JP2023016041A - ポリマー、ポリマー溶液、感光性樹脂組成物、および硬化物 - Google Patents

ポリマー、ポリマー溶液、感光性樹脂組成物、および硬化物 Download PDF

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Abstract

【課題】感度に優れるとともにアルカリ溶解性に優れたポリマーを提供する。【解決手段】ノルボルネンモノマーと、マレイミドモノマーと、無水マレイン酸モノマーとを含むモノマー組成物を、単官能または2官能以上のチオール基含有化合物の存在下で重合させて原料ポリマーを調製し、前記原料ポリマーを、塩基性触媒の存在下で、ヒドロキシ基および2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、および/またはヒドロキシ基および1つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物と反応させて得られる、ポリマー。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリマー、当該ポリマーを含むポリマー溶液、当該ポリマー溶液を含む感光性樹脂組成物、および当該感光性樹脂組成物の硬化物に関する。
液晶表示装置や固体撮像素子は、通常、カラーフィルタや、ブラックマトリクス、スペーサー(例えば、フォトスペーサー、着色スペーサー、ブラックスペーサー)、隔壁材(例えば、透明バンク、ブラックバンク)を備えている。カラーフィルタ、ブラックマトリクス、スペーサー、隔壁材は、基板上に着色パターンや保護膜等の構造物が形成された構成となっている。これらの構造物のうち、着色パターンや保護膜の形成方法としては、感光性樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィーにより形成する方法が主流となっている。感光性樹脂組成物に関しては、従来より種々の検討がなされており、例えば、特許文献1では、少なくとも側鎖に、酸性基を有する基および2種以上の互いに異なる重合性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂、重合性化合物、ならびに、光重合開始剤を含む感光性樹脂組成物が記載されている。また、特許文献1の実施例には、アルカリ可溶性樹脂として、メタクリル酸/メタクリル酸アリル/グリシジル付加体を合成し、これを用いて感光性樹脂組成物を調製したことが記載されている。
国際公開第2012/147706号
カラーフィルタ、ブラックマトリクス、スペーサー、または隔壁材を形成するための感光性樹脂組成物には、光により重合反応が起こって硬化する性質を備える樹脂が用いられる。カラーフィルタ、ブラックマトリクス、スペーサー、または隔壁材は、感光性樹脂組成物を、露光、現像によりパターニングした後、これを硬化することにより作製される。感光性樹脂組成物において、「高感度化」は一般的な課題にも思われるが、表示装置や撮像装置の複雑化や普及などに伴い、一層高いレベルの高感度化が求められている。感光性樹脂組成物の感度が高いほど、露光に必要な時間は短くなり、生産性を向上させることができる。また、感光性樹脂組成物は、アルカリ性現像液を用いる現像処理において優れた加工性を備えることが求められる。さらに、感光性樹脂組成物の硬化物には、高い透明性を備えることが求められる。
本発明者らは、感光性樹脂組成物に用いられるポリマーや、当該組成物の配合を改良することで、感度が良好であるとともに、高いアルカリ溶解性を有し、黄色化が低減された樹脂硬化物が得られることを見出し、本発明に至った。
本発明によれば、
式(P)で表される構造を有する、ポリマーであって、
Figure 2023016041000001
式(P)において、
nは、1~6の整数であり、
p、qおよびrはそれぞれ、n個の[ ]内のポリマー鎖毎に含まれるA、BおよびCのモル含有率を示し、
p、q、およびrは、n個の[ ]内のポリマー鎖毎に同一でも異なっていてもよく、
p+q+r=1であり、pは0以上であり、qは0以上であり、rは0以上であり、
当該ポリマーに含まれる各構造単位A、B、およびCのモル含有率を、それぞれ、p、q、およびrとすると、p+q+r=1であり、pは0より大きく、qは0より大きく、rは0より大きく、
Xは、水素または炭素数1~30の有機基であり、
Yは、単官能または2官能以上のチオール基含有化合物から誘導される炭素数1~30の1~6価の有機基であり、
Aは、式(NB)で表される構造単位を表し、
Bは、式(1)で表される構造単位、および式(2)で表される構造単位から選択される少なくとも1つの構造単位を含み、
Cは、式(MI)で表される構造単位を表し、
複数存在するA同士、B同士、C同士は同一であっても異なっていてもよく、
Figure 2023016041000002
式(NB)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~30の有機基であり、aは0、1または2であり、
Figure 2023016041000003
式(1)中、Rは、2以上の(メタ)アクリロイル基を有する基であり、R21およびR22は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~3の有機基であり、
Figure 2023016041000004
式(2)中、Rは、1つの(メタ)アクリロイル基を有する基であり、R21およびR22は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~3の有機基であり、
Figure 2023016041000005
式(MI)中、R11は、水素原子または炭素数1~30の有機基であり、R12およびR13は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~3の有機基であり、
当該ポリマーの重量平均分子量が、7,000以上20,000以下である、ポリマーが提供される。
また本発明によれば、上記ポリマーを含む、ポリマー溶液が提供される。
また本発明によれば、上記ポリマー溶液と、光重合開始剤と、を含む感光性樹脂組成物が提供される。
また本発明によれば、上記感光性樹脂組成物の硬化物が提供される。
本発明によれば、感度が良好であるとともに、高いアルカリ溶解性を有し、よって現像性に優れ、また黄色化が低減され、よって高い耐熱変色性を有する感光性樹脂組成物に用いるための樹脂材料としてのポリマーが提供される。
液晶表示装置および/または固体撮像素子の構造の一例を模式的に示す図(断面図)である。 原料ポリマー3の13C-NMRチャートである。 原料ポリマー7の13C-NMRチャートである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なおすべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、すべての図面はあくまで説明用のものである。図面中の各部材の形状や寸法比などは、必ずしも現実の物品と対応するものではない。本明細書中、数値範囲の説明における「a~b」との表記は、特に断らない限り、「a以上b以下」を意味する。例えば、「5~90%」とは「5%以上90%以下」を意味する。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換か無置換かを記していない表記は、置換基を有しないものと置換基を有するものの両方を包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書における「(メタ)アクリル」との表記は、アクリルとメタクリルの両方を包含する概念を表す。「(メタ)アクリレート」等の類似の表記についても同様である。
特に、本明細書における「(メタ)アクリロイル基」とは、-C(=O)-CH=CHで表されるアクリロイル基と、-C(=O)-C(CH)=CHで表されるメタクリロイル基とを包含する概念を表す。
[ポリマーP]
(第一の実施形態)
本実施形態のポリマー(本明細書中、「ポリマーP」と称する)は、
下記式(NBm)で表されるモノマーと、下記式(MIm)で表されるモノマーと、下記式(MAm)で表されるモノマーとを含むモノマー組成物を、単官能または2官能以上のチオール基含有化合物の存在下で重合させて原料ポリマーを調製し(工程I)、
この原料ポリマーを、塩基性触媒の存在下で、ヒドロキシ基および2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、および/またはヒドロキシ基および1つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物と反応させて得られる(工程II)、ポリマーである。本実施形態のポリマーPは、その重量平均分子量が、7,000以上20,000以下である。
Figure 2023016041000006
式(NBm)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~30の有機基であり、aは0、1または2である。
Figure 2023016041000007
式(MIm)中、R11は、水素原子または炭素数1~30の有機基であり、R12およびR13は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~3の有機基である。
Figure 2023016041000008
式(MAm)中、R21およびR22は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~3の有機基である。
本実施形態のポリマーPは、上述の工程Iで使用される原料モノマー由来の構造単位(すなわち、単官能または2官能以上のチオール基含有化合物由来の構造単位、式(NBm)で表されるノルボルネンモノマー由来の構造単位、式(MIm)で表されるマレイミドモノマー由来の構造単位、および式(MAm)で表される無水マレイン酸モノマー由来の構造単位)から構成される原料ポリマーに、上述の工程IIで使用されるヒドロキシ基および2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(本明細書中、「多官能(メタ)アクリル化合物」と称する)、および/またはヒドロキシ基および1つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物(本明細書中、「単官能(メタ)アクリル化合物」と称する)から誘導される側鎖が導入された構造を有する。ここで、多官能/単官能(メタ)アクリル化合物から誘導される側鎖とは、この多官能/単官能(メタ)アクリル化合物のヒドロキシ基から水素原子を除いた残基であり、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有する基である。
本実施形態のポリマーPは、単官能または2官能以上のチオール基含有化合物から誘導されるチオエーテル基をその構造中に含む。ポリマーPは、チオエーテル基を有することにより、フォトリソグラフィー法において優れた感度を有するとともに、より高いアルカリ溶解性を有し、よって現像性により優れた樹脂硬化物を提供することができる。また、ポリマーPは、チオエーテル基を含むことにより、黄色化が低減され透明性に優れた樹脂硬化物を提供することができる。
また本実施形態のポリマーPは、式(NBm)で表されるノルボルネン由来の構造単位を有する。ノルボルネンモノマー由来の構造単位は、化学的に堅牢である。そのため、これを構造単位として含むポリマーPは、加熱処理に供された際に重量減少が小さく、安定である。
また本実施形態のポリマーPは、式(MIm)で表されるマレイミド由来の構造単位を有する。マレイミド由来の構造単位は、黄色化が低減され透明性に優れる。また、マレイミド由来の構造単位により、耐熱性が改善される。そのため、これを構造単位として含むポリマーPは、加熱処理に供された際の着色が低減されるとともに、耐熱性が優れる。よって、ポリマーPを含む感光性樹脂組成物は、耐熱性が要求される液晶表示装置や固体撮像素子に用いるためのフィルムやフィルタを製造するために好適に用いることができる。
また、本実施形態のポリマーPは、側鎖に(メタ)アクリロイル基を含む有機基を有する。ポリマーPは、例えば、チオエーテル基と単官能(メタ)アクリロイル基とを有する樹脂、チオエーテル基と多官能(メタ)アクリロイル基とを有する樹脂、チオエーテル基と単官能(メタ)アクリロイル基と多官能(メタ)アクリロイル基とを有する樹脂であり得る。ポリマーPは、(メタ)アクリロイル基を有することにより、硬化反応(重合反応)が促進されるため、優れた感度を有する。
(第二の実施形態)
第二の実施形態において、ポリマーPは、
上記式(NBm)で表されるモノマーと、上記式(MIm)で表されるモノマーと、上記式(MAm)で表されるモノマーとを含むモノマー組成物を、単官能または2官能以上のチオール基含有化合物の存在下で重合させて原料ポリマーを調製し(工程I)、
この原料ポリマーを、塩基性触媒の存在下で、ヒドロキシ基および2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、および/またはヒドロキシ基および1つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物と反応させて、ポリマー前駆体を調製し(工程II)、
このポリマー前駆体を、塩基性触媒の存在下で、水で処理することにより得られる(工程III)、ポリマーである。
第二の実施形態におけるポリマーPは、上述の第一の実施形態におけるポリマーPを構成する構造単位に加え、工程IIで得られたポリマー前駆体に含まれる式(MAm)で表される無水マレイン酸モノマー由来の構造単位が、工程IIIの処理により水で開環された構造単位(ジカルボン酸構造単位)を有する。このようなポリマーPは、高いアルカリ溶解性を有し得、その結果、ポリマーPを含む感光性樹脂組成物は、アルカリ水溶液を現像液として用いるフォトリソグラフィー法に供された場合に、優れた現像性を有する。
(第三の実施形態)
第三の実施形態において、ポリマーPは、式(P)で表される構造を有する。ポリマーPは、式(P)中、「Y」として表される、単官能または2官能以上のチオール基含有化合物から誘導される炭素数1~30の1~6価の有機基に、典型的には構造単位A、構造単位Bおよび構造単位Cから構成されるポリマー鎖が結合した構造を有する。この単官能または2官能以上のチオール基含有化合物から誘導される炭素数1~30の1~6価の有機基は、代表的には、1~6個のチオエーテル基を含有する炭素数1~30の有機基である。
Figure 2023016041000009
式(P)において、
nは、1~6の整数であり、好ましくは、3~6である。
p、qおよびrはそれぞれ、n個の[ ]内のポリマー鎖毎に含まれる構造単位A、BおよびCのモル含有率を示す。
p、q、およびrは、n個の[ ]内のポリマー鎖毎に同一でも異なっていてもよく、
p+q+r=1であり、pは0以上であり、qは0以上であり、rは0以上である。
当該ポリマーに含まれる各構造単位A、B、およびCのモル含有率を、それぞれ、p、q、およびrとすると、p+q+r=1であり、
は、0より大きく、好ましくは、0.25~0.75であり、より好ましくは、0.3~0.65であり、より好ましくは、0.35~0.60である。
は、0より大きく、好ましくは、0.10~0.6であり、より好ましくは、0.2~0.50であり、より好ましくは、0.25~0.45である。
は、0より大きく、好ましくは、0.05~0.3であり、より好ましくは、0.06~0.28であり、特に好ましくは0.07~0.25である。
p、qまたはrは、n個の[ ]内の構造単位毎に同一でも異なっていてもよい。
Xは、水素または炭素数1~30の有機基である。
Yは、単官能または2官能以上のチオール基含有化合物から誘導される炭素数1~30の1~6価の有機基である。
Aは、式(NB)で表される構造単位である。
Bは、式(1)で表される構造単位、および式(2)で表される構造単位から選択される少なくとも1つの構造単位を含む。
Cは、式(MI)で表される構造単位を表す。
複数存在するA同士、B同士、C同士は同一であっても異なっていてもよい。
Figure 2023016041000010
式(NB)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~30の有機基であり、aは0、1または2である。
Figure 2023016041000011
式(1)中、Rは、2以上の(メタ)アクリロイル基を有する基であり、R21およびR22は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~3の有機基である。
Figure 2023016041000012
式(2)中、Rは、1つの(メタ)アクリロイル基を有する基であり、R21およびR22は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~3の有機基である。
Figure 2023016041000013
式(MI)中、R11は、水素原子または炭素数1~30の有機基であり、R12およびR13は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~3の有機基である。
式(P)で表される構造を有するポリマーPは、構造単位Bとして、式(3)で表される構造単位を含んでもよい。
Figure 2023016041000014
式(3)中、R21およびR22は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~3の有機基である。
式(P)で表される構造を有するポリマーPは、構造単位Bとして、式(MA)で表される構造単位を含んでもよい。
Figure 2023016041000015
式(MA)中、R21およびR22は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~3の有機基である。
ポリマーPを構成する上記式(NB)で表される構造単位において、R~Rを構成し得る炭素数1~30の有機基としては、飽和または不飽和の、直鎖状、分岐鎖状もしくは環状の炭素数1~30の炭化水素基、アルコキシ基、およびヘテロ環基、ならびにカルボキシ基などが挙げられる。炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、およびシクロアルキル基等が挙げられる
アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。
アルケニル基としては、例えばアリル基、ペンテニル基、ビニル基などが挙げられる。
アルキニル基としては、例えばエチニル基などが挙げられる。
アルキリデン基としては、例えばメチリデン基、エチリデン基などが挙げられる。
アリール基としては、例えばトリル基、キシリル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基が挙げられる。
アラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。
アルカリル基としては、例えばトリル基、キシリル基などが挙げられる。
シクロアルキル基としては、例えばアダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などが挙げられる。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基などが挙げられる。
ヘテロ環基としては、例えばエポキシ基、オキセタニル基などが挙げられる。
式(NB)で表される構造単位における、R、R、RおよびRとしては水素またはアルキル基が好ましく、水素がより好ましい。
