウコンを含有する錠剤は、請求項1〜4のいずれか1つに記載のウコンを含有する錠剤であって、
前記秋ウコンと紫ウコンおよびウコン抽出物と前記セルロースと前記セルロース誘導体とを混合し、この混合末に水/エタノール混液を結合液として添加して造粒し、乾燥した後に整粒して顆粒を形成した後、前記顆粒に、篩過し解凝集させた前記微粒二酸化ケイ素を、前記ショ糖脂肪酸エステルとともに添加して得られることを特徴としている。
このウコンを含有する錠剤によれば、秋ウコンおよび紫ウコンに含まれる精油成分を含有した製剤を得ることができ、精油成分の持つ胆汁分泌促進、健胃、殺菌、防腐などの薬理作用などを有するウコン末として摂取することが可能な錠剤を得ることができる。また、十分な硬度を有する錠剤となり、流通時の外力による損壊などが発生しない。そして、セルロースが精油成分を担持することとなり、有用な成分を取り除く必要がなくなり、この精油成分の持つ各種薬理作用を有用にする。また、セルロースや微粒二酸化ケイ素がウコン末の解凝集となり、ウコン末の分散を行う。
請求項6記載のウコンを含有する錠剤は、請求項1〜5のいずれか1つに記載のウコンを含有する錠剤であって、
前記秋ウコンと紫ウコンおよびウコン抽出物と前記セルロースと前記セルロース誘導体とが撹拌造粒機を用いて撹拌混合され得られることを特徴としている。
このウコンを含有する錠剤によれば、撹拌造粒機を用いることで、それぞれがほぐされて凝集などによる偏りが減少、すなわち再凝集を防いで、適度に分散して錠剤として得ることができる。
請求項7記載のウコンを含有する錠剤は、請求項1〜6のいずれか1つに記載のウコンを含有する錠剤であって、
前記錠剤は、硬度が6kgf以上であることを特徴としている。
このウコンを含有する錠剤によれば、流通過程などで損壊などを起こすことがなく、落下や摩耗などによる錠剤破壊のしやすさの指標となる摩損度を極めて小さくすることができ、従来品のような錠剤表面の一部が欠落したり、剥離を起こすことがなく、実用に十分耐え得る錠剤物性を有する優れたウコン含有錠を得ることが可能となる。
本考案による請求項1記載のウコンを含有する錠剤では、秋ウコン及び紫ウコンに含まれる精油成分を含有した製剤とされることから、精油成分の持つ胆汁分泌促進、健胃、殺菌、防腐などの薬理作用などを有するウコン末として摂取することができる。また、秋ウコン及び紫ウコンに含まれる精油成分を取り除くことなく、錠剤として成形した際に、十分な硬度を有する錠剤を得ることができ、流通時の外力による損壊などを防止することができる。さらに、秋ウコン及び紫ウコンに含まれる精油成分の持つ特有の芳香や異臭,苦味などを添加剤であるセルロースで担持し、すなわちセルロースで精油成分に特有の苦味などをマスキングしている。このことから、有用な成分である精油成分を摂取することが可能となる。また、ウコン抽出物を摂取でき、このウコン抽出物の持つ様々な有効作用を得ることができる。
また、ウコンを含有する錠剤では、剤形を錠剤として成形されることで可搬性を向上でき、流通しやすい形態となるとともに、摂取量を容易に把握することができるという効果がある。
請求項2記載のウコンを含有する錠剤では、秋ウコンおよび紫ウコンの精油成分をセルロースが担持し、苦味等のマスキングを行えるとともに、凝集性の高いウコン末を解凝集でき、微粒二酸化ケイ素とショ糖脂肪酸エステルにて顆粒としての流動性を保ち、微粒二酸化ケイ素は精油成分の担持を補助し、ショ糖脂肪酸エステルは錠剤へと加工する際のスティッキングを防いで打錠障害を回避可能となる。これにより、安定した錠剤を得ることができる。
請求項3記載のウコンを含有する錠剤では、セルロースが、賦形剤となり、製剤工程の際にウコン末の再凝集を抑える効果を有し、また、秋ウコンおよび紫ウコンに含まれる精油成分を担持し、苦味などをマスキングする。また、微粒二酸化ケイ素は、製造工程の際の乾燥顆粒の状態で添加されることで、上記セルロースを補助して精油成分を担持するとともに、顆粒の流動性を高める。さらに、ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖と植物由来の脂肪酸からなることで滑沢剤となり、上記微粒二酸化ケイ素の添加により、このショ糖脂肪酸エステルの分散が高められ、このことから打錠装置にて錠剤を成形する際に、スティッキングなどの打錠障害が防止できる。また、添加剤であるセルロースは、秋ウコンおよび紫ウコンが含有する精油成分を担持することとなり、秋ウコンおよび紫ウコンの有する苦味である精油成分をセルロースが担持することで、苦味をマスキングすることができ、また、このセルロースによって、ウコン末の再凝集を抑えることとなり、且つ、打錠の際の圧縮時に粒子間で結合剤としての機能を得られる。
