JP2023015413A - 化学架橋アルギン酸ゲルファイバ - Google Patents

化学架橋アルギン酸ゲルファイバ Download PDF

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Tsutomu Sato
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Tomohiro Narumi
彬 高橋
Akira Takahashi
和行 中山
Kazuyuki Nakayama
昌治 竹内
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佑 柳沢
Yu Yanagisawa
和弘 池田
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Abstract

【課題】抗体生産用の化学架橋アルギン酸ゲルファイバ、及び当該アルギン酸ゲルファイバを用いる抗体の製造方法の提供。【解決手段】抗体産生細胞6及び基材が含まれるコア層5を、2種類の化学修飾アルギン酸誘導体を用いて、前記両アルギン酸誘導体間に架橋を形成することにより得られる架橋アルギン酸ゲルを含むシェル層4で被覆して形成される化学架橋アルギン酸ゲルファイバ。【選択図】図1

Description

本発明は、抗体生産用の化学架橋アルギン酸ゲルファイバ、当該ゲルファイバの製造方法、及び当該ゲルファイバを用いる抗体の製造方法に関する。
遺伝子組換え技術を利用した抗体生産が行われている。これ迄に、抗体産生細胞として、CHO細胞、Sp2/0細胞、NS0細胞又は大腸菌等が宿主細胞として用いられ種々の抗体が産生されている。
とりわけ、CHO細胞(チャイニーズハムスター卵巣由来)は、浮遊培養が可能な細胞であり、又細胞の増殖速度が速く、CHO細胞の大量培養により、目的のタンパク質を大量生産することが容易なことから、抗体の製造に頻用されている。
近年、抗体医薬品の開発・製造において、抗体医薬品の安定生産、低コスト化への取組みが求められており、それらを達成するべく、より生産性の高い効率的な生産システム(例えば、連続生産方法、小規模生産設備による必要な量の抗体産生の為の新規な培養技術、等)の開発が注目されている。
抗体産生細胞の培養は、抗体産生細胞株をスピナーフラスコ等で細胞を起こした後に、培地組成・温度・攪拌条件・ガス交換・pH等の培養条件を制御しながら拡大培養を行い、最終的に数千から1万Lスケールの大規模な生産培養タンクにて培養が行われる。
抗体産生細胞を高密度で連続培養する場合、細胞と培養液の分離方法、効果的な酸素の供給方法等が問題になる場合がある。前者に関しては、重力沈降管や連続遠心分離機を用いて分離する方法等が検討されており、後者に関しては、培養タンク内に入れた多孔質のチューブを通した酸素拡散法、酸素溶解度の高いフッ素化炭素を培養液に添加する等の種々の方法が検討されており、種々の改善が図られている。しかし、抗体を効率的に生産させるためには、未だ種々の問題を解決することが必要とされている。
コア部に各種細胞が含まれるコア・シェル構造を有するマイクロファイバが知られている(特許文献1:国際公開第2011/046105号パンフレット)。
細胞層を含む中空マイクロファイバ、当該マイクロファイバの製造方法が知られている。(特許文献2:国際公開第2015/178427号パンフレット)
アルギン酸ゲル中空ファイバの中空部にて、生体適合性ポリマー含有水溶液中に懸濁した細胞を培養することにより線状細胞凝集塊の作製方法が知られている。(特許文献3:特開2014-236698号公報)
培養液を組織の隅々にまで供給することが可能な3次元細胞構造体の製造方法及び培養方法が知られている。(特許文献4:特開2016-77229号公報)
内部に細胞又は水溶性化学物質を含み、最外層に疎水性ポリマーを含む半透膜を備えることを特徴とするマイクロチューブが知られている。(特許文献5:特開2017-77473号公報)
細胞と細胞の周りを覆うハイドロゲルとを含む細胞ファイバが知られている。(特許文献6:特許6601931号公報)
二重同軸層流を有するマイクロ流体装置を用いて、細胞外マトリックス(ECM)タンパク質と分化細胞又は体細胞幹細胞をカプセル化したメーター長のコア-シェルハイドロゲル微小繊維の製造方法が知られている。(非特許文献1)
アルギン酸塩とポリアクリルアミドからなるダブルネットワーク(DN)ハイドロゲルを用いて、機械的特性と取扱性を向上させた、細胞含有ハイドロゲルマイクロファイバーが知られている。(非特許文献2)
しかし、特許文献1~6及び非特許文献1及び2には、抗体産生細胞が含まれるコア層を、高い機械的強度を有するアルギン酸ゲル(好ましくは、コア層よりも高い機械的強度を有するアルギン酸ゲル)を含むシェル層で被覆した高い機械的強度を有するアルギン酸ゲルファイバ、及び当該アルギン酸ゲルファイバを用いる抗体の製造方法が開示されていないし、示唆もされていない。
国際公開第2011/046105号パンフレット 国際公開第2015/178427号パンフレット 特開2014-236698号公報 特開2016-77229号公報 特開2017-77473号公報 特許6601931号公報
Nature Materials.,12, p584-590, 2013年. ACS Biomater. Sci. Eng., 3 (3), p392-398, 2017年.
これまで、抗体産生細胞(例えば、抗体遺伝子を組み込んだCHO細胞等)及び基材(例えば、コラーゲン、培地、アルギン酸等の溶液、それらのゲル、又はそれらの混合物)が含まれるコア層を、架橋アルギン酸ゲル(例えば、天然アルギン酸由来の架橋アルギン酸ゲル(カルシウム架橋アルギン酸ゲル)、化学修飾アルギン酸から形成される化学架橋アルギン酸ゲル、又はイオン架橋及び化学架橋の両方の架橋を有する架橋アルギン酸ゲル)を含むシェル層で被覆した抗体生産用のアルギン酸ゲルファイバ、及び当該ゲルファイバを用いて、遺伝子組換え抗体生産を行うことは知られていなかった。又、これまで、一定の長さを有する前記アルギン酸ゲルファイバを形成することや、当該アルギン酸ゲルファイバを用いた連続的な抗体の生産方法も知られていない。
このような状況の下、さらなる抗体の生産方法が求められていた。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、抗体産生細胞及び基材(例えば、ハイドロゲル等の基材であって、具体的には、コラーゲン溶液、コラーゲンゲル、培地、培養液、メチルセルロース、スクロース溶液、アルギン酸溶液、アルギン酸ゲル、後述の態様[1]に記載の式(I)又は式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体の溶液、後述の態様[1]に記載の式(I)又は式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体のゲル、又はそれらの混合物等からなる群から選択される基材)が含まれるコア層を、後述する式(I)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を用いて前記両アルギン酸誘導体間に架橋を形成することにより得られる架橋アルギン酸ゲルを被覆層(シェル層)として被覆することにより、抗体産生用の化学架橋アルギン酸ゲルファイバ(当該、化学架橋アルギン酸ゲルファイバは、好ましくは、コア層よりも高い機械的強度を有するアルギン酸ゲルファイバである)を作製できることを見出した。又、このように作製した化学架橋アルギン酸ゲルファイバを用いて抗体産生細胞の培養を行ったところ、抗体を長期間連続して産生できることを見出し、本発明を完成するに至った。
後述の実施例から、抗体産生細胞として抗体遺伝子を組み込んだCHO細胞及び基材として、培地(培養液)、メチルセルロース、又はアルギン酸溶液(アルギン酸ナトリウム溶液)からなる群から選択される基材を含むコア層を、式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を用いて前記両アルギン酸誘導体間に架橋を形成することにより得られる架橋アルギン酸ゲル(好ましくは、コア層よりも高い機械的強度を有する架橋アルギン酸ゲル)を含むシェル層で被覆し、化学架橋アルギン酸ゲルファイバを作製し、当該ゲルファイバを培養したところ、長期間連続して抗体(遺伝子組換え)を産生できることが分かった。このように、作製した化学架橋アルギン酸ゲルファイバは、抗体産生CHO細胞にとって抗体の連続産生に適した環境を提供しており、コア層で産生された抗体は、シェル層を連続的に透過しゲルファイバ外に放出された。
本発明により、さらなる抗体の生産方法が提供される。
いくつかの態様では、抗体産生細胞及び基材が含まれるコア層を、式(I)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を用いて前記両アルギン酸誘導体間に架橋を形成することにより得られる架橋アルギン酸ゲル(好ましくは、コア層よりも高い機械的強度を有する架橋アルギン酸ゲル)を含むシェル層で被覆することで、高い機械的強度を有する化学架橋アルギン酸ゲルファイバが提供される。後述の実施例では、抗体産生細胞を含むコア層を、高い機械的強度を有するシェル層を形成するために、式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を用いて前記両アルギン酸誘導体間に架橋を形成することにより得られる架橋アルギン酸ゲル(当該架橋アルギン酸ゲルは、Huisgen反応により形成される化学架橋及び2価金属イオン(例えば、カルシウムイオン等)より形成されるイオン架橋の両方の架橋、又は、前記化学架橋のいずれかを有している)で被覆した化学架橋アルギン酸ゲルファイバを作製し、抗体産生細胞を培養することにより、コア層で長期間抗体が連続産生され、その抗体がシェル層を透過して、アルギン酸ゲルファイバ外に連続的に放出される特徴を有する。
好ましい態様の化学架橋アルギン酸ゲルファイバは、抗体の生産に適した環境を提供する。抗体産生細胞がコア層に封入されているため、細胞への物理的ストレスが少なく、封入した抗体産生細胞が長期間に渡り抗体を産生し続けることが期待される。従って、このような化学架橋アルギン酸ゲルファイバを用いた抗体の製造方法は、抗体の生産効率を飛躍的に向上させることが期待できる。例えば、大規模な培養タンクを要する抗体の浮遊培養とは異なり、小規模の生産設備にて抗体を製造することも期待される。少量・多種品目の抗体医薬品製造にも適した次世代型抗体医薬品の連続生産技術としても期待される。
コア層に抗体産生細胞が含有される化学架橋アルギン酸ゲルファイバの断面図である。 コア層に抗体産生細胞が含有される化学架橋アルギン酸ゲルファイバの製造過程の1つの態様を説明する模式図である。 コア層に抗体産生細胞が含有される化学アルギン酸ゲルファイバの製造過程の1つの態様を説明する模式図である。 コア層に抗体産生細胞が含有されるアルギン酸ゲルファイバの横断面、産生された抗体、代謝物、老廃物、培養液(栄養源)、及び酸素がシェル層を透過することを説明する模式図である。 実施例F3-3の培養におけるファイバ中の生細胞数を示すグラフである。 実施例F3-3の培養におけるファイバ中の細胞生存率を示すグラフである。 実施例F3-3の培養におけるの産生された抗体濃度を示すグラフである。 実施例F3-4の培養におけるのに抗体生産累積量を示すグラフである。 実施例F2-3で作製された化学架橋アルギン酸ゲルファイバの培養後(28日間)の顕微鏡写真である(写真中の白線のスケールは1000μm)。 実施例F2-4で作製された化学架橋アルギン酸ゲルファイバの培養後(29日間)の顕微鏡写真である(写真中の白線のスケールは1000μm)。 実施例F2-5で作製された化学架橋アルギン酸ゲルファイバの培養後(14日間)の顕微鏡写真である(写真中の白線のスケールは1000μm)。 実施例F2-6で作製された化学架橋アルギン酸ゲルファイバの培養後(14日間)の顕微鏡写真である(写真中の白線のスケールは1000μm)。 実施例F2-7で作製された化学架橋アルギン酸ゲルファイバの培養後(28日間)の顕微鏡写真である(写真中の白線のスケールは1000μm)。 実施例F2-9で作製された化学架橋アルギン酸ゲルファイバの培養後(33日間)の顕微鏡写真である(写真中の白線のスケールは1000μm)。 実施例F2-10で作製された化学架橋アルギン酸ゲルファイバの培養後(33日間)の顕微鏡写真である(写真中の白線のスケールは1000μm)。 実施例F2-8で作製された化学架橋アルギン酸ゲルファイバの培養後(14日間)の顕微鏡写真である(写真中の白線のスケールは1000μm)。
[具体的態様]
ここでは、化学架橋アルギン酸ゲルファイバ、当該ゲルファイバの製造方法、及び当該ゲルファイバを用いる抗体の製造方法の具体的態様について説明する。より具体的には、以下の態様[1]~[6-1]に記載の通りである。
[1]第1の態様は、次の通りである。抗体産生細胞及び基材が含まれるコア層を、式(I)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を用いて架橋反応により形成される架橋アルギン酸ゲルを含むシェル層で被覆して形成される化学架橋アルギン酸ゲルファイバ。
[式(I)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体]
下記式(I):
Figure 2023015413000002
[式(I)中、(ALG)は、アルギン酸を表わし;-NHCO-は、アルギン酸の任意のカルボキシル基を介したアミド結合を表わし;-L-は、下記表:
Figure 2023015413000003
Figure 2023015413000004
Figure 2023015413000005
に記載された部分構造式[各式中、両端の波線外側は含まない]からなる群より選択されるリンカーを表わし;
Aknは、下記表:
Figure 2023015413000006
に記載された部分構造式[各式中、波線右側は含まない]からなる群より選択される環状アルキン基表わす)で表される化学修飾アルギン酸誘導体。
[式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体]
下記式(II):
Figure 2023015413000007
(式(II)中、(ALG)はアルギン酸を表わし;-NHCO-は、アルギン酸の任意のカルボキシル基を介したアミド結合を表わし;-L-は、下記表:
Figure 2023015413000008
Figure 2023015413000009
Figure 2023015413000010
に記載された部分構造式[各式中、両端の波線外側は含まない]からなる群より選択されるリンカーを表わす)で表される化学修飾アルギン酸誘導体。
[1-1]前記態様[1]の式(I)において、-L-は、好ましくは、下記表:
Figure 2023015413000011
Figure 2023015413000012
Figure 2023015413000013
に記載された部分構造式[各式中、両端の波線外側は含まない]からなる群より選択されるリンカーであり;
より好ましくは、下記表:
Figure 2023015413000014
Figure 2023015413000015
Figure 2023015413000016
に記載された部分構造式[各式中、両端の波線外側は含まない]からなる群より選択されるリンカーであり;
更に好ましくは、下記表:
Figure 2023015413000017
Figure 2023015413000018
に記載された部分構造式[各式中、両端の波線外側は含まない]からなる群より選択されるリンカーである。
[1-2]前記態様[1]の式(I)において、Aknは、好ましくは、下記表:
Figure 2023015413000019
に記載された部分構造式[各式中、波線右側は含まない]からなる群より選択される環状アルキン基であり;
より好ましくは、下記表:
Figure 2023015413000020
に記載された部分構造式[各式中、波線右側は含まない]からなる群より選択される環状アルキン基であり;
更に好ましくは、下記表:
Figure 2023015413000021
に記載された部分構造式[各式中、波線右側は含まない]からなる群より選択される環状アルキン基である。
[1-3]前記態様[1]の式(II)において、-L-は、好ましくは、下記表:
Figure 2023015413000022
Figure 2023015413000023
に記載された部分構造式[各式中、両端の波線外側は含まない]からなる群より選択されるリンカーであり;
より好ましくは、下記表:
Figure 2023015413000024
Figure 2023015413000025
に記載された部分構造式[各式中、両端の波線外側は含まない]からなる群より選択されるリンカーであり;
更に好ましくは、下記表:
Figure 2023015413000026
Figure 2023015413000027
に記載された部分構造式[各式中、両端の波線外側は含まない]からなる群より選択されるリンカーである。
[1-4]前記態様[1]の式(I)において、Akn及び-L-の組み合わせは、好ましくは、下記表:
Figure 2023015413000028
の群から選択される部分構造で示される通りであり(表中のAkn、-L-の各式は前記態様[1]に記載の通りである);
より好ましくは、Akn-L-の組み合わせは、下表の式:
Figure 2023015413000029
の群から選択される部分構造で示される通りであり(表中のAkn、-L-の各式は前記態様[1-1]に記載の通りである);
更に好ましくは、Akn-L-の組み合わせは、下表の式:
Figure 2023015413000030
の群から選択される部分構造で示される通りであり(表中のAkn、-L-の各式は前記態様[1-1]に記載の通りである);
特に好ましくは、Akn-L-の組み合わせは、下表の式:
Figure 2023015413000031
の群から選択される部分構造で示される通りであり(表中のAkn、-L-の各式は前記態様[1-1]に記載の通りである);
最も好ましくは、Akn-L-の組み合わせは、下記部分構造式:
Figure 2023015413000032
の群から選択される部分構造で示される通りである。
[1-5]前記態様[1]~[1-4]において、化学架橋アルギン酸ゲルファイバのコア層に含まれる抗体産生細胞が、例えば、抗体発現ベクターにより形質転換された培養細胞であり、その培養細胞が、例えば、CHO細胞、CHO細胞亜株、COS細胞、Sp2/0細胞、NS0細胞、SP2細胞、PERC6細胞、YB2/0細胞、YE2/0細胞、1R983F細胞、Namalwa細胞、Wil-2細胞、Jurkat細胞、Vero細胞、Molt-4細胞、HEK293細胞、BHK細胞、KGH6細胞、P3X63Ag8.653細胞、C127細胞、JC細胞、LA7細胞、ZR-45-30細胞、hTERT細胞、NM2C5細胞、UACC-812細胞等からなる群から選択される細胞であり;好ましくは、CHO細胞、CHO細胞亜株、COS細胞、Sp2/0細胞、NS0細胞、SP2細胞、及びPERC6細胞からなる群から選択される細胞であり;より好ましくは、CHO細胞、Sp2/0細胞、及びNS0細胞からなる群から選択される細胞であり;更に好ましくは、CHO細胞である。
[1-6]前記態様[1]~[1-4]において、化学架橋アルギン酸ゲルファイバのコア層に含まれる抗体産生細胞が、例えば、抗体産生CHO細胞であり、CHO細胞が、例えば、ムロモナブ-CD3産生CHO細胞、トラスツズマブ産生CHO細胞、リツキシマブ産生CHO細胞、パリビズマブ産生CHO細胞、インフリキシマブ産生CHO細胞、バシリキシマブ産生CHO細胞、トシリズマブ産生CHO細胞、ゲムツズマブ オゾガマイシン産生CHO細胞、ベバシズマブ産生CHO細胞、イブリツモマブ チウキセタン産生CHO細胞、アダリムマブ産生CHO細胞、セツキシマブ産生CHO細胞、ラニビズマブ産生CHO細胞、オマリズマブ産生CHO細胞、エクリズマブ産生CHO細胞、パニツムマブ産生CHO細胞、ウステキヌマブ産生CHO細胞、ゴリムマブ産生CHO細胞、カナキヌマブ産生CHO細胞、デノスマブ産生CHO細胞、モガムリズマブ産生CHO細胞、セルトリズマブ ペゴル産生CHO細胞、オファツムマブ産生CHO細胞、ペルツズマブ産生CHO細胞、トラスツズマブ エムタンシン産生CHO細胞、ブレンツキシマブ ベドチン産生CHO細胞、ナタリズマブ産生CHO細胞、ニボルマブ産生CHO細胞、アレムツズマブ産生CHO細胞、セクキヌマブ産生CHO細胞、ラムシルマブ産生CHO細胞、イピリムマブ産生CHO細胞、エボロクマブ産生CHO細胞、メポリズマブ産生CHO細胞、アリロクマブ産生CHO細胞、イキセキズマブ産生CHO細胞、ブロダルマブ産生CHO細胞、イダルシズマブ産生CHO細胞、エロツズマブ産生CHO細胞、ペムブロリズマブ産生CHO細胞、サリルマブ産生CHO細胞、ベズロトクスマブ産生CHO細胞、ベリムマブ産生CHO細胞、ダラツムマブ産生CHO細胞、アベルマブ産生CHO細胞、デュピルマブ産生CHO細胞、アテゾリズマブ産生CHO細胞、ベンラリズマブ産生CHO細胞、イノツズマブ オゾガマイシン産生CHO細胞、エミシズマブ産生CHO細胞、グセルクマブ産生CHO細胞、デュルバルマブ産生CHO細胞、オビヌツズマブ産生CHO細胞、ベドリズマブ産生CHO細胞等からなる群から選択されるCHO細胞であり;好ましくは、トラスツズマブ産生CHO細胞、リツキシマブ産生CHO細胞、インフリキシマブ産生CHO細胞、トシリズマブ産生CHO細胞、アダリムマブ産生CHO細胞、及びニボルマブ産生CHO細胞からなる群から選択されるCHO細胞であり;より好ましくは、トシリズマブ産生CHO細胞である。
[1-7]前記態様[1]~[1-4]において、化学架橋アルギン酸ゲルファイバのコア層に含まれる基材が、例えば、ハイドロゲル等であって、コラーゲン溶液、コラーゲンゲル、培地、培養液、メチルセルロース、スクロース溶液、アルギン酸溶液、アルギン酸ゲル、前記態様[1]に記載の式(I)又は式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体の溶液、前記態様[1]に記載の式(I)又は式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体のゲル、又はそれらの混合物等からなる群から選択される基材であり;好ましくは、コラーゲン溶液、コラーゲンゲル、培地(または培養液)、メチルセルロース、アルギン酸溶液(アルギン酸ナトリウム溶液)、又はアルギン酸ゲルからなる群から選択される基材であり;より好ましくは、培地(または培養液)、アルギン酸溶液(アルギン酸ナトリウム溶液)、又はメチルセルロースからなる群から選択される基材である。
[1-8]前記態様[1]~[1-4]において、化学架橋アルギン酸ゲルファイバのシェル層に含まれる架橋アルギン酸ゲルの形成に用いられる式(I)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体のゲルろ過クロマトグラフィー法により測定した重量平均分子量が、例えば、約10万Da~約300万Daの範囲であり;好ましくは約30万Da~約250万Daの範囲であり、より好ましくは約50万Da~約200万Daの範囲である。
[1-9]前記態様[1]~[1-4]において、化学架橋アルギン酸ゲルファイバのシェル層に含まれる架橋アルギン酸ゲルの形成に用いられる式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体のゲルろ過クロマトグラフィー法により測定した重量平均分子量が、例えば、約10万Da~約300万Daの範囲であり;好ましくは約30万Da~約250万Daの範囲であり、より好ましくは約50万Da~約200万Daの範囲である。
[1-10]前記態様[1]~[1-4]において、化学架橋アルギン酸ゲルファイバのシェル層に含まれる架橋アルギン酸ゲルの形成に用いられる式(I)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体の反応性基(Akn-L-NH基:Akn、及び-L-は、前記態様[1]中の定義と同じである)の導入率が、例えば、約0.1%~約30%の範囲であり;好ましくは、約0.3%~約20%の範囲であり;より好ましくは、約0.5~約10%の範囲である。
[1-11]前記態様[1]~[1-4]において、化学架橋アルギン酸ゲルファイバのシェル層に含まれる架橋アルギン酸ゲルの形成に用いられる式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体の反応性基(N-L-NH基:-L-は、前記態様[1]中の定義と同じである)の導入率が、例えば、約0.1%~約30%の範囲であり;好ましくは、約0.3%~約20%の範囲であり;より好ましくは、約0.5~約15%の範囲である。
[1-12]前記態様[1]~[1-4]において、化学架橋アルギン酸ゲルファイバのシェル層に含まれる架橋アルギン酸ゲルが、例えば、下記式(III-L):
Figure 2023015413000033
[式(III-L)中、両端の-CONH-及び-NHCO-は、アルギン酸の任意のカルボキシル基を介したアミド結合を表わし;
-L-は、前記態様[1]中の定義と同じであり;
-L-は、前記態様[1]中の定義と同じであり;
Xは、下記表:
Figure 2023015413000034
Figure 2023015413000035
に記載された部分構造式の群から選択される環状基である(各式中、両端の波線外側は含まない)]で表わされる基を介して化学架橋する。
[1-12-1]前記態様[1-12]に記載の式(III-L)において、好ましい、より好ましい、更に好ましい-L-は、前記態様[1-1]に記載の、好ましい、より好ましい、更に好ましい-L-の定義と同じである。
[1-12-2]前記態様[1-12]に記載の式(III-L)において、好ましい、より好ましい、更に好ましい-L-は、前記態様[1-2]に記載された好ましい、より好ましい、更に好ましい-L-の定義と同じである。
[1-12-3]前記態様[1-12]に記載の式(III-L)において、Xは、好ましくは、前記態様[1-12]に記載された部分構造式(TZ-1)、式(TZ-1-r)、式(TZ-2)、式(TZ-2-r)、式(TZ-3)、式(TZ-3-r)、式(TZ-4)、式(TZ-4-r)、式(TZ-5)、式(TZ-5-r)、式(TZ-6)、式(TZ-6-r)、式(TZ-10)、及び式(TZ-10-r)からなる群より選択される基であり;より好ましくは、部分構造式(TZ-2)、式(TZ-2-r)、式(TZ-3)、式(TZ-3-r)、式(TZ-5)、式(TZ-5-r)、式(TZ-6)、式(TZ-6-r)、式(TZ-10)、及び式(TZ-10-r)からなる群より選択される基であり;更に好ましくは、部分構造式(TZ-2)、式(TZ-2-r)、式(TZ-6)、及び式(TZ-6-r)からなる群より選択される基である。
[1-12-4]前記態様[1-12]において、式(III-L)で表わされる基の-L-X-L-の好ましい組み合わせは、下記表の式:

Figure 2023015413000036
Figure 2023015413000037
の群から選択される部分構造で示される通りであり(表中の-L-は前記態様[1-1]に記載の通り;-L-は前記態様[1-3]に記載の通り;-X-は前記態様[1-2]に記載の通りである);
より好ましくは、-L-X-L-の組み合わせは、下記表の式:
Figure 2023015413000038
の群から選択される部分構造で示される通りであり(表中の-L-は前記態様[1-1]に記載の通り;-L-は前記態様[1-3]に記載の通り;-X-は前記態様[1-2]に記載の通りである);
更に好ましくは、-L-X-L-の組み合わせは、下表の式:
Figure 2023015413000039
の群から選択される部分構造で示される通りであり(表中の-L-は前記態様[1-1]に記載の通り;-L-は前記態様[1-3]に記載の通り;-X-は前記態様[1-2]に記載の通りである);
特に好ましくは、-L-X-L-の組み合わせは、下記部分構造式[式中、両端の波線外側は含まない]:
Figure 2023015413000040
の群から選択される部分構造で示される通りである。
[1-12A]前記態様[1]~[1-4]において、化学架橋アルギン酸ゲルファイバのシェル層に含まれる架橋アルギン酸ゲルが、好ましくは、前記態様[1-12]に記載された式(III-L)[式(III-L)中、各定義は、前記態様[1-12]中の定義と同じである]で表わされる基を介して化学架橋され、更に2価金属イオン(例えば、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、バリウムイオン、ストロンチウムイオン、及び亜鉛イオンからなる群から選択されるイオン)を介してイオン架橋されている。
[1-12A-1]前記態様[1-12A]に記載の式(III-L)において、好ましい、より好ましい、更に好ましい-L-は、前記態様[12-1-1]に記載の、好ましい、より好ましい、更に好ましい-L-の定義と同じである。
[1-12A-2]前記態様[1-12A]に記載の式(III-L)において、好ましい、より好ましい、更に好ましい-L-は、前記態様[12-1-2]に記載の、好ましい、より好ましい、更に好ましい-L-の定義と同じである。
[1-12A-3]前記態様[1-12A]に記載の式(III-L)において、好ましい、より好ましい、更に好ましいXは、前記態様[12-1-3]に記載の、好ましい、より好ましい、更に好ましいXの定義と同じである。
[1-12A-4]前記態様[1-12A]に記載の式(III-L)において、好ましい、より好ましい、更に好ましい-L-X-L-の組み合わせは、前記態様[12-1-4]に記載の、好ましい、より好ましい、更に好ましい-L-X-L-の組み合わせの定義と同じである。
[1-12A-5]前記態様[1-12A]において、イオン架橋形成に用いられる2価金属イオンは、好ましくは、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、バリウムイオン、ストロンチウムイオン又は亜鉛イオンの群から選択される2価金属イオンであり;より好ましくは、カルシウムイオン又はバリウムイオンであり;更に好ましくは、カルシウムイオンである。
[1-12A-6]前記態様[1-12A]において、イオン架橋形成に用いられる2価金属イオンは、例えば、塩化カルシウム水溶液、炭酸カルシウム水溶液、グルコン酸カルシウム水溶液、塩化バリウム水溶液、等からなる群から選択される水溶液を供給源とすることができ;好ましくは、塩化カルシウム水溶液又は塩化バリウム水溶液であり;より好ましくは、塩化カルシウム水溶液である。
[1-13]前記態様[1]~[1-4]において、化学架橋アルギン酸ゲルファイバの外径が、例えば、約300μm~約750μmの範囲である。
[1-14]前記態様[1]~[1-4]において、化学架橋アルギン酸ゲルファイバのコア層の直径が、例えば、約100μm~約400μmの範囲である。
[1-15]前記態様[1]~[1-4]において、化学架橋アルギン酸ゲルファイバの外径が約300μm~約750μmの範囲であり、アルギン酸ゲルファイバのコア層の直径が約100μm~約400μmの範囲である。
[2]第2の態様は、次の通りである。抗体産生細胞及び基材が含まれるコア層を、前記態様[1]~[1-4]のいずれか1項に記載の式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を用いて前記両アルギン酸誘導体間に架橋を形成することにより得られる架橋アルギン酸ゲルを含むシェル層で被覆して形成される、化学架橋アルギン酸ゲルファイバの製造方法であって、図2に示される、導入管40と、導入管40の導入口1と、導入口1の下流に位置する導入管40の導入口2と、導入口2の下流に位置する導入管40の導入口3と、導入口2の下流に位置する導入管40の出口50を含む、マイクロ流体装置10を用い、
(1)導入口1から、抗体産生細胞6と基材を導入して射出して、導入管40内に抗体産生細胞6と基材の第1の層流を形成する工程、
(2)導入口2から、前記態様[1]に記載の式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体の混合溶液を導入して射出して、第1の層流の外周を覆う、前記態様[1]に記載の式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体の混合溶液の第2の層流を形成する工程、
(3)導入口3から、2価金属イオンを含む溶液を導入して射出して、第2の層流の外周を覆う、2価金属イオンを含む溶液の第3の層流を形成する工程、
(4)出口50から射出される、抗体産生細胞及び基材が含まれるコア層を、前記態様[1]に記載の式(I)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を用いて前記両アルギン酸誘導体間に架橋を形成することにより得られる架橋アルギン酸ゲルを含むシェル層で被覆して形成される化学架橋アルギン酸ゲルファイバ20を得る工程
を含むことを特徴とする、前記態様[1]~[1-15]のいずれか1項に記載の化学架橋アルギン酸ゲルファイバの製造方法である。
[2A]第2Aの態様は、次の通りである。抗体産生細胞及び基材が含まれるコア層を、前記態様[1]~[1-4]のいずれか1項に記載の式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を用いて前記両アルギン酸誘導体間に架橋を形成することにより得られる架橋アルギン酸ゲルを含むシェル層で被覆して形成される、化学架橋アルギン酸ゲルファイバの製造方法であって、図3に示される、導入管AAと導入管AAの導入口1、導入管BBと導入管BBの導入口2、及び導入管AA及び導入管BBの下流に位置する排出管CC及びその出口3を含む、T字型流体装置XXを用い、
(1)導入口2から、前記態様[1]に記載の式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体の混合溶液を導入する工程、
(2)導入口1から、抗体産生細胞6と基材を導入して、導入管AAの最先端ZZから抗体産生細胞6と基材を射出する工程、
(3)排出管CCの出口3から、抗体産生細胞及び基材が含まれるコア層を前記態様[1]に記載の式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体が含まれるシェル層で被覆されるファイバ状物質を、2価金属イオンを含む溶液中に射出させる工程、
(4)前記態様[1]に記載の式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を用いて前記両アルギン酸誘導体間に架橋を形成することにより得られる架橋アルギン酸ゲルを含むシェル層で被覆して形成される化学架橋アルギン酸ゲルファイバCFBを得る工程
を含むことを特徴とする、前記態様[1]~[1-15]のいずれか1項に記載の化学架橋アルギン酸ゲルファイバの製造方法である。
[2-1]前記態様[2]又は[2A]において、化学架橋アルギン酸ゲルファイバのコア層に含まれる抗体産生細胞が、例えば、抗体発現ベクターにより形質転換された培養細胞であり、その培養細胞が、例えば、CHO細胞、CHO細胞亜株、COS細胞、Sp2/0細胞、NS0細胞、SP2細胞、PERC6細胞、YB2/0細胞、YE2/0細胞、1R983F細胞、Namalwa細胞、Wil-2細胞、Jurkat細胞、Vero細胞、Molt-4細胞、HEK293細胞、BHK細胞、KGH6細胞、P3X63Ag8.653細胞、C127細胞、JC細胞、LA7細胞、ZR-45-30細胞、hTERT細胞、NM2C5細胞、UACC-812細胞等からなる群から選択される細胞であり;好ましくは、CHO細胞、CHO細胞亜株、COS細胞、Sp2/0細胞、NS0細胞、SP2細胞、及びPERC6細胞からなる群から選択される細胞であり;より好ましくは、CHO細胞、Sp2/0細胞、及びNS0からなる群から選択される細胞であり;更に好ましくは、CHO細胞である。
[2-2]前記態様[2]又は[2A]において、化学架橋アルギン酸ゲルファイバのコア層に含まれる抗体産生細胞が、例えば、抗体産生CHO細胞であり、CHO細胞が、例えば、ムロモナブ-CD3産生CHO細胞、トラスツズマブ産生CHO細胞、リツキシマブ産生CHO細胞、パリビズマブ産生CHO細胞、インフリキシマブ産生CHO細胞、バシリキシマブ産生CHO細胞、トシリズマブ産生CHO細胞、ゲムツズマブ オゾガマイシン産生CHO細胞、ベバシズマブ産生CHO細胞、イブリツモマブ チウキセタン産生CHO細胞、アダリムマブ産生CHO細胞、セツキシマブ産生CHO細胞、ラニビズマブ産生CHO細胞、オマリズマブ産生CHO細胞、エクリズマブ産生CHO細胞、パニツムマブ産生CHO細胞、ウステキヌマブ産生CHO細胞、ゴリムマブ産生CHO細胞、カナキヌマブ産生CHO細胞、デノスマブ産生CHO細胞、モガムリズマブ産生CHO細胞、セルトリズマブ ペゴル産生CHO細胞、オファツムマブ産生CHO細胞、ペルツズマブ産生CHO細胞、トラスツズマブ エムタンシン産生CHO細胞、ブレンツキシマブ ベドチン産生CHO細胞、ナタリズマブ産生CHO細胞、ニボルマブ産生CHO細胞、アレムツズマブ産生CHO細胞、セクキヌマブ産生CHO細胞、ラムシルマブ産生CHO細胞、イピリムマブ産生CHO細胞、エボロクマブ産生CHO細胞、メポリズマブ産生CHO細胞、アリロクマブ産生CHO細胞、イキセキズマブ産生CHO細胞、ブロダルマブ産生CHO細胞、イダルシズマブ産生CHO細胞、エロツズマブ産生CHO細胞、ペムブロリズマブ産生CHO細胞、サリルマブ産生CHO細胞、ベズロトクスマブ産生CHO細胞、ベリムマブ産生CHO細胞、ダラツムマブ産生CHO細胞、アベルマブ産生CHO細胞、デュピルマブ産生CHO細胞、アテゾリズマブ産生CHO細胞、ベンラリズマブ産生CHO細胞、イノツズマブ オゾガマイシン産生CHO細胞、エミシズマブ産生CHO細胞、グセルクマブ産生CHO細胞、デュルバルマブ産生CHO細胞、オビヌツズマブ産生CHO細胞、ベドリズマブ産生CHO細胞等からなる群から選択されるCHO細胞であり;好ましくは、トラスツズマブ産生CHO細胞、リツキシマブ産生CHO細胞、インフリキシマブ産生CHO細胞、トシリズマブ産生CHO細胞、アダリムマブ産生CHO細胞、及びニボルマブ産生CHO細胞からなる群から選択されるCHO細胞であり;より好ましくは、トシリズマブ産生CHO細胞である。
[2-3]前記態様[2]又は[2A]において、化学架橋アルギン酸ゲルファイバのコア層に含まれる基材が、例えば、ハイドロゲル等であって、コラーゲン溶液、コラーゲンゲル、培地、培養液、メチルセルロース、スクロース溶液、アルギン酸溶液、アルギン酸ゲル、前記態様[1]に記載の式(I)又は式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体の溶液、前記態様[1]に記載の式(I)又は式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体のゲル、又はそれらの混合物等からなる群から選択される基材であり;好ましくは、コラーゲン溶液、コラーゲンゲル、培地(または培養液)、メチルセルロース、アルギン酸溶液(アルギン酸ナトリウム溶液)、又はアルギン酸ゲルからなる群から選択される基材であり;より好ましくは、培地(または培養液)、アルギン酸溶液(アルギン酸ナトリウム溶液)、又はメチルセルロースからなる群から選択される基材である。
[2-4]前記態様[2]又は[2A]において、2価金属イオンが、例えば、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、バリウムイオン、ストロンチウムイオン、亜鉛イオン等からなる群から選択されるイオンであり;好ましくは、カルシウムイオン又はバリウムイオンであり;より好ましくは、カルシウムイオンである。
[2-5]前記態様[2]又は[2A]において、2価金属イオンを含む溶液は、例えば、塩化カルシウム水溶液、炭酸カルシウム水溶液、グルコン酸カルシウム水溶液、塩化バリウム水溶液、等からなる群から選択される水溶液であり;好ましくは、塩化カルシウム水溶液又は塩化バリウム水溶液であり;より好ましくは、塩化カルシウム水溶液である。
[2-6]前記態様[2]又は[2A]において、2価金属イオンを含む溶液の2価金属イオンの濃度が、例えば、約1mM~約1Mの範囲、又は約20~約500mMの範囲であり;好ましくは、100mMである。
[2-7]前記態様[2]において、マイクロ流体装置10の導入口1から射出される抗体産生細胞6と基材の流速は、例えば、約50~約100μL/分の範囲である。
[2-7A]前記態様[2A]において、マイクロ流体装置XXの導入口1から射出される抗体産生細胞6と基材の流速は、例えば、約50~約100μL/分の範囲である。
[2-8]前記態様[2]において、マイクロ流体装置10の導入口2から射出される前記態様[1]~[1-4]のいずれか1項に記載の式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体の混合溶液の流速は、例えば、約200~約400μL/分の範囲である。
[2-8A]前記態様[2A]において、マイクロ流体装置XXの導入口2から射出される前記態様[1]~[1-4]のいずれか1項に記載の式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体の混合溶液の流速は、例えば、200~400μL/分の範囲である。
[2-9]前記態様[2]において、マイクロ流体装置10の導入口3から射出される2価金属イオンを含む溶液の流速は、例えば、約2~約6mL/分の範囲である。
[2-10]前記態様[2]において、例えば、マイクロ流体装置10の導入口1から射出される抗体産生細胞6と基材の流速が、約50~約100μL/分の範囲であり、マイクロ流体装置10の導入口2から射出される前記態様[1]~[1-4]のいずれか1項に記載の式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体の混合溶液の流速が、約200~約400μL/分の範囲であり、マイクロ流体装置10の導入口3から射出される2価金属イオンを含む溶液の流速が、約2~約6mL/分の範囲である。
[2-10A]前記態様[2A]において、例えば、マイクロ流体装置XXの導入口1から射出される抗体産生細胞6と基材の流速が、約50~約100μL/分の範囲であり、マイクロ流体装置XXの導入口2から射出される前記態様[1]~[1-4]のいずれか1項に記載の式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体の混合溶液の流速が、約200~約400μL/分の範囲である。
[2-11]前記態様[2]又は[2A]において、化学架橋アルギン酸ゲルファイバの製法時の温度は、例えば、約4~約37℃の範囲である。
[3]第3の態様は、次の通りである。抗体産生細胞及び基材が含まれるコア層を、前記態様[1]~[1-4]のいずれか1項に記載の式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を用いて前記両アルギン酸誘導体間に架橋を形成することにより得られる架橋アルギン酸ゲルを含むシェル層で被覆して形成される、化学架橋アルギン酸ゲルファイバを用いる抗体の製造方法であり、前記態様[1]~[1-15]のいずれか1つに記載の化学架橋アルギン酸ゲルファイバを培養容器に入れ、培地を添加して前記化学架橋アルギン酸ゲルファイバを含浸させ、培養を行うことによる、抗体の製造方法である。
[3-1]前記態様[3]において、培養容器は、例えば、組織培養用プレート、三角フラスコ、T-フラスコ、スピナーフラスコ、培養バッグ、動物細胞培養槽等からなる群から選択される容器であり;好ましくは三角フラスコ又は動物細胞培養槽である。。培養は、例えば、静置培養または振とう培養などのいずれの方法を選択してもよく、回分培養(バッチ培養)、流加培養(フェドバッチ培養)、連続培養などのいずれの方法を用いてもよいが、流加培養または連続培養が好ましい。
[3-2]前記態様[3]又は[3-1]において、培養の温度条件は、28℃~37℃であり、例えば、培養温度を37℃または30℃とし、5%CO 雰囲気下に培養装置(パナソニックヘルスケア(株), MIR-S100C)で125rpmの条件にて培養する。
[3-3]前記態様[3]~[3-2]のいずれか1つにおいて、培養する期間は、例えば、14日であり;又は28日であり;又は33日である。
[3-4]前記態様[3]~[3-3]のいずれか1つにおいて、培養温度は、例えば、約30~約38℃の範囲である。
[3-4-1]前記態様[3-4]において、培養温度は、好ましくは、培養開始から終了時までの温度が約36℃~約38℃であり、より好ましくは約37℃である。
[3-4-2]前記態様[3-4]において、培養温度は、好ましくは、培養開始時の温度が約37℃であり、化学架橋アルギン酸ゲルファイバのコア層の細胞濃度が、約1.0×108細胞/mL~約8.0×10細胞/mLに到達した時点~培養終了時迄の温度が約30℃である。
[3-4-3]前記態様[3-4]において、培養温度は、好ましくは、培養開始時の温度が約37℃であり、化学架橋アルギン酸ゲルファイバのコア層の細胞濃度が、約3.0×10細胞/mL~約8.0×10細胞/mLに到達した時点~培養終了時迄の温度が約30℃である。