なお、R、R、RおよびRの炭素数1~30の有機基中の水素原子は、任意の原子団により置換されていてもよい。例えば、フッ素原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基などで置換されていてもよい。より具体的には、R、R、RおよびRの炭素数1~30の有機基として、フッ化アルキル基などを選択してもよい。
式(NB)で表される構造単位において、aは好ましくは0または1、より好ましくは0である。
ポリマーPを構成する全構造単位中の、式(NB)で表される構造単位の割合は、好ましくは25~75モル%、より好ましくは30~65モル%、さらに好ましくは35~60モル%である。
ポリマーPを構成する上記式(MI)で表される構造単位において、R12およびR13を構成し得る炭素数1~3の有機基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、およびイソプロピル基が挙げられる。R12およびR13は、水素原子であることが好ましい。
式(MI)中のR11を構成し得る炭素数1~30の有機基としては、置換または無置換の、飽和または不飽和の、直鎖状、分岐鎖状もしくは環状の炭素数1~30の炭化水素基、アルコキシ基、およびヘテロ環基、ならびにカルボキシ基などが挙げられる。炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、およびシクロアルキル基等が挙げられる。
アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。
アルケニル基としては、例えばアリル基、ペンテニル基、ビニル基などが挙げられる。
アルキニル基としては、例えばエチニル基などが挙げられる。
アルキリデン基としては、例えばメチリデン基、エチリデン基などが挙げられる。
アリール基としては、例えばトリル基、キシリル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基が挙げられる。
アラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。
アルカリル基としては、例えばトリル基、キシリル基などが挙げられる。
シクロアルキル基としては、例えばアダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などが挙げられる。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基などが挙げられる。
ヘテロ環基としては、例えばエポキシ基、オキセタニル基などが挙げられる。
式(MI)で表される構造単位におけるR11としては、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはアラルキル基が好ましい。
式(MI)で表される構造単位中のR11、R12およびR13を適宜選択することにより、特に、R11を選択することにより、得られるポリマーPのアルカリ溶解性を調整することができる。例えば、R11を水素原子とすることにより、得られるポリマーPのアルカリ溶解性を向上させることができる。またR11をアルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基とすることにより、得られるポリマーPのアルカリ溶解性を抑制することができる。式(MI)で表される構造単位中のこれらの置換基は、ポリマーPの用途に所望されるアルカリ溶解性に応じて選択することができる。
なお、R11の炭素数1~30の有機基中の水素原子は、任意の原子団により置換されていてもよい。例えば、フッ素原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基などで置換されていてもよい。より具体的には、R11を炭素数1~30の有機基として、フッ化アルキル基などを選択してもよい。
ポリマーPを構成する全構造単位中の式(MI)で表される構造単位の割合は、好ましくは5~30モル%、より好ましくは6~28モル%、さらに好ましくは7~25モル%である。ポリマーP中の式(MI)で表される構造単位の割合を上記範囲とすることにより、ポリマーPの感度、アルカリ溶解性および耐熱変色性のバランスを高度なレベルで改善することができる。
ポリマーPは、式(1)で表される2つ以上の(メタ)アクリロイル基(-C(=O)-CH=CH)を含む構造単位、または式(2)で表される1つの(メタ)アクリロイル基を含む構造単位、あるいはこれらの組み合わせを含む。このような構造単位を含むことにより、ポリマーPは、露光処理におけるより優れた感度を有する。
式(1)または式(2)において、R21およびR22を構成し得る炭素数1~3の有機基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、およびイソプロピル基が挙げられる。R21およびR22は、ともに水素原子であることが好ましい。
式(1)で表される構造単位において、Rは、2以上の(メタ)アクリロイル基を含む基であり、好ましくは2~6の(メタ)アクリロイル基を含む基であり、より好ましくは3~5の(メタ)アクリロイル基を含む基である。Rが含む(メタ)アクリロイル基の数を最適にすることで、これを含むポリマーPの露光処理における感度をより高めることができる。また、ポリマーPの感度とアルカリ溶解性とをより高度に両立させやすくなる。さらに、ポリマーPの耐熱性を改善することができる。
式(1)におけるRは、式(1b)で表される基、式(1c)で表される基、または式(1d)で表される基であることが好ましく、これらから選択される少なくとも1種を含む。このような基であることで、上記の各種効果を得やすい傾向がある。
Figure 2023016041000016
式(1b)中、
kは2または3であり、
Rは水素原子またはメチル基であり、複数のRは同じでも異なっていてもよく、
は単結合、炭素数1~6のアルキレン基または-Z-X-で表される基(Zは-O-または-OCO-であり、Xは炭素数1~6のアルキレン基である)であり、複数存在するXは同一であっても異なっていてもよく、
'は単結合、炭素数1~6のアルキレン基または-X'-Z'-で表される基(X'は炭素数1~6のアルキレン基であり、Z'は-O-または-COO-である)であり、
は炭素数1~12の(k+1)価の有機基である。
Rは、感度の一層の向上(重合のしやすさ)などから、水素原子が好ましい。
kは、2でも3でもよいが、原料の入手容易性や感度の一層の向上の点からは、好ましくは3である。
が炭素数1~6のアルキレン基である場合、アルキレン基は直鎖状であっても分枝状であってもよい。
が炭素数1~6のアルキレン基である場合、Xは好ましくは直鎖状アルキレン基であり、より好ましくは炭素数1~3の直鎖状アルキレン基であり、さらに好ましくは-CH-(メチレン基)である。
が-Z-X-で表される基(Zは-O-または-OCO-であり、Xは炭素数1~6のアルキレン基である)場合の、Xの炭素数1~6のアルキレン基は、直鎖状であっても分枝状であってもよい。
Xの炭素数1~6のアルキレン基は、好ましくは直鎖状アルキレン基であり、より好ましくは炭素数1~3の直鎖状アルキレン基であり、さらに好ましくは-CH-CH-(エチレン基)または-CH-CH(CH)-である。
'が炭素数1~6のアルキレン基である場合、その具体的態様についてはXと同様である。
'が-X'-Z'-で表される基である場合、X'の具体的態様については上記Xと同様である。
の炭素数1~12の(k+1)価の有機基としては、任意の有機化合物から(k+1)個の水素原子を除いた任意の基を挙げることができる。ここでの「任意の有機化合物」としては、例えば分子量300以下、好ましくは200以下、より好ましくは100以下の有機化合物である。
は、例えば、炭素数1~12(好ましくは、炭素数1~6)の直鎖状または分枝状炭化水素から(k+1)個の水素原子を除いた基である。より好ましくは、炭素数1~3の直鎖状炭化水素から(k+1)個の水素原子を除いた基である。なお、ここでの炭化水素は、酸素原子(例えばエーテル結合やヒドロキシ基など)を含んでもよい。また、炭化水素は飽和炭化水素であることが好ましい。
別の態様として、Xは、環状構造を含む基であってもよい。環状構造を含む基としては、脂環構造を含む基、複素環構造(例えば、イソシアヌル酸構造)を含む基などを挙げることができる。
Figure 2023016041000017
式(1c)中、
k、R、XおよびXは、それぞれ、式(1b)におけるR、k、XおよびXと同義であり、複数のRは互いに同一であっても異なっていてもよく、複数のXは互いに同一であっても異なっていてもよく、
は、炭素数1~6の2価の有機基であり、
およびXは、それぞれ独立に、単結合または炭素数1~6の2価の有機基であり、
は、炭素数1~6の2価の有機基である。
R、k、XおよびXの具体的態様、好ましい態様などについては、式(1b)で説明したものと同様である。
およびXの炭素数1~6の2価の有機基としては、例えば、炭素数1~6の直鎖状または分枝状炭化水素から2個の水素原子を除いた基を挙げることができる。なお、ここでの炭化水素は、酸素原子(例えばエーテル結合やヒドロキシ基など)を含んでもよい。また、炭化水素は飽和炭化水素であることが好ましい。
およびXの炭素数1~6の2価の有機基としては、直鎖状または分枝状アルキレン基を挙げることができる。直鎖状または分枝状アルキレン基の炭素数は好ましくは1~3である。
Figure 2023016041000018
式(1d)中、nは、2~5の整数であり、好ましくは、2または3である。
Rの具体的態様、好ましい態様などについては、式(1b)で説明したものと同様である。
ポリマーPが、式(1)で表される構造単位を含む場合、ポリマーPの全構造単位中の、式(1)で表される構造単位の割合は、好ましくは3~40モル%、より好ましくは3~30モル%である。
ポリマー(P)を構成し得る式(2)で表される構造単位において、Rは、(メタ)アクリロイル基を1つのみ含む基である。特に、通常の感光性樹脂組成物の設計においては、感度を上げようと硬化性を高めた場合には硬化が進みすぎて現像性が悪くなりがちであり、一方で現像性を改良しようとした場合には硬化が不十分となりがちであるため、ポリマーPは、式(1)で表される構造単位および式(2)で表される構造単位のいずれかまたは両方を含むことが好ましく、これにより感度と現像性の双方を良好なバランスで両立することができる。
は、例えば、以下式(2a)で表される基である。
Figure 2023016041000019
式(2a)において、X10は2価の有機基であり、Rは水素原子またはメチル基である。X10の総炭素数は、好ましくは1~30、より好ましくは1~20である、さらに好ましくは1~10である。
10の2価の有機基としては、例えばアルキレン基が好ましい。このアルキレン基中の一部の-CH-はエーテル基(-O-)となっていてもよい。アルキレン基は、直鎖状でも分枝状でもよいが、直鎖状であることがより好ましい。
10の2価の有機基としてより好ましくは、総炭素数3~6の直鎖状アルキレン基である。X10の炭素数(X10の鎖長)を適切に選択することで、式(2)で表される構造単位が架橋反応に一層関与しやすくなり、感度を高めることができる。
10の2価の有機基(例えばアルキレン基)は、任意の置換基で置換されていてもよい。置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基などを挙げることができる。
また、X10の2価の有機基は、アルキレン基以外の任意の基であってよい。例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシ基等から選ばれる1種又は2種以上の基を連結して構成される2価の基であってもよい。
ポリマーPが式(2)で表される構造単位を含む場合、ポリマーPの全構造単位中の、式(2)で表される構造単位の割合は、好ましくは5~30モル%、より好ましくは10~20モル%である。
また、ポリマーPが、式(1)で表される構造単位と式(2)で表される構造単位との両方を含む場合、ポリマーP中の、式(1)で表される構造単位と式(2)で表される構造単位との合計の割合は、ポリマーPを構成する全構造単位を基準として、好ましくは5~40モル%、より好ましくは10~35モル%、さらに好ましくは15~30モル%ある。
ポリマーPが含み得る式(3)で表される構造単位において、R21およびR22は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~3の有機基である。R21およびR22を構成し得る炭素数1~3の有機基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、およびイソプロピル基が挙げられる。R21およびR22は水素原子であることが好ましい。
Figure 2023016041000020
ポリマーPは、式(3)で表される構造単位を含むことにより、高いアルカリ溶解性を有する。その結果、ポリマーPを含む感光性樹脂組成物は、アルカリ水溶液を現像液として用いるフォトリソグラフィー法に供された場合に、優れた現像性を有する。ポリマーPが、式(3)で表される構造単位を含む場合、ポリマーPの全構造単位中の、式(3)で表される構造単位の割合は、好ましくは、1~10モル%、より好ましくは、2~7モル%である。
ポリマーPが含み得る式(MA)で表される構造単位において、R21およびR22は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~3の有機基である。R21およびR22を構成し得る炭素数1~3の有機基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、およびイソプロピル基が挙げられる。R21およびR22は水素原子であることが好ましい。
Figure 2023016041000021
式(MA)で表される構造単位は、アルカリ現像液により開環して、2つのカルボキシ基を生じる。そのため、ポリマーPは、優れた現像性を備える。ポリマーPが、式(MA)で表される構造単位を含む場合、ポリマーPの全構造単位中の、式(MA)で表される構造単位は、好ましくは3~40モル%、より好ましくは、10~30モル%である。
なお、ポリマーP中に含まれる各構造単位の含有量(比率)は、ポリマーPを合成する際に用いる原料の仕込み量(モル量)、合成後に残存する原料の量、各種スペクトル(例えば、IRスペクトル、H-NMRスペクトル、13C-NMRスペクトル)のピークの存在、およびピーク面積などから推定/算出することができる。
式(P)において、Xは、水素または炭素数1~30の有機基である。炭素数1~30の有機基は、上述の式(NB)におけるR~Rを構成する炭素数1~30の有機基と同様である。
式(P)において、Yは、単官能または2官能以上のチオール基含有化合物から誘導される炭素数1~30の1~6価の有機基(i)(本明細書中、「有機基(i)」と称する)である。本実施形態において、価数は、官能基数(チオール基の数)である。すなわち、単官能または2官能以上のチオール基含有化合物は、1以上のチオール基を含み、有機基(i)は当該チオール基から誘導される1~6個のチオエーテル基を介して[ ]n内の構造単位および[ ]m内の構造単位と結合する。有機基(i)は、[ ]n内の構造単位との結合に関与しないチオール基を有していてもよく、ポリマーPは、n数(結合数)が1~6のそれぞれの樹脂の混合物として得ることができる。
炭素数1~30の有機基(i)は、好ましくは、2官能以上、より好ましくは、3官能以上である。上限値は特に限定されないが、6官能以下である。
炭素数1~30の有機基(i)の価数は、本発明の効果の観点から、例えば、1~6価であり、好ましくは、2~6価であり、より好ましくは、4~6価である。
炭素数1~30の1~6価の有機基(i)は、O、N、S、PおよびSiから選択される1以上の原子を含んでいてもよい。炭素数1~30の1~6価の有機基(i)としては、例えば、1~6個のチオエーテル基(-S-*(*は結合手))を有する、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、シクロアルキル基、アルコキシ基およびヘテロ環基が挙げられる。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、およびデシル基が挙げられる。アルケニル基としては、例えば、アリル基、ペンテニル基、およびビニル基が挙げられる。
アルキニル基としては、エチニル基が挙げられる。
アルキリデン基としては、例えば、メチリデン基、およびエチリデン基が挙げられる。アリール基としては、例えば、トリル基、キシリル基、フェニル基、ナフチル基、およびアントラセニル基が挙げられる。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、およびフェネチル基が挙げられる。
アルカリル基としては、例えば、トリル基、キシリル基が挙げられる。
シクロアルキル基としては、例えば、アダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、およびシクロオクチル基が挙げられる。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、s-ブトキシ基、イソブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、およびn-ヘキシルオキシ基が挙げられる。
ヘテロ環基としては、例えば、エポキシ基、およびオキセタニル基が挙げられる。
式(P)中のYを誘導し得る単官能または2官能以上のチオール基含有化合物としては、下記化学式(s-1)~(s-21)で表される化合物が挙げられる。すなわち、ポリマーPは、以下に代表される単官能または2官能以上のチオール基含有化合物から誘導される炭素数1~30の1~6価の有機基(i)を含む。
Figure 2023016041000022
Figure 2023016041000023
Figure 2023016041000024
Figure 2023016041000025
Figure 2023016041000026
Figure 2023016041000027
Figure 2023016041000028
Figure 2023016041000029
Figure 2023016041000030
Figure 2023016041000031
Figure 2023016041000032
Figure 2023016041000033
Figure 2023016041000034
Figure 2023016041000035
Figure 2023016041000036
Figure 2023016041000037
Figure 2023016041000038
Figure 2023016041000039
Figure 2023016041000040
Figure 2023016041000041
Figure 2023016041000042
単官能または2官能以上のチオール基含有化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。中でも、一分子中に3~6のチオール基を有する、3~6官能(3~6価)のチオール基含有化合物を用いることが、他のモノマーに対する反応性が優れる点で好ましい。
本実施形態において、前記チオール基含有化合物は、前記化学式(s-1)~(s-21)で表される化合物の中でも、化学式(s-1)~(s-3)、(s-5)および(s-8)~(s-10)で表される化合物を含むことがより好ましく、化学式(s-1)~(s-3)、(s-5)および(s-9)で表される化合物を含むことが特により好ましい。
炭素数1~30の1~6価の有機基(i)は、これらのチオール基含有化合物のチオール基から誘導されたチオエーテル基(-S-*(*は結合手))を末端に有し、チオエーテル基を介して[ ]n内の構造単位および[ ]m内の構造単位と結合する。前記有機基(i)は、[ ]n内の構造単位および[ ]m内の構造単位との結合に関与しないチオール基を有していてもよい。