請求項4記載のウコンを含有する錠剤では、例えば、体重60kgの摂取者であれば、1日あたり0〜180mgの範囲であり、クルクミンとしての1日摂取容量(ADI)の範囲を超えることなく摂取可能となる。
請求項5記載のウコンを含有する錠剤では、秋ウコンおよび紫ウコンに含まれる精油成分を含有した錠剤を得ることができ、精油成分の持つ胆汁分泌促進、健胃、殺菌、防腐などの薬理作用などを有するウコン末として摂取することが可能となる。また、十分な硬度を有する錠剤となり、流通時の外力による損壊などが発生しない錠剤を得ることが可能なる。また、セルロースが精油成分を担持することとなり、秋ウコンおよび紫ウコンに含まれる有用な成分を取り除く必要がなくなり、この精油成分の持つ各種薬理作用を得ることが可能となる。また、セルロースや微粒二酸化ケイ素がウコン末の解凝集となり、ウコン末の分散を行うことができ、成分均一性を高めた錠剤を得ることが可能となる。
請求項6記載のウコンを含有する錠剤では、撹拌造粒機を用いることで、組成のそれぞれがほぐされて凝集などによる偏りが減少、すなわち再凝集を防いで、適度に分散された錠剤として得ることができる。
請求項7記載のウコンを含有する錠剤では、流通過程などで損壊などを起こすことがなく、落下や摩耗などによる錠剤破壊のしやすさの指標となる摩損度を極めて小さくすることができ、従来品のような錠剤表面の一部が欠落したり、剥離を起こすことがなく、実用に十分耐え得る錠剤物性を有する優れたウコン含有錠を得ることが可能となる。
本発明のウコンを含有する錠剤としての錠剤の実施例1と実施例2の試験結果を示す表である。
本考案のウコンを含有する錠剤は、秋ウコンと紫ウコンおよびウコン抽出物に、添加剤と結合剤とを特定な組成で配合してなるものであって、添加剤としては、セルロースと微粒二酸化ケイ素およびショ糖脂肪酸エステルとされ、結合剤としてはセルロース誘導体としている。特に、添加剤の微粒二酸化ケイ素とショ糖脂肪酸エステルの配合および混合方法によって実用に十分耐えうるウコン含有錠剤を得られた。
ウコンを含有する錠剤の主成分となるウコンとしては、秋ウコン,紫ウコン(ガジュツ)とされ、漢方では、利胆、健胃、利尿、止血、通経薬などに用いられているものである。また、これらウコンの成分としてクルクミン,デメトキシクルクミン,ビスデメトキシクルクミンなどを含む。そして、これらウコンに含まれる精油成分を用いるとともに、秋ウコンから抽出されるウコン抽出物を用いる。
本考案に用いられるウコンに含まれる黄色色素として知られるクルクミンは、ウコンに含有される3種のクルクミノイドであるクルクミン,デメトキシクルクミン,ビスデメトキシクルクミンのうち最も含有量の多いポリフェノールである。このクルクミンは、ウコンの種類によってその含有量が異なる。秋ウコンは春ウコン、紫ウコンに比べクルクミンの含有量が多く、1.1〜4.8%含有されている。このクルクミンは、作用として、肝保護作用、抗酸化性、抗腫瘍作用、免疫賦活作用、抗炎症作用、抗菌作用を有している。
なお、本実施形態では、クルクミノイドをクルクミンとして、ADI(1日摂取許容量)の体重1kgあたり0〜3mg、例えば体重60kg人では、0〜180mg/日を超えない範囲で含有することとされる。例えば、上述するがウコン含有製剤の剤形を錠剤とした場合に、1粒あたり10mg程度の含有量とすれば、1日あたり十数粒程度の服用として設定可能となる。
また、秋ウコンおよび紫ウコンに含まれる精油成分としては、これらウコンに数%が含まれており、本実施形態では、ビサクロンなどの成分である。この精油成分は、芳香性健胃としての作用や、抗菌作用、抗炎症、抗酸化、抗転移などの作用が確認されている。
ウコン抽出物は、秋ウコンから抽出したものであって、クルクミノイドが95%以上含有されている。
添加剤を構成するセルロースは、粉末セルロース(KCフロック(登録商標):日本製紙株式会社)、結晶セルロース(セオラス(登録商標)FD−101,301,ST−100,UF−711,PH−101,301,KG−1000,UF−711:旭化成株式会社)などがある。
このセルロースは、賦形剤とされ、製剤工程の際にウコン末の再凝集を抑える効果を有し、また、上記したウコンに含まれる精油成分を担持し、苦味などをマスキングする。