[3-4-4]前記態様[3-4]において、培養温度は、より好ましくは、培養開始時の温度が約37℃であり、化学架橋アルギン酸ゲルファイバのコア層の細胞濃度が、約4.0×10細胞/mL~約8.0×10細胞/mLに到達した時点~培養終了時迄の温度が約30℃である。
本明細書中、培養温度又は細胞濃度において、「約」と記載した場合、当該数値の±10%迄、ある態様では当該数値の±20%迄の値も含み得るものである。
[3-5]前記態様[3]~[3-4]のいずれか1つにおいて、抗体産生細胞は、例えば、抗体発現ベクターにより形質転換された培養細胞であり、その培養細胞が、例えば、前記態様[1-1]に記載の細胞であり、すなわち、例えば、CHO細胞、CHO細胞亜株、COS細胞、Sp2/0細胞、NS0細胞、SP2細胞、PERC6細胞、YB2/0細胞、YE2/0細胞、1R983F細胞、Namalwa細胞、Wil-2細胞、Jurkat細胞、Vero細胞、Molt-4細胞、HEK293細胞、BHK細胞、KGH6細胞、P3X63Ag8.653細胞、C127細胞、JC細胞、LA7細胞、ZR-45-30細胞、hTERT細胞、NM2C5細胞、UACC-812細胞等からなる群から選択される細胞であり;好ましくは、CHO細胞、CHO細胞亜株、COS細胞、Sp2/0細胞、NS0細胞、SP2細胞、及びPERC6細胞からなる群から選択される細胞であり;より好ましくは、CHO細胞、Sp2/0細胞、及びNS0からなる群から選択される細胞であり;更に好ましくは、CHO細胞である。
[3-6]前記態様[3]~[3-5]のいずれか1つにおいて、抗体産生細胞が、例えば、抗体産生CHO細胞であり、CHO細胞が、例えば、ムロモナブ-CD3産生CHO細胞、トラスツズマブ産生CHO細胞、リツキシマブ産生CHO細胞、パリビズマブ産生CHO細胞、インフリキシマブ産生CHO細胞、バシリキシマブ産生CHO細胞、トシリズマブ産生CHO細胞、ゲムツズマブ オゾガマイシン産生CHO細胞、ベバシズマブ産生CHO細胞、イブリツモマブ チウキセタン産生CHO細胞、アダリムマブ産生CHO細胞、セツキシマブ産生CHO細胞、ラニビズマブ産生CHO細胞、オマリズマブ産生CHO細胞、エクリズマブ産生CHO細胞、パニツムマブ産生CHO細胞、ウステキヌマブ産生CHO細胞、ゴリムマブ産生CHO細胞、カナキヌマブ産生CHO細胞、デノスマブ産生CHO細胞、モガムリズマブ産生CHO細胞、セルトリズマブ ペゴル産生CHO細胞、オファツムマブ産生CHO細胞、ペルツズマブ産生CHO細胞、トラスツズマブ エムタンシン産生CHO細胞、ブレンツキシマブ ベドチン産生CHO細胞、ナタリズマブ産生CHO細胞、ニボルマブ産生CHO細胞、アレムツズマブ産生CHO細胞、セクキヌマブ産生CHO細胞、ラムシルマブ産生CHO細胞、イピリムマブ産生CHO細胞、エボロクマブ産生CHO細胞、メポリズマブ産生CHO細胞、アリロクマブ産生CHO細胞、イキセキズマブ産生CHO細胞、ブロダルマブ産生CHO細胞、イダルシズマブ産生CHO細胞、エロツズマブ産生CHO細胞、ペムブロリズマブ産生CHO細胞、サリルマブ産生CHO細胞、ベズロトクスマブ産生CHO細胞、ベリムマブ産生CHO細胞、ダラツムマブ産生CHO細胞、アベルマブ産生CHO細胞、デュピルマブ産生CHO細胞、アテゾリズマブ産生CHO細胞、ベンラリズマブ産生CHO細胞、イノツズマブ オゾガマイシン産生CHO細胞、エミシズマブ産生CHO細胞、グセルクマブ産生CHO細胞、デュルバルマブ産生CHO細胞、オビヌツズマブ産生CHO細胞、ベドリズマブ産生CHO細胞等からなる群から選択されるCHO細胞であり;好ましくは、トラスツズマブ産生CHO細胞、リツキシマブ産生CHO細胞、インフリキシマブ産生CHO細胞、トシリズマブ産生CHO細胞、アダリムマブ産生CHO細胞、及びニボルマブ産生CHO細胞からなる群から選択される細胞であり;より好ましくは、トシリズマブ産生CHO細胞である。
[3-7]前記態様[3]~[3-6]のいずれか1つにおいて、化学架橋アルギン酸ゲルファイバのコア層に含まれる基材が、例えば、ハイドロゲル等であって、コラーゲン溶液、コラーゲンゲル、培地、培養液、メチルセルロース、スクロース溶液、アルギン酸溶液、アルギン酸ゲル、前記態様[1]に記載の式(I)又は式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体の溶液、前記態様[1]に記載の式(I)又は式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体のゲル、又はそれらの混合物等からなる群から選択される基材であり;好ましくは、コラーゲン溶液、コラーゲンゲル、培地(または培養液)、メチルセルロース、アルギン酸溶液(アルギン酸ナトリウム溶液)、又はアルギン酸ゲルからなる群から選択される基材であり;より好ましくは、培地(または培養液)、アルギン酸溶液(アルギン酸ナトリウム溶液)、又はメチルセルロースからなる群から選択される基材である。
[3-8]前記態様[3]~[3-7]のいずれか1つにおいて、培養液に、例えば、細胞増殖抑制剤を添加してもよく、培養液中に添加できる細胞増殖抑制剤が、例えば、ジメチルスルホキシド、酪酸ナトリウム、バルプロ酸、塩化リチウム及び吉草酸からなる群から選択される添加剤であり;好ましくは、バルプロ酸又は吉草酸であり;より好ましくは、吉草酸である。
[4]第4の態様は、前記態様[3]~[3-7]のいずれか1つに記載の抗体の製造方法で得られるアルギン酸ゲルファイバのコア層で産生されシェル層を透過する抗体が、IgG、IgA、IgM、IgD、及びIgE等からなる群から選択されるアイソタイプを有する抗体である。
[4-1]前記態様[4]において、コア層で産生されシェル層を透過する抗体が有するアイソタイプが、好ましくは、IgG又はIgEであり;より好ましくは、IgGである。
[5]第5の態様は、前記態様[3]~[3-7]のいずれか1つに記載の抗体の製造方法で得られる化学架橋アルギン酸ゲルファイバのコア層で産生されシェル層を透過する抗体の分子量が、45,000~900,000の範囲である抗体である。
[5-1]前記態様[5]において、コア層で産生されシェル層を透過する抗体の分子量が、好ましくは、45,000~160,000の範囲であり;より140,000~150,000の範囲である。
[6]第6の態様は、前記態様[3]~[3-7]のいずれか1つに記載の抗体の製造方法にて得られる抗体が、
例えば、ムロモナブ-CD3産生CHO細胞を用いてムロモナブ-CD3、トラスツズマブ産生CHO細胞を用いてトラスツズマブ、リツキシマブ産生CHO細胞を用いてリツキシマブ、パリビズマブ産生CHO細胞を用いてパリビズマブ、インフリキシマブ産生CHO細胞を用いてインフリキシマブ、バシリキシマブ産生CHO細胞を用いてバシリキシマブ、トシリズマブ産生CHO細胞を用いてトシリズマブ、ゲムツズマブ オゾガマイシン産生CHO細胞を用いてゲムツズマブ オゾガマイシン、ベバシズマブ産生CHO細胞を用いてベバシズマブ、イブリツモマブ チウキセタン産生CHO細胞を用いてイブリツモマブ チウキセタン、アダリムマブ産生CHO細胞を用いてアダリムマブ、セツキシマブ産生CHO細胞を用いてセツキシマブ、ラニビズマブ産生CHO細胞を用いてラニビズマブ、オマリズマブ産生CHO細胞を用いてオマリズマブ、エクリズマブ産生CHO細胞を用いてエクリズマブ、パニツムマブ産生CHO細胞を用いてパニツムマブ、ウステキヌマブ産生CHO細胞を用いてウステキヌマブ、ゴリムマブ産生CHO細胞を用いてゴリムマブ、カナキヌマブ産生CHO細胞を用いてカナキヌマブ、デノスマブ産生CHO細胞を用いてデノスマブ、モガムリズマブ産生CHO細胞を用いてモガムリズマブ、セルトリズマブ ペゴル産生CHO細胞を用いてセルトリズマブ ペゴル、オファツムマブ産生CHO細胞を用いてオファツムマブ、ペルツズマブ産生CHO細胞を用いてペルツズマブ、トラスツズマブ エムタンシン産生CHO細胞を用いてトラスツズマブ エムタンシン、ブレンツキシマブ ベドチン産生CHO細胞を用いてブレンツキシマブ ベドチン、ナタリズマブ産生CHO細胞を用いてナタリズマブ、ニボルマブ産生CHO細胞を用いてニボルマブ、アレムツズマブ産生CHO細胞を用いてアレムツズマブ、セクキヌマブ産生CHO細胞を用いてセクキヌマブ、ラムシルマブ産生CHO細胞を用いてラムシルマブ、イピリムマブ産生CHO細胞を用いてイピリムマブ、エボロクマブ産生CHO細胞を用いてエボロクマブ、メポリズマブ産生CHO細胞を用いてメポリズマブ、アリロクマブ産生CHO細胞を用いてアリロクマブ、イキセキズマブ産生CHO細胞を用いてイキセキズマブ、ブロダルマブ産生CHO細胞を用いてブロダルマブ、イダルシズマブ産生CHO細胞を用いてイダルシズマブ、エロツズマブ産生CHO細胞を用いてエロツズマブ、ペムブロリズマブ産生CHO細胞を用いてペムブロリズマブ、サリルマブ産生CHO細胞を用いてサリルマブ、ベズロトクスマブ産生CHO細胞を用いてベズロトクスマブ、ベリムマブ産生CHO細胞を用いてベリムマブ、ダラツムマブ産生CHO細胞を用いてダラツムマブ、アベルマブ産生CHO細胞を用いてアベルマブ、デュピルマブ産生CHO細胞を用いてデュピルマブ、アテゾリズマブ産生CHO細胞を用いてアテゾリズマブ、ベンラリズマブ産生CHO細胞を用いてベンラリズマブ、イノツズマブ オゾガマイシン産生CHO細胞を用いてイノツズマブ オゾガマイシン、エミシズマブ産生CHO細胞を用いてエミシズマブ、グセルクマブ産生CHO細胞を用いてグセルクマブ、デュルバルマブ産生CHO細胞を用いてデュルバルマブ、オビヌツズマブ産生CHO細胞を用いてオビヌツズマブ、又はベドリズマブ産生CHO細胞を用いてベドリズマブである。
[6-1]前記態様[6]において、前記態様[3]~[3-7]のいずれか1つに記載の抗体の製造方法にて産生可能な抗体として、好ましくは、トラスツズマブ産生CHO細胞を用いてトラスツズマブ、リツキシマブ産生CHO細胞を用いてリツキシマブ、インフリキシマブ産生CHO細胞を用いてインフリキシマブ、トシリズマブ産生CHO細胞を用いてトシリズマブ、アダリムマブ産生CHOを用いてアダリムマブ、又はニボルマブ産生CHO細胞を用いてニボルマブであり;より好ましくは、トシリズマブ産生CHO細胞を用いてトシリズマブである。
以下、各態様についてより詳細に説明する。
1.アルギン酸(式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を合成する際に用いる原料のアルギン酸、及びコア層の基材に用いられるアルギン酸について):
本明細書中、アルギン酸と記載する場合、アルギン酸、アルギン酸エステル、及びそれらの塩(例えば、アルギン酸ナトリウム)からなる群から選択される少なくとも1種のアルギン酸(「アルギン酸類」という場合がある)を意味する。用いられるアルギン酸は、天然由来でも合成物であってもよいが、天然由来であるのが好ましい。好ましく用いられるアルギン酸類は、レッソニア、マクロシスティス、ラミナリア、アスコフィラム、ダービリア、カジカ、アラメ、コンブなどの褐藻類から抽出される生体内吸収性の多糖類であって、D-マンヌロン酸(M)とL-グルロン酸(G)という2種類のウロン酸が直鎖状に重合したポリマーである。より具体的には、D-マンヌロン酸のホモポリマー画分(MM画分)、L-グルロン酸のホモポリマー画分(GG画分)、およびD-マンヌロン酸とL-グルロン酸がランダムに配列した画分(M/G画分)が任意に結合したブロック共重合体である。
アルギン酸は、褐藻類の海藻から抽出し、精製して製造される天然多糖類の一種であり、D-マンヌロン酸(M)とL-グルロン酸(G)が重合したポリマーである。アルギン酸のD-マンヌロン酸とL-グルロン酸の構成比(M/G比)、すなわちゲル強度は、主に海藻等の由来となる生物の種類によって異なり、また、その生物の生育場所や季節による影響を受け、M/G比が約0.2の高G型からM/G比が約5の高M型まで高範囲にわたる。アルギン酸のM/G比、MとGの配列の仕方等によってアルギン酸の物理化学的性質が異なり、また好ましい用途が異なる場合がある。アルギン酸類のゲル化能力および生成したゲルの性質は、M/G比によって影響を受け、一般的に、G比率が高い場合にはゲル強度が高くなることが知られている。M/G比は、その他にも、ゲルの硬さ、もろさ、吸水性、柔軟性などにも影響を与える。したがって、本発明で使用するアルギン酸は、その最終使用用途に応じて、適切なM/G比や適切な粘度のものを用いるのがよい。
アルギン酸の工業的な製造方法には、酸法とカルシウム法などがあるが、本発明ではいずれの製法で製造されたものも使用することができる。精製により、HPLC法による定量値が80~120質量%の範囲に含まれるものが好ましく、90~110質量%の範囲に含まれるものがより好ましく、95~105質量%の範囲に含まれるものがさらに好ましい。本発明においては、HPLC法による定量値が前記の範囲に含まれるものを高純度のアルギン酸と称する。本発明で使用するアルギン酸又はその塩は、高純度アルギン酸であることが好ましい。市販品としては、例えば、キミカアルギンシリーズとして、(株)キミカより販売されているもの、好ましくは、高純度食品・医薬品用グレードのものを購入して使用することができる。市販品を、さらに適宜精製して使用することも可能である。例えば、低エンドトキシン処理することが好ましい。精製法や低エンドトキシン処理方法は、例えば特開2007-75425号公報に記載されている方法を採用することができる。
本発明で使用する「アルギン酸」におけるアルギン酸の塩としては、「アルギン酸の1価金属塩」であり、アルギン酸のD-マンヌロン酸またはL-グルロン酸のカルボン酸の水素イオンを、Na+やK+などの1価金属イオンとイオン交換することでつくられる塩である。アルギン酸の1価金属塩としては、具体的には、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウムなどを挙げることができるが、特に、アルギン酸ナトリウムが好ましい。
本明細書中、アルギン酸は、アルギン酸を(ALG)として、アルギン酸の任意のカルボキシル基の1つを-COOHとして、(ALG)-COOHと表記する場合がある。
本発明で使用するアルギン酸は、その最終使用用途に応じて、適切な重量平均分子量のものを用いるのがよい。例えば、重量平均分子量が1万~1,000万のものを用いるのが好ましく、より好ましくは10万以上500万以下、さらに好ましくは15万以上300万以下である。
いくつかの態様では、アルギン酸は、アルギン酸ナトリウムである。アルギン酸ナトリウムは、市販品のアルギン酸ナトリウムを用いることができる。ここで、後述の実施例では、アルギン酸ナトリウムは、下表に記載したA-1、A-2、A-3、B-1、B-2、及びB-3のアルギン酸ナトリウム(発売元 持田製薬株式会社)を用いている。各アルギン酸ナトリウムの1w/w%の水溶液の粘度、重量平均分子量及びM/G灯を下記の表に示す。
Figure 2023015413000041
前記アルギン酸ナトリウムA-1、A-2、A-3、B-1、B-2、及びB-3の各物性値は、下記の各種方法により測定した。測定方法は、当該方法に限定されるものではないが、測定方法により各物性値が上記のものと異なる場合がある。
[アルギン酸ナトリウムの粘度測定]
日本薬局方(第16版)の粘度測定法に従い、回転粘度計法(コーンプレート型回転粘度計)を用いて測定した。具体的な測定条件は以下のとおりである。試料溶液の調製は、MilliQ水を用いて行った。測定機器は、コーンプレート型回転粘度計(粘度粘弾性測定装置レオストレスRS600(Thermo Haake GmbH)センサー:35/1)を用いた。回転数は、1w/w%アルギン酸ナトリウム溶液測定時は1rpmとした。読み取り時間は、2分間測定し、開始1分から2分までの平均値とした。3回の測定の平均値を測定値とした。測定温度は20℃とした。
[アルギン酸ナトリウムの重量平均分子量測定]
(1)ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)と、(2)GPC-MALSの2種類の測定法で測定した。測定条件は以下のとおりである。
[前処理方法]
試料に溶離液を加え溶解後、0.45μmメンブランフィルターろ過したものを測定溶液とした。
(1)ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定
[測定条件(相対分子量分布測定)]
カラム:TSKgel GMPW-XL×2+G2500PW-XL(7.8mm I.D.×300mm×3本)
溶離液:200mM硝酸ナトリウム水溶液
流量:1.0mL/min
濃度:0.05%
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
注入量:200μL
分子量標準:標準プルラン、グルコース
(2)GPC-MALS測定
[屈折率増分(dn/dc)測定(測定条件)]
示差屈折率計:Optilab T-rEX
測定波長:658nm
測定温度:40℃
溶媒:200mM硝酸ナトリウム水溶液
試料濃度:0.5~2.5mg/mL(5濃度)
[測定条件(絶対分子量分布測定)]
カラム:TSKgel GMPW-XL×2+G2500PW-XL(7.8mm I.D.×300mm×3本)
溶離液:200mM硝酸ナトリウム水溶液
流量:1.0mL/min
濃度:0.05%
検出器:RI検出器、光散乱検出器(MALS)
カラム温度:40℃
注入量:200μL
本明細書中、アルギン酸、アルギン酸誘導体、架橋アルギン酸、及び架橋アルギン酸の分子量において、単位としてDa(ダルトン)を付記する場合がある。
アルギン酸類のD-マンヌロン酸とL-グルロン酸の構成比(M/G比)は、主に海藻等の由来となる生物の種類によって異なり、また、その生物の生育場所や季節による影響を受け、M/G比が約0.2の高G型からM/G比が約5の高M型まで高範囲にわたる。アルギン酸類のゲル化能力および生成したゲルの性質は、M/G比によって影響を受け、一般的に、G比率が高い場合にはゲル強度が高くなることが知られている。M/G比は、その他にも、ゲルの硬さ、もろさ、吸水性、柔軟性などにも影響を与える。用いるアルギン酸類および/またはその塩のM/G比は、通常、0.1~4.0であり、ある態様では、0.1~3.0であり、ある態様では、0.1~2.0であり、ある態様では0.5~1.8であり、ある態様では0.8~1.2である。又、別の態様では、0.1~0.5である。
また、本発明で使用するアルギン酸は、その最終使用用途に応じて、適切な粘度や、適切なM/G比のものを用いるのがよい。
本明細書中、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示す。
本明細書中、用いられる「アルギン酸エステル」、「アルギン酸塩」とは、特に限定されないが、架橋剤と反応させるため、架橋反応を阻害する官能基を有していないことが必要である。アルギン酸エステルとしては、好ましくは、アルギン酸プロピレングリコール、等が挙げられる。
本明細書中、アルギン酸塩としては、例えば、アルギン酸の1価の塩、アルギン酸の2価の塩が挙げられる。アルギン酸の1価の塩としては、好ましくは、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム、等が挙げられ、より好ましくは、アルギン酸ナトリウムまたはアルギン酸カリウムであり、特に好ましくは、アルギン酸ナトリウムである。アルギン酸の2価の塩としては、好ましくは、アルギン酸カルシウム、アルギン酸マグネシウム、アルギン酸バリウム、アルギン酸ストロンチウム、等が挙げられる。
アルギン酸は、高分子多糖類であり、分子量を正確に定めることは困難であるが、一般的に重量平均分子量で1000~1000万、好ましくは1万~800万、より好ましくは2万~300万の範囲である。天然物由来の高分子物質の分子量測定では、測定方法により値に違いが生じうることが知られている。
本明細書において本発明のアルギン酸誘導体またはアルギン酸又はその塩の分子量を特定する場合は、特段のことわりがない限り、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により算出される重量平均分子量である。本発明で使用するアルギン酸又はその塩としても、その最終使用用途に応じて、適切な分子量分布のものを用いることが望ましい。
例えば、後記実施例に記載したゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)又はゲルろ過クロマトグラフィー(これらを合わせてサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)ともいう)の測定条件にて、好ましくは、10万~500万であり、より好ましくは15万~300万である。また、ある態様では、50万~300万の範囲であり、より好ましくは、100万~250万であり、さらに好ましくは、100万~200万の範囲である。
また、例えば、GPC-MALS(SEC-MALS)法によれば、絶対重量平均分子量を測定することができる。GPC-MALS法により測定した重量平均分子量(絶対分子量)は、好ましくは1万以上、より好ましくは5万以上、さらに好ましくは6万以上であり、また好ましくは、100万以下、より好ましくは80万以下、さらに好ましくは70万以下、とりわけ好ましくは50万以下である。その好ましい範囲は、1万~100万であり、より好ましくは5万~80万であり、さらに好ましくは6万~50万である。
通常、高分子多糖類の分子量を上記のようなSEC、SEC-MALSを用いた手法で算出する場合、約10%~約30%の測定誤差を生じうる。例えば、50万であれば35万~65万、100万であれば70万~130万程度の範囲で値の変動が生じうる。本明細書中、分子量測定の記載において「約」と記載した場合、当該数値の±10%迄、ある態様では当該数値の±20%迄の値も含み得るものである。
ここで、一般に天然物由来の高分子物質は、単一の分子量を持つのではなく、種々の分子量を持つ分子の集合体であるため、ある一定の幅を持った分子量分布として測定される。代表的な測定手法はゲルろ過クロマトグラフィーである。ゲルろ過クロマトグラフィーにより得られる分子量分布の代表的な情報としては、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分散比(Mw/Mn)があげられる。
分子量の大きい高分子の平均分子量への寄与を重視したのが重量平均分子量であり、下記式で表される。
Mw=Σ(WiMi)/W=Σ(HiMi)/Σ(Hi)
数平均分子量は、高分子の総重量を高分子の総数で除して算出される。
Mn=W/ΣNi=Σ(MiNi)/ΣNi=Σ(Hi)/Σ(Hi/Mi)
ここで、Wは高分子の総重量、Wiはi番目の高分子の重量、Miはi番目の溶出時間における分子量、Niは分子量Miの個数、Hiはi番目の溶出時間における高さである。
天然物由来の高分子物質の分子量測定では、測定方法により値に違いが生じうることが知られている(ヒアルロン酸の例:Chikako YOMOTA et.al. Bull.Natl.Health Sci., Vol.117, pp135-139(1999)、Chikako YOMOTA et.al. Bull.Natl.Inst. Health Sci., Vol.121, pp30-33(2003))。アルギン酸の分子量測定については、固有粘度(Intrinsic viscosity)から算出する方法、SEC-MALLS(Size Exclusion Chromatography with Multiple Angle Laser Light Scattering Detection)により算出する方法が記載された文献がある(ASTM F2064-00(2006),ASTM International発行)。本発明においては、重量平均分子量は、上記文献に示されるような常法にて、例えばサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により分子量を測定し、プルランを標準物質として用いた較正曲線により算出した値とすることができる。
又、本発明においては、重量平均分子量は、上記文献に示されるような常法にて、例えばサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)―MALSにより測定した絶対分子量とすることができる。
アルギン酸類の分子量の測定は、常法に従い測定することができる。
本明細書中においてアルギン酸又はその塩の分子量を特定する場合は、特段のことわりがない限り、ゲルろ過クロマトグラフィーにより算出される重量平均分子量である。分子量測定にゲルろ過クロマトグラフィーを用いる場合の代表的な条件は、例えば、後述する本実施例の条件を採用することができる。カラムは、例えば、Superose6 Increase10/300 GLカラム(GEヘルスケアサイエンス社)を用いることができ、展開溶媒として、例えば、0.15mol/L NaClを含む10mmol/Lリン酸緩衝液(pH7.4)を使用することができ、分子量標準としてブルーデキストラン、チログロブリン、フェリチン、アルドラーゼ、コンアルブミン、オブアルブミン、リボヌクレアーゼAおよびアプロチニンを用いることができる。
本明細書中で用いられるアルギン酸の粘度は、特に限定されないが、1w/w%のアルギン酸類の水溶液として粘度を測定した場合、好ましくは、10mPa・s~1000mPa・s、より好ましくは、50mPa・s~800mPa・sである。
アルギン酸の水溶液の粘度の測定は、常法に従い測定することができる。例えば、回転粘度計法の、共軸二重円筒形回転粘度計、単一円筒形回転粘度計(ブルックフィールド型粘度計)、円すい-平板形回転粘度計(コーンプレート型粘度計)等を用いて測定することができる。好ましくは、日本薬局方(第16版)の粘度測定法に従うことが望ましい。より好ましくは、コーンプレート型粘度計を用いる。
アルギン酸類は、褐藻類から抽出された当初は、分子量が大きく、粘度が高めだが、熱による乾燥、精製などの過程で、分子量が小さくなり、粘度は低めとなる。製造工程の温度等の条件管理、原料とする褐藻類の選択、製造工程における分子量の分画などの手法により分子量の異なるアルギン酸類を製造することができる。さらに、異なる分子量あるいは粘度を持つ別ロットのアルギン酸類と混合することにより、目的とする分子量を有するアルギン酸類とすることも可能である。
本明細書中で用いられるアルギン酸は、いくつかの態様においては、低エンドトキシン処理されていないアルギン酸あり、又は別のいくつかの態様においては、低エンドトキシン処理されたアルギン酸である。低エンドトキシンとは、実質的に炎症、または発熱を惹起しない程度にまでエンドトキシンレベルが低いことをいう。より好ましくは、低エンドトキシン処理されたアルギン酸類であることが望ましい。
低エンドトキシン処理は、公知の方法またはそれに準じる方法によって行うことができる。例えば、ヒアルロン酸ナトリウムを精製する、菅らの方法(例えば、特開平9-324001号公報など参照)、β1,3-グルカンを精製する、吉田らの方法(例えば、特開平8-269102号公報など参照)、アルギネート、ゲランガム等の生体高分子塩を精製する、ウィリアムらの方法(例えば、特表2002-530440号公報など参照)、ポリサッカライドを精製する、ジェームスらの方法(例えば、国際公開第93/13136号パンフレットなど参照)、ルイスらの方法(例えば、米国特許第5589591号明細書など参照)、アルギネートを精製する、ハーマンフランクらの方法(例えば、Appl Microbiol Biotechnol(1994)40:638-643など参照)等またはこれらに準じる方法によって実施することができる。低エンドトキシン処理は、それらに限らず、洗浄、フィルター(エンドトキシン除去フィルターや帯電したフィルターなど)によるろ過、限外ろ過、カラム(エンドトキシン吸着アフィニティーカラム、ゲルろ過カラム、イオン交換樹脂によるカラムなど)を用いた精製、疎水性物質、樹脂または活性炭などへの吸着、有機溶媒処理(有機溶媒による抽出、有機溶剤添加による析出・沈降など)、界面活性剤処理(例えば、特開2005-036036号公報など参照)など公知の方法によって、あるいはこれらを適宜組合せて実施することができる。これらの処理の工程に、遠心分離など公知の方法を適宜組み合わせてもよい。アルギン酸の種類に合わせて適宜選択するのが望ましい。
エンドトキシンレベルは、公知の方法で確認することができ、例えば、リムルス試薬(LAL)による方法、エンドスペシー(登録商標)ES-24Sセット(生化学工業株式会社)を用いる方法などによって測定することができる。
用いられるエンドトキシンの処理方法は特に限定されないが、その結果として、アルギン酸類のエンドトキシン含有量が、リムルス試薬(LAL)によるエンドトキシン測定を行った場合に、500エンドトキシン単位(EU)/g以下であることが好ましく、さらに好ましくは、100EU/g以下、とりわけ好ましくは、50EU/g以下、特に好ましくは、30EU/g以下である。本発明において、「実質的にエンドトキシンを含まない」とは、日局エンドトキシン試験により測定したエンドトキシン値が前記の数値範囲にあるものを意味する。低エンドトキシン処理されたアルギン酸ナトリウムは、例えば、Sea Matrix(登録商標)(持田製薬株式会社)、PRONOVATM UP LVG(FMCBioPolymer)など市販品により入手可能である。
別のいくつかの態様において、化学架橋アルギン酸ゲルファイバのコア層又はシェル層の形成に用いられる前記式(I)又は(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を合成する際に用いられるアルギン酸(アルギン酸ナトリウム)は、特に限定されることは無いが、例えば、前記表21に記載のアルギン酸ナトリウムA-1、A-2、A-3、B-1、B-2、又はB-3から選択することが可能である。前記アルギン酸ナトリウムを用いて調整されたアルギン酸ナトリウム溶液の濃度は、例えば、0.1~2.0質量%(w/w%)又は(w/v%)の範囲である。
又、化学架橋アルギン酸ゲルファイバのコア層又はシェル層の形成に用いられる前記式(I)又は(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を合成する際に用いられるアルギン酸ナトリウムは、好ましくは、A-2又はB-2であり、又、当該アルギン酸ナトリウムを用いて調整されたアルギン酸ナトリウム溶液の濃度は、好ましくは、1.5質量%(w/w%)又は(w/v%)である。
いくつかの態様において、化学架橋アルギン酸ゲルファイバのコア層の形成に用いられるアルギン酸(アルギン酸ナトリウム)は、特に限定されることは無いが、コラーゲン溶液、又は培地(または培養液)等を、混合して用いることも可能である。尚、アルギン酸ナトリウム溶液、コラーゲン溶液等に用いられる溶媒は、後述の通りである。
2.化学修飾アルギン酸誘導体
本明細書中の化学修飾アルギン酸誘導体は、アルギン酸の任意の1つ以上のカルボキシル基にアミド結合及び2価のリンカーを介して、Huisgen反応における反応性基又は当該反応性基の相補的な反応性基が導入されたものである。
より具体的には、下記式(I):
Figure 2023015413000042
[式(I)中、(ALG)、-L-、Akn及び-NH-CO-の定義は、前述の第1の態様中の定義と同じである]で表されるアルギン酸誘導体、及び下記式(II):
Figure 2023015413000043
[式(II)中、(ALG)、-L-、及び-NH-CO-の定義は、前述の第1の態様中の定義と同じである]で表されるアルギン酸誘導体である。
前記の2価のリンカー(-L-又は-L-)は、反応性基と当該反応性基と相補的な反応性基との反応を阻害しない限り、任意の直鎖状基の使用が可能である。具体的には、直鎖のアルキレン基(-(CH-、n=1~30)(当該基中の-CH-は、-C(=O)-、-CONH-、-O-、-NH-、-S-、ベンゼン環、複素環(ピリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、等の5~6員芳香族複素環又は5~6員非芳香族複素環)、等の基で複数個(例えば、1~10個、又は1~5個)置き換えられても良く、当該-CH-の水素原子は、オキソ基(=O)、C1-6アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、等の基)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、等)、水酸基(-OH)、等の基から選択される基で複数個(例えば、1~10個、又は1~5個)置換されていても良い)が挙げられる。
前記式(I)又は式(II)で表わされるアルギン酸誘導体の-NH-CO-基における、イミノ基(-NH-)の水素原子をメチル基に置換し-N(Me)-CO-基することが可能である。
前記式(I)又は式(II)で表わされるアルギン酸誘導体における、リンカー(-L-、-L-)とアルギン酸の結合様式は、-NH-CO-結合、又は-N(Me)-CO-があり;好ましくは、-NH-CO-結合である。
本明細書中の式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体は、例えば、下記式の方法(詳細は、後述の一般的製造方法を参照)により製造することが可能である。
Figure 2023015413000044
本明細書の式(I)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体のゲルろ過クロマトグラフィー法により測定した重量平均分子量が、約10万Da~約300万Daの範囲であり;好ましくは約30万Da~約250万Daの範囲であり、より好ましくは約50万Da~約200万Daの範囲である。又、式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体のゲルろ過クロマトグラフィー法により測定した重量平均分子量が、約10万Da~約300万Daの範囲であり;好ましくは約30万Da~約250万Daの範囲であり、より好ましくは約50万Da~約200万Daの範囲である。
本明細書中、式(I)のAkn-L-NH-基は、アルギン酸構成単位の全てのカルボキシル基に結合している必要はなく、又、式(II)のN-L-NH-基は、アルギン酸構成単位の全てのカルボキシル基に結合している必要はない。
本明細書中、式(I)のAkn-L-NH-基を反応性基と言う場合、式(II)のN-L-NH-基が相補的な反応性基となる。又、逆に式(II)のN-L-NH-基を反応性基と言う場合、式(I)のAkn-L-NH-基が相補的な反応性基となる。
本明細書中、式(I)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体の反応性基の導入率は、例えば、約0.1%~約30%の範囲であり;好ましくは、約0.3%~約20%の範囲であり;より好ましくは、約0.5~約10%の範囲である。又、式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体の反応性基の導入率は、例えば、約0.1%~約30%の範囲であり;好ましくは、約0.3%~約20%の範囲であり;より好ましくは、約0.5~約15%の範囲である。
前記反応性基又は相補的な反応性基の導入率は、アルギン酸類の繰り返し単位であるウロン酸単糖単位のうち、各反応性基が導入されたウロン酸単糖単位の数を百分率で表した値である。本明細書中、特に断らない限り、アルギン酸誘導体(式(I)または式(II))における反応性基又は相補的な反応性基の導入率に用いられる%は、mol%を意味する。各反応性基又は相補的な反応性基の導入率は、後述の実施例に記載の方法により求めることができる。
本明細書中、式(I)中の環状アルキン基(Akn)及び式(II)中のアジド基が、Huisgen反応によりトリアゾール環を形成し、これにより架橋が形成される。
3.Huisgen反応
Huisgen反応(1,3-双極子付加環化反応)は、下記式に示される様に末端アジド基及び末端アルキン基を有する化合物間の縮合反応である。反応の結果、二置換1,2,3-トリアゾール環が収率良く得られ、余計な副生成物が生じないという特徴を有している。当該反応は、1,4-又は1,5-二置換トリアゾール環が生成し得ると考えられるが、銅触媒を用いることで位置選択的にトリアゾール環を得ることが可能である。
Figure 2023015413000045
又、銅触媒を用いないHuisgen反応がWittigとKrebsにより報告がなされている。即ち、シクロオクチンとフェニルアジドを混合するだけで環化付加体が得られる反応である(下記式中、R=フェニルである)。本反応は、シクロオクチンの三重結合が大きく歪んでいるため、フェニルアジドとの反応による歪みの解消が駆動力となり、反応が自発的に進行することにより、触媒が不要となった。
Figure 2023015413000046
以上の様に、Huisgen反応は、置換された1級アジド、2級アジド、3級アジド、芳香族アジド、等を有するアジド化合物、及びアジド基の相補的な反応性基である末端又は環状アルキン基を有する化合物を用いることができる。又、Huisgen反応では、ほぼアジド基及びアルキン基のみが反応することから、反応基質中に種々の官能基(例えば、エステル基、カルボキシル基、アルケニル基、水酸基、アミノ基、等)を置換させることが可能である。
いくつかの態様では、望ましくない副生成物を生じさせず、銅触媒による細胞毒性を回避させる為に銅触媒を用いずに、短時間、容易に、且つ効率的に1,2,3-トリアゾール環による架橋をアルギン酸分子間に形成させる為に、Huisgen反応のアルキン基としては、例えば、前記態様[1]に記載した環状アルキン基(シクロオクチル基)を用いる。
好ましい態様の化学修飾アルギン酸誘導体の架橋方法においては、当該反応(Huisgen反応)にて望ましくない副生成物がほとんど形成されない。
4.化学修飾アルギン酸誘導体の合成方法
本明細書において、式(I)又は式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体は、各々、HN-L-Akn(式中、-L-及びAknは、前記態様[1]中の定義と同じである)で表わされるアミン誘導体(AM-1)、又は、HN-L-N(式中、-L-は、前記態様[1]中の定義と同じである)で表わされるアミン誘導体(AM-2)を、アルギン酸類の任意のカルボキシル基とを、縮合剤を用いる縮合反応により製造することができる。
Figure 2023015413000047
[式(I)の化学修飾アルギン酸誘導体の製法]
0.5重量%~1重量%のアルギン酸水溶液及び式(AM-1)で表わされるアミンを用いて、文献公知の方法、例えば、『実験化学講座 第5版 16、有機化合物の合成IV、カルボン酸および誘導体、エステル類、p35-70、酸アミドおよび酸イミド、p118-154、アミノ酸・ペプチド、p258-283、2007年、丸善』等に記載された方法に準じて、1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC・HCl)、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェイト(BOP試薬)、ビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)ホスフィニッククロリド(BOP-Cl)、2-クロロ-1,3-ジメチルイミダゾリニウムヘキサフルオロホスフェイト(CIP)、又は4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)、等から選択される縮合剤の存在下、アルギン酸が析出しない程度の、テトラヒドロフラン、1、4-ジオキサン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、2-プロパノール、等のアルコール系溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド等の極性溶媒等から選択される溶媒と水との混合溶媒中、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等の無機塩基、又はトリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基の存在下又は非存在下にて、0℃から50℃間の温度で縮合反応を行うことにより、式(I)の化学修飾アルギン酸誘導体を製造することができる。
[式(II)の化学修飾アルギン酸誘導体の製法]
0.5重量%~1重量%のアルギン酸水溶液及び式(AM-2)で表わされるアミンを用いて、前述の[式(I)の化学修飾アルギン酸誘導体の製法]に準じて反応をおこなうことにより、式(II)の化学修飾アルギン酸誘導体を製造することができる。
前記、式(I)の化学修飾アルギン酸誘導体又は式(II)の化学修飾アルギン酸誘導体の製法において、式(AM-1)又は式(AM-2)のアミンの導入率は、当該アミンの性質等を考慮することで、下記(i)~(v)等の反応条件を適宜選択して組み合わせることにより調節が可能になる。(i)縮合剤の等量の増減、(ii)反応温度の上昇・下降、(iii)反応時間の延長・短縮、(iv)反応基質のアルギン酸の濃度の調整、(v)式(AM-1)又は式(AM-2)のアミンの溶解度を上げる為に水に混和する有機溶媒を添加する、等。
以下に、式(AM-1)又は式(AM-2)で表わされるアミンのうち、より具体的なアミンの製造方法を示す。
尚、以下の各製造方法中、s1、s2、s3、s4、s5、s8、s9、s10、s11、s12、t1、t2、t3、t4、t5、t6、t7、t8、t9、t10、t11、t12、m1、n1、m2a、n2a、p2a、m2b、n2b、p2b、m3、n3、p3、m4a、n4a、m4b、n4b、m5a、n5a、p5a、q5a、m5b、n5b、p5b、q5b、m6a、n6a、p6a、m6b、n6b、p6b、m7、n7、m8a、n8a、m8b、n8b、m9a、n9a、p9a、m9b、n9b、p9b、m10、n10、p10、x1、x2、x2a、y2a、x2b、y2b、x3、y3、x4、y4、z4、x5a、y5a、x5b、y5b、x6a、y6a、z6a、v6a、x6b、y6b、z6b、v6b、x7a、y7a、z7a、x7b、y7b、z7b、x8a、y8a、z8a、x8b、y8b、z8b、x9a、y9a、z9a、x9b、y9b、及びz9bの定義は前記態様[1]中の記載と同じ定義であり;R=メチル基、エチル基、等のC1~6アルキル基であり;P又はPは、-C(O)O-tertBu基、-C(O)O-Bn基、-C(O)CH基、-C(O)CF基、等から選択されるアミノ基の保護基であり; Pは-C(O)O-tertBu基、-C(O)O-Bn基、-C(O)CH基、-C(O)CF基、-SOPh、-SOPhMe基、-SOPh(NO)基、等から選択されるアミノ基の保護基であり;E=ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、等)、-OTs基、-OMs基、等の脱離基である。
又、以下の各製造方法中、保護基P及びPの保護・脱保護は、文献公知の方法、例えば、『プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis 4thEdition) 第4版、2007年、ジョン ウィリー アンド サンズ(John Wiley & Sons)、グリーン(Greene)ら』の成書に記載された脱保護の方法に準じて、保護・脱保護を行うことができる。
[製造方法A]
式(AM-OL-1)で表されるアミンの製造方法:
Figure 2023015413000048
式(SM-1)の化合物[式(SM-1)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物である]及び式(RG-1)の化合物[式(RG-1)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物であり]を用いて、文献公知の方法、例えば、『Carbohydrate Polymers、169、p332-340、2017年』等に記載された方法に準じて、(i)AgOSCF存在下トルエン等の反応に関与しない溶媒中(RG-1)を置換させ、続いて(ii)DBUを用いて脱臭素化反応を行うことでアルキン基を形成し、更に(iii)保護基Pを脱保護することにより式(AM-OL-1)で表されるアミン化合物、又はその塩を製造することができる。
[製造方法B]
式(AM-OL-2)で表されるアミンの製造方法:
Figure 2023015413000049
<工程1>
式(SM-2)の化合物[式(SM-2)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物である]及び式(RG-2)[式(RG-2)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物である]の化合物を用いて、文献公知の方法、例えば、『European Journal of Organic Chemistry, 2014(6), p1280-1286; 2014年』等に記載された方法に準じて、(i)PPh、及びN(COCHMeの試薬存在下、テトラヒドロフラン等の反応に関与しない溶媒中、光延反応を行い、続いて(ii)水酸化ナトリウム等の塩基存在下、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、水等の反応に関与しない溶媒若しくはそれらの混合溶媒中、加水分解を行うことにより式(IM-1)で表される化合物を製造することができる。
<工程2>
[製造方法B]<工程1>により得られる式(IM-1)の化合物及び式(RG-3)[式(RG-3)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物であり]の化合物を用いて、(iii)前記[式(I)の化学修飾アルギン酸誘導体の製法]と同様な縮合反応を行い、続いて(iv)保護基Pを脱保護することにより式(AM-OL-2)で表されるアミン化合物、又はその塩を製造することができる。