本実施形態のポリマーPは、2官能以上のチオール基含有化合物として上述の式(s-2)で表される4官能(4価)のチオール基含有化合物を用いた場合、例えば、以下の式(I)で表されるような構造を有することができる。
Figure 2023016041000043
式(I)中、A、B、C、X、p、qおよびrは、式(P)におけるものと同義である。ただし、式(I)において説明のために、4個の[ ]内のポリマー鎖毎のp、q、およびrを、それぞれp~p、q~q、r~rと記載する。
式(I)において、p~p、q~q、r~rは、4個の[ ]内のポリマー鎖毎に同一でも異なっていてもよく、p+q+r=1、p+q+r=1、p+q+r=1、p+q+r=1である。
式(I)で表されるポリマーに含まれる各構造単位A、B、およびCのモル含有率を、それぞれ、p、q、およびrとすると、p=p+p+p+p、q=q+q+q+q、r=r+r+r+rである。
式(I)において、A、BおよびCの結合順序は特に限定されず、A、BおよびCのいずれがチオエーテル基と結合していてもよい。また、式(I)においては、化学式(s-2)で表される化合物の4つのメルカプト基から誘導されたチオエーテル基を介して4個の[ ]内の構造単位と結合している例によって示したが、4つのメルカプト基から誘導されたチオエーテル基に[ ]内の構造単位が1~3個結合し、残りのチオエーテル基に[ ]内の構造単位とは異なる有機基が結合した構造であってもよい。本実施形態においては、ポリマーPは、[ ]内の構造が1~4個結合している化合物を少なくとも1つ含む混合物として得ることができる。
本実施形態のポリマーPの重量平均分子量Mwは、7,000~20,000である。ポリマーPの重量平均分子量は、好ましくは、7,500~17,000であり、より好ましくは8,000~14,000である。重量平均分子量を適切に調整することで、感度やアルカリ現像液に対する溶解性を調整することができる。
また、ポリマーPの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、好ましくは1.0~5.0であり、より好ましくは1.25~4.5であり、さらに好ましくは1.5~4.0である。分散度を適切に調整することで、ポリマーPの物性を均質にすることができる。なお、これらの値は、ポリスチレンを標準物質として用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により求めることができる。
ポリマーPのガラス転移温度は、好ましくは150~250℃、より好ましくは170~230℃である。ポリマーPは、式(NB)で表される構造単位を含むことにより、比較的高いガラス転移温度を有する。このことは、液晶表示装置や固体撮像素子の製造に当たって、基板上に形成されたパターンが安定に存在できるという点で好ましい。なお、ガラス転移温度は、例えば、示差熱分析(differential thermal analysis:DTA)により求めることができる。
本実施形態のチオエーテル基含有(メタ)アクリル樹脂(a)中に含まれる各構造単位の含有量(比率)は、ポリマー合成時の原料の仕込み量(モル量)、合成後に残存する原料の量、各種スペクトルのピーク面積(例えば、H-NMRのピーク面積)などから推定/算出することができる。
ポリマーPの酸価は、50mgKOH/g以上、150mgKOH/g以下、好ましくは55mgKOH/g以上、140mgKOH/g以下である。また、ポリマーPの二重結合当量は、100g/mol以上、900g/mol以下、好ましくは、200g/mol以上、850g/mol以下、より好ましくは250g/mol以上、800g/mol以下である。
ポリマーPの酸価が50mgKOH/g以上であることで、良好な現像性を得ることができる。また、二重結合当量が900g/mol以下であることで、ポリマーPを含む感光性樹脂組成物の感度を高くすることができる。
なお、ポリマーPの酸価が大きすぎると、アルカリ現像液での現像の際に、露光部分が溶解しやすくなり光硬化に必要な露光量が多くなってしまったり、パターン形状が不十分になったりする懸念がある。よって、本実施形態では、酸価の上限値を150mgKOH/gとしている。
また、ポリマーPの二重結合当量が小さすぎると(すなわち、ポリマー中の二重結合の密度が大きすぎると)、アルカリ現像液での現像時に、未露光部や低露光部が溶解しにくくなる傾向があり、現像時に残膜が発生しがちとなる。また、二重結合当量が小さすぎると、架橋により分子量が過度に増大し、溶解性の過度な低下などが懸念される。よって、本実施形態では、二重結合当量の下限値を100g/molとしている。
ポリマーPの酸価および/または二重結合当量を調整することで、より一層高いレベルで感度と現像性を両立させることができる。
ポリマーPの酸価および二重結合当量は、スペクトル測定などにより求めることができる。例えば、以下のような手順で求めることができる(より具体的には実施例を参照されたい)。
(1)ポリマーの1H-NMRチャートから、カルボキシ基の水素原子や、重合性炭素-炭素二重結合近傍の水素原子に対応するピークの面積(積分値)を求める。
(2)(1)で求めた面積を、標準物質に由来するピークの面積から、カルボキシ基の量および炭素-炭素二重結合の量を求める。
(3)(2)で求めたカルボキシ基の量を、酸価(mgKOH/g)に換算する。また、(2)で求めた重合性炭素-炭素二重結合の量を、二重結合当量(g/mol)に換算する。
ポリマーPの酸価および二重結合当量は、ポリマーPに導入される構造単位の比率、特に式(1)~(3)で表される構造単位に含まれる(メタ)アクリロイル基が有する重合性炭素-炭素二重結合の数を適切に設計することで、所望の値に調整することができる。
本実施形態のポリマーP中に含まれる各構造単位の含有量(比率)は、ポリマー合成時の原料の仕込み量(モル量)、合成後に残存する原料の量、各種スペクトルのピーク面積(例えば、H-NMRのピーク面積)などから推定/算出することができる。
[ポリマーPの製造方法]
本実施形態のポリマーPの製造方法について、ポリマーPが式(P)で表される構造を有する場合を例に説明する。
本実施形態のポリマーPは、
工程I:式(NB)で表される構造単位、式(MI)で表される構造単位、式(MA)で表される構造単位、および炭素数1~30の1~6価の有機基(i)とを含む原料ポリマーを準備する工程、および
工程II:工程Iで得られた原料ポリマーと、ヒドロキシ基および2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(多官能(メタ)アクリル化合物)、および/またはヒドロキシ基および1つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物(単官能(メタ)アクリル化合物)とを、塩基性触媒の存在下で反応させて、式(NB)で表される構造単位、式(MI)で表される構造単位、炭素数1~30の1~6価の有機基(i)、ならびに式(1)で表される構造単位および/または式(2)で表される構造単位を含み、場合によりさらに式(MA)で表される構造単位を含むポリマーPを調製する工程、により製造できる。
ポリマーPが、式(3)で表される構造単位をさらに含む場合、以下の工程IIIが実施される。
工程III:工程IIにおいて、式(NB)で表される構造単位、式(MI)で表される構造単位、式(1)で表される構造単位および/または式(2)で表される構造単位、および式(MA)で表される構造単位を含むポリマー前駆体(上記工程IIにおけるポリマーPに相当)を調製し、その後、当該ポリマー前駆体を、塩基触媒の存在下、水で処理してポリマーPを得る工程。
工程IIにおいて、多官能(メタ)アクリル化合物と単官能(メタ)アクリル化合物の両方が用いられる場合、まず多官能(メタ)アクリル化合物を、工程Iで得られた原料ポリマーと反応させ、得られた反応混合物に、単官能(メタ)アクリル化合物を反応させることが好ましい。
以下、各工程について説明する。
(工程I)
工程(I)における、式(NB)で表される構造単位、式(MI)で表される構造単位、式(MA)で表される構造単位、および炭素数1~30の1~6価の有機基(i)とを含む原料ポリマーを準備する工程は、式(NBm)で表されるモノマーと、式(MIm)で表されるモノマーと、式(MAm)で表されるモノマーとを含むモノマー組成物を、単官能または2官能以上のチオール基含有化合物の存在下で重合(付加重合)することで実施することができる。ここで、式(NBm)におけるR、R、RおよびRならびにaの定義は、式(NB)のものと同様である。また、式(MIm)におけるR11、R12およびR13の定義は、式(MI)におけるものと同様である。また、式(MAm)におけるR21およびR22の定義は、式(MA)におけるものと同様である。
Figure 2023016041000044
式(NBm)で表されるモノマーとしては、例えば、ノルボルネン、ビシクロ[2.2.1]-ヘプト-2-エン(慣用名:2-ノルボルネン)、5-メチル-2-ノルボルネン、5-エチル-2-ノルボルネン、5-ブチル-2-ノルボルネン、5-ヘキシル-2-ノルボルネン、5-デシル-2-ノルボルネン、5-アリル-2-ノルボルネン、5-(2-プロペニル)-2-ノルボルネン、5-(1-メチル-4-ペンテニル)-2-ノルボルネン、5-エチニル-2-ノルボルネン、5-ベンジル-2-ノルボルネン、5-フェネチル-2-ノルボルネン、2-アセチル-5-ノルボルネン、5-ノルボルネン-2-カルボン酸メチル、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物などが挙げられる。重合の際、式(NBm)で表されるモノマーは、1種のみ用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 2023016041000045
Figure 2023016041000046
単官能または2官能以上のチオール基含有化合物としては、前記化学式(s-1)~(s-21)で表される化合物が挙げられるがこれらに限定されない。単官能または2官能以上のチオール基含有化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
重合の方法については限定されないが、ラジカル重合開始剤を用いたラジカル重合が好ましい。重合開始剤としては、例えば、アゾ化合物、有機過酸化物などを使用できる。
アゾ化合物として具体的には、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ジメチル2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、1,1'-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(ABCN)などを挙げることができる。
有機過酸化物としては、例えば、過酸化水素、ジ-tert-ブチルパーオキサイド(DTBP)、過酸化ベンゾイル(ベンゾイルパーオキサイド,BPO)および、メチルエチルケトンパーオキサイド(MEKP)などを挙げることができる。
重合開始剤については、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合反応に用いる溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、トルエン、メチルエチルケトン等の有機溶剤を用いることができる。重合溶媒は単独溶剤でも混合溶剤でもよい。
原料ポリマーの合成は、式(NBm)で表されるモノマー、式(MIm)で表されるモノマー、式(MAm)で表されるモノマー、および重合開始剤を溶媒に溶解させて、反応容器に仕込み、その後、加熱して、単官能または2官能以上のチオール基含有化合物を滴下しながら、付加重合を進行させることにより実施される。加熱温度は例えば50~80℃であり、加熱時間は例えば5~20時間である。
反応容器に仕込む際の、式(NBm)で表されるモノマーと、式(MIm)で表されるモノマーと式(MAm)で表されるモノマーと合計量のモル比(MIm+MAm)は、(NBm):(MIm+MAm)=0.5:1~1:0.5であることが好ましい。分子構造制御の観点から、モル比は1:1であることが好ましい。式(MIm)で表されるモノマーと式(MAm)で表されるモノマーとのモル比は、(MIm):(MAm)=0.5:9.5~5:5であることが好ましく、1:9~4:6であることがより好ましい。
また、得られる原料ポリマー中のチオエーテル基含有量、および原料ポリマーの分子量制御の観点から、反応容器に仕込む際の、式(NBm)で表されるモノマーと、式(MIm)で表されるモノマーと、式(MAm)で表されるモノマーとの合計モル量に対し、単官能または2官能以上のチオール基含有化合物の仕込み量は0.5~10モル%であることが好ましく、1~8モル%であることがより好ましく、1.5~6モル%であることがさらにより好ましい。
このような工程により、「原料ポリマー」を得ることができる。
なお、原料ポリマーは、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、周期共重合体などのいずれであってもよい。典型的にはランダム共重合体または交互共重合体である。なお、一般に、無水マレイン酸は交互共重合性が強いモノマーとして知られている。
なお、原料ポリマーの合成後に、未反応モノマー、オリゴマー、残存する重合開始剤などの低分子量成分を除去する工程を行ってもよい。
具体的には、合成された原料ポリマーと低分子量成分とが含まれた有機相を濃縮し、その後、テトラヒドロフラン(THF)などの有機溶媒と混合して溶液を得る。そして、この溶液を、メタノールなどの貧溶媒と混合し、モノマーを沈殿させる。この沈殿物を濾取して乾燥させることで、原料ポリマーの純度を上げることができる。
(工程II)
工程IIでは、工程Iで得られた原料ポリマーと、多官能(メタ)アクリル化合物および/または単官能(メタ)アクリル化合物とを、塩基性触媒の存在下で反応させることで、原料ポリマーに含まれる式(MA)で表される構造単位の一部が開環し、式(1)で表される構造単位および/または式(2)で表される構造単位が形成されて、式(NB)で表される構造単位、式(MI)で表される構造単位、炭素数1~30の1~6価の有機基(i)、ならびに式(1)で表される構造単位および/または式(2)で表される構造単位を含み、場合により式(MA)で表される構造単位を含むポリマー前駆体が得られる。ここで得られるポリマー前駆体は、本実施形態のポリマーPとして使用することができるが、説明の便宜上、ポリマー前駆体と称する。
より具体的には、まず、原料ポリマーを適当な有機溶剤に溶解させた溶液を準備する。有機溶媒としては、メチルエチルケトン(MEK)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N-メチルピロリドン(NMP)、テトラヒドロフラン(THF)などの単独溶剤または混合溶剤を用いることができるが、これらのみには限定されず、有機化合物や高分子の合成で用いられる種々の有機溶剤を用いることができる。
式(NB)で表される構造単位、式(MI)で表される構造単位、ならびに式(1)で表される構造単位および式(2)で表される構造単位の両方を含むポリマー前駆体を得る場合、次に、上記の溶液に、多官能(メタ)アクリル化合物を加える。さらに、塩基性触媒を加える。そして溶液を適切に混合して均一な溶液として、少なくとも式(NB)の構造単位、式(MI)の構造単位、および式(1)の構造単位が、炭素数1~30の1~6価の有機基(i)と2~6個のチオエーテル基を介して結合した構造を含むポリマー前駆体を得る(工程II-i)。
ここで用いることができる多官能(メタ)アクリル化合物としては、例えば式(1b-m)で表される化合物、式(1c-m)で表される化合物、および式(1d-m)で表される化合物が挙げられる。式(1b-m)におけるk、R、X、X'およびXの定義および具体的態様は、上述の式(1b)におけるものと同様である。また式(1c-m)におけるk、R、X、X、X、X、XおよびXの定義および具体的態様は、上述の式(1c)におけるものと同様である。式(1d-m)におけるnおよびRは、上記の式(1d)におけるものと同様である。
Figure 2023016041000047
Figure 2023016041000048
Figure 2023016041000049
次いで、工程II-iで得られたポリマーに、単官能(メタ)アクリル化合物を、塩基性触媒の存在下で反応させることで、式(NB)の構造単位、式(MI)の構造単位、式(1)の構造単位、および式(2)の構造単位が、炭素数1~30の有機基(i)と1~6個のチオエーテル基を介して結合した構造を含むポリマー前駆体を得ることができる(工程II-ii)。
塩基性触媒としては、有機合成の分野で公知のアミン化合物や含窒素複素環化合物等を適宜用いることができる。例えば、トリエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジンなどのアミン化合物または含窒素複素環化合物を触媒として用いることができる。塩基性触媒の使用量は、例えば、原料ポリマー100質量部に対し、10~60質量部程度とすることができる。なお、塩基性触媒を過剰に用いると、中和に必要な酸の量が多くなり、精製が煩雑になる等の可能性があることに留意する。
上記溶液を、好ましくは60~80℃で、3~9時間程度加熱することで、原料ポリマー中に含まれる式(MA)の構造単位の開環/式(1)の構造単位の形成がなされる。
なお、例えば、上記の加熱の途中に、ヒドロキシ基を有する単官能(メタ)アクリル化合物を反応系中に追添することで、ポリマーPの式(P)の構造中に前述の式(2)で表される構造単位を生成することができる。
反応の立体障害などの点から、ヒドロキシ基を有する単官能(メタ)アクリル化合物のほうが、ヒドロキシ基を有する多官能(メタ)アクリル化合物よりも、原料ポリマーと反応しやすい傾向にある。よって、式(2)の構造単位を有するポリマー前駆体を調製する場合には、ヒドロキシ基を有する単官能(メタ)アクリル化合物を最初から反応系中には仕込まず、反応系中に追添することが好ましい。
ヒドロキシ基を有する単官能(メタ)アクリル化合物としては、例えば以下式(2a-m)で表される化合物が挙げられる。
式(2a-m)において、X10およびRの定義については式(2a)におけるものと同様である。
Figure 2023016041000050
式(2a-m)で表される化合物の具体例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチル-フタル酸などを挙げることができる。
式(NB)で表される構造単位、式(MI)で表される構造単位、炭素数1~30の1~6価の有機基(i)、ならびに式(1)で表される構造単位および式(2)で表される構造単位のいずれか一方を含むポリマー前駆体を得る場合、工程(I)の後、工程II-i、工程II-iiいずれか一方のみを実施すればよい。
(工程III)
工程IIIを実施する場合、工程IIで得られたポリマー前駆体を、塩基性触媒の存在下、水で処理する工程が用いられる。工程IIIにより、工程IIで得られたポリマー前駆体に含まれる式(MA)で表される構造単位が開環し、式(3)で表される構造単位が形成されて、式(NB)で表される構造単位、式(MI)で表される構造単位、式(1)で表される構造単位および/または式(2)で表される構造単位、ならびに式(3)で表される構造単位が、炭素数1~30の有機基(i)と1~6個のチオエーテル基を介して結合した構造を含むポリマーPを製造することができる。式(MA)で表される構造単位の一部が開環し、式(MA)の構造単位の一部が開環せずに残る場合には、ポリマーPは、式(MA)で表される構造単位をさらに含む。
工程IIIで使用される塩基性触媒としては、トリエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジンなどのアミン化合物または含窒素複素環化合物が挙げられる。