添加剤を構成する微粒二酸化ケイ素は、微粒シリカゲル、微粉末シリカ(サイロページ(登録商標):富士シリシア化学株式会社)、軽質無水ケイ酸(アエロジル(登録商標)200:日本アエロジル株式会社,アドソリダー(登録商標)101:フロイント産業株式会社)などがある。
この微粒二酸化ケイ素は、製造工程の際の乾燥顆粒の状態で添加されることで、上記セルロースを補助して精油成分を担持するとともに、顆粒の流動性を高める。
添加剤を構成するショ糖脂肪酸エステルとしては、ショ糖ステアリン酸エステル(S−370,S−370F,S−1170,S−1170F(商品名):三菱ケミカルフーズ株式会社)、ショ糖ベヘニン酸エステル(B−370,B−370F(商品名):三菱ケミカルフーズ株式会社)、ショ糖混合脂肪酸エステル(POS−135(商品名):三菱ケミカルフーズ株式会社)などが用いられる。
このショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖と植物由来の脂肪酸からなるもので、滑沢剤となる。なお、上記微粒二酸化ケイ素の添加により、このショ糖脂肪酸エステルの分散が高められ、このことから打錠装置にて錠剤を成形する際に、スティッキングなどの打錠障害が防止できる。
結合剤として使用されるセルロース誘導体には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC・ヒプロメロース)、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na・カルメロースナトリウム)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)などがある。
また、本考案のウコンを含有する錠剤の製造過程において、上記した秋ウコンと紫ウコンとウコン抽出物とセルロースとセルロース誘導体とを混合する際に、結合液として水/エタノール混液が添加される。
さらに、本実施形態のウコンを含有する錠剤においては、これらに加えて、安定剤や香料,甘味剤なども添加することが出来る。
このように構成された本考案のウコンを含有する錠剤は、健康食品分野をはじめ、食品、医薬品、医薬部外品などの分野にも適用することができる。また、剤形としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤などとして構成することができる。
したがって、本考案のウコンを含有する錠剤では、秋ウコンおよび紫ウコンの持つ様々な有用な作用を、これらウコンに含まれる精油成分とともに得ることができ、その精油成分が錠剤の状態で滲み出るようなことがなく、セルロースによってこの精油成分を担持し、苦味などをマスキングしており、また、微粒二酸化ケイ素が添加されていることで、セルロースを補助して精油成分を担持し、顆粒の流動性を高めている。また、ショ糖脂肪酸エステルは、滑沢剤となり、微粒二酸化ケイ素の添加により、このショ糖脂肪酸エステルの分散が高められ、このことから打錠装置にて錠剤を成形する際に、スティッキングなどの打錠障害が防止することが可能となる。このように構成されたウコンを含有する錠剤では、精油成分が含まれている状態であっても十分な硬度を有し、例えば、剤形を錠剤とした場合に、硬度が6kgf以上となり、流通過程などで損壊などを起こすことがなく、落下や摩耗などによる錠剤破壊のしやすさの指標となる摩損度を極めて小さくすることができ、従来品のような錠剤表面の一部が欠落したり、剥離を起こすことがなく、実用に十分耐え得る錠剤物性を有する優れたウコン含有錠を製造することが可能となる。
また、本考案のウコンを含有する錠剤では、滑沢剤の構成を、従来品において使用されている金属石鹸(ステアリン酸カルシウム)を用いておらず、ショ糖脂肪酸エステルを使用しており、このショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖と植物由来の脂肪酸からなるものであって、安心して摂取可能なものとなっている。
さらに、本考案のウコンを含有する錠剤では、精油成分を含んでいるが、十分な硬度で構成されていることから、上記したように容易に損壊することがなく、且つ摩損することが略無い。このことから、従来のウコン含有製剤においては硬度を得るために脱脂を行っていたが、本考案のウコンを含有する錠剤では、有用な成分である精油成分を含有した状態で錠剤として得られており、精油成分の持つ胆汁分泌促進、健胃、殺菌、防腐などの薬理作用などを有するウコン末として摂取することが可能で、十分な硬度を有する錠剤となり、流通時の外力による損壊などが発生することが無い。