[製造方法C]
式(AM-OL-3)で表されるアミンの製造方法:
Figure 2023015413000050
<工程1>
式(SM-1)の化合物及び式(RG-4)の化合物[式(RG-4)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物であり]を用いて、文献公知の方法、例えば、『Journal of the American Chemical Society、126(46)、p15046-15047、2004年』等に記載された方法に準じて、(i)AgClO存在下、トルエン等の反応に関与しない溶媒中、式(RG-4)の化合物を置換させ、続いて(ii)NaOMeを用いて脱臭素化反応を行うことによりアルキン基を形成し、(iii)水酸化リチウム、水酸化ナトリウム等の塩基存在下、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、水等の反応に関与しない溶媒若しくはそれらの混合溶媒中、加水分解を行うことにより式(IM-2)で表される化合物を製造することができる。
<工程2>
[製造方法C]<工程1>により得られる式(IM-2)の化合物及び式(RG-5)の化合物[式(RG-5)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物であり]を用いて、前記[式(I)の化学修飾アルギン酸誘導体の製法]と同様な縮合反応を行い、続いて保護基Pを脱保護することにより式(AM-OL-3)で表されるアミン化合物、又はその塩を製造することができる。
[製造方法D]
式(AM-OL-5)で表されるアミンの製造方法:
Figure 2023015413000051
<工程1>
式(SM-3)の化合物[式(SM-3)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物であり]を用いて、文献公知の方法、例えば、『Faming Zhuanli Shenqing, 104529898, 22 Apr 2015年』等に記載された方法に準じて、(i)ピリジン等の塩基存在下、エタノール等の反応に関与しない溶媒中、HNOH-HClを反応させオキシムを形成させ、続いて(ii)P, メタンスルホン酸中、五酸化二リンを反応させ、ベックマン転移を行うことにより8員環ラクタムを形成させる、続いて(iii)ジエチルエーテール等の反応に関与しない溶媒中、BH、LiAlH等の還元剤を用いてアミド基の還元を行ことにより、式(IM-3)で表される化合物を製造することができる。
<工程2>
[製造方法D]<工程1>により得られる式(IM-3)及び式(RG-6)[式(RG-6)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物であり]の化合物を用いて、(iv)前記[式(I)の化学修飾アルギン酸誘導体の製法]と同様な縮合反応を行い縮合体が得られる、続いて(v)臭素を付加させて後、tert-BuOKを用いて脱臭素化反応を行うことによりアルキン基を形成し、続いて(vi)保護基Pを脱保護することにより式(AM-OL-5)で表されるアミン化合物、又はその塩を製造することができる。
[製造方法E]
式(AM-OL-6)及び式(AM-OL-7)で表されるアミンの製造方法:
Figure 2023015413000052
<工程1>
[製造方法D]<工程1>の(ii)で得られる式(IM-4)の化合物及び式(RG-7)の化合物[式(RG-7)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物であり]を用いて、文献公知の方法、例えば、『Synthesis、46(5)、p669-677、2014年』等に記載された方法に準じて、水酸化ナトリウム等の塩基及びテトラブチルアンモニウムブロマイド等の相間移動触媒の存在下、トルエン等の反応に関与しない溶媒中で、反応することにより式(IM-5)で表される化合物を製造することができる。
<工程2>
[製造方法E]<工程1>で得られる式(IM-5)の化合物に、臭素を付加させて後、tert-BuOK等の塩基を用いて脱臭素化反応を行うことによりアルキン基を形成し、続いて保護基Pを脱保護することにより式(AM-OL-6)で表されるアミン化合物、又は式(AM-OL-6)の塩として製造することができる。
<工程3>
[製造方法E]<工程1>で得られる式(IM-5)の化合物を用いて、[製造方法D]<工程1>の(iii)の還元法に準じて反応を行うことで、式(IM-6)の化合物を製造することができる。
<工程4>
[製造方法E]<工程3>で得られる式(IM-6)の化合物を用いて[製造方法E]<工程2>と同様に反応を行うことにより式(AM-OL-7)で表されるアミン化合物、又はその塩を製造することができる。
[製造方法F]
式(AM-OL-8)で表されるアミンの製造方法:
Figure 2023015413000053
<工程1>
式(SM-4)の化合物[式(SM-4)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物であり]を用いて、文献公知の方法、例えば、『Synthesis, (9), p1191-1194; 2002年』等に記載された方法に準じて、臭素を付加させた後、tert-BuOKを用いて脱臭素化反応を行うことによりアルキン基を形成することで、式(IM-7)で表される化合物を製造することができる。
<工程2>
[製造方法F]<工程1>で得られる式(IM-7)の化合物及び式(RG-8)の化合物[式(RG-8)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物であり(詳細は後述の製造方法Hを参照)]を用いて、文献公知の方法、例えば、『Journal of American Chemical Society、 126(46)、p15046-15047、2004年』又は『Chem.Ber.,94、p3260-3275、1961年』等に記載された方法に準じて、Huisgen反応を行い、続いて保護基Pを脱保護することにより式(AM-OL-8)で表されるアミン化合物、又はその塩を製造することができる。
[製造方法G]
式(AM-OL-9)で表されるアミンの製造方法:
Figure 2023015413000054
式(SM-5)の化合物[式(SM-5)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物であり]を用いて、文献公知の方法、例えば、『米国特許出願公開2013-0137861号明細書』等に記載された方法に準じて、ジクロロメタン等の反応に関与しない溶媒中で、ピリジン等の塩基存在下/非存在下、クロロギ酸p-ニトロフェニルを反応させることでカーボネート体が得られる。続いて、トリエチルアミン存在下、N、N-ジメチルホルムアミド溶媒中、式(RG-9)の化合物[式(RG-9)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物であり]を反応させることでカルバモイル体が得られる。更に、保護基Pを脱保護することにより式(AM-OL-9)で表されるアミン化合物、又はその塩を製造することができる。
[製造方法H]
式(AM-LK-1)で表されるアミンの製造方法[式(AM-LK-1)のうち、t1=1,t2=3のp置換アミンは、国際公開第2016/152980号パンフレット等に記載された方法に準じて、製造することもできる。]:
Figure 2023015413000055
<工程1>
式(SM-6)の化合物[式(SM-6)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物であり]及び式(RG-10)の化合物[式(RG-10)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物であり]を用いて、前記[式(I)の化学修飾アルギン酸誘導体の製法]と同様な縮合反応を行うことにより式(IM-8)を製造することができる。
<工程2>
[製造方法H]<工程1>で得られる式(IM-8)の化合物を用いて、文献公知の方法、例えば、『Organometallics,29(23),p6619-6622;2010年』等に記載された方法に準じて、ジメチルスルホキシド等の反応に関与しない溶媒中、NaNを反応させアジド基を導入した後、保護基Pを脱保護することにより式(AM-LK-1)で表されるアミン化合物、又はその塩を製造することができる。
[製造方法J]
式(AM-LK-2)で表されるアミンの製造方法:
Figure 2023015413000056
<工程1>
式(SM-7)の化合物[式(SM-7)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物である]及び式(RG-11)の化合物[式(RG-11)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物であり]を用いて、[製造方法B]<工程1>に準じる光延反応を行い、続いて水酸化ナトリウム等の塩基存在下、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、水等の反応に関与しない溶媒若しくはそれらの混合溶媒中、エステル基の加水分解を行うことにより、式(IM-9)で表される化合物を製造することができる。
<工程2>
[製造方法J]<工程1>で得られる式(IM-9)の化合物及び式(RG-12)[式(RG-12)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物であり]の化合物を用いて、前記[式(I)の化学修飾アルギン酸誘導体の製法]と同様な縮合反応を行うことにより縮合体が得られ、続いて保護基Pを脱保護することにより式(AM-LK-2)で表されるアミン化合物、又はその塩を製造することができる。
[製造方法K]
式(AM-LK-3)で表されるアミンの製造方法:
Figure 2023015413000057
<工程1>
[製造方法J]<工程1>の式(SM-7)の化合物及び式(RG-13)の化合物[式(RG-13)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物であり]を用いて、[製造方法B]<工程1>に準じる光延反応を行い、続いて水酸化ナトリウム等の塩基存在下、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、水等の反応に関与しない溶媒若しくはそれらの混合溶媒中、エステル基の加水分解を行うことにより、式(IM-10)で表される化合物を製造することができる。
<工程2>
[製造方法K]<工程1>で得られる式(IM-10)の化合物及び式(RG-14)[式(RG-14)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物であり]の化合物を用いて、前記[式(I)の化学修飾アルギン酸誘導体の製法]と同様な縮合反応を行うことにより縮合体が得られ、続いて保護基Pを脱保護することにより式(AM-LK-3)で表されるアミン化合物、又はその塩を製造することができる。
[製造方法L]
式(AM-OL-4)で表されるアミンの製造方法:
Figure 2023015413000058
<工程1>
式(SM-8)の化合物[式(SM-8)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物であり]を用いて、文献公知の方法、例えば、『国際公開第2009/067663号パンフレット』等に記載された方法に準じて、臭素を付加させて後、LiN(i-Pr)を用いて脱臭素化を行うことで式(IM-11)の化合物を製造することができる。
<工程2>
[製造方法L]<工程1>で得られる式(IM-11)の化合物及び式(RG-15)で表わされる化合物[式(RG-15)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物であり]を用いて、水素化ナトリウム等の塩基存在下、テトラヒドロフラン等の反応に関与しない溶媒中で反応させることで、側鎖が導入された化合物が得られる。続いて保護基Pを脱保護することにより、式(AM-OL-4)で表されるアミン化合物、又はその塩を製造することができる。
[製造方法M]
式(AM-LK-4)で表されるアミンの製造方法:
Figure 2023015413000059
<工程1>
式(SM-M)の化合物及び式(RG-M-1)の化合物[式(SM-M)の化合物及び式(RG-M-1)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物であり]を用いて、前記[式(I)の化学修飾アルギン酸誘導体の製法]と同様な縮合反応を行うことにより式(IM-M-1)で表わされる化合物を製造することができる。
また、式(SM-M)で表されるカルボン酸を、文献公知の方法、例えば、『実験化学講座 第5版 16、カルボン酸および誘導体、酸ハロゲン化物、酸無水物、99-118頁、2007年、丸善』、等に記載された方法に準じて、酸ハロゲン化物や酸無水物に変換し、式(RG-M-1)の化合物を用いて、トリエチルアミン、ピリジン等の塩基の存在下、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド等の極性溶媒等から選択される溶媒中、0℃から溶媒が還流する温度で反応させることにより、式(IM-M-1)の化合物を同様に製造することができる。
<工程2>
[製造方法M]<工程1>で得られる式(IM-M-1)の化合物を用いて、文献公知の方法、例えば、『グリーン(Greene)らの『プロテクティブ・グループス・イン・オルガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis) 第4版、2007年、ジョン ウィリー アンド サンズ(John Wiley & Sons)』の成書に記載の方法により、保護基の種類により適宜脱保護法を選択して反応を行うことで、式(AM-LK-4)で表わされる化合物、又はその塩を製造することができる。
[製造方法N]
式(AM-OL-17)で表されるアミンの製造方法:
Figure 2023015413000060
<工程1>
式(SM-N)の化合物及び式(RG-N-1)の化合物[式(SM-N)の化合物及び式(RG-N-1)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物であり]を用いて、前記[製造方法M]<工程1>と同様な縮合反応を行うことにより式(IM-N-1)で表わされる化合物を製造することができる。
<工程2>
[製造方法N]<工程1>で得られる式(IM-N-1)の化合物を用いて、文献公知の方法、例えば、『グリーン(Greene)らの『プロテクティブ・グループス・イン・オルガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis) 第4版、2007年、ジョン ウィリー アンド サンズ(John Wiley & Sons)』の成書に記載の方法により、保護基の種類により適宜脱保護法を選択して反応を行うことで、式(AM-OL-17)で表わされる化合物、又はその塩を製造することができる。
[製造方法R]
式(AM-LK-5)で表されるアミンの製造方法[式(AM-LK-5)のうち、t8=1、t9=2のアミンは、国際公開第2016/152980号パンフレット等に記載された方法に準じて、製造することもできる。]:
Figure 2023015413000061
<工程1>
式(SM-R)の化合物[式(SM-R)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物であり]及び式(RG-R-1)の化合物[式(RG-R-1)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物であり]を用いて、前記[製造方法M]<工程1>と同様な縮合反応を行うことにより式(IM-R-1)で表わされる化合物を製造することができる。
<工程2>
[製造方法R]<工程1>で得られる式(IM-R-1)の化合物を用いて、前記[製造方法H]<工程2>と同様にNaNを反応させアジド基を導入した後、保護基Pを脱保護することにより式(AM-LK-5)で表されるアミン化合物、又はその塩を製造することができる。
[製造方法S]
式(AM-LK-6)で表されるアミンの製造方法:
Figure 2023015413000062
<工程1>
[E=OTs基又はOMs基の場合]:
式(SM-S)の化合物[式(SM-S)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物であり]及びメタンスルホン酸クロライド、トシル酸クロライド、無水トシル酸等の試薬を用いて、文献公知の方法、例えば、『Journal of the American Chemical Society、136(29)、p10450-10459、2014年』等に記載された方法に準じて、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の塩基存在下、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒など反応に関与しない溶媒、もしくはこれらの混合溶媒を用いて又は無溶媒にて、-78℃から溶媒が還流する温度で反応を行い、式(IM-S-1)で表される化合物を製造することができる。
[E=ハロゲン(塩素、臭素、ヨウ素の場合)]:
式(SM-S)の化合物を用い、文献公知の方法、例えば、『実験化学講座 第4版 19、有機合成I、炭化水素・ハロゲン化合物、363-482頁、1992年、丸善』等に記載された方法に準じて、下記に示す各種ハロゲン化剤(塩素化剤、臭素化剤、ヨウ素化剤)及び反応に関与しない溶媒を適宜選択し、0℃から溶媒が還流する温度で反応を行うことで、式(IM-S-1)で表わされるハロゲン化化合物(E=塩素、臭素、ヨウ素)を製造することができる。
<E=塩素の場合>
塩素化剤として、塩化水素/塩化亜鉛(HCl/ZnCl)、塩化水素/ヘキサメチルリン酸トリアミド(HCl/HMPA)、塩化チオニル(SOCl)、四塩化炭素/トリフェニルホスフィン(CCl/PPh)、トリホスゲン/トリフェニルホスフィン((CClCO/PPh)、トリホスゲン/N,N-ジメチルホルムアミド(POCl/DMF)等の試薬を用いることで、所望の塩素化物を製造することができる。
<X=臭素の場合>
臭素化剤として、48%臭化水素酸(48%HBr)、48%臭化水素酸/硫酸(48%HBr/HSO)、臭化水素/臭化リチウム(HBr/LiBr)、臭化ナトリウム/硫酸(NaBr/HSO)、三臭化リン(PBr)等の試薬を用いることで、所望の塩素化物を製造することができる。また、式(IM-S-1)において、E=OTs又はOMsの化合物に、臭化ナトリウム(NaBr)を反応させることでも、所望の臭素化物を製造することができる。
<X=ヨウ素の場合>
ヨウ素化剤として、ヨウ化水素酸(HI)、ヨウ素/トリフェニルホスフィン(I/PPh)等の試薬を用いることで、所望のヨウ素化物を製造することができる。また、 式(IM-S-1)において、E=OTs又はOMsの化合物に、ヨウ化ナトリウム(NaI)を反応させることでも、所望のヨウ素化物を製造することができる。
<工程2>
[製造方法S]<工程1>で得られる式(IM-S-1)の化合物を用いて、前記[製造方法H]<工程2>と同様にNaNを反応させることで、式(IM-S-2)の化合物を製造することができる。
<工程3>
[製造方法S]<工程2>で得られる式(IM-S-2)の化合物を用いて、前記[製造方法B]<工程1>のエステル基の加水分解反応と同様にして、加水分解を行うことで、式(IM-S-3)の化合物を製造することができる。
<工程4>
[製造方法S]<工程3>で得られる式(IM-S-3)及び式(RG-S-1)の化合物[式(RG-S-1)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物であり]を用いて、前記[製造方法M]<工程1>と同様な縮合反応を行うことにより式(IM-S-4)で表わされる化合物を製造することができる。
<工程5>
[製造方法S]<工程4>で得られる式(IM-S-4)の化合物の保護基Pを脱保護することにより式(AM-LK-6)で表されるアミン化合物、又はその塩を製造することができる。
[製造方法T]
式(AM-LK-7)で表されるアミンの製造方法:
Figure 2023015413000063
<工程1>
式(SM-M)の化合物及び式(RG-T-1)の化合物[式(SM-M)の化合物及び式(RG-T-1)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物であり]を用いて、前記[製造方法M]<工程1>と同様な縮合反応を行うことにより式(IM-T-1)で表わされる化合物を製造することができる。
また、式(SM-M)で表されるカルボン酸を、文献公知の方法、例えば、『実験化学講座 第5版 16、カルボン酸および誘導体、酸ハロゲン化物、酸無水物、99-118頁、2007年、丸善』、等に記載された方法に準じて、酸ハロゲン化物や酸無水物に変換し、式(RG-T-1)の化合物を用いて、トリエチルアミン、ピリジン等の塩基の存在下、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド等の極性溶媒等から選択される溶媒中、0℃から溶媒が還流する温度で反応させることにより、式(IM-T-1)の化合物を同様に製造することができる。
<工程2>
[製造方法T]<工程1>で得られる式(IM-T-1)の化合物を用いて、文献公知の方法、例えば、『グリーン(Greene)らの『プロテクティブ・グループス・イン・オルガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis) 第4版、2007年、ジョン ウィリー アンド サンズ(John Wiley & Sons)』の成書に記載の方法により、保護基の種類により適宜脱保護法を選択して反応を行うことで、式(AM-LK-7)で表わされる化合物、又はその塩を製造することができる。
[製造方法AM-A]式(AM-1-B1)で表されるアミンの製造方法:
Figure 2023015413000064
式(SM-B1)の化合物及び式(RG-B1)の化合物[式(SM-B1)の化合物及び式(RG-B1)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物であり]を用いて、前記[式(I)の化学修飾アルギン酸誘導体の製法]と同様な縮合反応を行い、続いて保護基Pを脱保護することにより式(AM-1-B1)で表されるアミン化合物、又はその塩を製造することができる。
[製造方法AM-B]式(AM-1-B2a)及び式(AM-1-B2b)で表されるアミンの製造方法:
Figure 2023015413000065
式(SM-B2a)の化合物及び式(RG-B2a)の化合物[式(SM-B2a)の化合物及び式(RG-B2b)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物であり]を用いて、[製造方法AM-A]と同様にして、反応させることで式(AM-1-B2a)で表されるアミン化合物、又はその塩を製造することができる。同様にして、式(SM-B2b)の化合物及び式(RG-B2b)の化合物[式(SM-B2b)の化合物及び式(RG-B2b)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物であり]を用いて同様に反応を行うことで、式(AM-1-B2b)で表されるアミン化合物、又はその塩を製造することができる。
[製造方法AM-C]式(AM-1-B3)で表されるアミンの製造方法:
Figure 2023015413000066
式(SM-B3)の化合物[式(SM-B3)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物であり]を用いて、上記合成スキームに従い反応を行うことで(各工程の反応は[製造方法AM-A]に記載の反応に準じる)、式(AM-1-B3)で表されるアミン化合物、又はその塩を製造することができる。上記スキーム中、式(RG-B3)、式(RG-B3-1)、及び式(RG-B3-2)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物である。
[製造方法AM-D]式(AM-1-B5a)及び式(AM-1-B5b)で表されるアミンの製造方法:
Figure 2023015413000067
上記合成スキームに従い反応を行うことで(各工程の反応は[製造方法AM-A]に記載の反応に準じる)、式(AM-1-B5a)及び式(AM-1-B5b)で表されるアミン化合物、又はその塩を製造することができる。上記スキーム中、式(SM-B5a)、式(RG-B5a)、式(RG-B5a-1)、式(RG-B5a-2)、式(SM-B5b)、式(RG-B5b)、式(RG-B5b-1)、及び式(RG-B5b-2)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物である。
[製造方法AM-E]式(AM-1-B6a)及び式(AM-1-B6b)で表されるアミンの製造方法:
Figure 2023015413000068
上記合成スキームに従い反応を行うことで(各工程の反応は[製造方法AM-A]に記載の反応に準じる)、式(AM-1-B6a)及び式(AM-1-B6b)で表されるアミン化合物、又はその塩を製造することができる。上記スキーム中、式(SM-B6a)、式(RG-B6a)、式(SM-B6b)、及び式(RG-B6b)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物である。
[製造方法AM-F]式(AM-1-B10)で表されるアミンの製造方法:
Figure 2023015413000069
上記合成スキームに従い反応を行うことで(各工程の反応は[製造方法AM-A]に記載の反応に準じる)、式(AM-1-B10)で表されるアミン化合物、又はその塩を製造することができる。上記スキーム中、式(SM-B10)、式(RG-B10)、式(RG-B10-1)、及び式(RG-B10-2)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物である。
[製造方法AM-G]式(AM-1-B4a)及び式(AM-1-B4b)で表されるアミンの製造方法:
Figure 2023015413000070
式(SM-B4)の化合物及び式(RG-B4a)の化合物[式(SM-B4)の化合物及び式(RG-B4a)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物であり]を用いて、文献公知の方法、例えば、『Journal of the American Chemical Society、126(46)、p15046-15047、2004年』等に記載された方法に準じて、<工程1a>トリフルオロメタンスルホン酸銀、AgClO等の試薬存在下、トルエン、ジクロロメタン等の反応に関与しない溶媒中反応させることで、式(IM-B4a-1)の化合物が得られ、<工程2a>続いて水素化ナトリウム、NaOMe等の塩基を用いて脱臭素化反応を行うことにより式(IM-B4a-2)の化合物が得られ、<工程3a>更に、保護基Pを脱保護することにより式(AM-1-B4a)で表されるアミン化合物、又はその塩を製造することができる。
同様にして、式(RG-B4a)の代わりに、式(RG-B4b)を用いて、上記スキームに従い反応を行うことにより式(AM-1-B4b)で表されるアミン化合物、又はその塩を製造することができる。
[製造方法AM-H]式(AM-1-B8a)及び式(AM-1-B8b)で表されるアミンの製造方法:
Figure 2023015413000071
上記合成スキームに従い反応を行うことで(各工程の反応は[製造方法AM-A]に記載の反応に準じる)、式(AM-1-B8a)及び式(AM-1-B8b)で表されるアミン化合物、又はその塩を製造することができる。上記スキーム中、式(SM-B8a)又は式(SM-B8b)は、市販化合物又は[製造方法AM-G]に記載の反応に準じて製造ができる化合物であり、式(RG-B8a)又は式(RG-B8b)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物である。
[製造方法AM-J]式(AM-1-B7)で表されるアミンの製造方法:
Figure 2023015413000072
式(SM-B7)の化合物及び式(RG-B7)の化合物[式(SM-B7)の化合物及び式(RG-B7)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物であり]を用いて、前記[式(I)の化学修飾アルギン酸誘導体の製法]と同様な縮合反応を行い、続いて保護基Pを脱保護することにより式(AM-1-B7)で表されるアミン化合物、又はその塩として製造することができる。
[製造方法AM-K]式(AM-1-B9a)及び式(AM-1-B9b)で表されるアミンの製造方法:
Figure 2023015413000073
上記合成スキームに従い反応を行うことで(各工程の反応は[製造方法AM-J]に記載の反応に準じる)、式(AM-1-B9a)及び式(AM-1-B9b)で表されるアミン化合物、又はその塩を製造することができる。上記スキーム中、式(SM-B7)、式(RG-B9a)又は式(RG-B9b)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物である。
[製造方法AM-L]式(AM-2-Z1)で表されるアミンの製造方法:
Figure 2023015413000074
式(SM-Z1)の化合物[式(SM-Z1)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物であり]を用いて、文献公知の方法、例えば、『Organometallics,29(23),p6619-6622;2010年』等に記載された方法に準じて、ジメチルスルホキシド等の反応に関与しない溶媒中、NaNを反応させアジド基を導入した後、保護基Pを脱保護することにより式(AM-2-Z1)で表されるアミン化合物、又はその塩を製造することができる。
尚、式(AM-2-Z1)で表されるアミン化合物、又はその塩は、市販化合物として入手可能なものもある。
[製造方法AM-M]式(AM-2-Z2a)及び式(AM-2-Z2b)で表されるアミンの製造方法:
Figure 2023015413000075
式(SM-Z2a)の化合物又は式(SM-Z2b)の化合物[式(SM-Z2a)の化合物及び式(SM-Z2b)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物であり]を用いて、[製造方法AM-L]と同様にして、NaNを反応させアジド基を導入した後、保護基Pを脱保護することにより式(AM-2-Z2a)又は式(AM-2-Z2b)で表されるアミン化合物、又はその塩を製造することができる。尚、式(AM-2-Z2a)又は式(AM-2-Z2b)で表されるアミン化合物、又はその塩は、市販化合物として入手可能なものもある。
[製造方法AM-N]式(AM-2-Z3)で表されるアミンの製造方法:
Figure 2023015413000076
式(SM-Z3)の化合物及び式(RG-Z3)の化合物[式(SM-Z3)の化合物及び式(RG-Z3)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物であり]を用いて、前記[式(I)の化学修飾アルギン酸誘導体の製法]と同様な縮合反応を行い、続いて保護基Pを脱保護することにより式(AM-2-Z3)で表されるアミン化合物、又はその塩を製造することができる。
[製造方法AM-O]式(AM-2-Z4)で表されるアミンの製造方法:
Figure 2023015413000077
式(SM-Z4)の化合物及び式(RG-Z4)の化合物[式(SM-Z4)の化合物及び式(RG-Z4)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物であり]の化合物を用いて、前記[式(I)の化学修飾アルギン酸誘導体の製法]と同様な縮合反応を行い、続いて保護基Pを脱保護することにより式(AM-2-Z4)で表されるアミン化合物、又はその塩を製造することができる。
[製造方法AM-P]式(AM-2-Z5a)及び式(AM-2-Z5b)で表されるアミンの製造方法:
Figure 2023015413000078
式(SM-Z5a)の化合物及び式(RG-Z5a)の化合物[式(SM-Z5a)の化合物及び式(RG-Z5a)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物であり]を用いて、水素化ナトリウム、炭酸カリウム等の塩基存在下、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、等の反応に関与しない溶媒中で反応させることで、側鎖が導入された化合物が得られる。続いて保護基Pを脱保護することにより、式(AM-2-Z5a)で表されるアミン化合物、又はその塩を製造することができる。
同様にして、式(SM-Z5b)の化合物及び式(RG-Z5b)の化合物[式(SM-Z5b)の化合物及び式(RG-Z5b)の化合物は市販化合物又は市販化合物から文献公知の製造方法により製造できる化合物であり]を用いて同様に反応を行うことで、式(AM-2-Z5b)で表されるアミン化合物、又はその塩を製造することができる。
式(AM-2-Z6a)、式 (AM-2-Z6b)、式(AM-2-Z7a)、式 (AM-2-Z7b)、式 (AM-2-Z8a)、式(AM-2-Z8b)、式(AM-2-Z9a)、及び式(AM-2-Z9b)で表わされるアミノ化合物、又はそれらの塩は、前記[製造方法AM-A]~[製造方法AM-P]に準じて、下記スキームに示す製造方法により製造することができる。
Figure 2023015413000079
Figure 2023015413000080
Figure 2023015413000081
Figure 2023015413000082
式(I)又は式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を製造する為に用いられる、アルキン基が導入されたアミン(Akn-L-NH)又はアジド基が導入されたアミン(N-L-NH)については、前記[製造方法A]~[製造方法N]、[製造方法P]~[製造方法T]及び[製造方法AM-A]~[製造方法AM-P]に記載される各反応、文献公知の方法、例えば、『実験化学講座 第5版、各本、2007年、丸善』、『Comprehensive Organic Transformations, A Guide to Functional Group Preparations, 3rd Edition (Edited by Richard C. Larock), 2018年』、『Strategic Applications of Named Reactions in Organic Synthesis, (Edited by Laszlo Kurti, Barbara Czako), Academic Press, 2005年』等に記載の方法を適宜組み合わせることにより、所望のアミンを製造することができる。
本明細書中、式(AM-1)又は式(AM-2)で表わされるアミン化合物(各々の式の下位の式も含む)は、製薬学的に許容される塩(例えば、酸付加塩)を形成する場合がある。かかる塩としては、製薬学的に許容し得る塩であれば特に限定されないが、例えば、無機酸との塩、有機酸との塩、酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。無機酸との塩の好適な例としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、よう化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等との塩が挙げられる。有機酸との塩の好適な例としては、例えば、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、エナント酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、乳酸、ソルビン酸、マンデル酸等の脂肪族モノカルボン酸等との塩、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸等の脂肪族ジカルボン酸との塩、クエン酸等の脂肪族トリカルボン酸との塩、安息香酸、サリチル酸等の芳香族モノカルボン酸との塩、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸の塩、桂皮酸、グリコール酸、ピルビン酸、オキシル酸、サリチル酸、N-アセチルシステイン等の有機カルボン酸との塩、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸との塩、アスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸類との酸付加塩が挙げられる。酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。このうち、薬学的に許容し得る塩が好ましい。
前記塩は、常法に従い、例えば、本発明の化合物と適量の酸もしくは塩基を含む溶液を混合することにより目的の塩を形成させた後に分別濾取するか、もしくは該混合溶媒を留去することにより得ることができる。塩に関する総説として、Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties, Selection, and Use、Stahl&Wermuth(Wiley-VCH、2002)が出版されており、本書に詳細な記載がなされている。
本明細書中、式(AM-1)又は式(AM-2)で表わされるアミン化合物(各々の式の下位の式も含む)又はその塩は、水、エタノール、グリセロール等の溶媒と溶媒和物を形成し得る。
本明細書中、特に断りのない限り、環状基に可変置換基が置換している場合、該可変置換基は環状基の特定の炭素原子に結合されていない事を意味する。例えば、下記式Aにおける可変置換基Rsは、該式Aにおける炭素原子i、ii、iii、iv又はvの何れかに置換する事ができる事を意味する。
Figure 2023015413000083
本明細書中、式(I)又は式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体中のリンカー(-L-又は-L-)、及び式(I)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体中のAkn基において不斉炭素が存在する場合には、その各光学異性体も包含されることを意味する。
例えば、式(I)中の-L-が、式(L1-8a)であり、m8a=2、n8a=1、R=Meの場合の下記式(L1-8a-M)(式中、破線両外側は含まない):
Figure 2023015413000084
である場合、R基が置換する炭素の立体配置がS体である下記式(L1-8a-M-S)及びベンジル基が置換する炭素の立体配置がR体である下記式(L1-8a-M-R)(いずれの式中、破線両外側は含まない):
Figure 2023015413000085
で表わされるリンカーが含まれることを意味する。
式(I)又は式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体中のリンカー(-L-又は-L-)、及び式(I)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体中のAkn基において不斉炭素が存在する場合(光学活性体である場合)には、式(I)又は式(II)に対応するアミン誘導体(AM-1)を合成する工程において、そのラセミ体から通常の光学分割手段(分離手法)により、各光学活性体に分離することが可能であり、又、式(I)に対応するアミン誘導体である式(AM-1)又は式(AM-2)を合成する工程において、不斉合成を用いることで光学異性体の一方を選択的に合成でき、各光学活性体を合成することが可能である。
5.架橋アルギン酸ゲル(シェル層)
架橋アルギン酸ゲルは、(i)2価の金属イオン結合を介した架橋、(ii)化学結合を介した架橋、又は(iii)2価の金属イオン結合及び化学結合の両方を介した架橋を有するものがある。ここで提供される、いくつかの態様の架橋アルギン酸ゲルは、架橋としてHuisgen反応により形成されるトリアゾール環による化学架橋、及び2価金属イオン(例えば、カルシウムイオン)により部分的に形成されるイオン架橋を含む、架橋アルギン酸ゲルである。又、いくつかの態様の架橋アルギン酸ゲルは、架橋としてHuisgen反応により形成されるトリアゾール環による化学架橋を含む、架橋アルギン酸ゲルである。
2価金属イオンと接触することにより、イオン架橋アルギン酸ゲルが形成される時間は、例えば、瞬時(例えば、1~5秒)~数時間(例えば、1~3時間)である。Huisugen反応を進行させることにより、化学架橋アルギン酸ゲルが形成される時間は、例えば、数秒~24時間、数秒~12時間、又は数秒~30分間である。
前記アルギン酸ゲルを得る為に用いられる2価金属イオンとしては、特に限定されないが、例えば、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、バリウムイオン、ストロンチウムイオン、亜鉛イオン等が挙げられ、好ましくはカルシウムイオン又はバリウムイオンであり、より好ましくはカルシウムイオンである。
2価金属イオンを含む溶液としては、特に限定されないが、例えば、カルシウムイオンを含む溶液(例えば、塩化カルシウム水溶液、炭酸カルシウム水溶液、グルコン酸カルシウム水溶液、等の水溶液)、バリウムイオンを含む溶液(例えば、塩化バリウム水溶液等の水溶液)が挙げられ、好ましくは塩化カルシウム水溶液である。
2価金属イオンを含む溶液の2価金属イオン濃度(例えば、カルシウムイオン又はバリウムイオン濃度)は、特に限定されないが、例えば、1mM~1Mの範囲、又は5mM~500mMの範囲であり、より好ましくは20mM~100mMである。
前記式(I)及び(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体の溶液を調製する際に用いる溶媒、又は、2価金属イオンを含む溶液等を調製する際に用いる溶媒は、特に限定されないが、それぞれ独立して、例えば、水道水、純水(例えば、蒸留水、イオン交換水、RO水、RO-EDI水、等)、超純水(MilliQ水)、培地(すなわち、細胞培養用培地(または培養液))、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、及び生理食塩水等が挙げられ、好ましくは超純水である。
2価の金属イオン結合を介した架橋アルギン酸ゲルは、超高速にて反応が進行して得られ、可逆的であるのに対して、化学結合を介した架橋アルギン酸ゲルは、比較的温和な条件でゆっくり反応が進行して得られ、非可逆的である。架橋アルギン酸ゲルの物性は、例えば、使用する2価金属イオンが含まれる水溶液(例えば、塩化カルシウム水溶液)の濃度、若しくは、化学修飾アルギン酸誘導体に導入される反応性基の導入率を変化させる等の方法で、調整が可能である。
即ち、使用する2価金属イオンが含まれる水溶液の濃度の調整、又は式(I)又は式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体に導入された反応性基の導入率の調整により、高い機械的強度を有する所望の架橋アルギン酸ゲル、例えばコア層よりも高い機械的強度を有する所望の化学架橋アルギン酸ゲルファイバを製造することができる。
前記の架橋反応を利用し、前記式(I)及び(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を用いることで、、化学架橋アルギン酸ゲルファイバ(アルギン酸構造体)を作成することが可能となる。例えば、イオン架橋反応により、前記式(I)及び(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体の混合溶液から瞬時にファイバ状の構造体を作ることができ、当該構造体の構造強化(例えば、長期安定性の獲得、等)の為に、化学結合による架橋反応(本発明の場合、Huisugen反応)を利用すること可能である。又、例えば、2価の金属イオン結合及び化学結合の両方を介して作製された化学架橋アルギン酸ゲルファイバは、、イオン架橋により取り込まれた2価金属イオンは可逆的に放出されて、化学結合による架橋のみが残ったゲルファイバを作ることも可能である。
ある態様の架橋アルギン酸ゲルは、前記式(I)及び前記式(II)のアルギン酸誘導体を混合してHuisgen反応を行うことにより、得ることができる。
ある態様の架橋アルギン酸ゲルは、化学架橋(アルキン基及びアジド基から形成されるトリアゾール環による架橋)を介して三次元の網目構造を形成する。好ましいアルギン酸誘導体は、架橋後の架橋アルギン酸ゲルの安定性が改善したものである。
いくつかの態様の架橋アルギン酸ゲルは、下記式(III-L):
Figure 2023015413000086