工程IIIでは、工程IIで得られたポリマー前駆体を含む反応系に、水を添加し、得られた反応溶液を、好ましくは60~80℃で、0.25~6時間程度加熱することで、このポリマーに含まれる式(MA)の構造単位が開環して、式(3)で表される構造単位が生成する。塩基性触媒は、工程IIで得られた反応系に残存している触媒をそのまま使用することができる。そのため、工程IIIは、工程IIで得られた反応混合物に対して何ら後処理を行うことなく、インサイチュで、この反応混合物に水を追添することにより実施することが好ましい。
以上の工程により本実施形態のポリマーPを得ることができるが、本発明の効果の観点から、所望のポリマー以外の不要な成分の除去などのため、更に以下の工程を適宜行うこともできる。
まず、上記で、有機溶剤で希釈し、また、酸(例えばギ酸など)を加えた反応溶液を、分液漏斗で少なくとも3分間激しく攪拌する。これを30分以上静止して、有機相と水相に分け、水相を除去する。このようにしてポリマーの有機溶液を得る。
得られたポリマーPの有機溶液を再沈殿法、もしくは液液抽出法を用いて精製する。再沈殿法では得られたポリマーPの有機溶液を、過剰量のトルエン、もしくは水に加えてポリマーを再沈殿させる。また、再沈殿により得られたポリマー粉末をさらに数回トルエン、もしくは水で洗浄する。
さらに、ギ酸や塩基性触媒の除去のため、得られたポリマー粉末を、イオン交換水で洗浄する操作を数回(1~3回程度)繰り返す。
イオン交換水で洗浄後のポリマー粉末を、例えば30~60℃で16時間以上乾燥させることで、高純度のポリマーを得ることができる。
液液抽出法では得られたポリマーPの有機溶液に水を加え、分液漏斗で少なくとも3分間激しく攪拌する。これを30分以上静止して、有機相と水相に分け、水相を除去する。さらに水回除去後のポリマーの有機溶液に水を加え、分液漏斗で少なくとも3分間激しく攪拌する。これを30分以上静止して、有機相と水相に分け、水相を除去する。このようにしてポリマーの有機溶液を得る。必要に応じて、水添加と水相除去の工程をさらに行っても良い。
得られたポリマーの有機溶液をロータリーエバポレーターにより減圧化で加熱することで、濃縮した後、最終溶剤(PGMEA等)を加え希釈する操作を繰り返すことで、最終溶剤に溶解したポリマー溶液を得ることができる。加えて、溶媒置換後にさらに再沈殿法により精製を行っても良い。
また、ポリマー溶液はポリマーPを合成する際に用いた多官能(メタ)アクリル化合物および/または単官能(メタ)アクリル化合物を含んでいてもよい。ポリマー溶液がこれらの(メタ)アクリル化合物を含む場合、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)チャートにおける多官能(メタ)アクリル化合物に由来するピーク面積が、ポリマーPのピーク面積に対し、3~50%となる量、特に5~48%となる量であることが好ましく、単官能(メタ)アクリル化合物に由来するピーク面積が、ポリマーPのピーク面積に対し、1~50%となる量、特に2~35%となる量であることが好ましい。これにより、このポリマー溶液を含む感光性樹脂組成物は、良好なアルカリ可溶性を有するとともに、フォトリソグラフィーにおける良好な感度を有する。
[ポリマー溶液]
本実施形態のポリマー溶液は、上述のポリマーPを含む。
本実施形態のポリマー溶液は、ポリマーPとともに、多官能(メタ)アクリル化合物および単官能(メタ)アクリル化合物から選択される少なくとも1つを含んでもよい。
(多官能(メタ)アクリル化合物)
本実施形態のポリマー溶液に含まれ得る多官能(メタ)アクリル化合物、または単官能(メタ)アクリル化合物は、ポリマーPの製造における上記工程IIにおいて使用された(メタ)アクリル化合物の未反応物であってもよいし、別途添加されたものであってもよい。
ポリマー溶液に配合することができる多官能(メタ)アクリル化合物としては、例えば、以下の式(1b-p)で表される化合物、式(1c-p)で表される化合物、および式(1d-p)で表される化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
Figure 2023016041000051
Figure 2023016041000052
Figure 2023016041000053
式(1b-p)におけるk、R、X、X'およびXの定義および具体的態様は、上述の式(1b)におけるものと同様である。また式(1c-p)におけるk、R、X、X、X、X、XおよびXの定義および具体的態様は、上述の式(1c)におけるものと同様である。
式(1b-p)、式(1c-p)および式(1d-p)におけるYは、水素原子または(メタ)アクリロイル基、あるいはそれらの組み合せである。
式(1b-p)、式(1c-p)および式(1d-p)においてYが水素原子である化合物は、未反応モノマー(すなわち、式(1b-p)、式(1c-p)および式(1d-p)で表される化合物)であってもよく、別途添加することもできる。
式(1d-p)におけるnは、2以上の整数であり、好ましくは、2~5の整数であり、より好ましくは2~3の整数である。
本実施形態のポリマー溶液に、ポリマーPの製造において使用された多官能(メタ)アクリル化合物の未反応物とは別に多官能(メタ)アクリル化合物が配合される場合、その配合量は、当該ポリマー溶液のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)チャートにおける多官能(メタ)アクリル化合物に由来するピーク面積が、ポリマーPのピーク面積に対し、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは2%以下となる量で配合することができる。
(単官能(メタ)アクリル化合物)
本実施形態のポリマー溶液に配合される単官能(メタ)アクリル化合物としては、以下の式(2a-m)で表される化合物が挙げられる。式(2a-m)において、X10およびRの定義については式(2a)におけるものと同様である。
Figure 2023016041000054
本実施形態のポリマー溶液に、ポリマーPの製造において使用された単官能(メタ)アクリル化合物の未反応物とは別に単官能(メタ)アクリル化合物が配合される場合、その配合量は、当該ポリマー溶液のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)チャートにおける単官能(メタ)アクリル化合物に由来するピーク面積が、ポリマーPのピーク面積に対し、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは2%以下となる量で配合することができる。
本実施形態のポリマー溶液は、典型的には、有機溶剤を含み、液体またはワニスの形態で提供される。有機溶剤としては、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、ラクトン系溶剤、カーボネート系溶剤などのうち1種または2種以上を用いることができる。
有機溶剤の具体例としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、γ-ブチルラクトン、N-メチルピロリドンおよびシクロヘキサノン等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機溶剤の使用量は特に限定されないが、不揮発成分の濃度が例えば10~70質量%、好ましくは15~60質量%となるような量で使用される。
[ポリマー溶液の製造]
本実施形態のポリマー溶液は、上記成分を、公知の方法で混合することにより作製することができる。本実施形態のポリマー溶液は、以下で説明する感光性樹脂組成物の樹脂材料として用いられる。
[感光性樹脂組成物]
本実施形態の感光性樹脂組成物は、上述のポリマーPと、光重合開始剤とを含む。すなわち、本実施形態の感光性樹脂組成物は、上述の本実施形態のポリマー溶液と、光重合開始剤とを含む。以下に各成分について説明する。
(光重合開始剤)
本実施形態の感光性樹脂組成物に用いられる光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤が挙げられる。光ラジカル重合開始剤としては、公知の化合物を用いることができ、例えば、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシー2-フェニルアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-〔4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル〕フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-〔(4-メチルフェニル)メチル〕-1-〔4-(4-モルホリニル)フェニル〕-1-ブタノン等のアルキルフェノン系化合物;ベンゾフェノン、4,4'-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2-カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテ等のベンゾイン系化合物;チオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシカルボキニルナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン等のハロメチル化トリアジン系化合物;2-トリクロロメチル-5-(2'-ベンゾフリル)-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-〔β-(2'-ベンゾフリル)ビニル〕-1,3,4-オキサジアゾール、4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-フリル-1,3,4-オキサジアゾール等のハロメチル化オキサジアゾール系化合物;2,2'-ビス(2-クロロフェニル)-4,4',5,5'-テトラフェニル-1,2'-ビイミダゾール、2,2'-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4',5,5'-テトラフェニル-1,2'-ビイミダゾール、2,2'-ビス(2,4,6-トリクロロフェニル)-4,4',5,5'-テトラフェニル-1,2'-ビイミダゾール等のビイミダゾール系化合物;1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)-2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、エタノン,1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル系化合物;ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム等のチタノセン系化合物;p-ジメチルアミノ安息香酸、p-ジエチルアミノ安息香酸等の安息香酸エステル系化合物;9-フェニルアクリジン等のアクリジン系化合物;等が挙げられる。光ラジカル重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光ラジカル重合開始剤は、ポリマー100質量部に対し、例えば、1~20質量部の量で、好ましくは、3~10質量部の量で用いられる。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、上記成分を含むことにより、フォトリソグラフィー処理において高い感度を有するとともに、すぐれたアルカリ溶解性を有する。そのため、感光性樹脂組成物は、フォトリソグラフィー法において優れた現像性、優れた加工性を備える。
(着色剤)
一態様として、感光性樹脂組成物は着色剤を含んでもよい。着色剤を含むことで、液晶表示装置や固体撮像素子のカラーフィルタの形成材料として好ましく用いることができる。着色剤としては、種々の顔料または染料を用いることができる。
顔料としては有機顔料や無機顔料を用いることができる。
有機顔料としては、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリノン系顔料、イソインドリン系顔料、ジオキサジン系顔料、チオインジゴ系顔料、アントラキノン系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、キサンテン系顔料、ピロメテン系顔料、染料レーキ系顔料等を使用することができる。
無機顔料としては、白色・体質顔料(酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、クレー、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等)、有彩顔料(黄鉛、カドミニウム系、クロムバーミリオン、ニッケルチタン、クロムチタン、黄色酸化鉄、ベンガラ、ジンククロメート、鉛丹、群青、紺青、コバルトブルー、クロムグリーン、酸化クロム、バナジン酸ビスマス等)、光輝材顔料(パール顔料、アルミ顔料、ブロンズ顔料等)、蛍光顔料(硫化亜鉛、硫化ストロンチウム、アルミン酸ストロンチウム等)を使用することができる。
染料としては、例えば、特開2003-270428号公報や特開平9-171108号公報、特開2008-50599号公報等に記載されている公知の染料を使用することができる。
感光性樹脂組成物が着色剤を含む場合、感光性樹脂組成物は着色剤を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
着色剤(特に顔料)は、目的や用途に応じて、適切な平均粒子径を有するものを使用できるが、特にカラーフィルタのような透明性が要求される場合は、0.1μm以下の小さい平均粒子径が好ましく、その他、塗料などの隠蔽性が必要とされる場合は、0.5μm以上の大きい平均粒子径が好ましい。
着色剤は、目的や用途に応じて、ロジン処理、界面活性剤処理、樹脂系分散剤処理、顔料誘導体処理、酸化皮膜処理、シリカコーティング、ワックスコーティングなどの表面処理がなされていてもよい。
感光性樹脂組成物が着色剤を含む場合、その量は目的や用途に応じて適宜設定すればよいが、着色濃度と着色剤の分散安定性との両立などから、感光性樹脂組成物の不揮発成分(溶剤を除く成分)全体に対して、好ましくは3~70質量%であり、より好ましくは5~60質量%、さらに好ましくは10~50質量%である。
(界面活性剤)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、界面活性剤を含むことができ、界面活性剤としては非イオン性界面活性剤が好ましい。
非イオン性界面活性剤を含むことにより、前記感光性樹脂組成物を基材上に塗布して樹脂膜を得る際の塗布性が良好となり、均一な厚みの塗布膜を得ることができる。また、塗布膜を現像する際の残渣やパターン浮き上がりを防止することができる。
非イオン性界面活性剤は、たとえばフッ素基(たとえば、フッ素化アルキル基)もしくはシラノール基を含む化合物、またはシロキサン結合を主骨格とする化合物である。本実施形態においては、非イオン性界面活性剤として、フッ素系界面活性剤またはシリコーン系界面活性剤を含むものを用いることがより好ましく、フッ素系界面活性剤を用いることがとくに好ましい。フッ素系界面活性剤としては例えば、DIC(株)製のメガファックF-171、F-173、F-444、F-470、F-471、F-475、F-482、F-477、F-554、F-556、およびF-557、住友スリーエム(株)製のノベックFC4430、及びFC4432等が挙げられるが、これらに限定されない。
界面活性剤を使用する場合の界面活性剤の配合量としては、樹脂100質量部に対して、0.01~10重量%が好ましい。
(溶剤)
感光性樹脂組成物は、典型的には、溶剤を含むことができる。溶剤としては有機溶剤が好ましく用いられる。具体的には、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、ラクトン系溶剤、カーボネート系溶剤などのうち1種または2種以上を用いることができる。
溶剤の例としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、乳酸エチル、メチルイソブチルカルビノール(MIBC)、ガンマブチロラクトン(GBL)、N-メチルピロリドン(NMP)、メチル-n-アミルケトン(MAK)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、またはこれらの混合物を挙げることができる。
溶剤の使用量は特に限定されないが、不揮発成分の濃度が例えば10~70質量%、好ましくは15~60質量%となるような量で使用される。
(遮光剤)
本実施形態の樹脂組成物は、遮光剤を含むことができる。感光性樹脂組成物は遮光剤を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
感光性樹脂組成物が遮光剤を含む場合、その量は目的や用途に応じて適宜設定すればよいが、遮光性能と遮光剤の分散安定性との両立などから、感光性樹脂組成物の不揮発成分(溶剤を除く成分)全体に対して、好ましくは3~70質量%であり、より好ましくは5~60質量%、さらに好ましくは10~50質量%である。
(架橋剤)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、架橋剤を含むことができる。
架橋剤は、光重合開始剤から発生する活性化学種の作用によりポリマーを架橋可能なもの(ポリマーと化学結合することができるもの)であれば、特に限定されない。
架橋剤は、ポリマーとのみ化学結合するのではなく、架橋剤同士で反応して結合形成してもよい。
架橋剤は、例えば、一分子中に2以上の重合性二重結合を有する多官能化合物が好ましく、一分子中に2以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリル化合物であることがより好ましい(ただし、架橋剤は、前述のポリマーには該当しない)。ポリマーが有する架橋性基(重合性二重結合)と同種の架橋性基を有する架橋剤を用いることが、均一な硬化性、感度の更なる向上などの点で好ましい。
架橋剤一分子あたりの官能数(重合性二重結合の数)の上限は特にないが、例えば8以下、好ましくは6以下である。
架橋剤として具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン付加ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン付加ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン付加ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の、多官能(メタ)アクリレート類;
エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキシドジビニルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキシドジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキシド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、エチレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキシド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル等の、多官能ビニルエーテル類;