次に、上述したウコンを含有する錠剤の製造方法について説明する。
まず、秋ウコン、紫ウコン、ウコン抽出物、セルロースとしての結晶セルロース、および、セルロース誘導体としてのヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)のそれぞれを、撹拌混合造粒装置に投入し、混合する。
それぞれの配合比率としては、秋ウコンと紫ウコンとウコン抽出物とを合わせて100部に対し、セルロース(結晶セルロース)を60〜120部、好ましくは80〜100部、セルロース誘導体(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)を5〜15部、好ましくは7〜11部とする。
次に、この混合粉末に、水/エタノール(1:1)を添加し、練合し、造粒する。
次に、この造粒物を50℃で18時間乾燥して、含水量を3%以下とした。
次に、この乾燥した造粒物を整粒機で整粒する。
次に、この整粒した顆粒を混合機に投入し、ここに、予め篩過した微粒二酸化ケイ素、および、予め篩過したショ糖脂肪酸エステルを添加して、混合し混合末を得る。
ここで、上記秋ウコンと紫ウコンとウコン抽出物とを合わせて100部に対して、微粒二酸化ケイ素は1〜10部、好ましくは2〜6部とし、ショ糖脂肪酸エステルは1〜10部、好ましくは2〜6部の配合で添加する。
そして、この混合末を打錠機を用いて、所定の形状に打錠し、錠剤を製造する。
従ってこのウコンを含有する錠剤の製造方法によれば、添加剤として、セルロース、微粒二酸化ケイ素およびショ糖脂肪酸エステルを、結合剤にヒプロメロースを、それぞれ特定な組成で配合し、特に、微粒二酸化ケイ素とショ糖脂肪酸エステルの配合および混合方法にて実用に十分耐え得る、すなわち損壊の起きない強度を有する錠剤であり、秋ウコンおよび紫ウコンに含まれる精油成分を備えた物性を有する優れたウコンを含有する錠剤を得ることができた。すなわち、ウコン末を脱脂することなく、十分な硬度を有するウコンを含有する錠剤を得ることができた。
添加剤であるセルロースは、秋ウコンおよび紫ウコンが含有する精油成分を担持することとなり、これらウコンの有する苦味は精油成分、主にターメロンによるものと考えられていることから、セルロースが精油成分を担持することで、苦味をマスキングすることができる。また、このセルロースによって、ウコン末の再凝集を抑えることとなり、且つ、打錠の際の圧縮時に粒子間で結合剤としての機能を得られる。
また、秋ウコン、紫ウコン、ウコン抽出物、添加剤であるセルロース(結晶セルロース)および結合剤であるセルロース誘導体(ヒプロメロース)を混合し、この混合末に水/エタノール混液を結合液として添加し、造粒・乾燥した後、整粒し、ここに予め、特定の目開きの篩いを通過させることで、解凝集させた微粒二酸化ケイ素をショ糖脂肪酸エステルとともに添加する工程としたことで、微粒二酸化ケイ素は、顆粒の流動性を改善するとともに、これらウコンに含有する精油成分の担持を補助する、つまり、乾燥時に加熱を行うが、その際に滲み出る油分を後から添加する微粒二酸化ケイ素にてトラップすることができ流動性の低下を防ぐこととなり、また、ショ糖脂肪酸エステルの分散を促進することで、打錠障害、特にスティッキングの発生を回避することが可能となる。
さらに、この製造方法によれば、前処理として混合工程を必要とする従来法の流動層造粒法ではなく、撹拌混合造粒機にて混合・造粒を行うことから、各組成の分散性が良好となり、成分の均一性を高めた優れた錠剤を得ることが可能となる。
なお、本考案のウコンを含有する錠剤には、用途に応じて種々の成分をさらに配合することが出来る。
例えば、機能性素材としては、月見草、菊の花、大豆イソフラボン、アガリスク、ノコギリヤシ、ヨウ葉、紅麹、ドコサヘキサエン酸、レスベラトール、ラクトフェリン、サラシア、グルコサミン、ポリフェノール、コラーゲン、ペプチド、コエンザイムQ10、ケール、アミノ酸、イチョウ葉、霊芝、ビタミン、ミネラル、ギャバ(GABA)、アスタキサンチン、プロポリス、ローヤルゼリー、スピルリナ、クロレラなどの成分が含まれることとしてもよい。