[式(III-L)中、両端の-CONH-及び-NHCO-は、アルギン酸の任意のカルボキシル基を介したアミド結合を表わし;-L-、-L-、及びXは、前記態様[1-12]の定義と同じである]で表わされる基を介して架橋された架橋アルギン酸ゲルである。
いくつかの態様にて、架橋アルギン酸ゲルを調製する際の、式(I)のアルギン酸誘導体と、式(II)のアルギン酸誘導体の混合比は、式(I)の誘導体と式(II)誘導体の重量比にて、例えば、1:1.0~4.0、又は1:1.0~3.0、又は1:1.0~2.0、又は1:1.0~1.5、又は1:1であり;好ましくは1:1.0~3.0である。
いくつかの態様にて、架橋アルギン酸ゲルを調製する際の、式(II)のアルギン酸誘導体と、式(I)のアルギン酸誘導体の混合比は、式(II)の誘導体と式(I)誘導体の重量比にて、例えば、1:1.0~4.0、又は1:1.0~3.0、又は1:1.0~2.0、又は1:1.0~1.5、又は1:1である。
いくつかの態様にて、架橋アルギン酸ゲルを調製する際の、式(I)のアルギン酸誘導体と、式(II)のアルギン酸誘導体の混合比は、より好ましくは式(I)のアルギン酸誘導体と式(II)のアルギン酸誘導体の反応性基の導入率(mol%)比にて、例えば、1:1.0~4.0、又は1:1.0~3.0、又は1:1.0~2.0、又は1:1.0~1.5、又は1:1であり;好ましくは1:1.0~3.0である。
いくつかの態様にて、架橋アルギン酸ゲルを調製する際の、式(II)のアルギン酸誘導体と、式(I)のアルギン酸誘導体の混合比は、より好ましくは式(II)のアルギン酸誘導体と式(I)のアルギン酸誘導体の反応性基の導入率(mol%)比にて、例えば、1:1.0~4.0、又は1:1.0~3.0、又は1:1.0~2.0、又は1:1.0~1.5、又は1:1である。
尚、前記混合比において、式(I)のアルギン酸誘導体を式(II)のアルギン酸誘導体に、式(II)のアルギン酸誘導体を式(I)の誘導体に、それぞれ置き換えることも可能である。
架橋アルギン酸ゲルは、アルギン酸の構成単位の全てのカルボキシル基が上記式(III-L)の架橋を有している必要はない。架橋アルギン酸における、上記式(III-L)で表わされる架橋の導入率(架橋率とも言う)は、例えば、約0.1~約80%、約0.3~約60%、約0.5~約30%、または約1.0~約10%の範囲である。
架橋アルギン酸ゲルを得るためのHuisgen反応における前記式(I)又は式(II)で表わされるアルギン酸誘導体の濃度は、通常約1~500mg/mLであり、好ましくは約5~100mg/mLの範囲である。
Huisgen反応の反応温度(化学架橋アルギン酸ゲルファイバを作製する際の温度)は、通常、外温約4~約60℃であり、好ましくは外温約15~約37℃の範囲である。
6.化学架橋アルギン酸ゲルファイバ
「化学架橋アルギン酸ゲルファイバ」は、コア層及び前記式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を用いて前記両アルギン酸誘導体間に架橋を形成することにより得られる架橋アルギン酸ゲルを含むシェル層からなる線維状(ファイバ状)の構造体を意味する。図1に、コア・シェル構造を有するファイバとして形成された化学架橋アルギン酸ゲルファイバの一例の断面図を示す。この化学架橋アルギン酸ゲルファイバは、その外径がcであり、直径aのコア層5と厚さbのシェル層4を含み、コア層5には、抗体産生細胞6と基材が含まれ、シェル層4は架橋アルギン酸ゲルを含む。
ここで、化学架橋アルギン酸ゲルファイバのコア層に含まれる基材及びシェル層を構成する基材(すなわち、式(I)又は式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体、式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を用いて前記両アルギン酸誘導体間に架橋を形成することにより得られる架橋アルギン酸ゲル)は、異なる基材であっても良く又は同一の基材であっても良い。
いくつかの態様の化学架橋アルギン酸ゲルファイバでは、抗体産生細胞、コラーゲン(溶媒又はゲル)、又はアルギン酸(溶液又はゲル)を含むコア層が、式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を用いて前記両アルギン酸誘導体間に架橋を形成することにより得られる架橋アルギン酸ゲルを含むシェル層により被覆して形成されたもの、すなわち、コア層に含まれる基材及びシェル層を構成する基材が異なるものである。
「化学架橋アルギン酸ゲルファイバ」は、上記のコア・シェル構造(中心軸を通る中空部分構造)を有し、化学架橋アルギン酸ゲルファイバの外径が例えば0.2μm~2000μm程度であり(但し、外径は当該径に限定されない)、繊維状の構造体で有ることから、ここでは、「化学架橋アルギン酸中空マイクロファイバ」と言うこともある。
化学架橋アルギン酸ゲルファイバの中心軸に対する垂直方向の断面形状としては、円形、楕円系、又は多角形(例えば、四角形、五角形等)等の多様な形状であっても良く、好ましくは、図1に示されるような円形の断面形状である。
化学架橋アルギン酸ゲルファイバのコア層(中空部)の直径は、例えば、約100~400μmである。
化学架橋アルギン酸ゲルファイバのシェル層の厚さは、シェル層の厚さは、「(アルギン酸ゲルファイバの外径-コア層の直径)/2」により求めることができる。
化学架橋アルギン酸ゲルファイバの外径は、アルギン酸ゲルファイバの外径が、約300μm~約750μmの範囲であり、アルギン酸ゲルファイバのコア層の直径が、約100μm~約400μmの範囲である。
いくつかの形態において、化学架橋アルギン酸ゲルファイバのコア層の直径は、例えば、約100μmであり、そしてアルギン酸ゲルファイバの外径は、例えば、約300μmである。このとき、シェル層の厚さは、例えば、約100μmである。
上記の化学架橋アルギン酸ゲルファイバのコア層(中空部)の直径、並びにシェル層の内径及び化学架橋アルギン酸ゲルファイバ外径は、例えば、位相差光学顕微鏡による画像からの計測値であって、当該化学架橋アルギン酸ゲルファイバの数カ所における計測値の平均値として表される。上記の化学架橋アルギン酸ゲルファイバのコア層及びシェル層は、通常、実質的に均一な厚みを有しており、好ましくは、各層は、±5%の範囲内の厚さ均一性を有する。
化学架橋アルギン酸ゲルファイバの長さは、例えば、約2~約50mである。
本明細書中、化学架橋アルギン酸ゲルファイバにおいて、コア層を形成する基材としては、細胞毒性を有さないものであれば特に限定されないが、例えば、ハイドロゲル等であって、コラーゲン溶液、コラーゲンゲル、培地、培養液、メチルセルロース、スクロース溶液、アルギン酸溶液(例えば、アルギン酸ナトリウム溶液)、アルギン酸ゲル、前記態様[1]に記載の式(I)又は式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体の溶液、前記態様[1]に記載の式(I)又は式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体のゲル、又はそれらの混合物等からなる群から選択される基材であり;好ましくは、コラーゲン溶液、コラーゲンゲル、培地(または培養液)、メチルセルロース、アルギン酸溶液(アルギン酸ナトリウム溶液)、又はアルギン酸ゲルからなる群から選択される基材であり;より好ましくは、培地(または培養液)、アルギン酸溶液(アルギン酸ナトリウム溶液)、又はメチルセルロースからなる群から選択される基材である。
本明細書中、コア層は、前記基材に抗体産生細胞を含ませ、全体を適切な濃度の溶液としたものから形成される。例えば、アルギン酸ナトリウム溶液を用いる場合、例えば、約0.1~約2.0質量%(w/w%)又は(w/v%)溶液であり、好ましくは、約1.5質量%(w/w%)又は(w/v%)溶液であり;コラーゲン溶液を用いる場合、例えば、約0.1~約2.0質量%(w/w%)又は(w/v%)溶液であり、好ましくは約0.2~約1.5(w/w%)または(w/v%)溶液である。
コア層の基材に用いる溶媒も特に限定されないが、例えば、、細胞培養用培地(または培養液)、アルギン酸ナトリウムを含む培地、等張緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、及び生理食塩水等が挙げられ、好ましくは、アルギン酸ナトリウムを含む培地、または等張緩衝液である。
本明細書中、細胞培養用培地には、市販の培地基材又は調製済み培地、若しくは自製した培地を使用することができる。又、天然培地(例えば、ソイビーン-カゼインダイジェスト培地(SCD培地)等がある)又は合成培地(増殖に必要な各種栄養素を全て化学薬品にて補う培地である)を使用することもできる。又、当該培地は、特に限定されることは無いが、細胞の生存増殖に必要な成分(無機塩、炭水化物、ホルモン、必須アミノ酸、非必須アミノ酸、ビタミン等)が含まれる基本培地であれば良く、例えば、DMEM、Minimum Essential Medium(MEM)、RPMI-1640、Basal Medium Eagle(BME)、Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium:Nutrient Mixture F-12(DMEM/F-12)、Glasgow Minimum Essential Medium(Glasgow MEM)、G016培地、等が挙げられる。
又、前記培地には、更に血清が含まれていても良い。前記血清としては、特に限定されることは無いが、例えば、FBS/FCS(Fetal Bovine/Calf Serum)、NCS(Newborn Calf serum)、CS(Calf Serum)、HS(Horse Serum)等が挙げられる。培地に含まれる血清の濃度は、例えば、2質量%以上10質量%以下である。
化学架橋アルギン酸ゲルファイバのコア層に含むことのできる抗体産生細胞としては、抗体発現ベクターにより形質転換された培養細胞であり、その培養細胞が特に限定されることは無いが、例えば、CHO細胞、CHO細胞亜株、COS細胞、Sp2/0細胞、NS0細胞、SP2細胞、PERC6細胞、YB2/0細胞、YE2/0細胞、1R983F細胞、Namalwa細胞、Wil-2細胞、Jurkat細胞、Vero細胞、Molt-4細胞、HEK293細胞、BHK細胞、KGH6細胞、P3X63Ag8.653細胞、C127細胞、JC細胞、LA7細胞、ZR-45-30細胞、hTERT細胞、NM2C5細胞、又はUACC-812細胞等(これらの細胞は、American Type Culture Collectionから入手可能なATCC細胞系カタログに記載されているものもある)から、適宜選択することができる。
化学架橋アルギン酸ゲルファイバのコア層に含むことのできる抗体産生細胞は、好ましくは、抗体発現ベクターにより形質転換されたCHO細胞、CHO細胞亜株、COS細胞、Sp2/0細胞、NS0細胞、SP2細胞、又はPERC6細胞であり、より好ましくは、抗体発現ベクターにより形質転換されたCHO細胞、Sp2/0細胞、又はNS0であり、更に好ましくは、CHO細胞である。
本明細書中、化学架橋アルギン酸ゲルファイバのコア層に含むことのできる抗体産生CHO細胞としては、特に限定されることは無いが、例えば、ムロモナブ-CD3産生CHO細胞、トラスツズマブ産生CHO細胞、リツキシマブ産生CHO細胞、パリビズマブ産生CHO細胞、インフリキシマブ産生CHO細胞、バシリキシマブ産生CHO細胞、トシリズマブ産生CHO細胞、ゲムツズマブ オゾガマイシン産生CHO細胞、ベバシズマブ産生CHO細胞、イブリツモマブ チウキセタン産生CHO細胞、アダリムマブ産生CHO細胞、セツキシマブ産生CHO細胞、ラニビズマブ産生CHO細胞、オマリズマブ産生CHO細胞、エクリズマブ産生CHO細胞、パニツムマブ産生CHO細胞、ウステキヌマブ産生CHO細胞、ゴリムマブ産生CHO細胞、カナキヌマブ産生CHO細胞、デノスマブ産生CHO細胞、モガムリズマブ産生CHO細胞、セルトリズマブ ペゴル産生CHO細胞、オファツムマブ産生CHO細胞、ペルツズマブ産生CHO細胞、トラスツズマブ エムタンシン産生CHO細胞、ブレンツキシマブ ベドチン産生CHO細胞、ナタリズマブ産生CHO細胞、ニボルマブ産生CHO細胞、アレムツズマブ産生CHO細胞、セクキヌマブ産生CHO細胞、ラムシルマブ産生CHO細胞、イピリムマブ産生CHO細胞、エボロクマブ産生CHO細胞、メポリズマブ産生CHO細胞、アリロクマブ産生CHO細胞、イキセキズマブ産生CHO細胞、ブロダルマブ産生CHO細胞、イダルシズマブ産生CHO細胞、エロツズマブ産生CHO細胞、ペムブロリズマブ産生CHO細胞、サリルマブ産生CHO細胞、ベズロトクスマブ産生CHO細胞、ベリムマブ産生CHO細胞、ダラツムマブ産生CHO細胞、アベルマブ産生CHO細胞、デュピルマブ産生CHO細胞、アテゾリズマブ産生CHO細胞、ベンラリズマブ産生CHO細胞、イノツズマブ オゾガマイシン産生CHO細胞、エミシズマブ産生CHO細胞、グセルクマブ産生CHO細胞、デュルバルマブ産生CHO細胞、オビヌツズマブ産生CHO細胞、又はベドリズマブ産生CHO細胞等が挙げられる。
本明細書中、化学架橋アルギン酸ゲルファイバのコア層に含むことのできる抗体産生CHO細胞として、より好ましくは、トラスツズマブ産生CHO細胞、リツキシマブ産生CHO細胞、インフリキシマブ産生CHO細胞、トシリズマブ産生CHO細胞、アダリムマブ産生CHO細胞、及びニボルマブ産生CHO細胞からなる群から選択されるCHO細胞であり、更に好ましくは、トシリズマブ産生CHO細胞である。
化学架橋アルギン酸ゲルファイバのシェル層は、架橋アルギン酸ゲル(例えば、式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を用いて前記両アルギン酸誘導体間に架橋を形成することにより得られる架橋アルギン酸ゲル)を含む。当該架橋アルギン酸ゲルは、被覆される抗体産生細胞を含むコア層に比べて、より高い又は同等な機械的強度を有するゲルであっても良く、好ましくは、当該架橋アルギン酸ゲルは、被覆される抗体産生細胞を含むコア層に比べて、より高い機械的強度を有するゲルである。又、培養時に化学架橋アルギン酸ゲルファイバ外に存在している培養液(栄養源)及び酸素等の成分に対して十分な透過性を有しているものである。
前記架橋アルギン酸ゲルの機械的強度については、当業者に周知の方法に従って、引っ張り試験機を水中で用いる方法などにより引っ張り強度や荷重強度などを測定することができる。前記架橋アルギン酸ゲル中には、生体成分や非生体成分を必要に応じて添加することもできる。
ここで提供される、いくつかの態様の架橋アルギン酸ゲルは、外的刺激によりゲル化する架橋アルギン酸ゲルである。外的刺激としては、例えば、2価金属イオンの添加(2価金属イオンを含む溶液の添加)、酵素処理、pH変動、加熱、UV照射、放射線照射などが挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、2価金属イオンである。
前記2価金属イオンとしては、特に限定されないが、例えば、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、バリウムイオン、ストロンチウムイオン、亜鉛イオン等が挙げられ、好ましくはカルシウムイオン又はバリウムイオンであり、より好ましくはカルシウムイオンである。
前記カルシウムイオン又はバリウムイオンを含む溶液としては、特に限定されないが、例えば、塩化カルシウム水溶液、炭酸カルシウム水溶液、グルコン酸カルシウム水溶液、、塩化バリウム水溶液等の水溶液が挙げられ、好ましくは塩化カルシウム水溶液である。
本明細書中、化学架橋アルギン酸ゲルファイバとは、いくつかの態様において、シェル層の架橋アルギン酸ゲルが、架橋としてHuisgen反応により形成されるトリアゾール環による化学架橋、及び2価金属イオン(例えば、カルシウムイオン、等)により部分的に形成されるイオン架橋を含む架橋アルギン酸ゲルであるゲルファイバであり、又、いくつかの態様において、シェル層の架橋アルギン酸ゲルが、架橋としてHuisgen反応により形成されるトリアゾール環による化学架橋を含む架橋アルギン酸ゲルであるゲルファイバである。
好ましくは、化学架橋アルギン酸ゲルファイバは、当該ゲルファイバを形成した後の早い段階で、培養液に浸潤させ培養を開始することができる。より好ましくは、コア層に含まれる、抗体産生細胞を壊死させることなく、コア層の直径が大きなゲルファイバを提供することができる。即ち、化学架橋アルギン酸ゲルファイバにより、抗体産生細胞がある一定数含まれたコア層を有する化学架橋アルギン酸ゲルファイバを容易に得ることができる。
コア層を被覆するシェル層によっては、十分な機械的強度が得られないことにより、コア層を被覆する段階でシェル層が潰れる場合や、壊れてしまう場合があり得る。しかし、本発明者らは、コア層を被覆するシェル層に、前記式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を用いて、2価金属イオン(例えば、カルシウムイオン)及びHuisgen反応により架橋し硬化させることで、コア層を被覆するのに十分な強度を有しており、又、培養液(栄養源)及び酸素を供給することができる化学架橋アルギン酸ゲルファイバが得られることを見出した。好ましい態様では、シェル層を形成する、式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を用いて前記両アルギン酸誘導体間に架橋を形成することにより得られる架橋アルギン酸ゲルは、コア層よりも高い機械的強度を有する架橋アルギン酸ゲルとなっている。
従って、化学架橋アルギン酸ゲルファイバは、抗体産生細胞及び基材が含まれるコア層を、高い機械的強度を有する式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を用いて前記両アルギン酸誘導体間に架橋を形成することにより得られる架橋アルギン酸ゲルを含むシェル層で被覆して形成される化学架橋アルギン酸ゲルファイバである。又、ここでは、この化学架橋アルギン酸ゲルファイバを、「抗体産生細胞及び基材が含まれるコア層を、式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を用いて前記両アルギン酸誘導体間に架橋を形成することにより得られる架橋アルギン酸ゲルを含むシェル層で被覆して形成される化学架橋アルギン酸ゲルファイバ」と言うこともある。
ここで、「コア層よりも高い機械的強度を有する化学架橋アルギン酸ゲルファイバ」とは、化学架橋アルギン酸ゲルファイバのシェル層に、被覆されるコア層を形成する基材(例えば、コラーゲン溶液、コラーゲンゲル、培地(または培養液)、アルギン酸溶液(例えば、アルギン酸ナトリウム溶液)、アルギン酸ゲル、式(I)又は式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体の溶液、又は式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を用いて前記両アルギン酸誘導体間に架橋を形成することにより得られる架橋アルギン酸ゲル、及びそれらの混合物等からなる群から選択される基材)と比べて実質的に同一又はより高い機械的強度を有するゲル(例えば、アルギン酸ゲルやアガロースゲルを挙げることができるが、これらに限定されることはない)を用いることで、コア層を被覆する段階でシェル層が潰れたり、壊れたりする恐れが少ない、アルギン酸ゲルを意味する。
シェル層を形成するゲルとして、好ましくは、カルシウムイオンなどの2価金属イオンの存在下でゲル化し、更に化学反応によりゲル化する性質を有するアルギン酸ゲル(例えば、式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を用いて前記両アルギン酸誘導体間に架橋を形成することにより得られる架橋アルギン酸ゲル、2価金属イオンによるイオン架橋及びHuisgen反応による化学架橋を有する架橋アルギン酸ゲル)を用いることで、コア層よりも高い機械的強度を有する化学架橋アルギン酸ゲルファイバを得ることもできる。
ゲルの機械的強度については、当業者に周知の方法に従って、引っ張り試験機を水中で用いる方法などにより引っ張り強度や荷重強度などを測定することができる。
化学架橋アルギン酸ゲルファイバは、その両端がアルギン酸ゲル、又は式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を用いて前記両アルギン酸誘導体間に架橋を形成することにより得られる架橋アルギン酸ゲル等で封止されたゲルファイバであっても良い。当該ゲルファイバの両端を封止することにより、培養期間中にコア層が化学架橋アルギン酸ゲルファイバ外へ漏れだすことの防止に繋がる。
化学架橋アルギン酸ゲルファイバは、2種類の異なるゲルによりコア・シェル構造を有するファイバとして形成されている場合や、さらに多重構造を有している場合も包含される。又、シェル層の被覆も多層被覆からなる被覆であってもよく、例えば、2種類以上の異なる強度を有するシェル層により、2層以上の被覆が形成されていてもよい。
[アルギン酸ゲルファイバの製造方法]
ここでは、抗体産生細胞及び基材が含まれるコア層を、前記式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を用いて前記両アルギン酸誘導体間に架橋を形成することにより得られる架橋アルギン酸ゲルを含むシェル層で被覆して形成される化学架橋アルギン酸ゲルファイバの製造方法であって、例えば、図2又は図3に示されるマイクロ流体装置を用いることを含む方法が提供される。
以下に、抗体産生細胞及び基材が含まれるコア層を、前記式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を用いて前記両アルギン酸誘導体間に架橋を形成することにより得られる架橋アルギン酸ゲルを含むシェル層で被覆して形成される化学架橋アルギン酸ゲルファイバの作製方法について説明する。
前記化学架橋アルギン酸ゲルファイバの作製方法は特に限定されないが、例えば、図2又は図3に示されるマイクロ流体装置を用いて行う。ここでのマイクロ流体装置は、化学架橋アルギン酸ゲルファイバを作製するのに好ましく用いられる装置である。
マイクロ流体装置は、例えば、導入口が3つ、出口が1つの微細流路を作るための装置であり、第1の導入口に第1の液、第2の導入口に第2の液、及び第3の導入口に第3の液を適当な速さで流すと、第1の液と第2の液が交差して一本となった流路では、第1の液と第2の液が混ざることなく、2層のきれいな層流になり、さらに、その下流で第3の液と交差して3つの液が一本となった流路では、第1の液と第2の液と第3の液が混ざることなく、3層のきれいな層流になる。マイクロ流体装置としては、例えば、図2に示すような二重の同軸マイクロ流体装置(coaxial microfluidic device)10を挙げることができる。
又、例えば、導入口が2つ、出口が1つの微細流路を作るための装置であり、第1の導入口に第1の液、及び第2の導入口に第2の液を適当な速さで流すと、第1の液と第2の液が混ざることなく、2層のきれいな層流になる。マイクロ流体装置としては、例えば、図3に示すようなT字型マイクロ流体装置XXを挙げることができる。
2つの流体を同軸となるようにコア部及びシェル部に分けて射出することができるマイクロ流体装置10は、例えば、Wonje Jeong, et al., Hydrodynamic microfabrication via “on the fly” photopolymerization of microscale fibers and tubes, Lab Chip, 2004, 4, p576-580 のFig.1、又は、例えば、特開2016-77229号公報(出願人:国立大学法人 東京大学)の図1又は図2に具体的に記載されているものを挙げることができる。いくつかの態様では、これらに記載されているマイクロ流体装置10の具体例またはそれと同様な装置を用いて、同様な作製条件にて、アルギン酸ゲルファイバを製造することができる。
図2に示すように、マイクロ流体装置10は、導入管40と、導入管40の導入口1と、導入口1の下流に位置する導入管40の導入口2と、導入口2の下流に位置する導入管40の導入口3と、導入口2の下流に位置する導入管40の出口50を含む。
図2は、化学架橋アルギン酸ゲルファイバの製造過程の1つの態様を説明する模式図である。一例として、コア層の基材にアルギン酸ナトリウム溶液を用い、シェル部の基材に前記式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体の混合溶液を用いる作製方法について説明する。
化学架橋アルギン酸ゲルファイバは、例えば下記工程(1)~(4)を含む方法により製造することができる。
(1)導入口1から、抗体産生細胞6と基材を導入して射出して、導入管40内に抗体産生細胞6と基材の第1の層流を形成する工程、
(2)導入口2から、アルギン酸ナトリウム溶液を導入して射出して、第1の層流の外周を覆う、アルギン酸ナトリウム溶液の第2の層流を形成する工程、
(3)導入口3から、2価金属イオンを含む溶液を導入して射出して、第2の層流の外周を覆う、2価金属イオンを含む溶液の第3の層流を形成する工程、
(4)出口50から射出される、抗体産生細胞及び基材が含まれるコア層を、式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を用いて前記両アルギン酸誘導体間に架橋を形成することにより得られる架橋アルギン酸ゲルを含むシェル層で被覆して形成される化学架橋アルギン酸ゲルファイバを得る工程
(1)~(4)の工程を行うことにより、シェル層の前記式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体の混合溶液がゲル化し、シェル層4にカルシウム架橋及びHuisgen反応により形成される化学架橋からなる架橋アルギン酸ゲルを含み、またコア層5に抗体産生細胞6と基材を含む化学架橋アルギン酸ゲルファイバ20を製造することができる。
また、前記方法により得られた化学架橋アルギン酸ゲルファイバを、例えば37℃程度で数分(例えば、2~5分)~約1時間程度加熱してもよく、例えば、コア層5の抗体産生細胞6を含む基材がコラーゲン溶液の場合には、ゲル化させることが可能となる。
図3に示すように、マイクロ流体装置XX(以下、T字型流体装置XXとも言う)は、導入管AAと導入管AAの導入口1、導入管BBと導入管BBの導入口2、導入管AA及び導入管BBの下流に位置する排出管CC及びその出口3、及びキャツプであるCap1~Cap3を含む。又、排出管CCより排出されるファイバ状物質を受ける容器として、2価金属イオンを含む溶液を含むビーカー等の容器DDが用いられる。
図3は、化学架橋アルギン酸ゲルファイバの製造過程の1つの態様を説明する模式図である。一例として、コア層の基材にアルギン酸ナトリウム溶液を用い、シェル部の基材に前記式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体の混合溶液を用いる作製方法について説明する。
化学架橋アルギン酸ゲルファイバは、例えば下記工程(1)~(4)を含む方法により製造することができる。
(1)導入口2から、前記態様[1]に記載の式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体の混合溶液を導入する工程、
(2)導入口1から、抗体産生細胞6と基材を導入して、導入管AAの最先端ZZから抗体産生細胞6と基材を射出する工程、
(3)排出管CCの出口3から、抗体産生細胞及び基材が含まれるコア層を前記態様[1]に記載の式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体が含まれるシェル層で被覆されるファイバ状物質を、2価金属イオンを含む溶液中に射出させる工程、
(4)前記態様[1]に記載の式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を用いて、前記両アルギン酸誘導体間に架橋を形成することにより得られる架橋アルギン酸ゲルを含むシェル層で被覆して形成される化学架橋アルギン酸ゲルファイバを得る工程
(1)~(4)の工程を行うことにより、シェル層の前記式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体の混合溶液がゲル化し、シェル層にカルシウム架橋及びHuisgen反応により形成される化学架橋からなる架橋アルギン酸ゲルを含み、またコア層5に抗体産生細胞6と基材を含む化学架橋アルギン酸ゲルファイバを製造することができる。
マイクロ流体装置XXにおいて、排出管CCは、マイクロ流体装置XXに導入できる太さのものであれば特に限定はされない。
マイクロ流体装置XXにおいて、導入管AAは、マイクロ流体装置XXのに導入できる太さのものであれば特に限定はされない。
図2に示すマイクロ流体装置10を用いる場合、導入口2及び3における溶液の射出速度は特に限定されないが、例えば、約200~約400μL/分程度であってもよい。導入口2及び3における溶液の射出速度を調節することにより、コア層の直径及びシェル層の被覆厚みを適宜調節できる。例えば、導入口2及び3における溶液の射出速度を速くすると、コア層の直径及びシェル層の被覆厚みが小さくなり、一方、射出速度を遅くすると、コア層の直径及びシェル層の被覆厚みが大きくなる。
図2に示すマイクロ流体装置10を用いる場合、導入口1から射出される抗体産生細胞6を含むコラーゲン溶液は、例えば、以下の通り調製する。
コラーゲン酸性溶液I-PC(株式会社高研、cat#.IPC-50)にHBSS、Hepes、NaHCOで構成されるバッファーを4:1で添加し、コラーゲン濃度を4mg/mLに調製する。その後、培地で所定の濃度に調製した細胞懸濁液と1:1で混合し、コラーゲン終濃度2mg/mL(0.2%)の抗体産生細胞6を含むコラーゲン溶液を調製する。
マイクロ流体装置10の導入口1から射出される抗体産生細胞6と基材の流速(射出速度)は特に限定されないが、例えば、約50~約100μL/分程度であってもよい。
マイクロ流体装置10の導入口2から射出される式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体の混合溶液は、例えば、前記態様[1]に記載の式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を用いて、溶媒(例えば、MilliQ水、等)を添加して、所定の濃度(例えば、各化学修飾アルギン酸誘導体の溶液が1.5質量%(w/w%))の式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体の混合溶液を調製する。
マイクロ流体装置10の導入口2から射出される式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体の混合溶液の流速は、特に限定されないが、例えば、約200~約400μL/分程度の範囲であってもよい。
マイクロ流体装置10の導入口3から射出される2価金属イオンを含む溶液は、例えば、塩化カルシウムを用いて、MilliQ水を添加して、所定の濃度(例えば、約100mM)の塩化カルシウム水溶液を調製する。マイクロ流体装置10の導入口3から射出される2価金属イオンを含む溶液の流速は、特に限定されないが、例えば約2~約6mL/分程度の範囲であってもよい。
図3に示すT字型流体装置XXを用いる場合、 導入口1及び2における溶液の射出速度は特に限定されないが、例えば、約50~約400μL/分程度であってもよい。導入口1及び導入口2における溶液の射出速度を調節することにより、コア層の直径及びシェル層の被覆厚みを適宜調節できる。
図3に示すT字型流体装置XXを用いる場合、導入口1から射出される抗体産生細胞6を含むコラーゲン溶液は、例えば、以下の通り調製する。
コラーゲン酸性溶液I-PC(株式会社高研、cat#.IPC-50)にHBSS、Hepes、NaHCOで構成されるバッファーを4:1で添加し、コラーゲン濃度を4mg/mLに調製する。その後、培地で所定の濃度に調製した細胞懸濁液と1:1で混合し、コラーゲン終濃度2mg/mL(0.2%)の抗体産生細胞6を含むコラーゲン溶液を調製する。
図3に示すT字型流体装置XXの導入口1から射出される抗体産生細胞6と基材の流速(射出速度)は特に限定されないが、例えば、約50~約100μL/分程度であってもよい。
図3に示すT字型流体装置XXの導入口2から射出される式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体の混合溶液は、例えば、前記態様[1]に記載の式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を用いて、溶媒(例えば、MilliQ水、等)を添加して、所定の濃度(例えば、各化学修飾アルギン酸誘導体の溶液が1.5質量%(w/w%)又は(w/v%))の式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体の混合溶液を調製する。
T字型流体装置XXの導入口2から射出される式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体の混合溶液の流速は、特に限定されないが、例えば、約200~約400μL/分程度の範囲であってもよい。
作製される化学架橋アルギン酸ゲルファイバ20の外径は、特に限定されないが、前述の通りであり、例えば、約0.2μm~約2000μmの範囲、又は約50μm~約1000μmの範囲であっても良く、好ましくは、約200μm~約800μmの範囲である。化学架橋アルギン酸ゲルファイバ20の長さは特に限定されず、前述の通りであり、例えば数mm~数m程度であってもよい。当該ファイバの断面形状としては、前述の通りであり、例えば、円形、楕円系、四角形や五角形等の多角形等が挙げられる。
いくつかの態様では、化学架橋アルギン酸ゲルファイバの製法時の温度は、例えば、約4~約37℃の範囲であり、好ましくは約35℃である。
いくつかの態様では、化学架橋アルギン酸ゲルファイバを培養液中で培養することにより、抗体産生細胞が培養され、抗体を産生することができる。アルギン酸ゲルファイバは、培養液を適切に交換することにより、抗体産生細胞を数か月の連続培養することが可能となる。
本明細書中の記載において「約」と記載した場合、特に断りが無い場合には、当該数値の±20%迄、好ましくは当該数値の±10%迄の値も含み得るものである。
[抗体産生細胞の培養方法]
ここでは、抗体産生細胞及び基材が含まれるコア層を、式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を用いて前記両アルギン酸誘導体間に架橋を形成することにより得られる架橋アルギン酸ゲルを含むシェル層で被覆して形成される化学架橋アルギン酸ゲルファイバを用いることを含む、抗体の製造方法が提供される。以下、「抗体の製造方法」を「抗体産生細胞の培養方法」という場合がある。
好ましい態様の抗体産生細胞の培養方法によれば、抗体産生細胞及び基材が含まれるコア層を、式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を用いて前記両アルギン酸誘導体間に架橋を形成することにより得られる架橋アルギン酸ゲルを含むシェル層で被覆して形成されるアルギン酸ゲルファイバを製造した後、直ぐに抗体産生細胞の培養を開始する。これにより、図4に示すように、コア層への培養液(栄養源)及び酸素の供給をすぐに行うことができる。特に好ましい態様では、コア層での抗体産生細胞の壊死を十分に防ぎつつ、抗体を産生することができる。
以下に、抗体産生細胞の培養方法の一例について、具体的に説明するが、これに限定されない。ベントキャップ付三角フラスコ(Corning社、 Cat.431143に、コア層に抗体産生細胞を含むアルギン酸ゲルファイバを入れ、後述する表26の組成である培地(30 mL)を添加し、ゲルファイバを含浸させた後、37℃、5%CO雰囲気下にインキュベータ内で培養装置(パナソニックヘルスケア(株)MIR-S100C)を用いた125 rpmの条件で振とうしながら培養を行う。2~3日に一回、培地1.8 mLを抜き取り、Feed液(Irvine社製、JX Feed 003)1.8mLを添加し、培地の総量を30 mLに保つ。
又、好ましい態様の化学架橋アルギン酸ゲルファイバを用いる抗体の製造技術は、コア層に含まれる抗体産生細胞がある一定数以上には増殖しないことにより、細胞への物理的ストレスが少ないため、封入した抗体産生細胞が長期間に渡り抗体を産生し続ける可能性を有している点で優れている。
特に好ましい態様では、抗体の生産・精製効率を飛躍的に向上させる可能性があり(例えば、好ましい態様のマイクロゲルファイバを用いることで、大規模な培養タンクを要する浮遊培養とは異なり、小規模の生産設備にて抗体を培養することも可能となる)、少量・多種品目の抗体医薬品(具体的には、抗体医薬品等)の製造にも適した次世代型抗体医薬品の連続生産技術として期待できる。
培養により産生された抗体(例えば、トシリズマブ)は、アルギン酸ゲルファイバのコア層に貯留されても良く、好ましくは、アルギン酸ゲルファイバのシェル層を透過しアルギン酸ゲルファイバ外の培養液中に貯留される。尚、抗体の回収・精製は、後述の記載を参照し、行うことが可能である。
好ましい態様では、図4に示すように、コア層内で産生された抗体がシェル層を透過して化学架橋アルギン酸ゲルファイバ外へ順次放出されることとなり、抗体の連続培養が可能なサイクルが形成可能である。尚、このとき、代謝物及び老廃物も化学架橋アルギン酸ゲルファイバ外へ放出されてもよい。
実際に、後述の実施例では、シェル層の架橋アルギン酸ゲルを形成する為の原料として、式(I)の化学修飾アルギン酸誘導体に化合物(EX1-(I)-B-2b)、化合物(EX1-(I)-A-2c)又は化合物(EX8-(I)-B-2)、式(II)の化学修飾アルギン酸誘導体に化合物(EX3-(II)-B-2a)又は化合物(EX3-(II)-A-2b)を用いて作製された化学架橋アルギン酸ゲルファイバの場合、産生された抗体(トシリズマブ)がコア層及び培養液中に貯留された事が確認できた。
抗体産生細胞が含まれるコア層を、式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を用いて前記両アルギン酸誘導体間に架橋を形成することにより得られる架橋アルギン酸ゲルで被覆して形成される化学架橋アルギン酸ゲルファイバを培養する、培養容器としては、例えば、組織培養用プレート、三角フラスコ、T-フラスコ、スピナーフラスコ、培養バッグ、動物細胞培養槽等からなる群から選択される容器であり;好ましくは三角フラスコ又は動物細胞培養槽である。 培養は、静置培養、振とう・揺動培養などのいずれの方法を選択してもよい。
抗体の生産性向上には、培養当たりの抗体産生細胞数の増大化が有効であるが、一方で過剰な増殖が起こり、培養環境が悪化し、培養期間の短縮が起こりうる。いくつかの態様の抗体の製造方法にて、化学架橋アルギン酸ゲルファイバのコア層に含まれる、抗体産生細胞の過剰増殖に起因する細胞への物理的ストレスを少なくする為の方法として、例えば、コア層に含まれる抗体産生細胞がある一定数以上に増殖しない方法としては、培養中の培養温度のコントロール、培養液中に細胞増殖抑制剤を添加する、等の方法が挙げられる。
いくつかの態様の抗体の製造方法にて、培養温度は、例えば、約30~約38℃の範囲である。
いくつかの態様の抗体の製造方法にて、培養温度は、好ましくは、培養開始から終了時までの温度が約37℃である。
いくつかの態様の抗体の製造方法にて、培養温度は、好ましくは、培養開始時の温度が約37℃であり、化学架橋アルギン酸ゲルファイバのコア層の細胞濃度が、約1.0×10細胞/mL~約10×10細胞/mLに到達した時点~培養終了時迄の温度が約30℃である。
いくつかの態様の抗体の製造方法にて、培養温度は、好ましくは、培養開始時の温度が約37℃であり、化学架橋アルギン酸ゲルファイバのコア層の細胞濃度が、約3.0×10細胞/mL~約8.0×10細胞/mLに到達した時点~培養終了時迄の温度が約30℃である。
いくつかの態様の抗体の製造方法にて、培養温度は、より好ましくは、培養開始時の温度が約37℃であり、化学架橋アルギン酸ゲルファイバのコア層の細胞濃度が、約4.0×10細胞/mL~約8.0×10細胞/mLに到達した時点~培養終了時迄の温度が約30℃である。
細胞増殖抑制剤とは、培養期間中、過剰な細胞増殖を抑制することが可能な剤である。いくつかの態様の抗体の製造方法にて、培養液中に添加できる細胞増殖抑制剤としては、例えば、ジメチルスルホキシド、酪酸ナトリウム、バルプロ酸、塩化リチウム及び吉草酸からなる群から選択される添加剤であり;好ましくは、バルプロ酸又は吉草酸であり;より好ましくは、吉草酸である。細胞増殖抑制剤を培養液に添加するタイミングは、培養開始時点、又は培養期間中(必要な細胞数まで増殖できた時点)のいずれでも可能である。
抗体は、定常領域の構造上の違いにより、下記表に示されるようなクラス(アイソタイプ)やサブクラスに分類される。
ヒトIgの分類
Figure 2023015413000087
いくつかの態様の抗体の製造方法にて、抗体産生細胞を培養することよってアルギン酸ゲルファイバのコア層で産生されシェル層を透過し得る抗体としては、特に限定されることは無いが、例えば、IgG、IgA、IgM、IgD、IgE等からなる群から選択されるクラス(アイソタイプ)を有する抗体が挙げられる。抗体産生細胞を培養することによってアルギン酸ゲルファイバのコア層で産生されシェル層を透過し得る抗体は、好ましくは、IgG、又はIgEのクラス(アイソタイプ)の抗体であり、より好ましくは、IgGのクラス(アイソタイプ)の抗体である。
いくつかの態様の抗体の製造方法にて、抗体産生細胞を培養することによって、アルギン酸ゲルファイバのコア層で産生されシェル層を透過し得る抗体の分子量は、特に限定されることは無いが、例えば、45,000~900,000の範囲にある抗体である。いくつかの態様の抗体の製造方法にてアルギン酸ゲルファイバのコア層で産生されシェル層を透過し得る抗体の分子量は、好ましくは、45,000~160,000の範囲であり、より好ましくは、140,000~150,000の範囲である。
本明細書中、前記記載の各抗体産生CHO細胞を用いて前記記載の抗体の製造方法にて培養を行う場合、用いた抗体産生CHO細胞に対応する抗体が産生される。例えば、ムロモナブ-CD3産生CHO細胞を用いる場合、抗体としてムロモナブ-CD3が産生される。
産生される抗体としては、例えば、ムロモナブ-CD3産生CHO細胞を用いてムロモナブ-CD3(IgG;150,000)、トラスツズマブ産生CHO細胞を用いてトラスツズマブ(IgG;148,000)、リツキシマブ産生CHO細胞を用いてリツキシマブ(IgG;144,510)、パリビズマブ産生CHO細胞を用いてパリビズマブ(IgG;“147,700”)、インフリキシマブ産生CHO細胞を用いてインフリキシマブ(IgG;“149,000”)、バシリキシマブ産生CHO細胞を用いてバシリキシマブ(IgG;147,000)、トシリズマブ産生CHO細胞を用いてトシリズマブ(IgG;148,000)、ゲムツズマブ オゾガマイシン産生CHO細胞を用いてゲムツズマブ オゾガマイシン(IgG;“153,000”)、ベバシズマブ産生CHO細胞を用いてベバシズマブ(IgG;149,000)、イブリツモマブ チウキセタン産生CHO細胞を用いてイブリツモマブ チウキセタン(IgG;148,000)、アダリムマブ産生CHO細胞を用いてアダリムマブ(IgG;148,000)、セツキシマブ産生CHO細胞を用いてセツキシマブ(IgG;151,800)、ラニビズマブ産生CHO細胞を用いてラニビズマブ(IgG;48,000)、オマリズマブ産生CHO細胞を用いてオマリズマブ(IgE;149,000)、エクリズマブ産生CHO細胞を用いてエクリズマブ(IgG;145,235)、パニツムマブ産生CHO細胞を用いてパニツムマブ(IgG;147,000)、ウステキヌマブ産生CHO細胞を用いてウステキヌマブ(IgG;148,079~149,690)、ゴリムマブ産生CHO細胞を用いてゴリムマブ(IgG;149,802~151,064)、カナキヌマブ産生CHO細胞を用いてカナキヌマブ(IgG;148,000)、デノスマブ産生CHO細胞を用いてデノスマブ(IgG;150,000)、モガムリズマブ産生CHO細胞を用いてモガムリズマブ(IgG;149,000)、セルトリズマブ ペゴル産生CHO細胞を用いてセルトリズマブ ペゴル(IgG;90,000)、オファツムマブ産生CHO細胞を用いてオファツムマブ(IgG;149,000)、ペルツズマブ産生CHO細胞を用いてペルツズマブ(IgG;148,000)、トラスツズマブ エムタンシン産生CHO細胞を用いてトラスツズマブ エムタンシン(IgG;151,000)、ブレンツキシマブ ベドチン産生CHO細胞を用いてブレンツキシマブ ベドチン(IgG;153,000)、ナタリズマブ産生CHO細胞を用いてナタリズマブ(IgG;146,178)、ニボルマブ産生CHO細胞を用いてニボルマブ(IgG;145,000)、アレムツズマブ産生CHO細胞を用いてアレムツズマブ(IgG;150,000)、セクキヌマブ産生CHO細胞を用いてセクキヌマブ(IgG;151,000)、ラムシルマブ産生CHO細胞を用いてラムシルマブ(IgG;147,000)、イピリムマブ産生CHO細胞を用いてイピリムマブ(IgG;148,000)、エボロクマブ産生CHO細胞を用いてエボロクマブ(IgG;141,789)、メポリズマブ産生CHO細胞を用いてメポリズマブ(IgG;149,000)、アリロクマブ産生CHO細胞を用いてアリロクマブ(IgG;145892.049.)、イキセキズマブ産生CHO細胞を用いてイキセキズマブ(IgG;149,000)、ブロダルマブ産生CHO細胞を用いてブロダルマブ(IgG;147,000)、イダルシズマブ産生CHO細胞を用いてイダルシズマブ(IgG;47,782)、エロツズマブ産生CHO細胞を用いてエロツズマブ(IgG;148,000)、ペムブロリズマブ産生CHO細胞を用いてペムブロリズマブ(IgG;149,000)、サリルマブ産生CHO細胞を用いてサリルマブ(IgG;150,000)、ベズロトクスマブ産生CHO細胞を用いてベズロトクスマブ(IgG;148,000)、ベリムマブ産生CHO細胞を用いてベリムマブ(IgG;147,000)、ダラツムマブ産生CHO細胞を用いてダラツムマブ(IgG;148,000)、アベルマブ産生CHO細胞を用いてアベルマブ(IgG;147,000)、デュピルマブ産生CHO細胞を用いてデュピルマブ(IgG;152,000)、アテゾリズマブ産生CHO細胞を用いてアテゾリズマブ(IgG;144,611)、ベンラリズマブ産生CHO細胞を用いてベンラリズマブ(IgG;148,000)、イノツズマブ オゾガマイシン産生CHO細胞を用いてイノツズマブ オゾガマイシン(IgG;159,000)、エミシズマブ産生CHO細胞を用いてエミシズマブ(IgG;148,000)、グセルクマブ産生CHO細胞を用いてグセルクマブ(IgG;146,000)、デュルバルマブ産生CHO細胞を用いてデュルバルマブ(IgG;149,000)、オビヌツズマブ産生CHO細胞を用いてオビヌツズマブ(IgG;148,000~150,000)、又はベドリズマブ産生CHO細胞を用いてベドリズマブ(IgG;150,000)が挙げられる(抗体名後のカッコ内は、当該抗体のクラス(アイソタイプ)及び分子量を示す)。