(メタ)アクリル酸2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1-メチル-2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸5-ビニロキシペンチル、(メタ)アクリル酸6-ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4-ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p-ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル等の、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
エチレングリコールジアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、プロピレングリコールジアリルエーテル、ブチレングリコールジアリルエーテル、ヘキサンジオールジアリルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキシドジアリルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキシドジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラアリルエーテル、グリセリントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタアリルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサアリルエーテル、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリアリルエーテル、エチレンオキシド付加ジトリメチロールプロパンテトラアリルエーテル、エチレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、エチレンオキシド付加ジペンタエリスリトールヘキサアリルエーテル等の、多官能アリルエーテル類;
(メタ)アクリル酸アリル等の、アリル基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、アルキレンオキシド付加トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、アルキレンオキシド付加トリ(メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等の、多官能(メタ)アクリロイル基含有イソシアヌレート類;
トリアリルイソシアヌレート等の、多官能アリル基含有イソシアヌレート類;
トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の多官能イソシアネートと(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル等の、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類との反応で得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレート類;
ジビニルベンゼン等の、多官能芳香族ビニル類;
等を挙げることができる。
なかでも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の三官能(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の四官能(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の六官能(メタ)アクリレートが好ましい。
感光性樹脂組成物が架橋剤を含む場合、感光性樹脂組成物は架橋剤を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。感光性樹脂組成物が架橋剤を含む場合、その量は目的や用途に応じて適宜設定すればよい。一例として、架橋剤の量は、感光性樹脂100質量部に対して通常30~70質量部、好ましくは40~60質量部程度とすることができる。
(その他の添加剤)
感光性樹脂組成物は、各種目的や要求特性に応じて、フィラー、上述のポリマー以外のバインダー樹脂、酸発生剤、耐熱向上剤、現像助剤、可塑剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、艶消し剤、消泡剤、レベリング剤、帯電防止剤、分散剤、スリップ剤、表面改質剤、揺変化剤、揺変助剤、シランカップリング剤、多価フェノール化合物等の成分を含んでもよい。
[用途]
上述の感光性樹脂組成物を用いて膜形成し、その膜を露光・現像してパターンを形成することにより、パターン付フィルムを得ることができる。このフィルムは、カラーフィルタ、ブラックマトリクス、スペーサー(例えば、フォトスペーサー、着色スペーサー、ブラックスペーサー)、隔壁材(例えば、透明バンク、ブラックバンク)などに適用される。つまり、着色剤を含む感光性樹脂組成物を用いてパターンを形成することで、カラーフィルタを得ることができる。また、遮光剤を含む感光性樹脂組成物を用いてパターンを形成することで、ブラックマトリックスを得ることができる。また感光性樹脂組成物を形成することで、スペーサー、または隔壁材を得ることができる。そして、カラーフィルタ、ブラックマトリクス、スペーサー、または隔壁材を備える液晶表示装置や固体撮像素子を製造することができる。
パターンを形成する典型的な手順を説明する。
(感光性樹脂膜の形成)
例えば、上記の感光性樹脂組成物を、任意の基板上に塗布し、必要に応じて乾燥させることで、まず、感光性樹脂膜を得る。
組成物を塗布する基板は特に限定されない。例えば、ガラス基板、シリコンウエハ、セラミック基板、アルミ基板、SiCウエハー、GaNウエハー、銅張積層板などが挙げられる。
基板は、未加工の基板であっても、電極や素子が表面に形成された基板であってもよい。接着性の向上のために表面処理さていてもよい。
感光性樹脂組成物の塗布方法は特に限定されない。スピナーを用いた回転塗布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティング、インクジェット法などにより行うことができる。
基板上に塗布した感光性樹脂組成物の乾燥は、典型的にはホットプレート、熱風、オーブン等で加熱処理することで行われる。加熱温度は、通常80~140℃、好ましくは90~120℃である。また、加熱の時間は、通常30~600秒、好ましくは30~300秒程度である。
感光性樹脂膜の膜厚は、特に限定されず、最終的に得ようとするパターンに応じて適宜調整すればよいが、通常0.5~10μm、好ましくは1~5μmである。なお、膜厚は、感光性樹脂組成物中の溶剤の含有量や塗布方法などにより調整可能である。
(露光)
露光は、典型的には、適当なフォトマスクを介して活性光線を感光性樹脂膜に当てることで行う。
活性光線としては、例えばX線、電子線、紫外線、可視光線などが挙げられる。波長でいうと200~500nmの光が好ましい。パターンの解像度や取り扱い性の点で、光源は水銀ランプのg線、h線又はi線であることが好ましく、特にi線が好ましい。また、2つ以上の光線を混合して用いてもよい。露光装置としては、コンタクトアライナー、ミラープロジェクション又はステッパ-が好ましい。
露光の光量は、感光性樹脂膜中の感光剤の量などにより適宜調整すればよいが、例えば100~500mJ/cm程度である。
なお、露光後、必要に応じて、感光性樹脂膜を再度加熱してもよい(露光後加熱:Post Exposure Bake)。その温度は、例えば70~150℃、好ましくは90~120℃である。また、時間は、例えば30~600秒、好ましくは30~300秒である。露光後加熱をすることで、光ラジカル重合開始剤から発生したラジカルによる反応が促進され、硬化反応が一層促される。
(現像)
露光された感光性樹脂膜を、適当な現像液により現像することで、パターンを得ること、また、パターンを備えた基板を製造することができる。
本実施形態のポリマー溶液を含む感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂膜は、基板への密着性に優れることから、現像工程においてパターンの剥離が抑制される。
現像工程においては、適当な現像液を用いて、例えば浸漬法、パドル法、回転スプレー法などの方法を用いて現像を行うことができる。現像により、感光性樹脂膜の露光部(ポジ型の場合)又は未露光部(ネガ型の場合)が溶出除去され、パターンが得られる。
使用可能な現像液は特に限定されない。例えば、アルカリ水溶液や有機溶剤が使用可能である。
アルカリ水溶液として具体的には、(i)水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニアなどの無機アルカリ水溶液、(ii)エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミンなどの有機アミン水溶液、(iii)テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなどの4級アンモニウム塩の水溶液などが挙げられる。
本実施形態のポリマーは、アルカリ溶解性が調整され、感度に優れることから、TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)溶液等の強塩基性現像液を用いる場合において、露光、現像後のパターンを設計通りの形状とすることができる。
有機溶剤として具体的には、シクロペンタノンなどのケトン系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)や酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル系溶剤、等が挙げられる。
現像液には、例えばメタノール、エタノールなどの水溶性有機溶媒や、界面活性剤などが添加されていてもよい。
本実施形態においては、現像液としてアルカリ水溶液を用いることが好ましく、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、炭酸ナトリウム水溶液、または水酸化カリウム水溶液を用いることがより好ましい。
アルカリ水溶液の濃度は、好ましくは0.01~10質量%であり、更に好ましくは0.5~5質量%である。
以上の工程により、パターンを得ること/パターンを備えた基板を製造することができるが、現像の後、様々な処理を行ってもよい。
例えば、現像の後、リンス液によりパターンおよび基板を洗浄してもよい。リンス液としては、例えば蒸留水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、得られたパターンを加熱して十分に硬化させるようにしてもよい。加熱温度は、典型的には150~400℃、好ましくは160~300℃、より好ましくは200~250℃である。加熱時間は特に限定されないが、例えば15~300分の範囲内である。この加熱処理は、ホットプレート、オーブン、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンなどにより行うことが出来る。加熱処理を行う際の雰囲気気体としては、空気であっても、窒素、アルゴンなどの不活性ガスであってもよい。また、減圧下で加熱してもよい。
カラーフィルタおよび/またはブラックマトリクスを備える、液晶表示装置および/または固体撮像素子の構造の一例について、図1に模式的に示す。なお、ブラックマトリクスをブラックバンクとしてもよいが、以下では、カラーフィルタおよびブラックマトリクスを備える液晶表示装置および/または固体撮像素子について説明する。
基板10上には、ブラックマトリクス11とカラーフィルタ12が形成されている。また、このブラックマトリクス11とカラーフィルタ12の上部に保護膜13および透明電極層14が設けられている。
基板10は、通常、光を通過する材料により構成されるものであり、たとえば、ガラスの他、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスルホン、環状オレフィンの重合体などにより構成される。基板10は、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン処理、薬液処理等が施されたものであってもよい。
基板10は、好ましくはガラスより構成される。
ブラックマトリクス11は、たとえば、遮光剤を含む感光性樹脂組成物の硬化物によって構成される。
カラーフィルタ12としては、通常、赤、緑、青の三色が存在する。カラーフィルタ12は、各色に応じた着色剤を含む感光性樹脂組成物の硬化物により構成される。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下に、本発明のさらなる実施形態の例を付記する。
[1] 下記式(NBm)で表されるモノマーと、下記式(MIm)で表されるモノマーと、下記式(MAm)で表されるモノマーとを含むモノマー組成物を、単官能または2官能以上のチオール基含有化合物の存在下で重合させて原料ポリマーを調製する工程と、
前記原料ポリマーを、塩基性触媒の存在下で、ヒドロキシル基および2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、および/またはヒドロキシル基および1つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物と反応させてポリマーを得る工程と、を含むポリマーの製造方法であって、
Figure 2023016041000055
式(NBm)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~30の有機基であり、aは0、1または2であり、
Figure 2023016041000056
式(MIm)中、R11は、水素原子または炭素数1~30の有機基であり、R12およびR13は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~3の有機基であり、
Figure 2023016041000057
式(MAm)中、R21およびR22は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~3の有機基であり、
当該ポリマーの重量平均分子量が、7,000以上20,000以下である、
ポリマーの製造方法。
[2] 下記式(NBm)で表されるモノマーと、下記式(MIm)で表されるモノマーと、下記式(MAm)で表されるモノマーとを含むモノマー組成物を、単官能または2官能以上のチオール基含有化合物の存在下で重合させて原料ポリマーを調製する工程と、
前記原料ポリマーを、塩基性触媒の存在下で、ヒドロキシル基および2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、および/またはヒドロキシル基および1つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物と反応させて、ポリマー前駆体を調製する工程と、
前記ポリマー前駆体を、塩基性触媒の存在下で、水で処理することによりポリマーを得る工程と、を含むポリマーの製造方法であって、
Figure 2023016041000058
式(NBm)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~30の有機基であり、aは0、1または2であり、
Figure 2023016041000059
式(MIm)中、R11は、水素原子または炭素数1~30の有機基であり、R12およびR13は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~3の有機基であり、
Figure 2023016041000060
式(MAm)中、R21およびR22は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~3の有機基であり、
当該ポリマーの重量平均分子量が、7,000以上20,000以下である、
ポリマーの製造方法。
[3] 前記単官能または2官能以上のチオール基含有化合物が、式(s-1)~式(s-21)から選択される少なくとも1つの化合物である、[1]または[2]に記載のポリマーの製造方法。
Figure 2023016041000061
[4] [1]~[3]のいずれかに記載のポリマーの製造方法により得られたポリマーを含む、ポリマー溶液。
[5] [4]に記載のポリマー溶液であって、
多官能(メタ)アクリル化合物もしくは単官能(メタ)アクリル化合物、またはこれらの組み合わせをさらに含む、ポリマー溶液。
[6] [4]または[5]に記載のポリマー溶液であって、
カラーフィルタ、ブラックマトリクス、スペーサーまたは隔壁材の形成に用いられる、ポリマー溶液。
[7] [1]~[3]のいずれかに記載のポリマーの製造方法により得られたポリマーと、
光ラジカル重合開始剤と、を含む、
感光性樹脂組成物。
[8] [7]に記載の感光性樹脂組成物より形成される、硬化物。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例中の使用化合物については、以下の略号または商品名で示す場合がある。
・MAN:無水マレイン酸
・NB:2-ノルボルネン
・PhMI:N-フェニルマレイミド
・CyHMI:N-シクロヘキシルマレイミド
・HMI:マレイミド
・MEK:メチルエチルケトン
・PEMP:ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、上記式(s-2)のチオール基含有化合物(SC有機化学株式会社製)
・4-HBA:4-ヒドロキシブチルアクリレート
・A-TMM-3LM-N:以下2種の化合物の混合物、ガスクロマトグラフ測定に基づく混合物中の左の化合物の量は約57%(新中村化学工業株式会社製)
Figure 2023016041000062
<原料ポリマーの合成>
(原料ポリマー1の合成)
撹拌機および冷却管および滴下漏斗を備えた反応容器内に、2-ノルボルネンの75%トルエン溶液602.56g(2-ノルボルネン換算451.92g、4.8mol)、無水マレイン酸(MAN、470.69g、4.8mol)およびメチルエチルケトン(MEK)2281.74gを加え、撹拌・溶解させた。次いで、窒素バブリングにより系内の溶存酸素を除去したのち、加温し、内温が80℃に到達したところで、2,2'-アゾビスイソ酪酸ジメチル(和光純薬工業製,商品名:V-601、44.21g、0.19mol)およびPEMP(93.82g、0.19mol)をMEK193.4gに溶解させた溶液を1時間かけて添加した。その後、さらに80℃で7時間反応させた。次いで、反応混合物を室温まで冷却した。上記で得られた重合溶液を、メタノール3686.4gに滴下することで白色固体を沈殿させた。得られた白色固体を、さらにメタノール3686.4gで洗浄した後、温度120℃で真空乾燥することにより、2-ノルボルネンに由来する構造単位と、無水マレイン酸に由来する構造単位とを備えるポリマー(原料ポリマー1)910.1gを得た。
得られた原料ポリマー1をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した結果、重量平均分子量Mwは3500であり、多分散度(重量平均分子量Mw)/(数平均分子量Mn)は1.62であった。
(原料ポリマー1に含まれるチオエーテル構造の確認)
以下の化学式で示されるPEMP単体の13C-NMR測定により、炭素a由来のピークaが19.0ppm付近に、炭素b由来のピークbが62.0ppm付近に確認された。
Figure 2023016041000063
PEMPを使用して合成した原料ポリマー1の13C-NMR測定において、62.0ppm付近に、炭素b由来のピークbの出現を確認した。反応溶液のGPC測定で、PEMP単体のピークが認められず、未反応のPEMPが残っていないことから、PEMPが原料ポリマー1中に取り込まれたことを確認した。