また、医薬品分野においては、マレイン酸クロルフェニラミン,塩酸ジフェンヒドラミン,プロメタジンなどの抗ヒスタミン剤、臭化水素酸デキストロメトルファン,グアイフェネシン,テオフィリンなどの鎮咳去痰剤、カプトリル,メチルドーパ,塩酸ラベタロールなどの血圧降下剤、ピンドロール,塩酸プロプラノロール,塩酸プロカインアミドなどの不整脈用剤、イソソルビド,フロセミドなどの利尿剤、臭化水素酸スコポラミン,塩酸パパベリンなどの鎮痙薬、ロートエキス,ジアスターゼ,ケイヒ油などの健胃消化剤、塩化ベルベリン,乳酸菌,ビフィズス菌などの整腸剤、酸化マグネシウム,炭酸マグネシウム,スクラルファートなどの制酸剤、シメチジン,ラニチジン,ファモチジンなどのH2−受容体括抗剤、アセトアミノフェン,イブプロフェン,エテンザミドなどの解熱鎮痛消炎薬、ジアゼパム,ニトラゼパム,フェノバルビタールナトリウムなどの催眠鎮静剤、アンフェタミン,イミプラミンなどの抗うつ薬などを医薬品成分として含まれることとしてもよい。
さらに、滋養強壮保健薬には、例えば、生薬,漢方薬などの天然由来物質、タンパク、アミノ酸、鉄,カルシウム,マグネシウムなどのミネラル、ビタミンA,ビタミンB1,ビタミンB2,ビタミンB6,ビタミンB12,ビタミンC,ビタミンEなどのビタミンなどが含まれることとしてもよい。
次に、上述した実施の形態における、具体的な実施例について説明する。
この実施例においては、ウコン含有製剤は、剤形として錠剤に成形したものとしている。
<実施例1>
実施例1の製剤としての錠剤は、精油成分を含有する秋ウコン34.1重量%,精油成分を含有する紫ウコン11.4重量%,ウコン抽出物2.8重量%を、セルロースとしての結晶セルロース43.6重量%、セルロース誘導体としてのヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)4.5重量%、微粒二酸化ケイ素としての微粒シリカゲル1.8重量%、および、ショ糖脂肪酸エステル1.8重量%からなる組成とする。
まず、秋ウコン、紫ウコン、ウコン抽出物、結晶セルロース(セオラス(登録商標)FD101:旭化成株式会社)およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ(登録商標)SE−06:信越化学工業株式会社)を、撹拌混合造粒装置に投入し、混合する。
次に、この混合粉末に、水/エタノール(1:1)を添加し、練合・造粒する。
次に、この造粒物を50℃で、18時間乾燥して、含水量3%以下とした。
この乾燥した造粒物を整粒機コーミル(スクリーン孔径:1.143mm、インペラ回転数:20Hz)で整粒する。
次に、この整粒した顆粒をV型混合機に投入し、ここに、予め20メッシュで篩過(しか)した二酸化ケイ素(サイロページ(登録商標):富士シリシア化学株式会社)、および、予め30メッシュで篩過したショ糖脂肪酸エステル(シュガーエステルB−370F(商品名):三菱ケミカルフーズ株式会社)を添加して、回転数20rpm,混合時間30secで混合し混合末を得る。
そして、この混合末をロータリー打錠機を用いて、1錠重量330mg、剤形9mmφCR/6.8R、回転数35rpmで打錠し、錠剤を製した。
<実施例2>
実施例2の錠剤は、秋ウコン37.5重量%、紫ウコン12.5重量%、セルロースとしての結晶セルロース41.0重量%、セルロース誘導体としてのヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)5.0重量%、微粒二酸化ケイ素としての微粒シリカゲル2.0重量%、および、ショ糖脂肪酸エステル2.0重量%からなる組成とする。
秋ウコン、紫ウコン、結晶セルロース(セオラス(登録商標)FD101:旭化成株式会社)およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ(登録商標)SE−06:信越化学工業株式会社)を撹拌造粒機に投入し、混合する。
この混合粉末に水/エタノール(1:1)を添加し、練合・造粒する。
次に、この造粒物を50℃で、18時間乾燥し、さらに65℃で、2時間乾燥した。
次に、この乾燥した造粒物を整粒機コーミル(スクリーン孔径:1.143mm、インペラ回転数:20Hz)で整粒する。
この整粒した顆粒をV型混合機に投入し、ここに、予め18メッシュで篩過した二酸化ケイ素(サイロページ(登録商標):富士シリシア化学株式会社)を加え、一次混合する。さらに、ここに予め30メッシュで篩過したショ糖脂肪酸エステル(シュガーエステルB−370F(商品名):三菱ケミカルフーズ株式会社)を添加して、二次混合した混合末を得る。
そして、この混合末をロータリー打錠機を用いて、1錠重量300mg、剤形9mmAR、回転数30rpmで打錠し、錠剤を製した。
<試験例>
次に、上記実施例1および実施例2の各錠剤について、錠剤硬度、崩壊時間、摩損度および錠剤水分を比較した。