産生された抗体は、例えば、下記の3工程を経て精製が行われる。
〔工程1〕培地中に含まれる、抗体以外のタンパク質及び固形物をほぼ取り除く為に、遠心分離法又はフィルターによる濾過等を行う。
〔工程2〕例えば、Protein A又はProtein Gを用いたアフィニティークロマトグラフィー、又はイオン交換クロマトグラフィー等のクロマトグラフィーにて目的とする抗体を取り出す。
〔工程3〕工程2で混入してきた夾雑物を除去する為に、ゲルろ過クロマトグラフィーを行い、目的とする抗体を高純度精製する。
Protein A又はProtein Gを用いたアフィニティークロマトグラフィー:
IgGの精製法としては、例えば、Protein A又はProtein Gを用いた抗体の精製方法が知られている。Protein Aを用いた抗体の精製法として、下記方法が1例として挙げられる。(1)Protein Aが固定されたビーズが充填されたカラムを用いて、前記〔ステップ1〕の方法で得られてくる溶液に血清を添加した溶液をろ過することで、IgGがカラム中のビーズに結合して、他の血清成分がカラム外へ流出がされる。(2)その後、カラムに酸性溶液を通過させることにより、ビーズに結合していたIgGが切れて、カラム外へ溶出されてIgGが得られる。尚、IgのProtein AとProtein Gへの結合力が、動物種やサブクラスによって違うことから、目的によって、Protein A又はProtein Gを使い分けることができる。
イオン交換クロマトグラフィー:
タンパク質が有する電気的な性質(電荷)を利用してタンパク質を分離する方法である。正電荷を示す塩基性タンパク質は、負電荷をもつ陽イオン交換体(担体)にイオン結合し、負電荷を示す酸性タ ンパク質は正電荷を持つ陰イオン交換体に結合することから、タンパク質が含まれる試料をイオン交換体が充填されたカラムを通すことで、タンパク質がイオン交換体に結合する。その後、カラムを通す溶媒の塩濃度を高濃度にすることで、タンパク質とイオン交換体とのイオン結合が弱くなり、結合力の弱いタンパク質から順番に、イオン交換体から外れて、カラム外へ流出してくる。陽イオン交換体又は陰イオン交換体の選択は、試料として用いるタンパク質の電荷から選択するものとする。
ゲルろ過クロマトグラフィー:
タンパク質の分子量の違いを利用してタンパク質を分離する方法である。小孔が付いている担体が充填されたカラムに試料を流すことで、分子量の小さいタンパク質は、前記小孔に入り込みながら流出してき、分子量の大きいタンパク質は前記小孔に入らずに流出してくる為、カラムを通過する時間が分子量の小さいタンパク質は遅く、分子量の大きいタンパク質は早くなることから、時間差的にタンパク質を分離することが可能となる。
尚、本明細書において引用した全ての文献、及び公開公報、特許公報、その他の特許文献は、参照として本明細書に組み込むものとする。
また、本発明の目的、特徴、利点、及びそのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば、容易に本発明を実施できる。発明を実施するための最良の形態及び具体的な実施例などは、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をそれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図ならびに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々に修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。

[化学修飾アルギン酸誘導体の合成法]
核磁気共鳴スペクトル(NMR)の測定には、JEOL JNM-ECX400 FT-NMR(日本電子)を用いた。液体クロマトグラフィー-質量分析スペクトル(LC-Mass)は以下の方法で測定した。[UPLC]Waters AQUITY UPLCシステムおよびBEH C18カラム(2.1mm×50mm、1.7μm)(Waters)を用い、アセトニトリル:0.05%トリフルオロ酢酸水溶液=5:95(0分)~95:5(1.0分)~95:5(1.6分)~5:95(2.0分)の移動相およびグラジエント条件を用いた。
H-NMRデータ中、NMRシグナルのパターンで、sはシングレット、dはダブレット、tはトリプレット、qはカルテット、mはマルチプレット、brはブロード、Jはカップリング定数、Hzはヘルツ、CDClは重クロロホルム、DMSO-dは重ジメチルスルホキシド、DOは重水、CDODは重メタノールを意味する。H-NMRデータ中、水酸基(OH)、アミノ基(NH)、カルボキシル基(COOH)のプロトン等、ブロードバンドであるため確認ができないシグナルについては、データに記載していない。
LC-Massデータ中、Mは分子量、RTは保持時間、[M+H],[M+Na]は分子イオンピークを意味する。
実施例中の「室温」は、通常約0℃から約35℃の温度を示すものとする。
実施例中の反応性置換基導入率(モル%)は、H-NMR(DO)の積分比から算出されたアルギン酸を構成する単糖(グルロン酸およびマンヌロン酸)単位のモル数に対する導入された反応性置換基のモル数の割合を示すものとする。
実施例において、反応性基又は相補的な反応性基が導入される前のアルギン酸ナトリウムは、前記表21に記される物性値を示すアルギン酸ナトリウムを用いた。
表23-1~表23-2には、(実施例A-1)~(実施例A-15)及び(実施例1)~(実施例17)で得られた、反応性基が導入されたアルギン酸誘導体の物性値(具体的には、反応性基導入率(mol%)、分子量、及び重量平均分子量(万Da))を示す。
表24-1~表24-6には、(実施例A-1)~(実施例A-15)及び(実施例1)~(実施例17)中の各中間体の1H-NMRを示す。
表25には、(実施例A-1)~(実施例A-15)及び(実施例1)~(実施例17)中の各中間体のLC-Massを示す。
(実施例A-1)
ジベンゾシクロオクチン-アミン基導入アルギン酸(実施例A-1a、実施例A-1b、実施例A-1c、実施例A-1d、実施例A-1e、実施例A-1f、実施例A-1g、及び実施例A-1h)の合成:
Figure 2023015413000088
(実施例A-1a)ジベンゾシクロオクチン-アミン基導入アルギン酸(EX1-(I)-A-2)の合成:
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:A-2)水溶液(43.6 mL)に、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(111.65 mg)、1モル濃度-重曹水(403.5 μL)を加えた。この溶液に、市販のジベンゾシクロオクチン-アミン[CAS:1255942-06-3](EX1-SM、83.62 mg)のエタノール溶液(2 mL)を滴下し、室温で18時間攪拌した。塩化ナトリウム(400 mg)を加えた後、エタノール(87.2 mL)を加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥して、標記化合物EX1-(I)-A-2(376 mg)を淡黄色固体として得た。
(実施例A-1b)ジベンゾシクロオクチン-アミン基導入アルギン酸(EX1-(I)-A-1)の合成:
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:A-1)水溶液(19.32 mL)に、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(49.47 mg)、1モル濃度-重曹水(178.8 μL)を加えた。この溶液に、市販のジベンゾシクロオクチン-アミン[CAS:1255942-06-3](EX1-SM、37.05 mg)のエタノール溶液(4 mL)を滴下し、室温で20時間攪拌した。塩化ナトリウム(200 mg)を加えた後、エタノール(38.64 mL)を加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥して、標記化合物EX1-(I)-A-1(184 mg)を淡黄色固体として得た。
(実施例A-1c)ジベンゾシクロオクチン-アミン基導入アルギン酸(EX1-(I)-A-3)の合成:
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:A-3)水溶液(15.06 mL)に、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(38.57 mg)、1モル濃度-重曹水(139.4 μL)を加えた。この溶液に、市販のジベンゾシクロオクチン-アミン[CAS:1255942-06-3](EX1-SM、28.88 mg)のエタノール溶液(2 mL)を滴下し、室温で23時間攪拌した。塩化ナトリウム(150 mg)を加えた後、エタノール(60.24 mL)を加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥して、標記化合物EX1-(I)-A-3(164 mg)を淡黄色固体として得た。
(実施例A-1d)ジベンゾシクロオクチン-アミン基導入アルギン酸(EX1-(I)-B-2a)の合成:
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:B-2)水溶液(53.0 mL)に、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(111.0 mg)、ジベンゾシクロオクチン-アミン[CAS:1255942-06-3](EX1-SM、36.9 mg)のエタノール(5.3 mL)溶液、1モル濃度-重曹水(113.7 μL)を加え、30℃で3時間攪拌した。塩化ナトリウム(530 mg)を加えた後、エタノール(101 mL)を加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥して、標記化合物EX-(I)-B-2a(465 mg)を白色固体として得た。
(実施例A-1e)ジベンゾシクロオクチン-アミン基導入アルギン酸(EX1-(I)-B-2b)の合成:
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:B-2)水溶液(35.0 mL)に、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(14.7 mg)、ジベンゾシクロオクチン-アミン[CAS:1255942-06-3](EX1-SM、4.9 mg)、1モル濃度-重曹水(17.7 μL)、エタノール(3.5 mL)を加え、30℃で3.5時間攪拌した。塩化ナトリウム(350 mg)を加えた後、エタノール(70 mL)を加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥して、標記化合物EX-(I)-B-2b(329 mg)を白色固体として得た。
(実施例A-1f)ジベンゾシクロオクチン-アミン基導入アルギン酸(EX1-(I)-B-2c)の合成:
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:B-2)水溶液(60.0 mL)に、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(67.0 mg)、ジベンゾシクロオクチン-アミン[CAS:1255942-06-3](EX1-SM、16.7 mg)、1モル濃度-重曹水(60.5 μL)、エタノール(6.0 mL)を加え、30℃で3時間攪拌した。塩化ナトリウム(600 mg)を加えた後、エタノール(120 mL)を加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥して、標記化合物EX-(I)-B-2c(558 mg)を白色固体として得た。
(実施例A-1g)ジベンゾシクロオクチン-アミン基導入アルギン酸(EX1-(I)-A-2b)の合成:
(実施例A-1a)と同様の方法にて、標記化合物EX1-(I)-A-2b(1.174 g)を白色固体として得た。
(実施例A-1h)ジベンゾシクロオクチン-アミン基導入アルギン酸(EX1-(I)-A-2c)の合成:
(実施例A-1a)と同様の方法にて、標記化合物EX1-(I)-A-2c(1.138 g)を白色固体として得た。
(実施例A-2)N-(1R,8S,9s)-ビシクロ[6.1.0]ノン-4-イン-9-イルメトキシカルボニル-1,8-ジアミノ-3,6-ジオキサオクタン基導入アルギン酸(化合物EX2-(I)-A-2)の合成:
Figure 2023015413000089
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:A-2)水溶液(10.9 mL)に、室温で、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(27.91 mg)、1モル濃度-重曹水(100.9 μL)を加えた。この溶液に、市販のN-(1R,8S,9s)-ビシクロ[6.1.0]ノン-4-イン-9-イルメトキシカルボニル-1,8-ジアミノ-3,6-ジオキサオクタン[CAS1263166-93-3](EX-2-SM、24.54 mg)のエタノール(2 mL)及び水(1 mL)溶液を、室温で滴下し、同温度で21時間攪拌した。塩化ナトリウム(100 mg)を加えた後、エタノール(21.8 mL)を加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥して、標記化合物EX2-(I)-A-2(100 mg)を淡黄色固体として得た。
(実施例A-3) 4-(2-アミノエトキシ)-N-(3-アジドプロピル)ベンズアミド基導入アルギン酸(実施例A-3a、実施例A-3b、実施例A-3c、実施例A-3d、実施例A-3e、実施例A-3f、及び実施例A-3g)の合成:
Figure 2023015413000090
<工程1>メチル 4-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エトキシ)ベンゾエート(化合物EX3-IM-1)の合成:
Figure 2023015413000091
トリフェニルホスフィン(0.96 g)のテトラヒドロフラン(2.59 mL)溶液に、氷冷撹拌下、アゾジカルボン酸ジエチル(40%トルエン溶液,1.92 mL)溶液を加え、室温で20分間撹拌した。この溶液に対し、氷冷撹拌下、市販の4-ヒドロキシ安息香酸 メチル[CAS:99-76-3](化合物EX3-SM、0.37 g)及び2-(tert-ブトキシカルボニル)エタノールアミン[CAS:26690-80-2](0.39 g)のテトラヒドロフラン(1.1 mL)溶液を加え、室温で17時間撹拌した。反応液を減圧下濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5%酢酸エチル/n-ヘプタン~40%酢酸エチル/n-ヘプタン)により精製し、化合物1と化合物2の混合物を得た。この混合物をメチル tert-ブチルエーテル(20 mL)に溶解させ、1規定-水酸化ナトリウム水溶液(5 mL)で2回、飽和食塩水(5 mL)で順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、減圧下で溶媒を留去し、化合物EX3-IM-1(0.45 g)をピンク色のオイル状物質として得た。
<工程2>4-(2-アミノエトキシ)-N-(3-アジドプロピル)ベンズアミド塩酸塩(化合物EX3-IM-3)の合成:
Figure 2023015413000092
(実施例A-3)<工程1>で得られた化合物EX3-IM-1(0.44 g)のメタノール(4.4 mL)溶液に水酸化リチウム一水和物(0.25 g)を加え、60度で3時間30分撹拌した。反応液に1規定-塩酸(5 mL)を加え、酢酸エチル(10 mL)で3回抽出した。有機層を水(5 mL)、飽和食塩水(5 mL)で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を留去した。残留物をアセトニトリル(4.4 mL)に溶解させ、3-アジドプロパン-1-アミン[CAS:88192-19-2](0.15 g)とO-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロりん酸塩(0.57 g)を加えた。続いて、氷冷撹拌下、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.52 mL)を加え、室温で5時間撹拌した。反応液に対し水(10 mL)を加え、酢酸エチル(15 mL)で3回抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(16%酢酸エチル/n-ヘプタン~100%酢酸エチル)により精製し、化合物EX3-IM-2(0.71 g)を含む画分を得た。
化合物EX3-IM-2を含む画分(0.71 g)に対し、4規定-塩化水素/1,4-ジオキサン(4.9 mL)を加え、室温で20分間撹拌した。反応液にジイソプロピルエーテルを加えた後、析出物を濾過することで、標記化合物EX3-IM-3(0.49 g)を白色固体として得た。
(実施例A-3a) 4-(2-アミノエトキシ)-N-(3-アジドプロピル)ベンズアミド基導入アルギン酸(化合物EX3-(II)-A-2)の合成:
Figure 2023015413000093
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:A-2)水溶液(19.6 mL)に、氷冷撹拌下、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(50.19 mg)、(実施例A-3)<工程2>で得られた化合物EX3-IM-3(54.37 mg)、1モル濃度-重曹水(181.4 μL)を加え、室温で5時間攪拌した。塩化ナトリウム(200 mg)を加えた後、エタノール(39.2 mL)を加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥して、標記化合物EX3-(II)-A-2(198 mg)を白色固体として得た。
(実施例A-3b) 4-(2-アミノエトキシ)-N-(3-アジドプロピル)ベンズアミド基導入アルギン酸(化合物EX3-(II)-A-1)の合成:
Figure 2023015413000094
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:A-1)水溶液(19.32 mL)に、氷冷撹拌下、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(49.47 mg)、(実施例A-3)<工程2>で得られた化合物EX3-IM-3(53.39 mg)、1モル濃度-重曹水(178.8 μL)を加え、室温で20時間攪拌した。塩化ナトリウム(200 mg)を加えた後、エタノール(38.64 mL)を加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥して、化合物EX-(II)-A-1(221 mg)を白色固体として得た。
(実施例A-3c) 4-(2-アミノエトキシ)-N-(3-アジドプロピル)ベンズアミド基導入アルギン酸(化合物EX3-(II)-A-3)の合成:
Figure 2023015413000095
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:A-3)水溶液(15.06 mL)に、氷冷撹拌下、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(38.57 mg)、(実施例A-3)<工程2>で得られた化合物EX3-IM-3(41.78 mg)、1モル濃度-重曹水(139.4 μL)を加え、室温で5時間攪拌した。塩化ナトリウム(150 mg)を加えた後、エタノール(60.24 mL)を加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥して、化合物EX3-(II)-A-3(155 mg)を白色固体として得た。
(実施例A-3d) 4-(2-アミノエトキシ)-N-(3-アジドプロピル)ベンズアミド基導入アルギン酸(化合物EX3-(II)-B-2a)の合成:
Figure 2023015413000096
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:B-2)水溶液(60.0 mL)に、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(125.6 mg)、(実施例A-3)<工程2>で得られた化合物EX3-IM-3(45.4 mg)、1モル濃度-重曹水(211.8 μL)を加え、30℃で3時間攪拌した。塩化ナトリウム(600 mg)を加えた後、エタノール(120 mL)を加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥して、標記化合物EX3-(II)-A-2(553 mg)を白色固体として得た。
(実施例A-3e) 4-(2-アミノエトキシ)-N-(3-アジドプロピル)ベンズアミド基導入アルギン酸(化合物EX3-(II)-B-2b)の合成:
Figure 2023015413000097
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:B-2)水溶液(35.0 mL)に、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(14.7 mg)、(実施例A-3)<工程2>で得られた化合物EX3-IM-3(5.3 mg)、1モル濃度-重曹水(26.5 μL)を加え、30℃で3.5時間攪拌した。塩化ナトリウム(350 mg)を加えた後、エタノール(70 mL)を加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥して、標記化合物EX3-(II)-B-2b(304 mg)を白色固体として得た。
(実施例A-3f) 4-(2-アミノエトキシ)-N-(3-アジドプロピル)ベンズアミド基導入アルギン酸(化合物EX3-(II)-B-2c)の合成:
Figure 2023015413000098
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:B-2)水溶液(60.0 mL)に、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(67.0 mg)、(実施例A-3)<工程2>で得られた化合物EX3-IM-3(18.1 mg)、1モル濃度-重曹水(90.8 μL)を加え、30℃で3時間攪拌した。塩化ナトリウム(600 mg)を加えた後、エタノール(120 mL)を加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥して、標記化合物EX3-(II)-A-2(568 mg)を白色固体として得た。
(実施例A-3g)4-(2-アミノエトキシ)-N-(3-アジドプロピル)ベンズアミド基導入アルギン酸(EX3-(II)-A-2b)の合成:
(実施例A-3a)と同様の方法にて、標記化合物EX3-(II)-A-2b(1.171 g)を白色固体として得た。
(実施例A-4)4-(3-アミノプロポキシ)-N-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エチル)ベンズアミド基導入アルギン酸(化合物EX4-(II)-A-2)の合成:
Figure 2023015413000099
<工程1> 4-(3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)プロポキシ)安息香酸(化合物EX4-IM-2)の合成:
Figure 2023015413000100
トリフェニルホスフィン(2.07 g)のテトラヒドロフラン(7 mL)溶液に、アゾジカルボン酸ジイソプロピル (40%トルエン溶液,4.15 mL)を加え、析出物が形成するまで撹拌した。更に1時間撹拌後、市販のtert-ブチル(3-ヒドロキシプロピル)カルバマート[CAS:58885-58-8](1.15 g)及び4-ヒドロキシ安息香酸メチルエステル[CAS:99-76-3](化合物EX4-SM、1 g)のテトラヒドロフラン(3 mL)溶液を加え、3時間撹拌した。反応液を減圧下濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(8%酢酸エチル/n-ヘプタン~66%酢酸エチル/n-ヘプタン)により精製した。この精製物をメチル tert-ブチルエーテル(20 mL)に溶解させ、1規定-水酸化ナトリウム水溶液(5 mL)で2回、飽和食塩水(5 mL)で順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、減圧下で溶媒を留去し、化合物EX4-IM-1(2.94 g)を含む画分を白色固体として得た。
化合物EX4-IM-1を含む画分(2.94 g)のメタノール(15.6 mL)溶液に対し、室温撹拌下、水酸化リチウム・一水和物(1.06 g)を加え、60℃で3時間撹拌した。室温に冷却後、減圧下で溶媒を留去した。この残留物に対し、水(20 mL)を加え、メチル tert-ブチルエーテル(20 mL)で2回抽出した。水層を1規定-塩酸(25 mL)を用い酸性にし、酢酸エチル(20 mL)で3回抽出し、水(10 mL)及び飽和食塩水(10 mL)で順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、減圧下で溶媒を留去した。残留物にメチル tert-ブチルエーテル(30 mL)及び1規定-水酸化ナトリウム水溶液(20 m)を加え、メチル tert-ブチルエーテル(20 mL)で2回抽出した。水層を1規定-塩酸(20 mL)を用い酸性にし、酢酸エチル(20 mL)で2回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、減圧下で溶媒を留去し、化合物EX4-IM-2(1.4 g)を白色固体として得た。
<工程2> 4-(3-アミノプロポキシ)-N-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エチル)ベンズアミド塩酸塩(化合物EX4-IM-4)の合成:
Figure 2023015413000101
(実施例A-4)<工程1>で得られた化合物EX4-IM-2(1 g)、市販の2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エタン-1-アミン[CAS:166388-57-4](0.62 g)及びO-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロりん酸塩(1.35 g)のアセトニトリル(20 mL)溶液に対し、氷冷撹拌下、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.24 mL)を滴下し、室温で1時間撹拌した。反応液に対し水(20 mL)を加え、酢酸エチル(20 mL)で3回抽出し、水(10 mL)及び飽和食塩水(10 mL)で順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(16%酢酸エチル/n-ヘプタン~100%酢酸エチル)により精製し、化合物EX4-IM-3(1.37 g)を含む画分を得た。
化合物EX4-IM-3を含む画分(1.37 g)に対し、1,4-ジオキサン(9.58 mL)を加えた。この溶液に対し、水冷撹拌下、4規定-塩化水素/1,4-ジオキサン(9.58 mL)を加え、室温で1時間撹拌した。反応液にジイソプロピルエーテル(100 mL)を加えた後、懸濁液を室温で1時間撹拌した。溶媒を減圧下で留去し、残留物を酢酸エチル(20 mL)及びメチル tert-ブチルエーテル(10 mL)でトリチュレートした。得られた固体を濾過し、減圧下乾燥することで、標記化合物EX4-IM-4(1.23 g)を白色固体として得た。
<工程3> 4-(3-アミノプロポキシ)-N-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エチル)ベンズアミド基導入アルギン酸(化合物EX4-(II)-A-2)の合成:
Figure 2023015413000102
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:A-2)水溶液(19.6 mL)に、氷冷撹拌下、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(50.19 mg)、(実施例A-4)<工程2>で得られた化合物EX4-IM-4(70.35 mg)、1モル濃度-重曹水(181.4 μL)を加え、室温で5時間攪拌した。塩化ナトリウム(200 mg)を加えた後、エタノール(39.2 mL)を加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥して、標記化合物EX4-(II)-A-2(199 mg)を白色固体として得た。
(実施例A-5)N-(2-アミノエチル)-4-(アジドメチル)ベンズアミド基導入アルギン酸(実施例A-5a、、実施例A-5b及び実施例A-5c)の合成:
Figure 2023015413000103
<工程1> tert-ブチル(2-(4-(クロロメチル)ベンザミド)エチル)カルバメート(化合物EX5-IM-1)の合成:
Figure 2023015413000104
EX5-SM(4-(クロロメチル)ベンゾイル クロリド、[CAS:876-08-4](2.0 g)をテトラヒドロフラン(10.0 mL)に溶解し、tert-ブチル(2-アミノエチル)カルバメート[CAS:57260-73-8](1.7 g)とN,N‘-ジイソプロピルエチルアミン(3.7 mL)のテトラヒドロフラン(10.0 mL)溶液を、氷水冷下滴下し、室温で1.5時間攪拌した。反応液に、酢酸エチル(30 mL)と水(10 mL)を加え、分液した。有機層を半飽和重曹水(10 mL)、水(10 mL)、飽和食塩水(5 mL)で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をtert-ブチルメチルエーテルでトリチュレートした後、得られた固体をろ取し、tert-ブチルメチルエーテルで洗浄して、標記化合物EX5-IM-1(2.9 g)を白色固体として得た。
<工程2> tert-ブチル(2-(4-(アジドメチル)ベンザミド)エチル)カルバメート(EX-IM-2)の合成:
Figure 2023015413000105
アジ化ナトリウム(100 mg)をジメチルスルホキシド(6.0 mL)に溶かし、(実施例A-5)<工程1>で得られた化合物EX5-IM-1(400 mg)を加え、室温で2.5時間撹拌した。反応液に、氷水冷下、水(12 mL)を加え、析出した固体をろ過し、水洗した。得られた固体を、50℃で減圧乾燥して、標記化合物EX5-IM-2(380 mg)を白色固体として得た。
<工程3> N-(2-アミノエチル)-4-(アジドメチル)ベンズアミド 塩酸塩(化合物EX5-IM-3)の合成:
Figure 2023015413000106
(実施例A-5)<工程2>で得られた化合物EX5-IM-2(250 mg)に、氷水冷下で、4規定-塩化水素/1,4-ジオキサン(1.75 mL)を加え、室温で1時間攪拌した。反応液にジイソプロピルエーテル(5.25 mL)を加え、得られた沈殿をろ取し、ジイソプロピルエーテルで洗浄後、減圧乾燥して、標記化合物EX5-IM-3(192 mg)を白色固体として得た。
<工程4-1>(実施例A-5a)N-(2-アミノエチル)-4-(アジドメチル)ベンズアミド基導入アルギン酸(化合物EX5-(II)-A-2)の合成:
Figure 2023015413000107
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:A-2)水溶液(20 mL)に、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(84 mg)、(実施例A-5)<工程3>で得られた化合物EX5-IM-3(52 mg)、1モル濃度-重曹水(252 μL)を加え、30℃で3時間攪拌した。塩化ナトリウム(200 mg)を加えた後、エタノール(40 mL)を加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥して、標記化合物EX5-(II)-A-2(185 mg)を白色固体として得た。
<工程4-2>(実施例A-5b) N-(2-アミノエチル)-4-(アジドメチル)ベンズアミド基導入アルギン酸(化合物EX5-(II)-B-2)の合成:
Figure 2023015413000108
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:B-2)水溶液(20 mL)に、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(84 mg)、(実施例A-5)<工程3>で得られた化合物EX5-IM-3(26 mg)、1モル濃度-重曹水(151 μL)を加え、30℃で3時間攪拌した。塩化ナトリウム(200 mg)を加えた後、エタノール(40 mL)を加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥して、標記化合物EX5-(II)-B-2(187 mg)を白色固体として得た。
(実施例A-5c)N-(2-アミノエチル)-4-(アジドメチル)ベンズアミド基導入アルギン酸(EX5-(II)-A-2b)の合成:
(実施例A-5a)と同様の方法にて、標記化合物EX5-(II)-A-2b(276 mg)を白色固体として得た。
(実施例A-6) N-(3-アミノペンチニル)-5,6-ジヒドロ-11,12-ジデヒドロジベンゾ[b,f]アゾシン基(ADIBO-C5-アミン)導入アルギン酸(化合物EX6-(I)-B-2)の合成:
Figure 2023015413000109
<工程1> N-トリフルオロアセチル-5-アミノペンタン酸(EX6-IM-1)の合成:
Figure 2023015413000110
5-アミノペンタン酸(EX6-SM1、[CAS:660-88-8]2.0 g)、トリフルオロ酢酸 エチルエステル(3.1mL)、トリエチルアミン(3.6 mL)をメタノール(90.0 mL)に溶解し、40℃で5時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残さにエタノール(10 mL)を加え減圧濃縮する操作を2回行った。濃縮残さを酢酸エチル(200 mL)に溶解し、0,1モル濃度のリン酸2水素ナトリウム水溶液(70 mL)で3回、飽和食塩水(50mL)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮後、減圧乾燥して、標記化合物EX6-IM-1(1.8 g)を白色固体として得た。
<工程2> (Z)-N-(5-(ジベンゾ[b、f]アゾシン-5(6H)-イル)-5-オキソペンチル-トリフルオロアセタミド(化合物EX6-IM-2)の合成:
Figure 2023015413000111
(実施例A-6)<工程1>で得られた化合物EX6-IM-1(617 mg)に、塩化チオニル(440 μL)とN,N-ジメチルホルムアミド(2 μL)を加え、80℃で1,5時間撹拌し、反応液を減圧濃縮した。残さの塩化メチレン(1.0 mL)溶液を、[製造法D]<工程1>記載の方法に従い,5-ジベンゾスベレノン[CAS:2222-33-5]から合成した化合物EX6-SM2[CAS:23294-93-6](500 mg)、ピリジン(585 μL)の塩化メチレン(5.0 mL)溶液に氷水冷下で加え、室温で30分間撹拌した。反応液をtert-ブチルメチルメチルエーテル(20 mL)で希釈し、水(10 mL)、1規定-塩酸(10 mL)、水(10 mL)、飽和食塩水(5 mL)で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残さを、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン~60%酢酸エチル/n-ヘプタン)で精製した後、得られた固体をtert-ブチルメチルメチルエーテル/n-ヘプタンでトリチュレートした。固体をろ過後、n-ヘプタンで洗浄して、標記化合物EX6-IM-2(840 mg)を白色固体として得た。
<工程3> N-(5-(11,12-ジブロモ-11,12-ジヒドロジベンゾ[b、f]アゾシン-5(6H)-イル)-5-オキソペンチル-トリフルオロアセタミド(化合物EX6-IM-3)の合成:
Figure 2023015413000112
(実施例A-6)<工程2>で得られた化合物EX6-IM-2(700 mg)の塩化メチレン(2.8 mL)溶液に、ピリジニウムブロミドペルブロミド(612 mg)を氷水冷下で加え、室温で1.5時間撹拌した後、ピリジニウムブロミドペルブロミド(111 mg)を加え、室温でさらに1時間撹拌した。反応液を酢酸エチル(20 mL)で希釈し、2規定-塩酸(10 mL)、飽和食塩水(5mL)で順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮して、標記粗化合物EX6-IM-3(1.03 g)を黄色アモルファスとして得た。
<工程4>N-(3-アミノペンチニル)-5,6-ジヒドロ-11,12-ジデヒドロジベンゾ[b、f]アゾシン-トリフルオロアセタミド(EX6-IM-4)の合成:
Figure 2023015413000113
(実施例A-6)<工程3>で得られた粗化合物EX6-IM-3(100 mg)のテトラヒドロフラン(1.5 mL)溶液に、tert-ブトキシカリウム(100 mg)を、室温撹拌下、少量ずつ、8時間かけて加えた。反応液を酢酸エチル(15 mL)で希釈し、水(3 mL)、飽和食塩水(2 mL)で順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮して、標記粗化合物EX6-IM-4(58 mg)を淡茶色ガム状物質として得た。
<工程5> N-(3-アミノペンチニル)-5,6-ジヒドロ-11,12-ジデヒドロジベンゾ[b、f]アゾシン(化合物EX6-IM-5)の合成:
Figure 2023015413000114
(実施例A-6)<工程4>で得られた粗化合物EX6-IM-4(58 mg)のメタノール(1.2 mL)溶液に、炭酸カリウム(40 mg)の水(0.25 mL)溶液を加え、室温で23時間撹拌した。反応液を濃縮し、酢酸エチル(10 mL)、塩化メチレン(1mL)、半飽和食塩水(2 mL)を加え、分液した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られたガムをシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル~50%メタノール/酢酸エチル)で精製して、標記化合物EX6-IM-5(22 mg)を無色ガム状物質として得た。
<工程6> N-(3-アミノペンチニル)-5,6-ジヒドロ-11,12-ジデヒドロジベンゾ[b,f]アゾシン(ADIBO-C5-アミノ)基導入アルギン酸(EX6-(I)-B-2)の合成:
Figure 2023015413000115
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:B-2)水溶液(28.5 mL)に、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(60 mg)、(実施例A-6)<工程5>で得られた化合物EX6-IM-5(22 mg)のエタノール(2.9 mL)溶液、1モル濃度-重曹水(72 μL)を加え、30℃で3時間攪拌した。塩化ナトリウム(285 mg)を加えた後、エタノール(57 mL)を加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥して、標記化合物EX6-(I)-B-2(277 mg)を白色固体として得た。
(実施例A-7) N-(2-アミノエチル)-4-アジドベンザミド基導入アルギン酸(実施例A-7a、実施例A-7b、及び実施例A-7c)の合成:
Figure 2023015413000116
<工程1> tert-ブチル(2-(4-アジドベンザミド)エチル)カルバメート(化合物EX7-IM-1)の合成:
Figure 2023015413000117
4-アジド安息香酸(EX7-SM、[CAS:6427-66-3]700 mg)に、塩化チオニル(783 μL)、N,N-ジメチルホルムアミド(3 μL)を加え、70℃で1時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残さに塩化メチレン(1 mL)をtert-ブチル(2-アミノエチル)カルバメート[CAS:57260-73-8](825 mg)、ピリジン(1.04 mL)の塩化メチレン(7.0 mL)溶液に氷水冷下で加え、室温で1時間撹拌した。反応液をtert-ブチルメチルエーテル(30 mL)で希釈し、水(10mL)、飽和重曹水(5 mL)、0.5規定-クエン酸(5mLで2回)、水(5mL)、飽和食塩水(5 mL)で順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残さをtert-ブチルメチルメチルエーテル/n-ヘプタンでトリチュレートし、固体をろ過した後、tert-ブチルメチルメチルエーテル/n-ヘプタンで洗浄して、標記化合物EX7-IM-1(1.1 g)を白色固体として得た。
<工程2>N-(2-アミノエチル)-4-アジドベンザミド 塩酸塩(化合物EX7-IM-2)の合成:
Figure 2023015413000118
(実施例A-7)<工程1>で得られた化合物(EX7-IM-1、500 mg)を、1,4-ジオキサン(1.5 mL)に懸濁した。氷水冷下4規定-塩化水素/ジオキサン溶液(3.5 mL)を加え、室温で1時間攪拌した。反応液にジイソプロピルエーテル(10.5 mL)を加え、室温で50分間撹拌した。固体をろ過し、ジイソプロピルエーテルで洗浄後、減圧乾燥して、標記化合物EX7-IM-2(365 mg)を淡ベージュ色固体として得た。
<工程3-1>(実施例A-7a) N-(2-アミノエチル)-4-アジドベンザミド基導入アルギン酸(EX7-(II)-B-2a)の合成:
Figure 2023015413000119
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:B-2)水溶液(30.0 mL)に、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(63 mg)、(実施例A-7)<工程2>で得られた化合物EX7-IM-2(18 mg)、1モル濃度-重曹水(114 μL)を加え、30℃で3時間攪拌した。塩化ナトリウム(300 mg)を加えた後、エタノール(60 mL)を加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥して、標記化合物EX7-(II)-B-2a(282 mg)を白色固体として得た。
<工程3-2>(実施例A-7b) N-(2-アミノエチル)-4-アジドベンザミド基導入アルギン酸(EX7-(II)-B-2b)の合成:
Figure 2023015413000120
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:B-2)水溶液(60.0 mL)に、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(67 mg)、(実施例A-7)<工程2>で得られた化合物EX7-IM-2(15 mg)、1モル濃度-重曹水(91 μL)を加え、30℃で3時間攪拌した。塩化ナトリウム(600 mg)を加えた後、エタノール(120 mL)を加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥して、標記化合物EX7-(II)-B-2b(560 mg)を白色固体として得た。
(実施例A-7c) N-(2-アミノエチル)-4-アジドベンザミド基導入アルギン酸(EX7-(II)-A-2)の合成:
アルギン酸をA-2に変えて(実施例A-7a)と同様の方法にて、標記化合物EX7-(II)-A-2(271 mg)を白色固体として得た。
(実施例A-8)N-(4-(アミノエチル)ベンジル)-2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)アセトアミド基導入アルギン酸(EX8-(I)-B-2)の合成:
Figure 2023015413000121
<工程1> tert-ブチル(4-(4((2,2,2-トリフルオロアセトアミド)メチル)ベンジル)カルバメート(化合物EX8-IM-1)の合成:
Figure 2023015413000122
文献公知の方法(Bioorganic & Medicinal Chemistry(2003)11:4189-4206)を参考に,1,4-ビス(アミノメチル)ベンゼン[CAS:539-48-0]から合成したtert-ブチル(4-(アミノエチル)ベンジル)カルバメート[CAS:108468-80-4](EX8-SM1、0.67 g)、トリエチルアミン(0.39 mL)及びメタノール(6.67 mL)の混合物に対し、氷冷撹拌下、トリフルオロ酢酸エチル(0.44 mL)を滴下した。反応混合物を室温に昇温し、同温で5時間撹拌した。反応を水(10 mL)で停止し、酢酸エチル(10mL)で3回抽出した。回収した有機層を飽和食塩水(5 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥させた有機層を濾過後、濃縮し、標記粗化合物EX8-IM-1(0.671 g)を淡黄色アモルファスとして得た。
<工程2> N-(4-(アミノエチル)ベンジル)-2,2,2-トリフルオロアセトアミド塩酸塩(化合物EX8-IM-2)の合成:
Figure 2023015413000123
(実施例A-8)<工程1>で得られた化合物EX8-IM-1(0.5 g)の1,4-ジオキサン溶液(3.5 mL)に対し、水冷撹拌下、4規定-塩化水素/1,4-ジオキサン(3.5 mL)を加え、室温で3時間撹拌した。反応液にジイソプロピルエーテル(40 mL)を加えた後、析出物を濾過することで、標記化合物EX8-IM-2(0.36 g)を白色固体として得た。
<工程3> N-(4-((2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)アセトアミド)メチル)ベンジル)-2,2,2-トリフルオロアセトアミド(化合物EX8-IM-3)の合成:
Figure 2023015413000124
文献公知の方法(Org. Process Res. Dev.(2018)22:108-110)に従い、シクロヘプテン[CAS:628-92-2]から合成したカルボン酸[CAS:917756-42-4](EX8-SM2、0.17 g)及びO-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロりん酸塩(0.26 g)のアセトニトリル(1.7 mL)溶液に対し、氷冷撹拌下、(実施例A-8)<工程2>で得られたEX8-IM-2(0.26 g)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.51 mL)を滴下し、室温で1時間30分撹拌した。水(5 mL)を加え反応を停止させた後、酢酸エチル(5 mL)で3回抽出した。有機層を飽和食塩水(3 mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥させた有機層を濾過後、減圧下で溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(12%酢酸エチル/n-ヘプタン~100%酢酸エチル)により精製し、標記化合物EX8-IM-3(0.189 g)を白色アモルファスとして得た。
<工程4> N-(4-(アミノメチル)ベンジル)-2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)アセトアミド(化合物EX8-IM-4)の合成:
Figure 2023015413000125
(実施例A-8)<工程3>で得られた化合物EX8-IM-3(0.18 g)及びメタノール(1.8 mL)の混合物に対して、氷冷撹拌下、炭酸カリウム(0.126 g)水溶液(0.9 mL)を滴下し、室温で17時間30分撹拌した。メタノールを減圧下で留去し、酢酸エチル(5 mL)で3回抽出した。有機層を飽和食塩水(5 mL)で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機層を濾過後、減圧下で溶媒を留去し、標記粗化合物EX8-IM-4(0.13 g)を淡黄色油状物として得た。
<工程5> N-(4-(アミノエチル)ベンジル)-2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)アセトアミド基導入アルギン酸(EX8-(I)-B-2)の合成:
Figure 2023015413000126
1重量%に調整したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製、B-2)水溶液(50.86 mL)に、室温撹拌下、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(0.118 g)を加えた。続いて、(実施例A-8)<工程4>で得られた化合物EX8-IM-4(0.035 g)のエタノール(3 mL)溶液を同温で滴下し、40度で4時間攪拌した。室温に冷却後、塩化ナトリウム(500 mg)を加えた後、エタノール(101.72 mL)を加え、30分間攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノール(2 mL)で3回洗浄後、減圧下乾燥し、標記化合物EX8-(I)-B-2(521 mg)を白色固体として得た。
(実施例A-8b)N-(4-(アミノエチル)ベンジル)-2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)アセトアミド基導入アルギン酸(EX8-(I)-A-2)の合成:
アルギン酸をA-2に変えて(実施例A-8)<工程5>と同様の方法にて、標記化合物EX8-(I)-A-2(285 mg)を白色固体として得た。
(実施例A-9)N-(2-アミノエチル)-2-(シクロオクト-2-イン-1-オキシ)アセトアミド基導入アルギン酸(9a、9b、9c)の合成:
Figure 2023015413000127
(実施例A-9a)N-(2-アミノエチル)-2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)アセトアミド基導入アルギン酸(EX9-(I)-A-2)の合成:
<工程1> tert-ブチル(2-(2,2,2-トリフルオロアセトアミド)カルバメート(EX9-IM-1)の合成:
Figure 2023015413000128
市販のtert-ブチル(2-アミノエチル)カルバメート(EX9-SM1、3.00 g、[CAS:57260-73-8])のテトラヒドロフラン(12.0 mL)溶液に、トリフルオロ酢酸エチル(2.24 mL)を滴下した。反応混合物を、室温で14.5時間撹拌した。反応液を減圧下濃縮し、残渣にtert-ブチルメチルエーテル(5 mL)とn-ヘプタン(25 mL)を加え、トリチュレートした。固体を濾過後、n-ヘプタンで洗浄して、標記化合物EX9-IM-1(4.36 g)を白色固体として得た。
<工程2> N-(2-アミノエチル)-2,2,2-トリフルオロアセトアミド 塩酸塩(EX9-IM-2)の合成:
Figure 2023015413000129
(実施例A-9a)<工程1>で得られた化合物EX9-IM-1(0.50 g)に、ギ酸(3.1 mL)を加え、室温で22.5時間撹拌した。ギ酸を留去し、トルエンで共沸した。得られた油状物に塩化水素/メタノールを加え、減圧濃縮した。酢酸エチル、tert-ブチルメチルエーテルで順次共沸した後、減圧乾燥して、標記粗化合物EX9-IM-2(0.35 g)を無色油状物として得た。
<工程3> N-(2-(2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)アセトアミド)エチル)-2,2,2-トリフルオロアセトアミド(EX9-IM-3)の合成:
Figure 2023015413000130
文献公知の方法(Org. Process Res. Dev.(2018)22:108-110)に従い合成したカルボン酸(EX8-SM2、100 mg)にエタノール(1.0 mL)、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(304 mg)、(実施例A-9a)<工程2>で得られた化合物EX9-IM-2(159 mg)、トリエチルアミン(153 μL)を加え、室温で3.5時間撹拌した。水(4 mL)を加え、酢酸エチル(15 mL、5 mL)で抽出した。有機層を、0.5規定-クエン酸(5 mL)、水(5 mL×2)、飽和食塩水(3 mL)で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(10%酢酸エチル/n-ヘプタン~60%酢酸エチル/n-ヘプタン)で精製して、標記化合物EX9-IM-3(103 mg)を白色固体として得た。
<工程4> N-(2-アミノエチル)-2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)アセトアミド(EX9-IM-4)の合成:
Figure 2023015413000131
(実施例A-9a)<工程3>で得られた化合物EX9-IM-3(103 mg)のメタノール(1.55 mL)溶液に、炭酸カリウム(89 mg)の水(515 μL)溶液を加え、室温で6時間撹拌した。メタノールを減圧下で留去し、水(2 mL)を加えた後、塩化ナトリウムで飽和させた。酢酸エチル(15 mL、10 mL×5)で抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、減圧下で溶媒を留去して、標記化合物EX9-IM-4(75 mg)を無色油状物として得た。
<工程5> N-(2-アミノエチル)-2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)アセトアミド基導入アルギン酸(EX9-(I)-A-2)の合成:
Figure 2023015413000132
1重量%に調整したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製、A-2)水溶液(30 mL)に、室温撹拌下、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(84 mg)、(実施例A-9a)<工程4>で得られた化合物EX9-IM-4(17 mg)のエタノール(3 mL)溶液、1モル%重曹水(76 μL)を順次加え、30度で3時間攪拌した。反応液に、塩化ナトリウム(0.3 g)を加えた後、エタノール(60 mL)を加え、1.5時間攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノール(10 mL×5)で洗浄後、減圧乾燥して、標記化合物EX9-(I)-A-2(290 mg)を白色固体として得た。
(実施例A-9b)N-(2-アミノエチル)-2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)アセトアミド基導入アルギン酸(EX9-(I)-B-2a)の合成:
<工程1> N-(2-アミノエチル)-2,2,2-トリフルオロアセトアミド 塩酸塩(EX9-IM-2)の合成:
Figure 2023015413000133
(実施例A-9a)<工程1>で得られた化合物EX9-IM-1(0.50 g)を、1,4-ジオキサン(3.0 mL)に懸濁した。氷水冷下、4規定-塩化水素/1,4-ジオキサン(7.0 mL)を加え、室温で3時間撹拌した。反応液に、ジイソプロピルエーテル(30.0 mL)を加え、室温で50分間撹拌した。固体をろ取し、ジイソプロピルエーテルで洗浄後、減圧乾燥して、標記化合物EX9-IM-2(0.70 g)を白色固体として得た。
<工程2> N-(2-(2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)アセトアミド)エチル)-2,2,2-トリフルオロアセトアミド(EX9-IM-3)の合成:
Figure 2023015413000134
文献公知の方法(Org. Process Res. Dev.(2018)22:108-110)に従い合成したカルボン酸(EX8-SM2、300 mg)と(実施例A-9b)<工程1>で得られた化合物EX9-IM-2(380 mg)を用い、(実施例A-9a)<工程3>と同様の操作を行い、標記化合物EX9-IM-3(322 mg)を白色固体として得た。
<工程3> N-(2-アミノエチル)-2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)アセトアミド(EX9-IM-4)の合成:
Figure 2023015413000135
(実施例A-9b)<工程2>で得られた化合物EX9-IM-3(322 mg)を(実施例A-9a)<工程4>と同様の操作を行い、標記化合物EX9-IM-4(238 mg)を無色油状物として得た。
<工程4> N-(2-アミノエチル)-2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)アセトアミド基導入アルギン酸(EX9-(I)-B-2a)の合成:
Figure 2023015413000136
1重量%に調整したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製、B-2)水溶液(120 mL)に、室温撹拌下、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(335 mg)、(実施例A-9b)<工程3>で得られた化合物EX9-IM-4(68 mg)のエタノール(12 mL)溶液、1モル%重曹水(303 μL)を順次加え、30度で3時間攪拌した。反応液に、塩化ナトリウム(1.2 g)を加えた後、エタノール(240 mL)を加え、1.5時間攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノール(20 mL×5)で洗浄後、減圧乾燥して、標記化合物EX9-(I)-B-2a(1.16 g)を白色固体として得た。
(実施例A-9c)N-(2-アミノエチル)-2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)アセトアミド基導入アルギン酸(EX9-(I)-B-2b)の合成:
Figure 2023015413000137
1重量%に調整したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製、B-2)水溶液(120 mL)に、室温撹拌下、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(167 mg)、(実施例A-9b)<工程3>で得られた化合物EX9-IM-4(34 mg)のエタノール(12 mL)溶液、1モル%重曹水(151 μL)を順次加え、30度で3時間攪拌した。反応液に、塩化ナトリウム(1.2 g)を加えた後、エタノール(240 mL)を加え、1.5時間攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノール(20 mL×5)で洗浄後、減圧乾燥して、標記化合物EX9-(I)-B-2b(1.12 g)を白色固体として得た。
(実施例A-10)N-(2-(2-アミノエトキシ)エチル)-4-(アジドメチル)ベンズアミド基導入アルギン酸(EX10-(II)-A-2)の合成:
Figure 2023015413000138
<工程1> tert-ブチル(2-(2-(4-(クロロメチル)ベンザミド)エトキシ)エチル)カルバメート(EX10-IM-1)の合成:
Figure 2023015413000139
EX5-SM(4-(クロロメチル)ベンゾイル クロリド、0.50 g)をテトラヒドロフラン(5.0 mL)に溶解し、tert-ブチル(2-(2-アミノエトキシ)エチル)カルバメート(0.54 g、[CAS:127828-22-2])とジイソプロピルエチルアミン(0.92 mL)のテトラヒドロフラン(5.0 mL)溶液を加え、室温で3時間攪拌した。反応液に、酢酸エチル(25 mL)と水(10 mL)を加え、分液した。有機層を、水(5 mL)、飽和食塩水(5 mL)で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をtert-ブチルメチルエーテル/n-ヘプタンの混合溶媒でトリチュレートした後、得られた固体をろ取し、n-ヘプタンで洗浄して、標記化合物EX10-IM-1(0.79 g)を白色固体として得た。
<工程2>tert-ブチル(2-(2-(4-(アジドメチル)ベンザミド)エトキシ)エチル)カルバメート(EX10-IM-2)の合成:
Figure 2023015413000140
アジ化ナトリウム(109 mg)をジメチルスルホキシド(7.5 mL)に溶かし、(実施例A-10)<工程1>で得られた化合物EX10-IM-1(500 mg)を加え、室温で3時間撹拌した。反応液に、氷水冷下、水(15 mL)を加え、析出した固体をろ過し、水洗した。得られた固体を乾燥して、標記化合物EX10-IM-2(478 mg)を白色固体として得た。
<工程3>N-(2-(2-アミノエトキシ)エチル)-4-(アジドメチル)ベンズアミド 塩酸塩(EX10-IM-3)の合成:
Figure 2023015413000141
(実施例A-10)<工程2>で得られた化合物EX10-IM-2(400 mg)に、氷水冷下で、4規定-塩化水素/1,4-ジオキサン(2.8 mL)を加え、室温で1.75時間攪拌した。反応液にジイソプロピルエーテル(8.4 mL)を加え、ガム状物を得た。上清をデカントにて除き、ジイソプロピルエーテルでデカント洗浄後、減圧乾燥して、標記化合物EX10-IM-3(298 mg)をベージュ色固体として得た。
<工程4>N-(2-(2-アミノエトキシ)エチル)-4-(アジドメチル)ベンズアミド基導入アルギン酸(EX10-(II)-A-2)の合成:
Figure 2023015413000142
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:A-2)水溶液(40 mL)に、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(112 mg)、(実施例A-10)<工程3>で得られた化合物EX10-IM-3(30 mg)、1モル濃度-重曹水(151 μL)を加え、30℃で3時間攪拌した。塩化ナトリウム(400 mg)を加えた後、エタノール(80 mL)を加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥して、標記化合物EX10-(II)-A-2(408 mg)を白色固体として得た。
(実施例A-11)N-(2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エチル)-4-(アジドメチル)ベンズアミド基導入アルギン酸(EX11-(II)-A-2)の合成:
Figure 2023015413000143
<工程1>tert-ブチル(2-(2-(2-(4-(クロロメチル)ベンザミド)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(EX11-IM-1)の合成:
Figure 2023015413000144
EX5-SM(4-(クロロメチル)ベンゾイル クロリド、0.50 g)をテトラヒドロフラン(5.0 mL)に溶解し、tert-ブチル(2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(0.66 g)とN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.92 mL)のテトラヒドロフラン(5.0 mL)溶液を滴下し、室温で4.7時間攪拌した。反応液に、酢酸エチル(25 mL)と水(10 mL)を加え、分液した。有機層を半飽和重曹水(10 mL)、水(10 mL)、飽和食塩水(5 mL)で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣にtert-ブチルメチルエーテルを加え、固体をろ過にて除いた。得られたろ液を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(20%酢酸エチル/n-ヘプタン~酢酸エチル)で精製して、標記化合物EX11-IM-1(0.82 g)を無色油状物として得た。
<工程2>tert-ブチル(2-(2-(2-(4-(アジドメチル)ベンザミド)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(EX11-IM-2)の合成:
Figure 2023015413000145
(実施例A-11)<工程1>で得られた化合物EX11-IM-1(0.82 g)のジメチルスルホキシド(11.7 mL)溶液に、アジ化ナトリウム(152 mg)を加え、室温で3.5時間撹拌した。反応液に、氷水冷下、水(23 mL)を加え、同温にて30分撹拌した。酢酸エチル(30 mL、10 mL)で抽出し、有機層を水(10 mL×3)、飽和食塩水(5 mL)で順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、析出した固体をろ過し、減圧乾燥して、標記化合物EX11-IM-2(0.80 g)を無色油状物として得た。
<工程3> N-(2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エチル)-4-(アジドメチル)ベンズアミド 塩酸塩(EX11-IM-3)の合成:
Figure 2023015413000146
(実施例A-11)<工程2>で得られた化合物EX11-IM-2(0.80 g)に、氷水冷下で、4規定-塩化水素/1,4-ジオキサン(5.3 mL)を加え、室温で1.75時間攪拌した。反応液にジイソプロピルエーテル(16.0 mL)を加え、30分間撹拌した。溶媒をデカントにより除き、残渣をジイソプロピルエーテルで洗浄した。得られた残渣を減圧乾燥して、標記化合物EX11-IM-3(0.73 g)を無色ガム状物として得た。
<工程4> N-(2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エチル)-4-(アジドメチル)ベンズアミド基導入アルギン酸(EX11-(II)-A-2)の合成:
Figure 2023015413000147
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:A-2)水溶液(40 mL)に、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(112 mg)、(実施例A-11)<工程3>で得られた化合物EX11-IM-3(38 mg)のエタノール(4.0 mL)溶液、1モル濃度-重曹水(151 μL)を加え、30℃で3時間攪拌した。塩化ナトリウム(0.4 g)を加えた後、エタノール(80 mL)を加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥して、標記化合物EX11-(II)-A-2(416 mg)を白色固体として得た。
(実施例A-12)N-(2-(2-アミノエトキシ)エチル)-6-(アジドメチル)ニコチンアミド基導入アルギン酸(EX12-(II)-A-2)の合成:
Figure 2023015413000148
<工程1> メチル 6-(アジドメチル)ニコチナート(EX12-IM-1)の合成:
Figure 2023015413000149
文献公知の方法(Angew. Chem. Int. Ed.(2012)51:5852-5856)を参考に、市販のメチル 6-(ヒドロキシメチル)ニコチナート[CAS:56026-36-9](EX12-SM1、0.5 g)及びテトラヒドロフラン(5 mL)の混合物に対し、氷冷撹拌下、p-トルエンスルホニルクロリド(0.68 g)及びトリエチルアミン(0.63 mL)を加えた。この反応混合物を室温で20時間30分撹拌した後、同温で、アジ化ナトリウム(0.29 g)を加え、室温で4時間撹拌した。反応終了後、酢酸エチル(10 mL)及び水(10 mL)を加え、反応液を希釈した後、水層を酢酸エチル(10 mL)で3回抽出した。合わせた有機層を水(5 mL)、飽和食塩水(5 mL)で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機層を濾過後、減圧下で濃縮することで粗生成物を得た。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン/酢酸エチル)で生成することで、標記化合物EX12-IM-1(0.34 g)を淡黄色アモルファスとして得た。
<工程2>6-(アジドメチル)ニコチン酸(EX12-IM-2)の合成:
Figure 2023015413000150
(実施例A-12)<工程1>で得られた化合物EX12-IM-1(0.342 g)及びメタノール(6.84 mL)の混合物に対し、1モル濃度-水酸化リチウム・一水和物(5.34 mL)を室温で加え、同温で30分撹拌した。反応終了後、酢酸(0.41 mL)を加え、反応液を減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン/酢酸エチル~酢酸エチル/メタノール)で精製し、標記化合物EX12-IM-2(0.28 g)を淡黄色アモルファスとして得た。
<工程3> tert-ブチル (2-(2-(6-(アジドメチル)ニコチンアミド)エトキシ)エチル)カルバマート(EX12-IM-3)の合成:
Figure 2023015413000151
(実施例A-12)<工程2>で得られた化合物12-IM-2(100 mg)、市販のN-(tert-ブトキシカルボニル)-2-(2-アミノエトキシ)エチルアミン[CAS:127828-22-2](108.07 μL)及びアセトニトリル(2000 μL)の混合物に対し、氷冷撹拌下、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロりん酸塩(213.43 mg)及びトリエチルアミン(156.48 μL)を加え、室温で1時間45分撹拌した。その後、室温撹拌下、N-(tert-ブトキシカルボニル)-2-(2-アミノエトキシ)エチルアミン(54 μL)及びO-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロりん酸塩(106.7 mg)を加え、同温にて17時間撹拌した。水(5 mL)を加え反応を停止させ、酢酸エチル(10 mL)を加えた。水層を酢酸エチル(10 mL)で3回抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機層を濾過後、減圧下で濃縮することで、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン/酢酸エチル)で精製し、標記化合物EX12-IM-3(187 mg)を無色油状物として得た。
<工程4> N-(2-(2-アミノエトキシ)エチル)6-(アジドメチル)ニコチンアミド 2塩酸塩(EX12-IM-4)の合成:
Figure 2023015413000152
(実施例A-12)<工程3>で得られた化合物EX12-IM-3(0.187 g)及び1,4-ジオキサン溶液(1.31 mL)の混合物に対し、水冷撹拌下、4規定-塩化水素/1,4-ジオキサン(1.31 mL)を加え、室温で3時間撹拌した。反応液にジイソプロピルエーテル(20 mL)を加えた後、析出物を濾過することで、標記化合物EX12-IM-4(0.16 g)をオフホワイト色固体として得た。
<工程5> N-(2-(2-アミノエトキシ)エチル)-6-(アジドメチル)ニコチンアミド基導入アルギン酸の合成(EX12-(II)-A-2):
Figure 2023015413000153
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:A-2)水溶液(39.55 mL)に、室温撹拌下、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(91.52 mg)及び1モル濃度-重曹水(183 μL)を加えた。続いて、(実施例A-12)<工程4>で得られた化合物EX12-IM-4(30 mg)、水(1 mL)及びエタノール(1 mL)の混合物を同温で加え、40℃で4時間攪拌した。塩化ナトリウム(400 mg)を加えた後、エタノール(79.1 mL)を加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥して、標記化合物EX12-(II)-A-2(378 mg)を白色固体として得た。
(実施例A-13)N-(2-(2-アミノエトキシ)エチル)-4-アジドベンズアミド基導入アルギン酸(EX13-(II)-A-2)の合成:
Figure 2023015413000154
<工程1> tert-ブチル(2-(2-(4-アジドベンザミド)エトキシ)エチル)カルバメート(EX13-IM-1)の合成:
Figure 2023015413000155
4-アジド安息香酸(EX7-SM、300 mg)、tert-ブチル(2-(2-アミノエトキシ)エチル)カルバメート[CAS:127828-22-2](376 mg)をアセトニトリル(6.0 mL)に溶解した。O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロりん酸塩(0.77 g)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(707 μL)を加え、室温で16時間撹拌した。反応液に、酢酸エチル(20 mL)、水(10 mL)を加え、分液した。有機層を、水(10mL)、飽和食塩水(5 mL)で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残さを、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(20%酢酸エチル/n-ヘプタン~70%酢酸エチル/n-ヘプタン)で精製して、標記化合物EX13-IM-1(673 mg)を淡黄色ガム状物として得た。
<工程2> N-(2-(2-アミノエトキシ)エチル)-4-アジドベンザミド 塩酸塩(EX13-IM-2)の合成:
Figure 2023015413000156
(実施例A-13)<工程1>で得られた化合物EX13-IM-1、670 mg)に、氷水冷下、4規定-塩化水素/1,4-ジオキサン(4.7 mL)を加え、室温で2時間撹拌した。反応液にジイソプロピルエーテル(14.0 mL)を加え、30分間撹拌した。得られた固体をろ取し、ジイソプロピルエーテルで洗浄後、減圧乾燥して、標記化合物EX13-IM-2(604 mg)を淡ベージュ色固体として得た。
<工程3> N-(2-(2-アミノエトキシ)エチル)-4-アジドベンザミド基導入アルギン酸(EX13-(II)-A-2)の合成:
Figure 2023015413000157
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:A-2)水溶液(40 mL)に、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(112 mg)、(実施例A-13)<工程2>で得られた化合物EX13-IM-2(31 mg)、1モル濃度-重曹水(151 μL)を加え、30℃で3時間攪拌した。塩化ナトリウム(0.4 g)を加えた後、エタノール(80 mL)を加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥して、標記化合物EX13-(II)-A-2(400 mg)を白色固体として得た。
(実施例A-14)N-(2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エチル)-4-アジドベンズアミド基導入アルギン酸(EX14-(II)-A-2)の合成:
Figure 2023015413000158
<工程1> tert-ブチル(2-(2-(2-(4-アジドベンザミド)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(EX14-IM-1)の合成:
Figure 2023015413000159
4-アジド安息香酸(EX7-SM、300 mg)、tert-ブチル(2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(457 mg)をアセトニトリル(6.0 mL)に溶解した。O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロりん酸塩(0.77 g)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(707 μL)を加え、室温で16時間撹拌した。反応液に、酢酸エチル(20 mL)、水(10 mL)を加え、分液した。有機層を、水(10mL)、飽和食塩水(5 mL)で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残さを、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(40%酢酸エチル/n-ヘプタン~90%酢酸エチル/n-ヘプタン)で精製して、標記化合物EX14-IM-1(603 mg)を淡黄色油状物として得た。
<工程2> N-(2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エチル)-4-アジドベンザミド 塩酸塩(EX14-IM-2)の合成:
Figure 2023015413000160
(実施例A-14)<工程1>で得られた化合物(EX14-IM-1、600 mg)に、氷水冷下、4規定-塩化水素/1,4-ジオキサン溶液(4.2 mL)を加え、室温で2時間攪拌した。反応液にジイソプロピルエーテル(12.0 mL)を加え、室温で30分間撹拌した。溶媒をデカントにより除き、残渣をジイソプロピルエーテルで洗浄した。得られた残渣を減圧乾燥して、標記化合物EX14-IM-2(596 mg)をベージュ色ガム状物として得た。
<工程3> N-(2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エチル)-4-アジドベンザミド基導入アルギン酸(EX14-(II)-A-2)の合成:
Figure 2023015413000161
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:A-2)水溶液(40 mL)に、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(112 mg)、(実施例A-14)<工程2>で得られた化合物EX14-IM-2(45 mg)のエタノール(4.0 mL)溶液、1モル濃度-重曹水(151 μL)を加え、30℃で3時間攪拌した。塩化ナトリウム(0.4 g)を加えた後、エタノール(80 mL)を加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥して、標記化合物EX14-(II)-A-2(408 mg)を白色固体として得た。
(実施例A-15)N-(2-(2-アミノエトキシ)エチル)-2-(シクロオクト-2-イン-1-オキシ)アセトアミド基導入アルギン酸(EX15-(I)-A-2)の合成:
Figure 2023015413000162
<工程1> tert-ブチル(2-(2-(2,2,2-トリフルオロアセトアミド)エトキシ)エチルカルバメート(EX15-IM-1)の合成:
Figure 2023015413000163
tert-ブチル(2-アミノエチル)カルバメート(EX9-SM1、1.0 g、[CAS:57260-73-8])のテトラヒドロフラン(4.0 mL)溶液に、トリフルオロ酢酸エチル(0.6 mL)を滴下した。反応混合物を室温で、3.5時間撹拌した。反応液を、減圧下濃縮して、標記粗化合物EX15-IM-1(1.5 g)を無色油状物として得た。
<工程2> N-(2-(2-アミノエトキシ)エチル)-2,2,2-トリフルオロアセトアミド 塩酸塩(EX15-IM-2)の合成:
Figure 2023015413000164
(実施例A-15)<工程1>で得られた化合物EX15-IM-1(1.5 g)に、氷水冷下、4規定-塩化水素/1,4-ジオキサン溶液(10.3 mL)を加え、室温で1時間撹拌した。反応液に、ジイソプロピルエーテル(30 mL)を加え、30分間室温で撹拌した。減圧下、溶媒を留去し、ジイソプロピルエーテルで共沸した後、減圧乾燥して、標記化合物EX15-IM-2(1.3 g)を無色油状物として得た。
<工程3> N-(2-(2-(2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)アセトアミド)エトキシ)エチル)-2,2,2-トリフルオロアセトアミド(EX15-IM-3)の合成:
Figure 2023015413000165
文献公知の方法(Org. Process Res. Dev.(2018)22:108-110)に従い合成したカルボン酸(EX8-SM2、300 mg)、(実施例A-15)<工程2>で得られた化合物(443 mg)をアセトニトリル(6.0 mL)に溶解した。O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロりん酸塩(0.75 g)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(920 μL)を加え、室温で2.5時間撹拌した。反応液に、酢酸エチル(20 mL)、水(10 mL)を加え、分液した。有機層を、水(10mL)、飽和食塩水(5 mL)で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(50%酢酸エチル/n-ヘプタン~70%酢酸エチル/n-ヘプタン)で精製して、標記化合物EX15-IM-3(469 mg)を無色ガム状物として得た。
<工程4> N-(2-(2-アミノエトキシ)エチル)-2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)アセトアミド(EX15-IM-4)の合成:
Figure 2023015413000166
(実施例A-15)<工程3>で得られた化合物EX15-IM-3(220 mg)のメタノール(3.0 mL)溶液に、炭酸カリウム(103 mg)の水(0.99 mL)溶液を加え、室温で4.5時間撹拌した。メタノールを減圧下で留去し、水(2 mL)を加えた後、食塩で飽和させた。酢酸エチル(15 mL、10 mL×4)抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、減圧下で溶媒を留去した。残渣を酢酸エチル(10 mL)に溶かし、不溶物をろ過して除いた後、減圧濃縮して、標記粗化合物EX15-IM-4(140 mg)を淡黄色ガム状物として得た。
<工程5> N-(2-(2-アミノエトキシ)エチル)-2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)アセトアミド基導入アルギン酸(EX15-(I)-A-2)の合成:
Figure 2023015413000167
1重量%に調整したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製、A-2)水溶液(40 mL)に、室温撹拌下、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(112 mg)、(実施例A-15)<工程4>で得られた化合物EX15-IM-4(30 mg)のエタノール(4.0 mL)溶液、1モル%重曹水(101 μL)を順次加え、30℃で3時間攪拌した。反応液に、塩化ナトリウム(0.4 g)を加えた後、エタノール(80 mL)を加え、30分間攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥した。得られた固体を水に溶かし、凍結乾燥して、標記化合物EX15-(I)-A-2(410 mg)を白色固体として得た。
(実施例1)
3-アジドプロピルアミノ基導入アルギン酸(EX1-A2)の合成:
Figure 2023015413000168
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:A-2)水溶液(20 mL)に、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(56 mg)、市販の3-アジドプロピルアミン[CAS:88192-19-2](1-1、5.1 mg)のエタノール(2 mL)溶液、1モル濃度-重曹水(50 μL)を加えた。30℃で3時間攪拌した後、塩化ナトリウム(0.2 g)、エタノール(40 mL)を順次加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥した。得られた固体を水に溶解後凍結乾燥して、標記化合物EX1-A2(187 mg)を白色固体として得た。
(実施例2)
2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エタン-1-アミノ基導入アルギン酸(EX2-A2)の合成:
Figure 2023015413000169
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:A-2)水溶液(10.9 mL)に、氷冷攪拌下、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(55.83 mg)及び1モル濃度-重曹水(252.17 μL)を加えた。続いて、市販の2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エタン-1-アミン[CAS:166388-57-4](2-1、26.36 mg)のエタノール(1 mL)及び水(1 mL)溶液を加え、室温で15時間攪拌した後、塩化ナトリウム(100 mg)、エタノール(21.8 mL)を順次加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥し、標記化合物EX2-A2(99 mg)を白色固体として得た。
(実施例3)
2-アミノ-N-(3-アジドプロピル)アセトアミド基導入アルギン酸(EX3-A2)の合成:
Figure 2023015413000170
<工程1>tert-ブチル(2-(3-アジドプロピル)アミノ)-2-オキソエチル)カルバメート(3-2)の合成:
Figure 2023015413000171
市販の3-アジドプロピルアミン[CAS:88192-19-2](1-1、41 μL)、N-(tert-ブトキシカルボニル)グリシン[CAS:4530-20-5](3-1)のエタノール(2 mL)溶液に、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)197 mg)を加え、室温で18時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出後、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた油状物をメチル-tert-ブチルエーテル(10 mL)に溶解し、飽和重曹水、水、飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮して、標記化合物3-2(95 mg)を無色油状物として得た。
<工程2>2-アミノ-N-(3-アジドプロピル)アセタミド 塩酸塩(3-3)の合成:
Figure 2023015413000172