また、原料ポリマー1の13C-NMR測定では、炭素a由来のピークaが確認されず、代わりに28ppm付近にチオエーテル(R-S-R')に対応するピークcが出現した。このピークcの積分値はピークbの積分値のおよそ2倍になっていることから、原料ポリマー1は下記のようなチオエーテル基を有する骨格を備えており、チオール基は消失していた。
Figure 2023016041000064
13C-NMR測定の条件は以下の通りである。
(試験条件)測定サンプルは、秤量した試料に測定溶媒を加えて濃度調製した後、NMR測定用試料管に規定分量注いで作製した。
・測定装置:日本電子JNM-ECA400超伝導FT-NMR装置
・共鳴周波数:100.53MHz
・測定核:13
・測定法:NNE測定(インバースゲートデカップリング法)
・パルス幅:3.83μsec
・パルス繰り返し待ち時間:30s
・積算回数:4096回
・測定温度:室温
・測定溶媒:DMSO-d(重水素化ジメチルスルホキシド)
・試料濃度:20%(w/v)
得られたポリマー中の硫黄量を、フラスコ燃焼、イオンクロマト法による元素分析により確認し、ポリマー中に硫黄元素が存在していることを確認した。またメタノール滴下前の反応溶液のGPC測定においてもPEMP由来のピークが消失しており、原料ポリマー1中にPEMPが取り込まれたことを確認した。
元素分析した結果、原料ポリマー1中の硫黄含有量は2.4wt%であった。
(原料ポリマー2の合成)
撹拌機および冷却管を備えた適切なサイズの反応容器に、無水マレイン酸90.22g(0.920モル)と、2-ノルボルネンの75%トルエン溶液144.36g(2-ノルボルネン換算108.27g、1.150モル)、N-フェニルマレイミド39.83g(0.230モル)とを計量して入れた。これらを、メチルエチルケトン178.40gに溶解させ、溶解液を作製した。
この溶解液に対して、30分間窒素を通気して酸素を除去し、次いで、加温し、内温が80℃に到達したところで、2,2'-アゾビスイソ酪酸ジメチル(和光純薬工業製,商品名:V-601、10.59g、0.046mol)をMEK132.39gに溶解させた溶液を1時間かけて添加した。その後、さらに80℃で7時間反応させた。次いで、反応混合物を室温まで冷却することで、無水マレイン酸と、2-ノルボルネンと、N-フェニルマレイミドとを重合させ、重合溶液を作製した。
上記で得られた重合溶液を、メタノール2607.05gに滴下することで白色固体を沈殿させた。得られた白色固体を、さらにメタノール651.7gで洗浄した後、温度120℃で真空乾燥することにより、2-ノルボルネンに由来する構造単位と、N-フェニルマレイミドに由来する構造単位と、無水マレイン酸に由来する構造単位とを備えるポリマー(原料ポリマー2)200.1gを得た。
得られた原料ポリマー2をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した結果、重量平均分子量Mwは7,200であり、多分散度(重量平均分子量Mw)/(数平均分子量Mn)は2.07であった。
(原料ポリマー3の合成)
撹拌機および冷却管および滴下漏斗を備えた反応容器内に、2-ノルボルネンの75%トルエン溶液144.36g(2-ノルボルネン換算108.27g、1.150モル)、無水マレイン酸(MAN、90.22g(0.920モル)、N-フェニルマレイミド39.83g(0.230モル)、メチルエチルケトン(MEK)122.77gを加え、撹拌・溶解させた。次いで、窒素バブリングにより系内の溶存酸素を除去したのち、加温し、内温が80℃に到達したところで、2,2'-アゾビスイソ酪酸ジメチル(和光純薬工業製,商品名:V-601、10.59g、0.046mol)およびPEMP(22.48g、0.046mol)をMEK91.11gに溶解させた溶液を1時間かけて添加した。その後、さらに80℃で7時間反応させた。次いで、反応混合物を室温まで冷却した。上記で得られた重合溶液を、メタノール2457.3gに滴下することで白色固体を沈殿させた。得られた白色固体を、さらにメタノール614.3gで洗浄した後、温度120℃で真空乾燥することにより、2-ノルボルネンに由来する構造単位と、N-フェニルマレイミドに由来する構造単位と、無水マレイン酸に由来する構造単位とを備えるポリマー(原料ポリマー3)209.9gを得た。
得られたポリマーをゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した結果、重量平均分子量Mwは3,700であり、多分散度(重量平均分子量Mw)/(数平均分子量Mn)は2.74であった。原料ポリマー3について、13C-NMRにより算出した原料ポリマー中に実際に導入された各モノマー由来の構造の比率はノルボルネン:N-フェニルマレイミド:無水マレイン酸=52.0%:11.6%:36.4%であり、原料ポリマー中に実際に導入されたPEMP量は各モノマーの合計量に対し、2.3モル%であった。
得られた原料ポリマー3中の硫黄量を、フラスコ燃焼、イオンクロマト法による元素分析により確認し、原料ポリマー3中に硫黄元素が存在していることを確認した。またメタノール滴下前の反応溶液のGPC測定においてもPEMP由来のピークが消失しており、ポリマー中にPEMPが取り込まれたことを確認した。
(原料ポリマー3の構造の確認)
原料ポリマー3における、PEMP由来の構造単位、N-フェニルマレイミド(PhMI)由来の構造単位(式(MI)の構造単位)、無水マレイン酸由来の構造単位(式(MA)の構造単位)、およびノルボルネン由来の構造(式(NB)の構造単位)の量(モル分率、モル%)を、13C-NMRの積分値解析により算出した。13C-NMRチャートは図2に示す。
13C-NMRチャートの化学シフトを、以下のとおり各構造単位に帰属し、対応する積分値を測定した。
・PEMPのk(4C):62.0~64.0ppm
・PhMI芳香環(6C):126.0~134.0ppm
・無水マレイン酸エステル(2C)+PEMPのg(4C):170.0~174.7ppm
・マレイン酸エステル(2C)(無水マレイン酸が開環した構造):174.7~178.0ppm
・アルキル鎖:20~60ppm
・DMSO:40ppm付近
・ノルボルネン(7C)=アルキル鎖-DMSO-PEMP(9C、h+i+j)-無水マレイン酸(2C)-マレイン酸(2C)-PhMI(2C)
ここで原料ポリマー中に実際に導入された無水マレイン酸由来の構造比率は、式(MA)の構造単位に加え、無水マレイン酸が開環したマレイン酸の構造も含めて、算出した。
(原料ポリマー4の合成)
PEMPの量を11.24g(0.023モル)にした以外は原料ポリマー3と同様にしてノルボルネンに由来する構造単位と、N-フェニルマレイミドに由来する構造単位と、無水マレイン酸に由来する構造単位とを備えるポリマー(原料ポリマー4)206.0gを得た。得られた原料ポリマー4をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した結果、重量平均分子量Mwは5,500あり、多分散度(重量平均分子量Mw)/(数平均分子量Mn)は1.85であった。
[原料ポリマー4の構造解析]
原料ポリマー4の合成は、反応開始時においては、溶剤中にモノマーおよびPEMPが溶解した状態でスタートし、その後、反応が進行してポリマーが生成する。反応溶液および得られたポリマーのそれぞれについて分析したところ、以下の結果が得られた。
(a)反応溶液の分析
再沈殿精製前の反応溶液のGPC測定で、PEMP単体のピークが認められなかった。すなわち、反応溶液中にPEMPが残存していないことが確認された。また、再沈殿精製前の反応溶液のGC(ガスクロマトグラフィー)測定で、反応前と比べ、反応後の反応溶液中のノルボルネン単体、N-フェニルマレイミド単体、無水マレイン酸単体のピークが減少しており、ノルボルネン単体、N-フェニルマレイミドおよび無水マレイン酸が反応し、ポリマーを形成していることが確認された。
ガスクロマトグラフィー測定の測定条件は下記の通りであった。
・GC装置:GC-2030(株式会社島津製作所)
・キャリアガス:N
・検出器:水素炎イオン化(FID)検出器 、FID温度:300℃
・カラム:SH-RXi-1HT、内径0.25、長さ30m、膜厚0.25μm(株式会社島津ジーエルシー)
・気化室温度:210℃
・カラム流量:0.64mL/min
・カラム昇温条件:50℃5minホールド、20℃/minで300℃まで昇温、300℃10minホールド
(b)ポリマーの分析
再沈殿精製後のポリマーのGPC測定で、PEMP単体、ノルボルネン単体、N-フェニルマレイミド単体、無水マレイン酸単体のピークが認められなかった。すなわち、ポリマー中にPEMP、ノルボルネン単体、N-フェニルマレイミド単体および無水マレイン酸単体が残存していないことが確認された。
得られた原料ポリマー4中の硫黄量を、フラスコ燃焼、イオンクロマト法による元素分析により確認し、原料ポリマー4中に硫黄元素が存在していることを確認した。またメタノール滴下前の反応溶液のGPC測定においてもPEMP由来のピークが消失しており、原料ポリマー4中にPEMPが取り込まれたことを確認した。
また、原料ポリマー4の13C-NMR測定により、PEMPが原料ポリマー4中に取り込まれたことを確認した。
(原料ポリマー5の合成)
PEMPの量を5.62g(0.012モル)にした以外は原料ポリマー4と同様にして-ノルボルネンに由来する構造単位と、N-フェニルマレイミドに由来する構造単位と、無水マレイン酸に由来する構造単位とを備えるポリマー(原料ポリマー5)205.1gを得た。
得られた原料ポリマー5をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した結果、重量平均分子量Mwは6,300であり、多分散度(重量平均分子量Mw)/(数平均分子量Mn)は1.82あった。
得られた原料ポリマー5中の硫黄量を、フラスコ燃焼、イオンクロマト法による元素分析により確認し、原料ポリマー5中に硫黄元素が存在していることを確認した。またメタノール滴下前の反応溶液のGPC測定においてもPEMP由来のピークが消失しており、原料ポリマー5中にPEMPが取り込まれたことを確認した。
また、原料ポリマー5の13C-NMR測定により、PEMPが原料ポリマー5中に取り込まれたことを確認した。
(原料ポリマー6の合成)
無水マレイン酸の量を67.67g(0.690mol)、N-フェニルマレイミドの量を79.66g(0.460モル)にした以外は原料ポリマー4と同様にして2-ノルボルネンに由来する構造単位と、N-フェニルマレイミドに由来する構造単位と、無水マレイン酸に由来する構造単位とを備えるポリマー(原料ポリマー6)118.0gを得た。得られた原料ポリマー6をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した結果、重量平均分子量Mwは5,300であり、多分散度(重量平均分子量Mw)/(数平均分子量Mn)は1.76であった。
得られた原料ポリマー6中の硫黄量を、フラスコ燃焼、イオンクロマト法による元素分析により確認し、原料ポリマー6中に硫黄元素が存在していることを確認した。またメタノール滴下前の反応溶液のGPC測定においてもPEMP由来のピークが消失しており、原料ポリマー6中にPEMPが取り込まれたことを確認した。
また、原料ポリマー6の13C-NMR測定により、PEMPが原料ポリマー6中に取り込まれたことを確認した。
(原料ポリマー7の合成)
N-フェニルマレイミド39.83g(0.230モル)をN-シクロヘキシルマレイミド41.22g(0.230モル)に変えた以外は原料ポリマー3と同様にして2-ノルボルネンに由来する構造単位と、N-シクロヘキシルマレイミドに由来する構造単位と、無水マレイン酸に由来する構造単位とを備えるポリマー(原料ポリマー7)226.1gを得た。
得られたポリマーをゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した結果、重量平均分子量Mwは4,300であり、多分散度(重量平均分子量Mw)/(数平均分子量Mn)は1.79であった。原料ポリマー7について、13C-NMRにより算出した原料ポリマー中に実際に導入された各モノマー由来の構造の比率はノルボルネン::N-シクロヘキシルマレイミド:無水マレイン酸=48.8%:6.2%:45%であり、原料ポリマー中に実際に導入されたPEMP量は各モノマーの合計量に対し、2.2モル%であった。
[原料ポリマー7の構造解析]
原料ポリマー7の合成は、反応開始時においては、溶剤中にモノマーおよびPEMPが溶解した状態でスタートし、その後、反応が進行してポリマーが生成する。反応溶液および得られたポリマーのそれぞれについて分析したところ、以下の結果が得られた。
(a)反応溶液の分析
再沈殿精製前の反応溶液のGPC測定で、PEMP単体のピークが認められなかった。すなわち、反応溶液中にPEMPが残存していないことが確認された。また、再沈殿精製前の反応溶液のGC(ガスクロマトグラフィー)測定で、反応前と比べ、反応後の反応溶液中のノルボルネン単体、N-シクロヘキシルマレイミド単体、無水マレイン酸単体のピークが減少しており、ノルボルネン単体、N-シクロヘキシルマレイミドおよび無水マレイン酸が反応し、ポリマーを形成していることが確認された。
(b)ポリマーの分析
再沈殿精製後のポリマーのGPC測定で、PEMP単体、ノルボルネン単体、N-シクロヘキシルマレイミド単体、無水マレイン酸単体のピークが認められなかった。すなわち、ポリマー中にPEMP、ノルボルネン単体、N-シクロヘキシルマレイミド単体および無水マレイン酸単体が残存していないことが確認された。
得られた原料ポリマー7中の硫黄量を、フラスコ燃焼、イオンクロマト法による元素分析により確認し、原料ポリマー7中に硫黄元素が存在していることを確認した。またメタノール滴下前の反応溶液のGPC測定においてもPEMP由来のピークが消失しており、ポリマー中にPEMPが取り込まれたことを確認した。
(原料ポリマー7の構造の確認)
原料ポリマー7における、PEMP由来の構造単位、N-シクロヘキシルマレイミド(CyHMI)由来の構造単位(式(MI)の構造単位)、無水マレイン酸由来の構造単位(式(MA)の構造単位)、およびノルボルネン由来の構造(式(NB)の構造単位)の量(モル分率、モル%)を、13C-NMRの積分値解析により算出した。13C-NMRチャートは図3に示す。
13C-NMRチャートの化学シフトを、以下のとおり各構造単位に帰属し、対応する積分値を測定した。
・PEMPのk(4C):62.0~64.0ppm
・無水マレイン酸エステル(2C)+PEMPのg(4C):170.0~174.7ppm
・マレイン酸エステル(2C)(無水マレイン酸が開環した構造):174.7~178.0ppm
・CyHMIエステル(2C):178.0~180.0ppm
・アルキル鎖:20~60ppm
・DMSO:40ppm付近
・ノルボルネン(7C)=アルキル鎖-DMSO-PEMP(9C、h+i+j)-無水マレイン酸(2C)-マレイン酸(2C)-CyHMI(2C)
ここで原料ポリマー中に実際に導入された無水マレイン酸由来の構造比率は、式(MA)の構造単位に加え、無水マレイン酸が開環したマレイン酸の構造も含めて、算出した。
(原料ポリマー8の合成)
撹拌機および冷却管および滴下漏斗を備えた反応容器内に、2-ノルボルネンの75%トルエン溶液144.36g(2-ノルボルネン換算108.27g、1.150モル)、無水マレイン酸(MAN、90.22g(0.920モル)、マレイミド(HMI)22.83g(0.230モル)、メチルエチルケトン(MEK)128.02gを加え、撹拌・溶解させた。次いで、窒素バブリングにより系内の溶存酸素を除去したのち、加温し、内温が80℃に到達したところで、2,2'-アゾビスイソ酪酸ジメチル(和光純薬工業製,商品名:V-601、10.59g、0.046mol)およびPEMP(22.48g、0.046mol)をMEK68.06gに溶解させた溶液を1時間かけて添加した。その後、さらに80℃で7時間反応させた。次いで、反応混合物を室温まで冷却した。上記で得られた重合溶液を、メタノール2457.3gに滴下することで白色固体を沈殿させた。得られた白色固体を、さらにメタノール614.3gで洗浄した後、温度120℃で真空乾燥することにより、2-ノルボルネンに由来する構造単位と、マレイミドに由来する構造単位と、無水マレイン酸に由来する構造単位とを備えるポリマー(原料ポリマー8)205.1gを得た。
得られたポリマーをゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した結果、重量平均分子量Mwは4,300であり、多分散度(重量平均分子量Mw)/(数平均分子量Mn)は1.70であった。
[原料ポリマー8の構造解析]
原料ポリマー8の合成は、反応開始時においては、溶剤中にモノマーおよびPEMPが溶解した状態でスタートし、その後、反応が進行してポリマーが生成する。反応溶液および得られたポリマーのそれぞれについて分析したところ、以下の結果が得られた。
(a)反応溶液の分析
再沈殿精製前の反応溶液のGPC測定で、PEMP単体のピークが認められなかった。すなわち、反応溶液中にPEMPが残存していないことが確認された。また、再沈殿精製前の反応溶液のGC(ガスクロマトグラフィー)測定で、反応前と比べ、反応後の反応溶液中のノルボルネン単体、マレイミド単体、無水マレイン酸単体のピークが減少しており、ノルボルネン単体、マレイミドおよび無水マレイン酸が反応し、ポリマーを形成していることが確認された。
(b)ポリマーの分析
再沈殿精製後のポリマーのGPC測定で、PEMP単体、ノルボルネン単体、マレイミド単体、無水マレイン酸単体のピークが認められなかった。すなわち、ポリマー中にPEMP、ノルボルネン単体、マレイミド単体および無水マレイン酸単体が残存していないことが確認された。
得られた原料ポリマー8中の硫黄量を、フラスコ燃焼、イオンクロマト法による元素分析により確認し、原料ポリマー8中に硫黄元素が存在していることを確認した。またメタノール滴下前の反応溶液のGPC測定においてもPEMP由来のピークが消失しており、ポリマー中にPEMPが取り込まれたことを確認した。
原料ポリマー2~8について、ガスクロマトグラフィー(GC)測定により、反応前後での反応溶液中の各モノマー量を測定し、各モノマーの消費量を算出することで、原料ポリマー中に導入された各モノマーの比率を算出した。
以下の表1に、原料ポリマーの合成に使用したモノマーの仕込み比率、原料ポリマー中に導入されたモノマーの比率、原料ポリマーの重量平均分子量(Mw)および他分散度(Mw/Mn)を示す。
ガスクロマトグラフィー測定の測定条件は下記の通りである。
・GC装置:GC-2030(株式会社島津製作所)
・キャリアガス:N
・検出器:水素炎イオン化(FID)検出器 、FID温度:300℃
・カラム:SH-RXi-1HT、内径0.25、長さ30m、膜厚0.25μm(株式会社島津ジーエルシー)
・気化室温度:210℃
・カラム流量:0.64mL/min
・カラム昇温条件:50℃5minホールド、20℃/minで300℃まで昇温、300℃10minホールド
Figure 2023016041000065
<ポリマーPの合成>
以下の方法を用いて、ポリマーPを作製した。
(調製例1)
原料ポリマー1のMA単位を、単官能(メタ)アクリル化合物で開環したポリマーP1を作製した。以下、詳細を説明する。
まず、原料ポリマー1 10.00g(原料ポリマー1の仕込み量から算出でMA換算0.052モル)に対して、MEK 18.44gを加えて、溶解液を作製した。次いで、この溶解液に対して、4-HBA 9.38g(0.065モル)を加え、その後、トリエチルアミン3.00g(0.030モル)を加え、温度70℃で6時間反応させ、反応溶液を作製した。
得られた反応溶液をMEKで希釈し、クエン酸水溶液で処理することで、反応溶液から水相を除去した。その後、下記の再沈殿法でポリマーを精製した。
・再沈殿法:過剰量の水でポリマーを再沈殿させた。再沈殿で得られたポリマー粉末を、過剰量の水で洗浄する操作を2回繰り返した。得られた反応生成物を、40℃で12時間乾燥させた。