錠剤硬度は、錠剤硬度計(富山産業株式会社製:NT−60H)を用い、各錠剤10錠の平均値で評価した。
崩壊時間は、日本薬局方崩壊試験法に従い、水を試験液として行い、6錠の平均値で評価した。
摩損度は、(富山産業株式会社製:TFT−120)25rpm、15分(試料質量10g)で測定した。
錠剤水分は、赤外線水分計(株式会社ケット科学研究所製:FD−600)60℃・20分(試料質量10g)で測定し、評価した。
通常の流通過程および製品の取扱いにおいて、実用に耐える錠剤物性として、すなわち錠剤としての形を維持可能な条件として、錠剤硬度が5kgf以上で、摩損度0.8%以下を目標とした。
試験の結果を図1の表に示す。
上記試験の結果から、実施例1の錠剤では、錠剤硬度が6.20kgfで、摩損度は0.0%であった。また、実施例2の錠剤は、錠剤硬度4.91kgfで、摩損度が0.0 であった。
摩損度に関しては、実施例1および実施例2ともに問題なく、従来のように動的な外力、例えば多数の錠剤同士を所定の空間内で掻き回すような環境に対し、錠剤表面の一部が欠落したり、剥離するようなことがなかった。
一方、錠剤硬度、すなわち静的な外力に対しては、実施例1は、6.20kgfであったが、実施例2では、目標としている5kgf以上を満たしていなかった。
この実施例2の錠剤は、ウコン抽出物を含有させてない点、および乾燥工程を2工程とし乾燥時間が長かったことが原因と思われる。すなわち、実施例1に示す組成および条件による製法が好ましい結果となった。

Claims (7)

  1. 秋ウコンと紫ウコンおよびウコン抽出物を含むとともに、前記秋ウコンおよび前記紫ウコンの各精油成分を担持するセルロース、および微粒二酸化ケイ素とショ糖脂肪酸エステルとを添加剤とし、セルロース誘導体を結合剤として配合したことを特徴とするウコン含有製剤。
  2. 前記秋ウコンと紫ウコンとウコン抽出物とを合わせて100部に対し、前記セルロースを60〜120部、前記セルロース誘導体を5〜15部、前記微粒二酸化ケイ素を1〜10部、前記ショ糖脂肪酸エステル1〜10部の配合で組成したことを特徴とする請求項1記載のウコン含有製剤。
  3. 前記セルロースは、粉末セルロースまたは結晶セルロースが用いられ、
    前記結合剤となるセルロース誘導体は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC・ヒプロメロース)、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na・カルメロースナトリウム)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)のいずれかが用いられ、
    前記微粒二酸化ケイ素は、微粒シリカゲル、微粉末シリカ、軽質無水ケイ酸のいずれかが用いられ、
    ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖ベヘニン酸エステル、ショ糖混合脂肪酸エステルのいずれかが用いられることを特徴とする請求項1または2記載のウコン含有製剤。
  4. 前記ウコン抽出物に含有されるクルクミノイドのクルクミンが、体重1kgあたり0〜3mg/日の用量とされることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のウコン含有製剤。
  5. 前記秋ウコンと紫ウコンおよびウコン抽出物と前記セルロースと前記セルロース誘導体とを混合し、この混合末に水/エタノール混液を結合液として添加して造粒し、乾燥した後に整粒して顆粒を形成した後、前記顆粒に、篩過し解凝集させた前記微粒二酸化ケイ素を、前記ショ糖脂肪酸エステルとともに添加して得られることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のウコン含有製剤。
  6. 前記秋ウコンと紫ウコンおよびウコン抽出物と前記セルロースと前記セルロース誘導体とが撹拌造粒機を用いて撹拌混合され得られることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のウコン含有製剤。
  7. 打錠されて、外形状が錠剤とされることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載のウコン含有製剤。
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