(実施例3)<工程1>で得られた化合物(3-2、95 mg)に、氷水冷下4規定-塩化水素/1,4-ジオキサン(665 μL)を加えた後、室温で1時間撹拌した。反応液に、ジイソプロピルエーテル(2.0 mL)を加え、減圧濃縮した。得られた油状物を、メチル-tert-ブチルエーテルでデカント洗浄後、減圧濃縮して、標記化合物3-3(62 mg)を無色ガム状物として得た。
<工程3>
2-アミノ-N-(3-アジドプロピル)アセトアミド基導入アルギン酸(EX3-A2)の合成:
Figure 2023015413000173
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:A-2)水溶液(20 mL)に、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(56 mg)、(実施例3)<工程2>で得られた化合物(3-3、10.6 mg)のエタノール(2 mL)溶液、1モル濃度-重曹水(76 μL)を加えた。30℃で3時間攪拌した後、塩化ナトリウム(0.2 g)、エタノール(40 mL)を順次加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥した。得られた固体を水に溶解後凍結乾燥して、標記化合物EX3-A2(207 mg)を白色固体として得た。
(実施例4)
3-アミノ-N-(3-アジドプロピル)プロパンアミド基導入アルギン酸(EX4-A2)の合成:
Figure 2023015413000174
<工程1>
tert-ブチル(3-((3-アジドプロピル)アミノ)-3-オキソプロピル)カルバメート(4-2)の合成:
Figure 2023015413000175
市販の3-アジドプロピルアミン[CAS:88192-19-2](1-1、41 μL)、N-(tert-ブトキシカルボニル)-β-アラニン[CAS:3303-84-2](4-1)のエタノール(2 mL)溶液に、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)146 mg)を加え、室温で18時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出後、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮して、標記化合物4-2(124 mg)を白色ワックス状物として得た。
<工程2>2-アミノ-N-(3-アジドプロピル)プロパンアミド 塩酸塩(4-3)の合成:
Figure 2023015413000176
(実施例4)<工程1>で得られた化合物(4-2、124 mg)に、氷水冷下4規定-塩化水素/1,4-ジオキサン(868 μL)を加えた後、室温で1時間撹拌した。反応液に、ジイソプロピルエーテル(2.6 mL)を加え、減圧濃縮した。得られた油状物を、メチル-tert-ブチルエーテルでデカント洗浄後、減圧濃縮して、標記化合物4-3(93 mg)を無色ガム状物として得た。
<工程3>3-アミノ-N-(3-アジドプロピル)プロパンアミド基導入アルギン酸(EX4-A2)の合成:
Figure 2023015413000177
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:A-2)水溶液(20 mL)に、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(56 mg)、(実施例4)<工程2>で得られた化合物(4-3、12.6 mg)のエタノール(2 mL)溶液、1モル濃度-重曹水(76 μL)を加えた。30℃で3時間攪拌した後、塩化ナトリウム(0.2 g)、エタノール(40 mL)を順次加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥した。得られた固体を水に溶解後凍結乾燥して、標記化合物EX4-A2(211 mg)を白色固体として得た。
(実施例5)
N-(4-(アミノメチル)ベンジル)-2-アジドアセトアミド基導入アルギン酸(EX5-A2)の合成:
Figure 2023015413000178
<工程1>tert-ブチル(4-((2-アジドアセタミド)メチル)ベンジル)カルバメート(5-2)の合成:
Figure 2023015413000179
市販の2-アジド酢酸[CAS:18523-48-3](1-1、41 μL)から、Organic Letters (2017), 19(23), 6400-6403に記載の方法と同様に調整したアジド酢酸クロリドの塩化メチレン(1.0mL)溶液を、市販の1-(N-tert-ブチトキシカルボニル-アミノメチル)-4-(アミノメチル)ベンゼン[CAS:108468-00-4](5-1、100 mg)、トリエチルアミン(118 μL)の塩化メチレン(1.0 mL)溶液に、氷水冷下で加え、室温で2.5時間撹拌した。反応液に、酢酸エチル(20 mL)、水(5 mL)を加え、分液後、有機層を水、飽和重曹水、水、飽和食塩水で順次洗浄した。不溶物をろ去し、ろ液を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をメチル-tert-ブチルエーテル/n-ヘプタンでトリチュレートした。得られた固体をろ取し、標記化合物5-2(91 mg)を薄いベージュ固体として得た。
<工程2>N-(4-(アミノメチル)ベンジル)-2-アジドアセトアミド 塩酸塩(5-3)の合成:
Figure 2023015413000180
(実施例5)<工程1>で得られた化合物(5-2、91 mg)に、氷水冷下4規定-塩化水素/1,4-ジオキサン(637 μL)を加えた後、1,4-ジオキサン(627 μL)を追加した後、室温で3.5時間撹拌した。反応液に、ジイソプロピルエーテル(3.8 mL)を加え、10分間撹拌した。得られた固体をろ過して、標記化合物5-3(62 mg)をベージュ固体として得た。
<工程3>N-(4-(アミノメチル)ベンジル)-2-アジドアセトアミド基導入アルギン酸(EX5-A2)の合成:
Figure 2023015413000181
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:A-2)水溶液(25 mL)に、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(70 mg)、(実施例5)<工程2>で得られた化合物(5-3、16.1 mg)、1モル濃度-重曹水(95 μL)を加えた。30℃で3時間攪拌した後、塩化ナトリウム(0.25 g)、エタノール(50 mL)を順次加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥した。得られた固体を水に溶解後凍結乾燥して、標記化合物EX5-A2(239 mg)を白色固体として得た。
(実施例6)
2-(4-アジドフェノキシ)エタン-1-アミノ基導入アルギン酸(EX6-A2)の合成:
Figure 2023015413000182
<工程1>tert-ブチル(2-(4-アジドフェノキシ)エチル)カルバメート(6-3)の合成
Figure 2023015413000183
市販の4-アジドフェノール[CAS:24541-43-3](6-1、0.3 g)、市販のtert-ブチル (2-ブロモエチル)カルバメート[CAS:39684-80-5](6-2、0.6 g)及びN-メチルピロリドン(3 mL)の混合物に対し、室温で炭酸カリウム(0.61 g)を加えた。反応混合物を80℃で6時間30分攪拌し、室温まで冷却した後、水(10 mL)及びメチル tert-ブチルエーテル(20 mL)を加えた。生じた懸濁液をセライトろ過し、残留物をメチル tert-ブチルエーテル(5 mL)で2回洗浄した。ろ液を分離し、有機層を減圧下で濃縮することで粗生成物を得た。この粗生成物をメチル tert-ブチルエーテル(20 mL)に溶解させ、1規定-水酸化ナトリウム水溶液(5 mL)で2回、水(5 mL)で2回、飽和食塩水(5 mL)で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機層をろ過後、減圧下で濃縮することで標記化合物6-3(0.411 g)を紫色の油状物として得た。
<工程2>2-(4-アジドフェノキシ)エタン‐1-アミン 塩酸塩(6-4)の合成
Figure 2023015413000184
(実施例6)<工程1>で得られた化合物(6-3、0.41 g)及び1,4-ジオキサン(2.87 mL)の混合物に対し、水冷攪拌下、4規定-塩化水素/1,4-ジオキサン(2.87 mL)を加えた後、室温で18時間撹拌した。反応液に、ジイソプロピルエーテル(40 mL)を加え、懸濁液を室温で30分攪拌した。析出物をろ過し、回収した固体を減圧乾燥して、標記化合物6-4(0.2834 g)を淡い紫色固体として得た。
<工程3>2-(4-アジドフェノキシ)エタン-1-アミノ基導入アルギン酸(EX-6-A2)の合成
Figure 2023015413000185
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:A-2)水溶液(29.66 mL)に、室温で4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(91.52 mg)及び1モル濃度-重曹水(68.63 μL)を加えた。続いて、(実施例6)<工程2>で得られた化合物(6-4、14.73 mg)の水(1 mL)及びエタノール(1 mL)溶液を室温にて加え、同温で42時間攪拌した後、塩化ナトリウム(300 mg)、エタノール(59.3 mL)を順次加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥した。得られた固体を水に溶解後凍結乾燥して、標記化合物EX6-A2(269 mg)をピンク色固体として得た。
(実施例9a、9b)
N-(2-アミノエチル)-2-(2-シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)アセトアミド基導入アルギン酸(EX9a-A2、EX9b-B2)の合成:
Figure 2023015413000186
<工程1>tert-ブチル(2-オキソ-2-((2-(2,2,2-トリフルオロアセタミド)エチル)アミノ)エチル)カルバメート(9-1)の合成:
Figure 2023015413000187
N-(tert-ブトキシカルボニル)グリシン(91 mg、[CAS:4530-20-5])、及び(実施例A-9b)<工程1>と同様な方法で得られた化合物(EX9-IM-2、100 mg)をアセトニトリル(3.0 mL)に溶解した。O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロりん酸塩(217 mg)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(281 μL)を加え、室温で3.5時間撹拌した。反応液に、酢酸エチル(15 mL)、水(5 mL)を加え、分液後、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:40%酢酸エチル/n-ヘプタン→酢酸エチル)で精製し、標記化合物9-1(180 mg)を薄いベージュアモルファスとして得た。
<工程2>N-(2-(2-アミノアセタミド)エチル)-2,2,2-トリフルオロアセタミド 塩酸塩(9-2)の合成:
Figure 2023015413000188
(実施例9)<工程1>で得られた化合物(9-1、180 mg)に、氷水冷下4規定-塩化水素/1,4-ジオキサン(1.2 mL)を加えた後、室温で0.8時間撹拌した。反応液に、ジイソプロピルエーテル(3.6 mL)を加え、30分間撹拌した。得られた固体をろ過して、標記化合物9-2(114 mg)を白色固体として得た。
<工程3>N-(2-(2-(2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)アセタミド)アセタミド)エチル)-2,2,2-トリフルオロアセタミド(9-3)の合成:
Figure 2023015413000189
文献公知の方法(Org. Process Res. Dev.(2018)22:108-110)に従い合成したカルボン酸(7-4、80 mg)、(実施例9)<工程2>で得られた化合物(9-2、110 mg)に、エタノール(1.6 mL)、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(219 mg)、トリエチルアミン(67 μL)を加え、室温で3時間撹拌した。反応液に、水(3.2 mL)を加え、室温で30分間撹拌した後、固体をろ過し、水で洗浄した。得られた固体に、酢酸エチル/エタノール(1/1、10 mL)を加え、不溶物をろ去した。ろ液を減圧濃縮して、標記化合物9-3(101 mg)を白色固体として得た。
<工程4>N-(2-(アミノエチル)-2-(2-(シクロオクト-イン-1-イロキシ)アセタミド)アセタミド(9-4)の合成:
Figure 2023015413000190
(実施例9)<工程3>で得られた化合物(9-3、60 mg)のメタノール(1.8 mL)溶液に、炭酸カリウム(59 mg)の水(0.3 mL)溶液を加え、室温で4時間撹拌した。反応液を減圧濃縮した後、水(2mL)を加え、塩化ナトリウムで飽和させた。酢酸エチル(15mL,10 mL×4)で抽出し、抽出層を減圧濃縮した。残渣に酢酸エチル(10 mL)、エタノール(1mL)を加え、不溶物をろ去した。得られたろ液を減圧濃縮して、標記化合物9-4(49 mg)を無色ガム状物として得た。
<工程5-1>N-(2-アミノエチル)-2-(2-シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)アセトアミド基導入アルギン酸(EX9a-A2)の合成:
Figure 2023015413000191
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:A-2)水溶液(38 mL)に、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(106 mg)、(実施例9)<工程4>で得られた化合物(9-4、30.3 mg)のエタノール(3.8 mL)溶液、1モル濃度-重曹水(96 μL)を加えた。30℃で3.2時間攪拌した後、塩化ナトリウム(0.38 g)、エタノール(76 mL)を順次加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥した。得られた固体を水に溶解後凍結乾燥して、標記化合物EX9a-A2(381 mg)を白色固体として得た。
<工程5-2>N-(2-アミノエチル)-2-(2-シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)アセトアミド基導入アルギン酸(EX9b-B2)の合成:
Figure 2023015413000192
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:B-2)水溶液(38 mL)に、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(64 mg)、(実施例9)<工程4>で得られた化合物(9-4、18.2 mg)、1モル濃度-重曹水(58 μL)を加えた。30℃で3.2時間攪拌した後、塩化ナトリウム(0.38 g)、エタノール(76 mL)を順次加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥した。得られた固体を水に溶解後凍結乾燥して、標記化合物EX9b-B2(366 mg)を白色固体として得た。
(実施例10)
N-(2-アミノエチル)-3-(2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)アセタミド)プロパナミド基導入アルギン酸(EX10-A2)の合成:
Figure 2023015413000193
<工程1>tert-ブチル(3-オキソ-3-((2-(2,2,2-トリフルオロアセタミド)エチル)アミノ)プロピル)カルバメート(10-1)の合成:
Figure 2023015413000194
市販のN-(tert-ブトキシカルボニル)-β-アラニン(113 mg、[CAS:3303-84-2])、(実施例A-9b)<工程1>と同様な方法で得られた化合物(EX9-IM-2、100 mg)をアセトニトリル(3.3 mL)に溶解した。O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロりん酸塩(261 mg)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(319 μL)を加え、室温で3時間撹拌した。反応液に、酢酸エチル(15 mL)、水(5 mL)を加え、分液後、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、メチルtert-ブチルエーテル(20 mL)でトリチュレートした。固体をろ取し、酢酸エチル(20 mL)に溶解した。有機層を、1規定-クエン酸、水、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をメチルtert-ブチルエーテル(10 mL)でトリチュレートした後、固体をろ取し、標記化合物10-1(80 mg)を白色固体として得た。
<工程2>3-アミノ-N-(2-(2,2,2-トリフルオロアセタミド)エチル)プロパナミド 塩酸塩(10-2)の合成:
Figure 2023015413000195
(実施例10)<工程1>で得られた化合物(10-1、80 mg)に、氷水冷下4規定-塩化水素/1,4-ジオキサン(1.1 mL)を加えた後、室温で2時間撹拌した。反応液に、ジイソプロピルエーテル(3.4 mL)を加え、1.5時間撹拌した。得られた固体をろ過して、標記化合物10-2(61 mg)を白色固体として得た。
<工程3>3-(2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)アセタミド)-N-(2-(2,2,2-トリフルオロアセタミド)エチル)プロパナミド(10-3)の合成:
Figure 2023015413000196
文献公知の方法(Org. Process Res. Dev.(2018)22:108-110)に従い合成したカルボン酸(7-4、44 mg)、(実施例10)<工程2>で得られた化合物(10-2、61 mg)に、エタノール(1.2 mL)、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(115 mg)、トリエチルアミン(39 μL)を加え、室温で2時間撹拌した。反応液に、水(3.7 mL)を加え、酢酸エチル(15 mL, 5 mL)で抽出した。有機層を、水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウム乾燥後、減圧濃縮した。得られた固体に、tert-ブチルメチルエーテル(10 mL)を加え、トリチュレートし、ろ過した。得られた固体をカラムクロマトグラフィー(80%酢酸エチル/n-ヘプタン→酢酸エチル→20%メタノール/酢酸エチル)で精製して、標記化合物10-3(60 mg)を淡黄色固体として得た。
<工程4>N-(2-(アミノエチル)-3-(2-(シクロオクト-イン-1-イロキシ)アセタミド)プロパナミド(10-4)の合成:
Figure 2023015413000197
(実施例10)<工程3>で得られた化合物(10-3、60 mg)のメタノール(3.0 mL)溶液に、炭酸カリウム(42 mg)の水(0.3 mL)溶液を加え、室温で3時間撹拌後、さらに、炭酸カリウム(42 mg)の水(0.3 mL)溶液を加え、室温で16.5時間撹拌した。反応液を減圧濃縮した後、飽和食塩水(2mL)を加え、さらに塩化ナトリウムで飽和させた。酢酸エチル(15mL,10 mL×4)で抽出し、抽出層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣に酢酸エチル(5 mL)と数滴のメタノールを加え、不溶物をろ去した。得られたろ液を減圧濃縮して、標記化合物10-4(31 mg)を無色油状物として得た。
<工程5>N-(2-アミノエチル)-3-(2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)アセタミド)プロパナミド基導入アルギン酸(EX10-A2)の合成:
Figure 2023015413000198
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:A-2)水溶液(41 mL)に、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(114 mg)、(実施例10)<工程4>で得られた化合物(10-4、30.5 mg)のエタノール(4.1 mL)溶液、1モル濃度-重曹水(103 μL)を加えた。30℃で3時間攪拌した後、塩化ナトリウム(0.41 g)、エタノール(82 mL)を順次加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥した。得られた固体を水に溶解後凍結乾燥して、標記化合物EX10-A2(406 mg)を白色固体として得た。
(実施例11a、11b)
2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)エタン-1-アミノ基導入アルギン酸(EX11a-A2、EX11b-B2)の合成:
Figure 2023015413000199
<工程1>E-N-(2-((2-ブロモシクロオクト-2-エン-1-イル)オキシ)エチル)-2,2,2-トリフルオロアセトアミド(11-3)の合成
Figure 2023015413000200
文献公知の方法(Org. Process Res. Dev.(2018)22:108-110)に従い合成したジブロモ体(11-1、1 g)及び文献公知の方法(国際公開第2015/140807号パンフレット)に従い合成したアルコール体(11-2、5.28 g)の混合物に対し、室温でジクロロメタン(2 mL)を加えた。内温を室温に保ちながら、反応容器をアルミホイルで包み、光から保護した。続いて、室温でトリフルオロメタンスルホン酸銀(1.92 g)を一度に加え、同温にて1時間攪拌した。攪拌後、氷冷下で飽和食塩水(5 mL)を加え、析出した銀塩をセライトろ過により除去し、残留物をメチル tert-ブチルエーテル(10 mL)で洗浄した。ろ液を分離し、有機層を水(5 mL)で2回洗浄した。その後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過後、減圧下で濃縮することで粗生成物を得た。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-へプタン/酢酸エチル)で精製し、化合物11-3(0.46 g)を含む画分を得た。
<工程2>2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)エタン-1-アミン(11-4)の合成
Figure 2023015413000201
(実施例11)<工程1>で得られた化合物(11-3、0.46 g)を含む画分及びジメチルスルホキシド(1.38 mL)の混合物に対し、水冷攪拌下、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(1.82 mL)を加え、室温で16時間攪拌した。水(10 mL)を加え反応を停止させ、メタノールを減圧下で濃縮した。生じた溶液をメチル tert-ブチルエーテル(10 mL)で3回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過後、減圧下で濃縮することで標記化合物11-4(0.196 g)の粗生成物を褐色油状物として得た。
<工程3-1>2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)エタン-1-アミノ基導入アルギン酸(EX11a-A2)の合成
Figure 2023015413000202
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:A-2)水溶液(69.2 mL)に、室温で4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(213.55 mg)を加えた。続いて、(実施例11)<工程2>で得られた化合物(11-4、26.78 mg)の水(1 mL)及びエタノール(1 mL)溶液を室温にて加え、同温で24時間攪拌した後、塩化ナトリウム(700 mg)、エタノール(138.4 mL)を順次加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥した。得られた固体を水に溶解後凍結乾燥して、標記化合物EX11a-A2(661 mg)を白色固体として得た。
<工程3-2>2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)エタン-1-アミノ基導入アルギン酸(EX11b-B2)の合成
Figure 2023015413000203
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:B-2)水溶液(70.1 mL)、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(216.4 mg)及び(実施例11)<工程2>で得られた化合物(11-4、27.14 mg)を用い、(実施例11)<工程3-1>と同様の操作を行い、標記化合物EX11-B2(648 mg)を白色固体として得た。
(実施例12)
2-(2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)エトキシ)エタン-1-アミノ基導入アルギン酸(EX12-A2)の合成:
Figure 2023015413000204
<工程1>2,2,2-トリフルオロ-N-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル)アセタミド(12-2)の合成:
Figure 2023015413000205
市販の2-(2-アミノエトキシ)エタノール[CAS:929-06-6](12-1、2.0 mL)のテトラヒドロフラン(8.0 mL)溶液に、2,2,2-トリフルオロ酢酸エチル(2.5 mL)を、5分かけて滴下した後、室温で20時間攪拌した。反応液を減圧濃縮した後、酢酸エチル(30 mL)、水(10 mL)を加え、分液した。水層を酢酸エチル(10 mL)で抽出し、合わせた有機層を、水、飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮して、標記化合物12-2(3.7 g)を無色油状物として得た。
<工程2>(E)-N-(2-(2-((2-ブロモシクロオクト-2-エン-1-イル)オキシ)エトキシ)エチル)-2,2,2-トリフルオロアセタミド(12-3)の合成:
Figure 2023015413000206
文献公知の方法(Org. Process Res. Dev.(2018)22:108-110)に従い合成したジブロモ体(11-1、0.3 g)を塩化メチレン(0.54 mL)に溶解し、アルミホイル遮光下、(実施例12)<工程1>で得られた化合物(12-2、1.86 g)、トリフルオロメタンスルホン酸銀(0.52 g)を加えた。遮光下、室温で1.5時間撹拌後、反応液に、氷水冷下、飽和重曹水(2.0 mL)、飽和食塩水(3.0 mL)を順次加えた。固体をセライトにてろ去し、tert-ブチルメチルエーテル(10 mL×3)洗浄した。ろ液を分液し、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮して、標記化合物12-3(424 mg)を薄い茶色油状物として得た。
<工程3>N-(2-(2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)エトキシ)エチル)-2,2,2-トリフルオロアセタミド(12-4)の合成:
Figure 2023015413000207
(実施例12)<工程2>で得られた化合物(12-3、100 mg)を、テトラヒドロフラン(0.7 mL)、N,N-ジメチルホルムアミド(0.7 mL)に溶解した。60%水素化ナトリウム(21 mg)を、氷水下で加え、同温で3時間撹拌した。60%水素化ナトリウム(10 mg)を加え、室温で1時間、さらに60%水素化ナトリウム(10 mg)を加え、室温で20時間撹拌した。水(3 mL)を加え、酢酸エチル(15 mL、10 mL)で抽出し、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン→50%酢酸エチル/n-ヘプタン)で精製して、標記化合物12-4(37 mg)を無色油状物として得た。
<工程4>2-(2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)エトキシ)エタン-1-アミン(12-5)の合成:
Figure 2023015413000208
(実施例12)<工程3>で得られた化合物(12-4、37 mg)のメタノール(555 μL)溶液に、炭酸カリウム(50 mg)の水(185 μL)溶液を加え、室温で17時間撹拌した。反応液を減圧濃縮した後、水(1 mL)を加え、塩化ナトリウムで飽和させた。酢酸エチル(10 mL×4)で抽出し、抽出層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣に酢酸エチル(10 mL)と数滴のメタノールを加え、不溶物をろ去した。得られたろ液を減圧濃縮して、標記化合物12-5(30 mg)を無色油状物として得た。
<工程5>2-(2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)エトキシ)エタン-1-アミノ基導入アルギン酸(EX12-A2)の合成:
Figure 2023015413000209
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:A-2)水溶液(52 mL)に、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(145 mg)、(実施例12)<工程4>で得られた化合物(12-5、29 mg)のエタノール(5.2 mL)溶液、1モル濃度-重曹水(131 μL)を加えた。30℃で3.2時間攪拌した後、塩化ナトリウム(0.52 g)、エタノール(104 mL)を順次加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥した。得られた固体を水に溶解後凍結乾燥して、標記化合物EX12-A2(522 mg)を白色固体として得た。
(実施例13)
3-アミノ-N-(2-(2-(2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)アセタミド)エトキシ)エチル)プロパナミド基導入アルギン酸(EX13-A2)の合成:
Figure 2023015413000210
<工程1>3-(2,2,2-トリフルオロアセタミド)プロパン酸(13-2)の合成:
Figure 2023015413000211
市販のβ-アラニン[CAS:107-95-9](13-1、2.0 g)をメタノール(40.0 mL)に溶解し、トリエチルアミン(3.3 mL)を加えた。水冷下で2,2,2-トリフルオロ酢酸(3.4 mL)を5分間で滴下後、室温で20.5時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、水(20 mL)を加え、1規定-塩酸でpH4に調整した。酢酸エチル(100 mL×2、50 mL)で抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮して、標記化合物13-2(2.9 g)を白色固体として得た。
<工程2>tert-ブチル(2-(2-(3-(2,2,2-トリフルオロアセタミド)プロパナミド)エトキシ)エチル)カルバメート(13-3)の合成:
Figure 2023015413000212
(実施例13)<工程1>で得られた化合物(13-2、400 mg)、tert-ブチル(2-アミノエチル)カルバメート(8-1、441 mg、[CAS:57260-73-8])のエタノール(4.0 mL)溶液に、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(897 mg)を加え、3.5時間撹拌した。反応液に、水(5 mL)を加え、酢酸エチル(20 mL、10 mL)で抽出後、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(30%酢酸エチル/n-ヘプタン→酢酸エチル)で精製して、標記化合物13-3(451 mg)を無色油状物として得た。
<工程3>N-(2-(2-アミノエトキシ)エチル)-3-(2,2,2-トリフルオロアセタミド)プロパナミド 塩酸塩(13-4)の合成:
Figure 2023015413000213
(実施例13)<工程2>で得られた化合物(13-3、451 mg)に、氷水冷下4規定-塩化水素/1,4-ジオキサン(3.16 mL)を加え、室温で3時間撹拌した。反応液に、ジイソプロピルエーテル(6.4 mL)を加え、減圧濃縮して、標記化合物13-4(433 mg)を無色ガム状物として得た。
<工程4>N-(2-(2-(2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)アセタミド)エトキシ)エチル-3-(2,2,2-トリフルオロアセタミド)プロパナミド(13-5)の合成:
Figure 2023015413000214
文献公知の方法(Org. Process Res. Dev.(2018)22:108-110)に従い合成したカルボン酸(7-4、111 mg)、(実施例13)<工程3>で得られた化合物(13-4、215 mg)に、エタノール(1.7 mL)、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(253 mg)、トリエチルアミン(102 μL)を加え、室温で21時間撹拌した。反応液に、水(5 mL)を加え、酢酸エチル(15 mL)で抽出した。有機層を、水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(30%酢酸エチル/n-ヘプタン→酢酸エチル→15%メタノール/酢酸エチル)で精製して、標記化合物13-5(35 mg)を無色油状物として得た。
<工程5>3-アミノ-N-(2-(2-(2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)アセタミド)エトキシ)エチル)プロパナミド(13-6)の合成:
Figure 2023015413000215
(実施例13)<工程4>で得られた化合物(13-5、35 mg)のメタノール(700 μL)溶液に、炭酸カリウム(33 mg)の水(175 μL)溶液を加え、室温で16.5時間撹拌した。反応液を減圧濃縮した後、水(2 mL)を加え、塩化ナトリウムで飽和させた。酢酸エチル(10 mL×5)で抽出し、抽出層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣に酢酸エチル(10 mL)と数滴のメタノールを加え、不溶物をろ去した。得られたろ液を減圧濃縮して、標記化合物13-6(24 mg)を無色ガム状物として得た。
<工程6>3-アミノ-N-(2-(2-(2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)アセタミド)エトキシ)エチル)プロパナミド基導入アルギン酸(EX13-A2)の合成:
Figure 2023015413000216
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:A-2)水溶液(28 mL)に、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(78 mg)、(実施例13)<工程5>で得られた化合物(13-6、24 mg)のエタノール(2.8 mL)溶液、1モル濃度-重曹水(71 μL)を加えた。30℃で3.5時間攪拌した後、塩化ナトリウム(0.28 g)、エタノール(56 mL)を順次加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥した。得られた固体を水に溶解後凍結乾燥して、標記化合物EX13-A2(272 mg)を白色固体として得た。
(実施例14a、14b)
N-(4-(2-アミノエトキシ)ベンジル)-2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)アセトアミド基導入アルギン酸(EX14a-A2、EX14b-B2)の合成:
Figure 2023015413000217
<工程1>N-(2-ブロモエチル)-2,2,2-トリフルオロアセトアミド(14-2)の合成:
Figure 2023015413000218
市販の2-ブロモエチルアミン臭化水素酸塩[CAS:2576-47-8](14-1、3 g)のメタノール(30 mL)溶液に対し、氷冷攪拌下、トリエチルアミン(4.29 mL)を加えた。この混合物に対し、同温でトリフルオロ酢酸エチル (1.92 mL)を徐々に加え、室温で42時間攪拌した。反応終了後、反応液を減圧下で濃縮し、水(10 mL)を加えた。酢酸エチル(10 mL)で3回抽出し、有機層を水(5 mL)、飽和食塩水(5 mL)で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過後、減圧下で濃縮することで、標記化合物14-2(2.457 g)を淡い褐色固体として得た。
<工程2>tert-ブチル (4-(2-(2,2,2-トリフルオロアセトアミド)エトキシ)ベンジル)カルバメート(14-4)の合成
Figure 2023015413000219
市販のtert-ブチル (4-ヒドロキシベンジル)カルバメート[CAS:149505-94-2](14-3、0.36 g)、(実施例14)<工程1>で得られた化合物(14-2、0.46 g)、ヨウ化カリウム(0.35 g)及びN-メチルピロリドン(3.6 mL)の混合物に対し、室温で炭酸カリウム(0.45 g)を加え、140℃で5時間攪拌した。反応終了後、室温まで冷却し、水(10 mL)で希釈した。メチル tert-ブチルエーテル(10 mL)で3回抽出し、有機層を1規定-水酸化ナトリウム水溶液(5 mL)で2回、水(5 mL)、飽和食塩水(5 mL)で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機層をろ過後、減圧下で濃縮することで、粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-n-ヘプタン/酢酸エチル)で精製し、標記化合物14-4(0.202 g)を白色アモルファスとして得た。
<工程3>N-(2-(4-(アミノメチル)フェノキシ)エチル)-2,2,2-トリフルオロアセトアミド 塩酸塩(14-5)の合成
Figure 2023015413000220
(実施例14)<工程2>で得られた化合物(14-4、0.2 g)を用い、(実施例6)<工程2>と同様の操作を実施することで、標記化合物14-5(0.147 g)を白色固体として得た。
<工程4>N-(2-(4-((2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)アセトアミド)メチル)フェノキシ)エチル)-2,2,2-トリフルオロアセトアミド(14-6)の合成
Figure 2023015413000221
文献公知の方法(Org. Process Res. Dev.(2018)22:108-110)に従い合成したカルボン酸(7-4、50 mg)、(実施例14)<工程3>で合成した化合物(14-5、81.96 mg)及びエタノールの混合物に対し、氷冷攪拌下、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(137.22 mg)及びトリエチルアミン(38.25 μL)を加え、室温で1時間30分攪拌した。反応終了後、水(2 mL)を加え、懸濁液を攪拌し、メチル tert-ブチルエーテル(0.5 mL)を加えた。分離した水層をメチル tert-ブチルエーテル(5 mL)で2回抽出し、水(5 mL)、飽和食塩水(5 mL)で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥した有機層をろ過し、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-へプタン/酢酸エチル)で精製し、標記化合物14-6(99 mg)を白色アモルファスとして得た。
<工程5>N-(4-(2-アミノエトキシ)ベンジル-2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)アセトアミド(14-7)の合成
Figure 2023015413000222
(実施例14)<工程4>で得られた化合物(14-6、99 mg)及びメタノール(1485 μL)の混合物に対し、水冷攪拌下、炭酸カリウム(64.17 mg)及び水(495 μL)を加え、室温で15時間攪拌した。反応終了後、メタノールを減圧下で濃縮し、生じた水層を酢酸エチル(5 mL)で3回抽出した。有機層を水(5 mL)及び飽和食塩水(5 mL)で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥させた有機層をろ過後、減圧下で濃縮することで、標記化合物14-7(68 mg)の粗生成物を黄色油状物として得た。
<工程6-1>N-(4-(2-アミノエトキシ)ベンジル)-2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)アセトアミド基導入アルギン酸(EX14a-A2)の合成
Figure 2023015413000223
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:A-2)水溶液(49.44 mL)、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(152.54 mg)及び(実施例14)<工程5>で得られた化合物(14-7、37.79 mg)を用い、(実施例11)<工程3-1>と同様の操作を行い、標記化合物EX14a-A2(479 mg)を白色固体として得た。
<工程6-2>N-(4-(2-アミノエトキシ)ベンジル)-2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)アセトアミド基導入アルギン酸(EX14b-B2)の合成
Figure 2023015413000224
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:B-2)水溶液(40.08 mL)、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(123.66 mg)及び(実施例14)<工程5>で得られた化合物(14-7、30.64 mg)を用い、(実施例11)<工程3-1>と同様の操作を行い、標記化合物EX14b-B2(356 mg)を白色固体として得た。
(実施例15)
2-アミノ-N-[3-(11,12-ジヒドロジベンズ[b,f]アゾシン-5(6H)-イル)-3-オキソプロピル]アセタミド基導入アルギン酸(EX15-A2)の合成:
Figure 2023015413000225
<工程1>
(9H-フルオレン-9-イル)メチル-N-[3-(11,12-ジヒドロジベンズ[b,f]アゾシン-5(6H)-イル)-3-オキソプロピル]アセタミド-2-カルバメート基(15-2)の合成:
Figure 2023015413000226
市販の3-アミノ-1-(11,12-ジデヒドロジベンズ[b,f]アゾシン-5(6H)-イル)-1-プロパノン[CAS:1255942-06-3](15-1、50 mg)、N-[(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル]グリシン[CAS:29022-11-5](54 mg)をアセトニトリル(1.5 mL)に溶解した。O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロりん酸塩(76 mg)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(70 μL)を加え、室温で4.5時間撹拌した。反応液に、酢酸エチル(15 mL)、水(5 mL)を加え、分液後、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製して、標記化合物15-2(63 mg)を薄いベージュアモルファスとして得た。