以上により、原料ポリマー1中の無水マレイン酸に由来する構造単位を、4-HBAで開環した、ポリマーP1を8.7g得た。
得られたポリマーP1について、GPC測定を実施して、ポリマーP1の重量平均分子量および多分散度を測定した。結果を表2に示す。
またポリマーP1のGPC測定により、使用した単官能(メタ)アクリル化合物のピークの消失を確認した。これにより、得られたポリマーP1には、未反応の単官能(メタ)アクリル化合物を含まれないことを確認した。
(調製例2)
原料ポリマー1のMA単位を、3官能(メタ)アクリル化合物、単官能(メタ)アクリル化合物および水で開環したポリマーP2を作製した。以下、詳細を説明する。
まず、原料ポリマー1 60.00g(原料ポリマー1の仕込み量から算出でMA換算0.312モル)に対して、MEK 99.93gを加えて、溶解液を作製した。次いで、この溶解液に対して、A-TMM-3LM-N 77.49gを加え、その後、トリエチルアミン18.00g(0.178モル)を加え、温度70℃で2時間反応させた。さらにその後、4-HBA 56.27g(0.390モル)を加え、温度70℃で4時間反応させ、反応溶液を作製した。
次いで、得られた反応溶液を後処理することなく、この反応溶液に水3.00g(0.167モル)を添加し、70℃で2時間反応させた。
得られた反応溶液をMEKで希釈し、クエン酸水溶液で処理することで、反応溶液から水相を除去した。さらに液液抽出、続いて溶媒置換を以下の手順で行った。
・液液抽出:反応溶液をMEKで希釈し、次いで水を加え、処理することで、反応溶液から水相を除去した後、さらに同様の操作を1回行った。
・溶媒置換:得られた反応混合物をロータリーエバポレーターにより、減圧下、50℃で溶媒の除去を行った。ポリマー溶液の固形分濃度が加熱乾燥式水分計による測定で27±2質量%になったのを確認し、溶媒除去の操作を中断した。その後、固形分濃度が18質量%になるようにPGMEAを加え、均一になるまで混合した。同様の操作で減圧下、50℃で溶媒の除去を行い、固形分濃度を加熱乾燥式水分計による測定で27±2質量%に調製後、さらに固形分濃度が18質量%になるようにPGMEAを加え、均一になるまで混合する操作をさらに2回繰り返した。その後、固形分濃度が30±3質量%になるように溶媒除去、もしくはPGMEAを加え、均一になるまで攪拌する操作を行った。以上の操作で反応に使用した溶媒が除去され、溶媒がPGMEAに置換される。その後、以下手順でさらに精製した。
・過剰量のトルエンでポリマーを再沈殿させた。
・再沈殿で得られたポリマー粉末を、過剰量のトルエンで洗浄する操作を2回繰り返した。
・上記の2回洗浄後のポリマー粉末を、過剰量の水で洗浄する操作を3回行った。
・得られた反応生成物を、40℃で12時間乾燥した。
以上により、原料ポリマー1のMA単位を、3官能(メタ)アクリル化合物、単官能(メタ)アクリル化合物および水で開環したポリマーP2を作製した。
得られたポリマーP2について、GPC測定を実施して、ポリマーP2の重量平均分子量および多分散度を測定した。結果を表2に示す。
またポリマーP2のGPC測定により、使用した多官能(メタ)アクリル化合物、及び単官能(メタ)アクリル化合物のピークの消失を確認した。これにより、得られたポリマーP2には、未反応の多官能(メタ)アクリル化合物も単官能(メタ)アクリル化合物も含まれないことを確認した。
また13C-NMR測定により、ポリマーP2が無水マレイン酸に由来する構造単位を、A-TMM-3LM-N、4-HBAおよび水で開環した構造を有することを確認した。
(調製例3)
原料ポリマー1のMA単位を、3官能(メタ)アクリル化合物、単官能(メタ)アクリル化合物および水で開環して得られるポリマーP3を含む樹脂混合物(ポリマー溶液P3)を作製した。以下、詳細を説明する。
まず、原料ポリマー1 60.00g(原料ポリマー1の仕込み量から算出でMA換算0.312モル)に対して、MEK 99.93gを加えて、溶解液を作製した。次いで、この溶解液に対して、A-TMM-3LM-N 77.49gを加え、その後、トリエチルアミン18.00g(0.178モル)を加え、温度70℃で2時間反応させた。さらにその後、4-HBA 56.27g(0.390モル)を加え、温度70℃で4時間反応させ、反応溶液を作製した。
次いで、得られた反応溶液を後処理することなく、この反応溶液に水3.00g(0.167モル)を添加し、70℃で2時間反応させた。
得られた反応溶液をMEKで希釈し、ギ酸水溶液およびクエン酸水溶液で処理することで、反応溶液から水相を除去した。さらに液液抽出、続いて溶媒置換を以下の手順で行った。
・液液抽出:反応溶液をMEKで希釈し、次いで水を加え、処理することで、反応溶液から水相を除去した後、さらに同様の操作を1回行った。
・溶媒置換:得られた反応混合物をロータリーエバポレーターにより、減圧下、50℃で溶媒の除去を行った。ポリマー溶液の固形分濃度が加熱乾燥式水分計による測定で27±2質量%になったのを確認し、溶媒除去の操作を中断した。その後、固形分濃度が18質量%になるようにPGMEAを加え、均一になるまで混合した。同様の操作で減圧下、50℃で溶媒の除去を行い、固形分濃度を加熱乾燥式水分計による測定で27±2質量%に調製後、さらに固形分濃度が18質量%になるようにPGMEAを加え、均一になるまで混合する操作をさらに2回繰り返した。その後、固形分濃度が30±3質量%になるように溶媒除去、もしくはPGMEAを加え、均一になるまで攪拌する操作を行った。以上の操作で反応に使用した溶媒が除去され、溶媒がPGMEAに置換される。
以上により、原料ポリマー1中の無水マレイン酸に由来する構造単位を、A-TMM-3LM-N、4-HBAおよび水で開環したポリマーP3と、残存(遊離)A-TMM-3LM-Nおよび残存(遊離)4-HBAを含む樹脂混合物(ポリマー溶液P3)を得た。
得られたポリマー溶液P3をゲルパーミエーションクロマトグラフィー法で分析して、溶液中に含まれるポリマーP3、遊離多官能(メタ)アクリル化合物および遊離単官能(メタ)アクリル化合物の量、ならびにポリマーP3の重量平均分子量および多分散度を測定した。結果を表2に示す。なお、遊離(メタ)アクリル化合物の量は、樹脂混合物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)チャートにおけるポリマーP3のピーク面積に対する、遊離(メタ)アクリル化合物のピーク面積の割合(%)として示す。
なお、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法の測定条件は以下のとおりである。
・GPC測定装置としては、東ソー株式会社のHLC-8320GPC EcoSECを用いた。カラム温度は40.0℃、ポンプ流量は0.350mL/分に設定した。
・ピーク位置(保持時間)
ポリマーP3:20分より前に検出されるピーク(A-TMM-3LM-Nと4-HBAより保持時間が短く、分子量が大きいピーク)
A-TMM-3LM-N:20.0~20.6分と20.6~21.5分の2ピークの合計
4-HBA:21.7~22.4分
・測定条件:示差屈折率検出器(RI検出器)で分析した。
(調製例4)
原料ポリマー1の代わりに、原料ポリマー2 10.00g(原料ポリマー2の仕込み量から算出でMA換算モル0.039モル)を用いた以外は調製例1と同様にして、原料ポリマー2のMA単位を、単官能(メタ)アクリル化合物で開環したポリマーP4を作製した。
得られたポリマーP4について、GPC測定を実施して、ポリマーP4の重量平均分子量および多分散度を測定した。結果を表2に示す。
またポリマーP4のGPC測定により、使用した単官能(メタ)アクリル化合物のピークの消失を確認した。これにより、得られたポリマーP4には、未反応の単官能(メタ)アクリル化合物が含まれないことを確認した。
(調製例5)
原料ポリマー1の代わりに、原料ポリマー3 10.00g(原料ポリマー3の仕込み量から算出でMA換算モル0.039モル)を用いた以外は調製例1と同様にして、原料ポリマー3のMA単位を、単官能(メタ)アクリル化合物で開環したポリマーP5を作製した。
得られたポリマーP5について、GPC測定を実施して、ポリマーP5の重量平均分子量および多分散度を測定した。結果を表2に示す。
またポリマーP5のGPC測定により、使用した単官能(メタ)アクリル化合物のピークの消失を確認した。これにより、得られたポリマーP5には、未反応の単官能(メタ)アクリル化合物を含まれないことを確認した。
(調製例6)
原料ポリマー1の代わりに、原料ポリマー4 10.00g(原料ポリマー4の仕込み量から算出でMA換算モル0.039モル)を用いた以外は調製例1と同様にして、原料ポリマー4のMA単位を、単官能(メタ)アクリル化合物で開環したポリマーP6を作製した。
得られたポリマーP6について、GPC測定を実施して、ポリマーP6の重量平均分子量および多分散度を測定した。結果を表2に示す。
またポリマーP6のGPC測定により、使用した単官能(メタ)アクリル化合物のピークの消失を確認した。これにより、得られたポリマーP6には、未反応の単官能(メタ)アクリル化合物を含まれないことを確認した。
(調製例7)
原料ポリマー1の代わりに、原料ポリマー3 60.00g(原料ポリマー3の仕込み量から算出でMA換算モル0.232モル)を用いた以外は調製例2と同様にして、原料ポリマー3のMA単位を、3官能(メタ)アクリル化合物、単官能(メタ)アクリル化合物および水で開環したポリマーP7を作製した。
得られたポリマーP7について、GPC測定を実施して、ポリマーP7の重量平均分子量および多分散度を測定した。結果を表2に示す。
またポリマーP7のGPC測定により、使用した多官能(メタ)アクリル化合物、及び単官能(メタ)アクリル化合物のピークの消失を確認した。これにより、得られたポリマーP7には、未反応の多官能(メタ)アクリル化合物も単官能(メタ)アクリル化合物も含まれないことを確認した。
また13C-NMR測定により、ポリマーP7が無水マレイン酸に由来する構造単位を、A-TMM-3LM-N、4-HBAおよび水で開環した構造を有することを確認した。
(調製例8)
原料ポリマー1の代わりに、原料ポリマー3 60.00g(原料ポリマー3の仕込み量から算出でMA換算モル0.232モル)を用いた以外は調製例3と同様にして、原料ポリマー3のMA単位を、3官能(メタ)アクリル化合物、単官能(メタ)アクリル化合物および水で開環して得られるポリマーP8を含む樹脂混合物(ポリマー溶液P8)を作製した。
得られたポリマー溶液P8を調製例3と同様の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により分析して、溶液中に含まれるポリマーP8、遊離多官能(メタ)アクリル化合物および遊離単官能(メタ)アクリル化合物の量、ならびにポリマーP8の重量平均分子量および多分散度を測定した。結果を表2に示す。なお、遊離(メタ)アクリル化合物の量は、樹脂混合物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)チャートにおけるポリマーP8のピーク面積に対する、遊離(メタ)アクリル化合物のピーク面積の割合(%)として示す。
(調製例9)
原料ポリマー1の代わりに、原料ポリマー4 60.00g(原料ポリマー4の仕込み量から算出でMA換算モル0.232モル)を用いた以外は調製例3と同様にして、原料ポリマー4のMA単位を、3官能(メタ)アクリル化合物、単官能(メタ)アクリル化合物および水で開環して得られるポリマーP9を含む樹脂混合物(ポリマー溶液P9)を作製した。
得られたポリマー溶液P9を調製例3と同様の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により分析して、ポリマー溶液P9中に含まれるポリマーP9、遊離多官能(メタ)アクリル化合物および遊離単官能(メタ)アクリル化合物の量、ならびにポリマーP9の重量平均分子量および多分散度を測定した。結果を表2に示す。なお、遊離(メタ)アクリル化合物の量は、樹脂混合物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)チャートにおけるポリマーP9のピーク面積に対する、遊離(メタ)アクリル化合物のピーク面積の割合(%)として示す。
(調製例10)
原料ポリマー1の代わりに、原料ポリマー5 60.00g(原料ポリマー5の仕込み量から算出でMA換算モル0.232モル)を用いた以外は調製例3と同様にして、原原料ポリマー5のMA単位を、3官能(メタ)アクリル化合物、単官能(メタ)アクリル化合物および水で開環して得られるポリマーP10を含む樹脂混合物(ポリマー溶液P10)を作製した。
得られたポリマー溶液P10を調製例3と同様の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により分析して、ポリマー溶液P10中に含まれるポリマーP10、遊離多官能(メタ)アクリル化合物および遊離単官能(メタ)アクリル化合物の量、ならびにポリマーP10の重量平均分子量および多分散度を測定した。結果を表2に示す。なお、遊離(メタ)アクリル化合物の量は、樹脂混合物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)チャートにおけるポリマーP10のピーク面積に対する、遊離(メタ)アクリル化合物のピーク面積の割合(%)として示す。
(調製例11)
原料ポリマー1の代わりに、原料ポリマー6 60.00g(原料ポリマー6の仕込み量から算出でMA換算モル0.162モル)を用いた以外は調製例3と同様にして、原原料ポリマー6のMA単位を、3官能(メタ)アクリル化合物、単官能(メタ)アクリル化合物および水で開環して得られるポリマーP11を含む樹脂混合物(ポリマー溶液P11)を作製した。
得られたポリマー溶液P11を調製例3と同様の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により分析して、ポリマー溶液P11中に含まれるポリマーP11、遊離多官能(メタ)アクリル化合物および遊離単官能(メタ)アクリル化合物の量、ならびにポリマーP11の重量平均分子量および多分散度を測定した。結果を表2に示す。なお、遊離(メタ)アクリル化合物の量は、樹脂混合物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)チャートにおけるポリマーP11のピーク面積に対する、遊離(メタ)アクリル化合物のピーク面積の割合(%)として示す。
(調製例12)
原料ポリマー1の代わりに、原料ポリマー7 60.00g(原料ポリマー7の仕込み量から算出でMA換算モル0.230モル)を用いた以外は調製例2と同様にして、原料ポリマー7のMA単位を、3官能(メタ)アクリル化合物、単官能(メタ)アクリル化合物および水で開環したポリマーP12を作製した。
得られたポリマーP12について、GPC測定を実施して、ポリマーP12の重量平均分子量および多分散度を測定した。結果を表2に示す。
またポリマーP12のGPC測定により、使用した多官能(メタ)アクリル化合物、及び単官能(メタ)アクリル化合物のピークの消失を確認した。これにより、得られたポリマーP12には、未反応の多官能(メタ)アクリル化合物も単官能(メタ)アクリル化合物も含まれないことを確認した。
また13C-NMR測定により、ポリマーP12が無水マレイン酸に由来する構造単位を、A-TMM-3LM-N、4-HBAおよび水で開環した構造を有することを確認した。
(調製例13)
原料ポリマー1の代わりに、原料ポリマー7 60.00g(原料ポリマー7の仕込み量から算出でMA換算モル0.230モル)を用いた以外は調製例3と同様にして、原料ポリマー7のMA単位を、3官能(メタ)アクリル化合物、単官能(メタ)アクリル化合物および水で開環して得られるポリマーP13を含む樹脂混合物(ポリマー溶液P13)を作製した。
得られたポリマー溶液P13を調製例3と同様の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により分析して、溶液中に含まれるポリマーP13、遊離多官能(メタ)アクリル化合物および遊離単官能(メタ)アクリル化合物の量、ならびにポリマーP13の重量平均分子量および多分散度を測定した。結果を表2に示す。なお、遊離(メタ)アクリル化合物の量は、樹脂混合物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)チャートにおけるポリマーP13のピーク面積に対する、遊離(メタ)アクリル化合物のピーク面積の割合(%)として示す。
(調製例14)
原料ポリマー1の代わりに、原料ポリマー8 60.00g(原料ポリマー8の仕込み量から算出でMA換算モル0.250モル)を用いた以外は調製例3と同様にして、原料ポリマー8のMA単位を、3官能(メタ)アクリル化合物、単官能(メタ)アクリル化合物および水で開環して得られるポリマーP14を含む樹脂混合物(ポリマー溶液P14)を作製した。
得られたポリマー溶液P14を調製例3と同様の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により分析して、溶液中に含まれるポリマーP14、遊離多官能(メタ)アクリル化合物および遊離単官能(メタ)アクリル化合物の量、ならびにポリマーP14の重量平均分子量および多分散度を測定した。結果を表2に示す。なお、遊離(メタ)アクリル化合物の量は、樹脂混合物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)チャートにおけるポリマーP14のピーク面積に対する、遊離(メタ)アクリル化合物のピーク面積の割合(%)として示す。
(調製例15)
原料ポリマー1の代わりに、原料ポリマー8 60.00g(原料ポリマー8の仕込み量から算出でMA換算モル0.250モル)を用いた以外は調製例2と同様にして、原料ポリマー7のMA単位を、3官能(メタ)アクリル化合物、単官能(メタ)アクリル化合物および水で開環したポリマーP15を作製した。
得られたポリマーP15について、GPC測定を実施して、ポリマーP15の重量平均分子量および多分散度を測定した。結果を表2に示す。
またポリマーP15のGPC測定により、使用した多官能(メタ)アクリル化合物、及び単官能(メタ)アクリル化合物のピークの消失を確認した。これにより、得られたポリマーP15には、未反応の多官能(メタ)アクリル化合物も単官能(メタ)アクリル化合物も含まれないことを確認した。
また13C-NMR測定により、ポリマーP15が無水マレイン酸に由来する構造単位を、A-TMM-3LM-N、4-HBAおよび水で開環した構造を有することを確認した。
(調製例16)
原料ポリマー4のMA単位を、3官能(メタ)アクリル化合物および水で開環して得られるポリマーP16を含む樹脂混合物(ポリマー溶液P16)を作製した。以下、詳細を説明する。
まず、原料ポリマー4 60.00g(原料ポリマー4の仕込み量から算出でMA換算0.232モル)に対して、MEK 99.93gを加えて、溶解液を作製した。次いで、この溶解液に対して、A-TMM-3LM-N 77.49gを加え、その後、トリエチルアミン18.00g(0.178モル)を加え、温度70℃で2時間反応させた。
次いで、得られた反応溶液を後処理することなく、この反応溶液に水3.00g(0.167モル)を添加し、70℃で2時間反応させた。
得られた反応溶液をMEKで希釈し、ギ酸水溶液およびクエン酸水溶液で処理することで、反応溶液から水相を除去した。さらに調製例3と同様の液液抽出、溶媒置換を行った。
これにより、原料ポリマー4のMA単位を、3官能(メタ)アクリル化合物および水で開環して得られるポリマーP16を含む樹脂混合物(ポリマー溶液P16)を作製した。
得られたポリマー溶液P16を調製例3と同様の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により分析して、溶液中に含まれるポリマーP16、および遊離多官能(メタ)アクリル化合物の量、ならびにポリマーP16の重量平均分子量および多分散度を測定した。結果を表2に示す。なお、遊離(メタ)アクリル化合物の量は、樹脂混合物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)チャートにおけるポリマーP16のピーク面積に対する、遊離(メタ)アクリル化合物のピーク面積の割合(%)として示す。