<工程2>2-アミノ-N-[3-(11,12-ジヒドロジベンズ[b,f]アゾシン-5(6H)-イル)-3-オキソプロピル]アセタミド(15-3)の合成:
Figure 2023015413000227
(実施例15)<工程1>で得られた化合物(15-2、63 mg)に、ピぺリジン(56 μL)のN,N-ジメチルホルムアミド(315 μL)溶液を加え、室温で30分間攪拌した。反応液に、酢酸エチル(15 mL)、水(5 mL)を加え、分液後、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた固体に、tert-ブチルメチルエーテル(5 mL)を加え、トリチュレートした後、ろ取し、標記化合物15-3(10 mg)を薄いベージュ固体として得た。ろ液から回収し、追加で、標記化合物15-3(11 mg)を淡黄色ガム状物として得た。
<工程3>
2-アミノ-N-[3-(11,12-ジヒドロジベンズ[b,f]アゾシン-5(6H)-イル)-3-オキソプロピル]アセタミド基導入アルギン酸(EX15-A2)の合成:
Figure 2023015413000228
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:A-2)水溶液(19 mL)に、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(106 mg)、(実施例15)<工程2>で得られた化合物(15-3、21 mg)のエタノール(1.9 mL)溶液、1モル濃度-重曹水(48 μL)を加えた。30℃で3時間攪拌した後、塩化ナトリウム(0.19 g)、エタノール(38 mL)を順次加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥した。得られた固体を水に溶解後凍結乾燥して、標記化合物EX15-A2(188 mg)を白色固体として得た。
(実施例16)
2-アミノ-N-(2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)エチル)アセトアミド基導入アルギン酸(EX16-A2)の合成:
Figure 2023015413000229
<工程1>(2,2,2-トリフルオロアセチル)グリシン(16-2)の合成
Figure 2023015413000230
グリシン(16-1、2 g)をメタノール(10 mL)に懸濁させ、4℃まで冷却した。同温にて、トリフルオロ酢酸エチル(3.5 mL)及びトリエチルアミン(3.71 mL)を加え、室温で23時間攪拌した。反応終了後、1規定-塩酸(20 mL)をpH2になるまで徐々に加え、酢酸エチル(10 mL)で3回抽出し、水(5 mL)及び飽和食塩水(5 mL)で順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過後、減圧下で濃縮し、淡黄色油状物を得た。得られた油状物を酢酸エチル(20 mL)に溶解させ、n-へプタン(10 mL)を加えた。この溶液を減圧下で濃縮することで標記化合物16-2(3.22 g)を白色アモルファスとして得た。
<工程2>
N-(2-((2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)エチル)アミノ)-2-オキソエチル)-2,2,2-トリフルオロアセトアミド(16-3)の合成
Figure 2023015413000231
化合物11-4(80 mg)及び(実施例16)<工程1>で得られた化合物(16-2、81.83 mg)の混合物に対し、氷冷攪拌下、エタノール(1600 μL)及び4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(239.21 mg)を加え、室温で3時間攪拌した。水(2 mL)を加え反応を停止させ、メチル tert-ブチルエーテル(5 mL)で3回抽出した。有機層を水(5 mL)、飽和食塩水(5 mL)で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機層をろ過後、減圧下で濃縮することで、粗生成物を得た。この粗生成物をn-ヘプタン(10 mL)でトリチュレートし、ろ過及び減圧下で乾燥させることで標記化合物16-3(95.1 mg)を白色固体として得た。
<工程3>2-アミノ-N-(2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)エチル)アセトアミド(16-4)の合成
Figure 2023015413000232
(実施例16)<工程2>で得られた化合物(16-3、60 mg)、メタノール(900 μL)、炭酸カリウム(51.78 mg)及び水(300 μL)を用い、(実施例14)<工程5>と同様の操作を実施することで、標記化合物16-4(15 mg)を淡黄色油状物として得た。
<工程4>2-アミノ-N-(2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)エチル)アセトアミド基導入アルギン酸(EX16-A2)の合成
Figure 2023015413000233
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:A-2)水溶液(29.66 mL)、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(91.52 mg)及び(実施例16)<工程3>で得られた化合物(16-4、15 mg)を用い、(実施例11)<工程3-1>と同様の操作を行い、標記化合物EX16-A2(279 mg)を白色固体として得た。
(実施例17)
(2S)-2-アミノ-N-(2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)エチル)-3-フェニルプロパンアミド基導入アルギン酸(EX17-A2)の合成:
Figure 2023015413000234
<工程1>(2,2,2-トリフルオロアセチル)-L-フェニルアラニン(17-2)の合成
Figure 2023015413000235
L-フェニルアラニン[CAS:63-91-2](17-1、2 g)をメタノール(10 mL)に溶解させ、4℃まで冷却した。続いて、同温にて、トリフルオロ酢酸エチル(1.59 mL)及びトリエチルアミン(1.69 mL)を加え、室温で16時間攪拌した。反応終了後、1規定-塩酸(10 mL)をpH1になるまで徐々に加え、懸濁液を30分攪拌した。懸濁液をろ過し、回収した固体を減圧下で乾燥させることで標記化合物17-2(2.53 g)を白色固体として得た。
<工程2>(2S)-N-(2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)エチル)-3-フェニル-2-(2,2,2-トリフルオロアセトアミド)プロパンアミド(17-3)の合成
Figure 2023015413000236
化合物11-4(60 mg)及び(実施例17)<工程1>で得られた化合物(17-2、93.7 mg)の混合物に対し、氷冷下、エタノール(1200 μL)及び4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(179.41 mg)を加え、室温で3時間攪拌した。水(2 mL)を加え反応を停止させ、メチル tert-ブチルエーテル(5 mL)で3回抽出した。有機層を水(5 mL)、飽和食塩水(5 mL)で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機層をろ過後、減圧下で濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン/酢酸エチル)で精製することで、標記化合物17-3(57 mg)を白色アモルファスとして得た。
<工程3>(2S)-2-アミノ-N-(2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)エチル)-3-フェニルプロパンアミド(17-4)の合成
Figure 2023015413000237
(実施例17)<工程2>で得られた化合物(17-3、57 mg)、メタノール(855 μL)、炭酸カリウム(38.39 mg)及び水(285 μL)を用い、(実施例14)<工程5>と同様の操作を実施することで、標記化合物17-4(35 mg)を淡黄色油状物として得た。
<工程4>(2S)-2-アミノ-N-(2-(シクロオクト-2-イン-1-イロキシ)エチル)-3-フェニルプロパンアミド基導入アルギン酸(EX17-A2)の合成
Figure 2023015413000238
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(持田製薬株式会社製:A-2)水溶液(47.46 mL)、4-(4、6-ジメトキシ-1、3、5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(146.44 mg)及び(実施例17)<工程3>で得られた化合物(17-4、34.53 mg)を用い、(実施例11)<工程3-1>と同様の操作を行い、標記化合物EX17-A2(383 mg)を白色固体として得た。
(実施例P1~P7)
下記に示される(実施例P1)~(実施例P7)のアルギン酸誘導体を前記実施例に示される方法に準じて合成する製造する。
Figure 2023015413000239
アルギン酸誘導体の物性データ
Figure 2023015413000240
Figure 2023015413000241
中間体化合物のNMRデータ
Figure 2023015413000242
Figure 2023015413000243
Figure 2023015413000244
Figure 2023015413000245
Figure 2023015413000246
Figure 2023015413000247
中間体化合物のLC-Massデータ
Figure 2023015413000248
[実施例F1-1]化学架橋アルギン酸ゲルファイバA1の製法
図2に模式的に示す製造過程にしたがって、化学架橋アルギン酸ゲルファイバA1を作製した。細胞は、トシリズマブ産生CHO細胞を用いた。マイクロ流体装置10の導入口1から、細胞濃度5×10細胞/mL(1×10細胞/25mファイバ1本)の細胞を含む抗体産生培地溶液(Irvine社製)を導入し、導入口2から、1.5質量%(w/w%)の化学修飾アルギン酸EX3-(II)-B-2a及び1.5質量%(w/w%)の化学修飾アルギン酸EX1-(I)-B-2bの水溶液(化学修飾アルギン酸EX3-(II)-B-2a/化学修飾アルギン酸EX1-(I)-B-2bの比率1/1)を導入し、導入口3から100mM塩化カルシウム(CaCl)水溶液を導入して射出することにより、コア層直径約100μm、外径約300μm、全長25mの化学架橋アルギン酸ゲルファイバを得た。流入速度は、マイクロ流体装置10の導入口からのコア層の流入速度:0.05mL/min;マイクロ流体装置2の導入口からのシェル層の流入速度:0.4mL/min;マイクロ流体装置3の導入口からのCaCl溶液の流入速度:5mL/minとした。
[実施例F1-2]化学架橋アルギン酸ゲルファイバA2の製法
実施例F1-1と同様にして、図2に模式的に示す製造過程にしたがって、化学架橋アルギン酸ゲルファイバA2を作製した。マイクロ流体装置10の導入口1から、細胞濃度5×10細胞/mL(1×10細胞/25mファイバ1本)のトシリズマブ産生CHO細胞を含む抗体産生培地溶液(Irvine社製)を導入し、導入口2から、1.5質量%(w/w%)の化学修飾アルギン酸EX3-(II)-B-2a及び1.5質量%(w/w%)の化学修飾アルギン酸EX1-(I)-B-2bの水溶液(化学修飾アルギン酸EX3-(II)-B-2a/化学修飾アルギン酸EX1-(I)-B-2bの比率1/1)を導入し、導入口3から100mMCaCl水溶液を導入し、[実施例F1-1]と同様の操作を実施することで、コア層直径約100μm、外径約300μm、全長25mの化学架橋アルギン酸ゲルファイバを得た。
[実施例F1-3]化学架橋アルギン酸ゲルファイバA3の製法
実施例F1-1と同様にして、図2に模式的に示す製造過程にしたがって、化学架橋アルギン酸ゲルファイバA3を作製した。マイクロ流体装置10の導入口1から、細胞濃度2×10細胞/mL(4×10細胞/25mファイバ1本)のトシリズマブ産生CHO細胞を含む抗体産生培地溶液(Irvine社製)を導入し、導入口2から、1.5質量%(w/w%)の化学修飾アルギン酸EX3-(II)-B-2a及び1.5質量%(w/w%)の化学修飾アルギン酸EX1-(I)-B-2bの水溶液(化学修飾アルギン酸EX3-(II)-B-2a/化学修飾アルギン酸EX1-(I)-B-2bの比率1/1)を導入し、導入口3から100mMCaCl水溶液を導入し、[実施例F1-1]と同様の操作を実施することで、コア層直径約100μm、外径約300μm、全長25mの化学架橋アルギン酸ゲルファイバを得た。
[実施例F1-4]化学架橋アルギン酸ゲルファイバA4の製法
実施例F1-1と同様にして、図2に模式的に示す製造過程にしたがって、化学架橋アルギン酸ゲルファイバA4を作製した。マイクロ流体装置10の導入口1から、細胞濃度5×10細胞/mL(2×10細胞/50mファイバ1本)のトシリズマブ産生CHO細胞を含む1.5重量%のアルギン酸ナトリウム溶液(持田製薬株式会社製:B-2)を導入し、導入口2から、1.5質量%(w/w%)の化学修飾アルギン酸EX3-(II)-B-2a及び1.5質量%(w/w%)の化学修飾アルギン酸EX8-(I)-B-2の水溶液(化学修飾アルギン酸EX3-(II)-B-2a/化学修飾アルギン酸EX8-(I)-B-2の比率1/1)を導入し、導入口3から100mMCaCl水溶液を導入し、[実施例F1-1]と同様の操作を実施することで、コア層直径約100μm、外径約300μm、全長50mの化学架橋アルギン酸ゲルファイバを得た。
[実施例F2-1]化学架橋アルギン酸ゲルファイバB1の製法
図3に模式的に示す製造過程にしたがって、化学架橋アルギン酸ゲルファイバB1を作製した。細胞は、トシリズマブ産生CHO細胞を用いた。T字型流体装置XXの導入口1から、細胞濃度1×10細胞/mL(2×10細胞/3mファイバ1本)の細胞を含む1.5重量%のアルギン酸ナトリウム溶液(持田製薬株式会社製:B-2)を導入し、導入管AAの最先端ZZから抗体産生細胞と基材を射出し、導入口2から、1.5質量%(w/w%)の化学修飾アルギン酸EX3-(II)-B-2a及び1.5質量%(w/w%)の化学修飾アルギン酸EX1-(I)-B-2bの水溶液(化学修飾アルギン酸EX3-(II)-B-2a/化学修飾アルギン酸EX1-(I)-B-2bの比率が1/1)を導入し、T字型流体装置XXの管内を当該化学修飾アルギン酸の混合溶液にて充填させ、排出管CCの出口3から、抗体産生細胞及び基材が含まれるコア層を化学修飾アルギン酸誘導体が含まれるシェル層で被覆されるファイバ状物質を、100mM塩化カルシウム水溶液中に射出することにより、コア層直径約300μm、外径約550μm、全長3mの化学架橋アルギン酸ゲルファイバを得た。流入速度は、T字型流体装置XXの導入口1からのコア層の流入速度:0.05mL/min;T字型流体装置XXの導入口2からのシェル層の流入速度:0.2mL/minであった。
[実施例F2-2]化学架橋アルギン酸ゲルファイバB2の製法
実施例F2-1と同様にして、図3に模式的に示す製造過程にしたがって、化学架橋アルギン酸ゲルファイバB2を作製した。マイクロ流体装置XXの導入口1から、細胞濃度5×10細胞/mL(2×10細胞/3mファイバ1本)のトシリズマブ産生CHO細胞を含む1.5重量%のアルギン酸ナトリウム溶液(持田製薬株式会社製:B-2)を導入し、導入管AAの最先端ZZから抗体産生細胞と基材を射出し、導入口2から、1.5質量%(w/w%)の化学修飾アルギン酸EX3-(II)-B-2a及び1.5質量%(w/w%)の化学修飾アルギン酸EX8-(I)-B-2の水溶液(化学修飾アルギン酸EX3-(II)-B-2a/化学修飾アルギン酸EX8-(I)-B-2の比率が1/1)を導入し、T字型流体装置XXの管内を当該化学修飾アルギン酸の混合溶液にて充填させ、[実施例F2-1]と同様の操作を実施することで、コア層直径約400μm、外径約750μm、全長3mの化学架橋アルギン酸ゲルファイバを得た。
[実施例F2-3]化学架橋アルギン酸ゲルファイバB3の製法
実施例F2-1と同様にして、図3に模式的に示す製造過程にしたがって、化学架橋アルギン酸ゲルファイバB3を作製した。マイクロ流体装置XXの導入口1から、細胞濃度5×10細胞/mL(2×10細胞/3mファイバ1本)のトシリズマブ産生CHO細胞を含む1.5w/v%のアルギン酸ナトリウム溶液(持田製薬株式会社製:B-2)を導入し、導入管AAの最先端ZZから抗体産生細胞と基材を射出し、導入口2から、1.5w/v%の化学修飾アルギン酸EX3-(II)-A-2b及び1.5w/v%の化学修飾アルギン酸EX1-(I)-A-2cの水溶液(化学修飾アルギン酸EX3-(II)-A-2b/化学修飾アルギン酸EX1-(I)-A-2cの比率が1/1)を導入し、T字型流体装置XXの管内を当該化学修飾アルギン酸の混合溶液にて充填させ、[実施例F2-1]と同様の操作を実施することで、コア層直径約400μm、外径約700μm、全長3mの化学架橋アルギン酸ゲルファイバを得た。
[実施例F2-4]化学架橋アルギン酸ゲルファイバB4の製法
実施例F2-1と同様にして、図3に模式的に示す製造過程にしたがって、化学架橋アルギン酸ゲルファイバB4を作製した。マイクロ流体装置XXの導入口1から、細胞濃度5×10細胞/mL(2×10細胞/7mファイバ1本)のトシリズマブ産生CHO細胞を含む1.5w/v%のアルギン酸ナトリウム溶液(持田製薬株式会社製:B-2)を導入し、導入管AAの最先端ZZから抗体産生細胞と基材を射出し、導入口2から、1.5w/v%の化学修飾アルギン酸EX3-(II)-B-2a及び1.5w/v%の化学修飾アルギン酸EX8-(I)-B-2の水溶液(化学修飾アルギン酸EX3-(II)-B-2a/化学修飾アルギン酸EX8-(I)-B-2の比率が1/1)を導入し、T字型流体装置XXの管内を当該化学修飾アルギン酸の混合溶液にて充填させ、[実施例F2-1]と同様の操作を実施することで、コア層直径約280μm、外径約580μm、全長7mの化学架橋アルギン酸ゲルファイバを得た。
[実施例F2-5]化学架橋アルギン酸ゲルファイバB5の製法
実施例F2-1と同様にして、図3に模式的に示す製造過程にしたがって、化学架橋アルギン酸ゲルファイバB5を作製した。マイクロ流体装置XXの導入口1から、細胞濃度5×10細胞/mL(5×10細胞/1mファイバ1本)のトシリズマブ産生CHO細胞を含む0.5w/v%のアルギン酸ナトリウム溶液(持田製薬株式会社製:B-2)を導入し、導入管AAの最先端ZZから抗体産生細胞と基材を射出し、導入口2から、1.5w/v%の化学修飾アルギン酸EX3-(II)-B-2a及び1.5w/v%の化学修飾アルギン酸EX8-(I)-B-2の水溶液(化学修飾アルギン酸EX3-(II)-B-2a/化学修飾アルギン酸EX8-(I)-B-2の比率が1/1)を導入し、T字型流体装置XXの管内を当該化学修飾アルギン酸の混合溶液にて充填させ、[実施例F2-1]と同様の操作を実施することで、コア層直径約330μm、外径約700μm、全長1mの化学架橋アルギン酸ゲルファイバを得た。
[実施例F2-6]化学架橋アルギン酸ゲルファイバB6の製法
実施例F2-1と同様にして、図3に模式的に示す製造過程にしたがって、化学架橋アルギン酸ゲルファイバB6を作製した。マイクロ流体装置XXの導入口1から、細胞濃度5×10細胞/mL(5×10細胞/1mファイバ1本)のトシリズマブ産生CHO細胞を含む1.0%のメチルセルロース溶液(R&D SYSTEMS社製)を導入し、導入管AAの最先端ZZから抗体産生細胞と基材を射出し、導入口2から、1.5w/v%の化学修飾アルギン酸EX3-(II)-B-2a及び1.5w/v%の化学修飾アルギン酸EX8-(I)-B-2の水溶液(化学修飾アルギン酸EX3-(II)-B-2a/化学修飾アルギン酸EX8-(I)-B-2の比率が1/1)を導入し、T字型流体装置XXの管内を当該化学修飾アルギン酸の混合溶液にて充填させ、[実施例F2-1]と同様の操作を実施することで、コア層直径約350μm、外径約700μm、全長1mの化学架橋アルギン酸ゲルファイバを得た。
[実施例F2-7]化学架橋アルギン酸ゲルファイバB7の製法
実施例F2-1と同様にして、図3に模式的に示す製造過程にしたがって、化学架橋アルギン酸ゲルファイバB7を作製した。マイクロ流体装置XXの導入口1から、細胞濃度5×10細胞/mL(5×10細胞/1mファイバ1本)のトシリズマブ産生CHO細胞を含む1.5w/v%のアルギン酸ナトリウム溶液(持田製薬株式会社製:B-2)を導入し、導入管AAの最先端ZZから抗体産生細胞と基材を射出し、導入口2から、1.5w/v%の化学修飾アルギン酸EX3-(II)-B-2a及び1.5w/v%の化学修飾アルギン酸EX8-(I)-B-2の水溶液(化学修飾アルギン酸EX3-(II)-B-2a/化学修飾アルギン酸EX8-(I)-B-2の比率が1/1)を導入し、T字型流体装置XXの管内を当該化学修飾アルギン酸の混合溶液にて充填させ、[実施例F2-1]と同様の操作を実施することで、コア層直径約330μm、外径約700μm、全長1mの化学架橋アルギン酸ゲルファイバを得た。
[実施例F2-8]化学架橋アルギン酸ゲルファイバB8の製法
実施例F2-1と同様にして、図3に模式的に示す製造過程にしたがって、化学架橋アルギン酸ゲルファイバB8を作製した。マイクロ流体装置XXの導入口1から、細胞濃度5×10細胞/mL(5×10細胞/1mファイバ1本)のトシリズマブ産生CHO細胞を含む1.5w/v%のアルギン酸ナトリウム溶液(持田製薬株式会社製:B-2)を導入し、導入管AAの最先端ZZから抗体産生細胞と基材を射出し、導入口2から、1.5w/v%の化学修飾アルギン酸EX3-(II)-B-2a及び1.5w/v%の化学修飾アルギン酸EX8-(I)-B-2の水溶液(化学修飾アルギン酸EX3-(II)-B-2a/化学修飾アルギン酸EX8-(I)-B-2の比率が1/1)を導入し、T字型流体装置XXの管内を当該化学修飾アルギン酸の混合溶液にて充填させ、[実施例F2-1]と同様の操作を実施することで、コア層直径約300μm、外径約700μm、全長1mの化学架橋アルギン酸ゲルファイバを得た。
[実施例F2-9]化学架橋アルギン酸ゲルファイバB9の製法
実施例F2-1と同様にして、図3に模式的に示す製造過程にしたがって、化学架橋アルギン酸ゲルファイバB9を作製した。マイクロ流体装置XXの導入口1から、細胞濃度5×10細胞/mL(2×10細胞/6mファイバ1本)のトシリズマブ産生CHO細胞を含む1.5w/v%のアルギン酸ナトリウム溶液(持田製薬株式会社製:B-2)を導入し、導入管AAの最先端ZZから抗体産生細胞と基材を射出し、導入口2から、1.5w/v%の化学修飾アルギン酸EX3-(II)-B-2a及び1.5w/v%の化学修飾アルギン酸EX8-(I)-B-2の水溶液(化学修飾アルギン酸EX3-(II)-B-2a/化学修飾アルギン酸EX8-(I)-B-2の比率が1/1)を導入し、T字型流体装置XXの管内を当該化学修飾アルギン酸の混合溶液にて充填させ、[実施例F2-1]と同様の操作を実施することで、コア層直径約300μm、外径約650μm、全長6mの化学架橋アルギン酸ゲルファイバを得た。
[実施例F2-10]化学架橋アルギン酸ゲルファイバB10の製法
実施例F2-1と同様にして、図3に模式的に示す製造過程にしたがって、化学架橋アルギン酸ゲルファイバB10を作製した。マイクロ流体装置XXの導入口1から、細胞濃度5×10細胞/mL(2.5×10細胞/7mファイバ1本)のトシリズマブ産生CHO細胞を含む1.5w/v%のアルギン酸ナトリウム溶液(持田製薬株式会社製:B-2)を導入し、導入管AAの最先端ZZから抗体産生細胞と基材を射出し、導入口2から、1.5w/v%の化学修飾アルギン酸EX3-(II)-B-2a及び1.5w/v%の化学修飾アルギン酸EX8-(I)-B-2の水溶液(化学修飾アルギン酸EX3-(II)-B-2a/化学修飾アルギン酸EX8-(I)-B-2の比率が1/1)を導入し、T字型流体装置XXの管内を当該化学修飾アルギン酸の混合溶液にて充填させ、[実施例F2-1]と同様の操作を実施することで、コア層直径約300μm、外径約600μm、全長7mの化学架橋アルギン酸ゲルファイバを得た。
[実施例F3-1]化学架橋アルギン酸ゲルファイバを用いたトシリズマブ産生CHO細胞の培養:

培地組成: G016 培地に下表の各種添加物を加え調製した。

Figure 2023015413000249
125 mLポリカーボネート製三角フラスコに、実施例F2-3または実施例F2-4で得られた化学架橋アルギン酸ゲルファイバB3またはB4を入れ、上記表の組成である培地(30 mL)を添加し、37℃、5%CO雰囲気下、インキュベータ内で125 rpmで振とうしながら培養を4週間実施した。2~3日に一回、培地1.8 mLを抜き取り、Feed液(Irvine社製、JX Feed 003)1.8mLを添加し、培地の総量を30 mLに保った。培養期間において、ファイバ内のトシリズマブ生産細胞の細胞数および細胞生存率を計測するともに培養液のトシリズマブ濃度を測定した。トシリズマブ濃度はヒトIL-6 Receptor、Cat#200-06RC)を用いたELISA法により測定した。化学架橋アルギン酸ゲルファイバB3のファイバ培養28日後の生細胞数は4.8×10個、生存率は59%であり、培養液のトシリズマブ濃度は0.3mg/mLであった。また、化学架橋アルギン酸ゲルファイバB4ファイバの培養29日後の生細胞数は1.7×10個、生存率は51%、培養液のトシリズマブ濃度は0.3mg/mLであった。化学架橋アルギン酸ゲルファイバB3及びB4を用いた培養において、培養液に検出されるトシリズマブ産生細胞の濃度は1×10細胞/mL未満であった。図9は、実施例F2-3で作製された化学架橋アルギン酸ゲルファイバB3の培養後(28日間)の顕微鏡写真であり、図10は、実施例F2-4で作製された化学架橋アルギン酸ゲルファイバB4の培養後(29日間)の顕微鏡写真である。
[実施例F3-2]各種コア材料で構成した化学架橋アルギン酸ゲルファイバを用いたトシリズマブ産生CHO細胞の培養:
125 mLポリカーボネート製三角フラスコに、実施例F2-5または実施例F2-6で得られた化学架橋アルギン酸ゲルファイバB5またはB6を入れ、上記表の組成である培地(30 mL)を添加し、37℃、5%CO雰囲気下、インキュベータ内で125 rpmで振とうしながら培養を実施した。2~3日に一回、培地1.8 mLを抜き取り、Feed液(Irvine社製、JX Feed 003)1.8mLを添加し、培地の総量を30 mLに保った。培養期間において、ファイバ内のトシリズマブ生産細胞の細胞数および細胞生存率を計測した。実施例F2-5で作製した化学架橋アルギン酸ゲルファイバB5の培養14日後の生細胞数は1.6×10個、生存率は70%であり、また、実施例F2-6で作製した化学架橋アルギン酸ゲルファイバB6の培養14日後の生細胞数は4.4x10個、生存率は57%であった。図11は、実施例F2-5で作製された化学架橋アルギン酸ゲルファイバB5の培養後(14日間)の顕微鏡写真であり、図12は、実施例F2-6で作製された化学架橋アルギン酸ゲルファイバB6の培養後(14日間)の顕微鏡写真である。
[実施例F3-3]化学架橋アルギン酸ゲルファイバを用いたトシリズマブ産生CHO細胞の培養温度シフト条件下の培養:
125 mLポリカーボネート製三角フラスコに、実施例F2-7で得られた化学架橋アルギン酸ゲルファイバB7を入れ、上記表の組成である培地(30 mL)を添加し、37℃、5%CO雰囲気下、インキュベータ内で125 rpmで振とうしながら培養を実施した。2~3日に一回、培地1.8 mLを抜き取り、Feed液(Irvine社製、JX Feed 003)1.8mLを添加し、培地の総量を30 mLに保った。一部の培養フラスコは、培養開始2日後、5日後または7日後に培養温度を30℃とし、同温度にて培養を継続した。培養期間において、ファイバ内のトシリズマブ生産細胞の細胞数および細胞生存率を計測するともに培養液のトシリズマブ濃度をCedex Bioアナライザー(ロシュ・ダイアグノスティクス社)によりヒトIgG濃度として測定した。培養液に検出されるトシリズマブ産生細胞の濃度は1×10細胞/mL未満であった。
その結果を図5~図7に示す。図5に化学架橋アルギン酸ゲルファイバB7中の生細胞数を示す。図6に化学架橋アルギン酸ゲルファイバB7中の細胞生存率を示す。図7に産生された抗体濃度を示す。図13は、実施例F2-7で作製された化学架橋アルギン酸ゲルファイバB7の培養後(28日間)の顕微鏡写真である。
[実施例F3-4]化学架橋アルギン酸ゲルファイバを用いたトシリズマブ産生CHO細胞の培養(培養系のファイバ量を変えた培養):
125 mLポリカーボネート製三角フラスコにトシリズマブ産生CHO細胞を含む実施例F2-9で得られた化学架橋アルギン酸ゲルファイバB9を1本、または実施例F2-10で得られた化学架橋アルギン酸ゲルファイバB10を2本入れ、上記表の組成である培地(30 mL)を添加し、37℃、5%CO雰囲気下、インキュベータ内で125 rpmで振とうしながら培養を開始し、5日後に培養温度を30℃とし、同温度にて培養を継続した。この間、2~3日に一回、培養容液のグルコース濃度が50mmol/Lを超えない範囲で、Feed液(Irvine社製、JX Feed 00)の添加、または培養液半量を新鮮培地に交換した。Feed液添加および培地交換処理は培養液総量が変わらないように、処理前に培養系から添加液量相当量の培養液を抜いてから行った。経時的に培養液のトシリズマブ濃度をCedex Bioアナライザー(ロシュ・ダイアグノスティクス社)によりヒトIgG濃度として測定した。培養液に検出されるトシリズマブ産生細胞の濃度は1×10細胞/mL未満であった。その結果を図8に示す。図8に化学架橋アルギン酸ゲルファイバB9を1本、化学架橋アルギン酸ゲルファイバB10を2本での抗体生産累積量を示す。図14は、実施例F2-9で作製された化学架橋アルギン酸ゲルファイバB9の培養後(33日間)の顕微鏡写真であり、図15は、実施例F2-10で作製された化学架橋アルギン酸ゲルファイバB10の培養後(33日間)の顕微鏡写真である。
[実施例F3-5]アルギン酸中空マイクロファイバB中でのトシリズマブ産生CHO細胞の培養(細胞周期抑制剤添加):
125 mLポリカーボネート製三角フラスコに、実施例F2-8で得られた化学架橋アルギン酸ゲルファイバB8を入れ、上記表の組成である培地(30 mL)を添加し、37℃、5%CO雰囲気下、インキュベータ内で125 rpmで振とうしながら培養を開始し、3日後または5日後に吉草酸を終濃度1.5mMまたは3mM となるように添加した。この培養において、2~3日に一回、培地1.8 mLを抜き取り、Feed液(Irvine社製、JX Feed 003)1.8mLを添加し、培地の総量を30 mLに保った。経時的に培養液のトシリズマブ濃度をCedex Bioアナライザー(ロシュ・ダイアグノスティクス社)によりヒトIgG濃度として測定し、培養開始から7日後及び14日後にファイバ内のトシリズマブ生産細胞の細胞数、細胞生存率を計測した。培養液に検出されるトシリズマブ産生細胞の濃度は1×10細胞/mL未満であった。図16は、実施例F2-8で作製された化学架橋アルギン酸ゲルファイバB8の培養後(14日間)の顕微鏡写真である。
Figure 2023015413000250
ここでは、抗体産生細胞がコア層に含まれた抗体生産用の化学架橋アルギン酸ゲルファイバ(化学架橋アルギン酸中空マイクロファイバ)が提供される。また、当該化学架橋アルギン酸ゲルファイバの製造方法、及び当該化学架橋アルギン酸ゲルファイバを用いた抗体の培養方法を提供することができる。
a:アルギン酸ゲルファイバのコア層(中空部)の直径
b:アルギン酸ゲルファイバのシェル層の厚さ
c:アルギン酸ゲルファイバの外径
4:シェル層
5:コア層
6:抗体産生細胞
10:マイクロ流体装置
1:抗体産生細胞6を含む基材の導入口
2:式(I)及び式(II)の化学修飾アルギン酸誘導体の混合溶液の導入口
3:塩化カルシウム溶液の導入口
20: 化学架橋アルギン酸ゲルファイバ
40:導入管
50:出口
XX:T字型流体装置
1:抗体産生細胞6を含む基材の導入口
2:式(I)及び式(II)の化学修飾アルギン酸誘導体の混合溶液の導入口
3:出口
DD:塩化カルシウム溶液を含むビーカー等
CFB: 化学架橋アルギン酸ゲルファイバ
AA:導入管・ガラスキャピラリA
BB:導入管・ETFEチューブ
CC:排出管・ガラスキャピラリC
ZZ:ガラスキャピラリAの先端部(射出口)
Cap1:シリコンキャツプ
Cap2:シリコンキャツプ
Cap3:シリコンキャツプ

Claims (23)

  1. 抗体産生細胞及び基材が含まれるコア層を、式(I)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を用いて、前記両アルギン酸誘導体間に架橋を形成することにより得られる架橋アルギン酸ゲルを含むシェル層で被覆して形成される化学架橋アルギン酸ゲルファイバ:
    [式(I)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体]
    下記式(I):
    Figure 2023015413000251
    [式(I)中、(ALG)は、アルギン酸を表わし;-NHCO-は、アルギン酸の任意のカルボキシル基を介したアミド結合を表わし;-L-は、下記表:
    Figure 2023015413000252
    Figure 2023015413000253
    Figure 2023015413000254
    に記載された部分構造式[各式中、両端の波線外側は含まない]からなる群より選択されるリンカーを表わし;
    Aknは、下記表:
    Figure 2023015413000255
    に記載された部分構造式[各式中、波線右側は含まない]からなる群より選択される環状アルキン基表わす)で表される化学修飾アルギン酸誘導体;

    [式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体]
    下記式(II):
    Figure 2023015413000256
    (式(II)中、(ALG)はアルギン酸を表わし;-NHCO-は、アルギン酸の任意のカルボキシル基を介したアミド結合を表わし;-L-は、下記表:
    Figure 2023015413000257
    Figure 2023015413000258
    Figure 2023015413000259
    に記載された部分構造式[各式中、両端の波線外側は含まない]からなる群より選択されるリンカーを表わす)で表される化学修飾アルギン酸誘導体。
  2. コア層に含まれる抗体産生細胞が、抗体発現ベクターにより形質転換されたCHO細胞、CHO細胞亜株、COS細胞、Sp2/0細胞、NS0細胞、SP2細胞、PERC6細胞、YB2/0細胞、YE2/0細胞、1R983F細胞、Namalwa細胞、Wil-2細胞、Jurkat細胞、Vero細胞、Molt-4細胞、HEK293細胞、BHK細胞、KGH6細胞、P3X63Ag8.653細胞、C127細胞、JC細胞、LA7細胞、ZR-45-30細胞、hTERT細胞、NM2C5細胞、及びUACC-812細胞からなる群から選択される細胞である、請求項1に記載の化学架橋アルギン酸ゲルファイバ。
  3. コア層に含まれる基材が、コラーゲン溶液、コラーゲンゲル、培地、培養液、メチルセルロース、スクロース溶液、アルギン酸溶液、アルギン酸ゲル、前記式(I)又は式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体の溶液、前記式(I)又は式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体のゲル、又はそれらの混合物等からなる群から選択される基材である、請求項1又は2に記載の化学架橋アルギン酸ゲルファイバ。
  4. シェル層に含まれる架橋アルギン酸ゲルの形成に用いられる式(I)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体のゲルろ過クロマトグラフィー法により測定した重量平均分子量が、約10万Da~約300万Daの範囲である、請求項1~3のいずれか1項に記載の化学架橋アルギン酸ゲルファイバ。
  5. シェル層に含まれる架橋アルギン酸ゲルの形成に用いられる式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体のゲルろ過クロマトグラフィー法により測定した重量平均分子量が、約10万Da~約300万Daの範囲である、請求項1~3のいずれか1項に記載の化学架橋アルギン酸ゲルファイバ。
  6. シェル層に含まれる架橋アルギン酸ゲルの形成に用いられる式(I)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体の反応性基:Akn-L-NH基(Akn、及び-L-は、請求項1の定義と同じである)の導入率が、約0.1%~約30%の範囲である、請求項1~3のいずれか1項に記載の化学架橋アルギン酸ゲルファイバ。
  7. シェル層に含まれる架橋アルギン酸ゲルの形成に用いられる式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体の反応性基:N-L-NH基(-L-は、請求項1の定義と同じである)の導入率が、約0.1%~約30%の範囲である、請求項1~3のいずれか1項に記載の化学架橋アルギン酸ゲルファイバ。
  8. 化学架橋アルギン酸ゲルファイバの外径が300μm~750μmの範囲であり、化学架橋アルギン酸ゲルファイバのコア層の直径が100μm~400μmの範囲である、請求項1~3のいずれか1項に記載のアルギン酸ゲルファイバ。
  9. 化学架橋アルギン酸ゲルファイバのシェル層に含まれる架橋アルギン酸ゲルが、下記式(III-L):
    Figure 2023015413000260
    [式(III-L)中、両端の-CONH-及び-NHCO-は、アルギン酸の任意のカルボキシル基を介したアミド結合を表わし;
    -L-は、請求項1の定義と同じであり;
    -L-は、請求項1の定義と同じであり;
    Xは、下記表:
    Figure 2023015413000261
    Figure 2023015413000262
    に記載された部分構造式の群から選択される環状基である(各式中、両端の波線外側は含まない)]で表わされる基を介して化学架橋する、請求項1~3のいずれか1項に記載の化学架橋アルギン酸ゲルファイバ。
  10. 化学架橋アルギン酸ゲルファイバのシェル層に含まれる架橋アルギン酸ゲルが、請求項9の式(III-L)[式(III-L)中、各定義は、請求項9の定義と同じである]で表わされる基を介して化学架橋され、更に2価金属イオンを介してイオン架橋されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の化学架橋アルギン酸ゲルファイバ。
  11. 抗体産生細胞及び基材が含まれるコア層を、請求項1に記載の式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を用いて前記両アルギン酸誘導体間に架橋を形成することにより得られる架橋アルギン酸ゲルを含むシェル層で被覆して形成される化学架橋アルギン酸ゲルファイバの製造方法であって、導入管40と、導入管40の導入口1と、導入口1の下流に位置する導入管40の導入口2と、導入口2の下流に位置する導入管40の導入口3と、導入口2の下流に位置する導入管40の出口50を含む、マイクロ流体装置10を用い、
    (1)導入口1から、抗体産生細胞6と基材を導入して射出して、導入管40内に抗体産生細胞6と基材の第1の層流を形成する工程、
    (2)導入口2から、請求項1に記載の式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体の混合溶液を導入して射出して、第1の層流の外周を覆う、前記式(I)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体及び前記式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体の混合溶液の第2の層流を形成する工程、
    (3)導入口3から、2価金属イオンを含む溶液を導入して射出して、第2の層流の外周を覆う、2価金属イオンを含む溶液の第3の層流を形成する工程、
    (4)出口50から射出される、抗体産生細胞及び基材が含まれるコア層を、前記式(I)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体及び前記式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を用いて前記両アルギン酸誘導体間に架橋を形成することにより得られる架橋アルギン酸ゲルを含むシェル層で被覆して形成される化学架橋アルギン酸ゲルファイバを得る工程
    を含むことを特徴とする、化学架橋アルギン酸ゲルファイバの製造方法。
  12. 抗体産生細胞及び基材が含まれるコア層を、請求項1に記載の式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を用いて前記両アルギン酸誘導体間に架橋を形成することにより得られる架橋アルギン酸ゲルを含むシェル層で被覆して形成される化学架橋アルギン酸ゲルファイバの製造方法であって、導入管AAと導入管AAの導入口1、導入管BBと導入管BBの導入口2、及び導入管AA及び導入管BBの下流に位置する排出管CC及びその出口3を含む、T字型流体装置XXを用い、
    (1)導入口2から、請求項1に記載の式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体の混合溶液を導入する工程、
    (2)導入口1から、抗体産生細胞6と基材を導入して、導入管AAの最先端ZZから抗体産生細胞6と基材を射出する工程、
    (3)排出管CCの出口3から、抗体産生細胞及び基材が含まれるコア層を請求項1に記載の式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体が含まれるシェル層で被覆されるファイバ状物質を、2価金属イオンを含む溶液中に射出させる工程、
    (4)前記式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を用いて前記両アルギン酸誘導体間に架橋を形成することにより得られる架橋アルギン酸ゲルを含むシェル層で被覆して形成される化学架橋アルギン酸ゲルファイバを得る工程
    を含むことを特徴とする、化学架橋アルギン酸ゲルファイバの製造方法。
  13. コア層に含まれる抗体産生細胞が、請求項2に記載の細胞である、請求項11又は12に記載の化学架橋アルギン酸ゲルファイバの製造方法。
  14. コア層に含まれる基材が、請求項3に記載の基材である、請求項11又は12に記載の化学架橋アルギン酸ゲルファイバの製造方法。
  15. 2価金属イオンが、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、バリウムイオン、ストロンチウムイオン、及び亜鉛イオンからなる群から選択されるイオンである、請求項11又は12に記載の化学架橋アルギン酸ゲルファイバの製造方法。
  16. 2価金属イオンを含む溶液が、塩化カルシウム水溶液、炭酸カルシウム水溶液、グルコン酸カルシウム水溶液、及び塩化バリウム水溶液なる群から選択される水溶液である、請求項11又は12に記載の化学架橋アルギン酸ゲルファイバの製造方法。
  17. 化学架橋アルギン酸ゲルファイバの製法時の温度が、4~37℃の範囲である、請求項11又は12に記載の化学架橋アルギン酸ゲルファイバの製造方法。
  18. 抗体産生細胞及び基材が含まれるコア層を、請求項1に記載の式(I)及び式(II)で表わされる化学修飾アルギン酸誘導体を用いて前記両アルギン酸誘導体間に架橋を形成することにより得られる架橋アルギン酸ゲルを含むシェル層で被覆して形成される化学架橋アルギン酸ゲルファイバを用いる抗体の製造方法であり、請求項1~10のいずれか1項に記載の化学架橋アルギン酸ゲルファイバを培養容器に入れ、培地を添加して前記化学架橋アルギン酸ゲルファイバを含浸させ、培養を行うことによる、抗体の製造方法。
  19. コア層に含まれる抗体産生細胞が、請求項2に記載の細胞である、請求項18に記載の抗体の製造方法。
  20. コア層に含まれる基材が、請求項3に記載の基材である、請求項18に記載の抗体の製造方法。
  21. 培養温度が、30℃~38℃の範囲である、請求項18~20のいずれか1項に記載の抗体の製造方法。
  22. 培養温度が、培養開始時の温度が37℃であり、コア層の細胞濃度が、1.0×10細胞/mL~10×10細胞/mLに到達した時点~培養終了時迄の温度が30℃である、請求項18~20のいずれか1項に記載の抗体の製造方法。
  23. 細胞増殖抑制剤を添加する、請求項18~22のいずれか1項に記載の抗体の製造方法。
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