(物性評価)
調製例4~7、12で調製した各ポリマーPの、酸価および二重結合当量を、以下に示す方法で測定した。
(酸価)
ポリマーの酸価は以下の方法で測定した。
ポリマー約50mg及び内部標準物質としてテレフタル酸ジメチル約5mgを計量し、DMSO-d6に溶解させた。この溶液について、核磁気共鳴分光装置JNM-AL300(JEOL社製)を用いてH-NMRの測定を行った。H-NMR測定内標準のテレフタル酸ジメチルのフェニル基の4Hのピーク(8.1ppm付近)の積分値を基準にして、ポリマーのカルボキシ基(-COOH)のHのピーク(12.4ppm付近)の積分値からカルボキシ基の量を求める。そして、その量から酸価(mgKOH/g)が算出できる。酸価の値が大きいほど、ポリマー単位質量あたりのカルボキシ基の量が多いことを表す。
結果を表1に示す。酸価が50gKOH/g以上であることにより、ポリマーが十分な現像性を有するために必要なカルボキシ基がポリマー中に存在するとみなすことができる。
(二重結合当量)
ポリマーの二重結合当量は以下の方法で測定した。
上記の酸価の測定方法と同様に、H-NMRの測定を行った。得られたスペクトルチャートのアクリロイル基に由来するシグナル(5.6-5.8ppm、3H)と内部標準物質のフェニル基のシグナル(8.1ppm、4H)の積分比から、ポリマー中のアクリロイル基量(mol/g)を算出し、メタクリロイル基に由来するシグナル(5.6-5.8ppm、2H)と内部標準物質のフェニル基のシグナル(8.1ppm、4H)の積分比から、ポリマー中のメタクリロイル基量(mol/g)を算出した。ここで、6.0-6.1ppmのメタクリロイル基に由来するシグナルについては微小であり、アクリロイル基のシグナルとも重複するため、アクリロイル基のシグナルとして計算した。算出したポリマー中のアクリロイル基量(mol/g)とメタクリロイル基(mol/g)の合計から二重結合量(mol/g)を算出し、二重結合量より、二重結合当量(g/mol)を算出した。
結果を表2に示す。二重結合当量の値が小さいほど、ポリマー単位質量あたりのC=C二重結合の量が多いことを表す。
またH-NMRより算出した調製例4、5で得られた、ポリマーP4、P5の全体構造中の、無水マレイン酸に由来する構造単位を4-HBAで開環した構造の割合を表2に示す。
Figure 2023016041000066
Figure 2023016041000067
(実施例1~11、比較例1~5)
各実施例および比較例において、樹脂組成物を作製し、以下の項目について評価した。
<評価>
[樹脂組成物のアルカリ溶解速度]
調製例1、2、4~7、12、15で得られた、ポリマーP1、P2、P4~P7、P12、P15を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解させて、固形分濃度30質量%の樹脂組成物1、2、4~7、12、15を作製した。
次いで、ウエハー上に上記樹脂組成物1、2、4~7、12、15、または調製例3、8~11、13、14、16で得られたポリマー溶液P3、P8~P1、P13、P14、P16からなる樹脂組成物3、8~11、13、14、16をスピンコートし、PGMEAを乾燥させ、そして温度100℃で2分間プリベークすることで、膜厚約2μmの樹脂膜を作製した。
この樹脂膜を、ウエハーごと、温度23℃の2%炭酸ナトリウム水溶液に浸漬し、樹脂膜の溶解速度を測定した。
溶解速度は、浸漬したウエハーを目視で観察して樹脂膜が溶解して干渉模様が見えなくなるまでの時間を測定し、その時間で膜厚を割り算することで算出した。結果を表3に示す。アルカリ溶解速度が、40nm/s以上であれば、感光性材料として問題なく使用することができ、100nm/s以上であれば現像性が良好であるとみなすことができ、500nm/s以上であればより良好であるとみなすことができ、さらに1000nm/s以上であれば特に良好であるとみなすことができる。
[感光性樹脂組成物の感度評価1(残膜率が90%以上となる露光量)]
まず、全固形分濃度が30質量%になるように、以下成分をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解した感光性樹脂組成物を得た。
・ポリマーP1、P2、P4~P7、P12、P15(それぞれ、調製例1、2、4~7、12、15のポリマーP)または樹脂組成物3、8~11、13、14、16(それぞれ、調製例3、8~11、13、14、16のポリマー溶液P3、P8~P1、P13、P14、P16):100質量部
(ここで、樹脂組成物3、8~11、13、14、16については、固形分(ポリマーP3、P8~P1、P13、P14、P16)と多官能(メタ)アクリル化合物の合計量)が100質量部になるように秤量した。)
・多官能アクリレート(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、新中村化学工業社製、A-DPH):50質量部
・光重合開始剤(BASF社製、Irgacure OXE01):5質量部
・密着助剤(信越化学工業株式会社製、KBM-403):1質量部
・界面活性剤(DIC株式会社製、F-556):0.5質量部
得られた感光性樹脂組成物を、HMDS(Hexamethyldisilazane)処理した3インチシリコンウェハー上に回転塗布し、100℃、120秒間ホットプレートにてベークして、約3.0μm厚(±0.3μm)の薄膜Aを得た。
この薄膜Aに、遮光率1~100%の階調を有するフォトマスクを介して、キヤノン社製g+h+i線マスクアライナー(PLA-501F)にて100mJ/cmの露光量でg+h+i線を露光した。
露光後、薄膜を2.0質量%炭酸ナトリウム水溶液で23℃、60秒間現像(ウェハーごと浸漬)することで、1~100mJ/cmの各露光量で露光、現像された薄膜Bを得た。
上記の方法にて得られた薄膜A、薄膜Bの膜厚から、以下の式より残膜率を算出した。
残膜率(%)=(各露光量での薄膜Bの膜厚/薄膜Aの膜厚)×100
そして、残膜率が90%以上となる露光量を、各感光性樹脂組成物の感度とした。結果を表3に示す。残膜率が90%以上となる露光量が、18mJ/cm以下であれば、感光性組成物として問題なく使用することができ、15mJ/cm以下であれば感度が良好であるとみなすことができ、12mJ/cm以下であればより良好であるとみなすことができ、さらに10mJ/cm以下であれば特に良好であるとみなすことができる。
[感光性樹脂組成物の感度評価2(低露光量で露光後の残膜率)]
(5mJ/cmの露光量における残膜率)
上述の感度評価1で調製した感光性樹脂組成物を、HMDS(Hexamethyldisilazane)処理した3インチシリコンウェハー上に回転塗布し、100℃、120秒間ホットプレートにてベークして、3.0μm厚(±0.3μm)の薄膜Aを得た。
この薄膜Aに、遮光率1~100%の階調を有するフォトマスクを介して、キヤノン社製g+h+i線マスクアライナー(PLA-501F)にて5mJ/cmの露光量でg+h+i線を露光した。
露光後、薄膜を2.0質量%炭酸ナトリウム水溶液で23℃、60秒間現像(ウェハーごと浸漬)することで、薄膜Bを得た。
上記の方法にて得られた薄膜A、薄膜Bの膜厚から、以下の式より残膜率を算出した。
残膜率(%)=(各露光量での薄膜Bの膜厚/薄膜Aの膜厚)×100
結果を表3に示す。5mJ/cmの露光量における残膜率が大きい程、低露光量で硬化し、感度が良好であるとみなすことができる。
(10mJ/cmの露光量における残膜率)
上述の感度評価1で調製した感光性樹脂組成物を、HMDS(Hexamethyldisilazane)処理した3インチシリコンウェハー上に回転塗布し、100℃、120秒間ホットプレートにてベークして、3.0μm厚(±0.3μm)の薄膜Aを得た。
この薄膜Aに、遮光率1~100%の階調を有するフォトマスクを介して、キヤノン社製g+h+i線マスクアライナー(PLA-501F)にて10mJ/cmの露光量でg+h+i線を露光した。
露光後、薄膜を2.0質量%炭酸ナトリウム水溶液で23℃、60秒間現像(ウェハーごと浸漬)することで、薄膜Bを得た。
上記の方法にて得られた薄膜A、薄膜Bの膜厚から、以下の式より残膜率を算出した。
残膜率(%)=(各露光量での薄膜Bの膜厚/薄膜Aの膜厚)×100
結果を表3に示す。10mJ/cmの露光量における残膜率が大きい程、低露光量で硬化し、感度が良好であるとみなすことができる。
[イエローインデックス]
上述の感度評価1で調製した感光性樹脂組成物を、イーグルXGガラス(コーニング社製、厚み0.5mm)上に回転塗布し、100℃、120秒間ホットプレートにてベークして、約3.0μm厚(±0.1μm)の薄膜を得た。
この薄膜に、キヤノン社製g+h+i線マスクアライナー(PLA-600F)にて100mJ/cmの露光量でg+h+i線を露光した。
露光後、薄膜を2.0質量%炭酸ナトリウム水溶液で23℃、60秒間現像(ウェハーごと浸漬)することで、100mJ/cmの露光量で露光、現像された薄膜を得た。
薄膜を230℃、30分間、空気下で加熱処理した。薄膜を室温空気下で冷却した後、再度薄膜を230℃、30分間、空気下で加熱処理した。同様の操作を繰り返し、30分間、空気下で加熱処理を合計で3回行った。
上記の方法にて得られた薄膜のイエローインデックス(YI)を色彩色差計CR-5(コニカミノルタ製)を用いて、測定箇所変えて3回測定し、その平均値をYIの値とした。測定タイプは透過測定、100%校正は未塗布のイーグルXGガラス(コーニング社製、厚み0.5mm)を使用した。結果を表3に示す。イエローインデックスが1.15以下であれば感光性材料として問題なく使用することができ、1.10以下であれば、耐熱変色性が良好であるとみなすことができ、さらに0.90以下であれば特に良好であるとみなすことができる。
現像性評価および感度評価の結果を表3に示す。
Figure 2023016041000068
ポリマーPがマレイミド由来の構造単位を含まない比較例1~3の感光性樹脂組成物は、YIは低いものの、残膜率が90%以上となる露光量が高く、感度において実施例の感光性樹脂組成物より劣っていた。ポリマーPがチオール基含有化合物(PEMP)由来の構造を含まない比較例4の感光性樹脂組成物は、感度において優れるものの、YIが高く、耐熱変色性において劣っていた。ポリマーPの重量平均分子量が7,000未満である比較例5感光性樹脂組成物は、YIは低いものの、残膜率が90%以上となる露光量が高く、感度において劣っていた。ポリマーPがノルボルネン由来構造単位、マレイミド由来構造単位およびチオール基含有化合物(PEMP)由来の構造を含み、かつ単官能(メタ)アクリル化合物で開環された構造を有し、重量平均分子量が7,000以上である実施例1は、YIが低く、残膜率が90%以上となる露光量が低く、よって感度に優れていた。ポリマーPがノルボルネン由来構造単位、マレイミド由来構造単位およびチオール基含有化合物(PEMP)由来の構造を含み、かつ多官能(メタ)アクリル化合物で開環された構造を有し、重量平均分子量が7,000以上である実施例2~11の感光性樹脂組成物は、YIが低く、残膜率が90%以上となる露光量がさらに低く、感度に優れていた。ポリマーPがノルボルネン由来構造単位、マレイミド由来構造単位およびチオール基含有化合物(PEMP)由来の構造を含み、かつ多官能および単官能(メタ)アクリル化合物で開環された構造を有し、重量平均分子量が7,000以上である実施例2~10の感光性樹脂組成物は、YIが低く、残膜率が90%以上となる露光量が特にさらに低く、感度において特に優れていた。ポリマーPがノルボルネン由来構造単位、マレイミド由来構造単位およびチオール基含有化合物(PEMP)由来の構造を含み、かつ多官能および単官能(メタ)アクリル化合物で開環された構造を有し、重量平均分子量が7,000以上であり、組成物中に遊離の多官能/単官能(メタ)アクリル化合物を含む実施例3、4、5、6、8、9では、5mJ/cmの露光量における残膜率が高く、より特に感度が優れていた。
<カラーフィルタ/スペーサーの作製>
実施例1~11で調製した感光性樹脂組成物に対し、さらに、顔料分散液NX-061(大日精化工業株式会社製、緑色)を適量加えた着色感光性樹脂組成物を調製した。
これを基板上に製膜し、露光、アルカリ現像処理などを行うことで、緑色のカラーフィルタ、スペーサーを形成することができた。
また、顔料分散液として、NX-061の代わりに、同社製のNX-053(青色)、NX-032(赤色)などを用いて、青色または赤色のカラーフィルタ、スペーサーを形成することができた。
<ブラックマトリクス/ブラックバンク/ブラックスペーサーの作製>
実施例1~11で調製した感光性樹脂組成物に対し、さらに、カーボンブラック分散液NX-595(大日精化工業株式会社製)を適量加えた黒色感光性樹脂組成物を調製した。
これを基板上に製膜し、露光、アルカリ現像処理などを行うことで、ブラックマトリクス/ブラックバンク/ブラックスペーサーを形成することができた。
10 基板
11 ブラックマトリクス
12 カラーフィルタ
13 保護膜
14 透明電極層

Claims (11)

  1. 式(P)で表される構造を有する、ポリマーであって、
    Figure 2023016041000069
    式(P)において、
    nは、1~6の整数であり、
    p、qおよびrはそれぞれ、n個の[ ]内のポリマー鎖毎に含まれるA、BおよびCのモル含有率を示し、
    p、q、およびrは、n個の[ ]内のポリマー鎖毎に同一でも異なっていてもよく、
    p+q+r=1であり、pは0以上であり、qは0以上であり、rは0以上であり、
    当該ポリマーに含まれる各構造単位A、B、およびCのモル含有率を、それぞれ、p、q、およびrとすると、p+q+r=1であり、pは0より大きく、qは0より大きく、rは0より大きく、
    Xは、水素または炭素数1~30の有機基であり、
    Yは、単官能または2官能以上のチオール基含有化合物から誘導される炭素数1~30の1~6価の有機基であり、
    Aは、式(NB)で表される構造単位を表し、
    Bは、式(1)で表される構造単位、および式(2)で表される構造単位から選択される少なくとも1つの構造単位を含み、
    Cは、式(MI)で表される構造単位を表し、
    複数存在するA同士、B同士、C同士は同一であっても異なっていてもよく、
    Figure 2023016041000070
    式(NB)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~30の有機基であり、aは0、1または2であり、
    Figure 2023016041000071
    式(1)中、Rは、2以上の(メタ)アクリロイル基を有する基であり、R21およびR22は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~3の有機基であり、
    Figure 2023016041000072
    式(2)中、Rは、1つの(メタ)アクリロイル基を有する基であり、R21およびR22は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~3の有機基であり
    Figure 2023016041000073
    式(MI)中、R11は、水素原子または炭素数1~30の有機基であり、R12およびR13は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~3の有機基であり、
    当該ポリマーの重量平均分子量が、7,000以上20,000以下である、
    ポリマー。
  2. 請求項1に記載のポリマーであって、
    前記Bが、式(3)で表される構造単位をさらに含み、
    Figure 2023016041000074
    式(3)中、R21およびR22は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~3の有機基である、ポリマー。
  3. 請求項1に記載のポリマーであって、
    前記Bが、式(MA)で表される構造単位をさらに含み、
    Figure 2023016041000075
    式(MA)中、R21およびR22は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~3の有機基である、ポリマー。
  4. 請求項1に記載のポリマーであって、
    前記Bが、前記式(1)で表される構造単位を含み、
    前記式(1)中のRは、式(1b)で表される基、式(1c)で表される基、および式(1d)で表される基から選択される少なくとも1つであり、
    Figure 2023016041000076
    式(1b)中、
    kは2または3であり、
    Rは水素原子またはメチル基であり、複数のRは同じでも異なっていてもよく、
    は単結合、炭素数1~6のアルキレン基または-Z-X-で表される基(Zは-O-または-OCO-であり、Xは炭素数1~6のアルキレン基である)であり、複数存在するXは同一であっても異なっていてもよく、
    'は単結合、炭素数1~6のアルキレン基または-X'-Z'-で表される基(X'は炭素数1~6のアルキレン基であり、Z'は-O-または-COO-である)であり、
    は炭素数1~12の(k+1)価の有機基であり、
    Figure 2023016041000077
    式(1c)中、
    k、R、XおよびXは、それぞれ、式(1b)におけるR、k、XおよびXと同義であり、複数のRは互いに同一であっても異なっていてもよく、複数のXは互いに同一であっても異なっていてもよく、
    は、単結合、または炭素数1~6の2価の有機基であり、
    およびXは、それぞれ独立に、単結合または炭素数1~6の2価の有機基であり、
    は、炭素数1~6の2価の有機基であり、
    Figure 2023016041000078
    式(1d)中、
    nは、2~5の整数であり、
    Rは、独立して、水素原子またはメチル基である、
    ポリマー。
  5. 請求項1に記載のポリマーであって、
    前記Bが、前記式(2)で表される構造単位を含み、
    前記式(2)中のRは、式(2a)で表される基であり、
    Figure 2023016041000079
    式(2a)中、X10は、2価の有機基であり、Rは、水素原子またはメチル基である、
    ポリマー。
  6. 請求項1に記載のポリマーであって、
    前記式(MI)中のR11は、水素原子、シクロアルキル基、またはアリール基である、ポリマー。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載のポリマーを含む、ポリマー溶液。
  8. 請求項7に記載のポリマー溶液であって、
    多官能(メタ)アクリル化合物もしくは単官能(メタ)アクリル化合物、またはこれらの組み合わせをさらに含む、ポリマー溶液。
  9. 請求項7に記載のポリマー溶液であって、
    カラーフィルタ、ブラックマトリクス、スペーサー、または隔壁材の形成に用いられる、ポリマー溶液。
  10. 請求項1乃至6のいずれかに記載のポリマーと、
    光ラジカル重合開始剤と、を含む、
    感光性樹脂組成物。
  11. 請求項10に記載の感光性樹脂組成物より形成される、硬化物。
JP2022115708A 2021-07-20 2022-07-20 ポリマー、ポリマー溶液、感光性樹脂組成物、および硬化物 Pending JP2023016041A (ja)

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